JP7285387B1 - ヒートシール紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】PHBHを含有し、ラミネート層密着性に優れたヒートシール紙を提供すること。【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))を主成分とするフィルムからなるヒートシール層が、アンカー層を介して貼合されており、前記アンカー層が、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層であるヒートシール紙。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒートシール紙に関する。
近年、プラスチックごみによる環境破壊を防ぐための動きが始まっており、プラスチック製使い捨て製品を、環境への負荷の小さな材料で代替することが求められている。プラスチックの代替材料としては、生分解性プラスチック、木材、紙等が挙げられる。
生分解性プラスチックとして、ポリ乳酸やポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルが知られている。しかし、脂肪族ポリエステルは、温度が低いと生分解に時間がかかり、海洋などの自然環境での分解速度が遅いという問題がある。
一方、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂は、好気性、嫌気性下での分解性に優れた、微生物産生の熱可塑性プラスチックであり、海洋中などの水中でも微生物により短期間で分解されるという特筆すべき性能を有している。特許文献1には、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体であるポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(以下、PHBHともいう)を含む生分解性ポリエステル水性分散液が、成膜性に優れ、かつ、塗料、接着剤、繊維加工、シート・フィルム加工、紙加工等に適用する際、柔軟で伸びがよく、折り曲げに対して強い樹脂塗膜を与えことが記載されている。
特許文献2には、このPHBHを、紙等の積層用基材の少なくとも片面に積層した積層体の発明が提案され、その実施例において、PHBHを溶融押し出しラミネートして積層体を得たことが記載されている。しかしながら、PHBHを紙上に直接ラミネートすると、紙とPHBH層との接着力が弱く、包装体等として利用するためにPHBH層同士をラミネートした際に、紙とPHBH層との界面で剥離が起こりやすいという問題があった。
国際公開第2004/041936号 特開平10-128920号公報
本発明は、ラミネート層密着性に優れた、PHBHを主成分とするフィルムを有するヒートシール紙を提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))を主成分とするフィルムからなるヒートシール層が、アンカー層を介して貼合されており、
前記アンカー層が、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層であることを特徴とするヒートシール紙。
2.前記ポリエステル系樹脂が、生分解性であることを特徴とする1.に記載のヒートシール紙。
本発明のヒートシール紙は、層間接着力に優れており、紙基材とアンカー層、アンカー層とヒートシール層との間で剥離が起こりにくい。本発明のヒートシール紙は、ヒートシール加工により様々な形態の包装体とすることができる。生分解性のポリエステル系樹脂を含むアンカー層を有する本発明のヒートシール紙は、ヒートシール紙全体に対する生分解性材料の比率が高く、仮に環境中に流出しても、迅速に分解される。
本発明のヒートシール紙は、紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))を主成分とするフィルムからなるヒートシール層が、アンカー層を介して貼合されており、
アンカー層が、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層であることを特徴とする。
なお、本明細書において「A~B」(A、Bは数値)との記載は、A、Bを含む数値範囲、すなわち「A以上B以下」を意味する。
(紙基材)
紙基材は、主としてパルプからなるシート(以下、「基紙」ともいう。)であり、更に填料、各種助剤等を含む紙料を抄紙して得られる。
パルプとしては、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未漂白パルプ(NUKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、脱墨パルプ、古紙パルプなどの木材繊維、ケナフ、竹、麻などから得られた非木材繊維などを用いることができ、適宜配合して用いることが可能である。これらの中でも、紙基材中への異物混入が発生し難いこと、古紙原料としてリサイクル使用する際に経時変色が発生し難いこと、高い白色度を有するため印刷時の面感が良好となり、特に包装材料として使用した場合の使用価値が高くなることなどの理由から、木材繊維の化学パルプ、木材繊維の機械パルプを用いることが好ましく、化学パルプを用いることがより好ましい。具体的には、全パルプに対するLBKP、NBKP等の化学パルプの配合量が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール系樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。なお、填料は、必須材料ではなく、使用しなくてもよい。
各種助剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)などのサイズ剤、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が例示可能であり、必要に応じて適宜選択して使用可能である。
紙基材は、その表面が各種薬剤で処理されていてもよい。薬剤としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤などを例示することができ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。さらに、これらの各種薬剤と顔料を併用してもよい。顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
紙基材の坪量は、所望される各種品質やその用途等により適宜選択可能であるが、通常は20g/m以上600g/m以下が好ましく、25g/m以上600g/m以下がより好ましい。
例えば、包装紙、紙袋、蓋材、敷き紙等の包装材、屋外で使用されるポスター等に使用する場合、紙基材の坪量は、30g/m以上150g/m以下が好ましい。軟包装材として使用する場合、紙基材の坪量は、20g/m以上100g/m以下が好ましく、35g/m以上80g/m以下がより好ましい。なお、軟包装材とは、包装材の中でも、特に20g/mから100g/m程度の薄手の紙を用いた、柔軟性に富んだ包装材である。また、紙コップ、紙容器、紙箱、紙皿、紙トレー等に使用する場合、紙基材の坪量は、150g/m以上300g/m以下が好ましい。
また、紙基材の密度は、所望される各種品質や取り扱い性等により適宜選択可能であるが、通常は0.5g/cm以上1.0g/cm以下のものが好ましい。
紙基材の製造(抄紙)方法は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、ギャップフォーマー型、ハイブリッドフォーマー型(オントップフォーマー型)等のツインワイヤー抄紙機等、公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗工してもよい。また、紙基材は1層であってもよく、2層以上の多層で構成されていてもよい。
また、紙基材の表面を薬剤で処理する場合、表面処理の方法は特に限定されるものでなく、ロッドメタリングサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど公知の塗工装置を用いることができる。
(ヒートシール層)
ヒートシール層は、PHBHを主成分とするフィルムからなる。なお、本発明において、「主成分とする」とは、50重量%以上含むことを意味する。
<PHBH>
PHBHは、3-ヒドロキシブチレート(以下、3HBともいう。)と3-ヒドロキシヘキサノエート(以下、3HHともいう。)との共重合体であり、微生物が産生することが知られている生分解性樹脂である。本発明において、PHBHは、微生物由来のものを用いてもよく、石油資源由来のものを用いてもよいが、微生物由来のものを用いることが環境負荷低減の点から好ましい。
PHBHを産生する微生物としては、細胞内にPHBHを蓄積する微生物であればとくに限定されないが、A.lipolytica、A.eutrophus、A.latusなどのアルカリゲネス属(Alcaligenes)、シュウドモナス属(Pseudomonas)、バチルス属(Bacillus)、アゾトバクター属(Azotobacter)、ノカルディア属(Nocardia)、アエロモナス属(Aeromonas)などの菌があげられる。なかでも、PHBHの生産性の点で、とくにアエロモナス・キャビエなどの菌株、さらにはPHA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユウトロファス AC32(受託番号FERM BP-6038、寄託日平成9年8月7日、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、あて名;日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)、(J.Bacteriol.,179,4821-4830頁(1997))などが好ましい。また、アエロモナス属の微生物であるアエロモナス・キャビエ(Aeromonas.caviae)からPHBHを得る方法は、たとえば、特開平05-093049号公報に開示されている。なお、これらの微生物は、適切な条件下で培養して、菌体内にPHBHを蓄積させて用いられる。
培養に用いる炭素源、培養条件は、特開平05-093049号公報、特開2001-340078号公報等に記載の方法に従い得ることができるが、これらには限定されない。
PHBHの組成比(モル%)は、3HB:3HH=97:3~75:25が好ましく、95:5~78:22がより好ましく、93:7~80:20がさらに好ましい。3HHの組成が3モル%未満ではPHBHの特性が3HBホモポリマーの特性に近くなり柔軟性が失われるとともに成膜加工温度が高くなりすぎて好ましくない傾向がある。3HHの組成が25モル%を超えると結晶化速度が遅くなりすぎ成膜加工に適さず、また、結晶化度が下がることで、樹脂が柔軟になり曲げ弾性率が低下する傾向がある。PHBHの組成比は、公知の方法、例えばNMR分析により測定することができる。
微生物産生PHBHはランダム共重合体である。共重合体のモル比を調整するために、菌体の選択、原料となる炭素源の選択、異なるモル比のPHBHとのブレンド、3HBホモポリマーとのブレンドなどの方法がある。
本発明の一実施形態において、PHBHの重量平均分子量は、5万~70万が好ましく、10万~60万がより好ましく、20万~40万がさらに好ましい。PHBHの重量平均分子量が上記範囲内であることにより、機械物性に優れたフィルムを得ることができる。なお、PHBHの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、昭和電工社製「Shodex GPC-101」等)によって、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K-804」等)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めることができる。なお、測定用試料としては、PHBHを含む水性分散液を遠心分離した後、乾燥させて得られたパウダーを用いる。
本発明において、PHBHとして、組成比、重量平均分子量等が異なる2種以上を混合して用いることができる。
ヒートシール層は、PHBHの他に、他の熱可塑性樹脂、滑剤、無機充填剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、臭気吸収剤、香料、酸化防止剤、抗酸化剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、離型剤、撥水剤、抗菌剤、摺動性改良剤、顔料、染料などの着色剤等を含むことができる。ただし、ヒートシール層は、PHBHを主成分とするものであり、ヒートシール層全体に対するPHBHの割合は、70重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましく、98重量%以上であることがよりさらに好ましく、99重量%以上であることがよりさらに好ましい。
他の熱可塑性樹脂は、PHBHと相溶するものであれば特に制限されないが、生分解性樹脂であることが好ましく、例えば、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンアゼレートテレフタレート等の脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂が挙げられる。
滑剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の飽和または不飽和の脂肪酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のアルキレン脂肪酸アミド等の脂肪族アミド化合物、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
滑剤の配合量は、PHBH100重量部に対して0.1~2重量部であることが好ましく、0.2~1重量部がさらに好ましい。
無機充填材としては、例えば、平均粒子径が0.5μm以上の、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、クレー、カオリン、酸化チタン、アルミナ、ゼオライト等が挙げられる。
無機充填剤の配合量は、PHBH100重量部に対して0.5~5重量部であることが好ましく、1~3重量部がさらに好ましい。
(アンカー層)
アンカー層は、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層である。アンカー層は、水分散系塗料の塗工層であることが、製造時の環境への負荷を低減する点から好ましい。なお、塗工層であるか否かは、その断面を電子顕微鏡等で観察することにより判定することができる。
アンカー層は、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む。アンカー層が含むポリエステル系樹脂のガラス転移温度が-25~46℃の範囲内であることにより、ラミネート層密着性に優れたヒートシール紙を得ることができる。これは、ガラス転移温度が46℃以下の場合、ヒートシール加工時の熱によりアンカー層が含むポリエステル系樹脂の少なくとも一部が溶融または結晶構造が緩み、この状態で圧力が加えられることにより、紙の凹凸やPHBHとの間の隙間を埋めるためであると推測される。一方、ガラス転移温度が-25℃未満の場合、隙間に埋まったポリエステル系樹脂の結晶構造が柔らか過ぎるため、ヒートシール層と紙基材とをつなぐアンカーとしての接着機能が不十分になるためであると推測される。このポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、-24℃以上が好ましく、-10℃以上がより好ましく、0℃以上がさらに好ましく、また、19℃以下が好ましく、18℃以下がより好ましく、さらに15℃以下がより好ましい。
アンカー層が含むポリエステル系樹脂は、ガラス転移温度が-25~46℃のものを特に制限することなく使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等の工業的に広く用いられているものを用いることができる。また、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンアゼレートテレフタレート等の脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂等の生分解性ポリエステルを用いることもできる。これらの中で、生分解性ポリエステルが、ヒートシール紙全体の生分解性材料の比率を高くすることができ、ヒートシール紙が環境中にゴミとして流出した場合にも素早く分解されるため好ましい。アンカー層が生分解性ポリエステルである場合、JIS K6950の水系培養液中の好気的究極生分解度(評価機器OxiTOP―IDS、試験温度33℃下での7日後の値)が40%以上であることが好ましい。
アンカー層は、上記したガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂以外に、他の水溶性樹脂、水分散性樹脂を含むことができ、さらに、必要に応じて、分散剤、粘性改良剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩、滑剤、着色染料、顔料など、製紙分野において塗工液に配合される各種助剤を含むことができる。ただし、アンカー層は、ガラス転移温度が-25~20℃であるポリエステル系樹脂を主成分とすることが好ましく、アンカー層(固形分)全体に対するこのポリエステル系樹脂の割合は、70重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましく、98重量%以上であることがよりさらに好ましく、99重量%以上であることがよりさらに好ましい。
<ヒートシール紙の製造方法>
本発明のヒートシール紙は、紙基材に、ヒートシール層となるPHBHを主成分とするフィルムを、アンカー層を介して貼合することにより、製造することができる。なお、ヒートシール層は、紙基材の片面のみ、または両面に設けることができる。
アンカー層の塗工方法は特に限定されるものではなく、公知の塗工装置および塗工系で塗工することができる。例えば、塗工装置としてはブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が挙げられ、アンカー層用塗工液の粘度、固形分濃度等は、用いる塗工装置、塗工系等に応じて、適宜調整することができる。
アンカー層の塗工量(乾燥重量)は、その性能を発揮できるのであれば特に制限されないが、例えば、片面あたり0.1g/m以上10.0g/m以下である。
PHBHを主成分とするフィルムは、アンカー層上に溶融押出ラミネートにより貼合することができる。
ヒートシール層の厚さは特に制限されないが、例えば、5μm以上300μm以下であることが好ましい。ヒートシール層の厚さ5μm未満では、ヒートシール性が十分に発揮できない場合がある。また、ヒートシール層の厚さが300μmを超えると、ヒートシール層が剛直となりすぎて、ヒートシール紙としての加工性が低下する場合があるとともに、コストが増加する。ヒートシール層の厚さは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、また、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましい。
本発明のヒートシール紙は、成形、形状の維持、密封性の確保が容易であるため、紙袋、紙容器、紙箱、紙コップ、(軟)包装材、蓋材等として好適に用いることができる。
ヒートシール層が耐水層でもある本発明のヒートシール紙は、包装紙、紙袋、紙容器、紙箱、紙コップ、(軟)包装材、紙皿、紙トレー、屋外で使用されるポスター等として好適に用いるができる。
ヒートシール層が耐油層でもある本発明のヒートシール紙は、ハンバーガー、ホットドッグ、フライドポテト、唐揚げ、ポテトチップス等の油分を多く含む食品用の(軟)包装材や包装紙、天ぷら等の揚げ物用の敷き紙、紙皿、紙トレー、紙コップ等として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、もちろんこれらの例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ重量部、重量%を示す。
[実施例1]
紙基材(坪量170g/mのカップ原紙に澱粉系サイズ剤が片面あたり2g/mサイズプレスにより塗工されている)上に、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、GX1451、Tg:-25℃、バイオマス由来モノマー使用、バイオマス度(ISO 16620準拠)70%)の10重量%濃度の水性分散液を、乾燥重量で塗工量が3.1g/mとなるようにバーブレード法で塗工し、105℃、1分乾燥してアンカー層とした。
このアンカー層上に、重量平均分子量が60万のPHBHを膜厚30μmとなるよう溶融押し出しにより積層して、ヒートシール紙を得た。
[実施例2]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z3310、Tg:-20℃、重量平均分子量:15000)を、乾燥重量で塗工量が3.3g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例3]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、GX1450、Tg:7℃、生分解性)を乾燥重量で塗工量が2.9g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例4]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、GX1449、Tg:8℃、生分解性)を乾燥重量で塗工量が3.2g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例5]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z880、Tg:20℃、重量平均分子量:15000)を乾燥重量で塗工量が3.1g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例6]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z730、Tg:46℃、重量平均分子量:3000)を乾燥重量で塗工量が3.1g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例1]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z221、Tg:47℃、重量平均分子量:14000)を乾燥重量で塗工量が2.5g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例2]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、RZ105、Tg:52℃、重量平均分子量:16000)を乾燥重量で塗工量が3.3g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例3]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、RZ570、Tg:60℃、重量平均分子量:23000)を乾燥重量で塗工量が2.8g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例4]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z561、Tg:64℃、重量平均分子量:27000)を乾燥重量で塗工量が2.5g/mとなるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
(評価方法)
得られたヒートシール紙について、以下に示す評価を行った。結果を表1に示す。
・ラミネート層密着性
得られたヒートシール紙から1辺40mmの正方形の試験片を2枚切り出し、ヒートシール層同士を接触させて、加圧温度130℃、加圧圧力1.5kgf/cm、加圧時間3.0秒でヒートシールした。
カッター刃で、ヒートシール層から深さ2mmの切れ目を入れ、その切れ目からヒートシール層を手剥離させたときの力の感じ方と剥離後の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
5:材破が発生する(紙基材が破壊される)。
4:部分的に材破が発生する(紙基材が破壊される)。
3:強い抵抗感を感じるが、材破は生じない。
2:少し抵抗感を感じるが、容易に剥離することができる。
1:抵抗感なく、非常に容易に剥離することができる。
Figure 0007285387000001
実施例1~6、比較例1~4より、ガラス転移温度-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含むアンカー層を有するヒートシール紙は、ラミネート層密着性に優れていた。実施例3、4は、アンカー層が含むポリエステル系樹脂が生分解性であり、ヒートシール紙全体として生分解性とすることができた。
また、実施例2、3が含むポリエステルの生分解性は、JIS K6950の水系培養液中の好気的究極生分解度(評価機器OxiTOP―IDS、試験温度33℃下での7日後の値)が40%以上であることから、より早期に自然界で生分解されることができる。これにより、ヒートシール紙はアンカー層がまず分解され、紙基材とフィルムとに分離されるため、それぞれの表面積が増えて微生物が接触しやすくなり、結果、PHBHを主成分とするフィルムの生分解性が早まり、ヒートシール紙全体の生分解性が向上する。

Claims (2)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))を主成分とするフィルムからなるヒートシール層が、アンカー層を介して貼合されており、
    前記アンカー層が、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層であることを特徴とするヒートシール紙。
  2. 前記ポリエステル系樹脂が、生分解性であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール紙。
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