以下、本発明の実施の形態に係る技能評価システム及び技能評価方法について説明する。図1は、実施の形態に係る技能評価システムの全体構成を示すブロック図である。前記技能評価システムは、サーバ10を備える。当該サーバ10は、通信路NT1を介して発注者端末20、マスター30及びスレーブ40のそれぞれに対して相互に通信可能に接続されている。
前記マスター30は、建設機械50を遠隔操作する遠隔操作装置の一例である。前記サーバ10は、前記マスター30を用いて前記建設機械50を遠隔操作するオペレータの運転技能を評価するための装置である。前記発注者端末20は、作業発注者が遠隔操作による前記建設機械50の作業をオペレータに発注するための装置である。
前記スレーブ40は、建設機械50の操縦席に配置され、マスター30が受け付けた操作量に基づいて建設機械50の操縦席に設けられた操作レバーを操作する従操作装置を備える。前記スレーブ40は、いわばオペレータのダミーとなって建設機械50を操作する機械である。建設機械50は、油圧ショベル、油圧クレーン等の遠隔操作対象となる建設機械である。
前記通信路NT1は、例えば、インターネット、携帯電話通信網等の長距離情報通信網により構成される。前記マスター30及び前記スレーブ40は、通信路NT2を介して相互に通信可能に接続されている。前記通信路NT2は、通信路NT1と同様の前記長距離情報通信網により構成される。また、前記通信路NT2は、例えば、特定省電力無線、ブルーツース(登録商標)、無線LAN(Wireless Local Area Network)などのように、前記マスター30及び前記スレーブ40を数十m~数百m程度の距離で無線通信させることが可能な通信網により構成されていてもよい。但し、これらの通信路は一例であり、前記通信路NT1及び通信路NT2の少なくとも一方は例えば有線通信網であってもよい。
図2は、前記技能評価システムのマスター30の概要を示す図である。図1及び図2に示すように、前記マスター30は、マスター制御部301と、情報記憶部302と、表示部303と、操作部304と、通信部305と、を備える。
前記マスター制御部301は、例えば、CPU等のプロセッサで構成され、前記マスター30の全体制御を司る。具体的に、例えば、前記マスター制御部301は、作業実績情報及び事象情報を取得するとともに、取得した作業実績情報及び事象情報を前記情報記憶部302に記憶させる。前記作業実績情報は、前記オペレータが前記マスター30を用いて前記建設機械50を遠隔操作した作業実績に関する情報であり、前記事象情報は、前記オペレータが行う遠隔操作による前記建設機械50の作業中に判明する事象であって当該作業の効率に影響を与える効率影響事象に関する情報である。言い換えると、前記効率影響事象は、建設機械50の作業の開始前に作業発注者が予め把握することができない事象であってその作業の効率に影響を与える事象である。
オペレータが前記マスター30を用いて前記建設機械50を遠隔操作する場合、前記マスター制御部301は、オペレータにアクセスコードの入力を要求し、入力されたアクセスコードを用いて認証処理を行い、認証を許可した場合、オペレータによる遠隔操作を許可する。一方、前記マスター制御部301は、前記認証を許可しなかった場合、オペレータによる遠隔操作を許可しない。ここで、マスター30及びスレーブ40はそれぞれ図略のメモリーにアクセスコードを記憶している。前記マスター制御部301は、入力されたアクセスコードがメモリーに記憶されたアクセスコードと一致する場合、前記スレーブ40に前記通信部305を介してアクセスコードを送信する。前記スレーブ40は、送信されたアクセスコードがメモリーに記憶されたアクセスコードと一致する場合、マスター30に許可応答を送信する。前記マスター制御部301は、許可応答が通信部305で受信された場合、通信部305にスレーブ40との通信接続を確立させる。以後、前記マスター制御部301は、オペレータが操作部304に対して操作を入力する都度、入力された操作量を、通信部305を介してスレーブ40に送信して、スレーブ40を動作させる。このことは、オペレータがマスター30の操作部304を操作して建設機械50の作業を行うことを可能にする。なお、前記アクセスコードは、例えば、後述するオペレータIDであってもよく、当該オペレータIDとは別に設定されたパスワードであってもよい。
前記マスター制御部301は、前記建設機械50の作業が終了すると、当該作業の作業実績に関する前記作業実績情報、及び前記事象情報を、通信部305を介してサーバ10に送信する。
前記表示部303は、液晶ディスプレイ等の表示装置で構成され、建設機械50の周囲画像を表示する。図2に示すように、前記マスター30は、オペレータが着座するシート31をさらに備え、前記表示部303は、当該シート31の前方に配置されている。
前記操作部304は、前記オペレータの操作を受ける装置である。前記操作部304は、建設機械50の操縦席に設けられた操作レバーと同様の操作レバーを有する。具体的には、操作部304は、前後方向及び/又は左右方向に傾倒可能な複数の操作レバーを有する。オペレータがある操作レバーを傾倒させると、その傾倒量に応じた操作量が通信路NT2を介してスレーブ40に送信され、スレーブ40はオペレータによって傾倒された操作レバーに対応する建設機械50の操作レバーをその操作量に応じて傾倒させる。これにより、オペレータは、表示部303に表示された前記周囲画像を見ながら、前記操作部304の操作レバーを操作して建設機械50を遠隔操作することができる。
前記通信部305は、マスター30を通信路NT1及び通信路NT2に接続するための通信装置で構成されている。
前記サーバ10は、CPU等のプロセッサとメモリーと通信機能とを備えるコンピュータで構成される。図1に示すように、前記サーバ10は、通信部11(取得部の一例)と、提示部12と、技能レベル算出部13と、禁止部14と、データベース管理部15と、データベースと、を備える。本実施の形態では、当該データベースは、オペレータデータベース16と、作業実績データベース17と、事象データベース18と、作業スケジュールデータベース19と、を含む。図1に示す各種データベースはサーバ10が備えるメモリーに記憶されている。また、図1において、提示部12、技能レベル算出部13、禁止部14及びデータベース管理部15のそれぞれの機能は、CPUが前記メモリーに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
前記通信部11は、例えば、前記サーバ10を通信路NT1に接続させる通信装置で構成され、前記マスター30からマスター情報を受信する。前記マスター情報は、前記作業実績に関する前記作業実績情報と、前記効率影響事象に関する前記事象情報と、を含む。また、前記通信部11は、前記発注者端末20から発注者情報を受信する。前記発注者情報は、前記建設機械50の作業の予定に関する作業予定情報を含む作業スケジュール情報と、前記発注者端末20からあるオペレータの技能レベルを問い合わせる問い合わせ要求と、を含む。
前記提示部12は、前記技能レベルを前記発注者端末20に提示する。具体的に、前記通信部11が前記発注者端末20からの前記問い合わせ要求を受信すると、前記提示部12は、該当するオペレータの技能レベルをオペレータデータベース16から読み出し、前記通信部11を介して前記発注者端末20に送信する。また、前記提示部12は、後述する前記技能レベル算出部13により技能レベルが算出された場合、その技能レベルを、通信部11を介してマスター30に送信する。
前記技能レベル算出部13は、前記発注者端末20から送信された前記作業スケジュール情報に含まれる前記作業予定情報と、前記マスター30から送信された前記作業実績情報及び前記事象情報と、を含む評価情報に基づいて、オペレータの技能レベルを算出する。当該技能レベルの算出の詳細については後述する。
前記データベース管理部15は、前記通信部11がマスター30から前記マスター情報を受信するとそのマスター情報を前記作業実績データベース17及び前記事象データベースの何れかに記憶させる。具体的に、前記データベース管理部15は、受信された前記マスター情報が前記作業実績情報である場合、その作業実績情報を作業実績データベース17に記憶させる。また、前記データベース管理部15は、受信された前記マスター情報が前記事象情報である場合、その事象情報を前記事象データベースに記憶させる。また、前記データベース管理部15は、前記通信部11が前記発注者端末20から前記作業スケジュール情報を受信するとその作業スケジュール情報を前記作業スケジュールデータベース19に記憶させる。
前記作業実績データベース17は、サーバ10にエントリーされた複数のオペレータのそれぞれの作業実績情報を記憶する。すなわち、前記作業実績データベース17は、オペレータと、そのオペレータの作業実績情報と、を対応づけて作成されたデータベースであり、オペレータの作業実績を作業履歴として記憶するデータベースである。あるオペレータが複数の作業実績を有する場合には、前記作業実績データベース17は、そのオペレータについて、前記複数の作業実績にそれぞれ対応する複数の作業実績情報を記憶している。
図3は、作業実績データベース17に記憶された作業実績情報の一例を示す図である。図3に示す具体例では、作業実績データベース17に記憶される作業実績情報は、オペレータIDと、現場名と、作業内容と、機械情報と、実作業時間と、実作業量と、実燃費と、を含む。
前記オペレータIDは、前記サーバ10にエントリーされた各オペレータを一意的に識別するための識別情報である。
前記現場名は、実際に作業が行われた現場を特定するための情報である。
前記建設機械50の作業の作業内容は、例えば、「掘削及び積込作業」、「平地整地作業」、「平地整形作業」、「のり面整地作業」、及び「のり面整形作業」を含む。前記掘削及び積込作業は、土、地盤、及び岩盤を掘り、ダンプカーに積み込む作業である。前記平地整形作業は、地面の凹凸を取り除き、平らな地面を作る作業である。前記平地整地作業は、前記平地整形によって整形された平地を整える作業である。前記のり面整形作業は、切土又は盛土により作られる人工的な斜面であるのり面を整形する作業である。前記のり面整地作業は、前記のり面整形作業によって整形されたのり面を整える作業である。なお、これらの作業内容は一例にすぎず、前記建設機械50の作業は、他の作業内容を含んでいてもよい。
前記機械情報は、作業において実際に使用された建設機械50の種別、機種、作業装置の種類、先端アタッチメントの種類などの情報を含む。図4は、前記建設機械50の種別、前記建設機械50の機種、前記建設機械50における作業装置の種類、及び前記建設機械50における先端アタッチメント(先端ATT)の種類を纏めた表である。表4Aに示すように、本実施の形態では、前記建設機械50の種別は、「バックホウ」、「ブルドーザ」、「グレーダ」などに区分されている。表4Bに示すように、本実施の形態では、前記建設機械50の機種は、「SK125」、「SK200」、「SK250」、・・・などに区分されている。これらの機種は、型番の数値が大きくなる程、最大掘削力が大きくなる。表4Cに示すように、本実施の形態では、前記作業装置の種類は、「標準」、「ロングレンジ」、「セパレート」、「3つ折れ」、「ショートアーム」の5つに区分されている。表4Dに示すように、本実施の形態では、先端アタッチメントの種類は、「バケット」、「回転グラップル」、「機械式グラップル」、「小割ニブラ」、「大割ニブラ」の5つに区分されている。
前記実作業時間は、オペレータの遠隔操作による前記建設機械50の作業が実際に行われた時間である。当該実作業時間は、前記建設機械50の作業が開始されてから当該作業が終了するまでの時間である。従って、前記建設機械50の作業が複数の日にわたる場合には、前記実作業時間は、複数の日にわたって行われた作業の時間の合計値(累積値)である。
前記マスター30の前記マスター制御部301は、例えば、作業の開始時点及び終了時点を取得し、これらに基づいて実作業時間を演算することができる。前記マスター制御部301は、演算した作業時間を、前記情報記憶部302に記憶させる。前記マスター制御部301は、前記開始時点及び前記終了時点のそれぞれを、例えば、前記マスター30の図略の入力部が受け付けるオペレータの入力(例えばスイッチ操作)に基づいて判定することができる。また、前記マスター制御部301は、前記作業の終了後に、前記入力部を介してオペレータが入力した時間を前記実作業時間として前記情報記憶部302に記憶させてもよい。
前記実作業量は、オペレータの遠隔操作による前記建設機械50の作業において行われた実際の作業量である。前記建設機械50の作業が例えば「掘削及び積込作業」である場合には、前記実作業量は、例えば、前記作業の開始から終了までの間に、掘削された地盤の土量の合計量(累積量)であってもよい。かかる場合、前記マスター制御部301は、例えば、前記建設機械50の作業装置などに設けられた図略の荷重検出センサにより検出される荷重に基づいて、前記建設機械50のバケットに積載される1回当たりの土量を演算し、前記作業の開始から終了までの間の土量の合計量を演算することにより、前記実作業量を取得することができる。
また、前記実作業量は、例えば、前記作業の開始から終了までの間に、掘削された地盤の土をダンプカーに積み込んだ土量の合計量(累積量)であってもよい。かかる場合、前記マスター制御部301は、例えば、前記ダンプカーに設けられた図略の荷重検出センサにより検出される荷重に基づいて、前記ダンプカーに積み込まれる1台当たりの土量を取得し、前記作業の開始から終了までの間の土量の合計量を演算することにより、前記実作業量を取得することができる。
また、前記マスター制御部301は、前記作業の終了後に、前記入力部を介してオペレータが入力した作業量を前記実作業量として前記情報記憶部302に記憶させてもよい。
前記実燃費は、オペレータの遠隔操作による前記建設機械50の作業における実際の燃費である。前記マスター制御部301は、例えば、前記建設機械50の運転時間と燃料消費量とに基づいて前記実燃費を演算することができる。前記運転時間としては、例えば、前記実作業時間と同じ値が用いられてもよく、また、前記実作業時間のうち、前記建設機械50のエンジンが作動している時間のみが用いられてもよい。また、前記マスター制御部301は、例えば、前記建設機械50の燃料タンクに設けられる燃料残量センサから出力される信号に基づいて、前記作業の開始から終了までの間に消費された燃料の前記燃料消費量を取得することができる。
前記事象データベース18は、サーバ10にエントリーされた複数のオペレータのそれぞれの前記事象情報を記憶する。前記事象データベース18において、前記事象情報は、対応する前記作業実績情報と関連づけて記憶されている。すなわち、前記事象データベース18は、前記事象情報を、オペレータ及びそのオペレータが行った作業実績情報と対応づけて記憶している。あるオペレータが複数の作業実績を有する場合には、前記事象データベース18は、複数の作業実績情報にそれぞれ対応する複数の事象情報を記憶している。
前記事象情報は、上述したように、前記オペレータが行う遠隔操作による前記建設機械50の作業中に判明する事象であって当該作業の効率に影響を与える効率影響事象に関する情報である。図5は、前記効率影響事象の具体例を示す図である。図5に示す具体例では、前記効率影響事象は、「機械故障」、「土面状況の変化」、「地中埋没物の出現」、「運転モードの設定の変更」を含む。
前記「機械故障」は、前記建設機械50の作業中に当該建設機械50が故障することにより当該作業の効率を低下させる事象である。具体的に、前記機械故障は、例えば、当該機械故障に起因して前記作業の時間を増加させる事象である。
前記「土面状況の変化」は、前記建設機械50の作業中に作業現場の土面の状況が変化することにより当該作業の効率を低下させる事象又は当該作業の効率を向上させる事象である。具体的に、前記土面状況の変化は、例えば、前記建設機械50の作業中における降雨により前記土面の状況が悪化して前記作業の効率を低下させる事象又は前記建設機械50の作業中における降雨により前記土面の状況が改善して前記作業の効率を向上させる事象である。
図6は、土面の含水率と土面の状況との関係を模式的に示すグラフである。前記作業内容が掘削及び積込作業である場合、図6に示すように、土面の含水率が例えばW1~W2の適度な範囲に含まれることは、前記掘削及び積込作業を行うための土面状況を良好にする。一方、土面の含水率がW1から減少するにつれて土面が固くなるので、前記掘削及び積込作業を行うための土面状況が悪化する。また、土面の含水率がW2から増加するにつれて土面が柔らかくなるとともに、より多くの水分を含むことになるので、前記掘削及び積込作業を行うための土面状況が悪化する。
また、前記土面状況の変化の他の例として、「土質の変化」を挙げることができる。この「土質の変化」は、建設機械50の作業中に土質が変化することである。前記土質は、その土の粒径に応じて分類することができるが、これに限られない。例えば、前記土質を粒径に応じて分類する場合、その土は、例えば、粘土、シルト、砂、礫などに分類される。前記土質の変化は、建設機械50の作業の効率に影響を与える事象である。
前記「地中埋没物の出現」は、前記建設機械50の作業において作業現場の地盤を掘削しているときに岩石などの物体が出現することにより当該作業の効率を低下させる事象である。当該物体は、作業前には地中に埋没していたため、当該作業の開始前に作業発注者が予め把握することができなかった埋没物である。
前記「運転モードの設定の変更」は、前記建設機械50の作業中にオペレータが当該建設機械50の運転モードの設定を変更することにより当該作業の効率を低下させる事象又は当該作業の効率を向上させる事象である。
具体的に、本実施の形態では、前記運転モードは、「Hモード」、「Sモード」及び「ECOモード」の3つに区分されている。前記Hモードは、オペレータが作業量を重視したいときに当該オペレータが選択することができるモードである。当該Hモードにおける燃費(リットル/時間)は、前記Sモードにおける燃費(リットル/時間)よりも増加する(悪化する)。前記Sモードは、オペレータが作業量と燃費とのバランスを重視したいときに当該オペレータが選択することができるモードである。前記ECOモードは、作業負荷の小さい状況でオペレータが燃費を重視したいときに当該オペレータが選択することができるモードである。当該ECOモードにおける燃費(リットル/時間)は、前記Sモードにおける燃費(リットル/時間)よりも減少する(改善する)。
従って、前記建設機械50の作業中に、前記運転モードの設定が、例えば前記Sモードから前記Hモードに変更されると、前記燃費が増加する(悪化する)。一方、前記建設機械50の作業中に、前記運転モードの設定が、例えば前記Sモードから前記ECOモードに変更されると、前記燃費が減少する(改善する)。
前記事象情報は、前記遠隔操作による前記建設機械50の作業において前記効率影響事象に起因して増加又は減少した前記作業の時間の増減量に関する情報と、前記作業において前記効率影響事象に起因して増加又は減少した作業量の増減量に関する情報と、前記作業において前記効率影響事象に起因して増加又は減少した燃費の増減量に関する情報と、を含む。
前記サーバ10の前記技能レベル算出部13は、前記効率影響事象に含まれる複数の事象の少なくとも一つの事象に関する情報に基づいて前記作業の時間の増減量を生成する。同様に、前記サーバ10の前記技能レベル算出部13は、前記効率影響事象に含まれる複数の事象の少なくとも一つの事象に関する情報に基づいて前記作業量の増減量を生成し、前記効率影響事象に含まれる複数の事象の少なくとも一つの事象に関する情報に基づいて前記燃費の増減量を生成する。
本実施の形態では、前記技能レベル算出部13は、例えば、次のように前記増減量をそれぞれ生成する。前記技能レベル算出部13は、前記効率影響事象のうちの「機械故障」の事象、「土面状況の変化」の事象、及び「地中埋没物の出現」の事象に関する情報に基づいて、前記作業の時間の増減量を生成する。また、前記技能レベル算出部13は、前記効率影響事象のうちの「土面状況の変化」の事象に関する情報に基づいて、前記作業量の増減量を生成する。また、前記技能レベル算出部13は、前記効率影響事象のうちの「運転モードの設定の変更」の事象に関する情報に基づいて、前記燃費の増減量を生成する。
図7は、前記事象情報の具体例を示す図である。図7に示す具体例では、前記事象情報は、前記建設機械50の作業において、前記建設機械50の機械故障が発生したことを示す情報と、土面状況が悪化したことを示す情報と、埋没物が出現しなかったことを示す情報と、運転モードの設定が変更されたことを示す情報と、を含む。
図7に示すように、前記機械故障は、t時間発生している。また、図7に示すように、前記土面状況は、含水率W0から含水率W3に上昇している。前記含水率W0は、図6のグラフにおいてW1<W0<W2の範囲に含まれる値であり、前記含水率W3は、図6のグラフにおいてW3>W2の範囲に含まれる値である。また、図7に示すように、前記運転モードは、前記作業の実作業時間のうち20%を占める時間においてSモードに設定され、前記実作業時間のうち80%を占める時間においてHモードに設定されている。
本実施の形態では、前記技能レベル算出部13は、含水率と作業の時間の増減との関係が予め対応付けられたテーブルを記憶しており、このテーブルを参照して、前記土面状況に起因する前記作業の時間の増減分xaを生成する。そして、前記技能レベル算出部13は、前記作業の時間の増減分xaと、前記機械故障の時間tとに基づいて、前記作業の時間の増減量x2(hr)を演算する。この増減量x2は、符号がプラスの場合には、前記効率影響事象に起因して作業の効率が低下したこと、具体的には、作業時間がx2時間だけ余分に必要になったことを示す。一方、前記増減量x2は、符号がマイナスの場合には、前記効率影響事象に起因して作業の効率が向上したこと、具体的には、作業時間がx2時間だけ削減されたことを示す。
また、前記技能レベル算出部13は、含水率と作業量の増減との関係が予め対応付けられたテーブルを記憶しており、このテーブルを参照して、前記土面状況に起因する前記作業量の増減分yaを生成する。そして、前記技能レベル算出部13は、前記作業量の増減分yaを、前記作業量の増減量y3に設定する。この増減量y3は、符号がプラスの場合には、前記効率影響事象に起因して作業の効率が低下したこと、具体的には、作業量がy3だけ減少したことを示す。一方、前記増減量y3は、符号がマイナスの場合には、前記効率影響事象に起因して作業の効率が向上したこと、具体的には、作業量がy3だけ増加したことを示す。
また、前記技能レベル算出部13は、前記運転モードと燃費との関係が予め対応付けられたテーブルを記憶しており、このテーブルを参照して、前記運転モードの設定の変更に起因する前記燃費の増減分zaを生成する。そして、前記技能レベル算出部13は、前記燃費の増減分zaを、前記燃費の増減量z2に設定する。この増減量z2は、符号がプラスの場合には、前記効率影響事象に起因して作業の効率が低下したこと、具体的には、前記燃費がz2だけ増加したことを示す。一方、前記増減量z2は、符号がマイナスの場合には、前記効率影響事象に起因して作業の効率が向上したこと、具体的には、前記燃費がz2だけ減少したことを示す。
前記技能レベル算出部13は、生成した前記増減量x2,y3,z2のそれぞれを、前記事象データベース18に記憶させる。
前記作業スケジュールデータベース19は、前記発注者端末20から送信される作業スケジュール情報を記憶する。図8は、前記作業スケジュール情報の具体例を示す図であり、前記発注者端末20において前記作業発注者が入力する情報の詳細画面を示している。図8に示すように、当該作業スケジュール情報は、前記建設機械50の作業の予定日と、作業予定情報と、当該作業に用いられる機種情報と、事前難易度情報と、を含む。前記作業予定情報は、予定作業時間と、予定作業量(予定土量)と、予定燃費と、を含む。
前記予定作業時間は、前記建設機械50の作業を完了するために必要と見込まれる時間である。当該予定作業時間は、前記オペレータが前記遠隔操作を行う前に、前記作業発注者が予め設定する。図8に示す具体例では、前記予定作業時間は、8時間に設定されている(AM8:00からPM5:00の作業時間には1時間の休憩が含まれる。)。
前記予定作業量は、前記建設機械50の作業を完了するために必要と見込まれる作業量である。当該予定作業量は、前記オペレータが前記遠隔操作を行う前に、前記作業発注者が予め設定する。
前記予定燃費は、前記建設機械50の作業において見込まれる燃費である。当該予定燃費は、前記オペレータが前記遠隔操作を行う前に、前記作業発注者が予め設定する。前記作業発注者は、前記建設機械50の作業における燃費を、例えば、当該作業に使用される機種、前記作業内容、及び前記運転モードの設定に基づいて決定する。具体的に、本実施の形態では、前記作業発注者は、前記建設機械50の機種がSK200-10であり、前記作業内容が前記掘削及び積込作業であり、前記運転モードがSモードに設定される場合を前提に、前記予定燃費を決定する。
前記予定作業量及び前記予定燃費は図8に示す画面には図示されていないが、当該画面とは別のページに当該予定作業量及び前記予定燃費を入力する画面が存在し、作業発注者は、その入力画面において前記予定作業量及び前記予定燃費を入力する。
前記機種情報は、作業において使用する予定の建設機械50の種別、機種、作業装置の種類、先端アタッチメントの種類、バケットサイズ、アワーメータなどの情報を含む。前記種別、前記機種、前記作業装置の種類、及び前記先端アタッチメントの種類は、図4を参照して上述した通りである。前記バケットサイズは、先端アタッチメントがバケットである場合の当該バケットの容量であり、前記アワーメータは、作業において使用する予定の建設機械50の累積使用時間である。図8に示す具体例では、前記アワーメータによる累積使用時間が200時間であることから、当該建設機械50は、その燃費性能の経年劣化がほとんどないと判断される。
前記事前難易度情報は、前記オペレータが前記遠隔操作を行う前に、作業発注者が予め設定する前記作業の難易度に関する情報である。図9は、事前難易度情報の具体例を示す図である。図9に示す具体例では、前記事前難易度情報は、「土面状況」に関する情報、「作業現場」に関する情報、「周辺作業者」に関する情報、「周辺機械」に関する情報、及び「機械の世代」に関する情報を含む。
図9に示すように、前記「土面状況」に関する情報は、例えば、岩石などの物体の除去の必要性、土面の含水率などの情報を含む。前記事前難易度情報における当該物体は、その少なくとも一部分が地表よりも上方に露出していることにより、前記建設機械50の作業前に作業発注者等が目視で認識できる物である。前記土面の含水率と土面の状況との関係は、図6を参照して上述した通りである。従って、前記事前難易度情報における前記「土面状況」は、前記作業発注者が予定作業時間や予定作業量を設定するための指標となる。
前記「作業現場」に関する情報は、例えば、作業現場の面積、作業現場の傾斜や起伏などの情報を含む。前記作業現場の面積は、前記作業発注者が予定作業時間や予定作業量を設定するための指標となる。前記作業現場の傾斜が大きい程、作業の難易度は高くなり、前記作業現場の起伏が多い程、作業の難易度は高くなるため、前記作業現場の傾斜や起伏は、前記作業発注者が予定作業時間や予定作業量を設定するための指標となる。
前記「周辺作業者」に関する情報は、前記建設機械50の作業中に、その建設機械50の周辺に存在する他の作業者の人数などの情報を含む。当該他の作業者が多く存在する程、作業の難易度は高くなるため、前記「周辺作業者」に関する情報は、前記作業発注者が予定作業時間や予定作業量を設定するための指標となる。
前記「周辺機械」に関する情報は、前記建設機械50の作業中に、その建設機械50の周辺に存在する他の建設機械の台数などの情報を含む。当該他の建設機械が多く存在する程、作業の難易度は高くなるため、前記「周辺機械」に関する情報は、前記作業発注者が予定作業時間や予定作業量を設定するための指標となる。
前記「機械の世代」に関する情報は、例えば、建設機械の製造番号などのように当該建設機械が製造された時期を特定すること、すなわち、建設機械の世代を特定することができる情報を含む。世代が新しい程、作業における燃費性能が向上するため、当該「機械の世代」に関する情報は、前記作業発注者が予定燃費を設定するための指標となる。
本実施の形態では、図8に示すように、前記事前難易度情報における「土面状況」は、作業現場に目視により認識可能な岩石が存在するため、当該土面状況に関する難易度は、「とても難しい」レベルに設定されている。また、前記事前難易度情報における「作業現場」は「とても広い」レベルであり、図略の詳細画面に作業現場の具体的な面積が入力されている。前記事前難易度情報における「周辺作業者」及び「周辺機械」は、「なし」に設定されている。
前記作業予定情報に含まれる前記予定作業時間、予定作業量及び予定燃費のそれぞれは、前記事前難易度情報に基づいて、作業発注者が設定してもよいが、コンピュータ(例えば発注者端末20)により次のように設定されてもよい。すなわち、当該コンピュータの作業予定設定部は、前記予定作業時間、予定作業量又は予定燃費と前記事前難易度情報との関係が予め対応付けられたテーブルを記憶しており、このテーブルを参照して、前記予定作業時間、予定作業量又は予定燃費を決定してもよい。また、前記予定作業時間、予定作業量及び予定燃費のそれぞれは、例えばAIを用いて決定されてもよい。
前記予定作業時間を例にして具体的に説明すると、作業の難易度が標準的であり、ランクAのオペレータが当該作業を行うときの予定作業時間が4時間である場合、前記事前難易度情報が考慮された予定作業時間は例えば5時間に設定される。
図1に示すように、前記サーバ10の技能レベル算出部13は、前記作業実績データベース17に記憶された前記作業実績情報、前記事象データベース18に記憶された前記事象情報、及び前記作業スケジュールデータベース19に記憶された前記作業予定情報を含む評価情報に基づいて、前記オペレータの前記遠隔操作の技能レベルを算出する。前記技能レベル算出部13は、当該技能レベルを、前記建設機械50の作業毎に算出する。前記技能レベル算出部13は、算出した前記技能レベルを前記オペレータデータベース16に記憶させる。
図10は、前記評価情報の具体例を示す図である。本実施の形態では、図10に示すように、前記評価情報は、前記作業予定情報、前記作業実績情報、及び前記事象情報からなる。前記作業予定情報は、前記予定作業時間、前記予定作業量、及び前記予定燃費を含む。前記作業実績情報は、前記実作業時間、前記実作業量、及び前記実燃費を含む。前記事象情報は、前記作業時間の増減量、前記作業量の増減量、及び前記燃費の増減量を含む。
図11は、技能レベルを算出するための式の一例を示す。図11に示す具体例では、前記技能レベルは、作業時間に関する項と、作業量(土量)に関する項と、燃費に関する項と、を含む式を用いて算出される。前記作業時間に関する項における「作業時間の増減量」、前記作業量に関する項における「作業量の増減量」、及び前記燃費に関する項における「燃費の増減量」のそれぞれは、例えば図7を参照して上述した方法により算出される。図11に示す式から明らかなように、前記実作業時間が前記予定作業時間と同じであり、前記実作業量(実土量)が前記予定作業量(予定土量)と同じであり、前記実燃費が前記予定燃費と同じ場合で、かつ、前記作業時間の増減量、前記作業量の増減量、及び前記燃費の増減量のそれぞれがゼロである場合には、前記技能レベルの値は「3」となる。すなわち、実際の作業が予定通り完了した場合の前記技能レベルの値は「3」である。従って、算出される前記技能レベルは、その値が「3」よりも大きい場合にはそのオペレータの運転技能が標準よりも高いことを示し、その値が「3」よりも小さい場合にはそのオペレータの運転技能が標準よりも低いことを示す。
図12は、運転技能の評価結果の詳細画面の具体例を示す図である。図12に示す具体例では、前記作業時間に関する項により演算される値は「1.5」であり、前記作業量(土量)に関する項により演算される値は「1.5」であり、前記燃費に関する項により演算される値は「1.2」である。従って、前記技能レベル算出部13は、これらの項の値から技能レベルSの値「4.2」を算出し、算出した技能レベルSを前記オペレータデータベース16に記憶させる。図12において、前記作業時間に関する項に記載されている「環境影響時間」は、前記作業の時間の増減量に相当し、前記作業量に関する項に記載されている「土量環境影響」は、前記作業量の増減量に相当し、前記燃費に関する項に記載されている「燃費環境影響」は、前記燃費の増減量に相当する。また、前記作業量に関する項に記載されている「実土量」は、前記実作業量に相当し、「予定土量」は、前記予定作業量に相当する。
図13は、ランク決定テーブルの具体例を示す図である。前記技能レベル算出部13は、図13に示すランク決定テーブルを参照し、前記技能レベルSのランクを決定し、決定した技能レベルSのランクを前記オペレータデータベース16に記憶させる。前記ランク決定テーブルはサーバ10のメモリーに事前に登録されており、「技能レベル」及び「ランク」の欄を備える。図13に示す具体例では、ランクは技能レベルが高い順にF、A、B、C、Dの5つにランク分けされている。そのため、ランク決定テーブルの「ランク」の欄にはF~Dが順に登録されている。「技能レベル」の欄には、F~Dの各ランクに対する技能レベルの値の範囲が登録されている。上述した具体例における前記技能レベルSの値「4.2」は、ランク決定テーブルを参照すると、ランク「A」に相当する。
図14は、オペレータデータベース16の具体例を示す図である。オペレータデータベース16は、オペレータテーブルT1と、技能レベルテーブルT2とを備えている。オペレータテーブルT1は、サーバ10に事前にエントリーされたオペレータの個人情報を登録するテーブルである。技能レベルテーブルT2は、エントリーされた各オペレータの作業別の技能レベルを登録するテーブルである。
具体的には、オペレータテーブルT1は、「オペレータID」、「名前」、「国籍」、及び「通信アドレス」の欄を備えている。「オペレータID」は、エントリーされた各オペレータを一意的に識別するための識別子である。「名前」はオペレータの名前を示す。「国籍」は日本、ドイツといった、オペレータが居住する国籍を示す。「通信アドレス」はオペレータが使用するマスター30の通信アドレスを示す。
技能レベルテーブルT2は、エントリーされたオペレータのそれぞれについて、作業内容別に作成されたデータベースである。図14に示す具体例では、あるオペレータについて、作業内容が「掘削及び積込作業」であるデータベースが示されている。このデータベースには、3つの現場A,B,Cにおける技能レベルとそのランクとが示され、さらに、技能レベルの平均値と、平均ランクとが示されている。
図1に示すように、前記禁止部14は、技能レベルが基準レベル未満の場合、オペレータが実作業モードを実行することを禁止する。当該実作業モードは、オペレータが建設機械50を実際に遠隔操作するモードである。本実施の形態では前記作業内容別に基準レベル以下か否かが判定される。例えば、基準レベルがCに設定されていたとする。図14の例では、掘削及び積込作業の技能レベルは「A」であるため、このオペレータは作業内容「掘削及び積込作業」については実作業モードの使用が許可される。すなわち、このオペレータは、この作業内容について、建設機械50を実際に遠隔操作して報酬を得ることができる。
具体的には、禁止部14は、あるオペレータに対して実作業モードの使用を許可した場合、オペレータのマスター30のメモリーに記憶された許可フラグを1に設定する。例えば、あるオペレータについて、前記作業内容「掘削及び積込作業」について実作業モードの使用が許可されたとする。この場合、該当するオペレータのマスター30のメモリーに記憶された作業内容「掘削及び積込作業」の許可フラグが「0」から「1」に設定される。この場合、オペレータがマスター30において実作業モードを選択して、この作業内容の実作業の実行を要求した場合、マスター30のマスター制御部301はこの要求を許可する。一方、該当するオペレータについて、許可されていない作業内容の設定フラグは「0」が設定されている。この場合、このオペレータがマスター30において実作業モードを選択して許可フラグが0の作業内容での実作業の実行を要求した場合、マスター制御部301はその要求を拒否する。
前記発注者端末20は、オペレータに作業を発注する作業発注者が所持するパーソナルコンピュータ等のコンピュータで構成されている。ここで、作業発注者は、工事等の作業を立案してオペレータに発注する人物であり、例えば、作業発注会社に所属する社員が該当する。オペレータは作業請負会社に雇用された社員であってもよいし、作業請負会社に直接雇用されていない個人経営者であってもよい。
前記発注者端末20は、表示部201と、制御部202と、操作部203と、通信部204と、図略のメモリーと、を備える。
前記表示部201は、例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイにより構成される。制御部202は、例えば、CPU等のプロセッサで構成され、発注者端末20の全体制御を司る。本実施の形態では、制御部202は、作業発注者があるオペレータについて技能レベルを確認するために入力される問い合わせ要求の入力指示を受け付けた場合、該当するオペレータのオペレータIDを含む問い合わせ要求を、通信部204を介してサーバ10に送信する。
前記操作部203は、例えば、キーボード及びマウスであり、技能レベルを確認するための問い合わせ要求の入力指示を受け付ける。前記通信部204は、発注者端末20を通信路NT1に接続する通信装置で構成され、操作部203が受け付けた問い合わせ要求を、通信路NT1を介してサーバ10に送信する。
以下、作業発注者とオペレータとのやり取りの一例を示す。まず、前記作業予定情報、前記機種情報、及び前記事前難易度情報を含む前記作業スケジュール情報が作業発注者により入力されると、前記発注者端末20は、当該作業スケジュール情報をサーバ10に送信する。前記サーバ10は、前記作業スケジュール情報の内容に基づいてオペレータの候補をピックアップしたオペレータリストを発注者端末20に送信する。具体的に、前記サーバ10が前記オペレータをピックアップする態様として、例えば、前記サーバ10は、前記作業スケジュール情報に含まれる基準技能レベルと、複数のオペレータ候補の技能レベルとを比較し、技能レベルが前記基準技能レベル以上のオペレータをピックアップするように構成されていてもよい。
前記オペレータリストには、作業発注者の作業レベルを閲覧するためのボタンがあり、この閲覧ボタンを作業発注者が選択すると、発注者端末20は上述した問い合わせ要求をサーバ10に送信する。サーバ10は該当するオペレータの技能レベルをオペレータデータベース16から読み出して、発注者端末20に送信する。これにより、作業発注者は、オペレータリストに一覧表示されたオペレータの中から興味があるオペレータの技能レベルを知ることができる。このようにして、作業発注者は、オペレータリストに一覧表示されたオペレータの技能レベルを確認しながら、最終的に作業の依頼をするオペレータを決定する。発注者端末20は、作業発注者によって決定されたオペレータへの発注依頼をサーバ10に送信する。
前記サーバ10は、発注依頼があったことを該当するオペレータに通知し、オペレータが発注依頼を承諾すると、オペレータと作業発注者との間で契約が成立したとして、マスター30にアクセスコードを発行し、該当するオペレータのマスター30に送信する。これにより、オペレータはマスター30を操作して作業発注者から発注された作業を実行できる。
なお、ここでは、オペレータリストに表示された前記閲覧ボタンの選択をトリガーに作業発注者にオペレータの技能レベルが通知されるとして説明したがこれは一例である。例えば、事前にオペレータリストに各オペレータの技能レベルが表示されていてもよい。
図15は、本実施の形態に係る技能評価システムが技能レベルを算出する際の処理を示すフローチャートである。
前記マスター30の前記マスター制御部301が前記実作業モードの終了を検知すると、前記通信部305は、前記建設機械50の作業に関する前記作業実績情報及び前記事象情報を含む評価情報をサーバ10に送信する(図15におけるステップ201)。
前記サーバ10の通信部204は前記評価情報を受信する(ステップ101)。前記サーバ10のデータベース管理部15は、前記通信部204で受信された前記評価情報のうち、前記作業実績情報を前記作業実績データベース17に記憶させ、前記事象情報を前記事象データベース18に記憶させる(ステップ102)。
前記技能レベル算出部13は、更新されたデータベースの内容を参照して技能レベルを算出し(ステップ103)、算出した技能レベルをオペレータデータベース16に記憶させる(ステップ104)。前記通信部11は、算出された技能レベルをマスター30に送信する(ステップ105)。
前記マスター30の通信部305は技能レベルを受信する(ステップ202)。前記マスター30の表示部303は技能レベルを前記表示部303に表示する(ステップ203)。これにより、オペレータは自己の技能レベルがどれだけアップしたかを確認できる。
図16は、本実施の形態における技能評価システムが技能レベルを発注者端末に送信する際の処理を示すフローチャートである。前記発注者端末20において、前記操作部203があるオペレータの技能レベルを確認するための問い合わせ要求の入力指示を作業発注者から受け付けると、前記通信部204は、問い合わせ要求をサーバ10に送信する(ステップ301)。当該問い合わせ要求には該当するオペレータのオペレータIDが含まれる。
前記サーバ10の通信部11は、前記問い合わせ要求を受信する(ステップ401)。前記サーバ10の提示部12は、該当するオペレータの技能レベルを前記オペレータデータベース16から読み出す(ステップ402)。前記サーバ10の通信部11は、技能レベルを発注者端末20に送信する(ステップ403)。前記発注者端末20の通信部204は技能レベルを受信する(ステップ302)。前記発注者端末20の表示部201は技能レベルを前記表示部201に表示する(ステップ303)。これにより、作業発注者は、興味のあるオペレータの技能レベルを確認した上でそのオペレータに作業を発注することができる。
以上のように、本実施の形態では、前記技能レベルの算出は、前記作業実績だけでなく、前記効率影響事象も考慮されて行われる。従って、当該作業の開始前に作業発注者が予め把握することができない前記効率影響事象が前記建設機械50の作業中に生じた場合であっても、オペレータの運転技能が公平に評価される。これにより、作業発注者は、公平に評価された前記オペレータの前記技能レベルを知ることができる。また、作業中に不利な事象が発生した場合であってもその効率影響事象が技能評価に反映されるため、オペレータが作業環境のよい現場に集中することが抑制され、作業環境のよくない現場における受発注が積極的に行われることが期待される。
本実施の形態では、前記取得部は、前記発注者端末から送信される作業スケジュール情報であって前記建設機械の作業の予定に関する作業予定情報を含む作業スケジュール情報を取得し、前記評価情報は、前記作業予定情報をさらに含む。従って、前記技能レベルは、前記作業予定情報、前記作業実績情報及び前記事象情報を含む前記評価情報に基づいて算出される。すなわち、本実施の形態では、前記技能レベルの算出において前記効率影響事象が考慮されるとともに、前記作業の予定と前記作業実績との対比に基づく前記技能レベルの算出が可能になる。
本実施の形態では、前記作業予定情報は、前記予定作業時間を含み、前記作業実績情報は、前記実作業時間を含み、前記事象情報は、前記作業の時間の増減量に関する情報を含む。このことは、前記予定作業時間と前記実作業時間との対比に基づく前記技能レベルの算出を可能にするとともに、当該技能レベルの算出において前記作業の時間の増減量が考慮されることを可能にする。
本実施の形態では、前記作業予定情報は、前記予定作業量を含み、前記作業実績情報は、前記実作業量を含み、前記事象情報は、前記作業量の増減量に関する情報を含む。このことは、前記予定作業量と前記実作業量との対比に基づく前記技能レベルの算出を可能にするとともに、当該技能レベルの算出において前記作業量の増減量が考慮されることを可能にする。
本実施の形態では、前記作業予定情報は、前記予定燃費を含み、前記作業実績情報は、前記実燃費を含み、前記事象情報は、前記燃費の増減量に関する情報を含む。このことは、前記予定燃費と前記実燃費との対比に基づく前記技能レベルの算出を可能にするとともに、当該技能レベルの算出において前記燃費の増減量が考慮されることを可能にする。
本実施の形態では、前記作業予定情報は、前記事前難易度情報を含む情報に基づいて設定される。これにより、前記技能レベルの算出において、前記効率影響事象だけでなく、前記事前難易度情報も考慮されるので、オペレータの運転技能がさらに公平に評価される。
[変形例]
本発明は以下の変形例が採用できる。
(A)上記実施の形態では、前記通信部11(取得部の一例)は、前記事象情報を前記建設機械50の作業後に取得するように構成されているが、本発明はこれに限られない。本発明では、前記取得部は、前記事象情報を前記建設機械50の作業中に取得してもよい。
(B)上記実施の形態では、前記評価情報が前記作業予定情報を含み、当該作業予定情報が予定作業時間、予定作業量及び予定燃費を含むが、本発明はこれに限られない。本発明では、前記作業予定情報は、予定作業時間、予定作業量及び予定燃費の少なくとも一つを含むものであってもよい。
(C)上記実施の形態では、前記評価情報が前記作業予定情報を含むが、本発明はこれに限られない。本発明では、前記評価情報は、前記作業実績情報及び前記事象情報のみからなるものであってもよく、前記作業実績情報及び前記事象情報と、前記作業予定情報以外の情報と、を含むものであってもよい。
(D)上記実施の形態では、前記作業予定情報は、前記事前難易度情報を含む情報に基づいて設定されるが、本発明はこれに限られない。
(E)前記作業の時間の増減量、前記作業量の増減量、及び前記燃費の増減量のそれぞれは、例えば、前記評価情報に関連づけて予め設定された数式に基づいて算出されてもよく、前記評価情報に基づいて作業発注者が決定してもよく、AIを用いて決定されてもよい。
(F)上記実施の形態では、前記建設機械の作業が前記油圧ショベルによる土木作業であるが、本発明はこれに限られない。本発明では、前記建設機械の作業が、例えば、解体作業や林業作業などであってもよい。前記解体作業は、例えばニブラによる解体作業及びグラップルによる分別作業などを含む。前記林業作業は、例えば選木作業、伐採作業及び枝打ち作業を含む。