JP7283241B2 - 物性予測装置、物性予測方法、及びプログラム - Google Patents

物性予測装置、物性予測方法、及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7283241B2
JP7283241B2 JP2019107788A JP2019107788A JP7283241B2 JP 7283241 B2 JP7283241 B2 JP 7283241B2 JP 2019107788 A JP2019107788 A JP 2019107788A JP 2019107788 A JP2019107788 A JP 2019107788A JP 7283241 B2 JP7283241 B2 JP 7283241B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
physical property
learning
prediction
composition data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019107788A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020200213A (ja
Inventor
健作 中村
直也 大谷
哲也 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2019107788A priority Critical patent/JP7283241B2/ja
Publication of JP2020200213A publication Critical patent/JP2020200213A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7283241B2 publication Critical patent/JP7283241B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、物性予測装置、物性予測方法、及びプログラムに関する。
例えば、特許文献1には、酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で、P成分を20%以上45%以下、Nb成分を15%以上60%以下、ZnO成分とMgO成分を合量で5%以上50%以下含有し、屈折率が1.75以上、アッベ数が10以上35以下である光学ガラスが開示されている。このような光学ガラスの組成を開発する場合、各成分の含有量を変更しながらガラスサンプルを作製し、所望の光学特性が得られるまで実験を繰り返すのが一般的である。組成開発の工程を減らすため、ガラスサンプルを作製することなく光学特性を推定することが求められていた。
特開2014-47095号公報
本発明の一態様は、ガラスの組成を示す組成データを取得する組成データ取得部と、前記組成データ取得部が取得した前記組成データから、前記ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合を算出する割合算出部と、元素に固有の情報である元素固有情報を取得する元素固有情報取得部と、前記割合算出部が算出した前記割合と、前記元素固有情報取得部が取得した前記元素固有情報とに基づいて、統計量に関する情報を算出する統計量算出部と、前記ガラスの屈折率又はアッベ数を含む物性を示す物性データを取得する物性データ取得部と、前記統計量算出部が算出した前記統計量に関する情報と、前記物性データ取得部が取得した前記物性データとに基づいて学習を実行する学習部と、物性の予測対象であるガラスの組成を示す予測対象組成データを取得する予測対象組成データ取得部と、前記予測対象組成データ取得部が取得した前記予測対象組成データと、前記学習部が学習を実行した結果とに基づいて、前記予測対象であるガラスの物性を予測する予測部とを備える物性予測装置である。
本発明の一態様は、ガラスの組成を示す組成データを取得する組成データ取得過程と、前記組成データ取得過程において取得された前記組成データから、前記ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合を算出する割合算出過程と、元素に固有の情報である元素固有情報を取得する元素固有情報取得過程と、前記割合算出過程において算出された前記割合と、前記元素固有情報取得過程において取得された前記元素固有情報とに基づいて、統計量に関する情報を算出する統計量算出過程と、前記ガラスの屈折率又はアッベ数を含む物性を示す物性データを取得する物性データ取得過程と、前記統計量算出過程において算出された前記統計量に関する情報と、前記物性データ取得過程において取得された前記物性データとに基づいて学習を実行する学習過程と、物性の予測対象であるガラスの組成を示す予測対象組成データを取得する予測対象組成データ取得過程と、前記予測対象組成データ取得過程において取得された前記予測対象組成データと、前記学習過程において学習が実行された結果とに基づいて、前記予測対象であるガラスの物性を予測する予測過程とを有する物性予測方法である。
本発明の一態様は、コンピュータに、ガラスの組成を示す組成データを取得する組成データ取得ステップと、前記組成データ取得ステップにおいて取得された前記組成データから、前記ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合を算出する割合算出ステップと、元素に固有の情報である元素固有情報を取得する元素固有情報取得ステップと、前記割合算出取得ステップにおいて算出された前記割合と、前記元素固有情報取得ステップにおいて取得された前記元素固有情報とに基づいて、統計量に関する情報を算出する統計量算出ステップと、前記ガラスの屈折率又はアッベ数を含む物性を示す物性データを取得する物性データ取得ステップと、前記統計量算出ステップにおいて算出された前記統計量に関する情報と、前記物性データ取得ステップにおいて取得された前記物性データとに基づいて学習を実行する学習ステップと、物性の予測対象であるガラスの組成を示す予測対象組成データを取得する予測対象組成データ取得ステップと、前記予測対象組成データ取得ステップにおいて取得された前記予測対象組成データと、前記学習ステップにおいて学習が実行された結果とに基づいて、前記予測対象であるガラスの物性を予測する予測ステップとを実行させるためのプログラムである。
実施形態に係る物性予測システムの構成の一例を示す図である。 実施形態に係る組成データの一例を示す図である。 実施形態に係る物性予測装置1の処理の一例を示す図である。 実施形態に係る学習組成データの一例を示す図である。 実施形態に係る学習組成データの一例を示す図である。 実施形態に係る学習組成データ及び物性データの一例を示す図である。 実施形態に係る前処理の一例を示す図である。 実施形態に係る割合算出処理の一例を示す図である。 実施形態に係る学習処理の一例を示す図である。 実施形態に係る学習用統計量の一例を示す図である。 実施形態に係る前処理後学習データの一例を示す図である。 実施形態に係る予測対象組成データの一例を示す図である。 実施形態に係る予測対象組成データ、物性データ、及び予測結果の一例を示す図である。 実施形態に係る予測用統計量の一例を示す図である。 実施形態に係る予測用統計量の一例を示す図である。 実施形態に係る予測用統計量の一例を示す図である。 実施形態に係る屈折率についての予測値と実験値との比較の一例を示す図である。 実施形態に係るアッベ数についての予測値と実験値との比較の一例を示す図である。 実施形態に係る予測対象の物性に応じた元素固有情報Eの一例を示す図である。
(実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る物性予測システムPSの構成の一例を示す図である。物性予測システムPSは、ガラスの組成が入力されると、ガラスの組成と、物性との関係を学習した学習結果に基づいて、入力された組成を有するガラスの物性を予測するシステムである。
物性予測システムPSは、物性予測装置1と、学習データ供給装置2と、元素固有情報供給装置3と、提示装置4とを備える。
物性予測装置1は、学習処理と、予測処理とを実行する。学習処理とは、ガラスの組成と物性との関係を学習する処理であり、予測処理とは、学習結果に基づいて、入力された組成を有するガラスの物性を予測する処理である。物性予測装置1は、一例として、PC(Personal Computer)である。
本実施形態では、ガラスの組成は、構成成分の割合によって示される。構成成分の割合は、例えば、酸化物換算組成のガラス全重量に対する質量%、またはモル%で示される。また、構成成分の割合は、ガラスに含まれる各元素のカチオン%またはアニオン%で示されてもよい。以下、本実施形態においては、ガラス組成の構成成分の割合をモル%で示して説明する。
ガラスの物性とは、一例として、屈折率、アッベ数、透過率、部分分散比、着色度λ80(透過率が80%となる波長)、着色度λ(透過率が5%となる波長)などの光学特性や、ガラス転移温度、屈伏点、結晶化開始温度、結晶化ピーク温度、膨張係数、密度、光弾性係数、ヤング率、剛性率、耐失透性、耐酸性、耐水性、液相温度、軟化点、硬度などである。ガラスの物性には、ガラス化するか否かの性質が含まれてもよい。
物性予測装置1は、前処理部10と、物性データ取得部17と、データ生成部18と、学習部19と、記憶部110と、予測部111と、出力部112と、操作部113とを備える。
前処理部10は、前処理を実行する。前処理とは、ガラスの組成からこの組成の統計量に関する情報を、組成の特徴を示す特徴量データとして算出する処理である。前処理部10は、データ取得部11と、割合算出部14と、元素固有情報取得部15と、統計量算出部16とを備える。
データ取得部11は、ガラスの組成を示す組成データを取得する。
ここで図2を参照し、組成データについて説明する。図2は、本実施形態に係る組成データの一例を示す図である。例えば、ガラスが組成番号#1である場合、SiO成分:50モル%、NaO成分:28モル%、LiO成分:22モル%であることを示す。以下では、このような組成を有するガラスを50SiO-28Al-22LiOと表記する場合がある。
図1に戻って物性予測システムPSの構成の説明を続ける。
組成データには、学習処理に用いられる学習組成データLCと、予測処理に用いられる予測対象組成データPCとがある。学習組成データLCは、学習データ供給装置2から供給される。予測対象組成データPCは、組成を入力する操作を操作部113が受け付けることによって操作部113から入力される。予測対象組成データPCは、物性の予測対象であるガラスの組成である予測対象組成を示すデータである。
データ取得部11は、学習組成データ取得部12と、予測対象組成データ取得部13とを備える。学習組成データ取得部12は、学習データ供給装置2から供給される学習組成データLCを取得する。
予測対象組成データ取得部13は、操作部113が受け付ける操作によって入力される予測対象組成データPCを取得する。
割合算出部14は、データ取得部11が取得した組成データが示す組成に基づいて、当該組成を構成する各元素の個数の割合を算出する。
元素固有情報取得部15は、元素固有情報供給装置3から供給される元素固有情報Eを取得する。元素固有情報Eは、元素に固有の情報を示す。元素に固有の情報は、一例として、原子番号、電気陰性度、原子半径、イオン半径、電子親和力、第一イオン化エネルギー、第二イオン化エネルギー、原子量、密度、融点、価数、メンデレーエフ番号、Field Strength、周期表における行番号、及び列番号である。
元素固有情報Eには複数の種類があり、元素固有情報Eは、上述した原子番号、電気陰性度、原子半径、イオン半径、電子親和力、第一イオン化エネルギー、第二イオン化エネルギー、原子量、密度、融点、価数、メンデレーエフ番号、Field Strength、周期表における行番号、及び列番号のうちうちいずれか1つ以上を示す情報である。
なお、Field Strengthは、価数、及びイオン半径から、式(1)に基づいて算出される。
Figure 0007283241000001
統計量算出部16は、割合算出部14が算出した割合と、元素固有情報取得部15が取得した元素固有情報Eとに基づいて、統計量に関する情報を算出する。統計量に関する情報とは、一例として、平均値、中央値、最頻値、分位値、分散、標準偏差、歪度、尖度のうちいずれか一つ以上を示す情報である。統計量に関する情報は、ガラスの特徴を示す特徴量である。
統計量算出部16は、学習組成データLCが示す組成については、組成の統計量に関する情報を学習用統計量LSTとして算出する。統計量算出部16は、予測対象組成データPCが示す組成については、組成の統計量に関する情報を予測用統計量PSTとして算出する。
物性データ取得部17は、学習データ供給装置2から供給される物性データPを取得する。物性データPは、学習組成データ取得部12が取得した学習組成データLCが示す組成に対応する物性を示す。
データ生成部18は、統計量算出部16が算出した統計量に関する情報と、物性データ取得部17が取得した物性データPが示す物性との組を前処理後学習データTDとして生成する。
学習部19は、データ生成部18が生成した前処理後学習データTDに基づいて学習を実行する。学習部19は、学習した結果に基づいて学習済みモデルMを生成する。
記憶部110は、データ生成部18が生成した前処理後学習データTDと、学習部19が生成した学習済みモデルMとを記憶する。記憶部110は、一例として、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶装置である。なお、記憶部110は、物性予測装置1の外部に、外部記憶装置として備えられてもよい。
予測部111は、予測対象組成データ取得部13が取得した予測対象組成データPCが示す組成である予測対象組成と、学習部19が生成した学習済みモデルMとに基づいて、予測対象であるガラスの組成の物性を予測する。
出力部112は、予測部111が予測した結果である予測結果Rを提示装置4に出力する。なお、出力部112は、予測結果Rを提示装置4に出力する代わりに、物性予測システムPSの外部に備えられるデータベースに出力してもよい。
操作部113は、物性予測装置1のユーザから各種の操作を受け付ける。この各種の操作には、予測対象組成データPCを入力する操作が含まれる。操作部113は、一例として、キーボード、マウス、タッチパネルなどである。
学習データ供給装置2は、物性予測装置1に学習組成データLC、及び物性データPを供給する。
元素固有情報供給装置3は、物性予測装置1に元素固有情報Eを供給する。
学習データ供給装置2、及び元素固有情報供給装置3は、一例として、データベースである。学習データ供給装置2と、元素固有情報供給装置3とは一体のデータベースとして備えられてもよい。
提示装置4は、物性予測装置1が出力する予測結果Rを提示する。提示装置4は、一例として、ディスプレイである。
なお、本実施形態では、物性予測装置1が割合算出部14を備え、割合算出部14が、組成データが示す組成に基づいて、当該組成を構成する各元素の個数の割合を算出する場合の一例について説明したが、これに限らない。例えば、組成データが組成を構成する各元素の個数の割合によって表されている場合、物性予測装置1の構成から割合算出部14は省略されてもよい。
次に図3を参照し、物性予測装置1の処理について説明する。図3は、本実施形態に係る物性予測装置1の処理の一例を示す図である。物性予測装置1の処理には、学習処理を含む学習フローと、予測処理を含む予測フローとがある。
まず物性予測装置1によって実行される学習フローについて説明する。
ステップS10:物性予測システムPSのユーザによって、学習組成データLCを入力する操作が行われる。操作部113は、学習組成データLCを入力する操作を受け付ける。
操作部113が学習組成データLCを入力する操作を受け付けると、学習組成データ取得部12は、学習データ供給装置2に学習組成データLCを供給することを要求する。学習組成データ取得部12は、学習データ供給装置2によって供給される学習組成データLCを取得する。学習組成データ取得部12は、取得した学習組成データLCを割合算出部14に供給する。
ステップS20:物性予測システムPSのユーザによって、物性データPを入力する操作が行われる。操作部113は、物性データPを入力する操作を受け付ける。
操作部113が物性データPを入力する操作を受け付けると、物性データ取得部17は、学習データ供給装置2に物性データPを供給することを要求する。物性データ取得部17は、学習データ供給装置2によって供給される物性データPを取得する。
なお、ステップS10、及びステップS20の処理は、一度に行われてよい。ステップS10、及びステップS20の処理が一度に行われる場合、物性予測システムPSのユーザによって、学習組成データLC及び物性データPを入力する操作が行われる。
本実施形態では、学習組成データLC及び物性データPには、一例として1000個の組成を含むがそのうち30個の組成について、図4から図6を参照し、学習組成データLC及び物性データPの具体例について説明する。図4から図6には、学習組成データLCの一部として、学習組成データLC1が示されている。学習組成データLC1は、図4から図6において、学習組成データLC1-1、学習組成データLC1-2、及び学習組成データLC1-3の3つのデータに分けて示されている。図6には、物性データPの一部として、物性データP1が示されている。
学習組成データLC1は、学習組成1から学習組成30までの30種類のそれぞれの組成についてAlなどの成分をモルパーセントによって示す。物性データP1は、学習組成データLC1が示す組成について屈折率、及びアッベ数を示す。なお、本実施形態では、学習組成データLC及び物性データPとして、国際ガラスデータベースINTERGLAD Ver.7に収録された値を用いた。
図3に戻って学習フローの説明を続ける。
ステップS30:前処理部10は、前処理を実行する。ここで前処理部10は、学習組成データ取得部12が取得する学習組成データLCと、元素固有情報取得部15が取得する元素固有情報Eとに基づいて、前処理を実行する。
ステップS30の前処理の詳細は図7を参照し後述する。
ここで図7を参照し、前処理の詳細について説明する。図7は、本実施形態に係る前処理の一例を示す図である。ステップS310からステップS330までの処理は、図3のステップS30の処理に対応する。
ステップS310:割合算出部14は、学習組成データ取得部12が取得した学習組成データLCが示す組成に基づいて、当該組成を構成する各原子の個数の割合を算出する。割合算出部14は、算出した割合を統計量算出部16に供給する。
割合算出部14は、例えば、Siの個数の割合を式(2)に基づいて算出する。
Figure 0007283241000002
ここで図8を参照し、割合算出部14が割合を算出する処理である割合算出処理の詳細について説明する。図8は、本実施形態に係る割合算出処理の一例を示す図である。図8では、一例として、式(2)に対応する割合算出処理、つまりSiの個数の割合を算出する場合の割合算出処理を示している。
組成が50SiO-28Al-22LiOであるガラスの場合、SiO成分は50モルパーセント、Al成分は28モルパーセント、及びLiO成分は22モルパーセント含まれている。ここで、百分率は無視し、それぞれ、SiO成分が50モル、Alが28モル、LiOが22モル含まれているものと仮定する。このとき、SiO成分を構成する原子の個数は3個であり、Al成分を構成する原子の個数は5個であり、LiO成分を構成する原子の個数は3個であるから、50SiO-28Al-22LiOで表される組成に含まれる原子の個数は、356個である。
一方、Si原子はSiOにのみ含まれ、SiOにおいて1個含まれているため、50SiO-28Al-22LiOで表される組成に含まれるSi原子の個数は、SiOの50モルに、SiOに含まれる個数である1個を乗じて50個となる。
割合算出部14は、組成が50SiO-28Al-22LiOであるガラスにおいて、Si原子の個数の割合を、14.04パーセントと算出する。
割合算出部14は、Si原子と同様にして、50SiO-28Al-22LiOの組成が示す他のAl原子、Li原子、及びO原子の個数の割合を式(3)から式(5)に基づいて算出する。
Figure 0007283241000003
Figure 0007283241000004
Figure 0007283241000005
ここで式(6)は、割合算出部14が算出した結果を用いて、ガラスを構成する各原子の個数の割合を示した式である。
Figure 0007283241000006
図7に戻って前処理の説明を続ける。
ステップS320:元素固有情報取得部15は、学習組成データ取得部12が取得した学習組成データLCが示す組成に含まれる元素について、元素固有情報Eを取得する。ここで元素固有情報取得部15は、元素固有情報供給装置3から供給される元素固有情報Eを取得する。元素固有情報取得部15は、一例として、元素固有情報Eとして、原子番号、及び電気陰性度などを取得する。
Si元素、Al元素、Li元素、及びO元素それぞれの原子番号を式(7)に示す。
Figure 0007283241000007
Si元素、Al元素、Li元素、及びO元素それぞれの電気陰性度を式(8)に示す。
Figure 0007283241000008
元素固有情報取得部15は、算出した元素固有情報Eを統計量算出部16に供給する。
なお、元素固有情報取得部15は、学習組成データ取得部12が取得した学習組成データLCが示す組成に含まれる元素によらず、全ての元素について元素固有情報Eをまとめて取得してもよい。
なお、ステップS310の処理とステップS320の処理とは順番を入れ替えて実行されてもよい。
ステップS330:統計量算出部16は、割合算出部14が算出した割合と、元素固有情報取得部15が取得した元素固有情報Eとに基づいて、学習組成データLCが示す組成の統計量に関する情報として学習用統計量LSTを算出する。学習用統計量LSTは、一例として、平均値、及び標準偏差である。統計量算出部16は、算出した学習用統計量LSTを、データ生成部18からの要求に応じてデータ生成部18に供給する。
統計量算出部16は、一例として、式(9)に基づいて原子番号の平均値を算出する。
Figure 0007283241000009
ここで、nSi、nAl、nLi、及びnは、式(2)から式(5)において示したように、それぞれSi原子、Al原子、Li原子、及びO原子の割合を示す。xSi_an、xAl_an、xLi_an、及びxは、式(6)に示したように、それぞれSi元素、Al元素、Li元素、及びO元素の原子番号を示す。
統計量算出部16は、一例として、式(10)に基づいて原子番号の標準偏差を算出する。統計量算出部16は、標準偏差として標本標準偏差を算出してもよい。
Figure 0007283241000010
ここで図10を参照し、学習用統計量LSTについて説明する。図10は、本実施形態に係る学習用統計量LSTの一例を示す図である。図10(A)では、組成番号#1、組成番号#2、及び組成番号#3について、それぞれ学習用統計量LSTとして原子番号の平均値と、原子番号の標準偏差とが示されている。図10(B)では、組成番号#1、組成番号#2、及び組成番号#3について、それぞれ学習用統計量LSTとして電気陰性度の平均値と、電気陰性度の標準偏差とが示されている。
図3に戻って学習フローの説明を続ける。
ステップS40:物性予測システムPSのユーザによって、前処理後データである学習用統計量LSTを入力する操作が行われる。操作部113は、学習用統計量LSTを入力する操作を受け付ける。前処理後データである学習用統計量LSTは、学習部19の学習において特徴量データとして用いられる。
操作部113が学習用統計量LSTを入力する操作を受け付けると、データ生成部18は、前処理部10の統計量算出部16に学習用統計量LSTを供給することを要求する。データ生成部18は、統計量算出部16によって供給される学習用統計量LSTを取得する。
なお、前処理部10は、ステップS330において算出した学習用統計量LSTを、記憶部110、あるいは外部記憶装置に記憶させてもよい。学習用統計量LSTが記憶部110、あるいは外部記憶装置に記憶される場合、操作部113が学習用統計量LSTを入力する操作を受け付けると、データ生成部18は、記憶部110、あるいは外部記憶装置から学習用統計量LSTを取得する。
ステップS50:学習部19は、データ生成部18が生成する前処理後学習データTDに基づいて学習を実行する。
ここで図9を参照し、学習部19が実行する学習の詳細について説明する。図9は、本実施形態に係る学習処理の一例を示す図である。ステップS510からステップS540までの処理は、図3のステップS50の処理に対応する。
ステップS510:物性データ取得部17は、学習データ供給装置2から供給される物性データPを取得する。
ステップS520:データ生成部18は、統計量算出部16が生成した学習用統計量LSTと、物性データ取得部17が取得した物性データPとに基づいて前処理後学習データTDを生成する。ここでデータ生成部18は、統計量算出部16が生成した学習用統計量LSTと、物性データ取得部17が取得した物性データPが示す物性との組を前処理後学習データTDとして生成する。データ生成部18は、生成した前処理後学習データTDを記憶部110に記憶させる。
ここで図11を参照し、前処理後学習データTDの具体例について説明する。図11は、本実施形態に係る前処理後学習データTDの一例を示す図である。図11では、前処理後学習データTDの一例として、前処理後学習データTD1が示されている。前処理後学習データTD1は、一例として、組成番号#1、組成番号#2、及び組成番号#3のそれぞれについて、原子番号の平均値、原子番号の標準偏差、電気陰性度の平均値、電気陰性度の標準偏差、原子半径の平均値、原子半径の標準偏差などを示す。
前処理後学習データTD1では、学習用統計量LST1と、物性データP1が示す物性である屈折率とが、組成毎に組になっている。
図9に戻って学習の説明を続ける。
ステップS530:学習部19は、データ生成部18が生成した前処理後学習データTDを記憶部110から取得する。
ステップS540:学習部19は、データ生成部18が生成した前処理後学習データTDに基づいて学習を実行する。ここで学習部19は、一例として、前処理後学習データTDに基づいて機械学習によって学習を実行する。学習部19は、機械学習として、一例として、多重線形回帰、サポートベクトル回帰、サポートベクトルマシン、ニューラルネットワーク回帰、ディープラーニング回帰、及びランダムフォレスト回帰などを用いる。
学習部19は、前処理後学習データTDに含まれる物性ごとに学習を実行する。学習部19が学習に用いる機械学習の種類は、物性ごとに共通であってもよいし、異なっていてよい。学習部19は、物性の種類に応じて、機械学習のモデルとして回帰モデルや分類モデルを選択してよい。
学習部19は、物性が屈折率、アッベ数などの光学特性である場合には、例えば、回帰モデルとしてサポートベクトル回帰やランダムフォレスト回帰、ニューラルネットワーク回帰を用いる。一方、学習部19は、物性がガラス化するか否かの性質である場合には、例えば、分類モデルとしてサポートベクトルマシンやランダムフォレスト分類、ニューラルネットワーク分類を用いる。
学習部19は、学習した結果に基づいて、学習済みモデルMを生成する。学習部19は、前処理後学習データTDに含まれる物性の種類だけ学習済みモデルMを生成する。
図3に戻って学習フローの説明を続ける。
ステップS60:学習部19は、生成した学習済みモデルMを記憶部110に出力する。
次に物性予測装置1によって実行される予測フローについて説明する。
ステップS70:物性予測システムPSのユーザによって、物性値の予測対象である組成を入力する操作が行われる。組成を入力する操作では、一例として、組成がモルパーセントとして入力される。組成を入力する操作では、例えば、SiO成分が10パーセント、Al成分が30パーセント、LiO成分が60モルパーセントなどと入力される。
操作部113は、組成を入力する操作を受け付ける。操作部113は、組成を入力する操作が示す組成を、予測対象組成データPCとして予測対象組成データ取得部13に供給する。予測対象組成データ取得部13は、操作部113から供給される予測対象組成データPCを取得する。予測対象組成データ取得部13は、取得した予測対象組成データPCを割合算出部14に供給する。
ステップS80:前処理部10は、前処理を実行する。ここで前処理部10は、予測対象組成データ取得部13が取得する予測対象組成データPCと、元素固有情報取得部15が取得する元素固有情報Eとに基づいて、前処理を実行する。
ステップS80の処理は、上述したステップS30の処理と同様であるため、ステップS30の処理と異なる部分を中心に説明する。
前処理部10は、学習組成データLCに代えて予測対象組成データPCを組成データとして用いる。
統計量算出部16は、割合算出部14が算出した割合と、元素固有情報取得部15が取得した元素固有情報Eとに基づいて、予測対象組成データPCが示す組成の統計量に関する情報として予測用統計量PSTを算出する。予測用統計量PSTは、一例として、平均値、及び標準偏差である。統計量算出部16は、算出した予測用統計量PSTを、予測部111からの要求に応じて予測部111に供給する。
ステップS90:物性予測システムPSのユーザによって、予測用統計量PSTを入力する操作が行われる。操作部113は、予測用統計量PSTを入力する操作を受け付ける。
操作部113が予測用統計量PSTを入力する操作を受け付けると、予測部111は、前処理部10の統計量算出部16に予測用統計量PSTを供給することを要求する。予測部111は、統計量算出部16によって供給される予測用統計量PSTを取得する。
ステップS100:予測部111は、予測対象組成データ取得部13が取得した予測対象組成データPCが示す組成である予測対象組成と、学習部19が生成した学習済みモデルMとに基づいて、予測対象である化合物の組成の物性を予測する。ここで予測部111は、学習済みモデルMを記憶部110から取得する。
ここで上述したように学習済みモデルMは、物性の種類それぞれについて生成されている。予測部111は、予測する物性の種類に対応する学習済みモデルMを用いて予測を行う。
予測部111は、予測した結果である予測結果Rを出力部112に供給する。
ステップS110:出力部112は、予測部111から供給される予測結果Rを提示装置4に出力する。提示装置4は、出力部112から出力された予測結果Rを提示する。例えば、提示装置4は、予測結果Rをディスプレイに表示することによって提示する。
次に図12から図18を参照し、物性予測システムPSによる物性の予測値と、実験値との比較について説明する。図12から図18では、物性予測装置1がサポートベクトル回帰を用いて学習、及び予測を行った場合の一例について説明する。上述したように学習には1000個の組成を含む学習組成データLCを用いた。
図12及び図13は、本実施形態に係る予測対象組成データPC、物性データP、及び予測結果Rの一例を示す図である。図14、図15、及び図16は、本実施形態に係る前処理後学習データTDの一例を示す図である。
図12及び図13では、予測対象組成データPCが一例として、予測対象組成データPC1が、予測対象組成データPC1-1と予測対象組成データPC1-2とに分けられてそれぞれ示されている。予測対象組成データPC1は、組成1から組成15のそれぞれの組成について、Alなどの成分をモルパーセントによって示す。なお、本実施形態では、予測対象データPC1及び物性データP1として、国際ガラスデータベースINTERGLAD Ver.7に収録された値を用いた。
図13では、物性データPの一例として、物性データP1が示されている。物性データP1は、屈折率、及びアッベ数を示す。
図13では、物性予測装置1による予測結果Rの一例として、屈折率、及びアッベ数の予測結果R1が示されている。
図14、図15、及び図16では、物性予測装置1の前処理部10が生成する前処理後データである予測用統計量PSTの一例として、予測用統計量PST1が、予測用統計量PST1-1と、予測用統計量PST1-2と、予測用統計量PST1-3とに分けられてそれぞれ示されている。図14、図15、及び図16の予測用統計量PST1は、図12及び図13の予測対象組成データPC1が、前処理部10によって元素固有情報Eに基づいて平均値、及び標準偏差に変換されて得られた特徴量データである。
予測用統計量PST1は、組成1から組成15のそれぞれの組成について、原子番号などの元素に固有の情報の平均値、及び標準偏差を示す。
図17は、本実施形態に係る屈折率についての予測値と実験値との比較の一例を示す図である。図17では、図12及び図13に示した組成1から組成15のそれぞれの組成の屈折率について、実験値に対する物性予測装置1による予測値を示すデータD1が示されている。直線L1は、実験値と予測値とが一致する点の集合を示す。
図17の実験値と予測値とを比較するために、実験値と予測値とに基づいて、決定係数、平均平方二乗誤差(RMSE:Root Mean Square Error)、及び平均絶対誤差(MAE:Mean Absolute Error)を算出する。決定係数は、回帰モデルによって実データをどれぐらい説明できているかを示す指標であり、1に近いほど回帰分析の精度が高い。平均平方二乗誤差、及び平均絶対誤差は値が小さいほど回帰分析の精度が高い。ここで回帰分析の精度が高いことは、物性予測システムPSの予測の精度が高いことを意味する。
屈折率の実験値と予測値とに基づいて、決定係数は0.95、平均平方二乗誤差は0.046、平均絶対誤差は0.037とそれぞれ算出された。
図18は、本実施形態に係るアッベ数についての予測値と実験値との比較の一例を示す図である。図18では、図12及び図13に示した組成1から組成15のそれぞれの組成のアッベ数について、実験値に対する物性予測装置1による予測値を示すデータD2が示されている。直線L2は、実験値と予測値とが一致する点の集合を示す。
図18のアッベ数の実験値と予測値とを比較するために、アッベ数の実験値と予測値とに基づいて、決定係数、平均平方二乗誤差、及び平均絶対誤差を算出すると、決定係数は0.98、平均平方二乗誤差は2.5、平均絶対誤差は2.1となった。
図17及び図18に示した予測値と実験値との比較の結果の通り、本実施形態に係る物性予測システムPSの予測の精度は、決定係数の値にして0.8以上の精度を実現している。
なお、元素固有情報Eとして、予測対象である化合物の組成の物性に応じた種類が用いられてもよい。
ここで図19を参照し、予測対象の物性に応じた元素固有情報Eについて説明する。図19は、本実施形態に係る予測対象の物性に応じた元素固有情報Eの一例を示す図である。
例えば、物性として屈折率(nd)を予測する場合は、元素固有情報Eとして、少なくとも、第一イオン化エネルギー、電気陰性度、及びイオン半径が用いられる。この場合、第一イオン化エネルギー、電気陰性度、及びイオン半径のそれぞれの平均値と標準偏差との、合計6種類が特徴量データとして用いられる。
元素固有情報Eとして予測対象の物性に応じた種類が用いられる場合、元素固有情報取得部15は、予測対象の物性に応じて元素固有情報Eの複数の種類のなかから特定の種類の元素固有情報Eを取得する。
元素固有情報Eとしていずれの種類が用いられるかによって、物性予測システムPSの予測精度は変わり得る。予測精度を高くするために、予測対象の物性に応じて元素固有情報Eが選択されることが好ましい。
なお、本実施形態では、物性予測装置1が前処理後学習データTDを生成し、生成した前処理後学習データTDに基づいて学習を行う場合の一例について説明したが、これに限らない。物性予測装置1によって生成された前処理後学習データTDが、物性予測装置1とは別の装置によって用いられて学習、及び予測が行われてもよい。
この場合、物性予測装置1は、例えば、生成した前処理後学習データTDを外部記憶装置に出力し記憶させる。物性予測装置1とは別の装置は、外部記憶装置に記憶された前処理後学習データTDを用いて学習、及び予測を行う。
つまり、物性予測装置1は、前処理後学習データTDを生成するデータ生成装置として用いられてよい。このデータ生成装置は、学習組成データ取得部12と、割合算出部14と、元素固有情報取得部15と、統計量算出部16と、物性データ取得部17と、データ生成部18とを備える。
以上に説明したように、本実施形態に係る物性予測装置1は、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)と、元素固有情報取得部15と、統計量算出部16と、物性データ取得部17と、学習部19と、予測対象組成データ取得部13と、予測部111とを備える。
組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)は、ガラスの組成を示す組成データ(この一例において、学習組成データLC)を取得する。
元素固有情報取得部15は、元素に固有の情報である元素固有情報Eを取得する。
統計量算出部16は、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)が取得した組成データ(この一例において、学習組成データLC)と、元素固有情報取得部15が取得した元素固有情報Eとに基づいて、組成の統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)を算出する。
物性データ取得部17は、ガラスの物性を示す物性データPを取得する。
学習部19は、統計量算出部16が算出した統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)と、物性データ取得部17が取得した物性データPとに基づいて学習を実行する。
予測対象組成データ取得部13は、物性の予測対象であるガラスの組成を示す予測対象組成データPCを取得する。
予測部111は、予測対象組成データ取得部13が取得した予測対象組成データPCと、学習部19が学習を実行した結果(この一例において、学習済みモデルM)とに基づいて、予測対象であるガラスの組成の物性を予測する。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1は、ガラスの物性を予測できるため、物性を予測しない場合に比べてガラスの開発の効率を上げることができる。
ここで本実施形態に係る物性予測装置1は、第1データ(この一例において、前処理後学習データTD)を生成する際に、組成データ(この一例において、学習組成データLC)を、前処理によって組成の統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)に変換する。本実施形態に係る物性予測装置1では、この統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)を特徴量データとして用いて学習を行う。本実施形態に係る物性予測装置1では、組成データ(この一例において、学習組成データLC)を前処理によって統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)に変換せずそのまま学習に用いる場合に比べて、物性の予測の精度を上げることができる。
また、本実施形態に係る物性予測装置1では、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)が取得する組成データ(この一例において、学習組成データLC)は、ガラスの組成を、酸化物換算組成の全重量に対する質量%またはモル%で示すデータである。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1では、ガラスの組成を、酸化物換算組成の全重量に対する質量%またはモル%で示すデータから組成の統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)を算出できる。
また、本実施形態に係る物性予測装置1では、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)が取得する組成データ(この一例において、学習組成データLC)は、ガラスの組成を、ガラスに含まれる各元素のカチオン%またはアニオン%で示すデータである。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1では、ガラスに含まれる各元素のカチオン%またはアニオン%で示すデータから組成の統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)を算出できる。
また、本実施形態に係る物性予測装置1では、割合算出部14は、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)が取得した組成データ(この一例において、学習組成データLC)から、ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合を算出する。また、統計量算出部16は、割合算出部14が算出した割合と、元素固有情報取得部15が取得した元素固有情報Eとに基づいて、組成の統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)を算出する。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1では、組成データ(この一例において、学習組成データLC)から、ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合を算出することができるため、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)が取得した組成データ(この一例において、学習組成データLC)がガラスを構成する原子それぞれの個数の割合によって表されていない場合であっても、組成データ(この一例において、学習組成データLC)を、ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合によって表すことができる。
また、本実施形態に係る物性予測装置1では、組成の統計量に関する情報は、平均値、中央値、最頻値、分位値、分散、標準偏差、歪度、尖度のうちいずれか1つ以上を示す情報である。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1では、組成の平均値、中央値、最頻値、分位値、分散、標準偏差、歪度、尖度のうちいずれか1つ以上を特徴量データとして用いて学習ができるため、組成の平均値、中央値、最頻値、分位値、分散、標準偏差、歪度、尖度のうちいずれか1つ以上を特徴量データとして用いない場合に比べて、物性の予測の精度を上げることができる。
また、本実施形態に係る物性予測装置1では、元素固有情報Eには複数の種類があり、元素固有情報取得部15は、予測対象の物性に応じて複数の種類のなかから特定の種類の元素固有情報Eを取得する。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1では、予測対象の物性に応じた元素に固有の情報を用いて、特徴量データである統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)を生成できるため、予測対象の物性に応じた元素に固有の情報を用いない場合に比べて物性の予測の精度を上げることができる。
また、本実施形態に係る物性予測装置1では、前記元素固有情報とは、原子番号、電気陰性度、原子半径、イオン半径、電子親和力、第一イオン化エネルギー、第二イオン化エネルギー、原子量、密度、融点、価数、メンデレーエフ番号、Field Strength、周期表における行番号、及び列番号のうちいずれか1つ以上を示す情報である。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1では、原子番号、電気陰性度、原子半径、イオン半径、電子親和力、第一イオン化エネルギー、第二イオン化エネルギー、原子量、密度、融点、価数、メンデレーエフ番号、Field Strength、周期表における行番号、及び列番号のうちいずれか1つ以上に基づいて特徴量データである統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)を生成できるため、これらの元素固有情報に基づかない場合に比べて物性の予測の精度を上げることができる。
また、本実施形態に係る物性予測装置1では、予測対象であるガラスの物性とは、光学特性である。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1では、ガラスの光学特性を予測できるため、光学特性を予測しない場合に比べて光学特性について物質または材料の開発の効率を上げることができる。
また、本実施形態に係る物性予測装置1では、光学特性とは、屈折率、及びアッベ数のいずれか1つ以上である。
この構成により、本実施形態に係る物性予測装置1では、物質または材料の屈折率、及びアッベ数を予測できるため、屈折率、及びアッベ数を予測しない場合に比べて屈折率、及びアッベ数についてガラスの開発の効率を上げることができる。
また、本実施形態に係るデータ生成装置は、組成データ取得部と、割合算出部と、元素固有情報取得部と、統計量算出部と、物性データ取得部と、第1データ生成部とを備える。
組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)は、ガラスの組成を示す組成データ(この一例において、学習組成データLC)を取得する。
割合算出部14は、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)が取得した組成データ(この一例において、学習組成データLC)が示す組成に基づいて、化合物を構成する原子の個数に対する、組成が示す元素に対応する原子それぞれの個数の割合を算出する。
元素固有情報取得部15は、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)が取得した学習組成データLCが示す組成が示す元素について、元素に固有の情報である元素固有情報Eを取得する。
統計量算出部16は、割合算出部14が算出した割合と、元素固有情報取得部15が取得した元素固有情報Eとに基づいて、組成の統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)を算出する。
物性データ取得部17は、組成データ取得部(この一例において、学習組成データ取得部12)が取得した学習組成データLCが示す組成に対応する物性を示す物性データPを取得する。
第1データ生成部(この一例において、データ生成部18)は、統計量算出部16が算出した統計量に関する情報(この一例において、学習用統計量LST)と、物性データ取得部17が取得した物性データPが示す物性との組を第1データ(この一例において、前処理後学習データTD)として生成する。
この構成により、本実施形態に係るデータ生成装置では、物質または材料の物性を予測するための第1データ(この一例において、前処理後学習データTD)を、物性の予測のための学習を行う装置に供給できるため、物性の予測のための学習を行う装置が第1データ(この一例において、前処理後学習データTD)に基づいて物性の予測のための学習を行うことができる。
なお、上述した実施形態における物性予測装置1又はデータ生成装置の一部、例えば、学習組成データ取得部12、予測対象組成データ取得部13、割合算出部14、元素固有情報取得部15、統計量算出部16、物性データ取得部17、及びデータ生成部18をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、物性予測装置1又はデータ生成装置に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における物性予測装置1又はデータ生成装置の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。物性予測装置1又はデータ生成装置の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
1…物性予測装置、12…学習組成データ取得部、14…割合算出部、15…元素固有情報取得部、16…統計量算出部、17…物性データ取得部、18…データ生成部、13…予測対象組成データ取得部、111…予測部、LC…学習組成データ、E…元素固有情報、LST…学習用統計量、P…物性データ、TD…前処理後学習データ、PC…予測対象組成データ、M…学習済みモデル

Claims (8)

  1. ガラスの組成を示す組成データを取得する組成データ取得部と、
    前記組成データ取得部が取得した前記組成データから、前記ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合を算出する割合算出部と、
    元素に固有の情報である元素固有情報を取得する元素固有情報取得部と、
    前記割合算出部が算出した前記割合と、前記元素固有情報取得部が取得した前記元素固有情報とに基づいて、統計量に関する情報を算出する統計量算出部と、
    前記ガラスの屈折率又はアッベ数を含む物性を示す物性データを取得する物性データ取得部と、
    前記統計量算出部が算出した前記統計量に関する情報と、前記物性データ取得部が取得した前記物性データとに基づいて学習を実行する学習部と、
    物性の予測対象であるガラスの組成を示す予測対象組成データを取得する予測対象組成データ取得部と、
    前記予測対象組成データ取得部が取得した前記予測対象組成データと、前記学習部が学習を実行した結果とに基づいて、前記予測対象であるガラスの物性を予測する予測部と
    を備える物性予測装置。
  2. 前記組成データ取得部が取得する組成データは、前記ガラスの組成を、酸化物換算組成の全重量に対する質量%またはモル%で示すデータである
    請求項1に記載の物性予測装置。
  3. 前記組成データ取得部が取得する組成データは、前記ガラスの組成を、前記ガラスに含まれる各元素のカチオン%またはアニオン%で示すデータである
    請求項1に記載の物性予測装置。
  4. 前記統計量に関する情報は、平均値、中央値、最頻値、分位値、分散、標準偏差、歪度、尖度のうちいずれか1つ以上を示す情報である
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の物性予測装置。
  5. 前記元素固有情報には複数の種類があり、
    前記元素固有情報取得部は、予測対象の前記物性に応じて前記複数の種類のなかから特定の種類の前記元素固有情報を取得する
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の物性予測装置。
  6. 前記元素固有情報とは、原子番号、電気陰性度、原子半径、イオン半径、電子親和力、第一イオン化エネルギー、第二イオン化エネルギー、原子量、密度、融点、価数、メンデレーエフ番号、Field Strength、周期表における行番号、及び列番号のうちいずれか1つ以上を示す情報である
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載の物性予測装置。
  7. ガラスの組成を示す組成データを取得する組成データ取得過程と、
    前記組成データ取得過程において取得された前記組成データから、前記ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合を算出する割合算出過程と、
    元素に固有の情報である元素固有情報を取得する元素固有情報取得過程と、
    前記割合算出過程において算出された前記割合と、前記元素固有情報取得過程において取得された前記元素固有情報とに基づいて、統計量に関する情報を算出する統計量算出過程と、
    前記ガラスの屈折率又はアッベ数を含む物性を示す物性データを取得する物性データ取得過程と、
    前記統計量算出過程において算出された前記統計量に関する情報と、前記物性データ取得過程において取得された前記物性データとに基づいて学習を実行する学習過程と、
    物性の予測対象であるガラスの組成を示す予測対象組成データを取得する予測対象組成データ取得過程と、
    前記予測対象組成データ取得過程において取得された前記予測対象組成データと、前記学習過程において学習が実行された結果とに基づいて、前記予測対象であるガラスの物性を予測する予測過程と
    を有する物性予測方法。
  8. コンピュータに、
    ガラスの組成を示す組成データを取得する組成データ取得ステップと、
    前記組成データ取得ステップにおいて取得された前記組成データから、前記ガラスを構成する原子それぞれの個数の割合を算出する割合算出ステップと、
    元素に固有の情報である元素固有情報を取得する元素固有情報取得ステップと、
    前記割合算出ステップにおいて算出された前記割合と、前記元素固有情報取得ステップにおいて取得された前記元素固有情報とに基づいて、統計量に関する情報を算出する統計量算出ステップと、
    前記ガラスの屈折率又はアッベ数を含む物性を示す物性データを取得する物性データ取得ステップと、
    前記統計量算出ステップにおいて算出された前記統計量に関する情報と、前記物性データ取得ステップにおいて取得された前記物性データとに基づいて学習を実行する学習ステップと、
    物性の予測対象であるガラスの組成を示す予測対象組成データを取得する予測対象組成データ取得ステップと、
    前記予測対象組成データ取得ステップにおいて取得された前記予測対象組成データと、前記学習ステップにおいて学習が実行された結果とに基づいて、前記予測対象であるガラスの物性を予測する予測ステップと
    を実行させるためのプログラム。
JP2019107788A 2019-06-10 2019-06-10 物性予測装置、物性予測方法、及びプログラム Active JP7283241B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019107788A JP7283241B2 (ja) 2019-06-10 2019-06-10 物性予測装置、物性予測方法、及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019107788A JP7283241B2 (ja) 2019-06-10 2019-06-10 物性予測装置、物性予測方法、及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020200213A JP2020200213A (ja) 2020-12-17
JP7283241B2 true JP7283241B2 (ja) 2023-05-30

Family

ID=73742396

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019107788A Active JP7283241B2 (ja) 2019-06-10 2019-06-10 物性予測装置、物性予測方法、及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7283241B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7397949B1 (ja) * 2022-11-11 2023-12-13 住友化学株式会社 学習装置及び予測装置

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010030879A (ja) 2008-06-27 2010-02-12 Hoya Corp 光学ガラス

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2560217B2 (ja) * 1988-10-20 1996-12-04 科学技術庁 無機材質研究所長 ガラス設計支援装置
JPH0554162A (ja) * 1991-08-28 1993-03-05 Fujitsu Ltd ガラス化判定装置
JPH07192072A (ja) * 1993-12-27 1995-07-28 Olympus Optical Co Ltd ガラス及びセラミックスに関する物理量計算装置

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010030879A (ja) 2008-06-27 2010-02-12 Hoya Corp 光学ガラス

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
井上博之 他,ガラスの材料設計,日本金属学会会報,日本,日本金属学会,1992年07月20日,Vol. 31, No. 7,pp. 604-607,DOI: 10.2320/materia1962_31.604
山本博志,ガラスの組成設計技術,旭硝子研究報告,Vol. 59,日本,旭硝子株式会社,2009年,pp. 21-27,https://www.agc.com/innovation/library/pdf/59-04.pdf

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020200213A (ja) 2020-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Golowich et al. Implications of D 0− D¯ 0 mixing for new physics
US20110320391A1 (en) Method and Apparatus for Predicting Application Performance Across Machines with Different Hardware Configurations
Bishnoi et al. Scalable Gaussian processes for predicting the optical, physical, thermal, and mechanical properties of inorganic glasses with large datasets
US20070220416A1 (en) System and method for performing processing, such as spreadsheet processing
JP6493006B2 (ja) 人口推計方法、人口推計プログラム、および人口推計装置
JP5460426B2 (ja) 生産性評価装置、生産性評価方法およびプログラム
JP2016076208A (ja) 文書ランク付け装置、方法、及びコンピュータプログラム
JP7283241B2 (ja) 物性予測装置、物性予測方法、及びプログラム
CN107710202A (zh) 与旧有工具集成的云原生文档
JP2007323315A (ja) 協調フィルタリング方法、協調フィルタリング装置、および協調フィルタリングプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体
Fasiello et al. Perturbation theory of large scale structure in the Λ CDM Universe: Exact time evolution and the two-loop power spectrum
JP2005032079A (ja) プロジェクト事前評価方法
JP4736476B2 (ja) 翻訳費用の見積りを行う装置および方法
JP5516925B2 (ja) 信頼度計算装置、信頼度計算方法、及びプログラム
CN109657991A (zh) 元数据质量评估方法、装置、电子设备、存储介质
US20210232728A1 (en) Similarity calculation device, similarity calculation method, and computer-readable recording medium recording program
JP2001067409A (ja) 金融商品あるいはその派生商品の価格リスク評価システムおよび記憶媒体
Yonchev et al. Compound optimization monitor (COMO) method for computational evaluation of progress in medicinal chemistry projects
JP5407737B2 (ja) モデル生成プログラム、モデル生成装置、およびモデル生成方法
JP2022017702A (ja) 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
Caravaglios et al. Precision test of quark mass textures: a model-independent approach
JP7392208B1 (ja) 材料創出を支援するシステム及び方法、プログラム
Santos et al. Use of radial basis functions for meshless numerical solutions applied to financial engineering barrier options
Mota et al. divraster: an R package to calculate taxonomic, functional and phylogenetic diversity from rasters
JP5685995B2 (ja) シミュレーション用データ生成システム、方法およびプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190627

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190627

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220511

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230501

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7283241

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150