JP7273355B1 - 構造部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

構造部材(10,10A,10B)の製造方法は、金属板からなる素材(M)を加熱する加熱工程と、金型(20)を用い、加熱された素材(M)を構造部材(10,10A,10B)に成形する成形工程とを備える。金型(20)は、下型(21)と、パッド(23)と、上型(22)とを含む。下型(21)の頂面(211)は、頂面本体(211A)及び張出部(211B)を含む。パッド(23)は、頂面本体(211A)に対向する。成形工程では、頂面本体(211A)とパッド(23)とで素材(M)を挟持する一方、張出部(211B)と上型(22)及びパッド(23)とで素材(M)を挟持しない状態で、上型(22)と下型(21)とを相対的に接近させて素材(M)をプレスする。

Description

本開示は、自動車用の構造部材、及びその製造方法に関する。
自動車は、多数の構造部材によって構成されている。構造部材には、例えば、ピラー、サイドメンバ、サイドシル、クロスメンバ、フロアパネル、ルーフパネル等が含まれる。構造部材は、例えば、金属板にプレス加工を施すことによって製造される。特許文献1~3は、上型及び下型を含む金型を用い、金属板を構造部材に成形する製造方法を開示している。
特許文献1の製造方法では、まず、金属板を下型上に載置し、この金属板をパッドによって加圧する。次に、上型を下型に接近させ、金属板の長手方向の一端縁を面内移動させながら、上型及び下型によって金属板を挟持して構造部材に成形する。特許文献1では、この製造方法で製造される構造部材として、センターピラー(Bピラー)が例示されている。
特許文献2は、サイドメンバ、サイドシル、及びクロスメンバ等の構造部材に適した製造方法を開示する。特許文献2において製造対象とされる構造部材は、概略ハット形状の横断面を有する。すなわち、構造部材は、天板と、2つの縦壁と、2つのフランジとを含んでいる。構造部材の長手方向の端部には、天板及び各縦壁から立ち上がる外向きフランジが設けられている。特許文献2では、外向きフランジとその他の部分とが共通の下型によって成形される。特許文献2では、金属板のうち、少なくとも外向きフランジとなる領域及びその近傍の領域が下型の頂面から離れた状態となるようにして、構造部材の成形が開始される。
特許文献3は、例えばクロスメンバ等、T字形状を有する構造部材(T字形状部品)を対象とした製造方法を開示する。T字形状部品は、T字形状を有する天板と、天板に連続する縦壁と、縦壁の下端に連続するフランジとを含む。天板は、縦辺部と、縦辺部に接続された横辺部とを含む。
特許文献3の製造方法は、金属板を中間形状部品に成形する第1成形工程と、中間形状部品をトリミングしてトリミング部品を得るトリミング工程と、上型及び下型を含む金型を用いてトリミング部品をT字形状部品に成形する第2成形工程とを含んでいる。第1成形工程では、天板の縦辺部のうち横辺部に隣接する部分に、凸形状部が形成される。また、第1成形工程では、縦壁のうち天板の横辺部に連続する部分とフランジとの接続箇所を持ち上げるように、湾曲R部が形成される。凸形状部及び湾曲R部は、第2成形工程において上型で押し潰される。
特許第6436166号公報 特許第5958644号公報 特開2019-013952号公報
例えば特許文献1及び特許文献3に記載されているように、自動車用の構造部材には、平面視でT字形状を有するものがある。この構造部材の天板は、構造部材の長手方向に延びる天板本体と、天板本体から構造部材の幅方向に張り出す張出部とを含んでいる。構造部材の縦壁は、天板本体及び張出部に連続するように設けられる。構造部材には、縦壁から構造部材の幅方向に張り出すフランジも設けられる。フランジは、天板の反対側で縦壁に接続される。
このような構造部材をプレス加工によって製造する場合、縦壁において割れが発生することがある。より具体的には、プレス加工の際、縦壁のうち、天板の張出部に連続し且つ構造部材の高さ方向に延びる部分の端縁で割れが発生しやすい。また、縦壁のうち構造部材の高さ方向に延びる部分とフランジとの接続部分で割れが発生することもある。プレス加工時における割れは、引張強度が大きい鋼板から構造部材を成形する場合に特に発生しやすくなる。
本開示は、自動車用の構造部材の製造において割れの発生を抑制すること、特に、縦壁のうち構造部材の高さ方向に延びる部分の端縁、及び縦壁とフランジとの接続部分での割れの発生を抑制することを課題とする。
本開示に係る製造方法は、自動車用の構造部材の製造方法である。この製造方法は、金属板からなる素材を加熱する加熱工程と、金型を用い、加熱された素材を構造部材に成形する成形工程とを備える。金型は、下型と、パッドと、上型とを含む。下型は、頂面と、肩部と、側面と、フランジ面とを含む。頂面は、頂面本体及び張出部を含む。張出部は、頂面本体の側縁から外側に張り出している。肩部は、頂面本体の側縁及び張出部に連続する。側面は、肩部を介して頂面本体及び張出部に接続される。フランジ面は、頂面の反対側で側面に接続される。パッドは、頂面本体に対向する。上型は、パッドの側方に配置される。成形工程では、頂面本体とパッドとで素材を挟持する一方、張出部と上型及びパッドとで素材を挟持しない状態で、上型と下型とを相対的に接近させて、上型と、肩部、側面、及びフランジ面とで素材をプレスする。
本開示によれば、自動車用の構造部材の製造において割れの発生を抑制することができる。本開示によれば、自動車用の構造部材の製造において、特に、縦壁のうち構造部材の高さ方向に延びる部分の端縁、及び縦壁とフランジとの接続部分での割れの発生を抑制することができる。
図1は、第1実施形態に係る構造部材の斜視図である。 図2は、図1に示す構造部材の横断面図である。 図3Aは、上記構造部材の製造方法を説明するための模式図である。 図3Bは、上記構造部材の製造方法を説明するための模式図である。 図3Cは、上記構造部材の製造方法を説明するための模式図である。 図3Dは、上記構造部材の製造方法を説明するための模式図である。 図3Eは、上記構造部材の製造方法を説明するための模式図である。 図3Fは、上記構造部材の製造方法を説明するための模式図である。 図3Gは、上記構造部材の製造方法を説明するための模式図である。 図3Hは、上記構造部材の製造方法を説明するための模式図である。 図4は、図1に示す構造部材の部分拡大図である。 図5は、図1に示す構造部材の部分拡大図である。 図6は、第2実施形態に係る構造部材の斜視図である。 図7は、第2実施形態の変形例に係る構造部材の斜視図である。 図8は、第3実施形態に係る構造部材の斜視図である。 図9は、図8に示す構造部材のプレス成形で用いられる素材の平面図である。 図10は、第4実施形態に係る製造方法で用いられる金型の斜視図である。 図11は、図10に示す金型の横断面図である。 図12は、上記各実施形態の変形例に関する金型の斜視図である。 図13は、解析によって得られたグラフであり、構造部材に含まれる縦壁の端縁について、天板側の端からの距離と板厚減少率との関係を示すグラフである。 図14は、解析の条件を説明するための模式図である。
実施形態に係る製造方法は、自動車用の構造部材の製造方法である。この製造方法は、金属板からなる素材を加熱する加熱工程と、金型を用い、加熱された素材を構造部材に成形する成形工程とを備える。金型は、下型と、パッドと、上型とを含む。下型は、頂面と、肩部と、側面と、フランジ面とを含む。頂面は、頂面本体及び張出部を含む。張出部は、頂面本体の側縁から外側に張り出している。肩部は、頂面本体の側縁及び張出部に連続する。側面は、肩部を介して頂面本体及び張出部に接続される。フランジ面は、頂面の反対側で側面に接続される。パッドは、頂面本体に対向する。上型は、パッドの側方に配置される。成形工程では、頂面本体とパッドとで素材を挟持する一方、張出部と上型及びパッドとで素材を挟持しない状態で、上型と下型とを相対的に接近させて、上型と、肩部、側面、及びフランジ面とで素材をプレスする(第1の構成)。
第1の構成に係る製造方法では、上型と、下型と、パッドとを含む金型を用いて素材から構造部材を成形する。下型の頂面には、頂面本体と、頂面本体から外側に張り出す張出部とが設けられている。成形工程では、下型の頂面本体とパッドとで素材が挟持される一方、下型の頂面の張出部とパッドとで素材が挟持されない状態で、上型及び下型によって加熱された素材がプレスされる。この場合、素材のうち下型の頂面の張出部に対応する部分、言い換えると構造部材の天板の張出部に成形される部分が金型によって拘束されない。これにより、素材のうち天板の張出部に成形される部分が金型によって冷却されにくくなり、また、構造部材の成形中に当該部分で材料を流動させることができる。材料は、天板の張出部となる部分から縦壁となる部分(下型の側面に沿って成形される部分)に向かって流入する。これにより、構造部材における割れの発生を抑制することができる。特に、縦壁のうち、天板の張出部に連続し構造部材の高さ方向に延びる部分の端縁や、縦壁とフランジとの接続部分において割れが発生するのを抑制することができる。
例えば、成形工程において縦壁の端縁で割れが発生する場合、成形工程後にトリム工程を実施し、成形品の外周部をレーザ切断して割れが生じた部分を除去する必要がある。これに対して、第1の構成に係る製造方法では、天板の張出部を金型によって拘束しないことにより、成形工程において縦壁の端縁での割れが発生するのを抑制することができる。そのため、成形工程後のトリム工程が不要となる。トリム工程が不要である場合、トリム工程を行う場合と比較して、成形工程に投入する素材の量を減少させることができる。よって、構造部材の製造における歩留まりを向上させることができる。また、素材の投入量が減少し、トリム工程が行われないことにより、構造部材の製造における輸送量や電力量等が低減されるため、温室効果ガスの排出量を低減することもできる。
下型は、第1下型と、第2下型とを含んでいてもよい。第2下型は、第1下型に隣接して配置される。第2下型は、頂面の張出部を含む。第1下型と第2下型との間に予め段差を生じさせておくことにより、上型と下型とを相対的に接近させたとき、第1下型が第2下型に先行して上型との間で素材をプレスすることができる(第2の構成)。
第2の構成において、下型は、第1金型と、第1金型と別体の第2金型とを含んでいる。第1金型と第2金型との間には予め段差が生じているため、構造部材を成形する際、頂面の張出部を含む第2金型よりも先に第1金型が素材に接触する。この場合、素材のうち下型の頂面の張出部に対応する部分、すなわち構造部材の天板の張出部に成形される部分及びその近傍がより拘束されにくくなり、天板側から縦壁側への材料の流動をより促進させることができる。そのため、縦壁のうち高さ方向に延びる部分の端縁や、縦壁とフランジとの接続部分における割れの発生をより抑制することができる。
第1下型は、クッション機構によって昇降可能に構成されていてもよい。この場合、成形工程では、上型を第1下型及び第2下型に向かって下降させることができる(第3の構成)。
実施形態に係る構造部材は、自動車用の構造部材である。構造部材は、天板と、稜線部と、縦壁と、フランジとを備える。天板は、天板本体及び張出部を含む。張出部は、天板本体の側縁から外側に張り出している。稜線部は、天板本体の側縁及び張出部に連続する。縦壁は、稜線部を介して天板本体及び張出部に接続される。フランジは、天板の反対側で縦壁に接続される。フランジは、縦壁から構造部材の外側に張り出している。天板本体の板厚を基準とする板厚減少率をT[%]としたとき、縦壁のうち張出部に連続する部分の端縁において、以下の式を満たす板厚減少率Tを有する領域の長さは、天板本体の板厚の2.0倍以上である(第4の構成)。
0.9×Tmax≦T≦Tmax
ただし、Tmax[%]は、縦壁のうち張出部に連続する部分の端縁における板厚減少率の最大値である。
第4の構成に係る構造部材では、縦壁のうち天板の張出部に連続する部分の端縁において、上記式を満たす領域の長さが天板本体の板厚の2.0倍以上となっている。これは、縦壁のうち天板の張出部に連続する部分、言い換えると、縦壁のうち構造部材の高さ方向に延びる部分の端縁の板厚分布が比較的均一化されていることを意味している。この場合、構造部材の使用時において、縦壁の端縁にある板厚減少部への応力集中が起こりにくくなり、縦壁の端縁から割れが生じるのを抑制することができる。すなわち、構造部材に優れた耐久性能を持たせることができる。
第4の構成に係る構造部材では、縦壁の端縁において割れが生じにくくなっている。そのため、例えばスポット溶接によって構造部材を他の部材と接合する際に、縦壁の端縁近傍にスポット溶接の打点を形成することができる。これにより、構造部材を他の部材と強固に接合することができ、構造部材と他の部材との間の荷重伝達能を向上させることができる。
縦壁のうち張出部に連続する部分の端縁における算術平均粗さRaは、3.00μm以下であってもよい(第5の構成)。
構造部材は、325Hv以上のビッカース硬さを有していてもよい(第6の構成)。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
<第1実施形態>
[構造部材の構成]
図1は、第1実施形態に係る構造部材10の斜視図である。図2は、構造部材10の横断面図(II-II断面図)である。構造部材10は、自動車用の構造部材として使用される。構造部材10は、例えば、フロアパネル上又はフロアパネル裏に配置されるクロスメンバや、クロスメンバの端部に設けられるクロスエクステンション等である。
図1を参照して、構造部材10は、天板11と、2つの稜線部12と、2つの縦壁13と、2つのフランジ14とを備える。
天板11は、天板本体111と、2つの張出部112とを含む。本実施形態において、天板本体111は、構造部材10の平面視で長尺形状を有している。以下、天板本体111が延びる方向を構造部材10の長手方向といい、構造部材10の平面視で長手方向に対して実質的に垂直な方向を構造部材10の幅方向という。また、長手方向及び幅方向に実質的に垂直な方向を構造部材10の高さ方向という。
天板本体111は、2つの側縁111aを含む。側縁111aは、それぞれ、構造部材10の長手方向に延びている。側縁111aの各々には、張出部112が隣接して設けられている。
張出部112は、天板本体111の側縁111aから構造部材10の幅方向で外側に張り出している。張出部112は、天板本体111の長手方向の一端部に設けられている。天板11は、天板本体111及び2つの張出部112を含むことにより、構造部材10の平面視で実質的にT字形状を有している。張出部112は、例えば、天板本体111と実質的に又は概ね同一平面上に位置する。
稜線部12は、それぞれ、天板本体111の側縁111aに連続する。各稜線部12は、天板11の張出部112にも連続している。各稜線部12は、天板本体111から張出部112にわたって延在している。各稜線部12は、主として天板本体111に対応する部分と張出部112に対応する部分との間にコーナー部121を有する。構造部材10の平面視で、コーナー部121は、例えば5.0mm以上、100.0mm以下の曲率半径を有する。構造部材10の平面視におけるコーナー部121の曲率半径は、5.0mm以上、50.0mm以下であることが好ましく、5.0mm以上、25.0mm以下であることがより好ましい。図2を参照して、各稜線部12は、例えば、構造部材10の横断面視で実質的に円弧状を有する。
図1及び図2を参照して、縦壁13は、それぞれ、第1部分131及び第2部分132を含む。第1部分131は、稜線部12を介して天板本体111の側縁111aに接続されている。第1部分131は、天板本体111に沿って構造部材10の長手方向に延在する。一方の縦壁13の第1部分131は、他方の縦壁13の第1部分131と構造部材10の幅方向に対向している。第2部分132は、稜線部12を介して天板11の張出部112に接続されている。第2部分132は、天板11の張出部112からフランジ14まで、構造部材10の高さ方向に延びている。
図1及び図2を参照して、フランジ14は、それぞれ、天板11の反対側で縦壁13に接続されている。各フランジ14は、稜線部15を介して縦壁13に接続されている。各稜線部15は、縦壁13の第1部分131及び第2部分132に沿って延在している。各稜線部15は、例えば、構造部材10の横断面視で実質的に円弧状を有する。
各フランジ14は、縦壁13から構造部材10の外側に張り出している。より詳細には、各フランジ14は、縦壁13の第1部分131から構造部材10の幅方向において外側に張り出している。各フランジ14は、縦壁13の第1部分131に沿って構造部材10の長手方向に延在し、縦壁13の第2部分132に接続されている。
[構造部材の製造方法]
以下、構造部材10の製造方法について、図3A~図3Hを参照しつつ説明する。図3A~図3Hは、構造部材10の製造方法を説明するための模式図である。構造部材10の製造方法は、素材Mを準備する工程と、素材Mを加熱する工程と、加熱された素材Mを構造部材10に成形する工程とを備える。構造部材10は、熱間成形(ホットスタンピング)によって製造される。
(準備工程)
図3Aを参照して、準備工程では、金属板からなる素材Mを準備する。素材Mは、鋼板で構成されてもよい。素材Mは、例えば、構造部材10(図1及び図2)を展開した形状のブランクである。このようなブランクは、目的の形状の型を用い、金属帯(コイル)に打ち抜き加工を施して形成することができる。あるいは、レーザによるくり抜き加工をコイルに施すことにより、ブランクが形成されてもよい。
(加熱工程)
加熱工程は、準備された素材Mを加熱する工程である。加熱工程において、素材Mは、ホットスタンピングに適した温度に加熱される。素材Mは、例えば公知の加熱炉によって加熱される。
(成形工程)
加熱された素材Mは、図3B~図3Dに示す金型20に搬送される。成形工程では、金型20を用い、加熱された素材Mを構造部材10(図1及び図2)に成形する。まず、図3B~図3Dを参照して、金型20の構成について説明する。図3Bは、金型20の斜視図である。図3Cは、金型20の横断面図(IIIC-IIIC断面図)である。図3Dは、金型20の縦断面図(IIID-IIID断面図)である。
図3Bを参照して、金型20は、下型21と、2つの上型22と、パッド23とを含む。下型21は、パンチであり、上型22は、下型21に対応するダイである。成形工程を開始するに際し、下型21は、上型22及びパッド23に対向して配置される。下型21は、例えば、上型22及びパッド23の下方に配置される。下型21、上型22、及びパッド23は、例えば、公知のプレス機(図示略)に取り付けられる。
図3B及び図3Cを参照して、下型21は、頂面211と、2つの肩部212と、2つの側面213と、2つのフランジ面214とを含む。
頂面211は、パッド23に対向する上向きの面である。頂面211は、構造部材10の天板11(図1及び図2)を成形するための面である。そのため、頂面211は、天板11に対応する形状を有する。頂面211は、天板11に対応し、下型21の平面視で実質的にT字形状を有している。
頂面211は、頂面本体211Aと、2つの張出部211Bとを含む。頂面本体211Aは、構造部材10の天板本体111(図1及び図2)に対応して、下型21の平面視で長尺形状を有している。以下、頂面本体211Aが延びる方向を金型20の長手方向といい、金型20の平面視で長手方向に対して実質的に垂直な方向を金型20の幅方向という。また、長手方向及び幅方向に実質的に垂直な方向を金型20の高さ方向という。金型20の長手方向、幅方向、及び高さ方向は、それぞれ構造部材10の長手方向、幅方向、及び高さ方向と一致する。
頂面本体211Aは、2つの側縁211aを含む。これらの側縁211aは、頂面本体211Aの長手方向に延びる側縁である。側縁211aの各々には、張出部211Bが隣接して設けられている。
張出部211Bは、それぞれ、構造部材10の天板11の張出部112(図1及び図2)に対応し、頂面本体211Aの側縁211aから外側に張り出している。張出部211Bは、頂面本体211Aの長手方向の一端部に設けられている。張出部211Bは、例えば、頂面本体211Aと実質的に又は概ね同一平面上に位置する。
肩部212は、それぞれ、頂面本体211Aの側縁211aに連続する。各肩部212は、頂面211の張出部211Bにも連続している。各肩部212は、構造部材10の稜線部12(図1及び図2)に対応し、頂面本体211Aから張出部211Bにわたって延在している。
図3C及び図3Dを参照して、側面213は、構造部材10の縦壁13の第1部分131及び第2部分132(図1及び図2)に対応し、第1部分213A及び第2部分213Bを含んでいる。第1部分213Aは、肩部212を介して頂面本体211Aの側縁211aに接続され、金型20の長手方向に延在している。第2部分213Bは、肩部212を介して頂面211の張出部211Bに接続されている。第2部分213Bは、頂面211の張出部211Bからフランジ面214まで、下型21の高さ方向に延びている。
フランジ面214は、それぞれ、頂面211の反対側で側面213に接続されている。各フランジ面214は、構造部材10のフランジ14に対応して、側面213から下型21の外側に張り出している。より詳細には、各フランジ面214は、側面213の第1部分213Aから金型20の幅方向において外側に張り出している。各フランジ面214は、側面213の第1部分213Aに沿って金型20の長手方向に延在し、側面213の第2部分213Bに接続されている。
引き続き図3C及び図3Dを参照して、2つの上型22は、例えば、プレス機(図示略)において昇降可能なスライドに取り付けられる。上型22は、それぞれ成形面221を含んでいる。成形面221は、下型21の肩部212、側面213、及びフランジ面214に対応する形状を有する。2つの上型22の間には、パッド23が配置される。すなわち、パッド23の両側方に上型22が配置されている。これらの上型22は、別体であってもよいが、一体的に形成されていてもよい。
パッド23は、例えば、伸縮可能な弾性部材24を介し、プレス機(図示略)のスライドに接続される。パッド23は、下型21の頂面本体211Aに対向する。パッド23は、下型21の頂面211の張出部211Bには対向しない。すなわち、下型21の肩部212のうち張出部211Bに連続している部分よりも、金型20の幅方向において内側にパッド23が配置される。パッド23は、例えば、金型20の平面視で実質的にI字形状を有する。
成形工程では、このように構成された金型20を用い、素材Mを構造部材10(図1及び図2)に成形する。成形工程では、下型21の頂面本体211Aとパッド23とで素材Mを挟持する一方、下型21の頂面211に設けられた張出部211Bと上型22及びパッド23とでは実質的に素材Mを挟持しない状態で、上型22と下型21とを相対的に接近させて、上型22と、下型21の肩部212、側面213、及びフランジ面214とで素材Mをプレスする。以下、成形工程についてより詳細に説明する。
図3C及び図3Dに示すように、成形工程を開始する際、プレス機(図示略)のスライドに取り付けられた上型22及びパッド23は、上死点に位置する。この状態で、加熱工程において加熱された素材Mを下型21の頂面211上に載置する。その後、プレス機のスライドとともに上型22及びパッド23を下型21に向かって下降させ、上型22及びパッド23を下型21に対して接近させる。
上型22及びパッド23を下型21に対して接近させると、図3Eに示すように、まず、下型21上の素材Mがパッド23によって押さえられる。より具体的には、素材Mのうち下型21の頂面本体211A上に位置する部分が、下型21とパッド23とによって挟持される。一方、素材Mのうち下型21の頂面211の張出部211B上に位置する部分は、下型21とパッド23とによって挟持されない。
図3Fは、素材M(図3E)のうちパッド23によって拘束される部分をより詳細に説明するための模式図である。図3Fに示すように、下型21において、各肩部212は、主として頂面本体211Aに対応する部分と張出部211Bに対応する部分との間にコーナー部212Aを有する。下型21は、プレス方向に沿って見てコーナー部212Aに隣接する領域Aを含んでいる。領域Aは、図3Fにおいてハッチングで示すように、コーナー部212Aから頂面211の内側へ素材M(図3E)の板厚の10倍までの領域である。パッド23は、プレス方向(高さ方向)に沿って見たとき、領域Aの少なくとも一部と重なるように配置される。すなわち、素材Mのうち、コーナー部212Aに隣接する領域Aとプレス方向に対向している範囲の少なくとも一部は、パッド23によって押さえられる。一方、素材Mのうち、コーナー部212Aに隣接する領域Aよりも下型21の幅方向において外側に位置する部分は、パッド23によって押さえられない。すなわち、パッド23は、成形工程において、素材Mのうち、コーナー部212Aの張出部211B側の端よりも幅方向で外側に位置する部分を拘束しない。
図3Eに戻り、下型21の頂面本体211Aとパッド23とで素材Mを挟持する一方、下型21の頂面211の張出部211Bとパッド23とで素材Mを挟持しない状態のまま、プレス機(図示略)のスライドをさらに下降させる。これにより、パッド23をスライドに接続する弾性部材24が縮み、上型22がパッド23に対して相対的に下降する。その結果、上型22が下型21にさらに接近し、上型22及び下型21による素材Mのプレス成形が開始される。図3Gに示すように、素材Mのうち下型21の頂面211の張出部211Bに位置する部分は、成形途中において張出部211Bから若干離れた状態となる。
図3Hに示すように、上型22を下死点まで到達させると、上型22と下型21とが完全に素材Mをプレスし、構造部材10が成形される。構造部材10は、金型20との接触によって抜熱(焼入れ)され、高強度化される。
図4を参照して、成形工程後の構造部材10において、各縦壁13の第2部分132の端縁132aは、変形領域R1を含む。変形領域R1は、天板11の張出部112の端縁112aと縦壁13の第2部分132の端縁132aとを接続する稜線部12の端縁12aのR止まり(縦壁13側)から、縦壁13の第2部分132の端縁132aとフランジ14の端縁14aとを接続する稜線部15の端縁15aのR止まり(縦壁13側)までの範囲内にある。
変形領域R1は、その全体にわたり、以下の式(1)を満たす板厚減少率T[%]を有する。
0.9×Tmax≦T≦Tmax (1)
上記式(1)のTmax[%]は、各縦壁13の第2部分132の端縁132aにおける板厚減少率Tの最大値である。板厚減少率Tは、天板本体111の板厚を基準とする板厚減少率である。天板本体111の板厚をt0、各縦壁13の端縁132aにおいて任意で選択した位置の板厚をt1としたとき、当該位置の板厚減少率T[%]は、(t0-t1)/t0×100によって得ることができる。天板本体111の板厚t0は、天板本体111のうち、成形による歪みが実質的に生じていない部分の板厚である。すなわち、板厚t0は、成形前の素材Mの板厚と実質的に等しい。板厚t0は、天板本体111の中央部分であり、且つ平坦な形状を有する部分で測定される。板厚t0は、例えば、稜線部12や天板本体111の長手方向の端部から5mm以上離れた位置で測定された天板本体111の板厚である。天板本体111に段差や隆起部、貫通孔が設けられている場合は、稜線部12及び天板本体111の長手方向の端部だけでなく、段差、隆起部、及び貫通孔からも5mm以上離れた位置で測定された天板本体111の板厚を板厚t0とする。
各縦壁13の第2部分132の端縁132aにおいて、変形領域R1の長さは、天板本体111の板厚t0の2.0倍以上となっている。変形領域R1の長さは、好ましくは天板本体111の板厚t0の2.5倍以上である。変形領域R1の長さは、天板本体111の板厚t0の6.0倍以下であってもよい。
構造部材10は、325Hv以上のビッカース硬さを有することができる。構造部材10のビッカース硬さHVは、天板11のビッカース硬さで評価することができる。例えば、市販の測定器(全自動ビッカース硬さ試験機 HV‐100,株式会社ミツトヨ製)を用い、JIS Z 2244:2009に準拠したビッカース硬さ試験を実施して、天板11において任意の5箇所のビッカース硬さ[Hv]を測定する。この5箇所のビッカース硬さの平均値を構造部材10のビッカース硬さHVとすることができる。天板11のビッカース硬さは、例えば、試験力を294.2N(HV30の数値)とし、試験力の保持時間を15sとして測定される。
[効果]
本実施形態では、下型21と、上型22と、パッド23とを含む金型20を用いて素材Mから構造部材10を成形する。成形工程では、素材Mのうち下型21の頂面本体211Aに位置する部分をパッド23で押さえる一方、素材Mのうち下型21の張出部211Bに位置する部分をパッド23で押さえない状態で、上型22及び下型21によって加熱された素材Mをプレスする。この場合、素材Mのうち下型21の張出部211Bに位置する部分、つまり構造部材10の天板11の張出部112となる部分が金型20によって拘束されない。素材Mのうち天板11の張出部112となる部分は、成形中、金型20から離れた状態となる。そのため、成形過程において、天板11の張出部112が冷却されにくくなり、張出部112において材料の流動を生じさせることができる。材料は、天板11の張出部112から縦壁13の第2部分132に向かい、構造部材10の高さ方向に流動する。これにより、構造部材10における割れの発生を抑制することができる。特に、縦壁13のうち、天板11の張出部112に連続する第2部分132の端縁132aや、縦壁13の第2部分132とフランジ14との接続部分において割れが発生するのを抑制することができる。
例えば、成形工程において縦壁の端縁で割れが発生する場合、その対策として余肉を付与したブランク材を用いて、製品外の形状を緩和して成形品を製造する。この場合、成形工程後にトリム工程を実施し、成形品の外周部をレーザ切断して製品形状とする必要がある。これに対して、本実施形態では、天板11の張出部112を金型20によって拘束しないことにより、成形工程において縦壁13の端縁での割れが発生するのを抑制することができる。そのため、成形工程後のトリム工程が不要となる。トリム工程が不要である場合、トリム工程を行う場合と比較して、成形工程に投入する素材Mの量を減少させることができる。よって、構造部材10の製造における歩留まりを向上させることができる。また、素材Mの投入量が減少し、トリム工程が行われないことにより、構造部材10の製造における輸送量や電力量等が低減されるため、温室効果ガスの排出量を低減することもできる。
上述したように、本実施形態の製造方法で構造部材10を製造する場合、成形工程後に構造部材10の外周部をレーザ切断する必要がない。よって、完成した構造部材10の端縁は、レーザ切断を行うトリム工程を経て完成した構造部材の端縁と比較して滑らかになる。
成形工程(ホットスタンピング)後に構造部材のレーザ切断を行った場合において、レーザ切断によって生じた端縁部(レーザ切断面)の算術平均粗さRaを計測したところ、レーザ切断面の算術平均粗さRaは、最小でも4.20μmであった。その他の自動車部品においても、レーザ切断によって生じた端縁部(レーザ切断面)の算術平均粗さRaを計測したところ、レーザ切断面の算術平均粗さRaは、3.00μmを超えていた。
これに対して、本実施形態では、成形工程後の構造部材10において、縦壁13の第2部分132の端縁132a、及び縦壁13を天板11に接続する稜線部12の端縁12aにはレーザ切断が施されていない。そのため、端縁132a,12aにおける算術平均粗さRaは、成形工程後にレーザ切断した面の算術平均粗さRaよりも有意に小さくなる。より具体的には、構造部材10において、縦壁13の第2部分132の端縁132aにおける算術平均粗さRaは、3.00μm以下となる。同様に、稜線部12の端縁12aにおける算術平均粗さRaは、3.00μm以下となる。
図5を参照して、縦壁13の第2部分132の端縁132a、及び稜線部12の端縁12aにおける算術平均粗さRaは、市販の表面粗さ測定器を用いて測定することができる。より具体的には、表面粗さ測定器(レーザーマイクロスコープ,株式会社キーエンス製)を用い、JIS B 0601:2013に準拠して、縦壁13の端縁132a及び稜線部12の端縁12aで構成される領域(図5の太線領域)において、板表面から0.1mmの位置での粗さ曲線を作成し、粗さ曲線の評価長さを12.5mm、基準長さを2.5mmとして算術平均粗さRaを求めることができる。同様に、上記表面粗さ測定器を用い、JIS B 0601:2013に準拠して、縦壁13の端縁132a及び稜線部12の端縁12aで構成される領域において、板厚中心及び板裏面から0.1mmの位置での粗さ曲線を作成し、粗さ曲線の評価長さを12.5mm、基準長さを2.5mmとして算術平均粗さRaを求めることができる。得られた算術平均粗さRaは、いずれも3.00μm以下となる。
本実施形態に係る構造部材10において、縦壁13の第2部分132は、上記式(1)を満たす変形領域R1を端縁132aに有する。変形領域R1の長さは、天板本体111の板厚t0の2.0倍以上となっている。これは、各縦壁13において第2部分132の端縁132aの板厚分布が均一化されていることを意味している。この場合、構造部材10の使用時において、各縦壁13の第2部分132の端縁132aでの板厚減少部への応力集中が起こりにくくなり、端縁132aにおいて割れが生じるのを抑制することができる。すなわち、構造部材10に優れた耐久性能を持たせることができる。
本実施形態に係る構造部材10では、縦壁13の第2部分132の端縁132aにおいて局所的な板厚減少が低減され、端縁132aでの割れが生じにくくなっている。そのため、例えばスポット溶接によって構造部材10と他の部材とを接合する際に、縦壁13の端縁132aの近傍にスポット溶接の打点を形成することができる。これにより、構造部材10を他の部材と強固に接合することができ、構造部材10と他の部材との間の荷重伝達能を向上させることができる。
本実施形態に係る製造方法によれば、素材Mを構造部材10に成形する際、縦壁13の第2部分132及びその近傍において割れが発生するのを抑制することができる。そのため、構造部材10の材料として、高強度材を採用することができる。例えば、ホットスタンピング後の引張強度が1000MPa以上、又は2000MPa以上となる鋼板によって構造部材10を構成することができる。高強度材で構造部材10を構成することにより、構造部材10の強度を確保しつつ、構造部材10を薄肉軽量化することができる。
一般に、ホットスタンピングによって成形された構造部材は、成形時に板厚減少が生じなかった箇所で硬く、板厚減少が生じた箇所では硬さが不足するという特徴を有する。そのため、一般的な構造部材の場合、板厚減少部に変形が集中し、変形集中の程度によっては割れが発生する可能性が考えられる。しかしながら、本実施形態に係る構造部材10では、上述したように板厚分布が均一化されている。すなわち、構造部材10の場合、板厚減少が分散され、局所的な硬さの低下が抑制されている。そのため、構造部材10の使用時における変形集中を低減することができ、構造部材10の耐久性を向上させることができる。
本実施形態に係る構造部材10を天板11側から見たとき、稜線部12のコーナー部121の曲率半径は、例えば100.0mm以下であり、好ましくは50.0mm以下、より好ましくは25.0mm以下である。コーナー部121の曲率半径が小さい場合、稜線部12に連続する縦壁13の第1部分131と第2部分132との交差角度を、例えば略直角とすることができる。これにより、構造部材10をスペース効率に優れたものとすることができる。すなわち、他部品との空間的な取り合いの自由度を増加させることができ、構造部材10又は他の部品の設計上の寸法制約を低減することができる。また、構造部材10が配置される領域が狭い場合であっても、構造部材10の荷重伝達能を確保することができる。具体的には、狭い領域に配置された構造部材10に対して長手方向の荷重が入力されたとき、当該荷重を縦壁13の第2部分132が面で受け止めることができ、第2部分132からその他の部分へと荷重が伝達されやすくなる。そのため、長手方向の荷重について、構造部材10が良好な伝達能を発揮することができる。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る構造部材10Aの斜視図である。本実施形態に係る構造部材10Aの基本的な構成は、第1実施形態に係る構造部材10と構成と同一である。ただし、構造部材10Aは、天板11の形状において、第1実施形態に係る構造部材10と異なる。
図6に示すように、構造部材10Aでは、天板本体111の一部が他の部分と比較して上方に隆起している。縦壁13の高さは、天板本体111の形状に応じ、部分的に変化している。
本実施形態に係る構造部材10Aも、第1実施形態において説明した製造方法で製造することができる。構造部材10Aを製造する際には、成形工程の前に、金属板(ブランク)から中間成形品を成形する予備成形工程を実施してもよい。予備成形工程では、例えば絞り加工により、金属板から中間成形品を成形する。中間成形品は、例えば、天板本体111の隆起部が形成されたものであってもよい。中間成形品は、天板11の張出部112及び縦壁13の第2部分132の形状が緩やかに付けられたものであってもよい。予備成形工程は、典型的には冷間で実施される。この場合、予備成形工程で得られた中間成形品が加熱され、加熱された中間成形品が素材として成形工程に供される。
図7に示すように、構造部材10Aは、例えば、縦壁13の第2部分132とフランジ14との接続部分において切欠き16を有していてもよい。切欠き16は、構造部材10Aにおいて幅方向の一方側にのみ設けられていてもよいし、幅方向の両側に設けられていてもよい。切欠き16は、構造部材10Aに成形される前の素材に対し、予め形成しておくことができる。図示を省略するが、第1実施形態に係る構造部材10(図1及び図2)も、切欠き16を有することができる。
ただし、構造部材10,10Aの使用時において応力集中を生じにくくするため、構造部材10,10Aは切欠きを有しないことが好ましい。すなわち、天板11の張出部112、縦壁13、及びフランジ14の端縁は、滑らかに連続していることが好ましい。この場合、応力集中の抑制に加え、自動車の衝突時における構造部材10,10Aの荷重伝達能を向上させることができる。また、切欠きから構造部材10,10A内に水が浸入するのを防止することができ、構造部材10,10Aの発錆を抑制することができる。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る構造部材10Bの斜視図である。本実施形態の構造部材10Bは、上記実施形態に係る構造部材10,10Aと異なる形状を有する。上記実施形態に係る構造部材10,10Aは、例えば、フロアパネル上又はフロアパネル裏に配置されるクロスメンバや、クロスメンバの端部に設けられるクロスエクステンション等として使用することができる。一方、本実施形態に係る構造部材10Bは、例えば、Bピラーとして使用することができる。
図8を参照して、構造部材10Bは、上記実施形態に係る構造部材10,10Aと同様、天板本体111及び張出部112を含む天板11を備えている。また、構造部材10Bは、構造部材10,10Aと同様、第1部分131及び第2部分132を含む縦壁13を備える。構造部材10Bにおいて、縦壁13の第1部分131及び第2部分132は、稜線部12,15を介して天板11及びフランジ14に接続されている。フランジ14は、縦壁13の第1部分131及び第2部分132に対して天板11の反対側に設けられている。
本実施形態に係る構造部材10Bも、第1実施形態において説明した製造方法で製造することができる。構造部材10Bを製造する際には、図9に示すように、構造部材10Bを展開した形状のブランクを素材Mとして準備することができる。上記実施形態で説明したように、ブランクは、金属帯(コイル)に対して型による打ち抜き加工を施すことで形成されてもよいし、レーザによるくり抜き加工を施すことで形成されてもよい。
構造部材10Bは、第1実施形態で説明した製造方法によって製造されるため、上記実施形態に係る構造部材10,10Aと同様、成形工程において縦壁13の端縁等での割れが生じにくい。そのため、構造部材10Bについても、成形工程後のトリム工程は不要である。すなわち、成形工程後、構造部材10Bの外周部をレーザ切断する必要はない。よって、構造部材10Bにおいても、上記実施形態に係る構造部材10,10Aと同様、縦壁13の第2部分132の端縁、及び稜線部12の端縁における算術平均粗さRaは、3.00μm以下となる。
構造部材10Bにおいて、各縦壁13の第2部分132の端縁は、上記実施形態に係る構造部材10,10Aと同様の変形領域R1を有することができる。構造部材10Bは、上記実施形態に係る構造部材10,10Aと同様、325Hv以上のビッカース硬さを有することができる。
本実施形態に係る構造部材10Bにおいて、稜線部12は、上記実施形態に係る構造部材10,10Aと同様にコーナー部121を含んでいる。構造部材10Bの平面視で、コーナー部121の曲率半径は、例えば20.0mm以上、300.0mm以下である。構造部材10Bの平面視におけるコーナー部121の曲率半径は、15.0mm以上、200.0mm以下であることが好ましく、15.0mm以上、100.0mm以下であることがより好ましい。コーナー部121の曲率半径が小さい場合、他の実施形態に係る構造部材10,10Aと同様の効果を奏することができる。すなわち、稜線部12に連続する縦壁13の第1部分131と第2部分132との交差角度を直角又は直角に近い角度とすることができるため、狭い領域に構造部材10Bを配置することが可能となる。よって、他部品との空間的な配置の関係で構造部材10Bの寸法が制約されることが少なくなる。また、構造部材10Bに対して長手方向の荷重が入力されたとき、当該荷重を縦壁13の第2部分132が面で受け止めることができるため、長手方向の荷重について、構造部材10Bが良好な伝達能を発揮することができる。
<第4実施形態>
図10は、本実施形態に係る製造方法で使用される金型20Aの斜視図である。図11は、金型20Aの横断面図(XI-XI断面図)である。金型20Aは、下型21の構成においてのみ、第1実施形態において説明した金型20と異なる。上記実施形態に係る構造部材10,10A,10Bは、金型20Aを用いて成形することもできる。
図10を参照して、下型21は、第1下型215と、第2下型216とを含む。第1下型215及び第2下型216は、別体であり、独立して動作することができる。第2下型216は、頂面211の張出部211Bを含んでいる。第2下型216は、側面213の第2部分213Bも含んでいる。第2下型216は、第1下型215に隣接して配置されている。
図11を参照して、第1下型215は、クッション機構25によって昇降可能に構成されている。クッション機構25は、公知のプレス機(図示略)において一般に使用されるものでよく、例えば、ダイクッションやクッションピン等を含んでいる。
金型20Aの動作は、上記実施形態における金型20と同様である。ただし、金型20Aにおいて、第1下型215と第2下型216との間には予め段差が生じている。より具体的には、第1下型215は、クッション機構25に支持され、成形工程開始前において第2下型216よりもわずかに上方に位置づけられている。そのため、上型22を第1下型215及びと第2下型216に向かって下降させたとき、第1下型215が第2下型216に先行して上型22との間で素材Mをプレスする。上型22と第1下型215とによって素材Mがプレスされた時点では、第2下型216は素材Mをプレスしない。
第1下型215とともに素材Mを挟持した状態の上型22を第2下型216に対してさらに接近させると、上型22により、クッション機構25で支持された第1下型215が押し下げられる。これにより、第1下型215と第2下型216との間の段差が徐々に小さくなる。上型22が下死点に到達したとき、第1下型215と第2下型216との間の段差は消失し、第1下型215に加え、第2下型216と上型22の間でも素材Mがプレスされる。
本実施形態では、第1下型215と第2下型216との間に予め段差を生じさせているため、上記実施形態に係る構造部材10,10A,10Bを成形する際、頂面211の張出部211Bを含む第2下型216よりも先に第1下型215が素材Mに接触する。この場合、素材Mのうち下型21の頂面211の張出部211Bに対応する部分、すなわち構造部材10,10A,10Bの天板11の張出部112となる部分及びその近傍がより拘束されにくくなり、天板11の張出部112から縦壁13の第2部分132への材料の流動をより促進させることができる。そのため、縦壁13のうち高さ方向に延びる第2部分132の端縁や、縦壁13とフランジ14との接続部分における割れの発生をさらに抑制することができる。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記第1~第3実施形態では、構造部材10,10A,10Bの長手方向の一端部にのみ、天板11の張出部112が設けられている。しかしながら、張出部112は、構造部材10,10A,10Bの長手方向の両端部に設けられていてもよい。この場合も、各張出部112をパッド23で押さえることなく、構造部材10,10A,10Bのホットスタンピングが行われる。
構造部材10,10A,10Bの長手方向の両端部に天板11の張出部112を設けた場合、成形工程後に構造部材10,10A,10Bを二分割することもできる。これにより、長手方向の一端部にのみ張出部112を有する構造部材10、構造部材10A、又は構造部材10Bを一度の成形工程で2つ製造することができる。
上記実施形態では、プレス機に金型20又は金型20Aを取り付けた状態で、上型22が下型21の上方に配置される。また、素材Mを構造部材10,10A,10Bに成形する際には、下型21に向かって上型22を移動させることで、上型22と下型21とを接近させている。しかしながら、上記実施形態とは逆に、上型22が下型21の下方に配置されてもよい。また、上型22に向かって下型21を移動させることで、上型22を下型21に対して相対的に接近させてもよい。
上記実施形態では、金型20又は金型20Aの幅方向におけるパッド23の長さ(幅)が実質的に一定となっている。しかしながら、パッド23の幅は、必ずしもその全体にわたって一定である必要はない。例えば図12に示すように、パッド23の幅が下型21の張出部211B側で広がっていてもよい。ただし、この場合も、パッド23は、下型21においてコーナー部212Aに隣接する領域Aよりも幅方向外側では、素材を押さえることがないように構成される。
以下、実施例によって本開示をさらに詳しく説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
[第1実施例]
本開示による効果を確認するため、第1実施形態に係る構造部材10(図1及び図2)のプレス成形について、市販のソフトウェア(プレス成形シミュレーションシステムJSTAMP ver2.18,株式会社JSOL製、及び LS-DYNA ver971 rev7.12,ANSYS社製)を使用してCAE解析を実施した。解析の条件及び結果を表1に示す。
Figure 0007273355000001
表1において、クッション設定が「無し」である実施例は、第1実施形態の金型20(図3B~図3G)を用いて構造部材10(図1及び図2)を成形したものである。一方、クッション設定が「有り」である実施例は、第4実施形態の金型20A(図10及び図11)を用いて構造部材10(図1及び図2)を成形したものである。クッションストローク(クッションSt.)は、クッション機構25による第1下型215の下降距離であり、第1下型215と第2下型216との段差の大きさと等しい。比較例は、金型20とパッドの形状のみが異なる金型を用いて構造部材10を成形したものである。金型20におけるパッド23が平面視でI字形状を有し、構造部材10の天板11の張出部112を押圧しないように構成されているのに対し、比較例で用いられたパッドは、平面視でT字形状を有し、天板11のほぼ全面を押圧するように構成されている。すなわち、比較例では、天板本体111だけでなく、張出部112をパッドで押さえた状態で、構造部材10の成形が行われている。
表1に示すように、平面視でT字形状のパッドを用い、天板11の張出部112をパッドで押さえながら構造部材10を成形した比較例1~4では、縦壁13のうち構造部材10の高さ方向に延びる第2部分132で割れが発生した。一方、平面視でI字形状のパッド23を用い、天板11の張出部112をパッド23で押さえずに構造部材10を成形した実施例1~11では、構造部材10に割れが発生しなかった。
実施例1~11では、比較例1~4と比べて、縦壁13の第2部分132の端縁132aの最大板厚減少率が有意に小さい。実施例1~11の最大板厚減少率は、20%未満となった。また、実施例1~11では、上記式(1)を満たす変形領域R1の長さが素材の板厚tの2.0倍以上確保されていた。この結果より、平面視でI字形状のパッド23を用い、天板11の張出部112をパッド23で押さえずに構造部材10を成形すれば、縦壁13の第2部分132の端縁132aにおける板厚減少を抑制して割れを回避することができ、且つ、端縁132aの板厚分布を均一化できるといえる。
図13は、縦壁13の第2部分132の端縁132aにおいて、稜線部12の端縁12a側のR止まりからの距離と、板厚減少率Tとの関係を示すグラフである。図13に示すように、実施例1~4では、比較例1と比べて板厚減少率Tの変化が緩やかである。また、図13より、実施例1~4の最大板厚減少率は、比較例1の最大板厚減少率よりも顕著に小さいことがわかる。すなわち、実施例1~4では、縦壁13の第2部分132の端縁132aにおける板厚減少が抑制され、且つ、端縁132aの板厚分布が均一化されていることがわかる。
本解析では、実施例及び比較例のそれぞれについて、上記第1実施形態で説明した方法により、構造部材10のビッカース硬さHVを測定した。ビッカース硬さHVは、天板11のうち張出部112側のエッジから内側に5mmの位置で、幅方向の中心点、幅方向の両端から5mmの点、及びそれらの中間点の5箇所を測定して得られたビッカース硬さ[Hv]の平均値とした。表1に示すように、構造部材10はホットスタンピングによって成形されたものであるため、実施例及び比較例のいずれにおいても、構造部材10のビッカース硬さが325Hv以上となった。
また、本解析では、実施例1及び比較例1のそれぞれについて、板厚減少率が最大となった部分(最大板厚減少部)及び板厚減少が生じなかった部分(通常部)のビッカース硬さを測定した。実施例1に関しては、最大板厚減少部のビッカース硬さが360Hvであり、通常部のビッカース硬さが410Hvであった。一方、比較例1に関しては、最大板厚減少部のビッカース硬さが306Hvであり、通常部のビッカース硬さが414Hvであった。この結果より、本開示に係る製造方法によって構造部材10を成形した場合、板厚減少の分散によって局所的な硬さの低下が抑制されるといえる。このため、衝突による構造部材10の変形時において、変形の集中が抑制されるという効果が見込まれる。よって、本開示に係る製造方法によって成形した構造部材10は、耐衝突性能に優れると想定される。
[第2実施例]
上記実施例5について、構造部材10の重量(kg)をプレス成形の素材としてのブランクを切り出す前の金属帯(コイル)の重量(kg)で除し、歩留まりを計算した。参考例として、パンチ、ダイ、及びブランクホルダを含む金型を用いた絞り成形によって構造部材10を成形する場合について、上記と同様のCAE解析を実施し、歩留まりを計算した。また、実施例5及び参考例について、部品のLCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルでの評価)ツール(WAS:World Steel Associationの自動車分科会提唱のライフサイクル温室効果ガスの排出量の解析ができるツールであり、WASのホームページ(https://www.worldautosteel.org/life-cycle-thinking/case-studies/comparing-material-usage-in-production-vehicle-efficient-designs/)からダウンロードした、エクセル形式の解析用のソフトウェア)を使用し、構造部材10の製造時における温室効果ガスの排出量(CO-eq)を計算した。計算結果を表2に示す。
Figure 0007273355000002
絞り成形によって構造部材10を成形した参考例では、構造部材10に割れは発生しなかったものの、実施例5と比較して歩留まりが大きく低下した。これは、絞り成形ではブランクホルダとダイとで掴むための余肉がブランクに必要であり、ブランクが切り出されるコイルも大きくなるためである。参考例では、絞り成形後に成形品の余肉をレーザ切断し、構造部材10の形状に整えている。よって、構造部材10の重量に対してブランク及びコイルの重量が大きく、歩留まりが58%と低くなった。
一方、平面視でI字形状のパッド23を含む金型20を用い、パッド曲げ成形を行った実施例5では、高い歩留まりを確保することができた。実施例5では、ブランクホルダとダイとで掴むためのブランクの余肉が不要であり、構造部材10に割れも発生しないため、パッド曲げ成形後にレーザ切断を行う必要がない。そのため、コイルから切り出すブランクを構造部材10の展開形状とすることができ、参考例と比較してコイルの寸法を小さくすることができた。実施例5では、構造部材10の重量に対してブランク及びコイルの重量が小さく、歩留まりが82%と高くなった。
実施例5では、参考例と比較してコイルの重量が小さく、レーザ切断を行う必要もない。そのため、実施例5では、構造部材10の製造時における温室効果ガスの排出量も、参考例と比べて低減することができた。
実施例5及び参考例1について、上記第1実施形態で説明した方法により、縦壁13の端縁132aの算術平均粗さRaを算出した。本実施例では、縦壁13の端縁132aの中心から高さ方向に±6.25mmの範囲において算術平均粗さRaを算出した。表2に示すように、成形後にレーザ切断を行わなかった実施例5では、算術平均粗さRaが最小で1.91μmであり、最大でも2.10μmであった。一方、成形後にレーザ切断を行った参考例では、算術平均粗さRaは最小でも4.27μmであった。したがって、ホットスタンピング後に縦壁13の端縁132aにレーザ切断を施さない場合、縦壁13の端縁132aの算術平均粗さRaが3.00μm以下となることが確認された。
[第3実施例]
第3実施形態に係る構造部材10B(図8)のプレス成形について、第1実施例と同じソフトウェアを使用し、第1実施例と同様のCAE解析を実施した。解析の条件及び結果を表3に示す。
Figure 0007273355000003
表3に示すように、平面視でT字形状のパッドを用い、天板11の全面(天板本体111及び張出部112)をパッドで押さえながら構造部材10Bを成形した比較例5では、縦壁13のうち構造部材10の高さ方向に延びる第2部分132で割れが発生した。一方、平面視でI字形状のパッド23を用い、天板11の張出部112をパッド23で押さえずに構造部材10Bを成形した実施例12では、構造部材10Bに割れが発生しなかった。
また、実施例12では、比較例5と比べて、縦壁13の第2部分132の端縁の最大板厚減少率が有意に小さく、且つ、上記式(1)を満たす変形領域R1の長さが素材の板厚tの2.0倍以上確保されている。すなわち、構造部材10Bを成形した実施例12においても、構造部材10を成形した上記実施例1~11と同様、縦壁13の第2部分132の端縁における板厚減少を抑制することができ、且つ、当該端縁の板厚分布を均一化することができた。
実施例12及び比較例5のそれぞれについて、第1実施例と同様の方法により、構造部材10Bのビッカース硬さHVを測定した。また、実施例12及び比較例5のそれぞれについて、第2実施例と同様の方法により、縦壁13の端縁132aの算術平均粗さRaを算出した。
表3に示すように、構造部材10Bはホットスタンピングによって成形されたものであるため、実施例12及び比較例5のいずれにおいても、構造部材10Bのビッカース硬さが325Hv以上となった。実施例12の算術平均粗さRaは、最小で2.87μmであり、最大でも3.00μmを超えなかった。比較例5の算術平均粗さRaは、最小で6.41μmであった。
[第4実施例]
第1実施形態に係る構造部材10(図1及び図2)のプレス成形について、パッド23によって素材を押さえる範囲を変更しながら、第1実施例と同様のCAE解析を実施した。解析の条件及び結果を図14及び表4に示す。
Figure 0007273355000004
図14を参照して、実施例13及び14では、成形工程の間、下型21の肩部212のコーナー部212Aに隣接する領域Aの少なくとも一部において、パッド23が素材を押さえていた。実施例13及び14において、領域Aよりも下型21の幅方向の外側では、パッド23によって素材が押さえられなかった。一方、比較例6では、下型21の長手方向において領域Aの手前側にパッド23が配置され、成形工程の間、領域Aに位置する素材をパッド23が押さえることがなかった。比較例7では、下型21の幅方向において領域Aよりも外側までパッド23が配置され、成形工程の間、領域Aに加え、領域Aの幅方向外側でもパッド23が素材を押さえていた。
表4に示すように、実施例13及び14では、割れ及びしわを発生させることなく構造部材10を成形することができた。実施例13及び14では、ネッキング等の成形不良も生じなかった。これに対して、比較例7では、構造部材10の成形中に割れが発生した。比較例6では、割れやネッキングは発生しなかったものの、構造部材10にしわが発生した。
したがって、下型21のコーナー部212Aに隣接する領域Aの少なくとも一部においてパッド23で素材を押さえる一方、下型21の幅方向において領域Aよりも外側ではパッド23で素材を押さえないようにすることで、構造部材10の成形性が向上することが確認された。
10,10A,10B:構造部材
11:天板
111:天板本体
111a:側縁
112:張出部
112a:端縁
12:稜線部
13:縦壁
132a:端縁
14:フランジ
20,20A:金型
21:下型
211:頂面
211A:頂面本体
211a:側縁
211B:張出部
212:肩部
213:側面
214:フランジ面
215:第1下型
216:第2下型
22:上型
23:パッド
25:クッション機構

Claims (6)

  1. 自動車用の構造部材の製造方法であって、
    金属板からなる素材を加熱する加熱工程と、
    金型を用い、加熱された前記素材を前記構造部材に成形する成形工程と、
    を備え、
    前記金型は、
    頂面本体、及び前記頂面本体の側縁から外側に張り出した張出部を含む頂面と、前記頂面本体の前記側縁及び前記張出部に連続する肩部と、前記肩部を介して前記頂面本体及び前記張出部に接続される側面と、前記頂面の反対側で前記側面に接続されるフランジ面と、を含む下型と、
    前記頂面本体に対向するパッドと、
    前記パッドの側方に配置される上型と、
    を含み、
    前記成形工程では、前記頂面本体と前記パッドとで前記素材を挟持する一方、前記張出部と前記上型及び前記パッドとで前記素材を挟持しない状態で、前記上型と前記下型とを相対的に接近させて、前記上型と、前記肩部、前記側面、及び前記フランジ面とで前記素材をプレスする、製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記下型は、第1下型と、前記第1下型に隣接して配置され、前記張出部を含む第2下型と、を含み、
    前記第1下型と前記第2下型との間に予め段差を生じさせておくことにより、前記上型と前記下型とを相対的に接近させたとき、前記第1下型が前記第2下型に先行して前記上型との間で前記素材をプレスする、製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法であって、
    前記第1下型は、クッション機構によって昇降可能に構成されており、
    前記成形工程では、前記上型を前記第1下型及び前記第2下型に向かって下降させる、製造方法。
  4. 自動車用のホットスタンピング構造部材であって、
    天板本体、及び前記天板本体の側縁から外側に張り出した張出部を含む天板と、
    前記天板本体の前記側縁及び前記張出部に連続する稜線部と、
    前記稜線部を介して前記天板本体及び前記張出部に接続される縦壁と、
    前記天板の反対側で前記縦壁に接続され、前記縦壁から前記ホットスタンピング構造部材の外側に張り出したフランジと、
    を備え、
    前記天板本体の板厚を基準とする板厚減少率をT[%]としたとき、前記縦壁のうち前記張出部に連続する部分の端縁において、以下の式を満たす板厚減少率Tを有する領域の長さは、前記板厚の2.0倍以上である、ホットスタンピング構造部材。
    0.9×Tmax≦T≦Tmax
    ただし、Tmax[%]は、前記縦壁のうち前記張出部に連続する部分の前記端縁における板厚減少率の最大値である。
  5. 請求項4に記載のホットスタンピング構造部材であって、
    前記縦壁のうち前記張出部に連続する部分の前記端縁における算術平均粗さRaは、3.00μm以下である、ホットスタンピング構造部材。
  6. 請求項4又は5に記載のホットスタンピング構造部材であって、
    当該ホットスタンピング構造部材は、325Hv以上のビッカース硬さを有する、ホットスタンピング構造部材。
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