JP7270584B2 - 偏心回転弁 - Google Patents
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Description
この種の弁は、弁棒をその軸心周りに回転することによって、弁体弁座と弁箱弁座が接離して流入口と流出口は開閉され、貫通路が開閉されて、弁の開閉がなされる(特許文献1参照)。
このボールバルブは、弁箱の流入口と流出口の両者を封止するから、閉弁が確実であるとしている(特許文献2段落0001)。また、弁体弁座と弁箱弁座を異なる曲率の曲面としているため、閉弁トルクが大きく閉弁作用が確実であるとしている(同文献2段落0014)。
この三重偏心回転弁は、弁の開閉時、弁体弁座と弁箱弁座のシール面同士が摺動しないので、シール性能が維持でき、長寿命化が図れる上、弁を開ける時に発生するジャンピング現象が極限まで抑えられる作用効果があるとしている。
この作用をなすため、弁体弁座と弁箱弁座を形成する部材は円筒状をしており、一方を弾性材とするのが好ましいとしていることから(同文献2段落0015)、その弾性材の耐久性が問題である。
このように、弁箱の流入口と流出口側に弁箱弁座を設け、その両弁箱弁座に両弁体弁座が当接して、弁箱の流入口と流出口の両者を封止するから、閉弁が確実である。
弁体の表面形状が楕円球面、楕円錐面又は真球面で、かつ弁体弁座が弁体の表面から段差なく連続しておれば、その表面を流れる流体は曲線状を描くため、その流れが円滑である。
ここで、「楕円球面又は楕円錐面の表面形状」とは、それらの軸心に対して直交する面で切断すれば、その断面は楕円状となる楕円球体又は楕円錐体の表面形状の意である。また、「弁座の中心軸が弁棒の軸心から閉弁方向に偏心」とは、「弁座の中心軸が弁箱の軸心に対して閉弁方向に所要角度傾いてその弁棒の軸心を通らない態様」と言う(以下同様。)。
さらに、前記両弁座の中心軸が弁棒の軸心から閉弁方向にそれぞれ偏心しているため、閉弁時から、開弁する際、弁棒の開弁方向の回転開始と同時に、弁体弁座が弁箱弁座から離れて弁体弁座と弁箱弁座のシール面同士が摺動しないので、弁体を一旦持ち上げる必要もない。
また、閉弁している状態において、両弁体の開弁方向前側となる両弁棒取付部に亘って弁箱弁座に近接する突条を弁棒の左右に設け、その突条表面に弁箱周方向の溝を形成すれば、開弁している状態において、弁体の前記突条が弁箱弁座に近接して、この溝で流通を妨げるから、流入口から弁体周りを通って流出口側に流れる流体を極力抑制でき、貫通路に多くの流体を円滑に流すことができる。
このとき、弁箱弁座及び弁体弁座の楕円球面又は楕円錐面の中心軸(軸心)を弁箱の軸心(筒軸)に対して所要角度傾けて、弁箱弁座及び弁体弁座の当接面を弁箱の軸心に対して直交方向の真円で接して閉弁するようにすることができる。楕円球、楕円錐は軸心に対してある角度の斜めの面で切断すれば、その切断面は真円とし得るからである。
このようにすれば、略真円筒の配管に使用した際、流体の断面形状は略真円形であるため、弁孔が真円状となり、その流体断面形状が略真円形から真円状に変化することであって、圧力損失等が生じず、流体の安定した流通を確保できる。なお、この発明でいう「真円」とは、径が全周に亘って同一の円のみを言うのではなく、流通に影響がない程度の径変化の場合も含む。
弁棒2の一端(図1において上端)は外部に延び、ハンドル、アクチュエータ等の種々の手段によって回転される。
3aは弁体3の楕円球表面から段差なく連続しており、弁箱1の流入口4側及び流出口5側には前記弁体弁座3aが当接する弁箱弁座1a、1aが形成されている。その弁箱弁座1aは金属製シートリング8によって形成されている。このため、弁棒2の軸心aに対して対称左右にメタルシールの両弁座1a、3aがそれぞれ設けられた構成となっている。
なお、その所要角度θを適宜に選択することによって弁箱弁座1aと弁体弁座3aの当接面を弁箱1の軸心oに対して直交方向の真円とすることができる(弁孔4a、5aを真円とすることができる)。
また、閉弁状態において(図2の状態)、両弁体3、3の開弁方向(同図矢印方向)前側となる両弁棒取付部1b、1b(図1、図5参照)に亘って弁箱弁座1aに近接する突条11を弁棒2の左右に設け、その突条11表面に弁箱周方向の溝12を形成している(図5参照)。
このため、図2から図3に示す開弁時(図2の矢印方向)、弁体3の開弁方向前側が弁箱弁座1aに近接して(図3)、この溝12で流通を妨げるから、流入口4から弁体3回りを通って流出口5側に流れる流体wを極力抑制でき、貫通路7に多くの流体を円滑に流すことができる。
この溝12の数、幅、間隔は前記円滑な流通阻止が行われる作用がなされるように実験などによって適宜に設定する。
この開閉時、図1、図2に示すように、弁体3、3が弁孔4a、5aを閉じている閉弁状態において、図2矢印で示すように、弁棒2により弁体3、3を回転すると、弁体3は、その軸心(楕円錐中心線)cが弁箱1の軸心oに対して閉弁方向に所要角度θ傾いて(偏心して)弁棒2に取り付けられて、弁棒中心aから最も遠くて弁箱弁座1aと当接している長さLより、弁体弁座3aの前記回転方向の全ての面が弁棒中心aより短い(近い)ため、弁体弁座3aと弁箱弁座1aの当接面は瞬時に離れる(図4参照)。
このため、弁体弁座3aと弁箱弁座1aのシール面同士が摺動しないので、弁体3を一旦持ち上げる必要もなく、弁体3(弁座3a、1a)の摩耗は極めて少ない。
この開弁時、整流板10によって貫通路7内の流通が整流され、また、突条11及び溝12によって流入口4から弁体3回りを通って流出口5側に流れる流体(漏水)wが極力抑制される。このため、貫通路7に多くの流体wを円滑に流すことができる。
蛇腹状(ジグザグ)等と流通に支障がない限りにおいて任意である。
また、この実施形態は、弁体3の表面形状が楕円球面の場合であったが、楕円錐面又は真円球の場合であっても、この発明の作用効果を発揮する限りにおいて、同様に、弁体弁座3aと弁箱弁座1aとを楕円球面同士としたり、弁体弁座3aが楕円球面、弁箱弁座1aが楕円錐面としたり、弁体弁座3aと弁箱弁座1aとを楕円錐面同士としたりすることができる。また、流体wには、水やガス、及びそれらに微少な粒子が含まれる場合や粘性の高い流体等の特殊な流体等の種々のものが適用できることは勿論である。
さらに、実施形態においては、図2において、弁箱1の左側開口を流入口4、同右側開口を流出口5としたが、同左側開口を流出口5、同右側開口を流入口4とすることもできる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1a 弁箱弁座
1b 弁棒取付部
2 弁棒
3 弁体
3a 弁体弁座
4 弁箱流入口(流出口)
4a 流入口(流出口)側弁孔
5 同弁箱流出口(流入口)
5a 流出口(流入口)側弁孔
7 貫通路
10 整流板
11 突条
12 溝
a 弁棒の軸心
c 弁座の軸心(中心線)
o 弁箱の軸心(中心線、筒軸)
θ 弁座の傾斜角度
V 偏心回転弁(プラグ弁)
Claims (5)
- 流体(w)が内部を流れる筒状の弁箱(1)と、その弁箱(1)内に挿入された弁棒(2)と、その弁棒(2)にその軸心(a)に対して点対称左右にそれぞれ設けられた対の弁体(3、3)と、その両弁体(3,3)の間に形成された弁箱(1)の流入口(4)及び流出口(5)に連通する貫通路(7)と、を有し、その流入口(4)及び流出口(5)側の弁箱(1)内に弁箱弁座(1a、1a)をそれぞれ設けると共に、両弁体(3,3)には前記弁箱弁座(1a、1a)に当接する弁体弁座(3a、3a)をそれぞれ設けた偏心回転弁(V)において、
前記弁体(3、3)は、その軸心(c)が前記弁箱(1)の軸心(o)に対して所定角度(θ)傾いて前記弁棒(2)に取り付けられており、前記所定角度(θ)は、前記流入口(4)側及び前記流出口(5)側で同じであって前記弁棒(2)の前記軸心(a)に対して対称である偏心回転弁。 - 前記弁箱(1)は、前記流入口(4)側と前記流出口(5)側の二部材からなる請求項1に記載の偏心回転弁。
- 上記両弁体(3、3)の間に、上記貫通路(7)の流通方向の整流板(10)を設けた請求項1又は2に記載の偏心回転弁。
- 閉弁している状態において、上記両弁体(3、3)の開弁方向前側となる両弁棒取付部(1b、1b)に亘って上記弁箱弁座(1a)に近接する突条(11)を上記弁棒(2)の左右に設け、その突条(11)表面に上記弁箱(1)周方向の溝(12)を形成した請求項1乃至3の何れか1つに記載の偏心回転弁。
- 上記弁箱弁座(1a)及び弁体弁座(3a)の楕円球面又は楕円錐面の中心軸(c)を上記弁箱(1)の軸心(o)に対して所要角度(θ)傾けて、前記弁箱弁座(1a)及び
弁体弁座(3a)の当接面を前記弁箱(1)の軸心(o)に対して直交方向の真円で接して閉弁するようにした請求項1乃至4の何れか一つに記載の偏心回転弁。
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