JP7276788B2 - 5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法 - Google Patents

5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法 Download PDF

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Description

本発明は、数値制御工作機械の加工精度の技術分野に属し、5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法に関する。
数値制御工作機械は、製造業の「工作機械」として、工業生産において最も重要なツールの1つである。5軸数値制御工作機械は、高度数値制御工作機械の代表であり、種々複雑な曲線や表面を加工でき、生産性や活用性が高く、取り付け時間が短く、航空宇宙などの重要な分野で重要な役割を果たし、国家の製造業のレベルの向上させることに重要な役割を果たす。
しかしながら、数値制御工作機械には、その内部構造及び外部環境の総合的な要因により、ワークの加工時に、ワークに加工誤差が生じる。工作機械の種々の誤差には、工作機械の幾何学的誤差及び工作機械の熱誤差が、工作機械の加工における主な誤差であり、数値制御工作機械の加工精度に大きく影響している。運動軸の製造と組立の誤差は避けられないため、幾何学的誤差は、工作機械の精度に影響する重大な要素である。それらは、ワークの寸法に直接反映され、加工精度に大きく影響する。よって、それらを補正する必要がある。
現在、最も通常的な5軸工作機械の幾何学的誤差に対する補正方法は、レーザー干渉計やボールバーなどの機器により、5軸工作機械について41の幾何学的誤差を測定し、ヤコビ行列を計算して5軸工作機械の逆運動学の解を取得し、それにより新たなGコードを生成することにより、5軸工作機械に対して空間誤差を補正する。この方法は、幾何学的誤差間の結合関係を考慮せず、幾何学的誤差の全体を1つずつ測定して補正するものであり、補正期間が長く、作業手間やコストが極めて大きい。そのため、日増しに厳しくなる製造要求に対応できない。複雑な構造の有するワークの加工に向けて、5軸数値制御工作機械の幾何学的誤差をいかに高効率に高精度に補正するかは、「首絞り」のような緊急の問題となっている。
本発明は、従来技術の課題を克服するために、5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化する補正方法を提供する。この方法は、幾何学的誤差間の結合関係を考慮し、重要な誤差に対して比例補正を採用し、最終的に、重要な幾何学的誤差を測定して補正の比率を最適化させることにより、すべての幾何学的誤差を補正する効果が達成でき、効率的で高精度な補正が実現できる。
5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法であって、以下のステップを含む。
第1ステップでは、空間誤差モデルを確立し、同次座標行列によって5軸数値制御工作機械の空間誤差モデルを確立し、位置誤差及び方向誤差を確定する。
第2ステップでは、準モンテカルロ法(Quasi-Monte Carlo Method)に基づいて主要な幾何学的誤差を識別し、主要な幾何学的誤差の主感度及び総合感度を確定する。
第3ステップでは、工作機械の運動軸の主要な幾何学的誤差を測定し、空間誤差モデルに基づいて、主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差を算出する。
第4ステップでは、ワークを切削して総合寸法誤差を測定(Calibrate)し、主要な幾何学的誤差及び非主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差の補正の比率を算出する。
第5ステップでは、主要な幾何学的誤差と非主要な幾何学的誤差との結合関係、及び総合感度の大きさにより、主要な幾何学的誤差の最適な比率を確定し、リアルタイムの補正を行う。
本発明は、従来技術と比べて、以下の有益な効果を有する。
本発明に係る工作機械の幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法は、各誤差の異なる空間伝達法則、及び、主要な幾何学的誤差と非主要な幾何学的誤差との間にある結合関係により、主要な幾何学的誤差を識別してから、直接に補正することではなく、主感度の比率に従って各主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させて補正する。本発明は、最適な比率の値になるように主要な幾何学的誤差を測定して補正することにより、すべての誤差を補正する効果を達成する。それによって、従来の方法におけるすべての幾何学的誤差を測定して補正する必要のあるという問題を解決し、作業効率を向上させ、工作機械の精度を根本的に向上させる。将来的に、誤差モデルの共用性及び5軸数値制御工作機械の全体的な加工精度の向上に対して非常に重要である。
以下、添付の図面および実施例と併せて、本発明の技術案をさらに説明する。
図1は本発明に係る5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正技術のフローチャートである。 図2は実施例におけるS試験片の加工概略図である。 図3は3座標測定試験片の寸法の図である。 図4は加工領域の測定点のX、Y、Zの3方向における幾何誤差の主感度及び結合感度の算出結果の図である。 図5は測定点での3座標測定器により測定される総合誤差の図である。 図6は測定点での主要な幾何学的誤差による空間誤差の図である。 図7は測定点での非主要な幾何学的誤差による空間誤差の図である。 図8は、加工軌跡の各点での5つの主要な誤差の最適な比率値の図である。 図9は領域4のX、Y、Zの3方向における補正前の「S」試験片の寸法誤差の図である。 図10は領域4のX、Y、Zの3方向における直接補正後の「S」試験片の寸法誤差の図である。 図11は、領域4のX、Y、Zの3方向における最適補正後の「S」試験片の寸法誤差の図である。
図1を参照するように、本実施形態に係る5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正比率を最適化させる補正方法であって、以下のステップを含む。
第1ステップでは、空間誤差モデルを確立する。同次座標行列によって5軸数値制御工作機械の空間誤差モデルを確立し、位置誤差及び方向誤差を確定する。
第2ステップでは、準モンテカルロ法に基づいて主要な幾何学的誤差を識別し、主要な幾何学的誤差の主感度及び総合感度を確定する。
第3ステップでは、工作機械の運動軸の主要な幾何学的誤差を測定し、空間誤差モデルに基づいて、主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差を算出する。
第4ステップでは、ワークを切削して総合寸法誤差を測定し、主要な幾何学的誤差と非主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差の補正の比率を算出する。
第5ステップでは、主要な幾何学的誤差と非主要な幾何学的誤差との結合関係、及び、総合感度の大きさにより、主要な幾何学的誤差の最適な比率を確定し、リアルタイムの補正を行う。
総合寸法誤差、及び、主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差により、非主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差が得られる。両者の間の結合関係により、すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差の補正の比率を最適化させ、空間誤差の補正量を確定した後、各主要な幾何学的誤差に対して主感度の比率に応じて最適化した比率で補正を行う。補正後の主要な幾何学的誤差によるワークのサイズ誤差と非主要な幾何学的誤差によるワークのサイズ誤差とは、大きさが等しく、方向が逆であるため、両者が相殺することにより、工作機械のより高い精度が達成できる。
上記では、第1ステップにおける空間誤差モデルの確立は、次の手順に従って実行される。
まず、小さい角度誤差に基づいて、運動軸の幾何学的誤差の伝達行列が与えられる。
Figure 0007276788000001
運動軸の運動学的伝達行列は、下式のように理論的な運動量及び幾何学的誤差の両方によって確定される。
Figure 0007276788000002
ただし、Motionは、理想運動の行列を表し、Errorは、幾何学的誤差の行列を表す。
順運動学の同次座標変換に基づいて、下式のように5軸数値制御工作機械の空間誤差モデルが確立される。
Figure 0007276788000003
ただし、WTTは、ワークに対する工具の運動伝達行列を表し、ワークに対する工具の位置及び方向を表す4×4の同次座標行列である。位置Pは、 WTTの第4列を表す。方向Oは、 WTTの第3列を表す。得られた位置誤差ΔP(Δx,Δy,Δz)と方向誤差ΔO(Δi,Δj,Δk)とは、下式のようなものである。
Figure 0007276788000004
ただし、WTTactualは、誤差のある場合の運動伝達行列を表し、WTTidealは、誤差のない理想的な場合の運動伝達行列を表す。空間誤差モデルにおいて、位置誤差ΔPは、運動軸の並進誤差による部分と、運動軸の角度誤差による部分との二つに分けられる。運動軸の並進誤差は、工具の方向に影響しないため、ワークに対する工具の先端の方向誤差ΔOは、運動軸の角度誤差のみによるものである。
第2ステップの主要な幾何学的誤差の識別は、次の手順のように実行される。
工作機械の空間誤差の方程式をy=f(x)に設定する。ただし、yはモデルの出力、即ち、ワークに対する工具の先端の姿勢誤差である。前記姿勢誤差は、位置誤差と方向誤差とを含む。そのうち、X=(x1,x2,・・・,xn)は、n項の幾何学的誤差の入力変数であり、5軸数値制御工作機械には、41項の幾何学的誤差があるため、n=41となる。
次に、既知の幾何学的誤差xの分布関数に基づいて、準モンテカルロ法により、各入力変数の定義領域でN回サンプリングする。これにより、2つのN×n行列を作成する。ただし、通常、Nは、10000に設定する。
Figure 0007276788000005
行列Bの第i列を行列Aの第i列に置き換えて、新たな行列Cを取得する。
Figure 0007276788000006
Figure 0007276788000007
Figure 0007276788000008
ただし、x~iは、xiの以外の幾何学的誤差を表し、xiは、第i項の幾何学的誤差を表す。
第3ステップにおいて、空間誤差モデルに基づいて、主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差を算出することは、すべての主要な幾何学的誤差を前記空間誤差モデルに代入して、すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差A1を取得することである。
第4ステップにおいて、主要な幾何学的誤差と非主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差の補正の比率を算出することは、空間誤差モデル及び準モンテカルロ法の感度分析により得られ、即ち、総合寸法誤差C1=すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差A1+非主要な幾何学的誤差による空間誤差B1、である。
上記により、三次元測定機(Coordinate Measuring Machine)により測定された総合寸法誤差と、第3ステップから得られた主要な誤差による空間誤差A1とによって、非主要な誤差による空間誤差B1が得られる。
さらに、第5ステップにおいて、主要な幾何学的誤差の最適な比率の確定には、すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差A1の比率を最適化させることが含まれる。具体的に、まず、ワーク加工中の工具経路上の点の主要な幾何学的誤差による空間誤差A1と、非主要な誤差による空間誤差B1と、ワークの総合寸法誤差C1との正、負について、最適な比率を、下表1に示すように、7つのカテゴリに分類する。
そして、総合寸法誤差C1の大きさに基づき分類し、C1<3μmの場合には、誤差が許容範囲内にあると判定し、補正が必要なく、C1>3μmの場合には、補正が必要であると判定し、最適な比率pは、空間誤差A1を元の合計誤差のp倍に補正する。即ち、補正量がA1・(1-p)である。ここで、カテゴリ1およびカテゴリ2の場合には、A1及びB1の絶対値の大きさに従って細分化する。ただし、比率pが負の数である場合、誤差の逆方向へ補正することを意味し、例えば、元の合計誤差が20μmであれ場合、-10μmに補正する必要がある。
カテゴリ3およびカテゴリ5の場合には、空間誤差A1の補正量を減少し、補正量を空間誤差A1よりも小さくさせ、例えば、元の合計誤差が20μmであれば、10μmに補正する。
カテゴリ4およびカテゴリ6の場合には、空間誤差A1を増大させ、元の合計誤差が20μmであれば、30μmに補正する。
カテゴリ7の場合には、非主要な幾何学的誤差による空間誤差B1がゼロになる時、A1の比率が1であり、即ち、補正しない。そのうち、カテゴリ1、2、3、および5は、最も通常である。
表1
Figure 0007276788000009
すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差A1の比率を最適化させた後、単一の主要な幾何学的誤差の最適な比率の値をpに設定し、主要な幾何学的誤差の実値をeとし、準モンテカルロ法によって主要な幾何学的誤差の結合感度STiを算出する。主要な幾何学的誤差を、最適な比率pで下式に代入し、比率補正後の主要な幾何学的誤差による空間誤差と非主要な誤差による空間誤差とを、大きさが等しくて方向が逆になるようにすることにより、m項の主要な幾何学的誤差の最適な比率の値pを求めることができる。
Figure 0007276788000010
ただし、eは第i項の主要な幾何学的誤差の実際の大きさであり、Eは比率を最適化させて補正した後の第i項の幾何学的誤差による空間誤差であり、pは第i項の誤差の最適な比率の値であり、そのうち、iの範囲は[1,m]である。
例えば、上記の単一の主要な幾何学的誤差の最適な比率によって、4項の主要な幾何学的誤差の最適な比率の値pが得られる。
Figure 0007276788000011
実施例
本実施例は、提案された幾何学的誤差の最適化補正の有効性を検証するために、S試験片を、型番JDGR400である5軸数値制御工作機械で切削加工する。工具経路は、NX12.0によりプログラムされ、加工ステップは、2020年のISO-10794におけるステップに従っている。図2及び図3に示すように、「S」試験片は、JDGR400 5軸数値制御工作機械で切削され、3次元座標で、その寸法誤差が測定される。
比率を最適化させて補正する例として、S試験片のz=14.5mmの完全な加工軌跡を例とする。加工軌跡において30個の測定点を均等に取り、6つの点ごとに一組とする。まず、図4に示すように、各組の各測定点のX、Y、Z方向の幾何学的誤差の主感度Siと多次結合感度STiとを算出し、主要な幾何学的誤差を確定する。
図5に示すように、試験片を切削し、3次元座標の測定を完了し、総合寸法誤差C1を取得し、いずれか1つの組を試験対象として選択され、この組を領域4と称する。レーザー干渉計及びボールバーにより、感度分析で得られた主要な誤差を測定し、その測定値を空間誤差モデルに代入し、図6に示すように、測定点での主要な誤差による空間誤差A1を取得する。最後に、図7に示すように、総合サイズ誤差から、主要な幾何学的誤差による部分A1を差し引くことにより、非主要な幾何学的誤差による部分が得られる。
最適な比率の値Pの算出
図8に示すように、誤差の補正の比率を最適化させる方法に従って、各点での5項の主要な幾何学的誤差の最適な比率の値がそれぞれ解かれる。最適な比率の値pは、該項の誤差A1を元の誤差値のp倍に補正することを意味し、即ち、補正量がA1(1-p)である。p=1は補正しないことを意味する。p=0は、誤差をゼロに補正すること、つまり全体を補正することを意味する。p<0は、現在の方向とは反対の方向へ誤差を補正することを意味し、例えば、20μmから-10μmへ補正する。0<p<1は、誤差を減少させるように補正することを意味し、例えば、20μmから5μmに補正する場合、p=0.25である。p>1は、誤差を増加させるように補正することを意味し、例えば、20μmから30μmに補正する場合、p=1.5である。図8aの横軸のデータ点群1のY方向とZ方向の誤差といった、X、Y、Zの3方向の総合サイズ誤差が3μm未満の位置の場合、誤差補正する必要がないため、これらの点での幾何学的誤差の最適な比率は1である。
5つの運動軸の誤差補正量は、上記各データ点での幾何学的誤差の最適な比率の値に基づき、データ点に沿って算出され、誤差補正器によって数値制御システムに送信され、リアルタイムに誤差補正される。
参照群では、主要な誤差を0に補正し、5つの運動軸の誤差補正量を算出し、リアルタイムの誤差補正を実行する。補正前の「S」試験片の領域4でのX、Y、Zの3方向の寸法誤差は、図9に示す通りである。補正後の「S」試験片の領域4でのX、Y、Zの3方向の寸法誤差は、図10に示す通りであり、ワーク全体の加工精度が71%向上する。実施例群では、最適に補正された「S」試験片の領域4でのX、Y、Zの3方向の寸法誤差が、図11に示す通りであり、ワーク全体の加工精度が90%向上される。本幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法の実現可能性と優良性が検証された。
本発明は、上記のように好ましい実施例で開示されたが、これを限定することを意図するものではなく、当業者であれば、本発明の技術案の範囲から逸脱することなく、上記開示の構造および技術内容に基づきなされる僅かな変更や修正は、等価な実施例であり、いずれも本発明の技術的解決手段の範囲に属する。


Claims (4)

  1. 5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正比率を最適化させる補正方法であって、
    空間誤差モデルを確立し、同次座標行列によって5軸数値制御工作機械の空間誤差モデルを確立し、位置誤差及び方向誤差を確定する第1ステップと、
    準モンテカルロ法に基づいて主要な幾何学的誤差を識別し、主要な幾何学的誤差の主感度及び総合感度を確定する第2ステップと、
    工作機械の運動軸の主要な幾何学的誤差を測定し、空間誤差モデルに基づいて、主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差を算出する第3ステップと、
    ワークを切削して総合寸法誤差を測定し、主要な幾何学的誤差及び非主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差の補正の比率を算出する第4ステップであって、主要な幾何学的誤差及び非主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差の補正の比率の算出が、空間誤差モデル及び準モンテカルロ法の感度分析により得られ、即ち、「総合寸法誤差C1=すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差A1+非主要な幾何学的誤差による空間誤差B1」となる第4ステップと、
    主要な幾何学的誤差と非主要な幾何学的誤差との結合関係、及び総合感度の大きさにより、主要な幾何学的誤差の最適な補正の比率を確定し、リアルタイムの補正を行う第5ステップと、
    を備え、
    主要な幾何学的誤差の最適な補正の比率の確定には、すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差A1の比率を最適化させることが含まれ、まず、ワーク加工中の工具経路上の点の主要な幾何学的誤差による空間誤差A1と、非主要な幾何学的誤差による空間誤差B1と、ワークの総合寸法誤差C1とが、正か負かによって、最適な比率を、7つのカテゴリに分類し、
    ただし、カテゴリ1およびカテゴリ2は、主要な幾何学的誤差による空間誤差A1と非主要な幾何学的誤差による空間誤差B1とが、正か負かで一致している同方向の相容関係であることを表し、カテゴリ3およびカテゴリ5は、主要な幾何学的誤差による空間誤差A1と非主要な幾何学的誤差による空間誤差B1とが、正か負かで一致していない逆方向の相違関係であることを表し、カテゴリ4およびカテゴリ6は、主要な幾何学的誤差による空間誤差A1と非主要な幾何学的誤差による空間誤差B1とが、正か負かで一致していない逆方向の相違関係であることを表し、カテゴリ7は、非主要な幾何学的誤差による空間誤差B1がゼロであることを表し、
    そして、総合寸法誤差C1の大きさに基づき分類し、C1<3μmの場合には、誤差が許容範囲内にあると判定し、補正は必要ではなく、C1>3μmの場合には、補正が必要であり、最適な比率pを、空間誤差A1を元の合計誤差のp倍に補正するように設定し、即ち、補正量がA1・(1-p)であり、ここで、カテゴリ1およびカテゴリ2の場合には、A1及びB1の絶対値の大きさに従って細分化し、比率pが、負の数である場合、誤差の逆方向への補正を意味し、|A1|≧|B1|の場合には、P≧-1を設定するカテゴリ1となり、|A1|<|B1|の場合には、P<-1を設定するカテゴリ2となり、カテゴリ3およびカテゴリ5の場合には、空間誤差A1の補正量を減少させ、補正量を空間誤差A1より小さくし、0<P<1を設定し、カテゴリ4およびカテゴリ6の場合には、空間誤差A1を増大させ、P>1を設定し、
    主要な幾何学的誤差の最適な補正の比率の確定には、単一の主要な幾何学的誤差の補正の比率の最適化が含まれ、すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差A1の比率を最適化させた後、単一の主要な幾何学的誤差の最適な比率の値をpに設定し、主要な幾何学的誤差の実値をeiとし、準モンテカルロ法によって主要な幾何学的誤差の結合感度STiを算出し、主要な幾何学的誤差を、最適な比率pで下式に代入し、比率補正後の主要な幾何学的誤差による空間誤差と非主要な幾何学的誤差による空間誤差とを、大きさが等しくて方向が逆になるようにすることにより、m項の主要な幾何学的誤差の最適な比率の値pが求められ、
    ΔE=f(E,・・・,E)=f(p,・・・,p)=-B1
    :・・・:p=S:・・・:S
    ただし、eは第i項の主要な幾何学的誤差の実際の大きさであり、Eは比率を最適化させて補正した後の第i項の幾何学的誤差による空間誤差であり、pは第i項の誤差の最適な比率の値であり、そのうち、iの範囲は[1,m]である、
    ことを特徴とする5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正比率を最適化させる補正方法。
  2. 第1ステップにおける空間誤差モデルの確立は、次の手順に従って実行され、
    まず、小さい角度誤差に基づいて、運動軸の幾何学的誤差の伝達行列が与えられ、
    Figure 0007276788000012
    運動軸の運動学的伝達行列は、下式のように理論的な運動量及び幾何学的誤差によって共同で確定され、
    Figure 0007276788000013
    ただし、Motionは、理想運動の行列を表し、Errorは、幾何学的誤差の行列を表し、
    正の運動学の同次座標変換に基づいて、下式のように5軸数値制御工作機械の空間誤差モデルが確立され、
    Figure 0007276788000014
    ただし、WTTは、ワークに対する工具の運動伝達行列を表し、ワークに対する工具の位置及び方向を表す4×4の同次座標行列である。位置Pは、 WTTの第4列を表す。方向Oは、 WTTの第3列を表す。得られた位置誤差ΔP(Δx,Δy,Δz)と方向誤差ΔO(Δi,Δj,Δk)とは、下式のようなものであり、
    Figure 0007276788000015
    ただし、WTTactualは、誤差のある場合の運動伝達行列を表し、WTTidealは、誤差のない理想的な場合の運動伝達行列を表す、
    ことを特徴とする請求項1に記載の5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法。
  3. 第2ステップの主要な幾何学的誤差の識別は、次の手順のように実行され、
    工作機械の空間誤差の方程式をy=f(x)に設定する。ただし、yはモデルの出力、即ち、ワークに対する工具の先端の姿勢誤差である。前記姿勢誤差は、位置誤差と方向誤差とを含む。そのうち、X=(x,x,・・・,x)は、n項の幾何学的誤差の入力変数であり、5軸数値制御工作機械には、41項の幾何学的誤差があるため、n=41となり、
    そして、既知の幾何学的誤差xの分布関数に従って、準モンテカルロ法により、各入力変数の定義領域でN回サンプリングし、2つのN×n行列を作成し、
    Figure 0007276788000016
    行列Bの第i列を行列Aの第i列に置き換えて、新たな行列Cを取得し、
    Figure 0007276788000017
    Figure 0007276788000018
    Figure 0007276788000019
    ただし、x~iは、xiの以外の幾何学的誤差を表し、xiは、第i項の幾何学的誤差を表す、
    ことを特徴とする請求項2に記載の5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法。
  4. 第3ステップにおいて、空間誤差モデルに基づく主要な幾何学的誤差によるワークの寸法誤差の算出は、すべての主要な幾何学的誤差を前記空間誤差モデルに代入して、すべての主要な幾何学的誤差による空間誤差A1を取得することである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の5軸数値制御工作機械の主要な幾何学的誤差の補正の比率を最適化させる補正方法。
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