JP7283284B2 - 成形フィルム用導電性組成物、成形フィルムおよびその製造方法、成形体およびその製造方法 - Google Patents
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特許文献1には、当該導電回路一体化成形品の製造方法として、特定の導電回路が形成されたベースフィルムを射出成形用金型のキャビティ面に配置した後、溶融樹脂を射出して、樹脂成形体を射出成形することが記載されている。
特許文献1において、導電回路は、特定の透明金属薄膜をエッチングすることにより形成されている。
例えば特許文献2には、スクリーン印刷によって高精細な導電性パターンを形成することが可能な低温処理型の導電性インキとして、特定の導電性微粒子と、特定のエポキシ樹脂とを含有する特定の導電性インキが開示されている。スクリーン印刷によれば導電パターンの厚膜化が可能であり、導電パターン低抵抗化が実現できるとされている。
凹凸面または三次元曲面を有する基材表面に導電回路を形成するための成形フィルムの製造用の導電性組成物であって、
樹脂(A)と、導電性微粒子(B)と、ポリロタキサン化合物(C)とを含有し、前記樹脂(A)と前記ポリロタキサン化合物(C)の重量比率が95:5~50:50であり、前記導電性微粒子(B)の含有量が、組成物の固形分全体中の50~92重量%である。
前記樹脂(A2)が、ガラス転移点を0℃以上120℃未満に有し、0℃未満に有さず、かつ 前記樹脂(A2)の重量平均分子量が、5,000以上100,000未満である
前記導電層が、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である。
基材上に前記成形フィルムを配置する工程と、 オーバーレイ成形法により、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む。
なお本実施において、硬化物とは、化学反応により硬化したもののみならず、例えば溶剤が揮発することにより硬くなったものなど、化学反応によらずに硬化したものを包含する。
樹脂(A)と、導電性微粒子(B)と、ポリロタキサン化合物(C)と、を含有し、
前記樹脂(A)と、ポリロタキサン化合物(C)の重量比率が95:5~50:50であり、前記導電性微粒子(B)の含有量が、組成物の固形分全体中の50~92重量%である、
なお、本発明における凹凸面や三次元曲面とは、なだらかな曲線断面を有する面のみでなく、鋭角状の角や矩形形状を有する立体面全般を示す。すなわち、平面を伸縮することなく変形させることのみでは、成立させることのできない立体形状を指し、例えば半球状、円錐状、円柱状、四角柱状等の立体形状を指すものである。なお、ある立体形状が、連続した立体面内に先述の平面または二次元曲面と、三次元曲面の両方の要素を有する場合、例えば平面形状に1か所以上の部分的な半球状形状が組み合わされた立体形状に関しては、全体として平面を伸縮することなく変形させることによって成立させることのできない立体形状であることから、これも三次元曲面であるものとする。即ち本発明における凹凸面や三次元曲面は、フレキシブル基板等を折り曲げることでは実現できないものであり、たとえば、成形性フィルムの加熱下での立体成形による賦形などによって実現可能となる形状である。
即ち、本発明の成形フィルム用導電性組成物は、上記の組み合わせにより、スクリーン印刷等で、導電性に優れた厚膜の導電層を有する成形フィルムを容易に製造することができる。また、当該成形フィルム用導電性組成物を用いて製造された成形フィルムは、平坦でない基材表面に用いた場合であっても導電性の低下が抑制される。更に、当該成形フィルムを用いることで、実用的な強度をもつ立体形状プラスチックからなる基材上の凹凸面や曲面などの任意の面に導電回路が形成された成形体を得ることができる。
本実施の導電性組成物は、成膜性や、ベースフィルム乃至加飾層への密着性を付与するために、バインダー性の樹脂(A)を含有する。また、本実施においては、樹脂(A)を含有することにより、導電層に柔軟性を付与することができる。そのため、樹脂(A)を含有することにより延伸に対する導電層の断線が抑制される。
末端ブロックイソシアネート樹脂(A1)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の2官能イソシアネートと2官能以上のポリオールやポリアミン等の活性水素化合物とのプレポリマー体樹脂の末端イソシアネート基が、ε-カプロラクタムやMEKオキシム等で保護(ブロック化)された末端イソシアネート樹脂であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、上記末端イソシアネート樹脂のイソシアネート基を、ε-カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、ジイソプロピルアミン、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。
末端ブロックイソシアネート樹脂(A1)は、重量平均分子量2,500以上100,000未満であることが好ましい。重量平均分子量を2,500以上とすることで高い柔軟性と強靭性を発現することができ、また100,000未満とすることで実用的な架橋反応性を保持することが可能となる点で好ましい。
また樹脂(A2)はガラス転移点を0℃以上120℃未満に有することが好ましい。ガラス転移点を0℃以上とすることで熱成型時における配線パターンの変形・断線が抑止でき、また120℃未満とすることで熱加工時の一般的な成形温度である120℃~160℃近傍で熱成形できる点で好ましい。
さらに熱可塑性樹脂(A1)の重量平均分子量は5,000以上100,000未満であることが好ましい。重量平均分子量を5,000以上とすることで分子間相互作用による延伸性向上が期待でき、また100,000未満とすることで良好なスクリーン印刷適性を発揮できる点で好ましい。
なお樹脂(A)がヒドロキシ基と、アミノ基とを両方有する場合には、官能基価は、樹脂(A1)の水酸基価と、アミン価との合計を表す。
なお本実施における分子鎖末端とは、樹脂(A)の分子鎖を構成する繰返し構造単位のうち末端にあるもの、或いはその末端に連結された非繰返し構造をさす。
導電性微粒子(B)は、導電層内で複数の導電性微粒子が接触して導電性を発現するものであり、本実施においては、高温で加熱することなく導電性が得られるものの中から適宜選択して用いられる。
本実施に用いられる導電性微粒子としては、金属微粒子、導電性酸化物微粒子、カーボン微粒子などが挙げられる。
金属微粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、アルミニウム、タングステン、モルブテン、白金等の金属単体粉のほか、銅-ニッケル合金、銀-パラジウム合金、銅-スズ合金、銀-銅合金、銅-マンガン合金などの合金粉、前記金属単体粉または合金粉の表面を、銀などで被覆した金属コート粉などが挙げられる。また、カーボン微粒子としては、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、導電性酸化物微粒子としては、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウムなどが挙げられる。
形状としては、球状、連鎖球状、樹状、ワイヤー形状などが挙げられる。
なお本実施において導電性微粒子(B)の平均粒子径は以下のように算出する。JISM8511(2014)記載のレーザ回折・散乱法に準拠し、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック9220FRA)を用い、分散剤として市販の界面活性剤ポリオキシエチレンオクスチルフェニルエーテル(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製:トリトンX-100)を0.5体積%含有する水溶液に導電性微粒子(B)を適量投入し、撹拌しながら40Wの超音波を180秒照射した後、測定を行った。求められたメディアン径(D50)の値を状導電性微粒子(B)の平均粒径とした。
ポリロタキサン化合物(C)は、複数の環状分子と、これらの環状分子に串団子上に包摂させる直鎖状分子とから構成される、超分子複合体である。ポリロタキサン化合物の直鎖状分子の両末端は前記環状分子の脱離を防止するために、大きな立体障害を有する封鎖基を有しており、環状分子は直鎖状分子に対し直接結合していないものの、機械的に束縛されているため、直鎖状分子と環状分子がバラバラに脱離することが無い。
前記直鎖状分子は、特に限定されないが、例えば環状オリゴ糖の包摂性と安価である点から、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドなどが挙げられる。
また、前記封鎖基は、前記直鎖状分子の分子鎖両末端に化学的に結合している置換基であって、環状分子のすり抜けによる脱離の抑制が可能な大きさの立体障害を有していれば特に限定されないが、例えばアダマンタン基やトリフェニルメチル基、トリプチセン基などが挙げられる。
本発明における前記環状分子は、大環状分子であって直鎖状分子が通る構造であれば制限されないが、好ましくは水酸基またはアミノ基を有する環状オリゴ糖であり、水酸基またはアミノ基を有するα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンを含む。環状オリゴ糖としてはα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、またこれらをプロピレンオキシド、ε-カプロラクトン等を付加反応させて変性した変性デキストリンなどが挙げられる。環状分子に水酸基、アミノ基を有する環状オリゴ糖を用いることで、導電性組成物の塗膜乾燥工程において環状分子と前期熱硬化性樹脂とを化学的に結合させることができる。この際、熱硬化性樹脂と結合した環状分子は、前記直鎖状分子に沿って自由に運動することができるため、架橋によるプロセス耐性と、成型フィルム成型時の延伸への耐性を高いレベルで両立することができる。
ポリロタキサン化合物(C)の合成法については特に限定されないが、反応性の効率や収率の観点から、前記直鎖状分子の、少なくとも一方の分子鎖末端に前記封鎖基が結合していない直鎖状分子前駆体を予め合成しておき、前記環状分子に包摂させたのちに、直鎖状分子の封鎖基が結合していない末端に封鎖基を結合させることで合成することが望ましい。
ポリロタキサン化合物(C)の含有量は、樹脂(A)とポリロタキサン化合物(C)の重量比が95:5~50:50であり、より好ましくは、90:10~60:40であり、さらに好ましくは、85:15~70:30である。
本発明の導電性組成物は、必要に応じてさらに他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、ブロックイソシアネート架橋剤(D)、溶剤(E)のほか、分散剤、耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、保湿剤等が挙げられる
本実施においてブロックイソシアネート架橋剤(D)は、樹脂(A)と後述するポリロタキサン化合物(C)とを化学的に架橋させる目的で用いられる。
ブロックイソシアネート架橋剤(D)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の2官能イソシアネートまたはそれらのアロファネート体、ビウレット体、アダクト体、イソシアヌレート体等からなる2官能以上のイソシアネートのイソシアネート基が、ε-カプロラクタムやMEKオキシム等で保護(ブロック化)されたイソシアネート化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基を、ε-カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、ジイソプロピルアミン、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。これらを用いることにより、特に強靭性に優れかつ架橋により発生する架橋点構造により高温下での基材密着性に優れるため、引張力による導電性の低下が特に抑制された導電層を得ることができる
ブロックイソシアネート架橋剤(D)は、重量平均分子量200以上2,500未満であることが好ましい。重量平均分子量を200以上とすることで加熱硬化時の揮発を抑制でき、また2,500未満とすることで樹脂(A)と均一に混和しやすくなり、より均一な架橋構造を形成できる点で好ましい。
ブロックイソシアネート架橋剤(D)は樹脂(A)100質量部に対して、0.05質量部以上30質量部以下用いることが好ましく、0.3質量部以上25質量部以下用いることがより好ましい。
本実施の導電性組成物の製造方法は、前記樹脂(A)と、導電性微粒子(B)と、ポリロタキサン化合物(C)と必要により用いられるその他の成分とを、溶解乃至分散する方法であればよく、公知の混合手段により混合することにより製造することができる。
本実施の成形フィルムは、ベースフィルム上に導電層を備えた成形フィルムであって、
前記導電層が、前記成形フィルム用導電性組成物の硬化物であることを特徴とする。
本実施の成形フィルムによれば、凹凸面や曲面など任意の基材面に導電回路が形成された成形体を得ることができる。
本実施の成形フィルムによれば、凹凸面や曲面など任意の基材面に導電回路が形成された成形体を得ることができる。
本実施の成形フィルムの層構成について図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は、本実施の成形フィルムの一例を示す、模式的な断面図である。
図1の例に示される成形フィルム10は、ベースフィルム1上に、導電層2を備えている。導電層2は、ベースフィルム1の全面に形成されていてもよく、図1の例のように所望のパターン状に形成されていてもよい。
図2の例に示される成形フィルム10は、ベースフィルム1上に、加飾層3を有し、当該加飾層3上に、導電層2を備えている。また図2の例に示されるように、成形フィルム10は、導電層2上に、電子部品4や、取り出し回路に接続するためのピン5を備えていてもよい。
また、図示はしないが、導電層2上、又は電子部品4上には、当該導電層や電子部品を保護するための樹脂層を備えていてもよく、当該樹脂層が、後述する基材との密着性を向上するための粘着層または接着層となっていてもよい。
また、図示はしないが、本実施の成形フィルム10が加飾層3を備える場合、図2の例のほか、ベースフィルム1の一方の面に加飾層3を有し、他方の面に導電層2を備える層構成であってもよい。
本実施の成形フィルムは、少なくともベースフィルムと、導電層を備えるものであり、必要に応じて他の層を有してもよいものである。以下このような成形フィルムの各層について説明する。
本実施においてベースフィルムは、基材形成時の成形温度条件下で基材表面の形状に追従可能な程度の柔軟性および延伸性を有するものの中から適宜選択することができ、成形体の用途や、成形体の製造方法などに応じて選択することが好ましい。
例えば、成形体の製造方法として、後述するオーバーレイ成形法や、フィルムインサート法を採用する場合には、ベースフィルムが成形体に残ることから、導電層の保護層としての機能を有することなどを考慮してベースフィルムを選択することができる。
一方、成形体の製造方法として後述するインモールド転写法などを採用する場合には、剥離性を有するベースフィルムを選択することが好ましい。
ポリカーボネートとポリメチルメタクリレートの積層フィルムの製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネートフィルムとポリメチルメタクリレートフィルムとを貼り合わせて積層してもよく、ポリカーボネートとポリメチルメタクリレートとを共押出しにより積層フィルムとしてもよい。
また、これらのベースフィルムの表面がコロナ処理等の改質処理が施されていることも好ましい。
また更に必要に応じ、成形体表面の傷つき防止のため、ベースフィルムにハードコート層を設け、その反対の面に導電性組成物および必要に応じて加飾層を印刷してもよい。ハードコート層は、ベースフィルムとの密着性、更には表面硬度が良好で成形時にフィルムに追従するものであれば、特に限定されず、また樹脂ビーズ等の有機フィラーや金属酸化物等の無機フィラーも必要に応じて添加してもよい。ハードコート層を設ける方法は特に限定されず、従来公知の塗工方法にて塗布、乾燥、硬化して得ることができる。
本実施の成形フィルムにおいて導電層は、前記導電性組成物の硬化物である。
導電層の形成方法は特に限定されないが、本実施においては、スクリーン印刷法、パッド印刷法、ステンシル印刷法、スクリーンオフセット印刷法、ディスペンサー印刷法、グラビアオフセット印刷法、反転オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法により形成することが好ましく、スクリーン印刷法により形成することがより好ましい。
スクリーン印刷法においては、導電回路パターンの高精細化に対応すべく微細なメッシュ、特に好ましくは300~650メッシュ程度の微細なメッシュのスクリーンを用いることが好ましい。この時のスクリーンの開放面積は約20~50%が好ましい。スクリーン線径は約10~70μmが好ましい。
スクリーン版の種類としては、ポリエステルスクリーン、コンビネーションスクリーン、メタルスクリーン、ナイロンスクリーン等が挙げられる。また、高粘度なペースト状態のものを印刷する場合は、高張力ステンレススクリーンを使用することができる。
スクリーン印刷のスキージは丸形、長方形、正方形いずれの形状であってもよく、またアタック角度(印刷時の版とスキージの角度)を小さくするために研磨スキージも使用することができる。その他の印刷条件等は従来公知の条件を適宜設計すればよい。
溶剤の十分な揮発および架橋反応のために、加熱温度は80~230℃、加熱時間としては10~120分とすることが好ましい。これにより、パターン状の導電層を得ることができる。パターン状導電層は、必要に応じて、導電パターンを被覆するように、絶縁層を設けてもよい。絶縁層としては、特に限定されず、公知の絶縁層を適用することができる。
本実施の成形フィルムは、得られる成形体の意匠性の点から、加飾層を有していてもよい。
加飾層は単色の色味を有する層であってもよく、任意の模様が付されたものであってもよい。
加飾層は、一例として、色材と、樹脂と、溶剤とを含有する加飾インキを調製した後、当該加飾インキを公知の印刷手段によりベースフィルムに塗布することにより形成することができる。
前記色材としては、公知の顔料や染料の中から適宜選択して用いることができる。また樹脂としては、前記本実施の導電性組成物における樹脂(A)と同様のものの中から適宜選択して用いることが好ましい。
加飾層の厚みは特に限定されないが、例えば0.5μm以上10μm以下とすることができ、1μm以上5μm以下とすることが好ましい。
本実施の成形体は、基材上に少なくとも導電層が積層した成形体であって、前記導電層が、請求項1~5のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物の硬化物であることを特徴とする。本実施の成形体は、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物を用いた成形フィルムにより形成されるため、凹凸面や曲面など、任意の面に導電回路が形成された成形体となる。
以下、本実施の成形体の製造方法について、3つの実施形態を説明する。なお、本実施の成形体は、前記本実施の導電性組成物を用いて製造されたものであればよく、これらの方法に限定されるものではない。
本実施に係る成形体の第1の製造方法は、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物を、ベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
基材上に前記成形フィルムを配置する工程と、
オーバーレイ成形法により、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む。
以下、図3を参照して説明するが、成形フィルムの製造方法は前述のとおりであるので、ここでの説明は省略する。
第1の製造方法においては、まず、基材20を下側チャンバーボックス22のテーブル上に設置する。次いで、前記本実施の成形フィルム10を上側チャンバーボックス21と下側チャンバーボックス22との間を通し、基材20上に配置する。この際、成形フィルム10は導電層が基材20側、もしくは基材20とは反対側のどちらと面するように配置されていてもよく、最終的な成形体の用途によって選択される。次いで上側・下側チャンバーボックスを真空状態とした後、成形フィルムを加熱する。次いで、テーブルを上昇することにより基材20を上昇15する。次いで上側チャンバーボックス21内のみを大気開放する(図3(B))。この時、成形フィルムは基材側に加圧16され、成形フィルム10と基材20とが貼り合わされて一体化する(図3(C))。このようにして成形体30を得ることができる。
本実施に係る成形体の第2の製造方法は、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物を、ベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
前記成形フィルムを所定の形状に成形する工程と、
成形後の前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む。以下、図4を参照して説明する。なお、第2の製造方法をフィルムインサート法ということがある。
本実施に係る成形体の第3の製造方法は、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物を、スクリーン印刷により、ベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルム中の導電層を基材側に転写する工程と、を含む。
以下、図5を参照して説明する。なお、第3の製造方法をインモールド転写法ということがある。
また、実施例中の重量平均分子量は、東ソー社製GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)「HLC-8320」を用いた測定におけるポリスチレン換算分子量である。
(官能基価)[mgKOH/g]=(56.1×1000)/(官能基当量)
上記官能基価は、例えば官能基がカルボキシル基である場合は酸価、官能基がヒドロキシ基である場合は水酸基価、官能基がアミノ基である場合はアミン価などと表現される量の総称であり、互いに異なる官能基をもつ物質同士の官能基比率を比較する際には、上記官能基価が同じ値であれば同モル量の官能基を有すると考えてよい。
また、イソシアネート基など、官能基価の定量に上記の水酸化カリウムによる滴定を使用しない場合にも、官能基量を表すそれぞれの測定値から導かれた上記官能基当量ならびに上記計算式を用いて、便宜的に水酸化カリウム換算量として算出することができる。以下に具体的な計算例を示す。
(「X」の官能基当量)=1/(0.23/44)=191.3
この3官能イソシアネート化合物「X」の官能基当量と上記官能基価の計算式から、下記のように3官能イソシアネート化合物「X」の官能基価を算出することができる。
(3官能イソシアネート化合物「X」の官能基価)[mgKOH/g]
=(56.1×1000)/191.3=293.3
樹脂(A1-1)~(A1-2)として以下の樹脂を用いた。
<合成例1:樹脂(A1-1)の合成>
・樹脂(A1-1):攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、1,6ヘキサンジオールと3-メチル-1,5ペンタンジオールとからなるポリカーボネートポリオール(クラレ社製「クラレポリオールP-2011」)127.4部、イソホロンジイソシアネート19.2部を仕込み、窒素気流下にて90℃で3時間反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー 溶液を得た。
室温まで冷却した後、MEKオキシムを3.9重量部配合し、発熱を確認した後に内温を80℃まで昇温し内温80℃で2時間撹拌した後、1,2,3,4テトラヒドロナフタレンを280重量部配合することで、重量平均分子量7,500、ガラス転移点5℃、ブロックイソシアネート基(官能基価15.0KOHmg/g)を分子両末端に有する、不揮発分35%のブロック化イソシアネート樹脂溶液(A1-1)を得た。
<合成例2:樹脂(A1-2)の合成>
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、1,6ヘキサンジオールと3-メチル-1,5ペンタンジオールとからなるポリカーボネートポリオール(クラレ社製「クラレポリオールC-2090」)155.7部、イソホロンジイソシアネート19.2部を仕込み、窒素気流下にて90℃で3時間反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー 溶液を得た。
室温まで冷却した後、ジメチルピラゾールを1.7重量部配合し、発熱を確認した後に内温を80℃まで昇温し、内温80℃で2時間撹拌した後、1,2,3,4テトラヒドロナフタレンを328重量部配合することで、重量平均分子量50,000、ガラス転移点5℃、ブロックイソシアネート基(官能基価2.2KOHmg/g)を分子両末端に有する、不揮発分35%のブロック化イソシアネート樹脂溶液(A1-2)を得た。
樹脂(A2-1)~(A2-5)として以下の樹脂を用いた。
・樹脂(A2-1):東亜合成社製アクリル樹脂、UH2170、重量平均分子量14,000、ガラス転移点60℃、ヒドロキシ基(官能基価88mgKOH/g)を1分子中に2以上側鎖に含有する。
<合成例3:樹脂(A2-2)の合成>
攪拌機、温度計、精留管、窒素ガス導入管、減圧装置を備えた反応装置に、イソフタル酸ジメチル40.6部、エチレングリコール12.9部、ネオペンチルグリコール18.2部、及びテトラブチルチタネート0.03部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃まで徐々に加熱し、180℃で3時間エステル交換反応を行なった。ついで、セバシン酸28.3部を仕込み180~240℃まで徐々に加熱し、エステル化反応を行なった。240℃で2時間反応し、酸価を測定し、15以下になったら反応装置内を徐々に1~2トールまで減圧し、所定の粘度に達した時、反応を停止し取り出した後に表面がフッ素加工されたパレットに移して冷却することで、重量平均分子量45,000、ガラス転移点58℃、ヒドロキシ基(官能基価5mgKOH/g)を分子鎖末端に有するポリエステル樹脂(A2-2)の固形物を得た。
<合成例4:樹脂(A2-3)の合成>
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、アジピン酸およびテレフタル酸と3-メチル-1,5ペンタンジオールとから得られるポリエステルポリオール(クラレ社製「クラレポリオールP-2011」)127.4部、イソホロンジイソシアネート19.2部、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート32.5部を仕込み、窒素気流下にて90℃で3時間反応させ、ついでイソホロンジアミン5.5部を加え更に90℃で2時間反応させることで、重量平均分子量35,000、ガラス転移点5℃、アミノ基(官能基価4mgKOH/g)を分子鎖末端に有する不揮発分40%のウレタン樹脂(A2-3)溶液を得た。
<合成例5:樹脂(A2-4)の合成>
攪拌機、温度計、滴下漏斗および加熱装置を備えた500mL反応容器に、メチルメタクリレート400部、t-ブチルメタクリレート100部、チオグリセロール4部、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート504部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を90℃に加熱して、AIBN[2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)] 0.50部を添加した後7時間反応した。固形分測定により95%以上が反応したことを確認後、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート252部を加えて希釈し、室温まで冷却した。この合成により、水酸基価17mgKOH/g、ガラス転移点105℃、重量平均分子量27,000、ヒドロキシ基を分子鎖末端に有するアクリル樹脂(A2-4)の、不揮発分40%溶液を得た。
<合成例6:樹脂(A2-5)の合成>
攪拌機、温度計、滴下漏斗および加熱装置を備えた500mL反応容器に、ポリプロピレンジアミン(ハンツマン社製ジェファーミンD-400)100部、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸26.8部およびセバシン酸14.1部を仕込み、撹拌しながら240℃まで昇温した。その後240℃で7時間反応を続けた後加熱を停止し、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート261.7部を加えて希釈し、内容物を放冷した。この合成により、アミン価6.6mgKOH/g、ガラス転移点55℃、重量平均分子量34,000、アミノ基を分子鎖末端に有するポリアミド樹脂(A2-5)の、不揮発分35%溶液を得た。
・樹脂(A3-1):クレイバレー社製スチレン無水マレイン酸樹脂、SMA EF30、重量平均分子量9,500、ガラス転移点130℃、酸無水物基(酸価215mgKOH/g)を1分子中に2以上含有する。
・樹脂(A3-2):三菱化学社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER―1003、重量平均分子量1,300、常温で液状、ガラス転移点0℃以下、エポキシ基(エポキシ価80mgKOH/g)を1分子中に2以上含有する。
・樹脂(A3-3):根上工業社製アクリルゴム、ME-2000SN、重量平均分子量600,000、ガラス転移点-35℃、カルボキシル基(カルボキシル価20mgKOH/g)を1分子中に2以上含有する。
・樹脂(A3-4):三菱化学社製ダイマー酸グリシジル型エポキシ樹脂、JER871、重量平均分子量260、常温で液状、ガラス転移点0℃以下、エポキシ基(エポキシ価130mgKOH/g)を1分子中に2以上含有する。
<導電性微粒子(B1)~(B7)>
・導電性微粒子(B1):福田金属箔粉社製、鱗片状銀粉、平均粒子径5.2μm
・導電性微粒子(B2):福田金属箔粉社製、凝集状銀粉、平均粒子径1.7μm
・導電性微粒子(B3):三井金属鉱業社製、樹状銀コート銅粉、銀被覆量10%、平均粒子径2μm
・導電性微粒子(B4):石原産業社製、針状導電性酸化錫粉、平均粒子径1μm
・導電性微粒子(B5):伊藤黒鉛社製、鱗片状黒鉛、平均粒子径15μm
・導電性微粒子(B6):昭和電工社製、カーボンナノチューブ、繊維径150nm、長さ10μm、アスペクト比53
・導電性微粒子(B7):DOWA社製、フレーク状銀粉、平均粒子径4μm
・ポリロタキサン化合物(C1):アドバンスト・ソフトマテリアルズ社製、環状オリゴ糖を含むロタキサン、SH2400P、反応性官能基としてヒドロキシ基を含有する。
・ポリロタキサン化合物(C2):アドバンスト・ソフトマテリアルズ社製、環状オリゴ糖を含むロタキサン系熱硬化性エラストマー、SH3400S、反応性官能基としてヒドロキシ基を含有する。
・ブロックイソシアネート架橋剤(D1):
Baxeneden Chemicals社製ブロックイソシアネート溶液、Trixene BI7963、ブロック化されているイソシアネート基を1分子中に3つ含有(官能基価168mgKOH/g)、不揮発分70%(溶剤(E3):2-メトキシプロパノール)
・ブロックイソシアネート架橋剤(D2):
住化コベストロウレタン社製ブロックイソシアネート溶液、デスモジュール BL-3475、ブロック化されているイソシアネート基を1分子中に3つ含有(官能基価147mgKOH/g)、不揮発分70%(溶剤(E4):ソルベントナフサと溶剤(E5)酢酸ブチルの1:1混合溶媒)
・溶剤(E1):1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、沸点209℃
・溶剤(E2):ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、沸点217℃
・溶剤(E3):2-メトキシプロパノール、沸点120℃
・溶剤(E4):ソルベントナフサ、沸点171℃
・溶剤(E5):酢酸ブチル、沸点126℃
・溶剤(E6):メチルエチルケトン、沸点79.6℃
・溶剤(E7):酢酸エチル、沸点77.1℃
<その他添加剤(F1)~(F2)>
・その他添加剤(F1):
東ソー社製イソシアネート溶液、コロネートHL、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、イソシアネート基を1分子中に3つ含有(官能基価170mgKOH/g)、不揮発分75%(溶剤(E7):酢酸エチル)
・その他添加剤(F2):4,4‘-メチレンジアニリン
樹脂(A1-1)46.0部、導電性微粒子(B1)80.0部およびポリロタキサン化合物(C1)4.0部を撹拌混合し、3本ロールミル(小平製作所製)で混練したのち、ブロックイソシアネート架橋剤(D1)1.8部を配合し、プラネタリーミキサーにより均一に撹拌混合することで成形フィルム用導電性組成物(G1)を得た。
実施例1において、樹脂、導電性微粒子、ポリロタキサン化合物、ブロックイソシアネート架橋剤の種類及び配合量を表1および表2のように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして、成形フィルム用導電性組成物(G2)~(G35)を得た。
なお、表1~表5中の各材料の数値はいずれも質量部であり、溶剤(E)に予め溶解した溶液原料については溶質と溶剤を個別に表記している。
また、実施例16~31、実施例34、35は参考例である。
実施例1において、樹脂、溶剤、導電性微粒子、ポリロタキサン化合物、架橋剤の種類及び配合量を表5のように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして、成形フィルム用導電性組成物(G36)~(G38)を得た。
ポリカーボネート(PC)フィルム(帝人社製、パンライト2151、厚み300μm)基材(300mm×210mm)上に、成形フィルム用導電性組成物(G1)~(G35)をそれぞれスクリーン印刷機(ミノスクリーン社製、ミノマットSR5575半自動スクリーン印刷機)によって印刷した。次いで、熱風乾燥オーブンで120℃で30分加熱することで、幅15mm、長さ30mm、厚み10μmの四角形ベタ状および線幅3mm、長さ60mm、厚み10μmの直線状のパターンを有する導電層を備えた成形フィルムを得た。
なお、実施例51~66、実施例69~71は参考例である。
前記実施例57において、ポリカーボネートフィルム基材の代わりに、ポリカーボネート樹脂/アクリル樹脂2種2層共押し出しフィルム(住友化学社製、テクノロイC001、厚み125μm)基材(300mm×210mm)を用い、ポリカーボネート樹脂側に成形フィルム用導電性組成物の印刷を行ったこと以外は、前記実施例57と同様にして、成形フィルムを得た。
前記実施例36~70において、ポリカーボネートフィルム基材の代わりに、アクリル樹脂フィルム(住友化学社製、テクノロイS001G、厚み250μm)基材(300mm×210mm)を用いたこと、及び、熱風乾燥オーブンでの乾燥条件を80℃で30分としたこと以外は、前記実施例36~70と同様にして、成形フィルムを得た。
<実施例107>
前記実施例93において、アクリル樹脂フィルムの代わりに、ポリプロピレンフィルム(出光興産社製、ピュアサーモAG356AS、厚み200μm)基材(300mm×210mm)を用いたこと以外は、前記実施例93と同様にして、成形フィルムを得た。
なお、実施例87~102、実施例105~107は参考例である。
上記実施例1~35および比較例1~3にで得られた成形フィルム用導電性組成物を庫内温度10℃雰囲気で6か月間貯蔵した後に、E型粘度計を用いて25℃での溶液粘度を測定し、初期値からの変化度合いで評価した。結果を表1~5に示す
〈塗液ポットライフ評価基準〉
A:実用上優れる:初期値の1~1.5倍未満
B:実用可能:初期値の1.5倍以上~2倍未満
C:実用不可能:初期値の2倍以上、またはゲル化により粘度測定不可
[(1)体積固有抵抗測定]
上記実施例36~107、および比較例4~6の成形フィルムに形成された、15mm×30mmの四角形ベタ状の導電層について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP MCP-T610型抵抗率計、JIS-K7194準拠、4端子4探針法定電流印加方式)(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用いて体積固有抵抗(Ω・cm)を測定した。結果を表1~5に示す。
上記実施例36~107、および比較例4~6の成形フィルムに形成された、15mm×30mmの四角形ベタ状の導電層に対し、ガードナー社製1mm間隔クロスカットガイドを使用してカッターナイフで当該導電層を貫通するように10x10マスの碁盤目状の切れ込みを入れ、ニチバン社製セロハンテープを貼り付け噛み込んだ空気を抜いてよく密着させたのち、垂直に引きはがした。塗膜の剥離度合いをASTM-D3359規格に従って下記のように評価した。結果を表1~5に示す。
(剥離密着性評価基準)
A:評価5B~4B、密着性に優れる
B:評価上は5B~4Bであるが、塗膜が凝集破壊し、表面側の塗膜の一部が脱離する
C:評価3B以下、密着性に劣る
上記実施例36~107、および比較例4~6の成形フィルムに形成された、3mm×60mmの直線状パターンの導電層が真ん中に来るように長手方向に70mm、幅方向に10mmに切り出し、測定用クーポンとした。この測定用クーポン上の導電層とは反対側の面に、長手方向端から当該導電層と垂直な線を目印として油性マジックで4cm間隔に2本書き加えた。この目印に従い、4cm間隔となる位置を、テスターを用いて抵抗値測定し、これを配線抵抗(Ω)とした。結果を表1~5に示す。
上記実施例36~71および比較例4~6の前記測定用クーポンを160℃の加熱オーブン中で、長手方向に引っ張り速度10mm/分で伸長率50%まで引き延ばした。オーブンから取出し、冷却後に光学顕微鏡を用いて断線の有無を評価した。また、上記配線抵抗の測定と同様の方法で、元の目印基準で4cm間隔に相当する位置の配線抵抗(Ω)を測定し、伸縮後の配線抵抗/伸縮前の配線抵抗を熱延伸時抵抗変動率(倍)とし、それぞれ以下の基準で評価した。結果を表1、表2および表5に示す。
(断線の有無)
A:断線は見られなかった。
B:1~2個の軽微なヒビが確認された
C:重度の断線または導電塗膜の剥離が確認された
(熱延伸時抵抗変動率)
A:5倍以上10倍未満
B:10倍以上100倍未満
C:100倍以上
(伸長率)[%]={(延伸後の長さ-延伸前の長さ)/(延伸前の長さ)}×100
前記熱延伸評価1において、伸長率を100%に変更した以外は、前記熱延伸評価1と同様にして、以下の基準で評価した。結果を表1、表2および表5に示す。
(断線の有無)
A:断線は見られなかった。
B:1~2個の軽微なヒビが確認された
C:重度の断線または導電塗膜の剥離が確認された
(熱延伸時抵抗変動率)
A:10倍以上100倍未満
B:100倍以上1000倍未満
C:1000倍以上
上記実施例72~107の前記測定用クーポンを120℃の加熱オーブン中で、長手方向に引っ張り速度10mm/分で伸長率50%まで引き延ばした。オーブンから取出し、冷却後に光学顕微鏡を用いて断線の有無を評価した。また、上記配線抵抗の測定と同様の方法で、元の目印基準で4mm間隔に相当する位置の配線抵抗(Ω)を測定し、伸縮後の配線抵抗/伸縮前の配線抵抗を熱延伸時抵抗変動率(倍)とし、それぞれ以下の基準で評価した。結果を表3及び表4に示す。
(断線の有無)
A:断線は見られなかった。
B:1~2個の軽微なヒビが確認された
C:重度の断線または導電塗膜の剥離が確認された
(熱延伸時抵抗変動率)
A:5倍以上10倍未満
B:10倍以上100倍未満
C:100倍以上
前記熱延伸評価3において、伸長率を100%に変更した以外は、前記熱延伸評価3と同様にして、以下の基準で評価した。結果を表3及び表4に示す。
(断線の有無)
A:断線は見られなかった。
B:1~2個の軽微なヒビが確認された
C:重度の断線または導電塗膜の剥離が確認された
(熱延伸時抵抗変動率)
A:10倍以上100倍未満
B:100倍以上1000倍未満
C:1000倍以上
上記実施例36~71および比較例4~6の成形フィルムの3mm×60mmの直線状パターンの位置と重なるように、半径4cmの半球状のABS樹脂成形物を導電体側の面と向かい合うように合わせ、TOM成形機(布施真空社製)を用いて設定温度160℃でオーバーレイ成形を行うことで、半球形状に成形された成形フィルムとABS樹脂成形物とが一体化した成形体を得た。この成形体の直線状パターン配線の削れおよび抵抗変動率を確認した。抵抗変動率は元の目印基準で6cm間隔に相当する位置の配線抵抗(Ω)を測定し、伸縮後の配線抵抗/伸縮前の配線抵抗を熱延伸時抵抗変動率(倍)とし、それぞれ以下の基準で評価した。結果を表1、表2及び表5に示す。
(断線の有無と抵抗変動率)
A:配線の削れが見られず、かつ抵抗変動率が10倍以上50倍未満
B:1~2箇所の配線の削れによる端部欠けが確認される、または抵抗変動率が50倍以上500倍未満
C:配線の削れによる断線が1箇所以上確認される
上記実施例72~107の成形フィルムの3mm×60mmの直線状パターンを使用し、120℃でオーバーレイ成形を行った以外は、前記オーバーレイ成形による成形体製造時の工程耐性評価1と同様に成形体を得て、オーバーレイ成形時の直線状パターン配線の削れおよび抵抗変動率を評価した。結果を表3及び表4に示す。
上記実施例36~71および比較例4~6の成形フィルムの3mm×60mmの直線状パターンの位置と重なるように、半径4cmの半球状窪みを中央に有するブロック状金属製モールドを導電体側の反対の面と向かい合うように合わせ、TOM成形機(布施真空社製)を用いて設定温度160℃でオーバーレイ成形を行うことで、半球形状に成形された内側にパターン化導電体を有する成形用フィルムを得た。
次いで、当該半球形状に成形された成形フィルムを、バルブゲートタイプのインモールド成形用テスト金型が取り付けられた射出成形機(IS170(i5)、東芝機械社製)にセットし、PC/ABS樹脂(LUPOYPC/ABSHI5002、LG化学社製)を射出成形することで、パターン化導電体付き成形用フィルムと一体化された成形体を得た(射出条件:スクリュー径40mm、シリンダー温度260℃ 、金型温度(固定側、可動側)60℃ 、射出圧力160MPa(80%)、保圧力100MPa、射出速度60mm/秒(28%)、射出時間4秒、冷却時間20秒)。この成形体の直線状パターンの溶融樹脂の射出によるウォッシュアウト(溶融熱可塑性樹脂の温度および射出圧による配線パターンの変形や断線)および抵抗変動率を確認した。抵抗変動率は元の目印基準で6cm間隔に相当する位置の配線抵抗(Ω)を測定し、伸縮後の配線抵抗/伸縮前の配線抵抗を熱延伸時抵抗変動率(倍)とし、それぞれ以下の基準で評価した。結果を表1、表2及び表5に示す。
(断線の有無と抵抗変動率)
A:配線のウォッシュアウトが全く見られず、かつ抵抗変動率が10倍以上50倍未満
B:軽度のウォッシュアウトによる配線の歪みが確認される、または抵抗変動率が50倍以上500倍未満
C:配線のウォッシュアウトによる断線が1箇所以上確認される
上記実施例72~107の成形フィルムの3mm×60mmの直線状パターンを使用し、120℃でオーバーレイ成形を行った以外は、前記オーバーレイ成形による成形体製造時の工程耐性評価1と同様に成形体を得て、フィルムインサート成形時の直線状パターンの溶融樹脂射出によるウォッシュアウトの程度および抵抗変動率を評価した。結果を表3及び表4に示す。
ポリロタキサン化合物もしくは樹脂を含有しない導電性組成物や、樹脂とポリロタキサン化合物の重量比が50:50よりもポリロタキサン化合物過多である導電性組成物を用いて形成された比較例4~6は、熱延伸時に破断を生じ、抵抗値が上昇すると同時に、耐ウォッシュアウト性が低いことが明らかとなった。
2 導電層
3 加飾層
4 電子部品
5 ピン
10 成形フィルム
11 金型
12 射出成形用金型
13 開口部
14 射出
15 上昇
16 加圧
17 樹脂
20 基材
21 上側チャンバーボックス
22 下側チャンバーボックス
30 成形体
Claims (13)
- 凹凸面または三次元曲面を有する基材表面に導電回路を形成するための成形フィルムの製造用の導電性組成物であって、
樹脂(A)と、導電性微粒子(B)と、ポリロタキサン化合物(C)とを含有し、
前記樹脂(A)とポリロタキサン化合物(C)との重量比率が95:5~50:50であり、
前記導電性微粒子(B)の含有率が、組成物の固形分全体中の50~92重量%であり、
樹脂(A)が、分子鎖末端にブロックイソシアネート基を有し、かつ重量平均分子量が2,500以上100,000以下である樹脂(A1)を含有する、成形フィルム用導電性組成物。 - さらに、ブロックイソシアネート架橋剤(D)を含有し、前記ブロックイソシアネート架橋剤(D)の重量平均分子量が200以上2,500未満である請求項1に記載の成形フィルム用導電性組成物。
- さらに、樹脂(A)が、ヒドロキシ基またはアミノ基のうち少なくとも一種の反応性官能基を有する樹脂(A2)を含有し、
前記樹脂(A2)が、ガラス転移点を0℃以上120℃未満に有し、0℃未満に有さず、かつ 前記樹脂(A2)の重量平均分子量が、5,000以上100,000未満である請求項1または2記載の成形フィルム用導電性組成物。 - ヒドロキシ基またはアミノ基のうち少なくとも一種の反応性官能基を有する樹脂(A2)が、ヒドロキシ基またはアミノ基のうち少なくとも一種の反応性官能基を分子鎖末端に有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレア樹脂、およびポリエーテル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項3記載の成形フィルム用導電性組成物。
- 前記ポリロタキサン化合物(C)が、反応性官能基として水酸基またはアミノ基を有する環状オリゴ糖を有するポリロタキサン化合物を含む請求項1~4のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物。
- 導電性微粒子(B)が、平均粒子径0.5μm以上30μm未満であり、かつ銀粉、銅粉、銀コート粉、銅合金粉、およびカーボン微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物。
- ベースフィルム上に導電層を備えた成形フィルムであって、
前記導電層が、請求項1~6のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である、成形フィルム。 - ベースフィルム上に、加飾層と、導電層とを有する成形フィルムであって、
前記導電層が、請求項1~6のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である、成形フィルム。 - 前記ベースフィルムが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン及び、ポリエチレンテレフタレートより選択されるフィルム、又はこれらの積層フィルムである、請求項7または8記載の成形フィルム。
- 基材上に、導電層が積層した成形体であって、
前記導電層が、請求項1~6のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である、成形体。 - 請求項1~6のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物をベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
基材上に前記成形フィルムを配置する工程と、
オーバーレイ成形法により、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む、成形体の製造方法。 - 請求項1~6のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物をベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
前記成形フィルムを所定の形状に成形する工程と、
成形後の前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む、成形体の製造方法。 - 請求項1~6のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物をベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルム中の導電層を基材側に転写する工程と、を含む、成形体の製造方法。
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