JP6654947B2 - 編物及び編物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、編物及び編物の製造方法に関する。
近年、ヘリカルキラル高分子を含む圧電体を、センサーやアクチュエーター等の圧電デバイスへ応用をすることが検討されている。このような圧電デバイスには、フィルム形状の圧電体が用いられている。
上記圧電体におけるヘリカルキラル高分子として、ポリペプチドやポリ乳酸系高分子等の光学活性を有する高分子を用いることが着目されている。中でも、ポリ乳酸系高分子は、機械的な延伸操作のみで圧電性を発現することが知られている。ポリ乳酸系高分子を用いた圧電体においては、ポーリング処理が不要であり、また、圧電性が数年にわたり減少しないことが知られている。
例えば、ポリ乳酸系高分子を含む圧電体として、圧電定数d14が大きく、透明性に優れる圧電体が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、最近、圧電性を有する材料を、繊維又は布として利用する試みもなされている。
例えば、圧電性の材料より成り圧電性を付与された柔軟性のある紐状の素材であって、該紐状の素材の対向する表面には長手方向に沿って設けた電極膜を有し、更に前記電極膜の外側を覆う絶縁皮膜を有する圧電性ファイバー、及び、この圧電性ファイバーを用いた圧電性織物デバイス(圧電テキスタイル)が知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、2本の導電性繊維及び1本の圧電性繊維を含み、これらが互いに接点を有しつつ、略同一平面状に配置されている圧電単位を含む圧電素子が知られている(例えば、特許文献4参照)。
特許第4934235号公報 国際公開第2010/104196号 特許第4922482号公報 国際公開第2014/058077号
ところで、フィルム形状の圧電体(例えば、特許文献1及び2の実施例における圧電体)を、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所で使用した場合(例えば、ウェアラブル製品の一部又は全部として使用した場合)、変形により圧電体中に折れやシワ等の損傷が生じ、その結果、圧電感度(例えば、圧電体をセンサーとして用いた場合のセンサー感度、及び、圧電体をアクチュエーターとして用いた場合の動作感度。以下同じ。)が低下する場合がある。
また、特許文献3では、圧電性の材料としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)が記載されているが、PVDFは経時的に圧電定数の変動が見られ、経時により圧電定数が低下する場合がある。また、PVDFは、強誘電体であるため焦電性を有し、このため、周囲の温度変化により圧電信号出力が変動する場合がある。従って、特許文献3に記載の圧電性織物デバイスは、圧電感度の安定性(経時又は温度変化に対する安定性)が不足する場合がある。
また、特許文献4に記載の圧電性繊維は溶融紡糸された繊維であり、その断面が円形であるため、上記圧電性繊維の表面に、対向する一対の電極層を形成することが困難である。このため、特許文献4に記載の圧電素子では、圧電性繊維とは別に、圧電性繊維を挟む電極としての導電性繊維が存在している。特許文献4に記載の圧電素子では、圧電性繊維を挟む電極間距離が長いことに起因して圧電感度が不足する場合や、圧電性繊維と電極とが密着していないことに起因して圧電感度の安定性が不足する場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明の目的は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用でき、圧電感度(例えば、センサーとして用いた場合のセンサー感度、並びに、アクチュエーターとして用いた場合の動作感度)に優れ、圧電感度の安定性、及び耐久性にも優れた編物及び編物の製造方法を提供することである。
前記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> 地糸と、複数の挿入糸と、を含む編組織を有し、前記複数の挿入糸のうちの少なくとも1本が長尺平板状圧電体を含み、前記長尺平板状圧電体は、重量平均分子量5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、厚さに対する幅の比が2以上である長尺平板形状を有し、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、複屈折が0.01〜0.03である編物。
<2> 前記長尺平板状圧電体の幅aと、前記長尺平板状圧電体に対して略平行に配置された挿入糸との離隔距離bと、が下記式(I)を満たす<1>に記載の編物。
0.1 < b/a < 4.0 (I)
<3> 前記長尺平板状圧電体の幅aが0.1mm〜30mmである<1>又は<2>に記載の編物。
<4> 前記長尺平板状圧電体の幅aに対する前記長尺平板状圧電体の長さの比が、10以上である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の編物。
<5> 前記長尺平板状圧電体の長さ方向と、前記ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の編物。
<6> 前記ヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の編物。
<7> 前記ヘリカルキラル高分子(A)は、光学純度が95.00%ee以上である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の編物。
<8> 前記長尺平板状圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の含有量が、80質量%以上である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の編物。
<9> 前記複数の挿入糸の少なくとも1本が、前記長尺平板状圧電体の少なくとも一方の主面の側に機能層を備える機能層付長尺平板状圧電体である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の編物。
<10> 前記機能層が、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含む<9>に記載の編物。
<11> 前記機能層が、電極層を含む<9>又は<10>に記載の編物。
<12> 前記機能層付長尺平板状圧電体の表面層の少なくとも一方が電極層である<11>に記載の編物。
<13> 編物の一方の面の側から見たときに、前記機能層付長尺平板状圧電体が反転領域を含まないか、又は、前記機能層付長尺平板状圧電体が反転領域を含み前記機能層付長尺平板状圧電体中に占める前記反転領域の面積が25%以下である<12>に記載の編物。
<14> <1>〜<13>のいずれか1つに記載の編物を製造する方法であって、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が25〜700である圧電フィルムを準備する準備工程と、前記圧電フィルムをスリットして前記長尺平板状圧電体を得るスリット工程と、前記長尺平板状圧電体を使用して、複数の挿入糸とのうちの少なくとも1本が前記長尺平板状圧電体を含む編物を編成する編成工程と、を有する編物の製造方法。
<15> 前記準備工程は、前記圧電フィルムの少なくとも一方の主面の側に機能層を備える機能層付圧電フィルムを準備する準備工程である<14>に記載の編物の製造方法。
本発明によれば、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用でき、圧電感度(例えば、センサーとして用いた場合のセンサー感度、並びに、アクチュエーターとして用いた場合の動作感度)に優れ、圧電感度の安定性、及び耐久性にも優れた編物及び編物の製造方法が提供される。
本明細書における編物の各部分を説明する概略図である。 長尺平板状圧電体の幅aと離隔距離bとを説明する概略図である。 本実施形態の編物を概念的に示す概略平面図である。 実施例における評価サンプル(引出電極付き編物)を概念的に示す概略平面図である。 出力の評価装置を概念的に示す概略平面図である。 出力の評価装置を概念的に示す概略側面図である。 実施例における耐久性の評価において、ウレタンフォームを伸ばした状態を示す概略側面図である。 実施例における耐久性の評価において、ウレタンフォームを曲げ変形させた状態を示す概略側面図である。 比較例における評価サンプルを概念的に示す概略平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「編物」とは、地糸と挿入糸とを含む編組織を有するもの全般を指す。ここでいう「地糸」の概念には、一般的な編物の構成部材である「糸」及び「繊維」が包含される。また、「挿入糸」の概念には、一般的な編物の構成部材である「糸」及び「繊維」が包含されるが、「糸」及び「繊維」以外にも「長尺平板状圧電体」並びにその他の長尺形状の部材も包含される。また、編物は、地糸が編目を有し連続された編目で構成される点で、編目を有さない「織物」とは区別される。
図1に本明細書における編物の各部分を説明する概略図を示す。図1の編物1は、地糸2と挿入糸3とを含む編組織を有し、地糸2により編目4が形成されている。また、図1のCで示した方向をいずれもコース(course)と呼び、Wで示した方向をいずれもウェール(wale)と呼ぶ。
本明細書において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているものをも包含する概念である。
本明細書において、「MD方向」とはフィルムの流れる方向(Machine Direction)、すなわち、延伸方向であり、「TD方向」とは、前記MD方向と直交し、フィルムの主面と平行な方向(Transverse Direction)である。
本明細書において、長尺平板状圧電体の「主面」とは、長尺平板状圧電体の厚さ方向に直交する面(言い換えれば、長さ方向及び幅方向を含む面)を意味する。編物の「主面」についても同様である。
本明細書中において、部材の「面」は、特に断りが無い限り、部材の「主面」を意味する。
本明細書において、厚さ、幅、及び長さは、通常の定義どおり、厚さ<幅<長さの関係を満たす。
本明細書において、2つの線分のなす角度は、0°以上90°以下の範囲で表す。
本明細書中において、「略平行」とは、2つの線分のなす角度が、0°以上30°未満(好ましくは0°以上22.5°以下、より好ましくは0°以上10°以下、更に好ましくは0°以上5°以下、特に好ましくは0°以上3°以下)であることを指す。
〔編物〕
本実施形態の編物は、地糸と、複数の挿入糸と、を含む編組織を有し、前記複数の挿入糸のうちの少なくとも1本が長尺平板状圧電体を含む。
本実施形態の編物における長尺平板状圧電体は、重量平均分子量5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、厚さに対する幅の比が2以上である長尺平板形状を有し、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、複屈折が0.01〜0.03である。
本実施形態の編物は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用でき、圧電感度(例えば、センサーとして用いた場合のセンサー感度、並びに、アクチュエーターとして用いた場合の動作感度)に優れ、圧電感度の安定性及び耐久性にも優れる。
より詳細には、本実施形態の編物は、地糸と複数の挿入糸とを含む編組織を有することで、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用した場合においても、変形の自由度が大きい(即ち、伸縮性及び柔軟性に優れる)。このため、本実施形態の編物は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所で使用した場合においても、圧電体の損傷(折れ、シワ、等)を抑制しながら優れた圧電感度が維持される。
従って本実施形態の編物は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所で使用した場合においても、圧電感度に優れ、圧電感度の安定性(特に、繰り返し変形に対する安定性)及び耐久性(特に、繰り返し変形に起因する折れ、シワの発生を抑制する性質)に優れる。
このため、本実施形態の編物は、例えばウェアラブル製品(例えば後述する編物の用途)の一構成部材として好適に使用できる。
本実施形態の編物は、長尺平板状圧電体が、ヘリカルキラル高分子(A)を含むこと、結晶化度が20%以上であること、及び複屈折が0.01以上であることにより、圧電性が確保されている。その上で、前記長尺平板状圧電体は、厚さに対する幅の比が2以上である長尺平板形状を有している。
本実施形態の編物は、挿入糸のうち、少なくとも1本が上記の長尺平板状圧電体を含むことで、フィルム形状の圧電体(圧電フィルム)と比較して、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用した場合においても柔軟性に優れるため、圧電感度に優れ、圧電感度の安定性(特に、繰り返し変形に対する安定性)に優れる。
また、例えば特許文献1及び特許文献2の実施例に示されているように、ポリ乳酸等のヘリカルキラル高分子を含むフィルム形状の圧電体(圧電フィルム)は、圧電性(詳細には、圧電定数d14)の観点から、好ましくは、圧電フィルムの分子配向の方向(例えば延伸方向)と圧電フィルムの一辺とのなす角度が45°となるようにカットされた状態で用いられる。
しかし、本発明者等の検討により、ヘリカルキラル高分子を含む長尺平板形状の圧電体(即ち、本実施形態における長尺平板状圧電体)においては、圧電体の分子配向の方向(例えば延伸方向)と圧電体の一辺とのなす角度が45°でなくとも、十分な圧電感度が得られることがわかった。
従って、本実施形態における長尺平板状圧電体は、ヘリカルキラル高分子を含むフィルム形状の圧電体と比較して、圧電体の分子配向の方向(例えば延伸方向)と圧電体の一辺とのなす角度45°でなくとも、すなわち、長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、の角度に関わらず十分な圧電感度が得られるという利点を有する。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体は、長尺平板形状を有することにより、上述した特許文献4に記載の圧電性繊維(即ち、断面形状が円形である圧電性繊維)とは異なり、対向する一対の電極層を圧電体の表面に形成すること、即ち、圧電体の両方の主面に電極層を形成することが容易である。このため、本実施形態における長尺平板状圧電体を用いた場合には、上記圧電性繊維を用いた場合と比較して、電極間距離を短くできるので、圧電感度を向上させることができる。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体を用いた場合には、上記圧電性繊維を用いた場合と比較して、圧電体と電極層とを密着させることができるので、圧電感度の安定性も向上させることができる。
更に、本実施形態における長尺平板状圧電体を用いた場合には、上記圧電性繊維を用いた場合と比較して、圧電体の長さ方向に渡り、向きを揃えて電極層を形成できるので、圧電感度及び圧電感度の安定性に優れる。これに対し、上記圧電性繊維を用いた場合には、その表面に、互いに対向する一対の電極層を、電気的短絡(ショート)を生じさせることなく形成すること自体が困難である。更に、仮に、上記圧電性繊維に電極層を形成できた場合でも、圧電性繊維のねじれが生じやすいために、長さ方向に渡って向きを揃えて電極層を形成することが困難である。また、圧電性繊維を編物にする際に、編物の主面に電極層を揃えて配置することが困難である。繊維のねじれによって電極層がねじれた場合には、電気的短絡(ショート)により、圧電感度が低下する場合や、圧電感度の安定性が低下する場合がある。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体はヘリカルキラル高分子(A)を含む。
ヘリカルキラル高分子(A)は、上述の特許文献3に記載されたポリフッ化ビニリデン(PVDF)と比較して、経時による圧電定数の変動が少なく、また、温度変化による出力の変動も少ない。従って、本実施形態における長尺平板状圧電体を用いた場合には、特許文献3に記載の圧電性ファイバーを用いた場合と比較して、圧電感度の安定性(特に、経時や温度変化に対する安定性)が向上する。
≪編組織≫
以下、本実施形態の編物の編組織に関し、より詳細に説明する。
本実施形態の編物は、上述のとおり、地糸と、複数の挿入糸と、を含む編組織を有し、前記複数の挿入糸のうち、少なくとも一本が長尺平板状圧電体を含む。
編組織の種類としては、特に制限されず、例えば、インレイ編(inlay stitch)、挿入編等の基本的な編組織が挙げられる。
長尺平板状圧電体は、編物における挿入糸のうちの少なくとも1本に含まれていればよい。つまり、挿入糸自体が長尺平板状圧電体であってもよく、挿入糸の一部が長尺平板状圧電体であってもよい。
本実施形態の編物は、長尺平板状圧電体の幅aと、前記長尺平板状圧電体に対して略平行に配置された挿入糸との離隔距離bと、が下記式(I)を満たすことが好ましい。図2に、長尺平板状圧電体11及び前記長尺平板状圧電体に対して略平行に配置された挿入糸12、並びに長尺平板状圧電体の幅a及び前記長尺平板状圧電体に対して略平行に配置された挿入糸との離隔距離bの関係を示す。なお、前記離隔距離bは、長尺平板状圧電体と長尺平板状圧電体に対して略平行に配置された挿入糸との最近接距離を採用する。
0.1 < b/a < 4.0 (I)
前記幅aは、0.1mm〜30mmであることが好ましく、0.5mm〜15mmであることがより好ましく、0.5mm〜8mmであることが更に好ましく、0.5mm〜6mmであることが更に好ましく1mm〜4mmであることが更に好ましく、1mm〜3mmであることが特に好ましい。
幅aが0.1mm以上であると、長尺平板状圧電体の強度が確保される。更に、長尺平板状圧電体の製造適性(例えば、後述するスリット工程における製造適性)にも優れる。また、幅aが0.5mm以上であると、長尺平板状圧電体の強度がより向上する。更に、長尺平板状圧電体のねじれをより抑制できるので、圧電感度及びその安定性がより向上する。
一方、幅が30mm以下であると、長尺平板状圧電体の変形の自由度(柔軟性)が向上する。また、幅が15mm以下であると、長尺平板状圧電体の変形の自由度(柔軟性)がより向上する。
前記離隔距離bは、0.01mm〜100mmであることが好ましく、0.1mm〜10mmであることがより好ましく、0.5mm〜5mmであることが更に好ましい。
離隔距離bが0.01mm以上であると、編物の変形の自由度(柔軟性)が向上する。
一方、離隔距離bが100mm以下であると、圧電体による出力が向上するため、より圧電感度に優れる。
前記幅aに対する前記離隔距離bの比率(b/a)が、0.1を超えると、編物を凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用した場合においても、伸縮性及び柔軟性に優れるため、圧電体の損傷(折れ、シワ、等)を抑制しながら優れた圧電感度が維持され、圧電感度に優れ、圧電感度の安定性(特に、繰り返し変形に対する安定性)及び耐久性(特に、繰り返し変形に起因する折れ、シワの発生を抑制する性質)に優れる。
一方、前記幅aに対する前記離隔距離bの比率(b/a)が、4.0未満であると、編物における圧電体の領域が多くなり、また、歪の伝達効率が優れるため高い出力が得られる。このため、本実施形態の編物は、圧電感度(例えば、センサーとして用いた場合のセンサー感度、並びに、アクチュエーターとして用いた場合の動作感度)に優れる。
前記比率(b/a)は、耐久性の観点から、0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。一方、前記比率(b/a)は、圧電感度の観点から、3以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることが更に好ましい。
本実施形態の編物において、長尺平板状圧電体(第1長尺平板状圧電体)に対して略平行に配置された挿入糸は、長尺平板状圧電体(第2長尺平板状圧電体)であってもよく、一般的な編物の構成部材である糸及び繊維であってもよく、その他の長尺形状の部材であってもよい。また、これらを併用してもよい。
第2長尺平板状圧電体としては、第1長尺平板状圧電体と同一の長尺平板状圧電体であってもよく、異なる長尺平板状圧電体であってもよい。編物の生産性の観点から、第1長尺平板状圧電体と第2長尺平板状圧電体とが同一の長尺平板状圧電体であることが好ましい。長尺平板状圧電体の詳細については後述する。
糸及び繊維としては、特に制限されない。
繊維の種類としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリクラール繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、アセテート繊維、プロミックス繊維、ビスコース繊維、銅アンモニア繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、綿、麻、毛、絹などの繊維が挙げられる。
繊維の形態としては、上記繊維のモノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよく、また複数の種類の繊維が混合されたマルチフィラメントであってもよく、フィラメントが芯鞘構造を有していてもよい。
繊維の断面形状としては、例えば、丸型、楕円型、偏平型、W型、繭型、中空糸等が挙げられる。
また、繊維の使用形態は特に限定されず、原糸及び仮撚加工糸等の捲縮加工糸、長繊維、紡績糸、2種以上の繊維を撚糸、カバーリング、エアー混繊等により混合した複合糸等が挙げられる。
糸は上記繊維を撚ることで作製したものであり、糸の種類、形態、断面形状、及び使用形態は、上記繊維と同様である。
糸及び繊維としては市販品を用いてもよい。糸及び繊維の市販品としては、例えば、ユザワヤ商事(株)の「ヘアリーコットン」、「マンセルメリノ80クイーン」、及び「クィーンパールレース糸 #20」、ユニチカ(株)の「テラマック#20/1」、ダイヤ毛糸(株)の「マスターシートコットン<リリー>」、BEAD SMITH社の「オペロンゴム」、ハマナカ(株)の「ラブボニー」、並びに(株)ダイドーインターナショナルの「ミニスポーツ」が挙げられる。
その長尺形状の部材としては、例えば高分子を含む部材が挙げられる。
高分子を含む部材における高分子としては、ポリエステル、ポリオレフィン等の一般的な高分子が挙げられる。
本実施形態の編物は、編物の一方の面の側から見たときに、後述の機能層付長尺平板状圧電体が反転領域を含まないか、又は、機能層付長尺平板状圧電体が反転領域を含み機能層付長尺平板状圧電体中に占める前記反転領域の面積が25%以下であることが好ましい。
これにより、変形量と電荷量との線形性及び出力がより向上する。
ここで、変形量と電荷量との線形性とは、圧電体に印加した変形の量に対する発生電圧の線形性(センサーの場合)、又は、圧電体に印加した電圧の量に対する圧電体の変形量の線形性(アクチュエーターの場合)を意味する。
変形量と電圧との線形性が高いことは、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも、圧電感度を高く維持できることを意味する。
ここで、「機能層付長尺平板状圧電体が反転領域を含む」とは、機能層付長尺平板状圧電体の長さ方向を軸としたねじれが生じることにより、編物の一方の面の側から見たときに、機能層付長尺平板状圧電体の一方の主面及び他方の主面の両方が確認されることを意味する。この場合において、一方の主面及び他方の主面の面積が異なる場合には、面積が小さい方の主面を「反転領域」とし、面積が大きい方の主面を「非反転領域」とする。両者の面積が等しい場合には、いずれを反転領域としてもよい。
また、「編物の一方の面の側から見たときに、前記機能層付長尺平板状圧電体が反転部を含まないか、又は、前記機能層付長尺平板状圧電体が反転部を含み前記機能層付長尺平板状圧電体中に占める前記反転部の面積が25%以下である」とは、要するに、機能層付長尺平板状圧電体の長さ方向を軸としたねじれが生じていないか、又は、上記ねじれが抑制されていることを示す。
また、本実施形態の編物において、機能層付長尺平板状圧電体は、編物の一方の主面の側から見たときに、機能層付長尺平板状圧電体の主面が見える方向に配置されていることが好ましい。かかる態様であると、より高い圧電性が得られる。
≪長尺平板状圧電体≫
以下、本実施形態における長尺平板状圧電体に関し、より詳細に説明する。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、厚さに対する幅の比が2以上である長尺平板形状を有し、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、複屈折が0.01〜0.03である長尺平板状圧電体である。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、厚さが1μm〜200μmであることが好ましい。
厚さが1μm以上であると、長尺平板状圧電体の強度が確保される。更に、長尺平板状圧電体の製造適性にも優れる。
一方、厚さが200μm以下であると、長尺平板状圧電体の厚さ方向の変形の自由度(柔軟性)がより向上する。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、幅が0.1mm〜30mmであることが好ましい。
幅が0.1mm以上であると、長尺平板状圧電体の強度が確保される。更に、長尺平板状圧電体の製造適性(例えば、後述するスリット工程における製造適性)にも優れる。
一方、幅が30mm以下であると、長尺平板状圧電体の変形の自由度(柔軟性)がより向上する。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、厚さに対する幅の比(以下、「比〔幅/厚さ〕」ともいう)が2以上である。
比〔幅/厚さ〕が2以上であることにより、主面が明確となるので、長尺平板状圧電体の長さ方向に渡って向きを揃えて電極層を形成し易い(例えば、主面の少なくとも一方に電極層を形成し易い)。また、長尺平板状圧電体を編物にする際に、編物の主面に電極層を揃えて配置することが容易である。このため、圧電感度に優れ、また、圧電感度の安定性にも優れる。
本実施形態における長尺平板状圧電体の幅aは、上述のとおりであり、好ましい態様も同じである。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、幅aに対する長さの比(以下、比〔長さ/幅a〕ともいう)は、10以上であることが好ましい。
比〔長さ/幅a〕が10以上であると、長尺平板状圧電体の変形の自由度(伸縮性及び柔軟性)がより向上する。更に、長尺平板状圧電体が適用される圧電デバイス(例えば後述の編物)において、より広範囲に渡り、圧電性を付与できる。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、ヘリカルキラル高分子(A)は、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子であることが好ましい。これにより、圧電性がより向上する。更に、PVDFを含む圧電体と比較して、経時や温度変化に対する圧電感度の安定性がより向上する。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、ヘリカルキラル高分子(A)は、圧電性をより向上させる観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましい。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、ヘリカルキラル高分子(A)の含有量は、圧電性をより向上させる観点から、80質量%以上であることが好ましい。ここで、ヘリカルキラル高分子(A)の含有量は、長尺平板状圧電体全体に対する含有量を意味する。
本実施形態における長尺平板状圧電体において、長尺平板状圧電体の長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることが好ましい。
長尺平板状圧電体の長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であると、長尺平板状圧電体が長さ方向への引張に強い(即ち、長さ方向の引張強度に優れる)という利点を有する。このため、長尺平板状圧電体は、大きな変形を加えても破断しにくいので、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所でも使用できる。
更に、長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、長尺平板状圧電体の生産性、例えば、延伸された圧電フィルムをスリットして長尺平板状圧電体を得る際の生産性の面でも有利である。
本明細書中において、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とは、ヘリカルキラル高分子(A)の主たる配向方向を意味する。ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、後述する分子配向度MORを測定することによって確認できる。また、フィルムの延伸及び延伸されたフィルムのスリットを経て長尺平板状圧電体を製造する場合、製造された長尺平板状圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。ここで、主延伸方向とは、一軸延伸の場合には延伸方向を指し、二軸延伸の場合には、延伸倍率が高い方の延伸方向を指す。
その上で、本実施形態における長尺平板状圧電体は、厚さが1μm〜200μmであることが好ましく、かつ、幅が0.1mm〜30mmであることが好ましく、厚さに対する幅の比が2以上である長尺平板形状を有している。
<長尺平板形状>
本実施形態における長尺平板状圧電体は、上述した長尺平板形状を有する。
具体的には、本実施形態における長尺平板状圧電体の厚さは、上述のとおり0.001mm〜0.2mmであること好ましい。厚さとしては、0.01mm〜0.2mmがより好ましく、0.02mm〜0.15mmが更に好ましく、0.03mm〜0.1mmが更に好ましく、0.03mm〜0.07mmが更に好ましく、0.04mm〜0.06mmが特に好ましい。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体の幅は、上述のとおり、0.1mm〜30mmであることが好ましく、0.5mm〜15mmであることがより好ましく、0.5mm〜8mmであることが更に好ましい。更に好ましくは、0.5mm〜6mmであり、更に好ましくは1mm〜4mmであり、特に好ましくは1mm〜3mmである。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体において、上述のとおり、比〔幅/厚さ〕は2以上である。比〔幅/厚さ〕としては、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が更に好ましく、100以上が特に好ましい。なお、比〔幅/厚さ〕の上限は、幅及び厚さの各値に合わせて自動的に定まる。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体において、上述のとおり、幅に対する長さの比(以下、比〔長さ/幅〕ともいう)が10以上であることが好ましい。比〔長さ/幅〕は、15以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。
本実施形態における長尺平板状圧電体の長さの上限には特に制限はない。但し、本実施形態における長尺平板状圧電体の長さは、圧電デバイスに適用し易い点から、1000mm以下であることが好ましく、500mm以下であることがより好ましく、300mm以下であることが更に好ましく、100mm以下であることが特に好ましい。
<結晶化度>
本実施形態における長尺平板状圧電体の結晶化度は、DSC法によって測定される値である。
本実施形態における長尺平板状圧電体の結晶化度は、20%〜80%である。
結晶化度が20%以上であることにより、圧電性が高く維持される。結晶化度が80%以下であることにより、長尺平板状圧電体の透明性が高く維持される。また、結晶化度が80%以下であることにより、長尺平板状圧電体の原料となる圧電フィルムを延伸によって製造する際に白化や破断がおきにくいので、長尺平板状圧電体を製造しやすい。
従って、長尺平板状圧電体の結晶化度は20%〜80%であるが、上記結晶化度は、好ましくは25%〜70%であり、より好ましくは30%〜50%である。
<複屈折>
本実施形態における長尺平板状圧電体の複屈折は、0.01〜0.03である。
複屈折は、長尺平板状圧電体の面内位相差(即ち、主面に対して平行な面内での位相差)(レターデーションRe)を、長尺平板状圧電体の厚さで除した値である。
面内位相差は、例えば、大塚電子(株)製の位相差フィルム・光学材料検査装置「RETS−100」、(株)フォトニックラティス製のワイドレンジ複屈折評価システム「WPA−100」を用いて測定することができる。
複屈折は、ヘリカルキラル高分子(A)の配向の度合いに関係している。複屈折が0超であるとヘリカルキラル高分子(A)が配向していることを意味する。
本実施形態における長尺平板状圧電体では、複屈折が0.01以上であることにより、一方向(例えば主延伸方向)に配列するヘリカルキラル高分子(A)の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多くなり、その結果、十分な圧電性が確保される。
複屈折が0.03以下であると、長尺平板状圧電体の引裂強度(特に、長尺平板状圧電体の長さ方向の引裂に対する強度)が確保される。このため、本実施形態における長尺平板状圧電体は、凹凸が大きい場所や変形量が大きい場所での使用にも耐え得る。
また、本実施形態における長尺平板状圧電体の複屈折は、0.01〜0.03であるが、0.012〜0.028であることが好ましく、0.015〜0.025であることがより好ましい。更に好ましくは、0.018〜0.024であり、特に好ましくは0.020〜0.023である。
<規格化分子配向MORc>
本実施形態における長尺平板状圧電体は、規格化分子配向MORcが2.0〜15.0であることが好ましい。
規格化分子配向MORcは、ヘリカルキラル高分子(A)の配向の度合いを示す指標である「分子配向度MOR」に基づいて定められる値である。
ここで、分子配向度MOR(Molecular Orientation Ratio)は、以下のようなマイクロ波測定法により測定される。
すなわち、複数の長尺平板状圧電体を、周知のマイクロ波分子配向度測定装置(マイクロ波透過型分子配向計ともいう)のマイクロ波共振導波管中に、隙間なく並べる。この時、マイクロ波の進行方向に対し各長尺平板状圧電体の主面が垂直になるように配置する。
そして、振動方向が一方向に偏ったマイクロ波を試料に連続的に照射した状態で、上記複数の長尺平板状圧電体をマイクロ波の進行方向と垂直な面内で0〜360°回転させて、試料を透過したマイクロ波強度を測定することにより、各長尺平板状圧電体の分子配向度MORを求める。
規格化分子配向MORcは、基準厚さtcを50μmとしたときの分子配向度MORであって、下記式により求めることができる。
MORc=(tc/t)×(MOR−1)+1
(tc:補正したい基準厚さ、t:長尺平板状圧電体の厚さ)
規格化分子配向MORcは、公知の分子配向計、例えば王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA−2012AやMOA−6000等により、4GHzもしくは12GHz近傍の共振周波数で測定することができる。
長尺平板状圧電体は、規格化分子配向MORcが2.0〜15.0であることが好ましく、2.0〜10.0であることがより好ましく、4.0〜10.0であることが更に好ましい。
規格化分子配向MORcが2.0以上であれば、延伸方向に配列するヘリカルキラル高分子(A)の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多く、その結果、配向結晶の生成する率が高くなり、より高い圧電性を発現することが可能となる。
規格化分子配向MORcが15.0以下であれば、縦裂強度が更に向上する。
なお、MORcと前述の位相差(以下、「Δn」ともいう)とは大凡、直線的な比例関係にあり、かつΔnが0の場合、MORcは1になる。
<規格化分子配向MORcと結晶化度との積>
長尺平板状圧電体の規格化分子配向MORcと結晶化度との積は、好ましくは25〜700であり、より好ましくは40〜700であり、更に好ましくは75〜680であり、更に好ましくは90〜660であり、更に好ましくは125〜650であり、特に好ましくは150〜350である。上記の積が25〜700の範囲にあれば、長尺平板状圧電体の圧電性と透明性とのバランスが良好であり、かつ寸法安定性も高い。
本実施形態における長尺平板状圧電体は、例えば、原料である高分子圧電フィルムを製造する際の結晶化及び延伸の条件を調整することにより、上記の積を上記範囲に調整することができる。
<透明性(内部ヘイズ)>
本実施形態における長尺平板状圧電体において、透明性は特に要求されないが、透明性を有していてももちろん構わない。
長尺平板状圧電体の透明性は、内部ヘイズを測定することにより評価することができる。ここで、長尺平板状圧電体の内部ヘイズとは、長尺平板状圧電体の外表面の形状によるヘイズを除外したヘイズを指す。
長尺平板状圧電体は、透明性が要求される場合には、可視光線に対する内部ヘイズが5%以下であることが好ましく、透明性及び縦裂強度をより向上させる観点からは、2.0%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましい。長尺平板状圧電体の前記内部ヘイズの下限値は特に限定はないが、下限値としては、例えば0.01%が挙げられる。
長尺平板状圧電体の内部ヘイズは、厚さ0.03mm〜0.05mmの長尺平板状圧電体に対して、JIS−K7105に準拠して、ヘイズ測定機〔(有)東京電色社製、TC−HIII DPK〕を用いて25℃で測定したときの値である。
以下、長尺平板状圧電体の内部ヘイズの測定方法の例を示す。
まず、ガラス板2枚の間に、シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、信越シリコーン(商標)、型番:KF96−100CS)のみを挟んだサンプル1を準備し、このサンプル1の厚さ方向のヘイズ(以下、ヘイズ(H2)とする)を測定する。
次に、上記のガラス板2枚の間に、シリコーンオイルで表面を均一に塗らした複数の長尺平板状圧電体を隙間なく並べて挟んだサンプル2を準備し、このサンプル2の厚さ方向のヘイズ(以下、ヘイズ(H3)とする)を測定する。
次に、下記式のようにこれらの差をとることにより、長尺平板状圧電体の内部ヘイズ(H1)を得る。
内部ヘイズ(H1)=ヘイズ(H3)−ヘイズ(H2)
ここで、ヘイズ(H2)及びヘイズ(H3)の測定は、それぞれ、下記測定条件下で下記装置を用いて行う。
測定装置:東京電色社製、HAZE METER TC−HIIIDPK
試料サイズ:幅30mm×長さ30mm
測定条件:JIS−K7105に準拠
測定温度:室温(25℃)
<ヘリカルキラル高分子(A)>
本実施形態における長尺平板状圧電体は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含む。
ここで、「光学活性を有するヘリカルキラル高分子」とは、分子構造が螺旋構造であり分子光学活性を有する高分子を指す。
ヘリカルキラル高分子(A)は、上記の「光学活性を有するヘリカルキラル高分子」のうち、重量平均分子量が5万〜100万である高分子である。
上記ヘリカルキラル高分子(A)としては、例えば、ポリペプチド、セルロース誘導体、ポリ乳酸系高分子、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β―ヒドロキシ酪酸)等を挙げることができる。
上記ポリペプチドとしては、例えば、ポリ(グルタル酸γ−ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ−メチル)等が挙げられる。
上記セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロース、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)は、長尺平板状圧電体の圧電性を向上する観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましく、96.00%ee以上であることがより好ましく、99.00%ee以上であることがさらに好ましく、99.99%ee以上であることがさらにより好ましい。特に、好ましくは100.00%eeである。ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度を上記範囲とすることで、圧電性を発現する高分子結晶のパッキング性が高くなり、その結果、圧電性が高くなるものと考えられる。
ここで、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%ee)=100×|L体量−D体量|/(L体量+D体量)
すなわち、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、
『「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との量差(絶対値)」を「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との合計量」で割った(除した)数値』に、『100』をかけた(乗じた)値である。
なお、ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法により得られる値を用いる。具体的な測定の詳細については後述する。
ヘリカルキラル高分子(A)としては、上述したとおり、式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子が好ましい。
ここで、ポリ乳酸系高分子とは、「ポリ乳酸(L−乳酸及びD−乳酸から選ばれるモノマー由来の繰り返し単位のみからなる高分子)」、「L−乳酸又はD−乳酸と、該L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」、又は、両者の混合物をいう。
ポリ乳酸系高分子の中でも、ポリ乳酸が好ましく、L−乳酸のホモポリマー(PLLA)又はD−乳酸のホモポリマー(PDLA)が特に好ましい。
ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合し、長く繋がった高分子である。
ポリ乳酸は、ラクチドを経由するラクチド法;溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法;などによって製造できることが知られている。
ポリ乳酸としては、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むブロックコポリマー、及び、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むグラフトコポリマーが挙げられる。
上記「L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物」としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸;グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸及びこれらの無水物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール;セルロース等の多糖類;α−アミノ酸等のアミノカルボン酸;等を挙げることができる。
上記「L−乳酸又はD−乳酸と、該L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」としては、らせん結晶を生成可能なポリ乳酸シーケンスを有する、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーが挙げられる。
また、ヘリカルキラル高分子(A)中におけるコポリマー成分に由来する構造の濃度は20mol%以下であることが好ましい。
例えば、ヘリカルキラル高分子(A)が、ポリ乳酸系高分子である場合、ポリ乳酸系高分子中における、乳酸に由来する構造と、乳酸と共重合可能な化合物(コポリマー成分)に由来する構造と、のモル数の合計に対して、コポリマー成分に由来する構造の濃度が20mol%以下であることが好ましい。
ポリ乳酸系高分子は、例えば、特開昭59−096123号公報、及び特開平7−033861号公報に記載されている乳酸を直接脱水縮合して得る方法;米国特許2,668,182号及び4,057,357号等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法;などにより製造することができる。
さらに、上記各製造方法により得られたポリ乳酸系高分子は、光学純度を95.00%ee以上とするために、例えば、ポリ乳酸をラクチド法で製造する場合、晶析操作により光学純度を95.00%ee以上の光学純度に向上させたラクチドを、重合することが好ましい。
−重量平均分子量−
ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)は、前述のとおり5万〜100万である。
ヘリカルキラル高分子(A)のMwが5万以上であることにより、長尺平板状圧電体の機械的強度が向上する。上記Mwは、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。
一方、ヘリカルキラル高分子(A)のMwが100万以下であることにより、成形(例えば押出成形)によって、長尺平板状圧電体の原料である高分子圧電フィルムを得る際の成形性が向上する。上記Mwは、80万以下であることが好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。
また、ヘリカルキラル高分子(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、長尺平板状圧電体の強度の観点から、1.1〜5であることが好ましく、1.2〜4であることがより好ましい。さらに1.4〜3であることが好ましい。
なお、ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて測定された、ポリスチレン換算のMw及びMw/Mnを指す。ここで、Mnは、ヘリカルキラル高分子(A)の数平均分子量である。
Mw及びMw/Mnの測定方法の例は、後述の実施例に示すとおりである。
ヘリカルキラル高分子(A)の例であるポリ乳酸系高分子としては、市販のポリ乳酸を用いることができる。
市販品としては、例えば、PURAC社製のPURASORB(PD、PL)、三井化学社製のLACEA(H−100、H−400)、NatureWorks LLC社製のIngeo(登録商標) biopolymer、等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)としてポリ乳酸系高分子を用いるときに、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)を5万以上とするためには、ラクチド法、又は直接重合法によりポリ乳酸系高分子を製造することが好ましい。
長尺平板状圧電体は、上述したヘリカルキラル高分子(A)を、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
長尺平板状圧電体中におけるヘリカルキラル高分子(A)の含有量(2種以上である場合には総含有量)は、圧電定数をより高める観点から、長尺平板状圧電体の全量に対し、80質量%以上が好ましい。
<安定化剤>
長尺平板状圧電体は、更に、一分子中に、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を含有することが好ましい。これにより、耐湿熱性をより向上させることができる。
安定化剤(B)としては、国際公開第2013/054918号の段落0039〜0055に記載された「安定化剤(B)」を用いることができる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にカルボジイミド基を含む化合物(カルボジイミド化合物)としては、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物が挙げられる。
モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、等が好適である。
また、ポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができる。従来のポリカルボジイミドの製造方法(例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4、p619−621)により、製造されたものを用いることができる。具体的には特許4084953号公報に記載のカルボジイミド化合物を用いることもできる。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド、等が挙げられる。
環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法などに基づいて合成することができる。
カルボジイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、東京化成社製、B2756(商品名)、日清紡ケミカル社製、カルボジライトLA−1(商品名)、ラインケミー社製、Stabaxol P、Stabaxol P400、Stabaxol I(いずれも商品名)等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)としては、イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にエポキシ基を含む化合物(エポキシ化合物)としては、フェニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、上述のとおり200〜60000であるが、200〜30000がより好ましく、300〜18000がさらに好ましい。
分子量が上記範囲内ならば、安定化剤(B)がより移動しやすくなり、耐湿熱性改良効果がより効果的に奏される。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、200〜900であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量200〜900は、数平均分子量200〜900とほぼ一致する。また、重量平均分子量200〜900の場合、分子量分布が1.0である場合があり、この場合には、「重量平均分子量200〜900」を、単に「分子量200〜900」と言い換えることもできる。
長尺平板状圧電体が安定化剤(B)を含有する場合、上記長尺平板状圧電体は、安定化剤を1種のみ含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
長尺平板状圧電体が安定化剤(B)を含む場合、安定化剤(B)の含有量は、ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対し、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.01質量部〜5質量部であることがより好ましく、0.1質量部〜3質量部であることがさらに好ましく、0.5質量部〜2質量部であることが特に好ましい。
上記含有量が0.01質量部以上であると、耐湿熱性がより向上する。
また、上記含有量が10質量部以下であると、透明性の低下がより抑制される。
安定化剤(B)の好ましい態様としては、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有し、且つ、数平均分子量が200〜900の安定化剤(B1)と、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を1分子内に2以上有し、且つ、重量平均分子量が1000〜60000の安定化剤(B2)とを併用するという態様が挙げられる。なお、数平均分子量が200〜900の安定化剤(B1)の重量平均分子量は、大凡200〜900であり、安定化剤(B1)の数平均分子量と重量平均分子量とはほぼ同じ値となる。
安定化剤として安定化剤(B1)と安定化剤(B2)とを併用する場合、安定化剤(B1)を多く含むことが透明性向上の観点から好ましい。
具体的には、安定化剤(B1)100質量部に対して、安定化剤(B2)が10質量部〜150質量部の範囲であることが、透明性と耐湿熱性の両立という観点から好ましく、50質量部〜100質量部の範囲であることがより好ましい。
以下、安定化剤(B)の具体例(安定化剤B−1〜B−3)を示す。
以下、上記安定化剤B−1〜B−3について、化合物名、市販品等を示す。
・安定化剤B−1 … 化合物名は、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドである。重量平均分子量(この例では、単なる「分子量」に等しい)は、363である。市販品としては、ラインケミー社製「Stabaxol I」、東京化成社製「B2756」が挙げられる。
・安定化剤B−2 … 化合物名は、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約2000のものとして、日清紡ケミカル社製「カルボジライトLA−1」が挙げられる。
・安定化剤B−3 … 化合物名は、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約3000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P」が挙げられる。また、重量平均分子量20000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P400」が挙げられる。
<その他の成分>
長尺平板状圧電体は、必要に応じ、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の公知の樹脂;シリカ、ヒドロキシアパタイト、モンモリロナイト等の公知の無機フィラー;フタロシアニン等の公知の結晶核剤;安定化剤(B)以外の安定化剤;等が挙げられる。
無機フィラー及び結晶核剤としては、国際公開第2013/054918号の段落0057〜0058に記載された成分を挙げることもできる。
≪機能層付長尺平板状圧電体≫
本実施形態の編物は、前記複数の挿入糸のうちの少なくとも1本が、前記長尺平板状圧電体の少なくとも一方の主面の側に機能層を備える機能層付長尺平板状圧電体であることが好ましい。
この場合、本実施形態の編物における機能層付平板状圧電体は、上述した本実施形態における長尺平板状圧電体と同様の効果が奏される。
機能層は、単層構造であっても二層以上からなる構造であってもよい。
例えば、長尺平板状圧電体の両方の主面の側に機能層が配置される場合、一方の主面(以下、便宜上、「オモテ面」ともいう)の側に配置される機能層、及び、他方の面(以下、便宜上、「ウラ面」ともいう)の側に配置される機能層は、それぞれ独立に、単層構造であっても二層以上からなる構造であってもよい。
機能層としては、様々な機能層が挙げられる。
機能層として、例えば、易接着層、ハードコート層、屈折率調整層、アンチリフレクション層、アンチグレア層、易滑層、アンチブロック層、保護層、接着層、帯電防止層、放熱層、紫外線吸収層、アンチニュートンリング層、光散乱層、偏光層、ガスバリア層、色相調整層、電極層などが挙げられる。
機能層は、これらの層のうちの二層以上からなる層であってもよい。
また、機能層としては、これらの機能のうちの2つ以上を兼ね備えた層であってもよい。
長尺平板状圧電体の両方の主面に機能層が設けられている場合は、オモテ面側に配置される機能層及びウラ面側に配置される機能層は、同じ機能層であっても、異なる機能層であってもよい。
また、機能層の効果には、長尺平板状圧電体表面のダイラインや打痕などの欠陥が埋められ、外観が向上するという効果もある。この場合は長尺平板状圧電体と機能層との屈折率差が小さいほど長尺平板状圧電体と機能層と界面の反射が低減し、より外観が向上する。
前記機能層は、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。これにより圧電デバイス(例えば、後述の編物)への適用がより容易となる。
前記機能層は、電極層を含むことがより好ましい。
電極層は、長尺平板状圧電体に接して設けられていてもよいし、電極層以外の機能層を介して設けられていてもよい。
本実施形態における機能層付長尺平板状圧電体の特に好ましい態様は、長尺平板状圧電体の両方の主面の側に機能層を備え、かつ、両面の機能層がいずれも電極層を含む態様である。
本実施形態における機能層付長尺平板状圧電体において、表面層の少なくとも一方が、電極層であることが好ましい。すなわち、本実施形態における機能層付長尺平板状圧電体において、オモテ面側の表面層及びウラ面側の表面層の少なくとも一方が、電極層であること(言い換えれば、電極層が露出していること)が好ましい。
これにより、機能層付長尺平板状圧電体を圧電デバイスの構成要素の一つとして用いた場合に、引出電極と機能層付長尺平板状圧電体の電極層との接続をより簡易に行うことができるので、圧電デバイスの生産性が向上する。
ここで、引出電極とは、機能層付長尺平板状圧電体の電極層と外部の回路とを電気的に接続させるための電極を指す。
この態様に対し、特許文献3に記載の圧電性ファイバーでは、電極層の外側を覆う絶縁皮膜が設けられているため、電極層と引出電極との接続方法が煩雑となり、圧電デバイスの生産性に劣る。
機能層の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば金属や金属酸化物等の無機物;樹脂等の有機物;樹脂と微粒子とを含む複合組成物;などが挙げられる。樹脂としては、例えば、温度や活性エネルギー線で硬化させることで得られる硬化物を利用することもできる。つまり、樹脂としては、硬化性樹脂を利用することもできる。
硬化性樹脂としては、例えばアクリル系化合物、メタクリル系化合物、ビニル系化合物、アリル系化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、エポキシド系化合物、グリシジル系化合物、オキセタン系化合物、メラミン系化合物、セルロース系化合物、エステル系化合物、シラン系化合物、シリコーン系化合物、シロキサン系化合物、シリカ−アクリルハイブリット化合物、及びシリカ−エポキシハイブリット化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料(硬化性樹脂)が挙げられる。
これらの中でも、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、シラン系化合物がより好ましい。
金属としては、例えば、Al、Si、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、In、Sn、W、Ag、Au、Pd、Pt、Sb、Ta及びZrから選ばれる少なくとも一つ、又は、これらの合金が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、及び酸化タンタル、またこれらの複合酸化物の少なくとも1つが挙げられる。
微粒子としては上述したような金属酸化物の微粒子や、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂微粒子などが挙げられる。さらにこれらの微粒子の内部に空孔を有する中空微粒子も挙げられる。
微粒子の平均一次粒径としては、透明性の観点から1nm以上500nm以下が好ましく、5nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上200nm以下が更に好ましい。500nm以下であることで可視光の散乱が抑制され、1nm以上であることで微粒子の二次凝集が抑制され、透明性の維持の観点から望ましい。
機能層の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.01μm〜10μmの範囲が好ましい。
上記厚さの上限値は、より好ましくは6μm以下であり、更に好ましくは3μm以下である。また、下限値はより好ましくは0.01μm以上であり、更に好ましくは0.02μm以上である。
機能層が複数の機能層からなる多層膜の場合には、上記厚さは多層膜全体における厚さを表す。また、機能層は長尺平板状圧電体の両面にあってもよい。また、機能層の屈折率は、それぞれが異なる値であってもよい。
(電極層)
前述のとおり、機能層は、電極層を含むことが好ましい。
電極層の材質としては、上述した金属(Al等)が挙げられるが、その他にも、例えば、Ag、Au、Cu、Ag−Pd合金、Agペースト、Cuペースト、カーボンブラック、ITO(結晶化ITO及び非晶ITO)、ZnO、IGZO、IZO(登録商標)、導電性ポリマー(ポリチオフェン、PEDOT)、Agナノワイヤー、カーボンナノチューブ、グラフェン等も挙げられる。
電極層は、公知の方法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、電子線蒸着法、ゾル−ゲル法、ウェットコーティング法、バートコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法)によって形成できる。
〜編物の好ましい態様〜
以下、本実施形態の編物の好ましい態様である、編物Xについて説明する。
編物Xは、地糸と、複数の挿入糸と、を含む編組織を有し、前記複数の挿入糸のうちの少なくとも1本が機能層付長尺平板状圧電体(より好ましくは、電極層を備える機能層付長尺平板状圧電体、さらに好ましくは、表面層の少なくとも一方が電極層である機能層付長尺平板状圧電体)を含む。
編物Xにおいて、複数の挿入糸は、一方向(即ち平行)に配列されているが、ここでいう「一方向」には、製造上のバラつき(0°以上90°以下の範囲で定義される角度として、例えば20°以下、好ましくは10°以下、更に好ましくは5°以下のバラつき)が含まれていてもよい。
また、編物Xにおいて、地糸におけるウェールの方向(図1のW)と複数の挿入糸の配列方向とのなす角度(0°以上90°以下の範囲で定義される角度)は、45°以上90°以下であることが好ましく、60°以上90°以下がより好ましく、70°以上90°以下が更に好ましく、80°以上90°以下であることが特に好ましい。
編物Xにおいて、本実施形態における機能層付長尺平板状圧電体(より好ましくは、電極層を備える機能層付長尺平板状圧電体、さらに好ましくは、表面層の少なくとも一方が電極層である機能層付長尺平板状圧電体)が、挿入糸のみに含まれるため、互いに接触することが抑制され、ショート(電気的短絡)を抑制できるので、ショートによる圧電感度の低下や動作不良をより抑制できる。
本実施形態の編物は、編組織以外にも、その他の構成部材を有していてもよい。
その他の構成部材としては、引出電極、補強部材等が挙げられる。
引出電極は、前述のとおり、編物に含まれる機能層付長尺平板状圧電体の電極層と外部の回路とを電気的に接続させるための電極である。
編物に含まれる機能層付長尺平板状圧電体として、表面層の少なくとも一方が電極層である機能層付長尺平板状圧電体を用いた場合には、電極層が露出しているので、引出電極と電極層との電気的接続を簡易に行うことができる。
引出電極としては特に制限はなく、電極層と同様の材質の部材、導電性粘着テープ、FPC(フレキシブルプリント基板)、ACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)、はんだ、等などが挙げられる。
本実施形態の編物は、少なくとも一部に圧電性が要求されるあらゆる用途に適用することができる。
本実施形態の編物の用途の具体例としては、各種衣料(シャツ、スーツ、ブレザー、ブラウス、コート、ジャケット、ブルゾン、ジャンパー、ベスト、ワンピース、ズボン、スカート、パンツ、下着(スリップ、ペチコート、キャミソール、ブラジャー)、靴下、和服、帯地、金襴)、冷感衣料、ネクタイ、ハンカチーフ、テーブルクロス、手袋、履物(スニーカー、ブーツ、サンダル、パンプス、ミュール、スリッパ、バレエシューズ、カンフーシューズ)、マフラー、スカーフ、ストール、アイマスク、タオル、袋物、バッグ(トートバッグ、ショルダーバッグ、ハンドバッグ、ポシェット、ショッピングバッグ、エコバック、リュックサック、デイパック、スポーツバッグ、ボストンバッグ、ウエストバッグ、ウエストポーチ、セカンドバック、クラッチバッグ、バニティ、アクセサリーポーチ、マザーバッグ、パーティバッグ、和装バッグ)、ポーチ・ケース(化粧ポーチ、ティッシュケース、めがねケース、ペンケース、ブックカバー、ゲームポーチ、キーケース、パスケース)、財布、帽子(ハット、キャップ、キャスケット、ハンチング帽、テンガロンハット、チューリップハット、サンバイザー、ベレー帽)、ヘルメット、頭巾、ベルト、エプロン、リボン、コサージュ、ブローチ、カーテン、壁布、シートカバー、シーツ、布団、布団カバー、毛布、枕、枕カバー、ソファー、ベッド、かご、各種ラッピング材料、室内装飾品、自動車用品、造花、マスク、包帯、ロープ、各種ネット、魚網、セメント補強材、スクリーン印刷用メッシュ、各種フィルター(自動車用、家電用)、各種メッシュ、敷布(農業用、レジャーシート)、土木工事用編物、建築工事用編物、ろ過布等が挙げられる。
なお、上記具体例の全体を本実施形態の編物で構成してもよいし、圧電性が要求される部位のみ本実施形態の編物で構成してもよい。
本実施形態の編物の用途としては、身体に身につけるウェアラブル製品が特に好適である。
〔編物の用途〕
上述した、本実施形態の編物は、少なくとも一部に圧電性が要求されるあらゆる用途に適用することができる。
本実施形態の編物の用途としては、衣類(特に、身体の少なくとも関節部を覆う衣類)が好ましい。
衣類は、身体の少なくとも関節部を覆う衣類であることが好ましい。中でも、身体の少なくとも関節部に密着する衣類がより好ましい。
衣類としては、スパッツ、タイツ(例えば、スポーツタイツ、コンプレッションタイツ)、ガードル、パンティーストッキング、レギンス、レッグウォーマー等のボトム(例えば、スポーツ用又はインナー用等のボトム);肌着、シャツ、コンプレッションシャツ等のトップ;ソックス;首、肩、胸、腹、腰、腕、足、肘、膝、手首、足首などの身体の一部を覆うサポーター;手袋;等が挙げられる。
衣類は、更に、繊維構造体を含むことが好ましい。
繊維構造体としては、伸縮性及び柔軟性を有する繊維構造体(例えば、保温用又は医療用のサポーター)が好ましい。
本実施形態の編物は、上述した用途以外のその他の用途に用いることもできる。
その他の用途としては、寝返り検知のための寝具、移動検知のためのカーペット、移動検知のためのインソール、呼吸検知のための胸部バンド、呼吸検知のためのマスク、りきみ検知のための腕バンド、りきみ検知のための足バンド、着座検知のための着座シート、等が挙げられる。
〔編物の製造方法〕
上述した本実施形態の編物を製造する方法には特に限定はないが、以下の製造方法が好ましい。
即ち、編物の好ましい製造方法は、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が25〜700である圧電フィルムを準備する準備工程と、前記圧電フィルムをスリットして前記長尺平板状圧電体を得るスリット工程と、前記長尺平板状圧電体を使用して、複数の挿入糸とのうちの少なくとも1本が前記長尺平板状圧電体を含む編物を編成する編成工程と、を有する。
編物の好ましい製造方法は、必要に応じ、その他の工程を有していてもよい。
<準備工程>
準備工程は、上記圧電フィルムを準備する工程である。
準備工程は、便宜上の工程であり、上記圧電フィルムを製造する工程であってもよいし、予め製造された上記圧電フィルムを準備するだけの工程であってもよい。
上記圧電フィルムは、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が25〜700である。
圧電フィルムにおけるヘリカルキラル高分子(A)及び結晶化度については、上述した長尺平板状圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)及び結晶化度と同様であり、好ましい態様も同様である。
圧電フィルムにおける規格化分子配向MORc、及び、規格化分子配向MORcと結晶化度との積についても、上述した長尺平板状圧電体における好ましい態様と同様である。
圧電フィルムの圧電定数d14(応力−電荷法)の測定方法の一例は、後述の実施例において示すとおりである。
準備工程において圧電フィルムを製造する場合、圧電フィルムの製造方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
圧電フィルムの製造方法としては、ヘリカルキラル高分子(A)を含む原料をフィルム状に成形して未延伸フィルムを得、得られた未延伸フィルムに対し、延伸及び結晶化を施す方法が挙げられる。延伸及び結晶化は、いずれが先であってもよい。また、後述の実施例のように、未延伸フィルムに対し、予備結晶化、延伸、及び結晶化(アニール)を順次施す方法であってもよい。延伸は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。二軸延伸の場合には、好ましくは一方(主延伸方向)の延伸倍率を高くする。
圧電フィルムの製造方法については、特許第4934235号公報、国際公開第2010/104196号、国際公開第2013/054918号、国際公開第2013/089148号、等の公知文献を適宜参照できる。
準備工程は、前記圧電フィルムの少なくとも一方の主面の側に機能層を備える機能層付圧電フィルムを準備する工程であることが好ましい。
機能層付圧電フィルムにおける圧電フィルム及び機能層は上述のとおりである。
<スリット工程>
スリット工程は、上記圧電フィルム又は機能層付圧電フィルム(以下、圧電フィルム等ともいう)をスリットして長尺平板状圧電体を得る工程である。
ここで、「スリットする」とは、上記圧電フィルム等を長尺状にカットすることを意味する。
スリットは、例えば、上記圧電フィルム等を、レーザー刃やロータリーシャー(回転刃)などのスリット刃を備えたカッティングマシン(例えばスリッター)に送り込み、長尺状にカットすることにより行う。スリットは、枚葉で行ってもよいし、ロールtoロールの連続で行ってもよい。
スリット工程において、スリットする方向と圧電フィルム等の主延伸方向との関係については特に制限はない。
上述したとおり、本実施形態における長尺平板状圧電体においては、圧電体の分子配向の方向(例えば延伸方向)と圧電体の一辺とのなす角度によらず、十分な圧電感度が得られることが見出されたためである。
但し、生産性の観点からは、スリットする方向と圧電フィルム等の主延伸方向とが略平行であることが好ましい。また、上記方向でスリットした場合、長尺平板状圧電体の長尺方向が主延伸方向となるため、長さ方向への引張に強く、大きな変形を加えても長尺平板状圧電体が破断する可能性が低く好ましい。
<編成工程>
編成工程は、長尺平板状圧電体を使用して、複数の挿入糸とのうちの少なくとも1本が前記長尺平板状圧電体を含む編物を編成する工程である。
編成工程では、地糸で連続されたループを形成しつつ、地糸の編目の間に挿入糸を挿入して編組織を作製する。この際、挿入糸はループを形成せずに編成する。
地糸の編組織としては、連続してループを形成する編地であれば特に限定するものではないが、例えば、メリヤス編、リブ編、パール編、タック編、浮き編、レース編、両畦編、片畦編、ペレリン編、アイレット編、両面編、多衝程両面編、振り編、針抜き編、立毛編、裏毛編、添え糸編、からみ添え糸編、ラーベン編、ひねり編、アーガイル編、シングル・デンビー編、シングル・バンダイク編、シングル・コード編、ベルリン編、二目編、シェル編、ダブル・デンビー編、アトラス編、コード編、ハーフ・トリコット編、サテン編、シャークスキン編、レース編、タック編、パイル編、エラスティック編、クイーンズ・コード編などが挙げられる。
これらの地糸の編組織は、手編機、横編機、コットン式編機、靴下編機、台丸機、トンプキン編機、吊機、フライス編機、両面編機、トリコット編機、ラッシェル編機、ミラニーズ編機などを用いて編成することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例〕
<圧電フィルムの製造>
ヘリカルキラル高分子(A)として、NatureWorks LLC社製のポリ乳酸(品名:Ingeo(登録商標)biopolymer、銘柄:4032D、重量平均分子量Mw:20万、融点(Tm):166℃、ガラス転移温度(Tg):57℃〜60℃)を用意した。上記ポリ乳酸(100質量部)と下記安定化剤X(1.0質量部)とをドライブレンドして原料を作製した。
得られた原料を押出成形機ホッパーに入れ、220℃〜230℃に加熱しながらTダイから押し出し、50℃のキャストロールに0.3分間接触させて、厚さ0.15mmの予備結晶化シートを製膜した(予備結晶化工程)。予備結晶化シートの結晶化度を測定したところ6%であった。
得られた予備結晶化シートを70℃に加熱しながらロールツーロールで、延伸速度3m/分で延伸を開始し、3.5倍までMD方向に一軸延伸した(延伸工程)。得られた一軸延伸フィルムの厚さは0.05mmであった。
上記一軸延伸フィルムを、ロールツーロールで、145℃に加熱したロール上に15秒間接触させアニール処理し、その後急冷を行い、厚さ0.05mmの圧電フィルムを得た(アニール処理工程)。
−安定化剤X−
安定化剤Xとしては、ラインケミー社製Stabaxol P400(20質量部)、ラインケミー社製Stabaxol I(50質量部)、及び日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1(30質量部)の混合物を用いた。
上記混合物における各成分の詳細は以下のとおりである。
Stabaxol I … ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(分子量(=重量平均分子量):363)
Stabaxol P400 … ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)(重量平均分子量:20000)
カルボジライトLA−1 … ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(重量平均分子量:約2000)
<ポリ乳酸の光学純度の測定>
50mLの三角フラスコに1.0gのサンプル(圧電フィルム)を秤り込み、IPA(イソプロピルアルコール)2.5mLと、5.0mol/L水酸化ナトリウム溶液5mLとを加えた。次に、サンプル溶液が入った前記三角フラスコを、温度40℃の水浴に入れ、ポリ乳酸が完全に加水分解するまで、約5時間攪拌した。
前記サンプル溶液を室温まで冷却後、1.0mol/L塩酸溶液を20mL加えて中和し、三角フラスコを密栓してよくかき混ぜた。サンプル溶液の1.0mLを25mLのメスフラスコに取り分け、移動相で25mLとしてHPLC試料溶液1を調製した。HPLC試料溶液1を、HPLC装置に5μL注入し、下記HPLC条件で、ポリ乳酸のD/L体ピーク面積を求め、L体の量とD体の量を算出した。得られた結果に基づき、光学純度(%ee)を求めた。
−HPLC測定条件−
・カラム
光学分割カラム、(株)住化分析センター製 SUMICHIRAL OA5000
・測定装置
日本分光社製 液体クロマトグラフィ
・カラム温度
25℃
・移動相
1.0mM−硫酸銅(II)緩衝液/IPA=98/2(V/V)
硫酸銅(II)/IPA/水=156.4mg/20mL/980mL
・移動相流量
1.0mL/分
・検出器
紫外線検出器(UV254nm)
以上の測定の結果、圧電フィルム中のポリ乳酸は、L体が主成分であり、光学純度が97.00%eeであった。
<ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)>
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、以下のようにして、圧電フィルム中のポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
まず、圧電フィルムを40℃で溶媒(クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mLのサンプル溶液を準備した。
得られたサンプル溶液0.1mLを、溶媒(クロロホルム)、温度40℃、1mL/分の流速でカラムに導入し、カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定した。別途ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、ユニバーサル検量線及びサンプル濃度の測定結果に基づき、ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
ここで、GPC測定装置及びカラムとしては、以下のものを用いた。
−GPC測定装置−
Waters社製GPC−100
−カラム−
昭和電工社製、Shodex LF−804
以上の測定の結果、圧電フィルム中のポリ乳酸は、Mwが20万であり、Mw/Mnが1.87であった。
<圧電フィルムの融点Tm及び結晶化度>
圧電フィルムから10mgのサンプルを採取し、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC−1)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定し、融解吸熱曲線を得た。得られた融解吸熱曲線から、圧電フィルムの融点Tm及び結晶化度を得た。
その結果、圧電フィルムの融点Tmは165.4℃であり、圧電フィルムの結晶化度は41.8%であった。
<圧電フィルムの規格化分子配向MORc>
王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA6000により、圧電フィルムの規格化分子配向MORcを測定した。基準厚さtcは、0.05mmに設定した。
その結果、MORcは、4.72であった。
<機能層付圧電フィルムの製造>
上記圧電フィルムの両面に、蒸着装置(株式会社昭和真空SIP−600)を用い、蒸着により、厚さ50nmのアルミニウム電極層(Al電極層)をそれぞれ形成した。これにより、Al電極層/圧電フィルム/Al電極層の積層構造を有する機能層付圧電フィルムを得た。
<圧電フィルムの圧電定数d14(応力−電荷法)の測定>
上記機能層付圧電フィルムを、圧電フィルムの延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に150mm、45°なす方向に直交する方向に50mmにカットして、矩形の試験片を作製した。得られた150mm×50mmの試験片を、圧電フィルムの延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に120mm、45°なす方向に直交する方向に10mmにカットして、120mm×10mmの矩形のフィルム(以下、「サンプル」と称する)を切り出した。
得られたサンプルを、チャック間距離70mmとした引張試験機(AND社製、TENSILON RTG−1250)に、弛まないようにセットした。クロスヘッド速度5mm/minで、印加力が4Nと9Nとの間を往復するように周期的に力を加えた。このとき印加力に応じてサンプルに発生する電荷量を測定するため、静電容量Qm(F)のコンデンサーをサンプルに並列に接続し、このコンデンサーCm(95nF)の端子間電圧Vmを、バッファアンプを介して測定した。発生電荷量Q(C)は、コンデンサー容量Cmと端子間電圧Vmとの積として計算した。
圧電定数d14は下式により計算した。
14=(2×t)/L×Cm・ΔVm/ΔF
t:サンプル厚(m)
L:チャック間距離(m)
Cm:並列接続コンデンサー容量(F)
ΔVm/ΔF:力の変化量に対する、コンデンサー端子間の電圧変化量比
以上の測定の結果、機能層付圧電フィルムの圧電定数d14(応力−電荷法)は、6.4pC/Nであった。
<3mm幅機能層付長尺平板状圧電体の製造>
上記機能層付圧電フィルムを、カッティングマシン(ローランド ディー.ジー.社製CAMM−1SERVO GX−24)を用いてスリットすることにより、長さ300mm×幅3mmの長尺平板形状の機能層付長尺平板状圧電体(3mm幅機能層付長尺平板状圧電体)を得た。なお、機能層付長尺平板状圧電体は、厚み50nmのAl電極層と、厚み0.05mmの圧電フィルムと、厚み50nmのAl電極層と、が積層された構造を有する。
スリットする方向は、機能層付長尺平板状圧電体の長さ方向が圧電フィルムの延伸方向(MD方向)となり、かつ、機能層付長尺平板状圧電体の幅方向が圧電フィルムのTD方向となる方向とした。
<3mm幅圧電体の複屈折の測定>
3mm幅機能層付長尺平板状圧電体からガムテープで両面のAl電極層を除去し、3mm幅機能層付長尺平板状圧電体に含まれる3mm幅圧電体の複屈折を測定した。複屈折は、以下の測定条件によって上記3mm幅圧電体の面内位相差を測定し、得られた面内位相差を、上記3mm幅圧電体の厚さで除すことによって求めた。
その結果、3mm幅圧電体の複屈折は、0.0214であった。
−面内位相差の測定条件−
・測定波長 … 550nm
・測定装置 … 大塚電子社製 位相差フィルム・光学材料検査装置RETS−100
<編成工程>
地糸として毛糸(ユザワヤ商事株式会社製、ヘアリーコットン、25g、65m)を用い、挿入糸として上記で得られた幅3mm(幅a=3mm)の機能層付長尺平板状圧電体を11本用いて編物を編成した。具体的には、地糸をメリヤス組織に編みながら挿入糸をメリヤス組織に編み込む挿入編(インレイ編)を行い、機能層付長尺平板状圧電体(挿入糸)の長手方向の長さが80mm、機能層付長尺平板状圧電体(挿入糸)同士の間隔が2mm(離隔距離b=2mm)である編物を編成した。編成された編物のウェールの数は26であった。
編組織の形成は、編物の一方の主面の側から見たときに、幅3mmの機能層付長尺平板状圧電体の主面が見える向きとなるようにして行った。この際、挿入糸として用いた全ての機能層付長尺平板状圧電体おいて、反転(長さ方向のねじれ)が生じないようにした。
図3は、上記で作製した編物を概念的に示す概略平面図である。実施例で作製された編物10は地糸として、毛糸15(ユザワヤ商事株式会社製、ヘアリーコットン、25g65m)を備え、かつ、挿入糸として間隔を2mmとして平行に配列された3mm幅機能層付長尺平板状圧電体14を11本備える。
<評価サンプル(引出電極付き編物)の製造>
作製した編物のコース方向(図1のC)における一方の端部の幅3mmの機能層付長尺平板状圧電体の表面(以下、「オモテ面」とする)に、オモテ側引出電極として導電性銅箔粘着テープ(寺岡製作所製、品番8323)を貼り付け、オモテ側引出電極により、11本全ての機能層付長尺平板状圧電体のオモテ面側の電極層を電気的に接続した。
次に、前記編物のコース方向における他方の端部の幅3mmの機能層付長尺平板状圧電体の他方の面(以下、「ウラ面」とする)に、ウラ側引出電極として上記導電性銅箔粘着テープを貼り付け、このウラ面側引出電極により、11本全ての機能層付長尺平板状圧電体のウラ面側の電極層を電気的に接続した。
次に、導電性粘着テープで固定した部分よりも外側の部分の挿入糸を切り落とした。
以上により、評価サンプル(引出電極付き編物)を得た。
図4は、上記で作製した評価サンプル(引出電極付き編物)を概念的に示す概略平面図である。図4に示す評価用サンプル(引出電極付き編物20)は、地糸として毛糸15と、挿入糸として3mm幅機能層付長尺平板状圧電体14と、を含む編組織を有し、編物のコース方向の一方の端のオモテ面にオモテ面側引出電極16、他方の端のウラ面にウラ面側引出電極17を備える。
<評価>
上記評価サンプル(引出電極付き編物)を用い、以下の評価を行った。結果を下記表1に示す。
(出力の測定)
上記評価用サンプルについて、出力の測定を行い、編物の圧電感度を評価した。詳細を図5及び図6を参照しながら説明する。
図5は、出力の評価装置の平面図であり、図6は、出力の評価装置の側面図である。
図5に示すように、引出電極付き編物20の主面の対角線上の2点のうち、一方の点を固定台21に固定し、他方の点にクリップ22を取り付け、クリップ22をテンションゲージ23(大場計器製作所製、丸型バネ式テンションゲージ)に接続した。
次に、引出電極付き編物の引出電極20(オモテ面側引出電極及びウラ面側引出電極)をAD変換機(不図示)(National Instruments社製、NI USB−6210)を介してパーソナルコンピュータ(PC)に接続した。
この状態で、引出電極付き編物の対角線方向への伸縮変形を30回行った。この際、伸縮変形は、引出電極付き編物に接続されたテンションゲージの値が200gを示す状態から始め、0.25秒間かけてテンションゲージの値が400gを示す状態になるまで、テンションゲージを引出電極付き編物の主面の対角線方向に引っ張り、0.25秒間かけてテンションゲージの値が200gを示す状態になるまでテンションゲージを元の位置に戻すことで行い、この一連の動作を1回とした。
上記伸縮変形では、編物の主面、及びテンションゲージが水平となるように変形させた(図6参照)。
以下、1回の伸縮変形の時間(0.5秒間)を、「1変形周期」とする。
上記伸縮変形を30回行い、PCに出力された波形に対して下記の信号処理を行って得られたデータから1変形周期のピークからピークまでの値の平均値(V)を算出した。得られたピークからピークまでの値の平均値(V)を、引出電極付き編物の織構造に含まれる機能層付長尺平板状圧電体の一方の主面の側の面積(m)の値で除した値(V/m)(以下、「出力値」ともいう)を算出した。
なお、編物は出力値が高いほど圧電感度に優れる。
信号処理は、出力された波形に対して高速フーリエ変換を行ない、10Hz以上の高周波成分を除去した後(遮断周波数10Hz以上)、逆フーリエ変換を行なうことで実行した。
(耐久性の評価)
編物の曲げ変形に対する耐久性の評価を行った。詳細を図7及び図8を参照しながら説明する。
図7は、耐久性の評価において、ウレタンフォームを伸ばした状態の概略側面図であり、図8は、耐久性の評価において、ウレタンフォームを曲げ変形された状態の概略側面図であり、まず、図7に示すように、断面が半径30mmの半円であり、長さL1が400mmのウレタンフォーム50を準備した。上記ウレタンフォームの曲面52の中央部に引出電極付き編物20を、引出電極付き編物20の評価範囲の長辺方向とウレタンフォーム50の長さ方向とが一致する方向に設置した。この状態で、引出電極付き編物20をウレタンフォーム50に不図示のサポーターによって固定した。
この状態で、ウレタンフォームの変形(曲げ伸ばし変形)を100回行った。このとき、1回の変形は、ウレタンフォームを引出電極付き編物に引張方向の力が加わる方向に0.25秒間かけて曲げ変形させ(図8参照)、次いでウレタンフォームを0.25秒間かけてまっすぐに伸ばす(元の形状に戻す;図7参照)動作とした。上記曲げ変形では、ウレタンフォームの一端から他端までの直線距離(図8中の長さL2)が330mmとなるまで、ウレタンフォームを曲げ変形させた。
100回の曲げ伸ばし変形後の引出電極付き編物を形成する3mm幅機能層付長尺平板状圧電体の外観を観察し、下記評価基準に従って曲げ変形に対する耐久性を評価した。
−耐久性の評価基準−
A:機能層付長尺平板状圧電体に折れやシワが発生していない
B:機能層付長尺平板状圧電体に小さな折れやシワが一部発生している
C:機能層付長尺平板状圧電体に大きな折れやシワが一部発生している
D:機能層付長尺平板状圧電体に大きな折れやシワが全面に発生している
(A〜Dのうち、Aが、最も耐久性が高い。)
〔比較例〕
実施例中、「評価サンプル(引出電極付き編物)の製造」において、「編物」を、同実施例中の「機能層付圧電フィルム」(Al電極層/圧電フィルム/Al電極層の積層構造を有する機能層付圧電フィルム)に変更したこと以外は実施例と同様の操作を行った。
即ち、比較例では、編物ではなく機能層付圧電フィルムである評価サンプルを作製し、得られた評価サンプルに対して評価を行った。このとき、評価サンプルの長辺方向が圧電フィルムの延伸方向(MD)となるようにした。
結果を表1に示す。
図9は、比較例における評価サンプルを概念的に示す概略平面図である。
図9に示すように、比較例における比較評価サンプルの構成は、地糸及び挿入糸を含む編組織を有する編物を機能層付圧電フィルムに変更したこと以外は実施例における引出電極付き編物と同様の構成である。すなわち、比較評価サンプル40は、機能層付圧電フィルム41のオモテ面の一辺にオモテ面側引出電極16、ウラ面の一辺にウラ面側引出電極17を備える。
表1に示すように、長尺平板状圧電体を用いた実施例の評価サンプルは、フィルム形状の圧電体を用いた比較例と比較して、耐久性に優れていた。
表1に示すように、実施例の評価サンプルは、機能層付長尺平板状圧電体の幅a及び離隔距離bが式(I)を満たし、出力値が150(V/m)以上と良好な値を示した。
1 編物
2 地糸
3 挿入糸
4 編目
10 本実施形態の編物
11 長尺平板状圧電体
12 長尺平板状圧電体に対して略平行に配置された挿入糸
14 機能層付長尺平板状圧電体
15 毛糸
16 オモテ面側引出電極
17 ウラ面側引出電極
20 引出電極付き編物
21 固定台
22 クリップ
23 テンションゲージ
40 比較評価サンプル
41 機能層付圧電フィルム
50 ウレタンフォーム
52 ウレタンフォームの曲面
W ウェール
C コース
a 長尺平板状圧電体の幅
b 長尺平板状圧電体と長尺平板状圧電体に対して略平行に配置された挿入糸との離隔距離

Claims (14)

  1. 地糸と、複数の挿入糸と、を含む編組織を有し、前記複数の挿入糸のうちの少なくとも1本が長尺平板状圧電体を含み、
    前記長尺平板状圧電体は、重量平均分子量5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、厚さに対する幅の比が2以上である長尺平板形状を有し、DSC法で測定された結晶化度が20%〜80%であり、複屈折が0.01〜0.03であり、前記長尺平板状圧電体の長さ方向と、前記ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行である編物。
  2. 前記長尺平板状圧電体の幅aと、前記長尺平板状圧電体に対して略平行に配置された挿入糸との離隔距離bと、が下記式(I)を満たす請求項1に記載の編物。
    0.1 < b/a < 4.0 (I)
  3. 前記長尺平板状圧電体の幅aが0.1mm〜30mmである請求項1又は請求項2に記載の編物。
  4. 前記長尺平板状圧電体の幅aに対する前記長尺平板状圧電体の長さの比が、10以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の編物。
  5. 前記ヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の編物。

  6. 前記ヘリカルキラル高分子(A)は、光学純度が95.00%ee以上である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の編物。
  7. 前記長尺平板状圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の含有量が、80質量%以上である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の編物。
  8. 前記複数の挿入糸の少なくとも1本が、前記長尺平板状圧電体の少なくとも一方の主面の側に機能層を備える機能層付長尺平板状圧電体である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の編物。
  9. 前記機能層が、易接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含む請求項に記載の編物。
  10. 前記機能層が、電極層を含む請求項又は請求項に記載の編物。
  11. 前記機能層付長尺平板状圧電体の表面層の少なくとも一方が電極層である請求項10に記載の編物。
  12. 編物の一方の面の側から見たときに、前記機能層付長尺平板状圧電体が反転領域を含まないか、又は、前記機能層付長尺平板状圧電体が反転領域を含み前記機能層付長尺平板状圧電体中に占める前記反転領域の面積が25%以下である請求項11に記載の編物。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の編物を製造する方法であって、
    重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、かつ、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が25〜700である圧電フィルムを準備する準備工程と、
    前記圧電フィルムをスリットして前記長尺平板状圧電体を得るスリット工程と、
    前記長尺平板状圧電体を使用して、複数の挿入糸とのうちの少なくとも1本が前記長尺平板状圧電体を含む編物を編成する編成工程と、を有する編物の製造方法。
  14. 前記準備工程は、前記圧電フィルムの少なくとも一方の主面の側に機能層を備える機能層付圧電フィルムを準備する準備工程である請求項13に記載の編物の製造方法。
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