以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
[スイッチ装置の構成]
図1は、本実施形態に係るスイッチ装置の分解斜視図を、図2は、スイッチ装置の部分断面図を、図3は、スイッチ装置の等価回路図をそれぞれ示す。
なお、以降の説明において、押釦70の変位方向を上下方向と呼び、上下方向において、ボディ10に対してカバー20が設けられた側を上側あるいは上と呼び、その反対側、すなわち、ボディ10の外側に第1~第3の端子30,40,50が延びる側を下側あるいは下と呼ぶことがある。また、第1~第3の端子30,40,50の配列方向を左右方向と呼び、第1の端子30が設けられた側を左側あるいは左と呼び、その反対側、すなわち、第3の端子50が設けられた側を右側あるいは右と呼ぶことがある。また、上下方向及び左右方向のそれぞれと交差する方向を前後方向と呼ぶことがある。
スイッチ装置200は、ボディ10とカバー20と第1~第3の端子30,40,50と第1及び第2の復帰ばね61,62と第1及び第2の作動子80,90と押釦(操作子)70とキャップ100とを有している。
ボディ10は、上面及び下面を有する樹脂製の部材であり、上面には第1の復帰ばね61を支持する第1のばね支持部11と、第1の固定接点片32を保持するとともに、後で述べる第1の可動接点83aを上下方向に摺動可能にガイドする第1の接点保持部12が形成されている。また、ボディ10の上面には第2の復帰ばね62を支持する第2のばね支持部13と、第2の固定接点片52を保持するとともに、後で述べる第2の可動接点93aを上下方向に摺動可能にガイドする第2の接点保持部14が形成されている。
第1のばね支持部11と第2のばね支持部13とは左右方向に間隔をあけて形成されている。また、第1の接点保持部12と第2の接点保持部14とは左右方向に間隔をあけて形成されている。
カバー20は、有底筒状の樹脂製部材であり、ボディ10の上面を覆うようにボディ10に取り付けられている。カバー20の内部に第1及び第2の復帰ばね61,62や第1及び第2の作動子80,90や押釦70の一部等が収容されている。また、カバー20の上部には開口21が設けられており、この開口21を通じて押釦70がカバー20の内外を上下方向に変位可能に設けられている。
第1~第3の端子30,40,50は、それぞれボディ10に配設されるとともに、ボディ10を貫通してボディ10の下面から下方に延びる板状の金属部材である。第1~第3の端子30,40,50は、左右方向にこの順で互いに間隔をあけて配設されている。つまり、左側に第1の端子30が位置し、中央に第2の端子40が位置し、右側に第3の端子50が位置している。
また、第1~第3の端子30,40,50は、それぞれボディ10の下方で左右方向に2つに分岐しており、さらに、分岐した部分の中間部分で前方向に折り曲げられている。以降の説明において、2つに分岐した部分を先端部31,41,51と呼ぶことがある。第1~第3の端子50は、例えば、リン青銅の板材の表面に銀めっきを施してなり、また、インサート成形によりボディ10と一体に配設されている。ただし、第1~第3の端子30,40,50の材質は特にこれに限定されず、例えば、アルミニウムの板材を用いてもよい。
第2の端子40は、ボディ10の内部に延びるばね受け片42(図2参照)を有している。ばね受け片42は、左右方向に2つに分岐している。一方の分岐部である第1の分岐部42aは、第1のばね支持部11に保持されている。また、第1の分岐部42aは、第1の復帰ばね61の下端部に接触しており、第1の復帰ばね61に電気的に接続されている。第1の分岐部42aの右側に位置する第2の分岐部42bは、第2のばね支持部13に保持されている。また、第2の分岐部42bは、第2の復帰ばね62の下端部に接触しており、第2の復帰ばね62に電気的に接続されている。
後で述べるように、第2の端子40は、図3に示す第1のスイッチ201と第2のスイッチ202の共通端子として機能する。
第1の端子30は、ボディ10の内部に延びる第1の固定接点片(第1の固定接点)32を有している。前述したように、第1の固定接点片32は、ボディ10の上面からカバー20の内部を上方に延びており、第1の接点保持部12に保持されている。後で述べるように、押釦70の押圧操作により、第1の作動子80に取り付けられた第1の可動接点83aと第1の固定接点片32とが離間することで、第1の端子30と第2の端子40との間に形成されていた電路が遮断され、第1の端子30と第2の端子40との間が非導通状態となる。
第3の端子50は、ボディ10の内部に延びる第2の固定接点片(第2の固定接点)52を有している。前述したように、第2の固定接点片52は、ボディ10の上面からカバー20の内部を上方に延びており、第2の接点保持部14に保持されている。後で述べるように、押釦70の押圧操作により、第2の作動子90に取り付けられた第2の可動接点93aと第2の固定接点片52とが接触することで、第2の端子40と第3の端子50との間に電路が形成され、第2の端子40と第3の端子50との間が導通状態となる。
図1から明らかなように、前後方向から見て、第1の固定接点片32の平面形状は、第1の固定接点片32の平面形状と異なっている。具体的には、第1の固定接点片32は、左右方向の幅が上部で広くなっており、初期状態(状態1)から長さL1だけ下がったところから、幅が狭くなり始める(図4参照)。第2の固定接点片52は、左右方向の幅が上部で狭くなっており、初期状態から長さL1だけ下がったところから、幅が広くなり始める(図4参照)。
第1の復帰ばね61は、導電性金属からなるコイル状の部材であり、下端部が第1のばね支持部11に支持される一方、上端部が第1の作動子80に設けられた第1の保持ブロック81に保持されている。また、第1の復帰ばね61の下端部は、ばね受け片42の一部である第1の分岐部42aに電気的に接続されており、上端部は、第1の作動子80に取り付けられた第1のばね当接部82に電気的に接続されている。
第2の復帰ばね62は、導電性金属からなるコイル状の部材であり、下端部が第2のばね支持部13に支持される一方、上端部が第2の作動子90に設けられた第2の保持ブロック91に保持されている。また、第2の復帰ばね62の下端部は、ばね受け片42の一部である第2の分岐部42bに電気的に接続されており、上端部は、第2の作動子90に取り付けられた第2のばね当接部92に電気的に接続されている。
第1の作動子80は、樹脂製の第1の保持ブロック81と導電性金属からなる第1のばね当接部82及び第1の接触片83とを有している。第1の保持ブロック81は、第1のばね当接部82を保持するとともに、第1のばね当接部82と接触するように第1の復帰ばね61を保持している。第1の接触片83は、前後方向で互いに対向する一対の板状の部材である。第1の接触片83は、半環状の第1のばね当接部82の両端からそれぞれ左方向に延びて、左側に行くほど互いの間隔が狭まるように形成されている。第1の接触片83と第1のばね当接部82とは一体的に形成されている。また、第1の接触片83を構成する一対の板材の左端部には第1の可動接点83aがそれぞれ設けられている。第1の接触片83に設けられた第1の可動接点83aは、第1の固定接点片32と第1の接点保持部12とを前後方向で挟み込むように構成されている。
第2の作動子90は、樹脂製の第2の保持ブロック91と導電性金属からなる第2のばね当接部92及び第2の接触片93とを有している。第2の保持ブロック91は、第2のばね当接部92を保持するとともに、第2のばね当接部92と接触するように第2の復帰ばね62を保持している。第2の接触片93は、前後方向で互いに対向する一対の板状の部材である。第2の接触片93は、半環状の第2のばね当接部92の両端からそれぞれ右方向に延びて、右側に行くほど互いの間隔が狭まるように形成されている。第2の接触片93と第2のばね当接部92とは一体的に形成されている。また、第2の接触片93を構成する一対の板材の右端部には第2の可動接点93aがそれぞれ設けられている。第2の接触片93に設けられた第2の可動接点93aは、第2の固定接点片52と第2の接点保持部14とを前後方向で挟み込むように構成されている。
押釦70は、樹脂製の部材であり、平板状の第1部分71と、第1部分71から上方に延びて設けられた、柱状の第2部分72とを有している。
押釦70が操作されていない状態で、第1部分71の下面は、第1の保持ブロック81の上面及び第2の保持ブロック91の上面にそれぞれ当接するか、または近接している。押釦70が押圧操作されると、第1部分71に押圧されて第1の保持ブロック81と第2の保持ブロック91がそれぞれ下方に変位する。このとき、第1の復帰ばね61と第2の復帰ばね62とは、上下方向に縮むように変形する。また、第1の保持ブロック81の変位に応じて、第1の可動接点83aが、第1の固定接点片32の表面を摺動しながら下方に変位する。第2の保持ブロック91の変位に応じて、第2の可動接点93aが、第2の固定接点片52の表面を摺動しながら下方に変位する。
押釦70の押圧操作が解除されると、第1の復帰ばね61の復元力により、第1の保持ブロック81が上方に押し戻されて元の位置に復帰する。また、これに対応して、第1の可動接点83aも上方に変位して元の位置に復帰する。同様に、第2の復帰ばね62の復元力により、第2の保持ブロック91が上方に押し戻されて元の位置に復帰する。また、これに対応して、第2の可動接点93aも上方に変位して元の位置に復帰する。
なお、第1の作動子80は、押釦70の押圧操作に対して、第2の作動子90と独立に変位可能に構成されている。本実施形態では、第1の接触片83が取り付けられた第1の保持ブロック81と、第2の接触片93が取り付けられた第2の保持ブロック91とが左右方向に互いに間隔をあけて配置されている。
キャップ100は、弾性変形可能な絶縁材料、例えば、合成ゴム等からなる有底円筒状の部材であり、キャップ100の下端には、その半径方向外側に延びるフランジ101がキャップ100と一体に設けられている。また、キャップ100がカバー20に取り付け固定されている。また、キャップ100の上部には開口102(図2参照)が設けられており、押釦70の第2部分72の先端は、キャップ100の開口102に挿通されて、キャップ100の外側に露出している。キャップ100は、押釦70の操作時に弾性変形するように構成されており、押釦70が挿通されたカバー20の開口21を取り囲んで、押釦70を機械的に保護するとともに、カバー20の開口21から内部に異物や水分等が進入するのを防止している。
また、図3に示す等価回路としてのスイッチ装置200は、第1のスイッチ201と第2のスイッチ202とが並列接続された3端子のスイッチであり、押釦70の押圧操作により、第1のスイッチ201と第2のスイッチ202の導通状態がそれぞれ変化する。
第1のスイッチ201と第2のスイッチ202の接続部は固定電位に接続された共通端子(以下、Com端子ともいう)である。通常、共通端子の電位はグランド電位に固定されている。また、第1のスイッチ201の一方の端子は、ノーマリークローズ端子(以下、NC端子ともいう)であり、押釦70が操作されていない状態で、Com端子とNC端子とは導通状態となっている。また、第2のスイッチ202の一方の端子は、ノーマリーオープン端子(以下、NO端子ともいう)であり、押釦70が操作されていない状態で、Com端子とNO端子とは非導通状態となっている。一方、押釦70が押圧操作されると、Com端子とNC端子とは非導通状態となり、Com端子とNO端子とは導通状態となる。
図1に示す各構成要素との対応で言えば、第1の端子30が図3に示すNC端子に相当し、第2の端子40がCom端子に相当し、第3の端子50がNO端子に相当する。また、第2の端子40と、第1の復帰ばね61と、第1のばね当接部82と、第1の接触片83と、第1の可動接点83aと、第1の固定接点片32が設けられた第1の端子30と、押釦70とで、図3に示す第1のスイッチ201が構成される。また、第2の端子40と、第2の復帰ばね62と、第2のばね当接部92と、第2の接触片93と、第2の可動接点93aと、第2の固定接点片52が設けられた第3の端子50と、押釦70とで、図3に示す第2のスイッチ202が構成される。Com端子がグランド電位に固定されているため、第1の端子30の電位が第1のスイッチ201の出力電圧となり、第3の端子50の電位が第2のスイッチ202の出力電圧となる。
[スイッチ装置の動作及びスイッチ装置の外部配線または内部故障の検出について]
図4は、押釦を押圧操作した場合の、スイッチ装置内部の電路形成状態及び第1及び第2の可動接点と第1及び第2の固定接点片との接触状態を示す。図5は、スイッチ装置が正常な場合の、押釦70の押圧操作前後での各スイッチの開閉状態と出力電圧とを示す。
まず、押釦70が操作されていない初期状態(状態I)では、第1の可動接点83aが第1の固定接点片32の幅広の部分に接触しており、第1の端子30と第2の端子40との間に電路が形成されている。つまり、第1の端子30は第2の端子40と同電位となっている。一方、図1に示すように、第2の固定接点片52は上部の幅が狭くなっており、この幅狭の部分には第2の可動接点93aは接触しない。このため、第2の端子40と第3の端子50との間に電路は形成されず、第3の端子50の電位は第2の端子40の電位と異なっている。
従って、図5の左下に示すように、第1のスイッチ201の出力電圧が、第2の端子40の電位であるグランド電位に相当するLow電位(以下、L電位という)であるのに対し、第2のスイッチ202の出力電圧は、L電位よりも高いHigh電位(以下、H電位という)となる。
次に、押釦70が押圧操作されて、初期状態から下方に距離L1だけ変位する。本実施形態では、押釦70の変位量は、第1及び第2の可動接点83a,93aの変位量と同じであるため、第1及び第2の可動接点83a,93aもそれぞれ初期状態から下方に距離L1だけ変位する(状態II)。
前述したように、第1及び第2の固定接点片32,52は、初期状態から下方に距離L1下がった位置で、それぞれ前後方向の幅が変化する。このため、第1の可動接点83aは、一部が第1の固定接点片32と接触した状態となる。同様に、第2の可動接点93aは、一部が第2の固定接点片52と接触した状態となる。つまり、第1の端子30と第2の端子40との間で、電路が遮断され始めるのに対し、第2の端子40と第3の端子50との間で、電路が形成され始める。
さらに、押釦70が下方に変位すると、第1及び第2の可動接点83a,93aもそれぞれ初期状態から下方に距離L2(>L1)だけ変位する(状態III)。
この時点で、第1の可動接点83aは、第1の固定接点片32と非接触状態となり、第2の可動接点93aは、第2の固定接点片52と接触した状態となる。押釦70を押圧して下限まで変位させると、第1及び第2の可動接点83a,93aもそれぞれ初期状態から下方に距離L3(>L2)だけ変位する(状態IV)。
状態IVでは、状態IIIで形成された、あるいは遮断された電路が維持される。つまり、第1の可動接点83aと第1の固定接点片32とは非接触状態であり、第2の可動接点93aと第2の固定接点片52とは接触状態である。
状態III、IVでは、図5の右下に示すように、第1のスイッチ201の出力電圧がH電位となるのに対し、第2のスイッチ202の出力電圧はL電位となる。
このように、スイッチ装置200は、内部に設けられた第1のスイッチ201と第2のスイッチ202とが互いに異なるレベルの電圧を出力するとともに、押釦70の押圧操作の前後で、それぞれの出力電圧が変化するように構成されている。
また、本実施形態のスイッチ装置200によれば、第1の端子30の電位と第3の端子50の電位とをそれぞれモニターすることで外部配線または内部(スイッチ装置200の接点または第1及び第2の復帰ばね61,62)の故障の有無を判定することができる。
図6Aは、スイッチ装置の外部配線が断線した場合の出力電圧の一例を、図6Bは、スイッチ装置の外部配線が短絡した場合の出力電圧の一例をそれぞれ示す。
図6Aに示すように、第1の端子30に接続される外部配線が破損して、第1のスイッチ201で断線が生じている場合、初期状態で、第1の端子30の電位がH電位となる。このため、スイッチ装置200が正常な場合(図5参照)の第1の端子30の電位と比較することで、断線の有無を判定することができる。
また、図6Bに示すように、第2の端子40に接続される外部配線と第3の端子50が接続される外部配線が接触して、第2のスイッチ202で短絡が生じている場合、初期状態で、第3の端子50の電位が電位となる。このため、スイッチ装置200が正常な場合(図5参照)の第3の端子50の電位と比較することで、短絡の有無を判定することができる。
また、図6A,6Bから明らかなように、故障が発生しているスイッチでは、押釦70の押圧操作の前後での出力電圧は変化しない。押釦70の押圧操作の前後で、第1のスイッチ201に接続される配線が故障している場合は第1の端子30の電位は変化しない。また、第2のスイッチ202に接続される配線が故障している場合は第3の端子50の電位は変化しない。
図7Aは、第1のスイッチがON故障した場合の、押釦の押圧操作前後での各スイッチの開閉状態と出力電圧を、図7Bは、第2のスイッチ202がOFF故障した場合の、押釦の押圧操作前後での各スイッチの開閉状態と出力電圧をそれぞれ示す。
図7Aに示すように、第1のスイッチ201の接点がON故障してしまった場合、初期状態で、第1及び第3の端子50の電位は、スイッチ装置200が正常な場合(図5参照)と同じである。一方、押釦70を押圧操作して、押釦70を図4に示す状態IIIや状態IVに示す位置まで変位させた場合、接点故障が起こっていない第2のスイッチ202では、図5に示すのと同様に、出力電圧がH電位からL電位に遷移する。一方、第1のスイッチ201の出力電圧はL電位のままである。つまり、押釦70の押圧操作の前後での第1の端子30の電位変化の有無により、第1のスイッチ201に何らかの異常が起こっていると判定することができる。また、第1の端子30の実際の電位をスイッチ装置200が正常な場合(図5参照)と比較することで、故障の種類、この場合は、第1のスイッチ201に接点故障が生じていると推定することができる。なお、図7Aに示す故障は、例えば、第1の可動接点83aと第1の固定接点片32とが溶着してしまったような場合に生じる。
また、図7Bに示すように、第2のスイッチ202に絶縁性の異物が挟まったような場合も、初期状態で、第1及び第3の端子50の電位は、スイッチ装置200が正常な場合(図5参照)と同じである。一方、押釦70を押圧操作して、押釦70を図4に示す状態IIIや状態IVに示す位置まで変位させた場合、正常な状態の第1のスイッチ201では、図5に示すのと同様に、出力電圧がL電位からH電位に遷移する。一方、第2のスイッチ202の出力電圧はH電位のままである。
このため、押釦70の押圧操作の前後での第3の端子50の電位変化の有無により、第2のスイッチ202に何らかの異常が起こっていると判定することができる。また、第3の端子50の実際の電位をスイッチ装置200が正常な場合(図5参照)と比較することで、故障の種類、この場合は、第2のスイッチ202に接点故障が生じていると推定することができる。なお、図7Bに示す故障は、例えば、第2の復帰ばね62と第2の端子40のばね受け片42との間に、絶縁物が挟まったような場合に生じる。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るスイッチ装置200は、上面及び下面を有するボディ10と、内部に空間を有し、ボディ10の上面を覆うようにボディ10に取り付けられたカバー20と、ボディ10に配設されるとともに、ボディ10を貫通してボディ10の下面から下方に延びる第1~第3の端子30,40,50と、を備えている。
スイッチ装置200は、カバー20を内外に貫通するとともに、押圧操作によりカバー20の内部を上下方向に変位可能に設けられた押釦(操作子)70と、押釦70の押圧操作に応じて、カバー20の内部を上下方向に変位可能に設けられた第1の作動子80及び第2の作動子90と、第1の作動子80及び第2の作動子90にそれぞれ取り付けられた第1の可動接点83a及び第2の可動接点93aと、カバー20の内部に配設された第1の固定接点片(第1の固定接点)32及び第2の固定接点片(第2の固定接点)52と、を備えている。第1の固定接点片32は第1の端子30の一部を、第2の固定接点片52は第3の端子50の一部をそれぞれなしている。
第1~第3の端子30,40,50は、左右方向に互いに間隔をあけてこの順に配設されており、第1の固定接点片32と第2の固定接点片52とは左右方向に互いに間隔をあけて配設されている。また、第1の作動子80は、第2の作動子90と独立に変位可能に設けられている。
スイッチ装置200は、押釦70を押圧操作して第1の作動子80を下方に変位させることで、第1の可動接点83aと第1の固定接点片32との接触状態が変化して、第1の端子30と第2の端子40との間の導通状態が変化するように構成されている。
また、スイッチ装置200は、押釦70を押圧操作して第2の作動子90を下方に変位させることで、第2の可動接点93aと第2の固定接点片52との接触状態が変化して、第2の端子40と第3の端子50との間の導通状態が変化するように構成されている。
スイッチ装置200をこのように構成することで、2つのスイッチ201,202の並列回路を3端子回路として実現でき、例えば、特許文献1に開示された従来のスイッチ装置200に比べて、端子数を半減できる。また、それに伴い外部の配線数を低減できる。このことにより、小型化されたスイッチ装置を実現できる。さらに、スイッチ装置200を別の設備に取り付ける際、取り付け作業を簡略化できる。
また、本実施形態のスイッチ装置200によれば、2つのスイッチ201,202の出力電圧、特に押釦70の押圧操作の前後で出力電圧の変化をモニターすることで、スイッチ装置200の外部の配線故障やスイッチ装置200の内部故障の有無を簡便に検出することができる。このことにより、スイッチ装置200の信頼性や機能安全性を高められる。例えば、スイッチ装置200が、車両のドアの開閉検知用に用いられる場合、スイッチ装置200自体の故障の有無を検出できるため、実際にドアが開いているのか、スイッチ装置200が故障しているため、誤検知の可能性があるのかを確実に区別できる。
スイッチ装置200の第2の端子40は共通端子であり、ボディ10の上面からカバー20の内部に延びたばね受け片42を有している。ばね受け片42の先端は左右方向に分岐して、第1の分岐部42aと第2の分岐部42bとに分かれている。第1の端子30は、ボディ10の上面からカバー20の内部に延びる第1の固定接点片32を有しており、第3の端子50は、ボディ10の上面からカバー20の内部に延びる第2の固定接点片52を有している。
スイッチ装置200は、下端がばね受け片42の第1の分岐部42aに接触するように位置決めされてカバー20の内部に配設されるとともに、上端が第1の作動子80に保持されて第1の可動接点83aと電気的に接続された第1の復帰ばね61を有している。また、スイッチ装置200は、下端がばね受け片42の第2の分岐部42bに接触するように位置決めされてカバー20の内部に配設されるとともに、上端が第2の作動子90に保持されて第2の可動接点93aと電気的に接続された第2の復帰ばね62を備えている。
第1の復帰ばね61と第2の復帰ばね62とは左右方向に互いに間隔をあけて配設されており、第1の可動接点83aと第1の固定接点片32とが接触することで、第1の端子30と第2の端子40との間に電路が形成され、第2の可動接点93aと第2の固定接点片52とが接触することで、第2の端子40と第3の端子50との間に電路が形成されるように構成される。
スイッチ装置200をこのように構成することで、スイッチの一方に不具合が起こったとしても、他方を正常に動作させることができる。例えば、特許文献1に開示された従来のスイッチ装置では、2つのスイッチの接点は、それぞれ独立して形成されているが、スイッチの動作機構を含めて全体が一体成形により形成されている。このため、2つのスイッチを独立して動作させることができない。例えば、一方のスイッチで接点の固着不良が起こった場合に、他方のスイッチも動かなくなる。
一方、本実施形態によれば、第1の可動接点83aに電気的に接続された第1の復帰ばね61と、第2の可動接点93aに電気的に接続された第2の復帰ばね62とが独立して設けられている。また、第1及び第2の復帰ばね61,62をそれぞれ保持する第1及び第2の作動子80,90がそれぞれ独立して変位可能に構成されている。
このことにより、スイッチ装置200内部の接点故障を容易に検出できる。また、一方のスイッチで接点の固着不良が起こった場合にも、他方のスイッチが正常に動作し、スイッチ装置200としての機能を奏することができる。つまり、押釦70の押圧操作の前後で電位が変化した信号を出力できる。
スイッチ装置200は、押釦70が操作されていない状態で、第1の可動接点83aが第1の固定接点片32に接触するように、また、第2の可動接点93aが第2の固定接点片52に接触しないように、それぞれ構成されている。
スイッチ装置200をこのように構成することで、押釦70を押圧操作すると、第1のスイッチ201の出力電圧がL電位からH電位に、第2のスイッチ202の出力電圧がH電位からL電位にそれぞれ変化する。つまり、第1のスイッチ201と第2のスイッチ202とが互いに異なるレベルの電圧を出力するとともに、押釦70の押圧操作の前後で、それぞれの出力電圧が変化する。このことにより、スイッチ装置200の外部配線やスイッチ装置200の内部故障を簡便かつ確実に検出することができる。
なお、図示しないが、押釦70を押圧操作すると、第1のスイッチ201の出力電圧がH電位からL電位に、第2のスイッチ202の出力電圧がL電位からH電位にそれぞれ変化するようにしてもよい。具体的には、第1の固定接点片32と第2の固定接点片52の平面形状を図1に示す形状と異ならせることで、上記の動作を実現できる。例えば、第1の固定接点片32において、左右方向の幅が上部で狭くなっており、初期状態から長さL1だけ下がったところから、幅が広くなり始めるように形成する。また、第2の固定接点片52において、左右方向の幅が上部で広くなっており、初期状態から長さL1だけ下がったところから、幅が狭くなり始めるように形成する。
つまり、スイッチ装置200は、押釦70が操作されていない状態で、第1の可動接点83a及び第2の可動接点93aのうちの一方は、第1の固定接点片32または第2の固定接点片52のいずれかに接触するように構成され、第1の可動接点83a及び第2の可動接点93aのうちの他方は、第1の固定接点片32及び第2の固定接点片52のいずれにも接触しないように構成されている。
この場合も、スイッチ装置200の外部配線やスイッチ装置200の内部故障を簡便かつ確実に検出することができることは言うまでもない。
本実施形態に係るスイッチ装置200の故障診断方法は、押釦70の押圧操作の前後で、第1の端子30の電位及び第3の端子50の電位の少なくとも一方が変化しない場合は、スイッチ装置200の外部配線またはスイッチ装置200の内部で故障が発生していると判定する。
本実施形態によれば、押釦70の押圧操作の前後で、第1の端子30及び第3の端子50の電位をそれぞれモニターすることで、スイッチ装置200の外部配線やスイッチ装置200の内部故障を容易に診断できる。
(実施形態2)
図8は、本実施形態に係るスイッチ装置の部分断面図を、図9は、第1及び第2の固定接点片の平面図をそれぞれ示す。図10は、押釦を押圧操作した場合の、スイッチ装置内部の電路形成状態及び第1及び第2の可動接点と第1及び第2の固定接点片との接触状態を示す。
なお、説明の便宜上、図8~10及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態のスイッチ装置200は、前後方向で見た第1及び第2の固定接点片32,52の平面形状が、実施形態1に示す第1及び第2の固定接点片32,52の平面形状と異なっている。
具体的には、図9に示すように、第1の固定接点片32及び第2の固定接点片52ともに、左右方向の幅が上部で狭くなっており、初期状態から所定の長さだけ下がったところから、幅が広くなっている。さらに、第1の固定接点片32と第2の固定接点片52とで、幅が変化し始める位置が異なっている。具体的には、第1の固定接点片32は、初期状態から長さL4だけ下がったところから幅が広くなり始めるのに対し、第2の固定接点片52は、初期状態から長さL5だけ下がったところから、幅が広くなり始める。ここで、長さL4,L5は、L5>L4の関係を満たすように設定されている。言い換えると、第1の固定接点片32のうちの第1の可動接点83aが摺動可能な部分の上下方向の長さは、第2の固定接点片52のうちの第2の可動接点93aが摺動可能な部分の上下方向の長さよりも長くなっている。
本実施形態のスイッチ装置200は、第1の固定接点片32及び第2の固定接点片52が前述の平面形状を有することにより、押釦70が操作されていない状態で、第1の可動接点83aは第1の固定接点片32に、第2の可動接点93aは第2の固定接点片52に、それぞれ接触しないように構成されている。
また、押釦70を押圧操作して、第1の作動子80及び第2の作動子90のそれぞれを距離L4だけ下方に変位させた場合、第1の可動接点83aが第1の固定接点片32に接触する一方、第2の可動接点93aは第2の固定接点片52に接触しないように構成されている。さらに、第1の作動子80及び第2の作動子90のそれぞれを、距離L4を超えて距離L5以上に下方に変位させた場合、第1の可動接点83aが第1の固定接点片32に、第2の可動接点93aが第2の固定接点片52に、それぞれ接触するように構成されている。
このように構成されたスイッチ装置200の動作を、図10を用いて説明する。
まず、押釦70が操作されていない初期状態(状態I)では、第1の可動接点83aは第1の固定接点片32に接触しておらず、第2の可動接点93aも第2の固定接点片52に接触していない。従って、第1の端子30の電位、すなわち、第1のスイッチ201の出力電圧はH電位となる。同様に、第3の端子50の電位、すなわち、第2のスイッチ202の出力電圧もH電位となる。
次に、押釦70が押圧操作されて、初期状態から下方に距離L4だけ変位すると、第1の作動子80及び第2の作動子90のそれぞれに取り付けられた第1及び第2の可動接点83a,93aもそれぞれ初期状態から下方に距離L4だけ変位する(状態II)。
前述したように、第1の固定接点片32は、初期状態から距離L4下がった位置で、前後方向の幅が変化する。このため、第1の可動接点83aは、一部が第1の固定接点片32と接触した状態となる。一方、第2の固定接点片52の幅は狭いままであるため、第2の可動接点93aは、第2の固定接点片52と接触しない。つまり、第1の端子30と第2の端子40との間で、電路が形成され始めるのに対し、第2の端子40と第3の端子50との間で、電路は形成されず、第3の端子50の電位は、H電位のままである。
さらに、押釦70が下方に変位すると、第1の作動子80及び第2の作動子90のそれぞれに取り付けられた第1及び第2の可動接点83a,93aもそれぞれ初期状態から下方に距離L5(>L4)だけ変位する(状態III)。
この時点で、第1の可動接点83aは、第1の固定接点片32と接触した状態となる。一方、第2の固定接点片52の幅が変化するため、第2の可動接点93aは、一部が第2の固定接点片52と接触した状態となる。つまり、第1の端子30と第2の端子40との間で、電路が形成され、第1の端子30の電位、すなわち、第1のスイッチ201の出力電圧がL電位に変化する。また、第2の端子40と第3の端子50との間で、電路が形成され始める。
押釦70を押圧して限界まで下方に変位させると、第1及び第2の可動接点83a,93aもそれぞれ初期状態から下方に距離L3(>L5)だけ変位する(状態IV)。
状態IVでは、第1の可動接点83aと第1の固定接点片32との接触状態が維持される。一方、第2の可動接点93aと第2の固定接点片52とは完全に接触した状態となる。
よって、第1のスイッチ201の出力電圧はL電位で維持され、第3の端子50の電位、すなわち、第2のスイッチ202の出力電圧はL電位に変化する。
本実施形態によれば、実施形態1に示すのと同様に、2つのスイッチ201,202の並列回路を少ない端子数で実現できる。また、スイッチ装置200の小型化が図れる。さらに、第1の端子30及び第3の端子50の電位またはその変化をモニターすることで、スイッチ装置200の外部配線またはスイッチ装置200の内部に故障が生じているか否かを簡便かつ容易に判定することができる。
また、本実施形態によれば、第1のスイッチ201の出力電圧が変化するタイミングと、第2のスイッチ202の出力電圧が変化するタイミングとを異ならせることができる。具体的には、第1のスイッチ201がオンになるタイミングを、第2のスイッチ202がオンになるタイミングよりも早めることができる。
このようにすることで、スイッチ装置200が設けられた設備の状態を段階的に検知することが可能となる。例えば、本実施形態のスイッチ装置200を車両のドアに取り付けることで、ドアが半分開いた、いわゆる半ドア状態か、あるいは完全に開いた状態か等を検出することが可能となる。
<変形例1>
図11は、本変形例に係るスイッチ装置の部分断面図を、図12は、第1及び第2の固定接点片の平面図をそれぞれ示す。
本変形例のスイッチ装置200は、前後方向で見た第1及び第2の固定接点片32,52の平面形状が、実施形態2に示す第1及び第2の固定接点片32,52の平面形状と以下の点で異なっている。
具体的には、図12に示すように、第1の固定接点片32及び第2の固定接点片52ともに、左右方向の幅が上部で広くなっており、初期状態から所定の長さだけ下がったところから、幅が狭くなっている。さらに、第1の固定接点片32と第2の固定接点片52とで、幅が変化し始める位置が異なっている。具体的には、第1の固定接点片32は、初期状態から長さL4だけ下がったところから幅が狭くなり始めるのに対し、第2の固定接点片52は、初期状態から長さL5だけ下がったところから、幅が狭くなり始める。実施形態2に示すのと同様に、長さL4,L5は、L5>L4の関係を満たすように設定されている。この場合も、第1の固定接点片32のうちの第1の可動接点83aが摺動可能な部分の上下方向の長さは、第2の固定接点片52のうちの第2の可動接点93aが摺動可能な部分の上下方向の長さよりも長くなっている。
本実施形態のスイッチ装置200は、第1の固定接点片32及び第2の固定接点片52が前述の平面形状を有することにより、押釦70が操作されていない状態で、第1の可動接点83aは第1の固定接点片32に、第2の可動接点93aは第2の固定接点片52に、それぞれ接触するように構成されている。
また、押釦70を押圧操作して、第1の作動子80及び第2の作動子90のそれぞれを距離L4だけ下方に変位させた場合、第1の可動接点83aが第1の固定接点片32に接触しない一方、第2の可動接点93aは第2の固定接点片52に接触するように構成されている。さらに、第1の作動子80及び第2の作動子90のそれぞれを、距離L4を超えて距離L5以上に下方に変位させた場合、第1の可動接点83aが第1の固定接点片32に、第2の可動接点93aが第2の固定接点片52に、それぞれ接触しないように構成されている。
図示しないが、本変形例に示すスイッチ装置200では、初期状態で第1のスイッチ201及び第2のスイッチ202ともに出力電圧がL電位である。押釦70を押圧操作することで、第1のスイッチ201の出力電圧がH電位に変化し、この後に、第2のスイッチ202の出力電圧がH電位に変化する。押釦70が下限まで押圧された状態で、第1のスイッチ201及び第2のスイッチ202ともに出力電圧がH電位に維持される。
本変形例によれば、実施形態2に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、2つのスイッチ201,202の並列回路を少ない端子数で実現できる。また、スイッチ装置200の小型化が図れる。さらに、第1の端子30及び第3の端子50の電位またはその変化をモニターすることで、スイッチ装置200の内部に故障が生じているか否かを判定することができる。また、スイッチ装置200が設けられた設備の状態を段階的に検知することが可能となる。
なお、実施形態2及び変形例1において、長さL4,L5は、L5>L4を満たすようにしたが、L4>L5となるようにしてもよい。言い換えると、第1の固定接点片32のうちの第1の可動接点83aが摺動可能な部分の上下方向の長さが、第2の固定接点片52のうちの第2の可動接点93aが摺動可能な部分の上下方向の長さよりも短くなっていてもよい。この場合は、第1のスイッチ201の出力電圧が変化するタイミングが、第2のスイッチ202の出力電圧が変化するタイミングよりも遅くなる。
(実施形態3)
図13は、本実施形態に係るスイッチ装置の部分断面図を、図14は、第1及び第2の固定接点片の平面図をそれぞれ示す。
本実施形態に示すスイッチ装置200は、第1の固定接点片32及び第2の固定接点片52ともに、左右方向の幅が上部で狭くなっており、初期状態から所定の長さだけ下がったところから、幅が広くなっている点では、実施形態2に示す第1及び第2の固定接点片32,52と同様である。
一方、第1の固定接点片32と第2の固定接点片52とで、幅が変化し始める位置が同じである点で実施形態2に示す第1及び第2の固定接点片52と異なっている。具体的には、図14に示すように、第1の固定接点片32及び第2の固定接点片52ともに、初期状態から長さL4だけ下がったところから幅が広くなり始める。言い換えると第1の固定接点片32のうちの第1の可動接点83aが摺動可能な部分の上下方向の長さは、第2の固定接点片52のうちの第2の可動接点93aが摺動可能な部分の上下方向の長さと同じである。
従って、本実施形態のスイッチ装置200は、押釦70が操作されていない状態で、第1の可動接点83aは第1の固定接点片32に、第2の可動接点93aは第2の固定接点片52に、それぞれ接触しないように構成されている。一方、押釦70を押圧操作して、第1の作動子80及び第2の作動子90のそれぞれを距離L4だけ下方に変位させた場合、第1の可動接点83aが第1の固定接点片32に、第2の可動接点93aが第2の固定接点片52に、それぞれ接触するように構成されている。
よって、図示しないが、本実施形態のスイッチ装置200では、初期状態で第1のスイッチ201及び第2のスイッチ202ともに出力電圧がH電位である。押釦70を押圧操作することで、第1のスイッチ201の出力電圧がL電位に変化し、同じタイミングで、第2のスイッチ202の出力電圧がL電位に変化する。押釦70が下限まで押圧された状態で、第1のスイッチ201及び第2のスイッチ202ともに出力電圧がL電位に維持される。
本実施形態によれば、実施形態1に示すのと同様に、2つのスイッチ201,202の並列回路を少ない端子数で実現できる。また、スイッチ装置200の小型化が図れる。さらに、第1の端子30及び第3の端子50の電位またはその変化をモニターすることで、スイッチ装置200の外部配線または内部に故障が生じているか否かを判定することができる。
また、本実施形態のスイッチ装置200は、押釦70の押圧操作により、同じタイミングでH電位からL電位に遷移する2つのスイッチ201,202を有している。
スイッチ装置200をこのような構成とすることで、スイッチ装置200に冗長性を持たせることができる。例えば、スイッチ装置200の出力信号として、第1のスイッチ201の出力電圧と第2のスイッチ202の出力電圧の両方を用いる。押釦70の押圧操作の前後で第1のスイッチ201と第2のスイッチ202のいずれかで出力電圧が変化しない場合は、出力電圧が変化しないスイッチに故障が起こったと判定できる。また、出力電圧が変化しているスイッチを正常なスイッチと特定することができる。このようにすることで、2つのスイッチ201,202の一方が故障した場合でも、スイッチ装置200を使用することができる。つまり、スイッチ装置200に冗長性を持たせることができる。
<変形例2>
図15は、本変形例に係るスイッチ装置の部分断面図を、図16は、第1及び第2の固定接点片の平面図をそれぞれ示す。
本変形例に示すスイッチ装置200は、第1の固定接点片32と第2の固定接点片52とで、幅が変化し始める位置が同じである点では、実施形態3に示す第1及び第2の固定接点片32,52と同様である。
一方、第1の固定接点片32及び第2の固定接点片52ともに、左右方向の幅が上部で広くなっており、初期状態から長さL4だけ下がったところから、幅が狭くなっている点で、実施形態2に示す第1及び第2の固定接点片32,52と異なっている。この場合も、第1の固定接点片32のうちの第1の可動接点83aが摺動可能な部分の上下方向の長さは、第2の固定接点片52のうちの第2の可動接点93aが摺動可能な部分の上下方向の長さと同じである。
従って、本変形例のスイッチ装置200は、押釦70が操作されていない状態で、第1の可動接点83aは第1の固定接点片32に、第2の可動接点93aは第2の固定接点片52に、それぞれ接触するように構成されている。一方、押釦70を押圧操作して、第1の作動子80及び第2の作動子90のそれぞれを距離L4だけ下方に変位させた場合、第1の可動接点83aが第1の固定接点片32に、第2の可動接点93aが第2の固定接点片52に、それぞれ接触しないように構成されている。
よって、図示しないが、本変形例に示すスイッチ装置200では、初期状態で第1のスイッチ201及び第2のスイッチ202ともに出力電圧がL電位である。押釦70を押圧操作して、距離L4だけ下方に変位させることで、第1のスイッチ201の出力電圧がH電位に変化し、同じタイミングで、第2のスイッチ202の出力電圧がH電位に変化する。押釦70が限界まで下方に押圧された状態で、第1のスイッチ201及び第2のスイッチ202ともに出力電圧がH電位に維持される。
本変形例によれば、実施形態3に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、2つのスイッチ201,202の並列回路を少ない端子数で実現できる。また、スイッチ装置200の小型化が図れる。さらに、第1の端子30及び第3の端子50の電位またはその変化をモニターすることで、スイッチ装置200の外部配線またはスイッチ装置200の内部に故障が生じているか否かを判定することができる。また、2つのスイッチ201,202のうち、押釦70の押圧操作の前後で出力電圧が変化しているスイッチの出力電圧をスイッチ装置200の出力信号とすることで、スイッチ装置200に冗長性を持たせることができる。
(その他の実施形態)
前述した各実施形態及び各変形例に開示された各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。
また、特許文献1に開示されたスイッチ装置の各端子は、ボディ10の下方から延びる形状が直線状のもののみが開示されているが、本願明細書に開示された第1~第3の端子30,40,50の形状、特にボディ10の下面から下方に延びた部分の形状は、種々の形状を取りうる。第1~第3の端子30,40,50の形状は、図1,2に示した形状に特に限定されず、スイッチ装置200の用途や設置位置、スイッチ装置200が接続される相手側設備の端子の形状等により、適宜変更されうる。例えば、第1~第3の端子30,40,50の先端部31,41,51が、平板状であってもよいし、切り欠きや貫通孔が設けられていてもよい。