JP2005093076A - シート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】防水性、絶縁性、屈曲性または可撓性に優れたシート状発熱体を、簡易な方法により得ることができ、利用形態に合わせた加工技術が容易、施工技術が容易なシート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置を提供すること。
【解決手段】シート状発熱体10は、不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布1を用いてなるものであって、該導電性不織布1には帯状電極3、3が設けられ、該導電性不織布1は、PETなど可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム5、5によりラミネート加工されている構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】シート状発熱体10は、不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布1を用いてなるものであって、該導電性不織布1には帯状電極3、3が設けられ、該導電性不織布1は、PETなど可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム5、5によりラミネート加工されている構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置に関し、特に、防水性、絶縁性、屈曲性に優れたシート状発熱体を簡易な方法により得ることのできる、シート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シート状発熱体は、融雪、水道管等の凍結防止、保温用等に用いるためのものであり、従来種々のものが提案され、また製品化されて市場に提供されている。旧来の線発熱(ニクロム線等、線状発熱素子を用いたもの。)では、発熱、断熱を繰り返すことによって素子が老朽劣化し、断線などの危険性があり、また面全体を均一な温度にするのが難しい上、複雑な形状に対する施工が困難であるという欠点がある。また、線熱の集束体である導電繊維を使った発熱体は、屈曲に弱いという欠点がある。シート状発熱体の取り扱い性、施工性を高め、用途拡大を図るためには、屈曲性、可撓性に優れたものが望まれる。
【0003】
屈曲性または可撓性のよいシート状発熱体の提案状況を知るため、特許出願等状況の検索調査を試みた。特許庁ホームページ上の特許電子図書館(IPDL)の、特許実用新案公報テキスト検索メニューを用い、下記条件にて検索した。
検索式
要約+特許請求の範囲=(シート or 面)and 発熱体 and 不織布and 炭素繊維 and(フィルム or 曲 or可撓 or 変形 or PET)
検索対象:公開特許公報、公開実用新案公報、特許公報、実用新案公報。
【0004】
検索結果
公開特許公報 ヒット件数6件
1.特開平10−027677 シリカ膜で被覆した面状発熱体
2.特開平10−027675 弾性面状発熱体とこれを利用した発熱製品
3.特開平09−283266 面状発熱体の製造方法
4.特開平08−261569 液体の流下規正部材
5.特開平07−184627 香味を送り込む電気喫煙装置およびその製造方法
6.特開平06−220876 凍結防止マンホール
公開実用新案公報 ヒット件数1件
1.実開平05−013219 うちわ
計7件
【0005】
このうち、特開平10−027677「シリカ膜で被覆した面状発熱体」(特許文献1)は、炭素繊維混抄紙などのような比較的粗な組織の面状発熱シートにシリカ溶液を含浸させ硬化させてシリカ膜を形成させることにより、機械的強度を与え、内部組織を固定化し、電気抵抗値を安定させた、電気絶縁性・防水性・耐薬品性をもつ面状発熱体を提案している。ここでシリカ溶液は、好適にオルガノポリシロキサンを主材とする液状ガラス前駆体を用い、これは面状発熱シートの内部組織のすき間に浸透するとともにシート表面に膜を形成するとしている。
【0006】
また、特開平10−027675 弾性面状発熱体とこれを利用した発熱製品(特許文献2)は、炭素繊維混抄紙または導電性織物などのような面状発熱素材に電極と引出し線をつけた面状発熱素子を、ポリウレタンまたはポリブタジエンなどのようなエラストマーの中に密封状に包被して形成される弾性面状発熱体を提案している。ここで面状発熱素材は、シリカ膜を含浸硬化させたもの、あるいはさらにラミネートフィルムで被覆したものを用い、構成された弾性面状発熱体はそのままで、あるいはシートゴムやチップゴム、その他の外装材と組合わせて融雪マットやボードなどのような発熱用製品とされる旨述べられている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−027677号公報 「シリカ膜で被覆した面状発熱体」。要約。特許請求の範囲、請求項1〜7。図面、図1。
【特許文献2】
特開平10−027675号公報 「弾性面状発熱体とこれを利用した発熱製品」。要約。特許請求の範囲、請求項1〜4。発明の詳細な説明、段落0003〜0006、図2、3。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、屋外で使用する融雪用マットあるいは融雪用ボードを主たる用途と想定して構成された特許文献1および2に示された提案は、屈曲性や可撓性がないか、あるいは不充分である。より屈曲性に優れたシート状発熱体を実現できれば、屋根、玄関先等の融雪、水道等の凍結防止等一般的な利用の他に、冬季間の鉄道、道路の交通安全確保、電力設備、冬季育苗等の農水関連、等に利用が可能になり、冬季寒冷または多雪地域の社会、経済、産業、そして個人生活全般にわたって大きく貢献できると考えられる。
【0009】
また特許文献2の提案は、特にエラストマーによる弾性付与を必須構成とし、さらに好適には硬化シリカ膜の形成やポリエチレン等によるラミネートを用いるなど、その構成は複雑であり、製造工程が多くなって製造コスト上も不利であり、難点がある。
【0010】
本発明の課題は、かかる従来技術の欠点を解消し、防水性、絶縁性、屈曲性または可撓性に優れたシート状発熱体を、簡易な方法により得ることができ、利用形態に合わせた加工技術が容易、施工技術が容易なシート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は上記課題につき鋭意検討し、屈曲性のあるシート状発熱体は導電炭素繊維を含む不織布を、PETフイルム等の可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで被覆する構成を得、解決手段に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1) 不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布を用いてなるシート状発熱体であって、該導電性不織布には電極が設けられ、該導電性不織布は可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムによりラミネート加工されていることを特徴とする、シート状発熱体。
【0012】
(2) 前記熱可塑性樹脂製フィルムに係る樹脂は、重縮合系または開環重合系の熱可塑性樹脂であることを特徴とする、(1)に記載のシート状発熱体。
(3) 前記熱可塑性樹脂製フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル製フィルムか、またはポリイミド製フィルムであることを特徴とする、(1)に記載のシート状発熱体。
【0013】
(4) 前記不織布構成基材は和紙原料であり、前記導電性繊維は炭素繊維であることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載のシート状発熱体。
【0014】
(5) 前記電極は、前記導電性不織布の片面側に圧着された帯状の電極であることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載のシート状発熱体。
【0015】
(6) 不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布の片面側の対向する二辺上に帯状電極を載置し、該導電性不織布を、これを被覆し得る大きさの可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟み、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるようラミネート加工を施すことによりシート状発熱体を得る、シート状発熱体製造方法。
【0016】
(7) ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出し、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断し、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極を載置し、該シート状導電性不織布の上下を可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟み、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるようラミネート加工を施すことによりシート状発熱体を得る、シート状発熱体製造方法。
【0017】
(8) 前記シート状導電性不織布の送出、長さの設定および切断が、これらの設定および制御を行うための不織布供給制御手段により行われることを特徴とする、(7)に記載のシート状発熱体製造方法。
【0018】
(9) ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出する不織布送出手段と、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断する不織布切断手段と、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極が載置され、該シート状導電性不織布の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟まれ、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるラミネート加工が施されるラミネート加工手段と、該シート状導電性不織布の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布供給制御手段と、を備えることによりシート状発熱体を得ることのできる、シート状発熱体製造装置。
【0019】
(10) ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出する不織布送出手段と、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断する不織布切断手段と、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極を載置するためにこれを送出する電極送出手段と、送出された該帯状電極を適宜の長さに切断する電極切断手段と、該帯状電極が載置された該シート状導電性不織布の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟まれ、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるラミネート加工が施されるラミネート加工手段と、該シート状導電性不織布または該帯状電極の少なくともいずれか一方の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布等供給制御手段と、を備えることによりシート状発熱体を得ることのできる、シート状発熱体製造装置。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下、図中、同一の構成要素に対しては同一の符号を付して説明する。
図1は、本発明に係るシート状発熱体の断面構成を示す説明図である。図において本シート状発熱体10は、不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布1を用いてなるものであって、該導電性不織布1には電極3、3が設けられ、該導電性不織布1は可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム5、5によりラミネート加工されていることを、主たる構成とする(請求項1)。
【0021】
図において該電極3、3は適宜の電源に接続され得るよう、端子部分が本シート状発熱体10の外部に露出して設けることができる。該電極3、3の露出する端子部分においては、本シート状発熱体10内部の防水性および絶縁性を確保すべく、適宜方法による封止手段を設けることが望ましい。
【0022】
図において、本シート状発熱体10に係る前記熱可塑性樹脂製フィルム5としては、特に、重縮合系または開環重合系の熱可塑性樹脂製のフィルムを用いることができる(請求項2)。たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル製フィルムや、または、より耐熱性に優れたポリイミド製フィルムを用いることができるが(請求項3)、ラミネート加工により前記シート状導電性不織布1および電極3を密封することのできる素材であれば、その他適宜の熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。また、該シート状導電性不織布1を構成する不織布の構成基材としては和紙原料を用い、同じく導電性繊維としては炭素繊維を用いることができる(請求項4)。すなわち、和紙原料中に炭素繊維が混抄された状態の不織布を用いることができるが、その他の構成のものを排除するものではない。図においてまた、本シート状発熱体10に係る該電極3は、該導電性不織布1の片面側に圧着された帯状の電極とすることができる(請求項5)。
【0023】
【作用】
図1において本発明のシート状発熱体10は上述のように構成されているため、電極3、3が適宜の電源に接続されることによって、シート状導電性不織布1には電気が供給されて、これを構成する導電性繊維が発熱し、ラミネート加工により該シート状導電性不織布1を密封している可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム5、5を通して、熱が外部に供給され、シート状発熱体として作用する。本シート状発熱体10は可撓性熱可塑性樹脂製フィルム5の使用により、屈曲性、可撓性に優れる。また、該フィルム5による密封のため、内部のシート状導電性不織布1における防水性および絶縁性に優れる。
【0024】
本発明のシート状発熱体は、上述の構成および作用を有するため、ビル、一般住宅、駐車場、鉄道の信号機・ポイント、電力鉄塔の碍子、道路信号機・標識、高速道路緊急設備、駅プラットホーム・盲人用案内表示、青空駐車の車体カバー、などにおける融雪や凍結防止に、幅広く用いることができる。その他、施設園芸等での育苗用保温ヒーターや、ゴキブリ捕獲機にも用いることができる。
【0025】
本発明シート状発熱体を構成するシート状導電性不織布1としては、たとえば和紙原料と炭素繊維をロール紙状に生成した不織布発熱素材(CFP、呉羽化学製)を好適に用いることができる。また、CFPを絶縁フィルム素材(PET製、ポリイミド製のフィルム等)で挟み込むラミネート加工技術としては、たとえば富士精工株式会社のラミネート加工技術を、ラミネート用絶縁フィルム素材については、たとえば日本マタイ工業株式会社製のものを、好適に用いることができる。また、帯状電極3としては、たとえば銅板状のプレート電極等適宜のものを用いることができる。
【0026】
図2は、本発明に係るシート状発熱体の平面構成を示す説明図であり、ラミネート加工された熱可塑性樹脂製フィルム5を一部剥いだ状態の図である。図において本シート状発熱体10は上述のとおり、不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布1を用いてなるものであって、該導電性不織布1には電極3、3が設けられ、該導電性不織布1は可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム5、5によりラミネート加工され構成であり、該電極3、3は適宜の電源に接続され得るよう、端子部分が本シート状発熱体10の外部に露出して設けられる。該電極3、3の露出する端子部分においては、本シート状発熱体10内部の防水性および絶縁性を確保すべく、適宜方法による封止手段が設けられる。
【0027】
図3は、本発明のシート状発熱体製造方法を示すフロー図である。図において本製造方法は、不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布11の片面側の対向する二辺上に帯状電極13を載置する工程P1と、ついで、該帯状電極13の載置された該導電性不織布11を、これを被覆し得る大きさの可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム15で上下各方向から挟み、該フィルム15に対する加熱手段により該帯状電極13の載置された該導電性不織布11が該フィルム15により密封されるようラミネート加工を施す工程P2とを備えて構成され、これらの工程P1およびP2を経ることにより、シート状発熱体100が得られる(請求項6)。
【0028】
すなわち図において、工程P1では、前記シート状導電性不織布11の片面側の対向する二辺上に前記帯状電極13が載置され、ついで工程P2では、該帯状電極13の載置された該導電性不織布11が、これを被覆し得る大きさの可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム15により上下各方向から挟まれ、該フィルム15に対する加熱手段により該帯状電極13の載置された該導電性不織布11が該フィルム15により密封され、つまりラミネート加工が施される。これらの工程P1およびP2を経ることにより、シート状発熱体100が得られる。
【0029】
本製造方法において、ラミネート加工のための加熱手段としては、たとえば、上下に配置された加熱機構付きの圧着ローラーなど、公知の適宜の手段を用いることができる。また前記電極13は、適宜の電源に接続できるよう、その端子部が本シート状発熱体100の外部に露出するように設けることができる。この場合、本シート状発熱体100の内部の防水および絶縁のため、適宜の方法により封止処理をすることが望ましい。
【0030】
図4は、本発明のシート状発熱体製造方法を示す別のフロー図である。図において本製造方法では、ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布11を送出し(工程P11)、送出された該シート状導電性不織布11を適宜の長さに切断し(工程P12)、切断された該シート状導電性不織布11の長手方向両端部に帯状電極13を載置し(工程P13)、該シート状導電性不織布11の上下を可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム15で挟み(工程P20)、該フィルム15に対する加熱手段により該帯状電極13の載置された該導電性不織布11が該フィルム15により密封されるようラミネート加工を施す(工程P30)、各工程を経ることにより、シート状発熱体100が得られる(請求項7)。
【0031】
本製造方法において、工程P11ではロールに巻かれている前記シート状導電性不織布11が送出され、ついで工程P12では、送出された該シート状導電性不織布11が適宜の長さに切断され、ついで工程P13では、切断された該シート状導電性不織布11の長手方向両端部に帯状電極13が載置され、その後は図3と同様の工程を経る。このようにロール状に巻かれているシート状導電性不織布11を用いて本発明のシート状発熱体100を製造する場合、該不織布11を適宜の長さで切断できる工程P12を設けることにより、道路の融雪、水道管等の凍結防止、建物の保温用、車両上の積雪の融雪など、各用途に応じて必要なサイズのシート状発熱体を製造することができる。なお、帯状電極13もロール状に巻いたものを用い、さらにこれを適宜の長さで切断する工程・手段を加えることもできる。
【0032】
図において、本製造方法では、前記シート状導電性不織布11の送出、長さの設定および切断が、これらの設定および制御を行うための不織布供給制御手段M50により行われることとすることができる(請求項8)。該不織布供給制御手段50Mとしてはコンピュータを用いることができ、この場合、該不織布11の送出長さ測定手段、該不織布11の長さ設定手段、測定長さと設定長さの比較手段、比較手段において発生する信号に基づき該不織布11の切断を指令する手段を備えた構成とすることができる。
【0033】
以上説明した各製造方法により、防水性および絶縁性に優れ、かつ屈曲性または可撓性に優れ、さらに利用形態に合わせた加工技術が容易、施工技術が容易なシート状発熱体を、簡易な方法により得ることができる。
【0034】
図5は、本発明のシート状発熱体製造装置の断面構成を示す説明図である。図において本装置50は、ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布51を送出する不織布送出手段52と、送出された該シート状導電性不織布51を適宜の長さに切断する不織布切断手段51Cと、切断された該シート状導電性不織布51の長手方向両端部に帯状電極53が載置され、該帯状電極53が載置された該シート状導電性不織布51の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム55T、55Bで挟まれ、該フィルム55T、55Bに対する加熱手段58により該帯状電極53が載置された該導電性不織布51が該フィルム55T、55Bにより密封されるラミネート加工が施されるラミネート加工手段59と、該シート状導電性不織布51の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布供給制御手段56と、を備えて構成され、本装置50を用いることによりシート状発熱体を得ることができる(請求項9)。
【0035】
図において本装置50は上述のように構成されるため、不織布送出手段52により、ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布51が送出され、不織布切断手段51Cにより、送出された該シート状導電性不織布51が適宜の長さに切断され、切断された該シート状導電性不織布51の長手方向両端部に帯状電極53が載置され、さらに不織布供給制御手段56により、該シート状導電性不織布51の送出、長さの設定および切断は制御される。そして、ラミネート加工手段59により、該帯状電極53が載置された該シート状導電性不織布51の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム55T、55Bで挟まれて、該フィルム55T、55Bに対する加熱手段58による加熱がなされて該帯状電極53が載置された該導電性不織布51が該フィルム55T、55Bにより密封され、本シート状発熱体が得られる。
【0036】
図において本装置50は上記構成に加えて、切断された該シート状導電性不織布51の長手方向両端部に帯状電極53を載置するためにこれを送出する電極送出手段と、送出された該帯状電極53を適宜の長さに切断する電極切断手段53Cとを備え、また前記不織布供給制御手段56は、該シート状導電性不織布51または該帯状電極53の少なくともいずれか一方の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布等供給制御手段とする、構成をとることもできる(請求項10)。
【0037】
かかる構成により本装置50は、電極送出手段により、切断された前記シート状導電性不織布51の長手方向両端部に帯状電極53を載置するためにこれが送出され、電極切断手段53Cにより、送出された該帯状電極53が適宜の長さに切断される。また、前記不織布供給制御手段56の制御対象として該帯状電極53を加えることにより、該帯状電極53の送出、長さの設定および切断についても設定および制御を行うことができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明のシート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置は上述のように構成されているため、防水性、絶縁性、屈曲性または可撓性に優れたシート状発熱体を、簡易な方法により得ることができるとともに、利用形態に合わせた加工技術が容易、施工技術が容易である。したがって、各種建築物、各種構造物、道路・鉄道、車両などでの融雪や凍結防止用途に、幅広く用いることができる他、施設園芸等での育苗用保温ヒーターや、ゴキブリ捕獲機等の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート状発熱体の断面構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係るシート状発熱体の平面構成を示す説明図である。
【図3】本発明のシート状発熱体製造方法を示すフロー図である。
【図4】本発明のシート状発熱体製造方法を示す別のフロー図である。
【図5】本発明のシート状発熱体製造装置の断面構成を示す説明図である。
【符号の説明】
10、100…シート状発熱体
1、11、51…シート状導電性不織布
3、13、53…電極
5、15、55T、55B…熱可塑性樹脂製フィルム
50…シート状発熱体製造装置
51C…不織布切断手段
52…不織布送出手段
53C…電極切断手段
58…加熱手段
59…ラミネート加工手段
P1、P2、P11、P12、P13、P20、P30…シート状発熱体製造の工程
M50…不織布供給制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明はシート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置に関し、特に、防水性、絶縁性、屈曲性に優れたシート状発熱体を簡易な方法により得ることのできる、シート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シート状発熱体は、融雪、水道管等の凍結防止、保温用等に用いるためのものであり、従来種々のものが提案され、また製品化されて市場に提供されている。旧来の線発熱(ニクロム線等、線状発熱素子を用いたもの。)では、発熱、断熱を繰り返すことによって素子が老朽劣化し、断線などの危険性があり、また面全体を均一な温度にするのが難しい上、複雑な形状に対する施工が困難であるという欠点がある。また、線熱の集束体である導電繊維を使った発熱体は、屈曲に弱いという欠点がある。シート状発熱体の取り扱い性、施工性を高め、用途拡大を図るためには、屈曲性、可撓性に優れたものが望まれる。
【0003】
屈曲性または可撓性のよいシート状発熱体の提案状況を知るため、特許出願等状況の検索調査を試みた。特許庁ホームページ上の特許電子図書館(IPDL)の、特許実用新案公報テキスト検索メニューを用い、下記条件にて検索した。
検索式
要約+特許請求の範囲=(シート or 面)and 発熱体 and 不織布and 炭素繊維 and(フィルム or 曲 or可撓 or 変形 or PET)
検索対象:公開特許公報、公開実用新案公報、特許公報、実用新案公報。
【0004】
検索結果
公開特許公報 ヒット件数6件
1.特開平10−027677 シリカ膜で被覆した面状発熱体
2.特開平10−027675 弾性面状発熱体とこれを利用した発熱製品
3.特開平09−283266 面状発熱体の製造方法
4.特開平08−261569 液体の流下規正部材
5.特開平07−184627 香味を送り込む電気喫煙装置およびその製造方法
6.特開平06−220876 凍結防止マンホール
公開実用新案公報 ヒット件数1件
1.実開平05−013219 うちわ
計7件
【0005】
このうち、特開平10−027677「シリカ膜で被覆した面状発熱体」(特許文献1)は、炭素繊維混抄紙などのような比較的粗な組織の面状発熱シートにシリカ溶液を含浸させ硬化させてシリカ膜を形成させることにより、機械的強度を与え、内部組織を固定化し、電気抵抗値を安定させた、電気絶縁性・防水性・耐薬品性をもつ面状発熱体を提案している。ここでシリカ溶液は、好適にオルガノポリシロキサンを主材とする液状ガラス前駆体を用い、これは面状発熱シートの内部組織のすき間に浸透するとともにシート表面に膜を形成するとしている。
【0006】
また、特開平10−027675 弾性面状発熱体とこれを利用した発熱製品(特許文献2)は、炭素繊維混抄紙または導電性織物などのような面状発熱素材に電極と引出し線をつけた面状発熱素子を、ポリウレタンまたはポリブタジエンなどのようなエラストマーの中に密封状に包被して形成される弾性面状発熱体を提案している。ここで面状発熱素材は、シリカ膜を含浸硬化させたもの、あるいはさらにラミネートフィルムで被覆したものを用い、構成された弾性面状発熱体はそのままで、あるいはシートゴムやチップゴム、その他の外装材と組合わせて融雪マットやボードなどのような発熱用製品とされる旨述べられている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−027677号公報 「シリカ膜で被覆した面状発熱体」。要約。特許請求の範囲、請求項1〜7。図面、図1。
【特許文献2】
特開平10−027675号公報 「弾性面状発熱体とこれを利用した発熱製品」。要約。特許請求の範囲、請求項1〜4。発明の詳細な説明、段落0003〜0006、図2、3。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、屋外で使用する融雪用マットあるいは融雪用ボードを主たる用途と想定して構成された特許文献1および2に示された提案は、屈曲性や可撓性がないか、あるいは不充分である。より屈曲性に優れたシート状発熱体を実現できれば、屋根、玄関先等の融雪、水道等の凍結防止等一般的な利用の他に、冬季間の鉄道、道路の交通安全確保、電力設備、冬季育苗等の農水関連、等に利用が可能になり、冬季寒冷または多雪地域の社会、経済、産業、そして個人生活全般にわたって大きく貢献できると考えられる。
【0009】
また特許文献2の提案は、特にエラストマーによる弾性付与を必須構成とし、さらに好適には硬化シリカ膜の形成やポリエチレン等によるラミネートを用いるなど、その構成は複雑であり、製造工程が多くなって製造コスト上も不利であり、難点がある。
【0010】
本発明の課題は、かかる従来技術の欠点を解消し、防水性、絶縁性、屈曲性または可撓性に優れたシート状発熱体を、簡易な方法により得ることができ、利用形態に合わせた加工技術が容易、施工技術が容易なシート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は上記課題につき鋭意検討し、屈曲性のあるシート状発熱体は導電炭素繊維を含む不織布を、PETフイルム等の可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで被覆する構成を得、解決手段に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1) 不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布を用いてなるシート状発熱体であって、該導電性不織布には電極が設けられ、該導電性不織布は可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムによりラミネート加工されていることを特徴とする、シート状発熱体。
【0012】
(2) 前記熱可塑性樹脂製フィルムに係る樹脂は、重縮合系または開環重合系の熱可塑性樹脂であることを特徴とする、(1)に記載のシート状発熱体。
(3) 前記熱可塑性樹脂製フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル製フィルムか、またはポリイミド製フィルムであることを特徴とする、(1)に記載のシート状発熱体。
【0013】
(4) 前記不織布構成基材は和紙原料であり、前記導電性繊維は炭素繊維であることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載のシート状発熱体。
【0014】
(5) 前記電極は、前記導電性不織布の片面側に圧着された帯状の電極であることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載のシート状発熱体。
【0015】
(6) 不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布の片面側の対向する二辺上に帯状電極を載置し、該導電性不織布を、これを被覆し得る大きさの可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟み、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるようラミネート加工を施すことによりシート状発熱体を得る、シート状発熱体製造方法。
【0016】
(7) ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出し、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断し、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極を載置し、該シート状導電性不織布の上下を可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟み、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるようラミネート加工を施すことによりシート状発熱体を得る、シート状発熱体製造方法。
【0017】
(8) 前記シート状導電性不織布の送出、長さの設定および切断が、これらの設定および制御を行うための不織布供給制御手段により行われることを特徴とする、(7)に記載のシート状発熱体製造方法。
【0018】
(9) ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出する不織布送出手段と、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断する不織布切断手段と、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極が載置され、該シート状導電性不織布の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟まれ、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるラミネート加工が施されるラミネート加工手段と、該シート状導電性不織布の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布供給制御手段と、を備えることによりシート状発熱体を得ることのできる、シート状発熱体製造装置。
【0019】
(10) ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出する不織布送出手段と、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断する不織布切断手段と、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極を載置するためにこれを送出する電極送出手段と、送出された該帯状電極を適宜の長さに切断する電極切断手段と、該帯状電極が載置された該シート状導電性不織布の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟まれ、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるラミネート加工が施されるラミネート加工手段と、該シート状導電性不織布または該帯状電極の少なくともいずれか一方の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布等供給制御手段と、を備えることによりシート状発熱体を得ることのできる、シート状発熱体製造装置。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下、図中、同一の構成要素に対しては同一の符号を付して説明する。
図1は、本発明に係るシート状発熱体の断面構成を示す説明図である。図において本シート状発熱体10は、不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布1を用いてなるものであって、該導電性不織布1には電極3、3が設けられ、該導電性不織布1は可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム5、5によりラミネート加工されていることを、主たる構成とする(請求項1)。
【0021】
図において該電極3、3は適宜の電源に接続され得るよう、端子部分が本シート状発熱体10の外部に露出して設けることができる。該電極3、3の露出する端子部分においては、本シート状発熱体10内部の防水性および絶縁性を確保すべく、適宜方法による封止手段を設けることが望ましい。
【0022】
図において、本シート状発熱体10に係る前記熱可塑性樹脂製フィルム5としては、特に、重縮合系または開環重合系の熱可塑性樹脂製のフィルムを用いることができる(請求項2)。たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル製フィルムや、または、より耐熱性に優れたポリイミド製フィルムを用いることができるが(請求項3)、ラミネート加工により前記シート状導電性不織布1および電極3を密封することのできる素材であれば、その他適宜の熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。また、該シート状導電性不織布1を構成する不織布の構成基材としては和紙原料を用い、同じく導電性繊維としては炭素繊維を用いることができる(請求項4)。すなわち、和紙原料中に炭素繊維が混抄された状態の不織布を用いることができるが、その他の構成のものを排除するものではない。図においてまた、本シート状発熱体10に係る該電極3は、該導電性不織布1の片面側に圧着された帯状の電極とすることができる(請求項5)。
【0023】
【作用】
図1において本発明のシート状発熱体10は上述のように構成されているため、電極3、3が適宜の電源に接続されることによって、シート状導電性不織布1には電気が供給されて、これを構成する導電性繊維が発熱し、ラミネート加工により該シート状導電性不織布1を密封している可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム5、5を通して、熱が外部に供給され、シート状発熱体として作用する。本シート状発熱体10は可撓性熱可塑性樹脂製フィルム5の使用により、屈曲性、可撓性に優れる。また、該フィルム5による密封のため、内部のシート状導電性不織布1における防水性および絶縁性に優れる。
【0024】
本発明のシート状発熱体は、上述の構成および作用を有するため、ビル、一般住宅、駐車場、鉄道の信号機・ポイント、電力鉄塔の碍子、道路信号機・標識、高速道路緊急設備、駅プラットホーム・盲人用案内表示、青空駐車の車体カバー、などにおける融雪や凍結防止に、幅広く用いることができる。その他、施設園芸等での育苗用保温ヒーターや、ゴキブリ捕獲機にも用いることができる。
【0025】
本発明シート状発熱体を構成するシート状導電性不織布1としては、たとえば和紙原料と炭素繊維をロール紙状に生成した不織布発熱素材(CFP、呉羽化学製)を好適に用いることができる。また、CFPを絶縁フィルム素材(PET製、ポリイミド製のフィルム等)で挟み込むラミネート加工技術としては、たとえば富士精工株式会社のラミネート加工技術を、ラミネート用絶縁フィルム素材については、たとえば日本マタイ工業株式会社製のものを、好適に用いることができる。また、帯状電極3としては、たとえば銅板状のプレート電極等適宜のものを用いることができる。
【0026】
図2は、本発明に係るシート状発熱体の平面構成を示す説明図であり、ラミネート加工された熱可塑性樹脂製フィルム5を一部剥いだ状態の図である。図において本シート状発熱体10は上述のとおり、不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布1を用いてなるものであって、該導電性不織布1には電極3、3が設けられ、該導電性不織布1は可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム5、5によりラミネート加工され構成であり、該電極3、3は適宜の電源に接続され得るよう、端子部分が本シート状発熱体10の外部に露出して設けられる。該電極3、3の露出する端子部分においては、本シート状発熱体10内部の防水性および絶縁性を確保すべく、適宜方法による封止手段が設けられる。
【0027】
図3は、本発明のシート状発熱体製造方法を示すフロー図である。図において本製造方法は、不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布11の片面側の対向する二辺上に帯状電極13を載置する工程P1と、ついで、該帯状電極13の載置された該導電性不織布11を、これを被覆し得る大きさの可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム15で上下各方向から挟み、該フィルム15に対する加熱手段により該帯状電極13の載置された該導電性不織布11が該フィルム15により密封されるようラミネート加工を施す工程P2とを備えて構成され、これらの工程P1およびP2を経ることにより、シート状発熱体100が得られる(請求項6)。
【0028】
すなわち図において、工程P1では、前記シート状導電性不織布11の片面側の対向する二辺上に前記帯状電極13が載置され、ついで工程P2では、該帯状電極13の載置された該導電性不織布11が、これを被覆し得る大きさの可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム15により上下各方向から挟まれ、該フィルム15に対する加熱手段により該帯状電極13の載置された該導電性不織布11が該フィルム15により密封され、つまりラミネート加工が施される。これらの工程P1およびP2を経ることにより、シート状発熱体100が得られる。
【0029】
本製造方法において、ラミネート加工のための加熱手段としては、たとえば、上下に配置された加熱機構付きの圧着ローラーなど、公知の適宜の手段を用いることができる。また前記電極13は、適宜の電源に接続できるよう、その端子部が本シート状発熱体100の外部に露出するように設けることができる。この場合、本シート状発熱体100の内部の防水および絶縁のため、適宜の方法により封止処理をすることが望ましい。
【0030】
図4は、本発明のシート状発熱体製造方法を示す別のフロー図である。図において本製造方法では、ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布11を送出し(工程P11)、送出された該シート状導電性不織布11を適宜の長さに切断し(工程P12)、切断された該シート状導電性不織布11の長手方向両端部に帯状電極13を載置し(工程P13)、該シート状導電性不織布11の上下を可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム15で挟み(工程P20)、該フィルム15に対する加熱手段により該帯状電極13の載置された該導電性不織布11が該フィルム15により密封されるようラミネート加工を施す(工程P30)、各工程を経ることにより、シート状発熱体100が得られる(請求項7)。
【0031】
本製造方法において、工程P11ではロールに巻かれている前記シート状導電性不織布11が送出され、ついで工程P12では、送出された該シート状導電性不織布11が適宜の長さに切断され、ついで工程P13では、切断された該シート状導電性不織布11の長手方向両端部に帯状電極13が載置され、その後は図3と同様の工程を経る。このようにロール状に巻かれているシート状導電性不織布11を用いて本発明のシート状発熱体100を製造する場合、該不織布11を適宜の長さで切断できる工程P12を設けることにより、道路の融雪、水道管等の凍結防止、建物の保温用、車両上の積雪の融雪など、各用途に応じて必要なサイズのシート状発熱体を製造することができる。なお、帯状電極13もロール状に巻いたものを用い、さらにこれを適宜の長さで切断する工程・手段を加えることもできる。
【0032】
図において、本製造方法では、前記シート状導電性不織布11の送出、長さの設定および切断が、これらの設定および制御を行うための不織布供給制御手段M50により行われることとすることができる(請求項8)。該不織布供給制御手段50Mとしてはコンピュータを用いることができ、この場合、該不織布11の送出長さ測定手段、該不織布11の長さ設定手段、測定長さと設定長さの比較手段、比較手段において発生する信号に基づき該不織布11の切断を指令する手段を備えた構成とすることができる。
【0033】
以上説明した各製造方法により、防水性および絶縁性に優れ、かつ屈曲性または可撓性に優れ、さらに利用形態に合わせた加工技術が容易、施工技術が容易なシート状発熱体を、簡易な方法により得ることができる。
【0034】
図5は、本発明のシート状発熱体製造装置の断面構成を示す説明図である。図において本装置50は、ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布51を送出する不織布送出手段52と、送出された該シート状導電性不織布51を適宜の長さに切断する不織布切断手段51Cと、切断された該シート状導電性不織布51の長手方向両端部に帯状電極53が載置され、該帯状電極53が載置された該シート状導電性不織布51の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム55T、55Bで挟まれ、該フィルム55T、55Bに対する加熱手段58により該帯状電極53が載置された該導電性不織布51が該フィルム55T、55Bにより密封されるラミネート加工が施されるラミネート加工手段59と、該シート状導電性不織布51の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布供給制御手段56と、を備えて構成され、本装置50を用いることによりシート状発熱体を得ることができる(請求項9)。
【0035】
図において本装置50は上述のように構成されるため、不織布送出手段52により、ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布51が送出され、不織布切断手段51Cにより、送出された該シート状導電性不織布51が適宜の長さに切断され、切断された該シート状導電性不織布51の長手方向両端部に帯状電極53が載置され、さらに不織布供給制御手段56により、該シート状導電性不織布51の送出、長さの設定および切断は制御される。そして、ラミネート加工手段59により、該帯状電極53が載置された該シート状導電性不織布51の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルム55T、55Bで挟まれて、該フィルム55T、55Bに対する加熱手段58による加熱がなされて該帯状電極53が載置された該導電性不織布51が該フィルム55T、55Bにより密封され、本シート状発熱体が得られる。
【0036】
図において本装置50は上記構成に加えて、切断された該シート状導電性不織布51の長手方向両端部に帯状電極53を載置するためにこれを送出する電極送出手段と、送出された該帯状電極53を適宜の長さに切断する電極切断手段53Cとを備え、また前記不織布供給制御手段56は、該シート状導電性不織布51または該帯状電極53の少なくともいずれか一方の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布等供給制御手段とする、構成をとることもできる(請求項10)。
【0037】
かかる構成により本装置50は、電極送出手段により、切断された前記シート状導電性不織布51の長手方向両端部に帯状電極53を載置するためにこれが送出され、電極切断手段53Cにより、送出された該帯状電極53が適宜の長さに切断される。また、前記不織布供給制御手段56の制御対象として該帯状電極53を加えることにより、該帯状電極53の送出、長さの設定および切断についても設定および制御を行うことができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明のシート状発熱体、その製造方法およびシート状発熱体製造装置は上述のように構成されているため、防水性、絶縁性、屈曲性または可撓性に優れたシート状発熱体を、簡易な方法により得ることができるとともに、利用形態に合わせた加工技術が容易、施工技術が容易である。したがって、各種建築物、各種構造物、道路・鉄道、車両などでの融雪や凍結防止用途に、幅広く用いることができる他、施設園芸等での育苗用保温ヒーターや、ゴキブリ捕獲機等の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート状発熱体の断面構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係るシート状発熱体の平面構成を示す説明図である。
【図3】本発明のシート状発熱体製造方法を示すフロー図である。
【図4】本発明のシート状発熱体製造方法を示す別のフロー図である。
【図5】本発明のシート状発熱体製造装置の断面構成を示す説明図である。
【符号の説明】
10、100…シート状発熱体
1、11、51…シート状導電性不織布
3、13、53…電極
5、15、55T、55B…熱可塑性樹脂製フィルム
50…シート状発熱体製造装置
51C…不織布切断手段
52…不織布送出手段
53C…電極切断手段
58…加熱手段
59…ラミネート加工手段
P1、P2、P11、P12、P13、P20、P30…シート状発熱体製造の工程
M50…不織布供給制御手段
Claims (10)
- 不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布を用いてなるシート状発熱体であって、該導電性不織布には電極が設けられ、該導電性不織布は可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムによりラミネート加工されていることを特徴とする、シート状発熱体。
- 前記熱可塑性樹脂製フィルムに係る樹脂は、重縮合系または開環重合系の熱可塑性樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のシート状発熱体。
- 前記熱可塑性樹脂製フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル製フィルムか、またはポリイミド製フィルムであることを特徴とする、請求項1に記載のシート状発熱体。
- 前記不織布構成基材は和紙原料であり、前記導電性繊維は炭素繊維であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のシート状発熱体。
- 前記電極は、前記導電性不織布の片面側に圧着された帯状の電極であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のシート状発熱体。
- 不織布構成基材と導電性繊維とからなるシート状導電性不織布の片面側の対向する二辺上に帯状電極を載置し、該導電性不織布を、これを被覆し得る大きさの可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟み、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるようラミネート加工を施すことによりシート状発熱体を得る、シート状発熱体製造方法。
- ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出し、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断し、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極を載置し、該シート状導電性不織布の上下を可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟み、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるようラミネート加工を施すことによりシート状発熱体を得る、シート状発熱体製造方法。
- 前記シート状導電性不織布の送出、長さの設定および切断が、これらの設定および制御を行うための不織布供給制御手段により行われることを特徴とする、請求項7に記載のシート状発熱体製造方法。
- ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出する不織布送出手段と、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断する不織布切断手段と、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極が載置され、該シート状導電性不織布の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟まれ、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるラミネート加工が施されるラミネート加工手段と、該シート状導電性不織布の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布供給制御手段と、を備えることによりシート状発熱体を得ることのできる、シート状発熱体製造装置。
- ロールに巻かれている前記シート状導電性不織布を送出する不織布送出手段と、送出された該シート状導電性不織布を適宜の長さに切断する不織布切断手段と、切断された該シート状導電性不織布の長手方向両端部に帯状電極を載置するためにこれを送出する電極送出手段と、送出された該帯状電極を適宜の長さに切断する電極切断手段と、該帯状電極が載置された該シート状導電性不織布の上下が可撓性の熱可塑性樹脂製フィルムで挟まれ、該フィルムに対する加熱手段により該導電性不織布が該フィルムにより密封されるラミネート加工が施されるラミネート加工手段と、該シート状導電性不織布または該帯状電極の少なくともいずれか一方の送出、長さの設定および切断について設定および制御を行うための不織布等供給制御手段と、を備えることによりシート状発熱体を得ることのできる、シート状発熱体製造装置。
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