JP7283995B2 - 織物及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、アウターやズボン等、特にデニム生地で構成される織物及びその製造方法に関する。
従来、衣料及び身体補助部材、特にデニム生地で構成されるアウターやズボン等の織物においては、ムレやすく、かつ擦れや引っ掻き等で目ズレが起きやすいため、熱融着性繊維を用いることにより、通気性が良好であり、目ズレ性が抑制された織物が提案されている。
例えば、経糸の繊維と緯糸の繊維が、その交点において熱融着された格子状織物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、熱融着繊維、水または溶剤により溶解する溶解繊維、及び熱融着繊維より高い融点を有する繊維を経糸または緯糸に含む織物に熱処理を施すことにより、熱融着繊維同士、または熱融着繊維と溶解繊維若しくは繊維とを熱融着させた織物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平7-145532号公報 特開2015-151630号公報
ここで、上記特許文献1の織物においては、目ズレを起こさない格子状織物を得るために融着糸を使用しているため、融着糸の挿入場所を規定する必要があり、織物の形態が限られることになる。また、上記特許文献1、及び特許文献2に記載の織物においては、織密度が低くなると、融着点となる経糸と緯糸の交点が少なくなるため、目ズレが起きやすくなる。特にデニム生地に対するストーンウォッシュ等の意匠的な加工には大きな負荷がかかり、低織密度かつ過酷な状況で耐えられない。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、通気性に優れるとともに、熱融着加工後における目ズレ防止効果(解れ止め性)を有する織物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]経糸または緯糸の少なくとも一方が紡績糸である織物であって、前記紡績糸の一部に含水融点が180℃以下である融着性繊維が含まれており、前記織物における経糸と緯糸の交点において接着された部分を有することを特徴とする、織物。
[2]前記織物における経糸と緯糸の織密度が80本/inch以下であることを特徴とする、前記[1]に記載の織物。
[3]前記経糸と前記緯糸とが紡績糸であることを特徴とする、前記[1]または前記[2]に記載の織物。
[4]前記紡績糸1本に対して前記融着性繊維が1本挿入されていることを特徴とする、前記[1]~前記[3]のいずれかに記載の織物。
[5]前記紡績糸が40番手以上であることを特徴とする、前記[1]~前記[4]のいずれかに記載の織物。
[6]前記融着性繊維は、含水融点が110℃以下の変性ポリアミド若しくは変性エチレンビニルアルコール共重合体を成分とすることを特徴とする、前記[1]~前記[5]のいずれかに記載の織物。
[7]前記紡績糸が天然繊維であることを特徴とする、前記[1]~前記[6]のいずれかに記載の織物。
[8]前記天然繊維が綿糸であることを特徴とする、前記[7]に記載の織物。
[9]目付が200g/m以下、かつ通気度が20cm/(cm・秒)以上であることを特徴とする、前記[1]~前記[8]のいずれかに記載の織物。
[10]経糸または緯糸を解舒する際の張力が450mN以上であることを特徴とする、前記[1]~前記[9]のいずれかに記載の織物。
[11]180℃以下で前記融着性繊維を融解させて、織物における経糸と緯糸の交点を接着させることを特徴とする、前記[1]~前記[10]のいずれかに記載の織物の製造方法。
本発明によれば、通気性に優れるとともに、熱融着加工後における目ズレを防止することができる織物を提供することができる。
本発明に係る織物の構造を説明するための模式図である。 実施例1において作製した織物の経糸と緯糸の交点における接着された部分を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の織物は、経糸または緯糸の少なくとも一方が紡績糸である織物であって、紡績糸の一部に融着性繊維が含まれており、織物における経糸と緯糸の交点において接着された部分を有する。
例えば、図1に示すように、経糸2及び緯糸3の片方もしくは双方が融着性繊維4を含む紡績糸であって、この融着性繊維4により、経糸と緯糸の交点が接着された織物1が挙げられる。
なお、ここで言う「接着」とは、加熱により融着性繊維が軟化し、融着性繊維が融けて経糸と緯糸が一体化した状態のことを言う。
<紡績糸>
経糸または緯糸の少なくとも一方に用いられる紡績糸としては、綿糸、ウールなどの天然繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等の合成繊維等を使用することができる。このうち、熱融着加工後における目ズレを確実に防止するとの観点から、天然繊維を使用することが好ましい。さらに、天然繊維の中でも、本発明の融着性繊維を構成する成分としてより好適に用いられる変性ポリアミドや変性エチレンビニルアルコール共重合体と、水素結合によるさらなる接着効果が期待できる点から、ヒドロキシ基を多く有する、綿糸が特に好ましい。
また、紡績糸の番手については特に制限は無いが、融着糸の浸透しやすさの観点から、紡績糸が綿番手で40番手以上であることが好ましい。
なお、繊維の断面形状は特に制限はなく、円形、中空、あるいは星型等の異型断面であってもよい。
そして、この紡績糸は、フィラメントに比し、空隙率が高く、紡績糸に含まれる融着性繊維が融着時に紡績糸の深部まで入り込むことができるため、熱融着加工後における目ズレを防止することができ、通気性に優れた織物を得ることができる。また、デニム特有のストーンウォッシュを実施した場合であっても、目ズレが発生しない織物を得ることができる。
なお、熱融着加工後における目ズレをより一層防止するとの観点から、経糸と緯糸の双方が紡績糸であることが好ましい。
また、経糸と緯糸の織密度は、80本/inch以下であることが好ましい。織密度が上記上限値よりも大きいと十分な通気性が得られない場合がある。織密度は、より好ましくは70本/inch以下、さらに好ましくは60本/inch以下、特に好ましくは50本/inch以下である。
なお、本発明において、融着性繊維が長繊維として紡績糸に含まれる場合であっても、融着性繊維以外の繊維が短繊維であれば、紡績糸と記載することとする。
<融着性繊維>
本発明の織物を構成する紡績糸に含まれる融着性繊維は、低温における融着処理を可能にするとの観点から、含水融点が180℃以下の樹脂を成分とする融着性繊維であることが重要である。なお、ここで言う「含水融点」とは、24時間含水させた繊維の融点のことであり、短時間で熱融着を起こしやすい工程であるスチームセット時の繊維状態を再現したものである。このような含水融点が180℃以下の樹脂を成分とする融着性繊維としては、変性ポリエステル繊維、変性ポリアミド繊維、変性ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維、変性エチレンビニルアルコール共重合体(以下、「変性EVOH」と称する。)繊維等が挙げられる。
融着性繊維の含水融点は、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。融着性繊維の含水融点の下限に特に制限はないが、保管性の面から40℃以上が好ましい。また、融着性繊維の中でも、含水融点が110℃以下であり、極めて低温で融着が可能な変性ポリアミド繊維、変性EVOH繊維が好ましい。一般的な生地加工場でのスチームセット温度は110℃であり、それを超える温度に設定すると、熱に弱いナイロン等の生地において風合いが悪くなる場合がある。
また、融着性を向上させるとの観点から、紡績糸1本に対して融着性繊維を1本挿入することが好ましい。
また、本発明の織物を構成する融着性繊維は、本発明の効果を損なわない限り、複数の樹脂成分で構成される複合繊維であってもよい。すなわち、融着性を有する樹脂(以下、「融着性樹脂」と称する。)を1成分とし、融着性樹脂以外の樹脂をもう1成分または複数成分とした複合繊維であってもよい。複合繊維の断面形状に関しては、融着性樹脂がわずかでも露出される形状であればよいが、その中でも特に、融着性樹脂が表層全面に露出した海島断面または芯鞘断面の複合繊維が適している。
また、複合繊維において、融着性樹脂以外の成分を機能性樹脂とすることで、融着を行うと同時に製品に機能性を付与することも可能である。例えば、機能性樹脂としてポリウレタン樹脂を用いる場合は、ストレッチ性に富んだ製品が可能となる。また無機粒子配合樹脂を用いる場合は、無機粒子の特性を発現した製品が可能となる。また、酸化亜鉛、銅等の抗菌性を示す粒子を添加することにより、融着後の積層体に抗菌性を付与することが可能となる。
さらに、融着性繊維は、長繊維として紡績糸に含まれていてもよく、短繊維として紡績糸に含まれていてもよい。
融着性繊維が長繊維の場合、総繊度は30~150dtexであることが好ましく、単糸繊度は2~10dtexであることが好ましい。総繊度が大きすぎると融着糸が生地の表面に浮き出てしまい見た目が悪くなる場合があり、総繊度が小さすぎると製織時に糸切れが発生する場合がある。
融着性繊維が短繊維の場合、単糸繊度は2~10dtexであることが好ましく、繊維長は38~76mmが好ましい。繊維長が短すぎると絡みが悪くなり紡績糸の製造が困難になる場合があり、繊維長が長すぎるとネップが発生する場合がある。
本発明の織物は、本発明の効果を損なわない限り、融着性繊維以外の繊維を含んでいてもよい。例えば、経糸に一般的な熱可塑性繊維を含み、緯糸に融着性繊維を含む織物であってもよい。
<織物>
本発明の織物の目付は、200g/m以下であることが好ましく、より好ましくは、100g/m以下である。織物の目付が200g/mを超えると、熱融着加工後に十分な通気性が得られない可能性がある。
また、本発明の織物の通気度は、20cm/(cm・秒)以上であることが好ましい。織物の通気度が上記下限値未満では熱融着加工後に十分な通気性が得られない場合がある。織物の通気度は、より好ましくは200cm/(cm・秒)以上、さらに好ましくは400cm/(cm・秒)以上である。また、織物の通気度の上限については、特に制限は無いが、目ズレ防止を確実に行うとの観点から500cm/(cm・秒)以下が好ましい。
また、本発明の織物の厚さは、0.5mm以上3.0mm以下が好ましい。織物の厚さが上記下限値未満では、生地強度が小さく目ズレ防止を確実に行えない場合がある。また、織物の厚さが上記上限値を超えると、加熱の際に融着性繊維同士が融着して織り目を埋めてしまう場合があるため、熱融着加工後に十分な通気性が得られない場合がある。織物の厚さは、より好ましくは0.5mm以上2.0mm以下である。
また、本発明の織物の経糸または緯糸を解舒する際の張力が450mN以上であることが好ましい。解舒する際の張力が上記下限値未満であると、製品におけるストーンウォッシュ時の解れ止め性が得られない可能性がある。
本発明の織物は、まず、経糸を整経後、緯糸/融着糸を交編またはインターレース、タスラン、交撚等の方法により加工したものを緯糸として打ち込むことが好ましい。なお、織組織に関しては特に制限は無いが、平織にて生機を作製すると、経糸と緯糸が交点で近接しやすくなるため、目ズレ防止に効果が高い。
その後、180℃以下でスチーム処理若しくは乾熱処理による熱融着加工を行うことにより、融着性繊維を融解させて、織物における経糸と緯糸の交点を接着させることにより製造することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
<変性EVOH長繊維の作製>
変性EVOH成分として、熱可塑性のエチレン含有量44モル%、ケン化度99.9%の6モル%変性EVOH((株)クラレ製、商品名:EX861)を、押出機を使用して230℃で溶融し、紡糸パックに導き、孔径0.25mm、ホール数12のノズルから紡糸金口温度230℃で吐出させ、繊維を紡糸ノズルより吐出させた。
次いで、紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、紡糸油剤として、水を含まない制電剤成分と平滑剤成分からなるものを付与した。
次いで、ローラーを介して、2000m/分の引取り速度で巻き取り、78dtex/12フィラメントの変性EVOH長繊維を得た。
<ナイロン-6長繊維の作製>
ナイロン-6(以下、「Ny-6」と称する)として、宇部興産(株)製Ny-6(商品名:1015B)を、押出機を使用して270℃で溶融し、紡糸パックに導き、孔径0.25mm、ホール数24のノズルから紡糸金口温度270℃で吐出させ、繊維を紡糸ノズルより吐出させた。
次いで、紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、紡糸油剤として、制電剤成分と平滑剤成分からなる水エマルジョン油剤を付与した。
次いで、ローラーを介して、4000m/分の引取り速度で巻き取り、56dtex/24フィラメントのNy-6長繊維を得た。
<低密度ポリエチレン長繊維の作製>
低密度ポリエチレン(以下、「LD-PE」と称する。)として、日本ポリエチレン(株)製LD-PE(商品名:HJ490)を、押出機を使用して270℃で溶融し、紡糸パックに導き、孔径0.25mm、ホール数24のノズルから紡糸金口温度270℃で吐出させ、繊維を紡糸ノズルより吐出させた。
次いで、紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、紡糸油剤として、制電剤成分と平滑剤成分からなる水エマルジョン油剤を付与した。
次いで、ローラーを介して、4000m/分の引取り速度で巻き取り、78dtex/24フィラメントのLD-PE長繊維を得た。
<変性ポリエステル長繊維の作製>
変性ポリエステル(以下、「変性PES」と称する。)として、変性ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス(株)製、商品名:ジュラネックス-500KP)を、押出機を使用して240℃で溶融して、紡糸パックに導き、孔径0.25mm、ホール数24のノズルから紡糸金口温度270℃で吐出させ、繊維を紡糸ノズルより吐出させた。
次いで、紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、紡糸油剤として、制電剤成分と平滑剤成分からなる水エマルジョン油剤を付与した。
次いで、ローラーを介して、4000m/分の引取り速度で巻き取り、78dtex/24フィラメントのポリブチレンテレフタレート長繊維を得た。
<融着性繊維の含水融点の測定>
予め24時間、水に浸漬させた各繊維を、JIS K7121に準じて、示差走査熱量計(島津製作所(株)製、商品名:DSC-60)にて、昇温速度10℃/分で測定した。なお、温度の校正にはインジウムと鉛を用いた。また、2ndランのチャートから、JISにおける融解ピーク温度(Tpm)を求め、これを含水融点とした。
(実施例1)
<織物の作製>
まず、経糸に用いられる紡績糸として、綿40/1紡績糸(東洋紡製、商品名:「金魚」C40/1)を用い、織密度が30本/inchとなるように綿糸を整経した。
次に、上記綿糸1本に対して、コアスパンヤーン方式にて融着性繊維として上記の変性EVOH長繊維(含水融点:85℃)を1本挿入し、Z撚りに400turn/inchとなるように緯糸を用意した後、整経後の経糸にこの緯糸を打ち込み、平織にて生機を作製した。
その後、110℃で1分間、スチーム処理による熱融着加工を行うことにより、融着性繊維を融解させて、織物における経糸と緯糸の交点を接着させることにより、本実施例の織物を得た。
また、作製した織物を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。作製した繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。図2に示すように、融着性繊維である変性EVOH長繊維が綿糸の深部まで入り込んでおり、経糸と緯糸の交点において、融解した融着性繊維により接着された部分を有していることが分かる。
<目付測定>
作製した織物の目付(g/m)を、JIS L1096に準じて測定した。以上の結果を表1に示す。
<通気性評価(通気度)>
作製した織物の通気性は、通気度試験機(カトーテック製、商品名:KESF8-AP1)を用いて通気抵抗値R(kPa・s/m)を測定し、下記式(1)によりV[cm/(cm・秒)]を求め、これを通気度とした。
[数1]
V=124.55/(R×10) (1)
そして、織物を用いて実際にデニムを作製して着用し、以下の評価基準により、通気性を評価した。以上の結果を表1に示す。
○:通気度が200cm/(cm・秒)以上
△:通気度が20cm/(cm・秒)以上200cm/(cm・秒)未満
×:通気度が20cm/(cm・秒)未満
<通気性評価(官能評価)>
作製したサンプルの通気性を、官能評価にて以下のように評価した。以上の結果を表1に示す。
○:12時間着用または運動時においてもムレが感じられなかった
△:1時間着用してもムレは感じられないが、12時間着用または運動時において若干ムレが感じられた
×:1時間着用または運動時においてムレが感じられた
<解れ止め性評価(官能評価)>
デニムのストーンウォッシュを考慮して、上述の織物を用いて作製したデニムに軽石を入れて、10回洗濯を行い、以下の評価基準に従い、解れ止め性能を評価した。なお洗濯はJIS L 0217家庭用電気洗濯機法の103法に準じて行った。以上の結果を表1に示す。
◎:洗濯後に目ズレが発生しなかった
○:一部、糸が解れた部分はあるが、大きく品位は損なわれなかった
×:多くの糸が解れており、全体が不均一な織り目になった
<解れ止め性評価(解舒張力)>
また、作製した織物から、緯糸を解舒する際の張力(解舒張力)を測定した。測定機器はエー・アンド・デイ社製「テンシロンRTG-1250」を使用し、測定条件はチャック間=50mm、引速=300mm/min(n=5)で行った。以上の結果を表1に示す。なお、表1にある「測定限界」とは、融着が十分に進行しており解舒が出来ない状態のことである。
<風合い評価>
作製した織物の風合いは、官能評価により、以下のように評価した。以上の結果を表1に示す。
○:熱処理前と比べて生地の固さに変化がなかった
×:熱処理前と比べて生地が固く、コシがあった
(実施例2)
経糸と緯糸の織密度を50本/inchに設定したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例3)
経糸と緯糸の織密度を70本/inchに設定したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例4)
融着性繊維として、変性EVOH長繊維の代わりに、変性Ny-6長繊維(ユニチカ製、商品名:フロールM、含水融点:90℃)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例5)
融着性繊維として、変性EVOH長繊維の代わりに、上述のLD-PE長繊維(含水融点:110℃)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例6)
経糸及び緯糸に用いられる紡績糸として、綿糸の代わりに、PES短繊維(綿番手40/1紡績糸)を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例7)
緯糸における綿糸2本に対して、コアスパンヤーン方式にて上記の変性EVOH長繊維を1本挿入し、Z撚りに400turn/inchとなる緯糸を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例1)
融着性繊維を使用しなかったこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例2)
経糸及び緯糸に用いられる糸として、綿糸の代わりに、上記にて作製したNy-6長繊維を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例3)
融着性繊維として、変性EVOH長繊維の代わりに、上述の変性PES長繊維(含水融点:195℃)を使用し、スチーム処理の代わりに、195℃で1分間、乾熱処理による熱融着加工を行ったこと以外は、上述の実施例1と同様に織物を作製し、目付測定、通気度測定、解れ止め性評価、及び風合い評価を行った。以上の結果を表1に示す。
Figure 0007283995000001
表1に示すように、緯糸の一部に含水融点が180℃以下である融着性繊維が含まれており、織物における経糸と緯糸の交点において接着された部分を有する実施例1~7の織物においては、通気性に優れるとともに、熱融着加工後における目ズレを防止することができることが分かる。
なお、融着性繊維として、変性EVOH長繊維の代わりに、上述のLD-PE長繊維を使用した実施例5においては、実施例1~4に比し、解れ止め性が、若干、低下したものの、十分な解れ止め性を有するとともに、優れた通気性と風合いを有していることが分かる。
また、同様に、経糸及び緯糸に用いられる紡績糸として、綿糸の代わりに、PES短繊維を使用した実施例6、及び緯糸における綿糸2本に対して変性EVOH長繊維を1本挿入した実施例7においては、実施例1~4に比し、解れ止め性が、若干、低下したものの、十分な解れ止め性を有するとともに、優れた通気性と風合いを有していることが分かる。
また、比較例1においては、融着性繊維が使用されていないため、織物における経糸と緯糸の交点において接着された部分が形成されておらず、実施例1~7に比し、解れ止め性が著しく劣り、目ズレが発生していることが分かる。
また、比較例2においては、経糸及び緯糸に用いられる糸として、Ny-6長繊維が使用されているため、紡績糸が使用されている実施例1~7に比し、解れ止め性が著しく劣り、目ズレが発生していることが分かる。
また、比較例3においては、融着性繊維として、含水融点が195℃である変性PES長繊維が使用されているため、熱融着加工における温度を195℃に設定する必要があり、含水融点が180℃以下である融着性繊維が使用されている実施例1~7に比し、風合い評価が著しく劣ることが分かる。
本発明の織物は、アウターやズボン等、特にデニム生地に、特に有用である。

Claims (9)

  1. 経糸または緯糸の少なくとも一方が紡績糸である織物であって、
    前記紡績糸の一部に含水融点が180℃以下である融着性繊維が含まれており、前記織物における経糸と緯糸の交点において接着された部分を有し、
    前記紡績糸1本に対して前記融着性繊維が1本挿入されており、
    前記融着性繊維は、含水融点が110℃以下の変性ポリアミド若しくは変性エチレンビニルアルコール共重合体を成分とすることを特徴とする、織物。
  2. 前記織物における経糸と緯糸の織密度が80本/inch以下であることを特徴とする、請求項1に記載の織物。
  3. 前記経糸と前記緯糸とが紡績糸であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の織物。
  4. 前記紡績糸が40番手以上であることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の織物。
  5. 前記紡績糸は、前記融着性繊維を一部に含む天然繊維であることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の織物。
  6. 前記天然繊維が綿糸であることを特徴とする、請求項に記載の織物。
  7. 目付が200g/m以下、かつ通気度が20cm/(cm・秒)以上であることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の織物。
  8. 経糸または緯糸を解舒する際の張力が450mN以上であることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の織物。
  9. 180℃以下で前記融着性繊維を融解させて、織物における経糸と緯糸の交点を接着させることを特徴とする、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の織物の製造方法。
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