JP7272822B2 - 乳酸菌を含有する乳入り飲食品 - Google Patents

乳酸菌を含有する乳入り飲食品 Download PDF

Info

Publication number
JP7272822B2
JP7272822B2 JP2019036414A JP2019036414A JP7272822B2 JP 7272822 B2 JP7272822 B2 JP 7272822B2 JP 2019036414 A JP2019036414 A JP 2019036414A JP 2019036414 A JP2019036414 A JP 2019036414A JP 7272822 B2 JP7272822 B2 JP 7272822B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
milk
drink
lactobacillus paracasei
containing food
food
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019036414A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020137476A (ja
Inventor
里奈 米山
裕 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Morinaga Milk Industry Co Ltd filed Critical Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority to JP2019036414A priority Critical patent/JP7272822B2/ja
Publication of JP2020137476A publication Critical patent/JP2020137476A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7272822B2 publication Critical patent/JP7272822B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)

Description

NPMD NITE BP-01633
本発明は、乳酸菌を含有する乳入り飲食品に関する。より具体的には、一定量以上の無脂乳固形分を含む乳酸菌を含有する乳入り飲食品の塩味低減の技術に関する。
従来、乳酸菌の種々の生理作用が研究され、現在では、有用な乳酸菌を含む飲食品が開発されている。
また、近年、乳原料から製造される飲食品(乳入り飲食品)の分野では、タンパク質を含む無脂乳固形分を高めた製品が、そのコク等の高級感や栄養価の観点から人気がある。
しかしながら、無脂乳固形分が高い乳入り飲食品の製造においては、無脂乳固形分を有する乳原料を多量に添加することが必要となる。その結果、製造される飲食品中に、乳原料由来のタンパク質等の他にナトリウム等のミネラルも多く含有されるため、飲食品の塩味が問題となる。
これに対して、従来、無脂乳固形分が高い乳入り飲食品を製造するにあたっては、乳原料及び/又は製造した乳入り飲食品を膜処理することで、ナトリウムを除去し、塩味を低減することが行われていた。
例えば、特許文献1には、発酵乳ミックスを発酵させて得られた発酵物を膜処理することで濃厚な食感を有し、塩味が抑えられた、後味の良い滑らかな食感の発酵乳が得られることが記載されている。
また、飲料の塩味のマスキングに、アルギン酸と特定のオリゴ糖を用いる例(特許文献2)、果糖、リンゴ酸を用いる例(特許文献3)が知られている。
特開2005-318855号公報 特開2015-107070号公報 特開2015-167523号公報
前述した従来技術に示される、乳原料及び/又は乳入り飲食品を膜処理する方法では、低分子のミネラルや香気成分も除去される結果、栄養素の不足や風味の低下が問題となっていた。そのため、無脂乳固形分の高い乳入り飲食品の製造において膜処理を行わずに塩味を低減することが求められていた。
本発明は、塩味を有する乳入り飲食品の塩味を低減する手段を提供することを課題とする。そして、本発明は、無脂乳固形分を多く含み、塩味が低減された乳入り飲食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)が、無脂乳固形分を多く含む乳入り飲食品の塩味を低減する効果を奏することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、前記課題を解決する本発明は、無脂乳固形分が9質量%以上であり、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を含む、乳入り飲食品である。
これにより、無脂乳固形分を多く含む乳入り飲食品の塩味を低減することができる。
本発明の好ましい形態では、前記ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)は、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)MCC1849株(NITE BP-01633)である。
本発明の好ましい形態では、前記ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)が死菌である。
これにより、乳入り飲食品の品質の安定性を高めることができる。
本発明の好ましい形態では、前記乳入り飲食品のpHは5~8である。
このような中性域の乳入り飲食品は、特に塩味を感じやすいためである。
本発明の好ましい形態では、前記乳入り飲食品は、ナトリウムを38mg/100g以上含む。
このようなナトリウム濃度の乳入り飲食品は、特に塩味を感じやすいためである。
本発明の好ましい形態では、前記乳入り飲食品は、飲料である。
飲料は、特に塩味を感じやすいためである。
本発明の一形態では、前記乳入り飲食品は、さらに、前記ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)とは異なる乳酸菌の生菌を含む。
また、本発明の一形態では、前記乳入り飲食品は、さらに、ビフィドバクテリウム属細菌を含む。
これらの細菌をさらに含むことで、栄養価が高く、風味に優れた乳入り飲食品を提供することができる。
前記課題を解決する本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を塩味を有する乳入り飲食品に添加することを含む、塩味の低減方法である。
前記ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の好ましい形態については、本発明の乳入り飲食品について述べた通りである。
前記課題を解決する本発明は、無脂乳固形分が9質量%以上である乳入り飲食品の製造方法であって、乳原料にラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)を添加する工程を含み、乳原料由来のナトリウムを除去する工程を含まない、製造方法である。
これにより、膜処理などによるナトリウムの除去という工程を経ずとも、塩味を低減した、無脂乳固形分が高い乳入り飲食品を製造することが可能となる。
本発明によれば、無脂乳固形分を多く含む乳入り飲食品の塩味を低減することができる。そして、コク等の高級感あるいは栄養価に優れ、かつ風味が良好な乳入り飲食品の提供が可能となる。また、本発明によれば、膜処理などによるナトリウムの除去という工程を経ずとも、塩味が低減された、無脂乳固形分が高い乳入り飲食品を製造することが可能となる。
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
本明細書において、「乳入り飲食品」とは、乳原料を用いて加工した飲食品をいう。本発明の乳入り飲食品としては、好ましくは発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料が挙げられる。本発明の乳入り飲食品の原料のうち、乳原料が占める割合は、好ましくは20質量%以上、好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
中でも、飲料であることが好ましく、例えば、日本国の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)にいう乳酸菌飲料、乳飲料の他、乳等省令にいう発酵乳のうち液状のもの(液状発酵乳)が挙げられる。
また、本明細書において、「乳原料」とは、乳由来の原料をいい、乳等省令における乳製品を特に制限なく用いることができる。本発明に用いられる乳原料として、例えば、生乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、発酵乳、発酵乳パウダー、ブロックミルク等が挙げられる。乳原料としてより好ましくは、生乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム、バター、ホエイパウダーが用いられる。本発明の乳入り飲食品に用いる乳原料としては、これらを1種又は2種以上含むものが好適で、膜処理を行っていないものを含むことがより好ましい。ただし、膜処理を行った乳原料を用いることもできる。
本発明の乳入り飲食品には、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜、任意成分を用いることができる。当該任意成分として、例えば、油脂類(動植物性)、食物繊維、乳化剤、安定化剤、増粘剤、糖類、糖アルコール類、多糖類、pH調整剤、脂肪酸エステル類、矯味矯臭剤、香料、賦形剤等が挙げられる。
本発明の乳入り飲食品における無脂乳固形分とは、乳脂肪以外の乳固形分のことを言う。無脂乳固形分は、ゲルベル法等により飲食品中の脂肪量を定量し、直接乾燥法により飲食品中の水分量を定量したのち、これらの定量値から以下の式に基づいて定量することができる。
無脂乳固形分=全固形分-乳脂肪分
本発明の乳入り飲食品における無脂乳固形分は、9質量%以上であり、好ましくは10質量%以上である。このような範囲の無脂乳固形分の乳入り飲食品において、塩味低減の課題が特に存在する。また、本発明の乳入り飲食品における無脂乳固形分の上限値は、物性、嗜好性等を考慮して決定され、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
本発明において、「塩味」とは、食塩(塩化ナトリウム)等の塩味を呈する物質を口に含んだときに感じる味をいう。
本発明の乳入り飲食品におけるナトリウム濃度は、好ましくは38mg/100g以上であり、より好ましくは40mg/100g以上である。このような範囲のナトリウム濃度の乳入り飲食品において、塩味低減の課題が特に存在する。また、本発明の乳入り飲食品におけるナトリウム濃度の上限値は、嗜好性を考慮して決定され、好ましくは85mg/100g以下であり、さらに好ましくは80mg/100g以下であり、より好ましくは70mg/100g以下であり、よりさらに好ましくは65mg/100g以下である。
なお、ナトリウム濃度は、ICP発光分析法により定量することができる。
本発明の乳入り飲食品のpHは特に制限されないが、好ましくは5~8、さらに好ましくは6.5~8である。中性域の乳入り飲食品は、酸性域の乳入り飲食品に対して相対的に塩味低減の課題が大きいためである。
本発明の乳入り飲食品は、膜処理を行わずに製造されたものであってもよい。具体的には、ナノフィルトレーション(NF)膜等による乳原料からのナトリウムの除去を行わずに製造したものであってもよい。これにより、低分子のミネラルや香気成分を製品に保持することができる。
ただし、本発明の乳入り飲食品に用いられる乳原料の一部又は全部を膜処理することが制限されるものではなく、最終的な飲食品の形態を考慮して、適宜乳原料を膜処理することもできる。
本発明の乳入り飲食品は、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌(以下、単に「ラクトバチルス・パラカゼイ」ともいう。)を含む。ラクトバチルス・パラカゼイとしては、例えば、ラクトバチルス・パラカゼイのMCC1849株(NITE BP-01633)、MCC1375株(FERM BP-11313)、SBT-2558株、SBT0327(NITE ABP-1129)、SBT2105(NITE P-1130)、SBT2203(NITE ABP-1131)、SBT2215(NITE ABP-1132)、SBT11408(NITE ABP-1133)、ATCC25598、OLL204220株(NITE BP-02244)、K71株(FERM BP-11098)等が挙げられる。
ラクトバチルス・パラカゼイは、同細菌の菌体を含む培養物の形態で含まれていてもよく、培養物から回収した菌体の形態で含まれていてもよい。また、前述の培養物は、加熱乾燥物、凍結乾燥物等の乾燥物の形態で含まれていてもよい。
ラクトバチルス・パラカゼイの培養方法は特に限定されず、乳酸菌の培養に通常用いられる方法を適宜用いることができる。例えば、培養温度は25~50℃でよく、35~42℃であることが好ましい。また培養は好気条件下、及び嫌気条件下のいずれで行ってもよいが、嫌気条件下で行うことが好ましく、例えば、炭酸ガス等の嫌気ガスを通気しながら培養することができる。また、液体静置培養等の微好気条件下で培養してもよい。
ラクトバチルス・パラカゼイを培養する培地としては、特に限定されず、乳酸菌の培養に通常用いられる培地を適宜用いることができる。すなわち、炭素源としては、例えば、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、セロビオース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デンプン、デンプン加水分解物、廃糖蜜等の糖類を資化性に応じて使用できる。窒素源としては、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩類や硝酸塩類を使用できる。また、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄等を用いることができる。また、ペプトン、大豆粉、脱脂大豆粕、肉エキス、酵母エキス等の有機成分を用いてもよい。また、調製済みの培地としては、例えばMRS培地を好適に用いることができる。
本発明においては、ラクトバチルス・パラカゼイは、生菌であっても死菌であってもよいが、死菌であることが好ましい。
死菌を用いることで、乳入り飲食品の品質管理が容易となる。
ラクトバチルス・パラカゼイの死菌は、培養物を加熱処理することなどで得ることができる。
ラクトバチルス・パラカゼイとして、具体的には、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849(NITE BP-01633)株が挙げられる。MCC1849株は、2013年6月6日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(〒292-0818千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、NITE P-01633の受託番号で寄託され、2014年1月31日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、NITE BP-01633の受託番号が付与されている。
また、ラクトバチルス・パラカゼイとしては、上記菌株に制限されず、同菌株と実質的に同等の菌株であってもよい。実質的に同等の菌株とは、ラクトバチルス・パラカゼイに属する菌株であって、寄託菌株と同程度の塩味低減作用を有する菌株を言う。また、実質的に同等の菌株は、さらに、その16S rRNA遺伝子の塩基配列が、上記寄託菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列と98%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは100%の相同性を有し、且つ、好ましくは上記寄託菌株と同一の菌学的性質を有する。さらに、本発明におけるラクトバチルス・パラカゼイは、本発明の効果が損なわれない限り、寄託菌株、又はそれと実質的に同等の菌株から、変異処理、遺伝子組換え、自然変異株の選択等によって育種された菌株であってもよい。
本発明の乳入り飲食品におけるラクトバチルス・パラカゼイの含有量は、下限値として好ましくは2.5×109cfu/100g以上、さらに好ましくは5×109cfu/100g以上であり、上限値としては、好ましくは1×1011cfu/100g以下、さらに好ましくは5×1010cfu/100g以下が好ましい。
また、より好ましい当該数値範囲としては、好ましくは2.5×109~1×1011cfu/100g、さらに好ましくは2.5×109~5×1010cfu/100gである。ここで、ラクトバチルス・パラカゼイが死菌の場合の好ましい含有量は、前記「cfu」は、個(細胞の数)と置き換えることができる(以下の菌の含有量の説明においても同じ)。なお、cfuはColony forming unitを示す。
本発明の乳入り飲食品におけるラクトバチルス・パラカゼイの含有量は、無脂乳固形分1gに対し、下限値として好ましくは2.5×108cfu/g以上、さらに好ましくは3×108cfu/g以上であり、上限値としては、好ましくは6.8×109cfu/g以下、さらに好ましくは3.4×109cfu/g以下が好ましい。
また、より好ましい当該数値範囲として、好ましくは2.5×108~6.8×109cfu/g、さらに好ましくは2.5×108~3.4×109cfu/gである。
また、本発明の乳入り飲食品におけるラクトバチルス・パラカゼイの含有量は、ナトリウム1mgに対し、下限値として好ましくは5.5×107cfu/mg以上、さらに好ましくは7.6×107cfu/mg以上であり、上限値としては、好ましくは1.6×109cfu/mg以下、さらに好ましくは8×108cfu/mg以下が好ましい。
また、より好ましい当該数値範囲として、好ましくは5.5×107~1.6×109cfu/mg、さらに好ましくは5.5×107~8×108cfu/mgである。
本発明の乳入り飲食品は、さらに、前述したラクトバチルス・パラカゼイ以外の種類の他の乳酸菌の生菌を含んでいてもよい。
他の乳酸菌としては、発酵乳、乳酸菌飲料に用いられているものを特に制限なく用いることができる。
他の乳酸菌の含有量は、製品の形態に合わせて、通常の範囲で選択することが可能である。
本発明の乳入り飲食品は、さらにビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する細菌の生菌を含んでいてもよい。
ビフィドバクテリウム属に属する細菌としては、発酵乳、乳酸菌飲料に用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)が好ましく挙げられる。
ビフィドバクテリウム属に属する細菌の含有量は、製品の形態に合わせて、通常の範囲で選択することが可能である。
本発明の乳入り飲食品は、ラクトバチルス・パラカゼイを配合することを除いて、特に制限されず、通常の方法で製造することができる。
乳入り飲食品における無脂乳固形分は、乳原料として粉乳や濃縮乳を用いる方法、又は乳原料として用いる乳や乳製品の水分を除去し、無脂乳固形分を濃縮する方法によって調整することができる。
ここで、本発明の製造方法では、好ましくは乳原料由来のナトリウム除去を行わなくてもよい。より具体的には、ナトリウムを除去しうる膜処理を行わなくてもよい。これにより、工程全体を簡便にすることが可能となる。また、膜処理を行わないことで、ミネラルや香気成分を製品中に保持することができる。
発酵乳や乳酸菌飲料の製造においては、前記他の乳酸菌を培養したスターターを用いて、乳原料を発酵する過程において、発酵前又は発酵後の任意の時点でラクトバチルス・パラカゼイを添加することができる。
また、本発明は、ラクトバチルス・パラカゼイを塩味を有する乳入り飲食品に添加することを含む、塩味の低減方法である。
乳入り飲食品、及びラクトバチルス・パラカゼイの好ましい形態については、前述の通りである。同方法に用いられるラクトバチルス・パラカゼイの形態として、例えば、ラクトバチルス・パラカゼイの培養物の加熱乾燥物、及び凍結乾燥物が好ましく挙げられる。
この観点から、本発明はまた、ラクトバチルス・パラカゼイの培養物の加熱乾燥物又は凍結乾燥物を有効成分とする、乳入り飲食品の塩味低減剤を提供する。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)試験1
本試験では、ラクトバチルス・パラカゼイを種々の濃度で添加した場合の塩味低減作用を評価した。
本試験で用いるラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株は死菌体の凍結乾燥物(実施例においてMCC1849培養物という)であり、菌数(細胞の数)は凍結乾燥物の規格に応じて、任意の数となるように配合量を適宜変更することができる。本試験では凍結乾燥物1g当たり2500億個の菌数の凍結乾燥物を用いた。
なお、ラクトバチルス・パラカゼイMCC1849株の凍結乾燥物は森永乳業株式会社より入手できる。
表1に示す処方に従って、各成分を溶解水(精製水)に溶解させ全量を4000mLとした。前記溶解液を85℃で6分加温保持後、15MPaで均質化、130℃で2秒間加熱殺菌し、ペットボトルに充填した比較例1及び実施例1~4の液体飲料を得た。
このときの実施例1~4の配合設計はラクトバチルス・パラカゼイ培養物を含む乳入り飲食品(飲料)(無脂乳固形分15質量%、乳脂肪分2.5質量%、pH6.8)であり、ナトリウム含有量は65mg/100gであり、MCC1849菌数は50億/100g~500億/100gであった。
また、比較例1としてラクトバチルス・パラカゼイ培養物を含まない乳入り飲食品(飲料)を製造した。
なお、表中の乳原料は、膜処理などの脱塩処理を行っていない乳由来の原料であり、すべての例で同じものを用いた。
Figure 0007272822000001
製造した乳入り飲食品を、乳入り飲食品の評価の専門パネラー7名によって試飲し、塩味の評価を行った。
評価は、以下の基準を用い、比較例と比較した場合にどの程度塩味を感じるかの相対評価とした。結果を表2に示す。
<基準>
5:塩味が弱い
4:塩味がやや弱い
3:塩味が比較例と変わらない
2:塩味がやや強い
1:塩味が強い
Figure 0007272822000002
表2に示す通り、MCC1849培養物を添加した実施例の乳入り飲食品は、ラクトバチルス・パラカゼイの塩味低減効果が容量依存的に増大し、比較例1と比較して、実施例1~4は顕著に塩味の低減作用が得られた。これにより、ラクトバチルス・パラカゼイの塩味の低減作用を十分に得るためには、無脂乳固形分1gあたりのラクトバチルス・パラカゼイの含有量が、3億(3×108)個以上が好ましいことが分かった。
ここで、無脂乳固形分が15質量%の乳入り飲食品100g中には、約65mgのナトリウムが含まれる。そのため、ナトリウムとの関係で見ると、ナトリウム1mgあたりのラクトバチルス・パラカゼイの含有量が、7600万(7.6×107)個以上であることが好ましいことが分かった。
(2)試験2
表3に示す配合で、各成分を溶解水(精製水)に溶解させ全量を4000mLとした。前記溶解液を85℃で6分加温保持後、15MPaで均質化、130℃で2秒間加熱殺菌し、ペットボトルに充填した実施例5及び参考例、比較例2及び3の液体飲料(pH6.8)を得た。
得られた液体飲料を用いて、試験1と同様に塩味を評価した。比較例2と実施例5の間、及び比較例3と参考例との間では同じ乳原料を用いた。ここで、乳原料は、膜処理などの脱塩処理を行っていないものを用いた。
実施例5は比較例2との相対評価、参考例は比較例3との相対評価とした。
Figure 0007272822000003
Figure 0007272822000004
実施例5の無脂乳固形分含量が10質量%の乳入り飲食品では、ラクトバチルス・パラカゼイの塩味低減効果が得られた。一方、参考例の無脂乳固形分含量が8質量%の乳入り飲食品では、もともと塩味を感じにくいことから、ラクトバチルス・パラカゼイの塩味低減効果が限定的であった。これより、ラクトバチルス・パラカゼイの塩味低減効果は、無脂乳固形分含量が9質量%以上、より好ましくは10質量%以上の場合に、特に顕著であることがわかった。
ここで、無脂乳固形分が10質量%の乳入り飲食品100g中には、約45mgのナトリウムが含まれ、無脂乳固形分が9質量%の乳入り飲食品100g中には、約40mgのナトリウムが含まれ、無脂乳固形分含量が8質量%の乳入り飲食品100g中には、約35mgのナトリウムが含まれる。そのため、乳入り飲食品100gあたりのナトリウム濃度が38mg以上、さらにナトリウム濃度が40mg以上、よりさらに、ナトリウム濃度が45mg以上の場合にラクトバチルス・パラカゼイの塩味低減効果が顕著に得られることがわかった。
また、実施例5の結果から、ラクトバチルス・パラカゼイの塩味の低減作用を十分に得るためには、無脂乳固形分1gあたりのラクトバチルス・パラカゼイの含有量が、2.5億(2.5×108)個以上が好ましいことが分かった。
ここで、無脂乳固形分が10質量%の乳入り飲食品100g中には、約45mgのナトリウムが含まれる。そのため、ナトリウムとの関係で見ると、ナトリウム1mgあたりのラクトバチルス・パラカゼイの含有量が、5500万(5.5×107)個以上であることが好ましいことが分かった。
(3)試験3
表5に示す配合で、乳原料及びラクトバチルス・パラカゼイMCC1849培養物(MCC1849培養物)を溶解水(精製水)に溶解させ全量を4000mLとした。前記溶解液を85℃で6分加温保持後、15MPaで均質化、130℃で2秒間加熱殺菌し、ラクトバチルス・パラカゼイ以外の種類の他の乳酸菌の生菌(乳酸菌(生菌)培養物)及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)BB536株(BB536(生菌)培養物)を添加、混合させた後、ペットボトルに充填した比較例4及び実施例6の液体飲料を得た。
このときの実施例6の配合設計はラクトバチルス・パラカゼイ培養物を含む実施例の乳入り飲食品(飲料)(無脂乳固形分15質量%、乳脂肪分2.5質量%、pH6.8)であり、ナトリウム含有量は65mg/100gであり、MCC1849菌数は50億/100gであった。
また、比較例4としてラクトバチルス・パラカゼイ培養物を含まない乳入り飲食品(飲料)を製造した。
なお、表中の乳原料は、膜処理などの脱塩処理を行っていない乳由来の原料であり、すべての例で同じものを用いた。
Figure 0007272822000005
Figure 0007272822000006
乳酸菌(生菌)やビフィドバクテリウム属細菌(生菌)を含む形態の乳入り飲食品(乳酸菌飲料)においても、ラクトバチルス・パラカゼイの塩味低減効果が得られた。
本発明は、栄養価の高い乳入り飲食品の製造に有用である。
NITE BP-01633

Claims (17)

  1. 無脂乳固形分が9質量%以上であり、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌を含み、pHが5~8である、乳入り飲食品。
  2. 無脂乳固形分が10質量%以上であり、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌を含み、ナトリウムを45mg/100g以上含む、乳入り飲食品。
  3. 無脂乳固形分が9質量%以上であり、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌を含み、発酵乳を除く乳入り飲食品。
  4. ナトリウム1mgに対するラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)の含有量が5.5×10 7 cfu/mg以上である、請求項1~3の何れかに記載の乳入り飲食品。
  5. ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌が、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)MCC1849(NITE BP-01633)株である、請求項1~4の何れかに記載の乳入り飲食品。
  6. ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌が死菌である、請求項1~5の何れかに記載の乳入り飲食品。
  7. pHが5~8である、請求項2、3、及び請求項1を引用しない請求項4~6の何れかに記載の乳入り飲食品。
  8. ナトリウムを38mg/100g以上含む、請求項1、3、及び請求項2を引用しない請求項4~7の何れかに記載の乳入り飲食品。
  9. 飲料である、請求項1~8の何れかに記載の乳入り飲食品。
  10. さらに、前記ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌とは異なる種の乳酸菌の生菌を含む、請求項1~9の何れかに記載の乳入り飲食品。
  11. さらに、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する細菌を含む、請求項1~10の何れかに記載の乳入り飲食品。
  12. ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌を塩味を有する乳入り飲食品に添加することを含む、乳入り飲食品の塩味の低減方法。
  13. ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌が、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)MCC1849(NITE BP-01633)株である、請求項12に記載の低減方法。
  14. ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌が死菌である、請求項12又は13に記載の低減方法。
  15. 無脂乳固形分が9質量%以上であり、pHが5~8である乳入り飲食品の製造方法であって、
    乳原料にラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌を添加する工程を含み、
    乳原料由来のナトリウムを除去する工程を含まない、製造方法。
  16. 無脂乳固形分が10質量%以上であり、ナトリウムを45mg/100g以上含む乳入り飲食品の製造方法であって、
    乳原料にラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌を添加する工程を含み、
    乳原料由来のナトリウムを除去する工程を含まない、製造方法。
  17. 無脂乳固形分が9質量%以上であり、発酵乳を除く乳入り飲食品の製造方法であって、
    乳原料にラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)に属する細菌を添加する工程を含み、
    乳原料由来のナトリウムを除去する工程を含まない、製造方法。
JP2019036414A 2019-02-28 2019-02-28 乳酸菌を含有する乳入り飲食品 Active JP7272822B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019036414A JP7272822B2 (ja) 2019-02-28 2019-02-28 乳酸菌を含有する乳入り飲食品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019036414A JP7272822B2 (ja) 2019-02-28 2019-02-28 乳酸菌を含有する乳入り飲食品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020137476A JP2020137476A (ja) 2020-09-03
JP7272822B2 true JP7272822B2 (ja) 2023-05-12

Family

ID=72263961

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019036414A Active JP7272822B2 (ja) 2019-02-28 2019-02-28 乳酸菌を含有する乳入り飲食品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7272822B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114586850B (zh) * 2022-03-16 2023-09-12 黑龙江飞鹤乳业有限公司 一种含干酪的含乳固态成型制品及其制备方法
CN114668047B (zh) * 2022-04-18 2023-12-22 黑龙江飞鹤乳业有限公司 奶制品及其制备方法
WO2024004139A1 (ja) * 2022-06-30 2024-01-04 森永乳業株式会社 発酵乳及び発酵乳の製造方法
WO2024004138A1 (ja) * 2022-06-30 2024-01-04 森永乳業株式会社 飲料及び飲料の製造方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5646124B1 (ja) 2013-07-12 2014-12-24 森永乳業株式会社 新規乳酸菌、並びに新規乳酸菌を含有する医薬、飲食品、及び飼料

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5646124B1 (ja) 2013-07-12 2014-12-24 森永乳業株式会社 新規乳酸菌、並びに新規乳酸菌を含有する医薬、飲食品、及び飼料

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
デイリーフーズ通信,no.6,2017年,p.1,retrieved on 2023.01.20, retrieved from the internet <https://www.morinagamilk-sales.com/_/dftimes/dftimes20170201.pdf>

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020137476A (ja) 2020-09-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7272822B2 (ja) 乳酸菌を含有する乳入り飲食品
Kök-Taş et al. Effects of different fermentation parameters on quality characteristics of kefir
Drgalic et al. Growth and survival of probiotic bacteria in reconstituted whey
JP6506688B2 (ja) 酸度上昇が抑制された発酵乳およびその製造方法
CN107397195B (zh) 一种益生菌发酵的天然发酵乳香料及其制备方法
WO2019206754A1 (en) Composition and process for producing a fermented milk product comprising application of a lactose-deficient s. thermophilus strain, a lactose-deficient l. bulgaricus strain and a probioti _/ strain
WO2020203515A1 (ja) 乳酸菌発酵食品の製造方法
KR20210014744A (ko) 두유 발효물
WO2017018440A1 (ja) 乳酸菌組成物、発酵乳及びその製造方法、並びに発酵乳製造キット
CA2811389C (en) Method of production of fermented, pro-healthy fruit beverages
Saglam et al. An investigation for the development of whey-based probiotic beverages
JP4898859B2 (ja) 非発酵型酸性乳酸菌飲料とその製造方法
JP7094745B2 (ja) 豆乳乳酸発酵食品用乳酸菌スターター及び豆乳乳酸発酵食品の製造方法
Vasiljevic et al. Cultured milk and yogurt
JP2012105639A (ja) 乳酸発酵製品及び乳酸発酵製品の製造方法
Aita et al. Utilization of sweet whey and ultra filtration-milk permeate in manufacture of yoghurt drink
JP2002095409A (ja) 発酵乳食品
Saeed et al. Isolation, characterization and utilization of starter cultures for the development of wheyghurt drink
JP5980934B2 (ja) 鉄分およびトコフェロールを強化した発酵乳製品
JP6262412B1 (ja) 発酵乳の製造における発酵時間の短縮方法、及び発酵乳における酸味の上昇の抑制方法
JP2019062889A (ja) 呈味剤の製造方法
Al-Awwad et al. Development of probiotic hummus
JP5686336B2 (ja) 新規発酵食品
Molero et al. Probiotics consumption increment through the use of whey-based fermented beverages
WO2024004139A1 (ja) 発酵乳及び発酵乳の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190301

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230411

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230427

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7272822

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350