JP7283408B2 - 助手席用エアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位内に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて膨張しつつ車両後方に向かって突出し、乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える構成の助手席用エアバッグに関する。
従来、助手席用エアバッグ装置としては、膨張完了時の前端側を収納部位に取り付けられる本体膨張部と、膨張完了時の本体膨張部の後面側において左右方向の少なくとも一方側の縁側から部分的に後方に突出するように配設される突出膨張部と、を有するエアバッグを備える構成のものがあった。この従来の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグにおける突出膨張部の領域内に、左右方向側で対向する壁部相互を連結する帯状の連結部材が、配設される構成であった(例えば、特許文献1参照)。そして、この従来の助手席用エアバッグ装置では、連結部材は、前後方向側で延びるように、構成されていた。
特開2019-81497公報
この従来の助手席用エアバッグ装置では、連結部材は、突出膨張部内の円滑な膨張用ガスの流入を目的として、前後方向に略沿って配設される構成であった。また、従来の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時に、本体膨張部の膨張完了時の後面によって、車両の前突時に前進移動する乗員の頭部を受け止め、突出膨張部における本体膨張部の後面から連なる本体膨張部側壁部によって、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を保護する構成であった。しかしながら、従来の助手席用エアバッグ装置では、連結部材は、突出膨張部内において前後方向に略沿うように配置される構成であるものの、強度確保のためのものではないことから、乗員の体格や斜め前方に向かう加速度等によっては、突出膨張部によって頭部を受け止めきれず、突出膨張部が、本体膨張部との境界部位付近を屈曲点として、本体膨張部から離れるように屈曲してしまう場合があり、突出膨張部によって、安定して乗員の頭部を保護する点に、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、突出膨張部によって、安定して乗員の頭部を保護可能な助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位内に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて膨張しつつ車両後方に向かって突出し、乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える構成とされ、
エアバッグが、
膨張完了時の前端側を収納部位に取り付けられて、収納部位から後方に向かって突出するように展開膨張する本体膨張部と、
膨張完了時の本体膨張部の後面側において、左右方向の少なくとも一方側の縁側から部分的に後方に突出するように配設される突出膨張部と、
を有し、
本体膨張部における膨張完了時の後面が、車両の前突時に前進移動する乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面を構成し、
突出膨張部において、膨張完了時に前突用拘束面から連なるように配置される本体膨張部側壁部が、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を保護可能な斜突用拘束面を、構成し、
突出膨張部の内部に、可撓性を有したシート体から構成されるとともに、本体膨張部側壁部側と、膨張完了時に本体膨張部側壁部と左右方向側で対向する離隔側壁部側と、を連結する連結部材が、前後方向に略沿って延びるように配設される構成の助手席用エアバッグ装置であって、
連結部材が、本体膨張部側となる本体側端末を本体膨張部側壁部に結合させ、離隔側端末を離隔側壁部に結合させるとともに、離隔側端末を離隔側壁部と結合させる離隔側結合部位を、膨張完了時に左右方向側から見た状態で、前突用拘束面よりも前方に延ばすように、構成されていることを特徴とする。
本発明の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時に、突出膨張部の内部において離隔側壁部と本体膨張部側壁部とを連結する連結部材が、突出膨張部における離隔側壁部に結合される離隔側結合部位を、前突用拘束面を超えて前方に延ばすように、配設される構成である。すなわち、本発明の助手席用エアバッグ装置では、膨張完了時のエアバッグにおける突出膨張部内に、可撓性を有したシート体からなる連結部材が、前後方向に略沿いつつ張った状態で配置されることとなり、突出膨張部における離隔側壁部側において、本体膨張部における突出膨張部側の側壁部の領域内に進入させるように、前後方向に略沿った棒状の離隔側結合部位が、配設されることとなる。そのため、エアバッグの膨張時に、連結部材が、張力を作用されて板状の剛性を発揮し、さらに、その連結部材の離隔側結合部位が、前後方向に略沿って線状の剛性を発揮して、前後方向に沿う棒状の補強材のような作用を奏することから、突出膨張部における本体膨張部との境界部位付近の離隔側壁部から本体膨張部の側壁部にわたるエリアでの屈曲を、防止できる。その結果、エアバッグの膨張完了時において、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を斜突用拘束面に接触させるようにして、突出膨張部が、乗員の頭部を受け止めた際に、突出膨張部が強い力で押圧されることとなっても、離隔側結合部位を前突用拘束面(突出膨張部と本体膨張部との境界部位)を超えて前方に延ばすように配設させている連結部材によって、突出膨張部が変形することを抑制でき、突出膨張部が、本体膨張部との境界部位付近を屈曲点として、本体膨張部から離れるように屈曲されることを抑制できて、屈曲による反力低下を招かないことから、突出膨張部により、乗員の頭部を安定して拘束することができる。
したがって、本発明の助手席用エアバッグ装置では、突出膨張部によって、安定して乗員の頭部を保護することができる。
また、本発明の助手席用エアバッグ装置において、前突用拘束面と斜突用拘束面との間に、乗員の頭部を進入させて拘束するための拘束用凹部を、前方に凹ませるようにして、配設させ、
エアバッグの内部に、展開膨張時の拘束用凹部の後方への移動を抑制可能に、拘束用凹部の凹みの先端側に連結される凹部用テザーを、配設させる構成とする場合、
連結部材を、可撓性を有したシート体から構成される連結部本体を上下方向側で少なくとも2つ並設させて構成して、各連結部本体を離隔側壁部に結合させる離隔側結合部位を、上下方向側で重なる領域を有し、かつ、少なくとも一方を前突用拘束面よりも前方に延ばすように、配設させるとともに、一方の連結部本体における本体側端末を、本体膨張部側壁部に結合させ、他方の連結部本体における本体側端末を、拘束用凹部の凹みの先端側に結合させるように、構成する構成としてもよい。
助手席用エアバッグ装置をこのような構成とする場合、連結部材における一方の連結部本体と、凹部用テザーと、により、膨張完了時に、前突用拘束面と斜突用拘束面との間において、安定して前方に凹むように配設される拘束用凹部に、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を円滑に進入させることができる。そのため、車両の斜め衝突時やオフセット衝突時等において、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を、斜突用拘束面と拘束用凹部内とによって、的確に保護することができる。また、上記構成の助手席用エアバッグ装置では、上下方向側で少なくとも2つの連結部本体を並設させて構成される連結部材において、一方の連結部本体の本体側端末を、前突用拘束面と斜突用拘束面との間に形成される拘束用凹部の凹みの先端側に結合させる構成としていても、2つの離隔側結合部部位を、上下方向側で一部重ならせるとともに、少なくとも一方を、前突用拘束面よりも前方に延ばすように配設させていることから、突出膨張部が、乗員の頭部を受け止めた際に、本体膨張部との境界部位付近を屈曲点として、本体膨張部から離れるように屈曲されることを抑制できて、屈曲による反力低下を招かないことから、突出膨張部により、乗員の頭部を安定して拘束することができる。
さらに、上記構成の助手席用エアバッグ装置において、2つの離隔側結合部位を、前後方向側の長さ寸法を略同一として、前後の略全域にわたって上下方向側で重なるように、配設させる構成とすれば、乗員の頭部受止時における突出膨張部の本体膨張部に対する屈曲変形を、一層抑制することができて、好ましい。さらに、連結部材における連結部本体の配置数を、3つ、あるいは、4つに増加させれば、乗員の頭部受止時における突出膨張部の本体膨張部に対する屈曲変形を、より一層抑制することができる。
さらにまた、上記構成の助手席用エアバッグ装置において、前突用拘束面と斜突用拘束面との間に、乗員の頭部を進入させて拘束するための拘束用凹部を、前方に凹ませるようにして、配設させ、
エアバッグの内部に、展開膨張時の拘束用凹部の後方への移動を抑制可能に、拘束用凹部の凹みの先端側に連結される凹部用テザーを、配設させる構成とする場合、
連結部材において、本体側端末を本体膨張部側壁部側と結合させる本体側結合部位を、本体膨張部側壁部から拘束用凹部を構成する壁部にかけてまたがるように、配置させる構成とすることが、好ましい。
助手席用エアバッグ装置をこのような構成とすれば、本体側結合部位を突出膨張部の領域内にのみ形成する場合と比較して、本体側結合部位を前後に長く延ばすように配置させることができ、換言すれば、連結部材の面積を広く確保することができて、乗員受止時における突出膨張部の変形を、一層抑制することができる。
さらにまた、上記構成の助手席用エアバッグ装置において、突出膨張部を、膨張完了時の水平方向に略沿った断面において、後端側の頂部を突出膨張部の左右方向の中央より離隔側壁部の側にずれて配置させるように構成すれば、斜突用拘束面が、前後方向に対して傾斜して配置されることとなって、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部に対して略正対するように配置させることができ、斜突用拘束面を前後方向に略沿わせるように配置させる場合と比較して、乗員の頭部を的確に保護することができる。また、このように突出膨張部を、後端側の頂部を突出膨張部の左右方向の中央より離隔側壁部の側にずれて配置させるような構成とする場合、突出膨張部は、後端側にかけて薄肉となる先細り状となるが、連結部材により、乗員の頭部受止時の本体膨張部に対する屈曲を抑制できて、乗員の頭部を安定して保護することができる。
本発明の一実施形態である助手席用エアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す右斜め後方から見た状態の斜視図である。 図1のエアバッグの左側面図である。 図1のエアバッグの概略縦断面図であり、拘束用凹部の部位での断面図である。 図1のエアバッグの概略横断面図である。 図1のエアバッグにおける拘束用凹部の部位での左右方向に沿った部分拡大縦断面図であり、図4のV-V部位に対応する。 図1のエアバッグで使用される左右テザーの平面図である。 図1のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 図1のエアバッグを構成する基布の残りを示す平面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す車両後方側から見た概略図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略横断面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、膨張完了時のエアバッグにおける突出膨張部によって乗員の頭部を受け止めた状態を示す概略横断面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略側面図である。 本発明の他の実施形態であるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す概略横断面図である。 図13のエアバッグを膨張させた車両搭載状態での概略側面図である。 本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを車両搭載状態で膨張させた概略側面図である。 本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを車両搭載状態で膨張させた概略側面図である。 本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを車両搭載状態で膨張させた概略側面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の助手席用エアバッグ装置M(以下、単に「エアバッグ装置」と省略する)は、図10に示すように、右側に助手席PSを配置させた左ハンドル車である車両の助手席PSの前方において、インストルメントパネル1(以下「インパネ」と省略する)の内部に配置されている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両の前後・上下・左右の方向と一致するものである。
実施形態のエアバッグ装置Mは、図10に示すように、エアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ15及びインフレーター8を収納保持する収納部位としてのケース12と、エアバッグ15及びインフレーター8をケース12に取り付けるためのリテーナ9と、を備えている。また、エアバッグ装置Mは、詳細な図示を省略するが、折り畳まれたエアバッグ15の上方を覆うとともに、エアバッグ15の展開膨張時に開き可能な扉部を有するエアバッグカバーも、備える構成とされている。実施形態では、インフレーター8は、車両の前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突と、の際に、作動するように構成されている。
エアバッグ15は、図1~5に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体16と、バッグ本体16の内部に配置されてバッグ本体16の膨張完了形状を規制するテザー45,49,57,61,68と、を備える構成とされている。
バッグ本体16は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされるもので、実施形態の場合、図1~4に示すように、本体膨張部17と、膨張完了時の本体膨張部17の後面側から部分的に後方に突出するように配設される突出膨張部29と、を備えている。
本体膨張部17は、膨張完了時に、インパネ1とウィンドシールド4(図12参照)との間に配置されるもので、膨張完了時の形状を、図1に示すように、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱状として、膨張完了時の前端側に、ケース12に取り付けられる取付部24を、備える構成とされている(図1,4,10参照)。この実施形態のエアバッグ15では、本体膨張部17は、膨張完了時の前端17a側をケース12に取り付けられて、膨張完了時に、図4,10に示すように、左側の領域を、若干、運転席側となる左方に張り出させるように、配置される構成である。本体膨張部17は、膨張完了時に乗員MP側となる後面側に配置される後側壁部28と、後側壁部28の周縁から前方に延びるとともに前端17a側にかけて上下の幅寸法を小さくするように収束される先細り形状の周壁部18と、を備えている。
周壁部18は、エアバッグ15の膨張完了時に、主にインパネ1とウィンドシールド4との間に配置される部位であり、上下方向側で対向して配置される上壁部19,下壁部20と、左右方向側で対向して配置される左壁部21,右壁部22と、を備えている。実施形態のエアバッグ15では、周壁部18における膨張完了時の前端側の部位が、エアバッグ15をケース12に取り付けるための取付部24とされている。取付部24は、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、ケース12の左右方向側の幅寸法よりも大きく設定されている(図10参照)。取付部24における膨張完了時の下面側(下壁部20側)には、図4に示すように、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して形成されるガス流入口25と、ガス流入口25の周縁においてリテーナ9の図示しないボルトを挿通させるための複数(実施形態の場合、4個)の取付孔26と、が、形成されている。そして、ガス流入口25の周縁をリテーナ9を利用してケース12に取り付けられることにより、エアバッグ15は、取付部24の部位でケース12に取り付けられている。ガス流入口25は、実施形態の場合、取付部24の左右の中央から若干右方にずれた位置に、配置されるもので、エアバッグ15は、このガス流入口25の中心を取付中心C(図4参照)とし、この取付中心Cを、助手席PSの左右方向の中心と略一致させるようにして、ケース12に取り付けられて、車両に搭載されている(図10参照)。また、周壁部18における左壁部21と右壁部22とには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気させるためのベントホール27が、形成されている。
後側壁部28は、エアバッグ15の膨張完了時に、乗員MP側となる後面側において、上下方向に略沿うように配置されるもので、運転席側となる左縁側の部位に、部分的に後方に突出するように膨張する突出膨張部29を、配設させている。
突出膨張部29は、エアバッグ15の膨張完了時に、助手席PSに着座した乗員MPの左斜め前方となる位置に、配置されることとなる(図10参照)。この突出膨張部29は、膨張完了時の前端29a側において、本体膨張部17と連通され、本体膨張部17を経て内部に膨張用ガスを流入させる構成である(図4参照)。この突出膨張部29は、膨張完了時の左右方向側から見た外形形状を、図2,3に示すように、本体膨張部17側となる前端29a側を幅広として、後端29b側にかけて狭幅とするような略台形状とされている。また、この突出膨張部29は、膨張完了時に左右方向側で対向する左壁部30(離隔側壁部)と右壁部31(本体膨張部側壁部)とを備えており、実施形態の場合、左壁部30と右壁部31との外周縁相互を結合させて構成されている。この突出膨張部29の外形寸法(上下方向側の幅寸法及び前後方向側の幅寸法(後側壁部28からの突出量))は、エアバッグ15の膨張完了時において、右壁部31(本体膨張部側壁部であって、後述する斜突用拘束面37)によって、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを安定して受け止め可能な寸法に、設定されている。さらに、突出膨張部29は、膨張完了時の水平方向(前後方向)に略沿った断面において、後端29b側の頂部を、突出膨張部29の左右方向の中央より離隔側壁部(左壁部30)の側にずれて配置させるように、構成されている(図4参照)。実施形態の場合、突出膨張部29において、左壁部30が、エアバッグ15の膨張完了時に、本体膨張部17における左壁部21から連なって前後方向に略沿って配置される構成とされ、右壁部31が、後端側を左方(左壁部30側)に向けるように、前後方向に傾斜して配置される構成とされている。すなわち、実施形態のエアバッグ15では、突出膨張部29は、膨張完了時の前後方向に沿った断面において、後端29b側の頂部を左壁部21側に位置させるように、右壁部31を斜辺とした略直角三角形状とされている。具体的には、右壁部31は、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHに対して略正対して配置されるように、前後方向に対する傾斜角度θを、30°程度に、設定されている(図4参照)。この突出膨張部29の膨張完了形状(右壁部31の傾斜状態)は、内部に配置される左右テザー61により賦形されるものである。
実施形態のエアバッグ15は、膨張完了時の後側の領域を、乗員MPを保護可能な乗員保護部35として、構成されている。具体的には、エアバッグ15において、突出膨張部29と、本体膨張部17における後側壁部28と、が、乗員保護部35を構成している。乗員保護部35は、車両の前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な前突用拘束面36と、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時等に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な斜突用拘束面37と、前突用拘束面36と斜突用拘束面37との間に配置されて乗員MPの頭部MHを進入させて拘束させるための拘束用凹部39と、を備える構成とされている。
実施形態の場合、前突用拘束面36は、後側壁部28の上側の領域から構成されるもので、膨張完了時のエアバッグ15において、後側壁部28における突出膨張部29の右側に配置される領域から、構成されている。前突用拘束面36は、取付中心Cを通る前後方向に沿った中心線CLと交差する付近の領域を、前進移動する乗員MPの頭部MHを受け止める受止中心36aとして、この受止中心36aから左側(運転席側)と右側(運転席から離れた側)とに延びるように、構成されているが、実施形態の場合、図4に示すように、中心線CLより左側となる左側領域の左右方向側の幅寸法を、中心線CLより右側となる右側領域の左右方向側の幅寸法の1/2程度として、構成されている。また、実施形態の場合、前突用拘束面36は、エアバッグ15の膨張完了時に、前後方向に略沿った横断面において、中心線CL上(受止中心36a付近)を、前方側に向かって僅かに凹ませるように、構成されている(図4参照)。さらに、実施形態のエアバッグ15において、後側壁部28における下側の領域は、前突時や斜突時、オフセット衝突時等において前進移動する乗員MPが頭部MHを乗員保護部35によって拘束された際に、主に、乗員MPの胸部を受け止めることとなり、前突用拘束面36を含めた後側壁部28(本体膨張部17の後端側)は、乗員の上半身と略同等の幅寸法を有する構成とされている(図9参照)。
斜突用拘束面37は、突出膨張部29において、膨張完了時に前突用拘束面36から連なるように配置される本体膨張部側壁部としての右壁部31から、構成されている。この斜突用拘束面37は、エアバッグ15の膨張完了時に、後縁37aを左方に位置させるように、前後方向に対して傾斜して、配置される。
前突用拘束面36と斜突用拘束面37との間に形成される拘束用凹部39は、乗員MPの頭部MHを進入させて拘束するためのものであり、実施形態の場合、突出膨張部29の右側の領域と、本体膨張部17における後側壁部28と、の境界部位に、上下方向に略沿うようにして形成されるとともに、図3,4に示すように、後端39b側を開口させて、ポケット状に前方に凹む構成とされている。この拘束用凹部39は、左右方向側から見て上下に幅広とした略長方形状の左側壁41と右側壁42とを有し、この左側壁41,右側壁42の上縁相互、下縁相互、前縁相互を、それぞれ、結合(縫着)させることにより、後端39b側を開口させた略ポケット状に、構成されている。この拘束用凹部39は、上下方向側の長さ寸法(開口40の開口幅寸法)を、乗員MPの頭部MHを円滑に進入させることが可能な寸法に設定されており、前後方向側の幅寸法(深さ)を、乗員MPの頭部MHの前側の領域を進入可能な寸法に設定されている。また、実施形態の場合、拘束用凹部39は、図3,4に示すように、凹みの先端(前端39a)側を、バッグ本体16内に配置される凹部用テザー49と、連結部材60における連結部本体を構成する規制テザー68と、に連結されて、エアバッグ15の膨張完了時に、凹みの先端(前端39a)を前方に牽引された状態で配置されることとなる。実施形態の場合、拘束用凹部39は、エアバッグ15の膨張完了時に、左側壁41と右側壁42とを略全域にわたって接触させるように、後端39b側の開口40の口開きを抑制された状態で、突出膨張部29の右壁部31(斜突用拘束面37)から連なりつつ、前後方向に略沿うように、配置されることとなる(図4参照)。
実施形態のエアバッグ15の乗員保護部35では、突出膨張部29は、膨張完了時における左右方向側の幅寸法L3を、本体膨張部17において中心線CLより右側となる右側領域17bの左右方向側の幅寸法L1と同程度として、この幅寸法L1よりも僅かに小さくし、かつ、本体膨張部17において中心線CLより左側となる左側領域17cの左右方向側の幅寸法L2の2/3程度として、構成されている(図4参照)。また、突出膨張部29の前後方向側の幅寸法(前突用拘束面36からの突出量)L4は、左右方向側の幅寸法L3と略同一に、設定されている。すなわち、実施形態のエアバッグ15の乗員保護部35では、前後方向に対して傾斜して配置される斜突用拘束面37(右壁部31)が、左右に幅広に構成され、この斜突用拘束面37と前突用拘束面36との間に配置される拘束用凹部39は、前突用拘束面36における受止中心36a側となる位置に、配置されることとなる(図9参照)。そして、実施形態の場合、車両の斜め衝突時やオフセット衝突時等において、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHは、浅い角度で(前後方向に対する角度を小さくして)移動する場合には、拘束用凹部39内に進入するようにして、保護されることとなり、深い角度で(前後方向に対する角度を大きくして)移動する場合には、斜突用拘束面37に接触して突出膨張部29自体で受け止められるようにして、保護されることとなる(図10,11参照)。
バッグ本体16内に配置されるテザーとしては、図1,3~5に示すように、本体膨張部17の領域内に配置される前後テザー45、凹部用テザー49、及び、左右テザー57と、主に突出膨張部29の領域内に配置される左右テザー61と、本体膨張部17の領域内に配置される規制テザー68と、が、配設されている。そして、実施形態のエアバッグ15では、左右テザー61と規制テザー68とが、連結部材60における連結部本体を、構成している。すなわち、突出膨張部29の内部において、本体膨張部側壁部としての右壁部31側と、本体膨張部側壁部(右壁部31)と左右方向側で対向する離隔側壁部としての左壁部30側と、を連結する連結部材60は、左右テザー61と規制テザー68とを備える構成とされている。
前後テザー45は、前突用拘束面36における中心線CLと交差する部位(受止中心36a)付近と、エアバッグ15(本体膨張部17)の前端17a側と、を連結するもので、図4に示すように、エアバッグ15の膨張完了時に、中心線CL上に位置するように配置されて、ガス流入口25の周縁から延びる前側部位46と、後側壁部28側から延びる後側部位47と、を連結させるようにして、構成されている。
実施形態では、前側部位46は、凹部用テザー49とともに、図8に示すテザー用基布52から、構成されている。テザー用基布52は、共用としてガス流入口25の周縁に連結される連結部53と、連結部53から後方に延びて前側部位46を構成する帯状の前側部位用基材54と、連結部53から左斜め後方に向かって延びて凹部用テザー49を構成する帯状部55と、を備える構成とされている。そして、前側部位46は、この帯状の前側部位用基材54を折って形成されるもので、バッグ本体16の膨張完了時における外形形状を、前端46a側を左右方向に略沿わせ、後端46b側を上下方向に略沿わせるような略三角錐形状に近似した立体形状とされている。テザー用基布52の連結部53は、ガス流入口25及び取付孔26に対応する開口(図符号省略)を有するもので、ガス流入口25の周縁の部位で、本体膨張部17における取付部24の下面側の部位に、縫着される構成である。
後側部位47は、シート状として、外形形状を、前側部位46に連結される前端47a側を狭幅とし、後側壁部28に連結される後端47b側にかけて上下に拡開されるような略台形状とされるもので、後端47b側を、中心線CL上であって、後側壁部28の上下の略中央となる位置に、連結される構成である。
この前後テザー45は、エアバッグ15の膨張完了時に、後側壁部28における中心線CLと交差する部位、すなわち、前突用拘束面36における乗員頭部MHの受止中心36a付近と、ガス流入口25の周縁部位(本体膨張部17の前端17a側)と、を連結するもので、エアバッグ15の膨張初期における前突用拘束面36の過度の後方への突出や、膨張完了時の前突用拘束面36の後方移動を抑制するために、配置されている。また、実施形態では、後側壁部28は、この前後テザー45に牽引されるようにして、エアバッグ15の膨張完了時に、中心線CL上となる位置(前突用拘束面36の受止中心36a)を、上下の略全域にわたって、僅かに前方側に向かって凹ませて、配設されることとなる(図4参照)。
凹部用テザー49は、エアバッグ15の膨張完了時に、図4に示すように、拘束用凹部39の凹みの先端(前端39a)側と、エアバッグ15の前端側(本体膨張部17の前端17a側)と、を連結するように、配置されている。この凹部用テザー49は、上述したごとく、テザー用基布52の帯状部55から構成されるもので、帯状部55の後端55a側を、拘束用凹部39の前端39a側に連結させることにより、エアバッグ15の膨張完了時に、前端49a側を右方に位置させ、後端49b側を左方に位置させるように、前後方向に対して傾斜して配置される構成である(図4参照)。この凹部用テザー49は、長さ寸法を、エアバッグ15の膨張完了時に、規制テザー68による拘束用凹部39の向きの規制を妨げず、かつ、拘束用凹部39を前方に牽引可能な寸法に、設定されている。
本体膨張部17の領域内に配置される左右テザー57は、図4に示すように、前後テザー45の前後の中間部位と、右壁部22の前後の中間部位と、を連結するように、幅方向を上下方向に略沿わせつつ、左右方向に略沿って配置されるもので、詳細には、左端57aを、前後テザー45における前側部位46と後側部位47との連結部位付近に、共縫いにより連結させ、右端57bを、右壁部22における前後の中央よりやや後方となる位置に、連結させる構成である。実施形態の場合、左右テザー57は、膨張を完了させたエアバッグ15を上下方向側から見た状態で、右端57bを僅かに後側に位置させるように、左右方向に対して僅かに傾斜して配置される構成である。この左右テザー57は、実施形態の場合、左右方向側で並設される2枚のテザー用基布58L,58Rを結合させて構成されている。この左右テザー57は、エアバッグ15の膨張完了時に、前後テザー45と右壁部22との離隔距離を規制するもので、エアバッグ15の膨張初期に、本体膨張部17が左右に広く突出するように膨張することを抑制するために、配設されている。
主に突出膨張部29の領域内に配置される左右テザー61は、可撓性を有したシート体から構成されるとともに、突出膨張部29における本体膨張部側壁部である右壁部31側と、膨張完了時に右壁部31(本体膨張部側壁部)と左右方向側で対向する離隔側壁部としての左壁部30側と、を連結するように、配設されている。具体的には、左右テザー61は、前後方向に略沿って延びるように配設されて、左壁部30と右壁部31とを連結している(図1,4,5参照)。詳細には、左右テザー61は、外形形状を、後縁61b側を狭幅として、前縁61a側にかけて幅広とされるような略台形状として、構成されるもので(図6参照)、車両搭載状態において膨張させたエアバッグ15を左右方向側から見た状態で、突出膨張部29の上下の略中央において、僅かに前下がりで傾斜して、配設されている(図12参照)。この左右テザー61の傾斜は、図示しない腰部を起点として前傾しつつ斜め前方に向かって移動してくる乗員MPの頭部MHの移動軌跡に略沿うものである(図12参照)。また、この左右テザー61は、前後方向側の長さ寸法を、突出膨張部29の前後方向側の幅寸法より大きく設定して、突出膨張部29の後端29b付近から、本体膨張部17における拘束用凹部39の左側の領域内にかけて、またがるように、配設されている(図2~4参照)。この左右テザー61は、図4~6に示すように、左右方向側で並設される2枚のテザー用基布62L,62Rを結合させて、構成されている。
そして、実施形態の場合、左右テザー61は、本体膨張部17側となる本体側端末としての右端末61dを、右壁部31から拘束用凹部39の左側壁41にかけてに結合させ、離隔側端末としての左端末61cを、左壁部30から本体膨張部17における左壁部21にかけて結合させる構成とされている(図2,3参照)。詳細には、左右テザー61は、略左右対称形として構成され(図6参照)、左端末61cと右端末61dとを、長さ寸法を略同一に設定されている。そして、各左端末61c,右端末61dは、それぞれ、略全長にわたって、連続した略直線状の左側結合部位64と右側結合部位65とを形成するように、左壁部30側と右壁部31側とに、縫合糸を用いて縫着されている。すなわち、実施形態では、離隔側結合部位としての左側結合部位64と、本体側結合部位としての右側結合部位65とは、連続的に形成される略直線状として、長さ寸法を略同一に設定されている。左端末61cを左壁部30から本体膨張部17における左壁部21にかけて結合させる左側結合部位64(離隔側結合部位)は、膨張完了時のエアバッグ15を左右方向側から見た状態で、後端64bを突出膨張部29の後端29b近傍に位置させ、前端64a側を突出膨張部29から本体膨張部17の領域内に進入させるように、配置されており、すなわち、左側結合部位64は、膨張完了時に左右方向側から見た状態で、前突用拘束面36よりも前方に延びるように、配置されている(図2参照)。右端末61dを右壁部31から左側壁41にかけて結合させる右側結合部位65(本体側結合部位)は、実施形態の場合、後端65bを突出膨張部29の後端29b近傍に位置させ、前端65aを拘束用凹部39の凹みの先端(前端39a)近傍に位置させて、右壁部31から左側壁41にかけてまたがるように、配置されている(図3参照)。この左右テザー61は、上述したごとく、連結部材60の連結部本体を、構成するものである。また、実施形態では、このような後側にかけて狭幅とされる台形状の左右テザー61を、前後の略全域にわたって配設させることにより、突出膨張部29が、後端29b側にかけて先細り形状に、構成されている。
本体膨張部17の領域内に配置される規制テザー68は、拘束用凹部39の向きを規制するためのものであり、エアバッグ15の膨張完了時に、拘束用凹部39を前後方向に略沿わせて配置可能とするために、配設されている。規制テザー68は、可撓性を有したシート体から構成されるもので、前後方向に略沿って延びるように配設されるとともに、拘束用凹部39の凹みの先端(前端39a)側と、本体膨張部17における左壁部21と、を連結する構成とされている。詳細には、実施形態の場合、規制テザー68は、図7に示すように、外形形状を、拘束用凹部39側となる右端末38b側を狭幅として、左壁部21側となる左端末68a側にかけて拡開しつつ幅広とされるような略台形状として、構成されており、左端末68a側における後側の領域を、左右テザー61と上下で重ならせるように、左右テザー61の下側に近接しつつ、左右テザー61に略沿うように、配設されている(図4,5参照)。すなわち、この規制テザー68も、斜め前方に向かって移動してくる乗員MPの頭部MHの移動軌跡に略沿うように、車両搭載状態において膨張させたエアバッグ15を左右方向側から見た状態で、僅かに前下がりで傾斜して、配設されている(図12参照)。
この規制テザー68は、離隔側端末としての左端末68aを、縫合糸を用いて縫着させることにより本体膨張部17における左壁部21に結合させ、右端末68bを、拘束用凹部39の凹みの先端(前端39a)側に結合させる構成とされており、実施形態の場合、右端末68bは、凹部用テザー49の後端49bとともに共縫いされて、拘束用凹部39の凹みの先端(前端39a)側に連結される(図4参照)。この規制テザー68は、左右方向側の幅寸法(左端末68a,右端末68b間の離隔距離)を、凹部用テザー49と協働して、エアバッグ15の膨張完了時に、拘束用凹部39を、前後方向に略沿わせつつ、前方に牽引可能な寸法に、設定されている。規制テザー68において、左端末68aを左壁部21に結合させる離隔側結合部位としての左側結合部位70は、左端末68aの略全長にわたって連続的に形成される略直線状(実施形態の場合、前後に扁平な略長円形状)とされるもので、実施形態の場合、長さ寸法L5を、左右テザー61の左端末61cを結合させている左側結合部位64の長さ寸法L6より、若干小さく設定され(図2参照)、後端側70bの領域を、左側結合部位64の前端64a側の領域と上下で重ならせるようにして、左側結合部位64の下方において、左側結合部位64よりも前方に延びるように、配設されている。実施形態の場合、左側結合部位70は、前端70aを、拘束用凹部39の凹みの先端(前端39a)よりも前方であって、膨張完了時のエアバッグ15を左右方向側から見た状態で本体膨張部17の最も上下に幅広となる部位(中央部位)よりも前方に位置させるように、構成されている(図2,3参照)。また、左側結合部位64,70は、相互に略平行となるように、形成されている。具体的には、実施形態の場合、左側結合部位70は、全長の1/2程度の部位を、左側結合部位64の下側において、左側結合部位64と重ならせて、配置されている。この規制テザー68は、上述したごとく、連結部材60の連結部本体を、構成するものである。
バッグ本体16は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に形成されるもので、実施形態の場合、図7,8に示すように、左パネル部77,右パネル部81と、前パネル部75と、後左パネル部83,後中央パネル部87,後右パネル部90と、から構成されている。
前パネル部75は、外形形状を、長手方向を前後方向に略沿わせた略帯状として構成されるもので、膨張完了時の本体膨張部17において、上下方向側で対向する上壁部19から下壁部20にかけてを、構成している。実施形態の場合、前パネル部75は、左縁75cの中央を左方に張り出させるように、左右非対称として、構成されている。
左パネル部77は、膨張完了時の本体膨張部17における左壁部21から突出膨張部29の左壁部30にかけてを構成するもので、詳細には、本体膨張部17の左壁部21を構成する略三角形状の本体部78の後端側に、突出膨張部29の左壁部30を構成する略台形状の突出部構成部79を、連結させて構成されている。右パネル部81は、本体膨張部17の右壁部22を構成するもので、外形形状を、左パネル部77における本体部78の外形形状と略同一とした略三角形状とされている。
後左パネル部83は、膨張完了時の本体膨張部17における後側壁部28の左縁側の部位を構成する略帯状とされるとともに、突出膨張部29の右壁部31を構成する突出部構成部84と、拘束用凹部39の左側壁41を構成する凹部用部位85と、を部分的に突出させて構成されている。具体的には、突出部構成部84は、平らに展開した状態の後左パネル部83における左縁83cから突出し、凹部用部位85は、右縁83dから突出するように、形成されている。
後中央パネル部87は、後側壁部28(前突用拘束面36)における受止中心36aよりも左側の領域を構成するもので、長手方向を上下方向に略沿わせた帯状として構成されている。後中央パネル部87の左縁87cには、拘束用凹部39の右側壁42を構成する凹部用部位88が、部分的に突出して形成されている。後右パネル部90は、後側壁部28(前突用拘束面36)における受止中心36aよりも右側の領域を構成するもので、長手方向を上下方向に略沿わせた帯状として、構成されている。
実施形態では、バッグ本体16を構成している左パネル部77,右パネル部81,前パネル部75,後左パネル部83,後中央パネル部87,後右パネル部90、前後テザー45の前側部位46及び凹部用テザー49を構成するテザー用基布52、前後テザー45の後側部位47、左右テザー57を構成するテザー用基布58L,58R、左右テザー61を構成するテザー用基布62L,62R、及び、規制テザー68は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。
そして、実施形態のバッグ本体16は、図1~5に示すように、左パネル部77,右パネル部81,前パネル部75,後左パネル部83,後中央パネル部87,後右パネル部90の対応する縁部相互を、縫合糸を用いて縫着(結合)させることにより、袋状とされている。具体的には、前パネル部75における後上縁75aは、後左パネル部83,後中央パネル部87,後右パネル部90の上縁83a,87a,90aと結合され、後下縁75bは、後左パネル部83,後中央パネル部87,後右パネル部90の下縁83b,87b,90bと結合される。前パネル部75の左縁75cは、左パネル部77における本体部78の上縁78aから下縁78bにかけての部位と結合され、前パネル部75の右縁75dは、右パネル部81の上縁81aから下縁81bにかけての部位と結合される。後左パネル部83の左縁83cは、左パネル部77における本体部78の後縁78cと結合される。後左パネル部83の右縁83dは、後中央パネル部87の左縁87cと結合され、このとき、凹部用部位85,88の外縁85a,88a相互も、結合される。後中央パネル部87の右縁87dは、後右パネル部90の左縁90cと結合される。後右パネル部90の右縁90dは、右パネル部81の後縁81cと結合される。左パネル部77における突出部構成部79の上縁79a,下縁79b,後縁79cは、それぞれ、後左パネル部83における突出部構成部84の上縁84a,下縁84b,後縁84cと、結合される。
この実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、内部にリテーナ9を収納させた状態のエアバッグ15を、ケース12内に収納可能に折り畳み、周囲を、破断可能な図示しないラッピングシートにくるんだ状態で、ケース12内に収納させ、インフレーター8を、リテーナ9を利用してエアバッグ15のガス流入口25の周縁とともに、ケース12に連結させる。その後、折り畳まれたエアバッグ15とインフレーター8とを保持させたケース12を、車両に搭載されたインパネ1に形成される図示しないエアバッグカバーに連結させれば、エアバッグ装置Mを車両に搭載させることができる。
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、車両に搭載した状態で、車両の前面衝突時、斜め衝突時、若しくは、オフセット衝突時に、インフレーター8が作動することとなり、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、ケース12から突出しつつ、図9,10,12に示すように膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ15の膨張完了時に、突出膨張部29の内部において離隔側壁部としての左壁部30と、本体膨張部側壁部としての右壁部31と、を連結する連結部材としての左右テザー61が、突出膨張部29における左壁部30に結合される離隔側結合部位としての左側結合部位64を、前突用拘束面36を超えて前方に延ばすように、配設される構成である。すなわち、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、膨張完了時のエアバッグ15における突出膨張部29内に、可撓性を有したシート体からなる左右テザー61が、前後方向に略沿いつつ張った状態で配置されることとなり、突出膨張部29における左壁部30側において、本体膨張部17における突出膨張部29の側壁部(左壁部21)の領域内に進入させるように、前後方向に略沿った棒状の左側結合部位64が、配設されることとなる。そのため、エアバッグ15の膨張時に、左右テザー61が、張力を作用されて板状の剛性を発揮し、さらに、その左右テザー61の左側結合部位64が、前後方向に略沿って線状の剛性を発揮して、前後方向に沿う棒状の補強材のような作用を奏することから、突出膨張部29における本体膨張部17との境界部位付近の左壁部30から本体膨張部17の左壁部21にわたるエリアでの屈曲を、防止できる。その結果、エアバッグ15の膨張完了時において、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを斜突用拘束面37に接触させるようにして、突出膨張部29が、乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、突出膨張部29が強い力で押圧されることとなっても、左側結合部位64を前突用拘束面36(突出膨張部29と本体膨張部17との境界部位)を超えて前方に延ばすように配設させている左右テザー61によって、突出膨張部29が変形することを抑制でき、突出膨張部29が、本体膨張部17との境界部位付近を屈曲点として、本体膨張部17から離れるように屈曲されることを抑制できて、屈曲による反力低下を招かないことから、突出膨張部29により、乗員MPの頭部MHを安定して拘束することができる。
したがって、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、突出膨張部29によって、安定して乗員MPの頭部MHを保護することができる。
また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ15が、前突用拘束面36と斜突用拘束面37との間に、乗員MPの頭部MHを進入させて拘束するための拘束用凹部39を、備える構成であり、この拘束用凹部39は、連結部材60における一方の連結部本体を構成する規制テザー68と、凹部用テザー49と、によって、安定して前方に凹むように配設される構成であることから、拘束用凹部39に、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを円滑に進入させることができる。そのため、車両の斜め衝突時やオフセット衝突時等において、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを、斜突用拘束面37と拘束用凹部39内とによって、的確に保護することができる。また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、連結本体部としての規制テザー68と左右テザー61とが、各離隔側結合部位としての左側結合部位64,70を、上下方向側で一部重ならせるとともに、少なくとも一方(実施形態の場合、両方)を、前突用拘束面36よりも前方に延ばすように配設させている。そのため、突出膨張部29が、乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、本体膨張部17との境界部位付近を屈曲点として、本体膨張部17から離れるように屈曲されることを抑制できて、屈曲による反力低下を招かず、突出膨張部29により、乗員MPの頭部MHを安定して拘束することができる。なお、エアバッグとしては、図15に示すエアバッグ15Bのごとく、連結部材60Bとして、規制テザーを設けず、1つの左右テザー61Bのみからなる構成のものを、使用してもよい。
特に、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、左右テザー61における左側結合部位64自体も、前突用拘束面36よりも前方に延びる構成とされ、この左右テザー61の左側結合部位64と上下方向側で一部(後端側)を重ならせている規制テザー68の左側結合部位70が、さらに前方に延びるように構成されており、具体的には、規制テザー68に設けられる左側結合部位70の前端70aは、膨張完了時のエアバッグ15を左右方向側から見た状態で本体膨張部17の最も上下に幅広となる部位(中央部位)よりも前方に位置させるように、構成されている。そのため、図11に示すように、エアバッグ15の膨張完了時において、突出膨張部29が、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めた際に、突出膨張部29が、本体膨張部17に対して屈曲することを抑制されて、突出膨張部29により、充分な反力を確保して、乗員MPの頭部MHを的確に拘束することができる。なお、左右テザーは、左側結合部位(離隔側結合部位)を、突出膨張部の領域内のみに配置させるように、構成してもよい。また、実施形態では、規制テザー68の左側結合部位70は、本体膨張部17における左壁部21の領域内のみに配設される構成であるが、後述するエアバッグ15A,15C,15Dのごとく、左側結合部位70A,70C,70Dを、本体膨張部17における左壁部21と突出膨張部29における左壁部30と、にまたがるように、配設させる構成としてもよい。
また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、左右テザー61において、本体側端末としての右端末61dを右壁部31側と結合させる右側結合部位65(本体側結合部位)が、右壁部31から拘束用凹部39を構成する右側壁42にかけてまたがるように、配置される構成である。そのため、本体側結合部位を突出膨張部29の領域内にのみ形成する場合と比較して、右側結合部位65を前後に長く延ばすように配置させることができ、換言すれば、左右テザー61の面積を広く確保することができることから、乗員受止時における突出膨張部29の変形を、一層抑制することができる。なお、このような点を考慮しなければ、左右テザーを、右側結合部位(本体側結合部位)を突出膨張部の右壁部の領域のみに配置させるような構成としてもよい。
さらに、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、突出膨張部29が、膨張完了時の水平方向に略沿った断面において、後端側の頂部を突出膨張部29の左右方向の中央より左壁部30の側にずれて配置させる構成であり、斜突用拘束面37(右壁部31)が、前後方向に対して傾斜して配置される構成である。そのため、斜突用拘束面37を、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHに対して略正対するように配置させることができ、斜突用拘束面を前後方向に略沿わせるように配置させる場合と比較して、乗員MPの頭部MHを的確に保護することができる。また、このように突出膨張部29を、後端側の頂部を突出膨張部29の左右方向の中央より左壁部30の側にずれて配置させるような構成とする場合、突出膨張部29は、後端29b側にかけて薄肉となる先細り状となるが、連結部材60により、乗員の頭部受止時の本体膨張部17に対する屈曲を抑制できて、乗員MPの頭部MHを安定して保護することができる。なお、このような点を考慮しなければ、エアバッグの突出膨張部を、斜突用拘束面を構成する本体膨張部側壁部と離隔側壁部とを略平行として膨張させる構成としてもよい。
また、図13,14に示すエアバッグ15Aのごとく、2つの左側結合部位64A,70A(離隔側結合部位)を、前後方向側の長さ寸法を略同一として、前後の略全域にわたって上下方向側で重なるように、配設させる構成としてもよい。このエアバッグ15Aでは、図13に示すごとく、左右テザー60Aと規制テザー68Aとが、ともに、前後に幅広として構成され、左側結合部位64A,70Aは、ともに、前突用拘束面36よりも前方に延ばすように配設されるとともに、前端を、膨張完了時のエアバッグ15Aを左右方向側から見た状態で本体膨張部17の最も上下に幅広となる部位(中央部位)よりも前方(ベントホール27よりも前方)に位置させるように、構成されている。また、図16に示すエアバッグ15Cのごとく、左右テザー61Cを、規制テザー68Cの上下両側に配設させる構成として、連結部材60Cを、3つの連結部材を有する構成(3本の左側結合部位64C,70C,70Cを並設させる構成)としてもよく、さらには、図17に示すエアバッグ15Dのごとく、左右テザー61Dを、規制テザー68Dの上側に1つと下側に2つ配設させる構成として、連結部材60Dを、4つの連結部材を有するような構成(4本の左側結合部位64D,70D,70D,70Dを並設させる構成)としてもよい。これらのエアバッグ15C,15Dにおいても、左側結合部位64C,64D,70C,70Dは、前端を、膨張完了時のエアバッグ15C,15Dを左右方向側から見た状態で本体膨張部17の最も上下に幅広となる部位(中央部位)よりも前方に位置させるように、構成されている。これらのエアバッグ15A,15C,15Dでは、実施形態のエアバッグ15と比較して、乗員の頭部受止時における突出膨張部の本体膨張部に対する屈曲変形を、一層抑制することができる。
なお、実施形態では、エアバッグ15が、突出膨張部29を、本体膨張部17の後面(前突用拘束面36)側において、運転席側(左側)のみに配置させている構成とされているが、突出膨張部は、本体膨張部の後面側における右側のみに配置させる構成としてもよく、さらには、突出膨張部を、本体膨張部の後面側における左右両側に配置させる構成としてもよい。
1…インストルメントパネル(インパネ)、12…ケース(収納部位)、15,15A,15B,15C,15D…エアバッグ、17…本体膨張部、17a…前端、28…後側壁部、29…突出膨張部、30…左壁部(離隔側壁部)、31…右壁部(本体膨張部側壁部)、36…前突用拘束面、37…斜突用拘束面、39…拘束用凹部、41…左側壁、42…右側壁、49…凹部用テザー、60,60A,60B,50C,60D…連結部材、61,61A,61B,61C,61D…左右テザー(連結部本体)、61c…左端末(離隔側端末)、61d…右端末(本体側端末)、64,64A,64B,64C,64D…左側結合部位(離隔側結合部位)、65…右側結合部位(本体側結合部位)、68,68B,68C…規制テザー(連結部本体)、68a…左端末(離隔側端末)、68b…右端末、70,70B,70C…左側結合部位(離隔側結合部位)、MP…乗員、MH…頭部、M…助手席用エアバッグ装置。

Claims (7)

  1. 助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位内に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて膨張しつつ車両後方に向かって突出し、前記乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える構成とされ、
    該エアバッグが、
    膨張完了時の前端側を前記収納部位に取り付けられて、前記収納部位から後方に向かって突出するように展開膨張する本体膨張部と、
    膨張完了時の前記本体膨張部の後面側において、左右方向の少なくとも一方側の縁側から部分的に後方に突出するように配設される突出膨張部と、
    を有し、
    前記本体膨張部における膨張完了時の後面が、車両の前突時に前進移動する前記乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面を構成し、
    前記突出膨張部において、膨張完了時に前記前突用拘束面から連なるように配置される本体膨張部側壁部が、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する前記乗員の頭部を保護可能な斜突用拘束面を、構成し、
    前記突出膨張部の内部に、可撓性を有したシート体から構成されるとともに、前記本体膨張部側壁部側と、膨張完了時に前記本体膨張部側壁部と左右方向側で対向する離隔側壁部側と、を連結する連結部材が、前後方向に略沿って延びるように配設される構成の助手席用エアバッグ装置であって、
    前記連結部材が、前記本体膨張部側となる本体側端末を前記本体膨張部側壁部に結合させ、離隔側端末を前記離隔側壁部に結合させるとともに、前記離隔側端末を前記離隔側壁部と結合させる離隔側結合部位を、膨張完了時に左右方向側から見た状態で、前記前突用拘束面よりも前方に延ばすように、構成されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
  2. 前記前突用拘束面と前記斜突用拘束面との間に、前記乗員の頭部を進入させて拘束するための拘束用凹部が、前方に凹ませるようにして、配設され、
    前記エアバッグの内部に、展開膨張時の前記拘束用凹部の後方への移動を抑制可能に、前記拘束用凹部の凹みの先端側に連結される凹部用テザーが、配設され、
    前記連結部材が、可撓性を有したシート体から構成される連結部本体を、上下方向側で少なくとも2つ並設させて構成されて、各連結部本体を前記離隔側壁部に結合させる前記離隔側結合部位を、上下方向側で重なる領域を有し、かつ、少なくとも一方を前記前突用拘束面よりも前方に延ばすように、配設させるとともに、一方の前記連結部本体における前記本体側端末を、前記本体膨張部側壁部に結合させ、他方の前記連結部本体における前記本体側端末を、前記拘束用凹部の凹みの先端側に結合させるように、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
  3. 2つの前記離隔側結合部位が、前後方向側の長さ寸法を略同一として、前後の略全域にわたって上下方向側で重なるように、配設されていることを特徴とする請求項2に記載の助手席用エアバッグ装置。
  4. 前記連結部材が、上下方向側で3つの前記連結部本体を並設させて構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の助手席用エアバッグ装置。
  5. 前記連結部材が、上下方向側で4つの前記連結部本体を並設させて構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の助手席用エアバッグ装置
  6. 前記前突用拘束面と前記斜突用拘束面との間に、前記乗員の頭部を進入させて拘束するための拘束用凹部が、前方に凹ませるようにして、配設され、
    前記エアバッグの内部に、展開膨張時の前記拘束用凹部の後方への移動を抑制可能に、前記拘束用凹部の凹みの先端側に連結される凹部用テザーが、配設され、
    前記連結部材が、本体側端末を前記本体膨張部側壁部側と結合させる本体側結合部位を、前記本体膨張部側壁部から前記拘束用凹部を構成する壁部にかけてまたがるように、配置させる構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。
  7. 前記突出膨張部が、膨張完了時の水平方向に略沿った断面において、後端側の頂部を、前記突出膨張部の左右方向の中央より前記離隔側壁部の側にずれて配置させるように、構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の助手席用エアバッグ装置

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