JP2017183414A - 積層体 - Google Patents

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Yuzo Nakamura
雄三 中村
一洋 谷本
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一洋 谷本
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Mitsunobu Yoshida
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Abstract

【課題】凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用でき、耐久性、圧電感度(例えば、センサーとして用いた場合のセンサー感度、及び、アクチュエーターとして用いた場合の動作感度)及び圧電感度の安定性に優れる積層体を提供する。
【解決手段】第1の基材と、前記第1の基材の少なくとも一方の面上に配置され、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、厚さに対する幅の比が2以上であり、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、かつ、複屈折が0.01〜0.03である長尺平板状圧電体と、を有する積層体であり、前記長尺平板状圧電体の幅を(a)とし、前記基材上に配置された前記長尺平板状圧電体の幅方向を前記基材の幅方向と定め、前記基材の幅を(b)としたとき、(b)>(a)の関係を満たす積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関し、詳しくは、長尺平板状圧電体を有する積層体に関する。
近年、ヘリカルキラル高分子を含む圧電体を、センサーやアクチュエーター等の圧電デバイスへ応用をすることが検討されている。このような圧電デバイスには、フィルム形状の圧電体が用いられている。
上記圧電体におけるヘリカルキラル高分子として、ポリペプチドやポリ乳酸系高分子等の光学活性を有する高分子を用いることが着目されている。中でも、ポリ乳酸系高分子は、機械的な延伸操作のみで圧電性を発現することが知られている。ポリ乳酸系高分子を用いた圧電体においては、ポーリング処理が不要であり、また、圧電性が数年にわたり減少しないことが知られている。
例えば、ポリ乳酸系高分子を含む圧電体として、圧電定数d14が大きく、透明性に優れる圧電体が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、最近、圧電性を有する材料を、繊維又は布として利用する試みもなされている。
例えば、圧電性の材料より成り圧電性を付与された柔軟性のある紐状の素材であって、該紐状の素材の対向する表面には長手方向に沿って設けた電極膜を有し、更に前記電極膜の外側を覆う絶縁皮膜を有する圧電性ファイバー、及び、この圧電性ファイバーを用いた圧電性織物デバイス(圧電テキスタイル)が知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、2本の導電性繊維及び1本の圧電性繊維を含み、これらが互いに接点を有しつつ、略同一平面状に配置されている圧電単位を含む圧電素子が知られている(例えば、特許文献4参照)。
特許第4934235号公報 国際公開第2010/104196号 特許第4922482号公報 国際公開第2014/058077号
ところで、フィルム形状の圧電体(例えば、特許文献1及び2の実施例における圧電体)を、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所で使用した場合(例えば、ウェアラブル製品の一部又は全部として使用した場合)、変形により圧電体中に折れやシワ等の損傷が生じ、その結果、圧電感度(例えば、圧電体をセンサーとして用いた場合のセンサー感度、及び、圧電体をアクチュエーターとして用いた場合の動作感度。以下同じ。)が低下する場合がある。
また、特許文献3では、圧電性の材料としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)が記載されているが、PVDFは経時的に圧電定数の変動が見られ、経時により圧電定数が低下する場合がある。また、PVDFは、強誘電体であるため焦電性を有し、このため、周囲の温度変化により圧電信号出力が変動する場合がある。従って、特許文献3に記載の圧電性織物デバイスは、圧電感度の安定性(経時又は温度変化に対する安定性)が不足する場合がある。
また、特許文献4に記載の圧電性繊維は溶融紡糸された繊維であり、その断面が円形であるため、上記圧電性繊維の表面に、対向する一対の電極層を形成することが困難である。このため、特許文献4に記載の圧電素子では、圧電性繊維とは別に、圧電性繊維を挟む電極としての導電性繊維が存在している。特許文献4に記載の圧電素子では、圧電性繊維を挟む電極間距離が長いことに起因して圧電感度が不足する場合や、圧電性繊維と電極とが密着していないことに起因して圧電感度の安定性が不足する場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明の目的は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用でき、耐久性、及び圧電感度(例えば、センサーとして用いた場合のセンサー感度、及び、アクチュエーターとして用いた場合の動作感度)と圧電感度の安定性に優れる積層体を提供することである。
前記課題を達成するための具体的手段は、以下の実施形態を含む。
<1> 第1の基材と、前記第1の基材の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体と、を有する積層体であり、前記長尺平板状圧電体は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、前記長尺平板状圧電体は、幅が2mm以下であり、前記幅に対する長さの比が10以上であり、厚さに対する前記幅の比が2以上であり、前記長尺平板状圧電体は、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、かつ、複屈折が0.01〜0.03であり、前記長尺平板状圧電体の幅を(a)とし、前記第1の基材上に配置された前記長尺平板状圧電体の幅方向を前記第1の基材の幅方向と定め、前記第1の基材の幅を(b)としたとき、(b)>(a)の関係を満たす積層体。
<2> 前記第1の基材の少なくとも一方の面上に、前記長尺平板状圧電体を複数有し、隣接する前記長尺平板状圧電体同士が互いに間隔を開けて略平行に配列される<1>に記載の積層体。
<3> 前記第1の基材の少なくとも一方の面上に配置された前記長尺平板状圧電体の面上に、さらに第2の基材を有する<1>又は<2>に記載の積層体。
<4> 前記長尺平板状圧電体の幅に対する長さの比が、10以上である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の積層体。
<5> 前記第1の基材と前記長尺平板状圧電体との間に、さらに接着層を有する<1>〜<4>のいずれか1項に記載の積層体。
<6> 前記ヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の積層体。
<7> 前記ヘリカルキラル高分子(A)は、光学純度が95.00%ee以上である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の積層体。
<8> 前記長尺平板状圧電体における前記ヘリカルキラル高分子(A)の含有量が、80質量%以上である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の積層体。
<9> 前記第1の基材と、前記第1の基材の少なくとも一方の面上に配置され、前記長尺平板状圧電体の少なくとも一方の主面の側に機能層を有する機能層付長尺平板状圧電体と、を有する積層体である<1>〜<8>のいずれか1項に記載の積層体。
<10> 前記機能層付長尺平板状圧電体の機能層が、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含む<9>に記載の積層体。
<11> 前記機能層付長尺平板状圧電体の機能層が、電極層を含む<9>又は<10>に記載の積層体。
<10> 前記機能層付長尺平板状圧電体の表面層の少なくとも一方が電極層である<12>に記載の積層体。
本発明によれば、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用でき、耐久性、圧電感度(例えば、センサーとして用いた場合のセンサー感度、及び、アクチュエーターとして用いた場合の動作感度)及び圧電感度の安定性に優れる積層体が提供される。
本実施形態の積層体の一態様を模式的に示す概略斜視図である。 図1に示す積層体の幅方向の断面を示す概略断面図である。 本実施形態の積層体の第2の態様である、電極層を有する積層体を模式的に示す概略断面図である。 本実施形態の積層体の第3の態様である、接着層を長尺平板状圧電体面上のみに有する積層体を模式的に示す概略断面図である。 本実施形態の積層体の第4の態様である、長尺平板状圧電体の一部が互いに接して配置された積層体を模式的に示す概略断面図である。 本実施形態の積層体の第5の態様である、第1の基材と第2の基材とが、長尺平板状圧電体を有しない領域で互いに融着した積層体を模式的に示す概略断面図である。 本実施形態の積層体の第6の態様である、第1の基材と第2の基材とが、長尺平板状圧電体を有しない領域で互いに縫製されている積層体を模式的に示す概略断面図である。 実施例1の積層体を模式的に示す概略断面図である。 (A)は実施例1の積層体に引出電極を設けた評価用サンプルである引出電極付き積層体を模式的に示す概略平面図であり、(B)は、(A)の概略側面図である。 引出電極付き積層体の出力評価に用いる出力の評価装置の概略平面図である。 引出電極付き積層体の出力評価に用いる出力の評価装置の概略側面図である。 実施例の積層体の耐久性評価に用いる、引出電極付き積層体を配置したウレタンフォームを伸ばした状態を示す概略側面図である。 実施例の積層体の耐久性評価に用いる、引出電極付き積層体を配置したウレタンフォームを曲げ変形させた状態を示す概略側面図である。 実施例4の積層体を模式的に示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、長尺平板状圧電体の「主面」とは、長尺平板状圧電体の厚さ方向に直交する面(言い換えれば、長さ方向及び幅方向を含む面)を意味する。基材の「主面」についても同様である。
本明細書中において、部材の「面」は、特に断りが無い限り、部材の「主面」を意味する。
本明細書において、厚さ、幅、及び長さは、通常の定義どおり、厚さ<幅<長さの関係を満たす。
本明細書において、2つの線分のなす角度は、0°以上90°以下の範囲で表す。
本明細書において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているものをも包含する概念である。
本明細書において、「MD方向」とはフィルムの流れる方向(Machine Direction)、すなわち、延伸方向であり、「TD方向」とは、前記MD方向と直交し、フィルムの主面と平行な方向(Transverse Direction)である。
<積層体>
本実施形態の積層体は、第1の基材と、前記第1の基材の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体と、を有する積層体であり、前記長尺平板状圧電体は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、前記長尺平板状圧電体は、幅が2mm以下であり、前記幅に対する長さの比が10以上であり、厚さに対する前記幅の比が2以上であり、前記長尺平板状圧電体は、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、かつ、複屈折が0.01〜0.03であり、前記長尺平板状圧電体の幅を(a)とし、前記第1の基材上に配置された前記長尺平板状圧電体の幅方向を前記第1の基材の幅方向と定め、前記第1の基材の幅を(b)としたとき、(b)>(a)の関係を満たす積層体である。
長尺平板状圧電体の幅(a)は長尺平板状圧電体を主面側から平面視した場合の幅、即ち投影図の幅であり、基材の幅(b)は、基材を主面側から平面視したときの幅である。
以下、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の積層体の一態様を模式的に示す概略斜視図である。図1に示す態様の積層体10は、第1の基材12と、前記第1基材12の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体14と、を有する積層体10である。
図1に示すように、本実施形態における長尺平板状圧電体14は、幅が2mm以下であり、幅に対する長さの比は10以上であり、厚さに対する幅の比が2以上の長尺平板状の形状を有する。ここで、長尺平板状圧電体14の幅を(a)とし、前記第1の基材12の少なくとも一方の面上に配置された前記長尺平板状圧電体14の長さ方向と垂直方向を前記基材の幅を(b)としたとき、長尺平板状圧電体14の幅(a)と、第1の基材の幅(b)とは(b)>(a)の関係を満たす。即ち、前記第1の基材の幅(b)は、前記第1の基材12の少なくとも一方の面上に配置された個々の長尺平板状圧電体14の幅(a)よりも広い。
本実施形態の積層体10では、長尺平板状圧電体14が第1の基材12の面上に配置されることで、長尺平板状圧電体14が第1の基材12上に安定に保持され、長尺平板状圧電体14の捩れ、シワ等の変形が抑制され、長期間にわたり良好な圧電性能を発現しうる状態に維持される。さらに、長尺平板状圧電体14の幅(a)が、第1の基材12の幅(b)よりも小さいことで、例えば、積層体10に繰り返し曲げ応力等が掛かった場合においても、第1の基材12により、応力が緩和され、長尺平板状圧電体14の幅(a)が、第1の基材12の幅を(b)と同じであるか、より大きい場合に比較して、積層体10は、耐久性により優れるものとなり、耐久性、及び圧電感度の安定性により優れるものと考えられる。
また、本実施形態の積層体は、織る、編むといった工程を経ることなく、長尺平板状圧電体の少なくとも一部を、フィルム、シート等の基材上に配置することで得られるため、製造が容易であり、より薄膜な積層体を得ることができるという付加的な効果も有する。
ここで、前記第1の基材の幅とは、積層体10において第1の基材上に位置する長尺平板状圧電体14の長さ方向に対して垂直な方向を指す。図1では、第1の基材は矩形のシート状物であるが、基材の形状は矩形に限定されない。
図1に示す積層体10は、第1の基材12の一方の面上に配置された長尺平板状圧電体14の、前記第1の基材とは異なる面上に、さらに第2の基材16を有する。また、第1の基材と長尺平板状圧電体14とは、接着層の一態様である粘着層18を介して密着しており、長尺平板状圧電体と第2の基材16とは、同じく粘着層18を介して密着している。
なお、本明細書では、いずれの形状の基材を用いた場合においても、当該基材の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体の長さ方向を、基材の長さ方向と定義し、長尺平板状圧電体の長さ方向と垂直な方向を基材の幅方向と定義する。
図1において、長尺平板状圧電体14の長さ方向の端部は、第1の基材12及び第2の基材16の長さ方向の端部を超えて延設されており、長尺平板状圧電体14の第1の基材及び第2の基材16から延設された領域に、外部の回路と電気的に接続させるための引出電極を設けることができる。
図2は、図1に示す積層体10の概略断面図である。図2に示す態様の積層体10は、第1の基材12と、前記第1の基材12の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体14と、を有し、第1の基材12と、長尺平板状圧電体14との間、及び第2の基材16と、長尺平板状圧電体14との間は、それぞれ粘着層18を介して密着されている。図2に示す積層体10では、第1の基材12及び第2の基材16の、長尺平板状圧電体14と接する面上には、全面に粘着層18が設けられている。
なお、本実施形態の積層体は、図1及び図2に示す構造には限定されず、例えば、第2の基材16を有しない構造であってもよく、粘着層等の接着層18を有しない構造であってもよい。
本明細書では、積層体10が、基材を長尺平板状圧電体14の片面のみに有する態様においても、便宜上、当該基材を「第1の基材12」と称する。「第1の基材」との文言は、必ずしも、積層体が、長尺平板状圧電体14の第1の基材12を有する側とは反対の面に第2の基材16を有することを意味しない。
〔基材〕
本実施形態の積層体は、前記第1の基材の少なくとも一方の面上に、以下に詳述する長尺平板状圧電体が配置されている。長尺平板状圧電体は、第1の基材の両面に有していてもよい。
長尺平板状圧電体が、第1の基材の少なくとも一方の面上に配置されることで、長尺平板状圧電体が第1の基材上に安定に保持され、長尺平板状圧電体の捩れ、シワ等の変形が抑制され、長期間にわたり良好な圧電性能を発現しうる状態に維持されるため、本実施形態の積層体は耐久性、圧電感度の安定性に優れる。
積層体に用いられる基材は、第1の基材及び第2の基材のいずれも、必要な強度、耐久性を有する限り、特に制限はない。形状としては、平板状であることが好ましい。なお、以下の基材の説明においては、第1の基材12及び第2の基材を、「基材」と総称することがある。
本実施形態に用いる基材としては、例えば、樹脂フィルム、発泡樹脂シート、エラストマーシート、織布、編布、不織布、紙、フェルト、天然皮革、合成皮革等から適宜選択して用いることができる。
織布及び編布(以下、「布」と総称することがある)としては、強度、耐久性の観点から、ポリエステル繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリクラール繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、アセテート繊維、プロミックス繊維、ビスコース繊維、銅アンモニア繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、綿繊維、麻繊維、毛、絹繊維等の糸を用いて織るか、又は編んで得られた布が好ましい。
積層体が、伸縮性を必要とする場合、伸縮性を有する基材を用いることが好ましい。
伸縮性を有する基材としては、ウレタン樹脂、天然ゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエン共重合体、アクリルエラストマー、オレフィンエラストマー等から選ばれる材料を成形してなるゴムシート、エラストマーシートが挙げられる。ゴムシート、ウレタンシートは気泡を有するシートであってもよい。
また、伸縮性を付与する目的で、ライクラ(登録商標)等のウレタン繊維を3質量%〜10質量%程度編み込んだり、織り込んだりした布も伸縮性に優れるという観点から基材として好ましい。
基材は、単層構造であっても、2種以上の平板状材料を含む積層構造であってもよい。積層構造を有する基材としては、例えば、互いに異なる樹脂シート及びゴムシートから選ばれる2種以上のシートを積層した基材、同種の樹脂を用いてなる樹脂シートと発泡樹脂シートとを積層した基材、布あるいは不織布の少なくとも一方の面にウレタン樹脂層等の樹脂層を設けた布である基材等が挙げられる。
基材の厚みとしては、柔軟性、耐久性がより良好であるという観点から、50μm〜5mmが好ましく、100μm〜3mmがより好ましい。
基材は市販品を用いてもよく、例えば、オカダヤ製、ライクラマット(271015)、東レ(株)製、ポリエステルサテン生地 SUIBOサテン(商品名)、(株)扶桑ゴム産業製、シリウス・極薄シリコーンゴム(透明):商品名、厚み0.2mm、アズワン(株)製、SBRスポンジシート KSBR−106−9(商品名)等が挙げられる。
本実施形態の積層体は、第1の基材の少なくとも一方の面上に、以下に詳述する長尺平板状圧電体を有すればよい。また、第1の基材の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体上に、さらに第2の基材を有することが好ましい。
図2の概略断面図に示す如く、第1の基材12の面上に設けた長尺平板状圧電体14上に、さらに第2の基材16を有し、長尺平板状圧電体14の両面に第1の基材12と第2の基材16とを有することで、長尺平板状圧電体14が2枚の基材12と16との間に保持されることで、第1の基材12のみを備える態様に比較して、長尺平板状圧電体14の捩れ、シワ等の変形の抑制効果がより向上し、本実施形態の積層体の耐久性、圧電感度の安定性がより良好となる。
第2の基材は、第1の基材と同じであっても異なってもよく、目的に応じてそれぞれの基材を選択すればよい。第1の基材12及び第2の基材が、互いに異なる場合、互いに異なる素材の基材同士の組み合わせ、同じ素材で厚みの異なる基材同士の組み合わせ等が挙げられる。
例えば、製造のし易さの観点からは第1の基材と第2の基材とは、同じ基材であることが好ましい。また、例えば、本実施形態の積層体を、伸縮する部材に取り付けて用いる場合には、変形のより大きい面側に、より伸縮性が高い基材を用いることができる。また、本実施形態の積層体を、変形を抑制したい部材に取り付けて用いる場合には、部材側に、より伸縮し難い基材を用いることができる。
〔長尺平板状圧電体〕
本実施形態の積層体における長尺平板状圧電体は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、幅が2mm以下であり、幅に対する長さの比(以下、「比〔長さ/幅〕」ともいう)が10以上であり、厚さに対する幅の比(以下、「比〔幅/厚さ〕」ともいう)が2以上である長尺平板形状を有する。
本実施形態における長尺平板状圧電体の厚さは、が0.001mm〜0.2mmであることが好ましく、幅が0.1mm〜2mmであることがより好ましい。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、長尺平板状圧電体の長さ方向と、前記ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、複屈折が0.01〜0.03である長尺平板状圧電体である。以下、本実施形態の積層体に用いうる長尺平板状圧電体を「本実施形態における長尺平板状圧電体」と称することがある。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、凹凸が大きい場所、変形量が大きい場所等でも使用でき、圧電感度(例えば、センサーとして用いた場合のセンサー感度、アクチュエーターとして用いた場合の動作感度、等。以下同じ。)に優れ、圧電感度の安定性にも優れる。
より詳細には、本実施形態における長尺平板状圧電体では、ヘリカルキラル高分子(A)を含むこと、結晶化度が20%以上であること、及び複屈折が0.01以上であることにより、圧電性が確保されている。その上で、本実施形態における長尺平板状圧電体は、厚さが1μm〜200μmであり、幅が0.1mm〜2mm、より好ましくは0.5mm〜2mmであり、比〔幅/厚さ〕が2以上であり、比〔長さ/幅〕が10以上である長尺平板形状を有している。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、上述した長尺平板形状を有することにより、長尺形状を有しないフィルム形状の圧電体(圧電フィルム)と比較して、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用した場合においても、変形の自由度が大きい(即ち、柔軟性に優れる)。このため、本実施形態における長尺平板状圧電体は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所で使用した場合においても、圧電体の損傷(折れ、シワ、等)を抑制しながら優れた圧電感度が維持される。
従って本実施形態における長尺平板状圧電体は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所で使用した場合においても、圧電感度に優れ、圧電感度の安定性(特に、繰り返し変形に対する安定性)に優れる。
このため、本実施形態における長尺平板状圧電体は、例えばウェアラブル製品の一構成部材として好適に使用できる。
また、例えば、特許文献1及び特許文献2の実施例に示されているように、ポリ乳酸等のヘリカルキラル高分子を含むフィルム形状の圧電体(圧電フィルム)は、圧電性(詳細には、圧電定数d14)の観点から、好ましくは、圧電フィルムの分子配向の方向(例えば延伸方向)と圧電フィルムの一辺とのなす角度が45°となるようにカットされた状態で用いられる。
しかし、本発明者等の検討により、ヘリカルキラル高分子を含む長尺平板形状の圧電体(即ち、本実施形態における長尺平板状圧電体)においては、圧電体の分子配向の方向(例えば延伸方向)と圧電体の一辺とのなす角度が45°でなくとも、十分な圧電感度が得られることがわかった。
従って、本実施形態における長尺平板状圧電体は、ヘリカルキラル高分子を含むフィルム形状の圧電体と比較して、圧電体の分子配向の方向(例えば延伸方向)と圧電体の一辺とのなす角度45°でなくとも、具体的には、長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であっても、十分な圧電感度が得られるという利点を有する。
本実施形態において、長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、長尺平板状圧電体が長さ方向への引張に強い(即ち、長さ方向の引張強度に優れる)という利点を有する。このため、本実施形態における長尺平板状圧電体は、大きな変形を加えても破断しにくいので、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用できる。
更に、長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、長尺平板状圧電体の生産性、例えば、延伸された圧電フィルムをスリットして長尺平板状圧電体を得る際の生産性の面でも有利である。
本実施形態の積層体は、第1の基材の少なくとも一方の面上に、長尺平板状圧電体を複数有し、隣接する前記長尺平板状圧電体同士が互いに間隔を開けて略平行に配列されることが好ましい。
即ち、第1の基材12の幅(b)よりも、幅(a)が小さい長尺平板状圧電体14を、第1の基材12の少なくとも一方の面上に、複数有し、隣接する前記長尺平板状圧電体同士が互いに間隔を開けて略平行に配列されることで、良好な耐久性を維持しつつ、圧電体の面積がより広くなるために、圧電感度もより向上する。
また、第1の基材12の幅(b)よりも、幅(a)が小さい長尺平板状圧電体14を、第1の基材12の少なくとも一方の面上に、複数有し、隣接する前記長尺平板状圧電体同士が互いに間隔を開けて略平行に配列される場合、幅(a)がより大きな長尺平板状圧電体14を1本有する場合の圧電体の面積と、配列する長尺平板状圧電体14の総面積と、を同じとすることができ、両者の圧電体の面積は変わらないので、圧電感度を維持しつつ、耐久性がより向上する。
本明細書中において、「略平行」とは、2つの線分のなす角度が、0°以上30°未満であることを指す。2つの線分のなす角度は、0°以上30°未満であり、好ましくは0°以上22.5°以下であり、より好ましくは0°以上10°以下であり、更に好ましくは0°以上5°以下であり、特に好ましくは0°以上3°以下である。
例えば、「複数の長尺平板状圧電体が略平行に配置される」とは、隣接する長尺平板状圧電体の長手方向の中心線のなす角度が、0°以上30°未満であることを指し、好ましくは0°以上22.5°以下であり、より好ましくは0°以上10°以下であり、更に好ましくは0°以上5°以下であり、特に好ましくは0°以上3°以下である。
また、本明細書中において、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とは、ヘリカルキラル高分子(A)の主たる配向方向を意味する。ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、後述する分子配向度MORを測定することによって確認できる。また、フィルムの延伸及び延伸されたフィルムのスリットを経て長尺平板状圧電体を製造する場合、製造された長尺平板状圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。ここで、主延伸方向とは、一軸延伸の場合には延伸方向を指し、二軸延伸の場合には、延伸倍率が高い方の延伸方向を指す。
図2に示す積層体10では、矩形の第1の基材12面上に、長尺平板状圧電体14が、均等な間隔で、略平行に配置されている。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体は、上述した長尺平板形状を有することにより、上述した特許文献4に記載の圧電性繊維(即ち、断面形状が円形である圧電性繊維)とは異なり、対向する一対の電極層を圧電体の表面に形成すること、即ち、圧電体の両方の面に電極層を形成することが容易である。このため、本実施形態における長尺平板状圧電体を用いた場合には、上記圧電性繊維を用いた場合と比較して、電極間距離を短くできるので、圧電感度を向上させることができる。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体を用いた場合には、上記圧電性繊維を用いた場合と比較して、圧電体と電極層とを密着させることができるので、圧電感度の安定性も向上させることができる。
更に、本実施形態における長尺平板状圧電体を用いた場合には、上記圧電性繊維を用いた場合と比較して、圧電体の長さ方向に渡り、向きを揃えて電極層を形成でき、かつ、圧電体が第1の基材の面上に保持されているので、圧電感度及び圧電感度の安定性に優れる。これに対し、上記圧電性繊維を用いた場合には、その表面に、互いに対向する一対の電極層を、電気的短絡(ショート)を生じさせることなく形成すること自体が困難である。更に、仮に、上記圧電性繊維に電極層を形成できた場合でも、圧電性繊維のねじれが生じやすいために、長さ方向に渡って向きを揃えて電極層を形成することが困難である。また、圧電性繊維を織物にする際に、織物の主面に電極層を揃えて配置することが困難である。繊維のねじれによって電極層がねじれた場合には、電気的短絡(ショート)により、圧電感度が低下する場合や、圧電感度の安定性が低下する場合がある。
本実施形態における長尺平板状圧電体はヘリカルキラル高分子(A)を含む。
ヘリカルキラル高分子(A)は、上述の特許文献3に記載されたポリフッ化ビニリデン(PVDF)と比較して、経時による圧電定数の変動が少なく、また、温度変化による出力の変動も少ない。従って、本実施形態における長尺平板状圧電体を用いた場合には、特許文献3に記載の圧電性ファイバーを用いた場合と比較して、圧電感度の安定性(特に、経時や温度変化に対する安定性)が向上する。
以下、本実施形態における長尺平板状圧電体の長尺平板形状に関し、より詳細に説明する。
本実施形態の圧電材料は、厚さが1μm〜200μmである。
厚さが1μm以上であることにより、長尺平板状圧電体の強度が確保される。更に、長尺平板状圧電体の製造適性にも優れる。
一方、厚さが200μm以下であることにより、長尺平板状圧電体の厚さ方向の変形の自由度(柔軟性)が向上する。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、幅が0.1mm〜2mmであることが好ましい。
幅が0.1mm以上であることにより、長尺平板状圧電体の強度が確保される。更に、長尺平板状圧電体の製造適性(例えば、後述するスリット工程における製造適性)にも優れる。
一方、幅が2mm以下であることにより、長尺平板状圧電体の変形の自由度(柔軟性)が向上する。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、厚さに対する幅の比(以下、「比〔幅/厚さ〕」ともいう)が2以上である。
比〔幅/厚さ〕が2以上であることにより、主面が明確となるので、長尺平板状圧電体の長さ方向に渡って向きを揃えて電極層を形成し易い(例えば、主面の少なくとも一方に電極層を形成し易い)。また、長尺平板状圧電体を第1の基材に配置する際に、長尺平板状圧電体の主面に電極層を揃えて配置することが容易である。このため、圧電感度に優れ、また、圧電感度の安定性にも優れる。
本実施形態における長尺平板状圧電体の幅は、0.5mm〜2mmであることがより好ましい。
幅が0.5mm以上であると、長尺平板状圧電体の強度がより向上する。更に、長尺平板状圧電体のねじれをより抑制できるので、圧電感度及びその安定性がより向上する。
幅が2mm以下であると、長尺平板状圧電体の変形の自由度(柔軟性)が向上する。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、比〔長さ/幅〕は、10以上であり、30以上であることが好ましい。
比〔長さ/幅〕が10以上であると、長尺平板状圧電体の変形の自由度(柔軟性)が向上する。更に、長尺平板状圧電体が適用される圧電デバイス、(例えば、本実施形態の積層体を含む圧電デバイス)において、より広範囲に亘り、圧電性を付与できる。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、ヘリカルキラル高分子(A)は、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子であることが好ましい。これにより、圧電性がより向上する。更に、PVDFを含む圧電体と比較して、経時や温度変化に対する圧電感度の安定性がより向上する。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、ヘリカルキラル高分子(A)は、圧電性をより向上させる観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましい。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、ヘリカルキラル高分子(A)の含有量は、圧電性をより向上させる観点から、80質量%以上であることが好ましい。ここで、ヘリカルキラル高分子(A)の含有量は、長尺平板状圧電体全体に対する含有量を意味する。
以下、本実施形態における長尺平板状圧電体について、更に詳細に説明する。
<長尺平板形状>
本実施形態における長尺平板状圧電体は、上述した長尺平板形状を有する。
具体的には、本実施形態における長尺平板状圧電体の厚さは、上述のとおり0.001mm〜0.2mmである。厚さとしては、0.01mm〜0.2mmが好ましく、0.02mm〜0.15mmがより好ましく、0.03mm〜0.1mmが更に好ましく、0.03mm〜0.07mmが更に好ましく、0.04mm〜0.06mmが特に好ましい。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体の幅は、上述のとおり、2mm以下であり、0.1mm〜2mmであることが好ましく、0.2mm〜2mmであることがより好ましく、0.3mm〜2mmであることがさらに好ましい。さらに好ましくは、0.5mm〜2mmであり、特に好ましくは1mm〜2mmである。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体において、上述のとおり、比〔幅/厚さ〕は2以上である。比〔幅/厚さ〕としては、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が更に好ましく、100以上が特に好ましい。なお、比〔幅/厚さ〕の上限は、幅及び厚さの各値に合わせて自動的に定まる。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体において、上述のとおり、幅に対する長さの比(以下、比〔長さ/幅〕ともいう)が10以上であることが好ましい。比〔長さ/幅〕は、15以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。
本実施形態における長尺平板状圧電体の長さの上限には特に制限はない。但し、本実施形態における長尺平板状圧電体の長さは、圧電デバイスに適用し易い点から、1000mm以下であることが好ましく、500mm以下であることがより好ましく、300mm以下であることが更に好ましく、100mm以下であることが特に好ましい。
<結晶化度>
本実施形態における長尺平板状圧電体の結晶化度は、DSC法によって測定される値である。
本実施形態における長尺平板状圧電体の結晶化度は、20%〜80%である。
結晶化度が20%以上であることにより、圧電性が高く維持される。結晶化度が80%以下であることにより、長尺平板状圧電体の透明性が高く維持される。また、結晶化度が80%以下であることにより、長尺平板状圧電体の原料となる圧電フィルムを延伸によって製造する際に白化や破断がおきにくいので、長尺平板状圧電体を製造しやすい。
従って、長尺平板状圧電体の結晶化度は20%〜80%であるが、上記結晶化度は、好ましくは25%〜70%であり、より好ましくは30%〜50%である。
<複屈折>
本実施形態における長尺平板状圧電体の複屈折は、0.01〜0.03である。
複屈折は、長尺平板状圧電体の面内位相差(即ち、主面に対して平行な面内での位相差)(レターデーションRe)を、長尺平板状圧電体の厚さで除した値である。
面内位相差は、例えば、大塚電子(株)製の位相差フィルム・光学材料検査装置「RETS−100」、(株)フォトニックラティス製のワイドレンジ複屈折評価システム「WPA−100」を用いて測定することができる。
複屈折は、ヘリカルキラル高分子(A)の配向の度合いに関係している。複屈折が0超であるとヘリカルキラル高分子(A)が配向していることを意味する。
本実施形態における長尺平板状圧電体では、複屈折が0.01以上であることにより、一方向(例えば主延伸方向)に配列するヘリカルキラル高分子(A)の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多くなり、その結果、十分な圧電性が確保される。
複屈折が0.03以下であると、長尺平板状圧電体の引裂強度(特に、長尺平板状圧電体の長さ方向の引裂に対する強度)が確保される。このため、本実施形態における長尺平板状圧電体は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所での使用にも耐え得る。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体の複屈折は、0.01〜0.03であるが、0.012〜0.028であることが好ましく、0.015〜0.025であることがより好ましい。更に好ましくは、0.018〜0.024であり、特に好ましくは0.020〜0.023である。
<規格化分子配向MORc>
本実施形態における長尺平板状圧電体は、規格化分子配向MORcが2.0〜15.0であることが好ましい。
規格化分子配向MORcは、ヘリカルキラル高分子(A)の配向の度合いを示す指標である「分子配向度MOR」に基づいて定められる値である。
ここで、分子配向度MOR(Molecular Orientation Ratio)は、以下のようなマイクロ波測定法により測定される。
すなわち、複数の長尺平板状圧電体を、周知のマイクロ波分子配向度測定装置(マイクロ波透過型分子配向計ともいう)のマイクロ波共振導波管中に、隙間なく並べる。この時、マイクロ波の進行方向に対し各長尺平板状圧電体の主面が垂直になるように配置する。
そして、振動方向が一方向に偏ったマイクロ波を試料に連続的に照射した状態で、上記複数の長尺平板状圧電体をマイクロ波の進行方向と垂直な面内で0〜360°回転させて、試料を透過したマイクロ波強度を測定することにより、各長尺平板状圧電体の分子配向度MORを求める。
規格化分子配向MORcは、基準厚さtcを50μmとしたときの分子配向度MORであって、下記式により求めることができる。
MORc=(tc/t)×(MOR−1)+1
(tc:補正したい基準厚さ、t:長尺平板状圧電体の厚さ)
規格化分子配向MORcは、公知の分子配向計、例えば王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA−2012AやMOA−6000等により、4GHzもしくは12GHz近傍の共振周波数で測定することができる。
長尺平板状圧電体は、規格化分子配向MORcが2.0〜15.0であることが好ましく、2.0〜10.0であることがより好ましく、4.0〜10.0であることが更に好ましい。
規格化分子配向MORcが2.0以上であれば、延伸方向に配列するヘリカルキラル高分子(A)の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多く、その結果、配向結晶の生成する率が高くなり、より高い圧電性を発現することが可能となる。
規格化分子配向MORcが15.0以下であれば、縦裂強度が更に向上する。
なお、MORcと前述の位相差(以下、「Δn」ともいう)とはおおよそ、直線的な比例関係にあり、かつ、Δnが0の場合、MORcは1になる。
<規格化分子配向MORcと結晶化度との積>
長尺平板状圧電体の規格化分子配向MORcと結晶化度との積は、好ましくは25〜700であり、より好ましくは40〜700であり、更に好ましくは75〜680であり、更に好ましくは90〜660であり、更に好ましくは125〜650であり、特に好ましくは150〜350である。上記の積が25〜700の範囲にあれば、長尺平板状圧電体の圧電性と透明性とのバランスが良好であり、さらに寸法安定性も高い。
本発明にかかる長尺平板状圧電体では、例えば、原料である高分子圧電フィルムを製造する際の結晶化及び延伸の条件を調整することにより、上記の積を上記範囲に調整することができる。
<透明性(内部ヘイズ)>
本実施形態における長尺平板状圧電体において、透明性は特に要求されないが、透明性を有していても構わない。
長尺平板状圧電体の透明性は、内部ヘイズを測定することにより評価することができる。ここで、長尺平板状圧電体の内部ヘイズとは、長尺平板状圧電体の外表面の形状によるヘイズを除外したヘイズを指す。
長尺平板状圧電体は、透明性が要求される場合には、可視光線に対する内部ヘイズが5%以下であることが好ましく、透明性及び縦裂強度をより向上させる観点からは、2.0%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましい。長尺平板状圧電体の前記内部ヘイズの下限値は特に限定はないが、下限値としては、例えば0.01%が挙げられる。
長尺平板状圧電体の内部ヘイズは、厚さ0.03mm〜0.05mmの長尺平板状圧電体に対して、JIS−K7105に準拠して、ヘイズ測定機〔(有)東京電色社製、TC−HIII DPK〕を用いて25℃で測定したときの値である。
以下、長尺平板状圧電体の内部ヘイズの測定方法の例を示す。
まず、ガラス板2枚の間に、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、信越シリコーン(商標)、型番:KF96−100CS)のみを挟んだサンプル1を準備し、このサンプル1の厚さ方向のヘイズ(以下、ヘイズ(H2)とする)を測定する。
次に、上記のガラス板2枚の間に、シリコーンオイルで表面を均一に塗らした複数の長尺平板状圧電体を隙間なく並べて挟んだサンプル2を準備し、このサンプル2の厚さ方向のヘイズ(以下、ヘイズ(H3)とする)を測定する。
次に、下記式のようにこれらの差をとることにより、長尺平板状圧電体の内部ヘイズ(H1)を得る。
内部ヘイズ(H1)=ヘイズ(H3)−ヘイズ(H2)
ここで、ヘイズ(H2)及びヘイズ(H3)の測定は、それぞれ、下記測定条件下で下記装置を用いて行う。
測定装置:東京電色社製、HAZE METER TC−HIIIDPK
試料サイズ:幅30mm×長さ30mm
測定条件:JIS−K7105に準拠
測定温度:室温(25℃)
<ヘリカルキラル高分子(A)>
本実施形態における長尺平板状圧電体は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含む。
ここで、「光学活性を有するヘリカルキラル高分子」とは、分子構造が螺旋構造であり分子光学活性を有する高分子を指す。
ヘリカルキラル高分子(A)は、上記の「光学活性を有するヘリカルキラル高分子」のうち、重量平均分子量が5万〜100万である高分子である。
上記ヘリカルキラル高分子(A)としては、例えば、ポリペプチド、セルロース誘導体、ポリ乳酸系高分子、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β―ヒドロキシ酪酸)等を挙げることができる。
上記ポリペプチドとしては、例えば、ポリ(グルタル酸γ−ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ−メチル)等が挙げられる。
上記セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロース、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)は、長尺平板状圧電体の圧電性を向上する観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましく、96.00%ee以上であることがより好ましく、99.00%ee以上であることがさらに好ましく、99.99%ee以上であることがさらにより好ましい。特に、好ましくは100.00%eeである。ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度を上記範囲とすることで、圧電性を発現する高分子結晶のパッキング性が高くなり、その結果、圧電性が高くなるものと考えられる。
ここで、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%ee)=100×|L体量−D体量|/(L体量+D体量)
すなわち、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、
『「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との量差(絶対値)」を「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との合計量」で割った(除した)数値』に、『100』をかけた(乗じた)値である。
なお、ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法により得られる値を用いる。具体的な測定の詳細については後述する。
ヘリカルキラル高分子(A)としては、上述したとおり、式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子が好ましい。
ここで、ポリ乳酸系高分子とは、「ポリ乳酸(L−乳酸及びD−乳酸から選ばれるモノマー由来の繰り返し単位のみからなる高分子)」、「L−乳酸又はD−乳酸と、該L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」、又は、両者の混合物をいう。
ポリ乳酸系高分子の中でも、ポリ乳酸が好ましく、L−乳酸のホモポリマー(PLLA)又はD−乳酸のホモポリマー(PDLA)が特に好ましい。
ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合し、長く繋がった高分子である。
ポリ乳酸は、ラクチドを経由するラクチド法;溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法;等によって製造できることが知られている。
ポリ乳酸としては、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むブロックコポリマー、及び、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むグラフトコポリマーが挙げられる。
上記「L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物」としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸;グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸及びこれらの無水物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール;セルロース等の多糖類;α−アミノ酸等のアミノカルボン酸;等を挙げることができる。
上記「L−乳酸又はD−乳酸と、該L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」としては、らせん結晶を生成可能なポリ乳酸シーケンスを有する、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーが挙げられる。
また、ヘリカルキラル高分子(A)中におけるコポリマー成分に由来する構造の濃度は20mol%以下であることが好ましい。
例えば、ヘリカルキラル高分子(A)が、ポリ乳酸系高分子である場合、ポリ乳酸系高分子中における、乳酸に由来する構造と、乳酸と共重合可能な化合物(コポリマー成分)に由来する構造と、のモル数の合計に対して、コポリマー成分に由来する構造の濃度が20mol%以下であることが好ましい。
ポリ乳酸系高分子は、例えば、特開昭59−096123号公報、及び特開平7−033861号公報に記載されている乳酸を直接脱水縮合して得る方法;米国特許2,668,182号及び4,057,357号等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法;等により製造することができる。
さらに、上記各製造方法により得られたポリ乳酸系高分子は、光学純度を95.00%ee以上とするために、例えば、ポリ乳酸をラクチド法で製造する場合、晶析操作により光学純度を95.00%ee以上の光学純度に向上させたラクチドを、重合することが好ましい。
−重量平均分子量−
ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)は、前述のとおり5万〜100万である。
ヘリカルキラル高分子(A)のMwが5万以上であることにより、長尺平板状圧電体の機械的強度が向上する。上記Mwは、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。
一方、ヘリカルキラル高分子(A)のMwが100万以下であることにより、成形(例えば押出成形)によって、長尺平板状圧電体の原料である高分子圧電フィルムを得る際の成形性が向上する。上記Mwは、80万以下であることが好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。
また、ヘリカルキラル高分子(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、長尺平板状圧電体の強度の観点から、1.1〜5であることが好ましく、1.2〜4であることがより好ましい。さらに1.4〜3であることが好ましい。
なお、ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて測定された、ポリスチレン換算のMw及びMw/Mnを指す。ここで、Mnは、ヘリカルキラル高分子(A)の数平均分子量である。
Mw及びMw/Mnの測定方法の例は、後述の実施例に示すとおりである。
ヘリカルキラル高分子(A)の例であるポリ乳酸系高分子としては、市販のポリ乳酸を用いることができる。
市販品としては、例えば、PURAC社製のPURASORB(PD、PL)、三井化学社製のLACEA(H−100、H−400)、NatureWorks LLC社製のIngeo(登録商標) biopolymer、等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)としてポリ乳酸系高分子を用いるときに、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)を5万以上とするためには、ラクチド法、又は直接重合法によりポリ乳酸系高分子を製造することが好ましい。
長尺平板状圧電体は、上述したヘリカルキラル高分子(A)を、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
長尺平板状圧電体中におけるヘリカルキラル高分子(A)の含有量(2種以上である場合には総含有量)は、圧電定数をより高める観点から、長尺平板状圧電体の全量に対し、80質量%以上が好ましい。
<安定化剤>
長尺平板状圧電体は、更に、一分子中に、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を含有することが好ましい。これにより、耐湿熱性をより向上させることができる。
安定化剤(B)としては、国際公開第2013/054918号の段落0039〜0055に記載された「安定化剤(B)」を用いることができる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にカルボジイミド基を含む化合物(カルボジイミド化合物)としては、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物が挙げられる。
モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、等が好適である。
また、ポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができる。従来のポリカルボジイミドの製造方法(例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4、p619−621)により、製造されたものを用いることができる。具体的には特許4084953号公報に記載のカルボジイミド化合物を用いることもできる。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド、等が挙げられる。
環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法等に基づいて合成することができる。
カルボジイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、東京化成社製、B2756(商品名)、日清紡ケミカル社製、カルボジライト(登録商標)LA−1(商品名)、ラインケミー社製、Stabaxol P、Stabaxol P400、Stabaxol I(いずれも商品名)等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)としては、イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にエポキシ基を含む化合物(エポキシ化合物)としては、フェニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、上述のとおり200〜60000であるが、200〜30000がより好ましく、300〜18000がさらに好ましい。
分子量が上記範囲内ならば、安定化剤(B)がより移動しやすくなり、耐湿熱性改良効果がより効果的に奏される。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、200〜900であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量200〜900は、数平均分子量200〜900とほぼ一致する。また、重量平均分子量200〜900の場合、分子量分布が1.0である場合があり、この場合には、「重量平均分子量200〜900」を、単に「分子量200〜900」と言い換えることもできる。
長尺平板状圧電体が安定化剤(B)を含有する場合、上記長尺平板状圧電体は、安定化剤を1種のみ含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
長尺平板状圧電体が安定化剤(B)を含む場合、安定化剤(B)の含有量は、ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対し、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.01質量部〜5質量部であることがより好ましく、0.1質量部〜3質量部であることがさらに好ましく、0.5質量部〜2質量部であることが特に好ましい。
上記含有量が0.01質量部以上であると、耐湿熱性がより向上する。
また、上記含有量が10質量部以下であると、透明性の低下がより抑制される。
安定化剤(B)の好ましい態様としては、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有し、且つ、数平均分子量が200〜900の安定化剤(B1)と、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を1分子内に2以上有し、且つ、重量平均分子量が1000〜60000の安定化剤(B2)とを併用するという態様が挙げられる。なお、数平均分子量が200〜900の安定化剤(B1)の重量平均分子量は、おおよそ200〜900であり、安定化剤(B1)の数平均分子量と重量平均分子量とはほぼ同じ値となる。
安定化剤として安定化剤(B1)と安定化剤(B2)とを併用する場合、安定化剤(B1)を多く含むことが透明性向上の観点から好ましい。
具体的には、安定化剤(B1)100質量部に対して、安定化剤(B2)が10質量部〜150質量部の範囲であることが、透明性と耐湿熱性の両立という観点から好ましく、50質量部〜100質量部の範囲であることがより好ましい。
以下、安定化剤(B)の具体例(安定化剤B−1〜B−3)を示す。
以下、上記安定化剤B−1〜B−3について、化合物名、市販品等を示す。
・安定化剤B−1 … 化合物名は、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドである。重量平均分子量(この例では、単なる「分子量」に等しい)は、363である。市販品としては、ラインケミー社製「Stabaxol I」、東京化成社製「B2756」が挙げられる。
・安定化剤B−2 … 化合物名は、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約2000のものとして、日清紡ケミカル社製「カルボジライトLA−1」が挙げられる。
・安定化剤B−3 … 化合物名は、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約3000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P」が挙げられる。また、重量平均分子量20000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P400」が挙げられる。
<その他の成分>
長尺平板状圧電体は、必要に応じ、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の公知の樹脂;シリカ、ヒドロキシアパタイト、モンモリロナイト等の公知の無機フィラー;フタロシアニン等の公知の結晶核剤;安定化剤(B)以外の安定化剤;等が挙げられる。
無機フィラー及び結晶核剤としては、国際公開第2013/054918号の段落0057〜0058に記載された成分を挙げることもできる。
〔機能層付長尺平板状圧電体〕
本実施形態の積層体は、第1の基材と、第1の基材の少なくとも一方の面上に配置され、長尺平板状圧電体の少なくとも一方の主面の側に機能層を有する機能層付長尺平板状圧電体と、を有する積層体であることが好ましい。
本実施形態の積層体の、上記好ましい態様においても、上述した本実施形態の効果が奏される。
機能層は、単層構造であっても二層以上からなる構造であってもよい。
例えば、長尺平板状圧電体の両方の主面の側に機能層が配置される場合、一方の主面(以下、便宜上、「オモテ面」ともいう)の側に配置される機能層、及び、他方の面(以下、便宜上、「ウラ面」ともいう)の側に配置される機能層は、それぞれ独立に、単層構造であっても二層以上からなる構造であってもよい。
機能層としては、様々な機能を有する層が挙げられる。
機能層として、例えば、易接着層、ハードコート層、屈折率調整層、アンチリフレクション層、アンチグレア層、易滑層、アンチブロック層、保護層、帯電防止層、放熱層、紫外線吸収層、アンチニュートンリング層、光散乱層、偏光層、ガスバリア層、色相調整層、電極層等が挙げられる。
機能層は、これらの層のうちの二層以上からなる層であってもよい。
また、機能層としては、これらの機能のうちの2つ以上を兼ね備えた層であってもよい。
長尺平板状圧電体の両方の主面に機能層が設けられている場合は、オモテ面側に配置される機能層及びウラ面側に配置される機能層は、同じ機能層であっても、異なる機能層であってもよい。
また、機能層付長尺平板状圧電体を用いる際の付加的な効果として、長尺平板状圧電体表面のダイラインや打痕等の欠陥が埋められ、外観がより向上するという効果が挙げられる。外観向上効果は、長尺平板状圧電体と機能層との屈折率差が小さいほど長尺平板状圧電体と機能層と界面の反射が低減し、より良好となる。
前記機能層付長尺平板状圧電体の機能層は、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。これにより圧電デバイスへの適用がより容易となる。
前記機能層付長尺平板状圧電体の機能層は、電極層を含むことがより好ましい。
電極層は、長尺平板状圧電体に接して設けられていてもよいし、電極層以外の機能層を介して設けられていてもよい。
前記機能層付長尺平板状圧電体の特に好ましい態様は、長尺平板状圧電体の両方の主面の側に機能層を備え、かつ、両面の機能層がいずれも電極層を含む態様である。
機能層付長尺平板状圧電体において、表面層の少なくとも一方が、電極層であることが好ましい。即ち、本実施形態の積層体において、オモテ面側の表面層及びウラ面側の表面層の少なくとも一方が、電極層であること(言い換えれば、電極層が露出していること)が好ましい。
図3は、本実施形態の積層体の第2の態様である表面層として電極層を備える積層体20を模式的に示す概略断面図である。
図3に示す積層体20は、第1の基材12と、前記第1の基材12の面上に、間隔を開けて配置された複数の長尺平板状圧電体14とを備える。本実施形態では、第1の基材12と長尺平板状圧電体14との間に粘着層18を有する。長尺平板状圧電体14は、主面の一方の最表面、即ち、長尺平板状圧電体14の粘着層18と接しない面と、粘着層18と接する面とのそれぞれに電極層22を備える機能層付長尺平板状圧電体34である。機能層付長尺平板状圧電体34の表面層に電極層22を有することにより、積層体20を圧電デバイスの構成要素の一つとして用いた場合に、図1の概略断面図に示す如く、積層体20における長尺平板状圧電体14を第1の基材12より延設した場合、引出電極と積層体20の電極層22との接続をより簡易に行うことができるため、圧電デバイスの生産性が向上する。長尺平板状圧電体14の主面の一方の少なくとも最表面に電極層22を有することにより生産性向上効果を奏するが、図3に示す如く、長尺平板状圧電体14の両面に電極層22を有することがより好ましい。
ここで、引出電極とは、積層体の電極層と外部の回路とを電気的に接続させるための電極を指す。
この態様に対し、特許文献3に記載の圧電性ファイバーでは、電極層の外側を覆う絶縁皮膜が設けられているため、電極層と引出電極との接続方法が煩雑となり、圧電デバイスの生産性に劣る。
機能層の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば金属や金属酸化物等の無機物;樹脂等の有機物;樹脂と微粒子とを含む複合組成物;等が挙げられる。樹脂としては、例えば、温度や活性エネルギー線で硬化させることで得られる硬化物を利用することもできる。つまり、樹脂としては、硬化性樹脂を利用することもできる。
硬化性樹脂としては、例えばアクリル系化合物、メタクリル系化合物、ビニル系化合物、アリル系化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、エポキシド系化合物、グリシジル系化合物、オキセタン系化合物、メラミン系化合物、セルロース系化合物、エステル系化合物、シラン系化合物、シリコーン系化合物、シロキサン系化合物、シリカ−アクリルハイブリット化合物、及びシリカ−エポキシハイブリット化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料(硬化性樹脂)が挙げられる。
これらの中でも、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、シラン系化合物がより好ましい。
金属としては、例えば、Al、Si、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、In、Sn、W、Ag、Au、Pd、Pt、Sb、Ta及びZrから選ばれる少なくとも一つ、又は、これらの合金が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、及び酸化タンタル、またこれらの複合酸化物の少なくとも1つが挙げられる。
微粒子としては上述したような金属酸化物の微粒子や、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂微粒子等が挙げられる。さらにこれらの微粒子の内部に空孔を有する中空微粒子も挙げられる。
微粒子の平均一次粒径としては、透明性の観点から1nm以上500nm以下が好ましく、5nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上200nm以下が更に好ましい。500nm以下であることで可視光の散乱が抑制され、1nm以上であることで微粒子の二次凝集が抑制され、透明性の維持の観点から望ましい。
機能層の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.01μm〜10μmの範囲が好ましい。
上記厚さの上限値は、より好ましくは6μm以下であり、更に好ましくは3μm以下である。また、下限値はより好ましくは0.01μm以上であり、更に好ましくは0.02μm以上である。
機能層が複数の機能層からなる多層膜の場合には、上記厚さは多層膜全体における厚さを表す。また、機能層は長尺平板状圧電体の両面にあってもよい。また、機能層の屈折率は、それぞれが異なる値であってもよい。
(電極層)
前述のとおり、機能層は、電極層を含むことが好ましい。
電極層の材質としては、上述した金属(Al等)が挙げられるが、その他にも、例えば、Ag、Au、Cu、Ag−Pd合金、Agペースト、Cuペースト、カーボンブラック、ITO(酸化インジウムスズ:結晶化ITO及び非晶ITO)、ZnO(酸化亜鉛)、IGZO、IZO(登録商標)、導電性ポリマー(ポリチオフェン、PEDOT)、Agナノワイヤー、カーボンナノチューブ、グラフェン等も挙げられる。
電極層は、公知の方法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、電子線蒸着法、ゾル−ゲル法、ウェットコーティング法、バートコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法)によって形成できる。
〔接着層〕
本実施形態の積層体においては、第1の基材と長尺平板状圧電体との間に、さらに接着層を有することが好ましい。
第1の基材と長尺平板状圧電体との間に接着層を有することで、長尺平板状圧電体が第1の基材上により安定に保持され、耐久性、圧電感度の安定性がより向上する。さらに、歪の伝達効率がより良好となるため、圧電感度も向上する。
図1及び図2に示す積層体10は、第1の基材12と、第1の基材12の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体14と、長尺平板状圧電体14の第1の基材12とは反対側の面上に第2の基材16とを有し、第1の基材12と長尺平板状圧電体14、及び、長尺平板状圧電体14と第2の基材16とは、それぞれ接着層18を介して密着されている。図2に示す積層体10では、第1の基材12及び第2の基材16の、長尺平板状圧電体14と接する面には、全面に接着層18が設けられている。
接着層18は、必ずしも基材の全面に設ける必要はない。
図4は、本実施形態の積層体の第3の態様である、長尺平板状圧電体14を有する領域のみに接着層18を有する積層体24を模式的に示す概略断面図である。
図4に示す如く、積層体24では、長尺平板状圧電体14が存在する領域のみに、接着層18が設けられる。積層体24の態様においても、局所的に設けられた接着層18により、長尺平板状圧電体14は、第1の基材12及び第2の基材16とそれぞれ接着層18を介して密着され、2層の基材により安定に保持される。
なお、本明細書において、「接着層」は、基材と長尺平板状圧電体との間の密着性を向上する機能を有する層を指す。
「接着層」は、公知の粘着剤を含んで形成される「粘着層」を包含する意味で用いられる。
接着層は、公知の接着剤、粘着剤等を用いて形成してもよく、接着層または粘着層の両面をセパレータでラミネートしてある両面テープ(OCA;Optical Clear Adhensive)を用いて形成してもよい。
接着層を、公知の粘着剤、接着剤等を用いて形成する場合、溶剤系、無溶剤系、水系等の接着コート液、UV硬化型OCR(Optical Clear Resin)、ホットメルト接着剤等を用いて形成することができる。
接着層の形成時に、長尺平板状圧電体に対する熱の影響を避ける観点から、OCRを用いて形成すること、第1の基材12、第2の基材16に、接着コート液、ホットメルト接着剤を塗布して形成することなどが好ましい。
接着層を形成する材料には特に限定はない。接着層の形成に用いうる粘着剤としては、樹脂を含む粘着剤が好ましい。
接着層の形成に用いうる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン−エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、クロロプレンゴム系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、水性高分子-イソシアネート系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム系樹脂、ニトリルゴム系樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、臭素樹脂、デンプン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
接着コート液は、市販品を用いてもよい。市販品としては、SKダインシリーズ(綜研化学(株))、ファインタックシリーズ(DIC(株))、ボンコートシリーズ、LKGシリーズ(以上:藤倉化成(株))、コーポニールシリーズ(日本合成化学工業(株))等が挙げられる。
接着層の形成時に、長尺平板状圧電体に対する熱の影響を避ける観点から、OCAを用いて接着層を形成することも好ましい。
OCAは、市販品を用いてもよい。市販品としては、光学用透明粘着シートLUCIACSシリーズ(日東電工(株))、高透明両面テープ5400Aシリーズ(積水化学工業(株))、光学粘着シートOpteriaシリーズ(リンテック(株))、高透明性接着剤転写テープシリーズ(住友スリーエム(株))、SANCUARYシリーズ((株)サンエー化研)等が挙げられる。
接着層の厚さは、長尺平板状圧電体の安定な保持が可能であり、かつ、環境温度が変化したときに生じる誤差信号を抑制する観点から、1μm以上500μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。
〔長尺平板状圧電体の配置〕
第1の基材12面上に、長尺平板状圧電体14を配置する場合、既述のように、図1の概略斜視図、及び図2の概略断面図に示す積層体10の如く、複数の長尺平板状圧電体14を有し、隣接する前記長尺平板状圧電体14同士が互いに間隔を開けて略平行に配列されることが好ましい。しかし、必ずしも第1の基材12面上に配置された長尺平板状圧電体14のすべてが互いに間隔を開けて配列されなくてもよい。
図5は、本実施形態の積層体の第3の態様である、一部の長尺平板状圧電体14が互いに接するように略並列(即ち、平面視にて略平行)に配置され、その他の長尺平板状圧電体14は、隣接する長尺平板状圧電体同士が互いに間隔を開けて略平行に配列されている積層体26を模式的に示す概略断面図である。
例えば、図5に示すように、少なくとも一部の長尺平板状圧電体14同士が互いに間隔を開けて略平行に配列されていれば、その他の長尺平板状圧電体14が互いに接するように配置されても、長尺平板状圧電体が間隔を空けて略平行に配置されている部分の耐久性を維持しつつ、長尺平板状圧電体を配置する位置により、積層体の位置ごとの圧電感度を調節することができる。
図2〜図5に示す如き態様で第1の基材12の面上に配置された長尺平板状圧電体14を、第1の基材12に安定に保持する手段としては、既述の接着層18を介して密着させる手段の他、物理的に固定化する手段をとることができる。
物理的に固定化する手段としては、第1の基材12と第2の基材16との間に複数の長尺平板状圧電体14を配置し、隣接する前記長尺平板状圧電体同士が互いに間隔を開けて略平行に配列した場合、第1の基材12及び第2の基材16として、熱可塑性樹脂シートを使用し、熱ラミネートして、第1の基材12及び第2の基材16同士を融着させる手段、第1の基材12及び第2の基材16とを縫製したり、ホチキス止めしたりする手段が挙げられる。
図6は、本実施形態の積層体の第5の態様である、第1の基材12と第2の基材16とが、長尺平板状圧電体14を有しない領域で互いに融着した積層体28を模式的に示す概略断面図である。
図6に記載の積層体28では、第1の基材12の面上に配置された長尺平板状圧電体14の面上にさらに第2の基材16が配置され、第1の基材12と第2の基材16とを熱ラミネート、即ち、加熱圧着することで、複数配置された長尺平板状圧電体14同士の間隔を開けた領域において、第1の基材12と第2の基材16とが互いに融着した状態となる。
熱ラミネート時の加熱温度は、長尺平板状圧電体14の性能に熱による悪影響を与えない温度、即ち、60℃〜140℃の範囲で行なわれることが好ましい。また、第1の基材12及び第2の基材16は、上記温度範囲において軟化する材料、例えば、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エステル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、合成ゴム等からなる基材を用いることが好ましい。
図6に記載の積層体28では、第1の基材12と第2の基材16とに挟まれた長尺平板状圧電体14は、第1の基材12と第2の基材16とが融着していない空間内に安定に保持される。なお、図6では、長尺平板状圧電体14は、長尺平板状圧電体14の主面上に後述する機能層22を有する態様を示す。
図7は、本実施形態の積層体の第6の態様である、第1の基材と第2の基材とが、長尺平板状圧電体を有しない領域で互いに縫製されている積層体30を模式的に示す概略断面図である。
図7に示す積層体30では、第1の基材12の面上に配置された長尺平板状圧電体14の面上にさらに第2の基材16を配置し、複数配置された長尺平板状圧電体14同士の間隔を開けた部分において、第1の基材12と第2の基材16とが縫製されている。したがって、第1の基材12と第2の基材16との縫製は、複数配置された長尺平板状圧電体14同士の間隔を開けた部分を、長尺平板状圧電体14の配置方向と略並行に縫製することにより行なわれる。
図7に示す積層体30では、第1の基材12と第2の基材16とに挟まれた長尺平板状圧電体14は、第1の基材12と第2の基材16とが縫製されて形成された空間内に安定に保持される。
図7では、第1の基材12と第2の基材16とは縫製により固定化されている。固定化手段は縫製に限定されず、第1の基材12と第2の基材16とを、両者の間に存在する長尺平板状圧電体14を損なうことなく固定化できる手段であれば適用することができ、例えば、ホチキス等の金属部材で固定化する手段などが挙げられる。
本実施形態の積層体は、いずれも、長尺平板状圧電体14が安定に第1の基材12の面上の保持されており、長尺平板状圧電体14が捩れたり、シワが発生したりすることが有効に抑制される。したがって、本実施形態の積層体では、変形量と電荷量との線形性がより向上する。
ここで、変形量と電荷量との線形性とは、圧電体に印加した変形の量に対する発生電圧の線形性(センサーの場合)、又は、圧電体に印加した電圧の量に対する圧電体の変形量の線形性(アクチュエーターの場合)を意味する。
変形量と電圧との線形性が高いことは、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所において本実施形態の積層体を用いる場合でも、積層体の圧電感度を高く維持できることを意味する。
ここで、「長尺平板状圧電体が捩れる」とは、長尺平板状圧電体の長さ方向を軸としたねじれが生じることにより、長尺平板状圧電体の一方の面の側から見たときに、長尺平板状圧電体の一方の主面及び他方の主面の両方が確認されることを意味する。この場合において、一方の主面及び他方の主面の面積が異なる場合には、面積が小さい方の主面を「反転領域」とし、面積が大きい方の主面を「非反転領域」とする。両者の面積が等しい場合には、いずれを反転領域としてもよい。
本実施形態の積層体において、長尺平板状圧電体は、長さ方向の一方向、即ち略平行に配列されていることが好ましい。ここでいう「一方向」には、製造上のバラつき、例えば、0°以上90°以下の範囲で定義される角度として、例えば20°以下、好ましくは10°以下、更に好ましくは5°以下のバラつきが含まれていてもよい。
積層体に用いられる第1の基材の形状が矩形の場合、積層体の幅方向とは、複数の長尺平板状圧電体の配列方向と直交する方向を指し、長手方向、即ち、積層体の長さ方向とのなす角度、即ち、0°以上90°以下の範囲で定義される角度は、90°である。
本実施形態の積層体は、第1の基材、第1の基材面上に配置される長尺平板状圧電体、及び所望により設けられる既述の、接着層、電極層等の機能層好ましい層以外にも、その他の構成部材を有していてもよい。
その他の構成部材としては、引出電極、補強部材等が挙げられる。
引出電極は、前述のとおり、積層体に配置された電極層と外部の回路とを電気的に接続させるための電極である。
積層体として、長尺平板状圧電体の表面層の少なくとも一方が電極層である積層体を用いた場合には、長尺平板状圧電体の表面に電極層が露出しているので、引出電極と電極層との電気的接続を簡易に行うことができる。
引出電極としては特に制限はなく、電極層と同様の材質の部材、導電性粘着テープ、FPC(フレキシブルプリント基板)、ACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)、はんだ等が挙げられる。
本実施形態の積層体は、少なくとも一部に圧電性が要求されるあらゆる用途に適用することができる。積層体の基材として、樹脂シート、エラストマーシート、織布、編布、不織布、紙、フェルト、天然皮革、合成皮革等から用途に応じた物性を有する基材を選択することで、各種用途に好適に使用することができることも、本実施形態の積層体における利点のひとつである。
本実施形態の積層体の用途の具体例としては、各種衣料(シャツ、スーツ、ブレザー、ブラウス、コート、ジャケット、ブルゾン、ジャンパー、ベスト、ワンピース、ズボン、スカート、パンツ、下着(スリップ、ペチコート、キャミソール、ブラジャー)、靴下、和服、帯地、金襴)、冷感衣料、ネクタイ、ハンカチーフ、テーブルクロス、手袋、履物(スニーカー、ブーツ、サンダル、パンプス、ミュール、スリッパ、バレエシューズ、カンフーシューズ)、マフラー、スカーフ、ストール、アイマスク、タオル、袋物、バッグ(トートバッグ、ショルダーバッグ、ハンドバッグ、ポシェット、ショッピングバッグ、エコバック、リュックサック、デイパック、スポーツバッグ、ボストンバッグ、ウエストバッグ、ウエストポーチ、セカンドバック、クラッチバッグ、バニティ、アクセサリーポーチ、マザーバッグ、パーティバッグ、和装バッグ)、ポーチ・ケース(化粧ポーチ、ティッシュケース、めがねケース、ペンケース、ブックカバー、ゲームポーチ、キーケース、パスケース)、財布、帽子(ハット、キャップ、キャスケット、ハンチング帽、テンガロンハット、チューリップハット、サンバイザー、ベレー帽)、ヘルメット、頭巾、ベルト、エプロン、リボン、コサージュ、ブローチ、カーテン、壁布、シートカバー、シーツ、布団、布団カバー、毛布、枕、枕カバー、ソファー、ベッド、かご、各種ラッピング材料、室内装飾品、自動車用品、造花、マスク、包帯、ロープ、各種ネット、魚網、セメント補強材、スクリーン印刷用メッシュ、各種フィルター(自動車用、家電用)、各種メッシュ、敷布(農業用、レジャーシート)、土木工事用シート、建築工事用シート、ろ過布等が挙げられる。
なお、上記具体例の全体を本実施形態の積層体で構成してもよいし、圧電性が要求される部位のみ本実施形態の積層体で構成してもよい。
本実施形態の積層体の用途としては、身体に身につけるウェアラブル製品が特に好適である。
〔長尺平板状圧電体、及び積層体の用途〕
上述した、長尺平板状圧電体を配置した本実施形態の積層体は、少なくとも一部に圧電性が要求されるあらゆる用途に適用することができる。
本実施形態の積層体の用途としては、衣類、特に、身体の少なくとも関節部を覆う衣類が好まく、なかでも、身体の少なくとも関節部に密着する衣類がより好ましい。
本実施形態の積層体を適用できる衣類としては、スパッツ、タイツ(例えば、スポーツタイツ、コンプレッションタイツ)、ガードル、パンティーストッキング、レギンス、レッグウォーマー等のボトム(例えば、スポーツ用又はインナー用等のボトム);肌着、シャツ、コンプレッションシャツ等のトップ;ソックス;首、肩、胸、腹、腰、腕、足、肘、膝、手首、足首等の身体の一部を覆うサポーター;手袋;等が挙げられる。
本実施形態の積層体を衣類に適用する場合には、基材として、織布、編布、不織布等の繊維構造体を含むことが好ましい。
繊維構造体としては、伸縮性及び柔軟性を有する繊維構造体が好ましく、伸縮性及び柔軟性を有する繊維構造体を基材とすることで、積層体を、例えば、保温用又は医療用のサポーターに好適に使用することができる。
本実施形態の積層体は、上述した用途以外のその他の用途に用いることもできる。
その他の用途としては、寝返り検知のための寝具、移動検知のためのカーペット、移動検知のためのインソール、呼吸検知のための胸部バンド、呼吸検知のためのマスク、りきみ検知のための腕バンド、りきみ検知のための足バンド、着座検知のための着座シート、等が挙げられる。
〔長尺平板状圧電体の製造方法〕
上述した本実施形態の積層体が有する長尺平板状圧電体を製造する方法には特に限定はないが、以下の製造方法が好ましい。
即ち、長尺平板状圧電体の好ましい製造方法は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が25〜700である圧電フィルムを準備する準備工程と、前記圧電フィルムをスリットして前記長尺平板状圧電体を得るスリット工程と、を有する。
長尺平板状圧電体の好ましい製造方法は、必要に応じ、その他の工程を有していてもよい。
<準備工程>
準備工程は、上記圧電フィルムを準備する工程である。
準備工程は、便宜上の工程であり、上記圧電フィルムを製造する工程であってもよいし、予め製造された上記圧電フィルムを準備するだけの工程であってもよい。
上記圧電フィルムは、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が25〜700である。
圧電フィルムにおけるヘリカルキラル高分子(A)及び結晶化度については、上述した長尺平板状圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)及び結晶化度と同様であり、好ましい態様も同様である。
圧電フィルムにおける規格化分子配向MORc、及び、規格化分子配向MORcと結晶化度との積についても、上述した長尺平板状圧電体における好ましい態様と同様である。
圧電フィルムの圧電定数d14(応力−電荷法)の測定方法の一例は、後述の実施例において示すとおりである。
準備工程において圧電フィルムを製造する場合、圧電フィルムの製造方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
圧電フィルムの製造方法としては、ヘリカルキラル高分子(A)を含む原料をフィルム状に成形して未延伸フィルムを得、得られた未延伸フィルムに対し、延伸及び結晶化を施す方法が挙げられる。延伸及び結晶化は、いずれが先であってもよい。また、後述の実施例のように、未延伸フィルムに対し、予備結晶化、延伸、及び結晶化(アニール)を順次施す方法であってもよい。延伸は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。二軸延伸の場合には、好ましくは一方(主延伸方向)の延伸倍率を高くする。
圧電フィルムの製造方法については、特許第4934235号公報、国際公開第2010/104196号、国際公開第2013/054918号、国際公開第2013/089148号、等の公知文献を適宜参照できる。
<スリット工程>
スリット工程は、上記圧電フィルムをスリットして本実施形態の長尺平板状圧電体を得る工程である。
ここで、「スリットする」とは、上記圧電フィルムを長尺状にカットすることを意味する。
スリットは、例えば、上記圧電フィルムを、レーザー刃やロータリーシャー(回転刃)等のスリット刃を備えたカッティングマシン(例えばスリッター)に送り込み、長尺状にカットすることにより行う。スリットは、枚葉で行ってもよいし、ロールtoロールの連続で行ってもよい。
スリット工程において、スリットする方向と圧電フィルムの主延伸方向との関係については特に制限はない。
上述したとおり、本実施形態の長尺平板状圧電体においては、圧電体の分子配向の方向(例えば延伸方向)と圧電体の一辺とのなす角度によらず、十分な圧電感度が得られることが見出されたためである。
但し、生産性の観点からは、スリットする方向と圧電フィルムの主延伸方向とが略平行であることが好ましい。また、上記方向でスリットした場合、長尺平板状圧電体の長尺方向(長手方向)が主延伸方向となるため、長さ方向への引張に強く、大きな変形を加えても長尺平板状圧電体が破断する可能性が低く好ましい。
〔積層体の製造方法〕
上述した本実施形態の積層体を製造する方法には特に限定はないが、以下の製造方法が好ましい。
即ち、積層体の好ましい製造方法は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が25〜700である圧電フィルムと、前記圧電フィルムの少なくとも一方の主面の側に配置された機能層と、を備える機能層付圧電フィルムを準備する準備工程と、前記機能層付圧電フィルムをスリットして、機能層付長尺平板状圧電体を得るスリット工程と、基布上に得られた前記機能層付長尺平板状圧電体を配置する配置工程とを有する。
積層体の好ましい製造方法は、必要に応じ、その他の工程を有していてもよい。
その他の工程としては、接着層形成工程が挙げられる。接着層形成工程は、第1の基材面上及び機能層付長尺平板状圧電体の機能層を有しない側の面上の少なくともいずれかに、接着層を形成する工程であり、前記配置工程の前に行なわれることが好ましい。
<準備工程>
積層体の好ましい製造方法における準備工程は、上記機能層付圧電フィルムを準備する工程である。
準備工程は、便宜上の工程であり、上記機能層付圧電フィルムを製造する工程であってもよいし、予め製造された上記機能層付圧電フィルムを準備するだけの工程であってもよい。
機能層付圧電フィルムにおける圧電フィルムについては、「長尺平板状圧電体の製造方法」の項で説明した圧電フィルムと同様である。
機能層付圧電フィルムにおける機能層については、「積層体」の項で説明した機能層と同様である。
<スリット工程>
スリット工程は、上記機能層付圧電フィルムをスリットして本実施形態の積層体に用いうる機能層付長尺平板状圧電体を得る工程である。
機能層付長尺平板状圧電体の好ましい製造方法におけるスリット工程については、スリットの対象物が圧電フィルムではなく機能層付圧電フィルムであること以外は、「長尺平板状圧電体の好ましい製造方法」におけるスリット工程と同様である。
なお、本実施形態の機能層付き長尺平板状圧電体を製造する方法は、上記好ましい製造方法には限定されず、まず圧電フィルムをスリットして長尺平板状圧電体を得、得られた長尺平板状圧電体の少なくとも一方の主面に機能層を形成する工程であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<圧電フィルムの製造>
ヘリカルキラル高分子(A)として、NatureWorks LLC社製のポリ乳酸(品名:IngeoTM biopolymer、銘柄:4032D、重量平均分子量Mw:20万、融点(Tm):166℃、ガラス転移温度(Tg):57℃〜60℃)を用意した。上記ポリ乳酸(100質量部)と下記安定化剤X(1.0質量部)とをドライブレンドして原料を作製した。
得られた原料を押出成形機ホッパーに入れ、220℃〜230℃に加熱しながらTダイから押し出し、50℃のキャストロールに0.3分間接触させて、厚さ0.15mmの予備結晶化シートを製膜した(予備結晶化工程)。予備結晶化シートの結晶化度を測定したところ6%であった。
得られた予備結晶化シートを70℃に加熱しながらロールツーロールで、延伸速度3m/分で延伸を開始し、3.5倍までMD方向に一軸延伸した(延伸工程)。得られた一軸延伸フィルムの厚さは0.05mmであった。
上記一軸延伸フィルムを、ロールツーロールで、145℃に加熱したロール上に15秒間接触させアニール処理し、その後急冷を行い、厚さ0.05mmの圧電フィルムを得た(アニール処理工程)。
−安定化剤X−
安定化剤Xとしては、ラインケミー社製Stabaxol P400(20質量部)、ラインケミー社製Stabaxol I(50質量部)、及び日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1(30質量部)の混合物を用いた。
上記混合物における各成分の詳細は以下のとおりである。
Stabaxol I … ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(分子量(=重量平均分子量):363)
Stabaxol P400 … ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)(重量平均分子量:20000)
カルボジライトLA−1 … ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(重量平均分子量:約2000)
<ポリ乳酸の光学純度の測定>
50mL(ミリリットル)の三角フラスコに1.0gのサンプル(圧電フィルム)を秤り込み、IPA(イソプロピルアルコール)2.5mLと、5.0mol/L水酸化ナトリウム溶液5mLとを加えた。次に、サンプル溶液が入った前記三角フラスコを、温度40℃の水浴に入れ、ポリ乳酸が完全に加水分解するまで、約5時間攪拌した。
前記サンプル溶液を室温まで冷却後、1.0mol/L塩酸溶液を20mL加えて中和し、三角フラスコを密栓してよくかき混ぜた。サンプル溶液の1.0mLを25mLのメスフラスコに取り分け、移動相で25mLとしてHPLC試料溶液1を調製した。HPLC試料溶液1を、HPLC装置に5μL注入し、下記HPLC条件で、ポリ乳酸のD/L体ピーク面積を求め、L体の量とD体の量を算出した。得られた結果に基づき、光学純度(%ee)を求めた。
−HPLC測定条件−
・カラム
光学分割カラム、(株)住化分析センター製 SUMICHIRAL OA5000
・測定装置
日本分光社製 液体クロマトグラフィ
・カラム温度
25℃
・移動相
1.0mM−硫酸銅(II)緩衝液/IPA=98/2(V/V)
硫酸銅(II)/IPA/水=156.4mg/20mL/980mL
・移動相流量
1.0mL/分
・検出器
紫外線検出器(UV254nm)
以上の測定の結果、圧電フィルム中のポリ乳酸は、L体が主成分であり、光学純度が97.00%eeであった。
<ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)>
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、以下のようにして、圧電フィルム中のポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
まず、圧電フィルムを40℃で溶媒(クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mLのサンプル溶液を準備した。
得られたサンプル溶液0.1mLを、溶媒(クロロホルム)、温度40℃、1mL/分の流速でカラムに導入し、カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定した。別途ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、ユニバーサル検量線及びサンプル濃度の測定結果に基づき、ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
ここで、GPC測定装置及びカラムとしては、以下のものを用いた。
−GPC測定装置−
Waters社製GPC−100
−カラム−
昭和電工社製、Shodex LF−804
以上の測定の結果、圧電フィルム中のポリ乳酸は、Mwが20万であり、Mw/Mnが1.87であった。
<圧電フィルムの融点Tm及び結晶化度>
圧電フィルムから10mgのサンプルを採取し、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC−1)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定し、融解吸熱曲線を得た。得られた融解吸熱曲線から、圧電フィルムの融点Tm及び結晶化度を得た。
その結果、圧電フィルムの融点Tmは165.4℃であり、圧電フィルムの結晶化度は41.8%であった。
<圧電フィルムの規格化分子配向MORc>
王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA−6000により、圧電フィルムの規格化分子配向MORcを測定した。基準厚さtcは、0.05mmに設定した。
その結果、MORcは、4.72であった。
<機能層付圧電フィルムの製造>
上記圧電フィルムの両面に、蒸着装置(株式会社昭和真空SIP−600)を用い、蒸着により、厚さ50nmのアルミニウム電極層(Al電極層)をそれぞれ形成した。これにより、Al電極層/圧電フィルム/Al電極層の積層構造を有する機能層付圧電フィルムを得た。
<機能層付圧電フィルムの圧電定数d14(応力−電荷法)の測定>
上記機能層付圧電フィルムを、圧電フィルムの延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に150mm、45°なす方向に直交する方向に50mmにカットして、矩形の試験片を作製した。得られた150mm×50mmの試験片を、圧電フィルムの延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に120mm、45°なす方向に直交する方向に10mmにカットして、120mm×10mmの矩形のフィルム(以下、「サンプル」と称する)を切り出した。
得られたサンプルを、チャック間距離70mmとした引張試験機(AND社製、TENSILON RTG−1250)に、弛まないようにセットした。クロスヘッド速度5mm/minで、印加力が4Nと9Nとの間を往復するように周期的に力を加えた。このとき印加力に応じてサンプルに発生する電荷量を測定するため、静電容量Qm(F)のコンデンサーをサンプルに並列に接続し、このコンデンサーCm(95nF)の端子間電圧Vmを、バッファアンプを介して測定した。発生電荷量Q(C)は、コンデンサー容量Cmと端子間電圧Vmとの積として計算した。
圧電定数d14は下式により計算した。
14=(2×t)/L×Cm・ΔVm/ΔF
t:サンプル厚(m)
L:チャック間距離(m)
Cm:並列接続コンデンサー容量(F)
ΔVm/ΔF:力の変化量に対する、コンデンサー端子間の電圧変化量比
以上の測定の結果、機能層付圧電フィルムの圧電定数d14(応力−電荷法)は、6.4pC/Nであった。
<2mm幅機能層付長尺平板状圧電体(電極あり)の製造>
上記機能層付圧電フィルムを、カッティングマシン(ローランド ディー.ジー.社製CAMM−1SERVO GX−24)を用いてスリットすることにより、長さ200mm×幅2mmの機能層付長尺平板状圧電体(2mm幅)を得た。
スリットする方向は、機能層付長尺平板状圧電体の長さ方向が圧電フィルムの延伸方向(MD方向)となり、かつ、機能層付長尺平板状圧電体の幅方向が圧電フィルムのTD方向となる方向とした。
<2mm幅機能層付長尺平板状圧電体の複屈折の測定>
2mm幅機能層付長尺平板状圧電体(電極あり)からガムテープで両面のAl電極層を除去し、2mm幅積層体に含まれる2mm幅圧電体の複屈折を測定した。複屈折は、以下の測定条件によって上記2mm幅圧電体の面内位相差を測定し、得られた面内位相差を、上記2mm幅圧電体の厚さで除すことによって求めた。
その結果、2mm圧電体の複屈折は、0.0214であった。
−面内位相差の測定条件−
・測定波長 … 550nm
・測定装置 … 大塚電子社製 位相差フィルム・光学材料検査装置RETS−100
<2mm幅機能層付長尺平板状圧電体(電極なし)の製造>
上記機能層付圧電フィルムを上記圧電フィルムに変更したこと以外は2mm幅機能層付長尺平板状圧電体(電極あり)の製造と同様にして、2mm幅長尺平板状圧電体(電極なし)を得た。
<積層体の製造>
長さ300mm×幅2mmの2mm幅機能層付長尺平板状圧電体(以下、「長尺平板状圧電体」を単に「圧電体」と称することがある)(電極あり)の中央部に、長さ80mm×幅2mmの粘着層(ニチバン(株)製、ナイスタックNWBP)18を両面に形成して両面粘着層付き2mm幅圧電体(電極あり)を作製した。
積層体を形成するための第1の基材として、長辺80mm×短辺50mmの布A(オカダヤ製、ライクラマット(271015))を用意し、そのうち一方の面に、両面粘着層付き2mm幅圧電体(電極あり)11本を2.5mmの間隔で、一方の粘着面を介して平行に並べた。この際、上記布Aの長辺方向が、2mm幅圧電体の長さ方向と一致し、一方の粘着面(長さ80mm)が全て布A(長さ80mm)と接するようにした。
次に、別途用意した、第2の基材である一枚の長辺80mm×短辺50mmの布B(オカダヤ製、ライクラマット(271015))を、両面粘着層付き2mm幅圧電体(電極あり)の布Aが存在する反対の面の粘着面に貼り合わせて積層体を得た。この際、第1の基材である布Aと第2の基材である布Bが完全に重なるように配置し、上記布Bの長辺方向が、2mm幅圧電体の長さ方向と一致し、一方の粘着面(長さ80mm)が全て布B(長さ80mm)と接するようにした。
積層構造の形成は、積層体の一方の主面の側から見たときに、2mm幅積層体の主面が見える向きとなるようにして行った。この際、全ての圧電体(電極あり)において、反転(長さ方向のねじれ)が生じないようにした。
上記で作製した積層体32を概念的に示せば、図1に示す概略斜視図と同様の構造をとる。図8は、上記で作製した積層体32を概念的に示す概略側面図であり、図8に示すように、実施例1で作製された積層体32は、間隔を2.5mmとして平行に配列された2mm幅で、両面に電極層22を有する圧電体14である、機能層付圧電体34を11本備えている。なお、図1及び図8では、模式的に機能層付圧電体34を7本のみ記載している。
実施例1の積層体32は、機能層付き圧電体の幅を(b)、第1の基材の幅を(a)としたとき、(b)は2mmであり、(a)は50mmであり、(b)<(a)の関係を満たす積層体である。
以下、全ての図面を通じ、同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明を省略することがある。
<評価サンプル(引出電極付き積層体)の製造>
上記積層体32のうち、積層構造が形成されている、長辺80mm×短辺50mmの範囲を評価範囲とし、評価範囲の短辺の一方の辺を「手前側の辺」とし、他方の辺を「奥側の辺」とした。
積層体の一方の面(以下、「オモテ面」とする)の、手前側の辺に接するように、オモテ面側引出電極として導電性銅箔粘着テープ(寺岡製作所製、品番8323)を張り付け、このオモテ面側引出電極により、全ての2mm幅圧電体のオモテ面側の電極層を電気的に接続した。
次に、オモテ面の、奥側の辺に接するように、メンディングテープを張り付け、2mm幅圧電体(電極あり)を固定した。
次に、積層体の他方の面(以下、「ウラ面」とする)の、奥側の辺に接するように、ウラ側引出電極として上記導電性銅箔粘着テープを張り付け、このウラ面側引出電極により、全ての2mm幅積層体のウラ面側の電極層を電気的に接続した。
次に、ウラ面の手前側の辺に接するように、メンディングテープを張り付け、2mm幅圧電体(電極あり)を固定した。
次に、導電性粘着テープ、及び、メンディングテープで固定した部分よりも外側の部分の2mm幅圧電体(電極あり)を切り落とした。
以上により、評価サンプル(引出電極付き積層体)を得た。
図9(A)は、上記で作製した評価サンプル(引出電極付き積層体)36を概念的に示す概略平面図であり、(B)は、(A)の概略側面図である。
実施例1で作製された引出電極付き積層体36(評価サンプル)は、上記で得られた積層体32を備える。図9(A)の概略平面図では、積層体32における第2の基材16が目視される。図9(B)の概略側面図記載の如く、積層体32の評価範囲の片方の長手方向端部には、メンディングテープ38が貼着されており、積層体32から延設された部分の機能層付圧電体34(図示せず)における電極層22と接して設けられた、図9(A)の概略平面図では目視されない面(裏面)に備えられるウラ面側引出電極41を貼着している。積層体32の評価範囲の他方の長手方向端部の面には、積層体32から延設された部分の機能層付圧電体34(図示せず)における電極層22と接してオモテ面側引出電極40が、裏面側に配置されたメンディングテープ38により貼着されている。
<評価>
上記評価サンプル(引出電極付き積層体)36を用い、以下の評価を行った。
結果を表1に示す。
(出力の評価)
積層体のセンサー感度を評価する為に、上記引出電極付き積層体について、出力の評価を行った。詳細を図10及び図11を参照しながら説明する。
図10は、出力の評価装置42の平面図であり、図11は、出力の評価装置の側面図であり、図10に示すように、引出電極付き積層体の主面の対角線上の2点のうち、一方の点を固定し、反対側の点にクリップ43を取り付け、さらにクリップをテンションゲージ(大場計器製作所製、丸型バネ式テンションゲージ)44に接続した。
次に、引出電極付き積層体の引出電極(オモテ面側引出電極及びウラ面側引出電極)をAD変換機(National Instruments社製、NI USB−6210)を介してPCに接続した。
この状態で、引出電極付き積層体の対角線方向への伸ばし変形を30回行った。この際、一回の変形は、引出電極付き積層体に接続されたテンションゲージの値が200gの状態から始めて、0.25秒間かけてテンションゲージの値が400gになるまでテンションゲージを引出電極付き積層体の主面の対角線方向に引っ張り、次いで0.25秒間かけてテンションゲージの値が200gになるまでテンションゲージを元の位置に戻す動作とした(図10参照)。上記伸ばし変形では、積層体の主面、及び、テンションゲージが水平となるように変形させた(図11参照)。
以下、1回の伸ばし変形の時間(0.5秒間)を、「1変形周期」とする。
上記曲げ伸ばし変形を30回行い、PCに出力された波形に対して下記の信号処理を行ったデータから1変形周期のピークtoピーク値の平均値(V)を算出した。得られたピークtoピーク値の平均値(V)を、引出電極付き積層体の積層構造に含まれる圧電体の一方の主面の側の面積(m)の値、で除した値(V/m)(以下、「出力値」ともいう)を算出した。
信号処理:高速フーリエ変換を行ない、10Hzを遮断周波数として高周波成分を除去した後、逆フーリエ変換を行なう。
(耐久性の評価)
積層体の曲げ変形に対する耐久性の評価を行った。詳細を図12及び図13を参照しながら説明する。
なお、以下の評価は、引出電極付き積層体を、ヒトの動き(例えば、人体の関節部の動き)を感知するセンサーとして用いる場合を想定した評価である。
図12は、耐久性の評価において、ウレタンフォーム45を伸ばした状態の概略側面図であり、図13は、耐久性の評価において、ウレタンフォーム45を曲げ変形した状態の概略側面図である。まず、図12に示すように、断面が半径30mmの半円であり、長さL1が400mmのウレタンフォーム45を準備した。上記ウレタンフォームの曲面46の中央部に引出電極付き積層体36を、引出電極付き積層体36の評価範囲の長辺方向とウレタンフォーム45の長さ方向とが一致する方向に設置した。この状態で、引出電極付き積層体36をウレタンフォーム45に不図示のサポーターによって固定した。
この状態で、ウレタンフォームの変形(曲げ伸ばし変形)を100回行った。このとき、1回の変形は、ウレタンフォーム45を引出電極付き積層体36に引張方向の力が加わる方向に0.25秒間かけて曲げ変形させ(図13参照)、次いでウレタンフォーム45を0.25秒間かけてまっすぐに伸ばす(元の形状に戻す;図12参照)動作とした。上記曲げ変形では、ウレタンフォーム45の一端から他端までの直線距離(図12中の長さL2)が330mmとなるまで、ウレタンフォーム45を曲げ変形させた。
100回の曲げ伸ばし変形後の引出電極付き積層体36を形成する2mm幅圧電体(電極あり)の外観を観察し、下記評価基準に従って曲げ変形に対する耐久性を評価した。
−耐久性の評価基準−
A:圧電体に折れやシワが発生していない
B:圧電体に折れやシワがほとんど発生していない。
C:圧電体に折れやシワが全面に発生している
上記評価基準において、A〜Cのうち、Aが最も耐久性が高い評価であり、A及びBは実用上問題のないレベルである。
〔実施例2〕
長さ300mm×幅2mmの機能層22を両面に設けた圧電体14(機能層付圧電体:電極あり)の中央部に、長さ80mm×幅2mmの粘着層(ニチバン(株)製、ナイスタックNWBP)18を片面に形成して片面粘着層付き2mm幅圧電体(電極あり)を作製した。
積層体を形成するための第1の基材12として、実施例1で用いたものと同じ、長辺80mm×短辺50mmの布(オカダヤ製、ライクラマット(271015))を用意し、そのうち一方の主面に、片面粘着層付き2mm幅圧電体(電極あり)11本を2.5mmの間隔で、一方の粘着層18を介して平行に並べた。この際、上記布(第1の基材12)の長辺方向が、2mm幅圧電体14の長さ方向と一致し、粘着面(長さ80mm)が全て布(長さ80mm)12と接するようにした。
積層構造の形成は、積層体の一方の主面の側から見たときに、2mm幅積層体の主面が見える向きとなるようにして行った。この際、全ての圧電体(電極あり)において、反転(長さ方向のねじれ)が生じないようにした。
実施例2で作製した積層体20は、既述の図3にて概念的に示す概略側面図と同様の層構成を有する。
得られた積層体20を用いて、実施例1と同様にして引出電極付きの評価サンプルを作製し、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1において、積層体を形成するための第1の基材を、表1に示す布(東レ製、SUIBOサテン(帯電防止))に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製し、実施例1と同様にして引出電極付きの評価サンプルを作製し、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例1において、積層体を形成するための第1の基材を、シリコーンゴムシート(株式会社扶桑ゴム産業製、シリウス・極薄シリコーンゴム(透明)、厚み0.2mm)に変更し、かつ、接着層を形成するための両面粘着テープを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製し、実施例1と同様にして引出電極付きの評価サンプルを作製し、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
図14は、実施例4で作製した積層体48を概念的に示す概略側面図である。積層体48では、第1の基材12及び第2の基材16として、弾力性に優れたシリコーンゴムシートを用いており、接着層を介することなく機能層付圧電体34を配置しても、機能層付圧電体34は第1の基材12及び第2の基材16間に安定に保持される。
〔実施例5〕
実施例1において、積層体を形成するための基材12及び16として、スポンジシート(アズワン製、SBRスポンジシート KSBR−106−9)を用い、両面粘着テープを使用しなかったこと、及び、基材12及び16の間に接着剤(東亜合成製、アロンアルファ201)を塗り、基材12及び16同士を接着したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製し、実施例1と同様にして引出電極付きの評価サンプルを作製し、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例5で得た積層体は、第1の基材12及び第2の基材16の間に薄層の接着剤を有する以外は、既述の図6に示す積層体28と類似の層構成を示す。
〔実施例6〕
三井化学製ポリウレタンエラストマー、フォルティモT−1280を加熱プレスして厚み125μmのシートを作製した。
実施例4において、積層体を形成するための基材を、ポリウレタンエラストマーシートに変更し、更に加熱プレス機を用いて80℃で10分間プレスして熱圧着したこと以外は、実施例4と同様にして、積層体を作製し、得られた積層体を用いて、実施例1と同様にして引出電極付きの評価サンプルを作製し、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例6で得た積層体は、既述の図6に示す積層体28と同様の層構成を示す。
〔実施例7〕、
実施例6において、ポリウレタンエラストマーシートの厚みを375μmに変更した以外は実施例6と同様にして、積層体を作製し、得られた積層体を用いて、実施例1と同様にして引出電極付きの評価サンプルを作製し、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例7で得た積層体は、既述の図6に示す積層体28と同様の層構成を示す。
〔比較例1〕
実施例1中、「積層体の製造」において、2mm幅圧電体(電極あり)11本を2.5mmの間隔で平行に並べた替わりに、長さ100mm×幅50mmの、同実施例中の「圧電フィルム(電極あり)」(Al電極層/圧電フィルム/Al電極層の積層構造を有する積層フィルム)1枚を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。このとき、積層体の長辺方向が圧電フィルムの延伸方向(MD)となるようにした。
即ち、比較例1では、実施例1で使用した11枚の機能層付の長尺平板状圧電体を互いに間隔を置いて使用するのではなく、1枚の機能層付圧電フィルムを用いた評価サンプルを作製し、得られた評価サンプルに対して評価を行った。
比較例1の積層体は、機能層付き圧電体の幅を(b)、基材の幅を(a)としたとき、(a)と(b)とは同じ50mmであり、(a)=(b)の関係にある積層体である。
なお、下記表1において、基材を両面に有する態様では、第1の基材と第2の基材とは同じ種類の基材を用いている。
表1に示すように、第1の基材の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体を有する積層体を用いた実施例1〜7の評価サンプルは、長尺平板状圧電体の幅(a)と第1の基材の幅(b)とが同じ〔(b)=(a)〕である比較例1の積層体を用いた評価サンプルと比較して、耐久性に優れていた。
また、実施例6〜7と比較例1の対比より、伸縮性に優れ、熱融着が可能なエラストマーシートを基材として長尺平板状圧電体と組み合わせて用いた評価サンプルは、基材の幅方向の全面に圧電体を備える比較例1の評価サンプルを用いた場合よりも出力が増加することがわかる。
10、20、24、26,28、32、48 積層体
36 引出電極付き積層体(実施例1の評価サンプル)
12 第1の基材(基材)
14 長尺平板状圧電体
16 第2の基材(基材)
18 接着層(粘着層)
22 電極層(機能層)
34 機能層付長尺平板状圧電体
38 メンディングテープ
40 オモテ面側引出電極
41 ウラ面側引出電極
45 ウレタンフォーム
46 ウレタンフォームの表面

Claims (12)

  1. 第1の基材と、前記第1の基材の少なくとも一方の面上に配置された長尺平板状圧電体と、を有する積層体であり、
    前記長尺平板状圧電体は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、
    前記長尺平板状圧電体は、幅が2mm以下であり、前記幅に対する長さの比が10以上であり、厚さに対する前記幅の比が2以上であり、
    前記長尺平板状圧電体は、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、かつ、複屈折が0.01〜0.03であり、
    前記長尺平板状圧電体の幅を(a)とし、前記第1の基材上に配置された前記長尺平板状圧電体の幅方向を前記第1の基材の幅方向と定め、前記第1の基材の幅を(b)としたとき、(b)>(a)の関係を満たす積層体。
  2. 前記第1の基材の少なくとも一方の面上に、前記長尺平板状圧電体を複数有し、隣接する前記長尺平板状圧電体同士が互いに間隔を開けて略平行に配列される請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1の基材の少なくとも一方の面上に配置された前記長尺平板状圧電体の面上に、さらに第2の基材を有する請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  4. 前記長尺平板状圧電体の幅に対する長さの比が、30以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記第1の基材と前記長尺平板状圧電体との間に、さらに接着層を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記ヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記ヘリカルキラル高分子(A)は、光学純度が95.00%ee以上である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記長尺平板状圧電体における前記ヘリカルキラル高分子(A)の含有量が、80質量%以上である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記第1の基材と、前記第1の基材の少なくとも一方の面上に配置され、前記長尺平板状圧電体の少なくとも一方の主面の側に機能層を有する機能層付長尺平板状圧電体と、を有する積層体である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記機能層付長尺平板状圧電体の前記機能層が、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含む請求項9に記載の積層体。
  11. 前記機能層付長尺平板状圧電体の機能層が、電極層を含む請求項9又は請求項10に記載の積層体。
  12. 前記機能層付長尺平板状圧電体の表面層の少なくとも一方が電極層である請求項11に記載の積層体。
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