JP7274789B1 - ソフトウェア及び健康指標の提供装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】住宅の居住者に対して、バイタル情報をテーラーメイドに分析して、居住者の健康に繋がる科学的な指標を提供することが可能なソフトウェア、健康指標の提供装置及び健康指標の提供機構を提供する。【解決手段】健康指標を提供する健康指標提供装置は、同一の居住者が、旧住宅(既築住宅、非高断熱住宅)に居住していた際や温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する新住宅(新築住宅、高断熱住宅)に居住している際の、それぞれのバイタルデータの正規分布を作成して、バイタルデータを比較することで、居住者の健康状態の変化を把握する。また、正規分布する体温・血圧・脈拍の基準域(安定した変動幅)を作成し、そこから外れた異常値を検知し、EWS(早期警戒スコア)に配点し、スコアリングに基づく判定によりトリアージ(医療の優先度)を赤・黄・緑で示すことにより、居住者の健康状態の悪化を早期発見する。【選択図】図32

Description

本発明はソフトウェア及び健康指標の提供装置に関する。詳しくは、断熱性の高い住居、及び、その室内の温湿度を調整することで、居住者のバイタルを変化させる健康指標の提供装置、居住者のバイタル情報をテーラーメイドに比較・分析して、健康に繋がる健康指標を提供するソフトウェア、また、そのソフトウェアにより、科学的に健康延伸する住まいの健康指標の提供装置に関わるものである。
従来、「健康住宅」と呼ばれる住まいは、ホルムアルデヒド等の有害物質を含まない建築素材を用いた高断熱住宅を指して、2000年頃に、各大手メーカーも参入する等ブームになった。
その中で、住まいの影響による居住者の身体状態の客観的指標であるバイタルサイン(体温・血圧等の生命兆候)等の変化を科学的に示し、健康指標としてエビデンスが示される事例は稀有であった。そのため顧客の関心が年々薄くなり、「健康系の住宅」を標榜する商品を扱う住宅会社は、非常に少なくなっている。
一方で健康に関する住宅へのニーズであるが、新築住宅を建築する年齢層が40~50代が中心になる等高齢化しており、国土交通省が依頼したアンケート調査(平成28年度住宅建築技術高度化・展開推進事業~IoT技術等を活用した次世代住宅懇談会~報告書、日経BP社)よりによると、住宅に対するIoT技術への関心の高さでは、「健康管理」は87.8%と最も高く、またバイタルサインに対する活用ニーズも「したい」「まあしたい」が40%を超えており、顧客ニーズが存在することが明らかになった。
しかし、同アンケート調査では、住戸内で日々測定する自分のバイタル値(例:血圧)が、個人ごとの判定基準が異なるため、あてに出来ないとの意見もあり、課題も明らかになった。
この個人ごとにバイタルの判定基準が異なり、日本人の場合、35.0℃~38.0℃に分布する(田坂定考、日新医学、44.63.1957)こと、また、加齢により経年的に低下すること(日老医誌、12、172-177、1975)が知られており、2020年、COVID-19における厚生労働省老健局事務連絡において、発熱基準として全員一律の「体温:37.5℃」を撤回し「個人ごとの平熱から判断」と改めた原因の一つとなり、一般国民にも再認識された。
これに対し、日本医師会(日本医師会COVID-19有識者会議における「在宅医療と介護におけるCOVID-19対応の課題と解決策提言タスクフォース」報告書)からは、個人の体温の「平均値±2σ+0.5℃」を発熱基準として判定する提言を行い、厚生労働省は、本発明者からの問い合わせに対し、同手法は厚労省老健局事務連絡に基づいていると回答した。このように住戸内のバイタル測定の判定を、テーラーメイド手法で行うことで、課題解決する方法は存在する。
体温や血圧といったバイタルサインについて、個人ごとの特性を鑑み、統計学を用いてテーラーメイドに分析する技術によって、より正確に、より早期に、対象者のバイタルサインの異常を検知することは、様々な技術に応用できる。例えば、熱中症は、深部体温がその人の正常域に戻らない状態であり、この技術が活用できる。そして本申請で扱う血圧も年齢差(高血圧学会ガイドライン)だけでなく、同年齢層でも個人差がある。日本人の高血圧患者数は約4,300万人と予想されており、実に日本人の3人に1人に及ぶ。
この高血圧は、脳疾患・心疾患といった循環器、肺炎・COVID-19といった呼吸器疾患等の各疾患のハイリスク因子であり、国民の健康に大きく影響している。高血圧学会ガイドラインでは、加齢による血圧変化、及び、それに伴う年齢別の警戒値が示されている。基本的に完治しない高血圧症に対し、白衣高血圧(医療機関では緊張して正しい血圧の測定が困難なこと)の問題があるため、患者の血圧を自宅で測定し、高血圧症の薬効評価は家庭内血圧を用いて診断することが重要とされている。さらに血圧は、同じ年齢層でも個人ごとに異なるため、「平均値±2σ」を基準域としたテーラーメイドの血圧管理が望ましい。
また、断熱性能と血圧に対する影響に関して、慶応大学伊香賀教授のグループは、家庭血圧と冬季室温の関係に関する国際論文(Hypertension 2019、Oct)により、断熱による室温が最高血圧に有意な変化(収縮期血圧が下がる)をもたらし、心血管疾患等各疾患のハイリスク因子となる高血圧を防ぐことを発表した。また、厚生労働省は、「健康日本21」において、血圧4mmHg低下すれば脳卒中死亡を1万人減らし、冠動脈疾患による死亡を5千人減らすと告知している。これら温熱環境が血圧を変化させ、各疾患発症に影響することは、日本サステナブル建築協会の資料として採用され、広く告知されている。
本発明者らは、国土交通省サステナブル建築物等先導事業(2017・2020)で伊香賀教授らと、非断熱住宅(既築)から断熱住宅(新築)に移った際の、居住者のバイタルサインの変化を検証し、血圧低下(図3参照)、体温上昇、脈拍低下を確認した。その実証をもとに、住まいを高断熱の環境を作り、空調の温湿度をコントロールし、居住者の健康に関する客観的指標であるバイタル(血圧・体温・脈拍)をテーラーメイドで分析し、居住者に示すことで、「構造計算のある家」のように、科学的に健康を延伸する住まいが提供できることに着目した。
ここで、医師が診断する際、まずバイタルサインに着目するように、重要かつ客観的な健康指標であるバイタルサインであるが、従来、居住者のバイタルサインを簡便に取得し、かつ、安価に蓄積することが難しかった。
しかし近年、情報機器類やクラウド、ウェアラブル端末の急速な発達により、バイタルサインデータ等の情報を自動的に、リアルタイムに取得し、安価で蓄積することが容易になっている。
そのため、医療分野やヘルスケア分野において、個体から取得したバイタルサインや各種検査結果、臨床データ等の、多様な種類のデータを収集し、医療や健康に関する解析に用いることが試みられている。
また、近年では、インターネットを介した情報伝達技術の著しい進歩に伴い、IoT(Internet of Things)技術を活用して、住宅や住生活の質の向上を図る取り組みが行われている。
こうしたIoT技術の活用事例として、例えば、バイタル情報を取得可能なウェアラブル端末をユーザが身に着け、心拍数や活動量、血圧等の推移が自動的に記録することで、日々のデータを蓄積し、ユーザの日常的な体調の変化を知ることができる仕組みが提案されている。
また、蓄積した情報を医療機関等と共有することで、住宅の居住者であるユーザが、簡単に健康状態を管理でき、遠隔の医療機関から適切な診断サービスも受けられる健康管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、特許文献1に記載の健康管理システムは、ユーザ認証用および生体データ計測用のバイタルセンサと、ユーザの健康状態を自律的に測定しマネージャに送信する機能と、あるセンサ値が異常を示した場合、他のセンサも同時に計測して統括マネージャに通知する機能を持つエージェントと、ユーザの日々の生体情報を収集・蓄積し、エージェントの管理・制御を行うマネージャと、遠隔の医療機関あるいは健康管理会社に設置され、マネージャに蓄積されたユーザの生体情報を収集して、医療の専門家がユーザの健康状態を総合的に診断できる情報を提供する統括マネージャで構成されている。
この特許文献1に記載の健康管理システムでは、装着型のエージェントが、ブルートゥース(登録商標)等の無線通信により宅内に設置されたマネージャと通信を行い、次にマネージャが遠隔の統括マネージャに、ユーザのバイタルデータをインターネット経由で送信する。
また、この特許文献1に記載の健康管理システムでは、医療の専門機関が、遠隔から任意に指定したユーザのバイタルデータをサンプリングして、例えば、健康状態から少し外れた状態のユーザに注目し、当該ユーザのデータを収集・観察するものとなっている。
特開2006-122610号公報 第6350959号明細書 第6512648号明細書 第6551959号明細書
"早期警戒スコア(Early warning score)"、[online]、ウィキペディアフリー百科事典(Wikipedia, the free encyclopedia)、[令和3年9月7日検索]、インターネット<URL:https://en.wikipedia.org/wiki/Early_warning_score>
ここで、従前の住宅等における居住者に対する健康管理システムは、ユーザ、即ち、居住者のバイタルサインを、テーラーメイドに分析する技術とはなっていなかった。従前の健康管理システムでは、バイタルサインの異常を判断する基準として、集団から取得したバイタルデータに基づき設定した絶対値が採用されていた。
しかし、バイタルサインには、一人ひとり異なる「個体内変動」があり、対象者によって、バイタルサインの変化の仕方が異なっているにも関わらず、この変化の仕方を適切に捉えて、解析する技術とはなっていなかった。
本発明者は、個々人の体温、血圧、脈拍、脈圧のバイタルサインが、特殊な疾患を除き、必ず正規分布する性質を検証した上で、その人固有の個体内変動を含んで分布する特性に着目し、一定数のデータを取得し、そのデータの平均値(μ)及び標準偏差(σ)に基づく判定基準(基準域)を設けて、対象者のバイタルの異常判定(例えば、特許文献2参照)及びスコアリング判定(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)を行う「バイタル異常値検知」技術を発明した。また、本発明者は、厚生労働科学研究において、肺炎入院に対するバイタルスコアリングの特異度が93%であった事より立証し、論文に発表してきた。
ここで、バイタルサインの判定に「絶対値」を用いる場合と、「テーラーメイド」を用いる場合の精度の差の事例を示す。世界的に代表的なEWS(早期警戒スコア)である英国のNEWS(National early Warning Score、英国では利用を義務化の方向)と、閾値に「平均値±2σ」を用いるテーラーメイドの手法を用いたMEWS(修正早期警戒スコア)のそれぞれで、肺炎入院の比較検証を厚生労働科学研究で行った。
その結果、図31のように、MEWSの方で、肺炎入院の検知精度が大幅に向上することが示された。よって、本発明では、テーラーメイドの分析技術を用いている。なお、図31では、AUC(線の下の面積)の数値が1に近いほうが精度が良く、グラフも1に近いほうが、精度が良い結果を示している。
そして、本発明者らは、居住者のバイタルサインを、テーラーメイドに分析して、居住者ごとに、健康状態の異常を早期に発見することで、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を長くすることに寄与する技術開発を行ってきた。
また、ここで、本発明者らは、住宅環境において良好な温湿度環境を整えることで、居住者の疾患予防が行える可能性に着目した。
具体的には、温度及び湿度を調整する住宅環境を、空調や断熱住宅により作り、居住者のバイタルサインの値に影響を与え、疾患になりにくい住まいを提供できると考えた。
この背景として、冬季の寒冷により、居住者が高血圧となり、疾患リスクが上昇するケースが存在する。例えば、上記の米国高血圧学会の国際論文(Hypertension 2019、Oct)では、以下のような内容が述べられている。
冬季になると死亡数が増加する心血管疾患(CVD)は、世界で毎年1790万人の死者を出し、死因の31%を占めている。また、2030年には、死者数が年間2360万人に増加することが予測され、心血管疾患の予防が緊急の問題となると言われている。
また、この米国高血圧学会の論文では、冬季に死亡率が急上昇するのは、寒冷による高血圧、即ち低温に対し、深部体温を一定に保つために、血管が収縮して熱放散を抑え、血圧が上昇することが原因であると指摘している。事実、多くの研究が、高血圧に季節性があることを報告している。
こうした、冬季の寒冷により、居住者が高血圧となり、疾患リスクが上昇する背景に加えて、現代社会の人々は、自分の時間の60%から70%を家で過ごしており、中でも生理機能が低下している高齢者では、さらに家で過ごす時間の比率が高くなっている。
よって、本発明者は、住宅環境と高血圧が、居住者の健康に影響を及ぼしている可能性があると考えた。なお、心血管疾患リスクは、住宅で居住者が測定した血圧(収縮期血圧)で、特に、朝に測定された血圧と密接に関連していると言われている。
また、細菌やウイルス、異物等から体を守る仕組みである免疫機能と、体温との間に深い関係があるといわれている。免疫機能においては、病原体等の異物(抗原)を食べて排除するマクロファージや、抗体を作るB細胞等、種々の免疫細胞が働いているが、この免疫細胞は、温度(体温)が高いと活発化するという性質がある。
また、免疫細胞が正常に働ける体温は36.5℃であり、そこから体温が1℃上がると、最大5倍~6倍も免疫力が上がり、逆に、体温が1℃下がると免疫力が30%下がると言われている。そうしたことから、免疫機能を高め、病気に負けない体を作るには、健康な体温を保つことが欠かせないと考えられる。
そのため、本発明者らは、住宅の温湿度環境と血圧、又は、体温との関係を調べることとした。
これまでには、血圧と外気温の関係の研究報告はあるが、住宅環境、即ち、室温に関する研究は少なかった。また、室温下における血圧の研究であっても、居住者の住宅ではなく、診療所で測定された血圧に関する内容となっていた。
ここで、本発明者らは、空調や断熱住宅により、温度及び湿度を調整して、室内空間において、良好な温湿度環境を維持できる新築住宅(新住宅)と、室内空間において、外気の影響を受けて、温度及び湿度が変化しやすい既築住宅(旧住宅)のそれぞれで、同じ居住者が過ごした場合のバイタルサインの変化について調査を行った。
この調査では、居住者個人ごとに、バイタルサインの値につき、一定数のデータを取得し、データの平均値(μ)及び標準偏差(σ)と、これらに基づく正規分布を、新住宅と旧住宅のそれぞれで算出して比較を行った。また、データの平均値(μ)及び標準偏差(σ)に基づく基準域(例えば、μ±2σ)の範囲も算出して比較を行った。なお、詳細については後述する。
その結果、血圧(収縮期血圧及び拡張期血圧)について、正規分布では、新住宅のバイタルサインから作成した正規分布が、旧住宅のバイタルサインから作成した正規分布よりも、その全体が低下する傾向が確認された。また、新住宅における基準域は、旧住宅の基準域に比べて、基準域の範囲が低下することが確認された。
また、体温について、正規分布では、新住宅のバイタルサインから作成した正規分布が、旧住宅のバイタルサインから作成した正規分布よりも、その全体が上昇する傾向が確認された。また、新住宅における基準域は、旧住宅の基準域に比べて、基準域の範囲が上昇することが確認された。
さらに、脈拍について、正規分布では、新住宅のバイタルサインから作成した正規分布が、旧住宅のバイタルサインから作成した正規分布よりも、その全体が低下する傾向が確認された。また、新住宅における基準域は、旧住宅の基準域に比べて、基準域の範囲が低下することが確認された。
このように、本発明者らは、温度及び湿度が調整された良好な温湿度環境にある新住宅では、外気の影響を受けて、温度及び湿度が変化しやすい旧住宅と比べて、居住者の血圧の正規分布及び基準域が低下し、また、体温の正規分布及び基準域が上昇し、さらに脈拍の正規分布及び基準域の低下が観察されることを見出し、バイタルサインの変化・安定を、居住者の健康の指標とする、新たな技術を提案するに至った。
また、本発明者らは、個々人の体温、血圧、脈拍、脈圧のバイタルサインが、特殊な疾患を除き、必ず正規分布する性質を鑑み、更に、少ないデータ数、又は、短期間で、迅速な判定を可能にするために、精度を保ちながら測定点を減らす検討を行った。
ここで本発明者は、1日1回測定したバイタルサインの値について、156人に及ぶ分散が少ないバイタルデータを分析し、4日分のデータ群が、30日分のデータ群との間で、統計的仮説検定を行い、4日分のデータ群が、30日分のデータ群と比較しても有意差がなく(P>0.05)、かつ差が無い(Pが1に近い)検証を行い、4日分と30日分のデータでの検知精度に差が無いことを立証した。なお、詳細については後述する。
これにより「バイタル異常値検知」を行うために必要な基準域(判定基準)の作成には、4日分のデータがあれば良いことが立証された。これにより短期間のバイタルデータにより、テーラーメイドでのバイタル異常値検知が可能となる。なお、分布に用いるデータは4日分以降も蓄積していくため、30日(30回)分のデータが集積された時点で、従前の30日以上のデータを用いる技術結果と同じになる。
この「バイタル異常値検知」技術は、これにより求められていた異常値等をスコア分布表に配点し、その合計点より医療リスクを算出する「バイタルスコアリング」技術にも用いることができる。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、住宅の居住者に対して、バイタル
情報をテーラーメイドに分析して、居住者の健康に繋がる科学的な指標を提供することが
可能なソフトウェア及び健康指標の提供装置に係るものである。
上記の目的を達成するために、本発明のソフトウェアは、住み替え前の住宅である旧住宅と、住み替え後の住宅であり、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する新住宅での、それぞれの住宅環境における、同一個体から測定されたバイタルサインの値であり、正規分布に従うバイタル情報に基づき、個体の健康状態の指標を提供するためのソフトウェアであって、情報処理機器を、情報を入力又は表示するための画像をディスプレイに表示させる処理を実行する表示制御手段と、前記旧住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である旧住宅バイタル情報と、前記新住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である新住宅バイタル情報の入力を受け付ける情報入力手段と、入力された前記旧住宅バイタル情報及び前記新住宅バイタル情報を記録させる情報記録手段と、記録された複数の前記旧住宅バイタル情報の全部又は一部の、第1の平均μ及び第1の標準偏差σから前記第1の平均μを中心とする正規分布である第1の正規分布を作成すると共に、記録された複数の前記新住宅バイタル情報の全部又は一部の、第2の平均μ及び第2の標準偏差σから前記第2の平均μを中心とする正規分布である第2の正規分布を作成する正規分布算出手段と、前記第1の正規分布と前記第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成する分布比較情報処理手段と、を含む手段として機能させるためのソフトウェアとして構成されている。
なお、本明細書において、ソフトウェアとは、コンピュータの動作に関するプログラムのことである。また、プログラムとは、コンピュータによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものをいう。
ここで、表示制御手段が、情報を入力又は表示するための画像をディスプレイに表示させる処理を実行することによって、使用者は、ディスプレイに表示された画像により、入力する情報を確認しながら、情報を入力可能となる。また、使用者は、ディスプレイに表示された画像により、入力した、又は、記録された情報を、画像中で確認可能となる。
また、情報入力手段が、旧住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である旧住宅バイタル情報の入力を受け付け、情報記録手段に、入力された旧住宅バイタル情報を記録させることによって、旧住宅の住宅環境における同一個体のバイタル情報を蓄積することができる。なお、ここでいう同一個体とは、測定したバイタルサインの値に基づき、健康の指標を提示される居住者(ユーザ)を指すものである。
また、情報入力手段が、新住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である新住宅バイタル情報の入力を受け付け、情報記録手段に、入力された新住宅バイタル情報を記録させることによって、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する、新住宅の住宅環境における同一個体のバイタル情報を蓄積することができる。なお、ここでいう同一個体とは、測定したバイタルサインの値に基づき、健康の指標を提示される居住者(ユーザ)を指すものである。
また、ここでいう「正規分布に従うバイタル情報」とは、一定のデータ数が揃った場合に、データが正規分布する性質を意味するものである。なお、本発明は、単一のソフトウェアで、単独の同一個体のバイタル情報を記録する態様と、複数の同一個体のバイタル情報を同一個体ごとに記録する態様を含んでいる。
また、ここでいう「同一個体から測定されたバイタル情報」とは、情報入力手段での入力の段階で個体の区別が可能であることを意味している。例えば、1人の対象者が自分だけのバイタル情報を入力する態様や、複数の対象者の情報を取り扱う際に、特定の個人用の入力画面が表示されてバイタル情報を入力する態様等、入力するための形式を異ならせて、個体を区別することが考えられる。
また、正規分布算出手段が、記録された複数の旧住宅バイタル情報の全部又は一部の、第1の平均μ及び第1の標準偏差σから第1の平均μを中心とする正規分布である第1の正規分布を作成することによって、旧住宅の住宅環境における同一個体のバイタル情報の分布を反映した正規分布を作成することができる。
なお、ここでいう第1の平均μとは、「各バイタル値の総和」から「バイタル値のデータ数」を割った値を意味するものである。また、ここでいう「記録された複数のバイタル情報の第1の平均μ」は、記録されたバイタル情報の全データから算出するものだけでなく、全データのうちの一部から算出されるものを含んでいる。更に、第1の平均μの算出根拠となるバイタル情報は連続的なデータ、例えば、毎秒、毎分、毎時間、毎日等継続的に測定したデータだけでなく、秒、分、時間、日数等の間隔を開けて抽出したデータから算出されるものであってもよい。
また、ここでいう第1の標準偏差σとは、所定の期間のバイタル情報の「偏差の二乗平均」である。更に言えば、「偏差」とは、所定の期間のバイタル情報の「各バイタル値」から「所定の期間のバイタル値の平均値」を引いた値である。また、ここでいう「記録された複数のバイタル情報の第1の標準偏差σ」は、記録されたバイタル情報の全データから算出するものだけでなく、全データのうちの一部から算出されるものを含んでいる。更に、第1の標準偏差σの算出根拠となるバイタル情報は連続的なデータ、例えば、毎秒、毎分、毎時間、毎日等継続的に測定したデータだけでなく、秒、分、時間、日数等の間隔を開けて抽出したデータから算出されるものであってもよい。
また、正規分布算出手段が、記録された複数の新住宅バイタル情報の全部又は一部の、第2の平均μ及び第2の標準偏差σから第2の平均μを中心とする正規分布である第2の正規分布を作成することによって、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する新住宅の住宅環境における同一個体のバイタル情報の分布を反映した正規分布を作成することができる。
なお、ここでいう第2の平均μとは、「各バイタル値の総和」から「バイタル値のデータ数」を割った値を意味するものである。また、ここでいう「記録された複数のバイタル情報の第2の平均μ」は、記録されたバイタル情報の全データから算出するものだけでなく、全データのうちの一部から算出されるものを含んでいる。更に、第2の平均μの算出根拠となるバイタル情報は連続的なデータ、例えば、毎秒、毎分、毎時間、毎日等継続的に測定したデータだけでなく、秒、分、時間、日数等の間隔を開けて抽出したデータから算出されるものであってもよい。
また、ここでいう第2の標準偏差σとは、所定の期間のバイタル情報の「偏差の二乗平均」である。更に言えば、「偏差」とは、所定の期間のバイタル情報の「各バイタル値」から「所定の期間のバイタル値の平均値」を引いた値である。また、ここでいう「記録された複数のバイタル情報の第2の標準偏差σ」は、記録されたバイタル情報の全データから算出するものだけでなく、全データのうちの一部から算出されるものを含んでいる。更に、第2の標準偏差σの算出根拠となるバイタル情報は連続的なデータ、例えば、毎秒、毎分、毎時間、毎日等継続的に測定したデータだけでなく、秒、分、時間、日数等の間隔を開けて抽出したデータから算出されるものであってもよい。
また、分布比較情報処理手段が、第1の正規分布と第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成することによって、第1の正規分布と、第2の正規分布を、1つの画面上で見比べることが可能となる。即ち、同じ個体について、新住宅でのバイタルサインの分布と、旧住宅でのバイタルサインの分布の比較が容易になり、新住宅におけるバイタルサインの変動を確認することが可能となる。また、そのバイタルサインの変動を元に、個体の健康状態を把握することができる。
ここで本発明における、住宅環境において良好な温湿度環境を整えることで、居住者の疾患予防に繋がる点の詳細について説明する。
本発明者は、住宅環境において良好な温湿度環境を整えることで、居住者の疾患予防に繋がることを示すために、次のような検証を行った。ここでは、温度及び湿度を調整可能な室内空間を有し、断熱性に優れた新築住宅(新住宅)と、室内環境の温度及び湿度が、住宅の外部環境の影響を受けて変動しやすい既築住宅(旧住宅)のそれぞれで、同一の居住者の血圧、体温及び脈拍を測定して、個体内変動を含むバイタルの変動への温湿度環境の影響を確認した。
なお、新築住宅では、空調による制御と、住宅が備える断熱性により、室内環境の温度及び湿度を、所望の範囲内に維持しやすい構造となっている。
ここで、図1及び図2で、新築住宅と既築住宅のそれぞれにおける、室内環境と外部環境での、気温及び湿度の関係を示している。図1は、個人Mさんにおける新築住宅と既築住宅の結果であり、図2は、個人Oさんにおける新築住宅と既築住宅の結果である。
また、図1及び図2の左側は、既築住宅の結果であり、上図が気温、下図が湿度の結果である。また、図1及び図2の右側は、新築住宅の結果であり、上図が気温、下図が湿度の結果である。なお、図1及び図2は、ある一日での気温及び湿度をモニタリングした結果である。
まず、図1及び図2の左側の既築住宅の結果では、気温と湿度は、いずれも、室内環境の各場所(居室、寝室、脱衣所)の結果と、外部環境の結果が、ほぼ平行して変化しており、既築住宅では、室内環境の温度及び湿度が、住宅の外部環境の影響を受けて変動しやすいという結果を示した。
また、図1及び図2の右側の新築住宅の結果では、気温と湿度は、いずれも、外部環境の測定値で大きな変化があっても、室内環境の各場所(居室、寝室、脱衣所)での測定値はほとんど影響を受けていないことが明らかであった。即ち、新築住宅の室内環境は、外部環境にあまり影響されず、一定の範囲で、気温と湿度が維持しやすい環境となっていた。
そして、個人Mさんにおける、既築住宅に居住している一定期間中(17日間)に測定した血圧(収縮期血圧、拡張期血圧)と体温のそれぞれの分布図と、新築住宅に居住している一定期間中(18日間)に測定した血圧(収縮期血圧、拡張期血圧)と体温のそれぞれの分布図を、図3の上段に示している。また、図3の下段は、個人Oさんの結果である。
ここで、図3に示すように、個人Mさん及び個人Oさんは共に、収縮期血圧の正規分布の山と、拡張期血圧の正規分布の山においていずれも、既築住宅の正規分布の山よりも、新築住宅の正規分布の山の方が、血圧が低下している傾向が確認された。具体的には、平均値の値(正規分布の中央)や、正規分布の両端の値が、既築住宅の結果よりも、新築住宅の結果で、より低い値となっていた。
また、体温においては、図3に示すように、個人Mさん及び個人Oさん共に、正規分布の山は、既築住宅の正規分布の山よりも、新築住宅の正規分布の山の方が、体温が上昇している傾向が確認された。具体的には、平均値の値(正規分布の中央)や、正規分布の両端の値が、既築住宅の結果よりも、新築住宅の結果で、より高い値となっていた。
このように、図3の結果から、室内環境の温度及び湿度を、所望の範囲内に維持しやすい新築住宅の環境下では、室内環境の温度及び湿度が、住宅の外部環境の影響を受けて変動しやすい既築住宅の環境下よりも、居住者の血圧の分布が全体的に低下し、かつ、体温の分布が全体的に上昇することが明らかとなった。
なお、図中には示さないが、本検討では、個人Mさんと、個人Oさんにつき、血圧と体温のそれぞれの測定値につき、データの平均値(μ)及び標準偏差(σ)と、これらに基づく基準域(例えば、μ±2σ)の範囲も算出した。
その結果、個人Mさん及び個人Oさん共に、血圧(収縮期血圧、拡張期血圧)の基準域において、既築住宅の基準域に比べ、新築住宅の基準域が低下していた。また、体温の基準域において、既築住宅の基準域に比べ、新築住宅の基準域が上昇していた。
また、図1~図3に示した個人Mさんと個人Oさん以外にも、複数の対象者について同様の検証を行ったところ、いずれも、既築住宅に比べて、新築住宅では、血圧の分布が低下し、かつ、体温が上昇する傾向が確認された。
また、脈拍についても同様の検討を行っており、図29に示すように、個人Sさんにおける脈拍を確認したところ、脈拍の正規分布の山は、既築住宅の正規分布の山(符号2063)よりも、新築住宅の正規分布の山(符号2060~2062)の方が、脈拍が低下している傾向が確認された。具体的には、平均値の値(正規分布の中央)や、正規分布の両端の値が、既築住宅の結果よりも、新築住宅の結果で、より低い値となっていた。なお、符号2060は、春の一定期間の測定結果に基づく正規分布であり、符号2061は、冬の一定期間の測定結果に基づく正規分布であり、符号2062は、秋の一定期間の測定結果に基づく正規分布である。
このように、本発明者らの検討では、既築住宅に比べて、新築住宅では、脈拍の分布が低下する傾向が確認されている。
こうした結果から、本発明者は、住宅環境において良好な温湿度環境を整えることで、居住者の個体内変動を反映した血圧、体温及び脈拍の分布に影響を与え、血圧・脈拍は低下させ、また、体温は上昇させるように、その分布を変化させることで、居住者の疾患予防に繋げることができると考えた。また、居住者における旧住宅と、新住宅でのバイタルの分布の変動を確認することで、居住者の健康状態を把握する指標になると考え、本発明に至った。
そして、本発明では、バイタル情報が、少なくとも血圧のバイタルサインの値であり、第1の正規分布に比べて、第2の正規分布が低下傾向にあることを個体の健康状態が良好な指標とする場合には、同一の個体における血圧の分布に基づく、血圧の変動(低下)をもって、その個体の健康状態を把握することができる。特に、例えば、外気温が低くなる冬季に、旧住宅に比べて、新住宅の環境下で、血圧が低下したことをもって、個体の健康状態が良好であることを示しやすくなる。
また、バイタル情報が、少なくとも体温のバイタルサインの値であり、第1の正規分布に比べて、第2の正規分布が上昇傾向にあることを個体の健康状態が良好な指標とする場合には、同一の個体における体温の分布に基づく、体温の変動(上昇)をもって、その個体の健康状態を把握することができる。
また、バイタル情報が、少なくとも脈拍のバイタルサインの値であり、第1の正規分布に比べて、第2の正規分布が低下傾向にあることを個体の健康状態が良好な指標とする場合には、同一の個体における脈拍の分布に基づく、脈拍の変動(下降)をもって、その個体の健康状態を把握することができる。
また、第1の正規分布及び第2の正規分布が、少なくとも、情報記録手段に記録された少なくとも4個分の前記バイタル情報から作成された場合には、第1の正規分布と、第2の正規分布の、それぞれの分布の差が比較しやすい正規分布を作成することができる。
なお、ここでいう少なくとも4個分とは、例えば、同じ日の違う時刻で測定した4個分のバイタル情報や、1日1回の測定で、4日分のバイタル情報や、1日に2回の測定で、2日分のバイタル情報等が含まれる。また、1日1回の測定や、1日2回の測定だけでなく、その他の回数で取得した4個分のバイタル情報であってもよい。
ここで本発明において「4個分のバイタル情報(測定データ)」が、異常判定(又はスコアリング判定)に利用しうることについて詳細を説明する。より詳細には、体温、脈拍、血圧、及び脈圧のバイタルサインについて、少なくとも4個分の測定データを取得すれば、対象者の個体内変動を反映した判定が可能となる点について説明する。
まず、前提として、本発明者は、これまでの検討により、同一個体から取得したバイタルデータについて、少なくとも30個分の測定データが取得できれば、その測定データが、対象者ごとの個体内変動を反映して正規分布することを確認している(特許文献4参照)。
例えば、図4~図11に示すように、脈拍を各条件で測定した場合、30個分の測定データが揃えば、その測定したデータに基づき、対象者ごとに異なる正規分布曲線が得られる結果となった。図4、図6、図8及び図10は、同一対象者(ここではAさんと称する)から取得した脈拍の結果であり、図5、図7、図9及び図11は、別の同一対象者(ここではBさんと称する)から取得した脈拍の結果である。なお、図4~図11において、30個分の測定データを示し、曲線上の丸印は1つの測定データに対応しているが、平均値を中心に重なっているデータが複数存在するため、図面上では、30個分の丸印が表れていない。
より詳細には、図4及び図5では、1分ごとに脈拍を測定して、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づくグラフである。いずれも平均値を頂点とした正規分布の形を示す結果が得られた。また、AさんとBさんでは、頂点となる平均値が異なり、かつ、曲線の両端に位置する値(最小値及び最大値)も異なっている。従って、個体なりの正規分布が得られることが明らかである。なお、この点は、図6~図11において、同様の傾向が確認された。
また、図6及び図7は、7分ごとに脈拍を測定して、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づくグラフである。このように、測定する時間間隔を変えた際にも、各対象者の平均値を頂点とした正規分布の形が得られた。
また、図8及び図9は、1日の中で、不規則な時間で、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づくグラフである。更に、図10は、30時間の中で、不規則な時間で、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づくグラフであり、図11は、30日の中で、不規則な時間で、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づくグラフである。ここで示すように、一定間隔で規則的に取得されたデータでなくても、30個分の測定データを取得すれば、そのデータが、各対象者の平均値を頂点として正規分布の形を取ることが確認された。
また、例えば、図12及び図13に示すように、体温についても、30個分の測定データが揃えば、その測定したデータに基づき、対象者ごとに異なる正規分布曲線が得られる結果となった。図12及び図13は、2分ごとに体温を測定して、30個分の体温の測定データを取得した結果に基づくグラフである。また、図12と図13では、体温を測定した対象者が異なっている。このように、体温でも、30個分の測定データを取得すれば、そのデータが、各対象者の平均値を頂点として正規分布の形を取ることが確認された。
30個分の測定データから、個体なりの正規分布が得られる点は、脈拍と体温だけでなく、血圧(収縮期血圧及び拡張期血圧)、脈圧についても確認された。
従って、本発明者は、時間の長さや測定間隔の規則性の有無に関わらず、バイタルサインについて、少なくとも30個分の測定データを取得すれば、対象者の個体内変動を反映した正規分布を得ることができ、これをバイオマーカーとして利用しうることを確認していた。
ここで、本発明者は、1日1回測定したバイタルサインの値について、4日分のデータ群と、30日分のデータ群との間で、統計的仮説検定を行い、4日分のデータ群が、30日分のデータ群と比較しても有意差がなく(P>0.05)、かつ、差が無い(Pが1に近い)検証を行い、4日分のデータ群と30日分のデータ群での検知精度に差が無いことを立証した。
より詳細には、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、脈拍、体温の各バイタルサインについて、1日1回の測定を行い、4日分のデータ群(4日データ群)、10日分のデータ群(10日データ群)、14日分のデータ群(14日データ群)、及び、30日分のデータ群(30日データ群)につき、それぞれのデータ群の「平均値」と、「標準偏差」を算出した。また、データ数は156人分(n=156)に基づくものである。
そして、4日データ群、10日のデータ群、14日データ群、及び、30日データ群のデータ群を比較するために、分散分析(analysis of variance、略称:ANOVA)の1種である一元配置分散分析に基づき、各バイタルサインのP値を算出した。また、P値は、帰無仮説を棄却するための証拠を測定する有意確率であり、本検証では、P値の値が1に近い程、各データ群に有意差がないものと推定できるものとした。データ群の平均値、標準偏差、及び、P値の結果を表1に示す。
なお、一元配置分散分析は、既知の方法で計算可能であるため、詳細な説明は省略するが、各データ群について、郡内平方和、群間平方和、自由度、F値及びP値を段階的に求めることで算出することができる。
Figure 0007274789000002
表1に示すように、4日データ群、10日のデータ群、14日データ群、及び、30日データ群の4つのデータ群についてのP値は、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、脈拍、体温の各バイタルサインにおいて、0.960~0.999となり、1に近い値となったことから、各データ群に有意差がないものと推定できる結果を示した。また、各データ群の平均値及び標準偏差を比較しても、データ群間での平均値の差、及び、標準偏差の差は、非常に小さな値となった。
以上の結果から、各バイタルサインについて、4個分(4日分)のデータ群の平均値及び標準偏差は、30個分(30日分)のデータ群の平均値及び標準偏差と比較して、有意差がなく(P>0.05)、かつ差が無いものと推定できることが確認された。
そして、これにより、対象者個人のバイタルの異常判定又はスコアリング判定を行う際に、判定基準(所定の数値範囲)の算出根拠として、4個分のバイタル情報に基づく、平均値(μ)及び標準偏差(σ)が採用できると考え、本発明に至った。
即ち、4個分のバイタル情報に基づく、平均値(μ)及び標準偏差(σ)から設定された判定基準にも、対象者個人の個体内変動が反映されており、これを判定に用いることで、迅速な判定を行うことが可能となる。また、4個分のバイタル情報に基づく正規分布は、30個分のバイタル情報に基づく正規分布と同様に採用しうると考えた。
また、第2の正規分布が、少なくとも対象となる4日間、1か月間、又は、1年間のいずれかの1つの期間中に測定されたバイタルサインの値から作成される場合には、新住宅における、4日間、1か月、又は、1年間単位での、個体の健康状態の把握がしやすくなる。即ち、例えば、1カ月を採用した場合、前月に測定されたバイタルサインの値から第2の正規分布を作成して、翌月の始めに、これを第1の正規分布と比較して表示することで、前月の個体の健康状態を把握する情報として利用することができる。
また、正規分布算出手段が、第1の平均μ、第1の標準偏差σ、0より大きい数であるn及びmを用いて表された下記の式(1)の値を下限値及び式(2)の値を上限値とする第1の基準域を算出すると共に、第2の平均μ、第2の標準偏差σ、n及びmを用いて表された下記の式(3)の値を下限値及び式(4)の値を上限値とする第2の基準域を算出する場合には、個体から取得したバイタルサインに基づく分布について、数n及びmで設定した決まった上下限の範囲(基準域)で、旧住宅と新住宅におけるバイタルサインの変動を比較することができる。即ち、例えば、数n及びmを、バイタルサインの値を異常とみなす範囲として設定することで、同じ個体のバイタルサインの分布のうち、特に、バイタルの異常を判定する根拠となる範囲に絞って、個体の健康状態を把握可能となる。
μ-nσ・・・式(1)
μ+mσ・・・式(2)
μ-nσ・・・式(3)
μ+mσ・・・式(4)
また、情報入力手段が、同一個体における、1日の食事のタイミングごとの食事の量に関する情報である個体食事情報、又は、1日の運動の量に関する情報である個体運動情報の少なくとも一方の入力を受け付け、情報記録手段が、入力された個体食事情報及び個体運動情報を記録させる場合には、個体における、日々の1日の食事量を記録した実績、又は、日々の1日の運動量を記録した実績を、個体の行動記録として残すことができる。
また、表彰情報処理手段が、同一個体における新住宅バイタル情報、個体食事情報、又は、個体運動情報の、各情報の種類ごとの情報記録手段への記録の数である個体行動記録数が、所定の目標条件を満たした場合に、画像の1つであり、所定の目標条件を満たしたことを表彰する画像である表彰画像を作成する場合には、個体が、自身のバイタルサインの値、1日の食事量、又は、1日の運動量を記録した実績に対して、つまり、記録を一定回数行った行動に対して、表彰画像を提示可能となる。これにより、バイタルサインの測定、食事量や運動量を記録する行為の個体のモチベーションを高めることができると共に、個体の健康に関する意識を高め、行動変容を促すことができる。
なお、ここでいう個体行動記録数とは、情報の種類ごとの記録数であり、例えば、個体食事情報のみの記録の数でカウントされるものを意味する。
また、表彰情報処理手段が、画像の1つであり、一定期間における所定の目標条件を達成するまでの経過を、登山を模したルート表示と、一定期間中の個体行動記録数に応じたルート表示上での位置表示と、で表した画像である達成経過画像を作成する場合には、個体が、表彰を受けることができるまでの現状を容易に把握可能となる。これにより、より一層、バイタルサインの測定や、食事量等を記録する行為の個体のモチベーションを高めることができると共に、個体の健康に関する意識を高め、行動変容を促すことができる。
また、スコアリング処理手段が、所定のスコアリング条件を基準に、入力された所定の新住宅バイタル情報をスコアリングして、新住宅バイタル情報の種類ごとにおけるスコアの値の合計値であるスコア結果情報を算出する場合には、入力された新住宅バイタル情報を、その内容に応じたスコア結果情報(点数)に変換して、その合計点を確認することができる。なお、ここでいう「入力された所定の新住宅バイタル情報」とは、スコアリングの対象となる新住宅バイタル情報を意味している。
また、トリアージ処理手段が、所定のスコア評価条件を基準にして、スコア結果情報の数値を、三段階の評価結果に分類すると共に、同一個体に紐づけた画像中で表す表示であり、スコア結果情報の数値を、三段階の評価結果ごとに異なる色を付けて表した情報であるスコア結果色分け表示情報を作成する場合には、新住宅バイタル情報の内容に応じたスコア結果情報の合計点に対する三段階の評価結果を、評価結果の種類で色分けして、その個体に紐づけた画像で表示して、評価結果の内容を視認しやすくすることができる。このスコア結果情報の合計点に対する三段階の評価結果は、個体の健康状態を示す指標となるため、色分けした表示により、個体の健康状態が容易に確認可能となる。即ち、例えば、三段階の評価結果を、赤色、黄色、緑色で色分けして、悪い結果を赤色、良好な結果を緑色、中間(又は注意)の結果を黄色にすることで、スコアリングに基づく健康状態を、表示された色で、簡単に確認可能となる。
また、スコアリングの対象となる新住宅バイタル情報は、体温、脈拍、血圧、及び、酸素飽和度の測定値と、意識レベルを含む場合には、体温、脈拍、血圧、及び、酸素飽和度の測定値と、意識レベルに対してスコアリングを行い、スコア結果情報を得て、個体の健康状態を確認することが可能となる。
また、注意コメント作成部が、新住宅バイタル情報のうち、対象となる1か月間の中で記録された、体温の全部又は一部における、第2の平均μ及び前記第2の標準偏差σと、対象となる1か月間の中で記録された、血圧の全部又は一部における、第2の平均μ及び前記第2の標準偏差σと、対象となる1か月間の中で記録された、脈拍の全部又は一部における、前記第2の平均μ及び前記第2の標準偏差σを算出すると共に、第2の平均μ、第2の標準偏差σを用いて表された下記の式(5)の値を第1の上限値とし、かつ、下記の式(6)の値を第2の上限値とする基準とし、同一個体において、対象となる1か月間で記録された体温、血圧又は脈拍の測定値が、1つでも第2の上限値を超える際、又は、対象となる1か月間で記録された体温、血圧又は脈拍の測定値が、3日間以上続けて、第1の上限値と第2の上限値の間の範囲内に含まれる際に、対象となる1か月間の中で、バイタル異常値が確認されたことを示す情報である注意コメント情報を作成する場合には、同一個体の個体内変動に基づき設定される上限値をもって、体温、血圧又は脈拍におけるバイタル異常を検知可能となる。また、1か月単位の記録の中で、バイタル異常を検知した際に、注意コメントとして、バイタル異常が検知されたことを通知することができる。
μ+2σ・・・式(5)
μ+3σ・・・式(6)
また、上記の目的を達成するために、本発明の健康指標の提供装置は、住み替え前の住宅である旧住宅と、住み替え後の住宅であり、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する新住宅での、それぞれの住宅環境における、同一個体から測定されたバイタルサインの値であり、正規分布に従うバイタル情報に基づき、個体の健康状態の指標を提供するための健康指標の提供装置であって、ディスプレイを有する端末と、情報を入力又は表示するための画像を前記ディスプレイに表示させる処理を実行する表示制御手段と、前記旧住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である旧住宅バイタル情報と、前記新住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である新住宅バイタル情報の入力を受け付ける情報入力手段と、入力された前記旧住宅バイタル情報及び前記新住宅バイタル情報を記録させる情報記録手段と、記録された複数の前記旧住宅バイタル情報の全部又は一部の、第1の平均μ及び第1の標準偏差σから前記第1の平均μを中心とする正規分布である第1の正規分布を作成すると共に、記録された複数の前記新住宅バイタル情報の全部又は一部の、第2の平均μ及び第2の標準偏差σから前記第2の平均μを中心とする正規分布である第2の正規分布を作成する正規分布算出手段と、前記第1の正規分布と前記第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成する分布比較情報処理手段とを備える。
ここで、情報入力手段が、旧住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である旧住宅バイタル情報の入力を受け付け、情報記録手段に、入力された旧住宅バイタル情報を記録させることによって、旧住宅の住宅環境における同一個体のバイタル情報を蓄積することができる。
また、情報入力手段が、新住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である新住宅バイタル情報の入力を受け付け、情報記録手段に、入力された新住宅バイタル情報を記録させることによって、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する、新住宅の住宅環境における同一個体のバイタル情報を蓄積することができる。
また、正規分布算出手段が、記録された複数の旧住宅バイタル情報の全部又は一部の、第1の平均μ及び第1の標準偏差σから第1の平均μを中心とする正規分布である第1の正規分布を作成することによって、旧住宅の住宅環境における同一個体のバイタル情報の分布を反映した正規分布を作成することができる。
また、正規分布算出手段が、記録された複数の新住宅バイタル情報の全部又は一部の、第2の平均μ及び第2の標準偏差σから第2の平均μを中心とする正規分布である第2の正規分布を作成することによって、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する新住宅の住宅環境における同一個体のバイタル情報の分布を反映した正規分布を作成することができる。
また、分布比較情報処理手段が、第1の正規分布と第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成することによって、第1の正規分布と、第2の正規分布を、1つの画面上で見比べることが可能となる。即ち、同じ個体について、新住宅でのバイタルサインの分布と、旧住宅でのバイタルサインの分布の比較が容易になり、新住宅におけるバイタルサインの変動を確認することが可能となる。また、そのバイタルサインの変動を元に、個体の健康状態を把握することができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明の健康指標の提供機構は、住み替え前の住宅である旧住宅と、住み替え後の住宅である新住宅での、それぞれの住宅環境における、同一個体から測定されたバイタルサインの値であり、正規分布に従うバイタル情報に基づき、個体の健康状態の指標を提供するための健康指標の提供機構であって、前記新住宅に設けられ、室内空間の温度及び湿度を、所定範囲に制御する温湿度制御手段と、情報を入力又は表示するための画像をディスプレイに表示させる処理を実行する表示制御手段と、前記旧住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である旧住宅バイタル情報と、前記新住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である新住宅バイタル情報の入力を受け付ける情報入力手段と、入力された前記旧住宅バイタル情報及び前記新住宅バイタル情報を記録させる情報記録手段と、記録された複数の前記旧住宅バイタル情報の全部又は一部の、第1の平均μ及び第1の標準偏差σから前記第1の平均μを中心とする正規分布である第1の正規分布を作成すると共に、記録された複数の前記新住宅バイタル情報の全部又は一部の、第2の平均μ及び第2の標準偏差σから前記第2の平均μを中心とする正規分布である第2の正規分布を作成する正規分布算出手段と、前記第1の正規分布と前記第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成する分布比較情報処理手段とを備える。
ここで、温湿度制御手段が、新住宅に設けられ、室内空間の温度及び湿度を、所定範囲に制御することによって、新住宅の室内空間を、個体に適正な温湿度範囲に維持しやすくなる。即ち、例えば、冬季の寒冷な環境に対して、新住宅の室内空間を整え、個体のバイタルサインの値や、その変動に影響を与えることができる。なお、人間の適正な温湿度の範囲は、温度が17度~22度で、湿度は40~70%と言われており、温湿度制御手段を介して、新住宅の室内空間の環境を、理想的な温湿度範囲に設定、又は、近づけることができる。
また、分布比較情報処理手段が、第1の正規分布と第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成することによって、第1の正規分布と、第2の正規分布を、1つの画面上で見比べることが可能となる。即ち、同じ個体について、新住宅でのバイタルサインの分布と、旧住宅でのバイタルサインの分布の比較が容易になり、新住宅におけるバイタルサインの変動を確認することが可能となる。また、そのバイタルサインの変動を元に、個体の健康状態を把握することができる。
本発明に係るソフトウェア及び健康指標の提供装置は、住宅の居住者に対して、バイタル情報をテーラーメイドに分析して、居住者の健康に繋がる科学的な指標を提供することが可能なものとなっている。
既築住宅と新築住宅における気温と湿度の関係を示すグラフである。 既築住宅と新築住宅における気温と湿度の関係を示すグラフである。 既築住宅と新築住宅における血圧又は体温の正規分布を比較した結果を示すグラフである。 1分ごとに脈拍を測定して、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 1分ごとに脈拍を測定して、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 7分ごとに脈拍を測定して、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 7分ごとに脈拍を測定して、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 1日の中で、不規則な時間で、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 1日の中で、不規則な時間で、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 30時間の中で、不規則な時間で、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 30日の中で、不規則な時間で、30個分の脈拍の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 2分ごとに体温を測定して、30個分の体温の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 2分ごとに体温を測定して、30個分の体温の測定データを取得した結果に基づく正規分布曲線である。 本発明を適用したソフトウェアを導入したタブレット端末の概略構成を示す図である(第1のシステム構成)。 本発明を適用したソフトウェアを有する第2のシステム構成を示す概略図である。 本発明を適用したソフトウェアを有する第3のシステム構成を示す概略図である。 演算部、情報送受信部及び情報記録部の構成を示すブロック図である。 バイタル情報の抽出の事例を示した概略図である。 メイン画面の構成の一例を示す概略図である。 バイタル入力画面の構成の一例を示す概略図である。 バイタル表示画面の構成の一例を示す概略図である。 バイタル表示画面の構成の一例を示す概略図である。 ヘルスレポート画面の構成の一例を示す概略図である。 ヘルスレポート画面の構成の一例を示す概略図である。 環境レポート画面の構成の一例を示す概略図である。 食事・運動入力画面の構成の一例を示す概略図である。 表彰経過画面の構成の一例を示す概略図である。 (a)は、体温分布図表示領域を拡大した図であり、(b)は、血圧分布図表示領域を拡大した図である。 既築住宅と新築住宅における脈拍の正規分布を比較した結果を示すグラフである。 (a)は、複数の対象者のバイタル情報を元に作成された正規分布曲線のグラフであり、(b)は、同一の対象者のバイタル情報を元に作成された正規分布曲線のグラフである。 バイタルサインの判定に「絶対値」を用いる場合と「テーラーメイド」を用いる場合の精度の差の事例を示す図である。 本発明の内容の概略を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用したソフトウェアを導入したタブレット端末の概略構成を示す図である。なお、以下に示す構造は本発明の一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではない。
[1.全体の装置構成について]
本発明を適用したソフトウェアは、汎用の情報処理機器に導入可能であり、組み込まれた情報処理機器に対して本発明の実施するために必要な各情報処理機能を付与する。この結果、タブレット端末3において、同一の居住者が、旧住宅(既築住宅、非高断熱住宅)に居住していた際、及び、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有し、断熱性に優れた新住宅(新築住宅、高断熱住宅)に居住している際の、それぞれのバイタル情報に基づき、バイタルサインの正規分布を作成して、これを比較することで、居住者の健康状態が把握可能となる。また、バイタルサインを変化させ、疾患予防に繋げることができる。なお、ここでいう新築住宅とは、新築戸建てだけでなく、新築マンション等の集合住宅も含まれるものと意味する。また、マンション等のRC住宅(鉄筋コンクリート住宅)は、構造的に高断熱住宅となるため、木造住宅のように、あえて断熱仕様を施さなくても、本発明の適用の範囲内となる。
また、バイタルサインの正規分布には、居住者の個体内変動が反映されるため、テーラーメイドな分析が可能となる。また、居住者のバイタルサインの分布に基づき、バイタル異常判定や、スコアリングに基づく判定ができ、居住者における健康状態の悪化を早期に発見することができる。さらに、居住者が、バイタル測定、運動、食事に関する記録を継続して行う行為に対して表彰を行い、居住者の健康に対する意識を高め、行動変容を促すものとなっている。
なお、情報処理機器とは、CPU等の演算部と、RAMやROM等の記憶部と、液晶画面等の表示画面や、キーボード等の入力部、インターネット等との通信を制御する通信部等を備えたものである。例えば、汎用のパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン等である。また、情報処理機器としては、例えば、各種のヘルスケア機器や、住宅に設置された一般的な家庭用のPC端末も対象となり、本発明を適用したソフトウェアがこれらに組み込まれて使用されるものでもよい。
本発明を適用したソフトウェアは、アプリケーションソフトウェアとしてタブレット端末3にダウンロードされて組み込まれており、居住者におけるバイタルサインの値の正規分布の変化を健康状態の指標として提示する機能を備えたタブレット端末を健康指標提供装置1とする。即ち、本発明を適用した健康指標提供装置の一例である健康指標提供装置1は、旧住宅における居住者のバイタルサインの正規分布と、新住宅における居住者のバイタルサインの正規分布を算出して、旧住宅と新住宅の間での分布の変化を表示する装置である。
なお、以下では、健康指標提供装置1の使用者、即ち、健康状態の指標を提供される人物を「居住者(又はユーザ)」と呼ぶものとする。また、ここでいう「旧住宅」とは、居住者が、新住宅に住み替える前に住んでいた住宅を指すものである。また、「新住宅」とは、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有し、断熱性に優れた新築の住宅であり、居住者が旧住宅から住み替えた住宅である。
また、健康指標提供装置1は、同一の居住者が、旧住宅(既築住宅、非高断熱住宅)に居住していた際、及び、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する新住宅(新築住宅、高断熱住宅)に居住している際の、それぞれのバイタルデータの正規分布を作成して、バイタルデータを比較することで、居住者の健康状態の変化が把握可能となる。この結果、血圧低下による高血圧予防や基礎体温の上昇、又は、脈拍の低下により、各疾患リスクを低下させることができる。なお、図32は本発明の内容の概略を示す図である。
また、正規分布する体温・血圧・脈拍の基準域(安定した変動幅)を作成し、そこから外れた異常値を検知し、酸素飽和度・呼吸数・意識レベルと共にEWS(早期警戒スコア)に配点し、スコアリングに基づく判定によりトリアージ(医療の優先度)を赤・黄・緑で示すことで、居住者の健康状態の悪化を早期発見できる。さらに、居住者の運動・食事に関する記録の効果を、体重やバイタル変化、継続行為の表彰により、居住者の健康に対する意識を高め、行動変容を促すことができる。なお、ここでは、体温・血圧・脈拍・酸素飽和度・呼吸数・意識レベルの6つのバイタル全てが必須となるものではなく、単一又は一部のバイタルのみを用いることもできる。
また、新住宅では、例えば、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を実現するための温室度制御手段が設けられている。この温湿度制御手段は、例えば、空調や、住宅が有する断熱性能により構築されるものである。
また、本発明では、居住者は、1人に限られるものではなく、複数になってもよい。即ち、健康指標提供装置1では、旧住宅から新住宅に住み替えた、複数の居住者を対象にして、これらを識別して、各居住者の健康状態の指標を提供することができる。
ここで、図14に示すように、健康指標提供装置1(タブレット端末3)は、演算部2を備えている。演算部2は、健康指標提供装置1の有する各情報処理機能を実行する処理部である。即ち、本発明を適用したソフトウェアでは、タブレット端末3の演算部2を情報入力手段23、情報記録手段24、データ算出手段25、表示制御手段26、表彰情報処理手段27、トリアージ処理手段28、基準算出手段5、スコアリング処理手段100、判定処理手段6等として機能させる。
この各手段の処理機能により、情報の送受信、情報の記録、複数のバイタルサインの値からの正規分布の算出、表示情報の作成、表示処理の実行、バイタル異常の判定、バイタル情報の内容に基づくスコアリング、スコア値情報に基づくトリアージ情報の処理・表示、表彰情報の処理・表示、注意コメント情報の処理・表示、各基準の設定等を行う。
なお、タブレット端末3は、インターネットを介して、外部のサーバ、端末等にアクセス可能であり、外部のサーバや端末等との間で情報の送受信を行うことも可能である。
タブレット端末3は、情報記録部4と、情報送受信部3cと、入力部3aと、表示画面3bを有している。
情報送受信部3cは、演算部2、情報記録部4、入力部3a及び表示画面3b等の間での情報の送受信を担う部分である。また。タブレット端末3と、外部端末との間で情報の送受信可能に構成されるものであってもよい。
ここで、以下、本発明を適用したソフトウェアが取り扱う各情報が、必ずしも、タブレット端末3の情報記録部4に記録される必要はない。例えば、タブレット端末3の情報送受信部3cを介して、外部サーバや外部端末に各種情報を送信して記録させ、判定等の際に、外部サーバ等から必要な情報を受信する態様であってもよい。
更に言えば、タブレット端末3に、健康指標提供装置1の主要な構成が全てダウンロードされる必要はない。例えば、タブレット端末3では、日々のバイタルサインの値、バイタルサインの正規分布曲線、トリアージ情報、注意コメント情報、表彰画像情報等の表示情報の表示のみを行い、各種情報の記録、算出や判定等の情報処理等は外部サーバ等で行う態様であってもよい。
本発明を適用したソフトウェアは、システム上の構成において、複数のバリエーションが存在しうる。以下、幾つかのバリエーションの事例を説明する。
(第1のシステム構成)
図14に示したタブレット端末3の概略構成は、本発明を適用したソフトウェアを端末に導入して、端末単体で、各情報の入力、記録、表示情報の作成・表示、各種基準の設定等が可能となっている。即ち、装置単体で本発明の機能を実行しうるものである。
図14に示す概略構成は、インターネット環境と接続されていない「スタンドアローン形式」の装置における、本発明を適用したソフトウェアの利用を示している。インターネット環境と接続されない情報処理機器、例えば、各種のヘルスケア機器等に本発明のソフトウェアを導入して、専用機器として利用することができる。なお、ここではタブレット端末3を情報処理機器の一例として挙げたため、インターネット環境との接続が可能となるが、図14に示す構成であれば、タブレット端末3の内部機能のみで、健康状態の指標となる情報の作成と表示を行うことができる。
(第2のシステム構成)
図15では、第2のシステム構成として、本発明を適用したソフトウェア1aの機能を外部サーバに持たせた構成も採用しうる。ここでは、ユーザ端末50aや、外部端末50bが、インターネット30aを介して、情報管理サーバ32aにアクセス可能となっている。情報管理サーバ32aは、例えば、クラウド形式で提供される外部サーバであり、情報管理サーバ32a上で本発明を適用したソフトウェア1aの機能が利用しうる。
情報管理サーバ2aは、情報記録部4a、情報送受信部3c、演算部2aを有している。また、演算部2aは、情報入力手段23a、情報記録手段24a、データ算出手段25a、表示制御手段26a、表彰情報処理手段27a、トリアージ処理手段28a、基準算出手段5a、スコアリング処理手段100a、判定処理手段6aを有している。
また、バイタル情報の入力は、ユーザ端末50aや、外部端末50bを介して行い、各端末から入力された情報が情報管理サーバ32aに送信され、情報管理サーバ32a側で情報の記録、正規分布の算出、表示情報の作成、表示処理の実行等がなされる。表示情報や、記録された情報は、ユーザ端末50aや、外部端末50bに送信され、各端末で確認することができる。このように、外部サーバ上にソフトウェア1aの機能を付与するシステム構成も採用しうる。
(第3のシステム構成)
図16では、第3のシステム構成として、本発明を適用したソフトウェア32bの機能以外に、複数のソフトウェア32c、32d等を有するモジュールAを備える管理端末70bの構成を示している。本発明を適用したソフトウェア32bは、これとは異なる各種機能を管理端末70bに実行させる他のソフトウェアと共に、1つのモジュールAを構成している。即ち、予め複数のソフトウェア32c、32d等が導入された管理端末70bのモジュールAに、ソフトウェア32bを組み込んで機能させることが可能である。例えば、電子カルテ等の医療システムの管理端末が備えるモジュールに本発明を適用したソフトウェアを組み込むこともできる。
このような第3のシステム構成では、管理端末70bにバイタル情報を入力して、正規分布の算出、表示情報の作成、表示処理の実行等を行い、表示情報を管理端末70b上で確認可能である。また、ユーザ端末60aや、外部端末60bと、管理端末70bを接続させて、ユーザ端末60aや、外部端末60bからバイタル情報を入力して管理端末70bに送信し、管理端末70bで正規分布の算出、表示情報の作成、表示処理の実行等を行い、表示情報をユーザ端末60aや、外部端末60bで受信して確認することもできる。このように、本発明を適用したソフトウェアは、複数のソフトウェアで構成されたモジュールの一部として機能させる構成も採用しうる。
以上のように、本発明を適用したソフトウェア(又は健康指標提供装置)のシステム上の構成は複数のバリエーションが存在する。なお、上記では、3つの例を中心に説明したが、本発明を適用したソフトウェア(又は健康指標提供装置)の構成はこれに限定されるものではない。例えば、情報記録部をユーザ端末に設けて、データ算出手段、表示制御手段、表彰情報処理手段、トリアージ処理手段、基準算出手段等は外部サーバに持たせて、必要な機能の所在を端末とサーバに分ける構成であってもよい。即ち、対象者のバイタル情報が記録され、旧住宅及び新住宅で測定したバイタル情報から正規分布が算出され、正規分布の変化を健康状態の指標として提示することが可能であれば、種々の構成が採用しうる。
タブレット端末3の使用態様を用いて、以下、詳細な構成の説明を続ける。
[2.情報記録部]
図17に示すように、情報記録部4には、各種情報が記録されている。詳細には、情報記録部4には、個人情報7、バイタル情報8、食事情報9、運動情報10、目標基準情報11、判定基準情報12、判定結果情報13、及び、表彰情報19が記録される。
また、個人情報7は、住宅の居住者ごとの氏名、性別、年齢、身長、体重、体脂肪等の情報を含む情報である。個人情報7は、例えば、健康指標提供装置1を用いる住宅に居住している居住者の人数分、居住者を氏名等で識別して、1人ずつの居住者に紐づいて記録される情報である。
例えば、1つの住宅に、夫婦2名で居住している場合には、居住者の名前に紐づいて、2名分の個人情報7が記録される。
また、バイタル情報8は、各種のバイタル計測器で測定されたバイタルサインの値、及び、居住者を観察して得られた意識レベルの評価結果から構成されたバイタル情報を、測定日時又は取得日時の情報と共に記録する部分である。
また、バイタル情報8は、1人ずつの居住者に紐づいて記録される情報である。また、バイタル情報8には、同じ居住者が、旧住宅に居住していた際に取得したバイタル情報と、新住宅に居住してから取得したバイタル情報の、2種類のバイタル情報が含まれている。
なお、本発明のユーザに対しては、旧住宅に居住していた期間中に、一定数のバイタル情報を取得することが求められ、同期間中に取得したバイタル情報が情報記録部4に記録され、利用されるものとなる。
また、ここでいう一定数のバイタル情報とは、少なくとも、4個分のバイタル情報が記録されていればよい。1日1回のバイタル測定であれば、4日分であり、例えば、1日2回のバイタル測定であれば、2日分のデータが必要となる。これらのデータ数があれば、旧住宅に居住していた際のバイタル情報8に基づく正規分布と、新住宅にて、一定期間で取得されたバイタル情報8に基づく正規分布を比較することができる。また、ここでの4個分のバイタル情報とは、同じ1日の異なる時刻で測定した4個分のバイタル情報も採用しうる。
また、食事情報9は、居住者の1日ごとの各食事の量を、複数の段階に分けて記録した情報である。例えば、ある1日における、朝食、昼食、夜食、及び、間食について、それぞれのタイミングの食事量を、多い順番から、◎、○、△、×のように、複数の段階で記録した情報である(図26参照)。
また、運動情報10は、居住者の1日ごとの運動の量を、複数の段階に分けて記録した情報である。例えば、ある1日における運動量を、多い順番から、◎、○、△、×のように、複数の段階で記録した情報である(図26参照)。
また、目標基準情報11は、バイタル情報8、食事情報9、及び、運動情報10のそれぞれの記録回数に応じて、表彰の対象となる回数を設定した情報である。例えば、3月における表彰の対象となる回数を、31回として設定した場合、この回数が基準の情報として記録される。
また、判定基準情報12は、各種の判定処理の基準となる情報である。本発明の健康指標提供装置1では、例えば、バイタル判定基準情報、スコアリング基準情報、及び、トリアージ判定基準情報が設定され、記録される。各種の判定処理の基準の詳細については後述する。
また、判定結果情報13は、各種の判定処理の基準に基づき判定処理がなされた結果の情報である。判定結果情報13には、バイタル判定結果情報、スコア結果情報、及び、トリアージ結果情報が含まれている。
例えば、バイタル判定結果情報は、バイタル判定基準情報に基づき、バイタル情報が正常、又は、異常のどの範囲に含まれるかの結果の情報である。
また、スコア結果情報は、スコアリング基準情報に基づき、バイタル情報をスコアリングした個々のスコア値情報、又は、スコア値の合計値の結果の情報である。
また、トリアージ結果情報は、トリアージ基準情報に基づき、スコア値の合計値を三段階の評価結果に分けた情報である。
また、表彰情報19は、目標基準情報11に基づき、居住者が、バイタル情報8、食事情報9、及び、運動情報10のそれぞれの記録回数に対して、表彰の対象となった回数を記録した情報である。
情報記録部4に記録された各種の情報はタブレット端末3が有する入力部3a、情報送受信部3c及び情報入力手段24(図示せず)を介して入力や情報の修正が可能となっている。また、情報記録部4に記録された各種の情報はタブレット端末3が有する表示画面3b及び情報送受信部3cを介して、その内容を確認可能となっている。
続いて、バイタル情報等の詳細を説明する。
バイタル情報8には、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、呼吸数、及び、血糖値の測定値が含まれている。また、バイタル情報8には、酸素飽和度の測定値が含まれている。更に、バイタル情報には、居住者を観察して得られた意識レベルの評価結果が含まれている。
また、バイタル情報8に含まれる測定日時又は取得日時とは、居住者がバイタル計測を行った日時や、意識レベルの確認を行った日時であり、例えば、対象となる居住者が自身でバイタル計測を行った際に確認した時間や、同居する居住者等が、対象者となる居住者を観察した時間を入力するものである。また、バイタル計測器が、対象者の身体に装着可能なウェアラブル型の計測装置である場合、連続的に取得されるバイタルサインの取得日時であってもよい。
ここで、必ずしも、バイタル情報8の種類が、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧及び呼吸数の測定値と、酸素飽和度の測定値と、血糖値と、意識レベルの評価結果に限定される必要はなく、その他のバイタルサイン(例えば、尿量等)を含むものであってもよい。
また、バイタル情報を計測するバイタル測定器は、特に限定されるものではなく、各バイタルサインが測定可能であれば充分である。例えば、家庭用のバイタル測定器を使用してバイタルが計測されるものでもよい。更に言えば、バイタル情報が取得可能であれば、バイタル測定器を使用することは必須ではない。例えば、時計で時間を測定しながら、1分間あたりの脈拍数や呼吸数を測定して、これをバイタル情報として利用することも可能である。但し、バイタル情報の個体内変動を正確に捉える観点からは、バイタル情報は同一の手法で取得されることが好ましい。日々の測定において、バイタル測定器の種類を頻繁に変更したり、バイタル計測機による測定と、バイタル計測機を用いない測定が混在したりすることで、バイタル情報の取得方法によるバイアスがかかってしまう。そのため、なるべく、同一の手法又は同一のバイタル測定器でバイタル情報を取得することが好ましい。
また、バイタル情報8は、幅広くは1秒ごとのバイタル情報8を記録可能に構成されている。また、バイタル情報8は、例えば、1分ごと、1時間ごと等、異なる時間間隔で記録するように設定することもできる。
また、バイタル情報8は、一定間隔ごとの測定ではなく、不規則な時間で測定した測定値を記録する構成も採用しうる。また、この不規則な測定の場合、例えば、1分間に複数のバイタル情報8を取得する、30分間に複数のバイタル情報8を取得する、1時間に複数のバイタル情報8を取得する、数時間に複数のバイタル情報8を取得する、1日に複数のバイタル情報8を取得する、数日中に複数のバイタル情報8を取得する、1週間に複数のバイタル情報8を取得する、数週間中に複数のバイタル情報8を取得する、1か月中に複数のバイタル情報8を取得する等、一定の期間で、複数のバイタル情報8を記録する構成としてもよい。
更に、バイタル情報8は、一定間隔、又は、不規則な間隔に関わらず、蓄積したバイタル情報の中から、複数のデータを抽出して、複数の測定データのバイタル情報8として記録することもできる。
このように、バイタル情報8は、時間の長さや測定間隔の規則性の有無に関わらず、複数の測定データを記録可能に構成されている。
また、バイタル情報8は、例えば、1日2回、朝と夕方の時間帯に測定したバイタル情報が記録可能に構成されている。
ここで、必ずしも、バイタル情報8は、1日2回、朝と夕方の時間帯に測定したバイタル情報が記録可能に構成される必要はなく、例えば、1日1回の測定でもよい。また、後述するが、基準算出部による判定基準の算出や、この判定基準の算出に利用するバイタル平均値、バイタル標準偏差の算出の処理において利用する一定のデータ数が記録されていれば、1日のバイタル情報の記録回数は限定されるものではない。また、バイタル情報が毎日記録される必要はなく、バイタル情報が記録されない日が存在してもよい。ここで、同一個体の個体内変動を適切に捉える観点から、幅広くは1秒ごとのバイタル情報を記録する態様がよく、1日に1回~24回のバイタル情報が記録されることが好ましい。更に、手動でのバイタル測定でも情報が記録しやすく、同一の日付においてのバイタルサインの値の変動が確認でき、別の日との比較がしやすい観点から、1日2回、朝と夕方の時間帯に測定したバイタル情報が記録可能とされることが更に好ましい。
また、情報記録部4には、上述したように、判定基準情報12の1つとして、入力されたバイタルサインの値を判定処理手段6で、その値が異常な値か否かを判定する際の基準となるバイタル判定基準情報が記録されている。なお、本発明では、バイタルサインの値が、異常な値か否かは、後述するバイタル情報平均値(μ)及びバイタル情報標準偏差(σ)に基づく、μ±○σの基準や、設定した絶対値で判定可能である。
バイタル判定基準情報は、タブレット端末3の入力部3a、情報送受信部3c及び演算部2の情報入力手段24を介して情報の追加や修正が可能となっている。
また、情報記録部4には、上述したように、判定結果情報13の1つとして、判定処理手段6がバイタルサインの値について、異常な値か否かと判定した判定結果の情報であるバイタル判定結果情報が記録されている。タブレット端末3の表示画面3bを介して、その内容を確認可能となっている。
また、情報記録部4では、バイタル情報8として、バイタル情報の測定及び取得に関して、再度の測定等を行った際のバイタル情報及び測定時の日付の情報である再測定バイタル情報が記録可能となっている。再測定バイタル情報とは、例えば、バイタル情報について、判定処理手段6が異常な値と判定した際に、バイタル情報の正確性を確認するために行った再度の計測のバイタル情報である。
本発明では、バイタル判定基準情報や、スコアリング基準情報を算出する際の根拠として、再測定バイタル情報を算出根拠に採用することも可能である。
また、各バイタル情報をタブレット端末3の表示画面3bに表示する際には、再測定をせずに記録された通常のバイタル情報と、再測定の対象となったバイタル情報と、再測定した後のバイタル情報について、3つのパターンのバイタル情報を示す文字の色を異ならせて表示することも可能である。
また、情報記録部4には、上述したように、判定基準情報12の1つとして、入力される各バイタル情報をスコアリング処理手段100でスコアリングする際の基準となるスコアリング基準情報が記録されている。また、情報記録部4には、スコアリング基準情報に基づき、バイタル情報をスコアリングした個々のスコア値情報、又は、スコア値の合計値の結果の情報であるスコア結果情報が記録されている。
また、上述したように、判定基準情報12の1つとして、情報記録部4には、入力されたバイタル情報の内容から得られたスコア値の合計値を、トリアージ処理手段28で、スコア値の合計値を三段階の評価結果に分ける際の基準となるトリアージ基準情報が記録されている。
後述するスコアリング基準情報、及び、トリアージ基準情報は、タブレット端末3の入力部3a、情報送受信部3c及び演算部2の情報入力手段23を介して情報の追加や修正が可能となっている。また、各スコアリング基準情報はタブレット端末3の表示画面3bを介して、その内容を確認可能となっている。なお、スコアリング基準情報の詳細な内容は後述する。
また、情報記録部4には、上述したように、判定結果情報13の1つとして、入力されたバイタル情報の内容から得られたスコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、トリアージ処理手段28が、三段階の評価結果に分けた結果の情報であるトリアージ結果情報が記録されている。タブレット端末3の表示画面3bを介して、その内容を確認可能となっている。
また、トリアージ結果情報は、三段階の評価結果につき、評価に応じた色分けで結果を示すことができる。例えば、スコア値の合計値で、3点以上は赤色、2点は黄色、1点以下は緑色、として色分けした表示が可能である。なお、トリアージ結果情報が表示される画面の詳細については後述する。
ここで、必ずしも、情報記録部4において、再測定バイタル情報が記録可能とされる必要はない。但し、再測定バイタル情報を用いて、バイタル測定が正確であったか否かを検証可能となる点、及び、測定の仕方が悪く、測定精度の悪いバイタルサインの値が判定基準の根拠に含まれにくくなり、判定の精度が高めやすくなる点から、情報記録部4において、再測定バイタル情報が記録可能とされることが好ましい。
[3.基準算出手段]
次に、基準算出手段5について説明する。基準算出手段5は、本発明を適用したソフトウェアが演算部2に実行させる機能の1つであり、情報記録部4に記録されるバイタル情報(入力されるバイタル情報)について、バイタルサインの値について、異常な値か否かを判定するためのバイタル判定基準情報となるバイタル判定用数値範囲の算出や、このバイタル判定基準情報となるバイタル判定用数値範囲の算出に利用するバイタル平均値、バイタル標準偏差の算出の処理を行う。健康指標提供装置1においては、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、及び呼吸数の測定値について、基準算出手段5によってバイタル判定基準情報となるバイタル判定用数値範囲が算出され、これがバイタルサインの値について、異常な値か否かを判定する際の基準となる。
また、基準算出手段5は、情報記録部4に記録されるバイタル情報(入力されるバイタル情報)についてスコア値情報を算出するためのスコアリング基準情報となる数値範囲の算出や、このスコアリング基準情報となる数値範囲の算出に利用するバイタル平均値、バイタル標準偏差の算出の処理を行う。健康指標提供装置1においては、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、及び呼吸数の測定値について、基準算出手段5によってスコアリング基準情報となる数値範囲が算出され、これがスコアリングの際の基準となる。
演算部2を基準算出手段5として機能させて算出又は記録された各種の情報は、タブレット端末3の入力部3a、情報送受信部3c及び演算部2の情報入力手段24を介して情報の追加や修正が可能となっている。また、演算部2を基準算出手段5として機能させて算出又は記録された各種の情報はタブレット端末3の表示画面3bを介して、その内容を確認可能となっている。
図17には本発明を適用したソフトウェアが演算部2に実行させる機能を記載している。演算部2は、基準算出手段5を構成する平均値算出手段14、標準偏差算出手段15、正規分布算出手段16、スコアリング基準設定手段101、バイタル判定基準設定手段101aとして機能する。
また、平均値算出手段14及び標準偏差算出手段15は、情報記録部4に記録されたバイタル情報8(体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧及び呼吸数の測定値)及びその再測定バイタル情報8aに基づき、所定の条件下の記録情報から、同条件下の「バイタル情報の平均値」と、同条件下のバイタル情報を統計した分布における「バイタル情報の標準偏差」を、それぞれ算出する。
なお、以下では、特別な算出を行う種類の平均値や標準偏差の名称を指す場合以外には、バイタル情報の平均値を「バイタル情報平均値」と呼び、また、バイタル情報の標準偏差を「バイタル情報標準偏差」と呼ぶものとする。なお、所定の条件については後述する。
また、必要に応じて、同一の居住者が、旧住宅に居住していた際に取得したバイタル情報に基づき算出したバイタル情報の平均値を「第1のバイタル情報平均値」と呼び、また、バイタル情報の標準偏差を「第1のバイタル情報標準偏差」と呼ぶものとする。さらに、同一の居住者が、新住宅に居住してからの、所定の期間に取得したバイタル情報に基づき算出したバイタル情報の平均値を「第2のバイタル情報平均値」と呼び、また、バイタル情報の標準偏差を「第2のバイタル情報標準偏差」と呼ぶものとする。
また、平均値算出手段14及び標準偏差算出手段15は、情報記録部4に記録されたバイタル情報8について、(1)入力された判定時点のバイタルサインの値が、バイタル判定基準情報に基づき、異常な値であると判定された際のバイタルサインの値も含めて、バイタル情報平均値及びバイタル情報標準偏差の算出を行うパターンと、(2)入力された判定時点のバイタルサインの値が、バイタル判定基準情報に基づき、異常な値であると判定された際のバイタルサインの値を除外して、バイタル情報平均値及びバイタル情報標準偏差の算出を行うパターンの両方を行うことが可能である。
また、平均値算出手段14及び標準偏差算出手段15は、情報記録部4に記録されたバイタル情報8について、(1)スコア値の合計値が、トリアージ基準情報に基づき、3点以上(赤色)、又は、2点(黄色)と判定された際の根拠となるバイタルサインの値も含めて、バイタル情報平均値及びバイタル情報標準偏差の算出を行うパターンと、(2)スコア値の合計値が、トリアージ基準情報に基づき、3点以上(赤色)、又は、2点(黄色)と判定された際の根拠となるバイタルサインの値を除外して、バイタル情報平均値及びバイタル情報標準偏差の算出を行うパターンの、2つのパターンを使い分けることが可能である。
ここで、正常と判定された根拠となるバイタルサインの値だけでなく、異常と判定された根拠となるバイタルサインの値も含めてバイタル平均値やバイタル標準偏差を算出することで、居住者の個体内変動を反映した平均値や標準偏差にすることができる。また、これらの平均値や標準偏差を用いることで、スコアリング基準情報や、バイタル判定基準情報の設定の際に、居住者の個体内変動を反映した基準を作成することができる。
また、服薬や点滴等医療介入が行われたバイタルサインの値も除外して、バイタル平均値やバイタル標準偏差を算出するパターンを有することで、例えば、特殊な状況下での、安定しないバイタル情報が、判定基準の算出根拠に含まれなくなり、判定の精度を高めることができる。ここでいう特殊な状況下での安定しないバイタル情報とは、例えば、居住者が通院した直後に測定されたバイタルサインの値を意味する。このような状況下で測定されたバイタルサインの値は、居住者のバイタルの個体内変動から見て、安定していない値となりやすいため、かかる値を、判定基準の算出根拠から除外する態様である。
また、平均値算出手段14及び標準偏差算出手段15は、情報記録部4に記録されたバイタル情報8について、所定の状態にある対象者から測定されたバイタルサインの値を除いて、バイタル情報平均値及びバイタル情報標準偏差の算出を行うパターンを設定することができる。これに伴い、バイタル判定基準情報、及び、スコアリング基準情報の算出根拠から、所定の状態にある対象者から測定されたバイタルサインの値が除外される。この所定の状態とは、対象者のバイタルが安定していない特殊な状態である。例えば、対象者が解熱剤を服用して、体温が安定していない(本来の変動傾向を示さない)状態で測定した体温の値を、判定基準の算出根拠から除外する。これにより、短期間でのバイタル異常の判定の精度を高めることができる。
平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15の算出の際に採用される「所定の条件」は、通常、判定時点を起点にn個分のバイタル情報(体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧及び呼吸数の測定値)を利用する方法が採用されている。この期間のバイタル情報とは、(1)判定時点(判定対象となる)の測定データを含めずに、過去のn個分のバイタル情報8及び再測定バイタル情報8aを用いるパターンと、(2)判定時点(判定対象となる)の測定データを含めて、過去のn個分のバイタル情報8及び再測定バイタル情報8aを用いるパターンの、2つのパターンを使い分けることが可能である。
ここで、n個分のバイタル情報として、(1)1日1回のバイタルサインの測定を行い、4日分以上のバイタル情報から、バイタル判定基準情報、及び、スコアリング基準情報を生成して、バイタル異常判定、及び、スコアリングに基づくトリアージ判定を行うことができる。また、n個分のバイタル情報として、(2)1日2回以上のバイタルサインの測定を行い、2日分以上のバイタル情報から、バイタル判定基準情報、及び、スコアリング基準情報を生成して、バイタル異常判定、及び、スコアリングに基づくトリアージ判定を行うこともできる。
また、n個分のバイタル情報は、バイタル情報を取得する日数を増やして、バイタル判定基準情報、及び、スコアリング基準情報を生成することができる。例えば、4日分以後、1日ずつデータ数を増やし、例えば、10日分、14日分、30日分等のように、バイタル情報を取得する日数を増やして、この日数分のバイタル情報に基づき、バイタル判定基準情報、及び、スコアリング基準情報を生成することができる。
また、n個分の設定は、上述したように、幅広くは1秒ごとに測定したバイタル情報のデータであり、この他にも、1分ごと、数分ごと、1時間ごと、1日ごと、1か月ごとに測定したバイタル情報のデータのように、時間の長さが異なるものが採用しうる。また、不規則に取得されたデータを、複数個分抽出するようにしてもよい。この際、単純に、取得された順番を遡るように複数個分抽出する方法でもよい。また、不規則に取得されたデータに対して、何等かの抽出条件を設定して複数個分抽出する方法でもよい。抽出条件は、例えば、所定の1時間の範囲内から複数個分抽出するとの条件や、バイタル情報同士の取得時間の間隔が、一定の条件を満たす(間隔が最低5分以上ある、又は、間隔が1時間以内である等)条件も考えられる。更に、一定間隔で規則的に測定したバイタル情報8に対して、ランダムに、複数個分抽出のバイタル情報8を選択して抽出する方法であってもよい。複数個分抽出の抽出条件は、必要に応じて、適宜設定可能である。
また、上述したように、バイタル情報8として、幅広くは1秒ごとのバイタル情報8を記録可能に構成されている。また、バイタル情報8は、例えば、1分ごと、1時間ごと等、異なる時間間隔で記録するように設定することもできる。更に、不規則に、1日に複数回測定したバイタル情報が記録可能に構成されている。演算部2が平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15として機能して、バイタル平均値、及び、バイタル標準偏差を算出する際には、適宜、設定した条件で、バイタル平均値、及び、バイタル標準偏差を算出することができる。
また、平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15は、入力された対象者のバイタル情報に基づく、バイタルサインの値の判定、又は、スコアの合計値の判定時点において、都度、その判定時点より前に記録されたバイタル情報8及び再測定バイタル情報8aを参照して、その判定時点のバイタル情報平均値、及び、バイタル情報標準偏差の算出を行う。これにより、判定処理手段6が利用する基準が、判定時点ごとに改められるものとなり、バイタルサインの値が異常な値であるか否かの判定、及び、スコアリングに基づくトリアージ判定に、居住者のバイタル情報の個体内変動を反映しやすいものとなる。
また、バイタル情報8を利用する個数が更に多い数、例えば、10個、14個、30個、又は、90個以上等、より多くの数のバイタル情報8を利用する構成であってもよい。バイタル情報8の数を増やすことで、バイタル情報8の正規性が得られやすくなる。また、対象者の個体内変動を捉えるための最低の個数として、14個分以上のデータ数となることが好ましい。
また、本発明では、旧住宅におけるバイタル情報8に基づく正規分布と、新住宅におけるバイタル情報8に基づく正規分布について、それぞれを作成し、表示する際に、根拠となるバイタル情報8の数が異なるものであってよい。例えば、旧住宅におけるバイタル情報8が14個分のデータから作成され、かつ、新住宅におけるバイタル情報8が30個分(約1か月)のデータから作成され、2つの正規分布が比較される態様が採用しうる。
また、平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15の算出の際に採用される「所定の条件」は、必ずしも連続した日付(個数)で計測されたバイタル情報である必要はない。例えば、対象者がバイタル測定を行っていない日(タイミング)があり、バイタル情報の記録がない日(タイミング)が存在するケースでは、所定の条件の日数(個数)が「合計で14個分」となるものであってもよい。
例えば、図18の符号A(黒丸の図形)で示すように、毎日継続して、1日に午前と午後の2回バイタル情報を記録して、全ての情報を平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15の算出に利用している。
ここで、本発明では、設定した個数分のバイタル情報のデータ数が揃うのであれば、必ずしも、毎秒、毎分、毎時、毎日等、連続的に取得されたバイタル情報である必要はない。図18の符号B(バツの図形)や、符号C(白抜き三角)で示すバイタル情報のように、バイタル情報を取得した日(タイミング)が非連続的であり、数日(数回)に1回取得される態様であってもよい。更には、連続的なバイタル情報の記録が存在した状態で、設定した条件に基づいて部分的に抽出する態様であってもよい。設定した条件とは、例えば、毎週月曜日のバイタル情報のみ抽出する、午前中に取得したバイタル情報のみ抽出する、指定した日付のみ抽出するといったような内容である。
また、正規分布算出手段16は、所定の条件におけるバイタル情報の平均値及び標準偏差から正規分布を算出する部分である。対象者の各判定時点における正規分布を算出可能であり、算出した正規分布は、その確立密度関数をグラフ化した正規分布曲線が作成され、この正規分布曲線がタブレット端末3の表示画面3bに表示される構成となっている。
また、バイタル判定基準設定手段101aは、平均値算出手段14、標準偏差算出手段15と連動して、各算出部から算出されたバイタル平均値、バイタル標準偏差に基づき、判定処理手段6がバイタルサインの値の判定に用いるバイタル判定基準情報を作成する。作成されたバイタル判定基準情報は情報記録部4に記録される。
より詳細には、バイタル判定基準設定手段101aは、平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15と連動して、対象者から測定された体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧及び呼吸数の測定値に対して、各算出手段から算出されたバイタル平均値及びバイタル標準偏差に基づき、バイタルサインの値の判定に用いるバイタル判定基準情報1を作成する。
また、スコアリング基準設定手段101は、平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15と連動して、各算出部から算出されたバイタル平均値、バイタル標準偏差及び最頻値に基づき、スコアリング処理手段100がスコアリングに用いるスコアリング基準情報を作成する。作成されたスコアリング基準情報は情報記録部4に記録される。
より詳細には、スコアリング基準設定手段101は、平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15と連動して、対象者から測定された体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、及び呼吸数の測定値に対して、各算出手段から算出されたバイタル平均値及びバイタル標準偏差に基づき、スコアリングに用いるスコアリング基準情報を作成する。
また、スコアリング基準情報には、各算出手段の算出結果だけでなく、酸素飽和度の測定値に対してスコアリングする際に用いる、予め設定しておく一定の数値範囲の情報や、意識レベルの程度を区別可能な所定の観察状態の内容の情報も含まれている。
より詳細には、居住者から測定された酸素飽和度の測定値に対しては、タブレット端末3の入力部3aから所定の数値範囲を入力しておき、スコアリング基準情報として設定することができる。設定されたスコアリング基準情報は情報記録部4に記録される。
また、居住者から取得された意識レベルの評価結果に対しては、意識レベルの程度を区別可能な所定の観察状態の内容を入力しておき、スコアリング基準情報として設定することができる。設定されたスコアリング基準情報は情報記録部4に記録される。なお、バイタル平均値、バイタル標準偏差、最頻値及びスコアリング基準情報の算出の詳細や、複数の項目から構成されるスコアリング基準情報の設定については、後述する。
[4.スコアリング処理手段]
スコアリング処理手段100について説明する。スコアリング処理手段100は、本発明を適用したソフトウェアが演算部2に実行させる機能の1つであり、タブレット端末3の入力部3aを介して入力された判定時点のバイタル情報について、平均値算出手段14、及び、標準偏差算出手段15の処理情報や、予め設定した基準を含むスコアリング基準情報に基づき、バイタル情報の内容に応じたスコア値(点数の情報)、及び、スコアの合計値を算出する処理を行う。
スコアリング処理手段100にて算出されたスコア値(点数の情報)、及び、スコアの合計値であるスコア結果情報は、上述したように、情報記録部4に記録される。その際、スコア結果情報は、個体を識別可能な識別情報や、スコア値の算出基準となった情報に紐付けられて記録される。スコアリング処理手段100は、情報記録部4及び基準算出手段5と連動して、スコア結果情報を出す構成となっている。
また、スコア結果情報は、タブレット端末3の表示画面3bを介して、その内容を確認可能となっている。スコア結果情報の内容は、個別の数値や、同一個体の判定時点における複数のスコア値の合計点として表示することができる。
[5.判定処理手段及びトリアージ処理手段]
判定処理手段6及びトリアージ処理手段28について説明する。また、判定処理手段6は、本発明を適用したソフトウェアが演算部2に実行させる機能の1つであり、入力された判定時点のバイタルサインの値についてバイタル判定基準情報102aに基づき、バイタルサインの値が異常な値であるか否かについて判定の処理を行う。また、この判定の処理の結果は、後述する「注意コメント」の作成に利用されるものとなる。
また、トリアージ処理手段28は、タブレット端末3の入力部3aを介して入力された判定時点のバイタル情報がスコアリング処理手段100によってスコアリングされたスコア値の合計値について、設定したトリアージ基準情報に基づき、三段階の評価結果(トリアージ結果情報)に分ける処理を行う。
また、トリアージ処理手段28は、トリアージ結果情報について、三段階の評価結果につき、評価に応じた色分けで結果を示す処理を行う。
判定処理手段6にて判定された判定結果であるバイタル判定結果情報と、トリアージ処理手段28にて処理されたトリアージ結果情報は、上述したように、情報記録部4に記録される。また、バイタル判定結果情報及びトリアージ結果情報はタブレット端末3の表示画面3bを介して、その内容を確認可能となっている。
[6.バイタルの再測定]
バイタル情報が異常な値であると判定された際に、タブレット端末3の表示画面3bに「再度の測定を行いますか?」という内容のメッセージを表示して、バイタル計測の再測定を促すことができる。また、併せて、例えば、情報記録部4に記録された姿勢情報を表示して、「バイタル計測が正しい姿勢で行いましたか?」という内容のメッセージを表示する。更に、「バイタル測定は一定の計測時刻で測定しましたか?」という内容のメッセージを表示することもできる。
このように、バイタル情報を入力した対象者に、注意喚起を促し、対象者自身がバイタル情報の再測定を行う旨の回答を、タブレット端末3の入力部3aを介して行うことで、バイタル情報を再度測定して、その結果の情報を情報記録部4に記録することができる。これが、再計測バイタル情報13となる。
[7.画面表示情報の生成]
本発明では、演算部2は、データ算出手段25、表示制御手段26、及び、表彰情報処理手段27として機能する。データ算出手段25、表示制御手段26、及び、表彰情報処理手段27は、情報記録手段24、トリアージ処理手段28、基準算出手段5、スコアリング処理手段100、判定処理手段6等と連動して、居住者が表示画面3bを介して確認する各種の画面情報の生成を行う。
以下、本発明のソフトウェアの機能を介して生成される画面情報の一例を説明する。
本発明における健康指標提供装置1で提供される画面情報には、メイン画面200、バイタル入力画面201、バイタル表示画面202、バイタル表示画面203、ヘルスレポート画面204(体温)、ヘルスレポート画面205(血圧)、環境レポート画面206、食事・運動入力画面207、表彰経過画面208が含まれている(図19~図27参照)。
ここで、メイン画面200は、タブレット端末3で、健康指標提供装置1を起動した際に、表示画面3bに表示されるメインの画面表示である(図19参照)。
また、バイタル入力画面201は、新住宅での、ある日付における、その日のバイタル情報8を入力し、記録するための画面表示である(図20参照)。また、バイタル入力画面201は、ある日付から過去1週間のバイタル情報8の変化を、バイタルサインの種類ごとにグラフ化して表示するための画面表示である。
また、バイタル表示画面202は、新住宅での、居住者ごとの一定期間(週、月、年)ごとのバイタル情報8の変化を、バイタルサインの種類ごとにグラフ化(熱型表)して表示するための画面表示である(図21参照)。また、バイタル表示画面202は、各日付における、バイタル情報8に基づくスコアリングの結果であるスコア値の合計値を表示する画面表示である。
また、バイタル表示画面203は、新住宅での、居住者ごとの一定期間(週、月、年)ごとのバイタル情報8の値と、スコア値の合計値を一覧表にして表示する画面表示である(図22参照)。
また、ヘルスレポート画面204は、新住宅での、1か月単位での、体温の変動に関する注意コメント、旧住宅におけるバイタル情報8(体温)との比較コメント、体温の変動のグラフ、及び、体温の正規分布の比較図を表示する画面情報である(図23参照)。
また、ヘルスレポート画面205は、新住宅での、1か月単位での、血圧の変動に関する注意コメント、旧住宅におけるバイタル情報8(血圧)との比較コメント、血圧の変動のグラフ、及び、血圧の正規分布の比較図を表示する画面情報である(図24参照)。
なお、図示しないが、本発明では、ヘルスレポート画面204及び205と同様に、脈拍のバイタルサインの値についても、1か月単位での、脈拍の変動に関する注意コメント、旧住宅におけるバイタル情報8(脈拍)との比較コメント、脈拍の変動のグラフ、及び、脈拍の正規分布の比較図を表示する画面情報(ヘルスレポート画面)を生成することができる。
また、環境レポート画面206は、新住宅での、1か月単位での、各部屋及び外部環境の気温の変動のグラフ、各部屋及び外部環境の湿度の変動のグラフ、及び、温度及び湿度に関する注意コメントを表示する画面情報である(図25参照)。
また、食事・運動入力画面207は、新住宅での、ある日付における、その日の食事に関する情報、運動に関する情報、体重、及び、体脂肪を入力し、記録するための画面表示である(図26参照)。また、食事・運動入力画面207は、ある日付から過去1週間の体重及び体脂肪の変化をグラフ化して表示するための画面表示である。
また、表彰経過画面208は、居住者が一定期間において設定した目標基準情報11(表彰される目標)に達するまでの、バイタル情報8、食事の情報、及び、運動の情報の記録の回数と、その途中経過の情報を表示するための画面表示である(図27(a)参照)。また、表彰経過画面208は、居住者のこれまでの表彰実績を示す表彰画像を表示するための画面表示である。
また、図27(b)は、表彰経過画面208における表彰画像を選択することでページが遷移して、居住者のこれまでの表彰実績の詳細な内容を示す画面表示である。
また、メイン画面200をはじめ、各画面の下部には、他の画面に切り替えるための画面切替アイコン領域300が設けられている(図19~23、図25及び図26参照)。なお、図面によっては、画面切替アイコン領域300を省略して表示している。
続いて、各画面での表示される各種情報の詳細について説明する。ここでは、本発明を適用した健康指標提供装置1の各種機能に基づき、居住者(ユーザ)の健康管理に寄与する情報を確認することができる。
[メイン画面]
図19に示すように、メイン画面200には、ユーザ表示領域2001、居室領域2002、理想温度領域2003、外部環境領域2004、日付領域2005が設けられている。また、メイン画面200の下部には、画面切替アイコン領域300が設けられている
また、ユーザ表示領域2001には、新住宅に居住するユーザごとに、ユーザを模した画像アイコンが表示される。
また、ユーザ表示領域2001の各居住者における画像アイコンの背景色として、トリアージ処理手段28が、スコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、三段階で評価した評価結果に応じた色分けの色(緑色、黄色、赤色)が表示される。これにより、その日の居住者の健康を、スコアリングの結果に基づき、視覚的に認識することが可能となる。
また、ユーザ表示領域2001には、居住者のこれまでの表彰実績を示す表彰画像が表示される。ここでは、表彰画像として、バイタル情報、食事又は運動に関するトロフィーと、表彰の回数の数字が表示される。例えば、図19であれば、各ユーザが、バイタル情報8の記録に関して、これまでに2回の表彰を受けたことが表彰画像で確認できる。
また、ユーザ表示領域2001には、ユーザの個人情報7として、服薬を行う記録がなされている場合に、朝、昼、夜の3回分の服薬情報を表示及び記録可能となっている。居住者は、服薬情報のアイコンをチェックして、服薬の状況を把握することができる。
また、居室領域2002には、新住宅の中の各居室の気温及び湿度の情報が表示可能に構成されている。なお、各居室及び外部環境における気温及び温度は、温度及び湿度測定手段により、定期的にモニタリングされている。
また、居室領域2002は、モニタリングの対象となる空間ごとに設けられ、部屋の種類(名称)と、各部屋の気温及び温度が表示される。また、居室領域2002には、理想温度領域2003に表示された気温と、各部屋の温度との差が表示可能に構成されている。例えば、理想温度領域2003で、理想の室温が20℃に設定されており、リビングの気温17℃と共に、理想の室温との温度差「-3℃」が表示される。
これにより、居住者は、新住宅の各居室における室内環境が、快適な気温になっているか否かを容易に確認することができる。また、本発明では、理想の室温との差が一定以上の数値、例えば、極端に、室温が低くなった際等に、居室領域2002の背景の色を変えて表示することができる。これにより、居住者は、室温環境が注意する状況にあることを容易に把握することができる。また、居室領域2002では、熱中症対策として、各室内のWBGT(暑さ指数:Wet Bulb Globe Temperature)が悪くなった場合、アラート赤点滅する。これと体温の基準域(基準域から外れて戻らない)を参考に、熱中症予防を行うことができる。
また、理想温度領域2003は、室内環境において、快適な気温及び湿度の値の目安となる情報を表示する領域である。ここでは、快適温度・湿度として、室温20℃、湿度50%を表示している。理想温度領域2003に表示する気温及び湿度の温度は、適宜設定を変更することができる。
また、外部環境領域2004は、新住宅の外部環境、即ち、住宅の外(外気)における気温及び湿度を表示する領域である。また、日付領域2005は、現在の日時の情報を表示する領域である。
また、他の画面において、画面切替アイコン領域300の「ホーム」のアイコンを選択することで、メイン画面200へとページを遷移することができる。
[バイタル入力画面]
図20に示すように、バイタル入力画面201には、ユーザ選択領域2011、バイタル入力領域2012、登録ボタン2013、バイタル変化表示領域2014、日付領域2015が設けられている。また、メイン画面200の下部には、画面切替アイコン領域300が設けられている
また、ユーザ表示選択2011は、バイタルを入力、又は、表示する対象となる居住者を選択する表示領域であり、ユーザを模した画像アイコンが表示される。居住者は、画像アイコンを選択して、対象の居住者のバイタル情報8を入力することができる。
また、ユーザ表示選択2011の各居住者における画像アイコンの背景色は、メイン画面200のユーザ表示領域2001と同様に、トリアージ処理手段28が、スコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、三段階で評価した評価結果に応じた色分けの色(緑色、黄色、赤色)が表示可能に構成されている。
このように、居住者の画像アイコンの背景色が、バイタル情報8に基づきスコアリングされたスコア値の合計値を、三段階で評価した評価結果に応じた色で表示されるため、居住者は、自身の健康状態を、背景色の色の違いで、直観的に認識することができる。
また、バイタル入力領域2012は、体温、脈拍、血圧(上下)、SpO2、意識レベル、呼吸数、血糖値を入力する領域である。居住者は、対象の領域を選択して、バイタルサインの値、又は、意識レベルを入力することができる。意識レベルは、正常、又は、異常を選択して入力できる。
また、バイタル入力領域2012で入力したバイタルサインの値は、登録ボタン2013をクリックすることで、入力時の日時情報と共に、情報記録部4に記録することができる。
ここで、バイタル入力領域2012における情報の入力は、居住者が、バイタル測定機器等で、自身のバイタルサインの値を測定して、その測定結果を入力する態様が主たる入力方法となる。但し、居住者自身の手作業の入力だけでなく、居住者がウェアラブル端末を装着して、ウェアラブル端末から、タブレット端末3に、測定情報が送信され、バイタル情報8が記録される態様も採用しうる。
また、居住者によるバイタル入力領域2012における情報の入力は、同じ1日の間に、複数回、バイタル情報8を入力することも可能である。例えば、午前中に1回、午後に1回と、1日に2回、バイタル情報8を入力して、それぞれの情報を入力日時の情報と共に、情報記録部に記録することができる。
また、バイタル変化表示領域2012は、体温、脈拍、血圧(上下)、SpO2、呼吸数、血糖値の種類ごとに、その日(日付領域2015の日付)を基準に、過去1週間分のバイタルサインの値の変化を、グラフ化して表示する領域である。
また、バイタル変化表示領域2012では、1週間の各日付におけるバイタルサインの値及びグラフと共に、当該1週間の期間中のバイタル情報の平均値とそのグラフが表示可能に構成されている。また、当該1週間の期間中のバイタル情報の平均値と、バイタル標準偏差に基づいて算出された基準域(μ±2σ)の範囲も、一緒に表示される。
このように、バイタル変化表示領域2012において、該1週間の期間中のバイタル情報の平均値とそのグラフや、基準域が表示されることで、居住者は自身の個体内変動を反映した、バイタルサインの動きを把握することができる。なお、基準域の算出の詳細については後述する。
また、日付領域2015は、現在の日付けの情報を表示する領域である。また、他の画面において、画面切替アイコン領域300の「バイタル入力」のアイコンを選択することで、バイタル入力画面201へとページを遷移することができる。
[バイタル表示画面]
図21に示すように、バイタル表示画面202には、ユーザ選択領域2021、表グラフ選択領域2022、期間選択領域2023、バイタル変化表示領域2024、スコア表示領域2025、期間選択タブ2026が設けられている。また、バイタル表示画面202の下部には、画面切替アイコン領域300が設けられている
また、ユーザ選択領域2021は、バイタルを表示する対象となる居住者を選択する表示領域であり、ユーザを模した画像アイコンが表示される。居住者は、画像アイコンを選択して、対象の居住者のバイタル情報8を表示することができる。
また、ユーザ選択領域2021の各居住者における画像アイコンの背景色は、メイン画面200のユーザ表示領域2001と同様に、トリアージ処理手段28が、スコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、三段階で評価した評価結果に応じた色分けの色(緑色、黄色、赤色)が表示可能に構成されている。
また、表グラフ選択領域2022は、バイタル表示画面202、又は、バイタル表示画面203の表示態様を選択する表示領域である。グラフのタブを選択すると、バイタル表示画面202が表示され、表のタブを選択すると、バイタル表示画面203が表示される。
また、期間選択領域2023は、バイタル表示画面202で表示するバイタルの測定期間の長さと対象範囲を選択する表示領域である。図示しない数値選択タブ、又は、カレンダー表示から、選択した期間と範囲に応じて、バイタル変化表示領域2024、スコア表示領域2025、及び、期間表示領域2026の内容が表示される。
また、表示範囲の選択は、期間選択タブ2026を介しても行うことができる。期間選択タブ2026は、週(1週間)、月(1か月)、又は、年(1年間)タブが設けられ、その日(使用時)の日付を基準に、過去1週間、過去1か月、又は、過去1年間の範囲で、バイタル表示画面202で表示するバイタルの測定期間の長さと対象範囲を選択することができる。
また、バイタル変化表示領域2024は、体温、脈拍、血圧(上下)、SpO2の種類ごとに、期間選択領域2023で選択した期間と範囲に対応する、過去のバイタルサインの値の変化を、グラフ化(熱型表)して表示する領域である。
また、バイタル変化表示領域2024では、一定期間の各日付におけるバイタルサインの値及びグラフと共に、当該期間中のバイタル情報の平均値とそのグラフが表示可能に構成されている。また、当該期間中のバイタル情報の平均値と、バイタル標準偏差に基づいて算出された基準域(μ±2σ)の範囲も、一緒に表示される。
また、スコア表示領域2025は、一定期間の各日付における、バイタル情報8に基づくスコアリングの結果である「スコア値の合計値」を表示する領域である。また、スコア値の合計値の数字の背景色は、メイン画面200のユーザ表示領域2001と同様に、トリアージ処理手段28が、スコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、三段階で評価した評価結果に応じた色分けの色(緑色、黄色、赤色)が表示可能に構成されている。
また、他の画面において、画面切替アイコン領域300の「一覧」のアイコンを選択することで、バイタル表示画面202へとページを遷移することができる。また、上述したように、表グラフ選択領域2022を選択することで、バイタル表示画面202と、バイタル表示画面203を切替可能に構成されている。
図22に示すように、バイタル表示画面203には、ユーザ選択領域2021、表グラフ選択領域2022、期間選択領域2023、バイタル一覧表領域2031が設けられている。また、バイタル表示画面203の下部には、画面切替アイコン領域300が設けられている
ここで、ユーザ選択領域2021、表グラフ選択領域2022、期間選択領域2023は、バイタル表示画面202と同じ構成である。
また、バイタル一覧表領域2031は、期間選択領域2023で選択した期間と範囲に対応する各日付の情報と共に、その日付のスコア値の合計値と、体温、脈拍、血圧(上下)、SpO2、意識レベル、呼吸数及び血糖値の種類ごとのバイタル情報8が、一覧表として表示する領域である。
また、スコア値の合計値の数字の背景色は、メイン画面200のユーザ表示領域2001と同様に、トリアージ処理手段28が、スコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、三段階で評価した評価結果に応じた色分けの色(緑色、黄色、赤色)が表示可能に構成されている。
[ヘルスレポート画面]
図23に示すように、ヘルスレポート画面204には、ユーザ選択領域2041、体温血圧選択領域2042、期間選択領域2043、注意コメント表示領域2044、体温変化グラフ表示領域2045、体温分布図表示領域2046が設けられている。また、ヘルスレポート画面204の下部には、画面切替アイコン領域300が設けられている
また、ヘルスレポート画面204は、新住宅での、1か月単位での、体温の変動に関する情報を容易に確認できる画面表示である。ここでは、例えば、2021年3月(3月1日~3月31日)の1か月間の期間中に測定された、居住者の体温に関する情報が表示される。
また、ユーザ選択領域2041は、体温に関する情報を表示する対象となる居住者を選択する表示領域であり、ユーザを模した画像アイコンが表示される。居住者は、画像アイコンを選択して、対象の居住者の体温の情報を表示することができる。
また、ユーザ選択領域2041の各居住者における画像アイコンの背景色は、メイン画面200のユーザ表示領域2001と同様に、トリアージ処理手段28が、スコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、三段階で評価した評価結果に応じた色分けの色(緑色、黄色、赤色)が表示可能に構成されている。
また、体温血圧選択領域2042は、体温に関する情報、又は、血圧に関する情報の表示態様を選択する表示領域である。体温のタブを選択すると、ヘルスレポート画面204が表示され、血圧のタブを選択すると、ヘルスレポート画面205が表示される。
また、期間選択領域2043は、ヘルスレポート画面204で表示する対象となる年月(1カ月)を選択する表示領域である。図示しない数値選択タブ、又は、カレンダー表示から、選択した内容に応じて、注意コメント表示領域2044、体温変化グラフ表示領域2045、体温分布図表示領域2046の内容が表示される。
また、注意コメント表示領域2044は、対象となる1か月間の期間中に見られた、居住者の体温の変化が、「一定の条件」を満たした場合に、体温に関する注意コメントの情報が表示される表示領域である。ここで、注意コメントの一例を、以下の表2に示す。
[表2]
Figure 0007274789000003
ここで、表2の各種コメントの表示の根拠となる「一定の条件」において、以下補足する。こで、「3σ」の表記は、対象となる1か月間の体温の値、例えば31日分の体温の測定値について、第2のバイタル情報平均値(μ)と、第2のバイタル情報標準偏差(σ)を算出した場合の「μ+3σ」を超える体温の測定値が観察されたことを意味する。「μ+3σ」は、居住者の体温の個体内変動から見ても、高熱に該当する可能性が高い。
そこで、対象の1カ月の間に、1日でも「μ+3σ」が観察されたことを条件として、高熱の体調の異常があった可能性を、注意コメントとして、注意コメント表示領域2044に掲載して表示する。なお、同様に、「2σ~3σ」とは、「μ+2σ~μ3σ」の範囲内の数値である。また、「-3σ」とは、「μ-3σ」未満の数値であり、「-2σ~-3σ」とは、「μ-2σ~μ-3σ」の範囲内の数値を意味する。
また、表2の右欄にある「出典」の項目では、コメント内容の根拠となった参考情報の出典の情報が表示される。
このように、注意コメント表示領域2044では、対象となる1か月間の期間中に見られた、居住者の体温の変化であり、その人の個体内変動を反映したバイタル情報に基づき、体温の異常と思われる範囲を、第2のバイタル情報平均値(μ)と、第2のバイタル情報標準偏差(σ)から算出した基準で検知し、内容に応じて、注意コメントを表示する部分である。居住者は1カ月単位で、自身の体温の異常の有無を細かく認識することが可能となる。
また、注意コメント表示領域2044では、居住者が、旧住宅に居住していた際のバイタル情報8を情報記録部4に記録しておくことで、旧住宅のバイタル情報8と比較した場合の対比コメントを表示可能に構成されている。
この対比コメントは、例えば、次のようなコメント内容である。「旧住宅(前年)に比べて、体温は○℃上昇(又は下降)、血圧は〇mmHg低下(又は上昇)しています。温熱環境の影響により数値に変化がでています。引き続き様子を見ていきましょう。」
このように、ヘルスレポート画面204では、注意コメント表示領域2044で、体温に関する注意コメントや、旧住宅との対比コメントを表示して、居住者に、自身の体温(又は血圧)の変化を意識させ、健康への意識を高める構成となっている。
また、体温変化グラフ表示領域2045は、選択した居住者における、対象となる1か月間の体温の変化を、グラフ化(熱型表)して表示する領域である。また、体温変化グラフ表示領域2045では、対象の1カ月間における体温の値及びグラフと共に、当該期間中の体温の平均値(第2のバイタル情報平均値:μ)とそのグラフが表示可能に構成されている。また、当該期間中の体温の平均値と、バイタル標準偏差(第2のバイタル情報標準偏差:μ)に基づいて算出された基準域(μ±2σ)の範囲も、一緒に表示される。
また、体温分布図表示領域2046は、選択した居住者における、対象となる1か月間の体温の正規分布(新住宅正規分布2047)と、同じ居住者が、旧住宅に居住していた際に測定した、一定期間における体温の正規分布(旧住宅正規分布2048)を同一のグラフ上で表示する領域である。なお、図23及び図28(a)では、便宜的に、新住宅正規分布2047には「新築」の表記を、旧住宅正規分布2048には「既築」の表記を付している。また、図28(a)は、図23の体温分布図表示領域2046を拡大した図である。
ここで、新住宅正規分布2047は、新住宅において、対象となる1か月間に測定された30日分(又は31日分)の体温の測定値が情報記録部4に記録され、正規分布算出手段16が算出して表示される。
また、旧住宅正規分布2048は、旧住宅において、一定の期間中に測定された体温の測定値が情報記録部4に記録され、正規分布算出手段16が算出して表示される。
この体温分布図表示領域2046では、新住宅における対象となる1か月の体温の正規分布と、旧住宅における体温の正規分布を同一のグラフ中で比較することで、居住者が、自分の健康状態(又はその変化)を把握しやすくなる。即ち、正規分布の変化を、健康状態の指標にできる。
上述したように、温度及び湿度が調整された良好な温湿度環境にある新住宅では、外気の影響を受けて、温度及び湿度が変化しやすい旧住宅と比べて、居住者の体温の正規分布及び基準域の上昇が観察されていた。そこで、体温分布図表示領域2046において、新住宅正規分布2047が、旧住宅正規分布2048に比べて、上昇傾向が見られれば、その居住者は、健康状態が良好であると推察することが可能となる。
例えば、図23及び図28(a)に示すように、新住宅正規分布2047が、旧住宅正規分布2048に比べて、体温の平均値は上昇しており、正規分布の両端の値も上昇しているため、対象と居住者は、健康状態が良好であると推察することができる。
このように、本発明では、体温分布図表示領域2046の正規分布の表示をもって、居住者の健康状態(又はその変化)を、容易かつ直観的に把握することができる。
ここで、必ずしも、新住宅正規分布2047は、新住宅において、対象となる1か月間に測定された30日分(又は31日分)の体温の測定値から作成される必要はなく、最低、4日分(又は4個分)の体温の測定値から作成されれば充分である。体温の値が4日分(又は4個分)あれば、旧住宅の体温と比較しうる正規分布を作成可能となる。
また、同様に、旧住宅正規分布2048も、最低、4日分(又は4個分)の体温の測定値から作成されれば充分である。
さらに、新住宅正規分布2047の作成の根拠となる体温の測定値の数と、旧住宅正規分布2048の作成の根拠となる体温の測定値の数とが、同一の数である必要はない。例えば、新住宅正規分布2047が30日分の体温の測定値で作成され、旧住宅正規分布2048が4日分の体温の測定値で作成されていてもよい。
また、ヘルスレポート画面204と、後述するヘルスレポート画面205は、画面切替アイコン領域300の「ヘルスレポート」のアイコンを選択することで、他のページから遷移することができる。
また、ヘルスレポート画面204及びヘルスレポート画面205は、毎月の初めに、メイン画面200にポップアップされ、前月分のヘルスレポート画面204及びヘルスレポート画面205が更新されたことを、居住者に通知するように構成されている。このように構成することで、居住者が自ら、画面切替アイコン領域300の「ヘルスレポート」のアイコンを選択せずとも、直近1か月における体温、又は、血圧における健康状態を容易に把握可能となる。
図24に示すように、ヘルスレポート画面205には、ユーザ選択領域2041、体温血圧選択領域2042、期間選択領域2043、注意コメント表示領域2051、血圧変化グラフ表示領域2052、血圧分布図表示領域2053、血圧切替タブ2054が設けられている。また、ヘルスレポート画面205の下部には、画面切替アイコン領域300が設けられている
また、ヘルスレポート画面205は、新住宅での、1か月単位での、血圧(上下)の変動に関する情報を容易に確認できる画面表示である。ここでは、例えば、2021年3月(3月1日~3月31日)の1か月間の期間中に測定された、居住者の血圧に関する情報が表示される。
また、ユーザ選択領域2041、体温血圧選択領域2042、期間選択領域2043は、ヘルスレポート画面204と同様である。
また、注意コメント表示領域2051は、対象となる1か月間の期間中に見られた、居住者の血圧の変化が、「一定の条件」を満たした場合に、血圧に関する注意コメントの情報が表示される表示領域である。ここで、注意コメントの一例を、以下の表3に示す。
[表3]
Figure 0007274789000004
ここで、表3の各種コメントの表示の根拠となる「一定の条件」において、「σ」に関する表記は、上述した表2の内容と同様である。また、表3の右欄にある「出典」の項目についても上述した表2の内容と同様である。
このように、注意コメント表示領域2051では、対象となる1か月間の期間中に見られた、居住者の血圧(上下)の変化であり、その人の個体内変動を反映したバイタル情報に基づき、血圧の異常と思われる範囲を、第2のバイタル情報平均値(μ)と、第2のバイタル情報標準偏差(σ)から算出した基準で検知し、内容に応じて、注意コメントを表示する部分である。居住者は1カ月単位で、自身の血圧の異常の有無を細かく認識することが可能となる。
また、注意コメント表示領域2051では、注意コメント表示領域2044と同様に、旧住宅のバイタル情報8と比較した場合の対比コメントを表示可能に構成されている。
このように、ヘルスレポート画面205では、注意コメント表示領域2051で、血圧に関する注意コメントや、旧住宅との対比コメントを表示して、居住者に、自身の血圧の変化を意識させ、健康への意識を高める構成となっている。
また、血圧変化グラフ表示領域2052は、選択した居住者における、対象となる1か月間の血圧の変化を、グラフ化(熱型表)して表示する領域である。また、血圧変化グラフ表示領域2052では、対象の1カ月間における血圧の値及びグラフと共に、当該期間中の血圧(上下)の平均値(第2のバイタル情報平均値:μ)とそのグラフが表示可能に構成されている。また、当該期間中の血圧(上下)の平均値と、バイタル標準偏差(第2のバイタル情報標準偏差:μ)に基づいて算出された基準域(μ±2σ)の範囲も、一緒に表示される。
また、血圧切替タブ2054は、血圧変化グラフ表示領域2052で表示する血圧について、血圧上(収縮期血圧)と、血圧下(拡張期血圧)の表示を切り替えるためのタブである。
また、血圧分布図表示領域2053は、選択した居住者における、対象となる1か月間の血圧(上下)の正規分布(新住宅正規分布2055)と、同じ居住者が、旧住宅に居住していた際に測定した、一定期間における血圧(上下)の正規分布(旧住宅正規分布2056)を同一のグラフ上で表示する領域である。なお、図24及び図28(b)では、便宜的に、新住宅正規分布2055には「新築」の表記を、旧住宅正規分布2056には「既築」の表記を付している。また、図28(b)は、図24の血圧分布図表示領域2053を拡大した図である。
ここで、新住宅正規分布2055は、新住宅において、対象となる1か月間に測定された30日分(又は31日分)の血圧(上下)の測定値が情報記録部4に記録され、正規分布算出手段16が算出して表示される。
また、旧住宅正規分布2056は、旧住宅において、一定の期間中に測定された血圧の測定値が情報記録部4に記録され、正規分布算出手段16が算出して表示される。
この血圧分布図表示領域2053では、新住宅における対象となる1か月の血圧の正規分布と、旧住宅における血圧の正規分布を同一のグラフ中で比較することで、居住者が、自分の健康状態(又はその変化)を把握しやすくなる。即ち、正規分布の変化を、健康状態の指標にできる。
上述したように、温度及び湿度が調整された良好な温湿度環境にある新住宅では、外気の影響を受けて、温度及び湿度が変化しやすい旧住宅と比べて、居住者の血圧の正規分布及び基準域の低下が観察されていた。そこで、血圧分布図表示領域2053において、新住宅正規分布2055が、旧住宅正規分布2056に比べて、低下傾向が見られれば、その居住者は、健康状態が良好であると推察することが可能となる。
例えば、図24及び図28(b)に示すように、新住宅正規分布2055が、旧住宅正規分布2056に比べて、血圧の平均値は低下しており、正規分布の両端の値も低下しているため、対象と居住者は、健康状態が良好であると推察することができる。
このように、本発明では、血圧分布図表示領域2053の正規分布の表示をもって、居住者の健康状態(又はその変化)を、容易かつ直観的に把握することができる。
ここで、必ずしも、新住宅正規分布2055は、新住宅において、対象となる1か月間に測定された30日分(又は31日分)の血圧の測定値から作成される必要はなく、最低、4日分(又は4個分)の血圧の測定値から作成されれば充分である。血圧の値が4日分(又は4個分)あれば、旧住宅の血圧と比較しうる正規分布を作成可能となる。
また、同様に、旧住宅正規分布2056も、最低、4日分(又は4個分)の血圧の測定値から作成されれば充分である。
さらに、新住宅正規分布2055の作成の根拠となる血圧の測定値の数と、旧住宅正規分布2056の作成の根拠となる血圧の測定値の数とが、同一の数である必要はない。例えば、新住宅正規分布2055が30日分の血圧の測定値で作成され、旧住宅正規分布2056が4日分の血圧の測定値で作成されていてもよい。
また、図25のパラメータ選択領域2061のように、上述した体温及び血圧に加えて、「温度・湿度」と、「脈拍」を設けて、対象となる1か月間の情報をまとめて表示することも可能である。ここで「脈拍」であれば、上記の体温、又は、血圧と同様の構成となる。以下では、「温度・湿度」について、対象となる1か月間の情報をまとめて表示する画面として、環境レポート画面206を説明する。
また、上述したように、本発明では、脈拍のバイタルサインの値についても、ヘルスレポート画面204(体温)及び205(血圧)と同様の画面情報を生成することができる。
例えば、脈拍のヘルスレポート画面では、注意コメント表示領域を設けて、対象となる1か月間の期間中に見られた、居住者の脈拍の変化が、「一定の条件」を満たした場合に、脈拍に関する注意コメントの情報が表示される表示領域とすることができる。
また、脈拍のヘルスレポート画面では、脈拍分布図表示領域を設けて、新住宅における対象となる1か月の脈拍の正規分布と、旧住宅における脈拍の正規分布を同一のグラフ中で比較することで、居住者が、自分の健康状態(又はその変化)を把握しやすくなる。即ち、正規分布の変化を、健康状態の指標にできる。脈拍分布図表示領域は、例えば、図29に示すような内容に基づく画面情報となる。
上述したように、温度及び湿度が調整された良好な温湿度環境にある新住宅では、外気の影響を受けて、温度及び湿度が変化しやすい旧住宅と比べて、居住者の脈拍の正規分布及び基準域の低下が観察されていた。そこで、脈拍分布図表示領域において、新住宅正規分布が、旧住宅正規分布に比べて、低下傾向が見られれば、その居住者は、健康状態が良好であると推察することが可能となる。
[環境レポート画面]
図25に示すように、環境レポート画面206には、ユーザ選択領域2041、パラメータ選択領域2061、期間選択領域2043、注意コメント表示領域2062、温度変化グラフ表示領域2063、湿度変化グラフ表示領域2064、が設けられている。また、環境レポート画面206の下部には、画面切替アイコン領域300が設けられている
また、ユーザ選択領域2041及び期間選択領域2043は、ヘルスレポート画面204と同様の構成である。
また、注意コメント表示領域2062は、対象となる1か月間の期間中に見られた、室温、又は、湿度の変化が、理想温度領域2003の温度又は湿度に対して、大きな差等が見られた場合に、注意喚起のコメントを表示する部分である。
また、温度変化グラフ表示領域2063は、対象となる1か月間の各居住領域の気温の変化を、グラフ化して表示する領域である。また、温度変化グラフ表示領域2063では、対象の1カ月間における気温のグラフと共に、理想的な温度範囲を表示可能に構成されている。
また、湿度変化グラフ表示領域2064は、対象となる1か月間の各居住領域の湿度の変化を、グラフ化して表示する領域である。また、湿度変化グラフ表示領域2064では、対象の1カ月間における湿度のグラフと共に、理想的な温度範囲を表示可能に構成されている。
[食事・運動入力画面]
図26に示すように、食事・運動入力画面207には、ユーザ選択領域2071、食事運動情報入力領域2072、コメント入力領域2073、体重入力領域2074、体脂肪入力領域2075、日付選択領域2076、体重変化表示領域2077、体脂肪変化表示領域2078が設けられている。また、食事・運動入力画面207の下部には、画面切替アイコン領域300が設けられている
また、ユーザ選択領域2071は、食事の情報、運動の情報、体重及び体脂肪の入力する対象となる居住者を選択する表示領域であり、ユーザを模した画像アイコンが表示される。居住者は、画像アイコンを選択して、対象の居住者の各情報を入力することができる。
また、ユーザ選択領域2071の各居住者における画像アイコンの背景色は、メイン画面200のユーザ表示領域2001と同様に、トリアージ処理手段28が、スコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、三段階で評価した評価結果に応じた色分けの色(緑色、黄色、赤色)が表示可能に構成されている。
また、食事運動情報入力領域2072は日付選択領域2076で選択した日付における対象者のその日の食事の量、又は、運動の量を、4段階で入力する領域である。
また、食事運動情報入力領域2072では、1日の朝食、昼食、夕食、及び、間食のそれぞれについて、食事の量を、多い(◎)、普通(○)、少ない(△)、無し(×)の4段階で入力可能に構成されている。
また、食事運動情報入力領域2072では、1日の運動量について、その量を、多い(◎)、普通(○)、少ない(△)、無し(×)の4段階で入力可能に構成されている。居住者が、食事運動情報入力領域2072を介して入力した情報は、入力された日付の情報と共に、情報記録部4に記録される。
また、食事運動情報入力領域2072を介して入力した情報は、食事の量、又は、運動の量で、それぞれ記録した回数がカウントされ、後述する表彰経過画面208の表示に反映されるものとなる。
また、コメント入力領域2073は、居住者が、フリーでコメントを入力できる領域である。
また、体重入力領域2074は、居住者が、その日に測定した体重を入力する領域である。また、体脂肪入力領域2075、は、居住者が、その日に測定した体脂肪を入力する領域である。体重入力領域2074及び体脂肪入力領域2075で入力された情報は、入力された日付の情報と共に、情報記録部4に記録される。
また、日付選択領域2076は、居住者が、食事の情報、運動の情報、体重及び体脂肪の入力する対象となる日付を選択するための領域である。
また、体重変化表示領域2077は、その日(日付選択領域2076の日付)を基準に、過去1週間分の体重の値の変化を、グラフ化して表示する領域である。また、体脂肪変化表示領域2078は、その日(日付選択領域2076の日付)を基準に、過去1週間分の体脂肪の値の変化を、グラフ化して表示する領域である。
また、他の画面において、画面切替アイコン領域300の「食事・運動入力」のアイコンを選択することで、食事・運動入力画面207へとページを遷移することができる。
[表彰経過画面]
図27(a)に示すように、表彰経過画面208には、ユーザ表示領域2081、表彰記録表示領域2082、目標達成率表示領域2083が設けられている。
また、ユーザ表示領域2081は、バイタル情報、食事情報又は運動情報の記録回数に関して、表彰の実績、又は、現状の目標達成率を確認したい居住者が表示される領域である。
また、表彰記録表示領域2082は、居住者が、バイタル情報、食事情報又は運動情報の記録回数が、設定した目標基準を満たし、表彰された回数の実績を、各情報を反映したトロフィーと、回数を表す数字で表示した領域である。
また、表彰経過画面208で、表彰記録表示領域2082を選択すると、表彰実績の詳細な内容を示す表彰詳細情報画面2080に画面が遷移する(図27(b)参照)。表彰詳細情報画面2080では、居住者がどの期間(1カ月)に、表彰を受けたかについての情報を個別に表示可能に構成されている。
また、目標達成率表示領域2083は、居住者が、現在の月(ここでは、3月の1カ月間)において、設定した目標基準の記録回数に対して、今の居住者の各情報の記録の回数が、どの部分にあるかを示す領域である。
図27(a)では、3月の目標基準の記録回数(ゴール)までのルートを表示して、バイタル情報、食事情報及び運動情報のそれぞれの記録回数に応じた位置に、対応するアイコンを表示して、現状の達成率を視覚的に確認できるようになっている。
この表彰経過画面208を確認することで、居住者は、今のバイタル情報、食事情報及び運動情報のそれぞれの記録回数を容易に把握でき、かつ、情報を記録する行為のモチベーションを高め、居住者の行動変容を促すことができる。
また、メイン画面200のユーザ表示領域2001における表彰画像を選択することで、表彰経過画面208へとページを遷移することができる。
本発明を適用した健康指標提供装置1では、上述した各種画面を介して、居住者が、自身の健康状態に関する情報を容易に確認することができるものとなっている。
続いて、バイタル情報に基づく具体的な判定の方法(基準域を用いた判定)について説明する。
[8.バイタル平均値等の算出、バイタル異常判定、スコアリングに基づく異常の判定について]
[8-1.体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧の測定値について]
バイタル平均値及びバイタル標準偏差は情報記録部4に記録されたバイタル情報8及び再測定バイタル情報8aに基づき、演算部2が基準算出手段5の平均値算出手段14及び標準偏差算出手段15として機能して算出される。また、バイタル平均値及びバイタル標準偏差に基づき、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧及び呼吸数の測定値に対するスコアリング基準情報102及びバイタル判定基準情報102aが設定される。
なお、本発明で採用される複数のパターンの判定基準の設定と判定の内容は、判定基準設定手段17で設定を変更することで、適宜、使用する判定方法の選択や、複数のパターンを組み合わせた方法を選択することが可能となっている。
バイタル平均値、バイタル標準偏差及びこれらに基づくバイタル判定基準情報102a及びスコアリング基準情報102の設定方法として、情報記録部4に記録されたバイタル情報8及び再測定バイタル情報8aをバイタル平均値等の算出に利用する方法が挙げられる。本方法では、バイタル平均値とバイタル情報の分布に基づく標準偏差は、平均値算出手段14及び標準偏差算出手段15において、以下の式(3)及び式(4)を用いて算出される。
μ=(1/N)×ΣSi・・・式(3)
σ=√((1/N)×Σ(Si-μ))・・・式(4)
ここでμはバイタル情報の平均値、Siは各バイタル情報の計測値、Nは全バイタル情報のデータ数であり、σは標準偏差である。ΣSiは、全バイタル情報の計測値の合計を示す。また、各バイタル情報の計測値とは、上述したように、設定した所定の抽出条件で取得したバイタル情報の値である。なお、ここでいう全バイタル情報の内容は、上述したように、情報記録部4に記録された情報の一部を抽出するものであってよい。また、ここでのバイタル情報とは、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧及び呼吸数の測定値である。
ある判定時点において、対象者のバイタル情報を判定する際には、判定時点の前日、又は、判定時点、を起点に、情報記録部4に記録された同一の対象者のデータから、上記の式(3)、式(4)を用いて、バイタル平均値μ、バイタル標準偏差σが算出される。即ち、判定時点に測定した判定の対象となるバイタルサインの値を含めないパターン、又は、判定時点に測定した判定の対象となるバイタルサインの値を含めるパターンにより、バイタル判定基準情報102a及びスコアリング基準情報102が算出される。
また、バイタル判定基準設定手段101a及びスコアリング基準設定手段101が、以下の式(1)又は式(2)で表される値を、バイタル判定基準情報102a及びスコアリング基準情報102として利用する。また、ここでいう下記の式(1)又は式(2)で表される値が基準域となる。
μ-nσ・・・式(1)
μ+mσ・・・式(2)
ここでn、mは0より大きい数である。
また、スコアリング基準情報102では、上記の式(1)及び式(2)で表された値と、所定のスコア値、即ち、0点~3点の点数の情報が組み合わされている。この組み合わせは、例えば、下記の表4に示す通りである。なお、表4の内容は一例であり、スコアの値と範囲設定は適宜変更することができる。
Figure 0007274789000005
なお、表4及び下記の表5において、「-3σ」は、式(1)に基づく「μ-3σ」の値であり、「-2.5σ」は、式(1)に基づく「μ-2.5σ」の値であり、「-2σ」は、式(1)に基づく「μ-2σ」の値であり、「+3σ」は、式(2)に基づく「μ+3σ」の値であり、「+2.5σ」は、式(2)に基づく「μ+2.5σ」の値であり、「+2σ」は、式(2)に基づく「μ+2σ」の値を意味している。また、μ及びσは、所定の条件(例えば4個分のバイタル情報)で測定された各バイタルサインの測定値から算出される値である。
表4に示すように、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧の測定値について、その内容に基づいて、0~3点の各スコア値にスコアリングする際には、上記の式(1)及び式(2)に基づき算出された「μ±2σ、μ±2.5σ、及びμ±3σ」の値が利用されている。
より詳細には、入力されたバイタルサインの測定値が、その判定時点において算出されたバイタル平均値及びバイタル標準偏差において、「μ±2σ以内」の範囲に収まる値であれば0点のスコア、「μ-2.5σ(以上)~μ-2σ(未満)」の範囲、又は、「μ+2σ(以上)~μ+2.5σ(未満)」の範囲に収まる値であれば1点のスコア、「μ-3σ(以上)~μ-2.5σ(未満)」の範囲、又は、「μ+2.5σ(超)~μ+3σ(以内)」の範囲に収まる値であれば2点のスコア、「μ-3σ(未満)」、又は、「μ+3σ(超)」の範囲に収まる値であれば3点のスコアとなる。
また、表4とは別に、下記の表5のような内容で、スコアリング基準情報102として、上記の式(1)及び式(2)で表された値と、所定のスコア値、即ち、0点~2点の点数の情報が組み合わされていてもよい。
Figure 0007274789000006
なお、表4及び表5に示す内容は、スコアリング基準情報102の一例であり、上記の式(1)及び式(2)で表された値と、所定のスコア値の組み合わせの内容は、表4及び表5の内容に限定されず、その他の設定を行うことも可能である。
入力されたバイタルサインの測定値に対するスコアリングは、判定時点において算出されたバイタル平均値、バイタル標準偏差により、判定時点ごとの基準が設定される。また、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、及び、呼吸数の測定値は、正規分布に従うバイタルサインであり、上記式(1)又は式(2)の基づき算出されたスコアリング基準情報102は、対象者の個体内変動が反映された基準となる。そのため、対象者の体調の変動を正確に捉えることが可能な指標となる。
また、判定処理手段6は、例えば、バイタルサインの値(それぞれのバイタルサインの測定値)について、「μ±2σ以上」の値となったものを「(バイタルサインの値の)異常」と判定する。即ち、本事例では、バイタル判定基準情報102aとして、「μ±2σ以上」の値が、異常の有無の判定基準となる。
また、トリアージ処理手段28は、入力されたバイタル情報の内容から得られたスコア値の合計値を、トリアージ基準情報に基づき、三段階の評価結果に分けた結果の情報であるトリアージ結果情報へと変換する。また、トリアージ結果情報は、三段階の評価結果につき、評価に応じた色分けで結果を示している。ここでは、例えば、スコア値の合計値で、3点以上は赤色、2点は黄色、1点以下は緑色、として色分けした表示が可能である。なお、トリアージ結果情報が表示される画面の詳細は上記のとおりである。
また、各バイタルサインの値から算出されたスコア値情報103と、この値に対する注意等のスコア判定結果情報12及びバイタル判定結果情報12aは、対象者に紐付けて情報記録部4に記録される。
ここで、上述した式(1)又は式(2)におけるnは0より大きい数であることは述べたが、n及びmとなる数値は、上述した内容のように「2、2.5及び3」に限定されるものではなく、適宜、その数値を変更して、バイタル判定基準情報102a、又は、スコアリング基準情報102とすることができる。
また、必ずしも、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、及び呼吸数の測定値において、式(1)又は式(2)におけるn及びmとなる数値が同一である必要はない。バイタルサインの種類によって、設定するn及びmとなる数値を異なるものとすることもできる。
また、表4に示すスコアリング基準情報102では、例えば、1点のスコア値情報と、2点のスコア値情報を区別する範囲として、「μ±2σ以内」と「μ+2σ(以上)~μ+2.5σ(未満)」の範囲が設定されている。即ち、μ+2σの数値の前後で、μ+2σ以内が0点、μ+2σを超えると1点となるが、必ずしも、範囲の設定がこの内容に限定される必要はない。例えば、μ+2σ未満が0点、μ+2σ以上が1点する内容とすることも可能である。また、その他の数値についても同様である。
また、表4及び表5に示すスコアリング基準情報102では、スコアリングされる対象(マーカー)として、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、脈拍、体温、呼吸数、酸素飽和度、意識レベルが挙げられているが、これは一例に過ぎない。また、スコアリング基準情報102での点数を区別する閾値も一例に過ぎない。
即ち、マーカーの種類や点数を区別する閾値は、対象者が有する疾患の種類や、対象者の性質によって異ならせて設定することが可能である。例えば、心不全を有する対象者と、尿路感染を有する対象者では、マーカーの種類や点数を区別する閾値を異ならせて設定する。また、マーカーとして、血圧において、収縮期血圧のみを採用する場合や、収縮期血圧と拡張期血圧の両方を採用する場合もある。また、例えば、健常者である対象者と、持病を有する高齢者である対象者では、やはり、マーカーの種類や点数を区別する閾値を異ならせて設定する。
また、スコアリング基準情報102には、マーカーとして、対象者の既往歴や、対象者の家族や近親者における病的状態である家族歴、生活習慣等の種類を含めて、スコアリングする態様もある。
この場合、例えば、心臓病の既往歴の対象者や、家族に心臓病を患った人がいる対象者に対して、心不全の程度を判断するためにスコアリングを行う際には、既往歴又は家族歴のマーカーに点数が付与され、スコア値情報103の合計点に加点される。また、例えば、喫煙の生活習慣がある対象者には、生活習慣のマーカーに点数が付与され、スコア値情報103の合計点に加点される。
ここで、複数の対象者のバイタル情報を利用して、異なる個体の情報に基づくバイタル情報の分布を作成した場合と、同一の対象者のバイタル情報を利用して、同一個体のバイタル情報の分布を作成した場合との違いについて、説明する。
図30(a)及び図30(b)は、いずれも体温の情報を元に作成された正規分布曲線のグラフである。図30(a)及び図30(b)において、横軸は体温の確率変数、縦軸は確率密度である。(a)は多数の対象者で作成し、(b)は、同一の対象者のみで作成されている。図30(a)では、様々な平熱や、体温の変動をする人が含まれており、平均値μは多数の対象者の平均値である37.0℃となり、μ+2σの値は37.7℃、μ-2σの値は36.0℃となっている。
しかしながら、図30(b)では、同一個体のバイタル情報を記録したものであり、その人特有の平熱や、体温の変動となるため、平均値μは35.6℃、μ+2σの値は37.0℃、μ-2σの値は35.2℃となる。
即ち、仮に、各分布を用いて、スコアリングをする際の、あるスコア値に安定される基準値をμ+2σに設定すると、図30(a)の方では、37.0℃の体温はμの位置(図30(a)中の黒い丸)に該当する。一方、図30(b)の方では、37.℃の体温は、上限値であるμ+2σの位置(図30(b)中の黒い丸)になる。
つまり、図30(a)に示す分布と、図30(b)に示す分布では、分布上における同じμ+2σの数値が全く違う値になる。そのため、バイタル判定基準情報102a、スコアリング基準情報102、及び、スコア値情報103も変わり、判定結果も異なるものとなる。
換言すれば、図30(b)の対象者の判定を行う上では、多数の対象者のバイタル情報に基づくバイタル判定基準情報102aや、スコアリング基準情報102、及び、スコア値情報103は、「異常な値」を捉えるために使用できないものといえる。多数の人数のバイタル情報を基準に用いることは、従来行われていた「個体間変動」での判定に他ならず、対象者に特有のバイタル情報の変動をみるためには、「個体内変動」が有効であることを示している。
なお、図30(b)に示す体温の平均値や変動を行う対象者は、特殊な事例にあたるものではない。また、体温に限って起こる現象ではなく、その他のバイタルサインである収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数、呼吸数でも、対象者に固有の変動が生じ、これらは正規分布に従うものとなる。上記の体温の例でいえば、図30(b)に示す温度域で体温が変化する高齢者は多く、このような高齢者の健康状態の判定をバイタルサインで行う際には、「個体内変動」が有効である。
[8-2.酸素飽和度の測定値について]
対象者から測定された酸素飽和度の測定値に対するスコアリング基準情報102の設定方法として、一定の数値範囲の情報を基準として設定する。表4に示す内容では、酸素飽和度の測定値について、0~3点の各スコア値にスコアリングする際には、「93~100(%)」が0点のスコア、「90~92(%)」が1点のスコア、「85~89(%)」が2点のスコア、及び、「84(%)以下」が3点のスコアとなるように設定されている。
入力された酸素飽和度の測定値に対して、表4に示すスコアリング基準情報102に基づき、0~3点のスコア値情報103が算出される。また、スコア値情報103に対する判定処理手段6による異常な値か否かの判断は上述したとおりである。
また、酸素飽和度の測定値から算出されたスコア値情報103は、対象者に紐付けて情報記録部4に記録される。
ここで、表4及び表5に示す酸素飽和度に対するスコアリング基準情報102の内容はこれに限定されるものではない。0~3点のスコア値情報を分ける数値範囲は、適宜設定を変更して、スコアリング基準情報102とすることができる。
[8-3.呼吸数の測定値について]
対象者から測定された呼吸数の測定値に対するスコアリング基準情報102の設定方法として、表4に示すように、「μ±nσ」の値を利用する態様がある。
また、別の態様として、対象者から測定された呼吸数の測定値に対するスコアリング基準情報102の設定方法として、情報記録部4に記録されたバイタル情報8及び再測定バイタル情報8aを最頻値の算出に利用する方法が挙げられる。本方法では、最頻値算出手段(符号省略)が、所定の条件(例えば30個分)における呼吸数の測定値に対して、その最頻値を算出する。また、呼吸数の測定値とは、設定した条件で測定した呼吸数の値が採用しうる。なお、ここでいう全バイタル情報の内容は、上述したように、情報記録部4に記録された情報の一部を抽出するものであってよい。
ある判定時点において、対象者の呼吸数を判定する際には、判定時点を起点に、情報記録部4に記録された同一の対象者のデータから、最頻値が算出される。即ち、判定時点に、スコアリング基準情報102が算出される。スコアリング基準設定手段101は、表4に示す内容となるように最頻値からスコアリング基準情報102を設定する。
入力された呼吸数の測定値に対して最頻値が算出され、この最頻値に基づき、表4に示すスコアリング基準情報102となり、0~3点のスコア値情報103が算出される。また、スコア値情報103に対する判定処理手段6による異常な値か否かの判断は上述したとおりである。
[8-4.意識レベルについて]
対象者に対して、介護者等が意識レベルを確認して、取得された結果について、スコアリング基準情報102として設定された所定の観察情報に当てはめる作業を行う。意識レベルの確認は、既知のAVPU評価を利用しうる。
AVPU評価では、正常(覚醒して見当識あり、A:alert)、異常(言葉により反応するが、見当識なし、V:verbal)、痛みに反応(痛みにのみ反応、P:Pain)、無意識(言葉にも痛みにも反応しない、U:Unresponsive)が所定の観察状態として設定されている。介護者等が対象者を観察して、その意識レベルがAVPU評価のどの項目に該当するかを判断して、その結果を、入力部3a等を介して入力する。
意識レベルに対するスコアリング基準情報102は、例えば、表4に示す内容で設定されている。表4では、正常が0点のスコア、異常が1点のスコア、痛みに無反応が2点のスコア、及び、無意識が3点のスコアとなるように設定されている。介護者等が入力した情報により、スコアリング処理手段100がスコア値情報103を算出する。また、スコア値情報103に対する判定処理手段6による異常な値か否かの判断は上述したとおりである。
ここで、表4(又は表5)に示す対象者の意識レベルの評価結果に対するスコアリング基準情報102の内容はこれに限定されるものではない。AVPU評価以外の意識レベルの評価手法が採用されてもよい。また、0~3点のスコア値情報を分ける観察状態は、適宜設定を変更して、スコアリング基準情報102とすることができる。
以上の内容では、対象者のバイタルサインのうち、体温、脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、呼吸数、酸素飽和度の測定値と、意識レベルの評価結果を用いてスコアリングを行い、算出されたスコア値情報103が異常な値か否かを判定している。ここで、必ずしも、対象者のバイタルサインがこれらの内容に限定される必要はない。例えば、スコアリングを行う対象として、対象者から得られた尿量、体重、痛み(痛みの有無や程度)、その他の病状異常をバイタルサインの情報として採用することも考えられる。
以上のように、本発明のソフトウェアは、住宅の居住者に対して、バイタル情報をテーラーメイドに分析して、居住者の健康に繋がる科学的な指標を提供することが可能なものとなっている。
また、本発明の健康指標の提供装置は、住宅の居住者に対して、バイタル情報をテーラーメイドに分析して、居住者の健康に繋がる科学的な指標を提供することが可能なものとなっている。
1 健康指標提供装置
1a ソフトウェア
2 演算部
2a 演算部
3 タブレット端末
3a (タブレット端末の)入力部
3b (タブレット端末の)表示画面
3c (タブレット端末の)情報送受信部
4 情報記録部
4a 情報記録部
5 基準算出手段
5a 基準算出手段
6 判定処理手段
6a 判定処理手段
7 個人情報
8 バイタル情報
8a 再測定バイタル情報
9 食事情報
10 運動情報
11 目標基準情報
12 判定基準情報
13 判定結果情報
14 平均値算出手段
15 標準偏差算出手段
16 正規分布算出手段
19 表彰情報
23 情報入力手段
24 情報記録手段
24a 情報記録手段
25 データ算出手段
26 表示制御手段
27 表彰情報処理手段
28 トリアージ処理手段
30a インターネット
32a 情報管理サーバ
32b ソフトウェア
32c ソフトウェア
32d ソフトウェア
50a ユーザ端末
50b 外部端末
60a ユーザ端末
60b 外部端末
70b 管理端末
100 スコアリング処理手段
100a スコアリング処理手段
101 スコアリング基準設定手段
102 スコアリング基準情報
102a バイタル判定基準情報
103 スコア値情報
200 メイン画面
2001 ユーザ表示領域
2002 居室領域
2003 理想温度領域
2004 外部環境領域
2005 日付領域
201 バイタル入力画面
2011 ユーザ選択領域
2012 バイタル入力領域
2013 登録ボタン
2014 バイタル変化表示領域
2015 日付領域
202 バイタル表示画面
2021 ユーザ選択領域
2022 表グラフ選択領域
2023 期間選択領域
2024 バイタル変化表示領域
2025 スコア表示領域
2026 期間選択タブ
203 バイタル表示画面
2031 バイタル一覧表領域
204 ヘルスレポート画面
2041 ユーザ選択領域
2042 体温血圧選択領域
2043 期間選択領域
2044 注意コメント表示領域
2045 体温変化グラフ表示領域
2046 体温分布図表示領域
2047 新住宅正規分布
2048 旧住宅正規分布
205 ヘルスレポート画面
2051 注意コメント表示領域
2052 血圧変化グラフ表示領域
2053 血圧分布図表示領域
2054 血圧切替タブ
2055 新住宅正規分布
2056 旧住宅正規分布
206 環境レポート画面
2061 パラメータ選択領域
2062 注意コメント表示領域
2063 温度変化グラフ表示領域
2064 湿度変化グラフ表示領域
207 食事・運動入力画面
2071 ユーザ選択領域
2072 食事運動情報入力領域
2073 コメント入力領域
2074 体重入力領域
2075 体脂肪入力領域
2076 日付選択領域
2077 体重変化表示領域
2078 体脂肪変化表示領域
208 表彰経過画面
2081 ユーザ表示領域
2082 表彰記録表示領域
2083 目標達成率表示領域
300 画面切替アイコン領域

Claims (13)

  1. 住み替え前の住宅である旧住宅と、住み替え後の住宅であり、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する新住宅での、それぞれの住宅環境における、同一個体から測定されたバイタルサインの値であり、正規分布に従うバイタル情報に基づき、個体の健康状態の指標を提供するためのソフトウェアであって、
    情報処理機器を、
    情報を入力又は表示するための画像をディスプレイに表示させる処理を実行する表示制御手段と、
    前記旧住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である旧住宅バイタル情報と、前記新住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である新住宅バイタル情報の入力を受け付ける情報入力手段と、
    入力された前記旧住宅バイタル情報及び前記新住宅バイタル情報を記録させる情報記録手段と、
    記録された複数の前記旧住宅バイタル情報の全部又は一部の、第1の平均μ及び第1の標準偏差σから前記第1の平均μを中心とする正規分布である第1の正規分布を作成すると共に、記録された複数の前記新住宅バイタル情報の全部又は一部の、第2の平均μ及び第2の標準偏差σから前記第2の平均μを中心とする正規分布である第2の正規分布を作成する正規分布算出手段と、
    前記第1の正規分布と前記第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成する分布比較情報処理手段と、
    を含む手段として機能させるためのソフトウェア。
  2. 前記バイタル情報は、少なくとも血圧のバイタルサインの値であり、
    前記第1の正規分布に比べて、前記第2の正規分布が低下傾向にあることを個体の健康状態が良好な指標とする
    請求項1に記載のソフトウェア。
  3. 前記バイタル情報は、少なくとも体温のバイタルサインの値であり、
    前記第1の正規分布に比べて、前記第2の正規分布が上昇傾向にあることを個体の健康状態が良好な指標とする
    請求項1又は請求項2に記載のソフトウェア。
  4. 前記バイタル情報は、少なくとも脈拍のバイタルサインの値であり、
    前記第1の正規分布に比べて、前記第2の正規分布が低下傾向にあることを個体の健康状態が良好な指標とする
    請求項1、請求項2又は請求項3に記載のソフトウェア。
  5. 前記第1の正規分布及び前記第2の正規分布は、少なくとも、前記情報記録手段に記録された少なくとも4個分の前記バイタル情報から作成された
    請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のソフトウェア。
  6. 前記第2の正規分布は、少なくとも対象となる4日間、1か月間、又は、1年間のいずれかの1つの期間中に測定されたバイタルサインの値から作成される
    請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のソフトウェア。
  7. 前記正規分布算出手段は、前記第1の平均μ、前記第1の標準偏差σ、0より大きい数であるn及びmを用いて表された下記の式(1)の値を下限値及び式(2)の値を上限値とする第1の基準域を算出すると共に、前記第2の平均μ、前記第2の標準偏差σ、前記n及び前記mを用いて表された下記の式(3)の値を下限値及び式(4)の値を上限値とする第2の基準域を算出する
    請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載のソフトウェア。
    μ-nσ・・・式(1)
    μ+mσ・・・式(2)
    μ-nσ・・・式(3)
    μ+mσ・・・式(4)
  8. 前記情報入力手段は、同一個体における、1日の食事のタイミングごとの食事の量に関する情報である個体食事情報、又は、1日の運動の量に関する情報である個体運動情報の少なくとも一方の入力を受け付け、
    前記情報記録手段は、入力された前記個体食事情報及び前記個体運動情報を記録させ、
    情報処理機器を、
    同一個体における前記新住宅バイタル情報、前記個体食事情報、又は、前記個体運動情報の、各情報の種類ごとの前記情報記録手段への記録の数である個体行動記録数が、所定の目標条件を満たした場合に、前記画像の1つであり、前記所定の目標条件を満たしたことを表彰する画像である表彰画像を作成する表彰情報処理手段と、
    を含む手段として機能させるための、
    請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7に記載のソフトウェア。
  9. 前記表彰情報処理手段は、
    前記画像の1つであり、一定期間における前記所定の目標条件を達成するまでの経過を、登山を模したルート表示と、前記一定期間中の前記個体行動記録数に応じた前記ルート表示上での位置表示と、で表した画像である達成経過画像を作成する
    請求項8に記載のソフトウェア。
  10. 情報処理機器を、
    所定のスコアリング条件を基準に、入力された所定の前記新住宅バイタル情報をスコアリングして、前記新住宅バイタル情報の種類ごとにおけるスコアの値の合計値であるスコア結果情報を算出するスコアリング処理手段と、
    所定のスコア評価条件を基準にして、前記スコア結果情報の数値を、三段階の評価結果に分類すると共に、同一個体に紐づけた画像中で表す表示であり、前記スコア結果情報の数値を、前記三段階の評価結果ごとに異なる色を付けて表した情報であるスコア結果色分け表示情報を作成するトリアージ処理手段と、
    を含む手段として機能させるためのソフトウェアであり、
    スコアリングの対象となる前記新住宅バイタル情報は、体温、脈拍、血圧、及び、酸素飽和度の測定値と、意識レベルを含む
    請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9に記載のソフトウェア。
  11. 情報処理機器を、
    前記新住宅バイタル情報のうち、
    対象となる1か月間の中で記録された、体温の全部又は一部における、前記第2の平均μ及び前記第2の標準偏差σと、
    対象となる1か月間の中で記録された、血圧の全部又は一部における、前記第2の平均μ及び前記第2の標準偏差σと、
    対象となる1か月間の中で記録された、脈拍の全部又は一部における、前記第2の平均μ及び前記第2の標準偏差σを算出すると共に、
    前記第2の平均μ、前記第2標準偏差σを用いて表された下記の式(5)の値を第1の上限値とし、かつ、下記の式(6)の値を第2の上限値とする基準とし、
    同一個体において、
    対象となる1か月間で記録された体温、血圧又は脈拍の測定値が、1つでも前記第2の上限値を超える場合、
    又は、
    対象となる1か月間で記録された体温、血圧又は脈拍の測定値が、3日間以上続けて、前記第1の上限値と前記第2の上限値の間の範囲内に含まれる場合に、
    対象となる1か月間の中で、バイタル異常値が確認されたことを示す情報である注意コメント情報を作成する注意コメント作成部を含む手段として機能させるための
    請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9又は請求項10に記載のソフトウェア。
    μ+2σ・・・式(5)
    μ+3σ・・・式(6)
  12. 住み替え前の住宅である旧住宅と、住み替え後の住宅であり、温度と湿度を所定範囲に制御可能な室内空間を有する新住宅での、それぞれの住宅環境における、同一個体から測定されたバイタルサインの値であり、正規分布に従うバイタル情報に基づき、個体の健康状態の指標を提供するための健康指標の提供装置であって、
    ディスプレイを有する端末と、
    情報を入力又は表示するための画像を前記ディスプレイに表示させる処理を実行する表示制御手段と、
    前記旧住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である旧住宅バイタル情報と、前記新住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である新住宅バイタル情報の入力を受け付ける情報入力手段と、
    入力された前記旧住宅バイタル情報及び前記新住宅バイタル情報を記録させる情報記録手段と、
    記録された複数の前記旧住宅バイタル情報の全部又は一部の、第1の平均μ及び第1の標準偏差σから前記第1の平均μを中心とする正規分布である第1の正規分布を作成すると共に、記録された複数の前記新住宅バイタル情報の全部又は一部の、第2の平均μ及び第2の標準偏差σから前記第2の平均μを中心とする正規分布である第2の正規分布を作成する正規分布算出手段と、
    前記第1の正規分布と前記第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成する分布比較情報処理手段とを備える
    健康指標の提供装置
  13. 住み替え前の住宅である旧住宅と、住み替え後の住宅である新住宅での、それぞれの住宅環境における、同一個体から測定されたバイタルサインの値であり、正規分布に従うバイタル情報に基づき、個体の健康状態の指標を提供するための健康指標の提供装置であって、
    前記新住宅に設けられ、室内空間の温度及び湿度を、所定範囲に制御する温湿度制御手段と、
    情報を入力又は表示するための画像をディスプレイに表示させる処理を実行する表示制御手段と、
    前記旧住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である旧住宅バイタル情報と、前記新住宅の住宅環境において同一個体から測定されたバイタル情報及び測定日時の情報である新住宅バイタル情報の入力を受け付ける情報入力手段と、
    入力された前記旧住宅バイタル情報及び前記新住宅バイタル情報を記録させる情報記録手段と、
    記録された複数の前記旧住宅バイタル情報の全部又は一部の、第1の平均μ及び第1の標準偏差σから前記第1の平均μを中心とする正規分布である第1の正規分布を作成すると共に、記録された複数の前記新住宅バイタル情報の全部又は一部の、第2の平均μ及び第2の標準偏差σから前記第2の平均μを中心とする正規分布である第2の正規分布を作成する正規分布算出手段と、
    前記第1の正規分布と前記第2の正規分布を同一の画面上に表示した情報である分布比較情報を作成する分布比較情報処理手段とを備える
    健康指標の提供装置
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