JP7279510B2 - 成形フィルム用導電性組成物、成形フィルムおよびその製造方法、成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、当該導電回路一体化成形品の製造方法として、特定の導電回路が形成されたベースフィルムを射出成形用金型のキャビティ面に配置した後、溶融樹脂を射出して、樹脂成形体を射出成形することが記載されている。
特許文献1において、導電回路は、特定の透明金属薄膜をエッチングすることにより形成されている。
例えば特許文献2には、スクリーン印刷によって高精細な導電性パターンを形成することが可能な低温処理型の導電性インキとして、特定の導電性微粒子と、特定のエポキシ樹脂とを含有する特定の導電性インキが開示されている。スクリーン印刷によれば導電パターンの厚膜化が可能であり、導電パターン低抵抗化が実現できるとされている。
が生じ、導電性の低下が問題となった。
凹凸面や三次元曲面を有する基材表面に導電層を形成するための成形フィルムの製造用の導電性組成物であって、
樹脂(A)と、フレーク状導電性微粒子(B)と、ワイヤー状微粒子(C)と、を含有し、
前記フレーク状導電性微粒子(B)が、平均粒径3μm以上30μm未満のフレーク状
の銀粉、銅粉、銀コート粉、銅合金粉、およびカーボン微粒子より選択される1種以上からなる導電性微粒子を含み、
前記導電性微粒子(B)の含有量が、組成物の固形分全体中の50~85%である。
る1種以上からなるセラミックス系ワイヤー状微粒子である。
さらに前記第1の反応性官能基と架橋形成しうる第2の反応性官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(D)を含有する。
前記導電層が、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である。
前記導電層が、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である。
前記導電層が、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である。
基材上に前記成形フィルムを配置する工程と、
オーバーレイ成形法により、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む。
前記成形フィルムを所定の形状に成形する工程と、
成形後の前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む。
前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルム中の導電層を基材側に転写する工程と、を含む。
なお本実施において、硬化物とは、化学反応により硬化したもののみならず、例えば溶剤が揮発することにより硬くなったものなど、化学反応によらずに硬化したものを包含する。
樹脂(A)と、フレーク状導電性微粒子(B)と、ワイヤー状微粒子(C)と、を含有し、
前記フレーク状導電性微粒子(B)が、平均粒径3μm以上30μm未満のフレーク状
の銀粉、銅粉、銀コート粉、銅合金粉、およびカーボン微粒子より選択される1種以上からなる導電性微粒子を含み、
前記導電性微粒子(B)の含有量が、組成物の固形分全体中の50~85%である。
抗値の変化の大きさが異なり、更には導電性微粒子の形状だけでなく、導電性微粒子とは異なる特定形状の微粒子の添加の有無により、成形フィルム上に溶融した高粘度の熱可塑性樹脂を高圧で圧接した際に断線の有無や抵抗値の変化の大きさが異なるという知見を得た。本発明者らはこのような知見に基づいて検討を行った結果、樹脂フィルム上に導電性微粒子としてフレーク形状の導電性微粒子を全く含まない導電性組成物またはワイヤー状微粒子を全く含まない導電性組成物を印刷および加熱乾燥した場合、成形フィルムをその軟化点に当たる高温での引っ張りにより変形させた際に当該導電性組成物と樹脂フィルムの接触面で密着性の低下、もしくは導電層の亀裂発生が生じること、また成形フィルム上に溶融した高粘度の熱可塑性樹脂を高圧で圧接した際にその高温と流圧に流され配線が断線または薄膜化することが明らかとなった。また、加飾層上に導電層を設ける場合も同様であった。
なお、本発明における凹凸面や三次元曲面とは、なだらかな曲線断面を有する面のみでなく、鋭角状の角や矩形形状を有する立体面全般を示す。すなわち、平面を伸縮することなく変形させることのみでは、成立させることのできない立体形状を指し、例えば半球状、円錐状、円柱状、四角柱状等の立体形状を指すものである。なお、ある立体形状が、連続した立体面内に先述の平面または二次元曲面と、三次元曲面の両方の要素を有する場合、例えば平面形状に1か所以上の部分的な半球状形状が組み合わされた立体形状に関しては、全体として平面を伸縮することなく変形させることによって成立させることのできない立体形状であることから、これも三次元曲面であるものとする。即ち本発明における凹凸面や三次元曲面は、フレキシブル基板等を折り曲げることでは実現できないものであり、たとえば、成形性フィルムの加熱下での立体成形による賦形などによって実現可能となる形状である。
即ち、本発明の成形フィルム用導電性組成物は、上記平均粒径3μm以上30μm未満のフレーク状導電性微粒子と、ワイヤー状微粒子とを併用して用いることにより、スクリーン印刷等で、導電性に優れた厚膜の導電層を有する成形フィルムを容易に製造することができる。また、当該成形フィルム用導電性組成物を用いて製造された成形フィルムは、平坦でない基材表面に用いた場合であっても導電性の低下が抑制される。更に、当該成形フィルムを用いることで、実用的な強度をもつ立体形状プラスチックからなる基材上の凹凸面や曲面などの任意の面に導電回路が形成された成形体を得ることができる。
本実施の導電性組成物は、成膜性や、ベースフィルム乃至加飾層への密着性を付与するために、バインダー性の樹脂(A)を含有する。また、本実施においては、樹脂(A)を含有することにより、導電層に柔軟性を付与することができる。そのため、樹脂(A)を含有することにより延伸に対する導電層の断線が抑制される。
樹脂(A)としては、例えば、アクリル系樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリエーテル系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン系ブロック共重合樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に本実施において樹脂(A)は、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基より選択される置換基を1分子中に2つ以上有することが好ましい。この場合、後述する架橋剤(D)と組み合わせることにより樹脂(A)を3次元架橋することができ、導電層に硬度が求められる用途において好適に用いることができる。
なお樹脂(A)が複数種類の官能基を有する場合、官能基価はその合計とする。例えば、樹脂(A)がヒドロキシ基と、カルボキシル基とを有する場合には、官能基価は、樹脂(A)の水酸基価と、酸価との合計を表す。
フレーク状導電性微粒子(B)は、導電層内で複数のフレーク状導電性微粒子が接触して導電性を発現するものであり、本実施においては、高温で加熱することなく導電性が得られるものの中から適宜選択して用いられる。
本実施に用いられるフレーク状導電性微粒子としては、金属微粒子、カーボン微粒子、導電性酸化物微粒子などが挙げられる。
金属微粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、アルミニウム、タングステン、モルブテン、白金等の金属単体粉のほか、銅-ニッケル合金、銀-パラジウム合金、銅-スズ合金、銀-銅合金、銅-マンガン合金などの合金粉、前記金属単体粉または合金粉の表面を、銀などで被覆した金属コート粉などが挙げられる。また、カーボン微粒子としては、カーボンブラック、グラ
ファイト、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、導電性酸化物微粒子としては、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウムなどが挙げられる。
なお本実施においてフレーク状導電性微粒子(B)の平均粒子径は以下のように算出する。JISM8511(2014)記載のレーザ回折・散乱法に準拠し、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック9220FRA)を用い、分散剤として市販の界面活性剤ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製:トリトンX-100)を0.5体積%含有する水溶液に導電性微粒子(B)を適量投入し、撹拌しながら40Wの超音波を180秒照射した後、測定を行った。求められたメディアン径(D50)の値をフレーク状導電性微粒子(B)の平均粒子径とした。
本実施の導電性組成物中のフレーク状導電性微粒子(B)の含有割合は、用途等に応じて適宜調整すればよく特に限定されないが、導電性組成物に含まれる固形分全量に対し、50質量%以上85質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることが好ましい。フレーク状導電性微粒子(B)の含有割合が上記下限値以上であれば、導電性に優れた導電層を形成することができる。また、フレーク状導電性微粒子(B)の含有割合が上記上限値以下であれば、樹脂(A)の含有割合を高めることができ、成膜性や、ベースフィルム等への密着性が向上し、また、導電層に柔軟性を付与することができる。
ワイヤー状微粒子(C)は、導電層の導電性及び延伸性を阻害することなく高温時の塗
膜強度を補強するために用いられ、後述する第1~3の製造方法において、成形フィルムと前記基材との一体化の際に導電層に加わる高温での強いせん断応力に対し、導電層からなる配線の形状と導電性を保持する機能を付与するために用いられる。本実施においては、ワイヤー形状を有する無機または有機微粒子の中から適宜選択される。なお、本実施におけるワイヤー形状とは、一次元方向に長軸を有する形状を指し、他の表現で繊維状、ウィスカ状、針状、棒状、ロッド状乃至チューブ状と表現されるものを含む。
本実施に用いられるワイヤー状微粒子(C)としては、カーボン系ワイヤー状微粒子、金属系ワイヤー状微粒子、およびセラミックス系ワイヤー状微粒子などが挙げられる。
カーボン系ワイヤー状微粒子としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイルや短繊維状炭素繊維粒子などが挙げられる。また金属系ワイヤー状微粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、アルミニウム、タングステン、モルブテン、白金等の金属単体粉のほか、銅-ニッケル合金、銀-パラジウム合金、銅-スズ合金、銀-銅合金、銅-マンガン合金などの合金銀などの金属素材からなる、ナノワイヤー、ナノロッド、マイクロロッド、ウィスカ、針状粒子、繊維状粒子などが挙げられる。またセラミックス系ワイヤー状微粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属酸化物、水酸化アルミニウム、酸化水酸化アルミニウム(ベーマイト)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト)、ケイ酸マグネシウムなどの金属オキソ酸塩といった無機塩・セラミックス素材からなる、ナノワイヤー、ナノロッド、マイクロロッド、ウィスカ、針状粒子、繊維状粒子などが挙げられる。また、これらのワイヤー状微粒子はその表面にめっき法や水熱法などの公知の微粒子表面コーティング法を用いて表面金属コーティングや表面セラミックコーティングが施されていてもよい。
らより選択される1種以上からなるセラミックス系ワイヤー状微粒子を含むことが特に好ましい。これらのワイヤー状微粒子(C)を用いることにより、後述する成形フィルムとして立体形状に成形した際の延伸性や導電性の保持性能を阻害することなく、プラスチック基材との一体化工程における高温下での摩擦応力ストレス耐性を付与することができ、基材との一体化プロセスへの耐性に優れた導電層を形成することができる。
本実施の導電性組成物中のワイヤー状微粒子(C)の含有割合は、用途等に応じて適宜調整すればよく特に限定されないが、導電性組成物に含まれる固形分全量に対し、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上9質量%以下であることが好ましい。ワイヤー状微粒子(C)の含有割合が上記下限値以上であれば、基材形成プロセスへの耐性に優れた導電層を形成することができる。またワイヤー状微粒子(C)の含有割合が上記上限値以下であれば、樹脂(A)の含有割合を高めることができ、成膜性や、ベースフィルム等への密着性が向上し、また、良好な印刷性を付与することができる。
ような反応性官能基としては、たとえば、エポキシ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、アルキルオキシアミノ基、アジリジニル基、オキセタニル基、カルボジイミド基、β-ヒドロキシアルキルアミド基などが挙げられる。
架橋剤(D)は樹脂(A)100質量部に対して、0.05質量部以上30質量部以下用いることが好ましく、0.3質量部以上25質量部以下用いることがより好ましい。
ブロック化イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の2官能イソシアネートまたはそれらのアロファネート体、ビウレット体、アダクト体、プレポリマー体、イソシアヌレート体等からなる2官能以上のイソシアネートのイソシアネート基が、ε-カプロラクタムやMEKオキシム等で保護(ブロック化)されたイソシアネート化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基を、ε-カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、ジイソプロピルアミン、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。
このような組合せで用いることにより、特に強靭性に優れかつ架橋により発生する架橋点構造により高温下での基材密着性に優れるため、引張力による導電性の低下が特に抑制された導電層を得ることができる。
本発明の導電性組成物は、必要に応じてさらに他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、溶剤(E)のほか、分散剤、耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、保湿剤等が挙げられる
本実施の導電性組成物の製造方法は、前記樹脂(A)と、フレーク状導電性微粒子(B)と、ワイヤー状微粒子(C)と必要により用いられるその他の成分とを、溶解乃至分散する方法であればよく、公知の混合手段により混合することにより製造することができる。
本実施の成形フィルムは、ベースフィルム上に導電層を備えた成形フィルムであって、
前記導電層が、前記成形フィルム用導電性組成物の硬化物であることを特徴とする。
本実施の成形フィルムによれば、凹凸面や曲面など任意の基材面に導電回路が形成された成形体を得ることができる。
本実施の成形フィルムによれば、凹凸面や曲面など任意の基材面に導電回路が形成された成形体を得ることができる。
本実施の成形フィルムの層構成について図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は、本実施の成形フィルムの一例を示す、模式的な断面図である。
図1の例に示される成形フィルム10は、ベースフィルム1上に、導電層2を備えている。導電層2は、ベースフィルム1の全面に形成されていてもよく、図1の例のように所望のパターン状に形成されていてもよい。
図2の例に示される成形フィルム10は、ベースフィルム1上に、加飾層3を有し、当該加飾層3上に、導電層2を備えている。また図2の例に示されるように、成形フィルム10は、導電層2上に、電子部品4や、取り出し回路に接続するためのピン5を備えていてもよい。
また、図示はしないが、導電層2上、又は電子部品4上には、当該導電層や電子部品を保護するための樹脂層を備えていてもよく、当該樹脂層が、後述する基材との密着性を向上するための粘着層または接着層となっていてもよい。
また、図示はしないが、本実施の成形フィルム10が加飾層3を備える場合、図2の例のほか、ベースフィルム1の一方の面に加飾層3を有し、他方の面に導電層2を備える層構成であってもよい。
本実施の成形フィルムは、少なくともベースフィルムと、導電層を備えるものであり、必要に応じて他の層を有してもよいものである。以下このような成形フィルムの各層について説明する。
本実施においてベースフィルムは、基材形成時の成形温度条件下で基材表面の形状に追従可能な程度の柔軟性および延伸性を有するものの中から適宜選択することができ、成形体の用途や、成形体の製造方法などに応じて選択することが好ましい。
例えば、成形体の製造方法として、後述するオーバーレイ成形法や、フィルムインサート法を採用する場合には、ベースフィルムが成形体に残ることから、導電層の保護層としての機能を有することなどを考慮してベースフィルムを選択することができる。
一方、成形体の製造方法として後述するインモールド転写法などを採用する場合には、剥離性を有するベースフィルムを選択することが好ましい。
ポリカーボネートとポリメチルメタクリレートの積層フィルムの製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネートフィルムとポリメチルメタクリレートフィルムとを貼り合わせて積層してもよく、ポリカーボネートとポリメチルメタクリレートとを共押出しにより積層フィルムとしてもよい。
また、これらのベースフィルムの表面がコロナ処理等の改質処理が施されていることも好ましい。
また更に必要に応じ、成形体表面の傷つき防止のため、ベースフィルムにハードコート層を設け、その反対の面に導電性組成物および必要に応じて加飾層を印刷してもよい。ハードコート層は、ベースフィルムとの密着性、更には表面硬度が良好で成形時にフィルムに追従するものであれば、特に限定されず、また樹脂ビーズ等の有機フィラーや金属酸化物等の無機フィラーも必要に応じて添加してもよい。ハードコート層を設ける方法は特に限定されず、従来公知の塗工方法にて塗布、乾燥、硬化して得ることができる。
本実施の成形フィルムにおいて導電層は、前記導電性組成物の硬化物である。導電層は、パターニングされた導電層であっても、ベタ塗りされた導電層であっても良い。
導電層の形成方法は特に限定されないが、本実施においては、スクリーン印刷法、パッド印刷法、ステンシル印刷法、スクリーンオフセット印刷法、ディスペンサー印刷法、グラビアオフセット印刷法、反転オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法により形成することが好ましく、スクリーン印刷法により形成することがより好ましい。
スクリーン印刷法においては、導電回路パターンの高精細化に対応すべく微細なメッシュ、特に好ましくは300~650メッシュ程度の微細なメッシュのスクリーンを用いることが好ましい。この時のスクリーンの開放面積は約20~50%が好ましい。スクリーン線径は約10~70μmが好ましい。
スクリーン版の種類としては、ポリエステルスクリーン、コンビネーションスクリーン、メタルスクリーン、ナイロンスクリーン等が挙げられる。また、高粘度なペースト状態のものを印刷する場合は、高張力ステンレススクリーンを使用することができる。
スクリーン印刷のスキージは丸形、長方形、正方形いずれの形状であってもよく、またアタック角度(印刷時の版とスキージの角度)を小さくするために研磨スキージも使用することができる。その他の印刷条件等は従来公知の条件を適宜設計すればよい。
溶剤の十分な揮発および架橋反応のために、加熱温度は80~230℃、加熱時間としては10~120分とすることが好ましい。これにより、パターン状の導電層を得ることができる。
導電層のパターンとしては特に限定されないが、例えば直線、曲線、メッシュや、部分的な四角、丸、ひし形形状等のベタパターンやベタ抜きパターンおよびそれらの任意の組合せ、または導電層全体が一面ベタパターンであってもよく、導電層が導電回路または導電回路の一部としての機能を発揮する限りにおいて限定されない。
パターン状導電層は、必要に応じて、導電パターンを被覆するように、絶縁層を設けてもよい。絶縁層としては、特に限定されず、公知の絶縁層を適用することができる。
本実施の成形フィルムは、得られる成形体の意匠性の点から、加飾層を有していてもよい。
加飾層は単色の色味を有する層であってもよく、任意の模様が付されたものであってもよい。
加飾層は、一例として、色材と、樹脂と、溶剤とを含有する加飾インキを調製した後、当該加飾インキを公知の印刷手段によりベースフィルムに塗布することにより形成することができる。
前記色材としては、公知の顔料や染料の中から適宜選択して用いることができる。また樹脂としては、前記本実施の導電性組成物における樹脂(A)と同様のものの中から適宜選択して用いることが好ましい。
加飾層の厚みは特に限定されないが、例えば0.5μm以上10μm以下とすることができ、1μm以上5μm以下とすることが好ましい。
本実施の成形体は、基材上に少なくとも導電層が積層した成形体であって、前記導電層が、請求項1~5のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物の硬化物であることを特徴とする。本実施の成形体は、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物を用いた成形フィルムにより形成されるため、凹凸面や曲面など、任意の面に導電回路が形成された成形体となる。
以下、本実施の成形体の製造方法について、3つの実施形態を説明する。なお、本実施の成形体は、前記本実施の導電性組成物を用いて製造されたものであればよく、これらの方法に限定されるものではない。
本実施に係る成形体の第1の製造方法は、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物を、ベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
基材上に前記成形フィルムを配置する工程と、
オーバーレイ成形法により、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む。
以下、図3を参照して説明するが、成形フィルムの製造方法は前述のとおりであるので、ここでの説明は省略する。
第1の製造方法においては、まず、基材20を下側チャンバーボックス22のテーブル上に設置する。次いで、前記本実施の成形フィルム10を上側チャンバーボックス21と下側チャンバーボックス22との間を通し、基材20上に配置する。この際、成形フィルム10は導電層が基材20側、もしくは基材20とは反対側のどちらと面するように配置されていてもよく、最終的な成形体の用途によって選択される。次いで上側・下側チャンバーボックスを真空状態とした後、成形フィルムを加熱する。次いで、テーブルを上昇することにより基材20を上昇15する。次いで上側チャンバーボックス21内のみを大気開放する(図3(B))。この時、成形フィルムは基材側に加圧16され、成形フィルム10と基材20とが貼り合わされて一体化する(図3(C))。このようにして成形体30を得ることができる。
本実施に係る成形体の第2の製造方法は、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物を、ベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
前記成形フィルムを所定の形状に成形する工程と、
成形後の前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む。以下、図4を参照して説明する。なお、第2の製造方法をフィルムインサート法ということがある。
本実施に係る成形体の第3の製造方法は、前記本実施の成形フィルム用導電性組成物を、スクリーン印刷により、ベースフィルム上に印刷し、乾燥することにより成形フィルムを製造する工程と、
前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルム中の導電層を基材側に転写する工程と、を含む。
以下、図5を参照して説明する。なお、第3の製造方法をインモールド転写法ということがある。
また、実施例中の重量平均分子量は、東ソー社製GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)「HLC-8320」を用いた測定におけるポリスチレン換算分子量である。
(官能基価)[mgKOH/g]=(56.1×1000)/(官能基当量)
上記官能基価は、例えば官能基がカルボキシル基である場合は酸価、官能基がヒドロキシ基である場合は水酸基価、官能基がアミノ基である場合はアミン価などと表現される量の総称であり、互いに異なる官能基をもつ物質同士の官能基比率を比較する際には、上記官能基価が同じ値であれば同モル量の官能基を有すると考えてよい。
また、イソシアネート基など、官能基価の定量に上記の水酸化カリウムによる滴定を使用しない場合にも、官能基量を表すそれぞれの測定値から導かれた上記官能基当量ならびに上記計算式を用いて、便宜的に水酸化カリウム換算量として算出することができる。以下に具体的な計算例を示す。
(「X」の官能基当量)=1/(0.23/44)=191.3
この3官能イソシアネート化合物「X」の官能基当量と上記官能基価の計算式から、下
記のように3官能イソシアネート化合物「X」の官能基価を算出することができる。
(3官能イソシアネート化合物「X」の官能基価)[mgKOH/g]
=(56.1×1000)/191.3=293.3
樹脂(A1)~(A4)として以下の樹脂を用いた。
・樹脂(A1):日本ゼオン社製ニトリルブタジエンゴム系樹脂、Nipol1042、重量平均分子量450,000、ガラス転移点-40℃、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、および酸無水物基より選択される官能基を含有しない。
・樹脂(A2):クレイバレー社製スチレン無水マレイン酸樹脂、SMA EF30、重量平均分子量9,500、ガラス転移点130℃、酸無水物基(酸価215mgKOH/g)を1分子中に2以上含有する。
・樹脂(A3):イーストマンケミカル社製セルロースエステル樹脂、CAB551-0.2、重量平均分子量70,000、ガラス転移点100℃、ヒドロキシ基(官能基価54mgKOH/g)を1分子中に2以上含有する。
・樹脂(A4):三菱ケミカル社製アクリル樹脂、ダイヤナールBR-77、重量平均分子量65,000、ガラス転移点80℃、カルボキシル基(官能基価19mgKOH/g)を1分子中に2以上含有する。
攪拌機、温度計、精留管、窒素ガス導入管、減圧装置を備えた反応装置に、イソフタル酸ジメチル40.6部、エチレングリコール12.9部、ネオペンチルグリコール18.2部、及びテトラブチルチタネート0.03部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃まで徐々に加熱し、180℃で3時間エステル交換反応を行なった。ついで、セバシン酸28.3部を仕込み180~240℃まで徐々に加熱し、エステル化反応を行なった。240℃で2時間反応し、酸価を測定し、15以下になったら反応装置内を徐々に1~2トールまで減圧し、所定の粘度に達した時、反応を停止し取り出した後に表面がフッ素加工されたパレットに移して冷却することで、重量平均分子量45,000、ガラス転移点58℃、ヒドロキシ基(官能基価5mgKOH/g)を1分子中に2以上含有するポリエステル樹脂(A5)の固形物を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、アジピン酸およびテレフタル酸と3-メチル-1,5ペンタンジオールとから得られるポリエステルポリオール(クラレ社製「クラレポリオールP-2011」)127.4部、イソホロンジイソシアネート19.2部、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート32.5部を仕込み、窒素気流下にて90℃で3時間反応させ、ついでイソホロンジアミン5.5部を加え更に90℃で2時間反応させることで、重量平均分子量35,000、ガラス転移点5℃、アミノ基(官能基価4mgKOH/g)を1分子中に2以上含有するウレタン樹脂(A5)40%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶媒60%からなる不揮発分40%のウレタン樹脂(A6)溶液を得た。
<フレーク状導電性微粒子(B1)~(B3)>
・導電性微粒子(B1):福田金属箔粉社製、フレーク状銀粉、平均粒子径5.2μm
・導電性微粒子(B2):DOWAエレクトロニクス社製、フレーク状銀コート銅粉、銀被覆量10%、平均粒子径4.0μm
・導電性微粒子(B3):伊藤黒鉛社製、鱗片状黒鉛、平均粒子径15μm
<フレーク状以外の導電性微粒子(B’4)~(B’5)>
・導電性微粒子(B’4):DOWAエレクトロニクス社製、球状銀粉、平均粒子径0.8μm
・導電性微粒子(B’5):DOWAエレクトロニクス社製、連鎖球状銀粉、平均粒子径5.9μm
・ワイヤー状微粒子(C1):
オクサイアル社製、単層カーボンナノチューブ、TUBALL SWCNT93%、平均繊維長7μm、平均径2nm
・ワイヤー状微粒子(C2):
PlasmaChem社製、銀ナノワイヤー、平均繊維長25μm、平均径50nm
・ワイヤー状微粒子(C3):
石原産業社製、針状酸化チタン、平均繊維長1.7μm、平均径0.13μm
・ワイヤー状微粒子(C4):
河合石灰社製、ワイヤー状合成ベーマイト(酸化水酸化アルミニウム)、平均繊維長6.0μm、平均径1.0μm
・ワイヤー状微粒子(C5):
宇部マテリアル社製、ワイヤー状塩基性硫酸マグネシウム、平均繊維長21μm、平均径0.8μm
・ワイヤー状微粒子(C6):
大塚化学社製、ワイヤー状チタン酸カリウム、平均繊維長15μm、平均径0.4μm
・ワイヤー状微粒子(C7):
NYCOミネラルズ社製、ウォラストナイト(針状ケイ酸カルシウム)、平均繊維長9.0μm、平均径3.0μm
まず、3L丸底フラスコ内で0.5%希塩酸1.0Lに塩化第一錫20gを溶解し、コア粒子として前記ワイヤー状微粒子(C5)50gを添加して25℃で1時間撹拌し、その後粒子を濾別、水洗することにより、吸着処理済ワイヤー状粒子を得た。次にエデト酸二ナトリウム塩40g、水酸化ナトリウム20g、37%ホルムアルデヒド水溶液15mLを精製水2Lに加えて溶解させ3L丸底フラスコに入れた後、ここに上記吸着処理済ワイヤー状粒子を浸漬させることにより、吸着処理済ワイヤー状粒子スラリーを調製した。次いで硝酸銀30g、25%アンモニア水35mL、精製水50mLを混合して塩基性硝酸銀水溶液を調製し、これを上記吸着処理済ワイヤー状粒子スラリーに25℃で撹拌しながら20分かけて全量滴下した。ここへ更に水酸化ナトリウム10%水溶液を滴下してpHを12に調整し、25℃に保持しながら2時間撹拌することにより、吸着処理済ワイヤー状粒子の表面に銀を析出させた。その後、水洗・濾過を行った後、真空乾燥機を用いて60℃で12時間乾燥させ、銀被覆ワイヤー状粒子前駆体を得た。この銀被覆ワイヤー状粒子前駆体を325メッシュのステンレスメッシュと振盪器を用いて塊状の凝集粒子をほぐした後、ステンレスバットに厚み1mmとなるように敷き詰めて電気マッフル炉に入れ、30分で150℃まで昇温したのち、同温度で3時間保持し前記銀被覆層の銀結晶を詳説させ、銀で被覆されたワイヤー状微粒子(C8)を得た。この銀で被覆されたワイヤー状微粒子(C8)100質量部に対しての銀の被覆量は30%であった。
・架橋剤(D1):
Baxeneden Chemicals社製ブロックイソシアネート溶液、Trixene BI7963、ブロック化されているイソシアネート基を1分子中に3つ含有(官能基価168mgKOH/g)、不揮発分70%(溶剤(E3):2-メトキシプロパノール)
・架橋剤(D2):
住化コベストロウレタン社製ブロックイソシアネート溶液、デスモジュール BL-3475、ブロック化されているイソシアネート基を1分子中に3つ含有(官能基価147mgKOH/g)、不揮発分70%(溶剤(E4):ソルベントナフサと溶剤(E5)酢酸ブチルの1:1混合溶媒)
・架橋剤(D3):
日本化薬社製グリシジルアミン、GAN、エポキシ基を1分子中に2つ含有(官能基価449mgKOH/g)、不揮発分100%
・架橋剤(D4):
ナガセケムテックス社製グリシジルエーテル、Ex-411、エポキシ基を1分子中に4つ含有(官能基価245mgKOH/g)、不揮発分100%
・溶剤(E1):1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、沸点209℃
・溶剤(E2):ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、沸点217℃
・溶剤(E3):2-メトキシプロパノール、沸点120℃
・溶剤(E4):ソルベントナフサ、沸点171℃
・溶剤(E5):酢酸ブチル、沸点126℃
樹脂溶液(A6)175部(樹脂(A6)のみとして70部)を準備し、これにフタロシアニンブルー顔料(トーヨーカラー社製LIONOL BLUE FG7351)20部、酸化チタン顔料(石原産業社製TIPAQUE CR-93)10質量部を撹拌混合し、3本ロールミル(小平製作所製)で混練したのち、イソシアネート架橋剤(住化コベストロウレタン社製デスモジュール N3300、不揮発分100%)5部と溶剤(E2)90部を加えて均一に撹拌混合することで加飾インキ(G1)を得た。
樹脂(A1)20.0部を溶剤(E1)30.0部に溶解させ、フレーク状導電性微粒子(B1)80.0部およびワイヤー状微粒子(C1)0.5部を撹拌混合し、3本ロールミル(小平製作所製)で混練したのち、プラネタリーミキサーにより均一に撹拌混合することで成形フィルム用導電性組成物(F1)を得た。
実施例1において、樹脂、溶剤、フレーク状導電性微粒子、ワイヤー状微粒子、架橋剤(架橋剤を用いる場合には、架橋剤はプラネタリーミキサーによる均一撹拌混合の直前に加えた)の種類及び配合量を表1のように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして、成形フィルム用導電性組成物(F2)~(F22)を得た。
なお、表1~表3中の各材料の数値はいずれも質量部である。
ただし、実施例1~10は参考例である。
実施例1において、樹脂、溶剤、導電性微粒子、架橋剤の種類及び配合量を表3のように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして、成形フィルム用導電性組成物(F23)~(F25)を得た。
ポリカーボネート(PC)フィルム(帝人社製、パンライト2151、厚み300μm)基材(300mm×210mm)上に、成形フィルム用導電性組成物(F1)~(F22)をそれぞれスクリーン印刷機(ミノスクリーン社製、ミノマットSR5575半自動スクリーン印刷機)によって印刷した。次いで、熱風乾燥オーブンで120℃で30分加熱することで、幅15mm、長さ30mm、厚み10μmの四角形ベタ状および線幅3mm、長さ60mm、厚み10μmの直線状のパターンを有する導電層を備えた成形フィルムを得た。
ただし、実施例23~32は参考例である。
ポリカーボネートフィルム(帝人社製、パンライト2151、厚み300μm)基材(300mm×210mm)上に、加飾インキ(G1)を、ブレードコーターを用いて、乾燥膜厚が2μmとなるように塗工し、120℃で30分加熱して加飾層を形成した。
次いで、前記実施例33において、ポリカーボネートフィルムの代わりに上記加飾層付きフィルムを用い、加飾層上に導電層を形成した以外は、前記実施例37と同様にして、ポリカーボネートフィルム、加飾インキ層、導電体がこの順に積層された成形フィルムを得た。
前記実施例において、アクリル樹脂フィルム基材の代わりに、ポリカーボネート樹脂/アクリル樹脂2種2層共押し出しフィルム(住友化学社製、テクノロイC001、厚み125μm)基材(300mm×210mm)を用い、ポリカーボネート樹脂側に成形フィルム用導電性組成物の印刷を行ったこと以外は、前記実施例45と同様にして、成形フィルムを得た。
前記実施例23~44において、ポリカーボネートフィルム基材の代わりに、アクリル樹脂フィルム(住友化学社製、テクノロイS001G、厚み250μm)基材(300mm×210mm)を用いたこと、及び、熱風乾燥オーブンでの乾燥条件を80℃で30分としたこと以外は、前記実施例23~45と同様にして、成形フィルムを得た。
ただし、実施例47~56は参考例である。
上記実施例23~69、および比較例4~9の成形フィルムに形成された、15mm×30mmの四角形ベタ状の導電層について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP MCP-T610型抵抗率計、JIS-K7194準拠、4端子4探針法定電流印加方式)(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用いて体積固有抵抗(Ω・cm)を測定した。結果を表1~3に示す。
上記実施例23~69、および比較例4~9の成形フィルムに形成された、15mm×30mmの四角形ベタ状の導電層に対し、ガードナー社製1mm間隔クロスカットガイドを使用してカッターナイフで当該導電層を貫通するように10x10マスの碁盤目状の切れ込みを入れ、ニチバン社製セロハンテープを貼り付け噛み込んだ空気を抜いてよく密着させたのち、垂直に引きはがした。塗膜の剥離度合いをASTM-D3519規格に従って下記のように評価した。結果を表1~3に示す。
(剥離密着性評価基準)
A:評価5B~4B、密着性に優れる
B:評価上は5B~4Bであるが、塗膜が凝集破壊し、表面側の塗膜の一部が脱離する
C:評価3B以下、密着性に劣る
上記実施例23~69、および比較例4~9の成形フィルムに形成された、3mm×60mmの直線状パターンの導電層が真ん中に来るように長手方向に70mm、幅方向に10mmに切り出し、測定用クーポンとした。この測定用クーポン上の導電層とは反対側の面に、長手方向端から当該導電層と垂直な線を目印として油性マジックで4cm間隔に2
本書き加えた。この目印に従い、4cm間隔となる位置を、テスターを用いて抵抗値測定し、これを配線抵抗(Ω)とした。結果を表1~3に示す。
上記実施例23~46および比較例4~6の前記測定用クーポンを160℃の加熱オーブン中で、長手方向に引っ張り速度10mm/分で伸長率50%まで引き延ばした。オーブンから取出し、冷却後に光学顕微鏡を用いて断線の有無を評価した。また、上記配線抵抗の測定と同様の方法で、元の目印基準で4cm間隔に相当する位置の配線抵抗(Ω)を測定し、伸縮後の配線抵抗/伸縮前の配線抵抗を熱延伸時抵抗変動率(倍)とし、それぞれ以下の基準で評価した。結果を表1及び表3に示す。
(断線の有無)
A:断線は見られなかった。
B:1~2個の軽微なヒビが確認された
C:重度の断線または導電塗膜の剥離が確認された
(熱延伸時抵抗変動率)
A:5倍以上10倍未満
B:10倍以上100倍未満
C:100倍以上
(伸長率)[%]={(延伸後の長さ-延伸前の長さ)/(延伸前の長さ)}×100
前記熱延伸評価1において、伸長率を100%に変更した以外は、前記熱延伸評価1と同様にして、以下の基準で評価した。結果を表1及び表3に示す。
(断線の有無)
A:断線は見られなかった。
B:1~2個の軽微なヒビが確認された
C:重度の断線または導電塗膜の剥離が確認された
(熱延伸時抵抗変動率)
A:10倍以上100倍未満
B:100倍以上1000倍未満
C:1000倍以上
上記実施例47~69、および比較例7~9の前記測定用クーポンを120℃の加熱オーブン中で、長手方向に引っ張り速度10mm/分で伸長率50%まで引き延ばした。オーブンから取出し、冷却後に光学顕微鏡を用いて断線の有無を評価した。また、上記配線抵抗の測定と同様の方法で、元の目印基準で4mm間隔に相当する位置の配線抵抗(Ω)を測定し、伸縮後の配線抵抗/伸縮前の配線抵抗を熱延伸時抵抗変動率(倍)とし、それぞれ以下の基準で評価した。結果を表2及び表3に示す。
(断線の有無)
A:断線は見られなかった。
B:1~2個の軽微なヒビが確認された
C:重度の断線または導電塗膜の剥離が確認された
(熱延伸時抵抗変動率)
A:5倍以上10倍未満
B:10倍以上100倍未満
C:100倍以上
前記熱延伸評価3において、伸長率を100%に変更した以外は、前記熱延伸評価3と同様にして、以下の基準で評価した。結果を表2及び表3に示す。
(断線の有無)
A:断線は見られなかった。
B:1~2個の軽微なヒビが確認された
C:重度の断線または導電塗膜の剥離が確認された
(熱延伸時抵抗変動率)
A:10倍以上100倍未満
B:100倍以上1000倍未満
C:1000倍以上
上記実施例23~69および比較例4~6の成形フィルムの3mm×60mmの直線状パターンの位置と重なるように、半径4cmの半球状のABS樹脂成形物を導電体側の面と向かい合うように合わせ、TOM成形機(布施真空社製)を用いて設定温度160℃でオーバーレイ成形を行うことで、半球形状に成形された成形フィルムとABS樹脂成形物とが一体化した成形体を得た。この成形体の直線状パターン配線の削れおよび抵抗変動率を確認した。抵抗変動率は元の目印基準で6cm間隔に相当する位置の配線抵抗(Ω)を測定し、伸縮後の配線抵抗/伸縮前の配線抵抗を熱延伸時抵抗変動率(倍)とし、それぞれ以下の基準で評価した。結果を表1及び表3に示す。
(断線の有無と抵抗変動率)
A:配線の削れが見られず、かつ抵抗変動率が10倍以上50倍未満
B:1~2箇所の配線の削れによる端部欠けが確認される、または抵抗変動率が50倍以上500倍未満
C:配線の削れによる断線が1箇所以上確認される
上記実施例47~69、および比較例7~9の成形フィルムの3mm×60mmの直線状パターンを使用し、120℃でオーバーレイ成形を行った以外は、前記オーバーレイ成形による成形体製造時の工程耐性評価1と同様に成形体を得て、オーバーレイ成形時の直線状パターン配線の削れおよび抵抗変動率を評価した。結果を表2及び表3に示す。
上記実施例23~46および比較例4~6の成形フィルムの3mm×60mmの直線状パターンの位置と重なるように、半径4cmの半球状窪みを中央に有するブロック状金属製モールドを導電体側の反対の面と向かい合うように合わせ、TOM成形機(布施真空社製)を用いて設定温度160℃でオーバーレイ成形を行うことで、半球形状に成形された内側にパターン化導電体を有する成形用フィルムを得た。
次いで、当該半球形状に成形された成形フィルムを、バルブゲートタイプのインモールド成形用テスト金型が取り付けられた射出成形機(IS170(i5)、東芝機械社製)にセットし、PC/ABS樹脂(LUPOYPC/ABSHI5002、LG化学社製)を射出成形することで、パターン化導電体付き成形用フィルムと一体化された成形体を得た(射出条件:スクリュー径40mm、シリンダー温度260℃、金型温度(固定側、
可動側)60℃ 、射出圧力160MPa(80%)、保圧力100MPa、射出速度6
0mm/秒(28%)、射出時間4秒、冷却時間20秒)。この成形体の直線状パターンの溶融樹脂の射出によるウォッシュアウト(溶融熱可塑性樹脂の温度および射出圧による
配線パターンの変形や断線)および抵抗変動率を確認した。抵抗変動率は元の目印基準で
6cm間隔に相当する位置の配線抵抗(Ω)を測定し、伸縮後の配線抵抗/伸縮前の配線抵抗を熱延伸時抵抗変動率(倍)とし、それぞれ以下の基準で評価した。結果を表1及び
表3に示す。
(断線の有無と抵抗変動率)
A:配線のウォッシュアウトが全く見られず、かつ抵抗変動率が10倍以上50倍未満
B:軽度のウォッシュアウトによる配線の歪みが確認される、または抵抗変動率が50倍以上500倍未満
C:配線のウォッシュアウトによる断線が1箇所以上確認される
上記実施例47~69、および比較例7~9の成形フィルムの3mm×60mmの直線状パターンを使用し、120℃でオーバーレイ成形を行った以外は、前記オーバーレイ成形による成形体製造時の工程耐性評価1と同様に成形体を得て、フィルムインサート成形時の直線状パターンの溶融樹脂射出によるウォッシュアウトの程度および抵抗変動率を評価した。結果を表2及び表3に示す。
ワイヤー状微粒子をを含有しない比較例4、7、平均粒子径3~30umのフレーク状導電性微粒子でない導電性微粒子を用いた比較例5、8、もしくはワイヤー状微粒子を含有するが導電性微粒子を含まない比較例6、9の導電性組成物を用いて形成された導電層は、樹脂基材との一体化工程時に、成形済基材との摩擦や溶融樹脂射出に伴うウォッシュアウトによる破断を生じ、抵抗値が上昇することが明らかとなった。
不明な点もあるが、セラミックス系ワイヤー状微粒子の有する力学的な剛性と高い分散性が強固かつ変形性を過度に阻害しないフィラー凝集ネットワークを形成するためと考えている。また、樹脂が特定の官能基を含むとともに架橋剤による架橋と併用した場合やガラス転移点が0℃以上150℃未満の樹脂である場合も、これらの特性がより一層優れていた。
1 ベースフィルム
2 導電層
3 加飾層
4 電子部品
5 ピン
10 成形フィルム
11 金型
12 射出成形用金型
13 開口部
14 射出
15 上昇
16 加圧
17 樹脂
20 基材
21 上側チャンバーボックス
22 下側チャンバーボックス
30 成形体
Claims (11)
- 凹凸面や三次元曲面を有する基材表面に導電層を形成するための成形フィルムの製造用の導電性組成物であって、
樹脂(A)と、フレーク状導電性微粒子(B)と、ワイヤー状微粒子(C)と、を含有し、
前記フレーク状導電性微粒子(B)が、平均粒子径3μm以上30μm未満であり、かつ銀粉、銅粉、銀コート粉、銅合金粉、およびカーボン微粒子からなる群より選択される1種以上の導電性微粒子を含み、
前記ワイヤー状微粒子(C)が、セラミックス系ワイヤー状微粒子を含み、
前記導電性微粒子(B)の含有量が、組成物の固形分全体中の50~85質量%である、成形フィルム用導電性組成物。 - セラミックス系ワイヤー状微粒子が、金属酸化物ワイヤー、金属水酸化物ワイヤー、および金属オキソ酸塩ワイヤーからなる群より選択される1種以上のセラミックス系ワイヤー状微粒子を含む請求項1に記載の成形フィルム用導電性組成物。
- 前記樹脂(A)が、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群より選択される第1の反応性官能基を1分子中に2つ以上有し、
さらに前記第1の反応性官能基と架橋形成しうる第2の反応性官能基を1分子中に2つ以上有する架橋剤(D)を含有する請求項1または2に記載の成形フィルム用導電性組成物。 - 前記樹脂(A)が、0℃以上150℃未満にガラス転移温度を1つ以上有するとともに、0℃未満にガラス転移温度を有さない樹脂である、請求項1~3のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物。
- ベースフィルム上に導電層を備えた成形フィルムであって、
前記導電層が、請求項1~4のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である、成形フィルム。 - ベースフィルム上に、加飾層と、導電層とを有する成形フィルムであって、
前記導電層が、請求項1~4のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である、成形フィルム。 - 前記ベースフィルムが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン及び、ポリエチレンテレフタレートより選択されるフィルム、又はこれらの積層フィルムである、請求項5または6記載の成形フィルム。
- 基材上に、導電層が積層した成形体であって、
前記導電層が、請求項1~4のいずれか一項記載の成形フィルム用導電性組成物の硬化物である、成形体。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の成形フィルム用導電性組成物をベースフィルム上に印刷して、成形フィルムを製造する工程と、
基材上に前記成形フィルムを配置する工程と、
オーバーレイ成形法により、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む、成形体の製造方法。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の成形フィルム用導電性組成物をベースフィルム上に印刷して、成形フィルムを製造する工程と、
前記成形フィルムを所定の形状に成形する工程と、
成形後の前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルムと前記基材とを一体化する工程と、を含む、成形体の製造方法。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の成形フィルム用導電性組成物をベースフィルム上に印刷して、成形フィルムを製造する工程と、
前記成形フィルムを、射出成形用の型内に配置する工程と、
射出成形により基材を成形すると共に、前記成形フィルム中の導電層を基材側に転写する工程と、を含む、成形体の製造方法。
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