JP7276682B2 - 蓄電素子の管理装置、蓄電装置、及び、蓄電素子の管理方法 - Google Patents
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Description
このような理由から、自動車用の蓄電素子はエンジン動作中(充電器が蓄電素子を充電する状態のとき)のパワーフェイルを極力避けなければならない。このため、自動車用の蓄電素子は過充電や過放電などの異常でない限り遮断器をオフにすることが許容されない。
自動二輪車のエンジン始動に用いられる蓄電素子の管理装置であって、前記蓄電素子と直列に接続されている遮断器と、管理部と、を備え、前記管理部は、前記蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると前記遮断器をオフにする。
上記の管理装置によると、蓄電素子にとって都合のよい範囲を所定の範囲として設定し、エンジン動作中に蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると蓄電素子に異常が生じていなくても遮断器をオフにすることにより、蓄電素子の状態が蓄電素子にとって都合のよい範囲から外れることを抑制できる。言い換えると、上記の管理装置によると、自動二輪車のエンジン始動に用いられる蓄電素子において、少なくともエンジン動作中は、蓄電素子にとって都合のよい範囲が使用される可能性が高くなる。
ただし、二輪車用の蓄電素子も、充電器が蓄電素子を充電しない状態(例えばエンジン停止中)のときに補機類が使用される場合は蓄電素子から補機類に電力が供給される。このため、エンジン停止中に遮断器をオフにすると補機類を使用できなくなる。エンジン停止中に遮断器をオフにするとその後にエンジンを再始動するときに自動二輪車のスタータに電力を供給することもできなくなる。
上記の蓄電装置によると、充電器が蓄電素子を充電しない状態のときは蓄電素子の状態が所定の範囲から外れても遮断器をオフにしないので、エンジン停止中に補機類に電力を供給することや、その後にエンジンを再始動するときに自動二輪車のスタータに電力を供給することができる。
蓄電素子のSOCがプラトー領域内にあるときは蓄電素子が劣化し難い。上記の管理装置によると、劣化し難い範囲はプラトー領域内の範囲であるので、蓄電素子の劣化を抑制できる。
所定の範囲はプラトー領域全体であってもよいし、プラトー領域内の一部の範囲であってもよい。
例えば、蓄電素子の中には充電状態(SOC)の変化に対する開放電圧(OCV)の変化が小さいプラトー領域を有するものがある。プラトー領域はdv/dtが小さいので蓄電素子が劣化し難い。このため、プラトー領域を有する蓄電素子の場合はプラトー領域内のdv/dt(例えばプラトー領域内のdv/dtの最大値)を所定値とすることにより、蓄電素子の劣化を抑制できる。
上記の管理装置によると、車両は、エンジン動作中は蓄電素子からの電力供給を必要としないものであるので、エンジン動作中に蓄電素子の状態が都合のよい範囲から外れることを、車両の安全を損なうことなく抑制できる。
上記の管理装置によると、システムがオフにされている場合は、エンジン動作中に蓄電素子の状態が都合のよい範囲から外れると遮断器をオフにする。言い換えると、上記の管理装置によると、システムがオンのときはエンジン動作中に蓄電素子の状態が都合のよい範囲から外れても遮断器をオフにしないので、蓄電素子の状態が都合のよい範囲から外れることを、車両の安全を損なうことなく抑制できる。
上記の管理装置によると、蓄電素子にとって都合のよい範囲を所定の範囲として設定し、充電器が蓄電素子を充電する状態のときに蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると蓄電素子に異常が生じていなくても遮断器をオフにすることにより、蓄電素子の状態が蓄電素子にとって都合のよい範囲から外れることを抑制できる。
実施形態1を図1ないし図7によって説明する。
図1に示すように、実施形態1に係るバッテリ50(蓄電装置の一例)は自動二輪車10に搭載される二輪車用のバッテリである。
一般に二輪車用のバッテリは自動二輪車10のECUと通信する機能を有していない。実施形態1に係る二輪車用のバッテリ50もECUと通信する機能を有していない。
図3に示すように、バッテリ50は組電池60と、回路基板ユニット65と、収容体71とを備える。
収容体71は、合成樹脂材料からなる本体73と蓋体74とを備えている。本体73は有底筒状である。本体73は、底面部75と、4つの側面部76とを備えている。4つの側面部76によって上端部分に上方開口部77が形成されている。
図6に示すように、バッテリ50は組電池60と、組電池60を管理するBMU101(Battery Management Unit)とを備えている。BMU101は管理装置の一例である。
組電池60は、複数の二次電池62から構成されている。二次電池62は12個あり、3並列で4直列に接続されている。図6では並列に接続された3つの二次電池62を1つの電池記号で表している。バッテリ50は定格12Vである。
電圧センサ110は、各二次電池62の電圧Vと組電池60の総電圧とを検出する。組電池60の総電圧は4つの二次電池62の合計電圧である。
温度センサ111はいずれか一つあるいは二つの二次電池62に設けられており、二次電池62の温度を検出して管理部130に出力する。
充電用FET55Aは寄生ダイオード56Aを有している。寄生ダイオード56Aは順方向が放電方向と同一である。放電用FET55Bは寄生ダイオード56Bを有している。寄生ダイオード56Bは順方向が充電方向と同一である。
管理部130によって実行される処理のうちSOC推定処理、エンジン動作中の充電用FETオフ処理、及び、充電用FETオン処理について説明する。
SOC推定処理は、電流積算法によって二次電池62の充電状態(SOC)を推定する処理である。SOCは状態の一例である。電流積算法は、電流センサ53によって二次電池62の充放電電流を所定の時間間隔で計測することで二次電池62に出入りする電力量を計測し、これを初期容量から加減することでSOCを推定する方法である。
OCVは回路が開放されている状態の電圧に限られない。例えば、OCVは二次電池62に流れる電流の電流値が微小な基準値未満であるときの電圧であってもよい。
エンジン動作中の充電用FETオフ処理は、エンジン動作中(オルタネータ10Bが二次電池62を充電する状態)のとき、SOCが所定の範囲(二次電池62にとって都合のよい範囲)から外れると充電用FET55Aをオフにする処理である。
ただし、二次電池62の劣化をより確実に抑制するためにはSOCがプラトー領域内のより狭い範囲内にあることが望ましい。このため、ここでは所定の範囲として30%~70%を例に説明する。
充電用FET55Aをオフにした場合、そのままではその後に二次電池62が使用されてSOCが低下した場合に二次電池62を充電できない。このため、管理部130はSOCが70%以下まで低下すると充電用FET55Aをオンにする。70%は一例であり、60%や50%などの70%より小さいSOCまで低下すると充電用FET55Aをオンにしてもよい。
BMU101によると、エンジン動作中(オルタネータ10Bが二次電池62を充電する状態のとき)はパワーフェイルが許容される。BMU101によると、二次電池62にとって都合のよいSOCの範囲が所定の範囲として設定されており、エンジン動作中にSOCが所定の範囲から外れると二次電池62に過充電や過放電などの異常が生じていなくても充電用FET55Aをオフにする。このため、エンジン動作中にSOCが都合のよい範囲から外れることを抑制できる。このため、BMU101によると、自動二輪車10のエンジン始動に用いられる二次電池62において、少なくともエンジン動作中は、二次電池62にとって都合のよいSOCの範囲が使用される可能性が高くなる。
BMU101によると、二次電池62に異常が生じていなくてもSOCが所定の範囲から外れると充電用FET55Aをオフにするので、二次電池62がオルタネータ10Bに接続されている時間を短くできる。このため、二次電池62が異常でない限りは常にオルタネータ10Bに接続される場合に比べ、二次電池62の劣化を抑制できる。二次電池62がオルタネータ10Bに接続されている時間を短くできるので、二次電池62が過充電になるリスクも低減できる。
実施形態2に係る管理部130は、エンジン停止中の放電用FETオフ処理を実行する。エンジン停止中の放電用FETオフ処理は、エンジン停止中にSOCが30%未満になると放電用FET55Bをオフにする処理である。
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
dv/dtを二次電池62の状態とする場合、劣化し難い範囲はdv/dtが所定値以下の範囲であってもよい。dv/dtが所定値以下の場合は二次電池62が過充電や過放電領域に至るまでにある程度の余裕があるので、二次電池62の劣化を抑制できる。プラトー領域はdv/dtが小さいので、プラトー領域を有する二次電池62の場合はプラトー領域内のdv/dt(例えばプラトー領域内のdv/dtの最大値)を所定値とすることにより、二次電池62の劣化を抑制できる。
(7)上記実施形態では二次電池62の状態としてSOCを例に説明したが、二次電池62の状態は単位時間当たりのSOCの変化量であってもよい。
エンジン動作中に二次電池62からの電力供給を必要とする場合があるシステムを有する車両であっても、システムがオフのときはエンジン動作中にパワーフェイルが許容される。このため、システムがオフにされているときにSOCが都合のよい範囲から外れると充電用FET55Aをオフにし、システムがオンのときはエンジン動作中にSOCが都合のよい範囲から外れても充電用FET55Aをオフにしないことにより、SOCが都合のよい範囲から外れることを、車両の安全を損なうことなく抑制できる。
50 バッテリ(蓄電装置の一例)
55 遮断器
62 二次電池(蓄電素子の一例)
101 BMU(管理装置の一例)
130 管理部
Claims (11)
- 自動二輪車のエンジン始動に用いられる蓄電素子の管理装置であって、
前記蓄電素子と直列に接続されている遮断器と、
管理部と、
を備え、
前記管理部は、充電器が前記蓄電素子を充電する状態のときに前記蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると前記遮断器をオフにする、管理装置。 - 請求項1に記載の管理装置であって、
前記蓄電素子は、前記充電器が前記蓄電素子を充電する状態のときは、前記自動二輪車に電力を供給しないパワーフェイルが許容されるものである、管理装置。 - 自動二輪車のエンジン始動に用いられる蓄電素子の管理装置であって、
前記蓄電素子と直列に接続されている遮断器と、
管理部と、
を備え、
前記管理部は、前記蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると前記遮断器をオフにし、
前記所定の範囲は前記蓄電素子が劣化し難い範囲であり、
前記状態は前記蓄電素子の充電状態であり、
前記蓄電素子は充電状態の変化に対する前記蓄電素子の開放電圧の変化が小さいプラトー領域を有し、
前記劣化し難い範囲は前記プラトー領域内の範囲である、管理装置。 - 請求項3に記載の管理装置であって、
前記劣化し難い範囲の下限値は充電状態15%~35%の間であり、上限値は充電状態65%~95%の間である、管理装置。 - 自動二輪車のエンジン始動に用いられる蓄電素子の管理装置であって、
前記蓄電素子と直列に接続されている遮断器と、
管理部と、
を備え、
前記管理部は、前記蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると前記遮断器をオフにし、
前記所定の範囲は前記蓄電素子が劣化し難い範囲であり、
前記状態は前記蓄電素子の単位時間当たりの電圧の変化量であり、
前記劣化し難い範囲は、前記単位時間当たりの電圧の変化量が所定値以下の範囲である、管理装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の管理装置であって、
前記状態は前記蓄電素子の温度であり、
前記管理部は、前記蓄電素子の温度が前記所定の範囲から外れると前記遮断器をオフにする、管理装置。 - 車両のエンジン始動に用いられる蓄電素子の管理装置であって、
前記車両は、エンジン動作中は前記蓄電素子からの電力供給を必要としないものであり、
当該管理装置は、
前記蓄電素子と直列に接続されている遮断器と、
管理部と、
を備え、
前記管理部は、エンジン動作中に前記蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると前記遮断器をオフにする、管理装置。 - 車両のエンジン始動に用いられる蓄電素子の管理装置であって、
前記車両は、エンジン動作中に前記蓄電素子からの電力供給を必要とする場合があるシステムを有するものであり、
当該管理装置は、
前記蓄電素子と直列に接続されている遮断器と、
管理部と、
を備え、
前記管理部は、前記システムがオフにされている場合は、エンジン動作中に前記蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると前記遮断器をオフにする、管理装置。 - 車両のエンジン始動に用いられる蓄電素子の管理装置であって、
当該管理装置は前記車両と通信する機能を有していないものであり、
前記蓄電素子と直列に接続されている遮断器と、
管理部と、
を備え、
前記管理部は、充電器が前記蓄電素子を充電する状態のときに前記蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると前記遮断器をオフにする、管理装置。 - 自動二輪車のエンジン始動に用いられる蓄電装置であって、
蓄電素子と、
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の管理装置と、
を備える蓄電装置。 - 自動二輪車のエンジン始動に用いられる蓄電素子の管理方法であって、
充電器が前記蓄電素子を充電する状態のときに前記蓄電素子の状態が所定の範囲から外れると、前記蓄電素子と直列に接続されている遮断器をオフにするステップを含む、管理方法。
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