JP7291286B2 - 雨水排水装置 - Google Patents

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Description

本発明は、雨水を集めて排水する雨水排水装置に関する。
近年、集中豪雨の頻度が増加していることに伴って、建物の屋根雨水を効率よく排水するために、雨水配管が大型化してきている。
これに対して、サイフォン現象を用いることで、雨水配管の小口径化と雨水立て管本数の削減を可能とする雨水排除手段が用いられている。
例えば、特許文献1には、大雨のときにサイフォン作用によって大量の雨水を極めて効率よく排水でき、コストアップや家屋の外観を損なうことがないサイフォン式雨水排水装置について開示されている。
特開2004-308399号公報(特許第4130616号公報)
しかしながら、上記従来の雨水排水装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された雨水排水装置では、軒先に取り付けられた集水管の底部に、家屋の外壁材に沿って縦方向に配設された3~13cm2の開口面積を有するサイフォン管の上端が接続されている。
このような構成により、サイフォン作用によって効率よく雨水の排水を行うことができるものの、サイフォン管への雨水の流入の仕方によっては、配管の内部において満流状態を形成することができなかったり、配管の内部に渦状に流入した雨水の中心に空気柱が形成されてしまったりして、排水の効率を低下させてしまうおそれがある。
本発明の課題は、排水管内において効果的にサイフォン現象を発生させるとともに、サイフォン現象の発生を阻害する要因を排除して、効率よく雨水を排水することが可能な雨水排水装置を提供することにある。
第1の発明に係る雨水排水装置は、雨水を集めて排水管から排水する雨水排水装置であって、ベース部と、蓋部と、を備えている。ベース部は、底面と、底面の略中心部分に雨水を落下させる落とし口とを有し、落とし口が排水管に接続される。蓋部は、ベース部の落とし口の上方に、底面から所定の隙間をあけて配置されている。落とし口に対向する蓋部の面に内接する仮想円の直径bは、130mm以上300mm以下である。
第2の発明に係る雨水排水装置は、第1の発明に係る雨水排水装置であって、ベース部の底面における外周側に配置されており、落とし口に流入する雨水の流れを整える複数の整流フィンを、さらに備えている。
ここでは、ベース部の底面における外周部分に沿って、落とし口に流入する雨水の流れを整える複数の整流フィンが設けられている。
これにより、ベース部の底面と蓋部との間から落とし口を介して排水管に落下していく雨水が渦状になって流入していく流れを、整流フィンによって妨げることができる。
この結果、サイフォン現象の阻害要因となる空気柱が発生することをより効果的に抑制することができる。
第3の発明に係る雨水排水装置は、第2の発明に係る雨水排水装置であって、複数の整流フィンは、それぞれ仮想円の径方向に沿って配置されている。
ここでは、ベース部の底面における外周部分に沿って設けられた複数の整流フィンが、それぞれ仮想円の径方向に沿って配置されている。
これにより、ベース部の底面と蓋部との間から落とし口の方へ流入していく雨水の仮想円の周方向における移動を、整流フィンによって抑制することができる。
この結果、ベース部の底面と蓋部との間から落とし口を介して排水管に落下していく雨水が渦状になってその中心に空気柱が発生することをさらに効果的に抑制することができる。
第4の発明に係る雨水排水装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る雨水排水装置であって、蓋部は、落とし口と対向する面が凹状に形成されている。
第5の発明に係る雨水排水装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る雨水排水装置であって、落とし口の内径aとすると、以下の関係式(2)を満たす。
0.22≦h/a≦0.37 ・・・・・(2)
ここでは、底面と蓋部との間の隙間の大きさ(高さ)hと、ベース部に設けられた落とし口の内径aとの関係を規定している。
これにより、底面と蓋部との間の隙間の大きさ(高さ)hに対する落とし口の内径aの比率が、上記範囲になるように設定されることで、ベース部の底面と底面から所定の隙間をあけて配置された蓋部との間から落とし口を介して排水管に落下していく雨水の流量を、排水管の内部において満流の状態になるようにコントロールすることができる。
この結果、サイフォン現象を効果的に誘発させて、効率よく雨水を排水することができる。
第6の発明に係る雨水排水装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る雨水排水装置であって、落し口に対向する面と底面との間の最小隙間の大きさhとすると、以下の関係式(1)を満たす。
7.5≦b/h≦10.0 ・・・・・(1)
第7の発明に係る雨水排水装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る雨水排水装置であって、隙間の大きさhは、15mm以上40mm以下である。
ここでは、ベース部の底面と蓋部との間の隙間の大きさ(高さ)hについて、適切な範囲を規定している。
これにより、蓋部によって、落とし口へ流入していく雨水の高さを制限することができる。
この結果、ベース部の底面と蓋部との間から落とし口を介して排水管に落下していく雨水の流入量をコントロールすることで、より効果的にサイフォン現象の発生を誘発させることができる。
第8の発明に係る雨水排水装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る雨水排水装置であって、蓋部は、円形の板状の部材である。
ここでは、蓋部として、円形の板状部材を用いている。
これにより、蓋部の周囲から蓋部とベース部の底面との間に流入してくる雨水を、ほぼ均等に落とし口へと流入させることができる。
この結果、ベース部の底面と蓋部との間から落とし口を介して排水管に落下していく雨水の流入量をコントロールすることで、より効果的にサイフォン現象の発生を誘発させることができる。
本発明に係る雨水排水装置によれば、排水管内において効果的にサイフォン現象を発生させるとともに、サイフォン現象の発生を阻害する要因を排除して、効率よく雨水を排水することができる。
本発明の一実施形態に係る雨水排水装置を含む排水システムを示す図。 (a)は、図1の雨水排水装置の断面図。(b)は、その平面図。 渦の発生とサイフォン現象の発生有無について、本発明の実施例1~7と比較例1~4とを比較した結果を示す図。 (a)は、本発明の他の実施形態に係る雨水排水装置の構成を示す側面図。(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係る雨水排水装置の構成を示す平面図。 (a)は、本発明のさらに他の実施形態に係る雨水排水装置の構成を示す側面図。(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係る雨水排水装置の構成を示す側面図。
本発明の一実施形態に係る雨水排水装置10について、図1~図2(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
雨水排水装置10は、図1に示すように、建造物30に設置された雨水排水システム50の一部を構成する。
なお、図1に示す建造物30は、3階建てのビルであって、1階と2階との間、2階と3階との間に、それぞれスラブ20が設けられている。
(雨水排水システム50)
雨水排水システム50は、図1に示すように、雨水排水装置10と、ルーフドレン21(排水管の一部)と、集水管22と、排水口23とを備えている。
ルーフドレン21は、ビル等の建造物30の陸屋根上に降った雨水を集水管22に排水するために設けられている。そして、ルーフドレン21は、図1に示すように、建造物30の屋根伝いに片側3箇所ずつ、計6箇所に設置されている。
なお、ルーフドレン21は、例えば、外径が50Aであって断面が円形の配管を用いることができ、外径が65Aの配管を介して、集水管22に接続されていてもよい。
集水管22は、各ルーフドレン21から排水された雨水を集水して、排水口23へ導くために設けられている。そして、集水管22は、図1に示すように、建造物30の陸屋根の側方において、排水管14との接続側に向かって下方傾斜するように配置されている。さらに、集水管22は、雨水の移動方向における下流側の端部において排水管14と接続されている。
なお、集水管22は、例えば、断面形状が、円形、あるいは楕円形の部材を用いることができる。
排水口23は、図1に示すように、排水管14の最下流側と接続されており、ルーフドレン21を介して集められた雨水を、地面近くにおいて排水する。
なお、排水口23は、例えば、外径が100A~150Aであって断面が円形の配管を用いることができる。そして、排水管14との接続部分に配置されており外径が100Aの配管と、排水側の端部に配置されており外径が150Aの配管とを組み合わせて用いてもよい。
(雨水排水装置10)
雨水排水装置10は、図1に示すように、各ルーフドレン21の直上に配置されている。
なお、雨水排水装置10の材質としては、排水管14と同様に、例えば、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)などのオレフィン系樹脂、塩ビ樹脂、あるいは、アルミニウム、アルミ合金、ステンレス等の金属等を用いることができる。
樹脂やアルミニウム、アルミニウム合金を用いることにより、軽量かつ低コストで、所望の形状を備えた雨水排水装置10を得ることができる。
ベース部11は、図2(a)および図2(b)に示すように、円環状の底面11aと、底面11aの略中心に雨水を落下させる落とし口11bと、筒状部11cとを有している。そして、落とし口11bを形成する筒状部11cがルーフドレン21の上端部に接続される。
底面11aは、図2(a)および図2(b)に示すように、略中央部分に落とし口11bが形成された円環状の部材である。そして、円環状の底面11aには、落とし口11bを中心に、複数の整流フィン13が等角度間隔で配置されている。
落とし口11bは、図2(a)に示すように、ベース部11の中心部に形成された貫通穴であって、筒状部11cの内部に形成されている。そして、落とし口11bは、ルーフドレン21の上端部に連通しており、雨水排水装置10に対して360度方向から流入してきた雨水を、ルーフドレン21内へと落下させる。
筒状部11cは、図2(a)および図2(b)に示すように、円筒状の部材であって、その上端部において底面11aと連結され、底面11aから下向きに突出するように形成されている。そして、筒状部11cは、内部に落とし口11bが形成される。
蓋部12は、図2(a)および図2(b)に示すように、ベース部11の上方に、ベース部11の中心に形成された落とし口11bと同心円状に配置された円形の板状部材であって、ベース部11の底面11a上に立設された複数の整流フィン13によって支持されている。また、蓋部12は、図2(a)に示すように、ベース部11(落とし口11b)の上方に、底面11aから所定の隙間Gの大きさ(高さ)hをあけて配置されている。さらに、蓋部12は、落とし口11bに対向する円形の面が直径b(蓋部12の面に内接する仮想円の直径)になるように形成されている。
なお、本実施形態では、蓋部12が円形の板状部材であるため、蓋部12の内接円の直径bは、そのまま円形の蓋部12の直径に対応するものとする。
複数の整流フィン13は、図2(a)および図2(b)に示すように、落とし口11bに流入する雨水の流れを整えるために、ベース部11の底面11a上に設けられている。より具体的には、複数の整流フィン13は、図2(b)に示すように、略鉛直方向に沿って配置された板状の部材であって、底面11a上に、落とし口11bを中心とする円の円周上に、等角度間隔で8つ設けられている。
また、8つの整流フィン13は、それぞれ円環状の底面11aにおいて、径方向に沿って配置されている。
これにより、図2(b)に示すように、ベース部11の底面11aと蓋部12との間の隙間Gに流入してきた雨水が渦状に浸入してきた場合(図中一点鎖線参照)でも、整流フィン13によって雨水を整流し、落とし口11bの中心に向かって雨水を誘導することができる。
このため、ルーフドレン21内に雨水が渦状に流入して、その中心部に空気柱が形成されることを防止することができる。
この結果、整流フィン13によって、落とし口11bへ流入していく雨水の中心に空気柱が形成されることを防止することで、ルーフドレン21内において生じるサイフォン現象の発生の阻害要因を効果的に排除することができる。
<ベース部11と蓋部12との関係>
本実施形態の雨水排水装置10では、上述した構成において、ベース部11の落とし口11bに対向する円形の蓋部12の直径b、所定の隙間Gの大きさ(高さ)hとすると、以下の関係式(1)を満たすように構成されている。
6≦b/h≦11 ・・・・・(1)
このように、蓋部12の直径bと、ベース部11の底面11aと蓋部12との間の隙間Gの大きさhとの関係が関係式(1)を満たすように構成されていることで、ベース部11の底面11aと蓋部12との間から落とし口11bを介してルーフドレン21に落下していく雨水の流量を、ルーフドレン21の内部において満流の状態になるようにコントロールすることができる。
この結果、ルーフドレン21内において効果的にサイフォン現象を発生させるとともに、サイフォン現象の発生を阻害する要因を排除して、効率よく雨水を排水することができる。
さらに、ベース部11の落とし口11bの内径aとすると、以下の関係式(2)を満たすように構成されている。
0.2≦h/a≦0.5 ・・・・・(2)
このように、ベース部11の底面11aと蓋部12との間の隙間Gの大きさhに対する落とし口11bの内径aの比率が、関係式(2)を満たすように構成されていることで、ベース部11の底面11aと蓋部12との間から落とし口11bを介してルーフドレン21に落下していく雨水の流量を安定化させて、ルーフドレン21の内部において満流の状態になるようにコントロールすることができる。
この結果、ルーフドレン21内において効果的にサイフォン現象を発生させるとともに、サイフォン現象の発生を阻害する要因を排除して、効率よく雨水を排水することができる。
ここで、上述したベース部11の底面11aと蓋部12との間に形成される所定の隙間Gの大きさ(高さ)hは、上記関係式(1)を満たした上で、15mm以上40mm以下の範囲内になるように設定されていることが好ましい。
これにより、ベース部11の底面11aと蓋部12との間から落とし口11bを介してルーフドレン21に落下していく雨水の流量を、高さ方向において制限することで、ルーフドレン21の内部において満流の状態になるようにコントロールすることができる。
この結果、より効果的に、ルーフドレン21に流入していく雨水の流量をコントロールして、ルーフドレン21内におけるサイフォン現象の発生を誘発させることができる。
さらに、上述した円形の蓋部12の直径b(仮想円の直径)は、上記関係式(1)を満たした上で、110mm以上155mm以下の範囲内になるように設定されていることが好ましい。
これにより、ベース部11の底面11aと蓋部12との間から落とし口11bを介してルーフドレン21に落下していく雨水の流量を、蓋部12の平面方向において制限することで、ルーフドレン21の内部において満流の状態になるようにコントロールすることができる。
この結果、さらに効果的に、ルーフドレン21に流入していく雨水の流量をコントロールして、ルーフドレン21内におけるサイフォン現象の発生を誘発させることができる。
<実施例1~7と比較例1~4との比較>
図3は、本発明の実施例1~7と、比較例1~4とを、ルーフドレン21に流入する際に雨水の渦の発生の有無、ルーフドレン21におけるサイフォン現象の発生の有無という観点で比較した結果を示す。
実施例1では、雨水排水装置10の落とし口11bの内径a=53.5mm、蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)=15mm、蓋部の直径b=150mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=10.0、h/a=0.28であって、ルーフドレン21の口径50Aのときに、落とし口11bからルーフドレン21へ流入する雨水の渦の発生はなかった。そして、ルーフドレン21におけるサイフォン現象の発生が確認された。
これにより、実施例1の雨水排水装置10によれば、ルーフドレン21に流入する雨水に渦が発生することなく、サイフォン現象の作用によって効率よく雨水を排水することができた。
実施例2では、雨水排水装置10の落とし口11bの内径a=71mm、蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)=20mm、蓋部の直径b=190mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=9.5、h/a=0.28であって、ルーフドレン21の口径75Aのときに、落とし口11bからルーフドレン21へ流入する雨水の渦の発生はなかった。そして、ルーフドレン21におけるサイフォン現象の発生が確認された。
これにより、実施例2の雨水排水装置10によれば、ルーフドレン21に流入する雨水に渦が発生することなく、サイフォン現象の作用によって効率よく雨水を排水することができた。
実施例3では、雨水排水装置10の落とし口11bの内径a=109mm、蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)=40mm、蓋部の直径b=300mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=7.5、h/a=0.37であって、ルーフドレン21の口径100Aのときに、落とし口11bからルーフドレン21へ流入する雨水の渦の発生はなかった。そして、ルーフドレン21におけるサイフォン現象の発生が確認された。
これにより、実施例3の雨水排水装置10によれば、ルーフドレン21に流入する雨水に渦が発生することなく、サイフォン現象の作用によって効率よく雨水を排水することができた。
実施例4では、雨水排水装置10の落とし口11bの内径a=53.5mm、蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)=19mm、蓋部の直径b=150mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=7.9、h/a=0.36であって、ルーフドレン21の口径50Aのときに、落とし口11bからルーフドレン21へ流入する雨水の渦の発生はなかった。そして、ルーフドレン21におけるサイフォン現象の発生が確認された。
これにより、実施例4の雨水排水装置10によれば、ルーフドレン21に流入する雨水に渦が発生することなく、サイフォン現象の作用によって効率よく雨水を排水することができた。
実施例5では、雨水排水装置10の落とし口11bの内径a=68mm、蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)=15mm、蓋部の直径b=130mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=8.7、h/a=0.22であって、ルーフドレン21の口径65Aのときに、落とし口11bからルーフドレン21へ流入する雨水の渦の発生はなかった。そして、ルーフドレン21におけるサイフォン現象の発生が確認された。
これにより、実施例5の雨水排水装置10によれば、ルーフドレン21に流入する雨水に渦が発生することなく、サイフォン現象の作用によって効率よく雨水を排水することができた。
実施例6では、雨水排水装置10の落とし口11bの内径a=71mm、蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)=25mm、蓋部の直径b=220mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=8.8、h/a=0.35であって、ルーフドレン21の口径75Aのときに、落とし口11bからルーフドレン21へ流入する雨水の渦の発生はなかった。そして、ルーフドレン21におけるサイフォン現象の発生が確認された。
これにより、実施例6の雨水排水装置10によれば、ルーフドレン21に流入する雨水に渦が発生することなく、サイフォン現象の作用によって効率よく雨水を排水することができた。
実施例7では、雨水排水装置10の落とし口11bの内径a=109mm、蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)=30mm、蓋部の直径b=250mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=8.3、h/a=0.28であって、ルーフドレン21の口径50Aのときに、落とし口11bからルーフドレン21へ流入する雨水の渦の発生はなかった。そして、ルーフドレン21におけるサイフォン現象の発生が確認された。
これにより、実施例7の雨水排水装置10によれば、ルーフドレン21に流入する雨水に渦が発生することなく、サイフォン現象の作用によって効率よく雨水を排水することができた。
(実施例1~7のまとめ)
以上のように、実施例1~7の構成によれば、いずれの場合も、ルーフドレン21に流入する雨水に渦が発生することなく、サイフォン現象の作用によって効率よく雨水を排水することができた。
比較例1
一方、比較例1では、雨水排水装置の落とし口11bの内径a=53.5mm、蓋部の高さ(隙間Gの大きさh)=15mm、蓋部の直径b=60mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=4.0、h/a=0.28であって、ルーフドレンの口径50Aのときに、落とし口からルーフドレンへ流入する雨水の渦の発生が見られた。そして、排水管におけるサイフォン現象の発生はなかった。
つまり、比較例1では、各パラメータのうち、b/hおよびhが、上記実施形態において規定した範囲外となっている。
これにより、比較例1の雨水排水装置によれば、ルーフドレンに流入する雨水に渦が発生して、サイフォン現象を発生させることができないために、効率よく雨水を排水することができなかった。
ここで、比較例1と、この構成に近似した実施例1とを比較すると、蓋部の直径bが異なっていることが分かる。
よって、b/hに関しては、実施例1の10.0では好ましい結果が得られたものの、上記関係式(1)を満たさない比較例1の4.0では好ましい結果は得られなかった。
また、蓋部の直径bは、実施例1の150mmでは好ましい結果が得られたものの、比較例1の60mmでは、蓋部が小さすぎて雨水の流入量を安定化させることができず、好ましい結果は得られなかった。
比較例2
比較例2では、雨水排水装置の落とし口の内径a=53.5mm、蓋部の高さ(隙間Gの大きさh)=50mm、蓋部の直径b=250mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=5.0、h/a=0.93であって、ルーフドレンの口径50Aのときに、落とし口からルーフドレンへ流入する雨水の渦の発生が見られた。そして、ルーフドレンにおけるサイフォン現象の発生はなかった。
つまり、比較例2では、各パラメータのうち、b/h、h/a、hおよびbが全て、上記実施形態において規定した範囲外となっている。
これにより、比較例2の雨水排水装置によれば、ルーフドレンに流入する雨水に渦が発生して、サイフォン現象を発生させることができないために、効率よく雨水を排水することができなかった。
比較例3
比較例3では、雨水排水装置の落とし口の内径a=53.5mm、蓋部の高さ(隙間Gの大きさh)=15mm、蓋部の直径b=190mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=12.7、h/a=0.28であって、ルーフドレンの口径50Aのときに、落とし口からルーフドレンへ流入する雨水の渦の発生は見られなかったものの、ルーフドレンにおけるサイフォン現象の発生はなかった。
つまり、比較例3では、各パラメータのうち、b/hおよびbが、上記実施形態において規定した範囲外となっている。
これにより、比較例3の雨水排水装置によれば、ルーフドレンに流入する雨水に渦は発生しないものの、サイフォン現象を発生させることができないために、効率よく雨水を排水することができなかった。
比較例4
比較例4では、雨水排水装置の落とし口の内径a=71mm、蓋部の高さ(隙間Gの大きさh)=45mm、蓋部の直径b=190mmとした実験結果を示している。
この場合には、b/h=4.2、h/a=0.63であって、ルーフドレンの口径75Aのときに、落とし口からルーフドレンへ流入する雨水の渦の発生が見られた。そして、ルーフドレンにおけるサイフォン現象の発生はなかった。
つまり、比較例4では、各パラメータのうち、b/h、h/a、hおよびbが全て、上記実施形態において規定した範囲外となっている。
これにより、比較例4の雨水排水装置によれば、ルーフドレンに流入する雨水に渦が発生してしまい、かつサイフォン現象を発生させることができないために、効率よく雨水を排水することができなかった。
ここで、比較例4と、この構成に近似した実施例2とを比較すると、hが異なっていることが分かる。
よって、b/hに関しては、実施例2の9.5では好ましい結果が得られたものの、比較例4の4.2では蓋部の位置が高すぎて雨水の流入量を安定化させることができず、好ましい結果は得られなかった。
また、h/aに関しても、実施例2の0.28では好ましい結果が得られたものの、比較例4の0.63では好ましい結果は得られなかった。
さらに、隙間Gの大きさhは、実施例2の20mmであれば好ましい結果が得られたものの、比較例4の45mmでは好ましい結果は得られなかった。
(まとめ)
(b/hについて)
以上の実施例1~7の結果、蓋部12の直径bと蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)との比率b/hは、7.5以上10.0以下であれば、ルーフドレン21内において渦が発生することなく、サイフォン現象を発生させることができた。
一方、以上の比較例1~4の結果、b/hは、5.0以下、12.7以上になると、ルーフドレン21内において渦が発生したり、サイフォン現象を発生させることができなかったりして、効率よく雨水を排水することができないことが分かった。
よって、上記実施形態において説明したように、b/hについては、以下の関係式(1)を満たすように設定されていることが好ましい。
7.5≦b/h≦10.0 ・・・・・(1)
(h/aについて)
次に、以上の実施例1~7の結果、落とし口11bの内径aと蓋部12の高さ(隙間Gの大きさh)との比率h/aは、0.22以上0.37以下であれば、排水管14内において渦が発生することなく、サイフォン現象を発生させることができた。
一方、以上の比較例1~4の結果、h/aは、0.28以下、0.63以上になると、排水管14内において渦が発生したり、サイフォン現象を発生させることができなかったりして、効率よく雨水を排水することができないことが分かった。
よって、上記実施形態において説明したように、h/aについては、以下の関係式(2)を満たすように設定されていることが好ましい。
0.22≦h/a≦0.37 ・・・・・(2)
(隙間Gの大きさhについて)
次に、以上の実施例1~7の結果、隙間Gの大きさhについては、15mm以上40mm以下であれば、ルーフドレン21内において渦が発生することなく、サイフォン現象を発生させることができた。
一方、以上の比較例1~4の結果、隙間Gの大きさhについては、15mm以下、45mm以上になると、ルーフドレン21内において渦が発生したり、サイフォン現象を発生させることができなかったりして、効率よく雨水を排水することができないことが分かった。
よって、上記実施形態において説明したように、隙間Gの大きさhについては、15mm以上40mm以下の範囲に設定されていることが好ましい。
(直径bについて)
さらに、以上の実施例1~7の結果、蓋部12の直径bについては、130mm以上300mm以下であれば、排水管14内において渦が発生することなく、サイフォン現象を発生させることができた。
一方、以上の比較例1~4の結果、蓋部12の直径bについては、60mm以下、190mm以上になると、排水管14内において渦が発生したり、サイフォン現象を発生させることができなかったりして、効率よく雨水を排水することができないことが分かった。
よって、上記実施形態において説明したように、蓋部12の直径bについては、130mm以上300mm以下の範囲に設定されていることが好ましい。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、雨水排水装置10のベース部11の底面11aの外周部分に沿って、複数の整流フィン13を放射状に設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図4(a)に示すように、ベース部11の底面11a上に整流フィンが設けられていない雨水排水装置110であってもよい。
この場合でも、ルーフドレン内へ流入する雨水の量を安定化させることで、ルーフドレンの内部において効果的にサイフォン現象を発生させることができるため、上記と同様の効果を得ることができる。
(B)
上記実施形態では、雨水排水装置10のベース部11の底面11aの外周部分に沿って、8枚の整流フィン13を放射状に設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図4(b)に示すように、整流フィン13の数を半分の4枚にした雨水排水装置210であってもよい。
すなわち、整流フィンの数は特に限定されるものではなく、何枚であってもよい。
さらに、整流フィンは、ベース部11の落とし口11bを中心とする円の径方向に沿って放射状に配置されている構成に限定されるものではなく、径方向に対して斜めに配置されていてもよい。
(C)
上記実施形態では、蓋部12として、平滑な板状の部材を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図5(a)に示すように、落とし口11bと対向する面が凹状に形成された蓋部312を含む雨水排水装置310であってもよい。
あるいは、図5(b)に示すように、落とし口11bと対向する面とは反対側の面が凹状に形成された蓋部412を含む雨水排水装置410であってもよい。
なお、これらの雨水排水装置310,410の構成では、上記関係式に用いられる隙間Gの大きさ(高さ)hは、落とし口11bに対向する面と底面11aとの間の最小隙間となる高さを用いて設定されていればよい。
(D)
上記実施形態では、円形の板状部材によって構成される蓋部12を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、蓋部の形状は円形に限らず、楕円形、多角形等、他の形状であってもよい。
なお、蓋部が円形以外の形状である場合には、落とし口に対向する蓋部の面に内接する円の直径をbとして、上記関係式を満たすように構成されていればよい。
ただし、落とし口へ流入する雨水を360度全周において均等に流入させる点では、上記実施形態のように、円形の蓋部を用いることが好ましい。
(E)
上記実施形態では、雨水排水装置10を、屋根Rの下端部の近傍に略水平方向に沿って配置された集水管22の内部に設置した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の雨水排水装置を、屋上や陸屋根の端部に設置してもよい。
本発明の雨水排水装置は、排水管内において効果的にサイフォン現象を発生させるとともに、サイフォン現象の発生を阻害する要因を排除して、効率よく雨水を排水することができるという効果を奏することから、サイフォン現象を利用する各種排水システムに対して広く適用可能である。
10 雨水排水装置
11 ベース部
11a 底面
11b 落とし口
11c 筒状部
12 蓋部
13 整流フィン
14 排水管
20 スラブ
21 ルーフドレン
22 集水管
23 排水口
30 建造物
50 雨水排水システム
110 雨水排水装置
210 雨水排水装置
310 雨水排水装置
312 蓋部
410 雨水排水装置
412 蓋部
a 内径
b 直径
h 隙間の大きさ
G 隙間
R 屋根

Claims (8)

  1. 雨水を集めて排水管から排水させる雨水排水装置であって、
    底面と、前記底面の略中心部分に雨水を落下させる落とし口とを有し、前記落とし口が前記排水管に接続されるベース部と、
    前記ベース部の前記落とし口の上方に、前記底面から所定の隙間をあけて配置された蓋部と、
    を備え、
    前記落とし口の内径が53.5mm以上であって、
    前記所定の隙間の大きさhが、40mm以下であって、
    前記落とし口に対向する前記蓋部の面に内接する仮想円の直径bは、130mm以上300mm以下である、
    雨水排水装置。
  2. 前記ベース部の底面における外周側に配置されており、前記落とし口に流入する雨水の流れを整える複数の整流フィンを、さらに備えている、
    請求項1に記載の雨水排水装置。
  3. 複数の前記整流フィンは、それぞれ前記仮想円の径方向に沿って配置されている、
    請求項2に記載の雨水排水装置。
  4. 前記蓋部は、前記落とし口と対向する面が凹状に形成されている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の雨水排水装置。
  5. 前記所定の隙間の大きさh、前記落とし口の内径aとすると、以下の関係式(2)を満たす、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の雨水排水装置。
    0.22≦h/a≦0.37 ・・・・・(2)
  6. 下の関係式(1)を満たす、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の雨水排水装置。
    7.5≦b/h≦10.0 ・・・・・(1)
  7. 前記隙間の大きさhは、15mm以上である、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の雨水排水装置。
  8. 前記蓋部は、円形の板状の部材である、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の雨水排水装置。
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