以下、実施形態の電力変換装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、例えば、直流電力と単相の交流電力とを相互に変換可能な電力変換装置であって、インバータセル100と、上アームと、下アームと、n個(nは2以上の整数)の第1回生整流回路(回生整流ダイオード6UNおよび第1抵抗器5UN)と、m個(mは2以上の整数)の第2回生整流回路(回生整流ダイオード6XMおよび第2抵抗器5XM)と、プラス直流端子209と、マイナス直流端子210と、交流端子211と、を備えている。ここで、NとMはそれぞれN=2~n、M=2~mであり、以後、他の定義が示されていなければ同様とする。
本実施形態の電力変換装置の上アームは、n個のスイッチ回路(電圧型クランプ型スイッチ回路)101Nを備える。本実施形態の電力変換装置の下アームは、m個のスイッチ回路(電圧型クランプ型スイッチ回路)102Mを備える。
なお、本実施形態の電力変換装置には、プラス直流端子209とマイナス直流端子210との間に直流コンデンサ(図示せず)が電気的に接続される。直流コンデンサは、電力変換装置に含まれていてもよく、電力変換装置の外部に取り付けられても構わない。
インバータセル100は、スイッチング素子(上側スイッチング素子)1Uと、スイッチング素子(下側スイッチング素子)1Xと、フローティングコンデンサ2と、正側セル端子(高電位側端)200と、負側セル端子(低電位側端)201と、セル交流端子(交流端)202と、を備えている。なお、正側セル端子200と、負側セル端子201と、セル交流端子202とは、これらの端子の位置にて回路が電気的に接続可能な構成であればよく、端子は省略されても構わない。
スイッチング素子1Uとスイッチング素子1Xとは、例えばMOSFET(半導体電界効果トランジスタ:metal-oxide semiconductor field-effect transistor)である。スイッチング素子1Uのドレイン(高電位側端)は正側セル端子200と電気的に接続され、ソース(低電位側端)はスイッチング素子1Xのドレイン(高電位側端)と電気的に接続されている。スイッチング素子1Xのソース(低電位側端)は負側セル端子201と電気的に接続されている。スイッチング素子1Uとスイッチング素子1Xとの間は、セル交流端子202と電気的に接続されている。
フローティングコンデンサ2は、スイッチング素子1Uおよびスイッチング素子1Xと並列に接続している。フローティングコンデンサ2の一端は、スイッチング素子1Uのドレインおよび正側セル端子200と電気的に接続し、フローティングコンデンサ2の他端はスイッチング素子1Xのソースおよび負側セル端子201と電気的に接続されている。
n個のスイッチ回路(第1スイッチ回路)101Nのそれぞれは、スイッチング素子(第1スイッチング素子)1UNと、ダイオード(第1ダイオード)4UNと、コンデンサ(第1コンデンサ)3UNと、スナバ端子205Nと、正側端子203Nと、負側端子204Nと、を備えている。
なお、スナバ端子205Nと、正側端子203Nと、負側端子204Nとは、これらの端子の位置において回路が電気的に接続可能な構成であればよく、端子を省略しても構わない。また、スイッチ回路101Nは、複数のスイッチング素子1UNを備えていてもよい。その場合、複数のスイッチング素子1UNは、正側端子203Nと負側端子204Nとの間において、コンデンサ3UNおよびダイオード4UNに対して並列に接続される。複数のスイッチング素子1UNは互いに直列に接続されてもよく、互いに並列に接続されてもよい。
スイッチング素子1UNは、例えばMOSFETである。スイッチング素子1UNのドレイン(高電位側端)は正側端子203Nと電気的に接続され、スイッチング素子1UNのソース(低電位側端)は負側端子204Nと電気的に接続されている。
ダイオード4UNは、カソードがスイッチング素子1UNのソースおよび負側端子204Nと電気的に接続され、アノードがスナバ端子205Nと電気的に接続されている。なお、ダイオード4UNは、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
コンデンサ3UNは、一端(高電位側端)がスイッチング素子1UNのドレインおよび正側端子203Nと電気的に接続され、他端(低電位側端)がダイオード4UNのアノードと電気的に接続するとともにスナバ端子205Nと電気的に接続されている。
n個のスイッチ回路101Nは、直列に接続されている。すなわち、スイッチ回路101Nの正側端子(高電位側端)203Nは高電位側にて隣り合うスイッチ回路101Nの負側端子(低電位側端)204Nと電気的に接続され、最も高電位側のスイッチ回路101Nの正側端子203N(N=n)は、プラス直流端子209と電気的に接続されている。スイッチ回路101Nの負側端子204Nは低電位側にて隣り合うスイッチ回路101Nの正側端子203Nと電気的に接続され、最も低電位側のスイッチ回路101Nの負側端子204N(N=1)は、インバータセル100の正側セル端子200と電気的に接続されている。
n個の回生整流ダイオード6UN(N=1~n)は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、スイッチング素子1Xの低電位側の端子(インバータセル100の低電位側端)と最も低電位側に配置された第1スイッチ回路1011のコンデンサ3U1の低電位側端との間、および、隣接した第1スイッチ回路101Nのコンデンサ3UNの低電位側端の間にそれぞれ接続され、互いに直列に接続されている。
回生整流ダイオード(第1回生整流ダイオード)6UN(N=1~n)それぞれのカソードは、スイッチ回路101Nのスナバ端子205N(N=1~n)および高電位側にて隣接する回生整流ダイオード6UN(N=1~n)のアノードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6Uk(1≦k≦n-1)のカソードは、スイッチ回路101kのスナバ端子205kおよび回生整流ダイオード6U(k+1)のアノードと電気的に接続されている。
抵抗器5UNは、一端において、ダイオード4UNとコンデンサ3UNとの並列回路に直列に接続されている。抵抗器5UNの他端は、低電位側に接続されたスイッチ回路101Nのコンデンサ3UNと抵抗器5UNとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6UNを介して電気的に接続される。最も低電位側に配置されたスイッチ回路101N(N=1)の抵抗器5UNの他端は、スナバ端子205Nおよび回生整流ダイオード6UNを介して、インバータセル100の負側セル端子201と電気的に接続されている。
m個のスイッチ回路(第2スイッチ回路)102Mのそれぞれは、スイッチング素子(第2スイッチング素子)1XMと、ダイオード(第2ダイオード)4XMと、コンデンサ(第2コンデンサ)3XMと、スナバ端子208Mと、正側端子206Mと、負側端子207Mと、を備えている。
なお、正側端子206Mと、負側端子207Mと、スナバ端子208Mとは、これらの端子の位置にて回路が電気的に接続可能な構成であればよく、端子を省略しても構わない。また、スイッチ回路102Mは、複数のスイッチング素子1XMを備えていてもよい。その場合、複数のスイッチング素子1XMは、正側端子206Mと負側端子207Mとの間において、コンデンサ3XMおよびダイオード4XMに対して並列に接続される。複数のスイッチング素子1XMは互いに直列に接続されてもよく、互いに並列に接続されてもよい。
スイッチング素子1XMは、例えばMOSFETである。スイッチング素子1XMのドレイン(高電位側端)は、正側端子206Mと電気的に接続され、ソース(低電位側端)は負側端子207Mと電気的に接続されている。
ダイオード4XMは、アノードがスイッチング素子1XMのドレインおよび正側端子206Mと電気的に接続し、カソードがスナバ端子208Mと電気的に接続している。なお、ダイオード4XMは、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
コンデンサ3XMは、一端(低電位側端)がスイッチング素子1XMのソースおよび負側端子207Mと電気的に接続され、他端(高電位側端)がダイオード4XMのカソード電気的に接続されているとともにスナバ端子208Mと電気的に接続している。
m個のスイッチ回路102Mは、直列に接続している。すなわち、スイッチ回路102Mの正側端子206Mは高電位側にて隣り合うスイッチ回路102Mの負側端子207Mと電気的に接続し、最も高電位側のスイッチ回路102Mの正側端子206M(M=1)は、インバータセル100の負側セル端子201と電気的に接続する。スイッチ回路102Mの負側端子207Mは低電位側にて隣り合うスイッチ回路102Mの正側端子206Mと電気的に接続し、最も低電位側のスイッチ回路102Mの負側端子207M(M=m)は、マイナス直流端子210と電気的に接続する。
m個の回生整流ダイオード(第2回生整流ダイオード)6XM(M=1~m)は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、隣接した第2スイッチ回路102Mのコンデンサ3XMの高電位側端の間、および、スイッチング素子1Uの高電位側の端子(インバータセル100の高電位側端)と最も高電位側に配置された第2スイッチ回路1021のコンデンサ3X1との高電位側端の間にそれぞれ接続され、互いに直列に接続されている。
回生整流ダイオード6XM(M=1~m)それぞれのアノードは、スイッチ回路102Mのスナバ端子208M(M=1~m)および低電位側にて隣接する回生整流ダイオード6XM(M=1~m)のカソードと電気的に接続されている。例えば、回生整流ダイオード6Xj(1≦j≦m-1)のアノードは、スイッチ回路102jのスナバ端子208jおよび回生整流ダイオード6X(j+1)のカソードと電気的に接続されている。
抵抗器5XMは、一端において、ダイオード4XMとコンデンサ3XMとの並列回路と直列に接続されている。抵抗器5XMの他端は、高電位側に接続されたスイッチ回路102Mのコンデンサ3XMと抵抗器5XMとが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6XMを介して電気的に接続される。最も高電位側に配置されたスイッチ回路102M(M=1)の抵抗器5XMの他端は、スナバ端子208Mおよび回生整流ダイオード6XMを介して、インバータセル100の正側セル端子200と電気的に接続されている。
すなわち、本実施形態の電力変換装置は、第1スイッチ回路101Nの少なくとも1つが第1スイッチング素子1UNの低電位側端にカソードが接続された第1ダイオード4UNと、第1ダイオード4UNのアノードと第1スイッチング素子1UNの高電位側端との間に接続された第1コンデンサ3UNと、を備えるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端とを接続する回生整流回路を備えている。
また、本実施形態の電力変換装置は、第2スイッチ回路102Xの少なくとも1つが第2スイッチング素子1XMの高電位側端にアノードが接続された第2ダイオード4XMと、第2ダイオード4XMのカソードと第2スイッチング素子1XMの低電位側端との間に接続された第2コンデンサ3XMと、を備えるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の高電位側端および下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端を接続する回生整流回路を備えている。
なお、本実施形態の電力変換装置において、スイッチ回路101Nの数nとスイッチ回路102Mの数mとは、同じであることが望ましいが、nとmとは異なる数であっても構わない。
また、本実施形態の電力変換装置において、スイッチング素子1U、1X、1UN、1XMは、MOSFETに限定されるものではなく、IGBT(Insulated Gate Bipolar transistor)や機械スイッチなどでも構わない。
また、電圧定格や電流定格が異なる素子をスイッチング素子1U、1X、1UN、1XMとして用いた場合であっても本実施形態の効果を得ることができるが、電圧定格や電流定格が同一である素子をスイッチング素子1U、1X、1UN、1XMとして用いることが望ましい。
本実施形態の電力変換装置では、プラス直流端子209と、マイナス直流端子210と、直流コンデンサとを介して閉回路が構成される。この閉回路に寄生する寄生インダクタンス(図示せず)によりサージ電圧が発生するときがある。このとき、本実施形態の電力変換装置では、コンデンサ3UN、3XMにて発生したサージ電圧を抑制することが可能である。
次に、本実施形態の電力変換装置の動作の一例について説明する。
本実施形態の電力変換装置では、後述のように、上アームの複数のスイッチング素子1UNと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとを、それぞれ、所定の時間間隔をあけて順次スイッチングさせることにより、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
インバータセル100のスイッチング素子1U、1Xと、上アームの複数のスイッチング素子1UNと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとの全てがオフしている状態において、交流端子211から電流が出力されているときには、電流は、インバータセル100のスイッチング素子1Xの寄生ダイオードと、スイッチ回路102Mのスイッチング素子1XMの寄生ダイオードとに通流している。
この状態において、インバータセル100のスイッチング素子1Uをオンすると、電流は、下アームのスイッチ回路102Mの複数のスイッチング素子1XMの寄生ダイオードを通流するとともに、インバータセル100においてフローティングコンデンサ2を放電する方向に通流し、スイッチング素子1Uを通流して交流端子211へ流れる。
続いて、上アームのスイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNのいずれかをオンする。ここでは、スイッチ回路101nのスイッチング素子1Unをオンした場合について説明する。
スイッチング素子1Unをオンすると、複数のスイッチ回路101Nの1つに印加されていた電圧が、複数のスイッチ回路102Mの直列数(=m)に分圧されて、複数のスイッチ回路102Mのそれぞれに印加される。このため、複数のスイッチ回路102Mのスイッチング素子1XMの寄生ダイオードのリカバリ時に印加される電圧が小さくなり、リカバリ時に発生する損失(リカバリ損失)が低減される。さらに、複数のスイッチ回路102Mの直列数に応じて増加するスイッチングループの寄生インダクタンスによって、リカバリ電流の変化量が少なくなり、その結果、リカバリ電荷が減少し、リカバリ損失が低減される。
スイッチ回路102Mに電圧が印加されると、電流は、スイッチング素子1XMの寄生ダイオードを通流することができなくなり、スイッチ回路101Nへ転流する。したがって、スイッチ回路101nでは、オンされているスイッチング素子1Unに電流が通流し、スイッチ回路1011~101(n-1)では、コンデンサ3U1~3U(n-1)とダイオード4U1~4U(n-1)とに電流が通流する。
上記電流が通流する状態が遷移することにより、例えば従来の2レベルインバータではスイッチング損失として熱に変換されるエネルギーが、本実施形態の電力変換装置では、コンデンサ3U1~3U(n-1)に蓄えられることとなる。すなわち、本実施形態の電力変換装置におけるスイッチング損失は、複数のスイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNのスイッチングに伴う損失分のみであり、従来の2レベルインバータと比較して十分に小さくなる。
また、例えば、スイッチング素子1Unがオンすることで、スイッチ回路101nのダイオード4Unとコンデンサ3Unとが並列接続される。
抵抗器5Unの一端は、ダイオード4Unとコンデンサ3Unとの並列回路と直列に接続される。抵抗器5Unの他端は、スイッチ回路101(n-1)のコンデンサ3U(n-1)と抵抗器5U(n-1)とが直列に接続された回路と、回生整流ダイオード6Unを介して電気的に接続される。このことにより、コンデンサ3Unに蓄えられたエネルギーは、コンデンサ3U(n-1)に放電される。上記放電は、コンデンサ3Unとコンデンサ3U(n-1)との電圧が等しくなったときに終了する。
なお、上記の例において、コンデンサ3Unの電圧がコンデンサ3U(n-1)の電圧よりも高いときに、コンデンサ3Unが放電される。また、コンデンサ3Unの電圧とコンデンサ3U(n-1)の電圧との差が、コンデンサ3Un、3U(n-1)それぞれの電圧よりも十分小さいため、放電されるエネルギーの経路に抵抗器5Un、5U(n-1)が介在していても、高効率に放電することができる。
複数のスイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNが順次オンされて全てのスイッチング素子1UNがオンされると、コンデンサ3UNに蓄えられたエネルギーが順次放電されて、放電されたエネルギーがフローティングコンデンサ2へ蓄積される。この状態で、電力変換装置の上アームのスイッチング素子がオンされた状態となる。
その後、複数のスイッチング素子1UNを順次オフさせて、複数のスイッチング素子1UNの全てがオフされた状態となると、フローティングコンデンサ2が放電され、スイッチングにより生じるエネルギーを効率よく回生することが可能である。その後、スイッチング素子1Uがオフされた状態となり、電力変換装置の上アームがオフされた状態となる。
また、スイッチング素子1Xおよび複数のスイッチ回路102Mについても同様に動作させることにより、スイッチングにより生じるエネルギーを、複数のコンデンサ3XMを介してフローティングコンデンサ2へ蓄積させることが可能であり、フローティングコンデンサ2を放電することによりスイッチングにより生じるエネルギーを効率よく回生することが可能である。
上記のように、本実施形態の電力変換装置では、例えば従来の2レベルインバータでは損失であったスイッチング時のエネルギーの大部分を、コンデンサ3UN、3XMを介してフローティングコンデンサ2に蓄積させることが可能であり、フローティングコンデンサ2を放電することにより、スイッチング速度を速くすることなく、スイッチング損失を低減することが可能である。また、スイッチング素子1UN、1XMの寄生ダイオードのリカバリ時にスイッチング素子1UN、1XMに低電圧を印加することにより、リカバリ損失を低減することができる。
図2は、一実施形態の電力変換装置の動作の一例を説明するための図である。
ここでは、スイッチング素子1Uのゲート信号Suと上アームの複数のスイッチング素子1UNのゲート信号Su(N)とのターンオンタイミングおよびターンオフタイミングの一例を示すタイミングチャートと、複数のコンデンサ3UNに通流する電流icu(N)と、フローティングコンデンサ2に通流する電流icfとの関係の一例を示している。なお、図2では、電流icu(N)と電流icfとは、交流端子211から出力される方向を正としている。また、図2に示した期間において、スイッチング素子1Xと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとはオフされている状態である。
最初に、スイッチング素子1Uと、上アームの複数のスイッチング素子1UNとがオフされている状態から、インバータセル100のスイッチング素子1Uがターンオンされる。これにより、フローティングコンデンサ2に電流icfが通流し、蓄えられたエネルギーが放電される。
続いて、上アームの複数のスイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNが順次ターンオンされる。複数のスイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNをターンオンする順序は、限定されるものではない。ここでは、プラス直流端子209に近い側(電位が高い側)のスイッチ回路101nのスイッチング素子1Unから順に、インバータセル100に近い側(電位が低い側)のスイッチ回路1011のスイッチング素子1U1まで、順次、ターンオンされる例について説明する。
スイッチング素子1Unがターンオンされると、マイナス直流端子210から下アームの複数のスイッチ回路102Mのスイッチング素子1XMの寄生ダイオードを通流していた電流が、プラス直流端子209に流れるように転流する。これにより、フローティングコンデンサ2の放電は終了する。
電流がプラス直流端子209へ転流すると、ターンオンされたスイッチング素子1Unと、オフされているスイッチング素子1U1~1U(n-1)に並列に接続されたコンデンサ3U1~3U(n-1)およびダイオード4U1~4U(n-1)に電流が通流する。
また、ターンオンされたスイッチング素子1Unと並列に接続されたコンデンサ3Unと、低電位側に接続されたスイッチ回路101(n-1)のコンデンサ3U(n-1)とが回生整流ダイオード6Unを介して接続され、コンデンサ3Unに蓄えられたエネルギーがコンデンサ3U(n-1)へ放電される。
次に、スイッチ回路101nの低電位側に接続されたスイッチ回路101(n-1)のスイッチング素子1U(n-1)がターンオンされると、コンデンサ3U(n-1)に通流していた電流がスイッチング素子1U(n-1)へ転流し、コンデンサ3U(n-1)への充電が終了する。
続いて、スイッチ回路101(n-1)のスイッチング素子1U(n-1)がターンオンされると、コンデンサ3U(n-1)と、低電位側に接続されたスイッチ回路101(n-2)のコンデンサ3U(n-2)とが、回生整流ダイオード6U(n-1)を介して接続され、コンデンサ3U(n-1)に蓄えられたエネルギーがコンデンサ3U(n-2)へ放電される。
図2に示す例では、コンデンサ3Unからコンデンサ3U(n-1)への放電と、コンデンサ3U(n-1)からコンデンサ3U(n-2)への放電との、2度の放電動作のタイミングが示されているが、コンデンサ3UN間の放電はコンデンサ3UNの電圧関係に応じて変わるため、この例に限定されるものではない。例えば、コンデンサ3Unの電圧が、コンデンサ3U(n-1)およびコンデンサ3U(n-2)よりも高いときには、コンデンサ3Unに蓄えられたエネルギーがコンデンサ3U(n-1)およびコンデンサ3U(n-2)へ放電される。すなわち、コンデンサ3Unに蓄えられたエネルギーは、より電圧の低い1又は複数の他のコンデンサ3UNに放電され得る。
例えば図2に示すように、スイッチング素子1Uをターンオンし、スイッチング素子1Unからスイッチング素子1U1まで、順次、ターンオンさせると、電力変換装置の上アームのスイッチング素子が全てターンオンされ、コンデンサ3Unからコンデンサ3U1へ順次放電されたエネルギーが、最終的にフローティングコンデンサ2に充電される。
続いて、インバータセル100のスイッチング素子1Uと、複数のスイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNとが順次ターンオフされる。なお、スイッチング素子1UNをターンオフする順序は、限定されるものではない。ここでは、インバータセル100に近い側(電位が低い側)のスイッチ回路1011のスイッチング素子1U1から順に、プラス直流端子209に近い側(電位が高い側)のスイッチ回路101nのスイッチング素子1Unまで、順次、ターンオフされる例について説明する。スイッチング素子1Uは、複数のスイッチング素子1UNが全てターンオフされた後にターンオフされる。
スイッチング素子1Uと、スイッチング素子1UNとが全てオンされている状態において、例えばスイッチング素子1U1がターンオフされると、スイッチング素子1U1に通流していた電流はコンデンサ3U1へ流れ、コンデンサ3U1が充電される。このとき、例えば従来の2レベルインバータではスイッチング損失として熱となるエネルギーがコンデンサ3U1に充電されるため、高効率なスイッチング動作を行うことが可能となる。
上記のターンオフの動作が、スイッチング素子1U1から順にスイッチング素子1Unまで順次行われる。これにより、コンデンサ3U1~3U(n-1)に充電されたエネルギーは、順次コンデンサ3Unまで放電される。続いて、スイッチング素子1Unがターンオフされると、最終的に、コンデンサ3Unに蓄えられたエネルギーがフローティングコンデンサ2に充電される。
上記ターンオフの動作が終了すると、スイッチング素子1Uがオンされ、複数のスイッチング素子1UNが全てオフされた状態となり、フローティングコンデンサ2に充電されたエネルギーが放電される。このことにより、フローティングコンデンサ2に蓄えられたエネルギーを効率よく回生することができる。
その後、スイッチング素子1Uがターンオフされると、フローティングコンデンサ2の放電が終了する。
なお、上記スイッチング素子1U、1UNのスイッチング動作によれば、最初にターンオンされたスイッチング素子1Unに並列に接続されたコンデンサ3Unに流れる充電電流は少なく、最後にターンオンされたスイッチング素子1U1に並列に接続されたコンデンサ3U1に流れる充電電流が多くなる。
また、最初にターンオフされたスイッチング素子1U1に並列に接続されたコンデンサ3U1に流れる充電電流は多く、最後にターンオフされたスイッチング素子1Unに並列に接続されたコンデンサ3Unに流れる充電電流は少なくなる。
したがって、ターンオンされるタイミングがより遅く、ターンオフされるタイミングがより早いスイッチング素子1UNと並列に接続されたコンデンサ3UNに流れる充電電流が増加し、その責務が多くなる傾向にある。その責務に合わせて、コンデンサ3UNの静電容量を調整することで、コンデンサ3UN自体の発熱や電圧上昇を抑えることができる。
以下、本実施形態の電力変換装置の効果の一例について説明する。
図3A乃至図5Bは、一実施形態の電力変換装置の効果の一例を説明するための図である。
図3Aは、従来の2レベルインバータにおいて、スイッチング素子がターンオンすることにより生じる損失の一例を比較例として示す図である。
図3Bは、一実施形態の電力変換装置において、スイッチング素子がターンオンすることによりアームに生じる損失の一例を示す図である。
図3Cは、一実施形態の電力変換装置において、スイッチング素子がターンオンすることにより素子毎に生じる損失の一例を示す図である。
例えば図3Aに示すように、従来の2レベルインバータでは、スイッチング素子がターンオンするタイミングにて、スイッチング素子に流れる電流が上昇し、スイッチング素子に印加される電圧が降下する。スイッチング素子に流れる電流とスイッチング素子に印加される電圧によりスイッチング素子にて生じるエネルギーは他の素子にて吸収されることなく熱となり、スイッチング損失となる。
これに対し、本実施形態の電力変換装置では、図3Cに示すように、スイッチング素子毎に見ると、従来と同様にターンオン時にエネルギーが発生しているが、図3Bに示すように、アーム全体として見ると、スイッチング時に生じるエネルギーがコンデンサ3UNに吸収されている。コンデンサ3UNに蓄えられたエネルギーは、フローティングコンデンサ2へ放電され、フローティングコンデンサ2の放電エネルギーとして回生される。このため、スイッチング素子1U、1UNがターンオンする際生じるエネルギーのうち、アーム全体としての損失となるのは一部であり、エネルギー効率が改善されることとなる。
図4Aは、従来の2レベルインバータにおいて、スイッチング素子がターンオフすることにより生じる損失の一例を比較例として示す図である。
図4Bは、一実施形態の電力変換装置において、スイッチング素子がターンオフすることによりアームに生じる損失の一例を示す図である。
図4Cは、一実施形態の電力変換装置において、スイッチング素子がターンオフすることにより素子毎に生じる損失の一例を示す図である。
例えば図4Aに示すように、従来の2レベルインバータでは、スイッチング素子がターンオフするタイミングにて、スイッチング素子に印加される電圧が上昇し、スイッチング素子に流れる電流が降下する。このようにスイッチング素子に流れる電流とスイッチング素子に印加される電圧によりスイッチング素子にて生じるエネルギーは他の素子に吸収されることなく熱となり、スイッチング損失となる。
これに対し、本実施形態の電力変換装置では、図4Cに示すように、スイッチング素子毎に見ると、従来と同様にターンオフ時にエネルギーが発生しているが、図4Bに示すように、アーム全体として見ると、スイッチング時に生じるエネルギーがコンデンサ3UNに吸収され、フローティングコンデンサ2の放電エネルギーとして回生されている。このため、スイッチング素子1U、1UNがターンオフする際生じるエネルギーのうち、アーム全体としての損失となるのは一部であり、エネルギー効率が改善されることとなる。
図5Aは、従来の2レベルインバータにおいて生じるリカバリ損失の一例を比較例として示す図である。
図5Bは、一実施形態の電力変換装置において生じるリカバリ損失の一例を示す図である。
例えば図5Aに示すように、従来の2レベルインバータにおいて、下アームのスイッチング素子がターンオンされるとき、上アームのスイッチング素子の寄生ダイオードのリカバリ時に寄生ダイオードに流れる電流と印加される電圧とによりリカバリ損失が発生する。
これに対し本実施形態の電力変換装置では、例えばスイッチング素子1XMのいずれかがターンオンされると、図5Bに示すように、複数のスイッチ回路102Mの1つに印加されていた電圧が、複数のスイッチ回路101Nの直列数(=n)に分圧されて、複数のスイッチ回路101Nのそれぞれに印加される。このため、複数のスイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNの寄生ダイオードのリカバリ時に印加される電圧が小さくなり、リカバリ時に発生する損失(リカバリ損失)が低減される。
なお、本実施形態では、電力変換装置の上アーム(複数のスイッチ回路101N)の動作について説明したが、下アーム(複数のスイッチ回路101M)についても同様である。すなわち、下アームをターンオンする際には、最初にインバータセル100のスイッチング素子1Xをターンオンした後、複数のスイッチング素子1XMを所定の時間間隔を空けて順次ターンオンさせる。下アームをターンオフする際には、複数のスイッチング素子1XMを順次ターンオフした後、インバータセル100のスイッチング素子1Xをターンオフさせる。このことにより、高速にスイッチングすることなく、スイッチング素子1X、1XMのスイッチング損失およびリカバリ損失を低減することが可能となる。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、高速なスイッチングを行うことなくスイッチング損失を抑制することを実現することができる。また、本実施形態の電力変換装置では、スナバコンデンサ相当の小さい容量のコンデンサを使用し、容量の大きなコンデンサを備える必要がなく、電力変換装置が大型化することを回避することが可能である。
すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
なお、本実施形態の電力変換装置において、上アームの複数のスイッチング素子1UNを同時にスイッチングすること、および、下アームの複数のスイッチング素子1XMを同時にスイッチングすることで、高耐圧かつ高dv/dtを実現し、かつ、コンデンサ3UNおよびコンデンサ3XMにおける高di/dtと寄生インダクタンスによるサージ電圧を抑制する動作を行うことも可能である。
次に、第2実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、上述の第1実施形態にて説明した電力変換装置の異なる動作の例について説明する。
図6は、一実施形態の電力変換装置の動作の他の例を説明するための図である。
ここでは、スイッチング素子1Uのゲート信号Suと上アームの複数のスイッチング素子1UNのゲート信号Su(N)とのターンオンタイミングおよびターンオフタイミングの一例を示すタイミングチャートと、複数のコンデンサ3UNに通流する電流icu(N)と、フローティングコンデンサ2に通流する電流icfとの関係の一例を示している。なお、図6では、電流icu(N)と電流icfとは、交流端子211から出力される方向を正としている。また、図6に示す期間において、スイッチング素子1Xと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとはオフされている状態である。
本実施形態の電力変換装置の動作は、複数のスイッチング素子1UNをターンオフさせる順序が上述の第1実施形態と異なっている。この例では、複数のスイッチング素子1UNをターンオンさせた順序と同じ順序で、複数のスイッチング素子1UNがターンオフされる。例えば図6に示す例では、スイッチング素子1Uがターンオンされた後、プラス直流端子209に近い側(電位が高い側)のスイッチ回路101nのスイッチング素子1Unから順に、インバータセル100に近い側(電位が低い側)のスイッチ回路1011のスイッチング素子1U1まで、順次、ターンオンされ、これと同じ順序で、スイッチング素子1Unからスイッチング素子1U1までターンオフされる。スイッチング素子1Uは、複数のスイッチング素子1UNが全てターンオフされた後にターンオフされる。
ここでは、複数のスイッチング素子1UNをターンオフする動作について説明する。
スイッチング素子1Uと、スイッチング素子1UNとが全てオンされている状態において、例えばスイッチング素子1Unがターンオフされると、スイッチング素子1Unに通流していた電流はコンデンサ3Unへ流れ、コンデンサ3Unが充電される。
上記のターンオフの動作が、スイッチング素子1Unから順にスイッチング素子1U1まで順次行われる。これにより、コンデンサ3Unに充電されたエネルギーは、順次コンデンサ3U1へ放電され、最終的にフローティングコンデンサ2に充電される。
複数のスイッチング素子1UNの上記ターンオフの動作が終了すると、スイッチング素子1Uがオンされ、複数のスイッチング素子1UNが全てオフされた状態となり、フローティングコンデンサ2に充電されたエネルギーが放電される。このことにより、フローティングコンデンサ2に蓄えられたエネルギーが効率よく回生される。
その後、スイッチング素子1Uがターンオフされると、フローティングコンデンサ2の放電が終了する。
上記スイッチング素子1U、1UNのスイッチング動作によれば、最初にターンオンされたスイッチング素子1Unに並列に接続されたコンデンサ3Unに流れる充電電流は少なく、最後にターンオンされたスイッチング素子1U1に並列に接続されたコンデンサ3U1に流れる充電電流が多くなる。
また、最初にターンオフされたスイッチング素子1Unに並列に接続されたコンデンサ3Unに流れる充電電流は多く、最後にターンオフされたスイッチング素子1U1に並列に接続されたコンデンサ3U1に流れる充電電流は少なくなる。
したがって、複数のコンデンサ3UNそれぞれに流れる充電電流がほぼ等しくなり、複数のコンデンサ3UNの責務も略等しくなる。これにより、複数のコンデンサ3UNの静電容量を等しくすることで、コンデンサ3UN自体の発熱や電圧上昇を抑えることができる。
上記のことから、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様に、高速なスイッチングを行うことなくスイッチング損失を抑制することを実現することができ、電力変換装置が大型化することを回避することが可能である。
すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
次に、第3実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、上述の第1および第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、電圧検出器10と、減算器12と、制御器14と、補償器16とを備えている点で上述の第1実施形態と異なる。
減算器12には、フローティングコンデンサ2の電圧指令値Vcf*と、電圧検出器10にて検出されたフローティングコンデンサ2の電圧検出値Vcfとが入力される。減算器12は、電圧指令値Vcf*から電圧検出値Vcを引いた差ΔVcfを制御器14へ出力する。
なお、本実施形態において、フローティングコンデンサ2の電圧指令値Vcf*は、例えば下記式(1)により設定された値である。
上記式(1)においてαはゼロよりも大きい値であって、Vはプラス直流端子209とマイナス直流端子210との間に印加される電圧である。
ここで、上記式(1)によれば、フローティングコンデンサ2の電圧指令値Vcf*は、スイッチ回路101Nそれぞれに印加される電圧(V/(n+1))およびスイッチ回路102Mそれぞれに印加される電圧(V/(m+1))の最大値よりも大きくなる。このよう電圧指令値Vcf*を設定することにより、プラス直流端子209からマイナス直流端子210、もしくは、マイナス直流端子210からプラス直流端子209へ電流が転流するときに、寄生インダクタンスに印加される電圧が大きくなり、特に、スイッチング素子をターンオフするときの転流時間を短くすることができる。
なお、フローティングコンデンサ2の放電によるエネルギーと、スイッチ回路101N、102Mのコンデンサ3UN、3XMの放電によるエネルギーおよび寄生インダクタンスにたまった磁気エネルギーの充電によるエネルギーとが等しくなるように、フローティングコンデンサ2の電圧が制御されることが望ましい。
制御器14は、減算器12から入力された差ΔVcfをゼロとする操作量を演算して出力する。制御器14は、例えば、入力された値に所定のゲインを乗じて出力するPI(比例積分)制御器である。
補償器16は、制御器14から入力された操作量に基づいて、スイッチング素子1U、1UN、1X、1XMのスイッチングタイミングを調整するための調整補償量を演算し、図示しないゲート信号生成器へ出力する。ここで、補償器16にて演算される調整補償量は、例えば、電力変換装置の変調率やキャリア波の位相などを調整するための補償量である。
ゲート信号生成器は、補償器16から受信した補償量を用いて、変調率やキャリア波の位相を調整し、例えば出力指令値とキャリア波を比較することによりスイッチング素子1UN、1XMのゲート信号Su、Su(N)、Sx、Sx(M)を生成して出力することができる。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の電力変換装置によれば、フローティングコンデンサ2の電圧を制御することが可能となり、これにより、例えば、フローティングコンデンサ2に高電圧が印加されて素子が壊れることを回避することができ、安定した回路動作を実現することができる。
次に、第4実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第3実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図8は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、電圧検出器10と、減算器12と、制御器14と、補償器16、電流検出器17と、乗算器18とを備えている点で上述の第1実施形態と異なる。
減算器12には、フローティングコンデンサ2の電圧指令値Vcf*と、電圧検出器10にて検出されたフローティングコンデンサ2の電圧検出値Vcfとが入力される。減算器12は、電圧指令値Vcf*から電圧検出値Vcを引いた差ΔVcfを制御器14へ出力する。なお、本実施形態において、フローティングコンデンサ2の電圧指令値Vcf*は、上述の第4実施形態の電力変換装置と同様に、例えば下記式(1)により設定された値である。
制御器14は、減算器12から入力された差ΔVcfをゼロとする操作量を演算して出力する。制御器14は、例えば、入力された値に所定のゲインを乗じて出力するPI(比例積分)制御器である。
電流検出器17は、電力変換装置の交流端子211に流れる電流の値(若しくは電流に相当する値)を検出して、検出値を乗算器18に供給する。
乗算器18は、制御器14から入力された操作量と、電流検出器17から入力された検出値とを乗じた積を、補償器16へ出力する。
補償器16は、乗算器18から入力された操作量と電流検出値との積に基づいて、スイッチング素子1U、1UN、1X、1XMのスイッチングタイミングを調整するための調整補償量を演算し、図示しないゲート信号生成器へ出力する。ここで、補償器16にて演算される調整補償量は、例えば、電力変換装置の変調率やキャリア波の位相などを調整するための補償量である。
ゲート信号生成器は、補償器16から受信した補償量を用いて、変調率やキャリア波の位相を調整し、例えば出力指令値とキャリア波を比較することによりスイッチング素子1UN、1XMのゲート信号Su、Su(N)、Sx、Sx(M)を生成して出力することができる。
上記のように、電力変換装置から出力される電流値(若しくは電流相当値)に更に基づく操作量を用いてフローティングコンデンサ2の電圧を制御することにより、より精度よくフローティングコンデンサ2の電圧を制御することが可能である。これにより、例えば、フローティングコンデンサ2に高電圧が印加されて素子が壊れることを回避することができる。
したがって、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、フローティングコンデンサ2の電圧を制御することが可能となり、安定した回路動作を実現することができる。
次に、第5実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図9は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第4実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、コンデンサ3U0、3X0と、ダイオード4U0、4UXと、抵抗器5U0、5X0と、回生整流ダイオード6U0、6X0と、を更に備えている。
ダイオード(上側ダイオード)4U0は、カソードがスイッチング素子1Uのソースおよび交流端子211と電気的に接続し、アノードが抵抗器5U0と電気的に接続する。なお、ダイオード4U0は、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
コンデンサ(上側コンデンサ)3U0は、一端がスイッチング素子1Uのドレインと電気的に接続し、他端がダイオード4U0のアノードおよび抵抗器5U0と電気的に接続されている。
抵抗器(上側抵抗器)5U0の一端は、ダイオード4U0のアノードとコンデンサ3U0の他端とに電気的に接続されている。抵抗器5U0の他端は、回生整流ダイオード6U1のアノードと、回生整流ダイオード6U0のカソードとに電気的に接続されている。
ダイオード(下側ダイオード)4X0は、アノードがスイッチング素子1Xのドレインおよび交流端子211と電気的に接続し、カソードが抵抗器5X0と電気的に接続している。なお、ダイオード4X0は、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
コンデンサ(下側コンデンサ)3X0は、一端がスイッチング素子1Xのソースと電気的に接続され、他端がダイオード4X0のカソードおよび抵抗器5XMと電気的に接続されている。
抵抗器(下側抵抗器)5X0の一端は、ダイオード4X0のカソードとコンデンサ3X0の他端とに電気的に接続されている。抵抗器5X0の他端は、回生整流ダイオード6X0のアノードと、回生整流ダイオード6X1のカソードとに電気的に接続されている。
上記のように、本実施形態の電力変換装置は、インバータセル100の上側のアームが、スイッチ回路101Nと同様の構成を備えた電圧型クランプ型スイッチ回路であり、インバータセル100の下側のアームが、スイッチ回路102Mと同様の構成を備えた電圧型クランプ型スイッチ回路である。したがって、本実施形態では、インバータセル100の上側のアームと下側のアームとは、スイッチ回路101N、102Mと同様のスイッチ回路として共通の回路を用いることができる。
本実施形態において、複数の第1回生整流回路は、最も低電位側の第1スイッチ回路の第1コンデンサと上側コンデンサとの間、及び、上側コンデンサと下側スイッチング素子の低電位側の端子との間にさらに接続されている。
また、本実施形態において、複数の第2回生整流回路は、最も高電位側の第2スイッチ回路の第2コンデンサと下側コンデンサとの間、及び、下側コンデンサと上側スイッチング素子の高電位側の端子との間にさらに接続されている。
本実施形態の電力変換装置の動作は、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様である。すなわち、上アームの複数のスイッチング素子1UNと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとを、それぞれ、所定の時間間隔をあけて順次スイッチングさせることにより、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
次に、第6実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図10は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第5実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、回生整流ダイオード6U1、6X1が省略されている。また、回生整流ダイオード6U2のアノードは、スイッチング素子1Xのソースと電気的に接続されることなく、回生整流ダイオード6X2のカソードと電気的に接続されている。回生整流ダイオード6X2のカソードは、スイッチング素子1Uのドレインと接続されることなく、回生整流ダイオード6U2のアノードと電気的に接続されている。
すなわち、本実施形態の電力変換装置は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、隣接したスイッチ回路101N間、及び、隣接したスイッチ回路102M間にそれぞれ接続され、互いに直列に接続された複数の回生整流ダイオード6UN、6XM(N=2~n、M=2~m)と、を備えている。
本実施形態では、回生整流回路が、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、隣接した第1スイッチ回路の第1コンデンサ間、及び、隣接した第2スイッチ回路の第2コンデンサ間にそれぞれ接続され、複数の回生整流回路が互いに直列に接続されている。
すなわち、本実施形態の電力変換装置は、第1スイッチ回路101Nの少なくとも1つが第1スイッチング素子1UNの低電位側端にカソードが接続された第1ダイオード4UNと、第1ダイオード4UNのアノードと第1スイッチング素子1UNの高電位側端との間に接続された第1コンデンサ3UNと、を備えるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端とを接続する回生整流回路を備えている。
また、本実施形態の電力変換装置は、第2スイッチ回路102Xの少なくとも1つが第2スイッチング素子1XMの高電位側端にアノードが接続された第2ダイオード4XMと、第2ダイオード4XMのカソードと第2スイッチング素子1XMの低電位側端との間に接続された第2コンデンサ3XMと、を備えるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の高電位側端および下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端を接続する回生整流回路を備えている。
なお、本実施形態において、インバータセル100の構成は、第1実施形態と同様であってもよく、第5実施形態と同様であってもよい。インバータセル100が第5実施形態と同様の構成である場合には、回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端、上側コンデンサ3U0の低電位側端、および、上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端を接続し、かつ、インバータセル100の高電位側端、下側コンデンサ3X0の高電位側端、および、下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端を接続する回路を備える。
本実施形態の電力変換装置の動作は、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様である。すなわち、上アームの複数のスイッチング素子1UNと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとを、それぞれ、所定の時間間隔をあけて順次スイッチングさせることにより、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
次に、第7実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図11は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第6実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、回生整流回路が抵抗器7C、7UN(N=2~n)、7XM(M=2~m)を更に備えている点において上述の第6実施形態の電力変換装置と異なる。
抵抗器7UN(N=2~n)は、スイッチ回路101(N-1)のスナバ端子205(N-1)と回生整流ダイオード6UNとを電気的に接続する経路において、回生整流ダイオード6UNと直列に接続されている。
抵抗器7XM(M=2~m)は、スイッチ回路102Mのスナバ端子208Mと回生整流ダイオード6XMとを電気的に接続する経路において、回生整流ダイオード6XMと直列に接続されている。
抵抗器7Cは、スイッチ回路1011のスナバ端子2051と、スイッチ回路1021のスナバ端子2081との間を電気的に接続する経路において、スナバ端子2051およびスナバ端子2081に直列に接続されている。
上記のように、本実施形態の電力変換装置は、回生整流ダイオード6UN、6XMと直列に接続された抵抗器7C、7UN(N=2~n)、7XM(M=2~m)を備える構成であり、スナバ端子205N、208Mを介してスイッチ回路101N、102Mのコンデンサ3UN、3XM間を電気的に接続する経路に介在する抵抗器の数を減らすことができる。例えば、図1に示す構成では、コンデンサ3Unとコンデンサ3U(n-1)とがスナバ端子205n、205(n-1)を介して電気的に接続される経路には、抵抗器5Unと抵抗器5U(n-1)とが介在している。これに対し、図11に示す構成では、コンデンサ3Unとコンデンサ3U(n-1)とがスナバ端子205n、205(n-1)を介して電気的に接続される経路には、抵抗器7nが介在している。これにより、スイッチ回路101N間およびスイッチ回路102M間を電気的に接続する経路を介して充電されるエネルギーを、より効率よく回生することができる。
なお、本実施形態において、インバータセル100の構成は、第1実施形態と同様であってもよく、第5実施形態と同様であってもよい。インバータセル100が第5実施形態と同様の構成である場合には、回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端、上側コンデンサ3U0の低電位側端、および、上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端を接続し、かつ、インバータセル100の高電位側端、下側コンデンサ3X0の高電位側端、および、下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端を接続する回路を備える。
本実施形態の電力変換装置の動作は、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様である。すなわち、上アームの複数のスイッチング素子1UNと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとを、それぞれ、所定の時間間隔をあけて順次スイッチングさせることにより、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
次に、第8実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図12は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第7実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、上述の第7実施形態の電力変換装置において回生整流ダイオード6Cを更に備えた構成である。
回生整流ダイオード6Cは、スイッチ回路1011のスナバ端子2051(図11に示す)と抵抗器7Cとの間を電気的に接続する経路において、抵抗器7Cと直列に接続されている。
また、本実施形態の電力変換装置では、抵抗器7XMは、回生整流ダイオード6XMとスイッチ回路102(M-1)のスナバ端子208(M-1)との間において、回生整流ダイオード6XMと直列に接続されている。
本実施形態の電力変換装置は、上記構成以外は上述の第7実施形態の電力変換装置と同様の構成である。
本実施形態では、上述の第7実施形態と同様に、スナバ端子205N、208Mを介してスイッチ回路101N、102Mのコンデンサ3UN、3XM間を電気的に接続する経路に介在する抵抗器の数を減らすことができる。これにより、スイッチ回路101N間およびスイッチ回路102M間を電気的に接続する経路を介して充電されるエネルギーを、より効率よく回生することができる。
なお、本実施形態において、インバータセル100の構成は、第1実施形態と同様であってもよく、第5実施形態と同様であってもよい。インバータセル100が第5実施形態と同様の構成である場合には、回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端、上側コンデンサ3U0の低電位側端、および、上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端を接続し、かつ、インバータセル100の高電位側端、下側コンデンサ3X0の高電位側端、および、下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端を接続する回路を備える。
本実施形態の電力変換装置の動作は、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様である。すなわち、上アームの複数のスイッチング素子1UNと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとを、それぞれ、所定の時間間隔をあけて順次スイッチングさせることにより、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
次に、第9実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図13は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第8実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、下アームの構成が上述の第1実施形態と異なっている。
本実施形態の電力変換装置は、マイナス直流端子210とインバータセル100との間の経路にスイッチング素子1XHが接続されている。なお、スイッチング素子1XHは、スイッチ回路101Nのスイッチング素子1UNよりも高耐圧の素子を用いることが望ましい。また、図13では、電力変換装置は、下アームに1つのスイッチング素子1XHを備えているが、下アームにおいて複数のスイッチング素子1XHを直列に接続しても構わない。なお、電力変換方向は一方方向になるが、下アームは、スイッチング素子1XHに代えて高耐圧のダイオード(受動半導体素子)を備えていてもよい。
上記のように、本実施形態の電力変換装置は、下アームの構成が第1実施形態と異なっているものであって、第1スイッチ回路101Nの少なくとも1つが第1スイッチング素子1UNの低電位側端にカソードが接続された第1ダイオード4UNと、第1ダイオード4UNのアノードと第1スイッチング素子1UNの高電位側端との間に接続された第1コンデンサ3UNと、を備えるとき、および、第2スイッチ回路102Xの少なくとも1つが第2スイッチング素子1XMの高電位側端にアノードが接続された第2ダイオード4XMと、第2ダイオード4XMのカソードと第2スイッチング素子1XMの低電位側端との間に接続された第2コンデンサ3XMと、を備えるときの少なくとも一方であるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端と、インバータセル100の高電位側端および下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端と、の少なくともいずれか一方を接続する回生整流回路を備えている。
なお、本実施形態において、インバータセル100の構成は、第1実施形態と同様であってもよく、第5実施形態と同様であってもよい。インバータセル100が第5実施形態と同様の構成である場合には、回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端、上側コンデンサ3U0の低電位側端、および、上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端を接続するとともに、インバータセル100の高電位側端および下側コンデンサ3X0の高電位側端を接続する回路を備える。
本実施形態の電力変換装置は、上アームは上述の第1および第2実施形態と同様の動作となり、下アームは、スイッチング素子1Xとスイッチング素子1XHとを同時にスイッチングすることにより、従来の2レベルインバータと同様に動作させることが可能である。したがって、本実施形態の電力変換装置では、上アームの複数のスイッチング素子1UNを、所定の時間間隔をあけて順次スイッチングさせることにより、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
次に、第10実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図14は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第9実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、上アームの構成が上述の第1実施形態と異なっている。
本実施形態の電力変換装置は、プラス直流端子209とインバータセル100との間の経路にスイッチング素子1UHが接続されている。なお、スイッチング素子1UHは、スイッチ回路102Mのスイッチング素子1XMよりも高耐圧の素子を用いることが望ましい。また、図14では、電力変換装置は、上アームに1つのスイッチング素子1UHを備えているが、上アームにおいて複数のスイッチング素子1UHを直列に接続しても構わない。なお、電力変換方向は一方方向になるが、上アームは、スイッチング素子1UHに代えて高耐圧のダイオード(受動半導体素子)を備えていてもよい。
上記のように、本実施形態の電力変換装置は、上アームの構成が第1実施形態と異なっているものであって、第1スイッチ回路101Nの少なくとも1つが第1スイッチング素子1UNの低電位側端にカソードが接続された第1ダイオード4UNと、第1ダイオード4UNのアノードと第1スイッチング素子1UNの高電位側端との間に接続された第1コンデンサ3UNと、を備えるとき、および、第2スイッチ回路102Xの少なくとも1つが第2スイッチング素子1XMの高電位側端にアノードが接続された第2ダイオード4XMと、第2ダイオード4XMのカソードと第2スイッチング素子1XMの低電位側端との間に接続された第2コンデンサ3XMと、を備えるときの少なくとも一方であるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端と、インバータセル100の高電位側端および下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端と、の少なくともいずれか一方を接続する回生整流回路を備えている。
なお、本実施形態において、インバータセル100の構成は、第1実施形態と同様であってもよく、第5実施形態と同様であってもよい。インバータセル100が第5実施形態と同様の構成である場合には、回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上側コンデンサ3U0の低電位側端を接続するとともに、インバータセル100の高電位側端、下側コンデンサ3X0の高電位側端、および、下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端を接続する回路を備える。
本実施形態の電力変換装置は、下アームは上述の第1および第2実施形態と同様の動作となり、上アームは、スイッチング素子1Uとスイッチング素子1UHとを同時にスイッチングすることにより、従来の2レベルインバータと同様に動作させることが可能である。したがって、本実施形態の電力変換装置では、下アームの複数のスイッチング素子1XMを、所定の時間間隔をあけて順次スイッチングさせることにより、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
次に、第11実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図15は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第10実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、回生整流回路の構成が上述の第1実施形態と異なっている。
複数の第1回生整流回路は、それぞれ回生整流ダイオード6UNと抵抗器5UNとを備えている。回生整流ダイオード6UNは、インバータセル100の負側セル端子201からスイッチ回路101Nのスナバ端子205Nへ向かう方向を順方向として、負側セル端子201とスナバ端子205Nとの間に接続されている。抵抗器5UNは、回生整流ダイオード6UNのカソードとスナバ端子205Nとの間を電気的に接続する経路において、回生整流ダイオード6UNと直列に接続されている。すなわち、複数の回生整流ダイオード6UNのアノードは、他の回生整流ダイオード6UNを介さずに、インバータセル100の負側セル端子201と電気的に接続されている。
すなわち、本実施形態において、複数の第1回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、下側スイッチング素子の低電位側の端子(インバータセル100の低電位側端)と複数の第1スイッチ回路の第1コンデンサの低電位側端との間にそれぞれ接続されている。
上記のように、本実施形態の電力変換装置は、第1スイッチ回路101Nの少なくとも1つが第1スイッチング素子1UNの低電位側端にカソードが接続された第1ダイオード4UNと、第1ダイオード4UNのアノードと第1スイッチング素子1UNの高電位側端との間に接続された第1コンデンサ3UNと、を備えるとき、および、第2スイッチ回路102Xの少なくとも1つが第2スイッチング素子1XMの高電位側端にアノードが接続された第2ダイオード4XMと、第2ダイオード4XMのカソードと第2スイッチング素子1XMの低電位側端との間に接続された第2コンデンサ3XMと、を備えるときの少なくとも一方であるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端と、インバータセル100の高電位側端および下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端と、の少なくともいずれか一方を接続する回生整流回路を備えている。
複数の第2回生整流回路は、それぞれ回生整流ダイオード6XMと抵抗器5XMとを備えている。回生整流ダイオード6XMは、スイッチ回路102Mのスナバ端子208Mからインバータセル100の正側セル端子200へ向かう方向を順方向として、スナバ端子208Mと正側セル端子200との間に接続されている。抵抗器5XMは、回生整流ダイオード6XMのアノードとスナバ端子208Mとの間を電気的に接続する経路において、回生整流ダイオード6XMと直列に接続されている。すなわち、複数の回生整流ダイオード6XMのカソードは、他の回生整流ダイオード6XMを介さずに、インバータセル100の正側セル端子200と電気的に接続されている。
すなわち、本実施形態において、複数の第2回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、上側スイッチング素子の高電位側の端子(インバータセル100の高電位側端)と複数の第2スイッチ回路の第2コンデンサの高電位側端との間にそれぞれ接続されている。
なお、本実施形態において、インバータセル100の構成は、第1実施形態と同様であってもよく、第5実施形態と同様であってもよい。インバータセル100が第5実施形態と同様の構成である場合には、回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端と上側コンデンサ3U0の低電位側端との間に接続された回路と、インバータセル100の高電位側端と下側コンデンサ3X0の高電位側端との間にそれぞれ接続された回路と、をさらに備える。
本実施形態の電力変換装置において、スイッチング素子1U、1Xと、複数のスイッチング素子1UNと複数のスイッチング素子1XMとのスイッチング動作は、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様である。すなわち、上アームの複数のスイッチング素子1UNと、下アームの複数のスイッチング素子1XMとを、それぞれ、所定の時間間隔をあけて順次スイッチングさせる。
本実施形態では、上記スイッチング動作および回生整流ダイオード6UN、6XMの構成により、スイッチ回路101N、102Mのコンデンサ3UN、3XMに蓄えられたエネルギーは、複数の回生整流ダイオード6UN、6XMを介すことなくフローティングコンデンサ2へ充電される。
したがって、本実施形態の電力変換装置によれば、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能であるとともに、コンデンサ3UN、3XMからフローティングコンデンサ2へエネルギーを放電する経路において、エネルギーの損失が少なくなり、より効率的にエネルギーを回生することが可能となる。
なお、本実施形態の電力変換装置では、上述の第1実施形態の電力変換装置の回路構成と比較して回生整流ダイオード6UN、6XMに印加され電圧が高くなるため、回生整流ダイオード6UN、6XMとして第1実施形態よりも高耐圧の素子を適用することが望ましい。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
次に、第12実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図16は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第11実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、例えば、上述の第1実施形態の電力変換装置が備えている第1抵抗器5UNおよび第2抵抗器5XMに代えて、第1リアクトル8UNおよび第2リアクトル8XM(若しくは第1インダクタンス素子8UNおよび第2隠宅タンス素子8XM)に置き換えた構成である。抵抗器5UN、5XMに替えてリアクトル8UN、8XMを用いることにより、例えば、コンデンサ3UN間の電圧差が大きい場合や、コンデンサ3XM間の電圧差が大きい場合であっても、効率よくエネルギーを回生することが可能である。
したがって、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様に、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
なお、図16では、第1実施形態の電力変換装置における抵抗器5UN、5XMをリアクトル8UN、8XMに置き換えた例を示しているが、他の複数の実施形態の電力変換器の回路構成についても、抵抗器に替えてリアクトルを用いることにより同様の効果を得ることができる。
次に、第13実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図17は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
なお、以下の説明において、上述の第1乃至第11実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置は、スイッチ回路101N、102Mの構成が上述の第1実施形態と異なっている。
スイッチ回路101Nは、スイッチング素子1UNに替えて、正側スイッチング素子1UNUと、負側スイッチング素子1UNLとを備えている。正側スイッチング素子1UNUと負側スイッチング素子1UNLとは直列に接続されている。
スイッチ回路102Mは、スイッチング素子1XMに替えて、正側スイッチング素子1XMUと、負側スイッチング素子1XMLとを備えている。正側スイッチング素子1XMUと負側スイッチング素子1XMLとは直列に接続されている。
本実施形態の電力変換装置では、正側スイッチング素子1UNUと負側スイッチング素子1UNLとが同時にスイッチングされ、正側スイッチング素子1XMUと負側スイッチング素子1XMLとが同時にスイッチングされる。例えば、正側スイッチング素子1UNUと負側スイッチング素子1UNLとは、共通のゲート信号Su(N)に基づいて動作を制御されてもよく、正側スイッチング素子1XMUと負側スイッチング素子1XMLとは、共通のゲート信号Sx(M)に基づいて動作を制御されてもよい。
インバータセル100は、上側スイッチング素子1Uに代えて、正側スイッチング素子1UUと負側スイッチング素子1ULとを備え、下側スイッチング素子1Xに代えて、正側スイッチング素子1XUと負側スイッチング素子1ULとを備えている。正側スイッチング素子1UUと負側スイッチング素子1ULとは直列に接続されている。正側スイッチング素子1XUと負側スイッチング素子1XLとは直列に接続されている。
すなわち、本実施形態の電力変換装置は、第1スイッチ回路101Nの少なくとも1つが第1スイッチング素子1UNの低電位側端にカソードが接続された第1ダイオード4UNと、第1ダイオード4UNのアノードと第1スイッチング素子1UNの高電位側端との間に接続された第1コンデンサ3UNと、を備えるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端とを接続する回生整流回路を備えている。
また、本実施形態の電力変換装置は、第2スイッチ回路102Xの少なくとも1つが第2スイッチング素子1XMの高電位側端にアノードが接続された第2ダイオード4XMと、第2ダイオード4XMのカソードと第2スイッチング素子1XMの低電位側端との間に接続された第2コンデンサ3XMと、を備えるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の高電位側端および下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端を接続する回生整流回路を備えている。
なお、本実施形態において、インバータセル100は、第5実施形態と同様に、上側ダイオード4U0、上側コンデンサ3U0、下側ダイオード4X0、および、下側コンデンサ3X0を備えていてもよい。この場合、回生整流回路は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端と上側コンデンサ3U0の低電位側端との間に接続されるとともに、インバータセル100の高電位側端と下側コンデンサ3X0の高電位側端との間に接続された回路をさらに備える。
本実施形態の電力変換装置の動作は、例えば、上述の第1実施形態又は第2実施形態の電力変換装置においてスイッチング素子1UNをスイッチング(ターンオン又はターンオフ)したタイミングにて、本実施形態の電力変換装置の正側スイッチング素子1UNUと負側スイッチング素子1UNLとをスイッチング(ターンオン又はターンオフ)し、上述の第1実施形態又は第2実施形態の電力変換装置においてスイッチング素子1XMをスイッチング(ターンオン又はターンオフ)したタイミングにて、本実施形態の電力変換装置の正側スイッチング素子1XMUと負側スイッチング素子1XMLとをスイッチング(ターンオン又はターンオフ)する。このことにより、本実施形態の電力変換装置において、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様に、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
上記のように、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
なお、図17に示す例では、スイッチ回路101N、102Mは、第1実施形態の電力変換装置のスイッチング素子1UN、1XMに替えて直列に接続された2つのスイッチング素子を備えていたが、スイッチ回路101N、102Mは、スイッチング素子1UN、1XMに替えて直列に接続された3つ以上のスイッチング素子を備えていても構わない。その場合であっても、スイッチ回路101N、102Mそれぞれが備える複数のスイッチング素子を同じタイミングでスイッチングし、上述の第1実施形態又は第2実施形態と同様に動作させることにより、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、第14実施形態の電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。
図18は、一実施形態の電力変換装置の構成の一例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、インバータセル100と、スイッチ回路101と、スイッチ回路102と、回生整流ダイオード6と、抵抗器7と、を備えている。
インバータセル100は、上述の第1実施形態の電力変換装置と同様の構成であるためここでは説明を省略する。なお、本実施形態において、インバータセル100は、第5実施形態と同様の構成であってもよい。
スイッチ回路101は、スイッチング素子1U1と、コンデンサ3U1と、ダイオード4U1と、を備えている。
スイッチング素子1U1は、例えばMOSFETである。スイッチング素子1U1のソースは、スイッチング素子1Uのドレインと電気的に接続され、スイッチング素子1U1のドレインはプラス直流端子209と電気的に接続される。
ダイオード4U1は、カソードがスイッチング素子1U1のソースと電気的に接続され、アノードが回生整流ダイオード6のカソードと電気的に接続される。なお、ダイオード4U1は、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
コンデンサ3U1は、一端がスイッチング素子1U1のドレインと電気的に接続され、他端がダイオード4U1のアノードおよび回生整流ダイオード6のカソードと電気的に接続される。
スイッチ回路102は、スイッチング素子1X1と、コンデンサ3X1と、ダイオード4X1と、を備えている。
スイッチング素子1X1は、例えばMOSFETである。スイッチング素子1X1のドレインは、スイッチング素子1Xのソースと電気的に接続され、スイッチング素子1X1のソースはマイナス直流端子210と電気的に接続される。
ダイオード4X1は、アノードがスイッチング素子1X1のドレインと電気的に接続され、カソードが抵抗器7およびコンデンサ3X1の一端と電気的に接続されている。なお、ダイオード4X1は、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリアダイオード(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
コンデンサ3X1は、一端がダイオード4X1のカソードと電気的に接続され、他端がスイッチング素子1X1のソースおよびマイナス直流端子210と電気的に接続される。
回生整流ダイオード6は、スイッチ回路102からスイッチ回路101へ向かう方向を順方向として、コンデンサ3U1と抵抗器7との間に接続されている。
抵抗器7は、スイッチ回路102と回生整流ダイオード6との間を接続する経路において、回生整流ダイオード6と直列に接続されている。すなわち、本実施形態の電力変換装置は、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上アームの第1コンデンサ3UNの低電位側端と、インバータセル100の高電位側端および下アームの第2コンデンサ3XMの高電位側端と、の少なくともいずれか一方を接続する回生整流回路を備えている。
上記のように、本実施形態の電力変換装置は、第1スイッチ回路101が第1スイッチング素子1U1の低電位側端にカソードが接続された第1ダイオード4U1と、第1ダイオード4U1のアノードと第1スイッチング素子1U1の高電位側端との間に接続された第1コンデンサ3U1と、を備えるとき、および、第2スイッチ回路102の少なくとも1つが第2スイッチング素子1X1の高電位側端にアノードが接続された第2ダイオード4X1と、第2ダイオード4X1のカソードと第2スイッチング素子1X1の低電位側端との間に接続された第2コンデンサ3X1と、を備えるときの少なくとも一方であるとき、低電位側から高電位側へ向かう方向を順方向として、インバータセル100の低電位側端および上アームの第1コンデンサ3U1の低電位側端と、インバータセル100の高電位側端および下アームの第2コンデンサ3X1の高電位側端と、の少なくともいずれか一方を接続する回生整流回路を備えている。
本実施形態の電力変換装置において、例えば、上アームをターンオンする際には、スイッチング素子1Uがターンオンされた後にスイッチング素子1U1がターンオンされる。また、例えば、上アームをターンオフする際には、スイッチング素子1U1がターンオフされた後にスイッチング素子1Uがターンオフされる。下アームも同様に、例えば、下アームをターンオンする際には、スイッチング素子1Xがターンオンされた後にスイッチング素子1X1がターンオフされる。また、例えば、下アームをターンオフする際には、スイッチング素子1X1がターンオフされた後にスイッチング素子1Xがターンオフされる。
上記のように動作させることにより、本実施形態の電力変換装置によれば、ターンオン損失、ターンオフ損失、および、リカバリ損失などの損失を低減することが可能である。
すなわち、本実施形態の電力変換装置によれば、上述の第1実施形態と同様に、エネルギー損失を低く抑え、かつ、大型化を回避することが可能である。
また、本実施形態の電力変換装置によれば、スイッチング素子1U、1U1、1X、1X1が電力変換のための動作を行うと、同時に、フローティングコンデンサ2に蓄えられたエネルギーを回生させることができる。したがって、本実施形態の電力変換装置では、フローティングコンデンサ2に蓄えられたエネルギーを回生させるための動作をスイッチング素子1U、1U1、1X、1X1にさせる必要がなくなり、電力変換装置の動作の制約を回避することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。