JP7279276B2 - 乾燥品の剥離機構を具えた乾燥機 - Google Patents
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まず、無水状態にまで乾燥するために高温での乾燥処理を行なうと、乾燥品の性状に熱劣化を生じてしまうことがあるため、揮発性の高いアルコール等の容剤を水溶液に添加して沸点降下による低温乾燥を可能にしたうえで(例えば特許文献1参照)、発火を防止するため真空乾燥機が用いられる。
しかしながら、加熱部への付着物が成長して固着してしまうような被乾燥材料では、自動回収率は極めて低く、自動回収されなかった固着物(乾燥品)については、手作業で掻き落とす必要があるが、吸湿防止用のアルゴンガス等をパージしながら行なう必要があり、極めて非効率的な作業となってしまっている。
このように吸湿性が強く、また加熱部に対する付着・固着性が強い物質の水溶液等を無水状態にまで乾燥するための現状の乾燥施設では、不活性ガス発生装置、酸欠防止用漏洩対策・検知器、溶剤回収装置・冷却装置等の付帯設備が必要となり、建設費や運転経費が増大してしまっているうえに回収率が極めて低く、生産効率が低いものであった。
そして上記請求項記載の発明を手段として前記課題の解決が図られる。
また被処理物接触部に付着した乾燥品を、隣接するディスク群の加熱ディスクにおける被処理物接触部により掻き落とすことができ、被処理物との接触箇所となる被処理物接触部の全面を、自動的にクリーニングすることができるため、人手による掻き落とし作業が不要となり、高効率で乾燥品を自動回収することができる。
また被処理物が、ディスク群の回転に伴って乾燥室内の端部に押圧されてしまうのを回避することができる。
また退避スペースに退避していた被処理物をディスク群側に戻すことにより、乾燥効率の低下を回避することができる。
また加熱ディスクから掻き落とされた乾燥品を、乾燥室内において破砕することができ、不定形になりがちな乾燥品を一定の粒度とした状態で外部に排出することができる。
本発明の乾燥機1は、特に空気中では潮解してしまうほど吸湿性が強く、また加熱部に対する付着・固着性が強い物質の水溶液等を無水状態にまで乾燥させ、高効率で乾燥品を得ることのできる装置である。
以下、乾燥機1の構成要素について詳しく説明する。
なお前記排出口22は、リンク機構等が適用された排出機構24によって離反・接近する底板25によって開閉される。
また乾燥室2の両端の適宜の個所に軸受3が具えられ、これら軸受3に対して加熱体5の軸体51、52が軸支される。
前記加熱熱体5は複数枚の加熱ディスク50が重ねられるようにして連設されて成るものであり、この実施例では同形の二基のディスク群5A、5Bが設けられるようにした。
そしてこの熱媒室501を挟むように対向する加熱ディスク50の両面を、加熱面502a、502bと呼ぶものであり、加熱面502aに熱媒室501に連通する流入口503が形成され、一方、加熱面502bに熱媒室501に連通する流出口504が形成される。そして熱媒室501内は仕切壁501aで区画されており、流入口503から熱媒室501内に流入した熱媒体が、熱媒室501内全域を通過して、ショートカットすることなく流出口504から流出することができるように構成されている。
なお図4中、前記加熱面502aにおける熱媒室501の直上部は、熱媒による温度上昇が顕著に現れる部位であり、この円形部分を加熱部508aと呼ぶ。同様に加熱面502bにおける熱媒室501の直下部も、熱媒による温度上昇が顕著に現れる部位であり、この円形部分を加熱部508bと呼ぶ。
なおこれら熱媒室501の両外側面を総称するときには、加熱部508と呼ぶものとする。
ここで前記流入口503は孔であるのに対し、流出口504は有孔突起状に形成されるものであり、詳しくは後述するが、この流出口504が、重ね合わせられる他の加熱ディスク50における流入口503に嵌り込むことにより、各加熱ディスク50に具えられる熱媒室501を連通状態とするものである。この際、前記流出口504にOリングを外嵌して熱媒体の漏洩防止が図られる。
また図4(c)に示す加熱ディスク50Cは、ディスク群5A、5Bにおいて熱媒体の流入端に位置するものであり、平面形状である楕円の中心付近に流入口503が形成されている。
更に図4(b)に示す加熱ディスク50Bは、ディスク群5A、5Bにおいて加熱ディスク50Aと加熱ディスク50Cとの間に設けられるものであり、加熱面502aに流入口503が形成され、更に平面形状である楕円の中心を軸として、流入口503を所定の角度(この実施例では一例として24°)回動させた部位の加熱面502bに流出口504が形成される。
また加熱ディスク50A、50Bにおける加熱面502aの中心に円形の嵌合凹部505が形成され、加熱ディスク50B、50Cにおける加熱面502bの中心に、前記嵌合凹部505に嵌り込む嵌合凸部506が形成される。
次いで加熱ディスク50Bにおける流出口504、嵌合凸部506を、別の加熱ディスク50Bにおける流入口503、嵌合凹部505に嵌め込むとともに、適宜ボルト締め等によりこれらを締結して一体化する。
そして一例として1枚の加熱ディスク50C、13枚の加熱ディスク50Bを一体化し、最後に加熱ディスク50Aにおける流入口503、嵌合凹部505に、加熱ディスク50Bにおける流出口504、嵌合凸部506に嵌め込むとともに、適宜ボルト締め等によりこれらを締結して一体化する。
続いて加熱ディスク50Aの加熱面502bに軸体52のフランジ部を取り付けるとともに流路52aと流出口504を接続し、同様に加熱ディスク50Cの加熱面502aに軸体51のフランジ部を取り付けるとともに流路51aと流入口503を接続して、ディスク群5Aが構成されることとなる。なおディスク群5Bも同様にして構成される。
そして各加熱ディスク50に形成された熱媒室501は、図1に示すように隣接する他の加熱ディスク50における熱媒室501と連通状態とされて、ディスク群5A、5Bの長手方向全域に亘って熱媒体が貫流する連続流路が形成されることとなる。
なお図6(a)は熱媒体の流入側から見た被処理物接触部509aを示す図であり、一方、図6(b)は熱媒体の流出側から見た被処理物接触部509bを示す図である。
また前記被処理物接触部509は、加熱ディスク50Aでは加熱面502aのみに被処理物接触部509aが形成され、加熱ディスク50Bでは加熱面502aに被処理物接触部509aが形成されるとともに、加熱面502bにも被処理物接触部509bが形成され、更に加熱ディスク50Cでは加熱面502bのみに被処理物接触部509bが形成されることとなる。
なお詳しくは後述するが、前記被処理物接触部509は、ディスク群5Aとディスク群5Bとが並設された際に、それぞれの加熱ディスク50の加熱面502aと加熱面502bとが、一定のクリアランスを保って近接する部位である。この意味において、例えば加熱ディスク50Aの加熱面502bは、被処理物接触部509aには該当しない。
なおディスク群5A(5B)における加熱ディスク50の被処理物接触部509と、隣接するディスク群5B(5A)における加熱ディスク50の被処理物接触部509とは、適宜のクリアランスを保った状態で対向して近接することとなるものであり、この実施例では、このクリアランスを一例として0.5mmに設定した。
ここで前記ピンミルとは、回転するピンディスク81(円盤に多数のピンを取付けたもの)と固定されたピンディスク82とが組み合わされて構成されるものであり、回転するピンディスク81により発生する気体の流れと共に乾燥品Dを分散させ、2 つのピンディスク81、82の噛み合わせによる衝撃で粉砕するものである。
前記回転するピンディスク81は、軸体52に取り付け、取り外しが可能な様に、二分割構造であり、分割位置ではフランジ部材によるボルト締結構造を採ることができる。また回転するピンディスク81のディスク部材は、被処理物Lがピンディスク81、82の間に流入する様に、多孔板を用いることができる。
なお被処理物Lを事前に撹拌、混合しておくための機器が設けられ(図示省略)、この機器から排出される被処理物Lを、乾燥機1における投入口21(一例として四箇所)のうち、所望の投入口21に供給できるように適宜の経路が構築される。
始めに適宜の真空ポンプを用いて、排気口23から乾燥室2内の空気を排気して、ケーシング20を含めた乾燥室2内を所望の真空状態(一例として1~2kPa)とする。
次いで軸体51に形成された流路51aを通じて、加熱媒体としてのオイル(200~230℃)を連続流路に供給するものであり、加熱媒体は各加熱ディスク50における熱媒室501を順次通過してゆき、やがて軸体52に形成された流路52aを通じて外部に排出される。
この際、各加熱ディスク50において、熱媒室501内を流れる加熱媒体により、加熱部508が集中的に加熱されることとなる。
次いでディスク群5A、5Bを回転させるものであり、ディスク群5A、5Bは同じ回転速度(一例として10~20r.p.m)で同じ方向に回転する。
次いで適宜の投入口21から乾燥室2内に被処理物Lが供給されるものであり、この際、ここでは被処理物Lの水位が軸体51、52の軸芯よりも下方となるように供給されるものとした。なお乾燥機1による被処理物Lの乾燥処理はバッチ式で行なわれるものである。
乾燥室2に供給された被処理物Lは、加熱部508及びその周辺の被処理物接触部509と接触することにより加熱されて乾燥が促される。この際、被処理物Lはディスク群5A、5Bの移送作用によって退避スペース26に向けて移動するため、適宜のタイミングでディスク群5A、5Bの回転方向を反転するようにする。
そして被処理物Lの乾燥が進むと、やがて無水状態のあるいは無水状態に近い乾燥品Dが得られものであり、この状態の乾燥品Dは加熱ディスク50において最も高温状態となる加熱部508及びその周辺の被処理物接触部509に付着し易くなる。
本発明の乾燥機1にあっては、このように可動部材である加熱ディスク50に対して積極的に乾燥品Dを付着させ、加熱体5を囲繞するケーシング20側に乾燥品Dの付着が生じないようにするものである。
続いて被処理物接触部509からの乾燥品Dの剥離態様について説明する。
図7は、共に左方向に回転するディスク群5A、5Bを流出端側から見た正面図であり、ディスク群5Aにおける加熱ディスク50Bの被処理物接触部509bに付着した乾燥品Dを、ディスク群5Bにおける加熱ディスク50Aの被処理物接触部509aと端面507によって掻き落とす様子を段階的に示したものである。
なおここでの説明では、ディスク群5Aにおける加熱ディスク50Bを単に加熱ディスク50Bと呼び、ディスク群5Bにおける加熱ディスク50Aを単に加熱ディスク50Aと呼ぶものとする。
図7(a)は、仮に加熱ディスク50Bの被処理物接触部509bの全域に乾燥品Dが付着した状態を示すものであり(黒塗り部分)、且つ加熱ディスク50Aにおける被処理物接触部509aが、加熱ディスク50Bにおける被処理物接触部509bと近接していない状態を示すものであり、この状態を始発状態とする。
また図7(b)~(f)は、ディスク群5A、5Bが始発状態から12°ずつ左方向に回転した状態を示すものである。
そして図7(b)に示す状態では、加熱ディスク50Aにおける被処理物接触部509a(図中の加熱ディスク50Aの裏面側、つまり加熱ディスク50Aの加熱面502a側)と端面507とによって、加熱ディスク50Bにおける被処理物接触部509bに付着した乾燥品Dの掻き落としが開始されている。
その後、加熱ディスク50A、加熱ディスク50Bの回転が進むにつれて近接領域も移動してゆき、やがて加熱ディスク50Bの被処理物接触部509bの全域において乾燥品Dが掻き落とされることとなる。
なお上述の説明は、乾燥品Dが被処理物接触部509b全域に付着したと仮定しているが、乾燥品Dは高温部に優先的に付着するため、正確には、熱媒室501からの伝熱により高温に加熱される加熱部508に集中して付着を生ずることとなる。
また上述の説明は、加熱ディスク50Bの被処理物接触部509bに着目したものであるが、同時に加熱ディスク50Aの被処理物接触部509aに付着した乾燥品Dも、加熱ディスク50Bの被処理物接触部509bと端面507によって掻き落とされることとなる。
また退避スペース26に送り羽根7が設けられているため、退避スペース26に移動に退避していた被処理物をディスク群5A、5B側に戻すことにより、乾燥効率の低下を回避することができる。
そして掻き落とされた乾燥品Dは、排出機構24により底板25が離反して排出口22が開放されることにより外部に排出され、適宜アルゴンガス等により再吸湿が起こらないような状況の下で回収される。
本発明は上述した実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術的思想の範囲内において以下に示すような実施例を採ることもできる。
すなわち基本となる実施例では、ディスク群5A、5Bにおける個々の加熱ディスク50は、連接方向から見て一定角度、24°ずつ位相がずれた状態とされたものであったが、この角度を異ならせることが可能である。
具体的には図8~10に示す実施例は、ディスク群5C、5Dにおける個々の加熱ディスク50が、連接方向から見て一定角度、π/2ずつ位相がずれた状態とされたものである。
そして流入口503と流出口504の並びは平面視において正方形の並びを形作り、流入口503が一方の対角部に配され、流出口504が残りの対角部に配されることとなる。これらは加熱ディスク50の平面形状である楕円の中心を軸として、流入口503をπ/2回動させた部位に流出口504が位置する関係にある。
なお図8には加熱ディスク50D、50Eの断面図を示してあるが、これは加熱媒体の流れる方向を見易くするための便宜上の図示であり、流入口503や流出口504の位置関係は正しくは図11に示すとおりである。
2 乾燥室
20 ケーシング
21 投入口
22 排出口
23 排気口
24 排出機構
25 底板
26 退避スペース
3 軸受
5 加熱体
5A ディスク群
5B ディスク群
5C ディスク群
5D ディスク群
5E ディスク群
5F ディスク群
50 加熱ディスク
50A 加熱ディスク
50B 加熱ディスク
50C 加熱ディスク
50D 加熱ディスク
50E 加熱ディスク
501 熱媒室
501a 仕切壁
502a 加熱面
502b 加熱面
503 流入口
504 流出口
505 嵌合凹部
506 嵌合凸部
507 端面
508 加熱部
508a 加熱部
508b 加熱部
509 被処理物接触部
509a 被処理物接触部
509b 被処理物接触部
51 軸体
51a 流路
52 軸体
52a 流路
7 送り羽根
8 破砕機構
81 ピンディスク
82 ピンディスク
D 乾燥品
L 被処理物
Claims (1)
- ケーシングの内部に、多数の加熱ディスクを具えて構成されたディスク群が複数、回転可能に設置され、
前記加熱ディスクの一部に中空の熱媒室を形成し、多数の加熱ディスクにおける熱媒室を連通させて加熱媒体が貫流するように構成され、
且つこの熱媒室内は仕切壁で区画されており、熱媒室を挟むように対向する一方の加熱面に形成された流入口から熱媒室内に流入した熱媒体が、熱媒室内全域を通過して、ショートカットすることなく、もう一方の加熱面に形成された流出口から流出することができるように構成され、
前記加熱ディスクにおける熱媒室の外側面に付着する乾燥品を、隣接するディスク群の加熱ディスクにより掻き落としながら乾燥するものであり、
前記ケーシングは乾燥室内に具えられ、
また前記加熱ディスクは平面視楕円形状のものであり、
また前記複数のディスク群は、同方向に回転駆動されるものであり、
また前記ディスク群における個々の加熱ディスクは、連設方向から見て一定角度ずつ位相がずれており、このずれによって生じる加熱ディスクの非重なり部を被処理物接触部とするものであり、
また前記ディスク群における加熱ディスクは、隣接するディスク群における加熱ディスクと位相がπ/2ずれることにより、一方のディスク群の加熱ディスクの被処理物接触部が、他方のディスク群の回転を阻害することなく、他方のディスク群の加熱ディスクの被処理物接触部と近接する状態となり、被処理物接触部に付着する付着物を掻き落とすことができるように構成されており、
また前記熱媒室は、被処理物接触部の内側に形成されており、
また前記乾燥室内には、加熱ディスクが作用することのない退避スペースが形成されているとともに、
前記退避スペースには、乾燥品を破砕するための破砕機構が具えられており、
更にこの退避スペースには、被処理物を加熱ディスク側に戻すための送り羽根が設けられており、
加熱ディスクから掻き落とされた乾燥品を、乾燥室内において破砕して、一定の粒度とした状態で、乾燥室の底部に形成された排出口から外部に排出することができるように構成されていることを特徴とする乾燥品の剥離機構を具えた乾燥機。
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