JP7285088B2 - 多芯筆記具 - Google Patents
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Description
本実施の形態の多芯筆記具1は、軸筒2内に複数本の筆記体7が前後方向に移動可能に収容されている。前記各々の筆記体7は、弾発体9(具体的には圧縮コイルスプリング)により、後方に付勢されている。軸筒2内に収容する筆記体7の本数は、2本以上であればよいが、例えば、2本、3本、4本、5本が挙げられる。本実施の形態では、軸筒2内に4本の筆記体7が収容される。
前記軸筒2は、先細円筒状の前軸21と、該前軸21の後端に接続される円筒状の後軸22とからなる。
各々の窓孔22aの前端部内面に規制壁部22cが一体に形成される。各々の規制壁部22cは、窓孔22aを正面から見た場合、凹曲面となっている。前記凹曲面の曲率半径は3.2mmに設定されている。
前記後軸22の各々の窓孔22a相互間の側壁内面には、軸方向に延びるリブよりなる係止壁部22bが一体に形成される。前記係止壁部22bに、ペン先突出状態の筆記体7の後端に連結された操作体8の後端が係止される。具体的には、前記係止壁部22bに、ペン先突出状態の筆記体7の後端に連結された操作体8の後端の係止突起86が係止される。
図11に示すように、前記各々の窓孔22aの後端は、軸筒2後端より後方に切り欠き状に開口する開口部22dが形成される。前記軸筒2の後端(即ち後軸22の後端)には、前記開口部22dを開閉自在にする蓋部6が設けられる。前記蓋部6は、ヒンジ部63に回動自在に取り付けられる。前記蓋部6の前面には、当接壁部61が形成される。前記当接壁部61に、没入状態の筆記体7の後端に連結された各々の操作体8の後端が当接される。開口部22dを介して、筆記体7及び操作体8が互いに連結された状態で、軸筒2内から取り出し可能且つ軸筒2内に挿入可能(即ち交換可能)に構成される。尚、本発明は、蓋部6を備えず、操作体8は交換しない構成でもよい。
軸筒2の内壁(即ち前軸21の後端開口部内壁及び後軸22の前端開口部内壁)には、円筒状の弾発体支持体3が固着される。図12に示すように、前記弾発体支持体3は、筆記体7が挿通される複数(具体的には4個)の内孔31が軸方向に貫設されている。前記弾発体支持体3の後面と、各々の操作体8の鍔部85の前面との間には、弾発体9が配置される。前記各々の弾発体9の内部に筆記体7が遊挿される。前記各々の弾発体9の前端は弾発体支持体3の後面により係止され、前記各々の弾発体9の後端は操作体8の鍔部85の前面に係止される。前記弾発体支持体3は、合成樹脂の射出成形から得られる。
前記弾発体支持体3の後端面の軸心には、軸方向に延びる棒状の軸部4が後方に突設される。前記軸部4は、弾発体支持体3の後端面の軸心に一体に形成される。前記軸部4は、弾発体支持体3と同じ材料の合成樹脂からなる。前記軸部4は、径方向に撓み変形可能(即ち径方向に弾性変形可能)である。前記軸部4の後端部は、軸部4自体の撓み変形により径方向に変位可能である。
前記軸部4の後端部には、可動部5が一体に形成される。前記可動部5は、係止壁部22bの前端より前方に配置される。前記可動部5が、軸方向に延びる複数本(4本)の突条51と、前記隣り合う突条51と突条51の間に形成された軸方向に延びる複数本(4本)の溝52とを備える。前記各々の溝52に、各々の筆記体7の操作体8の解除突起83(第1の解除突起83a及び第2の解除突起83b)が摺動可能に構成される。前記各々の突条51は、円周方向に90度回転した位置に等間隔に配置される。前記各々の溝52は、円周方向に90度回転した位置に等間隔に配置される。
前記各々の溝52の後端開口縁には、傾斜面53が形成される。前記傾斜面53は、前記傾斜面53に沿って前方に移動するに従い内方の溝52に接近する形状を有する。具体的には、前記傾斜面53は、円錐面状または平面状を有する。
前記各々の弾発体9は、各々の操作体8(即ち各々の筆記体7)を、常時、後方に付勢している。前記各々の弾発体9は、ペン先突出状態及びペン先没入状態のいずれにおいても圧縮状態(即ち筆記体7が後方に付勢された状態)にあり、それにより、各々の操作体8の前後のがたつきが防止される。
前記各々の筆記体7は、ボールペンレフィルであり、前端にボールが回転可能に抱持されたボールペンチップ(即ちペン先71)と、該ボールペンチップを前端に備え且つ後端が開口されたインキ収容管72とからなる。前記インキ収容管72の内部には、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、低粘度の油性インキ、または高粘度の油性インキからなるインキが収容される。前記インキが、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、または低粘度の油性インキの場合、インキ収容管72内のインキの後端には、インキの消費に伴い前進する高粘度流体からなる追従体が充填される。
前記各々の筆記体7の後端(即ちインキ収容管72の後端開口部)には、操作体8が取り付けられる。前記各々の操作体8は、後端部に形成され且つ軸筒2の窓孔22aから径方向外方に突出する板状の操作部81と、該操作部81の径方向反対側の後端に設けられる第1の解除突起と、該操作部81の径方向反対側の第1の解除突起83aの前方に設けられる第2の解除突起と、前端部に形成され且つインキ収容管72の後端開口部に嵌入される嵌入部84と、該嵌入部84の後方に形成される鍔部85と、後端に形成され且つ軸筒2内面の係止壁部22bに係止可能な係止突起86と、両方の側面に形成される係合突起87が形成を備える。前記操作体8において、前記操作部81、前記第1の解除突起83a、前記第2の解除突起83b、前記嵌入部84、前記鍔部85、前記係止突起86、及び前記係合突起87が一体に形成される。前記嵌入部84は、インキ収容管72の後端開口部に嵌入された際、インキ収容管72の後端開口部を完全には塞がず、インキ収容管72の内部と外部とを通気可能にする。また、前記鍔部85の前面には、弾発体9の後端が係止される。また、前記操作体8の両方の側面には係合突起87が形成される。前記係合突起87は窓孔22aの両側壁に係合可能である。前記操作体8は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等)の成形体により得られる。
操作部81より前方の外面または操作部81の前端部外面に衝止壁部82が一体に形成される。各々の衝止壁部82は、ペン先没入状態の筆記体7の後端に連結された操作体8において、各々の窓孔22aより径方向外方に突出される。前記衝止壁部82は、操作部81とともに窓孔22a内を前後方向に移動可能である。前記衝止壁部82は、操作部81を正面から見た場合(即ち窓孔22aから径方向外方に突出される操作部81をその窓孔22aの正面から見た場合)、凸曲面となっている。前記凸曲面の曲率半径は、具体的には、3.1mmに設定される。即ち、各々の衝止壁部82の凸曲面の曲率半径は、各々の窓孔22aの規制壁部22cの凹曲面の曲率半径(3.2mm)より小さく形成される。前記衝止壁部82は、解除突起83の前端(第2の解除突起83bの傾斜面83cの前端)より前方に位置される。
筆記体7のペン先71が没入状態のとき、その筆記体7に取り付けられた操作体8の後端部は、窓孔22a後端に形成された当接壁部61に当接される。筆記体7の全てのペン先71が没入状態のとき、前記可動部5は、軸筒2の軸心に位置している。筆記体7のペン先71が没入状態のとき、その筆記体7に取り付けられた操作体8の操作部81(即ち、第1の突出部81a及び第2の突出部81b)は、窓孔22aより径方向外方に突出される。筆記体7のペン先71が没入状態のとき、その筆記体7に取り付けられた操作体8の操作部の衝止壁部82は、窓孔22aより径方向外方に突出される。
一方、一つの筆記体7のペン先71が突出状態のとき、その筆記体7に取り付けられた操作体8の後端部の係止突起86は、軸筒2の内面の係止壁部22bに係止されるとともに、前記ペン先突出状態の筆記体7の後端に連結された操作体8の第1の解除突起83aにより、前記可動部5が軸筒2の軸心から径方向に押圧変位される。一つの筆記体7のペン先71が突出状態のとき、その筆記体7に取り付けられた操作体8の操作部81の径方向外方の頂点(即ち、第1の突出部81aの径方向外方の頂点)は、窓孔22aより径方向外方に位置される。それと同時に、一つの筆記体7のペン先71が突出状態のとき、その筆記体7に取り付けられた操作体8の操作部81の衝止壁部82は、窓孔22a内に位置される。
本実施の形態におけるペン先71の出没作動について説明する。先にペン先突出状態にある筆記体7に対して、ペン先没入状態の他の筆記体7(即ち先にペン先突出状態にある筆記体7に対して軸筒2の円周方向に90度隔てた位置にある筆記体7、または先にペン先突出状態にある筆記体7に対して軸筒2の円周方向に180度隔てた位置にある筆記体77)の操作体8を前方に押圧操作(スライド操作)する。
本実施の形態における筆記体7及び操作体8の交換について説明する。筆記体7を交換する際、蓋部6が軸筒2の後端の開口部22dを閉鎖した状態から、蓋部6のヒンジ部63と反対側の操作端部を後方に押圧し、係合部62と被係合部22eとの係合を解除し、蓋部6を後方に回動させ、軸筒2の後端の開口部22dを開口する。前記軸筒2の後端の開口部22dが開口した状態で、操作体8を取り出すことにより、その操作体8と互いに連結状態にある筆記体7を前記開口部22dを介して軸筒2内から取り出し、その後、互いに連結状態にある新たな筆記体7と新たな操作体8とを前記開口部22dを介して軸筒2内に挿入する。そして、蓋部6の当接壁部61に各々の操作体8を当接させ、各々の操作体8を前方に押圧しながら蓋部6を前方に回動させ、その後、係合部62と被係合部22eとを係合させ、開口部22dを閉鎖する。これにより、筆記体7及び操作体8の交換作業が終了する。
本実施の形態の多芯筆記具1は、ペン先没入状態にある筆記体7の後端に設けられた操作体8を前方に勢いよくスライド操作した場合でも、操作体8の衝止壁部82が、窓孔22aの規制壁部22cに衝止し、操作体8の前方移動が規制されるとともに、操作体8の後端が即座に径方向内方に変位し、軸筒2の係止壁部22bに確実に係止され、ペン先突出状態を確実に得ることができる。
2 軸筒
21 前軸
21a 前端孔
22 後軸
22a 窓孔
22b 係止壁部
22c 規制壁部
22d 開口部
22e 被係合部
22f クリップ
3 弾発体支持体
31 内孔
32 保持部
33 隔壁
4 軸部
5 可動部
51 突条
52 溝
53 傾斜面
6 蓋部
61 当接壁部
62 係合部
63 ヒンジ部
7 筆記体
71 ペン先
72 インキ収容管
8 操作体
81 操作部
81a 第1の突出部
81b 第2の突出部
82 衝止壁部
83 解除突起
83a 第1の解除突起
83b 第2の解除突起
83c 傾斜面
84 嵌入部
85 鍔部
86 係止突起
87 係合突起
9 弾発体
Claims (4)
- 軸筒内に複数の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体を弾発体により後方に付勢し、前記各々の筆記体の後端に操作体を連結し、前記軸筒の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔を径方向に貫設し、前記各々の窓孔から径方向外方に前記各々の操作体を突出させ、一つの操作体を窓孔に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体に連結された筆記体のペン先を前記軸筒の前端孔から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体のペン先を前記軸筒内に没入させてなり、ペン先突出状態にある前記筆記体の後端に連結された前記操作体が前記軸筒の内面の係止壁部に係止されてなる多芯筆記具であって、
前記各々の筆記体の後端に連結された操作体に衝止壁部が形成され、前記衝止壁部と前後方向に当接可能な規制壁部が前記軸筒に形成され、前記衝止壁部と前記規制壁部とが前後方向に当接することによってペン先突出操作時の前記操作体の前方移動が規制され、
前記衝止壁部が前記各々の操作体の外面に一体に形成され、前記規制壁部が前記軸筒の各々の窓孔の内面に一体に形成され、
前記衝止壁部が凸曲面により形成され、前記規制壁部が凹曲面により形成され、前記凸曲面の曲率半径が前記凹曲面の曲率半径より小さく設定されることを特徴とする多芯筆記具。
- 軸筒内に複数の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体を弾発体により後方に付勢し、前記各々の筆記体の後端に操作体を連結し、前記軸筒の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔を径方向に貫設し、前記各々の窓孔から径方向外方に前記各々の操作体を突出させ、一つの操作体を窓孔に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体に連結された筆記体のペン先を前記軸筒の前端孔から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体のペン先を前記軸筒内に没入させてなり、ペン先突出状態にある前記筆記体の後端に連結された前記操作体が前記軸筒の内面の係止壁部に係止されてなる多芯筆記具であって、
前記各々の筆記体の後端に連結された操作体に衝止壁部が形成され、前記衝止壁部と前後方向に当接可能な規制壁部が前記軸筒に形成され、前記衝止壁部と前記規制壁部とが前後方向に当接することによってペン先突出操作時の前記操作体の前方移動が規制され、
前記衝止壁部が前記各々の操作体の外面に一体に形成され、前記規制壁部が前記軸筒の各々の窓孔の内面に一体に形成され、
前記操作体が、前記軸筒の窓孔より径方向外方に突出する操作部と、前記軸筒の内部において径方向内方に突出し且つ先にペン先突出状態にある他の筆記体の後端に連結された操作体を径方向外方に押圧変位させる解除突起と、を備え、前記衝止壁部が前記解除突起の前端より前方に位置されることを特徴とする多芯筆記具。 - 軸筒内に複数の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体を弾発体により後方に付勢し、前記各々の筆記体の後端に操作体を連結し、前記軸筒の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔を径方向に貫設し、前記各々の窓孔から径方向外方に前記各々の操作体を突出させ、一つの操作体を窓孔に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体に連結された筆記体のペン先を前記軸筒の前端孔から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体のペン先を前記軸筒内に没入させてなり、ペン先突出状態にある前記筆記体の後端に連結された前記操作体が前記軸筒の内面の係止壁部に係止されてなる多芯筆記具であって、
前記各々の筆記体の後端に連結された操作体に衝止壁部が形成され、前記衝止壁部と前後方向に当接可能な規制壁部が前記軸筒に形成され、前記衝止壁部と前記規制壁部とが前後方向に当接することによってペン先突出操作時の前記操作体の前方移動が規制され、
ペン先突出状態の筆記体の後端に連結された前記操作体が前記係止壁部に係止された状態から前記操作体が前方移動可能に構成され、ペン先突出状態の筆記体の後端に連結された前記操作体が前記係止壁部に係止された状態からペン先突出状態の前記操作体の衝止壁部と前記軸筒の規制壁部とが当接されるまでの前記操作体の前方への移動可能量が、0.1mm~2.0mmの範囲にあることを特徴とする多芯筆記具。 - ペン先突出状態の筆記体の後端の操作体が前記軸筒の係止壁部に係止された状態からその係止された状態が解除されるまでにペン先突出状態の筆記体の後端の操作体が前方に移動可能に構成され、前記ペン先突出状態の筆記体の後端の操作体が、前記軸筒の係止壁部に係止された状態からその係止された状態が解除されるまでの前方移動量が、前記移動可能量より小さく設定される請求項3に記載の多芯筆記具。
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