JP7271692B2 - 近赤外吸収組成物、膜、光学フィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、赤外線センサ、カメラモジュール、並びに、インクジェットインク - Google Patents

近赤外吸収組成物、膜、光学フィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、赤外線センサ、カメラモジュール、並びに、インクジェットインク Download PDF

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Description

本開示は、近赤外吸収組成物、膜、光学フィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、赤外線センサ、カメラモジュール、並びに、インクジェットインクに関する。
光学フィルタの一例として、近赤外線吸収顔料を含む、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ等が知られている。
上記のような光学フィルタを得るための硬化性組成物としては、例えば、特許文献1にて、近赤外線吸収色素と、不飽和二重結合を有する基を有する重合性モノマーとを含む硬化性組成物であって、上記近赤外線吸収色素は、単環又は縮合環の芳香族環を含むπ共役平面を有する化合物であり、上記硬化性組成物の全固形分中における上記近赤外線吸収色素の含有量が10質量%以上であり、上記重合性モノマーの全質量中における、酸基及び水酸基から選ばれる少なくとも一種の基と不飽和二重結合を有する基とを有する重合性モノマーの含有量が50質量%以下である、硬化性組成物が開示されている。
国際公開第2018/142799号
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、保存安定性に優れる近赤外吸収組成物を提供することである。
また、本開示の別の一実施形態が解決しようとする課題は、上記近赤外吸収組成物を用いた膜、光学フィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、赤外線センサ、カメラモジュール、並びにインクジェットインクを提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 近赤外線吸収顔料と、
塩基性基を有する樹脂と、
上記塩基性基を有する樹脂以外の、SP値が19.7MPa1/2~21.2MPa1/2で且つ酸価が70mgKOH/g~105mgKOH/gであるバインダー樹脂と、
を含む近赤外吸収組成物。
<2> 上記バインダー樹脂が、芳香族環及び脂肪族環よりなる群から選択される少なくとも1種の環構造を有する構成単位を、上記バインダー樹脂の全構成単位に対して50モル%~90モル%で含む樹脂である、<1>に記載の近赤外吸収組成物。
<3> 上記脂肪族環がビシクロ環又はトリシクロ環である、<2>に記載の近赤外吸収組成物。
<4> 上記芳香族環がベンゼン環、ナフタレン環、又は含窒素複素芳香環である、<2>又は<3>に記載の近赤外吸収組成物。
<5> 上記バインダー樹脂が、酸基を有する構成単位を、上記バインダー樹脂の全構成単位に対して10モル%~40モル%で含む樹脂である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の近赤外吸収組成物。
<6> 上記バインダー樹脂の重量平均分子量が20,000以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の近赤外吸収組成物。
<7> 上記塩基性基を有する樹脂が、第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂、及び、主鎖に窒素原子を含む樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の近赤外吸収組成物。
<8> 上記第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂が、更に第4級アンモニウム塩基を側鎖に有する樹脂である、<7>に記載の近赤外吸収組成物。
<9> 上記近赤外線吸収顔料が、ピロロピロール化合物又はスクアリリウム化合物である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の近赤外吸収組成物。
<10> スズの含有量が、近赤外吸収組成物の全固形分に対して、1ppm~15ppmである、<1>~<9>のいずれか1つに記載の近赤外吸収組成物。
<11> 更に、重合性化合物及び重合開始剤を含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の近赤外吸収組成物。
<12> <1>~<11>のいずれか1つに記載の近赤外吸収組成物からなる又は上記近赤外吸収組成物を硬化してなる膜。
<13> <12>に記載の膜を有する光学フィルタ。
<14> 赤外線カットフィルタ又は赤外線透過フィルタである、<13>に記載の光学フィルタ。
<15> <12>に記載の膜を有する固体撮像素子。
<16> <12>に記載の膜を有する赤外線センサ。
<17> <11>に記載の近赤外吸収組成物を支持体上に適用して組成物層を形成する工程と、
上記組成物層をパターン状に露光する工程と、
未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含む
光学フィルタの製造方法。
<18> <11>に記載の近赤外吸収組成物を支持体上に適用して組成物層を形成し、硬化して層を形成する工程と、
上記層上にフォトレジスト層を形成する工程と、
露光及び現像することにより上記フォトレジスト層をパターニングしてレジストパターンを得る工程と、
上記レジストパターンをエッチングマスクとして上記層をドライエッチングする工程と、を含む
光学フィルタの製造方法。
<19> 固体撮像素子と、<13>又は<14>に記載の光学フィルタとを有するカメラモジュール。
<20> <11>に記載の近赤外吸収組成物を含むインクジェットインク。
本開示の一実施形態によれば、保存安定性に優れる近赤外吸収組成物が提供される。
更に、本開示の別の一実施形態によれば、上記近赤外吸収組成物を用いた膜、光学フィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、赤外線センサ、カメラモジュール、並びにインクジェットインクが提供される。
本開示に係る赤外線センサの一実施形態を示す概略図である。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。
本明細書において「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、上述のように、溶剤を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も含む。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、Acはアセチル基を、Bnはベンジル基を、Phはフェニル基をそれぞれ示す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における透過率は、特に断りのない限り、25℃における透過率である。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算値として定義される。
本開示において、樹脂における「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。但し、本開示における「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。
<近赤外吸収組成物>
本開示に係る近赤外吸収組成物(以下、単に「組成物」ともいう)は、近赤外線吸収顔料と、塩基性基を有する樹脂と、上記塩基性基を有する樹脂以外の、SP値が19.7MPa1/2~21.2MPa1/2で且つ酸価が70mgKOH/g~105mgKOH/gであるバインダー樹脂(以下、「特定バインダー樹脂」ともいう)と、を含む。
近赤外線吸収顔料、塩基性基を有する樹脂である分散剤、及びバインダー樹脂を含む近赤外吸収組成物、具体的には、例えば、特許文献1に記載の硬化性組成物においては、経時での粘度上昇が見られ、保存安定性が低下する場合がある。
この理由は以下のように推測される。
分散剤が有する塩基性基は、近赤外線吸収顔料に対する吸着性能を有しており、近赤外線吸収顔料の分散性を高めている。しかしながら、組成物中に併存するバインダー樹脂によっては、分散剤の塩基性基に吸着し、分散剤を近赤外線吸収顔料から引き剥がしてしまう。その結果、塩基性基を有する樹脂による近赤外線吸収顔料の分散性能が発現し難くなり、経時にて近赤外線吸収顔料が凝集することで、保存安定性を低下させていたと考えられる。
そこで、保存安定性を高める課題について検討を行ったところ、特定のSP値と特定の酸価とを有するバインダー樹脂を用いることで、上記課題を解決しうることを見出した。
即ち、本開示に係る近赤外吸収組成物は、近赤外線吸収顔料及び塩基性基を有する樹脂を含む組成物に、SP値が19.7MPa1/2~21.2MPa1/2で且つ酸価が70mgKOH/g~105mgKOH/gである特定バインダー樹脂を適用する。
このような組成とすることで、塩基性基を有する樹脂による近赤外線吸収顔料の分散性能が阻害されず、近赤外線吸収顔料の分散が保たれ、その結果、保存安定性に優れる近赤外吸収組成物が得られると推測される。
また、本開示に係る近赤外吸収組成物により膜が形成された場合、膜中においても、近赤外線吸収顔料の分散が高い状態を保つことができる。その結果、形成された膜の一部を現像等により除去する際には、近赤外線吸収顔料の凝集に由来する残渣の発生が低減すると推測される。
以下、本開示に係る組成物に含まれる各成分の詳細を説明する。
<特定バインダー樹脂>
本開示に係る組成物は、後述する塩基性基を有する樹脂以外の、SP値が19.7MPa1/2~21.2MPa1/2で且つ酸価が70mgKOH/g~105mgKOH/gであるバインダー樹脂を含む。
即ち、本開示における特定バインダー樹脂は、分子内に塩基性基を有さず、「塩基性基を有する樹脂」には該当しない樹脂である。
特定バインダー樹脂は、膜形成性に寄与する成分であり、特定バインダー樹脂を含むことで、本開示に係る組成物により膜が形成される。
ここで、本開示における特定バインダー樹脂のSP値(単位:MPa1/2)は、沖津法によって求められる溶解度パラメータである。沖津法は、従来周知のSP値の算出方法の一つであり、例えば、日本接着学会誌Vol.29、No.6(1993年)249~259頁に詳述されている方法であって、本開示における特定バインダー樹脂のSP値もこの方法により算出される。
また、本開示における特定バインダー樹脂の酸価は、特定バインダー樹脂1gあたりの酸基を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。特定バインダー樹脂の酸価は次のようにして測定する。
すなわち、測定サンプルを、テトラヒドロフラン/水=9/1(質量比)混合溶媒に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業(株)製)を用いて、得られた溶液を、25℃にて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定する。
滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、式(I)により酸価を算出する。
式(I) : A:酸価(mgKOH/g)=56.11×Vs×0.5×f/w
式(I)中、Aは酸価(mgKOH/g)を表し、Vsは滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)を表し、fは0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価を表し、wは測定サンプル質量(g)(固形分換算)を表す。
特定バインダー樹脂におけるSP値としては、保存安定性を高める観点から、20.0MPa1/2~21.0MPa1/2が好ましい。
特定バインダー樹脂における酸価としては、保存安定性を高める観点から、72mgKOH/g~102mgKOHが好ましく、90mgKOH/g~100mgKOHがより好ましい。
特定バインダー樹脂は、上記のSP値及び酸価を満たしていれば、構造については特に制限はない。
特定バインダー樹脂は、アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
中でも、SP値及び酸価を制御し易い観点、及び、形成される膜のアルカリ現像性が良好となる観点から、アクリル樹脂が好ましい。
特定バインダー樹脂は、SP値及び酸価(特にSP値)を上記の範囲に制御する観点から、芳香族環及び脂肪族環よりなる群から選択される少なくとも1種の環構造を有する構成単位を、特定バインダー樹脂の全構成単位に対して50モル%~90モル%で含む樹脂であることが好ましい。
芳香族環及び脂肪族環よりなる群から選択される少なくとも1種の環構造を有する構成単位の含有量は、特定バインダー樹脂の全構成単位に対して、55モル%~90モル%であることが好ましく、60モル%~88モル%であることがより好ましい。
特定バインダー樹脂が、芳香族環及び脂肪族環よりなる群から選択される少なくとも1種の環構造を有する構成単位を含む場合、脂肪族環がビシクロ環又はトリシクロ環であることが好ましく、芳香族環がベンゼン環、ナフタレン環、又は含窒素複素芳香環であることが好ましい。
上記ビシクロ環としては、例えば、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン、及びこれにアルキル基等の置換基が導入された環(例えば、イソボルニル環等)等が挙げられる。
上記トリシクロ環としては、アダマンタン(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカンともいう)、及びこれにアルキル基等の置換基が導入された環等が挙げられる。
上記含窒素複素芳香環としては、カルバゾール環、これにアルキル基等の置換基が導入された環等が挙げられる。
また、ベンゼン環及びナフタレン環はアルキル基等の置換基が導入されていてもよい。
芳香族環及び脂肪族環よりなる群から選択される少なくとも1種の環構造を有する構成単位は、下記式(a)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0007271692000001
式(a)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは単結合又は-C(=O)O-を表し、Xは芳香族環及び脂肪族環よりなる群から選択される少なくとも1種の環構造を含む基を表す。
式(a)中、Xは、イソボルニル基、アダマンタン基、ベンジル基、ナフチル基、又はカルバゾール基が好ましい。
特定バインダー樹脂は、芳香族環及び脂肪族環よりなる群から選択される少なくとも1種の環構造を有する構成単位(好ましくは、式(a)で表される構成単位)を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
特定バインダー樹脂は、SP値及び酸価(特に酸価)を上記の範囲に制御する観点から、酸基を有する構成単位を、特定バインダー樹脂の全構成単位に対して10モル%~40モル%で含む樹脂であることが好ましい。
酸基を有する構成単位の含有量は、特定バインダー樹脂の全構成単位に対して、10モル%~38モル%であることが好ましく、12モル%~38モル%であることがより好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基が挙げられるが、中でも、本開示に係る組成物の経時安定性と形成される膜のアルカリ現像性との両立の観点から、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有する構成単位は、下記式(b)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0007271692000002
式(b)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは単結合炭素数2~10の2価の連結基を表し、Xは酸基を表す。
式(b)中、Lは、アルキレン基とエステル結合とを含む炭素数2~10の2価の連結基であることが好ましく、アルキレン基とエステル結合とからなる炭素数2~10の2価の連結基であることがより好ましい。
式(b)中、Xは、カルボキシ基が好ましい。
特定バインダー樹脂は、酸基を有する構成単位(好ましくは、式(b)で表される構成単位)を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
特定バインダー樹脂は、芳香族環及び脂肪族環よりなる群から選択される少なくとも1種の環構造を有する構成単位及び酸基を有する構成単位の他に、その他の構成単位を含んでいてもよい。
その他の構成単位としては、SP値及び酸価を上記の範囲に制御しうるものであれば特に制限はなく、(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位が好ましく挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物であることが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等がより好ましく挙げられる。
その他の構成単位は、下記式(c)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0007271692000003
式(c)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは-C(=O)O-を表し、Xはアルキル基を表す。
式(c)中、Xは、炭素数1~10である置換又は無置換のアルキル基が好ましく、炭素数1~8である置換又は無置換のアルキル基がより好ましい。
なお、Xで表されるアルキル基に導入される置換基としては、ヒドロキシ基、アリル基等が挙げられる。
特定バインダー樹脂は、その他の構成単位(好ましくは、式(c)で表される構成単位)を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
特定バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20,000以下が好ましく、15,000以下がより好ましく、12,000以下が更に好ましく、10,000以下が特に好ましい。
特定バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限としては、2,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、4,000以上が更に好ましい。
特定バインダー樹脂の具体例としては、以下に示す樹脂1~6が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、樹脂1~6において、主鎖の各構成単位に付記した数値はモル比である。
Figure 0007271692000004
本開示に係る組成物は、特定バインダー樹脂を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る組成物における特定バインダー樹脂の含有量は、本開示に係る組成物の使用目的、用途等に応じて、適宜、決定されればよい。
特定バインダー樹脂は、例えば、後述する塩基性基を有する樹脂に対して、質量基準にて、1倍~30倍(好ましくは1.5倍~27倍、より好ましくは2倍~25倍)にて用いることができる。
[その他のバインダー樹脂]
本開示に係る組成物は、既述の保存安定性に優れるといった効果を損なわない範囲において、特定バインダー樹脂以外のその他のバインダー樹脂を含んでいてもよい。
その他のバインダー樹脂は、SP値及び酸価のいずれか一方が上記の範囲を満たさない樹脂であって、且つ、分子内に塩基性基を有さず、「塩基性基を有する樹脂」には該当しない樹脂である。
その他のバインダー樹脂を用いる場合、本開示に係る組成物に含まれる総バインダー樹脂に対する、その他のバインダー樹脂の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
<近赤外線吸収顔料>
本開示に係る組成物は、近赤外線吸収顔料を含む。
本開示において、「近赤外線」は、波長700nm~2,500nmの赤外線を指し、「近赤外線吸収顔料」は、波長750nm~2,500nmの範囲に極大吸収波長を有する顔料である。
近赤外線吸収顔料は、波長750nm~1,800nmの範囲に極大吸収波長を有する顔料であることが好ましい。また、近赤外線吸収顔料は、波長500nmにおける吸光度Aと極大吸収波長における吸光度Aとの比率A/Aが、0.08以下であることが好ましく、0.04以下であることがより好ましい。
なお、本開示において、顔料とは、溶剤に不溶の色素を意味する。ここで、溶剤に不溶とは、25℃における対象物質の溶剤100mgに対する溶解度が0.1g以下であることを指す。ここで溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ-ト又は水が挙げられ、いずれの溶剤であっても上記の溶解度であるものが顔料である。
近赤外線吸収顔料としては、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、イミニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物、金属酸化物、金属ホウ化物等が挙げられる。
中でも、近赤外線吸収顔料としては、耐久性の観点から、ピロロピロール化合物又はスクアリリウム化合物が特に好ましい。
[ピロロピロール化合物]
ピロロピロール化合物としては、式(PP)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007271692000005
式(PP)中、R1a及びR1bは、各々独立に、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよく、Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-BR4A4B、又は金属原子を表し、Rは、R1a、R1b、及びRから選ばれる少なくとも一つと共有結合若しくは配位結合していてもよく、R4A及びR4Bは、各々独立に、置換基を表す。
式(PP)の詳細については、特開2009-263614号公報の段落番号0017~0047、特開2011-68731号公報の段落番号0011~0036、国際公開第2015/166873号の段落番号0010~0024の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
式(PP)において、R1a及びR1bは、各々独立に、アリール基又はヘテロアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。また、R1a及びR1bで表されるアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。
置換基としては、後述する置換基Tが挙げられる。
-置換基T-
置換基Tとしては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、-ORt、-CORt、-COORt、-OCORt、-NRtRt、-NHCORt、-CONRtRt、-NHCONRtRt、-NHCOORt、-SRt、-SORt、-SOORt、-NHSORt又は-SONRtRtが挙げられる。Rt及びRtは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。RtとRtが結合して環を形成してもよい。
式(PP)において、R及びRは、各々独立に水素原子又は置換基を表す。置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。R及びRの少なくとも一方は電子求引性基であることが好ましく、シアノ基、カルボキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基であることがより好ましく、シアノ基であることが更に好ましい。
式(PP)において、Rは電子求引性基(好ましくはシアノ基)を表し、Rはヘテロアリール基を表すことが好ましい。ヘテロアリール基は、5員環又は6員環が好ましい。また、ヘテロアリール基は、単環又は縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2~8の縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2~4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が例示される。ヘテロアリール基は、窒素原子を1個以上有することが好ましい。式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(PP)において、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は-BR4A4Bで表される基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、又は-BR4A4Bで表される基であることがより好ましく、-BR4A4Bで表される基であることが更に好ましい。R4A及びR4Bは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又は、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロアリール基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。これらの基は更に置換基を有していてもよい。式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。R4A及びR4Bは互いに結合して環を形成していてもよい。
ピロロピロール化合物としては、式(PP-1)で表される化合物であってもよい。
Figure 0007271692000006
式(PP-1)中、R1a、R、R、及びRは、いずれも、式(PP)中のR1a、R、R、及びRと同義であり、R1bは、アルキレン基、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基を表し、Lは、下記式(L1)又は下記式(L2)で表される基である。
式(PP-1)中のR1a、R1b、R、R、及びRは、いずれも、式(PP)中のR1a、R1b、R、R、及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
*-X-A―X-* 式(L1)
上記式(L1)中、X及びXは、各々独立に、単結合、-O-、-S-,-NR1A-、-CO-、-COO-、-OCOO-、-SONR1A-、-CONR1A-、-OCONR1A-、又は-NR1ACONR1A-を表し、R1Aは、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、Aは、単結合、脂肪族環構造、芳香族環構造、又は複素環構造を表し、*は、R1bとの連結位置を表し、ただし、Aが単結合のとき、X及びXの両方が単結合となることはない。
*-X―A―L―A―X-* 式(L2)
上記式(L2)中、X及びXは各々独立に、単結合、-O-、-S-、-NR2A-、-CO-、-COO-、-OCOO-、-SONR2A-、-CONR2A-、-OCONR2A-、又は-NR2ACONR2A-を表し、R2Aは水素原子又はアルキル基を表し、Lは、単結合、-O-、-S-、-NR2B-、-CO-、-COO-、-OCOO-、-SONR2B-、-CONR2B-、-OCONR2B-、-NR2BCONR2B-、炭素数1~6のアルキレン基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族環構造、又はこれらを組み合わせた基を表し、R2Bは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、A及びAは、各々独立に、脂肪族環構造、芳香族環構造、又は複素環構造を表す。
ピロロピロール化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
以下の構造式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
また、ピロロピロール化合物としては、特開2009-263614号公報の段落番号0016~0058に記載の化合物、特開2011-68731号公報の段落番号0037~0052に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0007271692000007
[スクアリリウム化合物]
スクアリリウム化合物としては、下記式(SQ)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007271692000008
式(SQ)中、A及びAは、各々独立に、アリール基、ヘテロアリール基、又は式(A-1)で表される基を表す;
Figure 0007271692000009
式(A-1)中、Zは、含窒素複素環を形成する非金属原子団を表し、Rは、アルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表し、dは、0又は1を表し、波線は連結手を表す。式(SQ)の詳細については、特開2011-208101号公報の段落番号0020~0049、特許第6065169号公報の段落番号0043~0062、国際公開第2016/181987号の段落番号0024~0040の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
なお、式(SQ)においてカチオンは、以下のように非局在化して存在している。
Figure 0007271692000010
スクアリリウム化合物は、下記式(SQ-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007271692000011
式(SQ-1)中、環A及び環Bは、各々独立に芳香族環を表し、X及びXは各々独立に置換基を表し、G及びGは各々独立に置換基を表し、kAは0~nの整数を表し、kBは0~nの整数を表し、n及びnはそれぞれ環A又は環Bに置換可能な最大の整数を表し、XとG、XとG、XとXは、互いに結合して環を形成してもよく、G及びGがそれぞれ複数存在する場合は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
及びGで表される置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。
及びXで表される置換基としては、活性水素を有する基が好ましく、-OH、-SH、-COOH、-SOH、-NRX1X2、-NHCORX1、-CONRX1X2、-NHCONRX1X2、-NHCOORX1、-NHSOX1、-B(OH)及び-PO(OH)がより好ましく、-OH、-SH及び-NRX1X2が更に好ましい。RX1及びRX2は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。X及びXにおける置換基RX1及びRX2としてはアルキル基、アリール基、又は、ヘテロアリール基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
環A及び環Bは、各々独立に、芳香族環を表す。芳香族環は単環であってもよく、縮合環であってもよい。芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、及び、フェナジン環が挙げられ、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましい。芳香族環は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。
とG、XとG、XとXは、互いに結合して環を形成してもよく、G及びGがそれぞれ複数存在する場合は、互いに結合して環を形成していてもよい。環としては、5員環又は6員環が好ましい。環は単環であってもよく、縮合環であってもよい。XとG、XとG、XとX、G同士又はG同士が結合して環を形成する場合、これらが直接結合して環を形成してもよく、アルキレン基、-CO-、-O-、-NH-、-BR-及びそれらの組み合わせからなる2価の連結基を介して結合して環を形成してもよい。Rは、水素原子又は置換基を表す。置換基としては、既述の置換基Tが挙げられ、アルキル基又はアリール基が好ましい。
kAは0~nの整数を表し、kBは0~nの整数を表し、nは、環Aに置換可能な最大の整数を表し、nは、環Bに置換可能な最大の整数を表す。kA及びkBは、各々独立に0~4が好ましく、0~2がより好ましく、0~1が特に好ましい。
スクアリリウム化合物は、下記式(SQ-2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007271692000012
式(SQ-2)中、Rs119及びRs120は各々独立に置換基を表し、A及びAは各々独立に酸素原子又はNRs125を表し、Rs121~Rs125は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X30及びX31は、各々独立に、炭素原子、ホウ素原子、又はC(=O)を表し、X30が炭素原子の場合にはns32は2であり、X30がホウ素原子の場合にはns32は1であり、X30がC(=O)の場合にはns32は0であり、X31が炭素原子の場合にはns33は2であり、X31がホウ素原子の場合にはns33は1であり、X31がC(=O)の場合にはns33は0であり、ns30及びns31は各々独立に0~5の整数を表し、ns30が2以上の場合は、複数のRs119は同一であっても異なっていてもよく、複数のRs119のうち2個のRs119同士が結合して環を形成してもよく、ns31が2以上の場合は、複数のRs120は同一であっても異なっていてもよく、複数のRs120のうち2個のRs120同士が結合して環を形成してもよく、ns32が2の場合は、2個のRs121は同一であっても異なっていてもよく、2個のRs121同士が結合して環を形成してもよく、ns33が2の場合は、2個のRs122は同一であっても異なっていてもよく、2個のRs122同士が結合して環を形成してもよく、Ar100はアリール基又はヘテロアリール基を表し、ns100は0~2の整数を表す。
スクアリリウム化合物は、下記式(SQ-3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007271692000013
式(SQ-3)中、X、X、Y、及びYは、各々独立に、アルキレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、又はこれらを2以上結合した二価の基を表し、Z及びZは、各々独立に、単結合、-O-、カルボニル基、-S-、-N(RN1)-、-S(=O)-、又は、-S(=O)-を表し、A及びAは、各々独立に、-O-又は-N(RN2)-を表し、RN1及びRN2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表し、n1及びn2は各々独立に0~5の整数を表す。
但し、X、X、Y、及びYがアルキレン基を表し、A及びAが-N(RN2)-を表す場合、Z及びZのうち少なくとも一方が、-O-、カルボニル基、-S-、-N(RN1)-、-S(=O)-、又は、-S(=O)-を表す。
スクアリリウム化合物は、下記式(SQ-4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007271692000014
式(SQ-4)中、Q、Q、Q、及びQは、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Q、Q、Q、及びQが窒素原子の場合、X、X、X、及びXはないものとする。R~Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、スルホ基、-SO-M、又はハロゲン原子を表す。Mは無機又は有機のカチオンを表す。X~Xは、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、-NR、スルホ基、-SONR、-COOR10、-CONR1112、ニトロ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。X~Xは互いに結合して環を形成してもよい。R~R12は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基、又は置換基を有してもよいピリジニル基を表す。RとR、RとR、RとR、RとR、R11とR12は、それぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。
スクアリリウム化合物の具体例としては、下記の化合物[SQ-1~SQ-61]が挙げられる。
また、スクアリリウム化合物としては、特開2011-208101号公報の段落番号0044~0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060~0061に記載の化合物、国際公開第2016/181987号の段落番号0040に記載の化合物、国際公開第2013/133099号に記載の化合物、国際公開第2014/088063号に記載の化合物、特開2014-126642号公報に記載の化合物、特開2016-146619号公報に記載の化合物、特開2015-176046号公報に記載の化合物、特開2017-25311号公報に記載の化合物、国際公開第2016/154782号に記載の化合物、特許5884953号公報に記載の化合物、特許6036689号公報に記載の化合物、特許5810604号公報に記載の化合物、特開2017-068120号公報に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0007271692000015
Figure 0007271692000016
Figure 0007271692000017
Figure 0007271692000018
Figure 0007271692000019
本開示に係る組成物は、近赤外線吸収顔料を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る組成物における近赤外線吸収顔料の含有量は、本開示に係る組成物の使用目的、用途等に応じて、適宜、決定されればよい。
近赤外線吸収顔料の含有量は、例えば、近赤外線吸収顔料に求められる機能を発現する観点から、例えば、組成物の全固形分に対し、1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
<塩基性基を有する樹脂>
本開示に係る組成物は、塩基性基を有する樹脂を含む。
ここで、塩基性基としては、塩基としての性質を示す官能基であり、窒素原子を含む基であることが好ましく、より具体的には、第1級アミノ基又はその塩、第2級アミノ基又はその塩、第3級アミノ基又はその塩、第4級アンモニウム塩基等であることがより好ましい。塩基性基を有する樹脂中の塩基性基は、特定バインダー樹脂の酸基にて中和され、塩を形成していてもよい。つまり、本開示に係る組成物は、近赤外線吸収顔料と、特定バインダー樹脂と、特定バインダー樹脂の酸基にて中和された塩を塩基性基として有する樹脂と、を含む組成物であってもよい。
塩基性基を有する樹脂としては、例えば、第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂、及び、主鎖に窒素原子を含む樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
特に、近赤外線吸収顔料の分散性向上の観点から、上記第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂が、更に第4級アンモニウム塩基を側鎖に有する樹脂であることが好ましい。即ち、塩基性基を有する樹脂としては、第3級アミノ基と第4級アンモニウム塩基とを側鎖に有する樹脂であることが好ましい。
[第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂]
第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂は、第3級アミノ基を有する構成単位を有する樹脂であることが好ましく、第3級アミノ基を有する構成単位と第4級アンモニウム塩基を有する構成単位とを有する樹脂であることがより好ましい。また、第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂は、第3級アミノ基を有する構成単位及び第4級アンモニウム塩基を有する構成単位以外に、更に、その他の構成単位を有していてもよい。
また、第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂は、ブロック構造を有していることも好ましい。
第3級アミノ基と第4級アンモニウム塩基とを側鎖に有する樹脂の場合、アミン価が10mgKOH/g~250mgKOH/g、且つ、第4級アンモニウム塩価が10mgKOH/g~90mgKOH/gであるものが好ましく、アミン価が50mgKOH/g~200mgKOH/g、且つ、第4級アンモニウム塩価が10mgKOH/g~50mgKOH/gであるものがより好ましい。
ここで、上記のアミン価は、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求められたアミン価を、水酸化カリウムの当量に換算したものである。
また、上記の4級アンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求められたアミン価を、水酸化カリウムの当量に換算したものである。
第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000~300,000であることが好ましく、5,000~30,000であることがより好ましい。
第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂は、第3級アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物と、必要に応じて、第4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和化合物、及びその他エチレン性不飽和化合物と、を共重合することで得られる。
なお、予め、第3級アミンを有するエチレン性不飽和化合物を用いて重合体を合成した後、該重合体に塩化ベンジル等のハロゲン化炭化水素化合物を反応させて、部分的に第3級アミノ基を第4級アンモニウム塩基に変性して、第4級アンモニウム基を導入してもよい。
第3級アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチル(4-ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
第3級アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物及び第4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和化合物については、国際公開第2018/230486号の段落0150~0170に記載されたものも挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
その他のエチレン性不飽和化合物としては、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、炭素数1~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1~5のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。具体的には、その他のエチレン性不飽和化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。下記の化合物において、主鎖の各構成単位に付記した数値はモル比である。
Figure 0007271692000020
[主鎖に窒素原子を含む樹脂]
主鎖に窒素原子を含む樹脂(以下、オリゴイミン系樹脂ともいう)は、ポリ(低級アルキレンイミン)系の構成単位を含むことが好ましい。
ここで、本開示における低級アルキレンイミンとは、炭素数1~5のアルキレンイミンを表す。
オリゴイミン系樹脂としては、近赤外線吸収顔料の分散性向上の観点から、ポリ(低級アルキレンイミン)系の構成単位であって、窒素原子に結合したpKa14以下の官能基を含む側鎖Xを有する構成単位と、原子数40~10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を含む側鎖Yを有する構成単位と、を有する樹脂であることが好ましい。
また、オリゴイミン系樹脂としては、第1級アミノ基又はその塩、第2級アミノ基又はその塩、第3級アミノ基又はその塩、第4級アンモニウム塩基からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
オリゴイミン系樹脂としては、式(OI-1)で表される構成単位と式(OI-2)で表される構成単位とを有する樹脂であることが好ましい。
Figure 0007271692000021
式(OI-1)及び(OI-2)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を表し、aは、各々独立に、1~5の整数を表し、*は構成単位間の連結部を表し、XはpKa14以下の官能基を含む側鎖を表し、Yは原子数40~10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を含む側鎖を表す。
Xで表される側鎖に含まれるpKa14以下の官能基としては、以下のものが挙げられる。
なお、本開示における「pKa」とは、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載されている定義のものである。
「pKa14以下の官能基」は、その構造は特に限定されず、公知の官能基でpKaが14以下を満たすものが挙げられるが、特にpKaが12以下である官能基がより好ましく、pKaが11以下である官能基が更に好ましい。具体的には、例えば、カルボン酸基(pKa3~5程度)、スルホン酸基(pKa-3~-2程度)、-COCHCO-(pKa8~10程度)、-COCHCN(pKa8~11程度)、-CONHCO-、フェノール性水酸基、-RCHOH、又は-(RCHOH(ここで、Rはペルフルオロアルキル基を表す。pKa9~11程度)、スルホンアミド基(pKa9~11程度)等が挙げられ、特に、カルボン酸基、スルホン酸基、又は-COCHCO-が好ましい。
オリゴイミン系樹脂は、式(OI-1)で表される構成単位及び式(OI-2)で表される構成単位の他に、更に、式(OI-3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0007271692000022
式(OI-3)中、*、R、R、及びaは一般式(OI-1)と同義である。Y’はアニオン基を有する原子数40~10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を含む側鎖を表す。
ここで、式(OI-3)で表される構成単位は、主鎖部に一級又は二級アミノ基を有する構成単位を有する樹脂に、アミンと反応して塩を形成する基を有するオリゴマー又はポリマーを添加して反応させることで形成することが可能である。
式(OI-1)、式(OI-2)、及び式(OI-3)において、原料入手の観点から、R及びRは水素原子であることが好ましく、aは2であることが好ましい。
オリゴイミン系樹脂は、式(OI-1)、式(OI-2)、及び式(OI-3)で表される構成単位以外に、ポリ(低級アルキレンイミン)を構成単位として含んでいてもよい。前述と同様に、低級アルキレンイミンとは、炭素数1~5のアルキレンイミンを表す。
なお、ポリ(低級アルキレンイミン)における窒素原子には、更に、前記X、Y、又はY’で表される側鎖のうち1種以上が結合していてもよい。
オリゴイミン系樹脂については、特開2012-255128号公報の段落0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
主鎖に窒素原子を含む樹脂(オリゴイミン系樹脂)の具体例としては、下記の3つの化合物が挙げられる。下記化合物において、主鎖の各構成単位に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。
Figure 0007271692000023
本開示において、塩基性基を有する樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示に係る組成物における塩基性基を有する樹脂の含有量は、近赤外線吸収顔料の種類及び含有量に応じて適宜設定すればよい。
例えば、塩基性基を有する樹脂の含有量は、近赤外線吸収顔料の総量(好ましくは、近赤外線吸収顔料と近赤外線吸収顔料以外の顔料との総量)に対して、15質量%~90質量%であることが好ましく、25質量%~70質量%であることがより好ましく、30質量%~50質量%であることが更に好ましい。
(スズの含有量)
本開示に係る組成物は、使用する塩基性基を有する樹脂の種類によっては、塩基性基を有する樹脂の合成時に使用されるスズ(Sn)が含まれることがある。
そこで、本開示に係る組成物におけるスズ(Sn)の含有量は、例えば、組成物の全固形分に対して、1ppm~15ppmが好ましい。
本開示において、「ppm」、後述する「ppb」及び「ppt」は、いずれも、質量基準である。
上記のスズの含有量を満たすために用いられる塩基性基を有する樹脂としては、例えば、主鎖に窒素原子を含む樹脂が挙げられる。
本開示に係る組成物におけるスズの含有量は、以下の方法にて測定される。
スズの含有量は、公知の方法に従い、ガスクロマトグラフィーにて検量線を作成の上、測定する。
[その他の成分]
本開示に係る組成物は、膜が得られる組成物であることが好ましく、最終的に硬化することにより硬化膜が得られる硬化性組成物であることが好ましい。
また、本開示に係る組成物は、特定の酸価を有する特定バインダー樹脂を含むことから、例えば、パターン露光により硬化膜のパターンを形成し、未露光部を現像除去することができる硬化性組成物であることが好ましい。すなわち、本開示に係る組成物はネガ型の硬化性組成物であることが好ましい。
本開示に係る組成物がネガ型の硬化性組成物の場合、既述の、近赤外線吸収顔料、特定バインダー樹脂、及び塩基性基を有する樹脂以外に、更に、重合開始剤及び重合性化合物を含む態様が好ましい。
また、本開示に係る組成物は、本開示に係る組成物の効果を損なわない範囲において、既述の塩基性基を有する樹脂以外の分散剤、及び、近赤外線吸収顔料以外の顔料を含んでいてもよい。
[硬化性組成物]
本開示に係る組成物は、近赤外線吸収顔料、特定バインダー樹脂、及び塩基性基を有する樹脂に加え、更に、重合性化合物及び重合開始剤を含む、所謂、硬化性組成物であることが好ましい。
上記の硬化性組成物は本開示に係る組成物を含むことから、硬化性組成物から形成された膜中においても、近赤外線吸収顔料の分散が高い状態を保つことができる。その結果、上記の硬化性組成物によれば、形成された膜の一部を現像除去する際に、近赤外線吸収顔料の凝集に由来する残渣が生じにくく、現像残渣が低減される。
以下、本開示に係る組成物がネガ型の硬化性組成物である場合について詳細に記載する。
本開示における硬化性組成物での近赤外線吸収顔料の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、1質量%~30質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましく、5質量%~20質量%であることが更に好ましい。
近赤外線吸収顔料の含有量が上記範囲内であると、近赤外線吸収顔料による機能が十分に発現する。
本開示における硬化性組成物での特定バインダー樹脂の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、10質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、15質量%~35質量%であることが更に好ましい。
特定バインダー樹脂の含有量が上記範囲内であると、優れた膜形成性が得られる。
本開示における硬化性組成物での塩基性基を有する樹脂の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、0.5質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましく、5質量%~15質量%であることが更に好ましい。
塩基性基を有する樹脂の含有量が上記範囲内であると、保存安定性が高まる。
[重合性化合物]
本開示における硬化性組成物は、重合性化合物を含むことが好ましい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物であることがより好ましく、末端エチレン性不飽和基を有する化合物であることが特に好ましい。
このような化合物群としては、公知のものを特に限定なく用いることができる。
重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち、2量体、3量体、及びオリゴマー、又はそれらの混合物、並びに、それらの共重合体などの化学的形態をもつ。
重合性化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステル類、及びそのアミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
重合性化合物の例としては、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸のエステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸のエステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、重合性化合物の例としては、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸のエステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能の、アルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン原子、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸のエステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能の、アルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、重合性化合物の更に別の例としては、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群が挙げられる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート等がある。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス-〔p-(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
また、重合性化合物としては、イソシアネート基とヒドロキシ基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48-41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(I)で示されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R’)OH (I)
(ただし、R及びR’は、H又はCHを示す。)
また、特開昭51-37193号、特公平2-32293号、特公平2-16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-49860号、特公昭56-17654号、特公昭62-39417号、特公昭62-39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63-277653号、特開昭63-260909号、特開平1-105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた組成物を得ることができる。
その他、重合性化合物としては、例えば、特開2007-277514号公報の段落0178~0190に記載の化合物が挙げられる。
また、重合性化合物としては、特開2015-187211号公報に記載のエポキシ化合物を用いてもよい
本開示における硬化性組成物では、重合性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示における硬化性組成物での重合性化合物の含有量としては、硬化性組成物の全固形分に対して、1質量%~90質量%であることが好ましく、5質量%~80質量%であることがより好ましく、10質量%~70質量%であることが更に好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲内であると、硬化性組成物の硬化性に優れる。
[重合開始剤]
本開示における硬化性組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としては、特に、光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。また、光重合開始剤は、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する化合物であってもよい。中でも、光重合開始剤は光ラジカル重合開始剤であることが特に好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物及び3-アリール置換クマリン化合物が好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、及び、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物がより好ましく、オキシム化合物が更に好ましい。光重合開始剤については、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特開2013-29760号公報の段落0274~0306の記載を参酌でき、これらの内容は本開示に組み込まれる。
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、BASF社製の、DAROCUR 1173、IRGACURE 500、IGM Resins B.V.社の、Omnirad 184(旧IRGACURE 184)、Omnirad 2959(旧IRGACURE 2959)、Omnirad 127(旧IRGACURE-127)などが挙げられる。
α-アミノケトン化合物の市販品としては、IGM Resins B.V.社の、Omnirad 907(旧IRGACURE-907)、Omnirad 369(旧IRGACURE 369)、Omnirad 379(旧IRGACURE 379)、及び、Omnirad 379(旧IRGACURE-379EG)などが挙げられる。
アシルホスフィン化合物の市販品としては、IGM Resins B.V.社の、Omnirad 819(旧IRGACURE 819)、BASF社製の、Omnirad TPO H(旧IRGACURE TPO)などが挙げられる。
オキシム化合物としては、例えば、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-66385号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-19766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物などがあげられる。オキシム化合物の具体例としては、例えば、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。
オキシム化合物の市販品としては、BASF社製の、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、IRGACURE OXE03、IRGACURE OXE04も好適に用いられる。
また、オキシム化合物の市販品としては、常州強力電子新材料有限公司(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製の、TRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-309、TRONLY TR-PBG-305、(株)ADEKA製の、アデカアークルズNCI-930、アデカオプトマーN-1919(特開2012-14052号公報の光重合開始剤2に該当)が挙げられる。
また、上記以外のオキシム化合物として、カルバゾール環のN位にオキシムが連結した特表2009-519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号明細書に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010-15025号公報及び米国特許公開第2009-292039号明細書に記載の化合物、国際公開第2009/131189号明細書に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許第7556910号明細書に記載の化合物、405nmに吸収極大を有し、g線光源に対して良好な感度を有する特開2009-221114号公報に記載の化合物などを用いてもよい。
光重合開始剤としては、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられ、この内容は本開示に組み込まれる。
光重合開始剤としては、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載の化合物OE-01~OE-75が挙げられる。
光重合開始剤としては、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。このオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
光重合開始剤としては、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられ、この内容は本開示に組み込まれる。
光重合開始剤としては、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落0031~0047、特開2014-137466号公報の段落0008~0012、0070~0079に記載の化合物、特許第4223071号公報の段落0007~0025に記載の化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)などが挙げられる。
本開示において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007271692000024
Figure 0007271692000025
オキシム化合物は、350nm~500nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、360nm~480nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物は、波長365nm及び405nmの吸光度が大きい化合物が好ましい。
オキシム化合物の波長365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000~300,000であることが好ましく、2,000~300,000であることがより好ましく、5,000~200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光重合開始剤としては、2官能或いは3官能以上の光重合開始剤を用いてもよい。そのような光重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落0417~0412、国際公開第2017/033680号の段落0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)及び化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7などが挙げられる。
本開示における硬化性組成物では、重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示における硬化性組成物での重合開始剤の含有量としては、硬化性組成物の全固形分に対して、0.1質量%~50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%~30質量%、特に好ましくは1質量%~20質量%である。
重合開始剤の含有量が上記の範囲であることで、良好な感度とパターン形成性が得られる。
[その他の成分]
本開示における硬化性組成物は、既述の成分以外の、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、顔料誘導体、重合禁止剤、溶剤、増感剤、共増感剤、その他の添加剤等が挙げられる。
(顔料誘導体)
本開示における硬化性組成物は、顔料誘導体を含むことが好ましい。
顔料誘導体としては、色素骨格に、酸基、塩基性基、及び水素結合性基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基が結合した化合物が挙げられる。
酸基としては、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ボロン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基及びこれらの塩、並びにこれらの塩の脱塩構造が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団としては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。また、上記塩の脱塩構造としては上記の塩から塩を形成する原子又は原子団が脱離した基が挙げられる。例えば、カルボキシ基の塩の脱塩構造は、カルボキシラート基(-COO)である。
塩基性基としては、アミノ基、ピリジニル基、及びこれらの塩、並びにこれらの塩の脱塩構造が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団としては、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオンなどが挙げられる。また、上記塩の脱塩構造としては上記の塩から塩を形成する原子又は原子団が脱離した基が挙げられる。
水素結合性基とは、水素原子を介して相互作用する基のことである。水素結合性基の具体例としては、アミド基、ヒドロキシ基、-NHCONHR、-NHCOOR、-OCONHRなどが挙げられる。ここで、Rは、アルキル基及びアリール基であることが好ましい。
顔料誘導体は、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ボロン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基、アミノ基、ピリジニル基、これらの塩、又はこれらの脱塩構造から選ばれる少なくとも1種の基を有することが好ましく、スルホ基、カルボキシ基、アミノ基を有することがより好ましい。顔料誘導体がこのような基を有することで、近赤外線吸収顔料の分散性をより向上させることができる。
顔料誘導体としては、式(B1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007271692000026
式(B1)中、Pは色素骨格を表し、Lは単結合又は連結基を表し、Xは、酸基、塩基性基、又は水素結合性基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のL及びXは互いに異なっていてもよく、nが2以上の場合は複数のXは互いに異なっていてもよい。
上記Pで表される色素骨格としては、スクアリリウム色素構造、ピロロピロール色素骨格、ジケトピロロピロール色素骨格、キナクリドン色素骨格、アントラキノン色素骨格、ジアントラキノン色素骨格、ベンゾイソインドール色素骨格、チアジンインジゴ色素骨格、アゾ色素骨格、キノフタロン色素骨格、フタロシアニン色素骨格、ナフタロシアニン色素骨格、ジオキサジン色素骨格、ペリレン色素骨格、ペリノン色素骨格、ベンゾイミダゾロン色素骨格、ベンゾチアゾール色素骨格、ベンゾイミダゾール色素骨格及びベンゾオキサゾール色素骨格から選ばれる少なくとも1種が好ましく、既述の近赤外線吸収剤との親和性の観点から、スクアリリウム色素骨格又はピロロピロール色素骨格が特に好ましい。
Lで表される連結基としては、1~100個の炭素原子、0~10個の窒素原子、0~50個の酸素原子、1~200個の水素原子、及び0~20個の硫黄原子から成り立つ基が好ましく、無置換であってもよく、置換基を更に有していてもよい。
置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。
Xで表される、酸基、塩基性基、及び水素結合性基としては、それぞれ、上述した基が挙げられる。
顔料誘導体は25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01mg~10gであることが好ましい。上限は、7.5g以下であることが好ましく、5g以下であることがより好ましい。下限は、0.05mg以上であることが好ましく、0.1mg以上であることがより好ましい。この態様によれば、本開示に係る組成物中における近赤外線吸収顔料の分散性をより向上させることができる。
顔料誘導体の分子量は160~4500であることが好ましい。顔料誘導体の分子量の上限は4000以下であることが好ましく、3500以下であることがより好ましい。顔料誘導体の分子量の下限は200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましい。顔料誘導体の分子量が上記範囲であれば、近赤外線吸収顔料の分散性の向上効果が期待できる。
顔料誘導体は、波長700nm~1,200nmの範囲に極大吸収波長を化合物であることが好ましく、波長700nm~1,100nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましく、波長700nm~1,000nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。上記波長の範囲に極大吸収波長を有する顔料誘導体は、π平面の広がりが近赤外線吸収顔料と近づけやすくでき、近赤外線吸収顔料への吸着性が向上し、より優れた分散性が得られやすい。
また、顔料誘導体は、芳香族環を含む化合物であることも好ましく、2以上の芳香族環が縮合した構造を含む化合物であることもより好ましい。
更に、顔料誘導体はπ共役平面を有する化合物であることも好ましく、近赤外線吸収顔料に含まれるπ共役平面と同一の構造のπ共役平面を有する化合物であることもより好ましい。ここで、顔料誘導体のπ共役平面に含まれるπ電子の数は8個~100個であることが好ましい。上限は、90個以下であることが好ましく、80個以下であることがより好ましい。下限は10個以上であることが好ましく、12個以上であることがより好ましい。
顔料誘導体は、下記式(SQ-a)で表される部分構造を含むπ共役平面を有するか、又は、下記式(CR-a)で表される部分構造を含むπ共役平面を有する化合物であることも好ましい。下記式(SQ-a)及び(CR-a)中、波線は結合手を表す。
Figure 0007271692000027
顔料誘導体は、下記式(Syn1)で表される化合物及び下記式(Syn2)で表わされる化合物から選ばれる少なくとも1種であることも好ましい。
Figure 0007271692000028
式(Syn1)中、Rsy及びRsyは各々独立に有機基を表し、Lは単結合又はp1+1価の基を表し、Aはスルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ボロン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基、アミノ基、ピリジニル基、これらの塩又はこれらの脱塩構造から選ばれる基を表し、p1及びq1は各々独立に1以上の整数を表す。p1が2以上の場合、複数のAは同一であってもよく、異なっていてもよい。q1が2以上の場合、複数のL及びAは同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(Syn2)中、Rsy及びRsyは各々独立に有機基を表し、Lは単結合又はp2+1価の基を表し、Aはスルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ボロン酸基、スルホンイミド基、スルホンアミド基、アミノ基、ピリジニル基、これらの塩又はこれらの脱塩構造から選ばれる基を表し、p2及びq2は各々独立に1以上の整数を表す。p2が2以上の場合、複数のAは同一であってもよく、異なっていてもよい。q2が2以上の場合、複数のL及びAは同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(Syn1)のRsy及びRsyで表される有機基、並びに、式(Syn2)のRsy及びRsyで表される有機基としては、アリール基、ヘテロアリール基、下記式(R1)で表される基が挙げられる。
Figure 0007271692000029
式(R1)中、R~Rは、各々独立に水素原子又は置換基を表し、Asはヘテロアリール基を表し、nr1は0以上の整数を表し、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、RとAsは互いに結合して環を形成してもよく、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、nr1が2以上の場合、複数のR及びRはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよく、*は結合手を表す。
Rsy~Rsyで表されるアリール基の炭素数は、6~48が好ましく、6~22がより好ましく、6~12が特に好ましい。
Rsy~Rsyで表されるヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は、1~30が好ましく、1~12がより好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の種類としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数としては、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。ヘテロアリール基は、単環又は縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2~8の縮合環がより好ましく、単環又は縮合数が2~4の縮合環が更に好ましい。
Rsy~Rsyで表されるアリール基及びヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、既述の置換基T、下記式(R-SQ)で表される基などが挙げられる。
Figure 0007271692000030
式(R-SQ)中、Rsqは有機基を表す。Rsqで表される有機基は、アリール基、ヘテロアリール基、式(R1)で表される基、後述する、式(1)で表される基、式(10)で表される基、式(20)で表される基、式(30)で表される基、式(40)で表される基が挙げられる。
式(R1)におけるR~Rは各々独立に水素原子又は置換基を表す。置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。R~Rで表される置換基はアルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖又は分岐が好ましい。R~Rは水素原子であることが好ましい。
式(R1)におけるAsはヘテロアリール基を表す。Asで表されるヘテロアリール基は、Rsy~Rsyで表されるヘテロアリール基と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
式(R1)において、RとRは、互いに結合して環を形成してもよく、RとAsは、互いに結合して環を形成してもよく、RとRは、互いに結合して環を形成してもよい。上記の環を形成する場合の連結基としては、-CO-、-O-、-NH-、-CH-、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基が好ましい。
式(R1)におけるnr1は、0以上の整数を表す。nr1は0~2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。式(R1)において、nr1が2以上の場合、複数のR及びRはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(Syn1)のRsy及びRsyで表される有機基、並びに、式(Syn2)のRsy及びRsyで表される有機基としては、下記式(1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007271692000031
式(1)中、環Zは1つ又は複数の置換基を有していてもよい、芳香族複素環又は芳香族複素環を含む縮合環を表し、環Zは1つ又は複数の置換基を有していてもよい、4~9員の炭化水素環又は複素環を表し、環Z及び環Zが複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよく、*は結合手を表す。
式(1)において、環Zは1つ又は複数の置換基を有していてもよい、芳香族複素環又は芳香族複素環を含む縮合環を表す。芳香族複素環としては、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環などが挙げられ、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環が好ましい。芳香族複素環を含む縮合環としては、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環から選ばれる1個以上の環(2個以上の場合は同じ種類の環であってもよく、異なる種類の環であってもよい)と、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環から選ばれる環(好ましくはベンゼン環、ナフタレン環)との縮合環;イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環から選ばれる2個以上の環(2個以上の場合は同じ種類の環であってもよく、異なる種類の環であってもよい)の縮合環などが挙げられる。縮合環の縮合数は、より優れた分光特性が得られやすいという理由から2~6が好ましく、2~4がより好ましい。
式(1)において、環Zは1つ又は複数の置換基を有していてもよい、4~9員の炭化水素環又は複素環を表す。環Zで表される炭化水素環及び複素環は、5~7員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。炭化水素環の具体例としては、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、シクロヘプテン環、シクロヘプタジエン環、シクロヘプタトリエン環、シクロオクテン環、シクロオクタジエン環、シクロオクタトリエン環、シクロノネン環、シクロノナジエン環、シクロノナトリエン環、シクロノナテトラエン環等のシクロアルケン環が挙げられ、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環及びシクロオクテン環が好ましく、シクロペンテン環及びシクロヘキセン環がより好ましい。環Zで表される複素環は、含窒素複素環であることが好ましい。
環Z及び環Zが有してもよい置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。
また、環Zが有してもよい置換基は、電子求引性基であることも好ましい。ハメットの置換基定数σ値(シグマ値)が正の置換基は、電子求引性基として作用する。ここで、ハメット則で求められた置換基定数にはσp値とσm値がある。これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。本開示においては、ハメットの置換基定数σ値が0.1以上の置換基を電子求引性基として例示することができる。σ値は、0.15以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましい。上限は特に制限はないが、好ましくは1.0以下である。電子求引性基の具体例としては、ハロゲン原子、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置き換えられているアルキル基、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置き換えられているアリール基、ニトロ基、シアノ基、シアノメチル基、-CH=C(CN)、-C(CN)=C(CN)、-P(CN)、-N=NCN、-COR、-COOR、-OCOR、-NHCOR、-CONHR、-SOR、-SO、-SOOR、-NHSO、又はSONHRが挙げられる。Rは、水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置き換えられていてもよいアルキル基、水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置き換えられていてもよいアリール基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はシアノメチル基を表す。ここで、シアノメチル基には、モノシアノメチル基(-CHCN)、ジシアノメチル基(-CH(CN))、及びトリシアノメチル基(-C(CN))が含まれる。水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置き換えられていてもよいアルキル基は、炭素数が1~6が好ましく、炭素数1~5がより好ましく、炭素数1~4が更に好ましい。水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置き換えられていてもよいアリール基は、炭素数6~14が好ましく、炭素数6~10がより好ましい。これらのアルキル基とアリール基は、水素原子の全部がフッ素原子で置き換えられていてもよく、一部のみがフッ素原子で置き換えられていてもよく、フッ素原子で置き換えられていなくてもよい。
式(1)で表される基は、式(1-1)又は式(1-2)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007271692000032
式(1-1)中、環Z1aは1つ又は複数の置換基を有していてもよい、5又は6員環の含窒素複素環を有する多環芳香族環を表し、環Z2aは、1つ又は複数の置換基を有していてもよい、4~9員の炭化水素環又は複素環を表す。環Z1a及び環Z2aが複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。R及びRは各々独立に、水素原子又は置換基を表す。
式(1-1)において、環Z1aで表される多環芳香族環としては、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環から選ばれる5又は6員環の含窒素複素環を含む縮合環が挙げられ、前述の含窒素複素環から選ばれる1個以上の環(2個以上の場合は同じ種類の含窒素複素環であってもよく、異なる種類の含窒素複素環であってもよい)と、ベンゼン環又はナフタレン環との縮合環;前述の含窒素複素環から選ばれる2個以上の環(同じ種類の含窒素複素環であってもよく、異なる種類の含窒素複素環であってもよい)の縮合環などが挙げられる。多環芳香族環に含まれる環の数(縮合環の縮合数)は、より優れた分光特性が得られやすいという理由から2~6が好ましく、2~4がより好ましい。
式(1-1)において、環Z2aで表される4~9員の炭化水素環及び複素環としては、式(1)の環Zの項で説明したものが挙げられる。
式(1-1)において、環Z1a及び環Z2aが有してもよい置換基、並びにR及びRで表される置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。また、環Z1aが有してもよい置換基は、電子求引性基であることも好ましい。電子求引性基としては上述の環Zが有してもよい置換基としての電子求引性基が挙げられる。
式(1-2)中、環Z1bは、1つ又は複数の置換基を有していてもよい、5又は6員環の含窒素複素環を有する多環芳香族環を表し、環Z2bは、1つ又は複数の置換基を有していてもよい、4~9員の含窒素複素環を表し、環Z1b及び環Z2bが複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
式(1-2)において、環Z1bで表される多環芳香族環としては、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリダジン環、ピリミジン環から選ばれる5又は6員環の含窒素複素環を含む縮合環が挙げられ、前述の含窒素複素環から選ばれる1個以上の環(2個以上の場合は同じ種類の含窒素複素環であってもよく、異なる種類の含窒素複素環であってもよい)と、ベンゼン環又はナフタレン環との縮合環;前述の含窒素複素環から選ばれる2個以上の環(同じ種類の含窒素複素環であってもよく、異なる種類の含窒素複素環であってもよい)の縮合環などが挙げられる。多環芳香族環に含まれる環の数(縮合環の縮合数)は、より優れた分光特性が得られやすいという理由から2~6が好ましく、2~4がより好ましい。
式(1-2)において、環Z2bで表される含窒素複素環は、5~7員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
式(1-2)において、環Z1b及び環Z2bが有してもよい置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。また、環Z1bが有してもよい置換基は電子求引性基であることも好ましい。電子求引性基としては上述の環Zが有してもよい置換基としての電子求引性基が挙げられる。
式(Syn1)のRsy及びRsyで表される有機基、並びに、式(Syn2)のRsy及びRsyで表される有機基としては、下記式(10)で表わされる基であることも好ましい。
Figure 0007271692000033
式(10)中、R11~R14は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R11~R14のうち隣接する二つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよく、R20はアリール基又はヘテロアリール基を表し、R21は置換基を表し、X10は-CO-又は-SO-を表す。
式(10)において、R11~R14で表される置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。
式(10)において、R20はアリール基又はヘテロアリール基を表し、アリール基であることが好ましい。アリール基の炭素数は、6~48が好ましく、6~22がより好ましく、6~12が特に好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は、1~30が好ましく、1~12がより好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の種類としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数としては、1~3が好ましく、1~2がより好ましい。ヘテロアリール基は、単環又は縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2~8の縮合環がより好ましく、単環又は縮合数が2~4の縮合環が更に好ましい。アリール基及びヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。アリール基及びヘテロアリール基は、置換基を有さないものであることが好ましい。
式(10)において、R21は置換基を表す。R21で表される置換基としては、既述の置換基Tが挙げられ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-OCORt、又は-NHCORtが好ましい。Rtは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。
式(Syn1)のRsy及びRsyで表される有機基、並びに、式(Syn2)のRsy及びRsyで表される有機基としては、下記式(20)で表わされる基であることも好ましい。
Figure 0007271692000034
式(20)中、R20及びR21は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R20とR21は、互いに結合して環を形成してもよく、X20は、酸素原子、硫黄原子、-NR22-、セレン原子、又はテルル原子を表し、R22は水素原子又は置換基を表し、X20がNR22である場合、R22とR20は互いに結合して環を形成してもよく、nr2は、0~5の整数を表し、nr2が2以上の場合、複数のR20は同一であってもよく、異なっていてもよく、複数のR20のうち2個のR20同士が結合して環を形成してもよく、*は結合手を表す。
式(20)において、R20及びR21で表される置換基としては既述の置換基Tが挙げられる。
20は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基(好ましくはフッ化アルキル基)、アリール基、又はハロゲン原子であることが好ましく、アルキル基、又はハロゲン化アルキル基であることがより好ましく、ハロゲン化アルキル基であることが更に好ましい。
21は、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(20)において、X20は、酸素原子、硫黄原子、-NR22-が好ましく、-NR22-であることがより好ましい。R22は水素原子又は置換基を表す。置換基としては、既述の置換基Tが挙げられ、アルキル基が好ましい。X20がNR22である場合、R22とR20は互いに結合して環を形成してもよい。R22とR20とが結合して形成される環としては、4~9員の炭化水素環又は複素環が挙げられ、5~7員の炭化水素環又は複素環が好ましく、5~6員の炭化水素環又は複素環がより好ましく、5~6員の炭化水素環が更に好ましく、6員の炭化水素環が特に好ましい。
式(20)において、nr2は、0~5の整数を表し、0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、1~2の整数であることが更に好ましい。nr2が2以上の場合は、複数のR20は同一であってもよく、異なっていてもよく、複数のR20のうち2個のR20同士が結合して環を形成してもよい。R20同士が結合して形成される環は、炭化水素環であってもよく、複素環であってもよい。また、これらの基同士が結合して形成される環は単環であってもよく、縮合環であってもよい。
式(Syn1)のRsy及びRsyで表される有機基、並びに、式(Syn2)のRsy及びRsyで表される有機基としては、下記式(30)で表される基又は式(40)で表わされる基であることも好ましい。
Figure 0007271692000035
式(30)中、R35~R38は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R35とR36、R36とR37、R37とR38は、互いに結合して環を形成してもよく、*は結合手を表す。
式(40)中、R39~R45は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R39とR45、R40とR41、R40とR42、R42とR43、R43とR44、R44とR45は、互いに結合して環を形成してもよく、*は結合手を表す。
式(30)のR35~R38で表される置換基、及び、式(40)のR39~R45で表される置換基としては、既述の置換基Tが挙げられ、アルキル基又はアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
式(30)において、R35とR36、R36とR37、R37とR38は、互いに結合して環を形成してもよい。また、式(40)において、R39とR45、R40とR41、R40とR42、R42とR43、R43とR44、R44とR45は、互いに結合して環を形成してもよい。これらの基同士が結合して形成される環は、炭化水素環及び複素環が挙げられ、炭化水素環が好ましい。また、これらの基同士が結合して形成される環は単環であってもよく、縮合環であってもよいが縮合環であることが好ましい。
式(30)においては、R35とR36とが結合して環を形成していることが好ましい。また、式(40)においては、R40とR41及びR44とR45とがそれぞれ結合して環を形成していることが好ましい。
式(30)で表される基は下記式(30a)で表される基であることが好ましい。また、式(40)で表される基は下記式(40a)で表される基であることが好ましい。
Figure 0007271692000036
式(30a)中、R35、R36、R101~R106は各々独立に水素原子又は置換基を表し、*は結合手を表す。式(40a)中、R39、R42、R43、R201~R212は各々独立に水素原子又は置換基を表し、*は結合手を表す。R35、R36、R101~R106で表される置換基及びR39、R39、R42、R43、R201~R212で表される置換基は、既述の置換基Tが挙げられ、アルキル基又はアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
式(Syn1)のLで表されるp1+1価の基、及び、式(Syn2)のLで表されるp2+1価の基としては、炭化水素基、複素環基、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO-、-NR-、-NRCO-、-CONR-、-NRSO-、-SONR-、及びこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
炭化水素基は脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらの基から水素原子を1個以上除いた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~10が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。アリーレン基の炭素数は、6~18が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が更に好ましい。
複素環基は、単環又は縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。炭化水素基及び複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、既述の置換基Tが挙げられる。
また、Rで表されるアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖又は分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。Rで表されるアルキル基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては既述の置換基Tが挙げられる。Rで表されるアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。Rで表されるアリール基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては既述の置換基Tが挙げられる。
式(Syn1)のLはp1+1価の基であることが好ましい。また、式(Syn2)のLはp2+1価の基であることが好ましい。また、式(Syn1)で表される化合物は、母核とAで表される基とが、Lで表されるp1+1価の基によって1原子以上隔てられていることが好ましく、3原子以上隔てられていることがより好ましい。また、式(Syn2)で表される化合物は、母核と、Aで表される基とが、Lで表されるp2+1価の基によって1原子以上隔てられていることが好ましく、3原子以上隔てられていることがより好ましい。この構造であれば、近赤外線吸収顔料のより優れた分散性が得られやすい。
顔料誘導体の具体例としては、下記構造の化合物[BP-1~BP-4、B-1~B-17]が挙げられる。
また、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平1-217077号公報、特開平3-9961号公報、特開平3-26767号公報、特開平3-153780号公報、特開平3-45662号公報、特開平4-285669号公報、特開平6-145546号公報、特開平6-212088号公報、特開平6-240158号公報、特開平10-30063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落0063~0094等に記載の化合物が挙げられる。
更に、顔料誘導体としては、特開2015-172732号公報(スルホ基を有するキノフタロン化合物の金属塩)、特開2014-199308号公報、特開2014-85562号公報、特開2014-35351号公報、又は、特開2008-81565号公報に記載の化合物を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 0007271692000037
Figure 0007271692000038
Figure 0007271692000039
Figure 0007271692000040
Figure 0007271692000041
本開示における硬化性組成物では、顔料誘導体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示における硬化性組成物での顔料誘導体の含有量は、近赤外線吸収顔料を含む全ての顔料の総量に対し、1質量%~30質量%が好ましく、5質量%~30質量%がより好ましく、10質量%~30質量%が更に好ましい。
(重合禁止剤)
本開示における硬化性組成物は、保存安定性の観点から、重合禁止剤を含むことが好ましい。
重合禁止剤としては、特に限定されず、公知の重合禁止剤を用いることができる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等が挙げられる。なお、重合禁止剤は、酸化防止剤として機能することもある。
本開示における硬化性組成物では、重合禁止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示における硬化性組成物での重合禁止剤の含有量は、保存安定性の観点から、硬化性組成物の全固形分に対して、0.1ppm~1,000ppmであることが好ましく、1ppm~500ppmであることがより好ましく、1ppm~100ppmであることが特に好ましい。
(溶剤)
本開示における硬化性組成物は、溶剤を含んでいることが好ましい。
溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、並びに、3-オキシプロピオン酸メチル及び3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル)、並びに、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、及び2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル)、並びに、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等;
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等;
芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
ただし、有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤の全質量に対して、50ppm以下とすることもでき、10ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる。)。
これらのうち、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示においては、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤の金属含有量は、例えば、10ppb以下であることが好ましい。必要に応じてpptレベルの有機溶剤を用いてもよく、そのような有機溶剤は、例えば、東洋合成工業(株)が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン又はナイロンが好ましい。
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
本開示における硬化性組成物では、溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示における硬化性組成物の固形分量は、塗布方法及び溶剤の有無により変更されるが、例えば、1質量%~100質量%であることが好ましく、5質量%~50質量%であることがより好ましく、10質量%~30質量%がより好ましい。
即ち、本開示における硬化性組成物では、固形分量が上記の範囲となるよう溶剤を用いればよい。
(増感剤)
本開示における硬化性組成物は、重合開始剤のラジカル、カチオン等の重合開始種の発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
増感剤としては、上記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ波長300nm~波長450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ波長330nm~波長450nmの波長領域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
増感剤の例としては、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10-ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリリウム類(例えば、スクアリリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N-アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。増感剤の例としては、更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001-125255号公報、特開平11-271969号公報等に記載の化合物等が挙げられる。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示における硬化性組成物が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、硬化性組成物の全固形分に対し、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、0.5質量%~15質量%がより好ましい。
(共増感剤)
本開示における硬化性組成物は、共増感剤を含有してもよい。
共増感剤は、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
その他、共増感剤としては、例えば、特開2007-277514号公報の段落0233~0241に記載の化合物が挙げられる。
共増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示における硬化性組成物が共増感剤を含む場合、共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、硬化性組成物の全固形分に対し、0.1質量%~30質量%の範囲が好ましく、0.5質量%~25質量%の範囲がより好ましく、1質量%~20質量%の範囲が更に好ましい。
(その他の添加剤)
本開示における硬化性組成物には、必要に応じて、界面活性剤、近赤外線吸収顔料以外の着色剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
その他成分としては、例えば、特開2007-277514号公報の段落0238~0249に記載の化合物が挙げられる。
[硬化性組成物の調製]
本開示における硬化性組成物は、上述した各成分を混合することによって調製することができる。また、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えば、ナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)又はナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01μm~7.0μmが好ましく、0.01μm~3.0μmがより好ましく、0.05μm~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径をこの範囲とすることにより、後工程において均一及び平滑な組成物の調製を阻害する、微細な異物を確実に除去することが可能となる。あるいは、ファイバ状のろ材を用いることも好ましく、ろ材としては例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられ、具体的にはロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジを用いることができる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール(株)(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋(株)、日本インテグリス(株)又は(株)キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
[硬化性組成物の用途]
本開示における硬化性組成物は、液状とすることができるため、例えば、本開示における硬化性組成物を基材などに付与し、乾燥させることにより膜を容易に製造できる。
本開示における硬化性組成物の23℃における粘度は、塗布により膜を形成する場合は、塗布性の観点から、1mPa・s~100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上が更に好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下が更に好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
本開示における粘度は、東機産業(株)製の粘度計(商品名:VISCOMETER TV-22)を使用し、23℃において測定するものとする。
本開示における硬化性組成物の用途は、特に限定されない。例えば、赤外線カットフィルタなどの形成に好ましく用いることができる。例えば、固体撮像素子の受光側における赤外線カットフィルタ(例えば、ウエハーレベルレンズに対する赤外線カットフィルタ用など)、固体撮像素子の裏面側(受光側とは反対側)における赤外線カットフィルタなどに好ましく用いることができる。特に、固体撮像素子の受光側における赤外線カットフィルタとして好ましく用いることができる。また、本開示における硬化性組成物に対し、更に、可視光を遮光する着色剤を含有させることで、特定の波長以上の赤外線を透過可能な赤外線透過フィルタを形成することもできる。例えば、波長400nm~850nmまでを遮光し、波長850nm以上の赤外線の一部を透過可能な赤外線透過フィルタを形成することもできる。
また、本開示における硬化性組成物は、収容容器に保管されることが好ましい。
収容容器として、原材料や組成物中への不純物の混入防止を目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。これらの容器としては、例えば、特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
<膜>
本開示に係る膜は、本開示における硬化性組成物からなる又は本開示における硬化性組成物を硬化してなる膜である。
また、本開示における硬化性組成物が溶剤を含む場合には、乾燥を行ってもよい。
本開示に係る膜は、赤外線カットフィルタとして好ましく用いることができる。また、熱線遮蔽フィルタ、赤外線透過フィルタとして用いることもできる。本開示に係る膜は、支持体上に積層して用いてもよく、支持体から剥離して用いてもよい。本開示に係る膜は、パターンを有していてもよく、パターンを有さない膜(平坦膜)であってもよい。
本開示における「乾燥」は、溶剤を少なくとも一部除去すればよく、溶剤を完全に除去する必要はなく、所望に応じて、溶剤の除去量を設定することができる。
また、上記硬化は、膜の硬さが向上していればよいが、重合による硬化が好ましい。
本開示に係る膜の厚さは、目的に応じて適宜調整できる。膜の厚さは20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましい。膜の厚さの下限は0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
本開示に係る膜は、波長650nm~1,500nmの範囲に極大吸収波長を有することが好ましく、波長680nm~1,300nmの範囲に極大吸収波長を有することがより好ましく、波長700nm~850nmの範囲に極大吸収波長を有することが更に好ましい。
本開示に係る膜を赤外線カットフィルタとして用いる場合は、本開示に係る膜は以下の(1)~(4)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、(1)~(4)の全ての条件を満たすことが更に好ましい。
(1)波長400nmでの透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましく、90%以上が特に好ましい。
(2)波長500nmでの透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長600nmでの透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましく、95%以上が特に好ましい。
(4)波長650nmでの透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましく、95%以上が特に好ましい。
本開示に係る膜は、有彩色着色剤を含むカラーフィルタと組み合わせて用いることもできる。
ここで、カラーフィルタは、有彩色着色剤を含む着色組成物を用いて製造できる。有彩色着色剤としては、従来公知の有彩色着色剤が挙げられる。着色組成物は、有彩色着色剤以外に、樹脂、重合性化合物、重合開始剤、界面活性剤、溶剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤などを更に含有することができる。着色組成物に含まれる各成分としては、従来公知の各成分の他、既述の各成分を適宜用いてもよい。
本開示に係る膜とカラーフィルタとを組み合わせて用いる場合、本開示に係る膜の光路上にカラーフィルタが配置されていることが好ましい。例えば、本開示に係る膜とカラーフィルタとを積層して積層体として用いることができる。積層体においては、本開示に係る膜とカラーフィルタとは、両者が厚み方向で隣接していてもよく、隣接していなくてもよい。本開示に係る膜とカラーフィルタとが厚み方向で隣接していない場合は、カラーフィルタが形成された支持体とは別の支持体に、本開示に係る膜が形成されていてもよく、本開示に係る膜とカラーフィルタとの間に、固体撮像素子を構成する他の部材(例えば、マイクロレンズ、平坦化層など)が介在していてもよい。
なお、本開示において、赤外線カットフィルタとは、可視領域の波長の光(可視光)を透過させ、近赤外領域の波長の光(赤外線)の少なくとも一部を遮光するフィルタを意味する。赤外線カットフィルタは、可視領域の波長の光をすべて透過するものであってもよく、可視領域の波長の光のうち、特定の波長領域の光を通過させ、特定の波長領域の光を遮光するものであってもよい。また、本開示において、カラーフィルタとは、可視領域の波長の光のうち、特定の波長領域の光を通過させ、特定の波長領域の光を遮光するフィルタを意味する。また、本開示において、赤外線透過フィルタとは、可視光を遮光し、赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタを意味する。
本開示に係る膜は、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や、赤外線センサ、画像表示装置などの各種装置に用いることができる。
<膜の製造方法>
次に、本開示に係る膜の製造方法について説明する。本開示に係る膜は、本開示に係る組成物を塗布する工程を経て製造できる。
本開示に係る膜の製造方法において、組成物は支持体上に塗布することが好ましい。支持体としては、例えば、シリコン、無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなどの材質で構成された基板が挙げられる。これらの基板には、有機膜や無機膜などが形成されていてもよい。有機膜の材料としては、例えば上述した樹脂が挙げられる。また、支持体としては、上述した樹脂で構成された基板を用いることもできる。また、支持体には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、支持体には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、支持体には、必要により、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板等の支持体表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。また、支持体としてガラス基板を用いる場合においては、ガラス基板上に無機膜を形成したり、ガラス基板を脱アルカリ処理して用いることが好ましい。この態様によれば、より異物の発生が抑制された膜を製造し易い。
組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。
組成物を塗布して形成した組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスによりパターンを形成する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることが好ましく、80℃以上とすることがより好ましい。プリベーク温度を150℃以下で行うことにより、例えば、イメージセンサの光電変換膜を有機素材で構成した場合において、これらの特性をより効果的に維持することができる。
プリベーク時間は、10秒~3,000秒が好ましく、40秒~2,500秒がより好ましく、80秒~220秒が更に好ましい。乾燥は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
本開示に係る膜の製造方法においては、更にパターンを形成する工程を含んでいてもよい。パターン形成方法としては、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成方法や、ドライエッチング法を用いたパターン形成方法が挙げられる。なお、本開示に係る膜を平坦膜として用いる場合には、パターンを形成する工程を行わなくてもよい。以下、パターンを形成する工程について詳細に説明する。
-フォトリソグラフィ法でパターン形成する場合-
フォトリソグラフィ法でのパターン形成方法は、本開示に係る組成物を塗布して形成した組成物層に対しパターン状に露光する工程(露光工程)と、未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する工程(現像工程)と、を含むことが好ましい。必要に応じて、現像されたパターンをベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。以下、各工程について説明する。
<<露光工程>>
露光工程では組成物層をパターン状に露光する。例えば、組成物層に対し、ステッパー等の露光装置を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、組成物層をパターン露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく、i線がより好ましい。照射量(露光量)は、例えば、0.03J/cm~2.5J/cmが好ましく、0.05J/cm~1.0J/cmがより好ましく、0.08J/cm~0.5J/cmが特に好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、好ましくは1,000W/m~100,000W/m(例えば、5,000W/m、15,000W/m、35,000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10,000W/m、酸素濃度35体積%で照度20,000W/mなどとすることができる。
<<現像工程>>
次に、露光後の組成物層における未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する。未露光部の組成物層の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが支持体上に残る。現像液としては、下地の固体撮像素子や回路などにダメージを与えない、アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20℃~30℃が好ましい。現像時間は、20秒~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。現像液は、これらのアルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.01質量%~1質量%がより好ましい。また、現像液には、界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例としては、現像液に用いる従来公知の界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5倍~100倍の範囲に設定することができる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
現像後、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークは、膜の硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。ポストベークを行う場合、ポストベーク温度は、例えば、100℃~240℃が好ましい。膜硬化の観点から、200℃~230℃がより好ましい。また、発光光源として有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子を用いた場合や、イメージセンサの光電変換膜を有機素材で構成した場合は、ポストベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましく、90℃以下が特に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができる。ポストベークは、現像後の膜に対して、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。また、低温プロセスによりパターンを形成する場合は、ポストベークは行わなくてもよく、再度露光する工程(後露光工程)を追加してもよい。
-ドライエッチング法でパターン形成する場合-
ドライエッチング法でのパターン形成は、組成物を支持体上などに塗布して形成した組成物層を硬化して硬化物層を形成し、次いで、この硬化物層上にパターニングされたフォトレジスト層を形成し、次いで、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングするなどの方法で行うことができる。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジストの形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-64993号公報の段落0010~0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
<光学フィルタ>
本開示に係る光学フィルタは、本開示に係る膜を有する。
本開示に係る光学フィルタは、赤外線カットフィルタ又は赤外線透過フィルタとして好ましく用いることができ、赤外線カットフィルタとしてより好ましく用いることができる。
また、本開示に係る膜と、赤、緑、青、マゼンタ、黄、シアン、黒及び無色よりなる群から選ばれる画素とを有する態様も本開示に係る光学フィルタの好ましい態様である。
本開示に係る赤外線カットフィルタは、本開示に係る膜を有する。
なお、本開示に係る赤外線カットフィルタは、赤外線領域の一部の波長の赤外線のみをカットするフィルタであっても、赤外線領域の全体をカットするフィルタであってもよい。赤外線領域の一部の波長の赤外線のみをカットするフィルタとしては、例えば、近赤外線カットフィルタが挙げられる。なお、近赤外線としては、波長750nm~2,500nmの赤外線が挙げられる。
また、本開示に係る赤外線カットフィルタは、波長750nm~1,000nmの範囲の赤外線をカットするフィルタであることが好ましく、波長750nm~1,200nmの範囲の赤外線をカットするフィルタであることがより好ましく、波長750nm~1,500nmの赤外線をカットするフィルタであることが更に好ましい。
本開示に係る赤外線カットフィルタは、上記膜の他に、更に、銅を含有する層、誘電体多層膜、紫外線吸収層などを有していてもよい。本開示に係る赤外線カットフィルタが、更に、銅を含有する層、又は、誘電体多層膜を少なくとも有することで、視野角が広く、赤外線遮蔽性に優れた赤外線カットフィルタが得られ易い。また、本開示に係る赤外線カットフィルタが、更に、紫外線吸収層を有することで、紫外線遮蔽性に優れた赤外線カットフィルタとすることができる。紫外線吸収層としては、例えば、国際公開第2015/099060号の段落0040~0070及び0119~0145に記載の吸収層を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。誘電体多層膜としては、特開2014-41318号公報の段落0255~0259の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。銅を含有する層としては、銅を含有するガラスで構成されたガラス基材(銅含有ガラス基材)や、銅錯体を含む層(銅錯体含有層)を用いることもできる。銅含有ガラス基材としては、銅を含有する燐酸塩ガラス、銅を含有する弗燐酸塩ガラスなどが挙げられる。銅含有ガラスの市販品としては、NF-50(AGCテクノグラス(株)製)、BG-60、BG-61(以上、ショット社製)、CD5000(HOYA(株)製)等が挙げられる。
本開示に係る赤外線カットフィルタは、CCD(電荷結合素子)、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子、赤外線センサ、画像表示装置などの各種装置に用いることができる。
本開示に係る赤外線カットフィルタは、本開示に係る組成物を用いて得られる膜の画素(パターン)と、赤、緑、青、マゼンタ、黄、シアン、黒及び無色よりなる群から選ばれる少なくとも1種の画素(パターン)とを有する態様も好ましい態様である。
本開示に係る光学フィルタの製造方法としては、特に制限はないが、本開示に係る組成物を支持体上に適用して組成物層を形成する工程と、上記組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、をこの順に含む方法であることが好ましい。
また、本開示に係る光学フィルタの製造方法としては、本開示に係る組成物を支持体上に適用して組成物層を形成し、硬化して層を形成する工程と、上記層上にフォトレジスト層を形成する工程と、露光及び現像することにより上記フォトレジスト層をパターニングしてレジストパターンを得る工程と、上記レジストパターンをエッチングマスクとして上記層をドライエッチングする工程と、を含む方法であることも好ましい。
本開示に係る光学フィルタの製造方法における各工程としては、本開示に係る膜の製造方法における各工程を参照することができる。
<固体撮像素子>
本開示に係る固体撮像素子は、本開示に係る膜を有する。固体撮像素子の構成としては、本開示に係る膜を有する構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はない。例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオード及び転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本開示に係る膜を有する構成である。更に、デバイス保護膜上であって、本開示に係る膜の下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、本開示に係る膜上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、固体撮像素子に用いられるカラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各画素を形成する膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各画素よりも低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する固体撮像素子の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報に記載の装置が挙げられる。
<画像表示装置>
本開示に係る画像表示装置は、本開示に係る膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本開示に適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子としては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、特開2003-45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線-高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集-」、技術情報協会、326~328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm~485nm)、緑色領域(530nm~580nm)及び黄色領域(580nm~620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加え更に赤色領域(650nm~700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。
<赤外線センサ>
本開示に係る赤外線センサは、本開示に係る膜を有する。赤外線センサの構成としては、赤外線センサとして機能する構成であれば特に限定はない。以下、本開示に係る赤外線センサの一実施形態について、図面を用いて説明する。
図1において、符号110は、固体撮像素子である。固体撮像素子110上に設けられている撮像領域は、赤外線カットフィルタ111と、赤外線透過フィルタ114とを有する。また、赤外線カットフィルタ111上には、カラーフィルタ112が積層している。カラーフィルタ112及び赤外線透過フィルタ114の入射光hν側には、マイクロレンズ115が配置されている。マイクロレンズ115を覆うように平坦化層116が形成されている。
赤外線カットフィルタ111は、本開示に係る組成物を用いて形成することができる。赤外線カットフィルタ111の分光特性は、使用する赤外発光ダイオード(赤外LED)の発光波長に応じて選択される。
カラーフィルタ112は、可視領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、特に限定はなく、従来公知の画素形成用のカラーフィルタを用いることができる。例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタなどが用いられる。例えば、特開2014-43556号公報の段落0214~0263の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる
赤外線透過フィルタ114は、使用する赤外LEDの発光波長に応じてその特性が選択される。例えば、赤外LEDの発光波長が850nmである場合、赤外線透過フィルタ114は、膜の厚み方向における光透過率の、波長400nm~650nmの範囲における最大値が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、0.1%以下であることが特に好ましい。この透過率は、波長400nm~650nmの範囲の全域で上記の条件を満たすことが好ましい。
赤外線透過フィルタ114は、膜の厚み方向における光透過率の、波長800nm以上(好ましくは800nm~1,300nm)の範囲における最小値が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。上記の透過率は、波長800nm以上の範囲の一部で上記の条件を満たすことが好ましく、赤外LEDの発光波長に対応する波長で上記の条件を満たすことがより好ましい。
赤外線透過フィルタ114の膜厚は、100μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。下限値は、0.1μmが好ましい。膜厚が上記範囲であれば、上述した分光特性を満たす膜とすることができる。
赤外線透過フィルタ114の分光特性、膜厚等の測定方法を以下に示す。
膜厚は、膜を有する乾燥後の基板を、触針式表面形状測定器(ULVAC社製DEKTAK150)を用いて測定する。
膜の分光特性は、紫外可視近赤外分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U-4100)を用いて、波長300nm~1,300nmの範囲において透過率を測定した値である。
また、例えば、赤外LEDの発光波長が940nmである場合、赤外線透過フィルタ114は、膜の厚み方向における光の透過率の、波長450nm~650nmの範囲における最大値が20%以下であり、膜の厚み方向における、波長835nmの光の透過率が20%以下であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1,000nm~1,300nmの範囲における最小値が70%以上であることが好ましい。
図1に示す赤外線センサにおいて、平坦化層116上には、赤外線カットフィルタ111とは別の赤外線カットフィルタ(他の赤外線カットフィルタ)が更に配置されていてもよい。他の赤外線カットフィルタとしては、銅を含有する層、又は、誘電体多層膜を少なくとも有するものなどが挙げられる。これらの詳細については、上述したものが挙げられる。また、他の赤外線カットフィルタとしては、デュアルバンドパスフィルタを用いてもよい。
また、本開示に用いられる赤外線透過フィルタ及び赤外線カットフィルタの吸収波長は、使用光源等に合わせて適宜組み合わせて用いられる。
<カメラモジュール>
本開示に係るカメラモジュールは、固体撮像素子と、本開示に係る光学フィルタとを有する。
また、本開示に係るカメラモジュールは、レンズ、及び、上記固体撮像素子から得られる撮像を処理する回路を更に有することが好ましい。
本開示に係るカメラモジュールに用いられる固体撮像素子としては、上記本開示に係る固体撮像素子であってもよいし、公知の固体撮像素子であってもよい。
また、本開示に係るカメラモジュールに用いられるレンズ、及び、上記固体撮像素子から得られる撮像を処理する回路としては、公知のものを用いることができる。
カメラモジュールの例としては、特開2016-6476号公報、又は、特開2014-197190号公報に記載のカメラモジュールを参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<インクジェットインク及びその他の用途>
本開示に係るインクジェットインクは、本開示における硬化性組成物を含む。
また、本開示における硬化性組成物は、塗料、セキュリティインク等にも用いることができる。
更に、本開示における硬化性組成物は、遮熱材料、蓄熱材料、又は、光熱変換材料として用いることもできる。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
本実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は重量平均分子量(Mw)であり、構成単位の比率はモル百分率である。
重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
[実施例1~68、比較例1~6]
<硬化性組成物の調製>
下記表1~表6に記載の原料を混合して、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)を用いてろ過して、硬化性組成物を調製した。
なお、分散液は、以下のように調製した分散液を用いた。
下記表1~表6の分散液の欄に記載の種類の、近赤外線吸収顔料(表中「顔料」と表記)、顔料誘導体、分散剤、及び溶剤Aを、それぞれ下記の表1~表6の分散液の欄に記載の量で混合し、更に直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して分散液を製造した。
Figure 0007271692000042
Figure 0007271692000043
Figure 0007271692000044
Figure 0007271692000045
Figure 0007271692000046
Figure 0007271692000047
各硬化性組成物に用いた原料は、以下の通りである。
-近赤外線吸収顔料(表中は「顔料」と表記)-
顔料PP1~PP4及びSQ1~SQ3:下記構造の化合物
SQ-1、SQ-14、SQ-13、SQ-15、SQ-17、SQ-33、SQ-24、SQ-25、SQ-27、SQ-30、SQ-21、SQ-37、SQ-43、SQ-52、SQ-56、及びSQ-60:既述のスクアリリウム化合物の具体例として挙げられた化合物[SQ-1、SQ-14、SQ-13、SQ-15、SQ-17、SQ-33、SQ-24、SQ-25、SQ-27、SQ-30、SQ-21、SQ-37、SQ-43、SQ-52、SQ-56、及びSQ-60]
Figure 0007271692000048
-顔料誘導体-
顔料誘導体1~7:下記構造の化合物
B-1、B-2、B-3、B-6、B-14、及びB-17:既述の顔料誘導体の具体例として挙げられた化合物[B-1、B-2、B-3、B-6、B-14、及びB-17]
Figure 0007271692000049
-分散剤-
分散剤1(塩基性基を有する樹脂):下記構造の樹脂(主鎖の各構成単位に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=21,000、酸価=36.0mgKOH/g、アミン価47.0mgKOH/g)
Figure 0007271692000050
分散剤2(塩基性基を有する樹脂):下記構造の樹脂(主鎖の各構成単位に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=23,000、酸価=32.3mgKOH/g、アミン価45.0mgKOH/g)
Figure 0007271692000051
分散剤3(塩基性基を有する樹脂):下記構造の樹脂(主鎖の各構成単位に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=10,000、酸価=44.3mgKOH/g、アミン価40.0mgKOH/g)
Figure 0007271692000052
-バインダー樹脂-
樹脂1~6(特定バインダー樹脂):特定バインダー樹脂の具体例に記載の樹脂1~6
樹脂7~12(比較用バインダー樹脂):下記構造の樹脂(主鎖の各構成単位に付記した数値はモル比である)
Figure 0007271692000053
-重合性化合物-
モノマー1:下記構造(M-1)の化合物の混合物(左側化合物を55モル%~63モル%含有)
モノマー2:下記構造(M-2)の化合物
モノマー3:下記構造(M-3)の化合物
モノマー4:下記構造(M-4)の化合物
Figure 0007271692000054
-重合開始剤-
重合開始剤1(光重合開始剤):下記構造(I-1)の化合物(IRGACURE OXE-01、BASF社製)
重合開始剤2(光重合開始剤):下記構造(I-2)の化合物
Figure 0007271692000055
-紫外線吸収剤-
紫外線吸収剤1:下記構造(UV1)の化合物
Figure 0007271692000056
-界面活性剤-
界面活性剤1:下記混合物(Mw=14,000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、構成単位の割合を示す%(62%及び38%)はモル比である。
Figure 0007271692000057
-重合禁止剤-
重合禁止剤1:p-メトキシフェノール(三立ケミー(株)製)
-溶剤A及びB-
溶剤1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
[スズの含有量の測定]
硬化性組成物中のスズの含有量について、既述の方法で測定した。結果を表7に示す。
[保存安定性の評価]
硬化性組成物の保存安定性を以下のようにして評価した。
製造直後の硬化性組成物の粘度(初期粘度Aとする)を測定した。粘度を測定した硬化性組成物を45℃の恒温槽で72時間保管した後、再度、粘度(保管後粘度Bとする)を測定した。なお、粘度は、硬化性組成物の温度を23℃に調整して測定した。
そして、以下の計算式から増粘率を算出し、増粘率にて保存安定性を評価した。
増粘率(%)=[(保管後粘度B/初期粘度A)-1]×100
以下の基準で保存安定性を評価した。結果を表7に示す。
-基準-
5:硬化性組成物の増粘率が5%以下である。
4:硬化性組成物の増粘率が5%を超えて、7.5%以下である。
3:硬化性組成物の増粘率が7.5%を超えて、10%以下である。
2:硬化性組成物の増粘率が10%を超えて、20%以下である。
1:硬化性組成物の増粘率が20%を超えている。
[硬化膜の作製及び評価]
硬化性組成物を、ポストベーク後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコーター(ミカサ(株)製)を用いてシリコンウェハ上に塗布して塗膜を形成した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量にて、1μm四方のBayerパターンを有するマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱(ポストベーク)することでパターンを形成した。
パターン間(未露光部分)の任意の10箇所について、走査型電子顕微鏡を用いて残渣を確認及び観測し、以下の基準で現像残渣を評価した。結果を表7に示す。
-基準-
5:未露光部分の10箇所において、残渣が確認されない。
4:未露光部分の10箇所において、直径5nm~200nmのサイズの残渣数の平均値が0個超え1個以下であった。
3:未露光部分の10箇所において、直径5nm~200nmのサイズの残渣数の平均値が1個超え5個以下であった。
2:未露光部分の10箇所において、直径5nm~200nmのサイズの残渣数の平均値が5個超であった。
1:未露光部分の10箇所において、直径200nm以上のサイズの残渣が存在するか、又は、未露光部分がほとんど溶解していなかった。
Figure 0007271692000058
表7に記載の結果から、本開示に係る組成物である実施例1~実施例68の硬化性組成物は、比較例1~比較例6の組成物に比べて、保存安定性に優れ、更に、現像残渣も低減されていることがわかる。
実施例1において、紫外線吸収剤、界面活性剤、及び重合禁止剤を除いた場合も、実施例1と同様の結果であった。
実施例1において、重合性化合物をモノマー1のみ6.4部に置き換えても、実施例1と同様の結果であった。
実施例1において、重合開始剤を、重合開始剤1(1部)から、重合開始剤1と重合開始剤2の混合(各0.5部)に置き換えても、実施例1と同様の結果であった。
実施例1において、溶剤Bを溶剤1からシクロペンタノン(東京化成工業(株)製)に置き換えた場合も、実施例1と同様の結果であった。
実施例1において、溶剤Bの量を31.7部又は51.7部に変更した場合も、実施例1と同様の結果であった。
(実施例101~実施例168)
実施例1~実施例68の組成物をそれぞれ用い、下記手法にて2μm四方のパターン(赤外線カットフィルタ)をそれぞれ形成した。
実施例1~68の硬化性組成物を用いて下記方法でパターンを作製した。
上記硬化性組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにシリコンウェハ上にスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1,000mJ/cmで2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、2μm四方のパターン(赤外線カットフィルタ)を形成した。
次に、赤外線カットフィルタのパターン上に、Red組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1,000mJ/cmで2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、赤外線カットフィルタのパターン上に、Red組成物をパターニングした。同様にGreen組成物、Blue組成物を順次パターニングし、赤、緑、及び青の着色パターン(Bayerパターン)を形成した。
なお、Bayerパターンとは、米国特許第3,971,065号明細書に開示されているような、一個の赤色(Red)素子と、二個の緑色(Green)素子と、一個の青色(Blue)素子とを有する色フィルタ素子の2×2アレイを繰り返したパターンであるが、本実施例においては、一個の赤色(Red)素子と、一個の緑色(Green)素子と、一個の青色(Blue)素子と、一個の赤外線透過フィルタ素子を有するフィルタ素子の2×2アレイを繰り返したBayerパターンを形成した。
次に、上記パターン形成した膜上に、赤外線透過フィルタ形成用組成物(下記組成100又は組成101)を、製膜後の膜厚が2.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1,000mJ/cmで2μm四方のBayerパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、赤外線カットフィルタのBayerパターンのうち、上記着色パターンが形成されていない抜け部分に、赤外線透過フィルタのパターニングを行った。これを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。
得られた固体撮像素子について、低照度の環境下(0.001ルクス(Lux))で赤外発光ダイオード(赤外LED)により赤外線を照射し、画像の取り込みを行い、画像性能を評価した。実施例1~実施例68で得られたいずれの硬化性組成物を使用した場合でも、低照度の環境下であっても画像をはっきりと認識できた。
上記パターニングに使用したRed組成物、Green組成物、Blue組成物、及び、赤外線透過フィルタ形成用組成物は、以下の通りである。
-Red組成物-
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Red組成物を調製した。
Red顔料分散液:51.7質量部
樹脂4(40質量%PGMEA溶液):0.6質量部
重合性化合物12:0.6質量部
光重合開始剤1:0.3質量部
界面活性剤2:4.2質量部
PGMEA:42.6質量部
-Green組成物-
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Green組成物を調製した。
Green顔料分散液:73.7質量部
樹脂4(40質量%PGMEA溶液):0.3質量部
重合性化合物11:1.2質量部
光重合開始剤1:0.6質量部
界面活性剤2:4.2質量部
紫外線吸収剤(UV-503、大東化学(株)製):0.5質量部
PGMEA:19.5質量部
-Blue組成物-
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Blue組成物を調製した。
Blue顔料分散液:44.9質量部
樹脂4(40質量%PGMEA溶液):2.1質量部
重合性化合物11:1.5質量部
重合性化合物12:0.7質量部
光重合開始剤1:0.8質量部
界面活性剤2:4.2質量部
PGMEA:45.8質量部
-赤外線透過フィルタ形成用組成物-
下記組成における成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、赤外線透過フィルタ形成用組成物を調製した。
<組成100>
顔料分散液1-1:46.5質量部
顔料分散液1-2:37.1質量部
重合性化合物13:1.8質量部
樹脂4:1.1質量部
光重合開始剤2:0.9質量部
界面活性剤2:4.2質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール):0.001質量部
シランカップリング剤:0.6質量部
PGMEA:7.8質量部
<組成101>
顔料分散液2-1:1,000質量部
重合性化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート):50質量部
樹脂4:17質量部
光重合開始剤(1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)):10質量部
PGMEA:179質量部
アルカリ可溶性重合体F-1:17質量部(固形分濃度35質量部)
<アルカリ可溶性重合体F-1の合成例>
反応容器に、ベンジルメタクリレート14部、N-フェニルマレイミド12部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート15部、スチレン10部及びメタクリル酸20部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部に溶解し、更に2,2’-アゾイソブチロニトリル3部及びα-メチルスチレンダイマー5部を投入した。反応容器内を窒素パージ後、撹拌及び窒素バブリングしながら80℃で5時間加熱し、アルカリ可溶性重合体F-1を含む溶液(固形分濃度35質量%)を得た。この重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が9,700、数平均分子量が5,700であり、Mw/Mnが1.70であった。
<顔料分散液2-1>
C.I.ピグメントブラック32を60部、C.I.ピグメントブルー15:6を20部、C.I.ピグメントイエロー139を20部、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパース76500を80部(固形分濃度50質量%)、アルカリ可溶性重合体F-1を含む溶液を120部(固形分濃度35質量%)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを700部混合し、ペイントシェーカーを用いて8時間分散し、着色剤分散液2-1を得た。
Red組成物、Green組成物、Blue組成物、及び、赤外線透過フィルタ形成用組成物に使用した原料は、以下の通りである。
・Red顔料分散液
C.I.Pigment Red 254を9.6質量部、C.I.Pigment Yellow 139を4.3質量部、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)を6.8質量部、PGMEAを79.3質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Red顔料分散液を得た。
・Green顔料分散液
C.I.Pigment Green 36を6.4質量部、C.I.Pigment Yellow 150を5.3質量部、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)を5.2質量部、PGMEAを83.1質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液を得た。
・Blue顔料分散液
C.I.Pigment Blue 15:6を9.7質量部、C.I.Pigment Violet 23を2.4質量部、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)を5.5部、PGMEAを82.4部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Blue顔料分散液を得た。
・顔料分散液1-1
下記組成の混合液を、0.3mm径のジルコニアビーズを使用して、ビーズミル(減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製))で、3時間、混合、分散して、顔料分散液1-1を調製した。
・赤色顔料(C.I.Pigment Red 254)及び黄色顔料(C.I.Pigment Yellow 139)からなる混合顔料:11.8質量部
・樹脂(Disperbyk-111、BYKChemie社製):9.1質量部
・PGMEA:79.1質量部
・顔料分散液1-2
下記組成の混合液を、0.3mm径のジルコニアビーズを使用して、ビーズミル(減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製))で、3時間、混合、分散して、顔料分散液1-2を調製した。
・青色顔料(C.I.Pigment Blue 15:6)及び紫色顔料(C.I.Pigment Violet 23)からなる混合顔料:12.6質量部
・樹脂(Disperbyk-111、BYKChemie社製):2.0質量部
・樹脂A:3.3質量部
・シクロヘキサノン:31.2質量部
・PGMEA:50.9質量部
上記で使用した成分における略号の詳細を以下に示す。
・樹脂A:下記構造(Mw=14,000、各構成単位における比はモル比である。)
Figure 0007271692000059
・重合性化合物11:KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物、日本化薬(株)製)
・重合性化合物12:下記構造
Figure 0007271692000060
・重合性化合物13:下記構造(左側化合物と右側化合物とのモル比が7:3の混合物)
Figure 0007271692000061
・樹脂4:下記構造(酸価:70mgKOH/g、Mw=11,000、各構成単位における比はモル比である。)
Figure 0007271692000062
・光重合開始剤1:IRGACURE OXE01(1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)、BASF社製)
・光重合開始剤2:下記構造の化合物
Figure 0007271692000063
・界面活性剤2:上記界面活性剤1と同じもの。
・シランカップリング剤:下記構造の化合物。以下の構造式中、Etはエチル基を表す。
Figure 0007271692000064
(実施例201~268)
下記組成を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、実施例201のパターン形成用組成物を調製した。
実施例1の硬化性組成物:22.67質量部
顔料分散液2-1:51.23質量部
実施例201のパターン形成用組成物を用いて、実施例1と同様に、現像残渣の評価を行ったところ、実施例1と同様の効果が得られた。また、実施例201のパターン形成用組成物を用いて得られた硬化膜は、可視領域の波長の光を遮光し、近赤外領域の波長の光(近赤外線)の少なくとも一部を透過させることができた。
実施例1の硬化性組成物の代わりに実施例2~実施例68の硬化性組成物を用いた実施例202~268のパターン形成用組成物について、実施例201と同様に評価を行ったところ、それぞれ実施例201と同等の効果が得られた。
(実施例301~368)
下記組成を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、実施例301のパターン形成用組成物を調製した。
実施例1の硬化性組成物:36.99質量部
顔料分散液1-1:46.5質量部
顔料分散液1-2:37.1質量部
実施例301のパターン形成用組成物を用いて、実施例1と同様に、現像残渣の評価を行ったところ、実施例1と同様の効果が得られた。また、実施例301のパターン形成用組成物を用いて得られた硬化膜は、可視領域の波長の光を遮光し、近赤外領域の波長の光(近赤外線)の少なくとも一部を透過させることができた。
実施例1の硬化性組成物の代わりに実施例2~実施例68の硬化性組成物を用いた実施例302~368のパターン形成用組成物について、実施例301と同様に評価を行ったところ、それぞれ実施例301と同等の効果が得られた。
(実施例400)
上記実施例1~実施例68、実施例101~168、実施例201~268、実施例301~368において、シリコンウェハをガラス基板に変更し、同様に評価した場合も、上記実施例と同様の効果が得られた。
110:固体撮像素子、111:赤外線カットフィルタ、112:カラーフィルタ、114:赤外線透過フィルタ、115:マイクロレンズ、116:平坦化層

Claims (18)

  1. 近赤外線吸収顔料と、
    塩基性基を有する樹脂と、
    前記塩基性基を有する樹脂以外の、SP値が19.7MPa1/2~21.2MPa1/2で且つ酸価が70mgKOH/g~105mgKOH/gであるバインダー樹脂と、
    を含み、
    前記バインダー樹脂が、脂肪族環を有する構成単位を、当該バインダー樹脂の全構成単位に対して50モル%~90モル%で含む樹脂である、近赤外吸収組成物。
  2. 近赤外線吸収顔料と、
    塩基性基を有する樹脂と、
    前記塩基性基を有する樹脂以外の、SP値が19.7MPa 1/2 ~21.2MPa 1/2 で且つ酸価が70mgKOH/g~105mgKOH/gであるバインダー樹脂と、
    を含み、
    前記バインダー樹脂が、ビシクロ環又はトリシクロ環を有する構成単位を、当該バインダー樹脂の全構成単位に対して50モル%~90モル%で含む樹脂である、近赤外吸収組成物。
  3. 前記バインダー樹脂が、酸基を有する構成単位を、当該バインダー樹脂の全構成単位に対して10モル%~40モル%で含む樹脂である、請求項1又は請求項に記載の近赤外吸収組成物。
  4. 前記バインダー樹脂の重量平均分子量が20,000以下である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
  5. 前記塩基性基を有する樹脂が、第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂、及び、主鎖に窒素原子を含む樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
  6. 前記第3級アミノ基を側鎖に有する樹脂が、更に第4級アンモニウム塩基を側鎖に有する樹脂である、請求項に記載の近赤外吸収組成物。
  7. 前記近赤外線吸収顔料が、ピロロピロール化合物又はスクアリリウム化合物である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
  8. スズの含有量が、近赤外吸収組成物の全固形分に対して、1ppm~15ppmである、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
  9. 更に、重合性化合物及び重合開始剤を含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
  10. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物からなる又は前記近赤外吸収組成物を硬化してなる膜。
  11. 請求項1に記載の膜を有する光学フィルタ。
  12. 赤外線カットフィルタ又は赤外線透過フィルタである、請求項1に記載の光学フィルタ。
  13. 請求項1に記載の膜を有する固体撮像素子。
  14. 請求項1に記載の膜を有する赤外線センサ。
  15. 請求項に記載の近赤外吸収組成物を支持体上に適用して組成物層を形成する工程と、
    前記組成物層をパターン状に露光する工程と、
    未露光部を現像除去してパターンを形成する工程と、を含む
    光学フィルタの製造方法。
  16. 請求項に記載の近赤外吸収組成物を支持体上に適用して組成物層を形成し、硬化して層を形成する工程、
    前記層上にフォトレジスト層を形成する工程、
    露光及び現像することにより前記フォトレジスト層をパターニングしてレジストパターンを得る工程、並びに、
    前記レジストパターンをエッチングマスクとして前記層をドライエッチングする工程を含む
    光学フィルタの製造方法。
  17. 固体撮像素子と、請求項1又は請求項1に記載の光学フィルタとを有するカメラモジュール。
  18. 請求項に記載の近赤外吸収組成物を含むインクジェットインク。

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