JP7274736B2 - 鋼矢板はがし治具 - Google Patents
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Description
更に、工事が終了すれば引き抜いて再度使用するのが基本である。従って、傷ができたもの変形したものを使用することもあろうし、錆が浮いていることも多い。そしてこれらの傷や変形や錆が発生する場所が一様でない。
即ち、変形する可能性がある、錆発生等によって表面状態がまちまちである、という鋼矢板を、複数枚積み重ねておくわけであるので、ここから上の1枚だけを外す場合における状況にも一様性がなく同じ機材を同じように用いても、簡単に外れたりそうでなかったりするし、作業自体が困難となる。例えばU形鋼矢板において「4形」と呼ばれる種類のものであると、1m当たり80kg近くが標準であり、これ以上の重量のあるものも見られる。長さに関しても10mを超えるものも見受けられる。即ち1枚で1トンを超えることも、決して特殊ではない。資材置き場にはこれが、3枚、4枚、或いは10枚以上も積層されているということになる。
わずか(例えば5cm)持ち上げただけで、下の鋼矢板から切り離されて持ち上げられる場合と、いくら持ち上げても切り離されず2段目以下を伴っている場合がある。勿論、バールを用いるのは後者の場合ということになるが、バールが差し込まれる隙間の上側にはクレーンの力が、下側には引力が、双方を引き離す方向に働いているという環境での作業となるので、存外小さな力で剥がすことができるという場合も少なくない。またクレーンで、比較的大きな距離(例えば数10cm)を持ち上げ、この状態でバール差し込み作業をした場合には、剥がせた瞬間に、その距離分(例えば数10cm)だけ2段目以下の鋼矢板が落下することになる。これは深刻な事故を引き起こすことともなりかねない。
そこで、非常に小さな距離ずつ持ち上げて状況を確かめ、安全が保証される範囲で作業者が介入してゆくということになる。
作業の危険さは、治具を鋼矢板に設置した状態から重機で治具を持ち上げる前後、下の鋼矢板が剥がれた時、に集中する。特許文献1の実施例に見られる治具の場合も、危険度を軽減させるために、外れ防止部としてピンを装備している。そしてこのピンは、鋼矢板の端部に形成された孔部(吊り穴)に嵌り込んで機能するものである。鋼矢板の孔部に嵌り込んでいるときには落下の危険性はなく、抜き取られた状態では危険である。また、嵌っている時には治具が取設されている位置の調整などができない。更に言えば、治具位置が確定していない状態で簡単にピンがスライドして挿入部の先端が鋼矢板の端部を押圧するようでは、吊り穴ではない部分を押圧することにもなりかねず、利便性が悪い。
従って、出位置没位置の双方でロックされるということは、ブレ止めピンの下端が上下動の上方域にある時にもロックされ、下方域にある時にもロックされるということを意味する。これによって、クレーンなどの重機によって鋼矢板同士を剥がす際に最も大きな衝撃がある「はがれた瞬間」の前後において、ブレ止めピンは重機・治具・鋼矢板を強固に連結しており、その間作業者は離れた位置から作業を傍観していて良いことになる。
故に、長孔に上下いずれかのくびれ部が位置しており、扁平板部が長孔に嵌っていない状況では、ピンは高さ方向の移動ができなくなる。これをロック状態と呼ぶ。
これを利用して、1枚だけとなった鋼矢板を吊持する際に、ピン固定ハンドルが鉛直方向にあるときにロックがかかるように設計しておけば、安全性が高いものとなる。
(2) 安全である。
(3) 引きはがしに動力源が必要でない。
(4) 取扱いが簡単であって、特別な技能を要しない。
本発明治具1で用いる鋼矢板Sの端部には、吊り孔Hが穿設されている。挟持体2には上側部材21と下側部材22がありこれらの間に切欠エリア23が形成されている。鋼矢板Sはこの切欠エリア23に嵌め込まれ、吊り孔Hが上下から挟まれるようにして挟持体2に挟持されることになる。
また、ハンドル9については、極めて簡略に外形のみを描出している。
図4(a)の状態で長孔6に嵌り込んでいるのは、下側くびれ部52であって、且つ扁平板部53と長孔6の長軸方向はねじれの位置関係にあるので、外部からブレ止めピン5を回動させない限り、出没(上下動)できない。即ち、ロック状態にある。またこの時上側部上板211の下方に存在するのは円周円柱部51だけであり、上側部上板211と上側部下板212の板間距離は円周円柱部51の高さよりも大きいので、円周円柱部51の下端は上側部材21の内部に存在し、切欠エリア23に侵出していない。
上側部上板211と上側部下板212の板間距離は円周円柱部51の高さと扁平板部53の高さの合計よりも小さいので、円周円柱部51の下端は上側部下板212から突出し、切欠エリア23に入り込むことになる。切欠エリア23には鋼矢板Sが嵌り込んでいるので、円周円柱部51はその吊り孔Hに嵌り込むことになる。
これによってテコ板同士が離反することになり、本例では吊持部33は、離反箇所を連結する鋼管となっている。この鋼管は挟持体2の幅分あるので、ここにクレーンフックを掛けた場合、この幅内をスライドできるものであると、はがし作業の途中で突然吊持位置が変わってしまう可能性がある。そこで本例では、この鋼管の中央から左右方向に移動しない回動板331を取設し、この回動板331に穿設された孔にクレーンフックを掛けるようにしている。
2 挟持体
21 上側部材
211 上側部上板
212 上側部下板
22 下側部材
23 切欠エリア
3 テコ桿
31 回動軸
32 拡開部
33 吊持部
331 回動板
4 回動軸
5 ブレ止めピン
51 円周円柱部
52 下側くびれ部
53 扁平板部
54 上側くびれ部
6 長孔
7 円孔(上側部上板)
8 円孔(上側部下板)
9 ハンドル
S 鋼矢板
H 吊り孔
Claims (2)
- 吊り孔を有する鋼矢板を吊持するための治具であって、
上側部材と下側部材により形成される切欠エリアに該鋼矢板を配置することで該鋼矢板端部を上下から挟持する挟持体と、
該挟持体に可回動に取設されるテコ桿とを備え、
該挟持体は、挟持した鋼矢板端部の吊り孔に嵌って係止されるブレ止めピンを有するブレ防止機構部と、該ブレ止めピンの回動軸を中心に該ブレ止めピンを回動させるハンドルとを備え、
該挟持体の上側部材は、長孔を有する上側部上板と円孔を有する上側部下板とを備え、
該挟持体の下側部材は、円孔を有しており、
該ブレ止めピンは、該上側部下板の円孔を通過する円周円柱部と、該上側部上板の長孔の短径よりも小さな径の下側くびれ部と、該長孔形状に収まる断面形状の扁平板部と、該上側部上板の長孔の短径よりも小さな径の上側くびれ部とを備え、
該円周円柱部は該ブレ止めピンの下端に位置し、該下側くびれ部は該円周円柱部の上方に位置し、該扁平板部は該下側くびれ部の上方に位置し、該上側くびれ部は該扁平板部の上方に位置しており、
該上側部上板と該上側部下板とは離反して配置されており、その離反距離は、該円周円柱部の高さと該扁平板部の高さの合計よりも小さく、該円周円柱部の高さよりも大きく、
該ブレ止めピンの回動により、該ブレ止めピンが鋼矢板端部の吊り孔に嵌らない状態と嵌る状態のそれぞれでロックされるものであることを特徴とする鋼矢板はがし治具。 - 該テコ桿は両端が力点と作用点であって支点は挟持体に設けられているものである請求項1記載の鋼矢板はがし治具。
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JP2019091882A JP7274736B2 (ja) | 2019-05-15 | 2019-05-15 | 鋼矢板はがし治具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019091882A JP7274736B2 (ja) | 2019-05-15 | 2019-05-15 | 鋼矢板はがし治具 |
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JP7274736B2 true JP7274736B2 (ja) | 2023-05-17 |
Family
ID=73220823
Family Applications (1)
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2019
- 2019-05-15 JP JP2019091882A patent/JP7274736B2/ja active Active
Patent Citations (2)
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