JP7279682B2 - シリコンウェーハの評価方法 - Google Patents
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Description
例えばCuやNiでは仮に表面に付着すると、加熱により容易にシリコン中に拡散し、シリサイド化するなどしてデバイスに悪影響を及ぼす。
一方で、もし仮に重金属が混入しても、ウェーハのバルク部において重金属を捕獲する機構(ゲッタリング)を有していれば、歩留まりへの影響を低減できる。
例えば、酸素析出物等からなる内部微小欠陥(Bulk Micro Defects, 以下BMDと略す)をバルク部中に高密度に形成することにより、不純物汚染の影響を低減する手法が知られている。
このBMDはシリコン単結晶中に結晶格子の異なる相ができるため、歪が生じる。この歪が金属をゲッタリングするとされている。
特にこのようにバルク部においてゲッタリングする技術はインターナルゲッタリングと呼ばれる。
例えば、バルク中のBMDのサイズや個数を直接測定することにより、ウェーハのゲッタリング能力を類推する手法が知られているが、本手法はあくまで間接的な評価手法であり、実際にそれらのパラメータが必ずしもゲッタリング能力を正確に評価しているとは限らなかった。
また、表面欠陥に関しては光散乱等の測定手法により10~30nmの小さな欠陥も容易に検出可能となってきたが、バルク部内部のせいぜい10~30nm程度のBMDを正確に見積もるのは現在の測定技術では非常に難しい。
通常、ゲッタリング能力を持たないウェーハでは、Niは、たとえ拡散熱処理を行いウェーハのバルク部に拡散したとしても、冷却時に過飽和状態となってしまうため、表面で析出し、シリサイド化してしまい、選択エッチングによりピット化する。
それに対し、ゲッタリング能力を有するウェーハでは、冷却時にゲッタリングサイトで析出できるため、表面に析出するNiは少なくなり、したがって表面に発生するエッチピットも少なくなる。
上記手法は、ゲッタリング能力そのものを評価するため、より直接的な評価手法と言える。
また、光散乱等の高感度の評価手法では、選択エッチングによりウェーハ表面の粗さが大きく悪化してしまうため、ノイズが大きくなり欠陥数を正しく評価することができず、いずれにせよ高感度でのゲッタリング能力評価は難しい。
さらには、上述したように本手法はより直接的な評価手法と言えるものの、結局のところ表面の分析評価であり、依然としてバルク部のゲッタリング能力の直接的な評価手法でない。そのため、評価精度に問題があり、バルク部の欠陥析出状態を直接的に高感度で評価する手法が求められる。
前記シリコンウェーハの表面にNiによる汚染処理を施し、
該汚染処理を施したシリコンウェーハに熱処理を行い該シリコンウェーハのバルク部に前記Niを拡散させた後、冷却し、
該冷却後のシリコンウェーハの表面を1μm以上研磨し、
該研磨後の表面欠陥の数を測定し、
該測定した表面欠陥の数から、前記シリコンウェーハにおける金属不純物のゲッタリング能力の評価を行うことを特徴とするシリコンウェーハの評価方法を提供する。
また前述したように拡散熱処理後の冷却時にゲッタリングサイトで析出できるため、表面に析出するNiは少なくなるものの、Niのその多くは表面で析出してしまう。しかし、研磨という物理的な手法により平坦性を損なうことなく除去することで、拡散熱処理時にバルク部であった部位について、従来法(選択エッチングを用いて表面粗さを悪化させてしまう)よりも高感度な表面分析評価(表面欠陥の測定)が可能となる。例えば光散乱を用いた表面欠陥の測定をすることもでき、より高精度で評価可能である。
また、1μm以上研磨を行っているので、表面に析出したNiシリサイドの影響を効果的に排除しつつ、バルク部の状態を表面分析評価可能であり、ゲッタリング能力を直接的に評価することができる。
図1に本発明のシリコンウェーハの評価方法の工程の一例を示す。また、図2に各工程におけるNiの挙動イメージを示す。ゲッタリング能力が高い場合と低い場合についての状態例である。ここでは違いがわかりやすいように、ゲッタリング能力の高低例としてBMD有りの場合とBMD無しの場合を示している。
(Niによる汚染処理工程)
評価対象のシリコンウェーハ(以下、単にウェーハとも言う)を用意し[図2の状態A、状態a]、そのゲッタリング能力を評価するため、まずウェーハ表面にNiによって汚染処理を施す[状態B、状態b]。Niによる汚染処理の方法は特に限定されないが、例えば、蒸着やスパッタリングなどでウェーハ表面に物理吸着させても良いし、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩酸ニッケルなどの溶液中にウェーハを浸漬させても良いし、先述の溶液を塗布(スピンコートなど)によりウェーハ表面に吸着させても良い。これらの方法であれば、簡便にシリコンウェーハ表面の全面をNiで汚染することができる。なお、ここでは塗布の場合について述べる。
なお、粗さパラメータは、例えば原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、以下AFM)を用いて算出される。
AFMの測定領域は特に制限されないが、1μm×1μmの範囲で測定するのが好ましい。また、必要に応じて任意の方向の傾き補正やガウシアンフィルタ、ダブルガウシアンフィルタを用いて表面のノイズを除去することが好ましい。
Niは常温でシリコンへの拡散速度が遅いため、ウェーハを加熱して拡散速度を速め、ウェーハのバルク部に拡散する[状態C、状態c]。
この拡散のための熱処理は1枚ずつ行う枚葉処理で行っても良いし、複数枚同時に処理するバッチ処理で行っても良い。
また、熱処理時間は熱処理温度によるが、バルク部に拡散させるため、1分以上が好ましく、さらには3分以上が好ましく、さらには10分以上が好ましい。熱処理時間が長いほど、より十分にNiの拡散を行うことができる。
熱処理温度や熱処理時間はコスト等も考慮して適宜決定することができる。
また、熱処理は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
この冷却過程において、バルク部中に拡散しているNiをBMDに捕獲させるとともに、ウェーハが有するゲッタリング能力を超えて捕獲しきれずにバルク部中に残存するNiを表面近傍に拡散させ、Niシリサイドの形態で析出させる。
熱処理によって一旦バルク部内に拡散されたNiについて、冷却時、状態Dではバルク部内のBMDに捕獲された様子、状態dではBMDが無いため表面近傍に集まった様子が示されている。ここでは分かりやすいように極端なパターン例を示したが、当然、ゲッタリング能力の高低の程度により、一部がバルク部内のBMDに捕獲され、残りが表面近傍で析出される中間的なパターンも存在する。
次に、冷却後のウェーハに研磨を施す[状態E、状態e]。なお、熱処理工程および冷却工程を終えたウェーハは、この研磨前に適宜洗浄を行っても良い。
研磨工程において、ウェーハ表面の影響を排除するため、1μm以上研磨する。バルク部におけるゲッタリング能力を直接的に評価するため、1μm以上研磨して先の冷却工程において表面で析出したNiシリサイドを排除するとともにバルク部を露出させる。このとき、先の冷却時にバルク部で捕獲されて析出したNiシリサイドを露出させることができる。
このように研磨によって、平坦性を損なわず、また、後の工程において、元々バルク部だった箇所における表面欠陥を比較的高感度な手法で測定可能な状態にすることができ、ひいてはゲッタリング能力を高精度に評価することができる。
また、研磨用組成物を供給しながら研磨を行うのが好ましい。砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、ダイヤモンド、二酸化ケイ素等を使うことができるが、二酸化ケイ素を用いるのが特に好ましい。
必要に応じて研磨用組成物には塩基性化合物を添加するのが好ましい。塩基性化合物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどが好適に用いられる。
研磨用組成物には粗さ低減の観点から水溶性高分子や界面活性剤を添加しても良い。
研磨後のウェーハ表面に発生しているNiシリサイド欠陥の多寡を評価するため、そのウェーハ表面を分析評価する必要がある。すなわち、研磨後における表面欠陥の測定を行う。ウェーハ表面の分析評価手法としては、特に限定されず、光学顕微鏡等を用いることもできるが、この他、例えばレーザーを当て、その異常な散乱により検出する評価手法や共焦点顕微鏡により検出する評価手法がある。スループットの観点から、光散乱により検出する評価手法が好ましい。
なお、パーティクルカウンターを使用する場合、先の研磨工程において、研磨後の表面粗さを、前述したように二乗平均平方根高さSqが0.1nm以下となるようにしておくとより良い。パーティクルカウンターが表面粗さを欠陥として誤認識してしまうのをより確実に防ぐことができ、正常な評価を達成するのに極めて効果的である。
そして、得られた表面欠陥の数の測定値に基づいて、ウェーハにおける金属不純物のゲッタリング能力の評価を行う。
上記のようにパーティクルカウンター等で正常に測定できた欠陥がすべてNiシリサイド起因の欠陥であると仮定すれば、欠陥の多寡がそのままゲッタリング能力の優劣となり、高精度の評価が可能となる。Niシリサイドとして検出される欠陥が多ければ、そのウェーハはゲッタリング能力を多く有すると言える。
以上のような本発明におけるゲッタリング能力のバルク部での直接的な評価方法によって、従来のシャローピットによる評価方法では差が見られないような微細なゲッタリング能力の差を評価することができる。
実際にウェーハ間でのゲッタリング能力の差異が見られるか検証するため、酸素析出熱処理を行わず、したがってBMDを有しないシリコンウェーハと、酸素析出熱処理を行ってBMDを形成し、そのBMD半径がそれぞれ13nm、15nm、16nmと異なるシリコンウェーハを用意した。すなわち、計4種類のシリコンウェーハ(直径300mm)を用意した。なお、上記BMD有りの3種のウェーハにおいて、BMD密度は互いに同程度であった(1×109/cm3)。
これらのウェーハを1%のHFで酸化膜を剥離した後、スピンコートで全面にNi溶液を均一になるように塗布した。なお、このときNiが表面濃度で1×1012/cm2となるように溶液濃度を調整した。
その後、枚葉熱処理装置を用いて熱処理を行った。熱処理温度は700℃とし、熱処理時間は3hとし、バルク部へのNi拡散を行った。その後、炉からウェーハを取り出し、十分冷却した後、下記のように実施例と比較例で異なる方法で評価を行った。
比較例でのシャローピットの測定密度を図4に示す。
なお、研磨は2段で行い、1段目では不織布、2段目ではスウェードパッドにより行った。
また1段目の研磨にて供給する研磨用組成物は、砥粒としてSiO2、塩基性化合物として水酸化カリウムを用いた。2段目では、砥粒としてSiO2、塩基性化合物としてNH3に加え、粗さを改善するために水溶性高分子と界面活性剤を適宜添加した。
2段目の研磨後、アンモニアと過酸化水素水の混合溶液により洗浄を行い、その後、パーティクルカウンター(KLA社製のSurfScanシリーズ、SP3)によって26nm以上の欠陥数を比較評価した。
実施例での表面欠陥数の測定値を図3に示す。
一方で実施例では、BMDなしのウェーハはバルク部でNiを捕獲できていないため欠陥数はゼロであり、また、BMDサイズが大きくなるほど、より多くのNiを捕獲し、欠陥数が多くなっている。
このように比較例ではBMDの有無およびその半径の違いによる差異がほとんど出ていないのに対し、実施例ではそれらの違いによる差異が大きく出ている。通常、BMD密度が同程度であるなら、各BMDサイズが大きいほどより多くの不純物を捕獲できると考えられることから、実施例ではゲッタリング能力を正しく評価していると考えられる。ゲッタリング能力の多寡を評価でき、高精度に評価できている。
Claims (5)
- シリコンウェーハの評価方法であって、
前記シリコンウェーハの表面にNiによる汚染処理を施し、
該汚染処理を施したシリコンウェーハに熱処理を行い該シリコンウェーハのバルク部に前記Niを拡散させた後、冷却し、
該冷却後のシリコンウェーハの表面を1μm以上研磨し、
該研磨後の表面欠陥の数を測定し、
該測定した表面欠陥の数から、前記シリコンウェーハにおける金属不純物のゲッタリング能力の評価を行うことを特徴とするシリコンウェーハの評価方法。 - 前記シリコンウェーハの表面の研磨により、該研磨後の表面粗さを、粗さパラメータである二乗平均平方根高さSqにおいて0.1nm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハの評価方法。
- 前記シリコンウェーハの熱処理を、400℃以上の熱処理温度で行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコンウェーハの評価方法。
- 前記Niによる汚染処理を施すとき、蒸着、スパッタリング、浸漬、および塗布のうちのいずれかにより行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコンウェーハの評価方法。
- 前記研磨後の表面欠陥の数の測定を、パーティクルカウンターを用いて行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコンウェーハの評価方法。
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