JP7272817B2 - 灰付着性評価装置および灰付着性評価算定方法 - Google Patents

灰付着性評価装置および灰付着性評価算定方法 Download PDF

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本開示は、固体燃料(微粉燃料)を旋回燃焼方式により燃焼させるボイラ(旋回燃焼ボイラ)に関し、特に、炉内における灰付着の抑制技術に関する。
旋回燃焼ボイラが備える燃焼用のバーナ部は、例えば微粉炭燃料を一次空気(搬送用空気)により供給するための複数のバーナと、これらの各バーナの上下に設けられた二次空気(燃焼用空気)の供給用の複数の二次空気供給用のポートと、を有する。上記の複数のバーナの各々は、ボイラの上下方向(鉛直方向)に沿った1以上の断面(水平断面)上において、例えば平面視において四角などの形状を有する炉内の各コーナ部などに配置されるなど、水平面内の周方向に沿って相互に間隔を開けて配置される。そして、各段(各水平断面)において、各バーナは、火炉の中心に向かう方向からずれた方向に火炎を噴出することにより、火炉内に旋回流を形成するように構成されており、こうして生成された旋回流は、火炉内で旋回しながら螺旋状に上昇していく。
このようなボイラでは、例えば微粉炭などの石炭を燃料に用いる場合には、石炭の燃焼時に生じる灰が炉内や火炉壁管(蒸発管)や各種の伝熱管の伝熱面などに付着し、伝熱効率の低下を引き起こす。また、このような各種設備に付着した付着灰(クリンカ)が成長していくことにより、大塊クリンカの脱落による炉底損傷やバーナの閉塞などのクリンカトラブルが発生する可能性がある。そこで、例えば特許文献1では、灰の付着性が燃料の有する灰分の組成に依存することから、事前に燃料の灰分の組成を分析し、複数の燃料を混ぜることで、灰付着の抑制を図っている。
特許第5374453号公報
上述の通り、ボイラの炉壁等への灰付着のし易さは、燃料自体が有する灰分の性状にも依存するが、本発明者らは、鋭意研究により、炉壁近傍に存在する高温の灰が多いほど、炉壁への灰付着(クリンカ付着。以下同様。)が生じ易いことを見出した。この点、旋回燃焼ボイラでは、バーナノズル出口流速が速くなるとバーナの火炎長が伸び旋回燃焼の径が大きくなり高温の灰(飛灰。以下同様。)が炉壁近傍へ到達する量が増加し付着し、成長し易くなる。バーナのノズル吹出し部の巻戻りが強くなることによりバーナの周囲に形成されるよどみ部に灰が滞留し付着し易くなる。つまり、このような燃焼灰の付着メカニズムにより、高温で大量の灰が炉壁近傍に存在あるいは滞留することで炉壁への灰付着が生じ易い。また、このような灰付着のメカニズムの生じ易さは、炉内の寸法や、複数のバーナの配置関係の影響を受ける。
よって、発明者らは、燃料が有する灰分の性状と共に、これらの灰付着のメカニズムの各々に起因する灰付着のし易さを個々の旋回燃焼ボイラに応じて総合的に考慮することで、灰付着性の評価対象となるボイラ(評価対象ボイラ)に応じた灰付着のし易さを、灰付着性指標として適切に数値化することが可能になると考えた。このような灰付着性指標が得られれば、ボイラの計画、設計段階や、試運転の段階、実運転の段階などで確認することにより、確認段階に応じて灰付着が抑制されるようにボイラの寸法や、バーナの配置、運転条件、燃料の性状(種類)などを調節することが可能となる。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、炉内への灰の付着のし易さを旋回燃焼ボイラに応じて評価する灰付着性評価装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る灰付着性評価装置は、
旋回燃焼ボイラにおける固体燃料の燃焼時に発生する灰の付着のし易さを数値化した灰付着性指標を算出する灰付着性評価装置であって、
前記灰の性状に基づいて算出される灰性状因子を取得するよう構成された灰性状因子取得部と、
炉壁近傍の前記灰についての、炉内の寸法および前記炉内に供給する空気の流速条件に基づいて算出される灰量因子と、前記炉内の寸法、バーナ配置情報および前記炉内の温度条件に基づいて算出される灰温度因子と、前記炉内の燃焼条件に基づいて算出される還元雰囲気の程度を示す雰囲気因子と、を含む灰付着性因子を取得するよう構成された灰付着性因子取得部と、
前記灰性状因子および前記灰付着性因子に基づいて、評価対象となる前記旋回燃焼ボイラに応じた前記灰付着性指標を算出するよう構成された算出部と、を備える。
上記(1)の構成によれば、灰付着性指標を求めようとする評価対象の旋回燃焼ボイラで用いられる固体燃料(例えば微粉炭)を燃焼させることにより発生する灰の性状(軟化温度など)に起因する灰の付着性(灰性状因子)と、炉壁近傍の灰の量、温度、還元雰囲気に起因する付着性(灰付着性因子)とに基づいて、灰付着性指標を算出する。灰付着性因子は、評価対象ボイラに固有となる炉内の寸法、バーナ配置情報や、運転条件(流速条件、温度条件、燃焼条件、燃料性状)に基づいて算出されるものである。よって、灰性状因子および灰付着性因子に基づいて、評価対象の旋回燃焼ボイラに応じた灰付着のし易さを適切に求めることができる。また、灰付着性指標Fを求めることにより、大塊クリンカの脱落による炉底損傷やバーナの閉塞などのクリンカトラブルの発生を防止できるようにボイラの計画や設計することや、試運転時に調節することによるボイラの安定運転を図ることができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記炉内の寸法は、前記炉内の断面積を含み、
前記流速条件は、前記炉内に供給する一次空気および二次空気の各々の流速を含み、
前記灰量因子は、前記炉内の断面積、前記一次空気および前記二次空気の各々の流速に基づいて算出される。
既に述べたように、旋回力が大きくなり、旋回燃焼の径が大きくなると炉壁近傍へ到達する灰の量が増加し易くなることから、旋回力により炉壁近傍の灰量は変化するが、例えばバーナから対向する炉壁への距離が長ければ、その分だけ炉壁近傍に灰が到達し難くなるというように、炉壁近傍へ到達する灰の量はバーナと炉壁との間の距離にも依存する。つまり、旋回力の増大は付着性を増大させるように寄与するが、上記の距離の増大は付着性を小さくさせるように寄与する。
上記(2)の構成によれば、灰量因子を、炉内の断面積と、一次空気および二次空気の各々の流速とに基づいて算出する。つまり、一次空気および二次空気の各々の流速を旋回力の大きさに対応した指標とし、炉断面積をバーナから炉壁への距離の指標とする。よって、これらの指標からボイラに応じた灰量因子を適切に数値化できる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)~(2)の構成において、
前記炉内の寸法は、前記炉内の断面積、炉幅を含み、
前記温度条件は、蒸発量を含み、
前記バーナ配置情報は、バーナの本数、および隣接する前記バーナ間の距離を含み、
前記灰温度因子は、前記炉内の断面積、前記蒸発量、前記バーナの本数、前記バーナ間の距離、および前記炉幅に基づいて算出される。
既に述べたように、バーナの火炎長が伸びると炉壁近傍に存在する灰が高温化し易くなることから、バーナの火炎長が長いほど高温の灰量は増える。また、旋回燃焼では、複数のバーナの各々の火炎により例えば円を描くように複数のバーナを配置されるが、互いに隣接する一方のバーナからの火炎が、他方のバーナの火炎と合体(干渉)すると、空気の混合が不良となり、火炎が伸びる。よって、バーナ間距離が近いほど合体により火炎が伸び易い。しかし、例えばバーナとバーナの火炎が向けられる炉壁との距離が長ければ、伸びた火炎が炉壁から遠ざかる。同様に、バーナ間距離が近いほど合体により火炎が伸びやすいが、炉幅が大きいほど合体した火炎が炉壁から遠ざかる。このため、炉壁近傍の灰の温度は、炉幅やバーナ間距離にも影響する。つまり、バーナの火炎長の増大は付着性を増大させるように寄与するが、炉幅やバーナ間距離の増大は付着性を小さくさせるように寄与する。
上記(3)の構成によれば、灰温度因子を、炉内の断面積、蒸発量、バーナの本数、炉幅、およびバーナ間の距離に基づいて算出する。具体的には、上述したような関係を考慮して得られる、蒸発量およびバーナ本数から求められる一本のバーナあたりの蒸発量、および炉断面積を用いて得られる指標を、炉寸法に対する火炎長の影響に対応した指標とし、炉幅およびバーナ間距離を用いて得られる指標を、火炎同士が伸びる影響に対応した指標とする。よって、これらの指標からボイラに応じた灰温度因子を適切に数値化できる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)~(3)の構成において、
の構成において、
前記燃焼条件は、前記炉内の全空気比から、アディショナルエアの割合を除いた空気比であるバーナ部空気比を含み、
前記雰囲気因子は、前記バーナ部空気比に基づいて算出される。
バーナ部空気比は、全空気比における、アディショナルエアの割合(AA率)を除いた空気比であり、還元雰囲気の程度を示すが、還元雰囲気は、灰の軟化温度などの溶融温度が低い燃焼成分1の割合が溶融温度の高い燃焼成分2より増加し、全体の灰溶融温度を下げる。そして、溶融温度が下がれば、それだけ灰の付着が生じし易くなる。つまり、バーナ部空気比が大きいほどAA率が増えるので、還元雰囲気が強くなり、灰の溶融温度が下がるため、灰の付着が生じ易くなる。
上記(4)の構成によれば、雰囲気因子を、バーナ部空気比に基づいて算出する。これによって、雰囲気因子を適切に数値化できる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の構成において、
前記灰の性状は、前記灰の灰軟化温度を含む。
上記(5)の構成によれば、灰性状因子を灰の灰軟化温度に基づいて算出する。本発明者らは、鋭意研究により、灰の付着性との相関は、灰軟化温度による影響が大きいことを見出した。これによって、灰の性状に基づく付着性を適切に数値化することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)~(5)の構成において、
前記灰が付着する前記炉壁の表面条件に基づく付着面因子を取得するよう構成された付着面因子取得部を、さらに備え、
前記算出部は、前記灰性状因子、前記灰付着性因子および前記付着面因子に基づいて、前記灰付着性指標を算出する。
上記(6)の構成によれば、灰付着性指標を、灰性状因子および灰付着性因子に加えて、付着面因子に基づいて算出する。炉壁の表面は、耐火材施工方法の種類や耐火材の材質などによって、灰の付着のしやすさに影響を及ぼす場合がある。したがって、付着面因子を加味して行うことにより、灰付着性指標をより適切なものにすることができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)~(6)の構成において、
前記灰付着性指標の算出値が規定の閾値以下になるように、前記炉内の寸法、前記バーナ配置情報、前記流速条件、前記温度条件、または前記燃焼条件の少なくとも1つを調節する調節部を、さらに備える。
上記(7)の構成によれば、灰付着性指標が規定の閾値以下になるように、例えば、炉内の寸法(炉内の断面積)や、バーナの配置(本数、バーナ間距離など)、運転条件(流速条件、温度条件、燃焼条件、燃料性状)などを調節する。これによって、炉壁への灰付着の抑制が可能な炉の寸法や、バーナの配置、運転条件を決定することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記調節部は、前記灰付着性指標の算出値が前記閾値よりも大きい場合には、前記炉内に供給する一次空気または二次空気の少なくとも一方の流速が小さくなるように調節する。
上記(8)の構成によれば、調節部は、灰付着性指標が規定の閾値以下になるように、一次空気または二次空気の少なくとも一方の流速を小さくする。一次空気または二次空気の流速は試運転時や実運転時などの運転時であっても調節可能である。よって、灰付着性指標が規定の閾値以下になるように、一次空気または二次空気の流速を調節することにより、灰付着の抑制をより容易に図ることができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)~(8)の構成において、
前記調節部は、前記灰付着性指標の算出値が前記閾値よりも大きい場合には、前記炉内の全空気比におけるアディショナルエアの割合が小さくなるように調節する。
上記(9)の構成によれば、調節部は、灰付着性指標が規定の閾値以下になるように、AA率を調節する。AA率は運転時であっても調節可能である。よって、灰付着性指標が規定の閾値以下になるように、AA率を調節することにより、灰付着の抑制をより容易に図ることができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(7)~(9)の構成において、
前記調節部による調節結果を、前記旋回燃焼ボイラの運転制御装置または報知装置の少なくとも一方に送信する通知部を、さらに備える。
上記(10)の構成によれば、灰付着性指標が規定の閾値以下になるように調節した際に、変更された流速条件、温度条件、燃焼条件のディスプレイへの表示や、旋回燃焼ボイラの運転制御装置への送信などを行う。これによって、オペレータに対して、灰付着が抑制されるような運転を促すことや、旋回燃焼ボイラの運転制御を自動で行うことができる(灰化した後に固まらないようにするための運転操作となる指標をオペレータに通知)。
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)~(10)の構成において、
互いに燃料性状の異なる複数の前記固体燃料の各々についての前記燃料性状と前記灰付着性指標との関係を記憶する履歴記憶部と、
前記複数の固体燃料から得られる複数の前記関係に基づいて、任意の前記燃料性状を有する前記固体燃料の前記灰付着性指標を予測する予測部と、をさらに備える。
上記(11)の構成によれば、複数の固体燃料に関する燃料性状と灰付着性指標との関係に基づいて、任意の燃料性状を有する固体燃料についての灰付着性指標を予測する。これによって、固体燃料の性状が運転中などの変化した場合に、灰付着性指標をより迅速に求めることができ、燃料性状の変更による影響を迅速に見極めることができる。また、灰付着性指標とクリンカ発生との関係などの過去に得られた運転実績等を参照すれば、灰付着性指標の予測値に基づいて、その任意の燃料性状を有する固体燃料で運転した場合のクリンカの発生を予測することが可能となり、クリンカ落下等のトラブルの頻度を低下させることができる。
(12)本発明の少なくとも一実施形態に係る灰付着性評価算定方法は、
旋回燃焼ボイラにおける固体燃料の燃焼時に発生する灰の付着のし易さを数値化した灰付着性指標を算出する灰付着性評価算定方法であって、
前記灰の性状に基づいて算出される灰性状因子を取得する灰性状因子取得ステップと、
炉壁近傍の前記灰についての、炉内の寸法および前記炉内に供給する空気の流速条件に基づいて算出される灰量因子と、前記炉内の寸法、バーナ配置情報および前記炉内の温度条件に基づいて算出される灰温度因子と、前記炉内の燃焼条件に基づいて算出される還元雰囲気の程度を示す雰囲気因子と、を含む灰付着性因子を取得する灰付着性因子取得ステップと、
前記灰性状因子および前記灰付着性因子に基づいて、評価対象となる前記旋回燃焼ボイラに応じた前記灰付着性指標を算出する算出ステップと、を備える。
上記(12)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、炉内への灰の付着のし易さを旋回燃焼ボイラに応じて評価する灰付着性評価装置が提供される。
本発明の一実施形態に係る旋回燃焼ボイラを概略的に示す図である。 本発明の他の一実施形態に係る旋回燃焼ボイラにおけるバーナの配置を示す図である。 本発明の一実施形態に係る旋回燃焼ボイラにおけるバーナの配置を示す図である。 本発明の一実施形態に係る灰付着性評価装置の構成を概略的に示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る灰性状因子と灰軟化温度との関係を示す図である。のグラフを示す図である。 本発明の一実施形態に係る流速条件の違いに応じた灰の流れを説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る灰付着性指標と炉断面積との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る灰付着性評価算定方法を示すフロー図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る旋回燃焼ボイラ7を概略的に示す図である。また、図2A~図2Bは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る旋回燃焼ボイラ7におけるバーナ81の配置を示す図である。
本発明の灰付着性評価装置1は、旋回燃焼ボイラ7における燃料Fc(固体燃料)の燃焼時に発生する灰の付着のし易さを数値化した灰付着性指標Fを算出するための装置である。この灰付着性評価装置1が評価対象とする旋回燃焼ボイラ7は、図1に示すように、燃料Fcを燃焼するための燃焼室を内部に有する火炉71と、この火炉内に燃料Fcおよび空気を供給して燃焼させるためのバーナ部8と、を備える。図1に示す旋回燃焼ボイラ7は、ミル装置94によって微粉化された石炭(微粉炭)を燃料Fcとして、蒸気を生成する微粉炭炊きのボイラである。この旋回燃焼ボイラ7は、例えば、伝熱管群75の内部を流れる流体(水など)の熱を利用する給湯システムの熱源として利用されても良いし、伝熱管群75の流体の加熱により発生させた蒸気によりタービン(不図示)を駆動して発電を行う発電システムの蒸気供給源として利用されても良い。
以下の説明では、旋回燃焼ボイラ7が微粉炭炊きのボイラであるものとして説明する。なお、旋回燃焼ボイラ7の燃料Fcは、バイオマス燃料などのリサイクル燃料および石炭燃料などの化石燃料など、2以上の複数種類の燃料で構成されても良い。バイオマス燃料は、例えば木材チップなどの木質バイオマスなど、再生可能な生物由来の有機性資源であって化石資源を除いたものを原料とする燃料である。リサイクル燃料は、上記の木質バイオマスや、廃タイヤ、スラッジ、RPF(Refuse Paper and Plastic Fuel)などを原料とする燃料である。複数種類の燃料には、上述したリサイクル燃料の少なくとも1つが含まれていても良いし、高品位炭、低品位炭などの石炭に関する複数種類の燃料が含まれていても良い。
図1に示す旋回燃焼ボイラ7について詳述すると、上記のバーナ部8は、上記のミル装置94から一次空気A1(搬送用空気)により搬送されてきた微粉炭を炉内(燃焼室。以下同様。)に供給する複数のバーナ81と、これらの各バーナ81の上下に設けられた二次空気A2(燃焼用空気)の供給用の複数の二次空気供給用の二次空気ポート(不図示)と、を有している。なお、一次空気A1は、燃料Fcの微粉炭を搬送するために必要な空気であり、ミル装置94において空気量が規定される。二次空気A2は、炉内において火炎全体を形成するために必要となる空気であり、二次空気量は、概ね微粉炭の燃焼に必要な全空気量から一次空気量を差し引いたものとなる。
上記の各バーナ81は、水平断面が四角形状を有する火炉71(図2A~図2B参照)の四隅(角部)の各々を含む所定の部分である4つのコーナ部71cにそれぞれ設置される。具体的には、幾つかの実施形態では、図2Aに示すように、各バーナ81は、各コーナ部71cを形成する、互いに異なる方向を向く2つの炉壁(火炉壁)により形成される角部に設置されても良い。図2Aに示す実施形態では、各コーナ部71c(角部)に設置された4本のバーナ81により、四角形状の旋回流を形成するように構成されている。他の幾つかの実施形態では、図2Bに示すように、各バーナ81は、各コーナ部71cを形成する上記の2つの炉壁における上記の角部以外の部分に設置されても良い。図2Bに示す実施形態では、各コーナ部71c(角部以外)に設置された4本のバーナ81により、円形状の旋回流を形成するように構成されている。各コーナ部71cに設置される各バーナ81は、火炉71の上下方向(水平方向に対して垂直な方向)に沿った1または複数の水平断面上の各々に設置されることで、1以上のバーナ81の段が形成されても良い。
このように火炉71の炉壁に設置された各バーナ81は、微粉燃料管Lfにより、石炭を粉砕して微粉炭を生成する1または複数のミル装置94に接続されており、ミル装置94で生成された微粉炭が一次空気A1の力によって微粉燃料管Lfを搬送されて、各バーナ81に供給される。ミル装置94には、石炭貯蔵設備91に貯蔵された石炭燃料が、石炭ホッパ92、石炭供給装置93(例えばスクリューフィーダやベルト式給炭装置など)を経て供給されるようになっており、ミル装置94は供給された石炭燃料を所望の粒径(例えば数μm~数百μm程度)に粉砕する。
また、上記の一次空気A1のミル装置94への供給は、空気供給管Lから分岐された搬送用空気供給管L1からなされる。他方、上記の二次空気A2の二次空気ポート(不図示)への供給は、風箱83を介して、同様に空気供給管Lから分岐された燃焼用空気供給管L2からなされる。これによって、外気Aは、一次空気A1として搬送用空気供給管L1からミル装置94に供給されると共に、二次空気A2(燃焼用空気)として風箱ダンパ83aによる流量調節の下で燃焼用空気供給管L2から風箱83に供給された後、二次空気ポート(不図示)を介して炉内に供給される。
こうして、微粉炭燃料は、各バーナ81から旋回燃焼ボイラ7の炉内に供給(投入)されて、一次空気A1および二次空気A2の存在下で燃焼される。旋回燃焼ボイラ7は、火炉内にアディショナルエア(以下、AA)を供給するAAポート72を備えており、燃焼の際には、各バーナ81による燃焼時に発生するガス(燃料領域)に、AAポート72からAAを供給(投入)することにより、二段燃焼を行うようになっている。このAAポート72はバーナ部8の上方に設けられており(図1~図2B参照)、二段燃焼率によって定められるAA量をAA量調節バルブ72aによる流量制御の下で炉内に供給する。これによって、バーナ部8側で発生したNOxの還元を行う。図1に示す実施形態では、AAは、空気予熱器96により予熱されているが、常温であっても良い。
なお、上記の二段燃焼率は、AAポート72から供給される燃焼用空気量(AA量)÷火炉内に供給された全燃焼用空気量で算出される。全燃焼用空気量からAA量を引いた分は、バーナ部8側から供給される。例えば二段燃焼率が上がると、AAポート72から供給される燃焼用空気量が増え、バーナ部8側から供給される燃焼用空気量が減るので、炉内におけるAAまでの空間が空気不足となり、燃焼により発生するNOxが抑制される。
そして、このように燃料Fcを燃焼させることで生じた熱により、炉壁を形成する蒸発管や、火炉71の上部や、火炉71に接続された煙道74に設置された過熱器、再熱器、節炭器などの各種の熱交換器が有する伝熱管群75の内部を流れる水などの流体を加熱する。また、各種の熱交換器を通過後の排ガス(燃焼ガス)は、煙道74に接続された排ガス処理装置により無害化された後、外部に排出される。具体的には、排ガスから窒素酸化物を除去する脱硝装置95や、排ガスの熱により、空気供給管Lを通る外気Aを昇温する空気予熱器96、熱回収後の排ガスに含まれる煤塵を除去する電気集塵器97、除塵後の排ガス中の硫黄酸化物を除去するための脱硫装置(不図示)などにより処理された後、煙突(不図示)から外部に排出される。
ここで、燃料Fcを燃焼させると灰が生じるが、この灰が炉内の蒸発管や各種の伝熱管群の伝熱面などに付着していくことにより、既に述べたようなクリンカトラブルが発生する可能性がある。この点、発明者らは、鋭意研究により、炉壁近傍に存在する高温の灰が多いほど、炉壁への灰付着(クリンカ付着。以下同様。)が生じ易いことを見出した。この点、旋回燃焼ボイラ7では、旋回燃焼の径が大きくなることにより炉壁近傍へ到達する灰の量が増加し易くなる。また、バーナ81の火炎長が伸びることにより高温の灰(飛灰。以下同様。)が炉壁近傍へ到達し易くなる。バーナ81のノズル吹出し部の巻戻りが強くなることによりバーナ81の周囲に形成されるよどみ部に灰が滞留し易くなる。つまり、このような灰付着のメカニズムにより、高温で大量の灰が炉壁近傍に存在あるいは滞留することで炉壁への灰付着が生じ易い。また、このような灰付着のメカニズムの生じ易さは、炉内の寸法や、複数のバーナ81の配置関係の影響を受ける。
よって、発明者らは、燃料が有する灰分の性状と共に、これらの灰付着のメカニズムの各々に起因する灰付着のし易さを個々の旋回燃焼ボイラ7に応じて総合的に考慮することで、灰付着性の評価対象となるボイラに応じた灰付着のし易さを、灰付着性指標Fとして適切に数値化することが可能になると考えた。このような灰付着性指標Fが得られれば、ボイラの計画、設計段階や、試運転の段階、実運転の段階などで確認することにより、確認段階に応じて灰付着が抑制されるようにボイラの寸法や、バーナ81の配置、運転条件(後述)、燃料Fcの性状(種類)などを調節することが可能となる。
以下、上述した灰付着性指標Fを算出する灰付着性評価装置1について、図3~図6を用いて説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る灰付着性評価装置1の構成を概略的に示すブロック図である。図4は、本発明の一実施形態に係る灰性状因子F1と灰軟化温度STとの関係を示す図である。図5は、本発明の一実施形態に係る流速条件Cvの違いに応じた灰の流れを説明するための図である。また、図6は、本発明の一実施形態に係る灰付着性指標Fと炉断面積Sとの関係を示す図である。
図3に示すように、灰付着性評価装置1は、灰性状因子取得部2と、灰付着性因子取得部3と、算出部5と、を備える。なお、灰付着性評価装置1は、例えばコンピュータで構成されており、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリ、外部記憶装置などの記憶装置mを備えている。そして、主記憶装置にロードされたプログラム(灰付着性評価プログラム)の命令に従ってCPUが動作(データの演算など)することで、灰付着性評価装置1の各機能部を実現する。
灰付着性評価装置1が備える上記の機能部について、それぞれ説明する。
灰性状因子取得部2は、燃料Fcの燃焼による生じる灰の性状に基づいて算出される灰性状因子F1を取得するよう構成された機能部である。この灰の性状は、実験等により燃料Fcを燃焼させて分析した分析結果や推定結果など事前に得たものであっても良いし、旋回燃焼ボイラ7で実際に燃料Fcを燃焼させることにより得たものであっても良い。図3に示す実施形態では、灰の性状として灰軟化温度STを採用しており、灰性状因子取得部2は、使用する燃料Fcから生じる灰の、想定あるいは測定される還元雰囲気場における灰軟化温度STに基づいて算出された灰性状因子F1を取得するようになっている。
より詳細には、図4に示すように、灰性状因子F1は、灰軟化温度STが基準温度R以上の場合には所定値naになり、灰軟化温度STが基準温度Rよりも小さい場合には、灰軟化温度が小さくなるほど値が大きくなるように算出されるようになっている。灰軟化温度STが小さいほど灰が溶融し易く、灰付着がし易くなるためであるが、基準温度Rを境に傾きが変わるように設定したのは、実績や実験などから得た本発明者らの新たな知見に基づくものである。具体的には、灰性状因子F1は、灰軟化温度STを変数とする関数を用いて算出されても良い。例えば、定数をβ(0以外の実数)、C(実数)とした場合に、灰性状因子F1を、F1=β×(R-ST)+Cの関数で算出しても良い。
なお、図3の灰性状因子取得部2は、記憶装置mに記憶された、使用する燃料Fcに関して予め算出されている灰性状因子F1を取得しても良いし、記憶装置mに記憶された使用する燃料Fcの灰軟化温度STを取得し、上記の関数を用いるなどして、灰軟化温度STに応じた灰性状因子F1を算出することにより、取得しても良い。
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。他の幾つかの実施形態では、灰の性状は、燃料Fcが有する灰分の組成、灰軟化温度ST以外の他の溶融温度、灰の形状(粒径等)であっても良い。溶融温度としては、灰軟化温度STの他、灰の初期変形温度、半球温度、溶流温度などがある。そして、灰性状因子F1は、灰軟化温度STを含むいずれかの溶融温度や、灰の組成、灰の形状のうちの少なくとも1つの灰の性状に基づいて算出されても良い。灰の溶融温度については、いずれの温度であっても、上記のような関数にあてはめても良い。また、灰の形状については、ミル装置94によって生成する微粉炭などの形状にほとんど差がないような場合には考慮しなくても良い。
灰付着性因子取得部3は、火炉71の内部における炉壁近傍の灰についての灰付着性因子F2を取得するよう構成された機能部である。この灰付着性因子F2は、灰の量に関する灰量因子G1と、灰の温度に関する灰温度因子G2と、灰が存在する領域における還元雰囲気の程度(強弱)に関する雰囲気因子G3と、を含む。上記の灰量因子G1は、炉内の寸法(以下、炉内寸法Mf)と、炉内に供給する空気の流速条件Cvと、に基づいて算出される。上記の灰温度因子G2は、炉内寸法Mfと、バーナ配置情報Mbと、炉内の温度条件Ctと、に基づいて算出される。また、雰囲気因子G3は、炉内の燃焼条件Ccに基づいて算出される。
具体的には、炉内寸法Mfは、火炉71の水平断面の面積(以下、炉断面積S)を含んでいても良い。この水平断面は、例えば4本のバーナ81が設置される位置での断面であっても良い。また、バーナ配置情報Mbは、バーナ81の位置関係を規定した情報を含んでいても良い。具体的には、バーナ配置情報Mbは、火炉71に設置されたバーナ81の本数(バーナ本数N)、炉奥行き(炉幅D1)、その奥行き方向におけるバーナ間距離D2を含んでいても良い。なお、バーナ本数Nは、バーナ段数×コーナ部71cの数(3以上の整数)で算出可能であっても良い。
また、流速条件Cvは、一次空気A1の流速V1(単位は例えばm/s)、および二次空気A2の流速V2(単位は同上)を含んでも良く、これらの流速V(V1、V2)は、最大値であっても良い。温度条件Ctは、蒸発量Wsを含んでいても良い。燃焼条件Ccは、炉内の全空気比×(1-AA率)で算出されるバーナ部8の空気比(以下、バーナ部空気比λ)を含でも良い。
そして、図3に示す実施形態では、上記の灰量因子G1は、炉断面積Sが大きいほど小さくなるように算出されると共に、一次空気A1の流速V1あるいは二次空気A2の流速V2が大きいほど大きく算出されるようになっている。すなわち、この灰量因子G1は、旋回燃焼の旋回力の大小に応じて変化する炉壁近傍の灰量の大小による灰付着のし易さへの影響を表すものとなっている。図5では、細線は相対的に流速Vが遅い場合を示し、太線は相対的に流速Vが速い場合を示す。図5に示すように、一次空気A1または二次空気A2の流速Vが速くなると、旋回力が強まり、炉壁近傍に飛灰が到達し易くなる。逆に、炉断面積Sが大きいほど、各バーナ81から炉壁までの距離が長くなるので、炉壁近傍に飛灰が到達し難くなる。
よって、例えば一次空気A1および二次空気A2の各々の流速Vを旋回力の大きさに対応した指標とし、炉断面積Sをバーナ81から炉壁への距離の指標として、これらの指標を用いて灰量因子G1を算出することにより、ボイラに応じた灰量因子G1を適切に数値化することが可能となる。具体的には、灰量因子G1は、上述のような関係が反映された、炉断面積S、一次空気A1の流速V1、および二次空気A2の流速V2を変数とする関数を用いて算出されても良い。例えば、α、α、α(α、α、αは0以外の実数)、C(実数)を定数とした場合に、灰量因子G1を、G1={α×V1+α×V2}÷Sα3+Cの関数で算出しても良い。この際、旋回力への影響は、一次空気A1の流速V1の方が、二次空気A2の流速V2よりも大きいため、α>αとしても良い。また、Sα3に代えて、α×Sであっても良い。
一方、上記の灰温度因子G2は、炉断面積Sや炉幅D1が大きいほど小さくなるように算出されると共に、バーナ81の火炎長が長い状況であるほど、または、バーナ間距離D2が小さいほど、大きく算出されるようになっている。すなわち、この灰温度因子G2は、火炎長の長短に応じて変化する炉壁近傍の灰温度の高低による灰付着のし易さへの影響を表すものとなっている。火炎長が長い状況であるほど、炉壁近傍に存在する灰が高温化し易くなる。また、バーナ間距離D2が短いほど、一方のバーナ81の火炎が、他方のバーナ81の火炎に到達し易くなり、2つの火炎が合体(干渉)することにより、火炎長が伸び易くなる。逆に、炉断面積Sや炉幅D1が大きいほど、各バーナ81の火炎から炉壁までの距離が長くなるので、炉壁近傍に火炎が届きにくくなり、炉壁近傍の灰がその分低温となり易い。
よって、炉寸法に対する火炎長の影響と、火炎が合体して伸びる影響とを考慮することにより、ボイラに応じた灰温度因子G2を適切に数値化することが可能となる。本実施形態では、上述したような関係を考慮して得られる、蒸発量Wsおよびバーナ本数Nから求められる一本のバーナ81あたりの蒸発量、および炉断面積Sを用いて得られる指標を、炉寸法に対する火炎長の影響に対応した指標としている。また、炉幅D1およびバーナ間距離D2を用いて得られる指標(D1/D2)を、炉幅D1が同じボイラ同士を比べた場合における火炎同士が重なり伸びる影響に対応した指標としている。
具体的には、灰温度因子G2は、上述のような関係が反映された、蒸発量Ws、バーナ本数N、炉断面積S、炉幅D1、およびバーナ間距離D2を変数とする関数を用いて算出されても良い。例えば、γ、γ(γ、γは0以外の実数)、C(実数)を定数とした場合に、灰温度因子G2を、G2=γ×(Ws/N/S)+γ×(D1/D2)+Cの関数で算出しても良い。この関数におけるWs/N/Sの項は、炉寸法に対する火炎長の影響に対応し、D1/D2の項は、火炎が合体して伸びる影響に対応する。
また、上記の雰囲気因子G3は、バーナ部空気比λbが小さくなるほど、大きくなるように算出されるようになっている。すなわち、この雰囲気因子G3は、還元雰囲気の強弱に応じて変化する灰軟化温度STなどの灰の溶融温度の変化による灰付着のし易さへの影響を表すものとなっている。上述したように、バーナ部空気比λbは、全空気比における、アディショナルエアの割合(AA率)を除いた空気比であり、還元雰囲気の程度を示すが、例えば灰軟化温度STは、還元雰囲気が強くなるほど下がる。灰軟化温度STが下がると、より低温の状態でも灰が溶融し易くなるため、灰付着が生じ易くなる。よって、雰囲気因子G3を、上述のような関係が反映された、バーナ部空気比λbを変数とする関数を用いて算出されても良い。例えば、ε(0以外の実数)、C(実数)を定数とし、雰囲気因子G3を、G3=ε÷λb+Cの関数で算出しても良い。これによって、雰囲気因子G3の適切な数値化が可能となる。
図3に示す実施形態では、灰付着性因子取得部3は、上述した灰量因子G1を取得する灰量因子取得部31と、上述した灰温度因子G2を取得する灰温度因子取得部32と、上述した雰囲気因子G3を取得する雰囲気因子取得部33と、を有している。これらの機能部(31~33)の少なくとも1つは、記憶装置mに記憶された、予め算出されている灰量因子G1、灰温度因子G2、または雰囲気因子G3を取得しても良いし、記憶装置mに記憶された各因子(G1~G3)の変数となる情報を取得し、上記の関数を用いるなどして、各因子を算出することにより、取得しても良い。
算出部5は、灰性状因子F1および灰付着性因子F2に基づいて、評価対象となる旋回燃焼ボイラ7に応じた灰付着性指標Fを算出するよう構成された機能部である。図3に示す実施形態では、算出部5は、灰性状因子取得部2と、灰付着性因子取得部3とに接続されており、灰性状因子取得部2により取得された灰性状因子F1と、灰付着性因子取得部3により取得された灰付着性因子F2(灰量因子G1、灰温度因子G2、雰囲気因子G3)とが、それぞれ入力されるようになっている。そして、算出部5は、灰性状因子F1および灰付着性因子F2を変数とする関数fを用いて、灰付着性指標Fを算出するようになっている(F=f(F1、F2)、あるいは、F=f(F1、G1、G2、G3))。例えば、関数fは、F=F1×F2=F1×G1×G2×G3であっても良い。あるいは、関数fは、F=F1+F2=F1+G1+G2+G3など、他の演算式であっても良い。
上述したように算出される灰付着性指標Fで、複数の旋回燃焼ボイラ7をそれぞれ評価した結果を、図6を用いて説明する。図6の縦軸は、灰付着性指標Fを示し、横軸が炉断面積Sを示す。複数の旋回燃焼ボイラ7のうち、図6中の丸記号(〇)で示すものがクリンカトラブルの発生がなかったボイラであり、三角記号(△)で示すものがクリンカトラブルの発生があったボイラを示す。図6に示すように、クリンカトラブルの有無は、灰付着性指標Fがある値(閾値Th)を境に分かれている。よって、評価対象となる旋回燃焼ボイラ7について上述したように灰付着性指標Fを算出することにより、そのボイラの灰付着のし易さを適切に評価することができる。
上記の構成によれば、灰付着性指標Fを求めようとする評価対象の旋回燃焼ボイラ7で用いられる固体燃料(例えば微粉炭)を燃焼させることにより発生する灰の性状(軟化温度など)に起因する灰の付着性(灰性状因子F1)と、炉壁近傍の灰の量、温度、還元雰囲気に起因する付着性(灰付着性因子F2)とに基づいて、灰付着性指標Fを算出する。灰付着性因子F2は、評価対象ボイラに固有となる炉内の寸法、バーナ配置情報や、運転条件(流速条件、温度条件、燃焼条件)に基づいて算出されるものである。よって、灰性状因子F1および灰付着性因子F2に基づいて、評価対象の旋回燃焼ボイラ7に応じた灰付着のし易さを適切に求めることができる。また、灰付着性指標Fを求めることにより、大塊クリンカの脱落による炉底損傷やバーナの閉塞などのクリンカトラブルの発生を防止できるようにボイラの計画や設計することや、試運転時に調節することによるボイラの安定運転を図ることができる。
また、幾つかの実施形態では、図3に示すように、灰付着性評価装置1は、灰が付着する炉壁の表面条件に基づく付着面因子F3を取得するよう構成された付着面因子取得部4を、さらに備えても良い。この場合、上述した算出部5は、灰性状因子F1、灰付着性因子F2および付着面因子F3に基づいて、灰付着性指標Fを算出する。灰の付着性は、灰が付着する炉壁の箇所の表面の条件によっても異なると考えられる。具体的には、付着する表面の物性(耐火材のポーラス性や熱膨張率等)、温度(熱伝導率、輻射等)、配置(チューブ曲げによる棚,炉底ホッパ角度等)、面積(耐火材の設置面積)等が関係してくると考えられる。よって、上記の付着面因子F3は、付着表面の物性、温度、配置、面積の少なくとも1つの指標に基づいて算出されても良い。なお、複数の旋回燃焼ボイラ7間で付着表面の物性等の差異が小さい場合には、付着面因子F3を一律に例えば1などに設定しても良い。
上記の構成によれば、灰付着性指標Fを、灰性状因子F1および灰付着性因子F2に加えて、付着面因子F3に基づいて算出する。炉壁の表面は、耐火材施工方法の種類や耐火材の材質などによって、灰の付着のしやすさに影響を及ぼす場合がある。したがって、付着面因子F3を加味して行うことにより、灰付着性指標Fをより適切なものにすることができる。
次に、上述したように算出される灰付着性指標Fの算出結果を利用した実施形態について、説明する。
幾つかの実施形態では、図3に示すように、灰付着性評価装置1は、灰付着性指標Fの算出値が規定の閾値Th以下になるように、上述した、炉内の寸法、バーナ配置情報Mb、流速条件Cv、温度条件Ct、または燃焼条件Ccの少なくとも1つを調節する調節部6を、さらに備えても良い。
具体的には、炉内の寸法、バーナ配置情報Mb、流速条件Cv、温度条件Ct、および燃焼条件Ccを、それぞれ変更可能なパラメータとしておく。そして、灰付着性指標Fの算出値が規定の閾値Thよりも大きい場合には、調節部6は、規定のアルゴリズム、あるいは、オペレータからの入力(指示)に従って上記のいずれかのパラメータを変更し、変更したパラメータセットを用いて、再度、灰付着性指標Fの算出を行う。そして、パラメータ変更後の灰付着性指標Fの算出値が閾値Th以下であるか否かを確認し、灰付着性指標Fの算出値が閾値Th以下でない場合には、パラメータの変更から再度繰り返すことで、灰付着性指標Fの算出値が閾値Th以下となる場合のパラメータセットを得る。
例えば、ボイラの計画、設計段階では、炉内の寸法や、バーナ配置情報Mbを調節しても良い。試運転時や実運転時には、流速条件Cv、温度条件Ct、または燃焼条件Ccの少なくとも1つを調節(変更)しても良い。
また、実運転時には、石炭などの燃料Fcの性状(燃料性状)が変更になった場合や、クリンカ付着傾向が確認された場合などに灰付着性指標Fを算出しても良い。そして、灰付着性指標Fの値が閾値Th以下となるように、上述したパラメータの調節を行っても良い。この燃料Fcの性状が変更されたタイミングは、蒸気温度や圧力などのボイラの運転状態や、ミル装置94の電流値などから判断しても良い。ミル装置94の電流値は、燃料Fcに含まれる灰分の組成が変わるなどして、石炭の粉砕性が変わり、より硬くなれば電流値が大きくなるなど、変化する。
あるいは、幾つかの実施形態では、燃料性状の異なる燃料で運転を行う場合、各燃料Fc別に算出された灰付着性指標Fの値の過去の履歴に基づいて、燃料Fcが変更になった場合の灰付着性指標Fの予測を行っても良い。具体的には、灰付着性評価装置1は、互いに燃料性状の異なる複数の燃料Fcの各々についての燃料性状と灰付着性指標Fとの関係を記憶する記憶装置mなどに設けられた履歴記憶部(不図示)と、この複数の燃料Fcから得られる灰付着性指標Fと燃料性状との関係に基づいて、任意の燃料性状を有する燃料Fcの灰付着性指標Fを予測する予測部(不図示)を、さらに備えても良い。例えば、周知な機械学習の手法を用いて、燃料性状から灰付着性指標Fを算出する学習モデルを作成しても良い。そして、予測部(不図示)は、この学習モデルを用いて、燃料性状から灰付着性指標Fを算出しても良い。また、例えば上述したように燃料Fcの性状が変更されたタイミングを判断した場合に、上記の予測を行っても良い。
上記の構成によれば、複数の燃料Fcに関する燃料性状と灰付着性指標Fとの関係に基づいて、任意の燃料性状を有する燃料Fcについての灰付着性指標Fを予測する。これによって、燃料Fcの性状が運転中などの変化した場合に、灰付着性指標Fをより迅速に求めることができ、燃料性状の変更による影響を迅速に見極めることができる。また、灰付着性指標Fとクリンカ発生との関係などの過去に得られた運転実績等を参照すれば、灰付着性指標Fの予測値に基づいて、その任意の燃料性状を有する燃料Fcで運転した場合のクリンカの発生を予測することが可能となり、クリンカ落下等のトラブルの頻度を低下させることができる。なお、後述する通知部62などから設備保全費用の改善効果を通知してもいい。
より詳細には、幾つかの実施形態では、調節部6は、灰付着性指標Fの算出値が、予め設定されるなどした上記の規定の閾値Thよりも大きい場合には、炉内に供給する一次空気A1または二次空気A2の少なくとも一方の流速Vが小さくなるように調節しても良い。一次空気A1または二次空気A2の少なくとも一方の流速を小さくすれば、上述したように灰量因子G1を小さくすることができる。そして、灰量因子G1を小さくすれば、灰付着性指標Fは小さくなる。一次空気A1または二次空気A2の流速Vは試運転時や実運転時などの運転時であっても調節可能であり、灰付着の抑制をより容易に図ることが可能となる。
他の幾つかの実施形態では、調節部6は、灰付着性指標Fの算出値が上記の閾値Thよりも大きい場合には、アディショナルエアの割合(AA率)が小さくなるように調節しても良い。AA率を小さくすれば、バーナ部空気比λbが大きくなるので、雰囲気因子G3を小さくすることができる。そして、雰囲気因子G3を小さくすれば、灰付着性指標Fは小さくなる。図1に示す実施形態では、風箱ダンパ83aにより、AA率の調節が可能となっている。AA率は運転時であっても調節可能であり、灰付着の抑制をより容易に図ること可能となる。
上記の構成によれば、灰付着性指標Fが規定の閾値Th以下になるように、例えば、炉内の寸法(炉内の断面積、炉幅D1など)や、バーナ81の配置(バーナ本数N、バーナ間距離D2など)、運転条件(流速条件Cv、温度条件Ct、燃焼条件Cc)などを調節する。これによって、炉壁への灰付着の抑制が可能な炉の寸法や、バーナ81の配置、運転条件を決定することができる。
また、幾つかの実施形態では、図3に示すように、灰付着性評価装置1は、上記の調節部6による調節結果を、旋回燃焼ボイラ7の運転制御装置7c、またはディスプレイ12などの報知装置の少なくとも一方に送信(通知)する通知部62を、さらに備えても良い。調節部6による調節結果として、運転条件を運転制御装置7cに通知すると共に、運転制御装置7cがその運転条件に従って、旋回燃焼ボイラ7の運転を制御するように構成すれば、灰付着の抑制が可能となるように、自動で制御することが可能となる。同時に、オペレータに通知すれば、運転条件の変更をオペレータが認識することが可能となる。また、報知装置に通知するよう構成すれば、旋回燃焼ボイラ7の運転を行うオペレータに対して、灰化した後に固まらないようにするための運転操作など、灰付着の抑制が可能な運転条件を提示することが可能となる。
上記の構成によれば、灰付着性指標Fが規定の閾値Th以下になるように調節した際に、変更された流速条件Cv、温度条件Ct、燃焼条件Ccのディスプレイへの表示や、旋回燃焼ボイラ7の運転制御装置7cへの送信などを行う。これによって、オペレータに対して、灰付着が抑制されるような運転を促すことや、旋回燃焼ボイラ7の運転制御を自動で行うことができる。
以下、上述した灰付着性指標Fを算出するための灰付着性評価算定方法を、図7を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る灰付着性評価算定方法を示すフロー図である。図7に示すように、灰付着性評価算定方法は、上述した灰性状因子F1を取得する灰性状因子取得ステップと、火炉71の内部における炉壁近傍の灰についての上述した灰量因子G1、灰温度因子G2、および雰囲気因子G3を含む灰付着性因子F2を取得する灰付着性因子取得ステップと、取得した上記の灰性状因子F1および灰付着性因子F2に基づいて、評価対象の旋回燃焼ボイラ7に応じた灰付着性指標Fを算出する算出ステップと、を備える。これらの灰性状因子取得ステップ、灰付着性因子取得ステップ、算出ステップは、それぞれ、既に説明した灰性状因子取得部2、灰付着性因子取得部3、算出部5が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
幾つかの実施形態では、図7に示すように、灰付着性評価算定方法は、灰が付着する炉壁の表面条件に基づく付着面因子F3を取得する付着面因子取得ステップを、さらに備えても良い。この付着面因子取得ステップは、既に説明した付着面因子取得部4が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
図7に示すフローに従って、灰付着性評価算定方法を説明する。
ステップS1において、上述した灰性状因子取得ステップを実行し、ステップS2において、上述した付着性因子取得ステップを実行する。本実施形態では、ステップS3において、上述した付着面因子取得ステップを実行している。その後、ステップS4において、上述した算出ステップを実行し、灰付着性指標Fを得る。つまり、ステップS4では、取得した上記の灰性状因子F1、灰付着性因子F2、および付着面因子F3に基づいて灰付着性指標Fを算出するが、ステップS3を省略する場合には付着面因子F3は用いなくても良い。
また、幾つかの実施形態では、図7に示すように、灰付着性評価算定方法は、灰付着性指標Fの算出値が規定の閾値Th以下になるように、灰付着性指標Fの算出値が規定の閾値Th以下になるように、上述した、炉内の寸法、バーナ配置情報Mb、流速条件Cv、温度条件Ct、または燃焼条件Ccの少なくとも1つを調節する調節ステップを、さらに備えても良い。この調節ステップは、既に説明した調節部6が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
図7に示す実施形態では、ステップS5において、上記のステップS4で算出された灰付着性指標Fが閾値Th以下であるか確認している。そして、灰付着性指標Fが閾値Th以下ではない場合(F>Th)には、ステップS6において、運転条件を変更し、ステップS1から再度実行するようになっている。逆に、ステップS5において、灰付着性指標Fが閾値Th以下である場合(F≦Th)には、処理を終了しても良い。
また、幾つかの実施形態では、図7に示すように、灰付着性評価算定方法は、上記の調節ステップによる調節結果を、旋回燃焼ボイラ7の運転制御装置7c、またはディスプレイ12などの報知装置の少なくとも一方に送信(通知)する通知ステップを、さらに備えても良い。この通知ステップは、既に説明した通知部62が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。図7に示す実施形態では、上記のステップS5の次に、ステップS6を実行し、通知ステップを実行するようになっている。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
1 灰付着性評価装置
m 記憶装置
12 ディスプレイ
2 灰性状因子取得部
3 灰付着性因子取得部
31 灰量因子取得部
32 灰温度因子取得部
33 雰囲気因子取得部
4 付着面因子取得部
5 算出部
6 調節部
62 通知部
81 バーナ
7 旋回燃焼ボイラ
7c 運転制御装置
71 火炉
71c コーナ部
72 AAポート
72a AA量調節バルブ
74 煙道
75 伝熱管群
8 バーナ部
83 風箱
83a 風箱ダンパ
91 石炭貯蔵設備
92 石炭ホッパ
93 石炭供給装置
94 ミル装置
95 脱硝装置
96 空気予熱器
97 電気集塵器
A 外気
A1 一次空気
A2 二次空気
L 空気供給管
L1 搬送用空気供給管
L2 燃焼用空気供給管
Lf 微粉燃料管
Fc 燃料
F 灰付着性指標
F1 灰性状因子
F2 灰付着性因子
F3 付着面因子
G1 灰量因子
G2 灰温度因子
G3 雰囲気因子
Mf 炉内寸法
Mb バーナ配置情報
N バーナ本数
Cc 燃焼条件
Ct 温度条件
Cv 流速条件
D1 炉幅
D2 バーナ間距離
R 基準温度
S 炉断面積
ST 灰軟化温度
V 流速
V1 一次空気の流速
V2 二次空気の流速
Ws 蒸発量
Th 閾値
na 所定値

Claims (12)

  1. 旋回燃焼ボイラにおける固体燃料の燃焼時に発生する灰の付着のし易さを数値化した灰付着性指標を算出する灰付着性評価装置であって、
    前記灰の性状に基づいて算出される灰性状因子を取得するよう構成された灰性状因子取得部と、
    炉壁近傍の前記灰についての、炉内の寸法および前記炉内に供給する空気の流速条件に基づいて算出される灰量因子と、前記炉内の寸法、バーナ配置情報および前記炉内の温度条件に基づいて算出される灰温度因子と、前記炉内の燃焼条件に基づいて算出される還元雰囲気の程度を示す雰囲気因子と、を含む灰付着性因子を取得するよう構成された灰付着性因子取得部と、
    前記灰性状因子および前記灰付着性因子に基づいて、評価対象となる前記旋回燃焼ボイラに応じた前記灰付着性指標を算出するよう構成された算出部と、を備えることを特徴とする灰付着性評価装置。
  2. 前記炉内の寸法は、前記炉内の断面積を含み、
    前記流速条件は、前記炉内に供給する一次空気および二次空気の各々の流速を含み、
    前記灰量因子は、前記炉内の断面積、前記一次空気および前記二次空気の各々の流速に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の灰付着性評価装置。
  3. 前記炉内の寸法は、前記炉内の断面積、炉幅を含み、
    前記温度条件は、前記炉内の伝熱管群の内部を流れる流体が蒸発した量である蒸発量を含み、
    前記バーナ配置情報は、バーナの本数、および隣接する前記バーナ間の距離を含み、
    前記灰温度因子は、前記炉内の断面積、前記蒸発量、前記バーナの本数、前記バーナ間の距離、および前記炉幅に基づいて算出されることを特徴とする請求項1または2に記載の灰付着性評価装置。
  4. 前記炉内の全空気比をλ
    アディショナルエアの割合をAA率(ただし、AA率は0以上1以下の数値)とした場合に、
    前記燃焼条件は、下記式(1)により定義されるバーナ部空気比λ を含み、
    前記雰囲気因子は、前記バーナ部空気比λ に基づいて算出されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の灰付着性評価装置。
    λ =λ ×(1-AA率) ・・・ (1)
  5. 前記灰の性状は、前記灰の灰軟化温度を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の灰付着性評価装置。
  6. 前記灰が付着する前記炉壁の表面条件に基づく付着面因子を取得するよう構成された付着面因子取得部を、さらに備え、
    前記算出部は、前記灰性状因子、前記灰付着性因子および前記付着面因子に基づいて、前記灰付着性指標を算出することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の灰付着性評価装置。
  7. 前記灰付着性指標の算出値が規定の閾値以下になるように、前記炉内の寸法、前記バーナ配置情報、前記流速条件、前記温度条件、または前記燃焼条件の少なくとも1つを調節する調節部を、さらに備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の灰付着性評価装置。
  8. 前記調節部は、前記灰付着性指標の算出値が前記閾値よりも大きい場合には、前記炉内に供給する一次空気または二次空気の少なくとも一方の流速が小さくなるように調節することを特徴とする請求項7に記載の灰付着性評価装置。
  9. 前記調節部は、前記灰付着性指標の算出値が前記閾値よりも大きい場合には、前記炉内の全空気比におけるアディショナルエアの割合が小さくなるように調節することを特徴とする請求項7または8に記載の灰付着性評価装置。
  10. 前記調節部による調節結果を、前記旋回燃焼ボイラの運転制御装置または報知装置の少なくとも一方に送信する通知部を、さらに備えることを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の灰付着性評価装置。
  11. 互いに燃料性状の異なる複数の前記固体燃料の各々についての前記燃料性状と前記灰付着性指標との関係を記憶する履歴記憶部と、前記複数の固体燃料から得られる複数の前記関係に基づいて、任意の前記燃料性状を有する前記固体燃料の前記灰付着性指標を予測する予測部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の灰付着性評価装置。
  12. 旋回燃焼ボイラにおける固体燃料の燃焼時に発生する灰の付着のし易さを数値化した灰付着性指標を算出する灰付着性評価算定方法であって、
    前記灰の性状に基づいて算出される灰性状因子を取得する灰性状因子取得ステップと、
    炉壁近傍の前記灰についての、炉内の寸法および前記炉内に供給する空気の流速条件に基づいて算出される灰量因子と、前記炉内の寸法、バーナ配置情報および前記炉内の温度条件に基づいて算出される灰温度因子と、前記炉内の燃焼条件に基づいて算出される還元雰囲気の程度を示す雰囲気因子と、を含む灰付着性因子を取得する灰付着性因子取得ステップと、
    前記灰性状因子および前記灰付着性因子に基づいて、評価対象となる前記旋回燃焼ボイラに応じた前記灰付着性指標を算出する算出ステップと、を備えることを特徴とする灰付着性評価算定方法。
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