JP7276807B2 - 検査マスタ - Google Patents
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Description
(1)マスタ本体の周面に周面横基準部があるため、その周面横基準部を使用して、これまでの検査マスタと同様に接触式3次元測定機のX軸、Y軸、Z軸の3軸測定が可能であり、接触式3次元測定機の測定精度の検査ができる。
(2)マスタ本体の上面に上面斜め基準部があるため、検査マスタをセットしたホルダーを回転又は/及び旋回させて、それら回転又は/及び旋回軸方向の測定(計5軸測定)も可能となる。このため、5軸加工機の5軸精度測定もできる。マスタ本体の周面に周面斜め基準部を設けた場合は、その周面斜め基準部を使用して5軸加工機の5軸精度測定をすることもできる。
(3)マスタ本体の上面の中心部に基準球があるため、その基準球を基準として、回転又は/及び旋回した検査マスタの回転傾斜角又は旋回傾斜角を確認でき、回転軸又は旋回軸方向の正確な測定ができる。
本発明の検査マスタ1の第一の例として図1(a)、図2、図3、図4(a)に示すものは、中空筒状のマスタ本体2の上面3の4箇所に斜め開口の上面斜め基準部30が4個あり、マスタ本体2の側面(周面)5の周方向4箇所に横向き開口の周面横基準部6が4列あり、マスタ本体2の上面3の中心に基準球20がある。上面斜め基準部30の数は一以上の任意数、周面横基準部6の列は二列以上の任意数、各列の周面横基準部6の数は一以上の任意数とすることができる。4列の周面横基準部6はマスタ本体2の周面5の周方向に90度間隔で設けてあるが、その間隔はそれ以外であってもよい。
本発明の検査マスタ1の第二の例として図5~図8に示すものは、中空筒状のマスタ本体2の上面3の4箇所に斜め開口の上面斜め基準部30が4個あり、それら上面斜め基準部30の間に縦向き開口の上面縦基準部4が4個あり、マスタ本体2の側面(周面)5の周方向4箇所に横向き開口の周面横基準部6が4列あり、マスタ本体2の上面3の中心に基準球20がある。上面斜め基準部30、上面縦基準部4の数は一以上の任意数、周面横基準部6は二列以上の任意数、各列の周面横基準部6の数は一以上の任意数とすることができる。
本発明の検査マスタ1の第三の例として図9~図12に示すものは、中空筒状のマスタ本体2の上面3に4個の上面斜め基準部30があり、マスタ本体2の側面(周面)5の周方向に横向き開口の周面横基準部6が4列あり、それら4列の周面横基準部6の間に斜め上方開口の周面斜め基準部7が4列あり、マスタ本体2の上面3の中心に基準球20がある。各列の周面横基準部6も周面斜め基準部7も2個ずつあるが、それらの数はそれ以外であってもよい。
本発明の検査マスタ1の第四の例として図13~図16に示すものは、中空筒状のマスタ本体2の上面3に4個の上面斜め基準部30があり、それら上面斜め基準部30の間に縦向き開口の上面縦基準部4が4個あり、マスタ本体2の側面(周面)5の周方向に横向き開口の周面横基準部6が4列あり、それら4列の周面横基準部6の間に斜め上方開口の周面斜め基準部7が4列あり、マスタ本体2の上面3の中心に基準球20がある。各列の周面横基準部6も周面斜め基準部7も2個ずつであるが、それらの数はそれ以外であってもよい。
前記実施形態1~4のいずれのマスタ本体2も、図1のように上面3と側面(周面)5があり、図3、図4(a)のように底面31が開口しており、内部が空洞の中空筒状(中空箱形)である。底面31は図4(b)のように閉塞しており、中心部に止め孔32が開口されているものであってもよい。マスタ本体2は熱膨張が小さく、寸法安定性に優れた素材製が適する。例えば、セラミックス、石英、水晶、低熱膨張鋳鉄、SK鋼、その他の素材が適する。それら素材の単一の塊(ブロック)から削り出しで作ることも、それら素材製の板材を貼り合わせて作ることもできる。
図1(a)、図2、図3、図4(a)のマスタ本体2には鍔付ブッシュ17(図3(b))を挿入固定するための取付け孔が開口されている。上面3に上面斜め取付け孔33(図4(a))が外向き斜めに、周面5に周面取付け孔9(図3(a)(b))が横向きに開口されている。鍔付ブッシュ17(図3(b))は筒状の差込み部17aの先端に鍔17bがある。
マスタ本体2の上面斜め基準部30はいずれも同じ形状であり、マスタ本体2の上面斜め取付け孔33内に鍔付ブッシュ17(図3(b))を差し込んで固定し、鍔付ブッシュ17の貫通孔17cを斜め基準孔34(図4)とし、鍔付ブッシュ17の鍔17b(図3(b))の表面を斜め測定基準面35(図4)としてある。斜め基準孔34はマスタ本体2の中心軸線W-W(図4(a))と斜め45度に交差する方向(斜め上向)に開口している。斜め基準孔34の内周面も斜め測定基準面35の表面も平滑に仕上げられている。斜め基準孔34とマスタ本体2の中心軸線W-W(図4(a))との交差角も任意の角度、例えば30度或いは60度といった角度にすることもできる。
マスタ本体2の上面3の4個の上面縦基準部4は同じ形状であり、マスタ本体2の上面3の中心の周囲に90度間隔で配置固定されている。各上面縦基準部4はマスタ本体2の上面取付け孔8(図7)に鍔付ブッシュ17を差し込んで固定してあり、鍔付ブッシュ17の貫通孔17c(図3(b))を縦基準孔12とし、鍔付ブッシュ17の鍔17b((図3(b))の表面を上測定基準面13としてある。縦基準孔12はマスタ本体2の中心軸線W-W(図7)と平行に開口している。縦基準孔12の内周面も上測定基準面13の表面も平滑に仕上げられている。上面縦基準部4の個数、間隔は任意に設計することができる。
マスタ本体2の周面5の4列、各列2個の周面横基準部6(図3(a))は同じ形状であり、マスタ本体2の周面取付け孔9内に鍔付ブッシュ17(図3(b))を差し込んで固定し、鍔付ブッシュ17の貫通孔17c(図3(b))を横基準孔15とし、鍔付ブッシュ17の鍔17b(図3(b))の表面を横測定基準面16としてある。横基準孔15はマスタ本体2の中心軸線W-W(図4(a))と直交する方向(真横方向)に開口している。横基準孔15の内周面も、横測定基準面16の表面も平滑に仕上げられている。各列の周面横基準部6は4列、各列2個ずつ間隔をあけて設けてある(図1(a)、図2)が、周面横基準部6の列数、各列の個数、各列間の間隔は任意に設計することができる。
マスタ本体2の周面5の4列、各列2個の周面斜め基準部7(図9)がある。それら周面斜め基準部7は同じ形状であり、マスタ本体2の周面斜め取付け孔10(図12)内に鍔付ブッシュ17(図3(b))を差し込んで固定し、鍔付ブッシュ17の貫通孔17c(図3(b))を斜め基準孔18とし、鍔付ブッシュ17の鍔17bの表面を斜め測定基準面19としてある。斜め基準孔18はマスタ本体2の中心軸線W-W(図12)と斜め45度に交差する方向(斜め上向)に開口している。斜め基準孔18の内周面も斜め測定基準面19の表面も平滑に仕上げられている。各列の周面斜め基準部7は4列、各列2個ずつ設けてある(図9、図10)が、列数、各列の個数、各列間の間隔は任意に設計することができる。斜め基準孔18とマスタ本体2の中心軸線W-W(図12)との交差角も任意の角度、例えば30度或いは60度といった角度にすることもできる。
鍔付ブッシュ17には既存の鍔付ブッシュを使用することも、新規な鍔付ブッシュを使用することもできる。鍔付ブッシュ17には、低熱膨張鋳鉄のような熱膨張係数の小さい素材で形成され、鍔の表面と孔の内周面が高精度に仕上げ加工されたものを使用するのが望ましい。それら仕上げ加工は個々の鍔付ブッシュ17をマスタ本体2に固定する前に行うことも固定後に行うこともできるが、固定後に行うとマスタ本体2への取付け角度や取付け位置の精度を高めることができる。
各付け孔への鍔付ブッシュ17の固定は任意手段とすることができるが、ロックタイト、その他の接着剤で接着固定することができる。必要に応じてカシメ、ねじ、他の固定手段とすることもできる。
マスタ本体2の上面3の中心の基準球20は、図1(b)のようにマスタ本体2の上面3に直付けすることも、図1(c)のように軸22によりマスタ本体2の上面3から上方に突出させて取り付けることもできる。基準球20は本発明の検査マスタ1を使用して5軸加工機を5軸測定する場合は、後記するように、検査マスタ1をテーブルに載せ、そのテーブルの回転又は旋回により図17(a)のように傾斜させることになる。基準球20はそのときの検査マスタ1の傾き角度を確認するための基準となるものである。
本発明の検査マスタを使用して、接触式3次元測定機の検査を行うときは、従来の3次元測定と同様に、本発明の検査マスタを測定機のテーブルにセットし、接触式3次元測定機のプローブをX、Y、Zの3軸方向に移動させ、検査マスタの上面縦基準部4、周面横基準部6に接触させて行う。
本発明の検査マスタを使用して5軸加工機の5軸測定を行うときは、例えば、5軸加工機の加工具に代えて測定ヘッド及び球状の測定プローブ21(図17(a))をセットし、5軸加工機の回転又は旋回或いは回転も旋回も可能なテーブルに本発明の検査マスタ1をセットする。この状態で、測定プローブ21をX、Y、Zの3軸方向に移動させて3次元測定を行う。更に、前記テーブルを回転又は旋回、或いは回転及び旋回させて、テーブルの上にセットしてある検査マスタ1を測定プローブ21に対して傾ける(図17(a))。
前記実施形態は本発明の検査マスタの一例である。本発明の検査マスタは実施形態に限定されるものではなく、本発明の課題を解決できる限りにおいて、他の構成、他の材質等であってもよい。
2 マスタ本体
3 (マスタ本体の)上面
4 上面縦基準部
5 (マスタ本体の)周面
6 周面横基準部
7 周面斜め基準部
8 上面取付け孔
9 周面取付け孔
10 周面斜め取付け孔
12 縦基準孔
13 上測定基準面
15 横基準孔
16 横測定基準面
17 鍔付ブッシュ
17a (鍔付ブッシュの)差込み部
17b (鍔付ブッシュの)鍔
17c (鍔付ブッシュの)貫通孔
18 斜め基準孔
19 斜め測定基準面
20 基準球
21 測定プローブ
22 軸
30 上面斜め基準部
31 底面
32 止め孔
33 上面斜め取付け孔
34 斜め基準孔
35 斜め測定基準面
A 検査マスタ
B マスタ本体
C (マスタ本体の)上面
D1 鍔付ブッシュ
D2 鍔付ブッシュ
E (マスタ本体の)周面
F 基準孔(縦孔)
G 基準孔(横孔)
H 門型可動フレーム
I ヘッド部
J 昇降軸
K プローブ
L 測定テーブル
M ホルダー
N 測定基準面
Claims (5)
- 周面と上面を備えた中空状の検査マスタにおいて、
マスタ本体の上面に、斜め上方開口の上面斜め基準部がある、
ことを特徴とする検査マスタ。 - 周面と上面を備えた中空状の検査マスタにおいて、
マスタ本体の上面に、斜め上方開口の上面斜め基準部とマスタ本体の傾斜角検知用の基準球の双方がある、
ことを特徴とする検査マスタ。 - 請求項1又は請求項2記載の検査マスタにおいて、
マスタ本体の上面に、縦向き開口の上面縦基準部がある、
ことを特徴とする検査マスタ。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検査マスタにおいて、
上面斜め基準部が、マスタ本体の上面に開口された斜め上向きの上面斜め取付け孔に、鍔付ブッシュが挿入固定されたものであり、
上面縦基準部が、前記上面に開口された縦向きの上面取付け孔に、鍔付ブッシュが挿入固定されたものであり、
周面横基準部が、マスタ本体の周面に開口された横向きの周面取付け孔に、鍔付ブッシュが挿入固定されたものであり、
周面斜め基準部が、前記周面に開口された斜め上向きの周面斜め取付け孔に、鍔付ブッシュが挿入固定されたものであり、
鍔付ブッシュの内周面及び鍔の表面が平滑な測定基準面である、
ことを特徴とする検査マスタ。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検査マスタにおいて、
マスタ本体は円筒状又は角形筒状又は多角形の筒状である、
ことを特徴とする検査マスタ。
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