JP7284380B2 - ラインパイプ用電縫鋼管 - Google Patents
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0.20≦C+Mn/6+(Ni+Cu)/15+(Cr+Mo+V)/5≦0.53 (1)
0.120≦C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5×B≦0.220 (2)
ここで、式(1)及び式(2)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入され、含有されない場合はゼロとする。
0.20≦C+Mn/6+(Ni+Cu)/15+(Cr+Mo+V)/5≦0.53 (1)
0.120≦C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5×B≦0.220 (2)
ここで、式(1)及び式(2)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入され、含有されない場合はゼロとする。
本発明の実施の形態のラインパイプ用電縫鋼管の母材の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は、母材の強度を高める。C含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、C含有量が高すぎれば、炭化物が生成し、鋼の低温靭性が低下する。C含有量が高すぎればさらに、鋼の溶接性が低下する。したがって、C含有量は0.030~0.100%である。C含有量の好ましい下限は0.035%であり、さらに好ましくは0.040%である。C含有量の好ましい上限は、0.090%であり、さらに好ましくは0.080%である。
シリコン(Si)は、鋼を脱酸する。Si含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Si含有量が高すぎれば、シーム熱処理の熱影響部の低温靭性が低下する。したがって、Si含有量は0.01~0.50%である。Si含有量の好ましい下限は、0.015%である。Si含有量の好ましい上限は0.40%であり、さらに好ましくは0.30%である。
マンガン(Mn)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。Mnはさらに、鋼の低温靭性を高める。Mn含有量が低すぎれば、この効果が得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、鋼の強度が高くなりすぎ、シーム熱処理の熱影響部の低温靭性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.50~2.50%である。Mn含有量の好ましい下限は、1.00%である。Mn含有量の好ましい上限は2.00%である。
燐(P)は不純物である。Pは、鋼の低温靭性を低下する。したがって、P含有量は0.050%以下である。P含有量の好ましい上限は0.020%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。
硫黄(S)は不純物である。Sは、Mnと結合してMn系硫化物を形成する。そのため、低温靭性が低下する。したがって、S含有量は0.0050%以下である。S含有量の好ましい上限は0.0030%である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。
アルミニウム(Al)は不可避に含有される。すなわち、Al含有量は0%超である。Alは鋼を脱酸する。一方、Al含有量が高すぎれば、Al窒化物が粗大化し、母材及びシーム熱処理の熱影響部の低温靭性が低下する。したがって、Al含有量は、0.040%以下である。Al含有量の好ましい上限は0.030%である。本明細書において、Al含有量は鋼中の全Al含有量を意味する。
チタン(Ti)は、鋼中のNと結合してTiNを形成し、固溶したNによる低温靭性の低下を抑制する。さらに、微細なTiNが分散析出することにより、結晶粒の粗大化を抑制する。これにより、低温靭性が高まる。Ti含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Ti含有量が高すぎれば、TiNが粗大化したり、粗大なTiCが生成する。この場合、低温靭性が低下する。したがって、Ti含有量は0.003~0.030%である。Ti含有量の好ましい下限は、0.005%である。Ti含有量の好ましい上限は0.025%である。
ニオブ(Nb)は、鋼中のCやNと結合して微細なNb炭窒化物を形成する。微細なNb炭窒化物は、分散強化により鋼の強度を高める。Nbはさらに、オーステナイト域の再結晶を抑制して、未再結晶圧延温度域を拡大する。Nbはさらに、オーステナイトの焼き入れ性を向上させることによって、圧延後及びシーム熱処理後の加速冷却中に生成するフェライト及びベイナイトなどの組織を微細均一化する。その結果、鋼の母材及びシーム熱処理の熱影響部の低温靭性が高まる。Nb含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Nb含有量が高すぎれば、Nb炭窒化物が粗大化し、低温靭性が低下する。したがって、Nb含有量は0.003~0.200%である。Nb含有量の好ましい下限は、0.005%である。Nb含有量の好ましい上限は0.100%である。
窒素(N)は、不可避に含有される。すなわち、N含有量は0%超である。Nは、窒化物を形成して、加熱中のオーステナイト粒の粗大化を抑制する。この場合、圧延工程においてオーステナイト粒が微細化し、変態後の結晶粒が微細になる。その結果、低温靭性が高まる。Nはさらに、固溶強化により鋼の強度を高める。N含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、N含有量が高すぎれば、炭窒化物が粗大化し、母材だけでなくシーム熱処理の熱影響部の低温靭性が低下する。したがって、N含有量は0.0080%以下である。N含有量の好ましい上限は0.0060%である。
酸素(O)は不純物である。Oは酸化物を形成して、母材だけでなくシーム熱処理の熱影響部の低温靭性を低下する。したがって、O含有量は0.0050%以下である。O含有量の好ましい上限は0.0030%である。O含有量はなるべく低い方が好ましい。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Cu含有量は0%であってもよい。Cuが含有される場合、Cuは低温靭性を低下させずに、鋼材の強度を高める。Cuが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が高すぎれば、鋼片加熱時及び溶接時に割れが生じやすくなる。したがって、Cu含有量は0~1.00%である。Cu含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.10%である。Cu含有量の好ましい上限は0.80%であり、さらに好ましくは0.60%である。
ニッケル(Ni)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Ni含有量は0%であってもよい。Niが含有される場合、Niは、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。Niはさらに、低温靭性を高める。しかしながら、Ni含有量が高すぎれば、鋼の溶接性が低下する。したがって、Ni含有量は0~1.00%である。Ni含有量の好ましい下限は、0.01%であり、さらに好ましくは0.10%である。Ni含有量の好ましい上限は0.50%である。
クロム(Cr)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Cr含有量は0%であってもよい。Crが含有される場合、析出強化により、鋼の強度を高める。しかしながら、Cr含有量が高すぎれば、Crは、鋼の焼入れ性を高めて、ベイナイト組織が生じる。その結果、鋼の低温靭性が低下する。したがって、Cr含有量は0~1.00%である。Cr含有量の好ましい下限は、0.01%であり、さらに好ましくは0.10%である。Cr含有量の好ましい上限は0.50%である。
モリブデン(Mo)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Mo含有量は0%であってもよい。Moが含有される場合、Moは、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。Moはさらに、炭窒化物を形成して、鋼の強度を高める。Moはさらに、Nbと複合的に含有させることで、オーステナイト域の再結晶を抑制して、未再結晶圧延温度域を拡大する。Moはさらに、オーステナイトの焼入れ性を高め、圧延後及びシーム熱処理後の加速冷却中に生成するフェライト及びベイナイト等の組織を微細均一化する。その結果、ラインパイプ用電縫鋼管の母材及びシーム熱処理の熱影響部の低温靭性を高める。しかしながら、Mo含有量が高すぎれば、強度が高くなりすぎる。Mo含有量が高すぎればさらに、低温靭性が著しく低下する。したがって、Mo含有量は0~1.00%である。Mo含有量の好ましい下限は、0.01%であり、さらに好ましくは0.10%である。Mo含有量の好ましい上限は0.50%である。
バナジウム(V)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、V含有量は0%であってもよい。Vが含有される場合、Vは、炭化物及び/又は窒化物を形成して、鋼の強度を高める。しかしながら、V含有量が高すぎれば、鋼の低温靭性が低下する。したがって、V含有量は0~0.10%である。V含有量の好ましい下限は、0.001%である。V含有量の好ましい上限は0.06%である。
ホウ素(B)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、B含有量は0%であってもよい。Bが含有される場合、Bは、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。しかしながら、B含有量が高すぎれば、鋼の低温靭性が低下する。したがって、B含有量は0~0.0050%である。B含有量の好ましい下限は、0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%である。B含有量の好ましい上限は0.0030%である。
カルシウム(Ca)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、Ca含有量は0%であってもよい。Caが含有される場合、Caは、MnSの形態を制御して、球状化する。この場合、鋼材の板厚方向の特性、特に耐ラメラティアー性が高まる。しかしながら、Ca含有量が高すぎれば、母材及びシーム熱処理の熱影響部のCaの酸化物の個数が増加する。Caの酸化物は破壊の起点となり、低温靭性が著しく低下する。したがって、Ca含有量は0~0.0008%である。Ca含有量の好ましい下限は、0.0001%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0005%である。
希土類元素(REM)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。すなわち、REM含有量は0%であってもよい。REMが含有される場合、REMは、硫化物を生成して、伸長したMnSの生成を抑制する。その結果、鋼材の板厚方向の特性、特に耐ラメラティアー性が高まる。しかしながら、REM含有量が高すぎれば、REMの酸化物の個数が増加する。その結果、鋼の低温靭性が低下する。したがって、REM含有量は、0~0.0050%である。REM含有量の好ましい下限は、0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%である。REM含有量の好ましい上限は0.0045%である。
上記化学組成はさらに、式(1)を満たす。
0.20≦C+Mn/6+(Ni+Cu)/15+(Cr+Mo+V)/5≦0.53 (1)
ここで、式(1)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入され、含有されない場合はゼロとする。
上記化学組成はさらに、式(2)を満たす。
0.120≦C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5×B≦0.220 (2)
ここで、式(2)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入され、含有されない場合はゼロとする。
シーム熱処理の熱影響部は、ラインパイプ用電縫鋼管の周方向において、電縫溶接部と電縫溶接部を挟んだ両側の母材とを合わせた領域である。シーム熱処理の熱影響部とは、ラインパイプ用電縫鋼管のうち、シーム熱処理時に熱影響を受けた部分を意味する。シーム熱処理とは、ラインパイプ用熱延鋼板の長手方向の両端面を電縫溶接により溶接し、ラインパイプ用電縫鋼管を製造した後、ラインパイプ用電縫鋼管の電縫溶接部周辺を加熱する処理を意味する。
本発明の実施の形態において、シーム熱処理の熱影響部のうち、ラインパイプ用電縫鋼管の電縫溶接部から母材の周方向200~600μm位置であって、電縫溶接部の管軸方向に垂直な断面での外表面から3~5mm深さ位置を特定領域とする。
特定領域において、平均ビッカース硬さは、200~240である。特定領域の平均ビッカース硬さが200未満であれば、ラインパイプ用電縫鋼管として必要な硬さが不足する。その結果、ラインパイプ用電縫鋼管として必要な強度が得られない。一方、特定領域の平均ビッカース硬さが240を超えると、硬くなりすぎる。硬くなりすぎると、ラインパイプ用電縫鋼管の低温靭性が低下する。したがって、特定領域において、平均ビッカース硬さは、200~240である。
[特定介在物]
特定領域のミクロ組織において、Ca、Al、O及びTiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する介在物(以下、特定介在物ともいう)の数密度は、12.0個/mm2以下である。
Ca、Al、O及びTiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する介在物の数密度(介在物密度)は、SEM(走査型電子顕微鏡)-EDS(エネルギ分散型X線マイクロアナライザ)で測定する。具体的には以下のとおりである。
上述のように、ラインパイプ用電縫鋼管の強度及び低温靱性を高めるためには、シーム熱処理の熱影響部におけるミクロ組織の制御も重要となる。以下、シーム熱処理の熱影響部のミクロ組織について、以下に詳しく説明する。
ラインパイプ用電縫鋼管の強度及び低温靱性を担保するためには、母材のミクロ組織の制御も重要となる。具体的には、母材の肉厚をtBとしたときに、母材のtB/4部及びtB/2部のミクロ組織を、面積%で、0~50%のフェライトを含み、残部がベイナイトとする必要がある。母材中に含まれるフェライトの面積率が50%を超えると、強度が低下するおそれがある。
本発明に係るラインパイプ用電縫鋼管は、たとえば、以下の方法により製造することができるが、この方法には限定されない。
上述の化学組成を有する素材を準備する。具体的には、上述の化学組成を有する溶鋼を製造する。溶鋼を用いて、素材(スラブ)を製造する。連続鋳造法により鋳片(スラブ)を製造してもよい。溶鋼を用いてインゴットを製造し、インゴットを分塊圧延して素材(スラブ)を製造してもよい。
圧延工程では、スラブを加熱し、粗圧延機及び仕上げ圧延機を用いて熱間圧延して、鋼板にする。粗圧延機及び仕上げ圧延機ともに、一列に並んだ複数の圧延スタンドを備え、各圧延スタンドはロール対を備える。
巻取り工程では、冷却された鋼板を巻取り、コイル状のラインパイプ用熱延鋼板にする。
コイルにされた熱延鋼板を巻戻しながら、ラインパイプ用電縫鋼管を製造する。具体的には、ラインパイプ用熱延鋼板を連続した成形ロールによる曲げ加工によりオープンパイプにする。続いて、オープンパイプの継目部、つまりラインパイプ用熱延鋼板の長手方向の両端面を電縫溶接により溶接し、ラインパイプ用電縫鋼管を製造する。
製管後、ラインパイプ用電縫鋼管の電縫溶接部周辺を加熱してシーム熱処理を実施する。加熱処理方法はたとえば、高周波誘導加熱、バーナー加熱、又は、電気抵抗加熱である。加熱の応答性及び均一性に優れる高周波誘導加熱を採用することが好ましい。シーム熱処理温度は900~1050℃である。熱処理温度が900℃未満であれば、電縫溶接部の組織がオーステナイトに変態しない。そのため、最終組織の平均結晶粒径が微細にならない。熱処理温度が1050℃を超えれば、オーステナイト粒が粗大化する。そのため結晶粒径を微細化できず、電縫溶接部の低温靭性が低下する。
[結晶粒径測定]
平均結晶粒径は、EBSP-OIM(商標)を用いて、上記の方法により測定した。母材についての測定結果を表3に、シーム熱処理の熱影響部についての測定結果を表4にそれぞれ示す。
さらに、電縫溶接部からラインパイプ用電縫鋼管の周方向に180°離れた位置において、API5L規格に準拠した全厚試験片を円周方向に2本ずつ採取した。そして、常温にて引張試験を行い、降伏応力(YS)及び引張強さ(TS)を測定した。引張試験は、API規格に準拠して行った。結果を表5に示す。
ラインパイプ用電縫鋼管の電縫溶接部から母材方向に200~600μm位置において、ラインパイプ用電縫鋼管の管軸方向に垂直な断面であって、かつ外表面から3~5mm深さ位置を含む断面(以下、測定面という)を有する試験片を採取した。上記の方法により、特定領域の平均ビッカース硬さを測定した。結果を表4の「平均ビッカース硬さ」に示す。
介在物密度は、SEM-EDSを用いて測定した。具体的には、ラインパイプ用電縫鋼管の電縫溶接部から母材方向に200~600μm位置において、ラインパイプ用電縫鋼管の管軸方向に垂直な断面であって、かつ外表面から3~5mm深さ位置を含む断面(以下、観察面という)を有する試験片を採取した。上記の方法により、介在物密度を測定した。結果を表4の「介在物密度(個/mm2)」に示す。
得られた各ラインパイプ用電縫鋼管の母材及びシーム熱処理の熱影響部の厚さ方向断面からそれぞれ2つずつ試験片を切り出し、組織観察用及び粒径測定用に供した。上記の方法により、ミクロ組織を特定した。
得られたラインパイプ用電縫鋼管から、特定領域を含んで長手方向に300mm、円周方向に300mmの長さに切断し、特定領域を含んだCTOD試験片を採取した。採取したCTOD試験片に対して、BS7448:Part1 1991の規定に準拠して、試験温度-20℃でCTOD試験を実施し、特定領域での、-20℃での限界開口変位量δc(mm)を測定した。結果を表5の「CTOD」に示す。-20℃での限界開口変位量δcが0.20mm以上である場合に、低温靱性に優れると判断した。
表1~表5を参照して、試験番号1~9及び18の鋼の化学組成は適切であり、式(1)及び式(2)を満たした。さらに、いずれの試験番号の製造条件も適切であった。そのため、試験番号1~9及び18の特定領域において、平均ビッカース硬さが200~240であり、特定領域のミクロ組織において、Ca、Al、O及びTiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する介在物密度が12.0個/mm2以下であった。さらに、試験番号1~9及び18のシーム熱処理の熱影響部及び母材の組織は適切であり、平均結晶粒径は15μm以下であった。その結果、CTOD試験において、-20℃での限界開口変位量δcが0.20mm以上であり、優れた低温靭性を示した。
Claims (3)
- 母材と、電縫溶接部と、シーム熱処理の熱影響部とを備えるラインパイプ用電縫鋼管であって、
前記母材が、質量%で、
C:0.030~0.100%、
Si:0.01~0.50%、
Mn:0.50~2.50%、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
Al:0.040%以下、
Ti:0.003~0.030%、
Nb:0.003~0.200%、
N:0.0080%以下、
O:0.0050%以下、
Cu:0~1.00%、
Ni:0~1.00%、
Cr:0~1.00%、
Mo:0~1.00%、
V:0~0.10%、
B:0~0.0050%、
Ca:0~0.0008%、及び、
希土類元素(REM):0~0.0050%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、式(1)及び式(2)を満たす化学組成を有し、
前記シーム熱処理の熱影響部のうち、前記ラインパイプ用電縫鋼管の前記電縫溶接部から前記母材の周方向200~600μm位置であって、前記電縫溶接部の管軸方向に垂直な断面での外表面から3~5mm深さ位置である特定領域において、平均ビッカース硬さが200~240であり、
前記特定領域のミクロ組織において、Ca、Al、O及びTiからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する介在物の数密度が12.0個/mm2以下であり、
前記シーム熱処理の熱影響部の肉厚をtSとしたときに、
前記シーム熱処理の熱影響部のtS/4部のミクロ組織において、フェライトの面積率が0~40%、残部が焼戻しベイナイトであり、平均結晶粒径が15μm以下であり、
前記シーム熱処理の熱影響部のtS/2部のミクロ組織において、フェライトの面積率が0~50%、残部が焼戻しベイナイトであり、平均結晶粒径が15μm以下であり、
前記母材の肉厚をtBとしたときに、
前記母材の、tB/4部及びtB/2部のミクロ組織において、フェライトの面積率が0~50%、残部がベイナイトであり、平均結晶粒径が15μm以下である、ラインパイプ用電縫鋼管。
0.20≦C+Mn/6+(Ni+Cu)/15+(Cr+Mo+V)/5≦0.53 (1)
0.120≦C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5×B≦0.220 (2)
ここで、式(1)及び式(2)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入され、含有されない場合はゼロとする。 - 請求項1に記載のラインパイプ用電縫鋼管であって、
前記母材の前記化学組成は、
Cu:0.01~1.00%、
Ni:0.01~1.00%、
Cr:0.01~1.00%、
Mo:0.01~1.00%、
V:0.001~0.10%、
B:0.0001~0.0050%、
Ca:0.0001~0.0008%、及び、
希土類元素(REM):0.0001~0.0050%、からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、ラインパイプ用電縫鋼管。 - 請求項1又は請求項2に記載のラインパイプ用電縫鋼管であって、
前記母材の肉厚が25.4mm以下である、ラインパイプ用電縫鋼管。
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