JP7291562B2 - 既設管状体の更生方法及び更生構造 - Google Patents
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Description
本発明は、かかる事情に鑑み、老朽化した下水道管やトンネルなどの既設管状体を更生管、鉄筋及び裏込め材(モルタル等)によって更生して強度向上を図るとともに、前記鉄筋の配筋作業を効率化することを目的とする。
鉄筋と該鉄筋の端部に設けられたプレートとを含む鉄筋モジュールを複数用意して、前記複数の鉄筋モジュールを前記既設管状体の内壁に沿って並べるとともに、隣接する鉄筋モジュールのプレートどうしを連結することによって鉄筋組立体を構築し、
前記鉄筋組立体を挟んで前記内壁とは反対側に更生管を設置し、
前記内壁と前記更生管との間に、前記鉄筋組立体を埋めるように裏込め材を充填することを特徴とする。
本発明構造は、既設管状体を更生してなる更生構造であって、
既設管状体の内壁に沿って並べられた複数の鉄筋モジュールを含む鉄筋組立体と、
前記鉄筋組立体を挟んで前記内壁とは反対側に設けられた更生管と、
前記内壁と前記更生管との間に、前記鉄筋組立体を埋めるように充填された裏込め材と、を備え、前記各鉄筋モジュールが、鉄筋と該鉄筋の端部に設けられたプレートとを含み、隣接する鉄筋モジュールのプレートどうしが連結されていることを特徴とする。
当該特徴構成によれば、隣接する鉄筋モジュールの鉄筋どうしをプレートを介して容易に連結できる。ひいては、鉄筋組立体を簡易かつ効率的に構築できる。重ね継手を形成する必要が無い。したがって、鉄筋径を大きくしても、鉄筋どうしの連結作業に影響することがない。鉄筋径を大きくすることによって、更生後の既設管状体の強度が向上する。更に、プレートのアンカー効果によって、所要強度を十分に発現できる。
複数の鉄筋がモジュールとなっているために、これら複数の鉄筋を一体的に配筋できる。さらに隣接する鉄筋モジュールの複数の鉄筋どうしを一度に連結できる。したがって、鉄筋の配筋作業を一層効率的に行うことができる。
これによって、鉄筋モジュールひいては鉄筋を既設管状体の周方向に沿って環状に簡単に連結することができる。
これによって、連結作業を簡単に行うことができる。更生施工現場での溶接作業が不要となる。
これによって、鉄筋と既設管内壁との間の裏込め材のかぶり厚さを適切に設定できる。
プレートをガイドにすることで、更生管を適切な形状及び大きさに製管できる。かつ鉄筋と更生管との間の裏込め材のかぶり厚さを適切に設定できる。
<第1実施形態(図1~図8)>
図1及び図2は、更生済の既設管状体1(既設管状体更生構造)を示したものである。更生対象の既設管状体1は、例えば地中の老朽化した下水道管である。なお、既設管状体は、下水道管に限られず、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管などの既設管の他、既設のトンネルであってもよい。
図2において既設管状体1の断面は、真円形断面であるが、これに限らず、楕円、卵形その他の変形円形断面でもよく、方形その他の多角形断面でもよく、馬蹄形その他の異形断面であってもよい。
各プレート12が、2つの鉄筋11の互いに同じ側の端部に跨っている。各鉄筋11の端部とプレート12とが溶接されている。プレート12を介して2つの鉄筋11が連結されている。
なお、図6等における鉄筋11の太さは誇張されている。
モジュール環状体19を構成する鉄筋モジュール10の数すなわちモジュール環状体19の分割数は、既設管状体1の断面積などによって適宜設定される。図2においては、分割数は4つであるが、図5に示すように、より大断面の既設管状体1の場合は、分割数が6つでもよい。さらに図示は省略するが、分割数は2つ又は3つでもよく、5つでもよく、7つ以上でもよい。
プレート12の内周側縁部12eは、更生管3と当接又は近接されている。少なくとも鉄筋11から内周側縁部12eまでの距離だけ、鉄筋11が更生管3から離間されている。
これら複数のモジュール環状体19ひいては複数の鉄筋モジュール10及び配力筋15によって、内壁1bの周方向及び管軸方向に沿う鉄筋組立体5が構成されている。
<鉄筋モジュール10の用意>
鉄筋11とプレート12を用意して、工場において、鉄筋11の端部にプレート12を溶接して鉄筋モジュール10を作製する。
前記鉄筋モジュール10を更生施工現場へ搬送し、マンホール4から既設管状体1の内部に搬入する。鉄筋11は重ね継手のための定着長が不要な分だけ短くて済む。それだけ、鉄筋モジュール10の長さを短くでき、狭所であっても鉄筋モジュール10を容易に搬入できる。
既設管状体1の管軸方向(図6において左右方向)の一定間隔置きの各位置において、所定数(複数)の鉄筋モジュール10を既設管状体1の内壁1bの周方向に環状に並べて設置する。
図示は省略するが、好ましくは、前もって内壁1bにアンカーを設置しておく。そして、モジュール環状体19のうち、少なくとも最初に設置する鉄筋モジュール10を前記アンカーを介して内壁1bに固定する。2番目以降に設置する鉄筋モジュール10は、先に設置した鉄筋モジュール10を介して内壁1bに固定でき、必ずしもアンカーは必要でない。
ちなみに重ね継手方式の場合、鉄筋ごとにアンカーを設置しなければならない。
所定数の鉄筋モジュール10を互いに環状に連結することによって、モジュール環状体19が構成される。
かかるモジュール環状体19を既設管状体1の管軸方向に所定間隔置きに設置する。これによって、既設管状体1の内壁1bに沿う鉄筋組立体5を簡易かつ効率的に構築できる。
続いて、鉄筋組立体5の内側、すなわち鉄筋組立体5を挟んで内壁1bとは反対側に更生管3を設置する。更生管3の構築には、例えば自走しながら後方に製管していく自走式の製管機(前掲特許文献1,2参照)を用いる。該製管機によって、帯状部材3bを鉄筋組立体5ひいては内壁1bに沿って螺旋状に巻回するとともに、該螺旋状の帯状部材3bの一周違いに対向する縁どうしを接合することによって、螺旋管状の更生管3を作製する。このとき、好ましくは帯状部材3bをプレート12に当接又は近接させながら巻回する。プレート12をガイドにすることで、更生管3の製管径及び断面形状を安定させることができる。加えて、少なくとも鉄筋11からプレート12の内周側縁部12eまでの距離だけ、鉄筋11が更生管3から離間されることになり、鉄筋11と更生管3との離間距離を正確かつ容易に確保できる。
続いて、更生管3の内部にモルタル注入時の変形防止のための支保工(図示せず)を設置する。そして、既設管状体1の内壁1bと更生管3との間における鉄筋組立体5を除く空間部にモルタル6を注入して充填する。該モルタル6中に鉄筋組立体5が埋まり、鉄筋モルタル2が形成される。
プレート12によって、鉄筋11と内壁1bとの間のモルタル6のかぶり厚さを適切に確保でき、かつ鉄筋11と更生管3との間のモルタル6のかぶり厚さを適切に確保できる。
その後、支保工を撤去する。
このようにして更生された既設管状体1においては、内壁1bに沿って更生管3がライニングされるだけでなく、内壁1bと更生管3との間に鉄筋モルタル2が設けられているために、強度を大幅に向上させることができる。既設管状体1の残存強度が不足していたり大きな荷重に耐えられるようにする必要があったりしても、十分な強度アップを図ることができる。さらに重ね継手を形成する必要がないから、鉄筋径を十分に大きくでき、強度を一層向上させることができる。
モルタル6に埋まったプレート12は、鉄筋11をモルタル6内に定着させるアンカーの役割を担う。これによって、鉄筋11が異形棒鋼の場合に限らず、丸鋼の場合であっても、所要の引張強度を発現できる(実施例2参照)。さらに、プレート12は鉄筋11に対して直交しているため、せん断力に対する補強効果をも見込める。
<第2実施形態>
図9に示すように、第2実施形態における既設管状体1Bは、逆さU字状のアーチ部1aと、中央部が緩やかに凹む底部1dとを有する非真円の円形断面になっている。
各鉄筋モジュール10Bひいてはモジュール環状体19が、周方向に間隔を置いて配置された複数の位置決め金具16によって既設管状体1Bに対して位置決めされている。
なお、鉄筋11ごとのプレート12Cどうしが、溶接などで接合されていてもよい。コーナー部1cにおいても、各鉄筋モジュール10Bの2つ(複数)の鉄筋11の端部どうしが1枚のプレートで連結されていてもよい。
例えば、各鉄筋モジュールの鉄筋11の数は、2つに限らず、1つだけでもよく、3つ以上でもよい。
第1実施形態(図2~図5)の各鉄筋モジュール10の鉄筋11どうしが既設管状体1の内外方向(径方向)に並んでいてもよい。第2実施形態(図9)の各鉄筋モジュール10Bの鉄筋11どうしが既設管状体1の管軸方向(図9の紙面と直交する方向)に並んでいてもよい。
鉄筋モジュールの鉄筋の延び方向が既設管状体の管軸方向へ向けられていてもよい。
更生管3の製管機は、自走式に限らず、製管しながら前方へ押し出す元押し式や、前方側から牽引する牽引式であってもよい。
螺旋状に巻回された帯状部材3aの一周違いに対向する縁どうしを、連結帯材(ジョイナー)を介して接合してもよい。
更生管3は、螺旋管に限らず、例えば温度に応じて形状記憶性を有する合成樹脂チューブによって構成されていてもよい。
更生施工現場で鉄筋とプレートを溶接して鉄筋モジュールを作製してもよい。
実施例1では、裏込め材の圧縮強度を調べた。裏込め材として、SPRモルタル4号を用い、粉体75重量部、水13.5重量部の割合で練り混ぜ、直径50mm程度、高さ100mm程度(正確には表1)の円柱形状の試験体を3つ作製した。成型後、温度20±2℃の試験室内においてビニールシートにより覆って静置した。材齢2日で脱型を行い、材齢7日(試験日)まで同環境で封緘養生した。
圧縮強度試験は、株式会社前川試験製作所製500kN万能試験機を用い、JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)に準じて行った。試験体の端面は研磨によって仕上げた。該試験体を高さ方向に圧縮し、破壊時の最大荷重及び圧縮強度を測定した。
結果を表1に示す。圧縮強度は平均で63.0N/mm2であった。
長い丸鋼の寸法は、直径36.0mm、長さ651.0mmであった。
短い丸鋼の寸法は、直径36.0mm、長さ111.0mmであった。
両丸鋼のプレートの寸法は、何れも、長辺135.0mm、短辺75.0mm、厚さ19.0mmであった。
これら丸鋼のプレートどうしを突き当て、2本のM12ボルトによって接合し、鉄筋モジュールを得た。
鉄筋モジュール全体の長さは、800.0mmであった。
該鉄筋モジュールを型枠にセットした。型枠内のキャビティは、250mm×250mm×250mmの直方体であった。該キャビティの中央部にプレートを位置させ、短い丸鋼を5mmだけキャビティの外部へ突出させてこれを自由端とし、かつ長い丸鋼を型枠の反対側へ延出させてこれを載荷端とした。
また、キャビティには鉄筋モジュールを囲むように螺旋筋を設けた。螺旋筋は、鉄筋断面直径6mm、ピッチ50mm、螺旋直径200mmであった。
裏込め材として、SPRモルタル4号を用い、粉体75重量部、水13.5重量部の割合で練り混ぜ、前記型枠に流し込んだ。成型後、温度20±2℃の試験室内においてビニールシートにより覆って静置した。材齢2日で脱型を行い、材齢7日(試験日)まで同環境で封緘養生し、直方体の硬化モルタルを得た。
定着強度試験は、株式会社前川試験製作所製500kN万能試験機を用い、JSCE-G 503に準じて行った。
試験体における硬化モルタルを載荷板に載せ、それを球座の上に載せた。硬化モルタルから突出された前記載荷端を下へ向けて、載荷板の中央部及び球座の中央部にそれぞれ形成された直径82mmの孔に載荷端を通した。これによって、試験体に偏心荷重が加わらないようにしながら、載荷端に対して下方へ引張荷重を載荷し、降伏荷重(降伏した場合)及び最大荷重などを測定した。同時に、前記自由端の変位量(すべり量)をデジタルひずみ測定器を用いて測定し、荷重との関係を記録した。変位量の測定間隔は0.005mmとし、測定値と測定値の間は計算で補間した。
1a アーチ部
1b 内壁
1c コーナー部
1d 底部
2 鉄筋モルタル
3 更生管
3a 帯状部材
4 マンホール
5 鉄筋組立体
6 モルタル(裏込め材)
10,10B 鉄筋モジュール
10Ba アーチ部側鉄筋モジュール
10Bd 底部側鉄筋モジュール
11 鉄筋
11A 外側鉄筋
11B 内側鉄筋
12,12C プレート
12b 挿通孔
12d 外周側縁部
12e 内周側縁部
13 ボルト
14 ナット
15 配力筋
16 位置決め金具
19 モジュール環状体
Claims (12)
- 既設管状体を更生する方法であって、
鉄筋と該鉄筋の延び方向の端部に設けられたプレートとを含む鉄筋モジュールを複数用意して、前記複数の鉄筋モジュールを前記既設管状体の内壁に沿って並べるとともに、前記延び方向に隣接する鉄筋モジュールのプレートどうしを連結することによって鉄筋組立体を構築し、
前記鉄筋組立体を挟んで前記内壁とは反対側に更生管を設置し、
前記内壁と前記更生管との間に、前記鉄筋組立体を埋めるように裏込め材を充填し、
前記鉄筋モジュールにおける前記プレートが、前記鉄筋との接合部よりも前記鉄筋モジュールの前記延び方向と直交する幅方向の外側へ突出された部分を有し、
前記構築する工程では、前記鉄筋モジュールの前記幅方向及び前記延び方向を前記内壁に沿わせ、前記隣接する鉄筋モジュールのプレートにおける前記外側へ突出された部分どうしを、長さ方向を前記接合部における前記延び方向へ向けたボルトによって連結することを特徴とする既設管状体の更生方法。 - 前記鉄筋モジュールとして、互いに平行をなして前記幅方向へ並べられた複数の鉄筋を含み、前記プレートが、これら鉄筋の互いに同じ側の端部に跨っているモジュールを用い、前記プレートにおける、前記複数の鉄筋のうち最も前記幅方向の外側に配置された鉄筋との接合部よりも前記幅方向の外側へ突出された部分を、隣接する鉄筋モジュールのプレートと前記ボルトによって連結することを特徴とする請求項1に記載の更生方法。
- 前記各鉄筋モジュールの前記延び方向を前記既設管状体の周方向へ向け、
前記周方向に隣接する鉄筋モジュールの対向するプレートどうしを突き当て連結することを特徴とする請求項1又は2に記載の更生方法。 - 前記鉄筋モジュールとして、鉄筋とプレートとが溶接されたモジュールを用いることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の更生方法。
- 前記プレートを前記内壁に当接し、前記鉄筋を前記内壁から離間させて配置することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の更生方法。
- 帯状部材を前記プレートに当接又は近接させながら前記内壁に沿って螺旋状に巻回することによって前記更生管となる螺旋管を作製することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の更生方法。
- 既設管状体を更生してなる更生構造であって、
既設管状体の内壁に沿って並べられた複数の鉄筋モジュールを含む鉄筋組立体と、
前記鉄筋組立体を挟んで前記内壁とは反対側に設けられた更生管と、
前記内壁と前記更生管との間に、前記鉄筋組立体を埋めるように充填された裏込め材と、
を備え、前記各鉄筋モジュールが、鉄筋と該鉄筋の延び方向の端部に設けられたプレートとを含み、前記延び方向に隣接する鉄筋モジュールのプレートどうしが連結されており、
前記鉄筋モジュールにおける前記プレートが、前記鉄筋との接合部よりも前記鉄筋モジュールの前記延び方向と直交する幅方向の外側へ突出された部分を有し、
前記鉄筋モジュールの前記幅方向及び前記延び方向が前記内壁に沿わされ、前記隣接する鉄筋モジュールのプレートにおける前記外側へ突出された部分どうしが、長さ方向を前記接合部における前記鉄筋の延び方向へ向けたボルトによって連結されていることを特徴とする既設管状体の更生構造。 - 前記鉄筋モジュールが、互いに平行をなして前記幅方向へ並べられた複数の鉄筋を含み、前記プレートが、これら鉄筋の互いに同じ側の端部に跨っており、前記プレートにおける、前記複数の鉄筋のうち最も前記幅方向の外側に配置された鉄筋との接合部よりも前記幅方向の外側へ突出された部分どうしが、前記ボルトによって連結されていることを特徴とする請求項7に記載の更生構造。
- 前記鉄筋モジュールの前記延び方向が、前記既設管状体の周方向へ向けられ、前記周方向に隣接する鉄筋モジュールの対向するプレートどうしが突き当てられて連結されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の更生構造。
- 前記鉄筋モジュールの鉄筋とプレートとが溶接されていることを特徴とする請求項7~9の何れか1項に記載の更生構造。
- 前記プレートが前記内壁に当接され、前記鉄筋が前記内壁から離間されていることを特徴とする請求項7~10の何れか1項に記載の更生構造。
- 前記更生管が、前記プレートに当接又は近接するようにして前記内壁に沿って螺旋状に巻回された帯状部材からなる螺旋管であることを特徴とする請求項7~11の何れか1項に記載の更生構造。
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JP2005240969A (ja) | 2004-02-27 | 2005-09-08 | Kubota Corp | 既設管の更生方法 |
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