JP7273593B2 - 土壌改良方法 - Google Patents
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Description
本発明は、廃棄物となる貝殻を利用できて省資源化及び低コスト化を実現できる土壌改良方法を提供することを目的とする。
特に、土壌の土粒子の粒径以下の大きさの貝殻粉砕物を供給したことで、土粒子間に粉状の貝殻粉砕物が入り込みやすくなって、土粒子間の結合がより強固になり、支持強度を著しく向上できる顕著に優れた土壌改良効果が得られる。
また、微生物によって代謝される栄養源とを供給したことで、微生物の代謝作用(微生物反応)を促進できて好ましい土壌改良効果を得ることができる。
また、硝酸カルシウムを供給したことで、微生物反応により発生する炭酸イオンとカルシウムイオンとが反応する鉱物化反応を促進できて好ましい土壌改良効果を得ることができる。
また、pH調整剤を供給したことで、微生物反応により発生する炭酸イオンとカルシウムイオンとが反応する鉱物化反応を促進できて好ましい土壌改良効果を得ることができる。
また、貝殻粉砕物として、ホタテ貝殻を粉砕したものを用いたことを特徴とするので、廃棄物となるホタテ貝殻を利用できて省資源化及び低コスト化を実現できる土壌改良方法を提供できる。
また、pH調整剤として、転炉石灰肥料、又は、鉱さい珪酸質肥料、又は、転炉石灰肥料と鉱さい珪酸質肥料とを混合した混合肥料を用いたことを特徴とする。
そして、未焼成の貝殻の構造は、板状の炭酸カルシウム層間にバインダーとして有機質シートが存在し、炭酸カルシウム層と有機質シートとが結合した積層構造となっている。
さらに、微生物の代謝作用により生成される二酸化炭素と土壌中に存在するか、あるいは、土壌に供給されたカルシウムイオンとが反応(鉱物化反応)して、土粒子間に析出される炭酸塩により、土壌が固化すると考えられる。
即ち、土壌に、未焼成の貝殻粉砕物と微生物とを供給した場合、貝殻粉砕物の固化と土壌の固化との相乗効果によって、土壌改良効果が向上すると考えられる。
1.試験体名「山砂」は、山砂400gに、硝酸カルシウム8g+酵母液150ml+pH調整剤(ケイカル0.5g+ミネカル19.5g)を供給した試験体とした。
2.試験体名「赤土」は、赤土350gに、硝酸カルシウム8g+酵母液150ml+pH調整剤(ケイカル0.5g+ミネカル12.0g)を供給した試験体とした。
4.試験体名「山砂+帆粉」は、山砂400gに、粉状のホタテ貝殻粉砕物40g+硝酸カルシウム8g+酵母液150ml+pH調整剤(ケイカル0.5g+ミネカル1.5g)を供給した試験体とした。
5.試験体名「山砂+帆荒」は、山砂380gに、荒粒(欠片状)のホタテ貝殻粉砕物80g+硝酸カルシウム8g+酵母液150ml+pH調整剤(ケイカル0.5g+ミネカル5.5g)を供給した試験体とした。
7.試験体名「赤土+帆中」は、赤土200gに、中粒のホタテ貝殻粉砕物100g+硝酸カルシウム8g+酵母液150ml+pH調整剤(ケイカル0.5g+ミネカル12.0g)を供給した試験体とした。
8.試験体名「赤土+帆荒」は、赤土200gに、荒粒(欠片状)のホタテ貝殻粉砕物100g+硝酸カルシウム8g+酵母液150ml+pH調整剤(ケイカル0.5g+ミネカル12.0g)を供給した試験体とした。
赤土(粘土質の土)は、粒径0.074mm~0.005mm程度のものであり、商品名「山砂」、中島砂利の会社製を使用した。
ホタテ貝殻粉砕物は、未焼成のホタテ貝殻を粉砕したホタテ貝殻粉砕物を用いた。
中粒のホタテ貝殻粉砕物は、粒径2mm~0.85mmのホタテ貝殻粉砕物が55~60%+粒径0.85mm~0.005mmのホタテ貝殻粉砕物が40~45%であり、商品名「ホタテで元気」、青森エコサイクル産業共同組合会社製を使用した。
粉状のホタテ貝殻粉砕物は、粒径0.106mm~0.005mmのホタテ貝殻粉砕物が100%であり、商品名「スキャロップマーカー」、青森エコサイクル産業共同組合会社製を使用した。
荒粒(欠片状)のホタテ貝殻粉砕物は、粒径10mm~2mmのホタテ貝殻粉砕物が80~90%+粒径0.85mm~0.1mmのホタテ貝殻粉砕物が10~20%であり、商品名「ホタテチップ」、青森エコサイクル産業共同組合会社製を使用した。
pH調整剤としての転炉石灰肥料である上述したミネカルは、商品名「くみあいミネカル」、産業振興株式会社製を用いた。
pH調整剤としての鉱さい珪酸質肥料である上述したケイカルは、商品名「くみあいケイカル」、村樫石灰工業株式会社製を使用した。
また、酵母液150mlは、イースト菌8gとグルコース8gとを純水に溶かして作製した。
また、山砂を用いた試験体は、所定の容器の底に、山砂又は山砂とホタテ貝殻粉砕物とを、深さ40mmとなるように敷き詰めた後に、酵母液150mlを注ぐことで作製した。
また、赤土(粘土)を用いた試験体は、所定の容器の底に、赤土又は赤土とホタテ貝殻粉砕物とを、深さ10mmとなるように敷き詰めた後に、酵母液150mlを注ぐことで作製した。
そして、各試験体を7日間、室温環境下(温度30℃、湿度60%)で放置して、1日経過する毎に、各試験体の支持強度を測定した。
支持強度の測定方法は、山中式硬度計により測定した。
貝殻粉砕物を供給しなかった試験体、即ち、図1の試験体名「山砂」、及び、「赤土」の経時に伴って得られた支持強度の推移の結果を図2に示す。
図2に示すグラフからわかるように、貝殻粉砕物を供給せずに酵母液を供給しただけの試験体である「山砂」及び「赤土」では、十分な支持強度は得らず、期待した土壌改良効果は得られなかった。
第2に、実験では、硝酸カルシウムを供給したため、硝酸カルシウム中のカルシウムイオンと微生物の代謝作用により生成される二酸化炭素とが反応する鉱物化反応が促進されて貝殻粉砕物の粒子間に炭酸カルシウムが析出されることにより、貝殻粉砕物の粒子間の結合がより強固になり、貝殻粉砕物同士が結合されて固化した貝殻粉砕物固化体が形成されたと考えられる。
第3に、微生物の代謝作用により生成される二酸化炭素と、土壌中に存在するカルシウムイオン、あるいは、土壌に供給された硝酸カルシウム中のカルシウムイオンとが反応(鉱物化反応)して、土粒子間に析出される炭酸塩により、土壌が固化したと考えられる。
即ち、土壌に、未焼成の貝殻粉砕物と微生物とを供給した場合、貝殻粉砕物の固化と土壌の固化との相乗効果によって、土壌改良効果が向上したと考えられる。
即ち、実験では、山砂の粒径よりも小さい粒径のホタテ貝殻粉砕物を供給しているため、山砂の粒子間にホタテ貝殻粉砕物が入り込んで、山砂の粒子間の結合がより強固になり、支持強度の大きい土壌となったものと推測される。
即ち、実験から、土壌の土粒子の大きさに対応した大きさのホタテ貝殻粉砕物と微生物とを土壌に供給することにより、土壌の支持強度を向上できることがわかった。
即ち、赤土とホタテ貝殻粉砕物との間の間隔が大きくてばらばらな配置となってしまう。このため、赤土とホタテ貝殻粉砕物との結合が弱くなり、支持強度が得られなかったものと考えられる。
例えば、粒径0.074mm~0.005mm程度の粘土である赤土に、粒径が0.106mm~0.005mmの粉状のホタテ貝殻粉砕物を供給すること、即ち、土壌の土粒子の粒径以下の大きさのホタテ貝殻粉砕物と微生物とを赤土(土壌)に供給することによって、赤土の粒子間に粉状のホタテ貝殻粉砕物が入り込みやすくなり、赤土の粒子間の結合がより強固になることから、支持強度を著しく向上できる顕著に優れた土壌改良効果が得られることがわかった。
即ち、微生物反応により発生する炭酸イオンとカルシウムイオンとが反応する鉱物化反応を促進させるための土壌のpH環境は、pH8~9であることが好ましいとされており、上述したミネカル、又は、ケイカル、又は、ミネカルとケイカルとを混合した混合肥料を用いて、土壌のpH環境をpH8~9に維持することにより、鉱物化反応を促進できて好ましい土壌改良効果を得ることができる。
また、微生物としてイースト菌を例示したが、その他の微生物を用いてもよい。
さらに、微生物によって代謝される栄養源としてグルコースを例示したが、その他の栄養源を用いてもよい。
また、未焼成のホタテ貝殻粉砕物に、微生物と当該微生物によって代謝される栄養源とを供給することが好ましいが、培養して活性化させた微生物のみを未焼成のホタテ貝殻粉砕物に供給するようにしてもよい。
尚、カルシウムイオンを含む塩化カルシウムを供給するようにしてもよい。
また、「供給」とは、貝殻粉砕物と微生物とを、土壌の表面に供給すること、あるいは、土壌中に供給すること、あるいは、土壌中に混ぜることを言う。
Claims (3)
- 土壌に、未焼成の貝殻を土壌の土粒子の粒径以下の大きさに粉砕した貝殻粉砕物と微生物とを混合したもの、及び、微生物によって代謝される栄養源と、硝酸カルシウムと、pH調整剤とを供給して土壌を固化させたことを特徴とする土壌改良方法。
- 貝殻粉砕物として、ホタテ貝殻を粉砕したものを用いたことを特徴とする請求項1に記載の土壌改良方法。
- pH調整剤として、転炉石灰肥料、又は、鉱さい珪酸質肥料、又は、転炉石灰肥料と鉱さい珪酸質肥料とを混合した混合肥料を用いたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の土壌改良方法。
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