JP7272614B2 - ホウ化物粒子分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、ホウ化物粒子、ホウ化物粒子分散液に関する。
従来、La等の希土類元素のホウ化物粒子は、固相反応法で合成された後、乾式粉砕法で粉砕されて製造され、特にジェットミル等の高速気流により粒子同士を衝突させて粉砕する方法が一般的である。希土類元素のホウ化物粒子のうち、例えば、六ホウ化ランタンは、ランタン酸化物とホウ素酸化物を炭素の存在下で高温に加熱することにより得られ、その後乾式粉砕装置で粉砕されている。なお、ジェットミルを用いた、粉体の微粉砕方法は、例えば特許文献1に開示されている。
これらホウ化物粒子は、従来から厚膜抵抗ペースト等に使用されており、また微細粒子にすると日射遮蔽用の光学材料として用いることが可能である。即ち、ホウ化物粒子を分散させた膜は、可視光線を透過し、熱エネルギーとして作用する近赤外線を効率よく遮蔽することができるため、住宅や自動車の窓などに適用する日射遮蔽材として好適であることが知られている(例えば、特許文献2、3を参照)。
しかし、La等の希土類元素のホウ化物は硬質であるため、ジェットミル等を用いた乾式粉砕法では微細な粒子に粉砕することが難しく、1μm~3μm程度の比較的大きな粒子しか得られないという問題があった。また、乾式粉砕法で得たホウ化物粒子は、再凝集を抑えることが困難であった。
その後の研究で、媒体撹拌ミルで処理することにより、ホウ化物粒子の平均分散粒子径を200nm以下にできることが見出された(例えば、特許文献4を参照)。これにより、経済的に平均分散粒子径が200nm程度のホウ化物粒子が得られるようになった。平均分散粒子径が200nm以下のホウ化物粒子を用いれば、粒子径が200nmよりも大きい時に起こる幾何学散乱又はミー散乱を低減できる。このため、400nm~780nmの可視光線領域の光を散乱して曇りガラスのようになる現象が防げるようになり、透明性を重視した光学部材が得られるようになった。
しかし、赤外線遮蔽粒子として、上記ホウ化物粒子が分散された赤外線遮蔽光学部材は、太陽光やスポットライト等の強い光が照射されたときに青白色に変色する現象(以下、係る現象を「ブルーヘイズ」と記載する場合がある)を生じる場合がある。このようなブルーヘイズを生じると、赤外線遮蔽光学部材の美観が損なわれる恐れがある等の問題があった。
ホウ化物粒子の平均分散粒子径が200nm以下になると、幾何学散乱またはミー散乱は低減し、散乱の大部分は散乱係数が下記式(1)で定義されるレイリー散乱に従うことが知られている。
S=[16π/3λ]・[(m-1)/(m+2)]・[m] (1)
[但し、上記式(1)中、Sは散乱係数、λは波長、rは粒子径、m=n/n、nは基質の屈折率、および、nは分散物質の屈折率である]
上記レイリー散乱は、光の波長よりも小さいサイズの粒子による光の散乱である。上記式(1)から、レイリー散乱は波長(λ)の4乗に反比例するため、波長の短い青い光を多く散乱して青白色に変色させることが把握される。
また、レイリー散乱領域では、上記式(1)から、散乱光は粒子径(r)の6乗に比例するため、粒子径を小さくすることで、レイリー散乱が低減して、ブルーヘイズの発生を抑制できることが把握される。
そして、例えば、特許文献5には、平均分散粒子径を85nm以下にすることでブルーヘイズの発生を抑制できた例が開示されている。
特開2001-314776号公報 特開2000-096034号公報 特開平11-181336号公報 特開2004-237250号公報 特開2009-150979号公報
V. Domnich et al., J. Am. Ceram. Soc., (2011) vol.94, Issue 11, pp.3605-3628 X.H.Zhao et al., App. Mech. Mater., (2011) vol.55-57, pp.1436-1440
しかしながら、特許文献4に開示されている、媒体撹拌ミルを用いた粉砕方法により、従来用いられていたホウ化物粒子を、平均分散粒子径が85nm以下になるまで粉砕しようとすると、スラリーの粘度が高くなり粉砕処理が困難な場合があった。
そのため、粉砕処理を続けて更に平均分散粒子径を小さくし、ブルーヘイズを抑えるためには、スラリー中のホウ化物粒子の濃度を極端に下げて粘度を下げる必要があり、粉砕効率が悪く非経済的であるという問題があった。
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、容易に微粉砕することができるホウ化物粒子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
一般式XB(但し、Xは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから選ばれる1種類以上の金属元素、mは一般式におけるホウ素量を示す数字)で表されるホウ化物粒子であって、
燃焼-赤外線吸収法で測定したときの前記ホウ化物粒子中に含まれる炭素量が0.2質量%以下であるホウ化物粒子を提供する。
本発明の一態様によれば、容易に微粉砕することができるホウ化物粒子を提供することができる。
実施例、比較例における、拡散透過プロファイルの測定原理の説明図(その1)。 実施例、比較例における、拡散透過プロファイルの測定原理の説明図(その2)。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
(ホウ化物粒子)
本実施形態ではまず、ホウ化物粒子の一構成例について説明する。
本実施形態のホウ化物粒子は、一般式XB(但し、Xは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから選ばれる1種類以上の金属元素、mは一般式におけるホウ素量を示す数字)で表されるホウ化物粒子に関する。そして、燃焼-赤外線吸収法で測定したときの上記ホウ化物粒子中に含まれる炭素量を0.2質量%以下とすることができる。
本発明の発明者らは、容易に微粉砕、すなわち微細な粒子に粉砕することができるホウ化物粒子について、鋭意検討を行った。そして、ホウ化物粒子中の炭素量(炭素濃度)を所定値以下にすることで、容易に微粉砕できるホウ化物粒子にできることを見出し、本発明を完成させた。
本実施形態のホウ化物粒子は、上述のように一般式XBで表されるホウ化物の粒子とすることができる。
上述の一般式XBで表される本実施形態のホウ化物粒子において、金属元素(X)に対するホウ素(B)の元素比(モル比)(B/X)であるmは、特に限定されるものではないが、3.0以上20.0以下であることが好ましい。
一般式XBで表されるホウ化物粒子を構成するホウ化物としては、例えばXB、XB、XB12等が挙げられる。しかし、波長1000nm付近における近赤外領域の光の透過率を選択的に効率よく低下させる観点から、本実施形態のホウ化物粒子は、XB、またはXBが主体となっていることが好ましく、一部にXB12を含んでいてもよい。
このため、上記一般式XBにおける、金属元素(X)に対するホウ素(B)の元素比(B/X)であるmは、4.0以上6.2以下であることがより好ましい。
なお、上記(B/X)が4.0以上の場合、XBや、XB等の生成を抑制することができ、理由は明らかではないが、日射遮蔽特性を向上させることができる。また、上記(B/X)が6.2以下の場合には、特に日射遮蔽特性に優れた六ホウ化物の含有割合を増加させることができ、日射遮蔽特性が向上するため好ましい。
特に、ホウ化物の中で近赤外線の吸収能が高いことから、本実施形態のホウ化物粒子はXBが主体になっていることが好ましい。
このため、一般式XBで表される本実施形態のホウ化物粒子において、金属元素(X)に対するホウ素(B)の元素比(B/X)であるmは、5.8以上6.2以下であることがさらに好ましい。
なお、ホウ化物粒子を製造した場合、得られるホウ化物粒子を含む粉体は、単一の組成のホウ化物の粒子のみから構成されるものではなく、複数の組成のホウ化物を含む粒子とすることができる。具体的には例えばXB、XB、XB12等のホウ化物の混合物の粒子とすることができる。
従って、例えば、代表的なホウ化物粒子である六ホウ化物の粒子について、X線回折の測定を行った場合に、X線回折の分析上、単一相であっても、実際には微量に他相を含んでいると考えられる。
そこで、本実施形態のホウ化物粒子の一般式XBにおけるmは、例えば得られたホウ化物粒子を含む粉体をICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)等により化学分析した場合の、X元素1原子に対するホウ素(B)の原子数比とすることができる。
本実施形態のホウ化物粒子の金属元素(X)は上記一般式に示したように特に限定されるものではなく、例えばY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから選ばれる1種類以上の金属元素とすることができる。
ただし、ランタンの六ホウ化物である、六ホウ化ランタンは特に近赤外線の吸収能が高いことから、本実施形態のホウ化物粒子は、六ホウ化ランタン粒子を含むことが好ましい。
そして、既述のように、本発明の発明者らの検討によれば、ホウ化物粒子中の炭素量(炭素濃度)を所定値以下とすることで、容易に微粉砕できるホウ化物粒子とすることができる。この理由について以下に説明する。
本発明の発明者らの検討によれば、ホウ化物粒子中に含まれる炭素が、ホウ化物粒子の成分と炭素化合物を形成する、あるいは原料に含まれる炭素化合物が残留することがある。
このような、炭素化合物としては、例えばLaB、LaB、BC、B4.5C、B5.6C、B6.5C、B7.7C、BCなどが挙げられる。
非特許文献1によると、上述の炭素化合物のうち、BC、B4.5C、B5.6C、B6.5C、B7.7C、BCは、硬さの指標となるヤング率はそれぞれ472GPa、463GPa、462GPa、446GPa、352GPa、348GPaと高硬度の炭素化合物となっている。
一方、非特許文献2には、例えば六ホウ化ランタンのヤング率は、194GPaと報告されている。また、その他のホウ化物粒子についても同程度のヤング率を有するものと推認される。
このように、目的とするホウ化物粒子と比較して、不純物として混入する炭素化合物の方がヤング率が高い場合がある。このため、容易に微粉砕できるホウ化物粒子とするためには、これらの炭素化合物の混入を抑制することが求められる。
そして、これらの炭素化合物の混入量(含有量)は、ホウ化物粒子中の炭素量と相関があるため、既述のように、ホウ化物粒子中の炭素量を所定値以下とすることで、容易に微粉砕できるホウ化物粒子とすることができると考えられる。
本実施形態のホウ化物粒子中に含まれる炭素量は、燃焼-赤外線吸収法により測定することができる。そして、燃焼-赤外線吸収法により測定した、本実施形態のホウ化物粒子に含まれる炭素量は、0.2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
また、特にホウ化物粒子中には、上述の炭素化合物のうちBC(炭化ホウ素)が生成し易いことから、本実施形態のホウ化物粒子は含有するBC量についても抑制することが好ましい。例えば、本実施形態のホウ化物粒子のBCの含有量(含有割合)は1.0質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のホウ化物粒子に含まれるBCの量、すなわちBCの含有割合を1.0質量%以下とすることで、他の炭素化合物の含有量も抑制でき、特に容易に微粉砕できるホウ化物粒子とすることができ、好ましい。
本実施形態のホウ化物粒子中に含まれるBC量は、硝酸溶解と濾過分離の前処理を施すことでICP分析によって測定することができる。
Cは硝酸にはほとんど溶解しないことが知られている。一方、ホウ化物粒子は硝酸に溶解することが知られている。
よって、ホウ化物粒子中のBC量を評価する場合、ホウ化物粒子を硝酸に添加し、ホウ化物粒子を溶解させた後、未溶解残渣を濾過分離することで、ホウ化物粒子中のBC粒子のみを取り出すことができる。そして、分離したBC粒子を炭酸ナトリウムにより溶解し、ICP分析によってホウ素濃度を測定することで、BC濃度を算出することができる。
このとき、濾過分離後に得られた未溶解残渣がBCであることを確認するため、並行して濾過分離までを同様に処理を施した試料を用意し、濾過分離後に得られた試料の未溶解残渣をXRD測定してBC単相であることを確認することが望ましい。
ところで、六ホウ化物粒子等のホウ化物粒子は暗い青紫等に着色した粉末であるが、粒径が可視光波長に比べて十分小さくなるように粉砕し、膜中に分散した状態においては膜に可視光透過性が生じる。同時に、赤外線遮蔽機能が発現する。
この理由については詳細に解明されていないが、これらのホウ化物材料は自由電子を比較的多く保有し、4f-5d間のバンド間遷移や電子-電子、電子-フォノン相互作用による吸収が近赤外領域に存在することに由来すると考えられる。
実験によれば、これらのホウ化物粒子を十分細かくかつ均一に分散した膜では、膜の透過率が、波長400nm以上700nm以下の領域内に極大値をもち、かつ波長700nm以上1800nm以下の領域に極小値をもつことが確認される。可視光波長が380nm以上780nm以下であり、視感度が550nm付近をピークとする釣鐘型であることを考慮すると、このような膜では可視光を有効に透過し、それ以外の日射光を有効に吸収・反射することが理解できる。
本実施形態のホウ化物粒子の平均分散粒子径は100nm以下であることが好ましく、85nm以下であることがより好ましい。なお、ここでいう平均分散粒子径とは動的光散乱法に基づく粒径測定装置により測定することができる。
ホウ化物粒子の平均分散粒子径の下限値は特に限定されないが、例えば1nm以上であることが好ましい。これは、ホウ化物粒子の平均分散粒子径を1nm未満とするのは工業的に困難だからである。
以上に説明した本実施形態のホウ化物粒子は、炭素の含有量が所定値以下であるため、容易に例えば平均分散粒子径が100nm以下、特に85nm以下となるように微粉砕することができる。このため、本実施形態のホウ化物粒子が分散された赤外線遮蔽光学部材は、太陽光やスポットライト等の強い光が照射された場合でもブルーヘイズが生じることを抑制できる。
(ホウ化物粒子の製造方法)
次に、本実施形態のホウ化物粒子の製造方法の一構成例について説明する。
本実施形態のホウ化物粒子の製造方法としては、得られるホウ化物粒子が一般式XB(但し、Xは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから選ばれる1種類以上の金属元素)で表され、燃焼-赤外線吸収法で測定したときの上記ホウ化物粒子中に含まれる炭素量(炭素濃度)が0.2質量%以下であれば特に限定されない。
本実施形態のホウ化物粒子の製造方法の一構成例として、例えば、炭素又は炭化ホウ素を還元剤として用いた固相反応法が挙げられる。以下、金属元素としてランタンを用いたホウ化物粒子を製造する場合を例に説明する。
例えば、金属元素としてランタンを用いたホウ化物粒子は、ホウ素源と、還元剤と、ランタン源との混合物を焼成することによって製造できる。
具体的には、例えばホウ素源及び還元剤として炭化ホウ素を、ランタン源として酸化ランタンを用いて、ホウ化ランタン粒子を製造する場合、まず炭化ホウ素と、酸化ランタンとの原料混合物を調製する。次いで、該原料混合物を不活性雰囲気中で1500℃以上の温度で焼成することにより、炭化ホウ素中の炭素によってランタン酸化物が還元され、一酸化炭素および二酸化炭素が発生して炭素は除去される。さらに、残ったランタンとホウ素からホウ化ランタンが得られる。
なお、炭化ホウ素由来の炭素は、一酸化炭素及び二酸化炭素として完全に除去されるのではなく、一部がホウ化ランタン粒子中に残留して不純物炭素となる。そのため、原料中の炭化ホウ素の割合を増加させると、得られるホウ化ランタン粒子中の不純物炭素濃度が増大する。
既述のように、得られるホウ化物粒子を含む粉体は、単一の組成のホウ化物の粒子のみから構成されるものではなく、LaB、LaB、LaB12等との混合物の粒子となる。従って、得られるホウ化物粒子を含む粉体について、X線回折の測定を行った場合に、X線回折の分析上、ホウ化物について単一相であっても、実際には微量に他相を含んでいると考えられる。
ここで、上述のように金属元素としてランタンを用いたホウ化物粒子を製造する場合、原料のホウ素源中のホウ素、及びランタン源中のランタンの元素比B/Laは、特に限定されるものではないが、3.0以上20.0以下であることが好ましい。
特に、原料のホウ素源中のホウ素、及びランタン源中のランタン元素の元素比B/Laが4.0以上の場合、LaB、LaB等の生成を抑制できる。また、理由は明らかではないが、日射遮蔽特性を向上することができる。
一方、原料のホウ素源中のホウ素、及びランタン源中のランタンの元素比B/Laが6.2以下の場合、ホウ化物粒子以外に酸化ホウ素粒子が生成することが抑制される。酸化ホウ素粒子は吸湿性があるため、ホウ化物粒子を含む粉体中に酸化ホウ素粒子が混入するとホウ化物粒子を含む粉体の耐湿性が低下し、日射遮蔽特性の経時劣化が大きくなってしまう。
このため、原料のホウ素源中のホウ素、及びランタン源中のランタンの元素比B/Laを6.2以下として酸化ホウ素粒子の生成を抑制することが好ましい。また、元素比B/Laが6.2以下の場合には、特に日射遮蔽特性に優れた六ホウ化物の含有割合を増加させることができ、日射遮蔽特性が向上するため好ましい。
さらに不純物炭素濃度を低減するためには、可能な限り原料中の炭化ホウ素の割合を低下させることが有効である。そこで、例えばB/Laを6.2以下としてホウ化ランタンの粒子を生成することで、より確実に不純物炭素濃度が0.2質量%以下のホウ化ランタンの粒子を含む粉体が得られる。
以上に説明したように、金属元素としてランタンを用いたホウ化物粒子を製造する場合、ホウ素源中のホウ素、及びランタン源中のランタンの元素比(モル比)B/Laは4.0以上6.2以下とすることがより好ましい。原料の組成を上記範囲とすることで、得られるホウ化ランタンの粒子を含む粉体中の、不純物炭素濃度を低く抑制すると同時に高い日射遮蔽特性を示すホウ化ランタン粒子を含有する粉体を得ることができる。
また、特に、得られるホウ化ランタンの粒子は、LaBが主体になっていることが好ましい。これはLaBは特に近赤外線の吸収能が高いからである。
このため、原料のホウ素源中のホウ素、及びランタン源中のランタン元素の元素比B/Laは、5.8以上6.2以下であることがさらに好ましい。
なお、ここでは、ホウ素源及び還元剤として炭化ホウ素を、ランタン源として酸化ランタンを用いて、ホウ化ランタン粒子を製造する場合を例に説明したが、係る形態に限定されるものではない。例えばホウ素源としてホウ素や、酸化ホウ素を、還元剤として炭素を、ランタン源として酸化ランタンをそれぞれ用いることもできる。この場合、生成物中に、余剰の炭素や、酸素が残留しないように、予備試験等を行い、各成分の混合比率を選択することが好ましい。
また、例えば、製造するホウ化物粒子が含有する金属元素Xに応じて、酸化ランタンに替えて金属元素Xを含む化合物を用いることもできる。金属元素Xを含む化合物としては例えば、金属元素Xの水酸化物、金属元素Xの水和物、金属元素Xの酸化物から選択された1種類以上が挙げられる。該金属元素Xを含む化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば金属元素Xを含む化合物を含有する溶液と、アルカリ溶液とを撹拌しながら反応させて沈殿物を生成し、該沈殿物から得ることができる。
上述のように、酸化ランタンに替えて金属元素Xを含む化合物を用いる場合においても、生成物中に、余剰の炭素や、酸素が残留しないように、予備試験等を行い、各成分の混合比率を選択することが好ましい。例えば、ホウ素源中のホウ素、及び金属元素X源中の金属元素Xの元素比を、既述のホウ素源中のホウ素、及びランタン源中のランタン元素の元素比と同様の比とすることもできる。
得られたホウ化物粒子は、例えば湿式粉砕等を行うことで、所望の平均分散粒子径を有するホウ化物粒子とすることができる。
(ホウ化物粒子分散液)
次に、本実施形態のホウ化物粒子分散液の一構成例について説明する。
本実施形態のホウ化物粒子分散液は、既述のホウ化物粒子と、液状媒体とを含むことができる。なお、ホウ化物粒子は、例えば液状媒体中に分散した状態であることが好ましい。
ホウ化物粒子分散液に用いる液状媒体は水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、可塑剤から選択された1種類以上を含むことができる。
有機溶媒は、ホウ化物粒子の分散性を保つための機能と、分散液を塗布する際に塗布欠陥を生じさせないための機能を有していることが好ましい。有機溶媒としては例えば、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1-プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒、3-メチル-メトキシ-プロピオネート(MMP)等のエステル系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE-AC)等のグリコール誘導体、フォルムアミド(FA)、N-メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等のアミド類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができ、これらの中から選択した1種類、または2種類以上を組みあわせて用いることができる。
上記した中でも、有機溶媒としては、特にMIBK、MEK等のケトン類や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、PGMEA、PE-AC等のグリコールエーテルアセテート類等、疎水性の高いものがより好ましい。このため、これらの中から選択した1種類または2種類以上を組みあわせて用いることが好ましい。
油脂としては例えば、アマニ油、ヒマワリ油、桐油等の乾性油、ゴマ油、綿実油、菜種油、大豆油、米糠油等の半乾性油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、脱水ヒマシ油等の不乾性油、植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類、アイソパーE、エクソールHexane、エクソールHeptane、エクソールE、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(以上、エクソンモービル製)などの石油系溶剤から選択された1種類以上を用いることができる。
液状樹脂としては、例えば液状アクリル樹脂、液状エポキシ樹脂、液状ポリエステル樹脂、液状ウレタン樹脂から選択された1種類以上を用いることができる。
可塑剤としては、例えば液状プラスチック用可塑剤を用いることができる。液状プラスチック用可塑剤としては、例えばDEHP、DINPなどのフタル酸系可塑剤、DINA、DOAなどのアジピン酸系可塑剤、リン酸系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤から選択された1種類以上を用いることができる。
また、本実施形態のホウ化物粒子分散液に用いる液状媒体は、上述の成分以外にも、例えば分散剤、カップリング剤、界面活性剤等を含有することもできる。分散剤、カップリング剤、界面活性剤は、用途に合わせて選定可能であるが、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、またはエポキシ基を、官能基として有しているものであることが好ましい。これらの官能基はホウ化物粒子の表面に吸着し、ホウ化物粒子の凝集を防ぐことができ、例えばホウ化物粒子分散液を用いて作製したホウ化物粒子分散体中において、ホウ化物粒子を均一に分散させる効果を発揮する。
分散剤、カップリング剤、界面活性剤としては、例えばリン酸エステル化合物、高分子系分散剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、等を好適に用いることができるが、これらに限定されるものではない。高分子系分散剤としては、アクリル系高分子分散剤、ウレタン系高分子分散剤、アクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤、ポリエーテル類分散剤、ポリエステル系高分子分散剤等が挙げられる。
ホウ化物粒子分散液への分散剤、カップリング剤、界面活性剤から選択された1種類以上の材料の添加量は、ホウ化物粒子100重量部に対し10重量部以上1000重量部以下の範囲であることが好ましく、20重量部以上200重量部以下の範囲であることがより好ましい。分散剤等の添加量が上記範囲にあれば、ホウ化物粒子が分散液中での凝集を抑制し、分散安定性を高く保つことができ、好ましい。
液状媒体中に、ホウ化物粒子を分散する方法は特に限定されるものではない。例えばホウ化物粒子分散液の原料混合物を、ビーズミル、ボールミル、サンドミルなどの湿式媒体ミルを用いて分散処理する方法が挙げられる。特に、本実施形態のホウ化物粒子分散液は、平均分散粒子径が100nm以下のホウ化物粒子を液状媒体中に分散させた状態を有することが好ましく、該ホウ化物粒子の平均分散粒子径は85nm以下であることがより好ましい。このためビーズミル等の媒体撹拌ミルを用いた湿式粉砕法により、ホウ化物粒子を分散して分散液を調製することが好ましい。
ホウ化物粒子分散液として、分散媒(液状媒体)の中にホウ化物粒子が分散したホウ化物粒子分散液を調製する場合、上述のように原料である、ホウ化物粒子や、分散剤等を、液状媒体である水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、可塑剤等の中に添加し、媒体撹拌ミル等により分散処理する方法が挙げられる。
また、以下の手順によりホウ化物粒子分散液を調製することもできる。ここではホウ化物粒子可塑剤分散液を調製する場合を例に説明する。
具体的にはまず、液状媒体として既述の有機溶媒を用いて、有機溶媒中にホウ化物粒子を分散したホウ化物粒子分散液を予め調製する。次いで、該ホウ化物粒子分散液に可塑剤を添加し、有機溶媒を除去することでホウ化物粒子可塑剤分散液を得ることができる。
なお、有機溶媒を除去する方法としては、例えばホウ化物粒子分散液を減圧乾燥する方法が挙げられる。
具体的には、可塑剤を添加した、有機溶媒を液状媒体とするホウ化物粒子分散液を撹拌しながら減圧乾燥して、有機溶媒成分を分離する。当該減圧乾燥に用いる装置としては、真空撹拌型の乾燥機が挙げられるが、上記機能を有する装置であれば良く、特に限定されない。また、減圧の際の圧力値は適宜選択される。
当該減圧乾燥法を用いることで、可塑剤を添加した有機溶媒を液状媒体とするホウ化物粒子分散液からの有機溶媒の除去効率を向上させることができるので、ホウ化物粒子可塑剤分散液中に分散しているホウ化物粒子の凝集が起こらず好ましい。さらにホウ化物粒子可塑剤分散液の生産性も上がり、蒸発した有機溶媒を回収することも容易で、環境的配慮からも好ましい。
なお、均一なホウ化物粒子分散液を得るために、各種添加剤や既述のように分散剤を添加したり、pH調整したりしても良い。
また、ここでは、分散媒として可塑剤を用いたホウ化物粒子可塑剤分散液を調製する場合を例に説明したが、係る形態に限定されず、可塑剤に替えて、水、有機溶媒、油脂、液状樹脂等の他の分散媒(液状媒体)を用いることで、各種分散媒中にホウ化物粒子が分散した分散液を得ることができる。
ホウ化物粒子分散液中におけるホウ化物粒子の含有率、すなわち濃度は特に限定されないが、例えば0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
これは、ホウ化物粒子の含有量が0.01質量%以上であれば、十分な赤外線遮蔽能を有するホウ化物粒子分散液とすることができるからである。
また、ホウ化物粒子の含有量が30質量%以下であれば、ホウ化物粒子分散液の粘度が高くなり過ぎず、また分散安定性を保てるため、好ましいからである。特に、ホウ化物粒子分散液中におけるホウ化物粒子の含有量は、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
また、ホウ化物粒子分散液中のホウ化物粒子は、動的光散乱法で測定した平均分散粒子径が100nm以下で分散していることが好ましく、85nm以下で分散していることがより好ましい。これは、ホウ化物粒子の平均分散粒子径が100nm以下であれば、本実施形態に係るホウ化物粒子分散液を用いて製造された赤外線遮蔽膜におけるブルーヘイズの発生を抑制し、光学特性を向上させることができるからである。また、該平均分散粒子径が85nm以下の場合、赤外線遮蔽膜におけるブルーヘイズの発生を特に抑制できるからである。
なお、既述のホウ化物粒子を用いてホウ化物粒子分散液を作製した場合に、ホウ化物粒子分散液(スラリー)のゲル化等の問題が発生することなく効率的に平均分散粒子径を100nm以下、特に85nm以下まで粉砕が可能になる理由について、本発明の発明者らは以下のように推察している。
ホウ化物粒子は硬質なために、湿式媒体撹拌ミルを用いて粉砕する際に、メディアビーズが摩耗した微粉やメディアビーズが破砕した細かなビーズ片などの摩耗カスがスラリー中に混入してしまう。このとき、炭素濃度の増大に伴いホウ化物粒子の硬度が増大するため、含有する炭素濃度が0.2質量%よりも高いホウ化物粒子を原料とした場合、大量のメディアビーズの摩耗カスがスラリー中へ混入してしまう。係るメディアビーズの摩耗カスの混入がスラリーの粘度を上昇させる原因となっている。
スラリー中のメディアビーズの摩耗カスとホウ化物の濃度比はメディアビーズ摩耗量の指標とすることができる。例えばメディアビーズとして高い耐摩耗性で知られるイットリア安定化ジルコニアビーズ(単に「ジルコニアビーズ」とも記載する)を用いた場合、スラリー中の、ジルコニアビーズ由来のZrと一般式XBで表されるホウ化物中の金属元素Xとの重量濃度(質量%)の濃度比Zr/Xをメディアビーズの摩耗量の指標とすることができる。
そして、ホウ化物粒子の含有する炭素濃度が0.2質量%よりも高い場合、得られるスラリー中の、ジルコニアビーズ由来のジルコニウムと一般式XBで表されるホウ化物中の金属元素Xとの濃度比Zr/Xが1.5より大きくなる。すなわち、メディアビーズの摩耗量が非常に多くなることを示している。係るメディアビーズの摩耗カス混入がスラリーの粘度を上昇させる原因となっている。
これに対して、含有する炭素濃度が0.2質量%以下のホウ化物粒子を原料として用いることで、メディアビーズとしてイットリア安定化ジルコニアビーズを用い、平均分散粒子径が100nm以下、特に85nm以下まで粉砕する場合、得られるスラリー中の濃度比Zr/Xを1.5以下にできる。すなわち、メディアビーズの摩耗カスの混入量が大きく減少するので、スラリーの粘度が悪化することなく効率的に粉砕が可能であると推察している。但し、スラリーの粘度上昇化については未解明な点も多く、上記以外の作用が働いている可能性もあるため、上記作用に限定されるわけではない。
なお、メディアビーズとしてジルコニアビーズを用い、ホウ化物粒子分散液の分散処理を実施した場合、ホウ化物粒子分散液中のジルコニアビーズ由来のZrと一般式XBで表されるホウ化物中の金属元素Xとの濃度比Zr/Xは1.5以下であることが好ましい。すなわち、ホウ化物粒子分散液は、粉砕時に用いたメディアビーズ由来のジルコニアを含有することができ、ホウ化物粒子分散液中の金属元素Xの重量濃度に対し、Zrの重量濃度が1.5倍以下であることが好ましい。これは、上述のように得られるホウ化物粒子分散液中の濃度比Zr/Xが1.5以下の場合、ホウ化物粒子の粘度上昇について十分に抑制できるからである。
以上に説明した本実施形態のホウ化物粒子分散液は、赤外線遮蔽粒子分散液として各種用途に用いることができる。そして、本実施形態のホウ化物粒子分散液は、既述のホウ化物粒子を含有しており、容易に平均分散粒子径を100nm以下、特に85nm以下とすることができる。このため、ブルーヘイズが生じることを抑制することができる。
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ここでまず以下の実施例、比較例における試料の評価方法について説明する。
(ホウ化物粒子の組成)
得られたホウ化物粒子について、ICP(島津製作所製 型式:ICPE9000)を用いて分析を行い、一般式XBで表した場合の金属元素Xに対するホウ素(B)の元素比(モル比)、すなわちホウ化物粒子中のホウ素(B)と金属元素Xとの元素比(B/X)であるmの値を算出した。
(ホウ化物粒子中の炭素濃度)
以下の各実験例で作製したホウ化物粒子中の炭素量(炭素濃度)は、燃焼-赤外線吸収法で測定した。
(ホウ化物粒子中のBC濃度)
得られたホウ化物粒子のうち、BC濃度測定用の試料を2つに分け、それぞれ白金坩堝中に計り取り、7N硝酸を添加して50℃まで加温してホウ化物粒子を溶解した。放冷後、純水を加えてから、孔径0.2μmのセルロースアセテート製メンブランフィルターにより未溶解残渣(BC)を濾過分離した。
得られた一方の未溶解残渣を、元の白金坩堝に入れ、ホウ素の揮散を防止するために水酸化カルシウム飽和水溶液で湿らせた後に約80℃の乾燥機中で乾燥した。乾燥後は炭酸ナトリウムを加えて十分に混和してから加熱融解した。放冷後,坩堝内の溶融塩を温水で溶解しテフロン(登録商標)ビーカーに移した。硝酸を添加後、加熱沸騰させて炭酸ガスを除去してからICP用の試料溶液とした。得られた試料溶液中のホウ素濃度をICPにより分析した。
また、得られたもう一方の未溶解残渣についてXRD測定を行い、未溶解残渣がBC単相であるかを確認した。BC単相であった場合、ICPにより分析したホウ素濃度からBC濃度を算出した。
(平均分散粒子径)
平均分散粒子径は動的光散乱法に基づく粒径測定装置(大塚電子(株)製 型式:ELS-8000)により測定した。粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形を用いた。バックグラウンドはトルエンで測定し、溶媒屈折率は1.50とした。
(ホウ化物粒子分散液中のZrと金属元素Xとの重量濃度比(Zr/X))
ホウ化物粒子分散液中のZrと金属元素Xとの重量濃度比(Zr/X)は、ICP(島津製作所製 型式:ICPE9000)により測定し、測定値から算出した。
(拡散透過プロファイルの極大値)
ここで、ブルーヘイズの評価方法について説明する。
ブルーヘイズを、直接測定する方法は知られていない。しかし、本発明の出願人は、試料である赤外線遮蔽材料粒子分散体に光を当てたときの透過光の成分として直線入射光と散乱光とに着目し、波長毎の拡散透過率を求めることにより「ブルーヘイズ」を評価する方法を既に提案している(特許文献5を参照)。以下、波長毎の拡散透過率(すなわち、拡散透過プロファイル)を測定する原理を図1および図2を用いて説明する。
まず、拡散透過プロファイルを測定する測定装置について、図1および図2を用いて説明する。
図1、図2に示すように該測定装置10は、積分球14を備えている。そして、積分球14は、球状本体内面が拡散反射性を有し、かつ測定試料12(図2参照)が取り付けられる第一開口部141、標準反射板15またはライトトラップ部品16が取り付けられる第二開口部142、及び受光器13が取り付けられる第三開口部143を有している。
また、第一開口部141を介して球状空間内に入射される直線光を出射する光源11と、上記受光器13に取り付けられかつ受光された反射光または散乱光を分光する図示しない分光器と、上記分光器に接続されかつ分光された反射光または散乱光の分光データを保存する図示しないデータ保存手段と、保存されたブランク透過光強度と拡散透過光強度の各分光データから拡散透過光強度とブランク透過光強度の波長毎の比をそれぞれ演算して波長毎の拡散透過率を得る図示しない演算手段を具備している。
ここで、積分球14は、球状本体内面に硫酸バリウム若しくはスペクトラロン(SPECTRALON:登録商標)等が塗布されて拡散反射性を有するもので、標準反射板15への入射角は、標準側、対照側とも例えば10°とすることができる。また、上記受光器13としては、例えば、光電子倍増管(紫外・可視領域)や、冷却硫化鉛(近赤外領域)を使用したものを用いることができる。また、受光器13に取り付けられる図示しない分光器については、紫外・可視領域の波長測定範囲、測光正確さ(±0.002Abs)が必要である。
次に、球状空間内に入射される直線光を出射する光源11としては、例えば、紫外領域は重水素ランプ、可視・近赤外領域は50Wハロゲンランプを適用できる。
また、標準反射板15には、例えば材質がスペクトラロン(SPECTRALON)の白板を用いることができ、上記ライトトラップ部品16には、入射された直線光を反射させずにトラップする機能が必要で、例えば、入射された直線光をほぼ完全に吸収するダークボックスが用いられる。
そして、上記拡散透過プロファイルの測定装置を用いて、測定試料である実施例、比較例のホウ化物粒子分散液の拡散透過プロファイルの極大値を、ブランク透過光強度測定工程と、拡散透過光強度測定工程と、拡散透過率演算工程との各工程により評価できる。
まず、ブランク透過光強度測定工程においては、図1に示すように積分球14の第二開口部142に標準反射板15を取り付け、第一開口部141に測定試料を取り付けない状態で光源11からの直線光を第一開口部141を介し球状空間内に入射させる。そして、標準反射板15で反射された反射光を受光器13で受光し、かつ、受光器13に取り付けられた図示しない分光器により分光して反射光の分光データを得る。なお、分光器としては、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 型式:U-4100)を用いた。この際の分光データが、ブランク透過光強度となる。
次に、上記拡散透過光強度測定工程においては、図2に示すように積分球14の第二開口部142にライトトラップ部品16を取り付ける。そして、第一開口部141に測定試料12を取り付けた状態で光源11からの直線光を測定試料12と第一開口部141を介し、球状空間内に入射させると共に、ライトトラップ部品16でトラップされた光以外の散乱光を受光器13で受光する。この際、受光器13に取り付けられた図示しない分光器により分光して散乱光の分光データを得る。この際の分光データが、拡散透過光強度となる。
そして、上記拡散透過率演算工程において、図示しないデータ保存手段(図示せず)により保存されたブランク透過光強度と拡散透過光強度の各分光データに基づき、図示しない演算手段により拡散透過光強度とブランク透過光強度の波長毎の比をそれぞれ演算して波長毎の拡散透過率を求めると共に、得られた波長毎の拡散透過率から、測定試料12の拡散透過プロファイルにおける波長360nm~500nm領域の極大値を求めることができる。
そして、以下の実施例、比較例で作製したホウ化物粒子分散液について、可視光(波長400nm以上780nm以下)透過率が50%となるように調整し、波長360nm以上500nm以下の領域における拡散透過プロファイルの極大値を測定した。
測定試料は、上述の可視光透過率となるように、各実施例、比較例で作製したホウ化物粒子分散液を主溶媒で希釈し、10mm角型ガラスセルに入れて、測定に供した。
測定した拡散透過プロファイルの極大値が1.5%以下となっている場合、該ホウ化物粒子分散液を用いて作製した赤外線遮蔽粒子分散体ではブルーヘイズがほとんど観測されないことが確認されている。
測定に当たって、ホウ化物粒子分散液の可視光透過率を50%以下に設定しているのは、拡散透過率(拡散透過プロファイル)の測定条件を特定するためであり、拡散透過率が可視光透過率に比例するため範囲が設定されている。また、波長360nm以上500nm以下の領域における拡散透過率(拡散透過プロファイル)を測定するのは、その領域での散乱がまさしくブルーヘイズの原因であるからである。
以下に各実施例、比較例での試料の作製条件、及び評価結果について説明する。
[実施例1]
ホウ素源及び還元剤として炭化ホウ素、ランタン源として酸化ランタンを用い、これらをランタンとホウ素の元素比であるB/Laが5.90となるように秤量、混合した。その後、アルゴン雰囲気中、1600±50℃の温度条件で6時間焼成し、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.05質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、5.8であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、0.2質量%であった。
次に、作製した六ホウ化ランタン粒子含有粉末(赤外線遮蔽材料)を10重量部、トルエン80重量部、分散剤(アミノ基を有するアクリル系高分子分散剤)10重量部の割合となるように秤量、混合し、3kgのスラリーを調製した。このスラリーをビーズと共に媒体撹拌ミルに投入し、スラリーを循環させて、20時間粉砕分散処理を行った。
使用した媒体撹拌ミルは横型円筒形のアニュラータイプ(アシザワ株式会社製)であり、ベッセル内壁とローター(回転撹拌部)の材質はZrOとした。また、上記ビーズには、直径0.3mmのYSZ(Yttria-Stabilized Zirconia:イットリア安定化ジルコニア)製のビーズを使用した。ローターの回転速度は13m/秒とし、スラリー流量1kg/分にて粉砕した。得られたホウ化物粒子分散液中のホウ化物粒子の平均分散粒子径を測定したところ70nmであった。
さらに、分散液について、上述のようにホウ化物粒子分散液中のZrとLaとの重量濃度比(Zr/La)、及び拡散透過プロファイルの極大値の評価を行った。
結果を表1に示す。
[実施例2]
ランタンとホウ素の元素比B/Laが5.95となるように炭化ホウ素、及び酸化ランタンを秤量、混合した点以外は、実施例1と同様にして、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.1質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、5.9であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、0.5質量%であった。
そして、係る六ホウ化ランタン粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
ランタンとホウ素の元素比B/Laが6.00となるように炭化ホウ素、及び酸化ランタンを秤量、混合した点以外は、実施例1と同様にして、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.2質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、5.9であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、0.9質量%であった。
そして、係る六ホウ化ランタン粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
ランタンとホウ素の元素比B/Laが6.10となるように炭化ホウ素、及び酸化ランタンを秤量、混合した点以外は、実施例1と同様にして、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.2質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、6.0であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、0.9質量%であった。
そして、係る六ホウ化ランタン粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
ランタンとホウ素の元素比B/Laが6.20となるように炭化ホウ素、及び酸化ランタンを秤量、混合し、1650±50℃の温度条件で焼成した点以外は、実施例1と同様にして、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.2質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、6.0であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、0.9質量%であった。
そして、係る六ホウ化ランタン粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
ホウ素源として酸化ホウ素、ランタン源として酸化ランタン、還元剤として炭素(黒鉛)を用い、ランタンとホウ素の元素比B/Laが6.10となるように秤量・混合したこと以外は、実施例1と同様にして、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。ただし、酸化ホウ素100重量部に対して、炭素60重量部を秤量・混合した。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.1質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、6.0であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、0.4質量%であった。
そして、係る六ホウ化ランタン粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
セリウムとホウ素の元素比B/Ceが6.10となるように、さらに酸化ランタンの代わりに酸化セリウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、六ホウ化セリウム粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化セリウム粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.2質量%であった。また、得られた六ホウ化セリウム粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式CeBにおける、セリウム元素(Ce)に対するホウ素(B)の元素比(B/Ce)であるmは、6.0であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化セリウム粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化セリウム粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、0.9質量%であった。
そして、係る六ホウ化セリウム粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
ホウ素源及び還元剤として炭化ホウ素、ランタン源として酸化ランタンを用い、これらをランタンとホウ素の元素比B/Laが6.10となるように秤量、混合した。その後、アルゴン雰囲気中、1480±50℃の温度条件で6時間焼成し、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.6質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、6.0であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、2.6質量%であった。
そして、係る六ホウ化ランタン粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、分散液を調製するため、20時間粉砕処理を行った時点で平均分散粒子径が105nmであり100nmより大きかったが、スラリー粘度上昇のため粉砕効率が著しく低下したことから、これ以上粉砕処理を続けても100nm以下の粒子径を得ることは難しいと判断した。
また、得られたホウ化物粒子分散液中のZr/Laは1.8であり、実施例1~実施例7の場合と比べて高く、メディアビーズが多量に摩耗しスラリー中に混入したことが分かる。
さらに、拡散透過率ピーク値は1.8%であり実施例1~実施例7の場合と比べて高く、これを用いて光学部材を作製する場合はブルーヘイズが強く観察されることが懸念される。
[比較例2]
ランタンとホウ素の元素比B/Laが6.20となるように炭化ホウ素、及び酸化ランタンを秤量、混合した点以外は、比較例1と同様にして、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.8質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、6.1であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、3.7質量%であった。
そして、係る六ホウ化ランタン粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、分散液を調製するため、20時間粉砕処理を行った時点で平均分散粒子径が111nmであり100nmより大きかったが、スラリー粘度上昇のため粉砕効率が著しく低下したことから、これ以上粉砕処理を続けても100nm以下の粒子径を得ることは難しいと判断した。
また、得られたホウ化物粒子分散液中のZr/Laは2.0であり、実施例1~実施例8の場合と比べて高く、メディアビーズが多量に摩耗しスラリー中に混入したことが分かる。
さらに、拡散透過率ピーク値は2.4%であり実施例1~実施例7の場合と比べて高く、これを用いて光学部材を作製する場合はブルーヘイズが強く観察されることが懸念される。
[比較例3]
ホウ素源として酸化ホウ素、ランタン源として酸化ランタンを、還元剤として炭素(黒鉛)を用い、さらにランタンとホウ素の元素比B/Laが6.10となるように秤量・混合したこと以外は、比較例1と同様にして、六ホウ化ランタン粒子含有粉末を得た。ただし、酸化ホウ素100重量部に対して、炭素60重量部を秤量・混合した。
得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.7質量%であった。また、得られた六ホウ化ランタン粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式LaBにおける、ランタン元素(La)に対するホウ素(B)の元素比(B/La)であるmは、6.0であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化ランタン粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化ランタン粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、3.4質量%であった。
そして、係る六ホウ化ランタン粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
セリウムとホウ素の元素比B/Ceが6.10となるように、さらに酸化ランタンの代わりに酸化セリウムを用いたこと以外は、比較例1と同様にして、六ホウ化セリウム粒子含有粉末を得た。
得られた六ホウ化セリウム粒子含有粉末の含有炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法で測定したところ、炭素量は0.9質量%であった。また、得られた六ホウ化セリウム粒子の組成についてICPにより評価を行ったところ、一般式CeBにおける、セリウム元素(Ce)に対するホウ素(B)の元素比(B/Ce)であるmは、6.0であることが確認できた。
さらに、得られた六ホウ化セリウム粒子含有粉末について、既述のホウ化物粒子中のBC濃度の評価方法により、六ホウ化セリウム粒子含有粉末のBC濃度を測定したところ、4.4質量%であった。
そして、係る六ホウ化セリウム粒子含有粉末を用いた点以外は、実施例1と同様にして、ホウ化物粒子分散液を調製した。
得られた分散液について実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007272614000001
実施例1~実施例7では、固相反応等により得られたホウ化物粒子を、比較的簡単かつ経済的に、平均分散粒子径を100nm以下、特に85nm以下にまで粉砕して微細化することができることが確認できた。また、実施例1~実施例7では、得られるホウ化物粒子は平均分散粒子径が100nm以下、特に85nm以下となるため、その粒子または分散液を用いて作製した赤外線遮蔽膜に人口太陽光を照射しても青白色に着色しない。すなわち、ブルーヘイズが抑制される。従って、実施例1~実施例7のホウ化物粒子分散液を用いて作製した、赤外線遮蔽光学部材は、建材用の窓ガラスや車の窓ガラス等に好適に用いられることが確認できた。
一方、含有する炭素濃度が0.2質量%より高いホウ化物粒子含有粉末を原料として用いた比較例1~比較例4は、粉砕処理20時間では平均分散粒子径が100nmより大きく、また粘度増大のためにさらに粉砕を進めても100nm以下の粒径とすることは難しいことが確認できた。このため、係るホウ化物粒子分散液を用いて作製した赤外線遮蔽光学部材は、ブルーヘイズの発生が懸念されることが確認できた。

Claims (6)

  1. ホウ化物粒子と、液状媒体とを含むホウ化物粒子分散液であって、
    前記ホウ化物粒子の濃度が0.01質量%以上30質量%以下であり、
    前記ホウ化物粒子は、一般式XB(但し、Xは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから選ばれる1種類以上の金属元素、mは一般式におけるホウ素量を示す数字)で表され、燃焼-赤外線吸収法で測定したときの前記ホウ化物粒子中に含まれる炭素量が0.05質量%より多く0.2質量%未満であり、
    動的光散乱法で測定した前記ホウ化物粒子の平均分散粒子径が85nm以下であるホウ化物粒子分散液。
  2. 前記一般式XBにおけるmが4.0以上6.2以下である請求項1に記載のホウ化物粒子分散液。
  3. 前記ホウ化物粒子が六ホウ化ランタン粒子を含む請求項1または請求項2に記載のホウ化物粒子分散液。
  4. 前記ホウ化物粒子は、BCの含有量が1.0質量%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のホウ化物粒子分散液。
  5. 前記液状媒体が水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、可塑剤から選択された1種類以上を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のホウ化物粒子分散液。
  6. 金属元素Xの重量濃度に対し、Zrの重量濃度が1.5倍以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載のホウ化物粒子分散液。
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