JP7284561B2 - 電極埋設部材 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックスからなる板状の基材に内部電極が埋設された電極埋設部材に関する。
従来、セラミックスからなる板状の基材に内部電極が埋設された電極埋設部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。電極埋設部材では、端子を内部電極に接続させるための挿入穴を基材に穿設するときに、内部電極を傷つけないように内部電極と端子とを接続する個所に接続部材を予め配置しておき、接続部材によって、内部電極が傷つくことを防止している。
特許第5591627号公報
従来、電極埋設部材では、使用時の温度変化が繰り返されると、基材と接続部材との熱膨張率の違いから基材にクラックが入り、基材の絶縁性能が担保されない虞があった。
本発明は、以上の点に鑑み、基材のクラック等の不具合を抑制することができる電極埋設部材を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するため、本発明は、
表面(例えば、実施形態の表面2a。以下同一。)及び裏面(例えば、実施形態の裏面2b。以下同一。)を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材(例えば、実施形態の基材2。以下同一。)と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極(例えば、実施形態の内部電極3。以下同一。)と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状で金属製の接続部材(例えば、実施形態の接続部材4。以下同一。)と、
前記接続部材に接続される端子(例えば、実施形態の端子5。以下同一。)と、
を備える電極埋設部材(例えば、実施形態の電極埋設部材1。以下同一。)であって、
前記基材の表面に垂直な方向における前記接続部材の少なくとも一部の厚さが0.15mm以下である第1所定構造、
加えて、
記接続部材が切欠部(例えば、実施形態のスリット8、切欠孔9,10。以下同一。)を備えた第2所定構造、
を備えるものであり、
前記切欠部は、前記接続部材の前記端子が接続される中央領域(例えば、実施形態の中央領域6。以下同一。)を避けて前記接続部材の中央領域側から前記接続部材の外縁(例えば、実施形態の外縁7。以下同一。)に向かって放射状に延びるスリット(例えば、実施形態のスリット8。以下同一。)であることを特徴とする。
本発明によれば、接続部材が第1から第2の所定構造を有することにより、接続部材の体積を小さくできる。このため、接続部材と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、基材に設けられる絶縁層(基材における内部電極から基材の表面までの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
また、スリットによって接続部材が変形しやすく、内部応力の発生を抑制することができるため、クラック等の不具合を抑制することができる。
[2]また、本発明は、
表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状で金属製の接続部材と、
前記接続部材に接続される端子と、
を備える電極埋設部材であって、
前記基材の表面に垂直な方向における前記接続部材の少なくとも一部の厚さが0.15mm以下である第1所定構造、
に加えて、
前記接続部材が切欠部を備えた第2所定構造、
を備えるものであり、
前記切欠部は、前記接続部材の前記端子が接続される中央領域を避けて前記接続部材を貫通する切欠孔であることを特徴とする
本発明によれば、接続部材が第1から第2の所定構造を有することにより、接続部材の体積を小さくできる。このため、接続部材と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、基材に設けられる絶縁層(基材における内部電極から基材の表面までの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
また、切欠孔によって接続部材が変形し易く、内部応力の発生を抑制することができるため、クラック等の不具合を抑制することができる。
[3]また、本発明は、
表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状で金属製の接続部材と、
前記接続部材に接続される端子と、
を備える電極埋設部材であって、
前記基材の表面に垂直な方向における前記接続部材の少なくとも一部の厚さが0.15mm以下である第1所定構造、
に加えて、
前記接続部材が切欠部を備えた第2所定構造、
を備えるものであり、
前記切欠部は、前記接続部材の前記端子が接続される中央領域を避けて前記接続部材を貫通する切欠孔であることを特徴とする。
本発明によれば、接続部材が第1から第2の所定構造を有することにより、接続部材の体積を小さくできる。このため、接続部材と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、基材に設けられる絶縁層(基材における内部電極から基材の表面までの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
また、切欠孔によって接続部材が変形し易く、内部応力の発生を抑制することができるため、クラック等の不具合を更に抑制することができる。
[4]また、本発明は、
表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状で金属製の接続部材と、
前記接続部材に接続される端子と、
を備える電極埋設部材であって、
前記接続部材がメッシュ構造体からなる第3所定構造を有することを特徴とする。
本発明によれば、接続部材が第3所定構造を有することにより、接続部材の体積を小さくできる。このため、接続部材と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、基材に設けられる絶縁層(基材における内部電極から基材の表面までの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
また、メッシュ構造体である接続部材が変形し易く、内部応力の発生を抑制することができるため、クラック等の不具合を更に抑制することができる。
[5]また、本発明は、
表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状でタングステン、モリブデン又はこれらを主成分とする合金製の接続部材と、
前記接続部材に接続される端子と、
を備える電極埋設部材であって、
前記基材の表面に垂直な方向における前記接続部材の少なくとも一部の厚さが0.15mm以下である第1所定構造を有することを特徴とする。
本発明によれば、接続部材が第1所定構造を有することにより、接続部材の体積を小さくできる。このため、接続部材と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、基材に設けられる絶縁層(基材における内部電極から基材の表面までの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
[6]また、本発明においては、前記第3所定構造を備える場合には、前記接続部材は、メッシュ構造体を複数枚重ね合わせて構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、メッシュ構造体である接続部材が変形し易く、内部応力の発生を抑制することができるため、クラック等の不具合を更に抑制することができる。また、複数枚重ね合わせることにより、メッシュ構造体であっても接続部材に適切な強度を持たせることができる。
[7]また、本発明においては、前記所定構造は、前記基材の表面に垂直な方向から見たときに回転対称性を備えることが好ましい。かかる構成によれば、接続部材が回転対称性を備えているため、回転対称性を備えていないものと比較して、接続部材が変形して内部応力を逃すときに逃された内部応力同士が重複することを抑制することができ、接続部材の内部応力を適切に分散させて、基材表面側の絶縁層へのクラックの発生を抑制させることができる。
第1実施形態の電極埋設部材を模式的に示す説明図。 第1実施形態の接続部材を示す説明図。 第2実施形態の接続部材を示す説明図。 第3実施形態の接続部材を示す説明図。 第4実施形態の接続部材を示す説明図。 第5実施形態の接続部材を模式的に示す説明図。
[第1実施形態]
図1に模式的に示すように、第1実施形態の電極埋設部材1は、表面2a及び裏面2bを有し、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックスからなる円板状の基材2と、基材2の表面2aと平行に帯状に延在し、基材2に埋設される内部電極3と、基材2の表面2aと平行に円盤状に延在し、内部電極3に重ねて配置される接続部材4と、を備える。接続部材4には、棒状の端子5がロウ付けなどによって接合されている。
内部電極3及び接続部材4は、タングステン、モリブデン又はこれらを主成分とする合金からなる。端子5は、ニッケル、チタン、銅又はこれらを主成分とする合金からなる。
図2に示すように、接続部材4は、円盤状であり、基材2の表面に垂直な方向における全体の厚さが0.15mm以下に設定されている。第1実施形態においては、接続部材4の基材2の表面に垂直な方向における全体の厚さが0.15mm以下に設定されている構造が、本発明の第1所定構造に該当する。なお、接続部材4は、変形することによって、熱膨張の影響をある程度受け流すことができればよく、変形して熱膨張を吸収することができれば、接続部材4の一部だけが基材2の表面に垂直な方向における厚さ0.15mm以下に設定されていてもよい。
第1実施形態の電極埋設部材1によれば、基材2の表面に垂直な方向における厚さが0.15mmを超えているものと比較して接続部材4の体積を小さくできるため、電極埋設部材1が比較的薄く形成されている場合であっても、金属製の接続部材4と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、絶縁層(基材2における内部電極3から基材2の表面2aまでの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
[実施例と比較例]
[実施例1]
次に、第1実施形態の実施例として、実施例1-1から実施例1-6(以下、実施例1という。)と比較例1-1から比較例1-3とを比較する。実施例1では、金属からなる内部電極4を埋設した酸化イットリウムを添加した窒化アルミニウムからなる基材よりウエハ保持装置である電極埋設部材1を製造した。
次に、実施例1の電極埋設部材1の作製方法について説明する。まず、絶縁層を形成する。窒化アルミニウム粉末97質量%、酸化イットリウム粉末3質量%からなる粉末混合物を得て、これを型に充填して一軸加圧処理を施した。これにより、直径340mm、厚さ5mmの第一層を形成した。
次に内部電極3を設置する。第一層の上に、内部電極3となる直径290mmのモリブデン製の箔(厚み0.1mm)を載置した。内部電極3の上にタングステン製、直径6mmの円盤状の接続部材4を載せる。接続部材4は、1つの基材2に20箇所設けた。内部電極3に接続部材4を接続するときには、接続部材4が重ねられることとなる内部電極3の部分にタングステンペーストなどの導電性部材を塗布する。
次に第二層を成形する。第一層の上に内部電極3及び接続部材4を覆い隠すようにセラミックス粉末を充填して一軸加圧処理し第二層の成形体とする。
次にヒータ電極を設置する。ウエハ保持装置としての電極埋設部材1自体を加熱する目的で所定のパターンに形成したモリブデンメッシュ(線径0.1mm、目開き50メッシュ)からなる発熱抵抗体を配置し、所定のヒータ用端子を接続する位置にヒータ端子用接続部材(タングステンペレット、直径10mm、厚さ0.5mm)を載せる。
次に、焼成前の成形体を形成する。ヒータ電極の上にセラミックス粉末を充填し一軸加圧処理して第三層を形成する。
次に、焼成工程を実施する。焼成工程は、第三層まで積層した積層体を10MPaの圧力で、焼成温度1800℃、焼成時間2時間でホットプレス焼成を行い、直径340mm、厚さ20mmのセラミックス焼結体を得た。
次に焼成後の加工工程を実施する。焼成後の加工工程では、セラミックス焼結体の外面を研削、研磨加工し、絶縁層の厚さ0.3mm、表面粗さRa0.4μmのウエハ載置面(表面2a)を形成した。
次に端子5を接続する。焼成後のセラミックス基体の裏面2bから各接続部材4の位置に接続部材4まで到達するように穴あけ加工(直径5.2mm)を行い、裏面2bから接続部材4まで達する円柱状の挿入穴2cを形成する。挿入穴2cを画定する接続部材4の上に、Au-Niに活性金属としてTiを添加したロウ材を介して、直径5mm、厚み2mmのコバール製の緩衝部材5aを配置する。次に、緩衝部材5aの上にAu-Niに活性金属としてTiを添加したロウ材を介して直径5mm、長さ200mmの円柱状ニッケル製給電用の端子5を配置する。その後、真空炉により1050℃で加熱することによってロウ付けを行い、電極埋設部材1を完成させた。
接続部材4の厚さは、実施例1-1では0.08mm、実施例1-2では0.10mm、実施例1-3では0.13mm、実施例1-4では0.15mm、としている。
評価方法としては、作製した電極埋設部材1を700℃まで加熱した後、100℃まで冷却する熱サイクルを30回繰り返した。端子5の直上の基材2の表面2a側にクラックが発生した箇所数をカウントし、接続部材4の20個中の0個を好適と評価し、1個以上のクラックが入っていたものを不適と評価とした。
この結果、実施例1-1~4までは、クラック発生箇所数が0個となり信頼性が高いことが分かった。
[比較例]
比較例1-1、比較例1-2は、接続部材を円盤形状とし、全体の厚さを0.3mm、0.5mmとした以外は、実施例1と同一条件で作製した。
この結果、比較例1-1及び比較例1-2では、クラックが1個,4個発生し、厚さが0.3mm以上では信頼性が低く不適であった。
接続部材を用いていない比較例1-3は、接続部材がないために、端子用の穴を穿設するときに内部電極を突き破り易く、今回の評価以前の問題であり、歩留まりが低下した。
なお、第1実施形態における直径などの数値は、例示であり、これに限定されるものではなく、他の数値を設定しても本発明の作用効果を得ることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態の電極埋設部材1は、接続部材4が異なる以外は全て第1実施形態のものと同一に構成されている。図3に示すように、第2実施形態の接続部材4には、端子5が接続される中央領域6を避けて中央領域6側から接続部材4の外縁7に向かって放射状に延びる8つのスリット8(切欠部)が周方向に等間隔で設けられている。スリット8は外縁7まで達している。接続部材4は、8つのスリット8が周方向に等間隔で設けられており、基材2の表面に垂直な方向から見たときに回転対称性を備えている。
第2実施形態の電極埋設部材1によれば、スリット8が設けられていないものと比較して接続部材4の体積を小さくできるため、金属製の接続部材4と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、絶縁層(基材2における内部電極3から基材2の表面2aまでの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
また、基材2の焼成時に接続部材4が変形し易いために接続部材4の内部応力が緩和される。更に、接続部材4のスリット8において基材2のセラミックスが入り込むため、接続部材4と基材2の密着力が向上し、接続部材4近傍の強度信頼性が向上する。第2実施形態においては、スリット8が本発明の第2所定構造に該当する。
また、接続部材4が回転対称性を備えているため、例えば、スリット8が等間隔に設けられておらず、回転対称性を備えていない場合と比較して、内部応力の逃し方に重複部分が生じることを抑制して、内部応力を適切に分散させて基材表面側の絶縁層へのクラックの発生を抑制させることができる。
なお、第2実施形態ではスリット8として接続部材4の外縁7まで達しているものを説明したが、本発明のスリットはこれに限らず、例えば、スリットは接続部材4の外縁まで達しておらず、外縁から間隔を存した位置まで切り込まれて形成されていてもよい。
また、基材2の表面に垂直な方向における第2実施形態の接続部材4の少なくとも一部の厚さを0.15mm以下として、第1所定構造と第2所定構造の何れも備えるように接続部材を構成している
また、内部応力の抑制力が低下する虞があるものの、スリット8の配置は、基材2の表面に垂直な方向から見たときの回転対称性を備えていないように設けても、従来よりも内部応力を抑制して、クラック等の不具合を抑制するという本発明の作用効果を奏することができる。
[実施例2]
第2実施形態の実施例2は、接続部材4にレーザー加工によりスリット8を長さ2mm、幅0.1mmで放射状に設けたものであり、他は実施例1と同一である。実施例2によっても、実施例1と同様の評価を行ったが、クラックは発生せず、信頼性が高いことが確認された。
また、セラミックス母材がスリット8に一部入り込み、セラミックス製の基材2と接続部材4との間の密着性が高くなり、接続部材4近傍の強度信頼性が向上していると考えられる。
なお、第2実施形態におけるスリット8の長さなどの数値は、例示であり、本発明は、これに限定されるものではなく、他の数値を設定しても本発明の作用効果を得ることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態の電極埋設部材1は、接続部材4が異なる以外は全て第1実施形態のものと同一に構成されている。図4に示すように、第3実施形態の接続部材4には、端子5が接続される中央領域6を避けて接続部材4を貫通する扇状の6つの切欠孔9が互いに周方向に等しい間隔を存して設けられている。扇状の切欠孔9は、接続部材4の外縁7から間隔を存して穿設されている。接続部材4は、6つの切欠孔9が周方向に等間隔で設けられていることにより、基材2の表面に垂直な方向から見たときに回転対称性を備えている。
第3実施形態に電極埋設部材1によれば、切欠孔9が設けられていないものと比較して接続部材4の体積を小さくできるため、金属製の接続部材4と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、絶縁層(基材2における内部電極3から基材2の表面2aまでの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
また、基材2の焼成時に接続部材4が変形し易いために接続部材4の内部応力が緩和される。更に、接続部材4の切欠孔9に基材2のセラミックスが入り込むため、接続部材4と基材2の密着力が向上し、接続部材4近傍の強度信頼性が向上する。第3実施形態においては、切欠孔9が本発明の第2所定構造に該当する。
また、接続部材4が回転対称性を備えているため、例えば、切欠孔9が周方向に等間隔に設けられておらず、または、切欠孔9の夫々の大きさや形状が異なるなど、基材2の表面に垂直な方向から見たときの回転対称性を備えていない場合と比較して、接続部材4の内部応力の逃し方に重複部分が生じることを抑制して、内部応力を適切に抑制させることができる。
なお、第3実施形態においては、切欠孔9を扇状とし、6つ形成したものを説明したが、本発明の切欠孔9はこれに限らず接続部材を貫通していればよく、例えば、扇以外の形状、例えば円形状、多角形状であってもよい。また切欠孔の数も6つに限らず、1つであってもよいし、複数、例えば、2~5つであってもよいし、7つ以上の複数であってもよい。
また、内部応力の抑制力が低下する虞があるものの、切欠孔9は、接続部材4が回転対称性を備えていないように設けても、従来よりも内部応力を抑制して、クラック等の不具合を抑制するという本発明の作用効果を奏することができる。
[実施例3]
第3実施形態の実施例3は、接続部材4にレーザー加工によって、切欠孔9(扇形形状の径方向内側の辺の径(内径)1mm、扇形形状の径方向外側の辺の径(外径)2.4mm、切欠孔9同士の周方向の間の間隔0.4mm)を形成した。実施例3によっても、実施例1と同様の評価を行ったが、クラックは発生せず、信頼性が高いことが確認された。
また、セラミックス母材が切欠孔9に入り込み、セラミックス製の基材2と接続部材4との間の密着性が高くなり、接続部材4近傍の強度信頼性が向上していると考えられる。
また、セラミックスの焼成時に接続部材4が変形し易いため、接続部材4の内部応力が緩和されることによっても、電極埋設部材1の接続部材4近傍の強度信頼性が向上すると考えられる。
なお、第3実施形態における径などの数値は、例示であり、本発明はこれに限定されるものではなく、他の数値を設定しても本発明の作用効果を得ることができる。
[第4実施形態]
第4実施形態の電極埋設部材1は、接続部材4が異なる以外は全て第1実施形態のものと同一に構成されている。図5に示すように、第4実施形態の接続部材4には、端子5が接続される中央領域6を避けて接続部材4を貫通する三角形状の8つの切欠孔10が互いに周方向に間隔を存して設けられている。切欠孔10は、接続部材4の外縁7まで達している。
第4実施形態の電極埋設部材1によれば、切欠孔10が設けられていないものと比較して接続部材4の体積を小さくできるため、金属製の接続部材4と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、基材2に設けられる絶縁層(基材2における内部電極3から基材2の表面2aまでの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
また、基材2の焼成時に切欠孔10が設けられた分だけ接続部材4が変形し易いために接続部材4の内部応力が緩和される。更に、接続部材4の切欠孔10に基材2のセラミックスが入り込む。また、切欠孔10が接続部材4の外縁7まで達しているため、接続部材4の実質的な外縁の長さが長くなる。このため、接続部材4と基材2の密着力が向上し、接続部材4近傍の強度信頼性が向上する。第4実施形態においては、切欠孔10が本発明の第2所定構造に該当する。
また、接続部材4が回転対称性を備えているため、例えば、切欠孔10が周方向に等間隔に設けられておらず、または、切欠孔10の夫々の大きさや形状が異なるなど、回転対称性を備えていない場合と比較して、接続部材4の内部応力の逃し方に重複部分が生じることを抑制して、内部応力を適切に分散して基材表面側の絶縁層へのクラックの発生を抑制させることができる。
なお、内部応力の抑制力が低下する虞があるものの、切欠孔10は、接続部材4が回転対称性を備えていないように設けても、従来よりも内部応力を抑制して、クラック等の不具合を抑制するという本発明の作用効果を奏することができる。
[実施例4]
第4実施形態の実施例4は、接続部材4にレーザー加工によって、周方向45°の間隔で8つの切欠孔10を設けたものである。切欠孔10の周方向の間に形成される突部11は、先端の角度が90°となるように、かつ、接続部材4の中心から突部11の先端までの距離が4mm(即ち接続部材4の直径が8mm)となるように設定している。
なお、第4実施形態における角度などの数値は、例示であり、本発明は、これに限定されるものではなく、他の数値を設定しても本発明の作用効果を得ることができる。
[第5実施形態]
第5実施形態の電極埋設部材1は、接続部材4が異なる以外は全て第1実施形態のものと同一に構成されている。図6に模式的に示すように、第5実施形態の接続部材4は、金属線や金属繊維などを網目状に編むなどして構成された1枚のメッシュ構造体、又は複数枚のメッシュ構造体を重ね合わせた積層体により構成されている。
第5実施形態の電極埋設部材1によれば、接続部材4がメッシュ構造体でないものと比較して接続部材4の体積を小さくできるため、金属製の接続部材4と母材であるセラミックスの物性の差によって誘起される応力が抑制され、基材2に設けられる絶縁層(基材2における内部電極3から基材2の表面2aまでの部分)のクラック等の不具合を抑制することができる。
また、基材2の焼成時にメッシュ構造体である接続部材4が変形し易いために接続部材4の内部応力が緩和される。更に、接続部材4のメッシュ構造体の隙間に基材2のセラミックスが入り込むため、接続部材4と基材2の密着力が向上し、端子5近傍の強度信頼性が向上する。第5実施形態においては、接続部材4のメッシュ構造体の積層体が本発明の第3所定構造に該当する。
[実施例5]
第5実施形態の実施例5-1から実施例5-4(以下、実施例5という)は、接続部材4をモリブデン製のメッシュ構造体を直径6mmの円形に切断して作製した。他の構成は、実施例1と同一である。実施例5-1は、ワイヤー線径0.03mm、平織りメッシュサイズ(1インチあたりのワイヤー本数)150、実施例5-2は、ワイヤー線径0.05mm、平織りメッシュサイズ(1インチあたりのワイヤー本数)100、実施例5-3は、ワイヤー線径0.10mm、平織りメッシュサイズ(1インチあたりのワイヤー本数)50、実施例5-4は、ワイヤー線径0.15mm、平織りメッシュサイズ(1インチあたりのワイヤー本数)40、に設定されている。
実施例1と同様の評価方法でテストした結果、実施例5-1から実施例5-4の何れもクラック発生個所数は0個であり、信頼性が高いことが確認された。メッシュ構造体からなる接続部材4がセラミックスの焼成時に変形して、内部応力が緩和されたためと考えられる。
また、基材2の材料となるセラミックスがメッシュ構造体の網目に侵入することによって基材2と接続部材4との間の密着性が向上し、接続部材4近傍の強度信頼性が向上したと考えられる。
[実施例6]
第5実施形態の実施例6-1から実施例6-3(以下、実施例6という)は、接続部材4を、メッシュ構造体を3つ積層させた三層構造としている。他の構成は、実施例1と同一である。
実施例6-1は、ワイヤー線径0.03mm、平織りメッシュサイズ(1インチあたりのワイヤー本数)150、実施例6-2は、ワイヤー線径0.05mm、平織りメッシュサイズ(1インチあたりのワイヤー本数)100、実施例6-3は、ワイヤー線径0.10mm、平織りメッシュサイズ(1インチあたりのワイヤー本数)50、に設定されている。
実施例6でも、実施例1と同様の評価方法でテストした結果、実施例6-1から実施例6-3の何れもクラック発生個所数は0個であり、信頼性が高いことが確認された。メッシュ構造体からなる接続部材4がセラミックスの焼成時に変形して、内部応力が緩和されたためと考えられる。
また、基材2の材料となるセラミックスがメッシュ構造体の網目に侵入することによって基材2と接続部材4との間の密着性が向上し、接続部材4近傍の強度信頼性が向上したと考えられる。
さらに、実施例6では、メッシュ構造体を三層構造としているため、端子用の挿入穴2cの加工時に接続部材4を突き破って内部電極3が損傷してしまう可能性を低下させることができる。
さらに、複数のメッシュ構造体を積層する際に、その積層界面にタングステンペーストを塗布することにより接続部材4の電気的特性を改善することができる。
なお、第5実施形態におけるワイヤー線径や、メッシュサイズ、重ね合わせるメッシュ構造体の枚数などの数値は、例示であり、本発明は、これに限定されるものではなく、他の数値を設定しても本発明の作用効果を得ることができる。
1 電極埋設部材
2 基材
2a 表面
2b 裏面
3 内部電極
4 接続部材
5 端子
5a 緩衝部材
6 中央領域
7 外縁
8 スリット(切欠部)
9 切欠孔(第3実施形態)
10 切欠孔(第4実施形態)
11 突部

Claims (7)

  1. 表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状で金属製の接続部材と、
    前記接続部材に接続される端子と、
    を備える電極埋設部材であって、
    前記基材の表面に垂直な方向における前記接続部材の少なくとも一部の厚さが0.15mm以下である第1所定構造、
    加えて、
    記接続部材が切欠部を備えた第2所定構造、
    を備えるものであり、
    前記切欠部は、前記接続部材の前記端子が接続される中央領域を避けて前記接続部材の中央領域側から前記接続部材の外縁に向かって放射状に延びるスリットであることを特徴とする電極埋設部材
  2. 表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状で金属製の接続部材と、
    前記接続部材に接続される端子と、
    を備える電極埋設部材であって、
    前記基材の表面に垂直な方向における前記接続部材の少なくとも一部の厚さが0.15mm以下である第1所定構造、
    に加えて、
    前記接続部材が切欠部を備えた第2所定構造、
    を備えるものであり、
    前記切欠部は、前記接続部材の前記端子が接続される中央領域を避けて前記接続部材を貫通する切欠孔であることを特徴とする電極埋設部材。
  3. 表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状で金属製の接続部材と、
    前記接続部材に接続される端子と、
    を備える電極埋設部材であって、
    前記基材の表面に垂直な方向における前記接続部材の少なくとも一部の厚さが0.15mm以下である第1所定構造、
    に加えて、
    前記接続部材が切欠部を備えた第2所定構造、
    を備えるものであり、
    前記切欠部は、前記接続部材の前記端子が接続される中央領域を避けて前記接続部材を貫通する切欠孔であることを特徴とする電極埋設部材。
  4. 表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状で金属製の接続部材と、
    前記接続部材に接続される端子と、
    を備える電極埋設部材であって、
    前記接続部材がメッシュ構造体からなる第3所定構造を有することを特徴とする電極埋設部材。
  5. 表面及び裏面を有し、窒化アルミニウム焼結体からなる板状の基材と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記基材に埋設される内部電極と、
    前記基材の表面と平行に延在し、前記内部電極に重ねて埋設して配置される円盤状でタングステン、モリブデン又はこれらを主成分とする合金製の接続部材と、
    前記接続部材に接続される端子と、
    を備える電極埋設部材であって、
    前記基材の表面に垂直な方向における前記接続部材の少なくとも一部の厚さが0.15mm以下である第1所定構造を有することを特徴とする電極埋設部材。
  6. 請求項に記載の電極埋設部材であって、
    記接続部材は、メッシュ構造体を複数枚重ね合わせて構成されていることを特徴とする電極埋設部材。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載の電極埋設部材であって、
    前記所定構造は、前記基材の表面に垂直な方向から見たときに回転対称性を備えることを特徴とする電極埋設部材。
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