JP7280566B2 - 圧電シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電性を示すシートおよびその製造方法に関する。
チタン酸ジルコン酸鉛(いわゆるPZT)などの圧電セラミック材料からなる圧電体は、フレキシブル性に欠け、薄くすると割れやすくなるので、凹凸を有する面を持ったシート状の圧電体として形成することは困難であり、また、薄い平板状の圧電素子として形成しても、凹凸を有する面に沿うように変形させて配置することは困難であった。
また、従来の圧電セラミック材料からなる圧電体は、大きい荷重を作用させなければ十分な電荷の非対称性が発生せず、数グラム程度の小さい力の検出には向いていなかった。
一方、前記のような固い圧電セラミック材料に対して、近年、フレキシブル性を持った有機圧電材料(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体(P(VDF/TrFE))(例えば、特許文献6~8等)やポリアミノ酸(例えば、特許文献1、2など))が開発され、薄くフレキシブルなシート状の圧電体を形成することが可能になった。
国際公開第2014/073628号 特開2017-120850号公報 特許第6035662号公報 特許第6324602号公報 特許第6086569号公報 特許第5078362号公報 特公平2-26091号公報 特開2014-101465号公報
しかしながら、前記のPVDFやP(VDF/TrFE)から成るフレキシブルな有機圧電材料は、室温によって出力が変化し、外乱に対してロバストな検出ができていなかった。また、有機圧電材料によってフレキシブルな圧電体を形成することができたとしても、それを用いてシート状の圧電素子を構成するためには、2枚の支持体フィルム上にそれぞれ薄い金属電極層を形成し、それら2つの金属電極層によって圧電素子を挟んで積層体とすることが必要であった。そのような金属電極層を2層含んだ多層の積層構造は、十分にフレキシブルであるとは言えなかった。
また、従来の金属電極層は、ある程度の湾曲が可能であるが、層拡張方向(層厚方向に直角な方向)へは伸縮することができない。よって、従来の金属電極層を用いては、層拡張方向の力を検出する圧電シートを形成することが困難であった。
本発明の目的は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、フレキシブルでありながらも耐久性を有する圧電シート、また、その製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
本発明の主たる構成は、次のとおりである。
〔1〕第1の導電性布層と、有機圧電材料を含む圧電層と、第2の導電性布層とを、これらの順に含んだ積層構造を有する圧電シート。
〔2〕第1の導電性布層および第2の導電性布層が、それぞれに、基材繊維に導電性高分子材料を含む導電体が付与されてなる導電性繊維を含んだ布の層である、上記〔1〕に記載の圧電シート。
〔3〕導電性高分子材料が、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)である、上記〔2〕に記載の圧電シート。
〔4〕導電性高分子材料が、さらに、ポリ(スチレンスルホン酸)、および/または、p-トルエンスルホン酸を含有する、上記〔3〕に記載の圧電シート。
〔5〕基材繊維が、シルクまたは合成高分子材料よりなる繊維である、上記〔2〕に記載の圧電シート。
〔6〕有機圧電材料が、ポリアミノ酸、多糖類、ポリ乳酸、または、ポリフッ化ビニリデンを含む、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の圧電シート。
〔7〕有機圧電材料がポリアミノ酸であり、該ポリアミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、オルニチン、セリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンおよびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリα-アミノ酸である、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の圧電シート。
〔8〕ポリα-アミノ酸が、ポリ(L-グルタミン酸5-ベンジル)である、上記〔7〕に記載の圧電シート
〔9〕有機圧電材料が多糖類であり、該多糖類がセルロース誘導体を含み、該セルロース誘導体がメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、および、カルボキシメチルセルロースから選択される1種以上である、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の圧電シート。
〔10〕セルロース誘導体が、エチルセルロースである、上記〔9〕に記載の圧電シート。
〔11〕圧電層が、d14圧電定数の最高値が1pC/N以上の層である、上記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の圧電シート。
〔12〕第1の導電性布層と圧電層との間、および、第2の導電性布層と圧電層との間に、それぞれ接着剤層を有する、上記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の圧電シート。
〔13〕上記〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の圧電シートの製造方法であって、
有機圧電材料を含む圧電層を、第1の導電性布層と第2の導電性布層とによって、直接的にまたは他の層を介して挟み、積層構造とする積層工程を有する、
前記圧電シートの製造方法。
〔14〕前記他の層が接着層である、上記〔13〕に記載の製造方法。
本発明によれば、金属電極層が無くなり、(支持体フィルムと金属電極層)が1枚の導電性布となり得るので、従来の(第1の支持体フィルム/第1の金属電極層/圧電層/第2の金属電極層/第2の支持体フィルム)という5層の構造が、本発明では(第1の導電性布層/圧電層/第1の導電性布層)という3層の構造となり得る。よって、シート面を湾曲させるような曲げがより容易になり、フレキシブル性がより高くなる。
また、本発明の圧電シートは、電極層が、布で構成されているので、層拡張方向へ伸縮することが可能になる。よって、層拡張方向の力を検出する圧電シートを形成することが可能になる。
また、本発明の好ましい態様では、従来の有機圧電材料を用いた圧電シートとは異なり、微弱な力で応答する有機圧電材料を用いることで、数グラムの小さい外力を検出することが可能になる。
また、本発明の好ましい態様では、従来の有機圧電材料を用いた圧電シートとは異なり、温度による出力変化が起こらない有機圧電材料を用いているので、温度変化の起こる環境(温度変化する室内、温度変化する屋外、室内から屋外への移動、生体の表面)などでの外力検出が可能になる。
また、圧電シートは、電極層が、布で構成されているので、湿度による電極の腐食などもなく、人が触れることの多いヒューマンマシンインタフェースや人体に貼り付けての使用が可能になる。
図1は、本発明の圧電シートの構造の一例を示す模式図である。ハッチングは、各部の領域を識別し易いようにする目的で、適宜に加えている。 図2は、本発明の実施例1において作製した圧電シートの引張り強度を試験するための装置の構成を示す模式図である。ハッチングは、各部の領域を識別し易いようにする目的で、適宜に加えている。 図3は、本発明の実施例2において作製した圧電シートに発現した電荷(電圧差)を測定するための装置、および該装置に当該圧電シートをセットした状態を示す図である。図3(a)は、該装置に当該圧電シートをセットした状態を示す写真図であり、図3(b)は、該装置に圧電シートをセットした状態を説明するための断面図(端面図)である。 図4は、本発明の実施例1および2において作製した圧電シートに発現した電荷を増幅し、オシロスコープに出力するための増幅回路を示す図である。 図5は、本発明の実施例1において作製した圧電シートの圧電性を示すグラフ図である。 図6は、本発明の実施例1において作製した圧電シートの圧電性を示すグラフ図である。 図7は、本発明の実施例2において作製した圧電シートの圧電性を示すグラフ図である。 図8は、本発明の実施例2において作製した圧電シートの圧電性を示すグラフ図である。
先ず、本発明による圧電シート(以下、当該圧電シートともいう)を説明する。
図1(a)に示すように、当該圧電シートは、一方の電極層として機能する第1の導電性布層1と、有機圧電材料を含んだ圧電層3と、他方の電極層として機能する第2の導電性布層2とをこれらの順に含んだ積層構造を有する。図の例では、第1、第2の導電性布層は、電極層でありながら、支持体フィルムとしての役割も果たしている。この積層構造は、3層構造だけには限定されず、第1の導電性布層1と圧電層3と第2の導電性布層2とをこれらの順に含んでいればよい。各層の間には、接着剤層、電気絶縁層、支持層など、必要に応じた種々の他の層が含まれていてもよい。該積層構造は、圧電層3の一方の主面に発生した正の電荷と、他方の主面に発生した負の電荷が、それぞれ、第1の導電性布層1と、第2の導電性布層2とを通じて、外部検出装置に検出可能であるように構成されていればよい。該積層構造を有することによって、従来の問題が解消され、好ましい圧電シートが提供される。
以下、当該圧電シートの全体的な構成や、細部の構成を詳細に説明する。
〔第1、第2の導電性布層〕
本発明において、「布」は、織布、編布、または、不織布などの繊維集合体である。よって、第1、第2の導電性布層は、それぞれ、導電性の織布層、導電性の編布層、または、導電性の不織布層などであってもよい。導電性布層は伸縮性、柔軟性、肌触りに優れており、特に、織布層は、引張強度が高く、安価な点で好ましく、編布層は、ドレープ性が高い点で好ましく、不織布層は、厚さを制御し易く、また、引っ張り強度の異方性が低い点で好ましく、これらの布を用途に応じて適宜選択してもよい。
〔第1、第2の導電性布層の厚さ〕
第1、第2の導電性布層の厚さは、限定はされないが、0.1mm~5mmが汎用的であり、0.1mm~1mmがより好ましく、0.1mm~0.5mmが更に好ましい。第1、第2の導電性布層の厚さは、互いに同一であってよいが、用途に応じて、互いに異なっていてもよい。
〔第1、第2の導電性布層の外周形状やサイズ〕
第1、第2の導電性布層の外周形状は、特に限定はされず、正方形、長方形、円形、楕円形、その他の多角形や異形、長尺の帯状(テープ状)など、用途に応じたものであってもよい。
第1、第2の導電性布層の外周形状のサイズ(面積)もまた限定はされず、用途に応じたものであってよい。例えば、グローブ型センサやモーションセンサの用途では、1~400mm程度が汎用的であり、10~100mmがより好ましい。例えば、ロボットハンド用センサの用途では、10~40000mm程度が汎用的であり、100~10000mmがより好ましい。例えば、タッチパネルなどの入力デバイスの用途では、10~100000mm程度が汎用的であり、100~50000mmがより好ましい。
第1、第2の導電性布層は、それぞれ単層の布層だけに限定されず、導電性の織布層、導電性を有する編布層、および、導電性を有する不織布層を、適宜選択し積層した積層体であってもよく、第1、第2の導電性布層の一方を単層とし、他方を積層体とするなど、適宜に組み合わせてよい。第1、第2の導電性布層の一方または両方を積層体とする場合。各層は、フレキシブル性や伸縮性が損なわれないように、フレキシブル性や伸縮性を持った接着剤によって貼り合わせられていてもよい。該接着剤は、導電性を有することが好ましいが、導電性を有しない接着剤であっても、該積層体を通じて圧電層の電荷を検出することは可能である。
第1、第2の導電性布層は、それぞれ、対象物に接触する側と、外界に露出する側など、用途や使用状態に応じて、互いに異なる布が用いられたものであってもよい。
第1、第2の導電性布層は、それぞれの布の製造工程において、基材繊維の段階で該基材繊維の表面に導電体が付与されたものでもよいし、該基材繊維を集めて紡いだ糸の段階で該糸に導電体が付与されたものでもよい。基材繊維とは、導電体が付着するためのベースとなる繊維であって、布(とりわけ不織布)や糸を構成する要素である。
また、第1、第2の導電性布層は、導電性を有しない布を製造した後に該布に導電体が付与されたもの(即ち、布の段階で導電性が付与されたもの)であってもよい。
また、第1、第2の導電性布層は、基材繊維や糸の段階で導電性を付与する加工と、布を形成した後に該布に導電体を付与する加工とを組み合わせて得られたものでもよい。導電性を有しない布に、導電体を付与する場合、塗布プロセスなどでは、導電性のむらができる可能性があるため、導電性を均一に付与できるという観点からは、基材繊維や糸の製造段階で導電性が付与される態様が好ましい。
導電体の付与が前記いずれの段階で行われても、結果物である第1、第2の導電性布層を観察すると、基材繊維の一部または全部には導電体が付着しており、それが互いに接触し、布全体が電気的に導通している。
〔第1、第2の導電性布層の基材繊維〕
基材繊維としては、植物繊維(綿、麻など)や動物繊維(シルク、羊毛、他の獣毛(アルパカ、アンゴラ、カシミヤなど)などの天然繊維や、合成高分子材料(ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)よりなる合成繊維であってよく、これらの基材繊維は、基材繊維の段階または糸の段階などで適宜混合して用いられてもよい。好ましい基材繊維としては、伸縮性、柔軟性、肌触り、安全性の点から、シルクまたはポリエステルよりなる基材繊維が挙げられる。
第1、第2の導電性布層が、織布層や編布層である場合、これらを構成する経糸、緯糸、編み糸の太さは、限定はされないが、柔軟性の点から、10~30デニールが好ましく、18~21デニールがより好ましい。
〔第1、第2の導電性布層の導電体〕
本発明において、第1、第2の導電性布層に導電性を与える導電体は、特に限定はされないが、導電性高分子材料が好ましいものとして挙げられる。該導電性高分子材料は、特に限定はされないが、好ましいものとして、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が挙げられ、これにさらに、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、および/または、p-トルエンスルホン酸(pTS)をドーパントとして含有するものがより好ましいものとして挙げられる。とりわけ、pTSをドーパントとして含有するPEDOTは、基材繊維に付着するために適した大きさであるという点で好ましい導電体である。
〔第1、第2の導電性布層の製造方法〕
基材繊維にPEDOTが導電体として付与された導電性布層の製造方法は、公知技術を参照することができる。
例えば、特許文献3には、PEDOT-PSSが記載されているが、より好ましい導電性布層の製造方法が記載されている。この製造方法は、導電性高分子を基材に付着した導電性高分子導電体の製造方法であって、(セリシンを塗布した繊維よりなる基材あるいは表面にセリシンを塗布した基材を加熱したのち、又は、加熱しつつ、前記基材に、前記導電性高分子の単量体を含む原料溶液を塗布する原料塗布工程)と、(前記基材に、前記原料溶液を塗布した後に、前記単量体の重合を促進させる酸化剤、前記導電性高分子に導電性を発現させるためのドーパント、及び、粘性を高めるための増粘剤を含む製造用溶液を塗布する製造用溶液塗布工程)とによって、導電性の布を形成するものである。ここで、前記導電性高分子として、PEDOTが好ましいものとして挙げられており、ドーパントとしてpTSが挙げられている。さらなる詳細は、特許文献3を参照してよい。
また、特許文献4には、シルク以外の繊維基材に導電性を付与する技術として、基材に導電性高分子を付着した導電性高分子導電体の製造方法が記載されている。該製造方法は、(シルク以外の繊維よりなる基礎部材にセリシンを含む定着層を形成し、基材を形成する基材形成工程)と、(基礎部材に定着層を形成した基材に導電性高分子を付着させる導電性高分子形成工程)とを含む。ここで、前記基材形成工程は、前記基礎部材にセリシンを付着させるセリシン付着工程を含み、該セリシン付着工程では、前記基礎部材に、セリシンを含みかつ尿素が添加されたセリシン水溶液を付着させている。ここでも、導電性高分子として、PEDOTが好ましいものとして挙げられており、ドーパントとしてpTSが挙げられている。さらなる詳細は、特許文献4を参照してよい。
また、特許文献5には、導電性高分子を繊維よりなる基材に付着した導電性高分子導電体の製造に用いる液体が記載されている。この液体は、(前記導電性高分子の単量体の重合を促進させる酸化剤、及び、前記導電性高分子に導電性を発現させるためのドーパントとして、pTSの鉄塩)と、(粘性を高めるための増粘剤として、グルセロール及びエチレングリコールからなる群のうちの少なくとも1種)とを含んでいる。ここでも、導電性高分子としてPEDOTが好ましいものとして挙げられている。さらなる詳細は、特許文献5を参照してよい。
〔圧電層〕
圧電層は、層厚方向(Z方向)に圧縮力を受けた場合に電荷が発生する特性(以下、「層厚方向の圧電特性」ともいう)を有するものであってもよいし、層拡張方向(X-Y方向)に引張り力や圧縮力を受けた場合に電荷が発生する特性(以下、「層拡張方向の圧電特性」ともいう)を有するものであってもよい。後述のとおり、グローブ型センサやモーションセンサ、ロボットハンド用センサ、タッチパネルなどの用途では、層拡張方向への引張り力を検出することが有用であり、また、第1、第2の導電性布層は、電極層でありながら、層拡張方向に伸縮可能であるという特徴を持っている。よって、前記の用途に好ましく対応し得、かつ、第1、第2の導電性布層の伸縮特性を有効に利用する点から、層拡張方向の圧電特性を有する圧電層がより好ましい。
尚、圧電層が層拡張方向の圧電特性を有するものであっても、当該圧電シートを、皮膚やクッションなどの柔軟な対象物上に配置した場合には、当該圧電シートの外側の主面に外部から局所的な層厚方向の力を加えると、該力の作用部分が皮膚内やクッション内に沈み込む。それにより、当該圧電シート内には該力の作用部分を中心として局所的に層拡張方向への引張り力が作用する。よって、層拡張方向の圧電特性が発現し、結果、層拡張方向の力が検出される場合もある。
上記のような層拡張方向の圧電特性を有する圧電体としては、上記特許文献2に記載されたような、d14圧電定数が所定の数値以上となるように形成された圧電体(以下、「d14圧電体」ともいう)が挙げられる。
「d14圧電定数」とは、圧電テンソルの一つであり、フィルムとして形成された圧電層にずり応力を印加したときに発生する電荷の量から求められる。単位ずり応力あたりの発生電荷量がd14圧電定数となる。「d14圧電定数の最高値」とは、ずり応力をかける方向を変えて測定した場合に得られるd14圧電定数のうちの最高値を意味するものとし、例えば、フィルム状である圧電層に対するずり応力をかける方向を10°毎(好ましくは5°毎、より好ましくは1°毎)変更して測定することで決定することができる。ここでいう「ずり応力をかける方向」とはフィルム状である圧電層の主面内に描かれる、主面の中心を通る仮想直線の方向であり、例えば、「10°毎変更する」とは、フィルム状である圧電層の主面の中心を軸として回転角が10°相違する仮想直線を放射状に設定することを意味する。
d14圧電定数を有する圧電層は、理論上、該圧電層を構成する分子の配向方向に対して交差角度が45°となる方向から圧電層に周期的な引張り応力を加えて圧電定数を測定する場合に最大の値が出る。従って、分子の配向方向に対する交差角が45°となる方向からずり応力を加えて発生する電荷の量を測定することでd14圧電定数の最高値を決定することができる
本発明において、圧電層がd14圧電体である場合、d14圧電定数の最高値は、好ましくは1pC/N以上であり、より好ましくは3pC/N以上であり、より好ましくは4pC/N以上である。d14圧電定数の最高値の上限は、特に限定はされないが、20pC/N以下であり、または、10pC/N以下である。
d14圧電体は、層拡張方向の圧電特性を有する圧電体に属する好ましい態様の1つである。d14圧電体は、焦電効果を有さず、よって発生する電荷の値が周囲の温度変化の影響を受け難い。よって、d14圧電体を用いれば、室温など周囲の温度の変化に対してロバストな圧電シートを構成することが可能になり、d14圧電体と第1、第2の導電性布層との組合せによって、層拡張方向のロバストな圧電特性をより有効に利用した、好ましい圧電シートが提供できる。d14圧電体の製造方法については後述する。
〔圧電層の厚さ、外周形状、サイズ〕
圧電層の厚さは、必要とされる電位差に応じて、または、有機圧電材料の圧電特性に応じて、適宜に選択することができ、限定はされないが、1~500μm程度が汎用的であり、2~100μmがより好ましい。
圧電層の外周形状やサイズは、特に限定はされないが、上記した第1、第2の導電性布層の外周形状およびサイズと同様であってよい。
〔圧電層に用いられる有機圧電材料〕
圧電層に用いられる有機圧電材料は、特に限定はされず、従来公知の圧電ポリマーを用いることができる。好ましい有機圧電材料として、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、または、多糖類を主成分として含む材料が挙げられる。これらの材料は、層厚方向の圧電特性を有する圧電体の材料として用いることもできるが、層拡張方向の圧電特性を有する圧電体(とりわけ、d14圧電体)の材料として用いられることがより好ましい。
〔圧電層に用いられる有機圧電材料:ポリアミノ酸〕
ポリアミノ酸を含有する圧電体とその製造方法は、例えば、特許文献1、2など、公知技術を参照することができる。
ポリアミノ酸のなかでも、ポリα-アミノ酸が好ましいものとして挙げられる。ポリα-アミノ酸は、好ましくは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、オルニチン、セリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンおよびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリα-アミノ酸である。前記「1種以上の単位」に関して、例えば、グリシンの単位とは、グリシンに由来する単位を意味する。他のα-アミノ酸の単位も同様の意味である。また、前記「1種以上の単位を含有するポリα-アミノ酸」には、1種のみの前記α-アミノ酸の単位を含有するホモポリマー、および2種以上の前記α-アミノ酸の単位を含有するコポリマーが包含される。後述の「1種以上の単位」も同様の意味である。
好ましいポリα-アミノ酸としては、圧電シート作製時の延伸配向プロセスが不要な点や信号の温度依存性を示さない点、熱安定性が高い点、安定的な圧電効果を示すという点から、ポリ(L-グルタミン酸5-ベンジル)が例示される。ここで、ポリ(L-グルタミン酸5-ベンジル)とは、L-グルタミン酸5-ベンジルに由来する1種の単位から構成されるポリマーを意味する。なお、L-グルタミン酸5-ベンジルに由来する単位は、L-グルタミン酸5-ベンジル自体から形成される必要は無く、例えば、下記実施例で示すように、他のモノマー(例えば、γ-ベンジル-L-グルタミン酸-N-カルボン酸無水物)から形成されてもよい。
〔圧電層に用いられる有機圧電材料:多糖類〕
有機圧電材料として用いられる多糖類としては、セルロース誘導体を含むものが好ましいものとして挙げられる。セルロース誘導体は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロースから選択される1種以上が挙げられる。詳細は後述する。これらの材料のなかでも、エチルセルロースは、圧電シート作製時の延伸配向プロセスが不要な点、信号の温度依存性を示さない点、コストが低い点、安定的な圧電効果を示す点から、好ましい多糖類である。
〔圧電層に用いられる有機圧電材料:ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン〕
有機圧電材料として用いられるその他の材料としては、圧電性を示すポリ乳酸やポリフッ化ビニリデンから選択される1種以上が挙げられる。これらの材料のなかでも、ポリ乳酸は信号の温度依存性を示さない点から、好ましい。
〔圧電体の製造方法:d33圧電体〕
d33圧電体とは、圧電体の厚さ方向に力を加えた際に、厚さ方向に電位を発生させる物質の一種である。d33圧電体の製造方法としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンを主成分として含有する材料などの未延伸のフィルムを一軸方向に延伸して高分子を配向させる方法が挙げられる。しかしながら、延伸により得られたフィルムは、延伸方向(高分子の配向方向)に直交する層拡張方向に力を加えた場合に裂け易い傾向がある。
〔圧電体の製造方法:d14圧電体〕
d14圧電体の製造方法としては、例えば、ポリ乳酸やポリアミノ酸などの未延伸のフィルムを一軸方向に延伸して高分子を配向させる方法が挙げられる。しかしながら、延伸により得られたフィルムは、延伸方向(高分子の配向方向)に直交する層拡張方向に力を加えた場合に裂け易い傾向がある。
ポリアミノ酸を主成分として含有する材料よりなるd14圧電体の製造方法は、従来公知の製造方法を参照することができる。例えば、上記特許文献2には、ポリアミノ酸を含有し、d14圧電定数の最高値が3pC/N以上の圧電フィルムの製造方法として、(A)ポリアミノ酸および(C)有機液状媒体を含むポリアミノ酸組成物を支持体上に塗工する第1工程と、第1工程で得られたポリアミノ酸組成物層を乾燥してフィルムとする第2工程とを含む製造方法が記載されている。この製造方法によれば、圧電層の破断伸度の最低値が2%以上であり、かつd14圧電定数の最高値が3pC/N以上の好ましい圧電シートが得られる。この製造方法では、前記のポリアミノ酸組成物が、さらに(B)重量平均分子量が5,000以上のポリマーを含んでいてもよい。該ポリマーの好ましい重量平均分子量は、5,000以上、200,000以下のポリマーである。該ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリウレタン樹脂から選択される1種以上のものが挙げられる。ポリアミノ酸を含有するd14圧電体およびその製造方法のさらなる詳細については、特許文献2を参照することができる。
本発明では、好ましいd14圧電体の1例として、多糖類を主成分として含有する材料よりなるd14圧電体(d14圧電定数の最高値は1pC/N以上である)とその製造方法を提唱する。以下、「多糖類を主成分として含有する材料よりなるd14圧電体」を、「多糖類d14圧電体」ともいう。
多糖類d14圧電体の製造方法は、多糖類および液状媒体を含み、複屈折を有する多糖類組成物を支持体上に塗工する第1工程と、および、該第1工程で得られた多糖類組成物層を乾燥してフィルムとする第2工程とを含む。好ましい態様では、第2工程は磁場を作用させておらず、かつ、第2工程後に、フィルムの延伸工程を含まない。好ましい態様では、第1工程において、多糖類組成物の塗り厚が500μm以下となるように多糖類組成物を塗工する。好ましい態様では、多糖類組成物の固形分量が20重量%以上である。好ましい態様では、多糖類組成物の25℃における粘度が5,000mPa・s以上である。好ましい態様では、多糖類組成物の25℃における粘度が50,000mPa・s以上である。好ましい態様では、第2工程が多糖類組成物層を300℃以下の温度で乾燥することを含む。
前記多糖類d14圧電体の製造方法では、従来のフィルムの延伸という手法を用いることなく、多糖類および液状媒体を含み多糖類組成物を支持体上に塗工する第1工程および該第1工程で得られた多糖類組成物層を乾燥してフィルムとする第2工程を含む方法によって、d14圧電定数の最高値が1pC/N以上のd14圧電フィルムを製造する。これは、多糖類が、支持体上に塗工するという操作のみで高度に配向し得、加熱を含む乾燥工程を経てもなお塗工後の配向状態を保持することを見出したことによる。すなわち、この製造方法では、フィルムを延伸する、あるいは、電磁場を用いて配向させることなく、多糖類分子が高度に配向して、d14圧電定数の最高値が1pC/N以上のd14圧電フィルムを製造することに成功している。このため、本発明の多糖類組成物から製造されるd14圧電フィルムは、未延伸フィルムでありながら、d14圧電定数の最高値が、1pC/N以上である。
前記多糖類d14圧電体の製造方法に用いられる多糖類組成物は、多糖類および液状媒体を少なくとも含む。
ここで、多糖類(以下、「A成分」ともいう)は、アルドヘキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、フコース、フクロース、ラムノース等の単糖およびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリマー(すなわち、多糖類)であればよい。なお、多糖類の「誘導体」としては、天然の状態で誘導体化されて得られるものと多糖あるいはその誘導体として取り出した後にさらに有機合成反応を用いて誘導体化されているものが存在するが、いずれを用いてもよい。天然の状態で誘導体化されて得られるものの例としては、キサンタンガム、アルギン酸等が挙げられる。一方、有機合成反応を用いて誘導体化されているものの例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、カルボキシル化プルラン等の非セルロースの誘導体が挙げられる。また、上記に挙げるセルロース誘導体がイソシアネートを用いたウレタン化、エポキシドを用いたヒドロキシアルキル化、酸塩化物等を用いたエステル化、アクリルニトリルを用いたシアノエチル化等で誘導体化されたものも、「セルロース誘導体」に含まれる。
グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、フルクトースおよびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリマー(特に、グルコースおよびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリマー)は、多糖類組成物中での溶解性および分散性の点で好ましい。
多糖類は、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよい。好ましいホモポリマーの具体例としては、例えば、セルロース、プルラン、デキストラン等が挙げられる。中でもセルロースは価格や性能の面から好ましい。
好ましいコポリマーの具体例としては、キサンタンガム、グアガム、アルギン酸等が挙げられる。また、化学修飾された多糖類もホモポリマーとコポリマーという分類ではコポリマーと言え、中でもセルロース誘導体は価格や性能の面から好ましい。
前記多糖類はセルロースなどのように(分岐鎖が無いと言う意味での)直鎖型のポリマーであってもよく、キサンタンガムなどのように分岐鎖のある分岐型のポリマーであっても良いが、価格や種類の豊富さという観点から直鎖型のポリマーが好ましい。
前記多糖類は1種以上を使用できる。なかでも、セルロース、セルロース誘導体、キサンタンガムが好ましく、より好ましくは、セルロース誘導体、キサンタンガムであり、特に好ましくは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロースから選択される1種以上であり、最も好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、トリアセチルセルロースである。
多糖類の分子量特性は特に制限はされないが、フィルムの破断伸度向上の観点から、数平均分子量が10,000以上であることが好ましく、30,000以上がより好ましい。また、多糖類組成物の取扱い性の観点から、数平均分子量が1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下がより好ましい。ここでいう、数平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定されるポリスチレン換算値である。
前記多糖類d14圧電体の製造方法に用いられる液状媒体(以下、「B成分」ともいう)とは、それを媒体としてA成分が溶解乃至分散状態を形成し得る、25℃で液状の化合物であれば、特に制限なく使用できる。具対的には、水;クロロホルム、ジクロロメタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、二塩化エチレン、1,2-ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのクロロ炭化水素系化合物;パーフルオロ-tert-ブタノール、ヘキサフルオロ-2-メチルイソプロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロアセトン等のフッ素含有アルコール系又はケトン系化合物;ホルムアミド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ピリジン、アセトニトリルなどの含窒素極性化合物;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノンなどのアルキルケトン系化合物;安息香酸メチル、安息香酸ブチルなどの安息香酸エステル系化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ソルベントナフサ、1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素系化合物;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系化合物;メチルセロソルブアセテート、メトキシプロピルアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどのグリコールエステル系化合物;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、メチルt-ブチルエーテル、石油エーテルなどのエーテル系化合物;ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系化合物;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン系化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系化合物;ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン、イソオクタン、ノルマルデカンなどの炭化水素系化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン系化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル系化合物;トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸等のカルボン酸系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、A成分との相溶性、および、支持体上の多糖類組成物層を乾燥してフィルム状の圧電層とする際の乾燥のしやすさ等の観点から、構成元素として、炭素および水素を含む化合物か、或いは、炭素および水素とともに酸素またはハロゲンを含む化合物であって、分子量が1000以下の化合物から選択される1種以上であることが好ましい。また、かかる好適な化合物は、アルコール系化合物、水、エーテル系化合物、含窒素極性化合物、ラクトン系化合物、クロロ炭化水素系化合物、カルボン酸系化合物から選択される1種以上であることがより好ましい。さらにこれらの中でも、A成分との相溶性、および、多糖類組成物層の乾燥過程での多糖類分子の配向状態の保持性の観点から、メタノール、エタノール、水、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、γ-ブチロラクトン、ベンジルアルコール、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリフルオロ酢酸から選択される1種以上が特に好ましい。
B成分は1種以上を使用できるが、沸点が低すぎると安全性や塗工性の点で問題があり、沸点が高すぎると乾燥性や十分な圧電性が得られないという点で問題がある。従って、沸点40℃以上250℃以下の液状媒体を1種以上含む態様が好ましく、沸点40℃以上210℃以下の液状媒体を1種以上含む態様がより好ましい。また、液状媒体全体の50~100重量%が、沸点40℃以上250℃以下の液状媒体であることが好ましく、沸点40℃以上210℃以下の液状媒体であることが好ましい。
A成分とB成分の重量比は特に限定はされないが、一般的には、A成分とB成分の重量比(A成分:B成分)が1:9~7:3であり、好ましくは2:8~6:4である。
[その他の成分]
多糖類組成物には、圧電層に求められる作用効果(すなわち、圧電層を構成する多糖類分子の配向)を大きく損なわない範囲内で、多糖類組成物の特性改善や圧電層の特性の改善を目的としてA、B成分以外の配合成分をさらに含有させることができる。かかる任意の配合成分としては、例えば、無機フィラー、有機フィラー、顔料、結晶核剤、消泡剤、酸化防止剤、増粘剤などの各種添加剤、多糖類以外のポリマーが挙げられる。これらの任意の配合成分の添加量は、少な過ぎると添加の効果を損なうが、多くなると樹脂組成物の特性(複屈折や粘度等)や圧電層の特性(圧電性等)を損なうおそれがある。このためA、B成分以外の任意の配合成分の含有量はA成分100重量部に対して、通常50重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
多糖類組成物の形態は溶液でも分散液でもよいが、大きいd14圧電定数の発現の観点から、多糖類組成物の形態は溶液であることが好ましい。多糖類組成物は複屈折を有する必要があるが、一般的に多糖類溶液が複屈折を持つ場合、多糖類分子が何らかの規則構造を取っているが溶液全体で見ると多糖類分子の向きは等方的な状態である。このため、せん断力が加わると溶液全体の多糖類分子の向きが揃った規則構造になりやすく、溶液全体の多糖類分子の主鎖が配向して、より大きいd14圧電定数が得られやすい。複屈折を有しない場合はせん断力が加わっても複屈折を有する場合のようには高い配向が得られない。なお、多糖類組成物は、せん断時の多糖類分子の高い配向のために必ず高い粘度が必要である訳ではなく、前述のとおり、フィルム状の圧電層とする際の乾燥工程における塗工後の高度な配向状態を保持するためである。本発明において多糖類組成物が複屈折を有するとは、クロスニコルの状態の2枚の偏光板の間に多糖類組成物を静置して透過光で観察した場合に組成物全体が明るく、暗い部分を有しない場合をいう。
多糖類組成物は、特に制限はされないが、複屈折や粘度の観点から、また、圧電層の膜厚確保の観点から、固形分量が10重量%以上の組成物であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに一層好ましくは30重量%以上である。
多糖類組成物は、公知の攪拌機や分散機を用いて調製することができる。すなわち、A成分およびB成分を、これら以外の任意の配合成分を含有させる場合は該任意の配合成分とともに、公知の攪拌機や分散機により混合することで調製される。
攪拌機や分散機の例としては、ディゾルバー、プラネタリミキサー、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、アジホモミキサー、自転・公転ミキサーなどが挙げられる。
混合温度は特に限定されず、非加熱で混合しても、加熱下で混合してもよいが、加熱する場合、室温~150℃程度が好ましい。また、混合時間も特に限定はされないが、例えば、自転・公転ミキサーを用いて混合する場合、混合時間は10分~1時間程度が好ましい。
前記多糖類d14圧電体の製造方法のより具体的な例は、次のとおりである。
(多糖類組成物の調製)
支持体上に塗工する塗工液として、上記の多糖類組成物を調製する。
(多糖類組成物の塗工、乾燥)
多糖類組成物を支持体上に塗工し(第1工程)、得られた多糖類組成物層を乾燥する(第2工程)ことで、多糖類を含むフィルム(未延伸フィルム)が得られる。第1工程での多糖類組成物の塗工方法は、多糖類組成物に一方向にせん断力が作用し流動性をもつ樹脂組成物がフィルム状に変形、加工すれば良く、具体的な塗工手法としてはバーコート、カンマコート、ダイコート、スロットダイコート、ブレードコート、グラビアコート、グラビアオフセット印刷など公知の塗工方法が挙げられる。塗工に当たってコーターが動いても、支持体が動いても、両方動いても良い。塗工は、一方向にせん断力が作用していれば良く、バーコートなどのように支持体に対して所定の一方向に向けて多糖類組成物が塗り進められていても良く、ダイコートなどのようにせん断力が働いた多糖類組成物が支持体上にキャストされても良い。この所定の一方向に向けて多糖類組成物にせん断力が作用していく方向が多糖類分子の配向方向(すなわち、多糖類分子の主鎖の配向方向)になる。なお、「塗工方向」とは、この所定の一方向に向けて多糖類組成物にせん断が作用している方向のことである。
塗工(第1工程)と乾燥(第2工程)は、それぞれ一回だけ行ってもよいし(一回塗り)、塗工(第1工程)と乾燥(第2工程)をそれぞれ複数回繰り返してもよい(重ね塗り)。一回塗りの方がコスト的に優位だが、一回塗りの塗工における「塗り厚」が大きすぎると、多糖類組成物にせん断力が作用しにくくなり、多糖類分子が配向しにくくなる。このため、圧電層の膜厚を厚くしたい場合は重ね塗りが好ましい。
多糖類組成物の塗工における「塗り厚」とは、塗工によりせん断がかかる時の多糖類組成物層の厚さである。このため、塗工方法にも依るが「塗り厚」は支持体とコーターの間の最短距離、あるいはコーターの隙間の距離である。例えば、支持体上にバーコートにより塗工を行う場合、支持体とバーの最短距離である。例えば、バーが丸みを帯びるなどしてバー全体の高さが均一でない場合、支持体とバーの最短距離は、バーの支持体に最近接する部分と支持体の間の距離を指す。ダイコーターのように多糖類組成物が隙間から放出される場合はこの隙間の距離を指す。塗り厚が大きいと多糖類組成物に作用するせん断力が小さくなり、かつ塗工から乾燥後までに塗工直後の配向状態が保持されにくい傾向となる。これは、多糖類組成物層の厚さが大きくなると単に多糖類組成物層が乾燥されにくくなるだけでなく、基材との界面の効果が相対的に少なくなり多糖類組成物層内の棒状の多糖類分子の運動性が上がるためと考えられる。従って、塗り厚は1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、200μm以下が特に好ましい。なお、塗り厚が小さすぎると、均一に塗工することが困難になることや、乾燥後のフィルムの絶縁不良などの不具合があるため、塗り厚は0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
通常、「塗り厚」と、乾燥して得られるフィルムの膜厚とは異なる。樹脂組成物に粘度があるため、塗工直後の樹脂組成物の膜厚は「塗り厚」の通りではなく薄くなる。「フィルムの膜厚」はさらに乾燥により、溶剤が抜けることによって膜減りしてさらに薄くなる。すなわち、乾燥して得られるフィルムの膜厚は「塗り厚」より小さい。このため、前述の通り塗り厚は薄い方が好ましいが、大きい膜厚のフィルムを得たい場合一回の塗工、乾燥によって得ることができない膜厚のフィルム(圧電フィルム)を得たいときは、500μm以下の塗り厚にて、2回以上の重ね塗りをして、所望の厚さのフィルム(多糖類d14圧電体)を製造するのが好ましい。
多糖類組成物が塗工される支持体は、塗工におけるせん断力に耐え得る機械強度と乾燥に耐え得る耐熱性があれば良く、絶縁体であっても導電体であっても良い。絶縁体の場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド等のプラスチックが挙げられる。導電体の場合、銅箔、銅箔付きポリイミド、ITOガラス、金属を蒸着あるいはスパッタしたPETなどが挙げられる。
(乾燥方法)
支持体上に形成された多糖類組成物層の乾燥方法は、塗工後の多糖類組成物層における多糖類分子の配向状態を保持しつつ液状媒体を除去できる方法であればどんな方法でも良く、常温、常圧での乾燥(自然乾燥)でも良いし、加熱乾燥でも減圧乾燥でも良い。加熱乾燥の場合、バッチオーブン、熱風乾燥炉、ベルト式連続炉、遠赤外線乾燥炉など公知の加熱機器を用いることが出来る。
乾燥により液状の多糖類組成物が、固形分量95重量%以上の固体のフィルムとなる。一般的には乾燥の条件は多糖類組成物のB成分の沸点、塗工の際の塗り厚、乾燥器内の風速と空気の循環量等により乾燥温度、乾燥時間等のパラメーターを調節する。本発明において乾燥の際に注意することは、乾燥時に塗工直後に実現されていた多糖類の高い配向状態が元に戻る場合があることである。乾燥条件の設定にはこの点に注意しながらパラメーターを選定する必要がある。乾燥工程での乾燥温度は一定でも良いし、100℃で加熱後、150℃で加熱のような不連続に温度を変える態様でも良いし、100℃から150℃へと徐々に昇温するような、連続的に温度を変える態様でも良い。乾燥温度はB成分の沸点、塗り厚、多糖類のガラス転移温度などにも依るが、多糖類の劣化防止の観点から300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましく、180℃以下が最も好ましい。
(アニール処理)
乾燥後の多糖類フィルムには適切な温度と時間のアニール処理を施しても良いし、しなくとも良い。
〔接着剤層〕
本発明の圧電シートは、2層の電極層がそれぞれ導電性の布(第1、第2の導電性布層)である。このような導電性の布を用いることでフレキシブルな圧電シートを得ることが出来る。後述のとおり、接着剤層が電気絶縁性の層であったとしても、圧電層の表面面の電位差は、第1、第2の導電性布層を通じて外部検出装置によって検出することができる。
接着剤層を構成する材料は特に限定されず、第1、第2の導電性布層、圧電層のフレキシブル性を損なわないよう、フレキシブル性を有するものであれば良い。接着剤層の材料としては、例えば、アクリル樹脂材料、ポリエステル樹脂材料、ポリウレタン樹脂材料、ポリエーテル樹脂材料、ゴム材料、シリコーン樹脂材料、ポリアミド樹脂材料、フッ素樹脂材料、エポキシ樹脂材料などが例示される。
後述のとおり、接着剤層は、当該圧電シートの積層工程において液体として供給(塗工)されてもよいし、別途形成されたフィルムとして供給されてもよい。後述のとおり、第1、第2の導電性布層は布であるから、接着剤層をフィルム(半硬化状態の熱硬化性フィルムを含む)として供給する態様が好ましい。その場合のフィルムは、積層方向に圧縮力をかけるだけで接着する感圧接着剤フィルムであってもよいし、積層方向に圧縮力をかけながら熱溶融(または熱硬化)させて接着層となる樹脂製フィルムであってもよい。後者のフィルムとしては、例えば、多層回路基板などにおいて層間絶縁樹脂層として用いられるエポキシ樹脂材料を有してなるフィルムGX-13(味の素ファインテクノ社製)などが好ましいものとして例示される。
接着剤層の厚さは、特に限定はされないが、0.1~500μm程度が好ましく、1~100μm程度がより好ましい。
〔圧電シート〕
本発明の圧電シートは、有機圧電材料を含む圧電層を、別の工程で圧電フィルムとして形成し、該圧電フィルムを、第1、第2の導電性布層によって、直接的にまたは接着剤層を介して挟み込み、それにより積層構造とすることができる。必要に応じて、導電性布層と圧電層の間に接着層を形成する場合、導電性布層に接着剤の原料液を塗工、乾燥して接着層を形成してもよいし、予め接着剤の原料液を支持フィルムに塗工・乾燥した後、導電性布層と接着層を貼り合わせてもよい。接着剤の原料液が導電性布層の内部に浸み込むことを防止するという観点から、導電性布層と予めフィルムとして形成した接着層とを貼り合わせることが好ましい。
図1(a)に示すように、圧電フィルムを第1、第2の導電性布層によって、接着剤層なしで、直接的に挟み込む態様では、これら3層を積層構造として固定する方法としては、熱圧着、縫製などが挙げられる。
一方、圧電フィルムを第1、第2の導電性布層によって隙間なく挟み込み、積層構造として好ましく固定する方法としては、図1(b)に示すように、該圧電フィルム(圧電層3)を、第1の導電性布層1と第2の導電性布層2とによって、それぞれ接着剤層4a、4bを介して挟み込む態様が挙げられる。この態様では、接着剤層が電気絶縁層であったとしても、圧電層に生じる電荷は、第1、第2の導電性布層を通じて外部検出装置によって検出することができる。
ここで、積層手順の例を挙げる。
(i)有機圧電材料を含む圧電層を、別の工程で圧電フィルムとして形成し、その両側にそれぞれ別の工程でフィルムとして形成した接着剤層を貼り付けて積層体を形成し、第1、第2の導電性布層で挟み込むことで、積層構造とする手順。
(ii)有機圧電材料を含む圧電層を、別の工程で圧電フィルムとして形成し、一方、第1、第2の導電性布層にそれぞれ、別の工程でフィルムとして形成した接着剤層を貼り付けて、一対の積層体を形成しておき、該一対の積層体(接着剤層は内側)によって圧電フィルムを挟み込むことで、積層構造とする手順。
圧電シートの厚さは、特に限定されないが、柔軟性の観点から、0.1mm~10mmが好ましく、0.1mm~5mmがより好ましく、0.1mm~1mmが更に好ましい。
〔用途〕
本発明の圧電シートは、ウェアラブルデバイス、グローブ型入力デバイス、モーションセンサ、タッチパネル、ロボットアーム用センサ、加速度センサなどに好適に使用することが出来る。
本発明の圧電シートは、従来の2枚の平行平板の金属電極層を持った圧電シートの積層構造(支持体フィルム/金属電極層/圧電体/金属電極層/支持体フィルム)における、(支持体フィルムと金属電極層とからなる2層の積層体)を1枚の導電性布で達成することが可能である。また、導電性布で回路パターンを作れば、アレイ型も圧電シートも可能である。例えば、導電性布からなる2つの帯状の回路がある場合、それら2つの帯状の回路の間に非導電性の布を縫製などで挟むことで、2つの帯状の回路を互いに絶縁してもよい。
本発明の圧電シートを用いて、立体的なウェアラブルデバイスを作製する場合には、一般的な布と同様に、裁断し縫製してもよく、筒状にするなどの立体的な組み立てには、本発明の圧電シートのフレキシブル性が十分に生かされるように、伸縮可能な糸を用いて接合部をつなぎ合わせてもよい。
〔本発明の製造方法〕
次に本発明による製造方法(以下、当該製造方法)を説明する。
当該製造方法は、本発明の圧電シートを製造するための好ましい方法であって、図1(a)において、圧電フィルムとして予め形成された圧電層3を、第1の導電性布層1と第2の導電性布層2とによって、直接的にまたは他の層を介して挟み、積層構造とする工程を有する。圧電層3を、第1の導電性布層1と第2の導電性布層2とによって直接的に挟んで積層構造とする方法については上記したとおりである。
また、上記したように、第1、第2の導電性布層2と、圧電層3との間には、図1(b)に示すように、接着剤層4a、4bがそれぞれ介在する態様が好ましい。よって、当該製造方法の好ましい態様では、積層工程において、第1の導電性布層1と圧電層3との間、および、第2の導電性布層2と圧電層3との間に、それぞれ接着剤層4a、4bを介在させて積層構造とする。これにより、本発明の目的が達成された好ましい圧電シートが得られる。
以下、本発明の圧電シートを実際に製作した例を示し、かつ、その圧電性能の評価結果を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、第1、第2の導電性布層として、シルク(基材繊維)からなる織布に導電性導電体が付与されてなる導電性布を用い、圧電層としてポリアミノ酸フィルムを用い、これらを、接着剤層の役割を果たす絶縁性フィルムを介して積層し、5層の積層構造(第1の導電性布層/接着層/圧電層/接着層/第2の導電性布層)を有する圧電シートを作製した。
(ポリアミノ酸フィルムの作製)
1,2-ジクロロエタン(関東化学社製)400mlに、γ-ベンジル-L-グルタミン酸-N-カルボン酸無水物(60.14g、228.4mmol)を加えた後、0℃まで冷却し、重合開始剤としてN,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(143μL、1.14mmol)を加え、室温(25℃)で24時間撹拌を行った。「μL」は、マイクロリットルである。
この溶液を、約200mlになるまで減圧濃縮し、ジイソプロピルエーテル1750mlに滴下した。
生じた白色沈殿を減圧濾過し、50℃にて16時間減圧乾燥を行い,目的とするポリ(L-グルタミン酸5-ベンジル)を48.4g得た。重量平均分子量は35278であった。
続いて、ポリ(L-グルタミン酸5-ベンジル)の粉末4gと、バイロンUR1410、2.37g(東洋紡)と、1,4-ジオキサン3.63gとを容器(容量200mL)に入れ、あわとり練太郎ARE-310(THYNKY)にて、2000rpmで5分間混錬し、ワニスを作製した。作製したワニスをテフロン(登録商標)シート上に、線状に5mL滴下し、YBA型ベーカーアプリケーター、YOSHIMITSU SEIKI)を利用して塗工した。その膜を、オーブンにて100℃で90分間乾燥させた後、再度ワニスをシート上に線状に5mL滴下し、塗工した。オーブンにて大気中100℃で、90分間乾燥させた後、テフロン(登録商標)シートから剥がして、厚さ50μm、フィルム主面の外周形状は長方形、フィルム主面の面積が0.02mのポリアミノ酸フィルムを得た。
(導電性布の準備)
シルク(基材繊維)からなる織布に導電性導電体が付与されてなる第1、第2の導電性布として、シルク電極(エーアイシルク株式会社)を用いた。該シルク電極は、厚さ0.24mm程度である。
(圧電シートの作製)
保護フィルム/接着層/支持フィルムの3層構造となっているGX13(味の素ファインテクノ(株)製、厚さ50μm、フィルム主面の外周形状は長方形、フィルム主面の面積が0.02m)を、第1、第2の導電性布層のために2つ用意した。
2つのGX13のそれぞれの保護フィルムを剥離し、露出したそれぞれの接着層に前記シルク電極(第1、第2の導電性布層)をそれぞれ重ね、得られた2つの積層体をラミネーター装置(CVP700、ニッコーマテリアルズ社)にて加熱(100℃)、加圧(真空(100Pa)30秒、プレス(0.7MPa)30秒)を行い、第1の導電性布層と接着層との積層体、および、第1の導電性布層と接着層との積層体を作製した。この1対の積層体からそれぞれ支持フィルムを剥離し、2つの接着層の間にポリアミノ酸フィルムを挟み込み、ラミネーター装置(CVP700、ニッコーマテリアルズ社)にて前記と同様の条件で加熱、加圧を行った。接着層の硬化のため、オーブンにて150℃、90分間加熱し、5層の積層構造(第1の導電性布層/接着層/圧電層/接着層/第2の導電性布層)を有する圧電シート(厚さ0.55mm程度)を得た。
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1と同様の第1、第2の導電性布層を用い、圧電層としてセルロース誘導体フィルムを用い、これらを接着剤層を介して積層し、5層の積層構造(第1の導電性布層/接着層/圧電層/接着層/第2の導電性布層)を有する圧電シートを作製した。
(セルロース誘導体フィルムの作製)
エチルセルロース(和光純薬社製)2gと、1,4-ジオキサン8.00gとを容器(容量200mL)に入れ、あわとり練太郎ARE-310(THYNKY)にて、2000rpmで5分間混錬し、ワニスを作製した。作製したワニスをテフロン(登録商標)シート上に、線状に5mL滴下し、YBA型ベーカーアプリケーター(YOSHIMITSU SEIKI)を利用して塗工した。その膜を、オーブンにて100℃で90分間乾燥させた後、再度ワニスをシート上に線状に5mL滴下し、塗工した。オーブンにて大気中100℃、90分乾燥させた後、テフロン(登録商標)シートから剥がして、厚さ50μm、フィルム主面の外周形状長方形、フィルム主面の面積が0.02mのセルロース誘導体フィルムを得た。
(圧電シートの作製)
実施例1と同様にして、5層の積層構造(第1の導電性布層/接着層/圧電層/接着層/第2の導電性布層)を有する圧電シート(厚さ0.55mm程度)を得た。
〔層拡張方向の機械的強度の評価〕
実施例1の圧電シートと、ポリアミノ酸フィルムとを、それぞれ一辺20mmの正方形の小片へと切断し、図2に示す引っ張り試験装置によって、引っ張り荷重を加え、破断の様子を調べた。図2に示すように、小片の試料S1の両端をクリップ110、120にて挟み、一方のクリップ110を上側として糸131を介して試験官用クランプ100に吊るし、他方のクリップ120を下側のクリップとして、これに糸132を介して容器140を吊るし、該容器内に重り150を入れ、順次重りを追加して荷重を大きくして行き、試料S1の破断の様子を調べた。結果を下記表1に示す。尚、荷重は、重り150と、下側のクリップ120と、糸132と、容器140の各重さの総和である。
Figure 0007280566000001
上記表1のとおり、単独のポリアミノ酸フィルムは、200gで破断したのに対し、本発明の圧電シートは700gの荷重でも破断しなかった。また、800gの荷重での破断測定を試みたが、クリップが外れて測定不可能であった。これにより、本発明の圧電シートは、積層構造によってポリアミノ酸フィルム単層にはない耐久性が確認された。
〔層拡張方向の圧電特性の評価〕
実施例1および2で得られた圧電シートの第1、第2の導電性布層にそれぞれ配線を接続し、図3(a)に示すように、圧電シートのシート面が水平面となるように、測定装置にセットした。図3(b)に示すように、該測定装置は、上部フレームと下部フレームとによって、長方形の絶縁シートの4辺を挟み込んで固定した構造を有する。該絶縁シートは、材料がFR-4、厚さが0.3mmの弾性シートである。図3(b)に太い矢印で示すように、該絶縁シートは、該絶縁シートの主面に垂直に指先などで押圧力を加えると二点鎖線で示すようにたわみ、押圧を止めると弾性的に復帰する。この絶縁シートの中央部分に、図3(a)に示すように絶縁シートと圧電シートのそれぞれの長方形の長辺の方向を一致させて、実施例1および2で得られた圧電シートを配置し、粘着テープで覆い、該圧電シートを該絶縁シートの上面に固定した。図3(b)では配線の図示を省略している。圧電シートは、短辺20mm×長辺30mmの長方形である。粘着テープの上から圧電シートに指先で押圧力を加えると、圧電シートは絶縁シートと共に沈み込み、層拡張方向に引っ張られる。このとき、圧電層には、長辺方向の引張りに応じて表裏面に電位差が生じる。圧電層の表裏にそれぞれ導線を接続し、図4の回路に示すアンプの入力部に接続し、該アンプの出力部をオシロスコープ(Picoscope 2000、Pico technology)に接続した。
ポリアミノ酸フィルムあるいはセルロース誘導体フィルムを用いた圧電シートを各々人差し指で、圧電シートの中央部の領域(面積50mm程度)を、該圧電シートの厚さ方向に繰り返し約5mm程度だけ押し込んだところ、図5(実施例1の圧電シート)および図7(実施例2の圧電シート)のグラフに示すように、指による押し込みに伴う波形変化を確認することができた。
続いて、実施例1の圧電シート(ポリアミノ酸フィルムを圧電層として用いたもの)のシート面の中央部に、1gの重りを圧電シートの上面から25mm、50mm、100mmの各高さから落下させることによって、該圧電シートに圧電シートの厚さ方向に、それぞれ3.0mN、4.9mN、11.1mNの力(撃力)をかけた。その結果、図6(実施例1)のグラフに示すように、それぞれ、87mV、191mV、398mVの電位変化が検出された。ここで圧電フィルムにかけた力(荷重)は、重りの重量(M)、落下の高さ(h)、重力加速度(g)、センサ出力信号が最大になる時間(Δt)から、撃力(F=(M・(2gh)1/2)/Δt)として計算された。
一方、実施例2の圧電シート(セルロース誘導体フィルムを圧電層として用いたもの)のシート面に、1gの重りを圧電シートの上面から25mm、50mm、75mmの各高さから落下させることによって、該圧電シートに圧電シートの厚さ方向に、それぞれ、4.2mN、7.7mN、10.0mNの力(撃力)をかけた。その結果、図8(実施例2)のグラフに示すように、それぞれ、251mV、278mV、312mVの電位変化が検出された。
以上の測定によって、本発明の圧電シートによれば、1g単位の微量な力の変化を検出できることが分かった。また、本発明の圧電シートによれば、重りの落下高さ(=撃力の大きさ)に比例した電位変化を検出できることがわかった。
本発明によって、従来よりもフレキシブルな圧電シートと、そのための好ましい製造方法が提供されるようになった。
1 第1の導電性布層
2 第2の導電性布層
3 圧電層
4a 接着剤層
4b 接着剤層

Claims (7)

  1. 第1の導電性布層と、有機圧電材料を含む圧電層と、第2の導電性布層とを、これらの順に含んだ積層構造を有する圧電シートであって、
    第1の導電性布層および第2の導電性布層が、それぞれに、基材繊維に導電性高分子材料を含む導電体が付与されてなる導電性繊維を含んだ布の層であり、
    導電性高分子材料が、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)であり、
    導電性高分子材料が、さらに、ポリ(スチレンスルホン酸)、および/または、p-トルエンスルホン酸を含有し、
    有機圧電材料がポリアミノ酸であり、該ポリアミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、オルニチン、セリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンおよびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリα-アミノ酸であるか、または
    有機圧電材料が多糖類であり、該多糖類がセルロース誘導体を含み、該セルロース誘導体がメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、および、カルボキシメチルセルロースから選択される1種以上であり、かつ
    圧電層が、d14圧電定数の最高値が1pC/N以上の層である、
    圧電シート
  2. 基材繊維が、シルクまたは合成高分子材料よりなる繊維である、請求項に記載の圧電シート。
  3. ポリα-アミノ酸が、ポリ(L-グルタミン酸5-ベンジル)である、請求項に記載の圧電シート
  4. セルロース誘導体が、エチルセルロースである、請求項に記載の圧電シート。
  5. 第1の導電性布層と圧電層との間、および、第2の導電性布層と圧電層との間に、それぞれ接着剤層を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の圧電シート。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の圧電シートの製造方法であって、
    有機圧電材料を含む圧電層を、第1の導電性布層と第2の導電性布層とによって、直接的にまたは他の層を介して挟み、積層構造とする積層工程を有する、
    前記圧電シートの製造方法。
  7. 前記他の層が接着層である、請求項に記載の製造方法。
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