定義
本明細書で使用する「リンカー」という用語は、任意で少なくとも1個の相互接続分子に結合することにより、サッカライドの還元末端モノサッカライドを、免疫原性担体又は固体担体(solid support)に接続することができる分子フラグメントを包含する。従って、リンカー自体又は相互接続分子を伴うリンカーの機能は、還元末端モノサッカライドと免疫原性担体又は固体担体の間の特定の距離を確立し、保ち、及び/又は、架橋することである。サッカライドと免疫原性担体の間の特定の距離を保つことにより、免疫原性サッカライドエピトープが、免疫原性担体の構造(例えば、担体タンパク質の二次構造)により遮蔽されることが避けられる。加えて、反応性基の立体障害を減少させることにより、リンカーはサッカライドとの結合の効率を大幅に上昇させる(Methods in Molecular Medicine 2003、87、153-174)。より具体的には、リンカーの一方の末端を、還元末端モノサッカライドのアノマー中心において環外酸素原子に接続し、他方の末端を窒素原子を介して相互接続分子に、又は、免疫原性担体若しくは固体担体に直接的に接続する。
本発明においては、本技術分野において知られているサッカライド結合体(例えば、サッカライド-担体タンパク質結合体、抗体-薬剤結合体)用のいかなるリンカーをも使用することができる。サッカライド担体タンパク質結合体を対象とする多数の出版物から、当業者は、本明細書に開示するサッカライド及び結合体に適切なリンカーを容易に思い描くことができる(Chem Soc Rev 2018、Advance Article、DOI:10.1039/C8CS00495A中の「Antimicrobial glycoconjugate vaccines:an overview of classic and modern approaches for protein modification」;並びにAcc Chem Res 2017、50、1270-1279を参照されたい。)。というのは、使用されるリンカー、すなわちその長さ及び結合の型は、サッカライド結合体の免疫原性にそれほど影響を与えないからである(PLoS ONE 2017、12(12):e0189100;J.Immun.Meth.1996、191、1-10を参照されたい。)。そのような適切なリンカーは、無害(すなわち無毒)及び非免疫原性(すなわち、結合体を用いた免疫化において非防御抗体の形成を誘導しない。)であり、市販の二官能性のポリエチレングリコール(Journal of Controlled Release 2013、172、382-389;J.Immun.Meth.1996、191、1-10)、グルタル酸誘導体(J.Org.Chem.2005、70(18)、7123-7132)、アジピン酸誘導体、スクアレート誘導体、アルキン、市販のMFCO-NHS(モノフルオロ-置換シクロオクチン N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)等のN-ヒドロキシ-スクシンイミド、(Acc.Chem.Res.2017、50、1270-1279中に開示されているような)マレイミド又は(WO2014080251A1中に記載されているような)親水性アルキルホスフィナート及びスルホニルを含むが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用される「相互接続分子」という用語は、官能基X及び官能基Yを有する二官能性分子を意味し、官能基Xは、リンカーL上の末端アミノ基と反応することができ、官能基Yは、免疫原性担体上又は固体担体上に存在する官能性基と反応することができる。図3は、市販の相互接続分子の例を示すが、本発明で使用することができる相互接続分子をそれらの例に限定するものではない。相互接続分子は、リンカー又は免疫原性担体若しくは固体担体の一部を形成するものではないものとする。
本明細書で使用する「アジュバント」という用語は、免疫学的アジュバント、すなわち、ワクチン中に含まれるある抗原に対する免疫応答を、それに抗原的に関与することなく増強することにより、当該ワクチンの効果を修飾し又は増大させる、ワクチン組成物中で使用される物質を意味する。古典的な意味で当業者に知られているアジュバントの例には:- カルシウム塩及びアルミニウム塩(又は、それらの混合物)を有するミネラル含有組成物が含まれる。カルシウム塩にはリン酸カルシウムが含まれる。アルミニウム塩には水酸化物塩、リン酸塩、硫酸塩等が含まれ、上記塩は適切な形態(例えば、ゲル、結晶、アモルファス等)を取る。これらの塩に吸着させることが好ましい。ミネラル含有組成物は金属塩の粒子としてもよい。水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウムとして知られるアジュバントを使用してもよい。本発明においては、アジュバントとして一般的に使用されるいかなる「水酸化物塩」又は「リン酸塩」アジュバントを使用してもよい。「水酸化アルミニウム」として知られるアジュバントは、一般に、通常、少なくとも部分的に結晶である水酸化酸化アルミニウム塩である。「リン酸アルミニウム」として知られるアジュバントは、通常、水酸化リン酸アルミニウムであり、少量の硫酸塩を含むことも多い(すなわち、水酸化リン酸アルミニウム硫酸塩)。これらは沈降法により得てもよく、沈降の際の反応条件及び濃度が、塩中のヒドロキシルに対するリン酸塩の置換の程度に影響を与える。水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウムの混合物を、本発明の製剤において使用することができる;
- サポニンは、広範な植物種の樹皮、葉、茎、根、そして花にさえも見い出される及びステロール配糖体及びトリテルペノイド配糖体の異種グループである。Quillaia saponaria、Molina樹の樹皮のサポニンについて、アジュバントとしての広範な研究がされてきた。サポニンは、Smilax ornata(sarsaprilla)、Gypsophilla paniculata(brides veil)及びSaponaria oficianalis(soap root)から市販で入手することもできる。サポニンアジュバント製剤には、QS21等の精製製剤並びにISCOM等の脂質製剤が含まれる。サポニン粗製物は、HPLC及びRP-HPLCを用いて精製されている。これらの技術を用いた特異的な精製画分が特定されており、QS7、QS17、QS18、QS21、QH-A、QH-B及びQH-Cが含まれる。サポニン製剤はコレステロール等のステロールをも包含する。サポニンとコレステロールを組み合わせて、免疫刺激結合体(ISCOM)と呼ばれるユニークな粒子を形成させるために使用することができる。ISCOMは、一般に、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリン等のリン脂質を含む。知られているいかなるサポニンもISCOM中で使用することができる。好ましくは、ISCOMは1種又は2種以上のQuilA、QHA及びQHCを含む;
- 生分解性で無毒の物質から形成されるマイクロパーティクル(すなわち、直径100nm~150pm、より好ましくは直径200nm~30pm又は500nm~10pmの粒子)。そのような無毒で生分解性の物質には、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトンが含まれるが、これらに限定されるものではない;
- α-グリコシルセラミド、フィトスフィンゴシン含有α-グリコシルセラミド、OCH、KRN7000[(2S,3S,4R)-1-O-(α-D-ガラクトピラノシル)-2-(N-ヘキサコサノイルアミノ)-1,3,4-オクタデカントリオール]、CRONY-101、3”-スルフォ-ガラクトシル-セラミド等のCD1dリガンド;
- 免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフを有するもの(リン酸結合によってグアノシン残基に結合した非メチル化シトシン残基を有するジヌクレオチドシークエンス)、又は、CpIモチーフを有するもの(イノシンに結合したシトシンを有するジヌクレオチドシークエンス)、又は、二本鎖RNA、又は、回文配列を有するオリゴヌクレオチド、又は、ポリ(dG)シークエンスを有するオリゴヌクレオチド)。免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート修飾等のヌクレオチド修飾/類似体を含んでもよく、二本鎖又は(RNAを除いて)一本鎖であってよい;
- ホスフェート含有非環式バックボーンに結合した脂質を含有する化合物(例えば、MPLA又はTLR4アンタゴニスト、E5564);
- 油分乳化物(例えば、フロイントアジュバント)。
理論的には、免疫学的事象のカスケードにおいて特定の状況を有利にしたり又は増幅することができ、最終的に、より顕著な免疫学的応答を引き起こす各分子又は物質は、アジュバントと定義することができる。
原則として、ワクチン製剤におけるアジュバントの使用により:
- ワクチンにとって適切な又は望ましい免疫応答を方向づけ又は最適化することができ;
- ワクチンの粘膜送達、すなわち、ワクチンの口腔又は胃又は肺上皮等の粘膜表面及び関連リンパ組織との接触を引き起こすような投与を可能にし;
- 細胞介在免疫応答の促進を可能にし;
- 高度に精製した又はリコンビナント抗原等の、弱い免疫原の免疫原性を増強することができ;
- 保護免疫を提供するために必要な抗原の量又は免疫化の頻度を減らすことができ;及び
- 新生児、高齢者及び免疫不全のワクチン接種者等の、免疫応答が減少した又は弱い個体におけるワクチンの効果を改善することができる。
それらの作用機作についてはほとんど知られていないが、現在のところ、アジュバントは下記のメカニズムの1つにより免疫応答を強化すると考えられている:
- 抗原の生物学的又は免疫学的半減期の増大;
- 例えば、APCによる抗原-アジュバント結合体の取り込み後に、抗原がエンドソーム膜を通過してサイトゾル内に入ることができるようにすることによる、抗原提示細胞(APC)への抗原送達、並びに、抗原のプロセッシング及びAPCによる提示の改善;
- ストレスを加えられた又は損傷を受けた細胞からの危険誘発シグナルを模倣することによる、免疫応答の開始;
- 免疫調節性サイトカイン産生の誘導;
- 免疫系の特異的サブセットへの免疫応答の傾斜;及び
- 抗原攻撃の急速な分散の遮断。
サッカライドは、TI-2(T細胞依存性-2)抗原及び弱い免疫原として当業者に知られている。従って、サッカライドベースのワクチンの製造においては、当該サッカライドを免疫原性担体に結合させて、サッカライドに比べて増大した免疫原性を示す結合体を提供する。この文脈において、「免疫原性担体」という用語は、サッカライドに結合して、サッカライド自体に比べて増大した免疫原性を示す結合体を形成する構造体と定義される。従って、サッカライドを免疫原性担体、好ましくはタンパク質キャリアー、に結合させることにより、当該免疫原性担体に対する免疫応答を誘発することなく、当該サッカライドに対する免疫応答を刺激する効果がある。
従って、本発明は一般式(I)のサッカライド、又は、そのジアステレオ異性体若しくは薬学的に許容される塩を対象とする。
(式中、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択される整数であり;
T
*-は、H-又はホスフェート基を表し;
Zは、
を表し;
Lはリンカーを表し;
Eは、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’は、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す。)。
すべての一般式(I)、(II)、(III)及びまたすべての副一般式において、nは、好ましくは1~8からの整数であり、より好ましくは1~6からの整数であり、なおより好ましくは1、2、3、4又は5、なおより好ましくは1、2、3又は4、なおより好ましくは1、2又は3、なおより好ましくは1又は2、なおより好ましくは1を表す。
リンカーLは、好ましくは2から40個の間の炭素原子(任意の側鎖の炭素原子を含む。)、より好ましくは2から30個の間、より好ましくは2から20個の間、より好ましくは2から14個の間、より好ましくは2から12個の間、及びなおより好ましくは2から10個の間の炭素原子を有する。
酸素原子(すなわち-O-L-NH2の酸素)とNH2基の間の最も短い原子鎖は、好ましくは2から14個の原子、より好ましくは2から12個の原子、より好ましくは2から10個の原子、より好ましくは2から8個の原子からなる。(アノマー中心における酸素とNH2基の間の可能な最も短い接続である)最も短い鎖が2から6個の原子からなる場合には、これらは好ましくは炭素原子である。最も短い鎖が4から8個の原子からなる場合、上記鎖はO、N及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子を有してよい。最も短い鎖が9から14個の原子からなる場合、上記鎖はO、N及びSから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を有してよい。
リンカー-L-又は最も短い鎖は完全に又は部分的にフッ素化されていることも好ましい。リンカー-L-は、3員の、若しくは4員の、若しくは5員の、若しくは6員の飽和炭素環、又は、5員の部分的に不飽和の(芳香族ではない)炭素環、又は、4員の、若しくは5員の、若しくは6員の飽和酸素ヘテロ環、又は、4員の、若しくは5員の、若しくは6員の飽和窒素ヘテロ環、又は、6員の芳香族炭素環を有してよい。
リンカー-L-は、アミド(-NH-CO-、-CO-NH-)及び/又は尿素(-NH-CO-NH-)残基、好ましくは唯一のアミド又は尿素残基を有してもよい。リンカーは、置換基、好ましくは2個の置換基(例えば、R10及びR11)又は4個の置換基(例えば、R10、R11、R15及びR14)を有してもよく、これらの置換基は本明細書に定義した意味を有し、好ましくは:-F、-Cl、-CH3、-C2H5、-C3H7、-C5H9、-C6H13、-OCH3、-OC2H5、-CH2F、-CHF2、-CF3、-C(O)-NH2、-SCH3、-SC2H5、-NHC(O)CH3、-N(CH3)2及び-N(C2H5)2から選択される。
リンカー-L-がフッ素化されている場合には、2個を超える置換基-Fが好ましい。
好ましくは、リンカー-L-は:-CH2-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)7-、-(CH2)8-、-(CH2)9-、-(CH2)10-、-CF2-、-(CF2)2-、-(CF2)3-、-(CF2)4-、-(CF2)5-、-(CF2)6-、-(CF2)7-、-(CF2)8-、-(CF2)9-、-(CF2)10-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、-CH2-O-(CH2)3-、-(CH2)3-O-CH2-、-CH2-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-CH2-、-(CH2)3-O-(CH2)2-、-(CH2)2-O-(CH2)3-、-(CH2)4-O-CH2-、-CH2-O-(CH2)4-、-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-、-La-Lb-Ld-Lc-Le-、-La-Ld-Le-;から選択され、
-La-は:-(CH2)o-、-(CF2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-、-(CH2-CH2-O)o-CH2-、-(CR10R11)o-、
から選択され;
-L
b-及び-L
c-は、互いに独立に:-O-、-NH-C(O)-NH-、-NH-C(S)-NH-、-NH-C(O)-、-C(O)-NH-、-NH-C(O)-O-、-NR
9-、-NR
18-、-SO
2-、
から選択され;
-L
d-は、-(CH
2)
q-、-(CF
2)
q-、-(CR
12R
13)
q-、-(CH
2-CH
2-O)
q-C
2H
4-、-(CH
2-CH
2-O)
q-CH
2-、
を表し;
-L
e-は:-(CH
2)
p1-、-(CF
2)
p1-、-C
2H
4-(O-CH
2-CH
2)
p1-、-CH
2-(O-CH
2-CH
2)
p1-、-(CH
2)
p1-O-(CH
2)
p2-、-(CR
14R
15)
p1-、-(CR
14R
15)
p1-O-(CR
21R
22)
p2-、
から選択され;
R
9及びR
18は、互いに独立に:-CH
3、-C
2H
5、-C
3H
7及び-C(O)CH
3;から選択され;
R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
19、R
20、R
21及びR
22は、互いに独立に:-H、-F、-Cl、-CH
3、-C
2H
5、-C
3H
7、-C
5H
9、-C
6H
13、-OCH
3、-OC
2H
5、-CH
2F、-CHF
2、-CF
3、-C(O)-NH
2、-SCH
3、-SC
2H
5、-NHC(O)CH
3、-N(CH
3)
2及び-N(C
2H
5)
2;から選択され;
o、q、p1及びp2は、互いに独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択される整数である。
より好ましくは、-L-は、-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-又は-La-Ld-Le-を表し;
-La-は、-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-又は、-(CH2-CH2-O)o-CH2を表し;
-Lb-は-O-を表し;
-Ld-は、-(CH2)q-、-(CH(OH))q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)q-CH2-を表し;
-Le-は、-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-又は-(CH2)p1-O-(CH2)p2-を表し;
o、q、p1及びp2は、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である。
最も好ましくは、式(I)のサッカライドは:
(R’は、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表し;
Xは、-Br、-Cl、-I、-CO
2H、-CN、-NO
2又は-Sacを表す。)からなる群より選択される基-O-L-Eを有する。
リンカーLは、C.difficile PS-IIサッカライドの繰り返し単位又はそのフラグメント:
従って、リンカーLは、好ましくは、下記の構造の1つから選択される:
からなる群より選択される基-O-L-E、又は、
好ましくはこの基のジスルフィド
本発明のサッカライドは吸湿性であってもよく、その種々の水和物を形成することができる。好ましくは、サッカライドに対する水分子のモル比は、1から20、より好ましくは1から10、最も好ましくは5-10の範囲内である。
本発明のサッカライドは塩基性及び/又は酸性置換基を担持し、有機又は非有機酸又は塩基と塩を形成してもよい。
そのような酸付加塩形成の適切な酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、スルホン酸、ホスホン酸、過塩素酸,硝酸、ギ酸、プロピオン酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、亜硝酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、エチレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフチルスルホン酸、スルファニル酸、カンファースルホン酸、キナ酸(china acid)、マンデル酸、o-メチルマンデル酸、水素-ベンゼンスルホン酸、ピクリン酸、アジピン酸、d-o-トリル酒石酸、タルトロン酸、(o、m、p)-トルイル酸、ナフチルアミンスルホン酸、及び当業者によく知られた他の鉱酸又はカルボン酸である。塩は、遊離塩基形態を十分量の所望の酸と接触させて、従来の方法で塩を精製させることにより製造される。
適切な無機又は有機塩基の例は、例えば、NaOH、KOH、NH4OH、水酸化テトラアルキルアンモニウム、リシン又はアルギニン等である。塩は、当該技術分野でよく知られた方法を用いて、例えば、一般式(I)の化合物の溶液を上記の群から選択した塩基の溶液で処理することにより、従来の方法で製造してよい。
一般式(I)のサッカライドが、-O-O-結合及び又はアノマー若しくはC-1炭素を介して互いに接続若しくは結合した糖フラグメントを有していないことは、炭水化物化学分野の当業者には明らかである。
驚くべきことに、一般式(I)のサッカライドは、免疫原性保護エピトープを有し、ヒト及び/又は動物ホストにおいてClostridium difficile菌に対する保護免疫応答を誘発することができることが見出された。一般式(I)のサッカライドは、天然Clostridium difficile PS-II細胞表面サッカライドと交差反応し、Clostridium difficile菌を特異的に認識し、食細胞による殺害のためにそれらをオプソニン化し、それによりClostridium difficile菌に対する保護を付与する抗体を誘導する。
驚くべきことに、一般式(I)のサッカライドは、酸性水性媒体、塩基性水性媒体並びに一般的に使用されるアジュバントであるアルハイドロゲル等の、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムを含む懸濁液中において安定であることも見出された。天然Clostridium difficile PS-IIサッカライドは、酸性水性媒体中、塩基性水性媒体中、又は、アルミニウム塩の存在下において、1日以内に加水分解するが、一般式(I)のサッカライド並びにその結合体は、高温下でも数日にわたって安定である。安定性の増大は、Clostridium difficileに対するワクチンにおけるそれらの使用に特に有利である。従って、一般式(I)のサッカライド並びにその結合体は、Clostridium difficileに対する貯蔵安定性液体ワクチン製剤に特に有用であり、周囲温度で貯蔵することができる。
本発明のサッカライドは、純度及び製造容易性に関し、細菌源から産生されるサッカライド及びその結合体に関連するすべての課題を克服する。第一に、細胞壁サッカライドの製造には増殖条件の最適化が必要である。第二に、構成モノサッカライドの構造的完全性が維持される脱重合化条件を見つける必要がある。最後に、既定の長さ及び構造の純粋なサッカライドの単離を可能にする精製条件を決定する必要がある。さらに、細胞ポリサッカライド、核酸、脂質及びタンパク質等の通常の混入物、加えて脱重合化工程により得られた望ましくないサッカライドを除去しなければならない。従って、細菌源からの既定の構造及び長さの純粋なサッカライドの製造は、長く、ほとんど不可能なプロセスである。
T*-がホスフェート基(-P(=O)(OH)2又は-P(=O)(O-)(OH)又は-PO3
2-)を表す、式(I)又は(II)又は(III)の合成サッカライドが好ましい。従って、本発明は、
nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択される整数であり;
T*-がホスフェート基を表し、すなわちT*-が、-P(=O)(OH)2又は-P(=O)(O-)(OH)又は-PO3
2-を表し;
Lがリンカー、好ましくは本明細書に開示されるリンカーを表し;
他の置換基が本明細書に定義される意味を有する;
一般式(I)又は(II)又は(III)のサッカライドをも対象とする。
T*-が、水素又はホスフェート基(-P(=O)(OH)2又は-P(=O)(O-)(OH)又は-PO3
2-)を表す、式(I)の合成サッカライドが好ましい。従って、本発明は、
nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択される整数であり;
T*-が、-H又はホスフェート基を表し、すなわち、T*-が、-H又は-P(=O)(OH)2又は-P(=O)(O-)(OH)又はO3
2-を表し;
Lがリンカーを表し;
Eが、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’が、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す;
一般式(I)又は(II)又は(III)のサッカライドをも対象とする。
一般式(II)の合成サッカライドが好ましい。
(n、L、E及びT
*は、本明細書に定義した意味を有する。)
従って、n、L及びEが本明細書に定義した意味を有する、一般式(II-a)又は(II-b)のサッカライドが特に好ましい。
一般式(III)の合成サッカライドもまた好ましい。
(式中、n、L、E及びT
*は本明細書に定義した意味を有する。)
従って、n、L及びEが本明細書に定義した意味を有する、一般式(III-a)又は(III-b)のサッカライドが特に好ましい。
nは、好ましくは1から10、より好ましくは1から6、より好ましくは1から3、なおより好ましくは1から2より選択される整数を表す。従って、nが1から2より選択される整数を表す、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドが特に好ましい。
好ましくは、リンカー-L-は、-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-又は-La-Ld-Le-を表し;
-La-は、-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)o-CH2を表し;
-Lb-は-O-を表し;
-Ld-は、-(CH2)q-、-(CH(OH))q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)q-CH2-を表し;
-Le-は、-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-又は-(CH2)p1-O-(CH2)p2-を表し;
o、q、p1及びp2は、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である。
従って、
-L-が、-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-又は-La-Ld-Le-を表し;
-La-が、-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)o-CH2を表し;
-Lb-が、-O-を表し;
-Ld-が、-(CH2)q-、-(CH(OH))q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)q-CH2-を表し;
-Le-が、-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-又は-(CH2)p1-O-(CH2)p2-を表し;
o、q、p1及びp2が、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のいずれか1つのサッカライドが特に好ましい。
-L-が:-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-及び-La-Ld-Le-から選択され;
-La-が:-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-、-(CH2-CH2-O)o-CH2から選択され;
-Lb-が-O-を表し;
-Ld-が:-(CH2)q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-及び-(CH2-CH2-O)q-CH2-から選択され;
-Le-が:-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-及び-(CH2)p1-O-(CH2)p2-から選択され;
o、q、p1及びp2が、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;nが1を表す;
一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のいずれか1つのサッカライドもまた好ましい。
なおより好ましくは、-L-が-(CH2)o-を表し、oが、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドである。
-L-が-(CH2)o-を表し、oが、1、2、3、4、5及び6から選択される整数であり、nが1から2より選択される整数を表す、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドもまた好ましい。
最も好ましい態様において、-O-L-Eは、
(R’は、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す。);からなる群より選択され:
Xは、-Br、-Cl、-I、-CO
2H、-CN、-NO
2又は-SAcを表す。
基-O-L-Eが、
からなる群より選択される:一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドもまた好ましい。
-L-が-(CH2)o-を表し、oが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり、Eがアミノ基を表す、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドもまた好ましい。
好ましくは、nが1であり、Eがアミノ基である、式(II-b)の合成サッカライドである。より好ましくは、nが1であり、Eがアミノ基であり、リンカー-L-が、-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-又は-La-Ld-Le-を表し;
-La-が、-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)o-CH2を表し;
-Lb-が-O-を表し;
-Ld-が、-(CH2)q-、-(CH(OH))q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)q-CH2-を表し;
-Le-が、-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-又は-(CH2)p1-O-(CH2)p2-を表し;
o、q、p1及びp2が、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である、式(II-b)の合成サッカライドである。
特に好ましくは、nが1であり、Eがアミノ基であり、リンカー-L-が-(CH2)o-を表し、oが、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択される整数である、式(II-b)の合成サッカライドである。なおより好ましくは、nが1であり、Eがアミノ基であり、リンカー-L-が-(CH2)o-を表し、oが、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である、式(II-b)の合成サッカライドである。
好ましくは、nが2であり、Eがアミノ基である、式(II-b)の合成サッカライドである。より好ましくは、nが2であり、Eがアミノ基であり、リンカー-L-が、-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-又は-La-Ld-Le-を表し;
-La-が、-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)o-CH2を表し;
-Lb-が-O-を表し;
-Ld-が、-(CH2)q-、-(CH(OH))q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)q-CH2-を表し;
-Le-が、-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-又は-(CH2)p1-O-(CH2)p2-を表し;
o、q、p1及びp2が、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
式(II-b)の合成サッカライドである。
特に好ましくは、nが2であり、Eがアミノ基であり、リンカー-L-が-(CH2)o-を表し、oが、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択される整数である、式(II-b)の合成サッカライドである。なおより好ましくは、nが2であり、Eがアミノ基であり、リンカー-L-が-(CH2)o-を表し、oが、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である、式(II-b)の合成サッカライドである。
なお別の好ましい態様において、本発明のサッカライドは、下記からなる群より選択される:
特に好ましくは、Zが
化学合成
本発明の別の側面は一般式(I)のサッカライドの合成方法を対象とし、
(式中、nは1であり;
T
*-は、H-又はホスフェート基を表し;
Zは、
を表し;
Lはリンカーを表し;
Eは、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’は、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す。);
上記合成方法は下記の工程を有する:
A1) 式1
*のモノサッカライドを提供する工程:
(式中、P
1、P
3、P
4及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基である。)を表す。);及び
A2) 式1
*のモノサッカライドを式2
*の化合物と反応させて、化合物3
*を得る工程:
(式中、P
1、P
3、P
4-P
10及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、LG
2は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
A3) 化合物3
*の保護基P
5の除去を行って、化合物4
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
10及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
A4) 化合物4
*をモノサッカライド5
*と反応させて、化合物6
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、LG
3は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
A5) 化合物6
*の保護基P
13の除去を行って、化合物7
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
A6) 化合物7
*をモノサッカライド8
*と反応させて、化合物9
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14-P
17及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、LG
4は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
A7) 化合物9
*の保護基P
15の除去を行って、化合物10
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16、P
17及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
A8) 化合物10
*をモノサッカライド11
*と反応させて、化合物12
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、LG
5は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
A9) 任意で、化合物12
*の保護基P
21の除去を行って化合物13
*を得、化合物13
*をリン酸化剤と反応させて化合物14
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
A10) 化合物12
*又は14
*の保護されたアミノ基を対応するアセトアミド基に変換して、化合物15
*又は16
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基である。)を表す。);及び
A11) 化合物15
*又は16
*からすべての残った保護基の除去を行って、一般式(I)の化合物17
*又は18
*を得る工程。
本発明の別の側面は、工程A6’を行うことにより、化合物7
*から直接中間体12
*を得る、一般式(I)のサッカライド17
*又は18
*の合成を対象とする。
A6’) 化合物7*をジサッカライド19*と反応させて、化合物12*を得る工程
(式中、P
16-P
20及びP
21は保護基を表し、LG
6は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。)。
従って、態様の1つにおいて、一般式(I)のサッカライド17*又は18*の合成方法は、工程A1)、A2)、A3)、A4)、A5)、A6’)、A9)、A10)及びA11)を有する。
本発明の別の側面は、工程A2’を行うことにより、化合物1*から直接ヘキササッカライド中間体12*を得る、一般式(I)のサッカライド17*又は18*の合成を対象とする。
A2’) 化合物1をペンタサッカライド20*と反応させて、化合物12*を得る工程
(式中、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
21は保護基を表し、LG
7は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。)ペンタサッカライド20
*は、化合物2
*をその後化合物5
*と、次いで化合物8
*と、その後化合物11
*と反応させることから、又は、化合物2
*を化合物5
*と、その後化合物19
*と反応させることにより得ることができる。
従って、態様の1つにおいて、一般式(I)のサッカライド17*又は18*の合成方法は、工程A1)、A2’)、A9)、A10)及びA11)を有する。
化合物1*は、工程A1a)、A1b)及びA1c)により、対応する保護されたマンノース供与体(donor)21*から得てもよい。
A1a) 化合物21*を提供し、
(式中、P
1-P
4は保護基を表し、LG
1は、脱離基を表す。);式21
*の化合物を式22
*のアルコールに変換する工程
(式中、P
1-P
4は保護基を表す。);
A1b) 式22
*の化合物をリン酸化剤の存在下でアルコールHO-L-Cと反応させて、化合物23
*を得る工程;
(式中、P
1-P
4及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表す。);及び
工程A1a)のアルコール22
*は、Lewis酸(J.Am.Chem Soc.1982、104、4976;Tetrahedron Letters、1985、26、1479)の存在下で、化合物21
*をアリルトリメチルシランと反応させ、その後、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)クロリドを用いて還流トルエン中でプロペニルC-マンノシドに異性化し、過ヨウ素酸ナトリウム及び四酸化オスミウムを用いてオゾン分解又はLemieux-Johnson酸化し、ナトリウムアセトキシボロヒドリドを用いてアルコール22
*に還元する(Org.Biomol.Chem 2016、14、3913も参照されたい。)、ことにより、Brooksら(Tetrahedron 1995、51、7999)に従って製造してもよい。
あるいは、工程A1a)のアルコール22*は、ヨウ化銅(I)の存在下で、化合物21*を(iPrO)Me2SiCH2MgClと反応させることにより製造してもよい(Org.Lett.2004、6、119)。さらに、工程A1a)のアルコール22*は、化合物21*をビニルGrignard試薬と反応させ、その後、四酸化オスミウム及び過ヨウ素酸ナトリウムを用いて酸化し、ナトリウムアセトキシボロヒドリド等の水素化ホウ素ナトリウム試薬によりアルコール22*に還元することにより製造してもよい。
別の態様において、アルコール22*は、対応する配糖体から、トリメチルスルホキソニウムヨージド及び水素化ナトリウムと反応させることにより(J.Org.Chem.2002、67、7439)、又は、プロパルギルトリメチルシラン及びBF3・OEt2と反応させ、次いで、オゾン分解及び水素化ホウ素ナトリウム還元を行うことにより(Synlett 2005、7、1147)得られる。
A1c) 化合物23*の保護基P2の除去を行って、化合物1*を得る工程
本発明の別の側面は、
nが、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される整数であり;
T*-が、H-又はホスフェート基を表し;
Zが、
を表し;
Lがリンカーを表し;
Eが、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’が、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す;
一般式(I)のサッカライドの合成方法を対象とし、
上記合成方法は下記の工程を有する:
B1) 化合物13
*を提供する工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);
及び、下記の工程をn-1回繰り返すか:
B1.1) リン酸化剤の存在下で、式22
*の化合物と反応させる工程;
B1.2) 保護基P
2の除去を行う工程;
B1.3) 工程A2)-A8)、又は、工程A2)-A5)及びA6’)、又は、工程A2’)を行う工程;
B1.4) 保護基P
21の除去を行う工程;
又は、
B2.1) リン酸化剤の存在下で、化合物13
*を下式の化合物と反応させる工程、
B2.2) 保護基P
21の除去を行う工程;
B2.3) 任意で、工程B2.1及びB2.2を1~8回繰り返して、対応するトリサッカライド(n=3)~デカサッカライド(n=10)を合成する工程;
により化合物24
*を提供する工程:
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14、P
16-P
20及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表し、nは2~10からの整数を表す。);及び
B2) 任意で、化合物24
*をリン酸化剤と反応させて化合物25
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表し、nは2~10からの整数を表す。);及び
B3) 化合物24
*又は25
*の保護されたアミノ基を対応するアセトアミド基に変換して、化合物26
*又は27
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、nは2~10からの整数を表す。);及び
B4) 化合物26
*又は27
*からすべての残った保護基の除去を行って、一般式(I)の化合物28
*又は29
*を得る工程
(式中、nは2~10からの整数を表し、L及びEは本明細書に定義した意味を有する。)。
本発明の別の側面は一般式(I)のサッカライドの合成方法を対象とし、
(式中、
nは1であり;
T
*-は、H-又はホスフェート基を表し;
Zは、
を表し;
Lはリンカーを表し;
Eは、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’は、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す。);
上記合成方法は下記の工程を有する:
C1) Chem.Eur.J.2015、21、7511-7519又はSynlett、2005、7、1147-1151に開示される手順に従って得ることができる式30
*のモノサッカライドを提供する工程:
(式中、P
1、P
3、P
4及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基である。)を表す。);及び
C2) 式30
*のモノサッカライドを式2
*の化合物と反応させて、化合物31
*を得る工程:
(式中、P
1、P
3、P
4-P
10及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、LG
2は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C3) 化合物31
*の保護基P
5の除去を行って、化合物32
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
10及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C4) 化合物32
*をモノサッカライド5
*と反応させて、化合物33
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、LG
3は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C5) 化合物33
*の保護基P
13の除去を行って、化合物7
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C6) 化合物34
*をモノサッカライド8
*と反応させて、化合物35
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14-P
17及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、LG
4は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C7) 化合物35
*の保護基P
15の除去を行って、化合物36
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16、P
17及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C8) 化合物36
*をモノサッカライド11
*と反応させて、化合物37
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、LG
5は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C9) 任意で、化合物37
*の保護基P
21の除去を行って化合物38
*を得、化合物38
*をリン酸化剤と反応させて化合物39
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C10) 化合物37
*又は39
*の保護されたアミノ基を対応するアセトアミド基に変換して、化合物40
*又は41
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基である。)を表す。);及び
C11) 化合物40
*又は41
*からすべての残った保護基の除去を行って、一般式(I)の化合物42
*又は43を得る工程
*
本発明の別の側面は、工程A6’)を行うことにより、化合物34
*から直接ヘキササッカライド中間体37
*を得る、一般式(I)のサッカライド42
*又は43
*の合成を対象とする。従って、態様の1つにおいて、一般式(I)のサッカライド42
*又は43
*の合成方法は、工程C1)、C2)、C3)、C4)、C5)、A6’)、C9)、C10)及びC11)を有する。
本発明の別の側面は、工程A2’を行うことにより、化合物30*から直接ヘキササッカライド中間体37*を得る、一般式(I)のサッカライド42*又は43*の合成を対象とする。従って、態様の1つにおいて、一般式(I)のサッカライド42*又は43*の合成方法は、工程C1)、A2’)、C9)、C10)及びC11)を有する。
従って、一般式(I)のサッカライドの別の合成方法は下記の工程を有する:
C1) 式30*のモノサッカライドを提供する工程:
(式中、P
1、P
3、P
4及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基である。)を表す。);及び
C2’) 化合物30
*をペンタサッカライド20
*と反応させて、化合物37
*を得る工程
(式中、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
21は保護基を表し、LG
7は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。)、
C9) 任意で、化合物37
*の保護基P
21の除去を行って化合物38
*を得、化合物38
*をリン酸化剤と反応させて化合物39
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
C10) 化合物37
*又は39
*の保護されたアミノ基を対応するアセトアミド基に変換して、化合物40
*又は41
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基である。)を表す。);及び
C11) 化合物40
*又は41
*からすべての残った保護基の除去を行って、一般式(I)の化合物42
*又は43
*を得る工程
(式中、L及びEは本明細書に定義した意味を有する。)、
化合物30
*は、対応する保護されたマンノースドナー21
*から、工程A1a)、C1b)、C1c)及びC1d)により得てもよい。
C1b) 式22*の化合物を対応するハロゲン化物44*に変換する工程
(式中、P
1-P
4は保護基を表し、Halは-Br又は-Iから選択される。);及び
C1c) 式44
*の化合物をホスファイト(phosphite)の存在下でアルコール HO-L-Cと反応させて、化合物45
*を得る工程;
(式中、P
1-P
4及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表す。);及び
C1d) 化合物45
*の保護基P
2の除去を行って、化合物30
*を得る工程。
工程C1b)におけるアルコール22*の対応するハロゲン化物44*への変換は、標準的手順に従って、すなわち、アルコール22*をPPh3の存在下でCBr4又はI2と反応させるか、又は、あるいはアルコール22*をメタンスルホネート又はトリフルオロメタンスルホネートに変換し、次いで、臭化テトラブチルアンモニウム又はヨウ化テトラブチルアンモニウムを用いて置換することにより行うことができる。
工程C1c)において用いられるホスファイトは、好ましくはトリエチルホスファイト等のトリアルキルホスファイトであり、これは、ハロゲン化物44*と反応してホスホネートとなり、次いでブロモトリメチルシラン等のLewis酸、次いで水でホスホン酸に加水分解される(Tetrahedron 1995、51、7999)。ホスホン酸は、トリクロロアセトニトリルの存在下でアルコールHO-L-Cと反応し、化合物45*が得られる。
あるいは、工程C1c)において用いられるホスファイトは、ジアルキル若しくはジベンジル N,N-ジエチルホスホロアミダイト等のホスホロアミダイト、又は、ビス(ジイソプロピルアミノ)ベンジルオキシホスフィンであってもよく、これは、Arbuzow反応において化合物44*と、及び、ジエチルアミンの放出下でアルコールHO-L-Cと反応する。
本発明の別の側面は、
nが、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される整数であり;
T*-が、H-又はホスフェート基を表し;
Zが、
を表し;
Lがリンカーを表し;
Eが、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’が、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す;
一般式(I)のサッカライドの合成方法を対象とし、
上記合成方法は下記の工程を有する:
D1) 化合物38
*を提供する工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14、P
16-P
20及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);
及び、下記の工程をn-1回繰り返すか:
D1.1) ホスファイトの存在下で、式44
*の化合物と反応させる工程;
D1.2) 保護基P
2の除去を行う工程;
D1.3) 工程C2)-C8)、又は、工程C2)-C5)及びA6’)、又は、工程A2’)を行う工程;
D1.4) 保護基P
21の除去を行う工程;
又は、
D2.1) カップリング剤の存在下で、化合物38
*を下式の化合物と反応させる工程、
D2.2) 保護基P
21の除去を行う工程;
D2.3) 任意で、工程D2.1及びD2.2を1~8回繰り返して、対応するトリサッカライド(n=3)~デカサッカライド(n=10)を合成する工程;
により化合物46
*を提供する工程:
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14、P
16-P
20及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表し、nは2~10からの整数を表す。);及び
D2) 任意で、化合物46
*をリン酸化剤と反応させて、化合物47
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、N
pは保護されたアミノ基を表し、nは2~10からの整数を表す。);及び
D3) 化合物46
*又は47
*の保護されたアミノ基を対応するアセトアミド基に変換して、化合物48
*又は49
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、nは2~10からの整数を表す。);及び
D4) 化合物48
*又は49
*からすべての残った保護基の除去を行って、一般式(I)の化合物50
*又は51
*を得る工程
(式中、nは2~10からの整数を表し、L及びEは本明細書に定義した意味を有する。)。
本発明の別の側面は、
nが1であり;
T*-が、H-又はホスフェート基を表し;
Zが
を表し;
Lがリンカーを表し;
Eが、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’が、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す;
一般式(I)のサッカライドの合成方法を対象とし、
上記合成方法は下記の工程を有する:
E1) 式52
*のモノサッカライドを提供する工程:
(式中、P
1、P
3、P
4及びP
25は保護基を表す。);及び
E2) 式52
*のモノサッカライドを式2
*の化合物と反応させて化合物53
*を得る工程:
(式中、P
1、P
3、P
4-P
10及びP
25は保護基を表し、LG
2は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
E3) 化合物53
*の保護基P
5の除去を行って、化合物54
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
10及びP
25は保護基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
E4) 化合物54
*をモノサッカライド5
*と反応させて化合物55
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14及びP
25は保護基を表し、LG
3は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
E5) 化合物55
*の保護基P
13の除去を行って化合物56
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
25は保護基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
E6) 化合物56
*をジサッカライド19
*と反応させて、化合物57
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
25は保護基を表し、LG
6は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
E7) 化合物57
*の保護されたアミノ基を対応するアセトアミド基に変換して化合物58
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
21及びP
25は保護基を表す。);及び
E8) 化合物58
*の保護基P
25の除去を行って化合物59
*を得、化合物59
*をリン酸化剤の存在下でアルコールHO-L-Cと反応させて化合物15
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
22は保護基を表す。)、及び
E9) 任意で、化合物15
*の保護基P
21の除去を行って化合物60
*を得、化合物60
*をリン酸化剤と反応させて化合物16
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表す。);及び
E10) 化合物15
*又は16
*からすべての残った保護基の除去を行って、一般式(I)の化合物17
*又は18
*を得る工程
本発明の別の側面は、
nが、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択される整数であり;
T
*-が、H-又はホスフェート基を表し;
Zが、
を表し;
Lがリンカーを表し;
Eが、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’が、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す;
一般式(I)のサッカライドの合成方法を対象とし、
上記合成方法は下記の工程を有する:
F1) 化合物60
*を提供する工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基である。)を表す。);
F2.1) 化合物60
*をリン酸化剤の存在下で下式の化合物と反応させる工程
F2.2) 保護基P
21の除去を行う工程;
F3) 任意で、工程F2.1及びF2.2をn-2回繰り返して対応するトリマー(n=3)~デカマー(n=10)を合成して、化合物26
*を提供する工程;
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14、P
16-P
20及びP
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、nは2~10からの整数を表す。);及び
F4) 任意で、化合物26
*をリン酸化剤と反応させて化合物27
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、nは2~10からの整数を表す。);及び
F5) 化合物26
*又は27
*からすべての残った保護基の除去を行って、一般式(I)の化合物28
*又は29
*を得る工程
(nは2~10からの整数を表し、L及びEは本明細書に定義した意味を有する。)。
本発明の別の側面は、
nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10から選択される整数であり;
T*-が、H-又はホスフェート基を表し;
Zが、
を表し;
Lがリンカーを表し;
Eが、-NH
2、-N
3、-CN、-O-NH
2、-CH=CH
2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO
2R’、-CONH-NH
2、-SH、-OH又は-SAcを表し;
R’が、-H、-Me、-Et、4-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル又はN-スクシンイミジルを表す;
一般式(I)のサッカライドの合成方法を対象とし、
上記合成方法は下記の工程を有する:
G1) 式52
*のモノサッカライドを提供する工程:
(式中、P
1、P
3、P
4及びP
25は保護基を表す。);及び
G2) 式52
*のモノサッカライドを式2
*の化合物と反応させて化合物3
*を得る工程:
(式中、P
1、P
3、P
4-P
10及びP
25は保護基を表し、LG
2は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
G3) 化合物53
*の保護基P
5の除去を行って化合物54
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
10及びP
25は保護基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
G4) 化合物54
*をモノサッカライド5
*と反応させて化合物55
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
14及びP
25は保護基を表し、LG
3は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
G5) 化合物55
*の保護基P
13の除去を行って化合物56
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
25は保護基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
G6) 化合物56
*をジサッカライド19
*と反応させて化合物57
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14及びP
16-P
25は保護基を表し、LG
6は脱離基を表し、N
pは保護されたアミノ基を表す。);及び
G7) 化合物57
*の保護されたアミノ基を対応するアセトアミド基に変換して化合物58
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
21及びP
25は保護基を表す。);及び
G8) 化合物58
*の保護基P
25の除去を行って化合物59
*を得、化合物59
*をリン酸化剤の存在下でアルコールHO-L-Cと反応させて、化合物15
*を得る工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
22は保護基を表す。)、及び
G9) 工程G9.1及びG9.2をn-1回繰り返して対応するダイマー(n=3)~デカマー(n=10)を合成する工程;
G9.1) 保護基P
21の除去を行う工程;及び
G9.2) 工程G9.1)の生成物をリン酸化剤の存在下で下式の化合物と反応させて
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
22は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基である。)を表す。);
G10) 任意で、化合物61
*又は化合物15
*の保護基P
21の除去を行って化合物26
*を得、化合物26
*をリン酸化剤と反応させて化合物27
*を得、化合物26
*を提供する工程
(式中、P
1、P
3、P
4、P
6-P
12、P
14、P
16-P
20及びP
22-P
24は保護基を表し、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、nは1~10からの整数を表す。);及び
G11) 化合物26
*又は27
*からすべての残った保護基の除去を行って、一般式(I)の化合物28
*又は29
*を得る工程
(式中、nは1~10からの整数を表し、L及びEは本明細書に定義した意味を有する。)。
Epは、固体担体又は保護された末端基を表す。Eは、-NH2、-N3、-CN、-O-NH2、-CH=CH2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO2R’、-CONHNH2、-SH、-OH又は-SAcを表し;対応する保護された末端基Epは、-N(P26)(P27)、-N3、-CN、-O-N(P26)(P27)、-CH=CH2、-C≡CH、-Br、-Cl、-I、-CO2R’、-CONHN(P26)(P27)、-SPs又は-SAcを表す。
Npは保護されたアミノ基である。好ましくは、NPは、-N3、-NH-CO-CCl3及び-NH-CO-O-CH2-CCl3(Troc)から選択される。
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12、P13、P14、P15、P16、P17、P18、P19、P20、P21、P22、P23、P24、P25、P26及びP27は保護基を表す。本明細書で使用する「保護基」という用語は、有機合成において通常使用される、好ましくはヒドロキシル基、アミノ基及びチオールの保護に使用される基を意味する。
保護基P21は、分子内に存在する他の保護基が安定な条件下で除くことができることが好ましい。
アミノ保護基は、好ましくは、分子内に存在するヒドロキシル保護基を除くのに適用される条件下で安定である。
ヒドロキシル保護基、好ましくは保護基P21以外は、好ましくは水素化により除くことができる。
より好ましくは、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12、P13、P14、P15、P16、P17、P18、P19、P20、P21、P22、P23、P24及びP25は、ヒドロキシル基の適切な保護基であり、より好ましくは脱保護反応の適切なシークエンスにより後に順次除くことができるヒドロキシル基の異なる適切な保護基である。ヒドロキシル基の好ましい保護基は、アセチル、フェニル、ベンジル、イソプロピリデン、ベンジリデン、ベンゾイル、p-メトキシベンジル、p-メトキシベンジリデン、p-メトキシフェニル、p-ブロモベンジリデン、p-ニトロフェニル、アリル、アセチル、イソプロピル、p-ブロモベンジル、ジメトキシトリチル、トリチル、2-ナフチルメチル、ピバロイル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルメトキシ-フェニルシリル、トリエチルシリル、トリメチルシリル、2-トリメチルシリルエトキシメチル、9-フルオレニル-メトキシカルボニル、ベンジルオキシメチル、メチルオキシメチル、tert-ブチルオキシメチル、メトキシエチルオキシメチル、レブリノイル、ナフチリデン、クロロアセチル、ピコロイル(picoloyl)、テキシルジメチルシリル(TDS)、(2-ニトロフェニル)アセチル(NPAc)、2-(アジドメチル)ベンゾイル(AzmB)である。
保護基は常設(permanent)保護基と一時的(temporary)保護基に区別することができる。常設保護基は、合成の全体において安定であり、合成の後段階で効果的に除くことができる保護基である。この場合、常設保護基は、P1、P3、P4、P6-P12、P14、P16-P20、P22-P26を含む。P1、P3、P4、P6-P12、P14、P16-P20及びP22-P24は合成の全体においてヒドロキシル基をマスクしており、保護基P26及びP27は末端基Ep中に存在する末端アミノ基をマスクしている。好ましくは保護基P3、P4、P8-P12、P14、P16-P20及びP22-P24はベンジル基であり、保護基P1はベンゾイル基であり、保護基P7及びP18はアセチル基であり、保護基P26はベンジル基であり、保護基P27はベンジルオキシカルボニル基(Cbz)である。
一時的保護基は一般にオルトゴナル(orthogonal)保護基であり、合成の異なるレベルで選択的に除くことができ、モノサッカライド、他の保護基又は分子上に存在する他の残基を含む異なる置換基のその後の導入のためにヒドロキシル基を開放する。この場合、一時的保護基はP2、P5、P13、P15、P21及びP25を含む。
一時的保護基P2、P5、P13、P15、P21及びP25は、好ましくは、アリル、p-メトキシベンジル、2-ナフチルメチル、トリ-イソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルメトキシフェニルシリル、トリエチルシリル、トリメチルシリル、2-トリメチルシリルエトキシメチル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、テキシルジメチルシリル、(2-ニトロフェニル)アセチル、2-(アジドメチル)ベンゾイル及びレブリノイルから選択されるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、保護基P2、P5、P13、P15、P21及びP25は、保護基P1、P3、P4、P6-P12、P14、P16-P20、P22-P24の存在下で選択的に除くことができる。好ましくは、P2、P5、P13、P15、P21及びP25は、9-フルオレニルメトキシカルボニル又はレブリノイルである。好ましい態様において、保護基P13及びP21は9-フルオレニルメトキシカルボニルを表し、保護基P1、P5及びP15はレブリノイルを表す。好ましくは、P21は、トリ-イソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルメトキシフェニルシリルから選択される。好ましくは、P25は2-ナフチルメチルである。
保護基を巧みに選択することにより、免疫原性担体又は固体担体へのその後の結合のために、末端基で官能化された一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドのライブラリーへの簡便なアクセスが可能になる。さらに、脱離基の選択は、工程A1a)、A2)、A2’)、A4)、A6)、A6’)、A8)、B1.3)、C2)、C4)、C6)、C8)、D1.3)、E2)、E4)及びE6)におけるグリコシル化反応の立体化学的帰結に影響する。
構成要素(Building blocks)2*、5*、8*、11*、19*、20*及び21*はグリコシル化剤である。本明細書で使用されるグリコシル化剤という用語は、アノマー位において脱離基で官能化されたモノサッカライドを意味し、上記脱離基は、適切な活性化剤による活性化により、オキソカルベニウム中間体を与え、ヒドロキシル基等の求核剤と反応することができる。従って、グリコシル化剤2*、5*、8*、11*、19*、20*及び21*は、アノマー位において脱離基LG1、LG2、LG3、LG4、LG5、LG6及びLG7で官能化されている。本発明の合成に適切な脱離基の例は炭水化物化学の当業者に周知であり、ハライド、チオエーテル、イミデート、アセテート及びホスフェートを含む。
好ましくは、脱離基LG1、LG2、LG3、LG4、LG5、LG6及びLG7は、ハロゲン(-Cl、-Br、-F、-I)、-O-C(=NH)-CCl3、-O-C(=NPh)-CF3、-OAc、-SRL、-SO-RL、-SO-Ph、-SO-CH2-Ph、-SO-Tol、-SO-C6H4-(パラ-OCH3)、-O-(CH2)3-CH=CH2、-O-P(ORL)2、-O-PO(ORL)2、-O-CO-ORL、-O-CO-SRL、-O-CS-SRL、
-O-CS-OR
L(R
Lは、任意のアルキル又はアリール基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル又はトルイルであってよい。)から選択される。
好ましくは、脱離基LG1、LG2、LG3、LG4、LG5、LG6及びLG7は、下記からなる脱離基の群より選択される:SBox、STaz、
上記のように、オキソカルベニウム中間体の提供は、グリコシル化剤のアノマー位に適宜な又は適切な活性化剤を用いて導入された脱離基の活性化に依拠する。当業者の技術常識であるが、ホスフェート(すなわちホスフェート活性化剤)及びイミデート(すなわちイミデート活性化剤)に対する適切な活性化剤は、トリフルオロメタンスルホン酸シリル(シリルトリフレート(silyl triflate))又はトリフルオロメタンスルホン酸銀(silver triflate)等のLewis酸であり、チオエーテルに対する適切な活性化剤、すなわちチオエーテル活性化剤は:NIS/TfOH、NIS/TMSOTf、NIS/BF3
.Et2O、NIS/AgOTf、DMTST/Tf2O、IDPC、BSP/Tf2O、Ph2SO/Tf2Oを含むが、これらに限定されるものではない。シリルトリフレートの例には、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルトリフルオロメタンスルホネート、トリイソプロピルトリフルオロメタンスルホネートが含まれるが、これらに限定されるものではない。
好ましくは、LG1、LG2、LG3、LG4、LG5、LG6及びLG7はチオエーテルであり、なおより好ましくは、LG1、LG2、LG3、LG4、LG5、LG6及びLG7が下記からなる群より選択される場合である:
工程A1a)、A2)、A2’)、A4)、A6)、A6’)、A8)、B1.3)、C2)、C4)、C6)、C8)、D1.3)、E2)、E4)及びE6)におけるサッカライド間のカップリング反応は、非極性溶媒及び極性非プロトン性溶媒の混合物中で、-10℃から10℃の間の温度で、NIS/TfOH又はTMSOTfを用いた活性化により行われることが好ましい。なおより好ましくは、当該反応は、約0℃の温度でNIS/TfOHを用いた処理により、非極性溶媒及び極性非プロトン性溶媒の混合物中で行われる。
好ましい極性非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びジオキサンである。好ましい非極性溶媒は、トルエン、クロロホルム及び塩化メチレン等のハロゲン化溶媒である。好ましい非極性及び極性非プロトン性溶媒の混合物は:塩化メチレン/テトラヒドロフラン、塩化メチレン/ジエチルエーテル、トルエン/ジエチルエーテル、トルエン/テトラヒドロフランである。
工程A11)、B4)、C11)、D4)、E10)及びF5)において行われる保護基P1、P3、P4、P6-P12、P14、P16-P20、P22-P24、P26及びP27の除去は下記の通りである:
- 溶媒混合物中、過酸化水素の存在下、塩基を用いた処理による塩基不安定性保護基の第1開裂。好ましくは、塩基はNaOMe又はLiOHである;及び
- 溶媒混合物中、パラジウム触媒の存在下、化合物を水素に付すことによる、水素化に感受性の保護基の第2開裂。
工程A9)、B2)、C9)、D2)、E9)及びF2.1)において使用されるリン酸化剤は、化合物中の反応部位に、その遊離形又はモノエステルとしての基P(O)(OH)2を導入することができる化合物である。従って、ホスフェート基は、工程A9)、B2)、C9)、D2)、E9)及びF2.1)においてヒドロキシル基に移る。本発明において使用される好ましいリン酸化剤は、1H-テトラゾール等の活性化剤並びに過酸化水素又は3-クロロ過安息香酸等の酸化剤によるその後の酸化と組み合わせた、亜リン酸ジフェニル、ビス(ジイソプロピルアミノ)ベンジルオキシホスフィン、ベンジル N,N-ジイソプロピルホスホンアミデート又はN,N-ジエチル-1,5-ジヒドロ-3H-2,3,4-ベンゾジオキサホスフェピン-3-アミンである。好ましい態様において、工程A9)、B2)、C9)、D2)、E9)及びF2.1)では、リン酸化剤は、1H-テトラゾール及び3-クロロ過安息香酸と組み合わせたビス(ジイソプロピルアミノ)ベンジルオキシホスフィンである。好ましい態様において、工程A9)、B2)、C9)、D2)、E9)及びF2.1)では、リン酸化剤は亜リン酸ジフェニルである。
工程A1b)において使用されるリン酸化剤は、好ましくはビス(ジイソプロピルアミノ)-ベンジルオキシホスフィン、ベンジル N,N-ジイソプロピルホスホンアミデート又はN,N-ジエチル-1,5-ジヒドロ-3H-2,3,4-ベンゾジオキサホスフェピン-3-アミンである。工程A1b)において使用される好ましい活性化剤は、1H-テトラゾール、4,5-ジシアノイミダゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、5-エチルチオテトラゾール、ベンゾイミダゾリウムトリフレート又はイミダゾリウムトリフレートである。最も好ましくは、活性化剤としての1H-テトラゾールである。酸化反応は、好ましくは、過酸化水素又は3-クロロ過安息香酸等の酸化剤の存在下で行われる。
本発明のさらなる側面は、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドの製造のための中間体化合物に関し、上記中間体化合物は、一般式(I2a)、(I2b)、(I2c)、(I2d)、(I2e)、(I2f)、(I4a)、(I4b)、(I4c)、(I4d)、(I4e)、(I4f)、(I4g)、(I4h)、(I4i)、(I4j)、(I5a)、(I5b)、(I5c)、(I5d)、(I5e)、(I5f)、(I5g)、(I5h)、(I5i)、(I5j)、(I6a)、(I6b)、(I6c)、(I6d)、(I6e)、(I6f)、(I6g)、(I6h)、(I7a)、(I7b)、(I7c)、(I7d)、(I7e)、(I7f)、(I7g)、(I7h)、(I7i)、(I7j)、(I7k)、(I7m)、(I7n)、(I7o)又は(I7p)のいずれか1つである:
(式中、Cは-L-E
p(E
pは固体担体又は保護された末端基Eである。)を表し、P
1、P
2、P
3、P
4、P
5、P
6、P
7、P
8、P
9、P
10、P
11、P
12、P
13、P
14、P
15、P
16、P
17、P
18、P
19、P
20、P
21、P
22、P
23、P
24及びP
25は保護基を表し、N
Pは保護されたアミノ基を表し、LGは脱離基を表し、E及びLは先に定義したものと同じ意味を有する。)。
より好ましくは、中間体化合物が一般式(I2a)、(I2b)、(I2c)、(I2d)、(I2e)、(I2f)、(I4a)、(I4b)、(I4c)、(I4d)、(I4e)、(I4f)、(I4g)、(I4h)、(I4i)、(I4j)、(I5a)、(I5b)、(I5c)、(I5d)、(I5e)、(I5f)、(I5g)、(I5h)、(I5i)、(I5j)、(I6a)、(I6b)、(I6c)、(I6d)、(I6e)、(I6f)、(I6g)、(I6h)、(I7a)、(I7b)、(I7c)、(I7d)、(I7e)、(I7f)、(I7g)、(I7h)、(I7i)、(I7j)、(I7k)、(I7m)、(I7n)、(I7o)又は(I7p)のいずれか1つを有する、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)の中間体化合物である。
式(I2a)、(I2b)、(I2c)、(I2d)、(I2e)、(I2f)、(I4a)、(I4b)、(I4c)、(I4d)、(I4e)、(I4f)、(I4g)、(I4h)、(I4i)、(I4j)、(I5a)、(I5b)、(I5c)、(I5d)、(I5e)、(I5f)、(I5g)、(I5h)、(I5i)、(I5j)、(I6a)、(I6b)、(I6c)、(I6d)、(I6e)、(I6f)、(I6g)、(I6h)、(I7a)、(I7b)、(I7c)、(I7d)、(I7e)、(I7f)、(I7g)、(I7h)、(I7i)、(I7j)、(I7k)、(I7m)、(I7n)、(I7o)又は(I7p)において、好ましくは、
リンカー-L-は、-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-又は-La-Ld-Le-を表し;
-La-は、-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)o-CH2を表し;
-Lb-は-O-を表し;
-Ld-は、-(CH2)q-、-(CH(OH))q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)q-CH2-を表し;
-Le-は、-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-又は-(CH2)p1-O-(CH2)p2-を表し;
o、q、p1及びp2は、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である。
特に好ましい中間体は、-L-が-(CH2)o-を表し、oが2、5及び6から選択される整数である、式(I2a)、(I2b)、(I2c)、(I2d)、(I2e)、(I2f)、(I4a)、(I4b)、(I4c)、(I4d)、(I4e)、(I4f)、(I4g)、(I4h)、(I4i)、(I4j)、(I5a)、(I5b)、(I5c)、(I5d)、(I5e)、(I5f)、(I5g)、(I5h)、(I5i)、(I5j)、(I6a)、(I6b)、(I6c)、(I6d)、(I6e)、(I6f)、(I6g)、(I6h)、(I7a)、(I7b)、(I7c)、(I7d)、(I7e)、(I7f)、(I7g)、(I7h)、(I7i)、(I7j)、(I7k)、(I7m)、(I7n)、(I7o)又は(I7p)の中間体である。
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12、P13、P14、P15、P16、P17、P18、P19、P20、P21、P22、P23、P24及びP25は、ヒドロキシル基の適切な保護基であり、より好ましくは、脱保護反応の適切なシークエンスにより後に順次除くことができるヒドロキシル基の異なる適切な保護基である。ヒドロキシル基の好ましい保護基は、アセチル、フェニル、ベンジル、イソプロピリデン、ベンジリデン、ベンゾイル、p-メトキシベンジル、p-メトキシ-ベンジリデン、p-メトキシフェニル、p-ブロモベンジリデン、p-ニトロフェニル、アリル、アセチル、イソプロピル、p-ブロモベンジル、ジメトキシトリチル、トリチル、2-ナフチルメチル、ピバロイル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、tert-ブチルメトキシ-フェニルシリル、トリエチルシリル、トリメチルシリル、2-トリメチルシリルエトキシメチル、9-フルオレニル-メトキシカルボニル、ベンジルオキシメチル、メチルオキシメチル、tert-ブチルオキシメチル、メトキシエチルオキシメチル、レブリノイルである。
従って、中間体(I2a)、(I2b)、(I2c)、(I2d)、(I2e)、(I2f)、(I4a)、(I4b)、(I4c)、(I4d)、(I4e)、(I4f)、(I4g)、(I4h)、(I4i)、(I4j)、(I5a)、(I5b)、(I5c)、(I5d)、(I5e)、(I5f)、(I5g)、(I5h)、(I5i)、(I5j)、(I6a)、(I6b)、(I6c)、(I6d)、(I6e)、(I6f)、(I6g)、(I6h)、(I7a)、(I7b)、(I7c)、(I7d)、(I7e)、(I7f)、(I7g)、(I7h)、(I7i)、(I7j)、(I7k)、(I7m)、(I7n)、(I7o)又は(I7p)は、保護基P3、P4、P8-P12、P14、P16-P20及びP22-P24がベンジル基又はアセチル基であり、保護基P1がベンゾイル基であり、保護基P7及びP18がアセチル基であり、保護基P26がベンジル基であり、そして保護基P27がベンジルオキシカルボニル基(Cbz)である場合に、特に好ましい。好ましくは、保護基P21はp-ブロモベンジル又はtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)である。好ましくは、保護基P25は2-ナフチル-メチル基である。
好ましくは、NPは、-N3、-NH-CO-CCl3及び-NH-CO-O-CH2-CCl3(Troc)から選択される。従って、NPが-N3、-NH-CO-CCl3及び-NH-CO-O-CH2-CCl3(Troc)から選択される場合には、中間体(I2a)、(I2b)、(I2c)、(I2d)、(I2e)、(I2f)、(I4a)、(I4b)、(I4c)、(I4d)、(I4e)、(I4f)、(I4g)、(I4h)、(I4i)、(I4j)、(I5a)、(I5b)、(I5c)、(I5d)、(I5e)、(I5f)、(I5g)、(I5h)、(I5i)、(I5j)、(I6a)、(I6b)、(I6c)、(I6d)、(I6e)、(I6f)、(I6g)、(I6h)、(I7a)、(I7b)、(I7c)、(I7d)、(I7e)、(I7f)、(I7g)、(I7h)、(I7i)、(I7j)、(I7k)、(I7m)、(I7n)、(I7o)又は(I7p)が好ましい。NPが-NH-CO-O-CH2-CCl3(Troc)を表す場合には、中間体(I2a)、(I2b)、(I2c)、(I2d)、(I2e)、(I2f)、(I4a)、(I4b)、(I4c)、(I4d)、(I4e)、(I4f)、(I4g)、(I4h)、(I4i)、(I4j)、(I5a)、(I5b)、(I5c)、(I5d)、(I5e)、(I5f)、(I5g)、(I5h)、(I5i)、(I5j)、(I6a)、(I6b)、(I6c)、(I6d)、(I6e)、(I6f)、(I6g)、(I6h)、(I7a)、(I7b)、(I7c)、(I7d)、(I7e)、(I7f)、(I7g)、(I7h)、(I7i)、(I7j)、(I7k)、(I7m)、(I7n)、(I7o)又は(I7p)が特に好ましい。
糖結合体
本発明の別の側面は、-O-L-E基の末端基Eを介して免疫原性担体に共有結合的に結合し又は共有結合的に連結する一般式(I)のサッカライドを有する結合体に関する。換言すれば、本発明の別の側面は、-O-L-E基の末端基Eを介して免疫原性担体と結合した一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のいずれかのサッカライドを対象とする。-O-L-E基の末端基Eを介して免疫原性担体に共有結合的に結合した又は共有結合的に連結した一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)の合成サッカライドを有する結合体は、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のいずれかのサッカライドを免疫原性担体と反応させることにより得られる結合体と定義してもよい。驚くべきことに、当該結合体は、Clostridium difficile菌が関与する疾患に対する免疫化のためのワクチンとして効果的であることがわかった。
サッカライドは、一般的に、TI-2(T細胞依存性-2)抗原及び弱免疫原として当業者に知られている。TI-2抗原は、表面に露出した免疫グロブリンレセプターの架橋を介して成熟B細胞にのみ認識される抗原である。T細胞の補助なしでは、免疫記憶は形成されず、IgMから他のIgGサブクラスへのアイソタイプスイッチもB細胞親和性成熟も起こらない。さらに、サッカライドは、ヒト糖脂質及び糖タンパク質との構造的相同性のためにヒトにおいて免疫原性が弱いことが知られている。その弱免疫原特性のために、サッカライドは、強力なワクチンの製造に必須の特徴である、B細胞による抗体産生及び記憶細胞の形成の両方において能力が低いことがわかっている。
従って、強力なサッカライドベースのワクチンを製造するために、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドを免疫原性担体に結合させて、サッカライドに比して強い免疫原性を示す結合体を提供する。従って、O原子を介して共有結合的に免疫原性担体に連結したサッカライドフラグメント
(式中、n、Z及びT
*は本明細書に定義した意味を有する。)を有する結合体も本出願の範囲に含まれる。
当該結合体は、少なくとも1種の一般式(I)の合成サッカライド及び少なくとも1種のサッカライド(I)が共有結合的に結合した免疫原性担体を有する。
驚くべきことに、免疫原性担体に共有結合的に連結した一般式(I)のサッカライドを有する結合体で免疫化することにより、一般式(I)のサッカライドの炭水化物部分に特異的な高力価の抗体が産生されることが見いだされた。当該抗体は天然Clostridium difficile PS-II細胞壁サッカライドと交差反応し、オプソニン化貪食作用及び殺菌活性を示すため、Clostridium difficile菌に対する保護が付与される。
これに関連し、「免疫原性担体」の語は、サッカライドに結合して、サッカライド自体と比して強い免疫原性を示す結合体を形成する構造体と定義される。従って、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のサッカライドの免疫原性担体への結合は、当該免疫原性担体に対する免疫応答を誘導することなく、一般式(I)のサッカライドに対する免疫応答を刺激するという効果を有する。
好ましい免疫原性担体は、免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質又は担体タンパク質(CP)である。当業者にとって、担体タンパク質(CP)は、無毒性及び非反応源性で、十分な量と純度で入手することができるタンパク質である。担体タンパク質は:CRM197等のジフテリアトキソイド、変異ジフテリアトキソイド、変性ジフテリアトキソイド、変異及び変性ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、変性破傷風トキソイド、変異破傷風トキソイド、無莢膜型Haemophilus influenzaeの非脂質修飾(non-lipidated)細胞表面リポタンパク質(タンパク質D)、Neisseria meningitidisの外膜タンパク(outer membrane protein)(OMP)複合体、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanine)(KLH)又はコレラトキソイド(CT)を含む群又はこれらからなる群より選択される。本明細書で使用する「トキソイド」という用語は細菌毒素(通常、外毒素)を意味し、その毒性は化学(ホルマリン)又は熱処理のいずれかにより不活性化又は抑制されているが、他の特性、典型的には免疫原性は維持されている。本明細書で使用する変異トキソイドは組み換え細菌毒素であり、野生型アミノ酸シークエンスを変化させることにより、弱毒性又はさらには無毒性に変えたものである。そのような変異は1又は2以上のアミノ酸の置換により可能である。そのような変異トキソイドはその表面に相互接続分子の官能基Yと反応することができる官能基を有し、変性トキソイドを提供する。当該官能基は当業者に既知であり、活性化エステルと反応することができるリシン残基の1級アミノ官能基、還元剤の存在下におけるイソシアネート基若しくはアルデヒド、カルボジイミドにより活性化することができるグルタミン酸若しくはアスパラギン酸残基のカルボキシレート官能基、又は、システイン残基のチオール官能基を含むが、これらに限定されるものではない。
活性化エステルは、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(sulfo-GMBS)、スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート(sulfo-SIAB)、スクシンイミジル-3-(ブロモアセトアミド)プロピオネート(SBAP)、グルタル酸ジスクシンイミジル(DSG)、アジピン酸ジスクシンイミジル(DSA)、2-ピリジルジチオール-テトラオキサテトラデカン-N-ヒドロキシスクシンイミド(PEG-4-SPDP)を含む(図2を参照されたい。)。
担体タンパク質上のシステイン残基は対応するデヒドロアラニンに変換することができ、それは、適切な相互接続分子とさらに反応することができ、その表面に相互接続分子の官能基Xを有する変性担体タンパク質を提供する。
一般式Iのサッカライドは、リシン残基の1級アミン官能基を官能基として有する無毒性変異ジフテリア毒素CRM197と結合されることが特に好ましい。
野生型ジフテリア毒素と同様に、CRM197は、ジスルフィド架橋により連結された2個のサブユニットからなる、535アミノ酸(58kD)の単ポリペプチド鎖であり、グルタミン酸のグリシンへの1個のアミノ酸置換を有する。CRM197は、Prevnar等の多くの承認された疾患用結合体ワクチンにおいて、担体タンパク質として使用されている。
従って、本発明の好ましい態様において、担体タンパク質はその表面上にリシン残基の1級アミノ官能基を有し、それは相互接続分子の官能基Yと反応することができ、相互接続分子の当該官能基Xをその表面に有する変性担体タンパク質を提供し、一般式(I)の化合物のリンカーの末端アミノ基と反応することができる。
相互接続分子の当該官能基Xは、マレイミド;α-ヨードアセチル;α-ブロモアセチル;及びN-ヒドロキシ-スクシンイミドエステル(NHS)、アルデヒド、イミドエステル、カルボン酸、スルホン酸アルキル、塩化スルホニル、エポキシド、無水物、カーボネートを含む群、又はこれらからなる群より選択される(図3を参照されたい。)。
好ましくは、一般式Iのサッカライドは、マレイミドにより変性された無毒性変異ジフテリア毒素CRM197に結合される。なお別の好ましい態様において、一般式Iのサッカライドは、α-ブロモアセタミドにより変性された無毒性変異ジフテリア毒素CRM197に結合される。最も好ましい態様において、一般式Iのサッカライドは、N-ヒドロキシ-スクシンイミドアジペートにより変性された無毒性変異ジフテリア毒素CRM197に結合される。
好ましくは一般式(IV)の結合体である。
(式中、cは2から18までの間に含まれ;
-E
1-は、共有結合、-NH-、-O-NH-、-O-、-S-、-CO-、-CH=CH-、-CONH-、-CO-NHNH-、
aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択される整数を表し;
bは、1、2、3及び4から選択される整数を表し;
CPは担体タンパク質であり;
n、L、Z及びT
*は本明細書に定義した意味を有する。)。
好ましくは、E1は、共有結合、-NH-、-CH=CH-、-CONH-、
好ましくはCPはCRM197である。従って、本発明の態様の1つにおいて、結合体は、CPがCRM197であり、c、-E1-、W、n、L、Z及びT*が本明細書に定義した意味を有する、一般式(IV)のものである。
好ましくは、一般式(IV)において、リンカー-L-は:-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-及び-La-Ld-Le-から選択され;
-La-は:-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-、-(CH2-CH2-O)o-CH2から選択され;
-Lb-は-O-を表し;
-Ld-は:-(CH2)q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-及び-(CH2-CH2-O)q-CH2-から選択され;
-Le-は:-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-及び-(CH2)p1-O-(CH2)p2-から選択され;
o、q、p1及びp2は、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である。
-W-が
を表し;aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;一般式(IV)の結合体も好ましい。
リンカー-L-が:-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-及び-La-Ld-Le-から選択され;
-La-が:-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-、-(CH2-CH2-O)o-CH2から選択され;
-Lb-が-O-を表し;
-Ld-が:-(CH2)q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-及び-(CH2-CH2-O)q-CH2-から選択され;
-Le-が:-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-及び-(CH2)p1-O-(CH2)p2-から選択され;
o、q、p1及びp2が、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が
を表し;aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;一般式(IV)の結合体が特に好ましい。
nが、1、2又は3から選択され;
リンカー-L-が:-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-及び-La-Ld-Le-から選択され;
-La-が:-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-、-(CH2-CH2-O)o-CH2から選択され;
-Lb-が-O-を表し;
-Ld-が:-(CH2)q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-及び-(CH2-CH2-O)q-CH2-から選択され;
-Le-が:-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-及び-(CH2)p1-O-(CH2)p2-から選択され;
o、q、p1及びp2が、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(IV)の結合体がなおより好ましい。
特に好ましくは、リンカー-L-が-(CH2)o-を表し;
oが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が
を表し;
aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(IV)の結合体である。
特に好ましくは、nが、1、2又は3からの整数を表し;
リンカー-L-が-(CH2)o-を表し;
oが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;
aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(IV)の結合体である。
特に好ましくは、nが、1、2又は3からの整数を表し;
リンカー-L-が-(CH2)o-を表し;
oが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;aが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
Zが、
好ましくは、cは2から18の間に含まれ、より好ましくは5から15までの間であり、なおより好ましくは8から12までの間である。nが1を表すことも好ましい。
より好ましくは、式(IV-1)-(IV-4)のいずれか1つの結合体である:
(式中、L、E
1、W、c、CP及びnは、先に定義したものと同じ意味を有する。)。
特に好ましくは、Lが-(CH2)5-であり、E1が-NH-であり、nが1又は2から選択される整数であり、c及びWが、先に定義したものと同じ意味を有する、式(IV-2)の結合体である。
一般式(V)の結合体も好ましい:
(式中、cは2から18までの間に含まれ;
-E
1-は、共有結合、-NH-、-O-NH-、-O-、-S-、-CO-、-CH=CH-、-CONH-、-CO-NHNH-、
aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から選択される整数を表し;
bは、1、2、3及び4から選択される整数を表し;
n、L、Z及びT
*は本明細書に定義した意味を有する。)。
リンカー-L-が:-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-及び-La-Ld-Le-から選択され;
-La-が:-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-、-(CH2-CH2-O)o-CH2から選択され;
-Lb-が-O-を表し;
-Ld-が:-(CH2)q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-及び-(CH2-CH2-O)q-CH2-から選択され;
-Le-が:-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-及び-(CH2)p1-O-(CH2)p2-から選択され;
o、q、p1及びp2が、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;
aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(V)の結合体が特に好ましい。
なおより好ましくは、
nが、1、2又は3から選択され;
リンカー-L-が:-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-及び-La-Ld-Le-から選択され;
-La-が:-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-、-(CH2-CH2-O)o-CH2から選択され;
-Lb-が-O-を表し;
-Ld-が:-(CH2)q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-及び-(CH2-CH2-O)q-CH2-から選択され;
-Le-が:-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-及び-(CH2)p1-O-(CH2)p2-から選択され;
o、q、p1及びp2が、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;
aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(V)の結合体である。
特に好ましくは、リンカー-L-が-(CH2)o-を表し、
oが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;
aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(V)の結合体である。
特に好ましくは、nが、1、2又は3からの整数を表し;
リンカー-L-が-(CH2)o-を表し、
oが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;
aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(V)の結合体である。
特に好ましくは、nが、1、2又は3からの整数を表し;
リンカー-L-が-(CH2)o-を表し、
oが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;
aが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
Zが、
特に好ましくは、nが、1、2又は3からの整数を表し;
リンカー-L-が-(CH2)o-を表し;
oが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
-W-が、
を表し;
aが、2、3、4、5及び6から選択される整数であり;
T
*がホスフェート基を表す;
一般式(V)の結合体である。
また、好ましくは、基-O-L-Eが下記からなる群より選択される:一般式(IV)の結合体である:
より好ましくは、式(V-1)-(V-4)のいずれか1つの結合体である:
(式中、L、E
1、W、c及びnは、先に定義したものと同じ意味を有する。)。
より好ましくは、nが1~3からの整数である、式(IV)、(IV-1)-(IV-4)、(V)及び(V-1)-(V-4)のいずれか1つの結合体である。
より好ましくは、cが4~10から選択される、式(IV)、(IV-1)-(IV-4)、(V)及び(V-1)-(V-4)のいずれか1つの結合体である。
好ましくは、
-W-は、
を表し;aは、2、3、4、5及び6から選択される整数である。
従って、-W-が
を表し;aが、2、3、4、5及び6から選択される整数である;
一般式(IV)、(IV-1)-(IV-4)、(V)及び(V-1)-(V-4)の結合体が特に好ましい。
好ましくは、リンカー-L-は、-La-、-La-Le-、-La-Lb-Le-又は-La-Ld-Le-を表し;
-La-は、-(CH2)o-、-(CH2-CH2-O)o-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)o-CH2を表し;
-Lb-は-O-を表し;
-Ld-は、-(CH2)q-、-(CH(OH))q-、-(CF2)q-、-(CH2-CH2-O)q-C2H4-又は-(CH2-CH2-O)q-CH2-を表し;
-Le-は、-(CH2)p1-、-(CF2)p1-、-C2H4-(O-CH2-CH2)p1-、-CH2-(O-CH2-CH2)p1-又は-(CH2)p1-O-(CH2)p2-を表し;
o、q、p1及びp2は、互いに独立に、1、2、3、4、5及び6から選択される整数である。
最も好ましい態様において、E1は、共有結合、-NH-、-CH=CH-、-CONH-、
また好ましくは、基-O-L-Eが下記からなる群より選択される、一般式(IV)、(IV-1)-(IV-4)、(V)及び(V-1)-(V-4)の結合体である:
別の態様において、当該免疫原性担体は、好ましくは免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質であり、より好ましくは(2S,3S,4R)-1-(α-D-ガラクトピラノシル)-2-ヘキサコサノイルアミノオクタデカン-3,4-ジオールである。本明細書で使用される免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質の語は、標的抗原に対する免疫系の応答を刺激することができるが、先に定義したようにそれ自体は免疫を付与しない適切なスフィンゴ糖脂質を意味する。
本明細書で使用されるスフィンゴ糖脂質は、スフィンゴ脂質にα-結合した炭水化物部分を有する化合物である。好ましくは、炭水化物部分はヘキソピラノースであり、最も好ましくはα-D-ガラクトピラノースである。当業者には、スフィンゴ脂質は、アミド結合を介して脂肪酸に繋がったC18アミノアルコールを有する脂質のクラスである。C18アミノアルコールは、好ましくは1、2個又は多数のヒドロキシル基で置換されている。特に好ましくは、C18アミノアルコールがフィトスフィンゴシンである。脂肪酸は、好ましくは16から28までの、より好ましくは18から26までの範囲の炭素数の飽和アルキル鎖を有するモノカルボン酸である。免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質には、ナチュラルキラー(NK)活性及びナチュラルキラーT(NKT)細胞によるサイトカイン産生を刺激することができ、in vivoで強力な抗腫瘍活性を示す(2S,3S,4R)-1-(α-D-ガラクトピラノシル)-2-ヘキサコサノイルアミノオクタデカン-3,4-ジオール(Proc.Natl Acad.Sci.USA、1998、95、5690)が含まれるが、これに限定されるものではない。
一般式Iのサッカライドの免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質との結合体は、熱に安定であるという利点を有する。結合に適切なものとするために、免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質に官能基を導入する。当該官能基は、一般式Iのサッカライドのリンカーの末端アミノ基と直接反応する傾向があり、一般式Iのサッカライドの結合体を提供し、又は、相互接続分子の官能基Yと直接反応する傾向があり、免疫調節特性を有する変性スフィンゴ糖脂質を提供する。
好ましくは、当該官能基は、免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質の炭水化物部分のC6に導入される。従って、免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質は、サッカライドの末端アミノ基又は相互接続分子の官能基Yと反応する傾向がある官能基で官能化される。アミノ基と反応しやすい官能基は、活性化エステル、イソシアネート基、アルデヒド、エポキシド、イミドエステル、カルボン酸、スルホン酸アルキル及び塩化スルホニルを含むが、これらに限定されるものではない。相互接続分子の官能基Yと反応しやすく、従って相互接続分子の官能基Xを提示し、免疫調節特性を有する変性スフィンゴ糖脂質を提供する官能基は、アミン、アルコール、チオール、活性化エステル、イソシアネート基、アルデヒド、エポキシド、ビニル、イミドエステル、カルボン酸、スルホン酸アルキル、塩化スルホニル、ビニル基、アルキニル基及びアジド基を含むが、これらに限定されるものではない。
好ましくは、免疫調節特性を有するスフィンゴ糖脂質の炭水化物部分のC6に導入される官能基は、アミン、チオール、アルコール、カルボン酸、ビニル、マレイミド、α-ヨードアセチル、α-ブロモアセチル、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)、2-ピリジルジチオールを含む群又はこれらからなる群より選択される。
当該相互接続分子の官能基Xは、マレイミド、α-ヨードアセチル、α-ブロモアセチル、N-ヒドロキシ-スクシンイミドエステル(NHS)、アルデヒド、カルボン酸、エポキシド、スルホン酸アルキル、塩化スルホニル、無水物、カーボネートを含む群又はこれらからなる群より選択される。
本明細書で使用される「相互接続分子」の語は、官能基X及び官能基Yを有する二官能性分子を意味し、官能基Xは、リンカー-L-上の末端アミノ基と反応することができ、官能基Yは、免疫原性担体又は固体担体上に存在する官能基と反応することができる。
少なくとも1種の本発明の結合体を有するワクチンは、C.difficileの莢膜ポリサッカライドの非選択的開裂により得られるサッカライドの単離された(かつ非合成的)混合物又はその結合体を有するワクチンと比較して、副作用及び/又は非保護的免疫応答を起こすことが少ない。さらに、本発明のワクチンは、非選択的に開裂した莢膜ポリサッカライドの単離された混合物を有するワクチンに比べて、GMP規定に従って簡単に製造することができ、さらに、定性分析がより簡単であるため、安定性及び純度の制御並びに不純物の種類及び量の検出がより容易である。
一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のいずれか1つのサッカライドを有する結合体、特に一般式(IV)、(IV-1)-(IV-4)、(V)及び(V-1)-(V-4)のいずれか1つの結合体は、ヒト及び/又は動物ホストにおいて保護的免疫応答を誘発することが見い出されており、従って、Clostridium difficile菌が関与する疾患の予防及び/又は治療に有用である。従って、免疫原性担体に結合した一般式(I)のサッカライドを有する結合体は、それらの細胞壁サッカライド中に下記のサッカライドフラグメントの1つを有するClostridium difficile菌が関与する疾患の予防及び/又は治療に有用である:
好ましくは、それらの細胞壁サッカライド中に上記のサッカライドフラグメントの1つを有する細菌は、Clostridium difficileである。
好ましい態様において、免疫原性担体に結合した一般式Iのサッカライドを有する結合体は、細菌が関与する疾患、特に、それらの細胞壁ポリサッカライド中に下記のサッカライドフラグメントの1つを有する細菌が関与する疾患の予防及び/又は治療に有用である:
-6)-β-D-Glc-(1,3)-β-D-GalNAc-(1,4)-α-D-Glc-(1,4)-[β-D-Glc-(1,3)]-β-D-GalNAc-(1,3)-α-D-Man-(1-;-3)-α-D-Man-(1,6)-β-D-Glc-(1,3)-β-D-GalNAc-(1,4)-α-D-Glc-(1,4)-[β-D-Glc-(1,3)]-β-D-GalNAc-(1;-4)-[β-D-Glc-(1,3)]-β-D-GalNAc-(1,3)-α-D-Man-(1,6)-β-D-Glc-(1,3)-β-D-GalNAc-(1,4)-α-D-Glc-(1;-4)-[β-D-Glc-(1,3)]-β-D-GalNAc-(1,3)-α-D-Man-(1,6)-β-D-Glc-(1,3)-β-D-GalNAc-(1,4)-α-D-Glc-(1;-3)-β-D-GalNAc-(1,4)-α-D-Glc-(1,4)-[β-D-Glc-(1,3)]-β-D-GalNAc-(1,3)-α-D-Man-(1,6)-β-D-Glc-(1、そして、好ましくは、Clostridium difficileについては、当該疾患は、下痢、偽膜性大腸炎及び麻痺性イレウスを含む。
医薬組成物
本発明の別の側面は、免疫原性担体に結合した一般式(I)のサッカライドを有する少なくとも1種の結合体及び/又は少なくとも1種の一般式(I)のサッカライドを少なくとも1種の薬学的に許容されるアジュバント及び/又は賦形剤とともに有する、医薬組成物又はワクチンを対象とする。当該医薬組成物はヒト及び/又は動物ホストにおいて保護的免疫応答を上昇させるために使用することができる。理想的には、上記医薬組成物はヒトにおける使用に適切である。
本発明の別の側面において、当該医薬組成物又はワクチンは、さらに、Clostridium difficile株、027、MOH718及びMOH900を含む群又はこれらからなる群より選択されるClostridium difficile菌の、少なくとも1種の細胞壁サッカライド又は細胞壁サッカライドフラグメント及び/又はそのタンパク質結合体をさらに有する。
本明細書で使用する「アジュバント」という用語は、免疫学的アジュバント、すなわち、ワクチン組成物において使用される物質であって、抗原として免疫応答に関与することなく、ワクチンに含まれる抗原に対する免疫応答を強化することにより、当該ワクチンの効果を変化させ又は強める物質を意味する。当業者に古典的に認識されている免疫学的アジュバントの例は、油分乳化物(例えば、フロイントアジュバント)、サポニン、アルミニウム又はカルシウム塩(例えばアラム)、非イオン性ブロックポリマー界面活性剤及びその他多数を含むが、これらに限定されるものではない。
医薬組成物は、特に投与時においては好ましくは水溶液形態であるが、非水溶液形態又は乾燥品形態、例えばゼラチンカプセル又は凍結乾燥品等であってもよい。
医薬組成物は、チメロサール(thiomersal)又は2-フェノキシエタノール等の1又は2種以上の保存剤を有してもよい。水銀を含有しない組成物が好ましく、また、保存剤を含有しないワクチンを製造することもできる。
医薬組成物は、例えば浸透圧を制御するためにナトリウム塩等の生理的塩類を含んでもよい。塩化ナトリウム(NaCl)が典型的であり、1から20mg/mlまでの間で含んでよい。含んでもよい他の塩には、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム無水物、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等が含まれる。
医薬組成物は200mOsm/kgから400mOsm/kgまでの間の重量モル浸透圧濃度を有してよい。
医薬組成物は、淡水(例えばw.f.i.)中に化合物(不溶性金属塩とともに又は不溶性金属塩なしで)を含むものでもよいが、通常は1又は2種以上の緩衝液を含む。典型的な緩衝液には:リン酸緩衝液;トリス緩衝液;ホウ酸緩衝液;コハク酸緩衝液;ヒスチジン緩衝液(特に水酸化アルミニウムアジュバントとともに);又はクエン酸緩衝液が含まれる。緩衝塩は通常5-20mMの範囲内で含まれる。
医薬組成物は通常5.0から9.5の間の、例えば6.0から8.0の間のpHを有する。
医薬組成物は好ましくは無菌であり、グルテンを含まない。
医薬組成物は動物(特にヒト)患者への投与に適切であり、従って、ヒト及び獣医的用途の両方を含む。医薬組成物は患者の免疫応答を上昇させる方法において使用してもよく、このような方法は患者に上記組成物を投与する工程を有する。
本発明の医薬組成物は、対象がC.difficileに暴露される前に及び/又は対象がC.difficile菌に暴露された後に投与してもよい。
本発明の別の側面において、本発明は、C.difficile菌が関与する疾患の予防及び/又は治療のための当該医薬組成物又は当該ワクチンの製造のための、免疫原性担体に結合した少なくとも1種の一般式(I)のサッカライドを有する少なくとも1種の結合体及び/又は少なくとも1種の一般式(I)のサッカライドの使用を対象とし、特にC.difficile菌が関与する疾患は、下痢、偽膜性大腸炎及び麻痺性イレウスを含む群又はこれらからなる群より選択される。
好ましくは、本発明は、一般式(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のいずれか1つの少なくとも1種のサッカライド、及び/又は、一般式(I)、(I)、(II)、(II-a)、(II-b)、(III)、(III-a)又は(III-b)のいずれか1つの少なくとも1種のサッカライドを有する少なくとも1種の結合体の当該医薬組成物又は当該ワクチンの製造のための使用に関する。
より好ましくは、本発明は、少なくとも1種のサッカライド、I’a-1-I’a-11、I’b-1-I’b-11及びI’c-1-I’c-11、及び/又は、少なくとも1種のサッカライド、I’a-1-I’a-11、I’b-1-I’b-11及びI’c-1-I’c-11を有する少なくとも1種の結合体の、当該医薬組成物又は当該ワクチンの製造のための使用に関する。
特に、本発明は、当該医薬組成物又は当該ワクチンの製造のための、一般式(IV)、(IV-1)-(IV-4)、(V)及び(V-1)-(V-4)のいずれか1つの少なくとも1種の結合体の使用に関する。
医薬組成物は単位用量形態(unit dose form)で製造してもよい。いくつかの態様において、単位用量は0.1-1.0mLまでの間の体積、例えば約0.5mLを有してよい。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を有する、例えば単位用量を有するデリバリー用デバイス(例えば、シリンジ、ネブライザー、スプレー、吸入器、皮膚パッチ等)を提供する。このデバイスは、上記組成物を脊椎動物である対象に投与するために使用することができる。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を有する、例えば単位用量を有する無菌コンテナ(例えばバイアル)を提供する。
本発明はまた単位用量の本発明の医薬組成物を提供する。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を有する密封コンテナを提供する。適切なコンテナには例えばバイアルが含まれる。
本発明の医薬組成物は種々の形態で製造してよい。例えば、上記組成物は溶液又は懸濁液のような注射剤として製造してよい。注射前に液体ベヒクル中の溶液又は懸濁液とするのに適切な固体形態を製造することもできる(例えば、凍結乾燥組成物又はスプレーフリーズドライ組成物)。上記組成物は局所投与用に、例えば軟膏、クリーム又は粉剤として製造してもよい。上記組成物は経口投与用に、例えば錠剤又はカプセル剤として、スプレー剤として、又はシロップ剤として(任意で風味を付して)製造してもよい。上記組成物は、例えば微細粉末を用いた吸入器又はスプレーによる肺内投与用に製造してもよい。上記組成物は坐薬として製造してもよい。上記組成物は、鼻噴、耳内投与又は点眼用に、例えばスプレー剤又はドロップ剤として製造してもよい。通常は筋肉内投与用の注射剤である。
上記医薬組成物は、効果的な量、すなわち、単回用量において又は一連の投与の一部として個体に投与した場合、同時に投与したC.difficile PS-IIサッカライド抗原に対する免疫応答を強めるのに効果的な量のアジュバントを有してよい。
この量は、処置される個体の健康及び生理条件、年齢、処置される個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類等)、個々の免疫系の抗体合成能力、所望される保護の程度、ワクチンの剤型、処置を行う医師による医学的状態の評価及び他の関連因子によって変化し得る。この量は相対的に広い範囲となり、ルーティンの試験により決定することができる。
本発明のワクチンの製剤化及び投与は当該技術分野において既知のいかなる方法によって遂行してもよい。
本発明の結合体の1つ又は一般式(I)のサッカライドの1つの治療上効果的な用量は、疾患に対する少なくとも部分的な免疫化を起こす化合物の量を意味する。そのような化合物の毒性及び治療効率は、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的、薬理学的及び毒性学的手法により決定することができる。毒性及び治療効果の用量比は治療指数である。投与される組成物の実際の量は、処置を受ける対象、対象の重量、疾患の重篤度、投与態様及び処方を行う外科医の判断による。
本発明の別の側面は、ヒト及び/又は動物ホストにおいて、C.difficileに対する免疫応答を誘導する方法を対象とし、当該方法は、一般式(I)のサッカライド及び/又はその塩及び/又はその結合体又はその医薬組成物を、当該ヒト及び/又は動物ホストに投与することを有する。ヒト及び/又は動物ホストにおけるC.difficileにより引き起こされる疾患を治療又は予防する本発明の方法は、少なくとも1種の一般式(I)のサッカライド及び/又はその塩及び/又はその結合体又はその医薬組成物を当該ヒト及び/又は動物ホストに投与することを有する。
免疫学的アッセイ
本発明のなお別の側面は、細胞壁ポリサッカライド中に下記のサッカライドフラグメントの1つを有する細菌に対する抗体の検出のための免疫学的アッセイにおけるマーカーとしての使用のための一般式(I)のサッカライドに関する:
そのようなアッセイは、例えば、細胞壁ポリサッカライド中に上記のサッカライドフラグメントの1つを有する細菌、例えばC.difficileに対する抗体の検出のために有用なマイクロアレイ又はELISAを含む。
本発明のサッカライドは容易に固体担体に結合させることができ、C.difficileに対する抗体の検出に有用な免疫学的アッセイを提供する。当該固体担体は、それらの表面上に、一般式(I)のサッカライドのアミノ基と又は相互接続分子の官能基Yと反応しやすい官能基を有するため、表面上に相互接続分子の官能基Xを有する変性固体担体を提供し、これはさらに一般式(I)のサッカライドのアミノ基と反応することができる。本発明の態様の1つにおいて、固体担体はマイクロアレイスライドであり、これは表面上に相互接続分子の官能基Yと反応しやすい官能基を有するため、表面上に相互接続分子の官能基Xを有する変性マイクロアレイスライドを提供する。そのようなマイクロアレイスライドの例には、Corning(登録商標)のエポキシドコートスライド又はCorning(登録商標)のGAPS(登録商標)IIコートスライドを含むが、これらに限定されるものではない。
好ましい態様において、固体担体は、表面上に一般式(I)のサッカライドのアミノ基と反応しやすい官能基を有するマイクロアレイスライドであり、より好ましくはN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)活性化エステルである。そのようなマイクロアレイスライドは、例えばCodeLink(登録商標)のNHSスライドである。
下記の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために記載されるものである。実施例中に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能することを発明者が見出した技術を示すものであり、従ってその実施に対する好ましいモードを構成するものと考えることができることが当業者に理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される特定の態様において多くの改変が可能であり、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、なお同じ又は同様の結果を得ることができることを理解すべきである。
当業者には、本明細書に基づいて、本発明の種々の側面のさらなる改変及び別の態様が明らかであろう。従って、本明細書は単なる例証と理解されるべきであり、本発明を遂行する一般的な方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に開示され記載された本発明の形態は、態様例として理解されるべきである。要素及び物質は本明細書に例示され記載されたものに関して置き換えてもよく、部分及び方法は逆にしてもよく、本発明の特定の特徴は独立に使用してもよいが、本発明の記載を享受した後において、これらのことはすべて当業者には明らかであろう。下記の請求項に記載した本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した要素に改変を行ってよい。
A. 化学合成
全般的情報:
別段の記載がない限り市販のグレードの溶媒を使用した。乾燥溶媒はWaters Dry Solvent Systemから入手した。クロマトグラフィー用の溶媒は使用前に蒸留した。影響を受けやすい反応は加熱乾燥したガラス器具内で、かつ、アルゴン雰囲気下で行った。分析薄層クロマトグラフィー(TLC)は、0.25mmの厚さのシリカゲルで予めコートしたKieselgel 60 F254ガラスプレート上で行った。スポットは、バニリン溶液(95%EtOH中6%(w/v)バニリン及び10%(v/v)硫酸)又はHanessian染色(5%(w/v)モリブデン酸アンモニウム、1%(w/v)硫酸セリウム(II)及び10%(v/v)硫酸水溶液)で染色することにより可視化した。シリカカラムクロマトグラフィーはFluka Kieselgel 60(230-400メッシュ)上で行った。
1H、13C及び二次元NMRスペクトルはVarian 400-MR分光計を用いて296Kにて測定した。化学シフト(d)は、各残留溶媒ピークに対する100万分率(ppm)でレポートする(CDCl3:d 7.27(1H NMRにおいて)及び77.23(13C NMRにおいて);CD3OD:d 3.31(1H NMRにおいて)及び49.15(13C NMRにおいて)。ピークの多重度を示すために下記略語が使用される:s 一重項;d 二重項;dd 二重項の二重項;t 三重項;dt 三重項の二重項;q 四重項;m 多重項。結合定数(J)はヘルツ(Hz)でレポートする。旋光(OR)の測定は、Schmidt&Haensch UniPol L1000旋光計を用いて、λ=589nm及び括弧内に記載した溶媒中のg/100mLで表した濃度(c)にて行った。高分解能質量分析(HRMS)は、Agilent 6210 ESI-TOF質量分析計を用いて、ベルリン自由大学、Mass Spectrometry Core Facilityで行った。赤外線(IR)スペクトルはPerkin Elmer 100 FTIR分光計を用いて測定した。
A.1 略語
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
AIBN アゾビスイソブチロニトリル
アルハイドロゲル 水酸化アルミニウムゲルアジュバント、Al:10mg/mL(Brenntag)
Alloc アリルオキシカルボニル
aq. 水溶液
BH3 ボラン
BBr3 三臭化ホウ素
Boc tert-ブトキシカルボニル
BnBr 臭化ベンジル
br. 広域
CAS CAS Registry Number(CAS=Chemical Abstracts Service)
CHCl3 クロロホルム
cHex シクロヘキサン
d 二重項
dd 二重項の二重項
DCM ジクロロメタン
DDQ 2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン
DEAD ジエチルアゾジカルボキシレート
DIPEA N,N-ジイソプロピル-エチルアミン
DMAP ジメチルアミノピリジン
DME ジメトキシエタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニルリン酸アジド
EDC・HCl N1-((エチルイミノ)メチレン)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン塩酸塩
ES 電子スプレー
Et2O ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
FCS ウシ胎児血清
FmocCl 9-フルオレニルメトキシカルボニルクロリド
GSDMD Gasdermin-D
h 時間
HCl 塩酸
HEK293T 胎児腎細胞線維芽細胞株
H2O 水
HOBt.H2O 1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール水和物
hPBMC ヒト末梢血単核細胞
IC50 半数阻害濃度
K2CO3 炭酸カリウム
LDH 乳酸脱水素酵素
LiAlH4 水素化リチウムアルミニウム
m 多重項
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
MeI ヨウ化メチル
MgSO4 硫酸マグネシウム
min 分
MS 質量分析
Na2CO3 炭酸ナトリウム
NaCNBH3 シアノ水素化ホウ素ナトリウム
NaHCO3 炭酸水素ナトリウム
NaH 水素化ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NAP 2-ナフチルメチル
NapBr 2-ナフチルメチルブロミド
NaPiバッファー リン酸緩衝食塩水(PBS)
Na2SO4 硫酸ナトリウム
NBS N-ブロモスクシンイミド
NCS N-クロロスクシンイミド
NET 好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps)
NIS N-ヨードスクシンイミド
NMR 核磁気共鳴
PBBBr p-ブロモベンジルブロミド
PBS = NaPi リン酸緩衝食塩水
Pd/C パラジウム炭素
Pd(PPh3)4 テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
PMA ホルボール 12-ミリスタート 13-アセテート
PPh3 トリフェニルホスフィン
PTFE ポリテトラフルオロエチレン
q 四重項
RBF 丸底フラスコ
rt 室温
s 一重項
sat. 飽和
sep 七重項
t 三重項
TBAF フッ化テトラブチルアンモニウム
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
THP1 急性単球性白血病癌細胞株
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMSOTf トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル
TsOH トシル酸
Wt 重量
A.2 ヘキササッカライド33の合成
NIS(3.0equiv.)を(Chem.Eur.J.2014、20、3578-3583に従って得られた)1のTHF:H
2O(4:1、25mL/1g)中の冷却した溶液に、0℃にて加えた。10min後、反応混合物をrtにし、2h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、THFを減圧下で除き、得られた粗製残渣をEtOAc中に溶解し、aq.Na
2S
2O
3及びaq.NaHCO
3で洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、濃縮し、粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中0-60%EtOAc)で精製して、所望のヘミアセタール2(84%)をフォームとして得た。HRMS (ESI+) C
38H
38O
6Na
+[M+Na]
+に対する計算値 613.2566、実測値 613.2574。
Ac
2O(2.0equiv.)及びトリメチルアミン(6.0equiv.)を、2のDCM(10mL/1g)中の明澄な溶液に加え、rtで4h撹拌を続けた。出発物質が完全に消費された後、溶媒を真空下で除き、粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-50%EtOAc)で精製して、所望の生成物3(94%)を粘性の液体として得た。HRMS(ESI+) C
40H
40O
7Na
+[M+Na]
+に対する計算値 655.2672、実測値 655.2679。
アリルトリメチルシラン(2.0equiv.)を、3の乾燥アセトニトリル(20mL/1g)中の明澄な溶液に室温にて加え、次いでTMSOTf(0.5equiv.)を滴下により加えた。フラスコを密閉し、TLCにおいて反応が完結するまで(40min)、超音波洗浄浴中に置いた(周波数 80Hz、100%出力 230V、rt)。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をaq.NaHCO
3でクエンチし、EtOAcで希釈し、塩水(brine)で洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、濃縮し、粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-60%EtOAc)で精製して、所望のC-配糖体4をオイル(91%)として得た。HRMS(ESI+) C
41H
42O
5Na
+[M+Na]
+に対する計算値 637.2930、実測値 637.2929。
PdCl
2(0.1equiv.)を、4のトルエン(100mL/1g)中の脱気した(30min)溶液に加えた。PdCl
2を加えた後、反応混合物を30min再び脱気し、撹拌を120℃にて2.5d続けた。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をセライトのパッドに通し、減圧下で濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-50%EtOAc)で精製して、二重結合移動を行った化合物5(70%)を黄色がかった液体として得た。HRMS(ESI+) C
41H
42O
5Na
+[M+Na]
+に対する計算値 637.2930、実測値 637.2942。
DDQ(1.2equiv.)を、5のDCM:H
2O(19:1、20mL/1g)中の二相溶液に0℃にて加えた。0℃で10min経過した後、反応混合物を室温に温め、室温で1h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をDCMで希釈し、aq.NaHCO
3及び塩水で抽出した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-80%EtOAc)で精製して、所望の生成物6を白色のオイル(94%)として得た。HRMS(ESI+) C
30H
34O
5Na
+[M+Na]
+に対する計算値 497.2304、実測値 497.2312。
Ac
2O(2.0equiv.)及びトリメチルアミン(6.0equiv.)を、6のDCM(10mL/1g)中の明澄な溶液に加え、rtで4h撹拌を続けた。出発物質が完全に消費された後、溶媒を真空下で除き、粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-50%EtOAc)で精製して、所望の生成物7(90%)を粘性の液体として得た。HRMS(ESI+) C
32H
36O
6Na
+[M+Na]
+に対する計算値 539.2410、実測値 539.2419。
オゾンを、7のDCM:MeOH(1:1、170mL/1g)中の冷却した溶液に、青色が持続するまで-78℃で通気した。残ったO
3を除くために、純粋なO
2を反応混合物に溶液が明澄になるまで通気した。次いで、NaBH
4を-78℃で加え、反応混合物を同じ温度で30min撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をaq.NH
4Clで-78℃にてクエンチし、DCMで洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の化合物8(2工程で60%)を黄色がかった液体として得た。HRMS(ESI+) C
30H
34O
7Na
+[M+Na]
+に対する計算値 529.2202、実測値 529.2220。
8のメタノール(10mL/1g)中の溶液に、MeOH中のナトリウムメトキシド(0.5M、10mL)を加え、混合物の撹拌をrtで1h続けた。8が完全に消費された後、反応混合物のpHが酸性になるまでAcOH(1mL)を加えた。中和した後、反応混合物を濃縮し、粗製残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の化合物9(90%)をペーストとして得た。HRMS(ESI+) C
28H
32O
6Na
+[M+Na]
+に対する計算値 487.2097、実測値 487.2111。
プロパルギルトリメチルシラン(9.11mL、61.5mmol、2.0equiv.)を、3(19.5g、30.8mmol)の乾燥アセトニトリル(390mL)中の明澄な溶液に室温にて加え、次いでTMSOTf(2.8mL、15.4mmol、0.5equiv.)を滴下により加えた。フラスコを密閉し、TLCにおいて反応が完結するまで(40min)、超音波洗浄浴中に置いた(周波数 80Hz、100%出力 230V、5-10℃)。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をaq.NaHCO3でクエンチし、EtOAcで希釈し、塩水で洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、濃縮し、粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-60%EtOAc)で精製して、所望のC-配糖体10をオイル(16.2g、86%)として得た。HRMS(ESI+) C
41H
40O
5Na
+[M+Na]
+に対する計算値 635.2773、実測値 635.2786。
DDQ(18.7g、82.0mmol、1.2equiv.)を、10(42g、68.5mmol)のDCM:H
2O(19:1、950mL)中の二相溶液に0℃で加えた。0℃で10min置いた後、反応混合物を室温に温め、室温で1h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をDCMで希釈し、aq.NaHCO
3及び塩水で抽出した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-80%EtOAc)で精製して、所望の生成物11を白色のオイル(24g、74%、α-異性体のみ)として得た。HRMS(ESI+) C
30H
32O
5Na
+[M+Na]
+に対する計算値 495.2147、実測値 495.2151。
オゾンを、11(10.6g、22.4mmol)のDCM:MeOH(1:1、1L)中の冷却した溶液に、青色が持続するまで-78℃で通気した。残ったO
3を除くために、純粋なO
2を反応混合物に溶液が明澄になるまで通気した。次いで、NaBH
4(5.1g、135.0mmol、6.0equiv.)を-78℃で加え、反応混合物を3hにわたって徐々にRTにし、RTで45min撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をaq.NH
4Clでクエンチし、DCMで3回洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の化合物9(8.4g、2工程で81%)をオイル(真空下で乾燥後、粘性の白色の固体)として得た。HRMS(ESI+) C
28H
32O
6Na
+[M+Na]
+に対する計算値 487.2097、実測値 487.2106。
水素化ナトリウム(2.0equiv.、鉱油中60%)を、9のTHF(20mL/1g)中の溶液に、撹拌下、0℃で加えた。10min後、NapBr(1.05equvi.)を加え、混合物を0℃で24h撹拌した。24h後、反応混合物を、MeOH、水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を合わせて塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の化合物12(54%)をペーストとして得た。HRMS(ESI+) C
39H
40O
6Na
+[M+Na]
+に対する計算値 627.2723、実測値 627.2748。
Et
3SiH(3.0equiv.)、TfOH(3.3equiv.)を、(Org.Lett.2011、13、378-381に従って得られた)13のDCM(10mL/1g)中の冷却した溶液に、新たに活性化したモレキュラーシーブ(4Å)とともに-78℃で加えた。反応混合物を同じ温度で4h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をEt
3N(1mL)でクエンチし、DCMで希釈した。溶液をaq.NaHCO
3及び塩水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の4-OH化合物14(83%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
51H
54Cl
3NO
12NaS
+[M+Na]
+に対する計算値 1034.2300、実測値 1034.2406。
FmocCl(2.0equiv.)及びピリジン(3.0equiv.)を、14のDCM(10mL/1g)中の明澄な溶液に加え、rtで3.5h撹拌を続けた。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をDCMで希釈し、それを塩水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の化合物15(93%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
66H
64Cl
3NO
14NaS
+[M+Na]
+に対する計算値 1256.2981、実測値 1256.3125。
NIS(1.4equiv.)及びTfOH(0.26equiv.)を、4ÅMSの存在下で、アクセプター15(1.0equiv.)及びドナー12(1.2equiv.)のDCM(0.06M)中の冷却した溶液に-30℃で加えた。1.5h後、出発物質が完全に消費され、続いてEt
3N(1.4equiv.)を加え、rtで2h撹拌を続けた。2h後、反応混合物をDCMで希釈し、MSをろ過した。有機層をaq.Na
2S
2O
3で洗浄し、分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望のトリサッカライドアクセプター16(2工程で58%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
84H
88Cl
3NO
18Na
+[M+Na]
+に対する計算値 1528.4935、実測値 1528.5037。
NIS(1.5equiv.)及びTfOH(0.4equiv.)を、4ÅMSの存在下で、アクセプター16(1.0equiv.)及び(J.Org.Chem.2016、81、162-184に従って得られた)ドナー17(1.5equiv.)のトルエン:ジオキサン(4:1、0.03M)中の冷却した溶液に0℃で加えた。2min後、反応混合物をrtに維持し、30min撹拌した。30min後、反応混合物をEt
3Nでクエンチし、DCMで希釈し、MSをろ過した。有機層をaq.Na
2S
2O
3で洗浄し、分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望のテトラサッカライド18(76%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
111H
114Cl
3NO
23Na
+[M+Na]
+に対する計算値 1958.6745、実測値 1958.6871。
Et
3SiH(3.0equiv.)、TfOH(3.3equiv.)を、新たに活性化したモレキュラーシーブ(4Å)の存在下で、18のDCM(10mL/1g)中の冷却した溶液に-78℃で加えた。反応混合物を同じ温度で4h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をEt
3N(1mL)でクエンチし、DCMで希釈した。溶液をaq.NaHCO
3及び塩水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望のテトラサッカライド19(82%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
111H
116Cl
3NO
23Na
+[M+Na]
+に対する計算値 1960.6901、実測値 1960.7024。
水素化ナトリウム(2.0equiv.、鉱油中60%)を、(Tetrahedron:Asymmetry、2000、11、481-492に従って得られた)20のDMF(10mL/1g)中の溶液に、撹拌下、0℃で加えた。10min後、PBBBr(1.1equvi.)を加え、混合物をrtにした。rtで1h撹拌した後、反応混合物をNH
4Clでクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を合わせて、塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の化合物21(62%)をペーストとして得た。HRMS(ESI+) C
36H
35BrO
7NaS
+[M+Na]
+に対する計算値 713.1185、実測値 713.1225。
NBS(1.1equiv.)及びTMSOTf(0.1equiv.)を、21のDCM:H
2O(20:1、10mL/1g)中の冷却した溶液に0℃にて加えた。10min後、反応混合物をaq.NaHCO
3でクエンチし、DCMで希釈した。有機層を塩水で洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、濃縮し、粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-60%EtOAc)で精製して、所望のヘミアセタール22(70%)をフォームとして得た。HRMS(ESI+) C
34H
31BrO
8Na
+[M+Na]
+に対する計算値 669.1100、実測値 669.1132。
Cs
2CO
3(3.0equiv.)、CF
3C(NPh)Cl(3.0equiv.)を、22のDCM(10mL/1g)中の溶液に、撹拌下、0℃で加えた。10min.後、混合物をrtにし、1h撹拌した。22が完全に消費された後、反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-60%EtOAc)で精製して、所望のイミデートドナー23(87%)をフォームとして得た。
チオ配糖体アクセプター24を、Danieli、E.;Lay、L.;Proietti、D.;Berti、F.;Costantino、P.;Adamo、R. Org Lett.2011、13、378-381に従って合成した。
DCM中のTMSOTf(0.1M、0.2equiv.)を、チオグリコシドアクセプター24(1.0equiv.)及び新たに乾燥した4ÅMSのDCM中の混合物に、-78℃にて加えた。2min後、イミデート23(1.2equiv.)のDCM中の溶液を加えた。1h後、反応混合物をEt3Nでクエンチし、次いで、Celiteのパッドを通してろ過した。ろ液を濃縮し、粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望のジサッカライド25(61%)を固体として得た。HRMS(ESI+) C56H51BrCl3NO13NaS+[M+Na]+に対する計算値 1186.1207、実測値 1186.1314。
Et
3SiH(3.0equiv.)、TfOH(3.3equiv.)を、新たに活性化したモレキュラーシーブ(4Å)とともに、25のDCM(10mL/1g)中の冷却した溶液に-78℃で加えた。反応混合物を同じ温度で4h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をEt
3N(1mL)でクエンチし、DCMで希釈した。溶液をaq.NaHCO
3及び塩水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の4-OH化合物26(80%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
56H
53Cl
3NBrO
13NaS
+[M+Na]
+に対する計算値 1188.1364、実測値 1188.1436。
AcCl(2.0equiv.)及びピリジン(3.0equiv.)を、26のDCM(10mL/1g)中の明澄な溶液に0℃で加え、rtで3.5h撹拌を続けた。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をDCMで希釈し、それを塩水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の化合物27(70%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
58H
55Cl
3NBrO
14NaS
+[M+Na]
+に対する計算値 1230.1469、実測値 1230.1563。
NIS(1.8equiv.)及びTfOH(0.4equiv.)を、4ÅMSの存在下で、アクセプター19(1.0equiv.)及びドナー27(1.8equiv.)のDCM(0.025M)中の冷却した溶液に-20℃で加えた。次いで、反応混合物を3hの間に徐々に0℃に温めた。3h後、反応混合物をEt
3Nでクエンチし、DCMで希釈し、MSをろ過した。有機層をaq.Na
2S
2O
3で洗浄し、分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望のヘキササッカライド28(65%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
163H
165Cl
6N
2BrO
37Na
+[M+Na]
+に対する計算値 3060.8258、実測値 3060.8275。
28のEtOAc中の明澄な溶液(2.0mM)に、Zn(100equiv.)及びAcOH(100equiv.)を加え、反応混合物を室温で3h撹拌し続けた。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、濃縮した。溶媒を除去した後、得られた残渣をEtOAc中に溶解し(2.0mM)、Et
3N(0.5mL)及びAc
2O(0.5mL)を加えた。rtで2.5d撹拌した後、反応混合物を濃縮した。溶媒を除去した後、得られた粗製物をTHF及びメタノール中に溶解した。この明澄な溶液に、0.5M NaOMe(3mL)を加え、65℃で還流を続けた。16h後、反応混合物をAcOHで中和し、溶媒を除いた。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望のヘキササッカライド29(3工程で74%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
143H
155N
2BrO
31Na
+[M+Na]
+に対する計算値 2500.9708、実測値 2500.9739。
Ac
2O(8.0equiv.)及びトリメチルアミン(8.0equiv.)を、29のDCM(10mL/1g)中の明澄な溶液に加え、rtで16h撹拌を続けた。出発物質が完全に消費された後、溶媒を真空下で除き、粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の生成物30(83%)を粘性の液体として得た。HRMS(ESI+) C
151H
163N
2BrO
35Na
+[M+Na]
+に対する計算値 2669.0131、実測値 2669.0407。
DDQ(1.1equiv.)を、30のDCM:H
2O中の冷却した溶液に0℃にて加えた。反応混合物を同じ温度で4h撹拌した後、反応液をDCMで希釈し、NaHCO
3飽和水溶液及び塩水で抽出した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の生成物31(60%)を粘性の液体として得た。HRMS(ESI+) C
140H
155N
2BrO
35Na
+[M+Na]
+に対する計算値 2527.9559、実測値 2527.9731。
31のDCM中の溶液に、ビス(ジイソプロピルアミノ)-ベンジルオキシホスフィン(2.0equiv.)及びジイソプロピルアンモニウム テトラゾリド(1.5equiv.)を加え、溶液をrtで1.5h撹拌した。次いで、5-アジドペンタノール(8.0equiv.)及びテトラゾール(9.0equiv.、CAN中の0.45M溶液)を加え、室温で2h撹拌を続けた。2h後、t-ブチルペルオキシド(6.0equiv.、デカン中の5.0-6.0M溶液)を加え、反応混合物を1h撹拌した。1h後、反応混合物をDCMで希釈し、NaHCO
3飽和水溶液でクエンチした。水層をDCMで抽出した。有機層を合わせて塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の生成物32(3工程で37%)を粘性の液体として得た。MALDI C
152H
171N
5BrO
38PH
+[M+H]
+に対する計算値 2786.0635、実測値 2786.870。
Pd/C(6mg)を、32(6mg)のEtOAc:MeOH:H
2O:AcOH中の明澄な溶液に加えた。得られた不均質な混合物を水素雰囲気下においてrtで40h撹拌した。40h後、反応混合物をPTFEフィルターを通してろ過し、ロータリーエバポレータのバス温度を30℃にして真空下で10min濃縮して、メタノール、EtOAc、AcOH及び水を除いた。溶媒を除いた後、得られた粗生成物をMeOH、水中に溶解し、これにLiOH(2N水溶液)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で3h撹拌した。3h後、反応混合物をAcOH(30μL)でクエンチし、溶媒を減圧下で除き、得られた粗製残渣を、水及びアセトニトリルを溶媒として用いてC18逆相カラムクロマトグラフィーで精製し、所望の最終化合物33(2工程で80%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
46H
82N
3PO
34
+[M-Na+2H]
+に対する計算値 1252.4551、実測値 1252.4578。
Pd/C(2mg)を、29のEtOAc:MeOH:H
2O:AcOH中の明澄な溶液に加え、得られた不均質な混合物を、水素雰囲気下においてrtで40h撹拌した。40h後、反応混合物をPTFEフィルターを通してろ過し、ロータリーエバポレータのバス温度を30℃にして真空下で10min濃縮して、メタノール、EtOAc、AcOH及び水を除いた。粗生成物を、水及びアセトニトリルを溶媒として用いてC18逆相カラムクロマトグラフィーで精製し、所望の最終化合物34(82%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
41H
70N
2O
31
+[M+Na]
+に対する計算値 1109.3860、実測値 1109.3853。
抗原33(1.0equiv.)を、2mLバイアル内でDMSO-H
2O中にrtで溶解した。トリエチルアミン(35.0equiv.)をそれに加えた。混合物を、Eppendorfバイアル内で、DMSO中の活性化アジペート-NHSエステル(10equiv.)に加え、rtで3h撹拌した。10体積のEtOAcを加えることにより、抗原-NHSエステルを沈殿させ、遠心し、上清を注意深く除いた。沈殿物をEtOAc(1mLX3)で洗浄し、乾燥し、次の工程で使用した。NaPiバッファー(~100μL)中の1mgのタンパク質を、50μLのNaPiバッファー(pH7.0)中の抗原-NHSエステル35を入れた反応バイアルに、滴下により加えた。最後に、バイアルを50μLのバッファー溶液でリンスし、反応バイアルに完全に移した。反応混合物をrtで22h撹拌した。抗原-タンパク質結合体溶液をAmicon Ultra-0.5mLに移し、室温で6分間遠心した。300μLのバッファーを反応バイアルに加え、リンスし、フィルターに移し、再び遠心した。さらなる洗浄を1xPBS溶液を用いてさらに3回行った。最後の洗浄の後、結合体を1xPBS溶液中で2-8℃にて貯蔵した。結合体は、MALDI(4-12の抗原のタンパク質へのロードが得られた。)、SDS-page、BCA評価、SEC-HPLCを用いて分析した。
A.3 ヘキササッカライド54の合成
TBDPSCl(1.1equiv.)及びトリメチルアミン(2.8equiv.)を、20のCH
3CN(10mL/1g)中の明澄な溶液に加え、rtで10h撹拌を続けた。出発物質が完全に消費された後、溶媒を真空下で除き、粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の生成物41(93%)を粘性の液体として得た。HRMS(ESI+) C
45H
48O
7SSiNa
+[M+Na]
+に対する計算値 783.2788、実測値 783.2767。
化合物22の合成について記載した手順を、化合物42の合成に使用した(94%)。HRMS(ESI+) C
43H
44O
8SiNa
+[M+Na]
+に対する計算値 739.2703、実測値 739.2700。
42のDCM中の冷却した溶液に、0℃で、トリクロロアセトニトリル(6.0equiv.)及びDBU(0.2equiv.)を加えた。0℃にて3h後、反応が完結し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の生成物43(83%)を粘性の液体として得た。
化合物25の合成について記載した手順を、化合物44の合成に使用した(40%)。HRMS(ESI+) C
65H
64O
13SiSNCl
3Na
+[M+Na]
+に対する計算値 1256.2801、実測値 1256.2645。
化合物26の合成について記載した手順を、化合物45の合成に使用した(60%)。HRMS(ESI+) C
65H
66O
13SiSNCl
3Na
+[M+Na]
+に対する計算値 1256.2987、実測値 1256.2974。
化合物27の合成について記載した手順を、化合物46の合成に使用した(60%)。HRMS(ESI+) C
67H
68O
14SiSNCl
3Na
+[M+Na]
+に対する計算値 1300.3064、実測値 1300.3090。
化合物28の合成について記載した手順を、化合物47の合成に使用した(82%)。HRMS(ESI+) C
172H
178O
37SiN
2Cl
6Na
+[M+Na]
+に対する計算値 3127.9728、実測値 3127.9728。
化合物29の合成について記載した手順を、化合物48の合成に使用した(50%)。HRMS(ESI+) C
152H
168O
31SiN
2Na
+[M+Na]
+に対する計算値 2568.1298、実測値 2568.1322。
化合物30の合成について記載した手順を、化合物49の合成に使用した(80%)。HRMS(ESI+) C
160H
176O
35SiN
2Na
+[M+Na]
+に対する計算値 2737.1754、実測値 2737.2001。
化合物31の合成について記載した手順を、化合物50の合成に使用した(70%)。HRMS(ESI+) C
149H
168O
35SiN
2Na
+ [M+Na]
+に対する計算値 2596.1095、実測値 2595.9954及び2596.9997。
化合物32の合成について記載した手順を、化合物51の合成に使用した。
TBAF及びAcOHの予め混合した溶液を、51のTHF中の明澄な溶液にrtで加え、反応混合物の撹拌をrtで3hを続けた。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をDCMで希釈し、真空下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、n-ヘキサン中のEtOAc(勾配、0~100%)を溶出液として用いて、シリカゲル上の自動化カラムクロマトグラフィーで精製した。
52のDCM中の溶液に、ジベンジル N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(2.0equiv.)及びジイソプロピルアンモニウム テトラゾリド(1.5equiv.)を加え、溶液をrtで1.5h撹拌した。次いで、t-ブチルペルオキシド(6.0equiv.、デカン中の5.0-6.0M溶液)を加え、反応混合物を1h撹拌した。1h後、反応混合物をDCMで希釈し、NaHCO
3飽和水溶液でクエンチした。水層をDCMで抽出した。有機層を合わせて、塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の生成物53を得た。
化合物33の合成について記載した手順を、化合物54の合成に使用した。
糖結合体36及び37の合成について記載した手順を、56及び57の合成にも使用した。
A.4 ヘキササッカライド54の別の合成
亜リン酸ジフェニルを、48のピリジン中の明澄な溶液に加え、反応混合物を、室温、窒素下で2h撹拌した。2h後、1M TEAB溶液を反応混合物に0℃で加えた。5min後、アイスバスを除き、撹拌をrtでさらに2h続けた。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をDCMで希釈し、有機層を1M TEAB溶液で順次洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物を自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(2%Et
3Nを含むEA:DCM:MeOH)で精製して、純粋なH-ホスホネート誘導体58(90%)を粘性の液体として得た。HRMS(ESI+) C
155H
184N
3PSiO
37
+[M]
+に対する計算値 2740.2189、実測値 2740.2132。
H-ホスホネート58(1.0equiv.)及びリンカー(4.0equiv.)をピリジンと共蒸発させ(co-evaporated with pyridine)、真空下で30min乾燥した。その後、それをpy中に溶解し、これにPivCl(2.0equiv.)を加えた。反応混合物の撹拌をrtで2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のPy:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を加え、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物59(70%)を粘性の液体として得た。Maldi(ESI+) C
154H
178N
5PNaSiO
38
+[M-Et
3N+Na]
+に対する計算値 2789.1635、実測値 2788.0。
59のDCM及びピリジン中の溶液に、0℃で、HF溶液(ピリジン中70%、0.3mL)を滴下により加えた。反応混合物を同じ温度で18h撹拌した。次いで、反応混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液及びTEABバッファーで洗浄した。有機相を分離し、乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物60を粘性の液体として得た。Maldi(ESI+) C
138H
160N
5PNaO
38
+[M-Et
3N+Na]
+に対する計算値 2550.7585、実測値 2549.698。
60のDCM中の溶液に、ジベンジル ジイソプロピルホスホロアミダイト(2.0equiv.)及びジイソプロピルアンモニウム テトラゾリド(2.0equiv.)を加え、この溶液を室温で1.5h撹拌した。次いで、デカン中のt-ブチルペルオキシドの5.0-6.0M溶液(6.0equiv.)を室温で加え、反応混合物を1h撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、NaHCO
3飽和水溶液及びTEABバッファーで洗浄した。水層をDCM(2x10mL)で抽出した。有機層を合わせてNa
2SO
4(0.5g)上で乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、2%のトリメチルアミンを含むEtOAc:DCM:MeOHを用いて、自動化フラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物61を粘性のオイル(91%)として得た。表題化合物54を、化合物33の合成について記載した手順により、化合物61から60%の収率で得た。HRMS(ESI+) C
46H
83N
3P
2NaO
37
+[M+Na]
 ̄に対する計算値 1354.4078、実測値 1354.9623。
A.5 ヘキササッカライド54の別の合成
Me
3N・BH
3(21.2g、291mmol、5.4equiv.)、BF
3・Et
2O(42.2mL、291mmol、5.4equiv.)を、24(28.8g、54mmol)のCH
3CN(1.5L)中の冷却した溶液に0℃で加えた。反応混合物を同じ温度で1h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をEt
3N(30mL)及びMeOH(50mL)でクエンチした。次いで、反応混合物をEtOAc(1L)で希釈し、1M HCl(3回、2層を視認することが困難な場合には塩水を加えて改善する。)、次いで、有機層のpHが中性になるまでaq.NaHCO3で洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。生成物62(22g、76%)である白色の固体は純粋であり、次の工程で使用した。HRMS(ESI+) C
22H
24Cl
3NO
6SNa
+[M+Na]
+に対する計算値 558.0288、実測値 558.0332。
化合物2の合成について記載した手順を、化合物64の合成に使用した(85%)。HRMS(ESI+) C
34H
40O
6N
+[M+NH
4]
+に対する計算値 558.2856、実測値 558.2976。
64(24.5g、45.3mmol)の無水DCM(360mL)中の溶液に、撹拌下で、無水DMF(1mL、13.6mmol、0.30equiv.)及び(COCl)
2(10.3mL、118.0mmol、2.6equiv.)を0℃で加えた。5min後、反応混合物をrtにし、r.t.で2h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物を0℃に冷却し、Et
3Nでクエンチした。生成した塩をセライトのショートパッドを通してろ過し、DCMで洗浄した(塩が溶解し、セライトを通過するので、多量のDCMで洗浄すべきではない)。次いで、ろ液を減圧下で濃縮し、酢酸エチル:シクロヘキサン(0-40%、2%Et
3N含有)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、所望の塩化グリコシル65(24g、96%)を粘性の液体として得た。HRMS(ESI+) C
34H
35O
5ClNa
+[M+Na]
+に対する計算値 581.2071、実測値 581.2206。
塩化グリコシル65(16.2g、28.9mmol、1.15equiv.)及びアクセプター62(13.5g、25.1mmol)の、アセトニトリル(200mL)及びDCM(80mL)中の混濁液(turbid)に、Ag
2O(8.8g、37.7mmol、1.5equiv.、使用前に、真空下、80℃で3h乾燥した。)及びジフェニルボリン酸2-アミノエチル(0.57g、2.51mmol、0.1equiv.)を加えた。rt.で16h撹拌した後、混合物をDCM(80mL)、アセトン(80mL)で希釈し、セライト、砂(sand)を通してろ過し、ろ液に生成物が見られなくなるまでDCM及びアセトンで洗浄した。ろ液画分をすべて合わせ、濃縮した。残渣をEtOAc(300mL)中に溶解し、固体が溶解して明澄な溶液になるまで55℃に保った。次いで、この明澄な溶液をフィルターペーパーを通してろ過し、熱EtOAcで洗浄し、再結晶化のために放置した。1h後、白色の固体が結晶化し、それを溶液から分離して、所望のジサッカライド66を白色の固体(22g、83%)として得た。HRMS(ESI+) C
56H
58Cl
3NO
11SNa
+[M+Na]
+に対する計算値 1080.2696、実測値 1080.2904。
FmocCl(16.87g、63.2mmol、2.0equiv.)及びピリジン(7.67mL、95.0mmol、3.0equiv.)を、66(33.5g、31.6mmol)のDCM(330mL)中の明澄な溶液に加え、rtで2h撹拌を続けた。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をDCMで希釈し、それを塩水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の化合物67(34.7g、86%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
71H
68Cl
3NO
13SNa
+[M+Na]
+に対する計算値 1302.3375、実測値 1302.3694。
化合物2の合成について記載した手順を、化合物69の合成に使用した(80%)。HRMS(ESI+) C
29H
36O
7N
+[M+NH
4]
+に対する計算値 510.2492、実測値 510.2527。
69(18.0g、36.5mmol)の無水DCM(290mL)中の溶液に、撹拌下で、無水DMF(0.85mL、11.0mmol、0.30equiv.)及び(COCl)
2(8.3mL、95.0mmol、2.6equiv.)を0℃で加えた。5min後、反応混合物をrtにし、r.t.で2h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物を0℃に冷却し、Et
3Nでクエンチした。生成した塩をセライトのショートパッドを通してろ過し、DCMで洗浄した。次いで、ろ液を減圧下で濃縮し、酢酸エチル:シクロヘキサン(0-40%、2%のEt
3Nを含有)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、所望の塩化グリコシル70(16.7g、89%)を粘性の液体として得た。HRMS(ESI+) C
29H
31O
6ClNa
+[M+Na]
+に対する計算値 533.1707、実測値 533.1752。
塩化グリコシル70(16.5g、32.3mmol、1.15equiv.)及びアクセプター62(15.07g、28.1mmol)の、アセトニトリル(200mL)及びDCM(80mL)中の混濁液に、Ag
2O(9.76g、42.1mmol、1.5equiv.、使用前に、真空下、80℃で3h乾燥した。)及びジフェニルボリン酸2-アミノエチル(0.63g、2.81mmol、0.1equiv.)を加えた。rt.で16h撹拌した後、混合物をDCM(80mL)、アセトン(80mL)で希釈し、セライト、サンドを通してろ過し、ろ液に生成物が見られなくなるまでDCM及びアセトンで洗浄した。ろ液画分をすべて合わせ、濃縮した。残渣をEtOAc(400mL)中に溶解し、固体が溶解して明澄な溶液になるまで55℃に保った。次いで、この明澄な溶液をフィルターペーパーを通してろ過し、熱EtOAcで洗浄し、再結晶化のために放置した。1h後、白色の固体が結晶化し、それを溶液から分離して、所望のジサッカライド71を白色の固体(23g、81%)として得た。HRMS(ESI+) C
51H
54Cl
3NO
12SNa
+[M+Na]
+に対する計算値 1032.2330、実測値 1032.2423。
AcCl(40mL)を、71(18.87g、18.66mmol)のMeOH(200mL)及びDCM(200mL)中の混濁液に、0℃にて加えた。5分後、アイスバスを除き、rtに保って撹拌した。室温で3h撹拌した後、反応混合物をDCMで希釈し、水及びaq.NaHCO
3で洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、ロータリーエバポレータで濃縮して、所望の化合物72(18.09g、定量的)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
49H
52Cl
3NO
11SNa
+[M+Na]
+に対する計算値 990.2224、実測値 990.2301。
72(18.05g、18.6mmol)のアセトニトリル(370mL)中の懸濁液に、イミダゾール(3.56g、52.3mmol、2.8equiv.)及びTBDPSCl(7.2mL、28.0mmol、1.5equiv.)を加えた。5分後、反応混合物は完全に明澄となり、rtで30分撹拌したままにした。30分後、反応混合物をEtOAcで希釈し、塩水で洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。溶媒を除いた後、得られた粗製残渣を、酢酸エチル及びシクロヘキサンを溶出液として用いて、自動化シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物73(20.9g、93%)を固体として得た。HRMS(ESI+) C
65H
70Cl
3NO
11SSiNa
+[M+Na]
+に対する計算値 1228.3402、実測値 1228.3481。
73(18.69g、15.47mmol)のDCM(200mL)中の明澄な溶液に、Et
3N(19mL、139.0mmol、9.0equiv.)、酢酸無水物(4.4mL、46.4mmol、3.0equiv.)及びDMAP(0.189g、1.547mmol、0.1equiv.)を加え、rtで18h撹拌を続けた。18h後、反応混合物をDCMで希釈し、aq.NaHCO
3で洗浄した。分離した有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、濃縮した。溶媒を除いた後、得られた粗製残渣を、シリカゲル上の自動化フラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン-EtOAc)で精製して、所望の生成物74をフォーム(17.2g、89%)として得た。HRMS(ESI+) C
67H
72Cl
3NO
12SSiNa
+[M+Na]
+に対する計算値 1272.3478、実測値 1272.3530。
化合物16の合成について記載した手順を、化合物76の合成に使用した(2工程で60%)。HRMS(ESI+) C
82H
86O
17NNaCl
3
+[M+Na]
+に対する計算値 1574.5329、実測値 1574.5624。
化合物18の合成について記載した手順を、化合物77の合成に使用した(80%)。HRMS(ESI+) C
116H
122O
22N2Cl
3
+[M+NH
4]
+に対する計算値 2000.7565、実測値 2000.7588。
化合物19の合成について記載した手順を、化合物78の合成に使用した(80%)。HRMS(ESI+) C
116H
124O
22N
2Cl
3
+[M+NH
4]
+に対する計算値 2001.7711、実測値 2001.6469。
化合物28の合成について記載した手順を、化合物79の合成に使用した(79%)。HRMS(ESI+) C
177H
186O
34N
2Cl
6Na
+[M+Na]
+に対する計算値 3147.0689、実測値 3147.1184。
79のEtOAc中の明澄な溶液(2.0mM)に、Zn(100equiv.)、AcOH(100equiv.)、Ac
2Oを加え、反応混合物の撹拌を室温で20h続けた。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望のヘキササッカライド80(69%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
175H
188N
2O
32Si
+[M]
+に対する計算値 2858.2948、実測値 2858.3062。
化合物31の合成について記載した手順を、化合物81の合成に使用した(73%)。HRMS(ESI+) C
164H
180O
32N
2Si
+[M]
+に対する計算値 2718.2322、実測値 2718.2347。
化合物58の合成について記載した手順を、化合物82の合成に使用した(87%)。HRMS(ESI+) C
164H
181O
34N
2SiP
+[M-Et
3N]
+に対する計算値 2782.2036、実測値 2782.2077。
化合物59の合成について記載した手順を、化合物83の合成に使用した(88%)。HRMS(ESI+) C
169H
190O
35N
5SiP
+[M-Et
3N]
+に対する計算値 2910.2815、実測値 2910.2841。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物84の合成に使用した(90%)。HRMS(ESI+) C
153H
172O
35N5P
+[M-Et
3N]
+に対する計算値 2672.1638、実測値 2672.1759。
32からの化合物33の合成について記載した手順を、化合物33の合成に使用した(55%)。HRMS(ESI+) C
46H
82N
3PO
34
+[M-Na+2H]
+に対する計算値 1252.4551、実測値 1252.4574。
84のDCM中の溶液に、ジベンジル N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(2.0equiv.)及びジイソプロピルアンモニウム テトラゾリド(1.5equiv.)を加え、溶液をrtで2.5h撹拌した。次いで、t-ブチルペルオキシド(6.0equiv.、デカン中の5.0-6.0M溶液)を加え、反応混合物を1h撹拌した。1h後、反応混合物をDCMで希釈し、NaHCO
3飽和水溶液でクエンチした。水層をDCMで抽出した。有機層を合わせて塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上の自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0-100%EtOAc)で精製して、所望の生成物85(88%)を得た。HRMS(ESI+) C
167H
185O
38N
5P
2
+[M-Et
3N]
+に対する計算値 2932.2240、実測値 2932.2147。
Pd/C(20mg)を、85(20mg)のEtOAc:MeOH:H
2O:DCM中の明澄な溶液に加えた。得られた不均質な混合物を、水素雰囲気下、rtで40h撹拌した。40h後、反応混合物をPTFEフィルターを通してろ過し、ロータリーエバポレータのバス温度を30℃にして真空下で10min濃縮して、メタノール、EtOAc、DCM及び水を除いた。溶媒を除いた後、得られた粗生成物をMeOH、水中に溶解し、これにLiOH(2N水溶液)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で3h撹拌した。3h後、反応混合物をAcOHでクエンチし、溶媒を減圧下で除き、得られた粗製残渣を、水及びアセトニトリルを溶媒として用いてC18逆相カラムクロマトグラフィーで精製し、所望の最終化合物54を塩の形態で得た。次いで、トリエチルアミン塩をDowex樹脂で交換し、ナトリウム塩を有する所望の化合物(3工程で40%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
46H
83N
3P
2O
37
+[M-Na+H]
+に対する計算値 1332.4214、実測値 1332.4242。
化合物58の合成について記載した手順を、化合物86の合成に使用した(94%)。HRMS(ESI+) C
165H
203O
37N
7P
2
+[M-2xEt
3N+H]
+に対する計算値 2735.1318、実測値 2735.1356。
H-ホスホネート86(1.0equiv.)及びベンジルアルコール(10.0equiv.)をピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをpy中に溶解し、これにPivCl(5.0equiv.)を加えた。反応混合物の撹拌をrtで2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のPy:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を加え、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物87(86%)を粘性の液体として得た。Maldi(ESI+) C
160H
179N
5P
2O
38
+[M+H-2xEt
3N]
+に対する計算値 2842.1770、実測値 2842.1638。
Pd/C(20mg)を、87(20mg)のEtOAc:MeOH:H
2O:DCM中の明澄な溶液に加えた。得られた不均質な混合物を、水素雰囲気下、rtで40h撹拌した。40h後、反応混合物をPTFEフィルターを通してろ過し、ロータリーエバポレータのバス温度を30℃にして真空下で10min濃縮して、メタノール、EtOAc、DCM及び水を除いた。溶媒を除いた後、得られた粗生成物をMeOH、水中に溶解し、これにLiOH(2N水溶液)を0℃で加えた。反応混合物を0℃で3h撹拌した。3h後、反応混合物をAcOHでクエンチし、溶媒を減圧下で除き、得られた粗製残渣を、水及びアセトニトリルを溶媒として用いてC18逆相カラムクロマトグラフィーで精製し、所望の最終化合物54を塩の形態で得た。次いで、トリエチルアミン塩をDowex樹脂で交換し、ナトリウム塩を有する所望の化合物(3工程で70%)を白色の固体として得た。HRMS(ESI+) C
46H
83N
3P
2O
37
+[M-3Na+4H]
+に対する計算値 1332.4214、実測値 1332.4232。
A.6 ドデカサッカライド92の合成
化合物32の合成について記載した手順を化合物88の合成に使用した。唯一の変更は第2工程において、リンカーの代わりに化合物52を求核剤として使用したことである。
化合物52の合成について記載した手順を、化合物89の合成に使用した。
化合物33の合成について記載した手順を、化合物90の合成に使用した。
化合物53の合成について記載した手順を、化合物91の合成に使用した。
化合物33の合成について記載した手順を、化合物92の合成に使用した(60%)。HRMS(ESI+) C
87H
151N
5P
2O
67[(M-2Na+2H)/2]に対する計算値 1199.9019、実測値 1199.8950。
糖結合体36及び37の合成について記載した手順を、94及び95の合成に使用した。
A.7 ドデカサッカライド92の別の合成
H-ホスホネート58(1.2equiv.)及びアクセプター60(1.0equiv.)をピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをpy中に溶解し、これにPivCl(1.3equiv.)を加えた。反応混合物の撹拌をrtで3h続けた。3h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のPy:H
2O(250μL、20:1)中の新たに調製した溶液を加え、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物96(70%)を粘性の液体として得た。Maldi(ESI+) C
287H
325K
2N
7O
75P
2Si
+[M-2Et
3N+2K]
+に対する計算値 5237.0351、実測値 5237.718。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物97の合成に使用した(70%)。Maldi(ESI+) C
271H
309N
7O
75P
2
+[M]
+に対する計算値 4926.3745、実測値 4926.323。
化合物61の合成について記載した手順を、化合物98の合成に使用した(89%)。化合物54の合成について記載した手順を、化合物92の合成に使用した(60%)。HRMS(ESI+) C
87H
152N
5P
3NH
4O
70
-[(M+NH
4-2H)/2]
-に対する計算値 1247.8944、実測値 1247.8791。
A.8 ヘキササッカライド112の合成
MsCl及びピリジン(py)を、8のDCM中の明澄な溶液に0℃で加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いでDCMで希釈し、NaHCO
3水溶液で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮して、粗生成物を得た。残渣を自動化シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt)で精製して、化合物99を得た。
ヨウ化ナトリウムを、99の2-ブタノン中の明澄な溶液に加え、反応混合物を100℃で一晩撹拌した。次いで、溶媒を除き、粗製残渣をDCM中に溶解し、aq.NaHSO
3で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮して、ヨードメチル誘導体100を得た。このヨード誘導体を、新たに蒸留した亜リン酸トリメチル中に溶解し、この溶液を、真空下で(ウォータポンプ(water pump))100℃に48h加熱した。濃縮及びシリカゲルクロマトグラフィーの後に、ホスホネート誘導体101を得た。
TEA及びチオフェノールを、101のTHF中の明澄な溶液に加えた。反応混合物を室温で24h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をTEAで希釈し、濃縮して、粗製残渣を得、それをシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、102を得た。
ホスホネート102、リンカー及びトリフェニルホスフィンをTHF中に溶解し、溶液を0℃に冷却し、これにDIADを加えた。混合物を室温で24h撹拌した。24h後、溶液を濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、103を得た。
TEA及びチオフェノールを、103のTHF中の明澄な溶液に加えた。反応混合物を室温で24h撹拌した。出発物質が完全に消費された後、反応混合物をTEAで希釈し、濃縮して、粗製残渣を得、それをシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、104を得た。
ホスホネート誘導体104を、NaOMeのMeOH中の0.05M溶液に溶解し、rtにて10min撹拌した。次いで、反応混合物をAcOHでクエンチし、溶媒を減圧下で除いた。得られた粗製残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、105を得た。
A.8 ヘキササッカライド117の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物116を粘性の液体として得た。
A.9 ヘキササッカライド122の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物121を粘性の液体として得た。
反応を化合物33の合成及びTBS脱保護工程に従って行った。
A.10 ヘキササッカライド127の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物126を粘性の液体として得た。
反応を化合物33の合成及びTBS脱保護工程に従って行った。
A.11 ヘキササッカライド132の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物131を粘性の液体として得た。
反応を化合物33の合成及びTBS脱保護工程に従って行った。
A.12 ヘキササッカライド137の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物136を粘性の液体として得た。
反応を化合物33の合成及びTBS脱保護工程に従って行った。
A.13 ヘキササッカライド142の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物141を粘性の液体として得た。
反応を化合物33の合成及びTBS脱保護工程に従って行った。
A.14 ヘキササッカライド147の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物146を粘性の液体として得た。
反応を化合物33の合成及びTBS脱保護工程に従って行った。
A.15 ヘキササッカライド152の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物151を粘性の液体として得た。
反応を化合物33の合成及びTBS脱保護工程に従って行った。
SBAP(N-スクシンイミジル-3-(ブロモアセトアミド)プロピオネート)を、タンパク質のリン酸ナトリウムバッファー(NaPi、pH7.4)中の溶液に、撹拌下、室温で加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後膜ろ過により濃縮し、NaPi(pH8.0)中で再びバッファー化した。化合物152のNaPi中の溶液を、活性化タンパク質の上記溶液に加え、r.t.で16時間撹拌した。次いで、糖結合体を滅菌水で洗浄し、滅菌水中でl-システインにより処理した。糖結合体の精製は膜ろ過により行った。
A.16 ヘキササッカライド157の合成
H-ホスホネート58及びリンカーをピリジンと共蒸発させ、真空下で30min乾燥した。その後、それをピリジン中に溶解し、これにPivClを加えた。反応混合物の撹拌をr.t.で2h続けた。2h後、反応液を-40℃に冷却し、I
2のピリジン:H
2O(20:1)中の新たに調製した溶液を添加し、反応混合物を同じ温度にて1.5h撹拌し続け、後にrtとし、rtにて15min撹拌した。次いで、TEAB(10mL)を混合物に加え、ジクロロメタンで希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、1M炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液(TEAB)で順次洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、溶出液としての2%トリメチルアミンとともに自動化フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:DCM:MeOH)で精製して、所望の生成物156を粘性の液体として得た。
反応を化合物33の合成及びTBS脱保護工程に従って行った。
A.17 オクタデカサッカライド162、163、164及び165の合成
化合物32の合成について記載した手順を、化合物161の合成に使用した。唯一の変更は第2工程において、リンカーの代わりに化合物89を求核剤として使用したことである。
化合物162を、化合物161から、化合物89について記載した通りに(TBDPS保護基の除去)、その後化合物90について記載した通りに合成した。
化合物163を、化合物161から、化合物89について記載した通りに(TBDPS保護基の除去)、その後化合物91及び92について記載した通りに合成した。
ホスホネート化合物164を化合物162について記載した通りに合成した。
ホスホネート化合物165を化合物163について記載した通りに合成した。
A.18 オクタデカサッカライド162及び163の別の合成
化合物86の合成について記載した手順を、化合物166の合成に使用した。
化合物96の合成について記載した手順を、化合物167の合成に使用した。
化合物162を化合物167から化合物33について記載した通りに合成した。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物168の合成に使用した。
化合物86の合成について記載した手順を、化合物169の合成に使用した。
化合物87の合成について記載した手順を、化合物170の合成に使用した。
化合物163を化合物170から化合物54について記載した通りに合成した。
A.19 テトラコササッカライド(tetracosasaccharides)172及び173の合成
化合物172はドデカサッカライド89から合成し、化合物88について記載した手順に従いドデカサッカライド171に結合させ、次いで化合物89について記載したTBDPS基の脱保護、その後に化合物90について記載した完全な脱保護を行った。
化合物173はドデカサッカライド89から合成し、化合物88について記載した手順に従いドデカサッカライド171に結合させ、次いで化合物89について記載したTBDPS基の脱保護、化合物91について記載したリン酸化、さらに化合物92について記載した完全な脱保護を行った。
A.20 テトラコササッカライド172及び173の別の合成
化合物96の合成について記載した手順を、化合物174の合成に使用した。
化合物172を化合物174から化合物33について記載した通りに合成した。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物175の合成に使用した。
化合物86の合成について記載した手順を、化合物176の合成に使用した。
化合物87の合成について記載した手順を、化合物177の合成に使用した。
化合物173を化合物177から化合物54について記載した通りに合成した。
A.21 トリアコンタサッカライド(triacontasaccharides)179及び183の合成
化合物96の合成について記載した手順を、化合物178の合成に使用した。
化合物179を化合物178から化合物33について記載した通りに合成した。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物180の合成に使用した。
化合物86の合成について記載した手順を、化合物181の合成に使用した。
化合物87の合成について記載した手順を、化合物182の合成に使用した。
化合物183を化合物182から化合物54について記載した通りに合成した。
A.22 ヘキサトリアコンタササッカライド(hexatriacontasasaccharides)186及び187の合成
化合物185は、オクタデカサッカライド161から合成し、化合物89に記載した手順に従って、オクタデカサッカライド161よりTBDPS保護基を選択的に除去した。その後、TBDPS脱保護トリサッカライドを化合物184と反応させて、サッカライド185を得た。
化合物186はサッカライド185から合成し、サッカライド185を、化合物89(TBDPS保護基の除去)、次いで化合物90(TBDPS保護基の除去)について記載した手順に従って変換した。
化合物187はサッカライド185から合成し、サッカライド185を、化合物89について記載した手順(TBDPS保護基の除去)、化合物91について記載したリン酸化、さらに化合物92について記載した完全な脱保護に従って変換した。
A.23 ヘキサトリアコンタササッカライド186及び187の別の合成
化合物96の合成について記載した手順を、化合物188の合成に使用した。
化合物186を化合物188から化合物33について記載した通りに合成した。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物189の合成に使用した。
化合物86の合成について記載した手順を、化合物190の合成に使用した。
化合物87の合成について記載した手順を、化合物191の合成に使用した。
化合物187を化合物191から化合物54について記載した通りに合成した。
A.24 オリゴサッカライド193及び197の合成
化合物96の合成について記載した手順を、化合物192の合成に使用した。
化合物193を化合物192から化合物33について記載した通りに合成した。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物194の合成に使用した。
化合物86の合成について記載した手順を、化合物195の合成に使用した。
化合物87の合成について記載した手順を、化合物196の合成に使用した。
化合物197を化合物196から化合物54について記載した通りに合成した。
A.25 オリゴサッカライド199及び203の合成
化合物96の合成について記載した手順を、化合物198の合成に使用した。
化合物199を化合物198から化合物33について記載した通りに合成した。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物200の合成に使用した。
化合物86の合成について記載した手順を、化合物201の合成に使用した。
化合物87の合成について記載した手順を、化合物202の合成に使用した。
化合物203を化合物202から化合物54について記載した通りに合成した。
A.26 オリゴサッカライド205及び209の合成
化合物96の合成について記載した手順を、化合物204の合成に使用した。
化合物205を化合物204から化合物33について記載した通りに合成した。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物206の合成に使用した。
化合物86の合成について記載した手順を、化合物207の合成に使用した。
化合物87の合成について記載した手順を、化合物208の合成に使用した。
化合物209を化合物208から化合物54について記載した通りに合成した。
A.27 オリゴサッカライド211及び215の合成
化合物96の合成について記載した手順を、化合物210の合成に使用した。
化合物211を化合物210から化合物33について記載した通りに合成した。
化合物60の合成について記載した手順を、化合物212の合成に使用した。
化合物86の合成について記載した手順を、化合物213の合成に使用した。
化合物87の合成について記載した手順を、化合物214の合成に使用した。
化合物215を化合物214から化合物54について記載した通りに合成した。
B. 安定性試験
化合物33中のリン酸結合のNaOHによる開裂
次に、本発明の化合物の安定性を試験し、評価した。課題は化合物33、54、90、92、112、117、162、163、164、165、172及び173が製剤条件下でどの程度安定かを調べることであった。アルハイドロゲル、PBSバッファー及び水中における安定性に先立って、化合物33を室温にて0.1M水酸化ナトリウムで処理した。化合物33は、高度な塩基性条件下でのみ非常にゆっくりと開裂することが見出された。しかしながら、これらの厳しい条件下で4日後においてさえ(200μL中に10μgの33)、化合物33の50%のみが開裂し、なお50%の化合物33が損なわれていないことがHPLCクロマトグラムで観察された(図6及び7)。
PBS中のアルハイドロゲル、PBS及び水に対する化合物33の安定性:
次に、製剤条件下における化合物33の安定性を調べた。各製剤バイアルは、i) PBS中のアルハイドロゲル、又はii) PBSのみ、又はiii) 水中に30μgの33を有する(溶液全体の体積は500μLである。)。本明細書において、NaPiはPBSの同義語として使用される。0.6mgのアルミニウムを含む60μLのアルハイドロゲルを各実験に対して使用した。これらの3種の製剤溶液を37℃、25℃及び2-8℃で14日間維持した。24hごとに、37℃、25℃及び2-8℃における各バイアルi) PBS中のアルハイドロゲル ii) PBSのみ、及びiii) 水、から50μLの溶液を採取し、HPLCで分析した(図8、9、10)。これらの試験より、化合物33は2℃から37℃までの全温度範囲にわたって安定であることが明らかである。図8は、2-8℃における4日後の、図9は2-8℃における14日後の、図10は25℃における4日後の、図11は25℃における14日後の、図12は37℃における4日後の、図13は37℃における14日後の安定性を示す。
上記したように、Clostridium difficileの天然ポリサッカライド PSIIと比較して、化合物33、54、90、92、112、117、162、163、164、165、172及び173は製剤条件下で十分に安定であることが見出された。
以下に示すようなヘキサグリコシルホスフェート繰り返し単位からなるClostridium difficileの天然ポリサッカライドPSIIは、
NaOH処理下で安定ではなく、酢酸等の酸条件下で安定ではなく、さらに2-8℃、25℃及び37℃において溶液中で安定でないことも見出された。これらの条件下で、天然PSIIは速やかに分解し、分解産物はもはや免疫学的効果を誘導しないことが見出された。
従って、上記の安定性試験により、本発明の化合物は、天然PSIIがワクチンとしてもはや有用ではないフラグメントに分解する条件下で安定であることが明確に示され、本明細書に開示した化合物は溶液中で安定であり、凍結乾燥及び再溶解、低温貯蔵する必要がなく、従って高価なコールドチェーンシステムを適用した生産及び輸送を要しない。
C. 生物学的実験
SDS-PAGE分析
試料を微量遠心管内で混合し、サーモサイクラー(thermocycler)上で95℃にて5min加熱した。室温に5min冷却した後、約2,5μgの試料を10%ポリアクリルアミドゲルの各ウェルに10μLのマーカーとともにロードした。試料を120Vの一定電圧で1h流した。製造者取扱説明書に基づいて、GelCode(登録商標) Blue Safe Protein Stainを用いて染色を行った。ゲルを脱イオン水で一晩洗浄し、ゲル撮影装置(gel documentation system)を用いてスキャンした。
糖結合体のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
免疫化試験に使用した糖結合体をSECで分析し、結合及び非結合CRMタンパク質の間の質量の相違を観察した。試料を50mM Tris、20mM NaCl、pH7,2で希釈し、Tosoh TSK G2000カラム(SWxl、7.8mmx30cm、5μm)及びTosoh TSKgel(登録商標)Guardカラム(SWxl 6.0mmx4cm、7μm)を装備したAgilent 1100 HPLCシステム上に流した。流速は1mL/minに維持した。
糖結合体の製造
C.difficile PS-II合成抗原を、免疫化実験のために担体タンパク質CRM197に、及び、ELISA用のコート抗原としてウシ血清アルブミン(BSA)に結合させた(A. 化学合成を参照されたい。)。使用に先立って、得られた結合体を0.2μMのメンブレンフィルターを用いて滅菌ろ過した。結合体をMALDI分析により分析した。担体タンパク質上へのサッカライドのロードを、MALDI分析を用いて、結合及び非結合タンパク質の間の質量を差し引くことにより具体的に算出した。タンパク質量をmicro BCA法を用いて製造者プロトコルに従って推定した。
糖結合体36(33-CRM197)、56(54-CRM197)及び94(92-CRM197)の定性分析
免疫化試験に使用するC.difficile抗原糖結合体36、56及び94を、結合効率及び抗原含量について分析した。糖結合体のMALDI-TOF MS分析により結合効率が良好であることが明らかになった。結合及び非結合CRM197タンパク質間の質量差から、CRM197分子当たり約7.5(56)及び約5(94)抗原のロードであった。
糖結合体を10%SDS-PAGE及びSECによっても分析し、これにより非結合体化CRM197タンパク質と比較した明確な質量のシフトが明らかになった(図24及び25)。
免疫化試験
試験I-ウサギに免疫化したC.diff抗原PS-IIの半合成糖結合体の免疫学的評価
1. 本試験の目的:
C.diff抗原PS-II半合成CRM197結合体ワクチン36で免疫化したウサギにおけるIgG抗体応答の評価
2. 材料:
- ELISAプレート(高結合能(high-binding)、EIA/RIA Plate、96ウェル、低蒸発蓋(low evaporation lid)付平底、会社:costar(登録商標)3361)
- 検出抗体:ヤギ抗ウサギIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(Sigma、#A4914)
- ブロッキング溶液:PBS中の1%FCS(v/v)
- 抗体希釈液:PBS+1%BSA(w/v)。
- 洗浄バッファー:PBS+0.1%Tween 20(PBS-T)
- 発色液(Developing solution):1step(登録商標)Ultra TMB-ELISA developer(ThermoScientific、Cat#:34028)
- 反応停止液(Stop solution):2M硫酸(H2SO4)
- プレートリーダー:Anthos ht2。
- ソフトウェア:吸収測定にはWinRead2.36、データのプロット及び分析にはGraphPad Prism7。
- 不完全フロイントアジュバント(IFA)。InvivoGen;Cat:vac-ifa-10、Batch#:IFA-39-03;Exp Dt:Sept2019
- QuantiPro(登録商標) BCA Assay Kit(SIGMA) Product:QPBCA-1KT;Lot#:SLBR7451V;Pcode:1002296464
3. 方法:
免疫化用ワクチンの調合
C.difficile PS-II糖結合体36を、ウサギにおける免疫化のために不完全フロイントアジュバント(IFA)中に調合した。Invivogenの不完全フロイントアジュバント(IFA)を、ウサギ免疫化試験用のワクチンの調合に使用した。製造はプロトコルに従った。抗原:IFA濃度は1:1に維持した。動物当たりの抗原用量は2.5μg/200μL/動物に維持した(100μLの抗原+100μL IFA)。IFAを所望の算出体積で(最終免疫化体積の50%)15mL滅菌falcon中に取った。希釈抗原溶液の算出量(体積はPBSで最終免疫化体積の50%に調整した)を20Gニードルを装着した3mL滅菌シリンジ中に取った。DS溶液をIFAを含むfalconに加え、すぐに15sec(5X)ボルテックスした。ボルテックス中に調合液の色が薄黄色から乳白色に変化し、安定な乳濁液が形成されたことがわかる。得られたワクチン調合物を短時間ボルテックスし、2mL滅菌チューブ内に所望の用量体積で小分けした。免疫化に先立って、ワクチン調合物を含むチューブをボルテックスし、次いで動物に注射した。
免疫化スケジュール
ウサギの免疫化は特定病原菌除去条件下で行い、餌と水は自由摂取させた。ウサギ(n=4)を200μL/ウサギの注入体積でワクチン調合物で皮下注射により免疫化した。ウサギ用の抗原用量は2.5μg/動物のPS-II抗原又は対応する体積のネガティブコントロール用PBSに維持した。ウサギをデイ(day)0、14及び35に免疫化した。デイ0、7及び42に血液を採取し、抗体力価の決定に用いた。
4. インハウス抗原コートプレートを用いた血清の酵素結合免疫吸着測定(ELISA)
抗原によるプレートのコート
抗原-BSA結合体をコート抗原として使用した。抗原-BSA結合体を、5μg/mLの濃度でリン酸緩衝食塩水(PBS)、pH7.4中に溶解した。ウェル当たり100μLをコートし、4℃で一晩インキュベートして、0.5μg/ウェルの抗原濃度を得た。
洗浄
抗原を一晩吸着させた後、プレートをPBS-T(200μL/ウェル)で1回洗浄し、各ウェルの余分の液体を、プレートを逆さまにし、清潔な乾燥ティッシュタオル上で軽く叩くことにより除いた。
ブロッキング
プレートを、200μLの市販のブロッキング溶液を用いてブロックし、RTにて2hインキュベートした。
洗浄
ブロッキングの後、プレートをPBS-T(200μL/ウェル)で3回洗浄し、各ウェルの余分の液体を、プレートを逆さまにし、清潔な乾燥ティッシュタオル上で軽く叩くことにより除いた。
血清の希釈及びインキュベーション
異なる実験群の異なる時点からのプール血清(n=4ウサギ)を抗体希釈液(PBS+1%BSA)中に希釈し、それらの各希釈液とした。異なる実験群の希釈血清試料100μLを重複して対応するウェルに加え、振とう器を250rpmに設定してRTで2hインキュベートした。100μL/ウェルの抗体希釈液(PBS+1%BSA)を実験ブランクとした。血清とともにインキュベーションした後、プレートをPBS-T(200μL/ウェル)で4回洗浄し、各ウェルの余分の液体を、プレートを逆さまにし、清潔な乾燥ティッシュタオル上で軽く叩くことにより除いた。
インキュベーション(検出抗体)
対応する検出抗体、抗ウサギIgG HRPコンジュゲートを抗体希釈液(PBS+1%BSA)で1:10,000希釈し、100μL/ウェルで加え、振とう器を250rpmに設定してRTで1hインキュベートした。検出抗体とともにインキュベーションした後、プレートをPBS-T(200μL/ウェル)で5回洗浄し、各ウェルの余分の液体を、プレートを逆さまにし、清潔な乾燥ティッシュタオル上で軽く叩くことにより除いた。
基質の添加
各ウェルに、100μLの(4℃から室温化した)既製のTMB基質を加え、暗所で15minインキュベートした。酵素反応を50μL/ウェルの2M H2SO4溶液を加えることにより停止し、青色の反応液が黄色の溶液となった。黄色の溶液の吸収をプレートリーダーを用いて450nmで測定した。
結果
吸収値をGraphpad Prismソフトウェアを用いてグラフにプロットすることにより分析した。
ELISAデータは、C.difficile PS-II結合体36で免疫化したウサギの血清が対応する抗原を認識することを明確に示している(図15を参照されたい。)。
試験II-ウサギ及びマウスに免疫化したC.diff抗原PS-IIの半合成糖結合体の免疫学的評価
1. 本試験の目的:
C.diff抗原PS-II半合成CRM197結合体ワクチン56及び94で免疫化したウサギおよびマウスにおけるIgG抗体応答の評価
2. 材料:
- ELISAプレート(高結合能、EIA/RIA Plate、96ウェル、低蒸発蓋付平底、会社:costar(登録商標)3361)
- 検出抗体:ヤギ抗ウサギIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(Sigma、#A4914)及び抗ヒトIgG(H+L)-HRP、Nordic Immunology、Lot#:6276
- ブロッキング溶液:Roche、Ref:11112589001;Lot:21495200、Exp.Dt:July 2019。
- 抗体希釈液:PBS+1%BSA(w/v)
- 洗浄バッファー:PBS+0.1%Tween 20(PBS-T)
- 発色液:1step(登録商標)Ultra TMB-ELISA developer(ThermoScientific、Cat#:34028)
- 反応停止液:2M硫酸(H2SO4)
- プレートリーダー:Anthos ht2
- ソフトウェア:吸収測定にはWinRead2.36、データのプロット及び分析にはGraphPad Prism7
- アラム:水酸化アルミニウムゲルアジュバント(アルハイドロゲル2%)、Brenntag、Batch#:5447 Exp Dt:Feb 2020
- QuantiPro(登録商標) BCA Assay Kit(SIGMA) Product:QPBCA-1KT;Lot#:SLBR7451V;Pcode:1002296464
- Mini-PROTEAN(登録商標)TGX(登録商標)Gels-10%、10ウェル(30μL/ウェル)Control Nr:64175708
- Precision Plus Dual Color、Cat:1610374;Control Nr:641798899
- Gel Code(登録商標)Blue Safe Protein Stain;ThermoScientific;Ref:1860957;Lot#:TA260266
- 菌株630(tgc BIOMICS Lot#:630-43411)及びR20291(tgc BIOMICS Lot#:R20291-43559)に対するC.diffコートELISAプレート Exp.Dt:05/2020。
- C.diff陽性患者の血漿。
3. 方法
水酸化アルミニウム(アラム)アジュバント中の免疫化用ワクチンの調合
すべての調合物は無菌条件下で製造した。糖結合体56及び94(薬剤物質;DS)及びPBSは、予め算出した適切な比率で50mLFalcon(登録商標)チューブ内において混合し、これは必要とされるアラム(0.25mg/mL)の体積を除いた最終的な調合物の体積に相当する。これによりDS-PBS混合物が形成された。動物当たりの抗原/DS用量は、2.5μg/500μL/動物若しくは10μg/500μL/動物(ウサギを用いた試験)又は0.5μg/100μL/動物若しくは2μg/100μL/動物(マウスを用いた試験)に維持した。DS-PBS混合物をセロロジカルピペット(serological pipette)を用いて穏やかに混合した(5X)。このDS-PBS混合物に、対応する体積のストックアラム(10mg/mL)を加えて、1:40又は0.250mg/mLの最終アラム比とした。この混合物を、5mLセロロジカルピペットを用いて穏やかにピペッティングすることにより(20X)、速やかに混ぜた。Falcon(登録商標)チューブに蓋をし、Parafilm(登録商標)で包み、振とう器を250rpmに設定して室温(RT)で2h混ぜた。2hのインキュベーション時間の後、調合物をクリーンベンチ内で小分けし、さらなる使用まで4℃で貯蔵した。アラム中で調合した糖結合体を定性分析し、調合物の最終アラム濃度及びpHを決定した。
免疫化スケジュール
マウス及びウサギの免疫化は特定病原菌除去条件下で行い、動物には餌と水を自由摂取させた。マウス(n=試験アーム当たり7又は8)及びウサギ(試験アーム当たりn=4)を100μL/マウス及び500μL/ウサギの注入体積で異なる抗原用量を用いてワクチン調合物により皮下注射により免疫化した。マウスをデイ0、14及び28に免疫化し、血液をデイ21及び35に採取した。ウサギはデイ0、14、28及び77に免疫化し、デイ0、7、21,35、77及び84に血液を採取した。血液試料から血清を調製し、血清抗体分析に用いた。
4. インハウス抗原コートプレートを用いた血清の酵素結合免疫吸着測定(ELISA)
抗原によるプレートのコート:
結合体54-BSA及び92-BSAをコート抗原として使用した。各結合体を、リン酸緩衝食塩水(PBS)、pH7.4で5μg/mLの濃度に希釈した。ウェル当たり100μLをコートし、4℃で一晩インキュベートして、0.5μg/ウェルの抗原濃度を得た。単離したPS-IIポリサッカライドのコートについては、ポリサッカライドを10mMのイミダゾールを含むPBSで50μg/mLに希釈し、ウェル当たり100μLを50℃で5時間コートした。
洗浄
抗原を吸着させた後、プレートをPBS-T(200μL/ウェル)で1回洗浄し、各ウェルの余分の液体を、プレートを逆さまにし、清潔な乾燥ティッシュタオル上で軽く叩くことにより除いた。
ブロッキング
プレートを、200μLの市販のブロッキング溶液を用いてブロックし、RTにて2hインキュベートした。
洗浄
ブロッキングの後、プレートをPBS-T(200μL/ウェル)で3回洗浄し、各ウェルの余分の液体を、プレートを逆さまにし、清潔な乾燥ティッシュタオル上で軽く叩くことにより除いた。
血清の希釈及びインキュベーション:
異なる実験群の異なる時点からのプール血清(n=4ウサギ又は7-8マウス/群)を抗体希釈液(PBS+1%BSA)中に希釈し、それらの各希釈液とした。異なる実験群の希釈血清試料100μLを重複して対応するウェルに加え、振とう器を250rpmに設定してRTで2hインキュベートした。競合ELISA実験のために、ELISAプレートに加える前に、希釈血清を、10又は50μgの単離したPS-IIポリサッカライド又はPBSとともにアイス上で30minインキュベートした。100μL/ウェルの抗体希釈液(PBS+1%BSA)を実験ブランクとした。血清とともにインキュベーションした後、プレートをPBS-T(200μL/ウェル)で4回洗浄し、各ウェルの余分の液体を、プレートを逆さまにし、清潔な乾燥ティッシュタオル上で軽く叩くことにより除いた。
検出抗体とのインキュベーション:
対応する検出抗体、抗ウサギ又は抗マウスIgG HRPコンジュゲートを抗体希釈液(PBS+1%BSA)で1:10,000希釈し、100μL/ウェルで加え、振とう器上で250rpmにてRTで30minインキュベートした。検出抗体とともにインキュベーションした後、プレートをPBS-T(200μL/ウェル)で5回洗浄し、各ウェルの余分の液体を、プレートを逆さまにし、清潔な乾燥ティッシュタオル上で軽く叩くことにより除いた。
基質の添加:
各ウェルに、100μLの(4℃から室温化した)既製のTMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)基質を加え、暗所で15minインキュベートした。酵素反応を50μL/ウェルの2M H2SO4溶液を加えることにより停止し、青色の反応液が黄色の溶液となった。黄色の溶液の吸収をプレートリーダーを用いて450nmで測定した。
結果:
吸収値をGraphPad Prismソフトウェアを用いてグラフにプロットすることにより分析した。
5. 市販のプレコートプレートを用いた血清の酵素結合免疫吸着測定(ELISA)
この手順は、コーティング工程を割愛したことを除いては、上記のELISAプロトコルと同一であった。
結果:
免疫化したウサギからの血清IgGは、免疫原(図20)、単離したPS-IIポリサッカライド(図19B及び19C)並びにC.difficile株630(図16及び17)、R20291(図18)及びVPI10463(図19A)を認識する。免疫化したマウスからの血清IgGは、各免疫原(図23)並びにC.difficile株630(図21)及びR20291(図22)を認識する。
本明細書に記載したデータは、本発明の結合体、特に結合体56及び94で免疫化した後、本発明のオリゴサッカライドに対する、並びに、単離された及び細菌の表面上の天然C.difficile PS-IIポリサッカライドに対する機能性抗体がウサギ及びマウスにおいて誘導されたことを示す。これらの知見は、C.difficileによる感染に対する保護を付与するこれらの抗体の能力を示すものである。
ELISAデータはさらに、本発明の結合体は免疫原性を有し、高い抗体力価を誘導することを証明している。従って、ELISA分析は、本発明のサッカライドがウサギ及びマウスにおいて免疫原性を有し、交差反応性抗体を生成させることを示している。