背景技術から分かるように、従来の太陽電池の光電変換効率はよくない。
分析からわかるように、従来の太陽電池の光電変換効率が良くない原因の一つは、太陽電池の光電変換効率を高めるために、通常、基板のドーピング濃度を増やして多数キャリアの輸送速度を上げているが、電極の正対する領域にドーピング濃度の大きいドーピング導電層を設けることが多く、両者のドーピング濃度が同じく大きい時、電極の正対する領域の基板のバンドギャップ(禁制帯幅)が収縮し、太陽電池の開放電圧が低下し、電界が衰えてしまう恐れがあり、さらに、ドーピング濃度が大きくなると、高濃度ドーピング効果が現れ、暗電流が発生したり、多数キャリアがトンネル効果によって再結合電流が現れたりして、短絡電流を低減する恐れもあることにある。
本願実施例は、基板の表面にドーピング層を設け、ドーピング層が第1ドーピング領域と、第2ドーピング領域と、第3ドーピング領域とを備え、かつ第1ドーピング領域にドーピング導電層と第1電極を有し、第2ドーピング領域に導電性輸送層を有し、第3ドーピング領域に第1電極とドーピング導電層がない太陽電池を提供する。ドーピング導電層と第1電極との接触を向上させるために、一般的にドーピング導電層は、高濃度ドーピングに設定されるが、本願実施例では、第1ドーピング領域のドーピング濃度が第2ドーピング領域のドーピング濃度よりも低く、かつ第3ドーピング領域のドーピング濃度よりも低いことで、第1電極の下方に位置するドーパント元素の濃度が高すぎる時、基板のバンドギャップが収縮し、太陽電池の開放電圧が低下し、電界が衰えしてしまう現象を避けることができる一方、ドーピング導電層のドーピング濃度が大きすぎたり、ドーピング層のドーピング濃度が大きすぎたりする時、高濃度ドーピング効果(例えばトンネル効果による再結合電流)を避けることができる。ただし、ドーピング濃度が高い第2ドーピング領域と第3ドーピング領域を設置することで、第1電極の正対する領域以外のキャリアの輸送効率を向上させ、太陽電池の開放電圧を向上させ、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
また、ドーピング層のドーピング濃度は基板のドーピング濃度よりも大きく、ドーピング層と基板の間に高低接合が形成されることで、ドーピング層と基板の間にビルトイン電界が形成され、ドーピング濃度の高いドーピング層の表面に正の空間電荷が形成され、ドーピング濃度の低い基板の表面に負の空間電荷が形成され、これによって、基板内の多数キャリアがドーピング濃度の高いドーピング層にドリフトしやすくなり、電池の出力電流の向上に有利である。同時に、ビルトイン電界の存在により、基板とドーピング層の間にポテンシャル障壁が存在し、ドーピング濃度の高い多数キャリアがドーピング濃度の低い基板へドリフトすることを阻止する。
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりもよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
図1は、本願の一実施例によって提供される太陽電池の構成を示す図であり、図2は、本願の一実施例によって提供される太陽電池におけるドーピング層の構成を示す図であり、図3は、本願の一実施例によって提供される太陽電池の部分断面構造を示す図であり、図4は、本願の一実施例によって提供される太陽電池の他の部分断面構造を示す図であり、図5は、本願の一実施例によって提供される太陽電池の他の部分断面構造を示す図であり、図6は、本願の一実施例によって提供される太陽電池におけるキャリアの輸送を示す図であり、図7は、本願の一実施例によって提供される他の太陽電池におけるキャリアの輸送を示す図であり、図8は、本願の一実施例によって提供される他の太陽電池におけるキャリアの輸送を示す図であり、図9は、本願の一実施例によって提供される太陽電池におけるドーピング層のECVドーピング濃度曲線のグラフである。ここで、図3及び図6は、図1のA1-A2線に沿った断面構造を示す図であり、図4及び図7は、図1のB1-B2線に沿った断面構造を示す図であり、図5及び図8は、図1のC1-C2線に沿った断面構造を示す図である。
図1~8に示すように、太陽電池は、基板100と、ドーピング層110と、トンネル誘電体層101と、第1方向Yに沿って間隔をあけて配置された複数のドーピング導電層102と、第1方向Yに沿って間隔をあけて配置された複数の第1電極103と、複数の導電性輸送層104と、を含む。ドーピング層110は基板100の第1表面に近接する基板100内に位置し、ドーピング層110内のドーパント元素の種類は基板100のドーパント元素の種類と同じであり、ドーピング層110のドーピング濃度は基板100のドーピング濃度よりも大きく、ドーピング層110は、第1方向Yに沿って間隔をあけて設置された複数の第1ドーピング領域111と、隣接する第1ドーピング領域111の間に位置する複数の第2ドーピング領域112と、隣接する第1ドーピング領域111の間に位置する第3ドーピング領域113と、を含み、第1ドーピング領域111のドーピング濃度は第2ドーピング領域112のドーピング濃度よりも小さくかつ第3ドーピング領域113のドーピング濃度よりも小さい。前記トンネル誘電体層101は第1ドーピング領域111の表面及び第2ドーピング領域112の表面に位置する。ドーピング導電層102は、第1ドーピング領域111に正対し、ドーピング導電層102はトンネル誘電体層101の表面に位置する。第1電極103は、第2方向Xに沿って延びており、各第1電極103はドーピング導電層102の基板100から離れる側に設けられ、ドーピング導電層102と電気的に接続される。導電性輸送層104は第2ドーピング領域112に正対し、導電性輸送層104はトンネル誘電体層101の表面に位置し、各導電性輸送層104は隣接するドーピング導電層102の間に位置し、ドーピング導電層102の側面と接触する。
基板100は入射光を受光して光生成キャリアを生成するために用いられ、いくつかの実施例では、基板100の材料は単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンの少なくとも1種を含んでもよい。いくつかの実施例では、基板100の材料は炭化珪素、有機材料または多成分化合物であってもよい。多成分化合物は、ペロブスカイト、ガリウム砒素、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムなどを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施例では、基板100内にドーパント元素を備え、ドーパント元素の種類はN型またはP型であり、N型元素はリン(P)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)またはヒ素(As)などのV族元素であってもよく、P型元素はホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)またはインジウム(In)などのIII族元素であってもよい。例えば、基板100がP型の基板である場合、その内部のドーパント元素の種類は、P型である。あるいは、基板100がN型の基板である場合、その内部のドーパント元素の種類は、N型である。具体的には、いくつかの実施例では、基板100はN型基板であってもよく、基板100にはN型ドーパントイオン、例えば、リンイオン、ビスマスイオン、アンチモンイオンまたはヒ素イオンのいずれかをドーピングしてもよい。
いくつかの実施例では、太陽電池はTOPCON(TunnelOxidePassivatedContact、トンネル酸化層不動態化接触)電池であり、基板100はさらに第1表面に対向して設けられる第2表面を含み、基板100の第1表面と第2表面はいずれも入射光を受光したり光を反射させたりするために用いられる。いくつかの実施例では、第1表面は基板100の裏面であり、第2表面は基板100の前面であってもよい。いくつかの実施例では、第1表面が基板100の前面であり、第2表面は基板100の裏面であってもよい。
いくつかの実施例では、基板100の第1表面は、非ピラミッド状テクスチャー、例えば積層された段差形態として設けられてもよく、これにより、基板100の第1表面に位置するトンネル誘電体層101に高い致密性と均一性を持たせ、トンネル誘電体層101が基板100の第1表面に対して良好なパッシベーション効果を有するようになる。基板100の第2表面はピラミッド状テクスチャーとして設けられてもよく、これにより、基板100の第2表面の入射光に対する反射率を小さくし、光に対する吸収利用率を高める。
いくつかの実施例では、ドーピング層110の材料は、単結晶シリコン、微結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つである。
ドーピング層110の材料は、基板100の材料、ドーピング導電層102の材料または導電性輸送層104の材料のうちの少なくとも1つと同じである。いくつかの実施例では、ドーピング層110の材料が基板100の材料と同じである場合、ドーピング層110と基板100は同一層のオリジナル基板と見なすことができ、ドーピング層110はオリジナル基板の第1表面に近い領域内に位置し、ドーピング層110での第1ドーピング領域111、第2ドーピング領域112及び第3ドーピング領域113の上面は面一である。ドーピング層110の材料は基板100の材料と同じであることにより、異なる材料の導電率による光生成キャリアを消耗し、ドーピング層110と基板100の間に界面準位欠陥がないことに起因して一部のキャリアの再結合を招き、電池効率を下げることを回避することができる。いくつかの実施例では、第1ドーピング領域111、第2ドーピング領域112及び第3ドーピング領域113の下面は面一である。
いくつかの実施例では、ドーピング層も拡散層であり、単独の拡散プロセス(ドーピング層の表面に直接ドーピングする)によって形成してもよいし、ドーピング導電層と導電輸送層を形成する時の拡散プロセスのドーパント元素が基板まで突き通して、一部が基板ドーピング濃度よりも高いドーピング層を形成してもよいし、両者を結合して形成してもよい。
また、開放電圧は材料のバンドギャップEgに関係しており、材料のフェルミ準位が伝導帯頂と充満帯頂に近づくほど、PN接合のビルトイン障壁電圧が高くなり、開放電圧が大きくなり、キャリアが遷移しやすくなる。ドーピング層110と基板100の材料が異なる場合、キャリアは基板100とドーピング層110の界面障壁領域とドーピング層110とトンネル誘電体層101の界面障壁領域に遷移する必要があり、キャリアの消費が大きくなり、かつ各材料のバンドギャップが異なり、すなわち開放電圧も異なり、キャリアの材料における移動度も異なるため、電池効率に影響を及ぼす可能性がある。
理解できるように、第3ドーピング領域113のドーピング濃度は第1ドーピング領域111および第2ドーピング領域112のドーピング濃度よりも大きいため、レーザードーピングを採用する場合、第3ドーピング領域113に対するレーザー処理時間は第2ドーピング領域112および第1ドーピング領域111のレーザー処理時間よりも長くなり、第3ドーピング領域113の基板100から離れる上面は第2ドーピング領域112および第1ドーピング領域111の上面よりも低い。
図6~図8に示すように、いくつかの実施例では、ドーピング層110のドーピング濃度は基板100のドーピング濃度よりも大きく、ドーピング層110と基板100の間に高低接合が形成されることで、ドーピング層110と基板100の間にビルトイン電界が形成され、ドーピング濃度の高いドーピング層110の表面に正の空間電荷が形成され、これによって、ドーピング濃度の低い基板100の表面に負の空間電荷が形成され、基板100内の多数キャリアがドーピング濃度の高いドーピング層110にドリフトしやすくなり、電池の出力電流の向上に有利である。同時に、ビルトイン電界の存在により、基板100とドーピング層110の間にポテンシャル障壁が存在し、ドーピング濃度の高い多数キャリアがドーピング濃度の低い基板100へドリフトすることを阻止する。
いくつかの実施例では、第1方向Yに沿って、第2ドーピング領域112は隣接する第1ドーピング領域111の間に位置し、第3ドーピング領域113は隣接する第1ドーピング領域111の間に位置し、第2ドーピング領域112と第3ドーピング領域113は第2方向Xに沿って間隔をあけて設置されている。
第1ドーピング領域のドーピング総量は、第2ドーピング領域のドーピング総量よりも小さく、かつ第3ドーピング領域のドーピング総量よりも小さい。第1ドーピング領域111のドーピング総量は第1ドーピング領域111におけるドーパント元素の総量であると理解でき、ドーピング総量はドーピング濃度とドーピング深さにかかわっている。同様に、第2ドーピング領域112のドーピング総量は第2ドーピング領域112におけるドーパント元素の総量であると理解でき、第3ドーピング領域113のドーピング総量は第3ドーピング領域113におけるドーパント元素の総量であると理解できる。第1ドーピング領域111のドーピング総量は第2ドーピング領域112のドーピング総量よりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング総量よりも小さいというのは、第1ドーピング領域111のドーピング濃度が第2ドーピング領域112のドーピング濃度よりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング濃度よりも小さいこと、または、第1ドーピング領域111のドーピング深さが第2ドーピング領域112のドーピング深さよりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング深さよりも小さいことを意味し、あるいは、第1ドーピング領域111のドーピング濃度は第2ドーピング領域112のドーピング濃度よりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング濃度よりも小さく、かつ、第1ドーピング領域111のドーピング深さは第2ドーピング領域112のドーピング深さよりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング深さよりも小さいことを意味する。従来技術では、ドーピング導電層102と第1電極103との接触を向上させるために、一般的に、ドーピング導電層102を高ドーピング濃度に設定する。本願実施例では、第1ドーピング領域111のドーピング総量が第2ドーピング領域112のドーピング総量よりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング総量よりも小さいように設定することによって、第1電極103の下方にあるドーパント元素の濃度が高すぎる時、基板100のバンドギャップが収縮し、太陽電池の開放電圧が低下し、電界が衰えてしまう現象を避けることができる。同時に、ドーピング導電層102のドーピング濃度が大きすぎたり、ドーピング層110のドーピング濃度が大きすぎたりする時に発生した高濃度ドーピング効果(例えば、トンネル効果による再結合電流)を避けることができる。ただし、ドーピング濃度の高い第2ドーピング領域112及び第3ドーピング領域113を設けることにより、第1電極103の正対する領域以外のキャリアの輸送効率を向上させ、太陽電池の開放電圧を向上させ、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
いくつかの実施例では、図9に示すように、第1ドーピング領域111のドーピング深さは30nm~300nmであり、好ましくは、第1ドーピング領域111のドーピング深さは50nm~280nmであり、具体的に、59nm、103nm、159nm、213nm、または280nmであってもよい。第1ドーピング領域のドーピング濃度は5E19~1E21cm-3であり、選択できるが、第1ドーピング領域111のドーピング濃度は8E19~9E20cm-3であり、具体的に、9E19cm-3、1.2E20cm-3、4.5E20cm-3、7.8E20cm-3、または9E20cm-3であってもよい。
いくつかの実施例では、第2ドーピング領域112のドーピング深さは50nm~500nmであり、好ましくは、第2ドーピング領域112のドーピング深さは70nm~450nmであり、具体的に、73nm、180nm、261nm、379nmまたは450nmであってもよい。第2ドーピング領域112のドーピング濃度は1E20~3E21cm-3であり、選択できるが、第2ドーピング領域112のドーピング濃度は2E20~2.5E21cm-3であり、具体的に、2E20cm-3、5E20cm-3、8E20cm-3、1.6E21cm-3または2.5E21cm-3であってもよい。
いくつかの実施例では、第3ドーピング領域113のドーピング深さは200nm~1500nmであり、好ましくは、第3ドーピング領域113のドーピング深さは250nm~1300nmであり、具体的には、260nm、580nm、931nm、1060nmまたは1290nmであってもよい。第3ドーピング領域113のドーピング濃度は5E17~1E20cm-3であり、選択できるが、第3ドーピング領域113のドーピング濃度は6E17~1E20cm-3であり、具体的には、6E17cm-3、4E18cm-3、1E19cm-3、8.3E19cm-3または1E20cm-3であってもよい。
いくつかの実施例では、第2ドーピング領域112のドーピング総量が第3ドーピング領域113のドーピング総量以下であることは、第2ドーピング領域112のドーピング濃度が第3ドーピング領域113のドーピング濃度以下であり、または、第2ドーピング領域112のドーピング深さが第3ドーピング領域113のドーピング深さ以下であること、あるいは、第2ドーピング領域112のドーピング濃度が第3ドーピング領域113のドーピング濃度以下であり、かつ、第2ドーピング領域112のドーピング深さが第3ドーピング領域113のドーピング深さ以下であることを含む。導電性輸送層104は隣接するドーピング導電層102の間に位置し、導電性輸送層104は電池の輸送能力を高めるために使われ、かつドーピング導電層102の側面に直接接触し、ドーピング導電層102に対向する第2ドーピング領域112の低濃度ドーピングによって高濃度ドーピング効果(例えば、トンネル効果による再結合電流)を避けることができる。
いくつかの実施例では、トンネル誘電体層101とドーピング導電層102は基板100表面のパッシベーションコンタクト構造を構成するために用いられることができ、トンネル誘電体層101とドーピング導電層102を形成することでキャリアの基板100表面での再結合を低減し、太陽電池の開放電圧を増大させ、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。具体的には、トンネル誘電体層101は、基板100の第1表面の欠陥準位濃度を低減できるため、基板100の第1表面の再結合中心を減らし、キャリアの再結合速度を下げることができる。
ドーピング導電層102はフィールドパッシベーション層を形成するために用いられ、少数キャリアを界面から脱出させ、少数キャリアの濃度を下げ、基板100の界面におけるキャリア再結合の速度を遅くし、それによって、太陽電池の開放電圧、短絡電流及びバッキングファクターを大きくし、太陽電池の光電変換性能を改善する。いくつかの実施例では、ドーピング導電層102は基板100と同じ導電型のドーパント元素を有する。
複数のドーピング導電層102は第2方向Xに沿って延び、かつ、複数のドーピング導電層102は第1方向Yに沿って間隔をあけて配置され、第1方向Yは第2方向Xに対して垂直である。いくつかの実施例では、第1電極103とドーピング導電層102は1対1で対応しており、即ち、1本の第1電極103は1つのドーピング導電層102に電気的に接続されている。つまり、第1電極103の対応する領域にのみドーピング導電層102を設けられ、これによって、第1電極103が設けられていない領域の寄生吸収作用を低減し、基板100の光に対する利用率を高めることができる。いくつかの実施例では、第1電極103の材料は銀、アルミニウム、銅、錫、金、鉛またはニッケルのうちの少なくとも1つであってもよい。
トンネル誘電体層101とドーピング導電層102とは積層設置されており、具体的には、いくつかの実施例では、トンネル誘電体層101は基板100の第1表面全体にわたって覆われ、複数のドーピング導電層102はトンネル誘電体層101の上面に間隔をあけて設置されてもよい。いくつかの実施例では、トンネル誘電体層101はドーピング導電層102と対応して配置され、即ち、トンネル誘電体層101はドーピング導電層102と基板100の間に設置され、かつトンネル誘電体層101は導電性輸送層104と基板100の間にも位置し、これにより、この部分のトンネル誘電体層101は基板100の第1表面のキャリア再結合を低減する役割を果たし、導電性輸送層104に輸送されるキャリア濃度を高めることができる。
いくつかの実施例では、トンネル誘電体層101の材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化シリコン、酸窒化ケイ素、真性アモルファスシリコン、真性多結晶シリコンなどのトンネル作用を有する誘電体材料を含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、トンネル誘電体層101は、シリコン酸化物(SiOx)を含むシリコン酸化物層で形成されてもよく、シリコン酸化物は優れたパッシベーション特性を持ち、キャリアは簡単にシリコン酸化物層をトンネルすることができる。
いくつかの実施例では、導電性輸送層104の材料はドーピング導電層102の材料と同じである。導電性輸送層104とドーピング導電層102との材料を同じように設定することによって、生産過程にわたる材料種類を減らすことができ、管理に便利である。一方、導電性輸送層104とドーピング導電層102との材料を同じように設定することによって、導電性輸送層104とドーピング導電層102との接触がよくなり、キャリアはドーピング導電層102と導電性輸送層104の接触界面で良好な輸送効果を有し、輸送損失を減らすことができる。また、キャリアの導電性輸送層104およびドーピング導電層102における輸送レートを近似または同一にすることができ、キャリアの導電性輸送層104からドーピング導電層102への輸送効率を高めることができる。なお、ここでの材料が同じであるということは、導電性輸送層104にはドーピング導電層102と同じドーパントイオンの種類を有することを指す。
具体的には、いくつかの実施例では、ドーピング導電層102の材料は、ドープされたアモルファスシリコン、ドープされた多結晶シリコンまたはドープされた微結晶シリコン材料の少なくとも1つである。これに応じて、導電性輸送層104の材料は、ドープされたアモルファスシリコン、ドープされた多結晶シリコンまたはドープされた微結晶シリコン材料のうちの少なくとも1つであってもよい。
理解できるように、いくつかの実施例では、導電性輸送層104の材料はドーピング導電層102の材料と異なってもよく、例えば導電性輸送層104の材料はドープされたアモルファスシリコン、ドープされた多結晶シリコンまたはドープされた微結晶シリコンのいずれかであってもよく、ドーピング導電層102の材料はドープされたアモルファスシリコン、ドープされた多結晶シリコンまたはドープされた微結晶シリコンの他方であってもよい。
いくつかの実施例では、導電性輸送層104の材料はドーピング導電層102の材料と異なる場合、導電性輸送層104の材料の入射光に対する吸収係数をドーピング導電層102の材料に対する入射光の吸収係数よりも小さく設定することができ、これによって、キャリアの横方向輸送能力を向上させると同時に、導電性輸送層104の入射光に対する吸収能力を低減し、太陽電池の入射光に対する利用率を高めることができる。
いくつかの実施例では、導電性輸送層104は複数あり、複数の導電性輸送層104は第2方向Xに沿って間隔をあけて配置される。隣接する2つのドーピング導電層102の間に複数の導電性輸送層104を設けることによって、基板100中の多数キャリアは複数の導電性輸送層104を通じてドーピング導電層102に輸送され、基板100中の多数キャリアの横方向輸送能力を強めることができる。また、複数の導電性輸送層104を間隔をあけて配置するように設置し、即ち、導電性輸送層104は、隣接する2つのドーピング導電層102間の領域全体を覆うことなく、隣接する2つのドーピング導電層102間の局所領域に設けられる。これによって、導電性輸送層104の材料をドーピング導電層102の材料と同じように設定する場合、導電性輸送層104の全体面積が大きすぎなく、導電性輸送層104の入射光に対する吸収能力が強すぎることに起因して基板100の入射光に対する利用率が低いという問題の発生を防ぐことができる。
いくつかの実施例では、複数の導電性輸送層104がアレイとして配置されることは、第1方向Yに沿って間隔をあけて配置された複数行の導電性輸送層104を含み、ここで、各行の導電性輸送層104のうちの複数の導電性輸送層104は第2方向Xに沿って間隔をあけて配置され、かつ第1方向Yに沿って隣接する2行の導電性輸送層104の間に少なくとも1本の第1電極103を有することを含む。つまり、いくつかの実施例では、隣接する導電性輸送層104間に第1電極103が1本しかない場合、各2つの隣接する第1電極103の間にいずれも導電性輸送層104がある。いくつかの実施例では、隣接する2行の導電性輸送層104の間に複数本の第1電極103があってもよく、これにより、一部の隣接する2本の第1電極103の間に導電性輸送層104があり、一部の隣接する第1電極103の間に導電性輸送層104がない。たとえば、第2方向Xにおいて、第1本の第1電極103と第2本の第1電極103との間には導電性輸送層104があり、第2本の第1電極103と第3本の第1電極103との間には導電性輸送層104がない。理解できるように、導電性輸送層104の材料とドーピング導電層102の材料が同じである場合、導電性輸送層104の数が多いほど、キャリアの横方向能力を強めると同時に、入射光に対する吸収能力が強くなる。したがって、第1電極103の総数と第1電極103の電流収集能力に対するニーズに基づいて、導電性輸送層104とドーピング導電層102との接続関係を柔軟に設定することができ、キャリア輸送能力を高めると同時に、導電性輸送層104は入射光に強い吸収作用を生じさせない。
図1に示すように、いくつかの実施例では、すべての隣接する第1電極103の間にはいずれも導電性輸送層104がある。各2本の第1電極103の間にいずれも導電性輸送層104を設けることによって、隣接する第1電極103間の横方向輸送能力を向上させ、各第1電極103の電流に対する収集能力を高めることができる。
いくつかの実施例では、1行の導電性輸送層104における各導電性輸送層104は、隣接する1行の導電性輸送層104における各導電性輸送層104と1対1で対応しており、かつ対応する2つの導電性輸送層104は、第1方向Yに沿って間隔をあけて配置されている。例えば、第1行の導電性輸送層104における各導電性輸送層104と第2行の導電性輸送層104における対応する導電性輸送層104は、第1方向Yにおいて位置合わせて分布し、各行の導電性輸送層104は規則的に配置される。これにより、導電性輸送層104の数が多くなり、基板100中のキャリアを横方向に輸送するための横方向輸送経路を多く形成する。また、各行の導電性輸送層104は規則的に配置されることで、実際に導電性輸送層104を製造する工程において、導電性輸送層104を形成する工程を簡略化することができる。
いくつかの実施例では、1行の導電性輸送層104と隣接する1行の導電性輸送層104とは第2方向Xに沿ってずらして配置され、例えば、第1行の導電性輸送層104における各導電性輸送層104と第2行の導電性輸送層104における各導電性輸送層104とは、第1方向Yにおいて正対しておらず、即ち、第1行の導電性輸送層104における各導電性輸送層104と第2行の導電性輸送層104における各導電性輸送層104とは、第2方向Xにおいてずらしている。複数の導電性輸送層104をずらして設置することによって、導電性輸送層104の数が多すぎないようにし、導電性輸送層104の入射光に対する吸収は多くなることを避けることができる。一方、導電性輸送層104の設置数を少なくしながら、導電性輸送層104を基板100の第1表面に均一に分布させ、基板100中の異なる位置におけるキャリアの横方向輸送能力を高めることができる。
いくつかの実施例では、第2方向Xに沿って、基板100のエッジに近い導電性輸送層104の密度は、基板100のエッジから離れる導電性輸送層104の密度よりも大きい。例えば、基板100のエッジに近い導電性輸送層104の第2方向Xにおけるピッチは、基板100のエッジから離れる導電性輸送層104の第2方向Xにおけるピッチよりも小さい。これにより、基板100のエッジに近い導電性輸送層104の密度は、基板100のエッジから遠い方よりも大きく、即ち、基板100のエッジに近い導電性輸送層104に対応する基板100中のキャリアの横方向輸送能力はよりも強くなり、基板100のエッジに近い第1電極103中のキャリア濃度は大きくなり、これにより、最も外側の第2電極106のキャリア収集数量を補足し、最も外側の第2電極106の電流収集能力を高めることができる。
いくつかの実施例では、導電性輸送層104の上面はドーピング導電層102の上面よりも低いか、または面一である。導電性輸送層104の上面をドーピング導電層102の上面よりも高くないように設定することによって、導電性輸送層104の上面がドーピング導電層102の上面より突出して、導電性輸送層104の側面の入射光に対する吸収の問題を防ぎ、導電性輸送層104の入射光に対する寄生吸収能力を下げることができる。基板100の表面に垂直な方向において、導電性輸送層104の高さはドーピング導電層102の高さの0.5~1.2倍であってもよい。
いくつかの実施例では、図6と図7に示すように、ドーピング導電層102におけるドーパント元素の種類はドーピング層110におけるドーパント元素の種類と同じであり、ドーピング層110のドーピング濃度はドーピング導電層102のドーピング濃度よりも小さい。ドーピング層110と基板100の間に高低接合が形成され、ドーピング層110と基板100の間に第1ビルトイン電界が構成され、ドーピング層110とドーピング導電層102の間に高低接合が形成され、ドーピング層110とドーピング導電層102の間に第2ビルトイン電界が構成され、かつ第1ビルトイン電界と第2ビルトイン電界の電圧の向きが同じであることにより、二重電圧差が形成され、基板100内の多数キャリアは高濃度のドーピング層110までドリフトしやすい傾向があるが、再びドーピング導電層102までドリフトし、最後に第1電極103に収集され、電池の出力電流の向上に有利である。同時にビルトイン電界の存在により、基板100とドーピング層110の間にポテンシャル障壁が存在し、ドーピング層110とドーピング導電層102の間にポテンシャル障壁が存在し、高濃度ドーピングの多数キャリアが低濃度ドーピングの基板100へドリフトすることを阻止する。
同様に、図8に示すように、導電性輸送層104におけるドーパント元素の種類はドーピング層110におけるドーパント元素の種類と同じであり、導電性輸送層104のドーピング濃度はドーピング層110のドーピング濃度よりも大きい。ドーピング層110と導電性輸送層104の間に高低接合が形成され、ドーピング層110と導電性輸送層104の間に第3ビルトイン電界が構成され、かつ第1ビルトイン電界と第3ビルトイン電界の電圧の向きが同じであることにより、二重電圧差が形成され、基板100内の多数キャリアは高濃度ドーピングのドーピング層110までドリフトしやすい傾向があるが、再び導電性輸送層104までドリフトし、さらにドーピング導電層102までドリフトし、最後に第1電極103に収集され、電池の出力電流の向上に有利である。同時に、ビルトイン電界の存在によって、高濃度ドーピングの多数キャリアが低濃度ドーピングの基板100へドリフトするのを阻止できる。
図10は、本願の一実施例によって提供される他の太陽電池の部分断面構造を示す図である。
いくつかの実施例では、図10に示すように、第1方向Yに沿って、導電性輸送層104は、間隔をあけて設置された本体部121と、隣接する本体部121の間に位置する接続部122と、を含み、本体部121はドーピング導電層102の側面と接触し、本体部121のドーピング濃度は接続部122のドーピング濃度以下である。導電性輸送層104はキャリアの横方向の輸送経路であるため、ドーピング導電層102に近接する導電性輸送層104の部分(すなわち、本体部121)におけるキャリア濃度が高くなり、本体部121に近接するドーピング導電層102内にも同様に高いキャリア濃度を持つ。したがって、第1電極103の電流の集約能力を高めることができると同時に、接続部122でのドーピング濃度が小さくなり、光に対する吸収が少なくなり、すなわち、導電性輸送層104の入射光に対する吸収が多くなるという問題を避け、さらに太陽電池全体の光電変換性能を高めることができる。
いくつかの実施例では、複数の導電性輸送層における接続部122の総面積と複数の導電性輸送層104の総面積との比は1:11~2:3であり、選択できるが、接続部122の総面積と導電性輸送層104の総面積の比は1/3~2/3であり、具体的に、0.4、0.48、0.56または0.62であってもよい。本体部121の面積の占める割合を多くすることで、第1電極103の電流収集能力を高めることができるとともに、光に対する吸収を減らし、電池効率を高めることができる。接続部122の面積の占める割合が大きい場合、キャリアの横方向の輸送能力を高めることができる。
いくつかの実施例では、接続部122の上面は光トラッピング構造を備える。光トラッピング構造は、導電性輸送層104の上面の入射光に対する反射能力を強め、導電性輸送層104の上面に照射する入射光を反射させることができ、導電性輸送層104に吸収することを防ぐことができる。この反射された一部の入射光は引き続き反射され、例えば、ドーピング導電層102及び導電性輸送層104で覆われていない領域に反射されることができ、基板100に吸収かつ利用され、これにより、基板100の入射光に対する吸収利用率を高めることができる。
いくつかの実施例では、第1表面に垂直な方向に沿って、接続部122の断面形状は三角形、矩形、台形または楕円形を含み、接続部122の上面は本体部121の上面よりも低く、これによって、ドーピング導電層102は導電性輸送層104の上面に照射する入射光に対しある程度の遮断作用を発揮する。一方、入射光は接続部122の側壁で多重反射されることができ、導電性ドーピング層110の上面の入射光に対する寄生吸収を下げることができる。理解できるように、いくつかの実施例では、接続部122の断面形状は他の形状であってもよく、接続部を有する上面が基板100に向かって凹むという特徴を満たせばよい。
いくつかの実施例では、第2ドーピング領域112は、間隔をあけて設置された第1サブドーピング部131と、隣接する第1サブドーピング部131の間に位置する第2サブドーピング部132と、を含み、第1サブドーピング部131はそれぞれ本体部121と位置合わせており、第2サブドーピング部132は接続部122と位置合わせており、第1サブドーピング部131のドーピング濃度は第2サブドーピング部132のドーピング濃度以下である。第1サブドーピング部131のドーピング総量は第2サブドーピング部132のドーピング総量以下である。第1サブドーピング部131のドーピング総量が第2サブドーピング部132のドーピング総量以下であることは、第1サブドーピング部131のドーピング濃度が第2サブドーピング部132のドーピング濃度以下であり、または、第1表面に垂直な方向に沿って、第1サブドーピング部131のドーピング深さが第2サブドーピング部132のドーピング深さ以下であること、あるいは、第1サブドーピング部131のドーピング濃度が第2サブドーピング部132のドーピング濃度以下であり、かつ、第1サブドーピング部131のドーピング深さが第2サブドーピング部132のドーピング深さ以下であることを含む。接続部122は隣接する本体部121の間に位置し、本体部121は直接にドーピング導電層102の側面と接触し、導電性輸送層104は電池の輸送能力を高めるために使われ、本体部121に正対する第1サブドーピング部131の低濃度ドーピングによって高濃度ドーピング効果(例えば、トンネル効果による再結合電流)を避けることができ、接続部122に正対する第2サブドーピング部132の高濃度ドーピングによってキャリアの輸送速度を高めることができる。
いくつかの実施例では、パッシベーシヨン層107をさらに含み、パッシベーシヨン層107はドーピング導電層102、導電性輸送層104及び第3ドーピング領域113の表面に位置し、パッシベーシヨン層107はポストパッシベーション層と見なすことができる。パッシベーシヨン層107は、単層構造または積層構造であってもよく、パッシベーシヨン層107の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化ケイ素、酸窒化シリコン炭素、酸化チタン、酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムなどの材料のうちの一つ又は複数であってもよい。
第1電極103は太陽電池のグリッド線であり、太陽電池の電流を収集してまとめるために使われる。第1電極103はバーンスルー型スラリーを焼結したものであってもよい。第1電極103の材料は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、モリブデンまたは銅のうちの1つまたは複数であってもよい。いくつかの実施例において、第1電極103は、メイングリッド線またはバスバーと区別するために、微細グリッド線またはフィンガー状グリッド線を指す。
いくつかの実施例では、太陽電池は、基板100のドーピング層110から離れる第2表面に位置し、基板100と異なる種類のドーパント元素を有するエミッタと、エミッタの基板100から離れる表面に位置し、フロントパッシベーション層と見なされる第1パッシベーション層と、間隔をあけて設置され、第1パッシベーション層を貫通してエミッタと接触している複数の電極と、をさらに含む。
いくつかの実施形態において、第1パッシベーション層は、単層構造または積層構造であってもよく、第1パッシベーション層の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸窒化シリコン炭素、酸化チタン、酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムなどの材料のうちの一つ又は複数であってもよい。
電極はバーンスルー型スラリーで焼結されたものである。電極とエミッタの接触は局所接触でも全体接触でもよい。電極の材料は、アルミニウム、銀、ニッケル、金、モリブデンまたは銅のうちの1つまたは複数であってもよい。いくつかの実施例では、電極は上部電極または正面電極である。いくつかの実施例において、電極は、メイングリッド線またはバスバーと区別するために、微細グリッド線またはフィンガー状グリッド線を指す。
いくつかの実施例では、エミッタの基板100から離れた表面には、反射防止層があり、反射防止層は入射光の反射を防止する役割を果たすことができる。いくつかの実施例では、反射防止層は窒化ケイ素層であってもよく、窒化ケイ素層は窒化ケイ素材料を含んでもよい。いくつかの実施例では、反射防止層は多層構造に設置されでもよく、例えば窒化ケイ素、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素の1種または複数種の材料からなる積層構造であってもよい。
いくつかの実施例では、基板100の第2表面は、基板100の第1表面と類似した構造を備えてもよく、例えば、基板100の第2表面は、基板100から離れた第2表面に沿って順次積層設置された第2トンネル誘電体層と第2ドーピング導電層を備えてもよく、その中で、第2ドーピング導電層におけるドーピングイオンの種類はドーピング導電層102におけるドーピングイオンの種類と異なる。
図11は、本願の一実施例により提供される他の太陽電池の構成を示す図であり、図12は、本願の一実施例により提供される他の太陽電池におけるドーピング層の構成を示す図であり、図13は、本願の一実施例によって提供される他の太陽電池の部分断面構造を示す図である。
いくつかの実施例では、太陽電池は、第2方向Xに沿って間隔をあけて配置される複数の第2電極106をさらに備え、第2電極106は、第1方向Yに沿って延び、かつ第1方向Yに沿って間隔をあけて設置される複数の第1電極103と電気的に接続され、第2電極106は、第1電極103の電流を収集してまとめ、電流を太陽電池から取り出すために用いられる。理解できるように、第2電極106は第1電極103だけでなく、一部のドーピング導電層102にも電気的と接触し、これによって、ドーピング導電層102でのキャリアは第1電極103を介さずに直接に第2電極106に輸送されることができ、第2電極106の電流に対する収集能力を高めることができる。
いくつかの実施例では、隣接する第2電極106の間に少なくとも1つの導電性輸送層104を備え、つまり第2電極106と導電性輸送層104は間隔をあけて設置されており、これによって、導電性輸送層104によって第2電極106を位置規制することができ、第2電極106を製造する工程において、余分な位置決め処理を行わずに第2電極106の位置を決めることができ、第2電極106に対する印刷が容易になり、工程プロセスが簡略化される。太陽電池は、導電性接続層105をさらに備え、導電性接続層105は導電性輸送層104と第2電極106の間に位置し、導電性接続層105の対向する側面はそれぞれ導電性輸送層104の側面と第2電極106の側面と接触し、これによって、第2電極106は第1電極103を介さずにドーピング導電層102によって基板100の電流を収集できる。いくつかの実施例では、図11に示すように、導電性接続層105は隣接する導電性輸送層104の間にも位置し、導電性接続層105の対向する側面は、それぞれ隣接する導電性輸送層104の2つの側面と接触している。
いくつかの実施例では、ドーピング層110は、第4ドーピング領域114をさらに備え、第4ドーピング領域114は導電性接続層105に正対し、第4ドーピング領域114のドーピング濃度は第1ドーピング領域111のドーピング濃度以上であり、かつ第3ドーピング領域113のドーピング濃度以下である。第4ドーピング領域114のドーピング濃度が第1ドーピング領域111のドーピング濃度以上であり、かつ第3ドーピング領域113のドーピング濃度以下であることによる技術的効果は、第1ドーピング領域111のドーピング濃度が第2ドーピング領域112のドーピング濃度よりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング濃度よりも小さいことによる技術的効果と類似しているため、ここで繰り返して説明する必要がない。
第4ドーピング領域114のドーピング深さは第1ドーピング領域111のドーピング深さ以上であり、かつ第3ドーピング領域113のドーピング深さ以下である。第4ドーピング領域114のドーピング深さが第1ドーピング領域111のドーピング深さ以上であり、かつ第3ドーピング領域113のドーピング深さ以下であることによる技術的効果は、第1ドーピング領域111のドーピング深さが第2ドーピング領域112のドーピング深さよりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング深さよりも小さいことによる技術的効果と類似しているため、ここで繰り返して説明する必要がない。
本願実施例は、上述の実施例のいずれかの太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層と、封止層のセルストリングから離れる表面を覆うためのカバープレートと、を備える光起電力モジュールを提供する。
上記の実施例が提供する技術案において、基板100の表面にドーピング層110が設けられ、かつドーピング層110は第1ドーピング領域111と、第2ドーピング領域112と、第3ドーピング領域113と、を含み、第1ドーピング領域111にはドーピング導電層102及び第1電極103があり、第2ドーピング領域112には導電性輸送層104があり、第3ドーピング領域113には第1電極103及びドーピング導電層102がない。ドーピング導電層102と第1電極103との接触を向上させるために、通常、ドーピング導電層102は高濃度ドーピングとして設定され、本願実施例では、第1ドーピング領域111のドーピング濃度が第2ドーピング領域112のドーピング濃度よりも小さく、かつ第3ドーピング領域113のドーピング濃度よりも小さく設定することで、第1電極103の下方に位置するドーパント元素の濃度が大きすぎる時、基板100のバンドギャップが収縮し、太陽電池の開放電圧が低下し、電界が衰えてしまう現象を避けることができるとともに、ドーピング導電層102のドーピング濃度が大きすぎたり、ドーピング層110のドーピング濃度が大きすぎたりすることに起因する高濃度ドーピング効果(例えば、トンネル効果による再結合電流)を避けることができる。ただし、ドーピング濃度の高い第2ドーピング領域112及び第3ドーピング領域113を設けることにより、第1電極103の正対する領域以外のキャリアの輸送効率を向上させ、太陽電池の開放電圧を向上させ、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
図14は、本願の他の実施例によって提供される光起電力モジュールの構成を示す図である。
図14に示すように、本願実施例では、上記実施例で提供された太陽電池20を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止層21と、封止層21のセルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレート22と、を含む光起電力モジュールを提供する。太陽電池20は、全体または複数のスライスの形で電気的に接続されて複数の電池ストリングを形成し、複数の電池ストリングは、直列および/または並列に電気的に接続されている。
具体的には、いくつかの実施例において、複数のセルストリングの間は、伝導バンドによって電気的に接続されていてもよい。封止層21は、太陽電池20の正面または裏面のうちの一方を覆う第1封止層211と、太陽電池20の正面または裏面のうちの他方を覆う第2封止層212と、を含み、具体的には、第1封止層211または第2封止層212の少なくとも一方は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレンオクテン-エラストマー(POE)接着フィルム、またはポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルム等の有機封止フィルムであってもよい。いくつかの実施例において、カバープレート22は、ガラスカバープレートやプラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレートであってもよい。具体的には、カバープレート22の封止層21に向かう面を凹凸面にしても良く、これによって、入射光線の利用率を高めることができる。カバープレート22は、第1カバープレート221と第2カバープレート222と、を含み、第1カバープレート221は第1封止層211に対向し、第2カバープレート222は第2封止層212に対向する。
本願は、実施例で上記のように開示されているが、特許請求の範囲を限定するものではなく、当業者であれば、本願の着想から逸脱することなく、若干の可能な変動および修正を加えることができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項によって規定される範囲に従うべきである。また、本願明細書の実施例及び図面は例示にすぎず、本願請求項によって保護されるすべての範囲ではない。
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。