JP7271344B2 - 面状発熱体及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、融雪、暖房、乾燥等に使用される面状発熱体及びその製造方法に関する。より詳しくは、マトリックス樹脂で被覆された連続炭素繊維を発熱体に用いた面状発熱体に関する。
一般に、面状発熱体は、ニクロム線ヒータやカーボンヒータのような線状発熱体と異なり、広い範囲を均一に加熱できる点で、例えば、融雪マット、床暖房、野菜乾燥機など多くの用途に使用されており、下記のように各種構成の面状発熱体が提案されている。
例えば、特許文献1には、抵抗発熱材としての炭素繊維を方形形状の和紙の面全体に均一に分布して発熱体シート(炭素繊維混抄シート)を形成し、炭素繊維混抄シート表面の両側端に溶射皮膜からなる銅電極をそれぞれ形成し、発熱体シートの両面をFRP等の樹脂で被覆した面状発熱体の発明が開示されている。
また、特許文献2には、炭素繊維混抄シートの少なくとも一方の面にカーボン皮膜を形成したことが開示されている。
更に、特許文献3には、熱硬化樹脂に連続炭素繊維を含浸させた面状発熱体が開示されている。
特開平5-258842号公報 特開2014-229459号公報 特開昭57-92778号公報
しかしながら、特許文献1、2において用いられた炭素繊維を含む抄紙シートは、面全体で均一な発熱が得られるものの短繊維がランダムに配向していることで、機械的強度が低く、構造物の外層体に設置すると、外部からの衝撃や応力によって破れることがあるという問題があった。
また、特許文献3に記載された連続炭素繊維シートは、機械強度に優れるものの、電極付近のみが過熱され、面内の発熱が不均一になるという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、機械的強度に優れ、発熱効率がよく、表面が均一に発熱する面状発熱体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、連続炭素繊維と無機粒子とを含む炭素繊維シートを用いることで、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1] 連続炭素繊維の両側端にそれぞれ電極を備える炭素繊維シートと、前記炭素繊維シートに含浸したマトリックス樹脂と、を有する面状発熱体であって、
前記炭素繊維シートを構成する複数の炭素繊維間に無機粒子を含む、面状発熱体。
[2] 前記マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である、[1]に記載の面状発熱体。
[3] 前記無機粒子が、タルク、炭酸カルシウム、炭素粒子、シリカ粒子からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の面状発熱体。
[4] 前記無機粒子の平均粒子径が0.1~20μmである、[1]~[3]の何れかに記載の面状発熱体。
[5] 前記炭素繊維シートが炭素繊維織物を含む、[1]~[4]の何れかに記載の面状発熱体。
[6] 前記炭素繊維シートに含まれる無機粒子の含有量は、前記連続炭素繊維に対し、0.1~50質量%である、[1]~[5]の何れかに記載の面状発熱体。
[7] 前記連続炭素繊維及びマトリックス樹脂の総和を100質量部とした場合に、前記連続炭素繊維が15~90質量部、前記マトリックス樹脂が10~85質量部、前記無機粒子が0.01~20質量部含まれる、[1]~[6]の何れかに記載の面状発熱体。
[8] 鉄道車両の外装融雪用シートとして使用される、[1]~[7]の何れかに記載の面状発熱体。
[9] 連続炭素繊維の両端側に電極を形成する工程と、
前記連続炭素繊維に無機粒子を接触させる工程と、
前記無機粒子と接触した連続炭素繊維からなる炭素繊維シートにマトリックス樹脂を含浸させる含浸工程と、
を含む面状発熱体の製造方法。
[10] 前記含浸工程が、炭素繊維シートの少なくとも一面に熱可塑性樹脂フィルムを積層して、加熱加圧を行うことにより実施される、[9]に記載の面状発熱体の製造方法。
本発明によれば、連続炭素繊維と無機粒子とを含む炭素繊維シートを用いることで、従来の抄紙法で作られた面状発熱体に比べ、機械強度に優れ、かつ表面が均一に発熱する面状発熱体を提供することができる。特に鉄道等の輸送車両における外装融雪シート等の外部から衝撃を受ける部位に好適に用いることができる。また、発熱効率と遠赤外線の放射効率とを同時に高めた面状発熱体及びその製造方法を提供することができる。
本発明の面状発熱体の一実施形態を示した概略断面図。 本発明の面状発熱体の製造方法の一実施形態を示した工程概略図。 本発明の面状発熱体の製造方法の別の実施形態を示した工程概略図。
以下、図面を参照して本発明を実施する好ましい形態の一例について説明する。ただし、下記の実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではない。
本発明の面状発熱体1は、図1に示すように、炭素繊維シート2とマトリックス樹脂3とを有する構造である。炭素繊維シート2は、マトリックス樹脂3に含浸されて一体化している。炭素繊維シート2は連続炭素繊維20からなり、連続炭素繊維20の両端はそれぞれ電極30が形成されており、各電極30には導線40等で配線されている。
[炭素繊維シート]
炭素繊維シート2を構成する連続炭素繊維20としては、例えば、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維などが挙げられ、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。炭素繊維の平均径は、通常2μm以上、4μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましい。また、炭素繊維の平均径は、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。なお、本発明において、平均径とは、ランダムに選択した100個の炭素繊維の繊維径の相加平均値である。また、繊維径とは、繊維の長さ方向に直交する方向に沿った断面において、この断面の直径のことをいう。
炭素繊維シート2を構成する連続炭素繊維20は、電極30間を通電できるものであれば特に限定されない。連続炭素繊維20は電極30間を繋ぐ繊維配向を備えることが好ましく、通電を阻害しない範囲であれば応力緩和のために部分的な切断箇所があってもよい。
本発明に使用される炭素繊維は、複数本の繊維を含み、炭素繊維が複数集まった炭素繊維束(トウ)であってもよい。各炭素繊維束を構成している炭素繊維の本数(ストランド一本あたりに含まれるフィラメントの数)は、通常1000本以上、好ましくは3000本以上、より好ましくは12000本以上、更に好ましくは24000本以上であり、一方上限は特に限定されないが、通常100000本以下、好ましくは50000本以下、より好ましくは48000本以下、特に好ましくは30000本以下である。
一般に炭素繊維束のフィラメント数が増える程、フィラメントあたりの機械物性及び樹脂の含浸性も低下する傾向にあるが、同様に炭素繊維束の重量あたりの価格も低下するため、用途に応じて適切なフィラメント数の炭素繊維束を選択することができる。
炭素繊維束は、様々な形態で使用されてもよい。例えば、複数の繊維束が一方向に配向されてなる一方向連続繊維(UniDirection繊維、以下、単に「UD繊維」ともいう。)、複数の繊維束が織られて形成された織物、繊維束が編まれて形成された編物、複数の繊維束と熱可塑性樹脂繊維からなる不織布などの形態で使用されるとよい。これらの中では、一方向連続繊維及び織物が好ましく、縦横方向に高い機械物性を持つ織物がより好ましい。織物は、平織、綾織及び朱子織などで織られればよく、等方性を備える平織又は綾織りが好ましい。また、編物としては、各繊維配向方向に繊維が直進性をもった形で配置されるノンクリンプファブリックが好ましい。
一方向連続繊維は、グラム単位あたりの機械強度は最も優れるものの、配向方向以外への応力に極めて弱いため、車両の外装等に用いるのであれば織物がより好ましく用いられる。
炭素繊維束は、一方向連続繊維を用いる場合は、48000本以上100000本以下が、織物の炭素繊維束を用いる場合は12000本以上48000本以下が好ましく用いられる。
炭素繊維シートを構成する連続炭素繊維の目付は、通常20~800g/m2であることが好ましく、100~400g/m2であることがより好ましく、特に、150~300g/m2であることが好ましい。連続炭素繊維の目付が20g/m2以上であると、マトリックス樹脂に炭素繊維シートを含浸させた面状発熱体の機械的強度が向上する。また、連続炭素繊維の目付が800g/m2以下であると、炭素繊維シートにマトリックス樹脂を均一に含浸させることができ、面状発熱体の機械的強度が向上する。
[無機粒子]
無機粒子としては、特に限定されないがシリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、炭酸カルシウム粒子、炭素粒子、フライアッシュ、ポリシリコン、タルク等が挙げられる。これら無機粒子は、1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよいが、面状発熱体の表面温度をより均一にする観点からは2種以上を併用することが好ましい。これらのなかでも、発熱性と熱伝導性の観点から、炭酸カルシウム粒子、タルク、炭素粒子、シリカ粒子の何れかが含まれることがより好ましい。また、炭素繊維シートをマトリックス樹脂に含浸する際に無機粒子が脱落してしまうことを抑制するために、無機粒子は表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、沸騰水による表面水酸化処理や、シランカップリング剤による機能化処理を例示できる。
炭素粒子を用いる場合は、各種樹脂粒子を添加した後に炭化処理を行いアモルファスカーボン粒子としてもよい。好ましくは、ナフトキサジン樹脂溶液を事前加熱し、粒子を生成した粒子溶液に、連続炭素繊維を接触させ、粒子の炭化処理を行う方法が好ましく用いられる。
無機粒子は、高発熱部と低発熱部とを面全体に均一に形成する観点から、平均粒径が1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましく、特に2μm以上であることが好ましい。また、平均粒子径の上限は15μm以下であることが好ましく、13μm以下であることがより好ましく、特に10μm以下であることが好ましい。なお、本発明において、平均粒子径とは、動的光散乱式の粒度分布計(例えば、マイクロトラック・ベル社製、型番:MT3300)により測定した体積基準の累積度数分布曲線において、累積度数が50%の値(D50)を意味する。
高発熱部と低発熱部とを面全体で均一に形成する観点から、連続炭素シートに含まれる無機粒子の含有量は、連続炭素繊維に対し通常0.1~50質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。なお、必要以上に無機粒子を含有すると、炭素繊維シート全体に占める炭素繊維含有率が低下し、機械物性が低下することがある。
[マトリックス樹脂]
上記した炭素繊維シート20に含浸させるマトリックス樹脂3としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の何れであっても使用できるが、本発明においては面状発熱体に優れた曲げ弾性率及び曲げ強度を付与できる観点から、熱可塑性樹脂を好適に使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリエーテルケトンなどが挙げられるが、含浸性、機械物性、耐熱性のバランスに優れるポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエーテルケトンが好ましい。
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂、イソソルビド骨格を有するポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、これらのなかでもビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が耐熱性と機械物性の観点から好ましく用いられる。
芳香族ポリエーテルケトンとしては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等が挙げられ、ポリエーテルエーテルケトンが耐熱性と機械物性の観点から好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂が好ましい。
マトリックス樹脂を含浸した炭素繊維シートにおいて、炭素繊維に対するマトリクス樹脂の体積割合(繊維体積含有率)は20~60%が好ましく、30~50%がより好ましい。繊維体積含有率が小さすぎると(即ち、マトリックス樹脂の割合が多すぎると)、発熱効率が低下する傾向にある。一方、繊維体積含有率が大きすぎると(即ち、マトリックス樹脂の割合が少なすぎると)、面状発熱体の機械的強度が不充分となる傾向にある。繊維体積含有率は、炭素繊維シートの目付等にもよるが、含浸させるマトリックス樹脂の量を調整することで上記範囲とすることができる。例えば、後記するように、フィルム含浸法によりマトリックス樹脂を含浸させる場合には、フィルムの厚さと加圧の程度によって繊維体積含有率を調整することができる。
[電極]
本発明は連続炭素繊維の電極は、電源から連続炭素繊維に通電することが出来れば特に限定されないが、銀ペースト等の導電性接着材を介して接着された金属箔が好ましい。
金属箔は電気伝導率が高ければ特に限定されないが銅箔、銀箔、金箔等が挙げられ、取り扱い性から銅箔が好ましく用いられる。
[面状発熱体]
本発明の面状発熱体は、無機粒子を炭素繊維間に含む炭素繊維シートと、マトリックス樹脂とを備える。その好適な割合は、連続炭素繊維及びマトリックス樹脂の総和を100質量部とした場合に、連続炭素繊維が15~90質量部、マトリックス樹脂が10~85質量部、無機粒子が0.01~20質量部であり、より好ましくは連続炭素繊維が40~60質量部、マトリックス樹脂が25~50質量部、無機粒子が0.01~10質量部である。面状発熱体における各材料の割合が上記範囲であると、機械物性及び発熱特性が好適な範囲となる。
面状発熱体の厚みは、目的とする表面温度、機械強度等に応じて任意に設定することができるが、通常0.1mm~10mm、好ましくは0.2~5mmである。上記範囲であると、飛来物等による面状発熱体の破損が抑制できるとともに、十分な表面温度を備えることができる。
[作用の推測]
本発明の面状発熱体においては、炭素繊維シートが連続炭素繊維と無機粒子とを含むことにより、面状発熱体が均一に加熱されるという予期し得ない効果が得られた。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
即ち、連続炭素繊維として使用されるUD繊維等では、連続炭素繊維ゆえに繊維間に凹部が生じ、また、連続炭素繊維を用いた織物等の織布においても、経糸と緯糸との交差部分に凸部が生じる。凹凸は特に織物において顕著である。本発明者らは、このような凹凸が面状発熱体の表面との距離を不均一にし、温度ムラの主要因になっていると考えた。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、マトリックス樹脂を含浸させる炭素繊維シートとして連続炭素繊維と無機粒子とを併用することにより、炭素繊維シートの凸部に無機粒子が充填さることで面状発熱体表面との距離が均一化されるとともに、無機粒子の抵抗発熱や連続炭素繊維からの熱伝導によって、面状発熱体の表面温度が均質化できたものと考えられる。
また、炭素粒子と他の粒子を併用した時に更なる表面温度の均質化ができたた理由として、炭素粒子により炭素繊維が開繊され、通常であれば無機粒子が侵入できなかった狭部にも無機粒子が充填されたためと考えられる。
更に、連続炭素繊維からなる炭素繊維シートにマトリックス樹脂を含浸した構成とすることにより、優れた機械的強度も備えることができる。これに対し、短繊維を用いて抄紙法により形成された従来の面状発熱体は機械物性が不十分であり、機械物性の不足を補うためにマトリックス樹脂の量を多くしたり保護層(支持層)を設ける必要があるため、発熱効率が低下する。
[面状発熱体の製造方法]
本発明の面状発熱体は、上記したような連続炭素繊維の両端側に電極を形成する工程と、前記連続炭素繊維に無機粒子を接触させる工程と、前記無機粒子と接触した連続炭素繊維からなる炭素繊維シートをマトリックス樹脂に含浸させる工程とを含む。
電極は特に制限されることなく従来公知の手法により形成することができる。例えば、連続炭素繊維の両端に、銀ペースト等の導電性接着材を介して金属箔を貼着したり、かしめ電極を連続炭素繊維の両端に取付け、かしめることにより電極を形成してもよい。なお、電極に導電体からなる配線を接続しておくことで、電源から面状発熱体の両電極に通電することができる。
連続炭素繊維に無機粒子を接触させる工程は、無機粒子を連続炭素繊維の表面に散布することにより実施できる。無機粒子を連続炭素繊維に散布した後に、連続炭素繊維表面をヘラ等を用いて無機粒子を均一に散布させることが、連続炭素繊維の凸部に無機粒子が充填される点から好ましい。
連続炭素繊維に無機粒子を接触させる工程は、連続炭素繊維の両端側に電極を形成する前であっても後であってもよいが、好ましくは電極を形成する前に無機粒子を接触させることが好ましい。
次いで、上記のようにして無機粒子を接触させた連続炭素繊維からなる炭素繊維シートを形成した後、当該炭素繊維シートにマトリックス樹脂を含浸させる。マトリックス樹脂を含浸させる方法は、特に限定されない。マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、例えば、溶融樹脂をシートダイなどを用いてフィルム状に押出し、炭素繊維シート上に積層した後に、加熱しながら圧縮することによりマトリックス樹脂を炭素繊維シートに含浸させる方法(フィルム含浸法)や、ダイからマトリックス樹脂と炭素繊維シートを一度に引き抜く押し出し成形方法などが挙げられる。生産性の観点からは、フィルム含浸法が好ましく用いられる。例えば、図2に示すように、一対の熱可塑性樹脂シート3A、3Bを準備し、炭素繊維シート2を挟持するように一対の熱可塑性樹脂シート3A、3Bを積層し、加熱下で加圧することにより、図1に示したような面状発熱体1を得ることができる。また、図3に示すように、一枚の熱可塑性樹脂シート3Cと炭素繊維シート2とを重ね合わせた後、加熱下で加圧することにより、図1に示したような面状発熱体1を得ることもできる。
また、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、例えば、金型内に炭素繊維シートを配置した後に、熱硬化性樹脂を注入し、硬化させる樹脂トランスファー成形(RTM法)が好ましく用いられる。
[用途]
本発明の面状発熱体は、連続炭素繊維からなる炭素繊維シートを使用していることから、機械的強度に優れている。そのため、外部からの衝撃や応力がかかる用途にも好適に使用することができる。従って、従来の融雪マット、床暖房、野菜乾燥機などの用途だけでなく、例えば鉄道車両の外装融雪用シートのような外部からの衝撃や応力がかかる用途であっても、好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらの例により本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
150mm×150mm、質量4.68gの炭素繊維織物(台湾プラスチックス社製 フィラメント数3000本、綾織)に炭酸カルシウム(白石工業株式会社製 商品名「白艶華CCR」)を0.5gを散布し、ヘラを用いて表面の均一化を行った。
次に、炭素繊維織物の左右端部に銀ペースト系接着材を用いて銅箔を接着し、電極層を備えた炭素繊維シートを形成した。
続いて、2枚のポリカーボネート樹脂フィルム(帝人株式会社製、商品名「パンライトL-1225LM」、フィルム厚さ80μm)を準備し、炭素繊維シート、ポリカーボネート樹脂フィルム2枚の順に積層した後、270℃で加熱加圧成形を行うことにより、厚み0.33mmの面状発熱体を得た。
得られた面状発熱体の左右両端の電極中央部に電圧印加端子を接続し、4.0Vの電圧を400秒間印加した。400秒経過時点の表面温度を、キーエンス社株式会社製の温度電圧測定ユニット NR-TH08を用いて測定した。温度測定は、面状発熱体の角端部から内側に1cmの箇所と、中央部(端部から縦75mm、横75mm地点)の箇所の2点で行った。2点間の温度差を算出し、温度差が小さいほど表面温度の均一性が優れていると判断した。2点間の温度差は表1に示される通りであった。
[実施例2]
無機粒子として使用した炭酸カルシウムをタルクに変更した以外は実施例1と同様にして温度測定を行い、2点間の温度差を計測した。計測結果は表1に示される通りであった。
[実施例3]
<開繊含浸液の作製>
1,5-ジヒドロキシナフタレン(和光純薬株式会社製、商品名「048-02342」)10質量部、メチルアミン(和光純薬株式会社製、商品名「132-01857」)4質量部、及びホルマリン(ホルムアルデヒドの含有量:37質量%、和光純薬株式会社製、商品名「064-00406」)8質量部を含むモノマーと、溶媒としてエタノール水(エタノールの含有量:50質量%、和光純薬株式会社製、商品名「057-00456」)600質量部とを均一に混合して、モノマーを溶解してなるモノマー溶液(開繊含浸液)を調製した。
次いで、得られた開繊含浸液を攪拌しながら、溶液温度が60℃となるように加熱して30分間に亘って保持し、モノマーの一部を重合させて、ナフトキサジン樹脂粒子を析出させて、平均粒径2μmのナフトキサジン樹脂粒子を含むナフトキサジン樹脂粒子溶液を作製した。
続いて、実施例1と同様の炭素繊維織物をナフトキサジン樹脂粒子溶液に含浸させた後、200℃3分間の炭化処理を行うことで、ナフトキサジン樹脂由来のアモルファスカーボン粒子を含む連続炭素繊維織物を得た。
炭素繊維織物に代えて、上記のようにして得られたアモルファスカーボン粒子を含む炭素繊維織物を用いた以外は実施例1と同様にして面状発熱体を作製し温度測定を行った。計測結果は表1に示される通りであった。
[実施例4]
実施例3で得られたアモルファスカーボン粒子を含む炭素繊維織物に対し、炭酸カルシウムを0.5g散布した以外は実施例1と同様にして面状発熱体を作製し温度測定を行った。計測結果は表1に示される通りであった。
[実施例5]
炭酸カルシウムをタルクに変更した以外は、実施例4と同様にして面状発熱体を作製し、温度測定を行った。計測結果は表1に示される通りであった。
[実施例6]
炭酸カルシウムをシリカに変更した以外は、実施例4と同様にして面状発熱体を作製し、温度測定を行った。計測結果は表1に示される通りであった。
[実施例7]
炭酸カルシウムをフライアッシュに変更した以外は、実施例4と同様にして面状発熱体を作製し、温度測定を行った。計測結果は表1に示される通りであった。
[比較例1]
炭酸カルシウムを加えなかった以外は実施例1と同様して面状発熱体を作製し、温度測定を行った。計測結果は表1に示される通りであった。
Figure 0007271344000001
表1の評価結果からも明らかなように、無機粒子を含まない炭素繊維シートを使用した面状発熱体(比較例1)に比べ、無機粒子を含む炭素繊維シートを使用した面状発熱体(実施例1~2)では、表面温度が均一になることがわかる。
また、無機粒子を含む炭素繊維シートを使用した面状発熱体において、単一の無機粒子を含む(実施例1、2))よりも、複数種の無機粒子を併用した方(実施例4,5)が表面温度をより一層均一化できることがわかる。

Claims (9)

  1. 連続炭素繊維の両側端にそれぞれ電極を備える炭素繊維シートと、前記炭素繊維シートに含浸したマトリックス樹脂と、を有する面状発熱体であって、
    前記炭素繊維シートを構成する複数の炭素繊維間に無機粒子を含み、
    前記無機粒子が、タルク、炭酸カルシウム、アモルファスカーボン粒子、シリカ粒子からなる群より選択される少なくとも1種である、面状発熱体。
  2. 前記マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の面状発熱体。
  3. 前記無機粒子の平均粒子径が0.1~20μmである、請求項1又は2に記載の面状発熱体。
  4. 前記炭素繊維シートが炭素繊維織物を含む、請求項1~の何れか1項に記載の面状発熱体。
  5. 前記炭素繊維シートに含まれる無機粒子の含有量は、前記連続炭素繊維に対し、0.1~50質量%である、請求項1~の何れか1項に記載の面状発熱体。
  6. 前記連続炭素繊維及びマトリックス樹脂の総和を100質量部とした場合に、前記連続炭素繊維が15~90質量部、前記マトリックス樹脂が10~85質量部、前記無機粒子が0.01~20質量部含まれる、請求項1~の何れか1項に記載の面状発熱体。
  7. 鉄道車両の外装融雪用シートとして使用される、請求項1~の何れか1項に記載の面状発熱体。
  8. 連続炭素繊維の両端側に電極を形成する工程と、
    前記連続炭素繊維に無機粒子を接触させる工程と、
    前記無機粒子と接触した連続炭素繊維からなる炭素繊維シートにマトリックス樹脂を含浸させる含浸工程と、
    を含
    前記無機粒子が、タルク、炭酸カルシウム、アモルファスカーボン粒子、シリカ粒子からなる群より選択される少なくとも1種である、面状発熱体の製造方法。
  9. 前記含浸工程が、炭素繊維シートの少なくとも一面に熱可塑性樹脂フィルムを積層して、加熱加圧を行うことにより実施される、請求項に記載の面状発熱体の製造方法。
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