以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は、表示装置1を概略的に示す分解斜視図である。表示装置1は、表示面5に画像等を表示する。図1に示された例において、表示装置1は、発光基板10と、発光基板10に対向して配置された拡散層7と、を有している。拡散層7の発光基板10に対向する側とは反対側の面が、表示装置1の表示面5となっている。表示装置1は、1つ又は複数の発光ダイオード50から発光した光を1つの画素として用いている、いわゆるマイクロLEDディスプレイである。拡散層7は、発光基板10で発光した光を拡散層7で拡散する。ただし、表示装置1の構成としては、図1に示すものに限られない。例えば、表示装置1は、拡散層7を有していなくてもよい。
発光基板10は、表示面5に表示する画像を形成する光を発光する。図2は、発光基板10の一部を示す平面図であり、図3は、図2の発光基板10の一部を拡大して示す平面図である。また、図4は、図2に示す発光基板10のI-I線に沿った縦断面の一部を示している。
図2に示すように、発光基板10は、回路基板11と、回路基板11上に規則的に二次元配列された複数のマイクロ発光ダイオードチップ50(以下、単に「発光ダイオードチップ」とも呼ぶ)と、を有している。回路基板11は、後述する転写部材35の発光ダイオードチップ50を回路基板11上に配置する工程において、転写部材35を回路基板11に対して位置決めするための位置決め手段を有している。図2に示す例では、位置決め手段は、十字型の複数の位置決めマークM1である。ただし、位置決めマークM1の形状としてはこれに限られず、例えば四角形、三角形、丸等、種々の形状を採用可能である。位置決めマークM1は、回路基板11を一定の間隔で区画する領域R1,R2,R3,・・,Rn(図22参照)毎に、回路基板11の発光ダイオードチップ50が配置される面上に複数設けられている。また、図3に示すように、回路基板11は、回路13を有している。図4に示すように、回路基板11の発光ダイオードチップ50が配置される位置には、発光ダイオードチップ50を回路基板11に接着させるための異方性導電性粘着層12が形成されている。さらに、図4に示すように、各発光ダイオードチップ50は、2つの電極51を有している。発光ダイオードチップ50は、電極51を介して、回路13に電気的に接続している。回路13に流れる電流を制御して2つの電極51の間に電圧を印加することで、任意の発光ダイオードチップ50を発光させることができる。発光ダイオードチップ50の発光の組み合わせにより、表示装置1が表示する画像を形成することができる。
発光ダイオードチップ50から発光する光の波長は、発光ダイオードチップ50を構成する半導体材料等によって決定される。発光ダイオードチップ50は、例えばGaAs系化合物半導体、InP系化合物半導体やGaN系化合物半導体を含んでいる。平面視における発光ダイオードチップ50の寸法は、例えば1辺が3μm以上1000μm以下の矩形形状とすることができ、発光ダイオードチップ50の厚みは、例えば10μm以上500μm以下とすることができる。
図示された例では、発光ダイオードチップ50は、波長域620nm~680nmの赤色の光を発光する第1発光ダイオードチップ50Rと、波長域530nm~570nmの緑色の光を発光する第2発光ダイオードチップ50Gと、波長域440nm~480nmの青色の光を発光する第3発光ダイオードチップ50Bと、を含んでいる。互いの近傍に配置された第1発光ダイオードチップ50R、第2発光ダイオードチップ50G及び第3発光ダイオードチップ50Bが、表示装置1の1つの画素を形成している。このため、発光基板10は、フルカラーで表示する画像を形成する光を発光することができる。
発光基板10は、回路基板11の回路13が形成された位置に発光ダイオードチップ50を配置することで製造される。本実施の形態では、複数の発光ダイオードチップ50が配置された発光基板10の生産性を向上させるために、図5および図6に示すような転写部材35が用いられる。図5は、転写部材35の平面図であり、図6は、図5に示す転写部材35のII-II線に沿った断面図である。転写部材35は、複数の突出部32を有する保持部材30と、各突出部32に保持された発光ダイオードチップ50と、を含む。このような転写部材35を使用して複数の発光ダイオードチップ50を一括して回路基板11に配置することにより、発光基板10の生産性を向上させることができる。
以下、保持部材30について、図5及び図6を参照しつつ説明する。
保持部材30は、複数の発光ダイオードチップ50を保持して、一括で回路基板11に配置することを可能にする部材である。保持部材30は、透光性の基材31と、基材31の一方の側の面31a上に配列された複数の突出部32と、突出部32の先端面にそれぞれ設けられた粘着層33と、を備えている。また、保持部材30は、基材31の一方の側の面31a上に遮光部34を有している。
基材31は、後述する発光ダイオードチップ50を複数の突出部32に保持させる工程、および、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50を回路基板11に配置する工程において、チップ基板40と保持部材30とを位置決めするための、および、回路基板11と保持部材30とを位置決めするための位置決め手段を有している。図5に示す例では、位置決め手段は、十字型の位置決めマークM2である。ただし、位置決めマークM2の形状としてはこれに限られず、例えば四角形、三角形、丸等、種々の形状を採用可能である。また、位置決めマークM2の観察を容易にするために、基材31は、単に透光性を有するだけでなく、透明であることが好ましい。図示された例では、基材31は、透明なガラスで形成されている。
なお、透光性を有するとは、基材を通してマークを目視で確認し得る程度の透光性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。また、透明とは、当該基材を介して当該基材の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
基材31の平面視における面積は、後述する複数の発光ダイオードチップ50を有するチップ基板40に対応する大きさである。基材31の厚みは、突出部32の適切な支持性等を考慮すると、0.05mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。
基材31は、規則的に二次元配列された第1領域311と、第1領域311以外の第2領域312と、を有している。第1領域311の規則的な二次元配列は、回路基板11上に配置される複数の発光ダイオードチップ50の規則的な二次元配列に対応している。図示された例では、基材31の一方の側の面31a上かつ第1領域311には、複数の突出部32が設けられている。また、基材31の一方の側の面31a上かつ第2領域312内には、遮光部34が設けられている。
遮光部34は、遮光性を有している。図5から理解されるように、基材31の平面視において、第1領域311は遮光部34によって囲まれている。後述するように、このような遮光部34によって、突出部32を精度よく形成することができる。なお、図示された例では、遮光部34は、その厚み方向の光学濃度(Optical Density(OD))値が1.0以上である。光学濃度にて表されるOD値は、例えば、分光測色計により測色し、分光のY値から光学濃度を算出することができる。分光測色計には、例えば、OLYMPAS(株)製の分光測色計を用いることができる。
なお、図示された例では、遮光部34は、基材31の第2領域312の全てを覆っていない。図5に示す例では、遮光部34は、基材31の平面視において位置決めマークM2と重なる領域には設けられていない。これにより、遮光部34によって位置決めマークM2,M3あるいはM2,M1の観察が阻害される、ということが防止される。
以上のような遮光部34は、基材31の一方の側の面31a上に形成された遮光膜60を、フォトリソグラフィ技術を用いて加工することにより、形成することができる。
図示された例では、遮光部34は、導電性を有している。これにより、後述するように、発光基板10の製造工程において、保持部材30に帯電した静電気によって発光ダイオードチップ50が静電破壊されてしまうことが防止される。なお、遮光部34のシート抵抗は、1×10-3Ω/□以上1×106Ω/□以下であることが好ましい。
遮光部34を形成するための導電性を有する材料としては、例えば、クロム、アルミニウム、銅、クロム合金、アルミニウム合金、若しくは銅合金、又は、これらの酸化物、窒化物、若しくは酸化窒化物を含む材料を採用することができる。なお、遮光部34は導電性を有さない材料で形成されてもよく、例えば黒色顔料を含む材料で形成されてもよい。この場合、黒色顔料を含む材料として、カーボンブラックやチタンブラック等を含む材料が採用可能である。もちろん、遮光部34は、導電性を有する黒色顔料で形成されてもよい。
突出部32は、後述する粘着層33を介して、発光ダイオードチップ50を保持する部分である。図6に示すように、突出部32は、全体として、基材31の一方の側の面31aから当該面31aの法線方向に突出している。突出部32の平面視における寸法は、発光ダイオードチップ50の寸法以下であることが好ましい。図示された例では、突出部32の平面視における寸法は、発光ダイオードチップ50の寸法に等しい。
図6に示すように、突出部32は、基材31の一方の側の面31a上かつ第1領域311に設けられている。したがって、基材31の当該面31a上には、複数の突出部32が、回路基板11上に配置される複数の発光ダイオードチップ50の規則的な二次元配列に対応して、規則的に二次元配列されている。言い換えると、複数の突出部32の保持部材30における配列間隔および配列パターンは、当該複数の突出部32に保持される複数の発光ダイオードチップ50が回路基板11上で配列されるべき配列間隔および配列パターンと同一となっている。突出部32は、第1方向d1にピッチp1xで配列されており、第1方向d1に非平行な第2方向d2にピッチp1yで配列されている。なお、図示された例において、第1方向d1と第2方向d2は、互いに直交している。ピッチp1x、p1yは、例えば50μm以上870μm以下である。
基材31の一方の側の面31aの法線方向に沿った突出部32の厚みT1は、当該法線方向に沿った遮光部34の厚みよりも厚い。また、突出部32の厚みT1は、発光ダイオードチップ50の厚みより厚いことが好ましく、例えば5μm以上500μm以下である。図示された例では、突出部32の厚みT1の突出部32の最大幅W(図5参照)に対する比は、0.1以上10以下である。
以上のような突出部32は、後述するように、基材31の一方の側の面31a上に設けられた感光性膜65にフォトリソグラフィ技術を利用して加工を施すことにより、形成することができる。
なお、突出部32は、柔軟性を有していることが好ましい。これにより、後述するように、複数の突出部32の厚みT1が均一でなくても、複数の突出部32をチップ基板40に接触させて、各突出部32に発光ダイオードチップ50を保持させることができる。また、複数の突出部32に保持された複数の発光ダイオードチップ50を、回路基板11上に一括して配置することができる。具体的には、突出部32のヤング率は、10GPa以下であることが好ましく、5GPa以下であることがより好ましい。
粘着層33は、粘着性を有している。なお、本明細書において、粘着性とは、粘り着く性質のことであり、接着性と区別しない。図示された例では、粘着層33の材料として、粘着性を加熱によって低下させることができる材料が用いられている。もちろん、粘着層33の材料としては、これに限られず、例えば粘着性を冷却や紫外線照射によって低下させることができる材料が用いられてもよい。このような材料を用いることにより、後述するように、発光基板10の製造工程において粘着層33の粘着性を適宜変化させて、発光ダイオードチップ50を回路基板11上に効率的に配置することができる。粘着性を加熱や冷却、紫外線照射によって低下させることができる材料としては、例えばアクリル系粘着剤が挙げられる。粘着層33の厚みは、例えば0.1μm以上100μm以下である。
(保持部材の製造方法)
次に、以上のような保持部材30の製造方法について、図7乃至図15を参照しつつ説明する。
(遮光部の作製)
まず、基材31の一方の側の面31a上に、遮光部34を形成する。具体的には、図7に示すように、基材31の一方の側の面31a上に、遮光部34を形成するようになる遮光膜60を成膜する。遮光膜60の成膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電界めっき法及び無電界めっき法を含むめっき法、CVD法や、金属箔の積層等により行うことができる。
なお、遮光膜60の材料は、既に説明した遮光部34の材料を用いることができる。すなわち、遮光膜60に用いられる材料として、クロム、アルミニウム、銅、クロム合金、アルミニウム合金、銅合金、若しくは、これらの酸化物、窒化物、若しくは酸化窒化物を含む材料、又は、黒色顔料を含む材料を採用することができる。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、基材31上の遮光膜60を図5に示す遮光部34のパターンにパターニングする。
具体的には、まず、図8に示すように、遮光膜60上に感光性材料を含むマスク用感光性膜61を設ける。ここでは、マスク用感光性膜61は、特定波長域の光、例えば紫外線に対する感光性を有している。マスク用感光性膜61の具体的な感光特性が特に限られることはない。例えば、マスク用感光性膜61として、光硬化型の感光性材料が用いられてもよく、若しくは、光溶解型の感光性材料が用いられてもよい。ここでは、マスク用感光性膜61として光硬化型の感光性材料が用いられる例を説明する。
次に、図9に示すように、マスク用感光性膜61上にマスク62を配置する。マスク62は、各々が光を遮蔽する複数の遮光部621と、光を通過させる透過部622と、を含んでいる。遮光部621は、基材31の第1領域311に対応して規則的に二次元配列されている。マスク62は、遮光部621が基材31の第1領域311に対面し、透過部622が基材31の第2領域312に対面するように配置される。その後、図9に示すように、光を、マスク62を介してマスク用感光性膜61に照射する。この結果、マスク用感光性膜61がマスク62に対応したパターンで露光される。言い換えると、マスク用感光性膜61のうち、基材31の第2領域312に対面する部分が露光される。
次に、露光されたマスク用感光性膜61を現像する。具体的には、マスク用感光性膜61に対応した現像液を用意し、この現像液を用いて、マスク用感光性膜61を現像する。これにより、図10に示すように、マスク用感光性膜61のうち光が照射されていない部分が除去され、マスク用感光性膜61が基材31の第1領域311の二次元配列に対応したパターンにパターニングされる。この結果、遮光膜60の一方の側の面上には、マスク用感光性膜61が基材31の第1領域311の二次元配列に対応するパターンでパターニングされてなるレジストパターン63が形成される。
その後、図11に示すように、レジストパターン63をマスクとして、遮光膜60をエッチングする。このエッチングにより、遮光膜60は、基材31の第1領域311の二次元配列に対応したパターンにパターニングされる。エッチング方法は特に限られることはなく、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが適宜用いられる。ウェットエッチングが採用されている場合、遮光膜60を構成する材料を溶解させることができるエッチング液が適宜選択される。例えば、塩化第2鉄水溶液、塩素等をエッチング液として用いることができる。
次に、レジストパターン63を除去する。これによって、図11に示すように、パターニングされた遮光膜60によって形成された遮光部34が、基材31の一方の側に露出する。以上により、基材31の一方の側の面31a上に、図5に示すパターンにパターニングされた遮光部34が形成される。
(突出部の作製)
次に、突出部32を作製する。まず、図12に示すように、突出部32を構成するようになる感光性膜65を、基材31および遮光部34に設ける。感光性膜65は、基材31および遮光部34を、その一方の側から覆うように設けられる。感光性膜65は、遮光部34と基材31の第1領域312とに密着して形成される。ここでは、感光性膜65は、感光性材料を含み、特定波長域の光、例えば紫外線に対する感光性を有している。感光性膜65の具体的な感光特性が特に限られることはない。例えば、感光性膜65として、光硬化型の感光性材料が用いられてもよく、若しくは、光溶解型の感光性材料が用いられてもよい。ここでは、感光性膜65として光硬化型の感光性材料が用いられる例を説明する。
なお、上述した厚みT1の突出部32を作製する観点から、感光性膜65の厚みは、例えば5μm以上500μm以下とすることが好ましい。
次に、図13に示すように、基材31の他方の側から光を照射する。これによって、感光性膜65は、遮光部34をマスクとして露光される。具体的には、基材31に入射した光のうち、第1領域311に入射した光は感光性膜65に入射し、第2領域312に入射した光は遮光部34によって遮蔽される。
ここで本実施の形態によれば、感光性膜65は、遮光部34と基材31の第1領域312とに密着している。これにより、基材31の第1領域311を通過した光が感光性膜65に入射するまでの間に拡散することが防止される。言い換えると、基材31の第1領域311を通過した光が感光性膜65のうち基材31の第2領域312に対面する部分に入射する、ということを効果的に抑制することができる。したがって、感光性膜65を、遮光部34のパターンに対応したパターンで精度よく露光することができる。
次に、露光された感光性膜65を現像する。具体的には、感光性膜65に対応した現像液を用意し、この現像液を用いて、感光性膜65を現像する。これにより、図14に示すように、感光性膜65のうち光が照射されていない部分が除去され、感光性膜65が遮光部34のパターンに対応してパターニングされる。この結果、感光性膜65が基材31の第1領域311に対応したパターンにパターニングされてなる突出部32が、基材31の一方の側の面31a上に形成される。
その後、図15に示すように、突出部32の先端面(一方の側となる面)に、上述した粘着剤を塗布する。これにより、突出部32の先端面上に粘着層33が形成される。
(転写部材の製造方法)
次に、以上のような保持部材30に発光ダイオードチップ50を保持させてなる転写部材35の製造方法について、図16乃至図19を参照しつつ説明する。以下の説明では、一例として、保持部材30に第1発光ダイオードチップ50Rが保持された転写部材35の製造方法について説明する。
まず、図16に示すように、一方の側の面上にダイシングされた複数の発光ダイオードチップ50(第1発光ダイオードチップ50R)を有するチップ基板40を用意する。チップ基板40は、ダイシングされたウエハ自体であってもよいし、ダイシングされたウエハから発光ダイオードチップ50を仮転写した基板であってもよい。チップ基板40は、チップ基材41と、チップ基材41上に配置された複数の発光ダイオードチップ50と、を有している。また、チップ基板40は、保持部材30を位置決めするための位置決め手段を有している。図16に示す例では、位置決め手段は、十字型の複数の位置決めマークM3である。ただし、位置決めマークM3の形状としてはこれに限られず、例えば四角形、三角形、丸等、種々の形状を採用可能である。
図示されたチップ基板40において、各発光ダイオードチップ50の上記2つの電極51は、チップ基材41の側に位置している。また、発光ダイオードチップ50は、チップ基材41上において、第1方向d1にピッチp2xで配列されており、第1方向d1に非平行な第2方向d2にピッチp2yで配列されている。すなわち、発光ダイオードチップ50は、ウエハを第1方向d1及び第2方向d2にダイシングすることで形成されている。なお、図示された例において、第1方向d1と第2方向d2は、互いに直交している。ピッチp2x、p2yは、例えば5μm以上200μm以下である。
ここで、チップ基板40の発光ダイオードチップ50の第1方向d1における配列のピッチp2xの整数倍が、保持部材30の複数の突出部32の第1方向d1における配列のピッチp1xとなっている。同様に、チップ基板40の発光ダイオードチップ50の第2方向d2における配列のピッチp2yの整数倍が、保持部材30の複数の突出部32の第2方向d2における配列のピッチp1yとなっている。突出部32の配列間隔および配列パターンが回路基板11上で配列される複数の発光ダイオードチップ50の配列間隔および配列パターンと同一となっているため、チップ基板40の発光ダイオードチップ50の第1方向d1における配列のピッチp2xの整数倍が、回路基板11上での、ある発光ダイオードチップ50(第1発光ダイオードチップ50R)の第1方向d1における配列のピッチの整数倍となっており、第2方向d2における配列のピッチp2yの整数倍が、回路基板11上での、ある発光ダイオードチップ50(第1発光ダイオードチップ50R)の第2方向d2における配列のピッチの整数倍となっている。
次に、図17に示すように、チップ基板40の発光ダイオードチップ50が配置された側の面と、保持部材30の突出部32の側と、を対面させる。なお、図17では、図示の明確化のため、遮光部34の図示を省略している。その後、チップ基板40と保持部材30との位置決めを行う。位置決めは、保持部材30の基材31が有する位置決め手段と、チップ基板40が有する位置決め手段と、に基づいて行われる。具体的な例として、保持部材30の基材31が有する位置決めマークM2と、チップ基板40が有する位置決めマークM3とを一致させることで、位置決めが行われる。位置決めマークM2とM3とが一致していることは、例えば、保持部材30の突出部32が配列された側とは反対の側に配置されたカメラ80(図18参照)によって、確認することができる。ここで、図示された例では、基材31は透明であり、基材31の位置決めマークM2が設けられた領域には遮光部34が形成されていない。これにより、基材31の突出部32が配列された側とは反対側から、基材31を介して、位置決めマークM2及びM3を確認することが可能である。
なお、チップ基板40と保持部材30との位置決めは、保持部材30が有する位置決め手段及びチップ基板40が有する位置決め手段のいずれか一方のみによって行われてもよい。
次に、図18に示すように、チップ基板40と保持部材30とを接近させて、チップ基板40を保持部材30の粘着層33に接触させる。チップ基板40が粘着層33に接触すると、チップ基板40の発光ダイオードチップ50が対向する突出部32の粘着層33に粘着する。これにより、発光ダイオードチップ50は、突出部32に保持される。保持部材30が複数の突出部32を有していることにより、保持部材30には複数の発光ダイオードチップ50が保持される。その後、図19に示すように、保持部材30をチップ基板40から離間させる。以上により、図5および図6に示す転写部材35が製造される。
上述した例では、発光ダイオードチップ50として、第1発光ダイオードチップ50Rを保持部材30に保持させる方法について説明したが、第2発光ダイオードチップ50G及び第3発光ダイオードチップ50Bも、同様の工程によってそれぞれ別の保持部材30に保持させることができる。
なお、突出部32を発光ダイオードチップ50に接触させる際、粘着層33の粘着性を加熱等により低下させることなく、粘着性が高い状態で突出部32を発光ダイオードチップ50に接触させる。これにより、突出部32から発光ダイオードチップ50に高い押圧力を付与しなくても、突出部32に発光ダイオードチップ50を粘着させて保持させることができる。したがって、突出部32から高い押圧力が付与されて発光ダイオードチップ50が破壊されてしまう、ということが防止される。
さらに、突出部32が柔軟性を有しているため、具体的には突出部32のヤング率が10GPa以下、より好ましくは5GPa以下であるため、保持部材30の複数の突出部32の厚みT1が均一でなくても、全ての突出部32の粘着層33をチップ基板40上の発光ダイオードチップ50に接触させることができる。すなわち、突出部32が柔軟性を有しているため、保持部材30からチップ基板40に向けて押圧力を付与することで、厚みT1の大きい突出部32を屈曲させることができる。これにより、保持部材30の全ての突出部32の粘着層33をチップ基板40に接触させることができる。したがって、保持部材30の全ての突出部32にチップ基板40の発光ダイオードチップ50を保持させることができる。この結果、保持部材30の全ての突出部32を、発光ダイオードチップ50を保持するために有効に利用することができる。
また、突出部32が柔軟性を有していることにより、チップ基板40の発光ダイオードチップ50を突出部32に接触させための押圧力を、突出部32と接触している全ての発光ダイオードチップ50に均一に付与することができる。したがって、突出部32から一部の発光ダイオードチップ50に高い押圧力が付与されて当該発光ダイオードチップ50が破壊されてしまう、ということが防止される。
また、図17に示すように、チップ基板40と保持部材30とが位置決めされていること、及び突出部32の平面視における寸法が発光ダイオードチップ50の寸法に等しくなっていることで、1つの突出部32に対して1つの発光ダイオードチップ50を保持させることができる。さらに、図17に示すように、保持部材30の複数の突出部32の第1方向d1における配列のピッチp1xがチップ基板40の発光ダイオードチップ50の第1方向d1における配列のピッチp2xの整数倍(図示された例では6倍)であることから、第1方向d1において保持部材30の全ての突出部32に対して1つの発光ダイオードチップ50を保持させることができる。同様に、保持部材30の複数の突出部32の第2方向d2における配列のピッチp1yがチップ基板40の発光ダイオードチップ50の第2方向d2における配列のピッチp2yの整数倍(図示された例では6倍)であることから、第2方向d2において保持部材30の全ての突出部32に対してそれぞれ1つの発光ダイオードチップ50を保持させることができる。
なお、上述したように、本実施の形態の保持部材30は、突出部32を所望のパターンで精度よく形成するための工夫がなされている。具体的には、保持部材30の製造工程において、突出部32を形成するための感光性膜65は、遮光部34と基材31の第1領域311とに密着して成膜される。これにより、遮光部34を介して感光性膜65を露光する際、基材31の第1領域311を通過した光が感光性膜65のうち基材31の第2領域312に対面する部分に入射する虞が著しく低減される。したがって、感光性膜65を、遮光部34のパターンに対応したパターンで精度よく露光することができ、突出部32を当該パターンで精度よく形成することができる。これにより、平面視における寸法が発光ダイオードチップ50の寸法以下となる突出部32を形成することが容易である。このようにして形成された突出部32を有する保持部材30は、1つの突出部32に対して1つの発光ダイオードチップ50を保持させることが容易である。
なお、突出部32の形成方法としては、以下のような方法も考えられる。すなわち、28に示すように、基材31の一方の側の面31a上に感光性膜65を成膜し、感光性膜65の一方の側の面に対面して遮光部34と同様のマスク334を配置する。そして、このマスク334を介して感光性膜65の一方の側から光を照明することにより、突出部32を作製する。しかしながら、この場合、硬化前の感光性膜65がマスク334に付着することを防止するため、あるいは、露光されて溶解した感光性膜65がマスク334に付着することを防止するため、マスク334を感光性膜65から離間して配置する必要がある。マスク334を感光性膜65から離間して配置すると、マスク334を通過した光が感光性膜65に入射する前に拡散して、感光性膜65を、マスク334に対応したパターンに精度良く露光することができない。この結果、突出部32の平面視における寸法が、所望の寸法よりも著しく大きくなってしまう。この結果、突出部32の先端面の寸法が発光ダイオードチップ50の平面視における寸法よりも大きくなって1つの突出部32に複数の発光ダイオードチップ50が保持される、という虞が生じる。なお、1つの突出部32に複数の発光ダイオードチップ50が保持されると、発光ダイオードチップ50を所望のように回路基板11上に配置することができない。このことは、発光基板10の生産性を低下させてしまう。
(発光基板の製造方法)
次に、転写部材35の発光ダイオードチップ50を回路基板11に配置して発光基板10を製造する方法について、図20乃至図22を参照しつつ説明する。以下の説明では、一例として、第1発光ダイオードチップ50Rを回路基板11に配置する方法について説明する。
まず、図20に示すように、回路基板11の回路13が形成された側の面と、転写部材35の発光ダイオードチップ50が保持された側の面と、を対面させる。その後、図22に示すように、回路基板11の第1領域R1と転写部材35との位置決めを行う。位置決めは、例えば回路基板11が有する位置決め手段と、転写部材35(保持部材30)が有する位置決め手段と、に基づいて行われる。具体的な一例として、位置決めは、回路基板11が有する位置決めマークM1と、転写部材35(保持部材30)の基材31が有する位置決めマークM2とを一致させることで、行われる。位置決めマークM1,M2が一致していることは、転写部材35の発光ダイオードチップ50が保持された側とは反対側に配置されたカメラ90(図20参照)によって、確認することができる。上述したように、図示された例では、基材31が透明であり、基材31の位置決めマークM2が設けられた領域には遮光部34が形成されていない。このため、転写部材35の発光ダイオードチップ50が保持された面とは反対側から、基材31を介して、位置決めマークM1,M2を確認することができる。
なお、回路基板11と転写部材35(保持部材30)との位置決めに用いられる基材31が有する位置決めマークM2は、チップ基板40と保持部材30との位置決めに用いられた位置決めマークと同一であってもよいし、チップ基板40と保持部材30との位置決めに用いられた位置決めマークとは異なる位置決めマークであってもよい。
次に、図20に示すように、転写部材35を回路基板11の第1領域R1に接近させて、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50を、回路基板11上に設けられた異方性導電性粘着層12に接触させる。その後、転写部材35を回路基板11に向けて押圧し、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50を、回路基板11に接合させる。回路基板11と転写部材35(保持部材30)とが位置決めされているため、回路基板11の回路13が設けられた位置に発光ダイオードチップ50を接合して、当該回路13と発光ダイオードチップ50とを電気的に接続することができる。
ここで、突出部32が柔軟性を有しているため、具体的には突出部32のヤング率が10GPa以下、より好ましくは5GPa以下であるため、転写部材35(保持部材30)の複数の突出部32の厚みT1が均一でなくても、全ての突出部32上の発光ダイオードチップ50を、回路基板11に接合させることができる。すなわち、突出部32が柔軟性を有しているため、転写部材35(保持部材30)から回路基板11に向けて押圧力を付与することで、厚みT1の大きい突出部32を屈曲させることができる。これにより、転写部材35の全ての発光ダイオードチップ50を、回路基板11に接合させることができる。
また、突出部32が柔軟性を有していることにより、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50を回路基板11に接合させための押圧力を、突出部32に保持された全ての発光ダイオードチップ50に均一に付与することができる。したがって、突出部32から一部の発光ダイオードチップ50に高い押圧力が付与されて、当該発光ダイオードチップ50が破壊されてしまう、ということが防止される。
次に、転写部材35(保持部材30)を回路基板11に押圧している状態で、異方性導電性粘着層12を加熱する。異方性導電性粘着層12が加熱されることで、回路基板11と発光ダイオードチップ50とが接着される。また、異方性導電性粘着層12によれば、押圧方向に導電性を発現することができる。したがって、発光ダイオードチップ50の各電極51を、押圧方向に対向する回路13と電気的に接続することができる。
また、このとき、発光ダイオードチップ50を保持する突出部32も加熱されて、粘着層33の粘着性が低下する。これにより、異方性導電性粘着層12の粘着性が粘着層33の粘着性に勝る。この結果、突出部32から発光ダイオードチップ50に高い押圧力を付与しなくても、発光ダイオードチップ50を異方性導電性粘着層12に粘着させることができる。したがって、突出部32から高い押圧力が付与されて発光ダイオードチップ50が破壊されてしまう、ということが防止される。なお、粘着層33の粘着性を低下させる工程は、異方性導電性粘着層12を加熱する工程とは別の工程であってもよい。すなわち、粘着層33を加熱する熱源は、異方性導電性粘着層12を加熱する熱源とは別の熱源であってもよい。また、粘着層33の粘着性が紫外線照射によって低下する場合は、粘着層33に紫外線を照射することにより粘着層33の粘着性を低下させてもよい。さらに、粘着層33の粘着性が冷却によって低下する場合は、粘着層33を冷却することにより粘着層33の粘着性を低下させてもよい。
その後、図21に示すように、回路基板11と接合した発光ダイオードチップ50を粘着層33から剥離しながら、保持部材30を回路基板11から離間させる。以上により、保持部材30に保持された複数の発光ダイオードチップ50が、回路基板11の第1領域R1に一括で配置される。
さらに、図16乃至図19に示す工程を繰り返して、再び保持部材30に発光ダイオードチップ50を保持させ、転写部材35を製造する。そして、図20及び図21に示す工程と同様の工程を繰り返して、保持部材30を回路基板11の第2領域R2に位置決めして押圧し、発光ダイオードチップ50を回路基板11に接合させる。以上の工程を回路基板の各領域R3,・・Rnについて繰り返すことにより、回路基板11の全域に発光ダイオードチップ50を配置することができる。
上述した例では、発光ダイオードチップ50として、第1発光ダイオードチップ50Rを回路基板11に一括で転写する方法について説明した。この工程と同様の工程を、第2発光ダイオードチップ50Gを保持する別の転写部材35及び第3発光ダイオードチップ50Bを保持するさらに別の転写部材35についても行うことで、回路基板11に3種の発光ダイオードチップ50を配置された発光基板10が製造される。すなわち、フルカラーで発光することができる発光基板10を得ることができる。
なお、保持部材30の突出部32の厚みT1が発光ダイオードチップ50の厚みより大きい。このため、保持部材30を用いて、例えば第1発光ダイオードチップ50Rを回路基板11に一括で転写した後に第2発光ダイオードチップ50Gを回路基板11に転写する場合でも、第2発光ダイオードチップ50Gの転写は、回路基板11に転写されている第1発光ダイオードチップ50Rによって阻害されにくい。
また、上述した例では、発光ダイオードチップ50を、回路基板11上に異方性導電性粘着層12を介して配置する方法について説明したが、これに限られない。異方性導電性粘着層12の代わりにはんだ層を回路基板11上に設け、当該はんだ層を介して発光ダイオードチップ50を回路基板11上に配置してもよい。この場合、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50をはんだ層を介して回路基板11上に配置した後、はんだ層を加熱して発光ダイオードチップ50を当該はんだ層にはんだ付けすることで、すなわち当該はんだ層に固定することで、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50を、粘着層33から容易に剥離することができる。なお、はんだ層を構成する材料としては、例えば、Au-Sn合金はんだ材、Sn-Ag-Cu系はんだ材、Sn-Cu系はんだ材、Sn-Ag系はんだ材やSn-Bi系はんだ材等、公知のはんだ材を用いることができる。また、はんだ層は、所定温度以下で硬化する粘着剤を含んでいてもよい。この場合、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50をはんだ層を介して回路基板11上に配置した後、はんだ層の温度を上記所定温度以下とすることで、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50をはんだ層に固定することができ、粘着層33から容易に剥離することができる。
また、粘着層33は、突出部32の先端面のみに設けられていなくてもよく、例えば突出部32の間にも設けられていてもよい。さらには、粘着層33は、基材31の突出部32が形成された側の面の全体に設けられていてもよい。この場合、例えば基材31の突出部32が形成された側の面を粘着性の材料でコーティングすることで、粘着層33を容易に設けることができる。
さらに、上述した例では、発光ダイオードチップ50を回路基板11に配置する際、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50と回路基板11とが電気的に接続された後、発光ダイオードチップ50は突出部32の粘着層33から剥離されたが、これに限られない。例えば、発光ダイオードチップ50は、以下のような方法により回路基板11に配置されてもよい。
すなわち、突出部32に保持された発光ダイオードチップ50を、回路基板11上の異方性導電性粘着層12またははんだ層に接触させた後、発光ダイオードチップ50を保持する複数の突出部32を回路基板11に向けて押圧し、各発光ダイオードチップ50を回路基板11に接合させる。この時点では、各発光ダイオードチップ50と回路基板11とは電気的に接合していなくてよい。そして、粘着層33を加熱、冷却又は紫外線照射して当該粘着層33の粘着性を低下させ、回路基板11と接合した発光ダイオードチップ50を粘着層33から剥離させ、保持部材30を除去する。その後、板状の部材を用いて回路基板11上の複数の発光ダイオードチップ50を回路基板11に向けて押圧しながら異方性導電性粘着層12またははんだ層を加熱して、各発光ダイオードチップ50と回路基板11に形成された回路13とを電気的に接続する。
このような方法によれば、保持部材30(すなわち、基材31や突出部32、粘着層33)を形成する材料の選択の自由度が向上する。すなわち、一般に、各発光ダイオードチップ50と回路基板11に形成された回路13とを電気的に接続する際、異方性導電性粘着層12またははんだ層を高温にし、発光ダイオードチップ50と回路基板11とを互いに高圧で押圧する必要がある。したがって、各発光ダイオードチップ50と回路基板11に形成された回路13とを電気的に接続する工程を、発光ダイオードチップ50が保持部材30に保持された状態で、保持部材30を回路基板11に向けて押圧しながら行う場合、保持部材30を形成する材料として、上記高温および高圧の条件に耐えられる材料を選択する必要がある。しかしながら、上述したように、各発光ダイオードチップ50と回路基板11に形成された回路13とを電気的に接続する工程を、発光ダイオードチップ50を保持部材30の粘着層33から剥離させた後で行う場合は、保持部材30および粘着層33を形成する材料として、上記高温および高圧の条件に耐えられる材料を選択する必要がない。したがって、保持部材30や粘着層33の材料の選択の自由度が向上する。なお、各発光ダイオードチップ50と回路基板11とを接合させる際、異方性導電性粘着層12またははんだ層を加熱してもよい。また、各発光ダイオードチップ50と回路基板11とを接合させるための層としてはんだ層を用いる場合には、各発光ダイオードチップ50と回路基板11とを接合させる際、突出部32を回路基板11に向けて押圧せず、はんだ層を加熱してもよい。さらに、各発光ダイオードチップ50と回路基板11とを接合させるための層としてはんだ層を用いる場合には、各発光ダイオードチップ50と回路基板11に形成された回路13とを電気的に接続する際、各発光ダイオードチップ50を回路基板11に向けて押圧しなくてもよい。
なお、保持部材30が帯電していると、保持部材30を除去する際に、保持部材30の静電気が回路基板11に対して放電されて、回路基板11上の発光ダイオードチップ50が静電破壊される虞がある。しかしながら、図示された例による保持部材30は、発光ダイオードチップ50が静電破壊されることを防止するための工夫がなされている。具体的には、保持部材30には導電性の遮光部34が形成されており、遮光部34を図示しないアースに接続することにより、保持部材30に帯電した静電気を除去することができる。あるいは、保持部材30が帯電することを防止することができる。
以上のように、本実施の形態の保持部材30は、複数の発光ダイオードチップ50を保持する保持部材30であって、二次元配列された第1領域311と、第1領域311以外の第2領域312と、を有する透光性の基材31と、基材31の一方の側の面31a上であって第1領域311に設けられた複数の突出部32と、基材31の一方の側の面31a上であって第2領域312内に設けられた遮光部34と、突出部32の先端面にそれぞれ設けられた粘着層33と、を備える。
このような保持部材30によれば、突出部32を寸法精度高く作製することができる。例えば、遮光部34上に感光性材料を含む感光性膜65を設けて基材31の他方の側から光を照射することにより、遮光部34のパターンに応じたパターンに精度良くパターニングされた突出部32を、形成することができる。これにより、各突出部32に所望のように発光ダイオードチップ50を保持させることができ、発光基板10の生産性を向上させることができる。
具体的には、遮光部34の厚み方向の光学濃度(OD)値が1.0以上である。この場合、基材31の他方の側から光を照射する際、感光性膜65のうち遮光部34と重なる部分を十分に遮光することができ、感光性膜65を、遮光部34のパターンに応じたパターンに、精度良くパターニングすることができる。
遮光部34は、例えば、クロム、アルミニウム、銅、クロム合金、アルミニウム合金、銅合金、若しくは、これらの酸化物、窒化物、若しくは酸化窒化物、又は、黒色顔料を含む材料で形成することができる。黒色顔料としては、例えばカーボンブラック又はチタンブラックを含む材料を採用することができる。
また、本実施の形態において、遮光部34は導電性を有する。具体的には、遮光部34のシート抵抗は、1×10-3Ω/□以上1×106Ω/□以下である。これにより、遮光部34をアースに接続するなどして、保持部材30に帯電した静電気を逃がすことができる。あるいは、保持部材30が帯電することを防止することができる。この結果、発光基板10の製造工程において回路基板11に接近して配置された保持部材30を回路基板11から離間させて除去する際に、保持部材30に帯電した静電気が回路基板11に向けて放電されて発光ダイオードチップ50が静電破壊される、ということを防止することができる。
また、本実施の形態において、基材31の一方の側の面31aの法線方向に沿った突出部32の厚みT1は、遮光部34の厚みよりも厚い。これにより、突出部32の発光ダイオードチップ50を容易に保持させることができる。
具体的には、突出部32の厚みT1は5μm以上500μm以下である。また、突出部32の厚みT1の突出部32の最大幅Wに対する比は0.1以上10以下である。
また、本実施の形態の転写部材35は、上述した保持部材30と、各突出部32に粘着層33を介して保持された複数の発光ダイオードチップ50と、を備える。
このような転写部材35によれば、複数の発光ダイオードチップ50を、回路基板11上の所望の位置に、一括して配置することができる。
また、本実施の形態の保持部材30の製造方法は、複数の発光ダイオードチップ50を保持する保持部材30の製造方法であって、二次元配列された第1領域311と第1領域311以外の第2領域312とを有する透光性の基材31の一方の側の面31a上であって第2領域312内に遮光部34を形成する工程と、基材31および遮光部34を上記一方の側から覆うように感光性膜65を設ける工程と、基材31の他方の側から光を照射して、感光性膜65の第1領域311に対面する部分を露光する工程と、感光性膜65を現像して、感光性膜65の露光された部分からなる突出部32を形成する工程と、突出部32の上記一方の側となる面に粘着層33を設ける工程と、を含む。
このような保持部材30の製造方法によれば、感光性膜65を遮光部34のパターンに応じたパターンに精度良くパターニングして、突出部32を高い寸法精度で形成することができる。これにより、保持部材30の各突出部32に所望のように発光ダイオードチップ50を保持させることができ、発光基板10の生産性を向上させることができる。
本実施の形態において、遮光部34は導電性を有する。これにより、遮光部34をアースに接続するなどして、保持部材30に帯電した静電気を逃がすことができる。あるいは、保持部材30が帯電することを防止することができる。この結果、発光基板10の製造工程において回路基板11に接近して配置された保持部材30を回路基板11から離間させて除去する際に、保持部材30に帯電した静電気が回路基板11に向けて放電されて発光ダイオードチップ50が静電破壊される、ということを防止することができる。
また、本実施の形態の転写部材35の製造方法は、ダイシングされた発光ダイオードチップ50を有するチップ基板40を上述した保持部材30の粘着層33に接触させて、複数の発光ダイオードチップ50を保持部材30の複数の突出部32に保持させる工程を含む。
このような転写部材35の製造方法によれば、各突出部32に発光ダイオードチップ50を効率良く保持させて、効率良く転写部材35を製造することができる。この結果、発光基板10の生産性を向上させることができる。
また、本実施の形態の発光基板10の製造方法は、上述した転写部材35を、回路基板11上に異方性導電性粘着層12またははんだ層を介して配置して、発光ダイオードチップ50を異方性導電性粘着層12またははんだ層に接触させる工程と、異方性導電性粘着層12またははんだ層を介して各発光ダイオードチップ50と回路基板11とを接合させる工程と、回路基板11と接合した発光ダイオードチップ50を粘着層33から剥離させて、保持部材30を除去する工程と、を含む。
このような発光基板10の製造方法によれば、複数の発光ダイオードチップ50を、回路基板11上の所望の位置に、効率良く配置することができる。この結果、発光基板10の生産性を向上させることができる。
本実施の形態の発光基板10の製造方法は、回路基板11と接合した発光ダイオードチップ50を粘着層33から剥離させて、保持部材30を除去する工程の前に、転写部材35を回路基板11に向けて押圧し、各発光ダイオードチップ50と回路基板11に形成された回路13とを電気的に接続する工程を更に含む。これにより、複数の発光ダイオードチップ50を、一括して回路基板11の回路13に電気的に接続することができる。この結果、発光基板10の生産性を向上させることができる。
なお、本実施の形態の発光基板10の製造方法は、回路基板11と接合した発光ダイオードチップ50を粘着層33から剥離させて、保持部材30を除去する工程の後に、回路基板11と接合した発光ダイオードチップ50を回路基板11に向けて押圧し、各発光ダイオードチップ50と回路基板11に形成された回路13とを電気的に接続する工程を更に含んでもよい。この場合も、複数の発光ダイオードチップ50を、一括して回路基板11の回路13に電気的に接続することができる。この結果、発光基板10の生産性を向上させることができる。
また、本実施の形態の発光基板10の製造方法は、回路基板11と接合した発光ダイオードチップ50を粘着層33から剥離させて、保持部材30を除去する工程の前に、粘着層33の粘着性を低下させる工程を更に含む。これにより、保持部材30から発光ダイオードチップ50に高い押圧力を付与しなくても、発光ダイオードチップ50を異方性導電性粘着層12またははんだ層に粘着させることができる。したがって、保持部材30の突出部32から高い押圧力が付与されて発光ダイオードチップ50が破壊されてしまう、ということが防止される。
<変形例>
次に、図23乃至図27を参照して、上述の一実施の形態における保持部材の変形例について説明する。図23乃至図27に示す変形例の保持部材130は、図15に示す保持部材30と比較して、遮光部134が基材31の第1領域311に設けられており、突出部32が遮光部134上に設けられている点で異なっている。他の構成は、図15に示す保持部材30と略同一である。図23乃至図27に示す変形例において、図1乃至図22に示す一実施の形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図24に示すように、また図23から理解されるように、本変形例の遮光部134は、基材31の一方の側の面31a上かつ第1領域311に設けられている。基材31の当該面31a上には、複数の遮光部134が、回路基板11上に配置される複数の発光ダイオードチップ50の規則的な二次元配列に対応して、規則的に二次元配列されている。遮光部134は、遮光性を有している。図示された例では、遮光部134は、その厚み方向の光学濃度(OD)値が1.0以上である。このような遮光部134によって、後述するように、突出部132を精度よく形成することができる。
図示された例では、複数の遮光部134は、接続部138によって接続されている。遮光部134および接続部138は、同一の厚みT2を有している。また、遮光部134および接続部138は、一体的に成形されている。
このような遮光部134および接続部138は、基材31の一方の側の面31a上に形成された遮光膜60を、フォトリソグラフィ技術を用いて加工することにより、形成することができる。
なお、接続部138の幅Lは十分に小さい。具体的には、接続部138の幅は、0.1μm以上10μm以下である。これにより、後述する突出部32の形成工程において、接続部138上に突出部32が形成されることが防止される。
また、図示された例では、遮光部134および接続部138は、導電性を有している。これにより、発光基板10の製造工程において回路基板11に接近して配置された保持部材30を回路基板11から離間させて除去する際に、発光ダイオードチップ50が静電破壊されてしまうことが防止される。具体的には、複数の遮光部134が接続部138を介して接続されていることにより、接続部138または遮光部134の任意の一点を図示しないアースに接続することで、保持部材30に帯電した静電気を除去することができる。あるいは、保持部材30が帯電することを防止することができる。なお、遮光部134および接続部138のシート抵抗は、1×10-3Ω/□以上1×106Ω/□以下であることが好ましい。
遮光部134および接続部138を形成するための導電性を有する材料としては、例えば、クロム、アルミニウム、銅、クロム合金、アルミニウム合金、若しくは銅合金、又は、これらの酸化物、窒化物、若しくは酸化窒化物を含む材料を採用することができる。なお、遮光部134は導電性を有さない材料で形成されてもよく、例えば黒色顔料を含む材料で形成されてもよい。この場合、黒色顔料を含む材料としては、カーボンブラックやチタンブラック等を含む材料が採用可能である。遮光部134は導電性を有さない材料で形成される場合、接続部138は形成されなくてよい。
突出部32は、遮光部134上に設けられている。したがって、基材31の一方の側の面31aの側には、複数の突出部32が、回路基板11上に配置される複数の発光ダイオードチップ50の規則的な二次元配列に対応して、規則的に二次元配列されている。
このような突出部32は、後述するように、基材31の一方の側の面31aおよび遮光部134上に設けられた感光性膜65にフォトリソグラフィ技術を利用して加工を施すことにより、形成することができる。
次に、以上のような保持部材30の製造方法について、図24乃至図27を参照しつつ説明する。
(遮光部および接続部の作製)
まず、図25に示すように、基材31の一方の側の面31a上に、遮光部134および接続部138を形成する。遮光部134および接続部138は、図7乃至図11に示す遮光部34の作製方法と同様の方法により、遮光膜60から同一工程で作製することができる。
(突出部の作製)
次に、突出部32を作製する。まず、図26に示すように、突出部32を構成するようになる感光性膜65を、基材31および遮光部34に設ける。感光性膜65は、基材31および遮光部34を、その一方の側から覆うように設けられる。感光性膜65は、遮光部34と基材31の第2領域312とに密着して形成される。本変形例では、感光性膜65は、光溶解型の感光性材料が用いられる。
次に、図26に示すように、基材31の他方の側から光を照射する。これによって、感光性膜65は、遮光部134をマスクとして露光される。具体的には、基材31に入射した光のうち、第2領域312に入射した光は感光性膜65に入射し、第1領域311に入射した光は遮光部134によって遮蔽される。
ここで本実施の形態によれば、感光性膜65は、遮光部34と基材31の第2領域312とに密着している。これにより、基材31の第2領域312を通過した光が感光性膜65に入射するまでの間に拡散することが防止される。言い換えると、基材31の第2領域312を通過した光が、感光性膜65のうち基材31の第1領域311に対面する部分に入射することが防止される。したがって、感光性膜65を、遮光部34に対応したパターンで精度よく露光することができる。なお、感光性膜65のうち接続部138上に位置する部分については、接続部138の幅が十分に小さいことにより、露光される。
次に、露光された感光性膜65を現像する。具体的には、感光性膜65に対応した現像液を用意し、この現像液を用いて、感光性膜65を現像する。これにより、図27に示すように、感光性膜65のうち光が照射された部分が除去され、感光性膜65が遮光部134に対応したパターンにパターニングされる。この結果、感光性膜65が基材31の第1領域311に対応したパターンにパターニングされてなる突出部32が、基材31の一方の側、より具体的には遮光部134上に形成される。
その後、図24に示すように、突出部32の先端面(一方の側となる面)に、上述した粘着剤を塗布する。これにより、突出部32の先端面上に粘着層33が形成される。
以上のように、本変形例の保持部材130は、複数の発光ダイオードチップ50を保持する保持部材130であって、二次元配列された第1領域311と、第1領域311以外の第2領域312と、を有する透光性の基材31と、基材31の一方の側の面31a上であって第1領域311に設けられた複数の遮光部134と、遮光部134上に設けられた突出部32と、突出部32の先端面にそれぞれ設けられた粘着層33と、を備える。
このような保持部材130によれば、突出部32を高い寸法精度で作製することができる。例えば、遮光部134上に感光性材料を含む感光性膜65を設けて基材31の他方の側から光を照射することにより、遮光部134のパターンに精度良くパターニングされた突出部32を、形成することができる。これにより、各突出部32に所望のように発光ダイオードチップ50を保持させることができ、発光基板10の生産性を向上させることができる。
本変形例において、保持部材130は、複数の遮光部134を接続する接続部138を更に備え、遮光部134および接続部138は導電性を有する。具体的には、遮光部134および接続部138のシート抵抗が、1×10-3Ω/□以上1×106Ω/□以下である。これにより、遮光部134および接続部138の任意の一点をアースに接続するなどして、保持部材130に帯電した静電気を逃がすことが容易である。あるいは、保持部材130が帯電することを防止することができる。この結果、発光基板10の製造工程において回路基板11に接近して配置された保持部材130を回路基板11から離間させて除去する際に、保持部材130に帯電した静電気が回路基板11に向けて放電されて発光ダイオードチップ50が静電破壊される、ということを防止することができる。
本変形例において、遮光部134および接続部138は同一の厚みT2を有する。また、遮光部134および接続部138は一体的に成形されている。このような保持部材130によれば、遮光部134および接続部138を同一工程で形成することが容易である。
また、本変形例の保持部材130の製造方法は、複数の発光ダイオードチップ50を保持する保持部材130の製造方法であって、二次元配列された第1領域311と第1領域311以外の第2領域312とを有する透光性の基材31の一方の側の面31a上であって第1領域311に複数の遮光部134を形成する工程と、基材31および遮光部134を上記一方の側から覆うように感光性膜65を設ける工程と、基材31の他方の側から光を照射して、感光性膜65の第2領域312に対面する部分を露光する工程と、感光性膜65を現像して、遮光部134の上記一方の側に位置する突出部32を感光性膜65から形成する工程と、突出部32の上記一方の側となる面に粘着層33を設ける工程と、を含む。
このような保持部材130の製造方法によれば、感光性膜65を遮光部134のパターンに応じたパターンに精度良くパターニングして、突出部32を高い寸法精度で作製することができる。これにより、保持部材130の各突出部32に所望のように発光ダイオードチップ50を保持させることができ、発光基板10の生産性を向上させることができる。
本変形例では、複数の遮光部134を形成する工程において、複数の遮光部134を接続する接続部138を形成し、遮光部134および接続部138は導電性を有する。遮光部134が接続部138で接続されることにより、遮光部34および接続部138の任意の一点をアースに接続するなどして、保持部材130に帯電した静電気を逃がすことが容易である。あるいは、保持部材130が帯電することを防止することができる。この結果、発光基板10の製造工程において回路基板11に接近して配置された保持部材130を回路基板11から離間して除去する際に、保持部材130に帯電した静電気が回路基板11に向けて放電されて発光ダイオードチップ50が静電破壊される、ということを防止することができる。また、接続部138を形成するための追加の工程を要しない。
具体的には、複数の遮光部134を形成する工程において、基材31の上記一方の側の面31a上に設けられた遮光膜60をパターニングすることで、遮光部134および接続部138を一体的に成形する。これにより、遮光部134と接続部138とを同一工程で容易に形成することができる。
なお、上述した発光基板10は、表示装置1以外にも、例えば照明装置に用いられてもよい。