JP7275601B2 - ボイラ装置 - Google Patents
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例えば特許文献1には、燃焼量を上げると、NOx排出濃度が上がることや、自己排ガス再循環量を増加させることにより、低NOx性能を確保できることが示されている。
ここで、燃焼用空気流量は、外気の流量(空気流量)と、排ガスの流量(排気再循環流量)とを加算した流量となるが、燃焼用空気流量が変動している場合においては、燃焼用空気流量の変動に対して排ガスの流量が適切に追従しないことから、外気の流量と排ガスの流量の混合バランスが不安定となる。すなわち、排ガスの流量(排気再循環流量)を外気の流量(空気流量)で割った値である排気再循環率(以下、「EGR率」と呼ぶ。)が狙った値から外れてしまう状況が生じる。
このEGR率が狙った値から外れてしまうと、燃料空気内の酸素の不足や余剰が生じ、燃焼状態が不安定となる可能性がある。また、排気再循環方式によるNOx低減の効果が十分に得られなくなる可能性がある。
給気路30には、給気路30を流れる燃焼用空気流量を検知する燃焼用空気流量検知部としてのエア差圧センサ31が配置される。エア差圧センサ31は、パンチングメタルやオリフィス等による固定圧損部32を有する。この固定圧損部32の上流側と下流側の圧力の差圧を計測することにより、燃焼用空気流量に対応する信号を得ることが可能である。なお、燃焼用空気流量検知部として、エア差圧センサ31以外のセンサ、例えば風圧センサ、風量センサ(熱線式など)などを用いて、燃焼用空気流量に対応する信号を得てもよい。
排気再循環路50には、排気再循環流量調整部としてのダンパ51が配置される。ダンパ51は、開度を変更することで排気再循環路50を流通して送風機40に循環される排ガスの流量を調整する。
遮断弁92は、燃料ガスを供給しないときに、燃料ガス供給ライン90を遮断するための弁であり、制御部200により制御される。
図2は、制御部200の構成を示すブロック図である。図2に示すように、制御部200は、燃焼用空気流量制御部202と、燃焼用空気流量信号取得部203と、平均化処理部204と、信号分岐部205と、燃料ガス流量制御部206と、排気再循環流量制御部207と、記憶部208とを備える。これらの各機能ブロックの具体的な機能については、図3のフローチャートも参照しながら後で説明する。
なお、制御部200は、上述のように複数の機能ブロックにより構成されているが、各ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、複数のブロックの機能を1つのCPUで実現できるように構成してもよい。また、制御部200は、制御対象機器の配置や配線を考慮するなどして、2つ以上に分かれていてもよい。
水素燃焼ボイラ装置1においては、ボイラ本体10の内部には、給気路30から燃焼用空気が供給されると共に、燃料ガス供給ライン90から燃料ガスが供給されて燃料ガスが燃焼される。また、缶体11の内部に配置された複数の水管には、給水ライン70から給水が行われており、燃料ガスを燃焼させることにより発生した熱により、給水が加熱され蒸気が生成される。
これにより、送風機給気側に循環された排ガスと外気とが所定の割合で混合され、この混合された混合気を燃焼用空気として燃料ガスが燃焼される。
なお、燃焼率と燃焼用空気流量の対応関係については、図4を用いて後述する。
このように、目標とする流量値とは異なる流量の燃焼用空気が流れる状況が存在することを考慮すると、燃料ガス流量は、実際の燃焼用空気流量に対応した流量に調整されて供給されることが好ましい。また、排気再循環流量についても、実際の燃焼用空気流量(排気再循環流量を含む)に対応した排気再循環流量に調整されることが好ましい。これにより、燃焼用空気流量が変動する場合であっても、排気再循環流量を目標値に制御することができ、良好な燃焼状態を維持することができる。
ステップS13において、燃焼用空気流量信号取得部203は、エア差圧センサ31が検知した燃焼用空気流量に対応する信号を取得する。
なお、燃焼用空気流量信号は不安定であり、また検出ノイズも存在する。よって、平均化処理を施すことにより、燃焼用空気流量に対応する信号に基づくその後の処理を、安定した処理にすることができる。ここで、移動平均値としては、単純移動平均値を用いてもよいし、現在に近いほど大きい重みづけを付与して得られる重み付け移動平均値を用いてもよい。
特に、本実施形態においては、実際の燃焼用空気流量に応じて適切な排気再循環流量を設定し、適切な量の排ガスを送風機に循環させることができるため、安定した排気再循環燃焼を実現し、かつ低NOx性能を実現することができる。
また、実際の燃焼用空気流量に対応する燃料ガス流量および排気再循環流量となるように、燃料ガス流量調整弁91およびダンパ51の開度を制御することにより、空燃比およびEGR率を適切に制御することができる。
なお、燃焼率と燃焼用空気流量との対応関係は、一次関数となっていることが好ましい。一次関数となっていれば、燃焼率と、送風機40のモータの回転数を制御するインバータ41に入力する周波数との関係も一次関数となるため、設定された燃焼率に対応するインバータ41の制御を簡単に行うことができる。
なお、燃焼率と燃焼用空気流量との対応関係が一次関数の関係である場合とは、実質的に一次関数、例えば、排ガス中の酸素濃度及び/またはNOx濃度の変動が許容範囲内となるように一次関数で近似できる場合も含む。
なお、燃焼用空気流量と排気再循環流量との対応関係は、一次関数となっていることが好ましい。一次関数となっていれば、検知された燃焼用空気流量に対応する排気再循環流量の算出およびその後のダンパ51の制御を簡単に行うことができる。
なお、燃焼用空気流量と排気再循環流量との対応関係が一次関数の関係である場合とは、実質的に一次関数、例えば、排ガス中の酸素濃度及び/またはNOx濃度の変動が許容範囲内となるように一次関数で近似できる場合も含む。
例えば、テーブルによりこれらの対応関係を記憶する場合は、所定の燃焼率(例えば、20%、60%、100%)に対して、所定の燃焼用空気流量(例えば、燃料率20%のときの流量a、燃料率60%のときの流量b、燃焼率100%のときの流量c)、所定の燃焼用空気流量(例えば、燃焼率20%のときの流量a、燃焼率60%のときの流量b、燃焼率100%のときの流量c)に対して、所定の排気再循環流量(例えば、燃焼率20%のときの排気再循環流量a’、燃焼率60%のときの排気再循環流量b’、燃焼率100%のときの排気再循環流量c’)がそれぞれ設定されているテーブルを用いても良い。EGR率は燃焼用空気流量と排気再循環流量から算出しても良い。このような場合、排気再循環流量制御部207は、テーブルにおいて予め定められた燃焼率と燃焼用空気流量、燃焼用空気流量と排気再循環流量との対応関係に従って、インバータ41およびダンパ51を制御する。
このようなテーブルを用いることにより、設定された燃焼率に応じて、目標とする燃焼用空気流量を設定すること、検知された燃焼用空気流量に応じて、目標とする排気再循環流量を設定することが可能となる。
このようなテーブルを用いても、設定された燃焼率に応じて、目標とする燃焼用空気流量を設定すること、検知された燃焼用空気流量に応じて、目標とする排気再循環流量を設定することが可能となる。
なお、燃焼率と空気比との対応関係を一次関数としてもよい。この場合、指示された燃焼率に対応する空気比の算出およびその後のインバータ41等の制御を簡単に行うことができる。また、燃焼率とEGR率との対応関係を一次関数としてもよい。
これにより、燃焼率が低いときほど、EGR率が高く燃焼用空気中の酸素濃度は相対的に低下するものの、過剰空気割合が大きい状態となっているため、水素ガスが燃焼する上で常に十分な空気が供給される状態となり、低燃焼状態から高燃焼状態の範囲において、NOx発生量を抑制しつつより燃焼状態を安定させることができる。
すなわち、水素燃焼ボイラ装置において、広い燃焼領域において安定した低NOx性能を得るためには、水素燃焼ボイラに適したEGR率の制御が必要であることを見出した。
図6は、丸型缶体(貫流ボイラ)と先混合式バーナ(拡散燃焼するバーナ)とを備え、連続制御を行う水素燃焼ボイラ装置において、EGR率を0%に固定した場合における、燃焼状態指令信号に基づく燃焼率と、NOx濃度との関係を示すグラフである。なお、NOx濃度は、サンプリングされた気体試料のO2濃度により異なるため、本実施形態においては、O2(0%)換算値のNOx濃度を示している。
水素ガスを燃焼するボイラ装置において発生したこの現象は、例えば、燃焼率が高い場合、燃焼用空気と燃料ガスとしての水素ガスの噴出速度が速くなり、火炎が伸びて広い範囲で燃焼している状態となる一方、燃焼率が低い場合、燃焼用空気と水素ガスの噴出速度が遅くなり、狭い範囲で燃焼している状態となる可能性がある。その結果、燃焼率が低い場合は局所的な高温部が形成されやすく、NOx濃度が高くなることなどが推測される。
水素ガスは、メタン等の他のガスに比べて可燃範囲は広く、燃焼速度は速く火炎温度は高いなど、他のガスとは顕著に異なる性質を有している(水素の燃焼特性、荻須吉洋、燃料協会誌 第54巻第583号(1975))。このような水素ガスを用いる水素燃焼ボイラ装置において、上述の現象は、低燃焼状態付近で確認されるものではなく、低燃焼状態では強く、高燃焼になるに従って弱く現れることが図6によって示唆されている。
図7より、燃焼率が高いときほど、低いEGR率となるような制御を行うことにより、換言すると、燃焼率が低いときほど、EGR率が高くなるような制御を行うことにより、点線で示されるようにNOx濃度が略一定となることが把握できる。
さらに、燃焼状態のオンオフ切り替えのみが可能なボイラ装置、すなわち、設定できる燃焼状態が1つのみのボイラ装置についても、炉内圧の変化等により燃焼用空気流量が変化することを考慮すれば、適用することができる。
これにより、実際の燃焼用空気流量に応じて適切な量の排ガスを送風機に循環させることができる。すなわち、燃焼率(燃焼量、負荷率)の設定変更時など、燃焼用空気流量が変動している場合や、炉内圧の変化等により燃焼用空気流量が変化した場合でも、実際の燃焼用空気流量に応じた適切な量の排ガスを送風機に循環させることができる。よって、安定した排気再循環燃焼を実現し、低NOx性能を実現することが可能となる。
また、燃焼率を連続的に変更可能な比例制御方式のボイラ装置や、複数の段階的な燃焼位置で燃焼する段階値制御ボイラ装置など、各種の制御方式のボイラ装置においても、排気再循環流量を適切に制御することができる。
これにより、燃焼用空気流量と排気再循環流量の対応関係に基づき、ダンパ51が適切に制御される。
このように、燃焼用空気流量と排気再循環流量との対応関係が一次関数となっていれば、検知された燃焼用空気流量に対応する排気再循環流量の算出およびその後のダンパ51の制御を簡単に行うことができる。
これにより、燃焼率と燃焼用空気流量の対応関係に基づき、送風機40のモータが適切に制御される。
このように、燃焼率と燃焼用空気流量との対応関係を一次関数の関係とすることにより、燃焼率と、送風機の回転数を制御するインバータに入力する周波数等の制御信号との関係も一次関数の関係となる。よって、設定された燃焼率に対応するインバータ41の制御を簡単に行うことができる。
このように、平均化処理を行うことにより、ノイズ等の外乱を軽減し、安定した制御を行うことができる。
このように、実際の燃焼用空気流量に応じて、排気再循環流量に加えて燃料ガス流量の制御も行うことにより、より安定した燃焼状態を実現することができる。
よって、同一の信号を分岐して用いるため、信号の誤差が抑制でき、燃料ガス流量と排気再循環流量の制御が簡単となる。
よって、同じ信号に基づいて、燃料ガス流量と排気再循環流量の制御を行うため、制御が簡便となる。
このような制御により、燃焼率が高いときにおいて、排気再循環に伴う送風量の増加を抑制している方向の制御となり、送風機の大型化の回避、送風機の電気代の抑制を図ることができる。一方、燃焼率が低いときにおいて、排気再循環に伴う送風量を高めている方向の制御となっており、低燃焼状態における燃料ガスの噴出速度の維持による燃焼状態の安定化、O2濃度のコントロールによる低NOx化を図ることができる。
10 ボイラ本体
20 排気路
30 給気路
31 エア差圧センサ
40 送風機
41 インバータ
50 排気再循環路
51 ダンパ
90 燃料ガス供給ライン
91 燃料ガス流量調整弁
200 制御部
202 燃焼用空気流量制御部
203 燃焼用空気流量信号取得部
204 平均化処理部
205 信号分岐部
206 燃料ガス流量制御部
207 排気再循環流量制御部
208 記憶部
Claims (9)
- 燃料ガスを燃焼させて給水を加熱するボイラ本体と、
前記ボイラ本体に前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給ラインと、
前記ボイラ本体に燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給ラインと、
前記燃焼用空気供給ラインを流れる燃焼用空気流量を検知する燃焼用空気流量検知部と、
前記燃焼用空気供給ラインの上流側に接続され前記燃焼用空気供給ラインに燃焼用空気を送り込む送風機と、
前記ボイラ本体で燃料が燃焼されて発生した排ガスを排出する排気路と、
前記排気路を流通する排ガスの一部を前記送風機に循環させる排気再循環路と、
前記排気再循環路に設けられた、排気再循環流量を調整する排気再循環流量調整部と、
前記燃焼用空気流量検知部によって検知された前記燃焼用空気流量に対応する信号に基づいて前記排気再循環流量調整部を制御する排気再循環流量制御部と、を備え、
前記排気再循環流量制御部は、前記燃焼用空気流量検知部によって検知された前記燃焼用空気流量が多いほど、EGR率が低くなるように、前記排気再循環流量調整部を制御する、ボイラ装置。 - 前記ボイラ装置は、
前記燃焼用空気流量と前記排気再循環流量との対応関係を記憶している記憶部を備え、
前記排気再循環流量制御部は、前記燃焼用空気流量検知部によって検知された前記燃焼用空気流量と、前記記憶部に記憶されている前記燃焼用空気流量と前記排気再循環流量との対応関係に基づいて、前記排気再循環流量調整部を制御する、請求項1に記載のボイラ装置。 - 前記記憶部に記憶されている前記燃焼用空気流量と前記排気再循環流量との対応関係が、一次関数の関係となるように設定されている、請求項2に記載のボイラ装置。
- 前記ボイラ装置は、
燃焼率と前記燃焼用空気流量との対応関係を記憶している記憶部と、
前記燃焼用空気供給ラインを流れる前記燃焼用空気流量を調整する燃焼用空気流量調整
部と、
前記燃焼用空気流量調整部を制御する燃焼用空気流量制御部と、を備え、
前記燃焼用空気流量制御部は、設定された燃焼率と、前記記憶部に記憶されている前記燃焼率と前記燃焼用空気流量との対応関係に基づいて、前記燃焼用空気流量調整部を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載のボイラ装置。 - 前記記憶部に記憶されている前記燃焼率と前記燃焼用空気流量との対応関係が、一次関数の関係となるように設定されている、請求項4に記載のボイラ装置。
- 前記ボイラ装置は、
前記燃焼用空気流量検知部の信号の平均化処理を行う平均化処理部を更に備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のボイラ装置。 - 前記ボイラ装置は、
前記燃料ガス供給ラインに配置され、燃料ガス流量を調整可能な燃料ガス流量調整部と、
前記燃焼用空気流量検知部によって検知された前記燃焼用空気流量に対応する信号に基
づいて前記燃料ガス流量調整部を制御する燃料ガス流量制御部と、を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のボイラ装置。 - 前記ボイラ装置は、
前記燃焼用空気流量検知部の信号を前記燃料ガス流量制御部と前記排気再循環流量制御部に分岐する信号分岐部を備え、
前記排気再循環流量制御部は、前記燃焼用空気流量検知部の信号によって前記排気再循環流量調整部の開度を調整する、請求項7に記載のボイラ装置。 - 前記燃料ガス流量制御部は、前記燃焼用空気流量検知部の信号を前記燃料ガス流量調整部の開度信号に変換し、前記開度信号に基づいて燃料ガス流量調整部の開度を調整すると共に、前記開度信号を前記排気再循環流量制御部に送信し、
前記排気再循環流量制御部は、前記開度信号に基づいて前記排気再循環流量調整部の開度を調整する、請求項7に記載のボイラ装置。
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