JP7271175B2 - 試験のための改良された培養方法と装置 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は2015年5月8日に出願した米国仮出願第62/158,583号の利益を主張するとともに、参照によりその全体を本明細書に援用する。
本願発明の技術分野は一般に細胞培養装置に関する。より具体的には、本発明は、独自の形状を提供することによって、細胞間の相互作用のインビトロにおける研究のための能力を向上する方法および装置を対象とするものである。当該形状は、フィーディングのための介入の回数を減らしたり、細胞密度を高めたり、細胞の分泌物により勾配を形成したり、有機体の移動性について研究したり、がん細胞を発見および死滅させるT細胞の能力を評価したりするために利用することができる。
高密度で存在する細胞を培養したり評価したりするために用いられる現在の静置式インビトロ細胞培養装置は、細胞に栄養分を供給するための培地交換を頻繁にすることなくしては、長期間の培養プロセスを可能とすることはできない。このことは、様々な細胞分泌シグナルの濃度を高い頻度で変化させるという悪影響を有する。
現存する装置のデザインがいかに問題であるかの一例がT細胞治療の分野にある。T細胞治療の分野には、細胞傷害性T細胞がどのように腫瘍型の環境まで移動し、がん細胞を攻撃し、攻撃を継続することができるかを理解したいという願いがある。現在のところ、インビトロにおける典型的なアプローチは、がん細胞を従来型のマルチウェルプレートに播種することである。がん細胞はこのマルチウェルプレートでがん細胞を高密度で増殖させることができる何らかの形状の三次元マトリクスの中に沈降する。その後、がん細胞を死滅させることのできるタイプのT細胞をマルチウェルプレートに入れ、その中でT細胞のがん細胞を根絶させる能力を評価する。各ウェルで生存することになる多数の細胞は、各ウェルの非常に少量の培地に対して高い代謝要求を課す。この要求を満たすためには、培地を頻繁に交換しなければならない。このため、新鮮な培地が加わることによって、死滅させるプロセスに関与する重要な細胞シグナルが除去されたり希釈されたりしてしまう。したがって、培養条件はたびたび変化し、実験結果に影響を与えうる。さらに、がん細胞が量的に急速に増大すると、そのがん細胞の代謝要求を満たすために十分な頻度で培地を交換する能力は完全に失われ、実験期間がわずか数日に制限されてしまう。
この問題を避けるためによく用いられる方法は、重症複合免疫不全(SCID)マウスを用いることである。評価を行うには、がん細胞をマウスの体内に導入するか、マウスの体内でがん細胞を作り出す。その後、T細胞をマウスの体内に導入する。細胞の栄養要求はマウスによって従来のインビトロ装置を用いた場合よりも長い期間満たすことができ、また、インビトロの装置に特有の頻繁に起こる細胞条件の変化が回避される。しかしながら、マウスの使用が高度に制御されていても、マウス間のばらつきを予測するのは困難である。
本願明細書に開示した実施例は、さまざまな新規の特性を統合することのできる装置を作り出すことによって、従来の装置や方法の限界を克服できるより効率的な細胞培養装置と方法とを提供する。
米国特許第9,255,243号
長期培養をする場合や培養物内における細胞や物質を移動させたい場合、独自の形状を有するインビトロの装置が既存の装置よりも優れた代替手段となることを発見した。この新規の静置式装置および使用方法では培地攪拌機や培地かん流機や気体ポンプ装置を機能させることを要しない。
本明細書に開示した特定の実施例は、改良された細胞培養環境を提供する。この細胞培養環境では、既存の高密度静置培養装置ほど頻繁に栄養を補給する必要はなく、がん細胞などの細胞を高密度で生育させることができる。このことは、例えば、T細胞ががん細胞を攻撃しその攻撃を持続する能力を研究するため栄養補給でその攻撃プロセスを中断させることなく既存の最先端の装置よりも長い時間継続させたいような場合に有益となり得る。まったくプロセスを中断しない可能性も含め、培養液に栄養を供給するためにプロセスを中断する頻度が少ないほど、結果を評価する際に考慮すべき変数は少なくなる。
本明細書に開示した特定の実施例では、既存の静置細胞培養装置と比べて改良された形状について説明しており、この形状により装置内の物質や細胞を装置全体にわたって移動させることができる。この形状を変更すると、培地中の成分が区画間を移動する方法や、装置内の細胞が区画間を移動する方法を制御することができる。形状と材料を変更して栄養分と酸素の供給を増やすことによって、長期にわたって細胞を含む様々なプロセスの研究を行うことができる。
このような実施例を用いると、細胞がシグナルを発する能力、細胞がシグナルに応答する能力、細胞がシグナル源まで移動する能力を長期的に評価することができる。例えば、高密度で培養したがん細胞はケモカインシグナルの発生源となり得る。そのシグナルは迷路のように入り組んだ区画を通って移動し、最終的に装置内のT細胞に到達するとT細胞がこれに応答し、シグナル源を発見するまでその迷路の中を移動する。一旦、がん細胞が発生源であることをT細胞が発見すると、T細胞はがん細胞の死滅化を開始し、これを継続することができる。このようなプロセスを、フィーディングによって妨げられたり、装置を移動することに起因し得る培地内部の物理的な力によって妨げられたりすることなく進行させられるように、形状を適切な構造とすることができる。また、この装置はそのプロセスが視覚的に観察できるような構造とすることもできる。
そのような実施例では、遺伝子操作したT細胞の能力により、標的となるがん細胞を発見して標的となるがん細胞を死滅させ、標的となるがん細胞の死滅化を持続させることができる。装置の形状によって、他の遺伝子操作した特性を有するT細胞集団との比較を可能にする。それらは、遺伝子操作したT細胞が異なるタイプのがん細胞にいかに上手く応答することができるかを評価できるようにすることができる。それらはまた、天然型T細胞が腫瘍関連抗原に対してどのように応答するかということの評価も可能とする。
そのような実施例では、興味のある物質が区画間を移動する能力を変更することができたり、その物質が移動する経路を変更することができたり、その物質が移動する経路を開閉することができたりする。
本願明細書に開示した特定の実施例は、さまざまな新規の特性を一体化することができるより効率的な細胞培養装置を提供する。代表的な特性には、気体透過性材料の使用や、従来装置を上回る培地容量に加え、培養環境の乱れを減少させて高密度培養の長期にわたる研究を容易とすることのできる区画や、ケモカインなどの物質を含む興味のある対象物の移動を研究したり、細胞の移動について追跡したり、細胞間の相互作用を観察したりすることのできる機能などがある。
図1は一実施例の断面図を示し、この実施例は、がん細胞を死滅させ、かつその死滅化を継続するT細胞の能力に関する研究を含む、様々な細胞培養の用途に有益となりうる長期培養ができるようになっている。 図2A、図2B、図2Cは2つの区画を含む、区画化された装置の様々な図を示す。 図3A、図3B、図3Cは上記の図2A、図2B、図2Cで示した装置がどのように区画化され、どのように用いることができるかの一例を示す。 図4は3つの区画に区画化された装置の平面図を示す。 図5A、図5B、図5Cはそれぞれ本願発明の6つの区画を有する装置の取り得る構造の透視図を示す。 図6はパイ形状の区画を含む本願発明の円形形状を示す。 図7はパイ形状の区画を含む本願発明の円形形状を示す。 図8は対称でない区画に細分化した装置の一実施例を示す。 図9は区画間の培地の移動を最小限にするために用いることのできる通路の形状の一つを示す。 図10は区画間の培地の移動を最小限にするために用いることのできる通路の別の形状を示す。 図11は特定の用途での必要に応じて区画壁を任意の形状にすることができ、任意の量の材料を区画壁から除去できることを示す。 図12は、28日間にわたって次第に増加する生物発光シグナルにより示される、SCIDマウスおよび試作品において急増するがん細胞の代表例を示す。図12Bでは、試作品とSCIDマウスとAlgiMatrix(登録商標)3D培養システムのプレートとでがん細胞の増殖を比較している。 図13は従来型のAlgiMatrix(登録商標)3D培養システムのプレートで培養したがん細胞が、供給された栄養を急速に使い果たして7日目までに死滅したことを示す。 図14は、CAR-T細胞をSCIDマウスに投与した結果、2週間持続した腫瘍シグナルが減少したことと、本願発明の試験試作品に直接CAR-T細胞を加えたときに同じ抗腫瘍効果が見られたことを示す。 図15は本願発明がケモカイン勾配を装置全体にわたって形成することができるということを示す。 図16はCAR-T細胞の第1世代と第2世代とを識別するために本願発明を利用できるということをデータが示唆していることを示す。
図1は本願発明の一実施例の断面図を示し、培地攪拌機や培地かん流機や気体ポンプ機と統合されていない装置を示している。この装置はがん細胞を高密度で培養し、T細胞ががん細胞を死滅させてその死滅化を継続する能力を研究するために用いることができる。がん細胞1は静置細胞培養装置2の底部に存在している。上部は図示していないが、マルチウェルプレートでよく用いられるカバーのような簡単なものとすることができるし、閉じて自動アクセス用の構造としたものを含めてより高度なものとすることもできる。がん細胞培養装置2の中には培地3が入っている。装置の底部4は気体透過性材料、好ましくはシリコーンから成る。例えばテクスチャリングなどによって、細胞が区画の底部で接触する面を改変すれば、腫瘍をシミュレーションするためにがん細胞が高密度の状態で生存できるようにすることができる。表面の構造は、溝形状、ポケット形状、粗面形状などとすることができる。基本的には、底面が滑らかでない場合には、装置の底面が滑らかである場合と比べてがん細胞が接触する表面積を大きくすることができ、区画底部の1平方センチメートルあたりの細胞の増殖を促進することができる。また、細胞を高密度で培養したり、あるいは、より自然な物理的構造で細胞を培養したりするために、マトリクスを用いることもできる。一般に3次元培養といわれるものでは細胞培養するためにマトリクスが用いられることが多い。このマトリクスは底面に付着させることができるが、必ずしも底面に付着させる必要はない。またマトリクス材は、細胞がマトリクスと密接に接触できる状態で培養可能なマトリクス材や、細胞がマトリクス内部で一体化できる状態で培養可能なマトリクス材として当業者に知られているものであれば、どのような材料から構成してもよい。このような材料は、例えば、AlgiMatrix(登録商標)、コラーゲン、フィブロネクチン、プラスチック、焼結セラミックなどの天然材料または合成材料を含む、多くの選択肢から選択することができる。このような材料は、底部が気体透過性である場合、細胞が密接に接触できるようにすること(例えばがん細胞を使って腫瘍をシミュレーションする場合など)と、酸素が細胞に到達できるようにすることとを両立しなければならない。したがって、マトリクスは固形物質でないほうが好ましい。
この実施例は、例えばAlgiMatrix(登録商標)3D培養システムの24ウェルプレート(Gibcoカタログ番号12684-023)などの従来型のインビトロ培養装置の限界を克服する。気体透過性の底部を通して優れた酸素供給を提供するとともに大量の培地を供給することによって、T細胞を装置に加えてがん細胞を死滅させるT細胞の能力を長期間にわたって評価することができる。培地の底部の面積に対する体積の比率が、AlgiMatrix(登録商標)3D培養システムの24ウェルプレートでの比率を上回るようにすることによって、後で示すように、装置はより長期にわたって多くの点で有利に機能することができる。この底部の面積は底面が滑らかであると仮定して底面積を算出することにより決定する。これにより、表面の質感や成長マトリクスや追加の面積の他の形状などを考慮に含めることを回避する。培地の底面積に対する体積の比がAlgiMatrix(登録商標)3D培養システムの24ウェルプレートのその比を超えることが望ましい。したがって、望ましい実施例においては、底面積に対する培地体積の比は2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15またはこれらの間のいずれかの数値である。この底部はシリコーンからなっていることが望ましい。また、装置内でとりわけ蛍光検出によって細胞活性を評価する性能を改善するためには、少なくとも壁部は着色されるべきである。底部についても同様に着色されるのが望ましく、また壁部と底部の両方を着色することもできる。
図2Aは2つの区画を含む、区画化された装置10の平面図を示す。明確にするため、上部は取り除かれている。各区画の外周は正方形して示しているが、これらはどのような形にもすることができ、さらに各区画が同じ形または面積を有する必要はない。図2AのA-A間の断面図である図2Bに最もよく表れているように、通路14は区画11を隣接する区画12に接続している。この図2Bでは、区画を上部13とともに示している。その上部13は従来型のマルチウェルプレートの最上部に類似したものとすることができる。区画の底部は気体非透過性とすることも気体透過性とすることもできる。気体透過性とする場合、その材料は望ましくは液体非透過性とするべきである。各区画の底部15を気体透過性とすることによって、区画内に気体を送るための隙間を上部13に設ける必要がなくなり、コンタミネーションのリスクを最小化するために上部13を装置に密着させることができる。図2Bにおいて、上部13は従来型のマルチウェルプレートの上部と同じように上に載せて示している。脚部5を用いると区画の底部を持ち上げることができる。これは一つ以上の目的で役に立つ。例えば、底部を介して(倒立顕微鏡を使うなどして)区画の内容物を評価したい場合、この脚部があれば底部が傷付くなどして評価のしやすさを損なうことがないようにすることができる。一区画以上の区画の底部に気体透過性材料を使用したい場合、脚部で底部を高い位置に上げることで、その周囲の気体が自発的に気体透過性材料に接触するのを容易にすることができる。この底部が気体透過性である場合、周囲の気体を気体透過性材料と接触させるために気体をポンプで送り込むなどして強制的に移動させたりする必要はなく、底部を周囲の気体と接触させるのがよい。周囲の気体が気体透過性材料と非積極的、非強制的に接触できるようにすると同時に気体透過材料を水平面に保持するための技術についてさらに知るためには、米国特許第9,255,243号を読むことを当業者に勧める。当該文献は、その全体を参照により本願明細書に援用する。図2Cは図2AのB-B断面図を示す。この図2Cにおいて、通路14は隣接する区画11と12を分ける壁の開口部である。通路14は、一方の区画の内容物が他方の区画と連通できるようにする開口部であればどのような開口部とすることもできる。
図3A、図3B、図3Cは、上述の図2A、図2B、図2Cに示した区画化された装置10をどのように使用することができるかの一例を示す。この装置の形状により、T細胞がケモカイン勾配を認識し、その勾配を辿り、がん細胞を発見し、がん細胞の死滅化を開始し、死滅化を継続させる能力を評価することが可能となる。図3Aに示すように、がん細胞16は区画11に存在し、T細胞18は区画12に存在する。矢印20はがん細胞16から分泌されるケモカインが高濃度の場所から低濃度の場所に移動するときに通路14を通って移動する方向を示している。図3Bの矢印22は、T細胞がケモカイン源を探し求めて低濃度の場所から高濃度の場所に移動するときに通路14を通って移動する方向を示している。図3CはT細胞ががん細胞16を探し求めて区画11にどのように移動したかを示す。明確にするため、培地の存在は示さなかった。この装置の形状により、T細胞がケモカイン勾配を認識し、その勾配を辿り、がん細胞を発見し、がん細胞の死滅化を開始し、死滅化を継続する能力を評価することができる。
多様なデザインの特性を用いることによって、装置の性能を変えたり、その性能を特定の用途に最適化したりすることができる。例があれば、装置の性能を具体的な用途により良く適合させるためにデザインの特性をどのように変化させればよいかを説明する手助けとなりうる。一例として、装置の使用者ががん細胞を発見して死滅させるT細胞の能力を評価しようとするような用途が挙げられる。この用途における装置の重要な一側面は各区画の底部の形状である。がん細胞が存在する区画では、がん細胞は腫瘍をシミュレーションするために高密度で生育することが望ましい。装置の中の、がん細胞が存在しない場所においては、T細胞ががん細胞の位置まで移動するのを妨げない環境を作り出すことをデザインの目標としたほうがよい。したがって、T細胞が通過する表面は平らでかつざらつきのないものとしたほうがよい。滑らかな表面仕上げは、平らでかつ均一な硬さを有し、はっきりとわかるほどの突起、こぶ、ぎざぎざなどが無いものが望ましい。プラスチック技術者協会(SPE)の表面仕上げの表面仕上げ2番がさらに望ましく、SPE表面仕上げ1番が最も望ましい。また、装置の使用時に細胞が移動する面は概して水平であるのが望ましい。これは、細胞が坂を上ったり、重力によって坂を下ったりする可能性を最小化するためである。これらのどちらの状況であってもT細胞の移動が表面を水平とした場合の実際の移動よりも早かったり遅かったりしたのではないかと研究者に誤解させる可能性がある。この意図するところは、T細胞をケモカイン刺激によってがん細胞に向かって移動させて、がん細胞を発見する能力に関してT細胞を評価できるようにすることである。したがって、このデザインの意図は、T細胞をがん細胞の方に移動させようとする不必要な力や、がん細胞の方に移動するT細胞の能力を弱める不必要な力を最小化することにある。当業者であれば完全な水平面というものがありそうもないことに気が付くはずであるが、従来型のマルチウェルプレートや市販されているG-Rex(登録商標)装置によく見られる面に似たものが適している。不必要な力は重力の影響だけでなく、装置が移動するときの培地の惰力も含む。様々なデザインの通路や通路の位置によって惰力の影響を最小化する方法については、後に詳細に述べる。さらに、細胞の移動が求められる場合、細胞が移動すると予想される通路において細胞と接触すると期待される材料は、細胞の移動を促進できるように疎水性であることが望ましい。言い方を変えれば、細胞の移動が求められる場合、移動する細胞と接触する材料は、細胞が接着し得る材料にしないほうがよいということである。
各区画の底部は細胞培養に用いられる任意の材料で作製することができ、気体透過性である必要はない。この材料には、例えば従来型のマルチウェルプレートに一般に見られる厚みのポリスチレンなどがある。しかしながら、後述するように、我々は底部に気体透過性材料を用いることで利点を生み出せることを発見した。この材料は膜やフィルムなどにすることすることができ、または例えばシリコーン、フルオロエチレンポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリスチレンおよびエチレン酢酸ビニル共重合体などの気体透過性細胞培養装置に用いる材料とすることができる。当業者であれば理解できることであるが、気体透過性材料は、気体透過性、透湿性、細胞同士に求められる相互作用のために変化する能力、光学的透明度、物理的強度などを含む様々な特性に基づいて選択すべきである。細胞培養に用いられてきた実績のある気体透過性材料の種類について記載する情報は様々なものが存在する。シリコーンは望ましい選択である。シリコーンは酸素透過性に優れ、光学的観察が可能で、簡単には穴があかず、通常は細胞が接着せず、本願発明に適する様々な形状に容易に成形することができる。
壁の高さによって装置内にどれくらいの量の培地が入るかを決定することができる。培地を加えることで基質源を多く供給でき、排出物溜めも大きくなる。壁の高さを高くし、区画内に入る培地の量を大きくすることにより、フィーディングの頻度を減らし培地中の溶質および物質の濃度の変化を少なくする効果を持たせることができる。また、このことは装置の底面積1平方センチメートルあたりに存在する細胞の数を増加させる効果がある。
また、2つ以上の区画を使用したい場合があるかもしれない。図4は3つの区画に区画化された装置の平面図を示す。明確にするため、区画の境界と区画間の通路に関連しない部材は示していない。この構成は、様々な種類のがん細胞を認識する異なるT細胞集団の能力を評価するために用いることができる。例えば、一種類のがんに由来するがん細胞を区画化された装置23の区画24に配置することができる。あるT細胞集団を区画25内に配置し、別のT細胞集団を区画26に配置することができる。がん細胞がケモカインシグナルを分泌するとき、がん細胞に最もよく応答してがん細胞まで移動することができる種類のT細胞を観察することができる。このような評価は、例えば遺伝子操作によってそれぞれ異なる特性が与えられたT細胞集団を評価する際に有用となり得る。この構成とすれば、最も早くがん細胞に移動する遺伝子操作T細胞集団は、遺伝子操作した特性がインビボにおいてどれほど上手く機能すると予測されるかを評価するために役立つ可能性がある。
T細胞の応答における差異がT細胞に起因し、区画内の形状や区画内の材料の種類に起因するものとならないようにするため、区画25と区画26は、同じ形状かつ同じ材料を供給することを考慮して作られるのが望ましい。したがって、区画25と区画26は同じ形状かつ同じ材料であることが望ましい。鍵となる特徴は区画間の通路の配置である。当業者には、区画間の通路を一つのみとする必要はないということを知っておいてほしい。この図においては、明確にするために1つの通路のみ示している。区画25と区画24との間の通路は、区画26と区画24の間の通路と同じ形状に形成されるのが望ましい。通路を設計する際に考慮すべき重要な点は、区画24に対して同じ関係となるように通路を配置することである。例えば、図4の通路27は区画25を区画24から分ける壁の中央にあり、通路28は区画26を区画24から分ける壁の中央にある。がん細胞が各々の区画全体に均一に分散すると仮定すると、このことは、ケモカインシグナルがおおよそ同時におおよそ同じシグナル濃度でT細胞に到達することを確実にする助けとなる。
図4に示す形状の別の用途としては、T細胞を区画24に配置した後、2種類の異なる種類のがん細胞を区画25と区画26に配置することである。この構成では、異なる種類のがん細胞に対するT細胞の応答と異なる種類のがん細胞に向かうT細胞の移動とに関してT細胞を評価することができる。このような用途は、一以上の腫瘍関連抗原を認識するT細胞からなるT細胞集団を、がん細胞集団などの異なる種類の腫瘍を認識する能力について評価するときに、とくに有益となり得る。また、本願のいずれの実施例においても、がん細胞の認識能力と死滅化能力を評価する際に、実際の腫瘍断片をがん細胞の代わりに用いることができる。
区画数は1,2,3,4,5,6およびそれ以上の数を用いることができる。上述したように、区画の形状は正方形または長方形に限定されない。図5A,図5Bおよび図5Cはそれぞれ本願発明の6区画を有する装置の取り得る形状の斜視図を示す。個々の区画間の通路は、例えばケモカインや細胞などの移動する物質や微生物が区画間を移動できるように様々なパターンで形成することができる。図示した各形状において矢印29は移動経路を示しており、移動は区画30で始まって、矢印29の矢じりが終了するところでその移動が終了する。図5A,図5B,図5Cには通路の具体的な配置を示していないが、これは通路の位置によって区画間に様々な経路を作りだすことができるという点に焦点を絞るためである。経路によっては装置を移動させるときの培地の惰力を他の経路と比較して最小化し、装置を操作する間の液体の移動によって区画から区画へとシグナルが伝わる可能性を最小化することができる。この図において、各矢印は1箇所以上で向きを変えている。したがって、細胞が分泌するシグナルの発生源になると期待されるウェル一つと、細胞が分泌するシグナルの発生源に応答する細胞を含むと予想されるウェル一つとで装置を構成する場合、それらの個別のウェル間の通路は完全に一直線としないことが望ましい。シグナルの通路は、例えば図5Aに示すように、少なくとも1箇所で向きを変えるものが望ましく、また例えば図5Bに示すように1箇所以上で向きを変えるものがより望ましく、さらに図5Cの例に示すようにシグナル発生源ではない区画またはシグナルの最終目的地ではない区画のそれぞれで向きを変えるものがさらに望ましい。
図6はパイ形状の区画を含む本願発明の円形形状を示す。明確にするため、区画の輪郭および通路のみを示す。区画化された装置32内において、区画33は通路37によって区画34に接続されており、区画34は通路36によって区画35に接続されており、区画35は通路38によって区画33に接続されている。この構成において、各区画は通路によってそれぞれ隣接する区画と連通する。
図7はパイ形状の区画を含む本願発明の円形形状を示す。明確にするため、区画の輪郭および通路のみを示す。区画化された装置40内において、区画41、区画42、区画43はすべて通路44によって接続されている。これは、2以上の区画を1本の通路のみによって接続することが有益であると判断される場合にそれがどのように実現可能であるかを示す一つの例示的な実施例である。
図8は非対称な区画に細分化された区画化装置の一実施例を示す。区画化された装置46は区画47、区画48、区画49、区画50を含む。通路51、通路52、通路53によって区画49と区画50の間の物質移動ができるようになっている。装置の中心点に対する通路の位置が異なり、装置の設置面積を大きくすることなく移動経路を長くすることができる。
区画を分ける通路の形状、数および方向は性能に影響を与え得る。それらのデザインは、装置の内容物中の成分が区画から区画へと通過できるようにすることと、その成分を区画から区画へと押し進める物理的な力を最小化する必要性との間でバランスをとらなければならない。例えば、がん細胞を発見するT細胞の能力についてT細胞を観察する場合、その事象を観察するために装置を動かす行為そのものがその事象を促進してはならない。なお、区画間の通路の数を1本のみに限定する必要がないことに留意すべきである。通路の数は1本、2本、3本、4本、5本、6本等、何本でも用いることができる。ウェル間の通路のデザインもまたT細胞の移動に影響を及ぼし得る。例えば、装置をフローフードからインキュベーターに移動する場合に、通路を通って隣の区画に移動する培地の量を最小化することにより、培地の惰力でT細胞が別の区画に流れたりがん細胞が別の区画に流れたりするのを防ぐべきである。このことは、様々な方法で達成することができる。
図9は区画間の培地の移動を最小限にするために用いることができる通路の一つの形状を示す。通路56の壁58と壁59は、区画壁55を垂直に通り抜ける経路を形成していない。他方で、通路57の壁60と壁61は区画壁55を垂直に通り抜ける経路を形成している。どちらの通路を用いることもできるが、この場合、装置を操作する間は通路56を用いることで、培地の惰力に対する抵抗を作り出すことができる。
図10は、区画間の培地の移動を最小限にするために用いることができる通路の別の一つの形状を示す。通路63は区画壁62を垂直に通過する経路を形成していない。それどころか通路63は区画壁62内に2箇所の直角の曲がり角を含む。当業者は、惰力によって物質が区画壁を通過して流れるのを制限するため、通路に少なくとも1箇所の任意の角度の曲がり角を用いることができるということを認識されたい。
図11は、特定の用途における要求に応じて通路を任意の形状にすることができ、区画壁から任意の量の材料を除去することができることを示す。例えば、通路65は長方形であり、通路67は上部が円形になっている長方形であり、通路68は三角形である。通路66は区画壁69を完全に突き抜ける間隙である。区画壁69は底部70と結合している。区画壁を底部と一体的に成型する場合、区画壁を完全に突き抜ける間隙を設けると好都合である。その後、必要があれば間隙の一部を塞ぐために2つめの部材を区画壁に取り付けることができる。この場合、区画壁は開口部を有する最初の壁と、この開口部を狭める壁部材とを含むことになる。その開口部の大きさはその壁部材によって小さくなる。当業者には、ある1つの区画壁内で1本以上の通路を用いることができ、そうする場合その各通路は所定の用途に合わせて形状や、大きさや、断面積を変えることができるということを認識されたい。
通路は常に開けておく必要はない。通路には、区画から入ってきた内容物が壁を通過していくのを防ぐ閉じ具を設けることができる。区画の内容物を通路に通して流したい場合に閉じ具を開けることができる。
物質や物体の蛍光を観察したい実験に関しては、区画の壁や底部を光学的に透明ではなくすることが有益となり得る。プラスチック製の場合、着色剤を材料に含めるのがよい。壁と底部の材料選択もまた検討事項である。望ましい製造方法として、壁と底部をシリコーンで製造する方法がある。さらに望ましい製造方法として、壁と底部を射出成形し、その過程で接合する方法がある。蛍光マーカーの観察を含む用途には、シリコーンに着色剤を用いることが有益となり得る。着色された区画壁にシリコーンの底部をオーバーモールドするのもまた実際的となり得る。こうすると、壁を着色する一方で、シリコーンで作った底部は光学的に透明にすることができる。
この発明について、以下の非限定的な実施例を参照してさらに説明する。
例1
この新規の装置は、一般によく使用される従来型のインビトロ装置やSCIDマウスと比較して、がん細胞の研究に利益をもたらす。
本願発明の区画化された装置ががん細胞の培養に一般に用いられる標準的なインビトロ器具よりも優れた方法でがん細胞を維持できるかどうかを判断するための評価を行った。また、この評価ではSCIDマウスにおけるがん細胞のインビボ培養との比較も行った。
区画化された装置の一実施例の試作品を作製した。がん細胞を配置したこの装置は、面積が12cm2の正方形の底面を有し、底面は厚みが0.008~0.012インチのシリコーンで形成した。区画の壁は、培地が5cmの高さまで入る高さで、培地は底面の上に直接入れた。
この新規なアプローチによって腫瘍の増殖を長期間補助できることを確認するため、このプトロタイプを、がん細胞の研究によく用いられるAlgiMatrix(登録商標)3D培養システムの24ウェルプレート(Gibcoカタログ番号12684-023)と、SCIDマウスと比較した。この比較を開始するにあたり、まずAlgiMatrix(登録商標)3D培養システムの24ウェルプレートの6つのウェルそれぞれに、がん細胞株CAPAN-1の細胞を1×106個入れた。約24時間後、AlgiMatrix(登録商標)のバイオスキャフォールドにがん細胞が根付いてから、3つのバイオスキャフォールドを取り出し、3つの試作品の各々に個別に配置した。すなわち、各試作品はこのとき、がん細胞が根付いた1つのAlgiMatrix(登録商標)のバイオスキャフォールドを有していた。各試作品に60mlの培地を入れ、AlgiMatrix(登録商標)3D培養システムのプレートに残った3つのウェルそれぞれに2mlずつ十分に新鮮な培地を加えた。20匹のSCIDマウス(n=20)のそれぞれに、がん細胞株CAPAN-1の細胞を1×106個加えた。がん細胞の増殖は生物発光画像法によって観察した。図12は、28日間にわたって漸進的に増加した生物発光シグナルによって示される、SCIDマウスおよび試作品の中で増殖したがん細胞の代表例を示す。また、図12では試作品、SCIDマウス、AlgiMatrix(登録商標)3D培養システムのプレートのそれぞれのがん細胞の増殖を比較している。試作品におけるがん細胞の増殖は、SCIDマウスで観察されたものと似ていた。なお、対数スケールのグラフにおける小さなエラーバーが示すように、試作品の中の3つの複製物は似ていたが、一方で、SCIDマウスにおけるがん細胞の増殖は大きくばらついた。予想通り、図13に示すように、従来型のAlgiMatrix(登録商標)3D培養システムのプレートで培養したがん細胞は補給栄養分を急速に使い果たし、7日目までに死滅した。
例2
新規な装置は長期にわたる抗腫瘍効果を評価することができる機能を有する。
キメラ抗原受容体(CAR T)細胞を含むように遺伝子操作されたT細胞の抗腫瘍効果を本願発明においてもSCIDマウスで得られるものと同様の感受性および選択性で測定できるかどうかを調べるため、例1の構成の3つの試作品にがん細胞株CAPAN1の細胞を1×106個移植した。XX SCIDマウスにも同様にがん細胞株CAPAN-1の細胞を1×106個移植した。生着後、20×106個のCAR T細胞を各試作品に加えるとともに、各SCIDマウスに注入した。図14の左側のパネルに示すように、CAR T細胞をSCIDマウスに投与した結果、腫瘍シグナルが減少し、これが2週間持続した。このことは、注入したCAR T細胞がCAPAN-1株のがん細胞を死滅させ、抗腫瘍効果を生み出せたということを示唆している。図14の右側のパネルは、CAR T細胞を直接的に試作品に加えたときに、同じ抗腫瘍効果が見られたことを示す。これは、新規の試作品がSCIDマウスの適切な代わりとなり、研究者たちがSCIDマウスの代わりにさらに頻繁にインビトロ装置の使用に頼ることができることを実証している。
例3
本願発明によりケモカイン勾配が装置全体に形成されるようにすることができる。
試作品の試験装置は6つの区画で構成した。各区画の底面積は12cm2であった。壁は、培地が各区画の底面のすぐ上側に5cmの高さまで入るようにした。区画は従来の6ウェルプレートと同様のパターンで、3つの区画を1列としてこれを2列に並べて配置した。区画の個々の隣接する壁間にある小さな通路開口部によって、ケモカインが区画間を移動できるようにした。この開口部はおよそ2mm×2mmの大きさで、接続される区画間の壁の中央の基底部に存在した。図15の上部のパネルは、区画間の通路によって作り出される、予想される勾配方向を表示する矢印を示す。基本的に、このデザインは迷路のパターンであり、ケモカイン勾配を崩壊させずに装置を(例えばインキュベーターの中に)移動できるようにすることを目的としている。新規なデザインが勾配生成を補助しているかどうかを試験するため、装置の(図15に#1のウェルとして示した)1つの区画に24μgの組換え体MCP1を加えて混合した。次に、ウェル1~6におけるケモカイン濃度を24時間、48時間および72時間の時点で測定した。図15の下側のパネルは、表示された時点における異なるウェルのMCP1の濃度を示す。予想した通り、ウェル1におけるMCP1の濃度は時間が経つにつれて漸進的に減少し、経路沿いの区画内では通路によってMCP1の濃度が増加して検出可能となった。例えば、図15の#2(24時間)、#3(48時間)、#4(72時間)として指定された区画はMCP1の量が増加していることを示し、72時間で勾配が明確に見られた。このことは、本願発明がケモカイン勾配の生成を補助できるということを示しており、この装置を用いることで離れた位置にあるウェルの中のT細胞に届くケモカイン勾配を生成することができることを示唆している。そして、その離れた位置にあるウェルの中のT細胞は、それらの応答性で評価することができる。
例4
本願発明を用いてCAR T細胞の第一世代と第二世代とを識別することが可能であることをデータが示唆している。
例3の試作品のデザインを用いて膵臓がん細胞を標的とする能力を評価した。60mlの培地が各ウェルに入っていた。結果を図16に示す。CAPAN-1株の蛍光がん細胞の培養物を2つの試作品の区画6でそれぞれ配置した。第一世代のCAR T細胞を一方の試作品の区画番号1に配置した。第二世代のCAR T細胞をもう一方の試作品の区画番号1に配置した。これら両方の試作品において、CAR T細胞は、CAPAN-1株のがん細胞によって伝達されたケモカイン勾配を辿ってCAPAN-1株のがん細胞に到達した(遊走のデータは示してない)。当初は、第一世代および第二世代のCAR T変異体ががん細胞の蛍光を小さくする能力を示していたことから、これらの変異体はCAPAN-1株のがん細胞を死滅させる点で同様に効果的であったことを示しており、約12日目にはがん細胞がほとんど根絶していたように思われた。しかしながら、その後、第一世代のCAR T細胞ががん細胞を死滅させる能力を失い、がん細胞が回復した一方で、第二世代のCAR T細胞の持続性は飛躍的な向上を見せはじめ、抗腫瘍活性を持続することができた。なお、従来型のインビトロ装置では、2つの重要な理由により、これらのCAR T細胞の世代を識別することはできなかったであろうという点に留意することが重要である。第一に、従来型のインビトロ装置は遊走させることができず、がん細胞と同じ区画にT細胞を入れて実験を開始しなければならない。第二に、上述したように従来型のインビトロ装置では細胞が生存するための栄養が十分でないため、培養を2日以上継続させることができない(図13参照)。したがって、死滅させる能力の決定的な経時的変化を検出するためにがん細胞に対するT細胞の攻撃を十分長い期間観察することはできない。従来の方法を使うのであれば、科学者たちはSCIDマウスを用いることによってしかその変化を知ることができないであろう。したがって、本願発明によって手早く安価に得られる重要な情報を得るために、科学者たちはお金と時間を浪費してしまっていることになる。なお、この例では気体透過性材料を使用することにより、少なくとも28日間は培地交換をしなくて済むということも実証している。例3で行った実験の場合、装置内に十分な量(すなわち6つの区画に一区画あたり60ml=360ml)の培地が存在していたので、培地交換はしなかった。
非常に短い期間で行う短い距離の細胞遊走の実験に関しては、気体透過性材料の使用や大量の培地の使用に依存しない装置を作れば費用効果を高くすることができるということを当業者には認識されたい。そのような場合、少なくとも2つの区画を有する装置は、シグナルおよび細胞が区画から区画に移動できるように、区画間に通路を備えた構成とすべきである。しかしながら、例4に示すように、気体透過性材料を使用することにより、少なくとも28日間は培地交換をしなくて済むようにすることができる。
当業者であれば、本開示の趣旨から逸脱することなく多くの修正を加えることが可能であることを理解できるであろう。それゆえ、図解したり説明したりした実施例に本願発明の範囲を限定することは意図していない。むしろ、本願発明の範囲は添付の請求の範囲とその均等物によって解釈すべきものである。本願明細書に記載の出版物、特許、特許出願および参考文献のそれぞれは、参照によりその全体を本明細書に援用する。

Claims (7)

  1. 細胞培養装置であって、
    第1区画と、第2区画と、第3区画とを少なくとも備え、それぞれの区画が、隣接する区画から共有する壁によって仕切られており、壁は区画の底部に結合されており、区画は底面積(cm 2 )に対する培地体積(cm 3 )の比が少なくとも2となる体積の培地を保持するように構成されており、それぞれの区画が少なくとも一つの常開放の通路を含み、その常開放の通路は共有する壁を貫通する開口部であり、隣接する区画の底部を接続することで一方の区画の内容物を他方の区画と連通可能にしており、区画の底部は気体透過性であり、区画の底部と常開放の通路の底部とは共通の水平面において平らであり、培地攪拌機や、培地かん流機や、気体ポンプ装置を含まないことを特徴とする細胞培養装置。
  2. 請求項1に記載の細胞培養装置であって、取り外し可能な蓋を含むことを特徴とする細胞培養装置。
  3. 請求項1または2に記載の細胞培養装置であって、少なくとも1つの区画がマトリクスを含むことを特徴とする細胞培養装置。
  4. 請求項3に記載の細胞培養装置であって、マトリクスが底部に付着していることを特徴とする細胞培養装置。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の細胞培養装置であって、少なくとも1つの区画の少なくとも1つの壁が着色されていることを特徴とする細胞培養装置。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の細胞培養装置であって、少なくとも1つの区画の底部が着色されていることを特徴とする細胞培養装置。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の細胞培養装置であって、少なくとも1つの区画の底部が正方形または長方形であることを特徴とする細胞培養装置。
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