JP7292587B6 - 基礎の施工方法および基礎の構造 - Google Patents

基礎の施工方法および基礎の構造 Download PDF

Info

Publication number
JP7292587B6
JP7292587B6 JP2020140451A JP2020140451A JP7292587B6 JP 7292587 B6 JP7292587 B6 JP 7292587B6 JP 2020140451 A JP2020140451 A JP 2020140451A JP 2020140451 A JP2020140451 A JP 2020140451A JP 7292587 B6 JP7292587 B6 JP 7292587B6
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foundation
bottom slab
section
cross
formwork
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020140451A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7292587B2 (ja
JP2022028575A (ja
Inventor
新治 石川
Original Assignee
一般社団法人住まい文化研究会
ピトン株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 一般社団法人住まい文化研究会, ピトン株式会社 filed Critical 一般社団法人住まい文化研究会
Priority to JP2020140451A priority Critical patent/JP7292587B6/ja
Publication of JP2022028575A publication Critical patent/JP2022028575A/ja
Publication of JP7292587B2 publication Critical patent/JP7292587B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7292587B6 publication Critical patent/JP7292587B6/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Foundations (AREA)

Description

本発明は、住宅等の比較的小規模な建築物の基礎に関する。
木造住宅等の基礎のトラブルの発生は、継続的に続いている。具体的には、基礎の形状不備、床下換気孔・人通孔による地中梁の不連続、コンクリート強度不足、クラック、鉄筋加工の誤りなど多岐にわたって存在する。原因として考えられるのは、基礎工事は建築物の他の部位と比べて、工業生産に依存する割合が低く、多くを現場施工にゆだねているが、建築基準法等で定められる設計、施工基準等が細かく複雑に規定されている上、年を経るに従い変更が追加されていくことで、施工現場の担当者にまでその情報と知識の理解が追い付かず、机上の基準と日常業務の中で行われている基礎工事の実態とが整合できていないことが考えられる。
そのために、特開2004-68472(特許文献1)のような多様性のある基礎工事用の治具の提案により、一般的な逆T字型の布基礎ばかりでなく本発明の様なL字型布基礎にも対応できる施工法の提案や、プレキャストコンクリート基礎を使用する事で工業化率を高めようというものなど多くの改善提案がなされてきた。しかし、一般化できた改善技術は鋼製型枠や鉄筋の工業化を除くと普及が難航しているものが多いように思われる。
逆T字型の布基礎の施工では、底版と立ち上がり部とをそれぞれ別の型枠を用いて2段階に分けてコンクリートを打設するのが一般的であるが、それを施工の簡略化と打継ぎをなくすために、一回の打設で済む特開2004-68472(特許文献1)や特開2003-129586(特許文献2)の施工法が提案されて、実際に行われている例もあるが、それを実現させるためには特別な専用型枠が必要となる。
L字型の布基礎は、布基礎を採用する前提の建築物であっても、隣地境界線まで敷地に余裕が無いので逆T字型の布基礎の底版が収まらないとか、施工できない等の理由が無いと採用されない基礎形状で、これまで、どちらかというと特殊基礎の扱いとされてきた。それは、建物の荷重を基礎を通して地盤に伝える際に、底版が左右非対称になっているので偏心してしまい、それが構造的に許容範囲かどうかを確認しなければならないため、施工可能であれば当然、その確認の必要が無い逆T字型の布基礎が用いられてきた。
住宅用の基礎は、大きくは「布基礎」と「べた基礎」の二つに分類される。本来、地耐力と建物の構造から「固い地盤」には布基礎を、「軟らかい地盤」にはべた基礎を、と選択されるべきものであったが、構造計算が不要な小規模木造住宅ではでは「べた基礎」を採用する場合が年々多くなってきている。布基礎に比べてべた基礎の方が比較的軟弱な地盤でも対応できることから、建築主に対して、安全そうに見えるべた基礎を推奨して、べた基礎が採用され多くを占めると、施工側も標準化が進むことになり都合が良い。しかし、明らかに使用されるコンクリートと鉄筋量、施工手間は多くなりコストアップが伴う「過剰安全設計」となってしまう可能性はある。適切な基礎の種類の選択判断の課題は残されている。
特開2004-68472
特開2003-129586
特開2009-108594
小規模な住宅の基礎であっても、多くの部材と施工治具を使って、多段階の手順を踏みながら、現場に合った形状に仕上げていかなければならない現状を、本発明は、一般に流通している汎用性のある型枠や治具を用いることを前提としながら、基礎形状の単純化と共通化を行い、施工の手間と時間を短縮させることを目的とし、併せてコストダウンも実現させる。そのことで、布基礎の価値を向上を図り、「布基礎」と「べた基礎」が適切に選択判断される本来あるべき状態を実現させることも目的とする。
これまで単なる特殊基礎の範疇にあったL字型の布基礎の単純な形態をさらに発展させて施工しやすい構成と性能を実現することで、逆T字型と同等以上の布基礎の中での選択肢となり得る構造・施工方法を提示すること。
請求項1の発明は、例えば図1で示すように、基礎立ち上がり部の一側面が底版下端まで連続して面一となり、前記底版は前記基礎立ち上がり部から一方にのみ突出するL字型断面の布基礎の施工方法であって、前記底版上面に掘削土の埋め戻しが不要になるように、建物内床下の地面と略等しい高さまでコンクリートの打設を行う布基礎の施工方法となっている。
請求項1の発明の構成と効果について述べる。底版とはベースコンクリートやフーチングのことである。建築基準法の布基礎の仕様基準に従った根切り深さの位置に、基準で要求される厚さの底版を形成した場合、底版の上面に掘削土の埋め戻しが必ず伴うことになるが、埋め戻し土の分をコンクリートに置き換えてしまい、底版の厚みを基準より倍以上大きなものにする。底版へのコンクリートの打設作業は底版上面から行うので、L字型基礎の場合一方向からの投入だけで底版の四隅にまで充填させやすい。建物内床下の地面と高さを合わせる事を目安として、打設作業が行えるので、細かな精度は期待できないこの工程において、大胆な作業が可能になる。打設完了の位置も高くなり作業がし易い。コンクリートの使用量はその分多くはなるが、掘削土の埋め戻し作業の時間と一工程を削減できる効果は大きい。さらに、底版の断面が大きくなることで基礎梁としての強度は向上するという効果もある。
請求項2の発明は、例えば図5で示すように、基礎天端より低い開口部となる玄関等以外の建物外周部と、中通り部全てが同じ断面の前記L字型断面の布基礎の施工方法となっている。
請求項2の発明の構成と効果について述べる。L字型の布基礎は一般的に、隣地境界線までの敷地内に布基礎の底版が収まらない場合のみに使われる特殊基礎の扱いであったので、建物外周部以外の建物内部の床下である中通り用の基礎として使われることはなかった。その場合、一棟の家で複数の断面の布基礎が混在する状態となってしまう。本発明では、従来、特別な目的で使用されていたL字型の布基礎を、標準基礎と同じ扱いで、建物外周全てに用いるばかりでなく、建物内部の中通りの基礎にも同じ断面を用いることにする。それにより、玄関等の特別な部分を除いて、請求項1の構成により特別な効果がきるL字型の布基礎で、建物一棟内の基礎の断面を統一でき、施工治具及び施工方法を共通化できるという効果が生じる。
請求項3の発明は、例えば図1~4で示すように、複数本のL字型剪断補強筋を一定間隔で配置して、少なくともその上端部と屈曲部に、直交状態で溶着される所定寸法の主筋により構成されるL型字鉄筋ユニットと、前記L字型鉄筋ユニットの底版部配筋上に、基礎強度の増強が必要な場合は付加的に配置される、複数本の矩形の剪断補強筋を一定間隔で配置して、その四隅の内側に溶着される所定寸法の主筋により構成されるループ型鉄筋ユニットとで、前記L字型断面の布基礎内に配筋が行われる布基礎の施工方法となっている。
請求項3の発明の構成と効果について述べる。通常のL字型断面の布基礎より底版が倍以上厚くなったその大きさを利用して、用意された2種類の鉄筋ユニット使って、要求される強度に応じて選択的に配筋することで、基礎の外形を変えることなく広範囲の地盤強度に対応できる布基礎を提供できる。
一般的な地盤強度の土地では、L字型鉄筋ユニットで配筋を行い、布基礎が長くなり偏心により生じる、ねじれの力に対する補強が必要な場合は、L字型鉄筋ユニットの折れ曲がり部の角に合わせてループ型鉄筋ユニットを配置して結束し、基礎の外形は全く同じ状態で本格的な地中梁の配筋に変更することで、基礎梁の強度を格段に向上することができる。
床下換気孔・人通孔周りの配筋補強は忘れたり誤った利することで地中梁が不連続になってしまうトラブルは起こりやすい施工ミスであるが、L型字鉄筋ユニットとループ型鉄筋ユニットとの組み合わせで、一棟内の全てのL字型断面の布基礎内の配筋を行うと、床下換気孔・人通孔周りに特殊な配筋での補強が必要なくなるので、施工の合理化と安全性向上に役立つ。
請求項4の発明は、例えば図1、図3~4で示すように、当該基礎の成形の際に使用する型枠は、基礎立ち上がり部の一側面が前記底版下端まで連続して面一となった面を覆う正面型枠と、それに平行に対向して下端部の位置が地盤面と略等しい裏面型枠及び、前記底版の突出側端部面で打設コンクリートを堰き止めるために、前記底版下面から前記底版上面までの深さがあり60°以上の勾配で連続する根切り斜面に、防湿シートを被せて作られた底版側面用型枠、の3種類の型枠で行われる布基礎の施工方法となっている。
請求項4の発明の構成と効果について述べる。逆T字型の布基礎を施工する際には、通常底版用と立ち上がり用の二段階で行う型枠セットを用意して行う。本発明のL字型布基礎においては、施工治具の簡略化を目指したいので、型枠として用意するのは、基礎立ち上がり部と底版端部を面一で覆う事ができる正面型枠材とそれに立ち上がり基礎の幅分離れた位置で平行に対向して、下端部の位置が前記底版上面と略等しい裏面型枠材だけで済ませるようにする。前記正面型枠材と裏面型枠材の設置方法は、特開2009-108594(特許文献3)などですでに技術的開示は行われている。
本発明の底版用の型枠は、建物内の基礎用根切り斜面上に防湿シートを被せて製作する。できるだけ基礎の設計断面に近い形にして、使用するコンクリートの量を少なくするため斜面の勾配は60°以上でできる範囲で急なものにする。根入れ深さは30cm程度なのでそれ程、難しくはない。底版のこの部分は建物内の床下になるので、コンクリート打設後の底版の断面積が、設計断面形状を確保できていることを注意すれば、多少設計断面形状より大きくなっても、構造的にプラスの要因となるだけなので問題はない。床下空間を活用したい等の目的があれば、布基礎完成後に防湿コンクリートを施工すればよい。
本発明のL字型断面の布基礎の底版においては、要求される強度が満たされる設計断面形状より、施工後の施工断面形状が必ず大きくなることが前提の施工方法であり、多少のコンクリートの追加使用を割り切って認めることによって、見返りとして、より多くの施工や治具の簡略化のメリットを得ようとするものである。
請求項5の発明は、例えば図1、図3~4で示すように、前記L字型断面の布基礎の構造強度を確認する際に使用する設計断面においては、前記裏面型枠の下端高さが前記設計断面の底版上端縁に、底版内配筋端部に法定基準のかぶり厚を加えた位置が前記設計断面の底版側端縁の外郭線となり、当該底版の設計断面における前記底版側端縁と、前記底版側面用型枠の間には底版側延部が、また当該底版の前記設計断面における前記底版上端縁とコンクリート打設後の前記底版上面の間には底版上延部が設けられ、施工断面は前記設計断面に前記底版外延部と前記底版上延部が加えられたもので、施工により前記施工断面の基礎構造が形作られるように施工されることになっている。
請求項5の発明の構成と効果について述べる。前記底版外延部は、構造と施工の緩衝地帯ともいえる。これを設けることで、高い精度が期待できない前記底版側面用型枠を使用しても、前記設計断面により確認された基礎の構造強度に何ら影響を与えずに済む。つまり、前記底版外延部を設けることにより、ある程度の施工誤差は吸収してくれる施工し易い環境を提供してくれるという効果が生まれる。
底版へのコンクリート打設は建物内床下の地面の表面に高さが揃う辺りで終了すれば良い。指標が見やすい位置にあるので作業がし易い。L字型断面の布基礎の必要強度の構造が保証されている設計断面の底版上端縁は裏面型枠の下端なので、コンクリート打設の際はまずそこを超えればいいわけなので、この高さを超えたら、その上にある底版上延部が多少の誤差は吸収してくれるので余裕を持って打設位置を徐々に移動することができる。底版上延部もその分余計にコンクリートを使用することになるが、それ以上に施工の省力化、効率化に貢献できる。
請求項6の発明は、例えば図1~4で示すように、基礎立ち上がり部の一側面が底版下端まで連続して面一となり、前記底版は基礎立ち上がり部から一方にのみ突出するL字型断面の布基礎の構造であって、前記底版の下面から上面までの底版厚み寸法は、根入れ深さと同じか若干大きい程度であり、前記底版内にはL字型鉄筋ユニットが通常時の配筋として用いられるが、前記L字型鉄筋ユニットのL字型剪断補強筋の屈曲部の内側に、基礎強度の増強が必要な場合に付加的に、ループ型鉄筋ユニットを配置でき、これらの配筋に法定基準以上のかぶり厚を満たして設計断面が決められ、前記設計断面により当該基礎の構造強度は確認されるが、根切り斜面に防湿シートを被せて作られた底版側面用型枠に、打設したコンクリートが堰き止められることで形成される底版外延部と、建物内床下の地面の高さと前記底版上面の高さを揃えるために設けた底版上延部、とを前記設計断面に加えることで、当該基礎の施工後の形状を示す施工断面となる構造となっている。
請求項6の発明の構成と効果について述べる。本発明では、L字型断面の布基礎の底版上面が建物内の地面と高さが揃うようすることで、埋め戻し土が必要なくなる代わりに、底版が通常より倍以上厚くなる。この厚い断面のおかげで、通常時に余裕をもって配筋できるL字型鉄筋ユニットと、基礎の剛性をもっと上げたい場合追加するループ型鉄筋ユニットを基礎の外形を変えないままで使い分けることができる。つまり、同じ型枠と施工方法で済むことになる。前記底版側面用型枠は、建物内の基礎用根切り斜面上に防湿シートを被せて製作するため施工の精度は期待できないが、この型枠に接する底版端面を前記底版外延部とする。底版の水平方向はこの二つを合わせて施工断面とする構成にすると、前記設計断面により確認された構造強度へ影響を与えることなく、前記底版外延部とが施工誤差を吸収してくれる。底版の上面方向でも設計断面外郭線である底版上端縁の上に底版上延部を設けていることで、設計強度を施工の途中段階で確定させた後に、建物内の床下の地面とだいたい高さが揃う程度でコンクリートの流し込みを終了して、次に移動するという感じで、底版上延部の精度誤差吸収作用があることで施工がし易い構造となっている。
左右非対称のL字型布基礎特有の鉛直荷重が偏心することで発生してしまう「ねじれ」の力に対して、底版厚み寸法を増し、さらに必要に応じて鉄筋ユニットで配筋量も増強して本格的な地中梁化を行い「ねじれ」に対抗できるようにすることで、強度の安全確認を行いやすい布基礎構造にできる。底版厚み寸法を増して底版上面が地面と高さが揃う構造にすることで、通常のL字型断面の布基礎よりもさらに型枠などの工具、施工工程の省力化ができコストダウンにつなげられる。
本発明の縦断面図である。 本発明の縦断面図において特に底版の区分名を説明する模式図。 本発明の請求項2説明用の模式図。 本発明の配筋に用いる配筋ユニットの斜視図である。(A)L字型鉄筋ユニット (B)ループ型鉄筋ユニット 本発明の施工工程をするための俯瞰図。(コンクリート打設前) 本発明の施工工程をするための俯瞰図。(コンクリート打設後)
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない
図1は本発明のL字型断面の布基礎1の施工が完了した状態の断面図である。この実施例では基礎立ち上がり部2用には一般的に「捨て型枠」と呼ばれる型枠をそのまま基礎を覆う断熱材として残して置く工法により、型枠に板状の硬質樹脂断熱材を用いて施工しているので、型枠を取り外す工程が省ける実施例となっている。特開2009-108594(特許文献3)参照。この例では、内、外とも捨て型枠であるが、どちらか一方であっても、両側通常の鋼製型枠であっても構わない。L字型布基礎なので、正面型枠21は底版下端9まで伸びて底版型枠も兼ねている。
埋め戻し土38は、施工手順(第5工程)でも説明するが、基礎へのコンクリート打設前に掘削土を埋め戻すことで正面型枠21がコンクリートによる圧力で外側に変形するのを防止する効果がある。鋼製型枠を使用する際は型枠撤去まで、埋め戻しは行わない。
L字型鉄筋ユニット24とループ型鉄筋ユニット30に法定基準のかぶり厚(図示せず)を確保した外郭線の位置が当該基礎の構造強度を検討する際に用いる構造断面図となる設計断面14で、施工により当該構造を実現させることが必須となる。一般的にはこの設計断面14を囲うように型枠を設けて最小限のコンクリートで実現させようとするためそこに施工精度が要求されて、時間と手間が掛かることになってしまう。本発明では、底版側延部11と底版上延部12を設けて設計断面14を囲いこむようにして、設計断面14は確保しつつ変形可能な型枠の状態になっている。そのため底版3が隣接することになる地盤との間に生ずる寸法誤差があっても、コンクリートが流し込まれることで後からスペーサとしての底版側延部11の形状が決まる。そのため根切り斜面19や底版側面用型枠23の工事をする際には細かな精度を気にせず効率よく施工できる。
図2では、これまで説明した本発明の重要なポイントとなる点である『設計断面14+底版側延部11+底版上延部12=施工断面15』を簡略化して示した。
図5と6を用いて、本発明の施工手順と構造を7段階の工程に分けて説明する。図5がコンクリート打設前の(第1~4工程)。図6がコンクリート打設後(第5~7工程後)。
(第1工程:地盤掘削溝の形成)
地盤面16を掘り起こし(根切り)、割栗石35の転圧を行い、建物内部側の根切り斜面19はしっかり固めておく。割栗石35と根切り斜面19及び、建物内床下の地面17の上に0.2mm厚の防湿シート20を敷設する。これにより底版側面用型枠23が準備され形成されたことになる。割栗石35上の防湿シート20の上に捨てコンクリート36を30~50mm厚打設して防湿シート20を固定する。捨てコンクリート36上面と地盤面16との垂直距離がが根入れ深さ18となるが、布基礎の場合建築基準法で240cm以上とされている。本実施例の場合は300mmとする。この300mmが底版3のおおよその厚みとなるので、通常の法定底版厚150mmの倍以上の厚みとなる。
(第2工程:型枠固定金物の設置)
正面型枠21、裏面型枠22用の型枠支持具38や型枠下端受けレール(図示せず)などを捨てコンクリート36上に設置する。
(第3工程:配筋ユニットの設置)
L字型鉄筋ユニット24を捨てコンクリート36上のスペーサー(図示せず)の上に設置する。基礎強度の増強が必要な場合は、L字型鉄筋ユニット24の屈曲部28の内側で底版部配筋29上にループ型鉄筋ユニット30を配置して結束する。
(第4工程:型枠の設置)
正面型枠21と裏面型枠22を設置してコンクリート打設後に間隔が広がらないように型枠間に幅止め具37を設置する。
(第5工程:根切り空間の埋め戻し)
建物内部では、本発明の効果である掘削土の埋め戻しは行わないが、建物外部側の正面型枠21に隣接する根切り空間は、正面型枠21が硬質断熱材の捨て型枠の場合、この段階で地盤面16のレベルまで埋め戻しを行う。これにより、変形しやすい硬質断熱材型枠の高さの4割程埋めることになるので、コンクリートを打設した際に、正面型枠21が外側に膨らんで変形するのを押さえることができる。
(第6工程:コンクリート打設・底版3)
第一段階として、底版上面5の開口からコンクリートを流し込む。逆T字型の布基礎と異なり、底版3が片側しかないので、一か所からの打設作業で一番奥の基礎立ち上がり部2の底版下端9まで容易に流し込むことができる。底版3のもう一方の型枠は、根切り斜面19に防湿シート20を被せただけの底版側面用型枠23ではあるが、基礎が要求される強度は、設計断面14で確保されていて、その先に施工誤差を吸収するのには充分なスペースの底版延出部11が用意されているので、多少型枠の角度が違ったり、曲がったりしていても、必要充分な基礎の底版3を施工できる。ただし底版延出部11分のコンクリートは、余分なものではあるのでなるべく効率的にするために根切り斜面19は、斜面を維持できれば角度が60度以上のなるべく急なものにすることが望ましい。
底版3へのコンクリート打設は建物内床下の地面17の表面に高さが揃う辺りで終了すれば良い。指標が見やすい位置にあるので作業がし易い。L字型断面の布基礎1の必要強度の構造が保証されている設計断面14の底版上端縁6は裏面型枠22の下端なので、コンクリート打設の際はまずそこを超えればいいわけで、それ以上の範囲である底版上延部12は、前記のように、建物内床下の地面17が目安となるが、後から建物内床下の地面17の防湿シート20の上に防湿コンクリートを打設する計画であれば、その施工に都合の良い高さでコンクリートの打設を終了すれば良い。いずれにしても底版上面に掘削土の埋め戻しは行わないので、その分の工程が一つ省ける。底版上延部12もその分余計にコンクリートを使用することになるが、それ以上に施工の省力化、効率化に貢献できる。底版上面からのコンクリート打設では、当然、基礎立ち上がり部2までのコンクリートの打ち込みはできないが逆T字型の布基礎と比べると格段に速く底版3への打設は完了する。
(第7工程:コンクリート打設・基礎立ち上がり部2)
逆T字型の布基礎の場合、一回打設用の特殊な専用型枠を使わないと、底版と基礎立ち上がり部とをコンクリート打設の日にちを分けて行う場合が多いが、本発明のL字型断面の布基礎1では、底版3までのコンクリート打設作業時間を短くできるので、一般的な規模の木造住宅の基礎であれば一日で基礎コンクリート打設を終了させることも可能である。詳しく説明すると、底版3へのコンクリート打設が終了すると、打設作業を最初に始めた地点の底版3は、基礎立ち上がり部2の基礎天端4からコンクリートを流し込んでも変形しない程度に固まり始めているので、基礎全体を同じ経路で2周してコンクリートの打ち込み作業を行えばよい。底版3のコンクリートはまだ完全に固まってはいない状態なので、良好な打ち継ぎを行うことができる。
図3は、本発明を小規模住宅の基礎に使用した場合の一部を俯瞰斜視図、断面図として示したもので、これまでは隣地と建築予定場所との間に余裕が無い場合に採用されることが多かったL字型断面の布基礎1を、逆T字型布基礎のように外周部32ばかりでなく、ほとんど使用される例が無かった中通り部33の基礎にまで使用することで、建物全体にL字型断面の布基礎1の底版厚み寸法を増すことによる効果を最大限に発揮させることができる。
配筋に、ループ型鉄筋ユニット30を追加して本格的な地中梁化を行った場合は、地中梁により基礎の構造的な連続性は保たれるので、開口部周りに特殊な補強配筋工事が必要で、そのため工事ミスのトラブルが発生しやすい換気孔(図示せず)、人通孔34でも基礎立ち上がり部2内配筋の簡単な加工だけで対応することができる効果がある。
図4は、本発明のL字型断面の布基礎1の配筋に用いられる(A)L字鉄筋ユニット24と(B)ループ型鉄筋ユニット30を斜視図で示した。偏心による基礎の「ねじれ」に対抗して基礎強度を上げようとする場合にループ型鉄筋ユニット30は点線の矢印で示した位置に追加で配置し、結束で一体化される。各鉄筋ユニットは工場であらかじめ生産されて現場に搬入する。長さは3m、180cmなど建物の基礎形状に合わせて設定すればよい。主筋は13Φ、16Φなど剪断補強筋は10Φなどで、これも建物の規模、構造に合わせて選定すればよい。
本発明は住宅等の基礎に適用できることから、産業上の利用可能性を有している。
1 L字型断面の布基礎
2 基礎立ち上がり部
3 底版(フーチング、ベースコンクリート)
4 基礎天端
5 底版上面
6 底版上端縁
7 底版下面
8 底版の突出側端部面
9 底版下端
10 底版側端縁
11 底版側延部
12 底版上延部
13 底版厚み寸法
14 設計断面
15 施工断面
16 地盤面
17 建物内床下の地面
18 根入れ深さ
19 根切り斜面
20 防湿シート
21 正面型枠
22 裏面型枠
23 底版側面用型枠
24 L字鉄筋ユニット
25 L字型剪断補強筋
26 主筋
27 L字型剪断補強筋の上端部
28 L字型剪断補強筋の屈曲部
29 底版部配筋
30 ループ型鉄筋ユニット
31 矩形の剪断補強筋
32 建物外周部
33 中通り部
34 人通孔
35 割栗石
36 捨てコンクリート
37 幅止め具
38 型枠支持具
39 埋め戻し土

Claims (5)

  1. 基礎立ち上がり部の一側面が底版下端まで連続して面一となり、前記底版は前記基礎立ち上がり部から一方にのみ突出するL字型断面の布基礎の施工方法であって、前記底版上面に掘削土の埋め戻しが不要になるように、建物内床下の地面と略等しい高さまでコンクリートの打設を行うことを特徴とし、複数本のL字型剪断補強筋を一定間隔で配置して、少なくともその上端部と屈曲部に、直交状態で溶着される所定寸法の主筋により構成されるL字型鉄筋ユニットと、前記L字型鉄筋ユニットの底版部配筋上に、複数本の矩形の剪断補強筋を一定間隔で配置して、その四隅の内側に溶着される所定寸法の主筋により構成されるループ型鉄筋ユニットとで、前記L字型断面の布基礎内に配筋が行われることを特徴とする布基礎の施工方法。
  2. 基礎天端より低い開口部となる玄関等以外の建物外周部と、中通り部の同じ断面の前記L字型断面の布基礎であることを特徴とする請求項1に記載の布基礎の施工方法。
  3. 当該基礎の成形の際に使用する型枠は、基礎立ち上がり部の一側面が前記底版下端まで連続して面一となった面を覆う正面型枠と、それに平行に対向して下端部の位置が地盤面と略等しい裏面型枠及び、前記底版の突出側端部面で打設コンクリートを堰き止めるために、前記底版下面から前記底版上面までの深さがあり60°以上の勾配で連続する根切り斜面に、防湿シートを被せて作られた底版側面用型枠、の3種類の型枠で行われることを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の布基礎の施工方法。
  4. 前記L字型断面の布基礎の構造強度を確認する際に使用する設計断面においては、前記裏面型枠の下端高さが前記設計断面の底版上端縁に、底版内配筋端部に法定基準のかぶり厚を加えた位置が前記設計断面の底版側端縁の外郭線となり、当該底版の設計断面における前記底版側端縁と底版側面用型枠の間には底版側延部が、また当該底版の前記設計断面における前記底版上端縁とコンクリート打設後の前記底版上面の間には底版上延部が設けられ、施工断面は前記設計断面に前記底版延部と前記底版上延部が加えられたもので、施工により前記施工断面の基礎構造が形作られることを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の布基礎の施工方法。
  5. 基礎立ち上がり部の一側面が底版下端まで連続して面一となり、前記底版は基礎立ち上がり部から一方にのみ突出するL字型断面の布基礎の構造であって、前記底版の下面から上面までの底版厚み寸法は、根入れ深さと同じか若干大きい程度であり、前記底版内にはL字型鉄筋ユニットが通常時の配筋として用いられるが、前記L字型鉄筋ユニットのL字型剪断補強筋の屈曲部の内側に、ループ型鉄筋ユニットを配置でき、これらの配筋に法定基準以上のかぶり厚を満たして設計断面が決められ、前記設計断面により当該基礎の構造強度は確認されるが、根切り斜面に防湿シートを被せて作られた底版側面用型枠に、打設したコンクリートが堰き止められることで形成される底版外延部と、建物内床下の地面の高さと前記底版上面の高さを揃えるために設けた底版上延部、とを前記設計断面に加えることで、当該基礎の施工後の形状を示す施工断面となることを特徴とする布基礎の構造。
JP2020140451A 2020-08-03 2020-08-03 基礎の施工方法および基礎の構造 Active JP7292587B6 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020140451A JP7292587B6 (ja) 2020-08-03 2020-08-03 基礎の施工方法および基礎の構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020140451A JP7292587B6 (ja) 2020-08-03 2020-08-03 基礎の施工方法および基礎の構造

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2022028575A JP2022028575A (ja) 2022-02-16
JP7292587B2 JP7292587B2 (ja) 2023-06-19
JP7292587B6 true JP7292587B6 (ja) 2023-06-30

Family

ID=80267435

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020140451A Active JP7292587B6 (ja) 2020-08-03 2020-08-03 基礎の施工方法および基礎の構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7292587B6 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001295289A (ja) 2000-04-14 2001-10-26 Tsutomu Igawa 建築用基礎
JP2003176628A (ja) 2001-12-11 2003-06-27 Kanai:Kk 型枠支持金具
JP5851865B2 (ja) 2012-02-02 2016-02-03 大和ハウス工業株式会社 基礎・土間一体打ち工法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6126744U (ja) * 1984-07-21 1986-02-18 アサヒ住宅株式会社 コラムベ−ス式建築基礎におけるコラム用型枠
JPH0618502U (ja) * 1992-08-17 1994-03-11 小野田エー・エル・シー株式会社 布基礎に対するl形鋼の取付構造
JPH06212648A (ja) * 1993-01-12 1994-08-02 Nisshin Kensetsu Kogyo Kk 基礎工法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001295289A (ja) 2000-04-14 2001-10-26 Tsutomu Igawa 建築用基礎
JP2003176628A (ja) 2001-12-11 2003-06-27 Kanai:Kk 型枠支持金具
JP5851865B2 (ja) 2012-02-02 2016-02-03 大和ハウス工業株式会社 基礎・土間一体打ち工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7292587B2 (ja) 2023-06-19
JP2022028575A (ja) 2022-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101556545B1 (ko) 더블 월 피씨를 이용하는 구조물 시공방법
KR100787178B1 (ko) 경량철골구조 기초바닥판 및 그 시공 방법
KR101574253B1 (ko) Pc패널을 이용한 트윈 월 구조체 구조물의 시공방법
CN113026993B (zh) 一种装配式组合连接梁窗洞构件、结构及制作施工方法
KR20170032826A (ko) 프리캐스트 콘크리트 이중벽체 구조물 및 그 시공방법
KR20100009802A (ko) Pc옹벽패널을 이용한 완전 pc 조립 저류조
KR101183691B1 (ko) 조립형 우수 저류조 및 그 시공방법
CN111456065A (zh) 拼装式预制砖胎膜
AU4436702A (en) Foundation construction
KR20010091697A (ko) 루프바를 이용한 피씨 벽체의 이음부위 연결방법
JP7232714B2 (ja) 基礎の構築方法
JP7292587B2 (ja) 基礎の施工方法および基礎の構造
KR101753744B1 (ko) 기초부 보강 하부지지프레임 및 매립 거푸집을 이용한 기둥-기초부 일체 결합 시공방법 및 이에 의해 시공된 기둥-기초부 일체 결합 구조물
JP4657993B2 (ja) 柱梁接合部構造およびその施工方法
JP2006274657A (ja) 建築基礎構造の施工方法
CN210164241U (zh) 一种预设模板的预制边梁
KR200420394Y1 (ko) 역 티형 프리캐스트 콘크리트 옹벽블록
KR100336870B1 (ko) 바 연결용 슬리브를 이용한 벽체의 시공방법
JP2004190396A (ja) ハーフプレキャスト床板及びこれを用いた床の施工方法
KR20120091934A (ko) 헤드 철근을 이용한 프리캐스트 콘크리트 기둥의 층간 중간이음 공법
KR101895803B1 (ko) 주택 시공방법
KR102616234B1 (ko) 충전강관 교각 기둥과 철근 콘크리트 기초간의 연결 공법
KR102026755B1 (ko) 저류조 벽체 및 저류조 벽체 구축방법
KR102472057B1 (ko) 부분 프리캐스트 합성 기초
JP7149924B2 (ja) レベルプレート及び基礎の施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230104

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230303

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230515

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7292587

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150