JP7283995B2 - 織物及びその製造方法 - Google Patents
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経糸または緯糸の少なくとも一方に用いられる紡績糸としては、綿糸、ウールなどの天然繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等の合成繊維等を使用することができる。このうち、熱融着加工後における目ズレを確実に防止するとの観点から、天然繊維を使用することが好ましい。さらに、天然繊維の中でも、本発明の融着性繊維を構成する成分としてより好適に用いられる変性ポリアミドや変性エチレンビニルアルコール共重合体と、水素結合によるさらなる接着効果が期待できる点から、ヒドロキシ基を多く有する、綿糸が特に好ましい。
本発明の織物を構成する紡績糸に含まれる融着性繊維は、低温における融着処理を可能にするとの観点から、含水融点が180℃以下の樹脂を成分とする融着性繊維であることが重要である。なお、ここで言う「含水融点」とは、24時間含水させた繊維の融点のことであり、短時間で熱融着を起こしやすい工程であるスチームセット時の繊維状態を再現したものである。このような含水融点が180℃以下の樹脂を成分とする融着性繊維としては、変性ポリエステル繊維、変性ポリアミド繊維、変性ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維、変性エチレンビニルアルコール共重合体(以下、「変性EVOH」と称する。)繊維等が挙げられる。
本発明の織物の目付は、200g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは、100g/m2以下である。織物の目付が200g/m2を超えると、熱融着加工後に十分な通気性が得られない可能性がある。
変性EVOH成分として、熱可塑性のエチレン含有量44モル%、ケン化度99.9%の6モル%変性EVOH((株)クラレ製、商品名:EX861)を、押出機を使用して230℃で溶融し、紡糸パックに導き、孔径0.25mm、ホール数12のノズルから紡糸金口温度230℃で吐出させ、繊維を紡糸ノズルより吐出させた。
ナイロン-6(以下、「Ny-6」と称する)として、宇部興産(株)製Ny-6(商品名:1015B)を、押出機を使用して270℃で溶融し、紡糸パックに導き、孔径0.25mm、ホール数24のノズルから紡糸金口温度270℃で吐出させ、繊維を紡糸ノズルより吐出させた。
低密度ポリエチレン(以下、「LD-PE」と称する。)として、日本ポリエチレン(株)製LD-PE(商品名:HJ490)を、押出機を使用して270℃で溶融し、紡糸パックに導き、孔径0.25mm、ホール数24のノズルから紡糸金口温度270℃で吐出させ、繊維を紡糸ノズルより吐出させた。
変性ポリエステル(以下、「変性PES」と称する。)として、変性ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス(株)製、商品名:ジュラネックス-500KP)を、押出機を使用して240℃で溶融して、紡糸パックに導き、孔径0.25mm、ホール数24のノズルから紡糸金口温度270℃で吐出させ、繊維を紡糸ノズルより吐出させた。
予め24時間、水に浸漬させた各繊維を、JIS K7121に準じて、示差走査熱量計(島津製作所(株)製、商品名:DSC-60)にて、昇温速度10℃/分で測定した。なお、温度の校正にはインジウムと鉛を用いた。また、2ndランのチャートから、JISにおける融解ピーク温度(Tpm)を求め、これを含水融点とした。
<織物の作製>
まず、経糸に用いられる紡績糸として、綿40/1紡績糸(東洋紡製、商品名:「金魚」C40/1)を用い、織密度が30本/inchとなるように綿糸を整経した。
作製した織物の目付(g/m2)を、JIS L1096に準じて測定した。以上の結果を表1に示す。
作製した織物の通気性は、通気度試験機(カトーテック製、商品名:KESF8-AP1)を用いて通気抵抗値R(kPa・s/m)を測定し、下記式(1)によりV[cm3/(cm2・秒)]を求め、これを通気度とした。
V=124.55/(R×10) (1)
○:通気度が200cm3/(cm2・秒)以上
△:通気度が20cm3/(cm2・秒)以上200cm3/(cm2・秒)未満
×:通気度が20cm3/(cm2・秒)未満
作製したサンプルの通気性を、官能評価にて以下のように評価した。以上の結果を表1に示す。
○:12時間着用または運動時においてもムレが感じられなかった
△:1時間着用してもムレは感じられないが、12時間着用または運動時において若干ムレが感じられた
×:1時間着用または運動時においてムレが感じられた
デニムのストーンウォッシュを考慮して、上述の織物を用いて作製したデニムに軽石を入れて、10回洗濯を行い、以下の評価基準に従い、解れ止め性能を評価した。なお洗濯はJIS L 0217家庭用電気洗濯機法の103法に準じて行った。以上の結果を表1に示す。
◎:洗濯後に目ズレが発生しなかった
○:一部、糸が解れた部分はあるが、大きく品位は損なわれなかった
×:多くの糸が解れており、全体が不均一な織り目になった
また、作製した織物から、緯糸を解舒する際の張力(解舒張力)を測定した。測定機器はエー・アンド・デイ社製「テンシロンRTG-1250」を使用し、測定条件はチャック間=50mm、引速=300mm/min(n=5)で行った。以上の結果を表1に示す。なお、表1にある「測定限界」とは、融着が十分に進行しており解舒が出来ない状態のことである。
作製した織物の風合いは、官能評価により、以下のように評価した。以上の結果を表1に示す。
○:熱処理前と比べて生地の固さに変化がなかった
×:熱処理前と比べて生地が固く、コシがあった
経糸と緯糸の織密度を50本/inchに設定したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
経糸と緯糸の織密度を70本/inchに設定したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
融着性繊維として、変性EVOH長繊維の代わりに、変性Ny-6長繊維(ユニチカ製、商品名:フロールM、含水融点:90℃)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
融着性繊維として、変性EVOH長繊維の代わりに、上述のLD-PE長繊維(含水融点:110℃)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
経糸及び緯糸に用いられる紡績糸として、綿糸の代わりに、PES短繊維(綿番手40/1紡績糸)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
緯糸における綿糸2本に対して、コアスパンヤーン方式にて上記の変性EVOH長繊維を1本挿入し、Z撚りに400turn/inchとなる緯糸を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
融着性繊維を使用しなかったこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
経糸及び緯糸に用いられる糸として、綿糸の代わりに、上記にて作製したNy-6長繊維を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
融着性繊維として、変性EVOH長繊維の代わりに、上述の変性PES長繊維(含水融点:195℃)を使用し、スチーム処理の代わりに、195℃で1分間、乾熱処理による熱融着加工を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
Claims (9)
- 経糸または緯糸の少なくとも一方が紡績糸である織物であって、
前記紡績糸の一部に含水融点が180℃以下である融着性繊維が含まれており、前記織物における経糸と緯糸の交点において接着された部分を有し、
前記紡績糸1本に対して前記融着性繊維が1本挿入されており、
前記融着性繊維は、含水融点が110℃以下の変性ポリアミド若しくは変性エチレンビニルアルコール共重合体を成分とすることを特徴とする、織物。 - 前記織物における経糸と緯糸の織密度が80本/inch以下であることを特徴とする、請求項1に記載の織物。
- 前記経糸と前記緯糸とが紡績糸であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の織物。
- 前記紡績糸が40番手以上であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の織物。
- 前記紡績糸は、前記融着性繊維を一部に含む天然繊維であることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の織物。
- 前記天然繊維が綿糸であることを特徴とする、請求項5に記載の織物。
- 目付が200g/m2以下、かつ通気度が20cm3/(cm2・秒)以上であることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の織物。
- 経糸または緯糸を解舒する際の張力が450mN以上であることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の織物。
- 180℃以下で前記融着性繊維を融解させて、織物における経糸と緯糸の交点を接着させることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の織物の製造方法。
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