以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
<1.AC/DCコンバータの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るAC/DCコンバータ5の構成を示す回路図である。AC/DCコンバータ5は、大きく分けて、前段側のPFC(力率改善)回路51と、後段側のLLC共振コンバータ52と、から構成される。なお、AC/DCコンバータ5は、民生機器(TV、PC、サーバー等)電源、LED照明電源、産業機器電源、OA機器(レーザプリンター等)電源など、各種の電源に適用される。
PFC回路51は、昇圧チョッパー回路として構成され、ダイオードブリッジDBと、インダクタL1と、ダイオードD1と、コンデンサC1と、スイッチング素子M1と、抵抗R1と、抵抗R2と、PFC制御IC1と、を有する。
ダイオードブリッジDBの入力端には、交流電圧Vacが印加される。ダイオードブリッジDBの出力端は、インダクタL1の一端に接続される。インダクタL1の他端は、ダイオードD1のアノードに接続される。インダクタL1とダイオードD1との接続ノードは、nチャネルMOSFETとして構成されるスイッチング素子M1のドレインに接続される。スイッチング素子M1のソースは、グランド電位の印加端に接続される。ダイオードD1のカソードは、コンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端は、グランド電位の印加端に接続される。
PFC制御IC1は、スイッチング素子M1のオンオフ駆動を制御する。スイッチング素子M1がオンされると、インダクタL1にエネルギーが蓄積され、スイッチング素子M1がオフされると、インダクタL1からダイオードD1を介して出力側へ電流が流れ、インダクタL1のエネルギーが解放される。
PFC制御IC1は、ダイオードD1のカソード側に発生するPFC回路51の出力電圧(=Vin)を抵抗R1,R2によって分圧した後の帰還電圧REFを帰還されることで、PWM(パルス幅変調)制御によってスイッチング素子M1を駆動する。これにより、インダクタL1を流れるインダクタ電流のピークは、インダクタL1の入力側の入力電圧VIと同じ波形となり、力率改善を図ることができる。
PFC回路51の出力としての入力電圧VinはLLC共振コンバータ52に入力される。LLC共振コンバータ52は、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換する。LLC共振コンバータ52は、スイッチング素子Q1,Q2と、トランスTrと、共振コンデンサCrと、ダイオードD11,D12と、シャントレギュレータSRと、フォトカプラPCと、抵抗R11,R12と、出力コンデンサC10と、電源制御IC2と、を有する。
LLC共振コンバータ52は、その他にも、抵抗R3~R8と、コンデンサC2~C9と、ダイオードD2~D5と、ツェナーダイオードZ1と、を有する。
電源制御IC(電源制御装置)2は、LLC共振コンバータ52の駆動制御を行う。電源制御IC2は、外部との電気的接続を確立するための各種外部端子を有する。より具体的には、電源制御IC2は、VH端子(1番ピン)と、非接続端子(2番ピン)と、PFC_IN端子(3番ピン)と、FB端子(4番ピン)と、SET_SS端子(5番ピン)と、ILLC端子(6番ピン)と、VLLC端子(7番ピン)と、SW端子(8番ピン)と、REG端子(9番ピン)と、VCC端子(10番ピン)と、LO端子(11番ピン)と、GND端子(12番ピン)と、非接続端子(13番ピン)と、HGND端子(14番ピン)と、HO端子(15番ピン)と、HVCC端子(16番ピン)と、を有する。
スイッチング素子Q1、Q2は、ともにnチャネルMOSFETとして構成される。スイッチング素子Q1のドレインには、入力電圧Vinが印加される。スイッチング素子Q1のソースは、スイッチング素子Q2のドレインに接続される。スイッチング素子Q2のソースは、グランド電位の印加端に接続される。
トランスTrは、1次巻線Npと、2次巻線Ns1,Ns2と、補助巻線Naと、を有する。スイッチング素子Q1とQ2とが接続される接続ノードNsは、1次巻線Npの一端に接続される。1次巻線Npの他端は、共振コンデンサCrの一端に接続される。共振コンデンサCrの他端は、スイッチング素子Q2のソースに接続される。
2次巻線Ns1の一端は、ダイオードD11のアノードに接続される。2次巻線Ns2の一端は、ダイオードD12のアノードに接続される。2次巻線Ns1の他端とNs2の他端とが接続される接続ノードは、グランド電位が印加される印加端GNDに接続される。
ダイオードD11のカソードは、ダイオードD12のカソードに接続される。ダイオードD11のカソードは、コンデンサC10の一端とともに、出力端子OUTに接続される。コンデンサC10の他端は、印加端GNDに接続される。このように、LLC共振コンバータ52における2次側は、整流平滑回路として構成される。出力電圧Voutは、出力端子OUTに生成される。
また、出力端子OUTと印加端GNDとの間には、抵抗R11,R12が直列に接続される。出力端子OUTと印加端GNDとの間には、その他として、フォトカプラPCに含まれる発光素子P1と、シャントレギュレータSRと、が配置される。出力端子OUTは、発光素子P1のアノードに接続される。発光素子P1のカソードは、シャントレギュレータSRのカソードに接続される。シャントレギュレータSRのアノードは、印加端GNDに接続される。
シャントレギュレータSRは、出力電圧Voutを抵抗R11,R12によって分圧した後の分圧電圧と、基準電圧とを比較し、上記分圧電圧の基準電圧との誤差に応じた電流をカソード・アノード間に発生させる。発生した電流によって発光素子P1は発光する。これにより、出力電圧Voutが低いほど(負荷が重いほど)発光素子P1の発光量が少なくなる帰還動作が行われる。
フォトカプラPCに含まれる受光素子P2は、発光素子P1から出力される光を受光する。受光素子P2の一端は、電源制御IC2のFB端子に接続され、他端はグランド電位の印加端に接続される。受光素子P2に流れる電流によってFB端子に帰還電圧Vfbが生成される。このような構成により、出力電圧Voutは、帰還電圧Vfbとして帰還される。
LLC共振コンバータ52では、トランスTrの結合係数を小さくすることで漏れインダクタンスを大きくし、漏れインダクタンスと励磁インダクタンスを利用する。漏れインダクタンスは、共振用インダクタとして利用される。なお、1次巻線Npに直列に共振用インダクタを別途接続するようにしてもよい。
上側のスイッチング素子Q1と下側のスイッチング素子Q2は、それぞれゲート駆動信号GH,GLによって相補的にオンオフされる。なお、ここでの「相補的」とは、双方のスイッチング素子がオフとなる期間であるデッドタイムを含むスイッチング動作も含む。また、スイッチング素子Q1,Q2ともにオンデューティは略50%である。
ダイオードブリッジDBの一方の入力端は、ダイオードD2のアノードに接続され、他方の入力端は、ダイオードD3のアノードに接続される。ダイオードD2,D3のカソード同士は、抵抗R3の一端に接続される。抵抗R3の他端は、VH端子に接続される。これにより、交流電圧Vacは、ダイオードD2,D3によって全波整流されてVH端子に入力される。VH端子は、起動時に後述するコンデンサC8に充電を行って電源制御IC2を起動するために用いられる。
PFC_IN端子は、抵抗R1とR2との接続ノードに接続される。
SET_SS端子は、コンデンサC5の一端に接続される。コンデンサC5の他端は、グランド電位の印加端に接続される。抵抗R7は、コンデンサC5と並列に接続される。SET_SS端子は、ソフトスタート設定用に用いられる。なお、ソフトスタートについては、後述する。
1次巻線Npと共振コンデンサCrとの接続ノードN1は、コンデンサC3の一端に接続される。コンデンサC3の他端は、抵抗R6の一端に接続される。抵抗R6の他端は、グランド電位の印加端に接続される。ILLC端子は、コンデンサC3と抵抗R6との接続ノードに接続される。ILLC端子には、共振電流を電圧信号に変換した共振電流検出信号VISが生成される。
接続ノードN1は、コンデンサC4の一端にも接続される。コンデンサC4の他端は、コンデンサC6の一端に接続される。コンデンサC6の他端は、グランド電位の印加端に接続される。VLLC端子は、コンデンサC4とC6との接続ノードに接続される。VLLC端子には、共振電圧検出信号VCRが生成される。
接続ノードNsは、コンデンサC2の一端に接続される。コンデンサC2の他端は、抵抗R4の一端に接続される。抵抗R4の他端は、抵抗R5の一端に接続される。抵抗R5の他端は、グランド電位の印加端に接続される。抵抗R4とR5との接続ノードは、SW端子に接続される。SW端子には、ツェナーダイオードZ1のカソードが接続される。ツェナーダイオードZ1のアノードは、グランド電位の印加端に接続される。
接続ノードNsに発生するスイッチ電圧SWは、スイッチング素子Q1,Q2が双方オフのときに寄生容量の充電または放電によって、0Vから入力電圧Vinまで立ち上がる、または入力電圧Vinから0Vまで立ち下がる。SW端子には、このようなスイッチ電圧SWの立上り、および立下りを検出したスイッチ電圧検出信号VSWが生成される。なお、ツェナーダイオードZ1は、スイッチ電圧検出信号VSWが負となる場合に、スイッチ電圧検出信号VSWを順方向電圧によってクランプする。
REG端子は、コンデンサC9の一端に接続される。コンデンサC9の他端は、グランド電位の印加端に接続される。REG端子には、内部電圧Vregが生成される。
VCC端子は、コンデンサC8の一端に接続される。コンデンサC8の他端は、グランド電位の印加端に接続される。補助巻線Naの一端は、グランド電位の印加端に接続される。補助巻線Naの他端は、抵抗R8を介してダイオードD5のアノードに接続される。ダイオードD5のカソードは、VCC端子とコンデンサC8との接続ノードに接続される。これにより、補助巻線Naにより発生した電圧は、ダイオードD5およびコンデンサC8によって整流平滑され、VCC端子に生成される電源電圧Vccとなる。電源電圧Vccは、PFC制御IC1の電源としても用いられる。
LO端子は、スイッチング素子Q2のゲートに接続される。スイッチング素子Q2のゲートは、LO端子から出力されるゲート駆動信号GLによって駆動される。GND端子は、グランド電位の印加端に接続される。
HGND端子は、接続ノードNsに接続される。コンデンサC7は、HVCC端子とHGND端子との間に接続される。ダイオードD4のアノードは、REG端子とコンデンサC9との接続ノードに接続される。ダイオードD4のカソードは、HVCC端子に接続される。コンデンサC7およびダイオードD4は、スイッチング素子Q1のオン用にドレイン電圧(=Vin)よりも高い電圧のゲート駆動信号GHを生成するブートストラップに用いられる。
HO端子は、スイッチング素子Q1のゲートに接続される。スイッチング素子Q1のゲートは、HO端子から出力されるゲート駆動信号GHによって駆動される。
<2.帰還経路構成>
次に、電源制御IC2における帰還経路構成について詳述する。図2は、電源制御IC2におけるスイッチングのオフタイミングを決定する構成を要部的に示す概略図である。
図2に示すように、電源制御IC2は、オフ閾値生成回路21と、帰還電流合算回路22と、DCレベルシフト回路23と、上側コンパレータ24と、下側コンパレータ25と、を有する。
オフ閾値生成回路21は、FB端子に生成される帰還電圧Vfbに基づいて上側オフ閾値VTHHおよび下側オフ閾値VTHLを生成する。帰還電流合算回路22は、ILLC端子に生成される共振電流検出信号VISを上側オフ閾値VTHHに合算して上側オフ閾値VTHH’を生成し、共振電流検出信号VISを下側オフ閾値VTHLに合算して下側オフ閾値VTHL’を生成する。
DCレベルシフト回路23は、VLLC端子に生成される共振電圧検出信号VCRをレベルシフトし、レベルシフト後の共振電圧検出信号VCR’を出力する。上側コンパレータ24の非反転入力端(+)には共振電圧検出信号VCR’が入力され、反転入力端(-)には上側オフ閾値VTHH’が入力される。上側コンパレータ24は、共振電圧検出信号VCR’が上側オフ閾値VTHH’を上回ったタイミングで、LowからHighへ切替えた上側オフ信号H_OFFを出力する。このとき、スイッチング素子Q1がオンからオフとされる。
一方、下側コンパレータ25の反転入力端には共振電圧検出信号VCR’が入力され、非反転入力端には下側オフ閾値VTHL’が入力される。下側コンパレータ25は、共振電圧検出信号VCR’が上側オフ閾値VTHH’を下回ったタイミングで、LowからHighへ切替えた下側オフ信号H_OFFを出力する。このとき、スイッチング素子Q2がオンからオフとされる。
このような帰還構成によってスイッチング素子Q1,Q2のオフタイミングが決定され、出力電圧Voutは目標値と一致するように制御される。特に本実施形態では、帰還経路に共振電流の情報が含まれるので、LLC共振コンバータ52の負荷応答が高速となり、位相補償設計が容易となる。
<3.オフ閾値生成回路の構成>
次に、上述したオフ閾値生成回路21の具体的な構成例について述べる。図3は、オフ閾値生成回路21の一構成例を示す回路図である。
図3に示すオフ閾値生成回路21は、出力電流生成回路211と、抵抗R21と、定電流源CI21と、トランスコンダクタンスアンプTA21と、抵抗R212と、抵抗R213と、オペアンプA21と、を有する。
抵抗R21の一端には、所定の電源電圧V21が印加され、他端は、FB端子に接続される。受光素子P2に流れる電流に応じて抵抗R21に電流が流れ、帰還電圧Vfbが生成される。
出力電流生成回路211は、帰還電圧Vfbに基づいて上側出力電流IoHおよび下側出力電流IoLを生成する回路である。出力電流生成回路211は、一例として、エラーアンプEA21と、トランジスタM21と、抵抗R211と、上側カレントミラーPMと、下側カレントミラーNMと、を有する。
エラーアンプEA21の一方の非反転入力端には、帰還電圧Vfbが印加され、他方の非反転入力端には、所定の基準電圧V211が印加される。エラーアンプEA21の出力端は、nチャネルMOSFETとして構成されるトランジスタM21のゲートに接続される。トランジスタM21のソースは、抵抗R211を介してグランド電位の印加端に接続される。トランジスタM21のソースと抵抗R211との接続ノードN211は、エラーアンプEA21の反転入力端に接続される。
エラーアンプEA21は、二つの非反転入力端に印加される電圧のうち高い方の電圧を反転入力端の電圧と比較する。これにより、帰還電圧Vfbが基準電圧V211より高い場合は、接続ノードN211の電圧は帰還電圧Vfbとなるように制御され、そうでない場合は、接続ノードN211の電圧は基準電圧V221となるように制御される。従って、基準電圧V211は、接続ノードN211の電圧の最低値を規定する。
トランジスタM21のドレインは、上側カレントミラーPMの入力端に接続される。上側カレントミラーPMの一方の出力端は、下側カレントミラーNMの入力端に接続され、他方の出力端は、抵抗R212の一端と接続ノードNHで接続される。下側カレントミラーNMの出力端は、抵抗R213の一端と接続ノードNLで接続される。
接続ノードN211の電圧に応じて抵抗R211を介して電流I211が流れる。上側カレントミラーPMは、電流I211を入力として電流I212および上側出力電流IoHを出力する。下側カレントミラーNMは、電流I212を入力として下側出力電流IoLを出力する。
抵抗R212と抵抗R213との接続ノードNCは、オペアンプA21の出力端に接続される。オペアンプA21の非反転入力端には、所定の基準電圧V212が印加される。オペアンプA21の出力端は、オペアンプA21の反転入力端に接続される。このように、オペアンプA21によってボルテージフォロアが構成されるので、接続ノードNCには、基準電圧V212と同じ電圧Vncが生成される。
接続ノードNHには、上側出力電流IoHに応じた抵抗R212での電圧降下分だけ電圧Vncよりも高い電圧が上側オフ閾値VTHH(図2)として生成される。接続ノードNLには、下側出力電流IoLに応じた抵抗R213での電圧降下分だけ電圧Vncよりも低い電圧が下側オフ閾値VTHL(図2)として生成される。
これにより、図4に模式的に示すように、帰還電圧Vfbが高くなる程、上側オフ閾値VTHHと下側オフ閾値VTHLとの乖離が電圧Vnc(=V212)を中心として大きくなる。
また、図3に示す構成では、トランスコンダクタンスアンプTA21の非反転入力端は、SET_SS端子に接続される。トランスコンダクタンスアンプTA21とSET_SS端子との接続ノードには、定電流源CI21による定電流が流れ込む。トランスコンダクタンスアンプTA21の出力端は、FB端子と抵抗R21との接続ノードに接続されるとともに、トランスコンダクタンスアンプTA21の反転入力端に接続される。トランスコンダクタンスアンプTA21は、出力端へシンク電流IS21を吸い込むのみであり、出力端からのソース電流の吐出しはしない。
このようなトランスコンダクタンスアンプTA21を用いた構成は、ソフトスタートを目的としており、図5のタイミングチャートも参照してソフトスタートについて述べる。図5において示す出力電圧Voutの波形および帰還電圧Vfb1の波形は、ソフトスタート機能を仮に設けない場合を示す。この場合、タイミングtsで電源制御IC2が起動すると、帰還電圧Vfb1は0Vから電源電圧V21まで立上り、出力電圧Voutが0Vから上昇する。
そして、出力電圧Voutが目標値REFに達したタイミングteで帰還電圧Vfb1は安定値まで低下するが、その低下に時間がかかるので、出力電圧Voutには図5に示すようにオーバーシュートOSが発生する。
これに対して、本実施形態では、起動するタイミングtsより定電流源CI21によるSET_SS端子に外付けされたコンデンサC5への充電が開始され、SET_SS端子に生じる電圧Vss(図5)が上昇を開始する。このとき、帰還電圧Vfb(図5ではVfb2)が電圧Vssよりも高くなろうとしても、トランスコンダクタンスアンプTA21によるシンク電流IS21の吸込みによって、帰還電圧Vfbは電圧Vssと一致するように制御される。従って、電圧Vssと帰還電圧Vfbは一致しつつ上昇する。
そして、帰還電圧Vfbが安定値Vsに達すると、以降、電圧Vssがさらに上昇しても、帰還電圧Vfbは安定値Vsを維持するので、電圧Vssと帰還電圧Vfbは乖離する。このとき、出力電圧Voutのオーバーシュートは抑制される。
<4.帰還電流合算回路の構成>
次に、上述した帰還電流合算回路22の具体的な構成例について述べる。図6は、帰還電流合算回路22の一構成例を示す回路図である。
図6に示す帰還電流合算回路22は、抵抗R221~R224と、エラーアンプ221と、コンデンサC221と、トランスコンダクタンスアンプ222と、コンデンサC222と、トランスコンダクタンスアンプ223と、スイッチSW221と、スイッチSW222と、を有する。
所定の電源電圧V22の印加端とILCC端子との間には、抵抗R221と抵抗R222が直列に接続される。抵抗R221とR222との接続ノードは、エラーアンプ221の非反転入力端に接続される。エラーアンプ221の出力端と、グランド電位の印加端との間には、抵抗R223とR224とが直列に接続される。抵抗R223とR224との接続ノードは、エラーアンプ221の反転入力端に接続される。
これにより、例えば抵抗R221とR222の抵抗比を1:1とし、R223とR224の抵抗比も1:1とすると、図7に示す0Vを中心とした共振電流検出信号VISに対して、エラーアンプ221の出力端には、電源電圧V22と同じ電圧(図7では一例として2V)を中心とした共振電流検出信号VIS’が生成される。すなわち、共振電流検出信号VISは、共振電流検出信号VIS’にレベルシフトされる。
エラーアンプ221の出力端は、トランスコンダクタンスアンプ222の反転入力端に接続されるとともに、スイッチSW221を介してトランスコンダクタンスアンプ222の非反転入力端に接続される。スイッチSW221とトランスコンダクタンスアンプ222との接続ノードには、コンデンサC221の一端が接続される。コンデンサ221の他端は、グランド電位の印加端に接続される。スイッチSW221とコンデンサ221は、サンプルホールド回路を構成する。
図8のタイミングチャートに示すように、ゲート駆動信号GHがLowからHighへ切替えられてスイッチング素子Q1がオフからオンへ切替えられるタイミングt81において、スイッチSW221はオンからオフへ切替えられるので、トランスコンダクタンスアンプ222の非反転入力端に生じる電圧V222は、切替えたタイミングでの共振電流検出信号VIS’の値にホールドされる。一方、トランスコンダクタンスアンプ222の反転入力端には、共振電流検出信号VIS’がそのまま入力される(図8の破線)。
トランスコンダクタンスアンプ222は、非反転入力端の電圧と反転入力端の電圧との差分ΔVHに比例した電流値のシンク電流I222を吸い込む。従って、図8に示すように、タイミングt81から差分ΔVHが大きくなるにつれて、シンク電流I222が大きくなる。
ゲート駆動信号GHがHighからLowへ切替えられてスイッチング素子Q1がオンからオフへ切替えられるタイミングt82において、スイッチSW221はオフからオンへ切替えられる。これにより、電圧V222は、共振電流検出信号VIS’と一致する。従って、差分ΔVHがゼロとなり、シンク電流I222は流れなくなる。
一方、エラーアンプ221の出力端は、トランスコンダクタンスアンプ223の反転入力端に接続されるとともに、スイッチSW222を介してトランスコンダクタンスアンプ223の非反転入力端に接続される。スイッチSW222とトランスコンダクタンスアンプ223との接続ノードには、コンデンサC222の一端が接続される。コンデンサ222の他端は、グランド電位の印加端に接続される。スイッチSW222とコンデンサ222は、サンプルホールド回路を構成する。
図9のタイミングチャートに示すように、ゲート駆動信号GLがLowからHighへ切替えられてスイッチング素子Q2がオフからオンへ切替えられるタイミングt91において、スイッチSW222はオンからオフへ切替えられるので、トランスコンダクタンスアンプ223の非反転入力端に生じる電圧V223は、切替えたタイミングでの共振電流検出信号VIS’の値にホールドされる。一方、トランスコンダクタンスアンプ223の反転入力端には、共振電流検出信号VIS’がそのまま入力される(図9の破線)。
トランスコンダクタンスアンプ223は、非反転入力端の電圧と反転入力端の電圧との差分ΔVLに比例した電流値のソース電流I223を吐出す。従って、図9に示すように、タイミングt91から差分ΔVLが大きくなるにつれて、ソース電流I223が大きくなる。
ゲート駆動信号GLがHighからLowへ切替えられてスイッチング素子Q2がオンからオフへ切替えられるタイミングt92において、スイッチSW222はオフからオンへ切替えられる。これにより、電圧V223は、共振電流検出信号VIS’と一致する。従って、差分ΔVLがゼロとなり、ソース電流I223は流れなくなる。
<5.スイッチング素子のオフタイミング決定>
図10は、電源制御IC2のより具体的な内部構成を示す回路図である。図10に示すように、電源制御IC2において、上述したオフ閾値生成回路21と帰還電流合算回路22とは接続される。より具体的には、接続ノードNHとトランスコンダクタンスアンプ222の出力端が接続ノードNH2で接続され、接続ノードNLとトランスコンダクタンスアンプ223の出力端が接続ノードNL2で接続される。
上側オフ閾値VTHH’(図2)は、接続ノードNH2に生成され、下側オフ閾値VTHL’(図2)は、接続ノードNL2に生成される。
上側オフ閾値VTHH’は、シンク電流I222が流れない場合は、上側出力電流IoHがそのまま抵抗R212に流れ、上側オフ閾値VTHH’は上側オフ閾値VTHHと一致する。シンク電流I222の流れる量が大きくなるほど、抵抗R212に流れる電流が減るので、上側オフ閾値VTHH’は上側オフ閾値VTHHより低下する。
下側オフ閾値VTHL’は、ソース電流I223が流れない場合は、下側出力電流IoLがそのまま抵抗R213に流れ、下側オフ閾値VTHL’は下側オフ閾値VTHLと一致する。ソース電流I223の流れる量が大きくなるほど、抵抗R213に流れる電流が減るので、下側オフ閾値VTHL’は下側オフ閾値VTHLより上昇する。
ここで、図10に示すように、DCレベルシフト回路23(図2)は、電源電圧V23の印加端とグランド電位の印加端との間での抵抗R231と抵抗R232との直列接続によって構成される。抵抗R231とR232との接続ノードN23は、VLLC端子に接続される。
このようなDCレベルシフト回路23により、VLLC端子に生成される0Vを中心とした共振電圧検出信号VCRは、電源電圧V23を抵抗R231,R232によって分圧した電圧を中心とした共振電圧検出信号VCR’へレベルシフトされる。
接続ノードN23は、上側コンパレータ24の非反転入力端に接続されるとともに、下側コンパレータ25の反転入力端に接続される。また、接続ノードNH2は、上側コンパレータ24の反転入力端に接続され、接続ノードNL2は、下側コンパレータ25の非反転入力端に接続される。これにより、上側コンパレータ24は、共振電圧検出信号VCR’と上側オフ閾値VTHH’とを比較し、比較結果として上側オフ信号H_OFFを出力する。また、下側コンパレータ25は、共振電圧検出信号VCR’と下側オフ閾値VTHL’とを比較し、比較結果として下側オフ信号L_OFFを出力する。
上側コンパレータ24の出力端は、AND回路A1の一方の入力端に接続される。AND回路A1の他方の入力端は、立下りエッジ検出部27の出力端に接続される。立下りエッジ検出部27の出力は、スイッチング動作状態では、Highであるので、AND回路A1の出力は、上側オフ信号H_OFFのレベルに応じたものとなる。AND回路A1の出力端は、上側DフリップフロップDHのリセット端子に接続される。上側DフリップフロップDHのQ出力端子からゲート駆動信号GHが出力される。ゲート駆動信号GHは、HO端子を介してスイッチング素子Q1のゲートに印加される。
これにより、共振電圧検出信号VCR’が上側オフ閾値VTHH’を上回ると、上側コンパレータ24によって上側オフ信号H_OFFがHighへ切替えられ、上側DフリップフロップDHがリセットされ、ゲート駆動信号GHがLowへ切替えられ、スイッチング素子Q1はオフへ切替えられる。
下側コンパレータ25の出力端は、AND回路A2の一方の入力端に接続される。AND回路A2の他方の入力端は、立下りエッジ検出部27の出力端に接続される。後述のように立下りエッジ検出部27の出力は、スイッチング動作状態では、Highであるので、AND回路A2の出力は、下側オフ信号H_OFFのレベルに応じたものとなる。AND回路A2の出力端は、下側DフリップフロップDLのリセット端子に接続される。下側DフリップフロップDLのQ出力端子からゲート駆動信号GLが出力される。ゲート駆動信号GLは、LO端子を介してスイッチング素子Q2のゲートに印加される。
これにより、共振電圧検出信号VCR’が下側オフ閾値VTHL’を下回ると、下側コンパレータ25によって下側オフ信号L_OFFがHighへ切替えられ、下側DフリップフロップDLがリセットされ、ゲート駆動信号GLがLowへ切替えられ、スイッチング素子Q2はオフへ切替えられる。
<6.スイッチング素子のオンタイミング決定>
また、図10に示すように、電源制御IC2は、スイッチングのオンタイミングを制御するための構成を有する。オンタイミング制御部26は、上側オン信号QHと下側オン信号QLを出力する。AND回路A3の一方の入力端には、上側オン信号QHが入力され、他方の入力端には、最小デッドタイム部DT1の出力がインバータIV1を介して入力される。
AND回路A3の出力端は、OR回路OR1の一方の入力端に接続される。OR回路1の他方の入力端には、立上りエッジ検出部28の出力端が接続される。スイッチング動作状態では、立上りエッジ検出部28の出力はLowであるので、OR回路OR1の出力は、AND回路A3の出力レベルに応じたものとなる。OR回路OR1の出力端は、上側DフリップフロップDHのクロック端子に接続される。
最小デッドタイム部DT1は、ゲート駆動信号GLのLowへの切替えを検出すると、カウントを開始し、最小デッドタイムに相当する所定期間をカウントすると、Lowへ切替えた出力をインバータIV1に入力させる。オンタイミング制御部26によって上側オン信号QHがHighへ切替えられても、未だ上記所定期間がカウントされていない場合は、インバータIV1からAND回路A3へ入力される信号はLowであるので、AND回路A3の出力はLowで維持される。その後、上記所定期間がカウントされると、インバータIV1の出力がHighへ切替えられるので、AND回路A3の出力はHighへ切替えられる。なお、上記所定期間のカウント後に上側オン信号QHがHighへ切替えられた場合は、その時点でAND回路A3の出力はHighへ切替えられる。
AND回路A3の出力がHighへ切替えられると、上側DフリップフロップDHのQ出力端子から出力されるゲート駆動信号GHはHighへ切替えられ、スイッチング素子Q1はオンへ切替えられる。このように、スイッチング素子Q2がオフとなってからスイッチング素子Q1がオンとなるまでのデッドタイム(同時オフ期間)が調整され、当該デッドタイムは最小デッドタイム以上に確保される。
また、AND回路A4の一方の入力端には、下側オン信号QLが入力され、他方の入力端には、最小デッドタイム部DT2の出力がインバータIV2を介して入力される。AND回路A4の出力端は、下側DフリップフロップDLのクロック端子に接続される。
最小デッドタイム部DT2は、ゲート駆動信号GHのLowへの切替えを検出すると、カウントを開始し、最小デッドタイムに相当する所定期間をカウントすると、Lowへ切替えた出力をインバータIV2に入力させる。オンタイミング制御部26によって下側オン信号QLがHighへ切替えられても、未だ上記所定期間がカウントされていない場合は、インバータIV2からAND回路A4へ入力される信号はLowであるので、AND回路A4の出力はLowで維持される。その後、上記所定期間がカウントされると、インバータIV2の出力がHighへ切替えられるので、AND回路A4の出力はHighへ切替えられる。なお、上記所定期間のカウント後に下側オン信号QLがHighへ切替えられた場合は、その時点でAND回路A4の出力はHighへ切替えられる。
AND回路A4の出力がHighへ切替えられると、下側DフリップフロップDLのQ出力端子から出力されるゲート駆動信号GLはHighへ切替えられ、スイッチング素子Q2はオンへ切替えられる。このように、スイッチング素子Q1がオフとなってからスイッチング素子Q2がオンとなるまでのデッドタイムが調整され、当該デッドタイムは最小デッドタイム以上に確保される。
<7.オンタイミング制御部の構成>
次に、オンタイミング制御部26の具体的な構成について説明する。図11は、オンタイミング制御部26の一構成例を示す回路図である。
図11に示すように、オンタイミング制御部26は、トランジスタ261と、コンパレータ262,263と、インバータ264,265と、Dフリップフロップ266,267と、AND回路268,269と、を有する。
nチャネルMOSFETで構成されるトランジスタ261のドレインは、SW端子に接続される。トランジスタ261のゲートには、基準電圧V261が印加される。トランジスタ261のソースは、コンパレータ262の非反転入力端とともにコンパレータ263の反転入力端に接続される。
コンパレータ262の反転入力端には、正の基準電圧V262が印加される。コンパレータ262の出力端は、インバータ264の入力端に接続される。インバータ264の出力端は、Dフリップフロップ266のクロック端子に接続される。コンパレータ263の非反転入力端には、負の基準電圧V263が印加される。コンパレータ263の出力端は、インバータ265の入力端に接続される。インバータ265の出力端は、Dフリップフロップ267のクロック端子に接続される。
インバータ264の出力端は、AND回路269の一方の入力端に接続される。インバータ265の出力端は、AND回路268の一方の入力端に接続される。AND回路268,269の各他方の入力端には、図10に示すコンパレータCP1から出力される出力BSTが入力される。AND回路268の出力端は、Dフリップフロップ266のリセット端子に接続される。AND回路269の出力端は、Dフリップフロップ267のリセット端子に接続される。
Dフリップフロップ266のQ出力端子から上側オン信号QHが出力され、Dフリップフロップ267のQ出力端子から下側オン信号QLが出力される。
オンタイミング制御部26の動作について、図12に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、図12には、上段より順にスイッチ電圧SW、スイッチ電圧検出信号VSW、上側オン信号QH、下側オン信号QLを示す。
スイッチング素子Q2がオンからオフとなることにより、スイッチング素子Q1,Q2の双方がオフとなったタイミングt121で、共振電流による寄生容量の充電により、スイッチ電圧SWは0Vから上昇を開始する。そして、タイミングt122で、スイッチ電圧SWは、入力電圧Vin(以下、一例として400Vとする)に到達する。このとき、タイミングt121で、スイッチ電圧検出信号VSWは、0Vから抵抗R4,R5により分圧された後の所定の電圧Vin’まで立上り、タイミングt122で0Vまで立ち下がる。
トランジスタ261は、ドレインに入力されるスイッチ電圧検出信号VSWを基準電圧V261からゲート・ソース間の閾値電圧Vgsだけ低い所定電圧以下に制限する。従って、電圧Vin’のスイッチ電圧検出信号VSWは、上記所定電圧に制限される。コンパレータ262は、制限後の信号と基準電圧V262を比較する。これにより、タイミングt121では、コンパレータ262の出力はHighに切替えられ、AND回路269の出力はLowに切替えられる。なお、後述のように、スイッチング動作状態では、出力BSTはHighであるので、AND回路268,269の出力は、インバータ265,264の出力レベルに応じたものとなる。従って、Dフリップフロップ267がリセットされ、下側オン信号QLはLowへ切替えられる。
そして、タイミングt122では、インバータ264の出力がHighへ切替えられ、Dフリップフロップ266から出力される上側オン信号QHはHighへ切替えられる。これにより、スイッチ電圧SWが400Vに達したときにスイッチング素子Q1がオンとされるので、スイッチング素子Q1のハードスイッチングを回避できる。
タイミングt122以降、スイッチ電圧SWは400Vを維持し、タイミングt123でスイッチング素子Q1がオフとされることによりスイッチング素子Q1,Q2の双方がオフとなる。このとき、共振電流によって寄生容量の放電が開始され、スイッチ電圧SWは400Vから下降を開始する。そして、タイミングt124でスイッチ電圧SWは、0Vに到達する。このとき、タイミングt123で、スイッチ電圧検出信号VSWは、0VからツェナーダイオードZ1のクランプによる-Vf(Vf:順方向電圧)まで立ち下がり、タイミングt124で0Vまで立ち上がる。
これにより、タイミングt123では、コンパレータ263の出力はHighに切替えられ、AND回路268の出力はLowに切替えられる。従って、Dフリップフロップ266がリセットされ、上側オン信号QHはLowへ切替えられる。そして、タイミングt124では、インバータ265の出力がHighへ切替えられ、Dフリップフロップ267から出力される下側オン信号QLはHighへ切替えられる。これにより、スイッチ電圧SWが0Vに達したときにスイッチング素子Q2がオンとされるので、スイッチング素子Q2のハードスイッチングを回避できる。
タイミングt124以降、スイッチ電圧SWは0Vを維持し、タイミングt125でスイッチング素子Q2がオフとなることによりスイッチング素子Q1,Q2が双方オフとなると、上述したようにスイッチ電圧SWは0Vから上昇を開始する。
<8.スイッチング動作状態での波形例>
ここで、図13は、LLC共振コンバータ52の負荷が軽負荷である場合の各信号波形を示すタイミングチャートである。図14は、LLC共振コンバータ52の負荷が重負荷である場合の各信号波形を示すタイミングチャートである。図13および図14ともに、上段から順に、共振電圧検出信号VCR、共振電圧検出信号VCR’、共振電流検出信号VIS、および、ゲート駆動信号GH,GLを示す。なお、共振電圧検出信号VCR’は、上側オフ閾値VTHH’および下側オフ閾値VTHL’と併せて示す。
また、共振電圧検出信号VCR’は、共振電圧検出信号VCRに対して中心を0Vから2Vへレベルシフトした例としている。すなわち、電源電圧V23(図10)を4Vとして、抵抗R231と抵抗R232の抵抗比を1:1とした場合である。また、電圧Vnc(=V212)を例として2Vとしている。
図14に示す重負荷の場合は、図13に示す軽負荷の場合に比べて、帰還電圧Vfbの値が高いので、上側オフ閾値VTHHと下側オフ閾値VTHLとの乖離が大きくなる。図13および図14ともに、ゲート駆動信号GHがオンレベル(High)へ切替えられると、シンク電流I222が流れ始め、上側オフ閾値VTHH’が低下する。そして、共振電圧検出信号VCR’が上側オフ閾値VTHH’を上回ったタイミングでゲート駆動信号GHがオフレベル(Low)へ切替えられる。また、図13および図14ともに、ゲート駆動信号GLがオンレベル(High)へ切替えられると、ソース電流I223が流れ始め、下側オフ閾値VTHL’が上昇する。そして、共振電圧検出信号VCR’が下側オフ閾値VTHL’を下回ったタイミングでゲート駆動信号GLがオフレベル(Low)へ切替えられる。
<9.バースト動作>
また、図10に示す電源制御IC2は、バースト動作を行うための構成を有する。具体的には、電源制御IC2は、コンパレータCP1を有する。
コンパレータCP1の非反転入力端は、FB端子に接続される。コンパレータCP1は、FB端子に生じる帰還電圧Vfbを第1閾値th1および第2閾値th2と比較するヒステリシスコンパレータである。第1閾値th1<第2閾値th2であり、第1閾値th1は例えば0.1V、第2閾値th2は例えば0.15Vに設定される。
LLC共振コンバータ52の出力電圧Voutが目標電圧以下となると、帰還電圧Vfbが第2閾値th2を上回り、コンパレータCP1の出力BSTがHighに切替えられる。立上りエッジ検出部28は、出力BSTの立上りを検出すると、LowからHighへ立ち上げ後に瞬時にLowへ立ち下げた出力をOR回路OR1へ出力する。これにより、上側DフリップフロップDHから出力されるゲート駆動信号GHがHighへ切替えられ、スイッチング動作状態へ移行する。また、このとき、オンタイミング制御部6においては、Highに立ち上がった出力BSTにより、AND回路268,269に入力されるインバータ265,264の出力が有効となる。
そして、出力電圧Voutが上昇して目標電圧を上回ると、帰還電圧Vfbは下降を開始する。帰還電圧Vfbが第1閾値th1を下回ると、出力BSTがLowへ切替えられる。立下りエッジ検出部27は、出力BSTの立下りを検出し、HighからLowへ立ち下げ後に瞬時にHighへ立ち上げた出力をAND回路A1,A2へ出力する。これにより、上側DフリップフロップDHおよび下側DフリップフロップDLはリセットされ、ゲート駆動信号GH,GLはLowとされ、スイッチング停止状態へ移行する。このとき、Lowへ切替えられた出力BSTにより、オンタイミング制御部26においては、AND回路268,269の出力がLowとされ、上側オン信号QHおよび下側オン信号QLはLowとされ、ゲート駆動信号GH,GLがHighとなることを防ぐ。
そして、出力電圧Voutが低下して目標電圧以下となると、帰還電圧Vfbが第2閾値th2を上回り、上述のように再びスイッチング動作状態へ移行する。このように、間欠的にスイッチング動作が行われるバースト動作が行われる。
<10.電源制御ICとPFC回路との連携>
次に、電源制御IC2とPFC回路51との連携機能について述べる。図15は、電源制御IC2における上記連携機能に関する要部構成と、PFC制御IC1の内部構成例を示す回路図である。
図15に示すように、PFC制御IC1(制御部)は、エラーアンプ11と、コンパレータ12と、ドライバ13と、を有する。PFC回路51における抵抗R1,R2とが接続される接続ノードN51は、エラーアンプ11の反転入力端に接続される。エラーアンプ11の非反転入力端には、基準電圧V11(例えば2.5V)が印加される。エラーアンプ11の出力端は、外付けのコンデンサC11に接続されるとともに、コンパレータ12の非反転入力端に接続される。
エラーアンプ11は、PFC回路51の出力電圧PFC_OUT(=Vin)を抵抗R1,R2で分圧した帰還電圧REFを基準電圧V11と比較し、帰還電圧REFと基準電圧V11との差分に応じた電流を出力するトランスコンダクタンスアンプとして構成される。エラーアンプ11の出力電流とコンデンサC11によって生成される電圧Vcpは、コンパレータ12の非反転入力端に入力される。コンパレータ12の反転入力端には、鋸歯状信号が入力される。
コンパレータ12は、電圧Vcpと鋸歯状信号との比較結果をPWM信号としてドライバ13に出力する。ドライバ13は、PWM信号に基づきスイッチング素子M1のオンオフ駆動を行う。これにより、帰還電圧REFによるPWM制御によって出力電圧PFC_OUTは、基準電圧V11と抵抗R1,R2の分圧比によって決まる目標電圧に制御される。なお、PFC制御IC1は、PWM制御を行う構成に限らず、例えばオン幅固定制御を行う構成であってもよい。
一方、電源制御IC2は、定電流源201と、トランジスタ202と、コンパレータ203と、AND回路204と、Dフリップフロップ205と、インバータ206と、コンパレータ207と、Dフリップフロップ208と、インバータ209と、タイマ210と、タイマ211と、Dフリップフロップ212と、立下がりエッジ検出部213と、AND回路214と、を有する。
なお、定電流源201と、トランジスタ202と、コンパレータ203と、AND回路204と、Dフリップフロップ205と、インバータ206と、コンパレータ207と、Dフリップフロップ208と、インバータ209と、から電流入力部が構成される。また、後述するコンパレータCP1と、タイマ210と、タイマ211と、Dフリップフロップ212と、からバースト検出部が構成される。
PFC_IN端子は、接続ノードN51に接続される。定電流源201の出力端は、pチャネルMOSFETで構成されるトランジスタ202のソースに接続される。トランジスタ202のドレインは、PFC_IN端子に接続される。コンパレータ203の非反転入力端は、PFC_IN端子に接続される。コンパレータ203の反転入力端には、基準電圧V203(例えば2.4V)が印加される。
コンパレータ203の出力端は、AND回路204の一方の入力端に接続される。AND回路204の出力端は、Dフリップフロップ205のクロック端子に接続される。Dフリップフロップ205のQ出力端子は、インバータ206の入力端に接続される。インバータ206の出力端は、トランジスタ202のゲートに接続される。
コンパレータ207の反転入力端は、PFC_IN端子に接続される。コンパレータ207の非反転入力端には、基準電圧V207(例えば2.6V)が印加される。コンパレータ207の出力端は、Dフリップフロップ208のクロック端子に接続される。Dフリップフロップ208のリセット端子は、AND回路204の出力端に接続される。Dフリップフロップ208のQ出力端子は、インバータ209の入力端に接続される。インバータ209の出力端は、AND回路214の一方の入力端に接続される。
先述したコンパレータCP1(図10でも図示)が出力する出力BSTは、タイマ210およびタイマ211に入力される。タイマ210の出力は、Dフリップフロップ212のクロック端子に入力される。タイマ211の出力は、Dフリップフロップ212のリセット端子に入力される。Dフリップフロップ212のQ出力端子は、AND回路204の他方の入力端および立下がりエッジ検出部213の入力端に接続される。立下がりエッジ検出部213は、入力される信号のHighからLowへの立下がりを検出すると、その瞬間だけLowを出力するワンショット回路である。
このような構成の電源制御IC2とPFC回路51による連携動作について、図16に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、図16においては、上段から順に、電源制御IC2によるLLC共振コンバータ52のスイッチング状態、Dフリップフロップ212のQ出力端子から出力されるPFCモード信号PFC_MODE、出力電圧PFC_OUT、トランジスタ202を流れるオフセット電流I_OFS、および、帰還電圧REFを示す。
また、図16に示すLLC共振コンバータ52のスイッチング状態は、スイッチング動作状態をハッチングで示す。従って、図16では、LLC共振コンバータ52は、スイッチング動作状態とスイッチング停止状態を交互とするバースト動作を行う。
また、図16では、一例として、基準電圧V11=2.5V、基準電圧V203=2.4V、基準電圧V207=2.6Vであるとし、出力電圧PFC_OUTの目標値は400Vであるとする。
帰還電圧Vfbが第1閾値th1を下回って出力BSTがLowへ切替えられるタイミングt161で、LLC共振コンバータ52はスイッチング動作状態からスイッチング停止状態へ移行する。タイマ210は、出力BSTがLowへ切替えられたことを検出すると、カウントを開始し、出力BSTがHighへ切替えられるまでに所定時間カウントをカウントすれば、LLC共振コンバータ52がバースト動作を行っているとして、Dフリップフロップ212のクロック端子にHighへの立上り信号を出力する。これにより、Dフリップフロップ212は、Q出力端子からHighのPFCモード信号PFC_MODEをAND回路204へ出力する。
図16の例では、タイミングt161からカウントを開始し、所定時間の一例として1msをカウントするまでに出力BSTがHighへ切替えられておらずLLC共振コンバータ52がスイッチング動作状態へ移行していないので、タイミングt162でPFCモード信号PFC_MODEがHighへ切替えられて、PFC回路51を通常モードからバーストモードへ移行させる。なお、タイマ210は、所定時間をカウントするまでに出力BSTがHighへ切替えられた場合は、PFCモード信号PFC_MODEをLowのままとし、通常モードが維持される。
これにより、所定時間よりもLLC共振コンバータ52のスイッチング動作状態の間隔が長くなる低電力の場合に、PFC回路51をバーストモードへ移行させることができる。
図16に示すように、タイミングt162でPFCモード信号PFC_MODEがHighへ切替えられると、帰還電圧REFは2.5Vに制御されているので、コンパレータ203の出力はHighであり、AND回路204からHighへの立ち上がりがDフリップフロップ205のクロック端子に入力され、インバータ206の出力がLowとなり、トランジスタ202はオンとされる。これにより、定電流源201によって、トランジスタ202をオフセット電流I_OFSが流れる。
すると、帰還電圧REFがかさ上げされ、PFC制御IC1によってスイッチング素子M1はオフに維持されてスイッチングが停止される。これにより、出力電圧PFC_OUTが下降を開始し、それとともに帰還電圧REFも下降を開始する。図16の例では、その後、タイミングt163でLLC共振コンバータ52がスイッチング動作状態へ移行するので、出力電圧PFC_OUTおよび帰還電圧REFの下降量が大きくなる。
そして、タイミングt164で帰還電圧REFが2.6Vを下回ると、コンパレータ207の出力がHighへ切替わることで、Dフリップフロップ208のQ出力端子からの出力はHighへ切替わり、インバータ209の出力はLowへ切替わるので、AND回路214の出力はLowとなり、Dフリップフロップ205がリセットされる。これにより、インバータ206の出力がHighとされ、トランジスタ202がオフとされ、オフセット電流I_OFSは流れなくなる。
すると、帰還電圧REFは、かさ上げをされなくなり、2.4Vより低い値まで低下する。これにより、PFC制御IC1は、帰還電圧REFを2.5Vとするようにスイッチング素子M1のスイッチング制御を開始し、帰還電圧REFが上昇する。タイミングt165で帰還電圧REFが2.4Vに達すると、AND回路204の出力がHighへ切替わり、Dフリップフロップ205の作用によってトランジスタ202がオンとされ、オフセット電流I_OFSが流れる。
すると、帰還電圧REFがかさ上げされるので、PFC制御IC1によってスイッチング素子M1のスイッチングが停止される。これにより、出力電圧PFC_OUTおよび帰還電圧REFは下降する。そして、タイミングt166で帰還電圧REFが2.6Vを下回ると、Dフリップフロップ208の作用により、トランジスタ202がオフとされ、オフセット電流I_OFSが流れなくなる。
以降、上記動作の繰り返しによって、スイッチング素子M1のスイッチング動作状態とスイッチング停止状態が繰り返される。このように、PFC回路51のバースト動作が行われる。
また、出力BSTがHighへ切替わってLLC共振コンバータ52がスイッチング動作状態へ移行するタイミングt163でタイマ211はカウントを開始し、出力BSTがLowとなるまでに所定時間をカウントすると、Dフリップフロップ212をリセットし、PFCモード信号PFC_MODEをLowとする。図16の例では、所定時間を1msとして、タイミングt163から1ms経過したタイミングt167にてPFCモード信号PFC_MODEがLowとされる。
PFCモード信号PFC_MODEがLowとされると、Dフリップフロップ208がリセットされ、インバータ209の出力はHighとなる。一方、立下がりエッジ検出部213は、PFCモード信号PFC_MODEがLowに切り替えられたことを検出すると、その瞬間だけLowを出力する。これにより、AND回路214の出力はLowとされ、Dフリップフロップ205がリセットされ、インバータ206の出力がHighとされ、トランジスタ202がオフとされ、オフセット電流I_OFSが流れなくなる。すると、帰還電圧REFは、かさ上げをされなくなり、2.4Vより低い値まで低下する。これにより、PFC制御IC1は、帰還電圧REFを2.5Vとするようにスイッチング素子M1のスイッチング制御を開始し、帰還電圧REFが上昇する。
このように、本実施形態によれば、電源制御IC2は、PFC回路51の出力電圧PFC_OUTを分圧する抵抗R1,R2の接続ノードN51にオフセット電流I_OFSを入力する機能を有し、LLC共振コンバータ52のバースト動作を検出すると、オフセット電流I_OFSを流すか否かを繰り返すことにより、PFC制御IC1によるスイッチング素子M1の制御状態をスイッチング停止状態とスイッチング動作状態の間で繰り返させる。これにより、PFC回路51をバースト動作させることができる。
このとき、PFC制御IC1には、特別な回路を設ける必要が無く、例えば様々なメーカーのPFC制御IC1を用いることが可能となる。すなわち、LLC共振コンバータ52とともに用いるPFC制御IC1の使用の自由度を向上させることができる。また、電源制御IC2とPFC制御IC1との間に設ける外付け部品の増加を抑制することが可能となる。
なお、図15に示すように、本実施形態の電源制御IC2は、UVLO(Under Voltage Lock Out)用のコンパレータ215を有し、コンパレータ215の非反転入力端にPFC_IN端子が接続され、反転入力端に基準電圧が印加される。コンパレータ215は、ヒステリシスコンパレータである。これにより、出力電圧PFC_OUTを分圧した帰還電圧REFをコンパレータ215に入力させることができ、出力電圧PFC_OUT(=Vin)が検出電圧以下となると、電源制御IC2は内部回路の動作を停止させる停止状態となり、出力電圧PFC_OUTが復帰電圧以上となると、電源制御IC2は、停止状態を解除する。
<11.電源制御ICの端子配置>
ここで、電源制御IC2(図1)の端子配置について述べる。なお、以下では、端子を1番ピン~16番ピンと記載して説明する。
図1は、ICパッケージとしての電源制御IC2を上面から視た図である。電源制御IC2では、ICチップが支持体(銅フレーム等)に固着される。ICチップは、リードフレーム(銅フレーム等)とAuワイヤ等により接続される。図1に示す1番ピン~16番ピンは、リードフレームとして構成される。支持体、ICチップ、およびリードフレームは、モールド樹脂等の封止材によって封止される。
上面から視て矩形状の電源制御IC2において、第1辺に沿って1番~8番ピンが順に配置され、第1辺と対向する第2辺に沿って9番~16番ピンが順に配置される。なお、1番~8番ピンは、16番~9番ピンと一対一に対向する。
1番、および14番~16番ピンは、例えば400V程度まで上昇する電圧が印加される端子であり、高耐圧の端子である。2番~8番ピンは、低耐圧(例えば10V以下)の端子である。9番~11番ピンは、中耐圧(例えば40V以下)の端子である。
1番ピンは、交流電圧Vacの印加端から直接に電圧が入力されるので、隣接する2番ピンを非接続端子として3番ピンから分離している。
3番~8番ピンは、高耐圧の端子および中耐圧の端子との隣接ショートを避けるため、第1辺の紙面下方に一群として集めて配置している。
9番~11番ピンは、高耐圧の端子とのショートを避けるため、13番ピンを非接続端子としている。
14番~16番ピンは、高耐圧の端子であるので、中耐圧の端子および低耐圧の端子との隣接ショートを避けるため、第2辺の紙面上方に一群として集めて配置している。但し、14番~16番ピン間の電圧差は例えば30V程度にしかならないので、当該ピンがショートしても問題はない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。