JP7277286B2 - プラントの検査方法 - Google Patents

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Description

本開示は、プラントの検査方法及びプラントの補修方法に関する。
高温高圧の環境下で長時間使用される、例えばボイラの配管では、例えば配管同士等の溶接部においては、クリープ損傷により亀裂が発生する。クリープ損傷による亀裂は進展するため、亀裂の有無や溶接部の厚さ方向での亀裂の長さ(亀裂の高さ)に応じて余寿命を評価し、溶接部に対し適時補修を行う必要がある。そこで、溶接部内の亀裂の有無や亀裂の長さを測定して余寿命を評価する技術の開発が行われている。
例えば、特許文献1が開示する余寿命の評価方法では、フェーズドアレイ法による超音波探傷によって溶接部の内部を探傷し、探傷結果に基づいて余寿命を評価している(特許文献1参照)。
特開2017-151107号公報
上述したように、例えばボイラの配管では、例えば配管同士等の溶接部においてクリープ損傷により亀裂が発生し易いことが分かっていたため、例えばボイラの配管に関しては、溶接部を主体に保守管理が行われてきた。
ところで、最近になって、溶接部ではなく、配管の母材に亀裂が発生する場合があることが分かってきた。しかし、例えば発電プラントや化学プラント等のような規模が比較的大きいプラントでは、使用されている配管の数が多い。そのため、例えばプラントの稼働を停止して行う定期検査等のように検査期間が限られている場合には、全ての配管の母材部分を検査することは困難である。
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、プラントの効率的な検査方法を提供することを目的とする。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るプラントの検査方法は、
管台及び該管台が取り付けられる管台穴が形成された母管を含むプラントの検査方法であって、
前記管台穴の内壁面から前記母管の軸線方向に前記母管の母材内部にずれた領域を含む1以上の検査候補部位から検査部位を選定するステップと、
前記検査部位に対して探傷検査を行うステップと、
を備える。
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係るプラントの補修方法は、
管台及び該管台が取り付けられる母管を含むプラントの補修方法であって、
母管に取り付けられている管台を除去するステップと、
前記母管の内周面側の一部の領域を残して、前記管台が取り付けられていた領域を前記母管から除去して凹部を形成するステップと、
前記一部の領域において前記母管の内部空間と前記母管の外部とを連通する管台穴にシール板を配置するステップと、
前記シール板を配置するステップの後で、前記凹部を溶接で埋め戻すステップと、
を備える。
本開示の少なくとも一実施形態によれば、プラントを効率的に検査できる。
幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法における各工程を示す図である。 溶接部が存在する部位と、その部位の厚さと、亀裂が生じ易い場所との関係を示す表である。 データベースを格納する記憶装置と、該記憶装置にアクセスする端末装置とを示す図である。 評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れを示すフローチャートである。 横軸に評価対象部位に作用する応力をとり、縦軸にきずの大きさと保守対象部位における板厚との比をとったグラフである。 評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れを示すフローチャートである。 評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れを示すフローチャートである。 管台及び該管台が取り付けられる管台穴が形成された母管を含む配管の断面図である。 評価対象部位の検査を行うステップにおいてフェーズドアレイ法による超音波検査を行う際に用いる探傷子の構造を示す模式的な図である。 図9に示す探傷子における屈折角度を説明するための図である。 図8に示した配管において、評価対象部位の補修を行うステップにおいて行われる処理の手順を示すフローチャートである。 管台を除去するステップにおいて管台を母管から除去した後の配管の断面図である。 凹部が形成された配管の断面図である。 凹部が形成された配管を母管の径方向外側から見た図である。 複数の管台が母管の軸線方向に沿って接近した状態で配置されていた場合において、凹部を設ける場合の一例を示す図である。 管台穴にシール板を配置するステップについて説明するための図である。 埋め戻すステップを実施した後の配管の断面図である。 図8に示した配管において、評価対象部位の補修を行うステップにおいて行われる処理の手順を示すフローチャートである。 補強板の斜視図である。 2つの分割板を配置した状態を母管の径方向外側から見た図である。 補強板を母管に溶接するステップにおいて補強板を母管に溶接した後の配管5の断面図である。
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
(プラントの検査方法の概要について)
まず、図1を参照して、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法の概要について説明する。
図1は、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法における各工程を示す図である。幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法は、評価対象部位を選定するステップS1と、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2と、評価対象部位の検査を行うステップS3と、評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4とを含む。なお、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法は、評価対象部位の補修を行うステップS5を含んでいてもよい。
幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法は、高温で大きな応力が掛かる環境下で長時間使用される金属製の部材の検査に適用される検査方法であり、例えば、火力発電設備におけるボイラと蒸気タービンとの間を接続する蒸気配管等の溶接部分の検査や配管等の母材の検査に適用される。
以下、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法における各工程の概略について説明する。
(評価対象部位を選定するステップS1の概略)
評価対象部位を選定するステップS1は、プラントにおいて複数存在する蒸気配管等の中から、探傷検査の実施及び探傷検査の結果に基づく余寿命評価を行う評価対象部位を選定するステップである。すなわち、幾つかの実施形態に係る評価対象部位を選定するステップS1は、1以上の検査候補部位から検査部位を選定するステップである。
図8は、管台及び該管台が取り付けられる管台穴が形成された母管を含む配管の断面図である。図8では、母管10の軸線AXa及び管台20の軸線AXb方向に沿った断面で母管10と管台20との接続部7を表している。図8に示す配管5は、母管10と、母管10に溶接で接続されている管台20とを含む。母管10には、管台20が取り付けられる管台穴13が形成されている。なお、管台穴13は、管台20において管台20の軸線AXb方向に延在する穴部23と母管10の内部とを連通する穴部13aの他、母管10と管台20すなわち分岐管やプラグ、筒等との境目となる壁面を含むものとする。
図8に示す配管5では、管台20は、母管10に対して管台溶接部30で溶接されて取り付けられている。図8に示す配管5では、管台溶接部30は、溶接金属31と、溶接による熱影響部(HAZ部)33とを含んでいる。
発明者らが鋭意検討した結果、管台20及び該管台20が取り付けられる管台穴13が形成された母管10を含む配管5では、管台穴13の内壁面15から母管10の軸線AXa方向に母管10の母材11内部にずれた領域19に亀裂41が生じるおそれがあることが判明した。なお、図8では、上記領域19は、例えば破線で囲んだ領域である。また、図8では、上記亀裂41は、領域19内において交差するハッチングを施した領域である。
このような亀裂41が生じるメカニズムについて簡単に説明する。例えばボイラにおける配管のように、厚肉円筒形状を有し、比較的高い内圧が作用する配管では、一般的に、周方向応力は、配管の母材における径方向の最も内側の領域で最大となる。すなわち図8に示した配管5であれば、一般的に、母管10の内周面10aにおいて周方向応力が最大となる。
また、一般的に、配管の側面に配管の内部と外部とを連通する貫通孔が開いていた場合、配管の内圧によって生じる周方向応力は、貫通孔を形成する壁面のうち、配管の周方向に沿った中央の位置において最大となる。すなわち、図8に示した配管5であれば、一般的に、管台穴13の内壁面15のうち、母管10の周方向に沿った中央の位置において最大となる。
しかし、発明者らが鋭意検討した結果、例えばボイラにおける配管のように、高温高圧の環境下で使用される配管、特に高クロム鋼で形成された配管では、クリープによる変形によって、配管の内圧によって生じる周方向応力が最大となる位置が上述した位置から移動する傾向があることが判明した。
具体的には、例えばボイラにおける配管のように、高温高圧の環境下で使用される配管では、クリープによる変形によって、配管の内圧によって生じる周方向応力が最大となる位置は、配管の母材における径方向の最も内側の領域よりも径方向外側の位置に移動することが判明した。また、例えばボイラにおける配管のように、高温高圧の環境下で使用される配管では、クリープによる変形によって、配管の内圧によって生じる周方向応力が最大となる位置は、配管の側面に配管の内部と外部とを連通する貫通孔が開いていた場合、貫通孔を形成する壁面から、配管の軸線方向に配管の母材内部にずれた領域に移動することが判明した。
すなわち、図8に示した配管5であれば、クリープによる変形によって、配管5の内圧によって生じる周方向応力が最大となる位置は、母管10の軸線AXa方向に母管10の母材11内部にずれた領域19に移動することが判明した。
そこで、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、検査候補部位として上記領域19を含めることとしている。
なお、幾つかの実施形態に係る評価対象部位を選定するステップS1の詳細については、後で説明する。
(検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2の概略)
検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2は、評価対象部位を選定するステップS1で選定した評価対象部位に対する探傷検査の検査方法及び追加計測の計測項目を選定するステップである。
検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2では、評価対象部位を選定するステップS1で選定した評価対象部位に対して適切な探傷検査の検査方法が選定される。
ここで、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2で選定される検査方法は、後述するように、配管の円周溶接部又は長手溶接部、若しくは、管台溶接部の少なくとも一つを含む評価対象部位の種類と、該評価対象部位の厚さとの組合せの各々について設定された検査方法である。また、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2で選定される検査方法は、後述するように、管台及び該管台が取り付けられる管台穴が形成された母管を含む配管について、評価対象部位の種類と、母管の外径及び母管の板厚をパラメータとして含む指標との組合せの各々について設定された検査方法である。
なお、溶接部とは、溶接金属、溶接による熱影響部(HAZ部)および後述する内面スリットを含むものとする。
また、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2では、選定された検査方法に対して適切な追加計測の計測項目が選定される。
ここで、追加計測とは、選定された検査方法による評価対象部位の検査結果に基づいて行われる評価対象部位の余寿命評価の精度向上に必要なパラメータを取得するために実施される計測である。すなわち、後述する評価対象部位の検査を行うステップS3において、選定された検査方法によって評価対象部位の探傷検査を行い、検査結果を得る。そして、得られた検査結果に基づいて、後述する評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4において、評価対象部位の余寿命評価を行う。評価対象部位の余寿命評価を行う際には、探傷検査の検査結果以外にも幾つかのパラメータが必要である。追加計測では、これらのパラメータのうち、余寿命評価の精度向上に必要なパラメータを取得する。
なお、以下の説明では、追加計測の計測項目を単に追加計測項目とも呼ぶ。
検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2の詳細については、後で説明する。
(評価対象部位の検査を行うステップS3の概略)
評価対象部位の検査を行うステップS3は、評価対象部位を選定するステップS1で選定した評価対象部位に対して、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2で選定された検査方法で探傷検査を行うステップである。すなわち、評価対象部位の検査を行うステップS3は、評価対象部位を選定するステップS1で選定した評価対象部位に対して、探傷検査を行うステップである。
また、評価対象部位の検査を行うステップS3では、必要に応じて、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2で選定された追加計測項目についての追加計測を行う。
評価対象部位の検査を行うステップS3の詳細については、後で説明する。
(評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4の概略)
評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4は、評価対象部位の検査を行うステップS3で行われた評価対象部位の検査結果に基づいて、評価対象部位の余寿命評価を行うステップである。
なお、評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4では、評価対象部位の検査を行うステップS3で追加計測項目について追加計測が行われていれば、追加計測によって取得されたパラメータも用いて評価対象部位の余寿命評価を行う。
余寿命の評価には、例えば亀裂進展計算、FEM、損傷力学的評価、ボイドシミュレーション法又は組織シミュレーション法等を用いることができる。
(評価対象部位の補修を行うステップS5の概略)
評価対象部位の補修を行うステップS5は、評価対象部位の検査を行うステップS3で行われた評価対象部位の検査結果、又は、評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4で行われた評価対象部位の余寿命評価の結果に基づいて、必要に応じて評価対象部位の補修を行うステップである。
評価対象部位の補修を行うステップS5の詳細については、後で説明する。
このように、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、評価対象部位を選定するステップS1と、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2と、評価対象部位の検査を行うステップS3とを備える。
すなわち、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法は、管台穴13の内壁面15から母管10の軸線AXa方向に母管10の母材11内部にずれた領域19を含む1以上の検査候補部位から検査部位を選定するステップ、すなわち、評価対象部位を選定するステップS1を備える。幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法は、配管の円周溶接部又は長手溶接部、若しくは、管台溶接部の少なくとも一つを含む評価対象部位の種類と、該評価対象部位の厚さとの組合せの各々について設定された検査方法により、評価対象部位の検査を行うステップ、すなわち、評価対象部位の検査を行うステップS3を備える。幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法は、管台及び該管台が取り付けられる管台穴が形成された母管を含む配管について、評価対象部位の種類と、母管の外径及び母管の板厚をパラメータとして含む指標との組合せの各々について設定された検査方法により、評価対象部位の検査を行うステップ、すなわち、評価対象部位の検査を行うステップS3を備える。
したがって、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法によれば、評価対象部位を選定するステップS1と、該ステップS1において選定した検査部位に対して探傷検査を行うステップである、評価対象部位の検査を行うステップS3とを備えているので、限られた検査期間であっても上記領域19に生じた亀裂41の存在を確認できる。したがって、プラントを効率的に検査できる。
また、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法は、上記検査方法による評価対象部位の検査結果、に基づいて行われる評価対象部位の余寿命評価、の精度向上に必要なパラメータを取得するための追加計測の計測項目、を選定するステップ、すなわち、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2を備える。したがって、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法によれば、評価対象部位の検査方法が評価対象部位の種類と評価対象部位の厚さとの組合せに応じて適切なものとなり、評価対象部位の検査結果の精度が向上する。さらに、余寿命評価の精度向上のための追加計測の計測項目が評価対象部位の検査方法に応じて適切なものとなる。これらにより、評価対象部位の検査結果に基づいて行われる評価対象部位の余寿命評価の精度が向上する。
(評価対象部位を選定するステップS1の詳細について)
評価対象部位を選定するステップS1の詳細について説明する。なお、以下の説明では、図8に示すように、配管が管台20が取り付けられた母管10を含む配管5である場合について説明する。
上述したように、図8に示すような配管5では、管台穴13の内壁面15から母管10の軸線AXa方向に母管10の母材11内部にずれた領域19に亀裂41が生じるおそれがあることが判明した。また、図8に示すような配管5では、後述するように管台溶接部30において亀裂が生じ易いことも分かっている。
そこで、発明者らが鋭意検討した結果、図8に示すような配管5において、母管10の外径D及び板厚Tをパラメータとして含み板厚Tの相対的な厚さを表す指標が規定値以下であれば、すなわち、母管10の板厚Tが相対的に薄ければ、管台溶接部30より先に上述した領域19に亀裂が発生し易いことが判明した。逆に、上記指標が上記規定値を超えていれば、すなわち、母管10の板厚Tが相対的に厚ければ、上述した領域19よりも先に管台溶接部30に亀裂が生じ易いことが判明した。
そこで、幾つかの実施形態では、評価対象部位を選定するステップS1において、上記指標が上記規定値以下であれば、上述した領域19を検査部位(評価対象部位)として選定する。また、幾つかの実施形態では、評価対象部位を選定するステップS1において、上記指標が上記規定値を超えていれば、管台溶接部30を検査部位(評価対象部位)として選定する。
ここで、上記指標は、例えば、母管10の板厚Tを母管10の外径Dで除した母管板厚外径比(T/D)であってもよい。
すなわち、幾つかの実施形態では、評価対象部位を選定するステップS1において、母管板厚外径比(T/D)が規定値Th以下であれば、上述した領域19を検査部位(評価対象部位)として選定する。また、幾つかの実施形態では、評価対象部位を選定するステップS1において、母管板厚外径比(T/D)が規定値Thを超えていれば、管台溶接部30を検査部位(評価対象部位)として選定する。
なお、上記指標として、母管板厚外径比(T/D)の逆数である母管10の外径Dを母管10の板厚Tで除した母管外径板厚比(D/T)を採用した場合、評価対象部位を選定するステップS1において、母管外径板厚比(D/T)が規定値Th以上であれば、上述した領域19を検査部位(評価対象部位)として選定するようにしてもよい。そして、母管外径板厚比(D/T)が規定値Th未満であれば、管台溶接部30を検査部位(評価対象部位)として選定するようにしてもよい。
なお、上記規定値Thは、例えば接続されている管台20の管の外径d及び板厚tをパラメータとして含む指標の値等によって異なる値を取る。すなわち、幾つかの実施形態では、プラントにおいて複数存在する図8に示すような配管5のそれぞれについて、各々の管台20との接続部7毎に上記規定値Thが存在する。
幾つかの実施形態では、各々の管台20との接続部7の位置や該接続部7毎に存在する上記規定値Thについての情報は、データベースとして記憶装置(図3参照)に予め格納されている。
図3は、このデータベースを格納する記憶装置と、該記憶装置にアクセスする端末装置とを示す図である。上述したように、記憶装置1には、複数の配管5における各々の管台20との接続部7の位置や該接続部7毎に存在する上記規定値Th、母管10の外径Dや板厚Tについての情報等がデータベースとして格納されている。
また、後述するように、記憶装置1には、溶接部が存在する部位と、その部位の厚さと、最も大きな損傷が発生し易い場所との関係についての情報がデータベースとして格納されている。端末装置2は、例えばパーソナルコンピュータ等の端末装置であり、記憶装置1に格納されたデータベースの情報を記憶装置1から読み出して、端末装置2の操作者に提示することができる。なお、記憶装置1は、端末装置2と異なる場所に配置されていてもよく、端末装置2内に設けられていてもよい。端末装置2は、各種の演算処理を実行する演算装置3と、検査員や作業員などからの入力操作を受け付ける入力装置4と、演算装置3による演算結果などを表示するための表示部2aとを有している。
幾つかの実施形態では、評価対象部位を選定するステップS1において、演算装置3は、評価対象部位を選定するように指示が入力装置4から入力されると、記憶装置1に格納されたデータベースの情報を記憶装置1から読み出して、評価対象部位を選定する。
例えば、幾つかの実施形態では、評価対象部位を選定するステップS1において、演算装置3は、図8に示すような管台20が接続されている配管5については、記憶装置1から上記規定値Th、母管10の外径Dや板厚Tについての情報を読み出す。そして、演算装置3は、読み出した情報に基づいて、母管板厚外径比(T/D)を算出する。そして、演算装置3は、算出した母管板厚外径比(T/D)と読み出した規定値Thとを比較する。
母管板厚外径比(T/D)が規定値Th以下であれば、演算装置3は、上述した領域19を検査部位(評価対象部位)として選定する。また、母管板厚外径比(T/D)が規定値Thを超えていれば、演算装置3は、管台溶接部30を検査部位(評価対象部位)として選定する。
なお、記憶装置1には、複数の配管5における母管板厚外径比(T/D)が予め格納されていてもよい。この場合、演算装置3は母管10の外径Dや板厚Tの情報を読み出すことに代えて、記憶装置1から母管板厚外径比(T/D)を読み出してもよい。
演算装置3は、評価対象部位を選定した後、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2において、以下で述べる処理を実施する。
(検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2の詳細について)
以下、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2の詳細について説明する。
例えば、火力発電設備におけるボイラと蒸気タービンとの間を接続する蒸気配管には、複数の種類の溶接個所が存在する。例えば、蒸気配管には、配管同士を接続する円周溶接部や、配管と分岐管とを接続する管台溶接部が存在する。また、配管が板状部材から製造されている場合には、板の端部同士を接続するために管軸方向に延在する長手溶接部が存在する。
溶接部が存在する部位が異なると、亀裂が生じ易い場所が異なることが発明者らの知見によって分かってきた。また、同種類の溶接部であっても、その部位の厚さによって亀裂が生じ易い場所が異なることが発明者らの知見によって分かってきた。
図2は、発明者らが鋭意検討した結果判明した、溶接部が存在する部位と、その部位の厚さと、亀裂が生じ易い場所との関係を示す表である。
同種類の溶接部であっても、おおよそ厚さ20mmを境にして亀裂が生じ易い場所が異なることが発明者らの知見によって分かった。図2に示した表において、薄肉とは、厚さが20mm以下であることを表し、厚肉とは、厚さが20mmを超えていることを示している。以下の説明においても同様である。
例えば配管の直管における長手溶接部において、厚肉の部分では、長手溶接部の板厚内部に亀裂が生じ易く、最も大きな損傷が発生し易い。なぜなら、溶接による熱影響部(HAZ部)のクリープ速度が母材や溶接金属のそれより早いことで、HAZ部における板厚内部の応力の多軸度が大きくなるためである。
例えば配管のエルボにおける長手溶接部において、厚肉の部分では、長手溶接部の板厚内部に亀裂が生じ易く、最も大きな損傷が発生し易い。その理由は、上述の直管における長手溶接部と同じである。
例えば配管の円周溶接部において、厚肉の部分では、円周溶接部の外表面に亀裂が生じ易く、最も大きな損傷が発生し易い。なぜなら、配管システム応力、すなわち、例えば配管の支持構造物や接続されている他の配管等から受ける外力等に起因する応力や、自身の熱膨張が拘束されることで生じる熱応力等の影響で溶接部に作用する曲げ応力の最大位置が外表面であるためである。また、例えば配管の円周溶接部において、薄肉の部分では、円周溶接部の板厚内部に亀裂が生じ易く、最も大きな損傷が発生し易い。その理由として、薄肉の部分も厚肉と同様に配管システム応力の影響を受けるが、板厚が小さいため板厚方向における曲げ応力の分布は小さく、上述したクリープ速度差に起因する多軸度の影響の方が大きいためである。
例えば図8に示すような配管5の場合、上述したように、母管板厚外径比(T/D)が規定値Th以下であれば、上述した領域19に亀裂が発生し易い。逆に、母管板厚外径比(T/D)が規定値Thを超えていれば、管台溶接部30に亀裂が生じ易い。
例えば管台溶接部30では、薄肉の部分及び厚肉の部分の双方とも、管台溶接部30の外表面及び内面スリット周辺部位に亀裂が生じ易く、最も大きな損傷が発生し易い。外表面で損傷が発生し易い理由は、配管のフープ応力(周方向応力)が外表面で最大となるためである。一方、内面スリット周辺部位でも損傷が発生し易い理由は、スリットのような亀裂状の先端部では応力集中が起こるためである。なお、管台溶接部30の内面スリットとは、配管(母管10)と管台20(分岐管やプラグ、筒等)との境目であって、溶接の際に溶接金属の溶け込みが不十分で、該境目がスリットとして残った部分のことである。
なお、現在のプラントの多くでは、高温高圧の環境下で使用される薄肉の直管及び薄肉のエルボに電縫管を用いることがほとんどないため、薄肉の直管及び薄肉のエルボにおける長手溶接部については、説明を省略する。
このような、溶接部が存在する部位と、その部位の厚さと、最も大きな損傷が発生し易い場所との関係についての情報は、図3に示した記憶装置1に予めにデータベースとして格納されている。
上述したように、記憶装置1には、溶接部が存在する部位と、その部位の厚さと、最も大きな損傷が発生し易い場所との関係についての情報がデータベースとして格納されている。
(板厚内部の探傷検査に適した検査方法)
例えば板厚内部の探傷検査に適した検査方法として、コンベンショナルUT法による超音波検査、TOFD法による超音波検査、フェーズドアレイ法による超音波検査、開口合成法による超音波検査、高周波UT法による超音波検査、超音波ノイズ法による超音波検査等を挙げることができる。
また、これら板厚内部の探傷検査に適した検査方法による検査結果に基づいて行われる評価対象部位の余寿命評価の精度向上に必要なパラメータは、例えば、評価対象部位に係る寸法、形状、温度、材料特性である。
評価対象部位に係る寸法や形状を取得するための追加計測の計測項目は、例えば、配管の外径、配管の板厚、配管の扁平率、溶接線を長手方向から見たときの断面の形状、溶接による熱影響部(HAZ部)の形状を挙げることができる。評価対象部位に係る寸法や形状を取得することで、余寿命評価の際に溶接部に作用している応力を精度よく算定できる。特に配管の外径、扁平率、断面の形状は、長手溶接部で重要となる円周方向に作用している応力(曲げ、引っ張り)を精度よく算定する際に有効な計測項目となる。
評価対象部位に係る温度を取得するための追加計測の計測項目は、例えば、水蒸気酸化スケールの形成状態や、析出物の形成状態、評価対象部位の組織変化を挙げることができ、これらの計測結果から評価対象部位に係る温度を推定することができる。この場合の温度とは、過去の温度履歴や、過去に作用した最高温度のことを指す。評価対象部位に係る温度を取得することで、余寿命評価の際に温度条件を精度よく設定できる。
評価対象部位に係る材料特性を取得するための追加計測の計測項目は、例えば、評価対象部位の硬さを挙げることができる。また、評価対象部位から少量のサンプルを採取し、このサンプルに対してクリープ試験等を実施することで評価対象部位に係る材料特性を取得してもよい。評価対象部位に係る材料特性を取得することで、余寿命評価の際に溶接部の強度を精度よく設定できる。
なお、上述した記憶装置1には、板厚内部の探傷検査に適した検査方法として上述した各検査方法がデータベースとして格納されている。また、上述した記憶装置1には、板厚内部の探傷検査に適した検査方法と紐づけられて上記の追加計測項目がデータベースとして格納されている。さらに、上述した記憶装置1には、上記の追加計測項目を計測するか否かの判断を行うための処理を含む、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れの情報がデータベースとして格納されている。なお、該処理の流れについては、後で説明する。
なお、上述した超音波検査では、評価対象部位のうち表面近傍(例えば表面から数mm)の範囲は不感帯となるため、探傷ができない。そこで、例えば板厚内部の探傷検査の結果、板厚内部のきずが不感帯の近傍に存在すると判断される場合には、評価対象部位の検査を行うステップS3において、不感帯の影響を低減するための不感帯低減策を行うこととしている。
不感帯低減策として、例えば外表面を検査することが挙げられる。外表面の検査方法としては、例えば、磁粉探傷検査、浸透探傷検査、MT転写法による検査、渦電流探傷検査等がある。これらの検査によって外表面のきずの存在が確認できれば、板厚内部で不感帯の近傍に存在するきずが、外表面のきずと連続していると判断することができ、外表面のきずの存在が確認できなければ、板厚内部で不感帯の近傍に存在するきずが、少なくとも外表面には達していないと判断できる。
また、不感帯低減策として、溶接部分の余盛りを除去してもよい。溶接部分の余盛りを除去することで、磁粉探傷検査等が行い易くなる。また、溶接部分の余盛りを除去することで、溶接部分の余盛りを除去した後の表面に超音波探傷の探傷子を接触させることができるようになり、探傷範囲を拡大できる。また、溶接部分の余盛りを除去することで、溶接部分の余盛りを除去した後の表面に目視等で観察可能なきずが現れる場合がある。また、溶接部分の余盛りを除去することで、余盛りの表面近傍にのみ存在していたきずを除去できる。
上述した記憶装置1には、板厚内部の探傷検査に適した検査方法に紐づけられた不感帯低減策がデータベースとして格納されている。
(外表面の探傷検査に適した検査方法)
例えば外表面の探傷検査に適した検査方法として、磁粉探傷検査、浸透探傷検査、MT転写法による検査、渦電流探傷検査等を挙げることができる。
これら外表面の探傷検査に適した検査方法による検査結果に基づいて行われる評価対象部位の余寿命評価の精度向上に必要なパラメータは、例えば、評価対象部位に係る寸法、形状、温度、材料特性である。
評価対象部位に係る寸法や形状を取得するための追加計測の計測項目、評価対象部位に係る温度を取得するための追加計測の計測項目、及び、評価対象部位に係る材料特性を取得するための追加計測の計測項目は、上述したとおりである。
なお、後述するように、外表面に最も大きな損傷が発生し易い場合、上述した外表面の探傷検査に適した検査方法による探傷検査に加えて、例えば外表面における局部的な寿命消費率であって目視観察可能な亀裂が発生した時点を100%とする局部的な寿命消費率を求めるための非破壊検査を行う場合がある。この非破壊検査方法として、ボイド個数密度法、ボイド面積率法、組織対比法、析出物粒間距離法、Aパラメータ法、結晶粒変形法、ボイド粒界長さ法、炭化物組成測定法等の非破壊検査方法を挙げることができる。
また、後述するように、非破壊検査の検査結果に基づいて求められた外表面における局部的な寿命消費率が所定値を超えている場合や、外表面にきずが存在している場合には、該外表面近傍の評価対象部位の内部を探傷検査する。
外表面近傍の評価対象部位の内部の探傷検査に適した検査方法として、コンベンショナルUT法による超音波検査、TOFD法による超音波検査、フェーズドアレイ法による超音波検査、開口合成法による超音波検査、高周波UT法による超音波検査、超音波ノイズ法による超音波検査等を挙げることができる。
上述した記憶装置1には、外表面の探傷検査に適した検査方法として上述した各検査方法がデータベースとして格納されている。また、上述した記憶装置1には、外表面の探傷検査に適した検査方法と紐づけられて上記の追加計測項目がデータベースとして格納されている。上述した記憶装置1には、外表面における局部的な寿命消費率を求めるための非破壊検査方法として、上述した非破壊検査方法がデータベースとして格納されている。上述した記憶装置1には、外表面近傍の評価対象部位の内部の探傷検査に適した検査方法として上述した各検査方法がデータベースとして格納されている。さらに、上述した記憶装置1には、上記の追加計測項目を計測するか否かの判断を行うための処理を含む、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れの情報がデータベースとして格納されている。なお、該処理の流れについては、後で説明する。
(内面スリット周辺部位の探傷検査に適した検査方法)
内面スリット周辺部位の探傷検査では、探傷範囲内に内面スリットが初めから存在するが、溶接の状態によって内面スリットの存在範囲は変化する。そのため、内面スリット周辺部位の探傷検査では、内面スリットときずとを区別することが困難である。そこで、内面スリット周辺部位の探傷検査では、巨視亀裂のように目視観察により観察可能な亀裂を検出対象とし、検出された亀裂は、内面スリットと区別することなく、全て巨視亀裂のように目視観察により観察可能な亀裂として扱うこととする。
例えば内面スリット周辺部位の探傷検査に適した検査方法として、コンベンショナルUT法による超音波検査、TOFD法による超音波検査、フェーズドアレイ法による超音波検査、開口合成法による超音波検査、高周波UT法による超音波検査、超音波ノイズ法による超音波検査等を挙げることができる。
また、これら内面スリット周辺部位の探傷検査に適した検査方法による検査結果に基づいて行われる評価対象部位の余寿命評価の精度向上に必要なパラメータは、例えば、評価対象部位に係る寸法、形状、温度、材料特性である。
評価対象部位に係る寸法や形状を取得するための追加計測の計測項目は、例えば、溶接による熱影響部(HAZ部)の形状、溶接金属の表面形状、管台における配管(母管)の外径、母管の肉厚等を挙げることができる。
評価対象部位に係る温度を取得するための追加計測の計測項目、及び、評価対象部位に係る材料特性を取得するための追加計測の計測項目は、上述したとおりである。
なお、上述した記憶装置1には、内面スリット周辺部位の探傷検査に適した検査方法として上述した各検査方法がデータベースとして格納されている。また、上述した記憶装置1には、内面スリット周辺部位の探傷検査に適した検査方法と紐づけられて上記の追加計測項目がデータベースとして格納されている。さらに、上述した記憶装置1には、上記の追加計測項目を計測するか否かの判断を行うための処理を含む、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れの情報がデータベースとして格納されている。なお、該処理の流れについては、後で説明する。
検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2では、検査員が端末装置2を操作して、評価対象部位の種類と評価対象部位の厚さとを入力すると、端末装置2は、評価対象部位の探傷検査に適した検査方法と、該検査方法による検査結果に基づいて行われる評価対象部位の余寿命評価の精度向上のための追加計測項目とを記憶装置1のデータベースから読み出す。そして、端末装置2は、読み出した該検査方法と該追加計測項目とを、例えば端末装置2の表示部2aに表示する。
また、端末装置2は、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れの情報を記憶装置1のデータベースから読み出す。そして、端末装置2は、読み出した、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れの情報を、例えば端末装置2の表示部2aに表示する。
なお、読みだした検査方法が外表面の探傷検査に適した検査方法である場合、例えば端末装置2の表示部2aには、局部的な寿命消費率を求めるための非破壊検査方法、及び、外表面近傍の評価対象部位の内部の探傷検査に適した検査方法も表示される。
すなわち、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2は、評価対象部位の種類と、該評価対象部位の厚さとの組合せの各々について、検査方法および追加計測項目を規定するデータベースを用いて、検査方法および計測項目を選定するステップである。
このように、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法によれば、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2を備えるので、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき検査方法および計測項目を迅速に選定できる。
(評価対象部位の検査を行うステップS3の詳細について)
評価対象部位の検査を行うステップS3では、次のようにして、評価対象部位に対して探傷検査を行う。
(1)評価対象部位が板厚内部に最も大きな損傷が発生し易い部位であった場合
例えば、評価対象部位が板厚内部に最も大きな損傷が発生し易い部位であった場合、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2では、図4に示すフローチャートが提示される。
図4は、評価対象部位が板厚内部に最も大きな損傷が発生し易い部位である場合に、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れを示すフローチャートである。検査員は、評価対象部位の検査を行うステップS3において、図4に示したフローチャートに従って、評価対象部位の探傷検査を実施し、追加計測項目を計測するか否かの判断を行い、必要に応じて追加計測を行う。
ステップS301において、検査員は、評価対象部位の板厚内部の探傷検査を行って、板厚内部のきずの位置や大きさを検出する。
なお、ステップS301では、コンベンショナルUT法による超音波検査、TOFD法による超音波検査、フェーズドアレイ法による超音波検査、開口合成法による超音波検査、高周波UT法による超音波検査、超音波ノイズ法による超音波検査等のうち、何れかの検査方法によって板厚内部の探傷検査を行う。これらの各検査方法は、上述したように、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2において検査員に提示されている。
次いで、ステップS302において、検査員は、ステップS301で実施した探傷検査の結果から、内在きず、すなわち評価対象部位の板厚内部のきずの有無を判断する。ステップS302において、きずが存在しなかったと判断されると本処理を終了する。
ステップS302において、きずが存在したと判断されるとステップS303へ進み、検査員は、検出されたきずがステップS301で実施した検査方法における不感帯の近傍に存在したか否かを判断する。
検出されたきずが不感帯の近傍に存在していなければ、後述するステップS306へ進む。検出されたきずが不感帯の近傍に存在している場合、ステップS304へ進み、検査員は、上述した不感帯低減策を実施する。なお、不感帯低減策は、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2において検査員に提示されている。
上述したように、不感帯低減策の実施にあたっては、例えば外表面の検査や溶接部分の余盛りの除去が行われる。また、不感帯低減策の実施にあたっては、溶接部分の余盛りの除去後に外表面検査や評価対象部位の板厚内部の探傷検査を実施してもよい。
このように、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、ステップS304は、評価対象部位の内部を検査して、評価対象部位の外表面側において検査方法の不感帯から所定距離内の内部にきずが検出された場合、評価対象部位の外表面を検査する検査方法による検査をさらに実施するか、又は、評価対象部位における溶接部の余盛りの削除を行った後、再び評価対象部位の内部を検査するステップである。したがって、検査方法に係る不感帯の影響を抑制できる。
ステップS304で不感帯低減策を実施した後、ステップS305において、検査員は、板厚内部で不感帯の近傍に存在するきずが、外表面のきずと連続しているか否かを判断する。
ステップS305で、板厚内部で不感帯の近傍に存在するきずが外表面のきずと連続していないと判断されれば、ステップS306において、検査員は、外表面の傷を考慮せずに板厚内部のきずの大きさをステップS301における探傷検査の結果から取得する。
ステップS305で、板厚内部で不感帯の近傍に存在するきずが外表面のきずと連続していると判断されれば、ステップS309において、検査員は、外表面のきずを含めて板厚内部のきずの大きさをステップS301における探傷検査の結果から取得する。
ステップS307において、検査員は、ステップS306又はステップS309で取得したきずの大きさから、評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4で余寿命評価を行う際に、余寿命評価の精度を向上させる必要があるか否かを判断する。具体的には、ステップS306で取得したきずの大きさと、図5に示した簡易判定グラフとを参照して余寿命評価の精度を向上させる必要があるか否かを判断する。
なお、図5は、横軸に評価対象部位に作用する応力をとり、縦軸にきずの大きさと保守対象部位における板厚との比をとったグラフである。図5のグラフにおける直線L1~L7は、検出されたきずが評価対象部位を貫通するまでの余寿命が20,000時間となる場合について示すものである。直線L1~L7の違いは、それぞれ保守対象部位における温度の違いであり、図5において左側に行くほど保守対象部位における温度が高い。すなわち、直線L1が最も温度が高い場合について表す直線であり、直線L7が最も温度が低い場合について表す直線である。なお、上記の20,000時間は、例えば2年後の次回の定期検査までの時間である約17000時間に約3000時間の余裕を持たせた時間である。
検査員は、ステップS306で取得したきずの大きさと保守対象部位の板厚とからきずの大きさと保守対象部位における板厚との比を求めるとともに、例えばプラントの運転状況からプラントの運転中に評価対象部位に作用する応力と温度を求める。そして、求めた比及び応力に対応する地点が図5に示したグラフにおけるどの位置となるか、及び、求めた温度に対応する何れかの直線L1~L7との位置関係を確認する。
求めた比及び応力に対応する地点が求めた温度に対応する何れかの直線L1~L7の左側の領域内であり、該直線からある程度離れていれば、検出されたきずが評価対象部位を貫通するまでの余寿命が20,000時間を超えていると判断できる。この場合、ステップS307において、検査員は、評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4で余寿命評価を行う際に、余寿命評価の精度を向上させる必要がないと判断して、評価対象部位の検査を行うステップS3における処理を終了する。
また、求めた比及び応力に対応する地点が求めた温度に対応する何れかの直線L1~L7の左側の領域内であるが該直線に近接していたり、該直線上又は該直線よりも右側の領域内であれば、検出されたきずが評価対象部位を貫通するまでの余寿命が20,000時間を下回る可能性があると判断できる。この場合、ステップS307において、検査員は、評価対象部位の余寿命評価を行うステップS4で余寿命評価を行う際に、余寿命評価の精度を向上させる必要があると判断してステップS308へ進む。
ステップS308において、検査員は、追加計測項目の追加計測を実施する。なお、上述したように、追加計測項目は、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2において検査員に提示されている。検査員は、追加計測の実施後、評価対象部位の検査を行うステップS3における処理を終了する。
このように、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、ステップS307は、評価対象部位の検査結果から求めたきず長さに基づいて、追加計測の要否を判定するステップである。幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、評価対象部位の検査結果から求めたきず長さに基づいて、追加計測の要否を判定するステップを備えるので、追加計測の要否をきず長さに基づいて容易に判断できる。また、追加計測が必要ないと判断されれば追加計測をしなくて済むので、効率的である。
また、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、ステップS306で取得したきずの大きさと図5に示した簡易判定グラフとに基づいて、追加計測の要否を判定している。すなわち、追加計測の要否判定に用いるきず長さの閾値は、プラントの運転中における評価対象部位の温度条件又は応力条件の少なくとも一方に応じて決定される。したがって、追加計測の要否判定に用いるきず長さの閾値にプラントの運転中における評価対象部位の温度条件又は応力条件の少なくとも一方が反映されるので、追加計測の要否の精度を向上できる。
(2)評価対象部位が外表面に最も大きな損傷が発生し易い部位であった場合
例えば、評価対象部位が外表面に最も大きな損傷が発生し易い部位であった場合、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2では、図6に示すフローチャートが提示される。
図6は、評価対象部位が外表面に最も大きな損傷が発生し易い部位である場合に、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れを示すフローチャートである。検査員は、評価対象部位の検査を行うステップS3において、図6に示したフローチャートに従って、評価対象部位の探傷検査を実施し、追加計測項目を計測するか否かの判断を行い、必要に応じて追加計測を行う。
ステップS321において、検査員は、評価対象部位の外表面の検査を行って、外表面のきずを検出する。
なお、ステップS321では、磁粉探傷検査、浸透探傷検査、MT転写法による検査、渦電流探傷検査等のうち、何れかの検査方法によって外表面の探傷検査を行う。これらの各検査方法は、上述したように、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2において検査員に提示されている。
次いで、ステップS322において、検査員は、ステップS321で実施した検査の結果から、外表面のきずの有無を判断する。ステップS322において、きずが存在しなかったと判断されると、後述するステップS326へ進む。
ステップS322において、きずが存在したと判断されるとステップS323へ進み、外表面のきずが評価対象部位の内部にどの程度まで及んでいるのかを検査するため、検査員は、外表面近傍の評価対象部位の内部を探傷検査する。ステップS323では、検査員は、コンベンショナルUT法による超音波検査、TOFD法による超音波検査、フェーズドアレイ法による超音波検査、開口合成法による超音波検査、高周波UT法による超音波検査、超音波ノイズ法による超音波検査等のうち、何れかの検査方法によって外表面近傍の評価対象部位の内部の探傷検査を行う。これらの各検査方法は、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2において検査員に提示されている。
ステップS324において、検査員は、ステップS323で実施した探傷検査の検査結果に基づいて、外表面に現れたきずの深さ(大きさ)を取得してステップS307へ進む。なお、図6におけるステップS307及びステップS308における処理は、図4に示したステップS307及びステップS308における処理と同じであるので、説明を省略する。
ステップS326において、検査員は、評価対象部位のレプリカが存在しなければ評価対象部位の検査を行うステップS3における処理を終了し、評価対象部位のレプリカが存在すればステップS327へ進む。
ステップS327において、検査員は、評価対象部位のレプリカに基づいて、非破壊検査(NED)を行って外表面における局部的な寿命消費率を算出する。なお、ステップS327では、検査員は、ボイド個数密度法、ボイド面積率法、組織対比法、析出物粒間距離法、Aパラメータ法、結晶粒変形法、ボイド粒界長さ法、炭化物組成測定法等のうち、何れかの検査方法に基づいて外表面における局部的な寿命消費率を算出する。これらの各検査方法は、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2において検査員に提示されている。
ステップS328において、検査員は、ステップS327で算出した外表面における局部的な寿命消費率が所定値を超えているか否かを判断する。ここで、目視観察可能な亀裂が発生した時点を100%とした場合に、該所定値として、例えば90%を採用するが、該所定値は90%に限定されない。
ステップS327で算出した外表面における局部的な寿命消費率が90%を超えていれば、ステップS323へ進み、検査員は、上述したステップS323の処理を実施する。
ステップS327で算出した外表面における局部的な寿命消費率が90%以下であれば、検査員は、評価対象部位の検査を行うステップS3における処理を終了する。
このように、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、評価対象部位の外表面を検査し、局部的な寿命消費率であって目視観察可能な亀裂が発生した時点を100%とする局部的な寿命消費率を算出するステップS327を備える。また、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、算出した上記の寿命消費率が所定値を超えている場合には、評価対象部位の内部を検査する検査方法による検査を実施するステップS323を備える。したがって、評価対象部位の外表面から内部にかけてどの程度まできずが進展しているのかを検査できる。
(3)評価対象部位が内面スリット周辺部位に最も大きな損傷が発生し易い部位であった場合
例えば、評価対象部位が内面スリット周辺部位に最も大きな損傷が発生し易い部位であった場合、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2では、図7に示すフローチャートが提示される。
図7は、評価対象部位が内面スリット周辺部位に最も大きな損傷が発生し易い部位である場合に、評価対象部位の検査を行うステップS3で実施すべき処理の流れを示すフローチャートである。検査員は、評価対象部位の検査を行うステップS3において、図7に示したフローチャートに従って、評価対象部位の探傷検査を実施し、追加計測項目を計測するか否かの判断を行い、必要に応じて追加計測を行う。
ステップS341において、検査員は、評価対象部位における内面スリット周辺部位の検査を行って、内面スリット周辺部位のきずの位置や大きさを検出する。
なお、ステップS341では、コンベンショナルUT法による超音波検査、TOFD法による超音波検査、フェーズドアレイ法による超音波検査、開口合成法による超音波検査、高周波UT法による超音波検査、超音波ノイズ法による超音波検査等のうち、何れかの検査方法によって内面スリット周辺部位の探傷検査を行う。これらの各検査方法は、上述したように、検査方法及び追加計測項目を選定するステップS2において検査員に提示されている。
次いで、ステップS342において、検査員は、ステップS341で実施した探傷検査の結果から、内面スリット周辺部位のきずの有無を判断する。ステップS342において、きずが存在しなかったと判断されると本処理を終了する。
ステップS342において、きずが存在したと判断されるとステップS343へ進み、検査員は、内面スリット周辺部位のきずの大きさをステップS341における探傷検査の結果から取得してステップS307へ進む。なお、図7におけるステップS307及びステップS308における処理は、図4に示したステップS307及びステップS308における処理と同じであるので、説明を省略する。
このように、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、保守対象部位が、例えば配管の直管やエルボにおける厚肉の長手溶接部であれば、長手溶接部の板厚内部に最も大きな損傷が発生し易い。そこで、検査員は、上記(1)で説明したように、図4に示したフローチャートに従って、板厚内部の探傷検査に適した検査方法で評価対象部位の探傷検査を実施し、追加計測項目を計測するか否かの判断を行い、必要に応じて追加計測を行う。
すなわち、規定値を超える肉厚を有する長手溶接部について設定された検査方法は、評価対象部位としての長手溶接部の内部を検査する検査方法である。したがって、検査方法が規定値を超える肉厚を有する長手溶接部に適したものとなる。
また、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、保守対象部位が、規定値を超える肉厚を有する長手溶接部であれば、板厚内部の探傷検査に適した検査方法が選定されるので、追加計測の計測項目に配管の配管断面形状、すなわち配管を管軸方向から見たときの断面の形状、を含む項目が選定される。したがって、規定値を超える肉厚を有する長手溶接部に適した計測項目が選定される。
また、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、保守対象部位が、例えば厚肉の円筒溶接部であれば、円筒溶接部の外表面に最も大きな損傷が発生し易い。そこで、検査員は、上記(2)で説明したように、図6に示したフローチャートに従って、外表面の探傷検査に適した検査方法で評価対象部位の探傷検査を実施し、追加計測項目を計測するか否かの判断を行い、必要に応じて追加計測を行う。
すなわち、規定値を超える肉厚を有する円周溶接部について設定された検査方法は、評価対象部位としての円周溶接部の外表面を検査する検査方法である。したがって、検査方法が規定値を超える肉厚を有する円周溶接部に適したものとなる。
また、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、保守対象部位が、例えば薄肉の円筒溶接部であれば、円筒溶接部の板厚内部に最も大きな損傷が発生し易い。そこで、検査員は、上記(1)で説明したように、図4に示したフローチャートに従って、板厚内部の探傷検査に適した検査方法で評価対象部位の探傷検査を実施し、追加計測項目を計測するか否かの判断を行い、必要に応じて追加計測を行う。
すなわち、規定値以下の肉厚を有する円周溶接部について設定された検査方法は、評価対象部位としての円周溶接部の内部を検査する検査方法である。したがって、検査方法が規定値以下の肉厚を有する円周溶接部に適したものとなる。
また、幾つかの実施形態に係るプラントの検査方法では、保守対象部位が、例えば管台溶接部であれば、管台溶接部の外表面及び内面スリット周辺部位に最も大きな損傷が発生し易い。そこで、検査員は、外表面に発生する損傷に対して、上記(2)で説明したように、図6に示したフローチャートに従って、外表面の探傷検査に適した検査方法で評価対象部位の探傷検査を実施し、追加計測項目を計測するか否かの判断を行い、必要に応じて追加計測を行う。また、検査員は、内面スリット周辺に発生する損傷に対して、上記(3)で説明したように、図7に示したフローチャートに従って、内面スリット周辺部位の探傷検査に適した検査方法で評価対象部位の探傷検査を実施し、追加計測項目を計測するか否かの判断を行い、必要に応じて追加計測を行う。
すなわち、管台溶接部について設定された検査方法は、評価対象部位としての管台溶接部の外表面及び内部スリット周辺部位を検査する検査方法である。したがって、検査方法が管台溶接部に適したものとなる。
(フェーズドアレイ法による超音波検査で用いる探傷子について)
図9は、評価対象部位の検査を行うステップS3においてフェーズドアレイ法による超音波検査を行う際に用いる探傷子の構造を示す模式的な図である。
図9に示す探傷子50は、複数の圧電素子を含む送信用素子51と、少なくとも1つ
の圧電素子を含んでいて送信用素子51とは異なる受信用素子53と、ウェッジ部材55とが1つの筐体57内に含まれている。図9に示す探傷子50では、ウェッジ部材55において稜線55aを挟んで隣り合う2つの面55b、55cの一方の面55bに複数の圧電素子の配列方向adと稜線55aの延在方向とが同じになるように送信用素子51が配置され、他方の面55cに受信用素子52が配置されている。
発明者らが鋭意検討した結果、フェーズドアレイ法による超音波探傷を行うにあたって、送信用素子51と受信用素子52とを別々の素子とし、一つのウェッジ部材55に対して上述したように配置することで、検査対象物の表層に比較的近い領域と表層から比較的遠い領域とを1つの探傷子50によって検査できることが判明した。また、発明者らが鋭意検討した結果、探傷子50を上記のように構成することによって、検査対象物の表層近傍における不感帯を抑制できること、及び、検査対象物の表層近傍におけるノイズレベルを抑制できることが判明した。
したがって、図9に示す探傷子50によれば、検査対象物の表層に比較的近い領域と表層から比較的遠い領域とを1つの探傷子50によって検査できる。また、図9に示す探傷子50によれば、検査対象物の表層近傍における不感帯、及び、検査対象物の表層近傍におけるノイズレベルが抑制された検査結果が得られる。
図10は、図9に示す探傷子50における屈折角度を説明するための図である。
図10に示すように、図9に示す探傷子50は、屈折角度θの走査範囲が少なくとも35度以上75度以下の範囲を含むように構成されている。
従来のフェーズドアレイ法による屈折角度の走査範囲は、概ね40度以上70度以下であることが多い。したがって、図9に示す探傷子50によれば、より広範囲を検査できる。
また、図9に示す探傷子50は、10MHz以上15MHz以下の周波数の超音波でフェーズドアレイ法による超音波探傷検査を行うことができるように構成されている。
超音波探傷検査において、一般に検出限界となる欠陥寸法は、探傷に用いる超音波の波長が短いほど、すなわち周波数が高いほど小さくなる。
従来のフェーズドアレイ法による超音波探傷検査では、超音波の周波数は、5MHz程度であることが多い。したがって、図9に示す探傷子50によれば、従来のフェーズドアレイ法による超音波探傷検査よりも高い周波数の超音波で検査を行うので、より小さな亀裂を検出できる。
(評価対象部位の補修を行うステップS5の詳細ついて)
評価対象部位の補修を行うステップS5の詳細ついて説明する。なお、以下の説明では、上述した領域19に亀裂41が生じていた場合について説明する。
図8に示した配管5において、上述した領域19に亀裂41が生じていたことが判明した場合、補修を行うことで、配管5の寿命を延命化することが考えられる。
(一実施形態に係る補修方法について)
図11は、図8に示した配管5において、上述した領域19に亀裂41が生じていた際に、評価対象部位の補修を行うステップS5において行われる処理の手順を示すフローチャートである。
図11に処理の手順を示す一実施形態に係る補修方法は、管台20を除去するステップS51と、凹部を形成するステップS53と、管台穴13にシール板60を配置するステップS55と、埋め戻すステップS57とを備える。
(管台20を除去するステップS51)
管台20を除去するステップS51は、管台20を母管10から除去するステップである。図12は、管台20を除去するステップS51において管台20を母管10から除去した後の配管5の断面図である。管台20を除去するステップS51では、管台20を母管10から除去する。
(凹部を形成するステップS53)
凹部を形成するステップS53は、母管10の内周面10a側の一部の領域10cを残して、管台20が取り付けられていた領域11aを母管10から除去して凹部71を形成するステップである。図13は、凹部71が形成された配管5の断面図である。図14は、凹部71が形成された配管5を母管10の径方向外側から見た、すなわち管台20の軸線AXb方向から見たときの模式的な図である。
凹部を形成するステップS53では、管台20の軸線AXb方向から見たときに、母管10の内周面10a側の一部の領域10cを除いて管台穴13の直径よりも大きな範囲を除去することで凹部71を形成する。凹部71の形成に際しては、亀裂41が生じている領域19をできる限り除去する。なお、後述するように、埋め戻すステップS57において凹部71を溶接で埋め戻す際の溶接金属の接続先として、母管10の内周面10a側の一部の領域10cを残しておく。
図15は、複数の管台20が母管10の軸線AXa方向に沿って接近した状態で配置されていた場合において、凹部71を設ける場合の一例を示す図であり、凹部71が形成された配管5を母管10の径方向外側から見た模式的な図である。
図15に示すように、複数の管台20が母管10の軸線AXa方向に沿って接近した状態で配置されていた場合には、凹部71を母管10の軸線AXa方向に沿った長孔形状を有するようにしてもよい。すなわち、母管10の軸線AXa方向に沿って接近した複数の管台20を除去した後、これら複数の管台20が取り付けられていたそれぞれの領域11aを母管10から除去することで1つの凹部71を形成するようにしてもよい。
なお、図15に示した場合のように複数の管台20が母管10の軸線AXa方向に沿って接近した状態で配置されていた場合には、凹部71の形成の際に、複数の管台穴13をつなげて長穴を形成してもよい。この場合には、管台穴13にシール板60を配置するステップS55において、該長穴を塞ぐように形成されたシール板60を配置するとよい。
(管台穴13にシール板60を配置するステップS55)
管台穴13にシール板60を配置するステップS55は、上述した一部の領域10cに形成されている管台穴13にシール板60を配置するステップである。
図16は、管台穴13にシール板60を配置するステップS55について説明するための図である。図16に示すように、管台穴13にシール板60を配置するステップS55では、シール板60を配置する際に管台穴13の内径よりも小さい小径部61と管台穴13の内径よりも大きい大径部63とを有するシール板60における小径部61を管台穴13に嵌合させる。すなわち、幾つかの実施形態では、シール板60は、管台穴13の内径よりも大きい板形状を有する大径部63と、管台穴13の内径よりも小さい板形状の小径部61とが板厚方向に重ね合わされたような形状を有する。したがって、管台穴13にシール板60を配置する際に、大径部63が管台穴13の周囲の領域に当接して、シール板60が管台穴13から母管10の内部に意図せず侵入してしまうことを回避できる。また、管台穴13にシール板60を配置する際に、小径部61が管台穴13に嵌合可能であるので、配置したシール板60が管台穴13から意図せずずれてしまうことを抑制できる。
このような形状を有するシール板60によって管台穴13を塞ぐことで、後述するように、埋め戻すステップS57において凹部71を溶接で埋め戻す際に溶接金属が管台穴13から母管10の内部に意図せず侵入してしまうことを抑制できる。
(埋め戻すステップS57)
埋め戻すステップS57は、管台穴13にシール板60を配置するステップS55の後で、凹部71を溶接で埋め戻すステップである。
図17は、埋め戻すステップS57を実施した後の配管5の断面図である。埋め戻すステップS57では、凹部71を溶接金属73で埋め戻す。
このように、図11に処理の手順を示す補修方法によれば、管台穴13の内壁面15から母管10の軸線AXa方向に母管10の母材11内部にずれた領域19に亀裂41が生じた場合に、適切に補修できる。
(他の実施形態に係る補修方法について)
領域19に生じていた亀裂41が比較的小さい場合には、以下のような補修方法で評価対象部位の補修を行うことができる。
図18は、図8に示した配管5において、上述した領域19に比較的小さな亀裂41が生じていた際に、評価対象部位の補修を行うステップS5において行われる処理の手順を示すフローチャートである。
図18に処理の手順を示す他の実施形態に係る補修方法は、補強板を配置するステップS151と、補強板を母管に溶接するステップS153とを備える。すなわち、図18に処理の手順を示す他の実施形態に係る補修方法は、補強板を母管10の外周面10dに取り付けることで母管10を補強する補修方法である。
(補強板を配置するステップS151)
補強板を配置するステップS151は、母管10における管台20との接続部7において管台20の周囲を管台20の径方向外側から取り囲むように補強板80を配置するステップである。
図19は、補強板80の斜視図である。一実施形態に係る補強板80は、母管10の外周面10dに沿うように形成された肉厚の板部材である。一実施形態に係る補強板80には、管台20の周囲を径方向外側から囲むことができるように板厚方向に沿って貫通する孔部83が形成されている。したがって、孔部83の内径は管台20の外形よりも大きい。一実施形態に係る補強板80は、孔部83の径方向に沿って2分割された2つの分割板81を含んでいる。
補強板を配置するステップS151では、2分割された補強板80の一方である分割板81と他方である分割板81とを、管台20を挟んで母管10の軸線AXa方向に沿って対向させて配置する。
図20は、管台20を挟んで母管10の軸線AXa方向に沿って対向させて2つの分割板81を配置した状態を母管10の径方向外側から見た、すなわち、管台20の軸線AXbに沿って見た模式的な図である。
上述したように、領域19に生じる亀裂41は、母管10に作用する周方向応力によって生じる。そこで、2分割された補強板80の一方の分割板81と他方の分割板81とを、管台20を挟んで母管10の軸線AXa方向に沿って対向させて配置すると、分割板81の各々は、母管10の周方向に沿って延在することとなる。したがって、分割板81の各々を母管10に溶接して取り付けることで、分割板81の各々によって母管10に作用する周方向応力を効果的に減ずることができる。また、2分割された補強板80を用いることで、管台20の両端のうち、母管10と接続されている一端とは反対側の他端が他の配管等に接続されていても、分割板81の各々を容易に配置できる。
なお、管台20の両端のうち、母管10と接続されている一端とは反対側の他端が他の配管等に接続されていなければ、2分割されていない補強板80を用いることができる。
(補強板を母管に溶接するステップS153)
補強板を母管に溶接するステップS153は、補強板を配置するステップS151で配置した補強板80を母管10に溶接するステップである。
図21は、補強板を母管に溶接するステップS153において補強板80を母管10に溶接した後の配管5の断面図である。なお、補強板を母管に溶接するステップS153では、補強板80を母管10だけでなく管台20にも溶接するとよい。すなわち、図21に示した例では、補強板80は、例えば溶接部85で母管10と溶接され、例えば溶接部86で管台20と溶接されている。
領域19に亀裂41が生じた場合に、該亀裂41が比較的小さなものであれば、上述したように、補強板80を母管10に溶接して取り付けることで補強板80が母管10に作用する周方向応力を減ずることができる。これにより、亀裂41の進展速度を減ずることができ、延命化を図れる。また、補強板80を溶接するという比較的簡単な方法で補修できるので、補修に要する時間や費用抑制できる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した幾つかの実施形態では、評価対象部が火力発電設備におけるボイラと蒸気タービンとの間を接続する複数系統の蒸気配管における溶接部であったが、評価対象の溶接部は、ボイラの一部に限定されることはなく、本発明に係るプラントの検査方法は、高温高圧下に曝される種々の溶接部や溶接部以外の部位に適用可能である。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るプラントの検査方法は、管台(例えば幾つかの実施形態に係る管台20)及び該管台20が取り付けられる管台穴(例えば幾つかの実施形態に係る管台穴13)が形成された母管(例えば幾つかの実施形態に係る母管10)を含むプラントの検査方法である。
この検査方法は、管台穴13の内壁面15から母管10の軸線AXa方向に母管10の母材11内部にずれた領域19を含む1以上の検査候補部位から検査部位を選定するステップ(例えば幾つかの実施形態に係る評価対象部位を選定するステップS1)を備える。
また、この検査方法は、検査部位に対して探傷検査を行うステップ(例えば幾つかの実施形態に係る評価対象部位の検査を行うステップS3)を備える。
発明者らが鋭意検討した結果、管台20及び該管台20が取り付けられる管台穴13が形成された母管10を含む配管5では、管台穴13の内壁面15から母管10の軸線AXa方向に母管10の母材11内部にずれた領域19に亀裂41が生じるおそれがあることが判明した。
したがって、上記(1)の方法によれば、評価対象部位を選定するステップS1と、評価対象部位の検査を行うステップS3とを備えているので、限られた検査期間であっても上記領域19に生じた亀裂41の存在を確認できる。したがって、プラントを効率的に検査できる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、評価対象部位を選定するステップS1プは、母管10の外径D及び板厚Tをパラメータとして含み板厚Tの相対的な厚さを表す指標(例えば幾つかの実施形態に係る母管板厚外径比(T/D))が規定値(例えば幾つかの実施形態に係る規定値Th)以下であれば、領域19を検査部位として選定する。
上述したように、発明者らが鋭意検討した結果、母管10の外径D及び板厚Tをパラメータとして含み板厚Tの相対的な厚さを表す指標が規定値以下であれば、上記領域19に亀裂41が発生し易いことが判明した。
したがって、上記(2)の方法によれば、上記指標(例えば幾つかの実施形態に係る母管板厚外径比(T/D))が規定値(例えば幾つかの実施形態に係る規定値Th)以下であれば、上記領域19を検査部位として選定するので、上記領域19に亀裂41が発生し易い場合に上記領域19を検査部位として選定でき、プラントを効率的に検査できる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の方法において、評価対象部位の検査を行うステップS3は、検査部位に対して超音波探傷検査を行うことができる。
上記(3)の方法によれば、上記領域19における亀裂41の検出に適した検査方法で上記領域を検査できる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)の方法において、評価対象部位を選定するステップS1は、上記指標(例えば幾つかの実施形態に係る母管板厚外径比(T/D))が上記規定値(例えば幾つかの実施形態に係る規定値Th)を超えていれば、母管10と管台20とを接続する溶接部(例えば幾つかの実施形態に係る管台溶接部30)を検査部位として選定する。
発明者らが鋭意検討した結果、上記指標(例えば幾つかの実施形態に係る母管板厚外径比(T/D))が上記規定値(例えば幾つかの実施形態に係る規定値Th)を超えていれば、上記領域19よりも母管10と管台20とを接続する溶接部(例えば幾つかの実施形態に係る管台溶接部30)に亀裂41が発生し易いことが判明した。
したがって、上記(4)の方法によれば、上記指標が上記規定値を超えていれば、母管10と管台20とを接続する溶接部(管台溶接部30)を検査部位として選定するので、該溶接部(管台溶接部30)に亀裂41が発生し易い場合に該溶接部(管台溶接部30)を検査部位として選定でき、プラントを効率的に検査できる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの方法において、母管10は、高クロム鋼で形成されている。
上記(5)の方法は、高クロム鋼で形成された配管(例えば幾つかの実施形態に係る配管5)の検査に適している。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの方法において、管台20を除去するステップS51と、凹部を形成するステップS53とを備える。幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの方法において、さらに、管台穴13にシール板60を配置するステップS55と、埋め戻すステップS57とを備える。
上記(6)の方法によれば、管台穴13の内壁面15から母管10の軸線AXa方向に母管10の母材11内部にずれた領域19に亀裂41が生じた場合に、適切に補修できる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の方法において、管台穴13にシール板60を配置するステップS55は、シール板(例えば幾つかの実施形態に係るシール板60)を配置する際に管台穴13の内径よりも小さい小径部61と管台穴13の内径よりも大きい大径部63とを有するシール板60における小径部61を管台穴13に嵌合させる。
上記(7)の方法によれば、管台穴13にシール板60を配置する際に、大径部63が管台穴13の周囲の領域に当接して、シール板60が管台穴13から母管10の内部に意図せず侵入してしまうことを回避できる。また、管台穴13にシール板60を配置する際に、小径部61が管台穴13に嵌合可能であるので、配置したシール板60が管台穴13から意図せずずれてしまうことを抑制できる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの方法において、補強板を配置するステップS151と、補強板を母管に溶接するステップS153とをさらに備える。
上記領域19に亀裂41が生じた場合に、該亀裂41が比較的小さなものであれば、上記(8)の方法のように、上記補強板80を母管に溶接して取り付けることで補強板80が母管10に作用する周方向応力を減ずることができる。これにより、亀裂41の進展速度を減ずることができ、延命化を図れる。また、上記(8)の方法のような比較的簡単な方法で補修できるので、補修に要する時間や費用抑制できる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の方法において、補強板を配置するステップS151は、2分割された補強板80の一方である分割板81と他方である分割板81とを、管台20を挟んで母管10の軸線AXa方向に沿って対向させて配置する。
上述したように、発明者らが鋭意検討した結果、上記領域19に生じる亀裂41は、母管10に作用する周方向応力によって生じることが判明した。
そこで、上記(9)の方法のように、2つの分割板81を、管台20を挟んで母管10の軸線AXa方向に沿って対向させて配置すると、分割板81の各々は、母管10の周方向に沿って延在することとなる。したがって、分割板81の各々を母管10に溶接して取り付けることで、分割板81の各々によって母管10に作用する周方向応力を効果的に減ずることができる。また、上記(9)の方法によれば、管台20の両端のうち、母管10と接続されている一端とは反対側の他端が他の配管等に接続されていても、補強板80を容易に配置できる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの方法において、前記超音波探傷検査を行うステップ(例えば幾つかの実施形態に係る評価対象部位の検査を行うステップS3)は、複数の圧電素子を含む送信用素子51と、少なくとも1つの圧電素子を含み送信用素子51とは異なる受信用素子53と、ウェッジ部材55とが1つの筐体57内に含まれ、ウェッジ部材55において稜線55aを挟んで隣り合う2つの面55b、55cの一方の面55bに複数の圧電素子の配列方向と稜線55aの延在方向とが同じになるように送信用素子51が配置され、他方の面55cに受信用素子53が配置された探傷子50を用いてフェーズドアレイ法による超音波探傷検査を行う。
上述したように、発明者らが鋭意検討した結果、フェーズドアレイ法による超音波探傷を行うにあたって、送信用素子51と受信用素子53とを別々の素子とし、一つのウェッジ部材55に対して上述したように配置することで、検査対象物の表層に比較的近い領域と表層から比較的遠い領域とを1つの探傷子50によって検査できることが判明した。また、発明者らが鋭意検討した結果、探傷子50を上記のように構成することによって、検査対象物の表層近傍における不感帯を抑制できること、及び、検査対象物の表層近傍におけるノイズレベルを抑制できることが判明した。
したがって、上記(10)の方法によれば、検査対象物の表層に比較的近い領域と表層から比較的遠い領域とを1つの探傷子50によって検査できる。また、上記(10)の方法によれば、検査対象物の表層近傍における不感帯、及び、検査対象物の表層近傍におけるノイズレベルが抑制された検査結果が得られる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかの方法において、超音波探傷検査を行うステップ(例えば幾つかの実施形態に係る評価対象部位の検査を行うステップS3)は、屈折角度の走査範囲が少なくとも35度以上75度以下の範囲を含む探触子50を用いてフェーズドアレイ法による超音波探傷検査を行う。
従来のフェーズドアレイ法による屈折角度の走査範囲は、概ね40度以上70度以下であることが多い。したがって、上記(10)の方法によれば、より広範囲を検査できる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れかの方法において、超音波探傷検査を行うステップ(例えば幾つかの実施形態に係る評価対象部位の検査を行うステップS3)は、10MHz以上15MHz以下の周波数の超音波でフェーズドアレイ法による超音波探傷検査を行う。
超音波探傷検査において、一般に検出限界となる欠陥寸法は、探傷に用いる超音波の波長が短いほど、すなわち周波数が高いほど小さくなる。
従来のフェーズドアレイ法による超音波探傷検査では、超音波の周波数は、5MHz程度であることが多い。したがって、上記(11)の方法によれば、従来のフェーズドアレイ法による超音波探傷検査よりも高い周波数の超音波で検査を行うので、より小さな亀裂を検出できる。
(13)本開示の少なくとも一実施形態に係るプラントの補修方法は、管台(例えば幾つかの実施形態に係る管台20)及び該管台が取り付けられる母管(例えば幾つかの実施形態に係る母管10)を含むプラントの補修方法である。
この補修方法は、管台20を除去するステップS51と、凹部を形成するステップS53とを備える。
また、この補修方法は、管台穴13にシール板60を配置するステップS55と、埋め戻すステップS57とを備える。
上記(13)の方法によれば、上記領域19に亀裂41が生じた場合に、適切に補修できる。
(14)本開示の少なくとも一実施形態に係るプラントの補修方法は、管台(例えば幾つかの実施形態に係る管台20)及び該管台が取り付けられる母管(例えば幾つかの実施形態に係る母管10)を含むプラントの補修方法である。
この補修方法は、補強板を配置するステップS151と、補強板を母管に溶接するステップS153とを備える。
上述したように、上記領域19に亀裂41が生じた場合に、該亀裂41が比較的小さなものであれば、上記(14)の方法のように、上記補強板80を母管10に溶接して取り付けることで補強板80が母管10に作用する周方向応力を減ずることができる。これにより、亀裂41の進展速度を減ずることができ、延命化を図れる。また、上記(14)の方法のような比較的簡単な方法で補修できるので、補修に要する時間や費用抑制できる。
1 記憶装置
2 端末装置
2a 表示部
3 演算装置
4 入力装置
5 配管
7 接続部
10 母管
11 母材
13 管台穴
19 領域
20 管台
30 管台溶接部
50 探傷子
51 送信用素子
53 受信用素子
55 ウェッジ部材
57 筐体
60 シール板
61 小径部
63 大径部
71 凹部
80 補強板
81 分割板

Claims (12)

  1. 管台及び該管台が取り付けられる管台穴が形成された母管を含むプラントの検査方法であって、
    前記管台穴の内壁面から前記母管の軸線方向に前記母管の母材内部にずれた領域を含む1以上の検査候補部位から検査部位を選定するステップと、
    前記検査部位に対して探傷検査を行うステップと、
    を備え
    前記探傷検査を行うステップでは、
    前記検査部位の板厚内部の探傷検査、又は、前記検査部位の内面スリット周辺部位の探傷検査を行う場合には、超音波探傷検査を行い、
    前記検査部位の外表面の探傷検査を行う場合には、磁粉探傷検査、浸透探傷検査、MT転写法による検査、又は、渦電流探傷検査の何れかの検査を行う、
    プラントの検査方法。
  2. 前記検査部位を選定するステップは、前記母管の外径及び板厚をパラメータとして含み前記板厚の相対的な厚さを表す指標が規定値以下であれば、前記領域を前記検査部位として選定する
    請求項1に記載のプラントの検査方法。
  3. 前記探傷検査を行うステップは、前記検査部位に対して超音波探傷検査を行う
    請求項2に記載のプラントの検査方法。
  4. 前記検査部位を選定するステップは、前記指標が前記規定値を超えていれば、前記母管と前記管台とを接続する溶接部を前記検査部位として選定する
    請求項2に記載のプラントの検査方法。
  5. 前記母管は、高クロム鋼で形成されている
    請求項1乃至4の何れか一項に記載のプラントの検査方法。
  6. 前記管台を前記母管から除去するステップと、
    前記母管の内周面側の一部の領域を残して、前記管台が取り付けられていた領域を前記母管から除去して凹部を形成するステップと、
    前記一部の領域に形成されている前記管台穴にシール板を配置するステップと、
    前記シール板を配置するステップの後で、前記凹部を溶接で埋め戻すステップと、
    をさらに備える請求項1乃至5の何れか一項に記載のプラントの検査方法。
  7. 前記シール板を配置するステップは、前記シール板を配置する際に前記管台穴の内径よりも小さい小径部と前記管台穴の内径よりも大きい大径部とを有する前記シール板における前記小径部を前記管台穴に嵌合させる
    請求項6に記載のプラントの検査方法。
  8. 前記母管における前記管台との接続部において前記管台の周囲を前記管台の径方向外側から取り囲むように補強板を配置するステップと、
    前記配置するステップで配置した前記補強板を前記母管に溶接するステップと、
    をさらに備える請求項1乃至5の何れか一項に記載のプラントの検査方法。
  9. 前記補強板を配置するステップは、2分割された補強板の一方と他方とを、前記管台を挟んで前記母管の軸線方向に沿って対向させて配置する
    請求項8に記載のプラントの検査方法。
  10. 記探傷検査を行うステップは、複数の圧電素子を含む送信用素子と、圧電素子を含み前記送信用素子とは異なる受信用素子と、ウェッジ部材とが1つの筐体内に含まれ、前記ウェッジ部材において稜線を挟んで隣り合う2つの面の一方に前記複数の圧電素子の配列方向と前記稜線の延在方向とが同じになるように前記送信用素子が配置され、他方に前記受信用素子が配置された探傷子を用いてフェーズドアレイ法による超音波探傷検査を行う
    請求項1乃至9の何れ一項に記載のプラントの検査方法。
  11. 記探傷検査を行うステップは、屈折角度の走査範囲が少なくとも35度以上75度以下の範囲を含む探触子を用いてフェーズドアレイ法による超音波探傷検査を行う
    請求項1乃至10の何れ一項に記載のプラントの検査方法。
  12. 記探傷検査を行うステップは、10MHz以上15MHz以下の周波数の超音波でフェーズドアレイ法による超音波探傷検査を行う
    請求項1乃至11の何れ一項に記載のプラントの検査方法。
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