JP7292554B1 - オゾン供給装置およびオゾン供給方法 - Google Patents

オゾン供給装置およびオゾン供給方法 Download PDF

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Abstract

オゾン供給装置は、オゾンを生成するオゾン発生器(1)と、前記オゾンを吸着および脱着する吸脱着塔(2)と、前記オゾン発生器で発生したオゾン化したガスを前記吸脱着塔に移送するためのオゾン化ガス移送回路(7)と、前記吸脱着塔(2)に加圧したキャリアガスを導入する加圧機構(3)、または前記吸脱着塔(2)を減圧する減圧機構(4)と、前記オゾンを吸着する吸着剤を内包するとともに導入された前記オゾンの濃度の変動を抑制するオゾン緩衝装置(5)と、前記吸脱着塔(2)から脱着されたオゾンを前記オゾン緩衝装置(5)に移送した後、供給対象に供給するための脱着ガス移送回路(6)と、を備えるようにした。

Description

本願は、オゾン供給装置およびオゾン供給方法に関する。
従来のオゾン供給装置に関わるオゾン吸脱着装置は、オゾン吸脱着塔と、オゾン吸脱着塔にキャリアガスを供給して脱着したオゾンをキャリアガスと共に排出するオゾン排出ラインと、オゾン吸脱着塔の温度を制御する温度制御器と、オゾン吸脱着塔の圧力を制御する圧力制御器と、オゾン濃度を制御するオゾン濃度制御装置と、脱着したオゾンを貯留するオゾンタンクと、を備えて、オゾン濃度制御装置により脱着オゾンが一定濃度になるように温度及び/又は圧力を制御し、オゾンタンクから一定流量を供給していた(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、このオゾン吸脱着装置は、温度及び/または圧力を制御することにより、脱着オゾンを一定濃度に保持して、オゾンガスをオゾンタンクに貯留し、その後、このオゾンタンクから一定流量で安定して脱着・供給することができるものであった。
特開2000-72407号公報
このような装置においては、オゾン発生器は、オゾン吸脱着塔を介してオゾン供給を行うため、オゾン吸脱着塔内のオゾンの吸着状態により、脱着により出力されるオゾン濃度が大きく変動する。そのため、一般的な水処理で適用されるシングルパス処理では、出力されるオゾン濃度の変動により、処理対象に作用するオゾン量が変動するため、安定した処理効果が得られないという課題があった。
また、この課題を解決するため、オゾン濃度変動を抑制するためのバッファタンク(空洞)を設ける例もあるが、必要となるバッファタンクの容量が大きくなるため、オゾン供給装置にこのようなバッファタンクを導入することは容易ではない。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、加圧キャリアガスでのパージ、または減圧脱着したオゾンガスをオゾン緩衝装置に正圧条件で導入することにより、供給対象に供給するオゾンガスの濃度の変動を抑制して安定化させることが可能なオゾン供給装置を提供することを目的としている。
本願に開示されるオゾン供給装置は、
オゾンを生成するオゾン発生器と、
前記オゾンを吸着および脱着する吸脱着塔と、
前記オゾン発生器で発生したオゾン化したガスを前記吸脱着塔に移送するためのオゾン化ガス移送回路と、
前記吸脱着塔に対して加圧したキャリアガスを供給する加圧機構、および前記吸脱着塔内のガスを減圧する減圧機構、のうち、少なくとも一方と、
前記オゾンを吸着する吸着剤を内包するとともに、前記吸脱着塔から脱着されて移送された前記オゾンの濃度変動を抑制するオゾン緩衝装置と、
前記キャリアガスの供給により前記吸脱着塔から脱着されたオゾンを、前記オゾン緩衝装置に移送するとともに前記オゾン緩衝装置から供給対象に供給するための脱着ガス移送回路と、
を備えたことを特徴とするものである。
本願に開示されるオゾン供給装置によれば、吸脱着塔への加圧キャリアガスの導入、または減圧脱着したオゾンガスをオゾン緩衝装置に正圧条件で導入することにより、供給対象に供給するオゾンガスの濃度の変動を抑制して安定化させることが可能なオゾン供給装置を提供することができる。
実施の形態1に係るオゾン供給装置の構成を説明するための図である。 実施の形態1に係るオゾン供給装置のオゾン緩衝装置の一の構成を説明するための図である。 実施の形態1に係るオゾン供給装置のオゾン緩衝装置の他の構成を説明するための図である。 実施の形態2に係るオゾン供給装置の構成を説明するための図である。 実施の形態2に係るオゾン供給装置のオゾン緩衝装置に出入りするオゾンガスの濃度を計測した実測例を示す図である。 実施の形態3に係るオゾン供給装置の構成を説明するための図である。 実施の形態4に係るオゾン供給装置の構成を説明するための図である。 実施の形態5に係るオゾン供給装置の構成を説明するための図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るオゾン供給装置の構成を説明するための図である。実施の形態1のオゾン供給装置100(図1において点線の枠で囲まれた部分)は、オゾンを生成するオゾン発生器1、オゾンを吸着および脱着する吸脱着塔2、この吸脱着塔に加圧したキャリアガスを導入する加圧機構3、および吸脱着塔内のガスを減圧する減圧機構4(以降、簡略化して、吸脱着塔を減圧する減圧機構4、とも言う)のうち、少なくとも一方(の機構)と、オゾンを吸着する吸着剤を内包したオゾン緩衝装置5、および、このオゾン緩衝装置を介して、吸脱着塔から供給される加圧したキャリアガスにより脱着した、または吸脱着塔の減圧により脱着した、オゾンガスを供給対象に供給するための脱着ガス移送回路6、を主な構成要素として備えている。
上記オゾン発生器は、(図示しない)原料ガス供給部から供給された原料ガスを用いて、オゾンを含むオゾン化ガスを生成する装置である。オゾン発生器としては、例えば、交流高電圧により駆動する無声放電式のオゾン発生装置を用いればよい。
吸脱着塔は、内部に充填された吸着剤によって、オゾン発生部で生成したオゾン化ガスに含まれるオゾンを、オゾン化ガス移送回路7を介して選択的に吸着するとともに、吸着したオゾンを供給対象に対して排出する装置である。なお、吸着時において吸脱着塔から破過したオゾンは、吸着ガス移送回路8を通じて、(図示しない)処理装置で処理され、無害化されて装置外部に排出される。
ここで、吸脱着塔で用いられる吸着剤としては、オゾン化ガスに含まれるオゾンを優先的に吸着するもの、例えば、シリカゲルを用いればよい。吸着剤の吸着特性により、吸着剤表面でのオゾン濃度は、オゾン化ガス中のオゾン濃度よりも高くなる。吸脱着塔は、オゾン化ガスのオゾン濃度を高めるようにオゾンを濃縮し、濃縮オゾンを生成する。吸脱着塔の吸着剤に吸着された濃縮オゾンを吸着剤から脱着するために、オゾン供給装置には、オゾン脱着用のキャリアガスとなる気体を、脱着ガス移送回路6を通して、吸脱着塔に注入する加圧機構が設けられる。脱着用の気体は、例えば酸素である。
オゾン緩衝装置は、内部に充填された吸着剤によって、吸脱着塔から排出されたオゾン化ガスに含まれるオゾンを選択的に吸着するとともに、吸着したオゾンを供給対象に対して排出する装置である。吸着剤としては、オゾン化ガスに含まれるオゾンを優先的に吸着するもの、例えば、シリカゲルを用いればよい。
次に、実施の形態1のオゾン供給装置の作用について説明する。上述の構成による実施の形態1のオゾン供給装置においては、吸脱着塔から脱着したオゾンガスをオゾン緩衝装置に導入することで、脱着したオゾンガスのオゾン濃度の変動を抑制して供給対象に供給するオゾン濃度を平均化させることができる。また、オゾン緩衝装置にオゾンの吸着剤を充填させて内包することで、オゾン緩衝装置内の単位体積あたりのオゾン貯留量を大幅に増加させることができる。また、オゾンの脱着手段としてキャリアガスを加圧する加圧機構、又は吸脱着塔を減圧する減圧機構が備わっており、吸脱着塔からのオゾンの脱着のためにキャリアガスを加圧するか、あるいは吸脱着塔内(のガス)を減圧する制御によって吸脱着塔からのオゾンガスの脱着を促進し、脱着したオゾンガスをオゾン緩衝装置に導入することで、後の工程において、オゾン濃度を安定化させることができる。
ここで、加圧(された)キャリアガスの導入による脱着の場合には、加圧機構を吸脱着塔の上流側に設け、減圧脱着の場合には減圧機構をオゾン緩衝装置と吸脱着塔の間に設けることで正圧条件にて、脱着したオゾンガスをオゾン緩衝装置に導入でき、オゾン緩衝装置内の吸着剤のオゾン吸着性能が高い状態に維持して利用することができるため、供給対象に供給するオゾンガスの濃度を安定化させることができる。また、これにより、オゾンガスの濃度変動を要求される仕様の範囲内に抑えることができる。
減圧機構の場合には、吸脱着塔の下流側に設置することにより、上流側の圧力に対して下流側の圧力を小さくする(負圧にする)ことで圧力差を作り、供給対象に繋がる出口に向けてオゾンを脱着させる。一方、加圧機構の場合は、吸脱着塔の上流に設置して入口側を昇圧することで入口側の圧力に対して出口側の圧力を小さくし、供給対象に繋がる出口に向けてオゾンを脱着させる。
また、減圧機構の一次側にオゾン緩衝装置を設置した場合に対して、減圧機構の二次側にオゾン緩衝装置を設置した場合の方が、単位吸着剤量当たりのオゾン吸着量が大きい。これは、減圧機構の二次側は一次側に対して圧力が高く、オゾン緩衝装置内の吸着剤にオゾンを吸着させる際のオゾン分圧が高くなるためである。なお、加圧機構の場合は、加圧機構から供給対象までの間、減圧機構の場合は、吸脱着塔から減圧機構までの間の圧力損失より大きい圧力差があれば良い。
ここで、オゾン緩衝装置の圧力は大気圧以上とすることで、高い吸着性能が得られ、オゾン緩衝装置内の吸着剤の圧力は高ければ高いほど単位吸着剤当たりのオゾン吸着量は大きくなるため、より高い圧力に保つための背圧弁などをオゾン緩衝装置の2次側(供給対象側)に設置する方が望ましい。
オゾン緩衝装置内の圧力が正圧、すなわち大気圧以上の圧力であることを確認する手段として圧力計を追加しても良い。また、減圧機構として真空ポンプを利用した場合は、ポンプ二次側の圧力は大気圧以上になるものを選択し、オゾン緩衝装置内の圧力が正圧となるものを選択する方が望ましい。上記仕様の真空ポンプを設置することで、真空ポンプ二次側での昇圧動作が不要となる。
また、エジェクタを利用した場合も同様に、エジェクタの吸引駆動に加圧ガスを利用してオゾン緩衝装置側にガスを押し出すため、大気圧以上で供給することができる。さらに、減圧機構の前にオゾン緩衝装置を設置した場合は、減圧機構においては一次圧<二次圧の関係となるため、二次側に設置した場合に比べて圧力は低く、その分単位吸着材当たりのオゾン吸着量は小さくなってしまうので注意が必要である。
次に、上述のオゾン緩衝装置に内包された吸着剤について、以下、図を用いて詳しく説明する。実施の形態1に係るオゾン供給装置においては、図2、あるいは図3に示したような構成で、吸着剤がオゾン緩衝装置に内包されている。
図2に示したオゾン緩衝装置5aでは、吸着剤52(この吸着剤の代表例としてはシリカゲル)は、耐腐食性の高い材質の容器51(例えば、SUS容器、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)など)中に、充填される。また、局所的なガス供給を避けるため、パンチングメタル53などで吸着剤全体にオゾンガスが供給される構成とすることで、発熱分解によるオゾンの無効消費を抑制することができる。また、図3に示したオゾン緩衝装置5bでは、吸着剤の周りに冷媒54を流し、吸着剤を冷却することで、単位吸着材当たりのオゾン吸着量を更に増加させることができる。
実施の形態2.
実施の形態1に係るオゾン供給装置は、上述のように、濃度を一定化する目的を実現できる。この濃度一定化の目的をさらに能動的、あるいは容易に達成するために、実施の形態2に係るオゾン供給装置では、オゾン緩衝装置に出入りするオゾンガスの濃度に着目した。この内容について、図4、図5を用いて、以下、詳しく説明する。
図4は、実施の形態2に係るオゾン供給装置101の構成を説明するための図である。この実施の形態2に係るオゾン供給装置101(図4において点線の枠で囲まれた部分)の構成は、実施の形態1に係るオゾン供給装置100の構成と比べて、制御器9が新たに追加されている点が異なっている。この制御器9は、一点鎖線の枠Fの内部に示した、すべての構成要素(オゾン発生器1、吸脱着塔2、加圧機構3、減圧機構4、オゾン緩衝装置5)の動作をそれぞれ独立して制御することが可能である。この制御器9を備えたことで、以下、図5を用いて説明するような制御が可能になった。なお、以下でも説明するが、制御器9は、飽和、濃度安定化、完了の3つの動作の移行、および後述する回路切替器の切替制御を行う機器として定義される。ここで、回路切替器とは、ガス回路の開閉動作を行う機器(例えばバルブ)、あるいは切替え動作を行う機器(例えば三方弁)のことである。
図5は、実施の形態2に係るオゾン供給装置を用いて、オゾン緩衝装置に出入りするオゾンガスの濃度を計測した結果の一例を示す図である。この図に示したグラフの横軸は、試験時間(単位:分)を示し、縦軸はオゾン濃度(単位:g/Nm)を示している。また、グラフ中の曲線のうち、破線は、オゾン緩衝装置の入口におけるオゾン濃度変化を示し、グラフ中の曲線のうち、実線は、オゾン緩衝装置の出口におけるオゾン濃度変化を示している。
さらに、図において、試験時間0-10分での曲線は、オゾン緩衝装置内の吸着剤を飽和吸着させる飽和工程でのオゾン濃度の変化を示している。試験時間10-60分での曲線は、吸脱着塔から脱着されるオゾン濃度が所定濃度より高い時には、オゾン緩衝装置内の吸着剤で一部のオゾンを吸着し、吸脱着塔から脱着されるオゾン濃度が所定濃度より低い時には、オゾン緩衝装置内の吸着剤から一部のオゾンを脱着する濃度安定化工程でのオゾン濃度の変化を示している。試験時間10-60分での曲線は、オゾン緩衝装置内に吸着したオゾンガスを脱着する完了工程でのオゾン濃度の変化を示している。
このグラフでの上記2種類の曲線(実線と破線で示した2つの曲線)の変動幅の比較から、オゾン緩衝装置の入口でのオゾン濃度の変動幅に比較して、出口でのオゾン濃度の変動幅が、約1/8に抑えられていることが分かる。この変動幅は、オゾン緩衝装置に内包された吸着剤の充填量を増加することにより、更に小さくすることが可能である。
また、完了工程では、オゾンが無くなっていることをグラフは示している。ここで、完了とは、吸脱着塔からのオゾンガスの脱着を停止し、オゾン供給装置の運転を完了させることを意味する。言い換えると、完了工程とは、吸脱着塔からのオゾンガスの脱着を停止後に、オゾン緩衝装置内に吸着したオゾンを抜く(脱着する)工程のことである。この詳細については、以下で説明する。
上記の完了工程では、吸脱着塔からオゾンを脱着することを停止し、乾燥空気もしくは原料酸素ガスをオゾン緩衝装置に導入して、オゾン緩衝装置内の吸着剤に吸着したオゾンを脱着させる動作が行われる。上記動作を行うことで、完了工程終了(装置停止)時に、オゾン緩衝装置内にオゾンが残らないようにする(残存するオゾンを脱着する)ことができる。
以上において、入口濃度に対して出口濃度の変化幅が小さくなるのは、以下のような理由による。すなわち、オゾン緩衝装置に内包される吸着剤の特性として、ある吸着濃度P(以下、単に濃度Pとも呼ぶ)に対して飽和吸着状態に達した後に、濃度Pに対して大きい吸着濃度Q(以下、単に濃度Qとも呼ぶ)のオゾンガスが導入されると、導入ガスのオゾン分圧の増加により吸着剤がオゾンを吸着する作用が生じるため、オゾン緩衝装置から出力されるオゾン濃度は入口濃度Aに対して小さくなる。
一方、濃度Pに対して小さい吸着濃度S(以下、単に濃度Sとも呼ぶ)のオゾンガスが導入されると、導入ガスのオゾン分圧の低下により吸着剤がオゾンを脱着する作用が生じるため、オゾン緩衝装置から出力されるオゾン濃度Bは入口での濃度A(以下、入口濃度Aと呼ぶ)に対して大きくなる。
また、濃度変化曲線の極大および極小となる時間は、入口での濃度と出口での濃度では、逆の関係になっている。このような入口での濃度と出口での濃度の位相のズレが発生するのは、以下のような理由による。すなわち、オゾン緩衝装置に内包される吸着剤の特性として、入口濃度Aに対して飽和吸着状態まで達した後に、P<Qとなる濃度Qのオゾンガスがオゾン緩衝装置に導入されると、吸着平衡点が上昇し、更にオゾンを吸着しようとするため、出口での濃度は入口濃度Aに対して低下する傾向を示す。一方、P>Sとなる濃度Sのオゾンガスがオゾン緩衝装置に導入されると、吸着平衡点が低下し、オゾンを脱着しようとするため、出口での濃度は入口濃度Aに対して増加する傾向を示す。なお、この図5は、オゾン緩衝装置前後の濃度変化の一例であり、上記作用を用いたオゾン濃度変動の抑制方法であれば、これに限らない。
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係るオゾン供給装置の構成について、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態3に係るオゾン供給装置102(図6において点線の枠で囲まれた部分)の構成を説明するための図である。この実施の形態3に係るオゾン供給装置102の構成は、実施の形態1に係るオゾン供給装置の構成と比べて、回路切替器10、および流量調節器11、希釈ガス導入回路12が新たに追加されている点が特に異なっている。
上記回路切替器10は、減圧機構へ流入させるガス回路の開閉を切り替えるための機器であって回路制御器とも呼ばれ、吸脱着塔と減圧機構4a(ここでは、減圧機構として、特に真空ポンプを用いる)を繋ぐ脱着ガス移送回路6と、流量調節器11と減圧機構を繋ぐ希釈ガス導入回路12とを切替える制御を行う。なお、図6では、2個の回路切替器を示したが、1個の回路切替器であっても良い。また、上記流量調節器11は、(図示しない)制御器に制御されて、吸脱着塔で脱着されたオゾン濃度に応じて、希釈ガス導入回路12を介して減圧機構へ流入する希釈ガスの流量を調節する。
ここで、希釈ガスとは、オゾンを希釈するためのガスであって、一般的には乾燥した酸素ガス、もしくは空気が良く、ボンベ酸素、液体酸素などの高純度酸素、もしくはPSA(Pressure Swing Adsorption)・VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)などを通した露点10℃以下の高濃度酸素などが好ましい。なお、大気中の空気を利用する場合には希釈ガスを乾燥する処理を行う方が良い。すなわち、大気の露点10℃以上の高湿空気を希釈ガスとして供給すると、オゾン緩衝装置内の吸着剤が水分を吸着し、オゾンの吸着を阻害する。
実施の形態1に係るオゾン供給装置の構成に対して、回路切替器10を新たに追加することで、実施の形態2で示した完了工程における吸脱着塔からのオゾンガスの脱着を停止後に、乾燥空気もしくは原料酸素ガスをオゾン緩衝装置に導入し、オゾン緩衝装置内の吸着剤に吸着したオゾンガスを脱着させることができる。具体的には、(図示しない)制御器からの指示により、回路切替器10は脱着ガス移送回路6を閉じ、希釈ガス導入回路12を開く動作を行う。この操作により、吸脱着塔からのオゾンガスの脱着を停止し、乾燥空気もしくは原料酸素ガスをオゾン緩衝装置に導入することができる。
実施の形態1に係るオゾン供給装置の構成に対して、流量調節器11を新たに追加することで、吸脱着塔から脱着するオゾンガスのオゾン濃度を調整し、オゾン緩衝装置に導入するオゾンガスの濃度変動をあらかじめ小さくすることができる。
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係るオゾン供給装置の構成について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態4に係るオゾン供給装置103(図7において点線の枠で囲まれた部分)の構成を説明するための図である。この実施の形態4に係るオゾン供給装置103の構成は、実施の形態3に係るオゾン供給装置102の構成と比べて、減速機構はガスエジェクタ(以下、エジェクタとも呼ぶ)であり、流量調節器に変えて、コンプレッサ13と冷却装置14、第1のバイパス回路15を備えている点が特に異なる。
減圧機構にエジェクタを使用する場合には、エジェクタの吸引駆動に加圧駆動ガスを利用する必要があるため、駆動ガスを乾燥空気とする場合には、除湿機能を備えたコンプレッサ13が必要となる。また、コンプレッサ13から出力される乾燥空気は高温となり、吸脱着塔から脱着したオゾンガスと混合するとオゾン分解を促進する可能性があるため、乾燥空気を冷却する冷却装置14があることが望ましい(図7中に太い矢印で示した「飽和工程・濃度安定化工程時のガスの流れ」を参照)。
完了工程におけるオゾン緩衝装置内のオゾンガスの脱着では、(図示しない)制御器からの指示により、回路切替器10a(第1の回路切替器10aとも呼ぶ)は、脱着ガス移送回路6を閉じ、回路切替器10b(第2の回路切替器10bとも呼ぶ)は、第1のバイパス回路15を開く動作を行う。
実施の形態4のオゾン供給装置103では、実施の形態3のオゾン供給装置102での動作とは異なり、減圧機構4bへの希釈ガスの導入の際、希釈ガス導入回路12のみを利用するのではなく、その一部を第1のバイパス回路15で代替し、この第1のバイパス回路15を利用する。この回路選択により、高温乾燥空気をオゾン緩衝装置に導入可能となり、高温ガスによりオゾンの脱着が促進され、完了工程を短時間にすることが可能である(図7中に太い矢印で示した「完了工程時のガスの流れ」を参照)。
実施の形態5.
次に、実施の形態5に係るオゾン供給装置の構成について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態5に係るオゾン供給装置104(図8において点線の枠で囲まれた部分)の構成を説明するための図である。この実施の形態5に係るオゾン供給装置104の構成は、実施の形態1に係るオゾン供給装置の構成と比べて、新たに、NOx除去装置16(ここで、NOxは窒素酸化物の総称)、NOxガス移送回路17、第2のバイパス回路18を備えている点が異なる。
ここで、NOxガス移送回路17、および第2のバイパス回路18は、NOx除去装置16からNOxを脱着除去する際に利用する。NOx除去装置16は、オゾン供給装置においては、オゾン発生器と吸脱着塔との間の配管上に設置される。このNOx除去装置は、オゾン発生器において生成されたNOxを除去する装置である。
NOx除去装置でのNOxの除去方法としては、例えば、NOxを選択的に吸着する吸着剤(以下、「NOx吸着剤」という)を用いる方法が挙げられる。NOx吸着剤としては、温度変化による吸着性能が変化するものが好ましく、特に-30℃以上40℃以下の範囲でNOxの吸着量が大きく変化するものが好ましい。また、NOx吸着剤としては、減圧機構により、吸着したNOxを脱着可能なものが好ましい。減圧機構での減圧によって、NOx除去装置内のNOx吸着剤から脱着したNOxは、NOxガス移送回路17から排出される。NOx吸着剤としては、例えば、シリカゲルを用いればよい。
NOx除去装置内のNOx吸着剤がオゾン発生器から供給されるNOxを所定の割合以上に吸着できなくなった際に、NOx除去装置内のNOx吸着剤からNOxを脱着するNOx脱着工程に移行する。NOx脱着工程に移行する場合は、飽和工程、濃度安定化工程、および完了工程の一連の工程は一時中断し、NOx脱着のためのガス回路であるNOxガス移送回路17、減圧機構4、第2のバイパス回路18の順に移動させたNOxガスを供給対象に排出する(図8中に、それぞれ太い矢印で示した「NOx脱着工程時のガスの流れ」、および「飽和工程・濃度安定化工程時のガスの流れ」を参照)。この際、第2のバイパス回路18を利用するため(オゾン緩衝装置へのNOxガスの流入を避けるために第2のバイパス回路18を利用する)、オゾン緩衝装置の入口側と出口側にそれぞれ、回路切替器10を設置する。
NOx脱着工程において、オゾン緩衝装置を通さない第2のバイパス回路を選択することによって、オゾン緩衝装置内部の吸着剤にNOxが吸着蓄積することを抑制することができる。また、NOx脱着工程中は、吸脱着塔からのオゾン供給が中断するため、完了工程中、または完了工程後にNOx脱着工程に移行するようなタイミングとなるように、NOx吸着剤の充填量、または吸着条件を調整することが好ましい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 オゾン発生器、2 吸脱着塔、3 加圧機構、4 減圧機構、4a 減圧機構(真空ポンプ)、4b 減圧機構(エジェクタ)、5、5a、5b オゾン緩衝装置、6 脱着ガス移送回路、7 オゾン化ガス移送回路、8 吸着ガス移送回路、9 制御器、10 回路切替器、10a 回路切替器(第1の回路切替器)、10b 回路切替器(第2の回路切替器)、11 流量調節器、12 希釈ガス導入回路、13 コンプレッサ、14 冷却装置、15 第1のバイパス回路、16 NOx除去装置、17 NOxガス移送回路、18 第2のバイパス回路、51 容器、52 吸着剤、53 パンチングメタル、54 冷媒、100、101、102、103、104 オゾン供給装置

Claims (12)

  1. オゾンを生成するオゾン発生器と、
    前記オゾンを吸着および脱着する吸脱着塔と、
    前記オゾン発生器で発生したオゾン化したガスを前記吸脱着塔に移送するためのオゾン化ガス移送回路と、
    前記吸脱着塔に対して加圧したキャリアガスを供給する加圧機構、および前記吸脱着塔内のガスを減圧する減圧機構、のうち、少なくとも一方と、
    前記オゾンを吸着する吸着剤を内包するとともに、前記吸脱着塔から脱着されて移送された前記オゾンの濃度変動を抑制するオゾン緩衝装置と、
    前記キャリアガスの供給により前記吸脱着塔から脱着されたオゾンを、前記オゾン緩衝装置に移送するとともに前記オゾン緩衝装置から供給対象に供給するための脱着ガス移送回路と、
    を備えたことを特徴とするオゾン供給装置。
  2. 前記オゾン緩衝装置は、前記供給対象の側に設置された背圧弁を有し、
    前記オゾン緩衝装置に内包された吸着剤は、当該吸着剤全体にオゾンガスが供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のオゾン供給装置。
  3. 前記オゾン緩衝装置は、内包された吸着剤の周りを冷媒が移送されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のオゾン供給装置。
  4. 前記オゾン緩衝装置の入口のオゾン濃度に応じて、前記吸脱着塔から脱着したオゾンを前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤に吸着させるか、または前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤から脱着させる制御を行う際に、
    前記オゾン濃度が所定濃度より高い時には、前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤で一部のオゾンを吸着させ、前記オゾン濃度が所定濃度より低い時には、前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤から一部のオゾンを脱着させる制御を行う制御器を備えた、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオゾン供給装置。
  5. 前記減圧機構は真空ポンプであり、
    前記オゾンを希釈する希釈ガスを導入するための希釈ガス導入回路と、
    前記吸脱着塔で脱着されたオゾン濃度に応じて、前記希釈ガスの流量を調節する流量調節器と、
    前記吸脱着塔および前記流量調節器と、前記減圧機構との間に設置された、前記脱着ガス移送回路の開閉を制御する回路切替器を備え、
    前記制御器は、前記オゾン緩衝装置から前記オゾンを脱着する際、前記回路切替器を用いて前記脱着ガス移送回路を閉状態にすることを特徴とする請求項4に記載のオゾン供給装置。
  6. 前記減圧機構はエジェクタであり、
    前記オゾンを希釈する希釈ガスを導入する希釈ガス導入回路と、
    前記希釈ガスを加圧するコンプレッサと、
    前記コンプレッサと前記減圧機構の間に設置され、前記希釈ガスを冷却する冷却装置と、
    前記冷却装置を通さずに、前記コンプレッサから前記減圧機構に前記希釈ガスを供給するための第1のバイパス回路と、
    前記吸脱着塔と、前記減圧機構との間に設置された第1の回路切替器と、
    前記第1のバイパス回路の入口側と出口側にそれぞれ設置された第2の回路切替器と、
    を備え、
    前記制御器は、前記オゾン緩衝装置から前記オゾンを脱着する際、前記第1のバイパス回路に前記希釈ガスが流れるように、前記第1の回路切替器および前記第2の回路切替器を切り替えることを特徴とする請求項4に記載のオゾン供給装置。
  7. 前記オゾン化ガス移送回路の回路内に設置され、オゾン発生器で生成される窒素酸化物を除去するNOx除去装置と、
    前記NOx除去装置から、減圧脱着したNOxガスを前記減圧機構に移送するNOxガス移送回路と、
    前記オゾン緩衝装置を通さずに前記減圧機構から前記供給対象にガスを供給するための第2のバイパス回路と、
    を備え、
    前記制御器は、NOxガスが脱着されるタイミングで前記第2のバイパス回路にガスが流れるように、前記脱着ガス移送回路を切り替えることを特徴とする請求項に記載のオゾン供給装置。
  8. 前記オゾン化ガス移送回路の回路内に設置され、オゾン発生器で生成される窒素酸化物を除去するNOx除去装置と、
    前記NOx除去装置から、減圧脱着したNOxガスを前記減圧機構に移送するNOxガス移送回路と、
    前記オゾン緩衝装置を通さずに前記減圧機構から前記供給対象にガスを供給するための第2のバイパス回路と、
    を備え、
    前記制御器は、NOxガスが脱着されるタイミングで前記第2のバイパス回路にガスが流れるように、前記脱着ガス移送回路を切り替えることを特徴とする請求項に記載のオゾン供給装置。
  9. 前記オゾン化ガス移送回路の回路内に設置され、オゾン発生器で生成される窒素酸化物を除去するNOx除去装置と、
    前記NOx除去装置から、減圧脱着したNOxガスを前記減圧機構に移送するNOxガス移送回路と、
    前記オゾン緩衝装置を通さずに前記減圧機構から前記供給対象にガスを供給するための第2のバイパス回路と、
    を備え、
    前記制御器は、NOxガスが脱着されるタイミングで前記第2のバイパス回路にガスが流れるように、前記脱着ガス移送回路を切り替えることを特徴とする請求項に記載のオゾン供給装置。
  10. 請求項1に記載のオゾン供給装置を用いて前記供給対象にオゾンを供給するオゾン供給方法であって、
    前記吸脱着塔から脱着されるオゾンで前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤を飽和吸着させる飽和工程と、
    前記吸脱着塔から脱着されるオゾン濃度が所定濃度より高い時に、前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤で一部のオゾンを吸着し、前記吸脱着塔から脱着されるオゾン濃度が所定濃度より低い時に、前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤から一部のオゾンを脱着する濃度安定化工程と、
    前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤に吸着したオゾンガスを脱着する完了工程と、
    を含むことを特徴とするオゾン供給方法。
  11. 請求項3に記載のオゾン供給装置を用いて前記供給対象にオゾンを供給するオゾン供給方法であって、
    前記吸着剤が冷却されることを特徴とする請求項10に記載のオゾン供給方法。
  12. 前記オゾン化ガス移送回路の回路内に設置され、オゾン発生器で生成される窒素酸化物を除去するNOx除去装置と、前記NOx除去装置から、減圧脱着したNOxガスを前記減圧機構に移送するNOxガス移送回路と、前記オゾン緩衝装置を通さずに前記減圧機構から前記供給対象にガスを供給するための第2のバイパス回路と、
    前記オゾン緩衝装置の入口のオゾン濃度に応じて、前記吸脱着塔から脱着したオゾンを前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤に吸着させるか、または前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤から脱着させる制御を行う際に、前記オゾン濃度が所定濃度より高い時には、前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤で一部のオゾンを吸着させ、前記オゾン濃度が所定濃度より低い時には、前記オゾン緩衝装置に内包した吸着剤から一部のオゾンを脱着させる制御を行う制御器と、を備え、
    前記制御器は、NOxガスが脱着されるタイミングで前記第2のバイパス回路にガスが流れるように、前記脱着ガス移送回路を切り替えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオゾン供給装置を用いて前記供給対象にオゾンを供給するオゾン供給方法であって、
    前記NOx除去装置内のNOx吸着剤からNOxを脱着するNOx脱着工程を含み、
    前記完了工程中、または前記完了工程後に、前記NOx脱着工程に移行するタイミングとなるように、NOx吸着剤の充填量、または吸着条件を調整することを特徴とする請求項10に記載のオゾン供給方法。
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