JP7271481B2 - 耐油板紙 - Google Patents
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Description
さらに、テイクアウト用の紙製包装容器では、タコ焼き及び唐揚げのように比較的熱い食品を収容する場合がある。よって、紙製包装容器に使用する板紙には、比較的熱い食品を収容する場合に使用できる、断熱性が必要である。
(1)食品と接する面において耐油性を有すること。
(2)食品と接する面において撥水性を有すること。
(3)谷折り部分において耐油性の悪化を抑制できること。
(4)比較的熱い食品を収容できる断熱性を有すること。
基紙は、例えば、各層の紙料を抄造し、表層、裏層及び芯層の各層が湿紙の状態で抄き合わせ及び乾燥して得ることができる。いくつかの実施態様において、抄き合わせに先立って、表層と芯層との間、芯層と裏層との間及び芯層と芯層との間には澱粉、各種加工澱粉及びそれらの変性物などの接着剤を塗布する。この理由は、層間強度が良化するからである。
いくつかの実施態様において、基紙の各層は、各層中のパルプに対して各々LBKPが50質量%以上である。この理由は以下と考えられる。繊維長が長いNBKPが紙の強度に普通であれば有利であるものの、LBKPは、LBKPから成る層が平滑性に優れるために、LBKPが50質量%以上が抄き合せ後の紙の強度に対してむしろ有利に働く。紙の強度は、谷折り部分の耐油性に影響する。
また、少なくとも一つの実施態様において、基紙は、下記耐油層を設ける側に該当する表層にサイズ剤を含有する。この理由は、耐油性及び撥水性が良化するからである。
表面サイズ剤は、外添サイズ剤とも称する。表面サイズ剤は、製紙分野で従来公知のものである。表面サイズ剤は、例えば、各種澱粉及びその変性物、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、各種ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリアクリルアミド、スチレンアクリル共重合体及びワックスなどを挙げることができる。少なくとも一つの実施態様において、表面サイズ剤は、澱粉、各種加工澱粉及びそれらの変性物及びスチレンアクリル共重合体から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
塗工後は、従来公知の乾燥装置を用いて乾燥することができる。乾燥装置は、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機などを挙げることができる。
カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置としては、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどを挙げることができる。
最外塗工層を含め塗工層は、基紙又は塗工層に対して塗工層塗工液を塗工及び乾燥することによって得ることができる。最外塗工層を含め塗工層を基紙又は塗工層に対して設ける方法は、特に限定されない。例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて、塗工層塗工液を塗工及び乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、コンマコーター、フィルムプレスコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター、及びフィルムトランスファーコーターなどを挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、及びマイクロ波を利用した乾燥機などの各種乾燥装置を挙げることができる。
塗工層には、カレンダー処理を施すことができる。
カオリンは、カオリンクレーと呼ばれることがある。カオリンは、天然に産出されたカオリン原鉱を工業的に精製及び加工したものであって、例えば、粉砕、洗浄、除鉄及び分級などの工程を経て製造されるものである。また、アスペクト比を向上させるためにせん断力をかけて薄板状としたデラミネーティッドカオリンや、粒度分布がシャープになるよう調整したエンジニアードカオリン、凝集性を高めた焼成カオリンといった加工性の高いものも含まれる。
いくつかの実施態様において、耐油層中のアクリル系樹脂と白色無機顔料との含有質量比は、[アクリル系樹脂:白色無機顔料]=6:4~4:6である。また、少なくとも一つの実施態様において、耐油層の白色無機顔料は、重質炭酸カルシウムである。これらの理由は、良好に被膜を形成できるために耐油性、撥水性及び/又は谷折り部分における耐油性の悪化の抑制が、良化するからである。
(表層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 100質量部
硫酸バンド 1.1質量部
ロジン系サイズ剤 0.7質量部
坪量 46g/m2
(芯層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 40質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 30質量部
CGP(濾水度400mlcsf) 30質量部
硫酸バンド 0.6質量部
坪量 148g/m2
(裏層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 85質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 15質量部
硫酸バンド 0.5質量部
坪量 46g/m2
(表層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 100質量部
硫酸バンド 1.1質量部
ロジン系サイズ剤 0.7質量部
坪量 46g/m2
(芯層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 40質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 30質量部
CGP(濾水度400mlcsf) 30質量部
硫酸バンド 0.6質量部
坪量 168g/m2
(裏層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 85質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 15質量部
硫酸バンド 0.5質量部
坪量 46g/m2
(表層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 100質量部
硫酸バンド 1.1質量部
ロジン系サイズ剤 0.7質量部
坪量 56g/m2
(芯層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 40質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 30質量部
CGP(濾水度400mlcsf) 30質量部
硫酸バンド 0.6質量部
坪量 168g/m2
(裏層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 85質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 15質量部
硫酸バンド 0.5質量部
坪量 56g/m2
(表層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 30質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 70質量部
硫酸バンド 1.1質量部
ロジン系サイズ剤 0.7質量部
坪量 56g/m2
(芯層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 20質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 50質量部
CGP(濾水度400mlcsf) 30質量部
硫酸バンド 0.6質量部
坪量 168g/m2
(裏層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 85質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 15質量部
硫酸バンド 0.5質量部
坪量 56g/m2
(表層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 30質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 70質量部
硫酸バンド 1.1質量部
ロジン系サイズ剤 0.7質量部
坪量 112g/m2
(裏層)
LBKP(濾水度450mlcsf) 85質量部
NBKP(濾水度450mlcsf) 15質量部
硫酸バンド 0.5質量部
坪量 112g/m2
表面サイズ剤には、酸化澱粉及びスチレンアクリル共重合体を用いた。
塗工層塗工液1は下記の内容により調製した。
カオリン 10質量部
重質炭酸カルシウム 90質量部
リン酸エステル化澱粉 10質量部
スチレンブタジエン共重合体 10質量部
消泡剤 0.3質量部
アンモニア水 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して濃度58質量%に調整した。
塗工層塗工液2は下記の内容により調製した。
カオリン 0質量部
軽質炭酸カルシウム 100質量部
リン酸エステル化澱粉 1質量部
スチレンブタジエン共重合体 14質量部
消泡剤 0.3質量部
アンモニア水 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して濃度60質量%に調整した。
塗工層塗工液3は下記の内容により調製した。
カオリン 60質量部
軽質炭酸カルシウム 40質量部
リン酸エステル化澱粉 1質量部
スチレンブタジエン共重合体 14質量部
消泡剤 0.3質量部
アンモニア水 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して濃度60質量%に調整した。
塗工層塗工液4は下記の内容により調製した。
カオリン 80質量部
軽質炭酸カルシウム 20質量部
リン酸エステル化澱粉 1質量部
スチレンブタジエン共重合体 14質量部
消泡剤 0.3質量部
アンモニア水 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して濃度60質量%に調整した。
塗工層塗工液5は下記の内容により調製した。
カオリン 80質量部
軽質炭酸カルシウム 20質量部
リン酸エステル化澱粉 1質量部
ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500) 14質量部
消泡剤 0.3質量部
アンモニア水 0.1質量部
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して濃度60質量%に調整した。
耐油層塗工液は下記の内容により調製した。
白色無機顔料 部数は表1に記載
耐油剤 部数は表1に記載
上記の内容で配合し、水で混合及び分散して濃度40質量%に調整した。
耐油剤として、食品用紙パッケージ用水性ニスであるアクリル系樹脂、第一塗料製造所のハービル(登録商標)B-7を、食品包装用耐油紙のバリアー剤であるポリビニルアルコール、クラレのエクセバール(登録商標)を用いた。
基紙に対して、ホリゾンタルサイズプレスを用いて、塗工量が片面あたり酸化澱粉3.0g/m2及びスチレンアクリル共重合体0.05g/m2となるように基紙の両面に塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥した。
サイズプレス後の基紙について、基紙の裏層側に対して、上記塗工層塗工液1をブレードコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥した。塗工量は10g/m2になるように調整した。
次に、上記塗工層を設けた基紙について、上記塗工層を設けた側に対して、上記塗工層塗工液3をエアナイフコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥した。塗工量は8g/m2になるように調整した。
次に、基紙の表層側に対して最外塗工層として、上記塗工層塗工液2~5のいずれかをエアナイフコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥した。塗工量は4g/m2になるように調整した。用いた塗工層塗工液は表1に記載する。
次に、基紙の表層側に設けた塗工層(最外塗工層)に対して、耐油層塗工液をエアナイフコーターを用いて塗工及び熱風乾燥機を用いて乾燥した。塗工量は耐油剤が6g/m2になるように調整した。
耐油性の評価は、J.TAPPIパルプ試験方法No.41:2000「紙及び板紙のはつ油度試験方法(キット法)」に準じて行った。キット法のはつ油度の測定結果から、下記の基準で評価した。本発明において、耐油板紙は、評価A、B又はCであれば耐油性を有するものとする。
A:値が10以上。
B:値が8以上10未満。
C:値が6以上8未満。
D:値が6未満。
撥水性の評価は、下記の方法で行った。
縦20cm×横20cmの矩形形状の耐油板紙について、耐油板紙の表面(耐油層を有する側)を上向きに水平から45度に傾斜させて置き、耐油板紙の表面に垂直方向に10mm離れた位置からイオン交換水を連続して滴下(1滴=約0.1ml)して水滴の様子を観察した。観察結果から、下記の基準で評価した。本発明において、耐油板紙は、評価A、B又はCであれば撥水性を有するものとする。
A:耐油板紙の表面を、水滴が玉のように転げ落ちる。
B:耐油板紙の表面に、水滴跡は無いけれども、水滴が球形からやや崩れて落ちる。
C:耐油板紙の表面に、水滴跡は無いけれども、水流れ筋を示す。
D:耐油板紙の表面に、水滴跡が認められる。
谷折り部分の耐油性は、J.TAPPIパルプ試験方法No.41:2000「紙及び板紙のはつ油度試験方法(キット法)」に準じて行った。谷折り部分の耐油性は、耐油層を有する面を内側にして耐油板紙を1回折り、広げた谷折り部分にキット液を滴下して測定した。キット法のはつ油度の測定結果から、下記の基準で評価した。本発明において、耐油板紙は、評価A、B又はCであれば谷折り部分の耐油性の悪化を抑制できるものとする。
A:値が5以上。
B:値が4以上5未満。
C:値が3以上4未満。
D:値が3未満。
断熱性の評価は、下記の方法で行った。
耐油板紙の表面(耐油層を有する側)にシャーレを置き、前記シャーレに90℃の熱湯30mlを注いだ。この時、耐油板紙の裏面(耐油層を有しない側)から耐油板紙を手のひらに載せ、感じる熱さから下記の基準で点数化して評価した。被験者は6人(女性3人及び男性3人)とし、点数の平均を求めて小数点以下を四捨五入した。本発明において、耐油板紙は、評価4、3又は2であれば断熱性を有するものとする。
4:苦も無く、持てる。
3:少し熱く感じるけれども、持てる。
2:熱いけれども、短時間であれば持てる。
1:持てない。
主に実施例3と実施例6との対比から、耐油板紙は、耐油層を有する側の最外塗工層がバインダーとしてスチレンブタジエン共重合体を含むと、谷折れ部分において耐油性の悪化を抑制できる。
主に実施例3、7、8、9及び10の間の対比から、耐油層において白色無機顔料とアクリル系樹脂との含有質量比が[白色無機顔料:アクリル系樹脂]=4:6~6:4であると、耐油性が良化できる、及び谷折れ部分において耐油性の悪化を抑制できる。
表層及び裏層並びに前記表層と前記裏層との間に1層又は2層以上の芯層を有する3層以上を抄き合わせた基紙と、前記基紙の両面に対してそれぞれ白色無機顔料及びバインダーを含有する1層又は2層以上の塗工層と、前記塗工層中であって基紙を基準として最外に位置する最外塗工層に対して片面に耐油層とを有し、前記耐油層を有する側の最外塗工層の白色無機顔料がカオリンを含み、前記耐油層が白色無機顔料及びアクリル系樹脂を含有する耐油板紙。
上記最外塗工層のバインダーがスチレンブタジエン共重合体を含む上記<1>に記載の耐油板紙。
上記耐油層において、白色無機顔料とアクリル系樹脂との含有質量比が、[白色無機顔料:アクリル系樹脂]=4:6~6:4である上記<1>又は上記<2>に記載の耐油板紙。
上記耐油層において、白色無機顔料が重質炭酸カルシウムを含む上記<3>に記載の耐油板紙。
上記基紙において、各層が、各層中のパルプに対して各々LBKPが50質量%以上である上記<1>~<4>のいずれかに記載の耐油板紙。
上記基紙が、坪量260g/m2以上である上記<1>~<5>のいずれかに記載の耐油板紙。
上記基紙が、澱粉、各種加工澱粉及びそれらの変性物及びスチレンアクリル共重合体から成る群から選ばれる一種又は二種以上の表面サイズ剤を含有する上記<1>~<6>のいずれかに記載の耐油板紙。
Claims (3)
- 表層及び裏層並びに前記表層と前記裏層との間に1層又は2層以上の芯層を有する3層以上を抄き合わせた基紙と、前記基紙の両面に対してそれぞれ白色無機顔料及びバインダーを含有する1層又は2層以上の塗工層と、前記塗工層中であって基紙を基準として最外に位置する最外塗工層に対して片面に耐油層とを有し、前記耐油層を有する側の最外塗工層の白色無機顔料がカオリンを含み、前記耐油層が白色無機顔料及びアクリル系樹脂を含有する耐油板紙。
- 上記最外塗工層のバインダーがスチレンブタジエン共重合体を含む請求項1に記載の耐油板紙。
- 上記耐油層において、白色無機顔料とアクリル系樹脂との含有質量比が、[白色無機顔料:アクリル系樹脂]=4:6~6:4である請求項1又は2に記載の耐油板紙。
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- 2020-08-12 JP JP2020136262A patent/JP7271481B2/ja active Active
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