JP7270497B2 - リサイクル資源の回収方法 - Google Patents
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Description
しかし、使用済みの吸収性物品は排泄物を含んでいる場合が多く、該吸収性物品から表面シート又は裏面シートに由来するシート片を効率的に取り出し、該シート片の材質等を正確に判定し分別することは困難であった。
分別された前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類ごとにペレットに成形する工程とを備えている、ペレットの製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明のペレットの製造方法及び本発明の製造装置によれば、特定の合成樹脂からなるペレットを容易に製造することができる。
本発明のペレットは、リサイクル資源として様々な用途に用いることができる。
まず、本発明のリサイクル資源の回収方法について説明する。本発明のリサイクル資源の回収方法は、吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品からリサイクル資源を回収する方法である。吸収性物品は、主として尿、経血、おりもの等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。使用済みの吸収性物品は、着用者が排泄した尿等の排泄物を吸収した後の吸収性物品を意味し、該吸収性物品中、特に吸収体中に水分を含んでいる。排泄物としては、身体から排泄される体液の他に、糞便等が挙げられる。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。吸収性物品は、典型的には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収性物品は更に、その具体的な用途に応じた各種部材を具備していても良い。そのような部材は当業者に公知である。
本発明において吸収性物品は、いわゆるパンツ型のおむつであってもよい。パンツ型のおむつは、典型的には、その長手方向の中央部に股下部を有し、該股下部の前後に延在する両部位のうちの一方の部位である背側部の両側部と、他方の部位である腹側部の両側部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、並びに着用者の胴が通されるウエスト開口部、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部が形成されている。
また本発明において吸収性物品は、いわゆるナプキンやパッド、パンティライナーであってもよい。ナプキンは、典型的には、その長手方向の中央部に股下部を有し、該股下部の前後に延在する背側部と、他方の部位である腹側部とが形成されている。
破砕工程後に得られる、表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片8は、目開きが、吸収体に含まれるパルプの標準的な長さである2mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、更に後続する分離工程において分離速度を向上するため、目開きが5mmの篩を通過できない大きさであることがより好ましく、10mmの篩を通過できない大きさであることが更に好ましく、更に20mmの篩を通過できない大きさであることがより更に好ましい。
破砕工程後に得られる、吸収性材料の塊9は、目開きが2mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、目開きが5mmの篩を通過できる大きさであることがより好ましく、10mmの篩を通過できる大きさであることが更に好ましく、20mmの篩を通過できる大きさであることがより更に好ましい。
分別工程においては、上述した分別方法のうち1種を単独で行ってもよいし、複数を組み合わせて行ってもよい。
第1実施態様では、凍結工程を行うことにより、吸収体4の衝撃強度が、表面シート2や裏面シート3に由来するシート片8の衝撃強度よりも大きく低下する。したがって、破砕工程において、吸収性物品1に衝撃を与えたときに、吸収体4が、表面シート2や裏面シート3に比して、より小さな小片へと破砕される。破砕工程後に得られる、吸収体4に由来する吸収性材料の塊と、表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片8とは、その大きさが大きく異なるため、表面シート2や裏面シート3に由来するシート片8と、吸収性材料とを、例えば篩にかける等の簡便な方法により分離することができる。
また、第1実施態様では、吸収体4中の水分を凍結させていることにより、破砕工程において吸収性物品1を破砕したときに、吸収性材料が表面シート2や裏面シート3に付着し難くなっている。これにより、分離工程において表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片8と吸収性材料とが分離し難くなってしまうことを防ぐことが可能となる。
このように、第1実施態様の回収方法によれば、吸収性物品1からシート片8を効率よく回収することができる。したがって、分別工程において、シート片8は吸収性材料や排泄物等を含まないため、シート片8を正確に分別することができる。このように、第1実施態様の回収方法によれば、リサイクル資源を効率的に回収することができる。
<シート片8に含まれる合成樹脂の比率の測定方法>
合成樹脂の比率を測定する方法は、前記分別工程に用いた分別方法と同様のものを用いることができる。さらに前記分別方法の中でも高度に分別できる電磁光学的手法が好ましく、FT-IR法(フーリエ変換型赤外分光法)、ラマン分光法、NMR法(核磁気共鳴)がさらに好ましい。また電磁光学的手法以外の方法では、DSC法(示差走査熱量分析)が好ましい。FT-IR法による合成樹脂の比率の測定方法は、例えば比率が既知のPEやPPの樹脂を用いて、PE由来の719cm-1のピークとPP由来の841cm-1または973cm-1のピークの高さを比較し、検量線を作成し、比率が未知の樹脂のPE及びまたはPPの比率を測定する方法がある。NMR法による合成樹脂の比率の測定方法は、例えば、PE由来の1.3ppmのピークとPP由来の0.9ppm、1.3ppm、1.6ppmを用いて、ピークの面積が水素原子の数に比例するため、PPの1水素分の1.6ppmのピークの面積と、PEの全水素分とPPの1水素分の合計の1.3ppmのピークの面積との面積比から、PPとPEの比を求めることができる。NMR法では、検量線を利用せず直接混合比を算出することができる。DSC法による合成樹脂の比率の測定方法は、例えば比率が既知の樹脂を用いて、ピークの出る温度とピークの面積を測定し、比率が未知の樹脂のピークの出た温度とピークの面積を比較することで、比率を測定する方法がある。
<ハンター白色度の測定方法>
白色基準板をハンター白色度0とする。光源の種類や光量、光源からの距離を一定にそろえ、白色基準板の、L値、a値、b値を色差計、色彩計などで測定し、測定した値をそれぞれL白色、a白色、b白色とする。次に、前記光源の種類や光量、光源からの距離を一定にそろえた条件で、ハンター白色度を測定したいシート片8を白色基準板に乗せ、L値、a値、b値を色差計、色彩計などで測定し、測定した値をそれぞれLシート、aシート、bシートとする。測定した結果をもとに、((Lシート-L白色)2+(aシート-a白色)2+(bシート-b白色)2)0.5を算出し、この値をハンター白色度とする。つまり、白色基準板より色が遠いほど、ハンター白色度が大きくなり、ハンター白色度が小さいほど、白色である。
粗破砕工程後に得られる、表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片は、目開きが5mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、目開きが10mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、目開きが20mmの篩を通過できない大きさであることがより好ましい。
粗破砕工程後に得られる、吸収性材料の塊は、目開きが5mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、目開きが10mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、目開きが20mmの篩を通過できる大きさであることがより好ましい。
本実施態様のペレットの製造方法は、上述した第1又は第2実施態様の回収方法(図2(a)~図(e)参照)により分別された状態として回収されたシート片8を、該シート片8に含まれる合成樹脂の種類ごとにペレット10に成形する成形工程(図2(f)参照)を備えている。シート片8を分別する工程は、上述した第1及び第2実施態様の回収方法と同様である。
本実施態様のペレットの製造方法においては、シート片8に含まれる合成樹脂の種類及び比率が同じである複数のシート片8を用いてペレット10を成形してもよいし、シート片8に含まれる合成樹脂の種類又は比率が異なる複数のシート片8を用いてペレット10を成形してもよい。つまり、製造されるペレット10に含まれる合成樹脂の種類やその比率が所望のものとなるように、適切なシート片8を適宜選択して使用することができる。例えば、ISO18263-1の規格を満たすペレットを製造してもよい。
ポリプロピレンは、比重が小さく(0.90~0.91)、耐熱性が比較的高く、機械的強度に優れることから、自動車部品、家電部品、包装フィルム、食品容器、キャップ、トレイ、コンテナ、パレット、衣装函、繊維、医療器具、日用品、ごみ容器などの製品に好適に用いられる。本実施形態のペレット10は、前記製品に好ましく用いられる観点から、ポリプロピレンの比率が、40%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは85%以上である。
溶媒の濃度の測定方法は、例えば、検知管を用いる方法、ガスクロマトグラフ分析法、ガスクロマトグラフ質量分析法等が挙げられる。溶媒がアセトンであった場合、例えばアセトン検知管を用いることができる。検知管を用いる方法は、簡便さから用いる溶媒に対応した検知管がある場合、好ましい方法となる。検知管を用いる方法は、例えば、シート片8を三角フラスコに入れ、上部から検知管を用いてフラスコ内の溶媒濃度を測定する方法が挙げられる。
成形部は、シート片8を、該シート片8に含まれる合成樹脂の種類に応じてペレットに成形することができるように構成されている。成形部は、上述した成形工程を行うことができる成形装置を備えていることが好ましい。そのような成形装置としては、例えば、ペレタイザーがあり、前記ペレットの製造方法と同様の方法を用いたペレタイザー等が挙げられる。
例えば、第1実施態様の回収方法では、分離工程において、篩を用いていたが、これに代えて、吸収性物品1の破砕混合物に気流を当て、大きさの小さい吸収性材料の塊を別の場所に移動させることにより、表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片と吸収性材料とを分離してもよい。
<1>
吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品からリサイクル資源を回収するリサイクル資源の回収方法であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程後に、前記吸収性物品に衝撃を与え、該吸収性物品を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程後に、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とを分離する分離工程と、
前記分離工程後に、前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類に応じて分別する分別工程とを備える、リサイクル資源の回収方法。
<2>
前記分別工程において、電磁光学的手法を用いて前記シート片の分別を行う、前記<1>に記載のリサイクル資源の回収方法。
<3>
前記分別工程において、FT-IR法及び/又はラマン分光法を用いて前記シート片の分別を行う、前記<1>に記載のリサイクル資源の回収方法。
<4>
前記凍結工程よりも前に、前記吸収性物品を粗く破砕する粗破砕工程を有している、前記<1>~前記<3>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<5>
前記破砕工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、前記<1>~前記<4>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<6>
前記分離工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、前記<1>~前記<5>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<7>
前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる前記温度は、1気圧において、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは-5℃以下であり、更に好ましくは-10℃以下であり、より更に好ましくは-20℃以下である、前記<5>又は前記<6>に記載のリサイクル資源の回収方法。
<8>
前記分離工程においては、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とに振動を与えながら分離する、前記<1>~前記<7>の何れか1に記載のリサイクル資源の回収方法。
<10>
前記吸収性物品は、排泄物を含む使用済みの吸収性物品を含んでおり、
前記分離工程においては、前記シート片と、前記吸収性材料及び前記排泄物とを分離する、前記<1>~前記<9>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<11>
前記凍結工程は、前記吸収性物品を低温条件下に置くことにより行う、前記<1>~前記<10>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<12>
前記凍結工程は、好ましくは-5℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下で行う、前記<1>~前記<11>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<13>
前記破砕工程は、破砕機又は粉砕機を用いて行う、前記<1>~前記<12>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<14>
前記破砕工程は、圧縮型破砕機、打撃型破砕機、摩砕型破砕機、せん断型破砕機、又はこれらが複合化された装置を用いて行う、前記<1>~前記<13>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<15>
前記破砕工程後に得られる、前記シート片は、2mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、目開きが5mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、10mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、さらに20mmの篩を通過できない大きさであることがより好ましい、前記<1>~前記<14>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法。
<16>
破砕工程後に得られる、前記吸収性材料の塊は、目開きが2mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、目開きが5mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、10mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、20mmの篩を通過できる大きさであることがより好ましい、前記<1>~前記<15>の何れか1に記載のリサイクル資源の回収方法。
<17>
前記<1>~前記<16>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収方法により分別された状態として回収した前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類ごとにペレットに成形する工程を備えている、ペレットの製造方法。
<18>
吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品からリサイクル資源を回収するリサイクル資源の回収装置であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結部と、
前記吸収性物品に衝撃を与え、該吸収性物品を破砕する破砕部と、
前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とを分離する分離部と、
前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類に応じて分別する分別部とを備える、リサイクル資源の回収装置。
<19>
前記分別部は、電磁光学的手法を用いて前記シート片の分別を行う、前記<18>に記載のリサイクル資源の回収装置。
<20>
前記分別部は、FT-IR法及び/又は、ラマン分光法を用いて前記シート片の分別を行う、前記<18>に記載のリサイクル資源の回収装置。
<21>
前記凍結部は、液体冷媒に浸す装置、固体冷媒に接触させる装置、冷風を吹きかける装置、又はこれらが複合化された装置を備えている、前記<18>~前記<20>の何れか1つに記載のリサイクル資源の製造装置。
<22>
前記破砕部は、破砕機又は粉砕機を備えている、前記<18>~前記<21>の何れか1つに記載のリサイクル資源の製造装置。
<23>
前記破砕部は、圧縮型破砕機、打撃型破砕機、摩砕型破砕機、せん断型破砕機、及びこれらを複合化した装置からなる群から選択される1種又は2種以上を備えている、前記<18>~前記<22>の何れか1つに記載のリサイクル資源の製造装置。
<24>
前記破砕部及び前記分離部の何れか一方又は両方は、冷却手段を有している、前記<18>~前記<23>の何れか1つに記載のリサイクル資源の製造装置。
<25>
前記冷却手段は、前記破砕部又は前記分離部の温度を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度に維持することができるようになっている、前記<18>~前記<24>の何れか1つに記載のリサイクル資源の製造装置。
<26>
前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる前記温度は、1気圧において、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは-5℃以下であり、更に好ましくは-10℃以下であり、より更に好ましくは-20℃以下である、前記<25>に記載のリサイクル成形体の製造装置。
<27>
前記<18>~前記<26>の何れか1つに記載のリサイクル資源の回収装置と、
前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類に応じてペレットに成形する成形部とを備えている、ペレットの製造装置。
<28>
前記<17>の方法により製造されたペレット。
<29>
ポリプロピレンの比率が40%以上である、前記<28>に記載のペレット。
<30>
ポリプロピレンの比率が60%以上であり、好ましくは85%以上である、前記<28>に記載のペレット。
<31>
ポリプロピレンの比率が40%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは85%以上である、使用済み吸収性物品から得られたペレット。
<32>
ポリエチレンの比率が40%以上である、前記<28>~前記<31>の何れか1つに記載のペレット。
<33>
ポリエチレンの比率が60%以上であり、好ましくは85%以上である、前記<28>~前記<32>の何れか1つに記載のペレット。
<34>
ポリエチレンの比率が40%以上である、好ましくは60%以上であり、より好ましくは85%以上である、使用済み吸収性物品から得られたペレット。
<35>
ハンター白色度が5以下である、前記<28>~前記<34>の何れか1つに記載のペレット。
<36>
ハンター白色度が3以下である、前記<28>~前記<34>の何れか1つに記載のペレット。
<37>
アセトン濃度が40ppm以下である、前記<28>~前記<36>の何れか1つに記載のペレット。
<38>
アセトン濃度が10ppm以下である、前記<28>~前記<36>の何れか1つに記載のペレット。
<39>
溶媒濃度が嗅覚閾値以下である、前記<28>~前記<36>の何れか1つに記載のペレット。
吸収性物品として、メリーズテープおむつMサイズ(花王株式会社)を用いた。吸収性物品の、股下部の中央部の肌対向面側(着用時に着用者の肌側に向く面)に160gの人工尿を吸収させた後、常温で10分間放置した。人工尿の組成は、尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.110質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.197質量%、赤色2号(染料)0.010質量%、水(約96.88質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(約0.07質量%)の組成を有する混合物を、表面張力を53±1mN/m(23℃)に調整したものである。人工尿を吸収させ、常温で10分間放置した後の吸収性物品を、あらかじめ-25℃に設定したフリーザー(アズワン社製、ポータブル低温冷凍冷蔵庫、型番:SC-DF25、ナビス品番:1-8757-01)に投入し、3時間冷凍した。その後、吸収性物品をフリーザーから取り出し、吸収性物品を5cm角の矩形片に刻み、サンプル片を得た。サンプル片をクラッシャー(大阪ケミカル社製、ワンダークラッシャー、形式:WC-3、ナビス品番:1-3380-01)に投入し、回転数メモリ3で、10秒間破砕した。破砕したサンプル片を、目開き22.8mmの篩(アズワン社製、ISO3301-1/JIS Z-8801ステンレスふるい200Φ×60)上に載せて振とうして、吸収性物品の構成材料を、該篩を通過できるものとできないものとに分離した。篩を通過できなかったシート片を7個回収し、それぞれ実施例1~7とした。
吸収性物品として、メリーズテープおむつMサイズ(花王株式会社)に代えて、ムーニーテープおむつSサイズ(ユニ・チャーム株式会社)を使用した以外は実施例1~7と同様にして、篩を通過できなかったシート片を4個回収し、それぞれ実施例8~11を得た。
実施例1と同様にして、篩を通過できなかったシート片を1個回収し、該シート片を、アセトン(和光純薬製:和光一級)で洗ったものを比較例1とした。
(比較例2)
メリーズテープおむつMサイズ(花王株式会社)を5cm角の矩形片に刻み、サンプル片を得た。サンプル片をクラッシャー(大阪ケミカル社製、ワンダークラッシャー、形式:WC-3、ナビス品番:1-3380-01)に投入し、回転数メモリ3で、10秒間破砕した。破砕したサンプル片を、略均一に混ぜた後にヒートプレスでつぶして、単位坪量が20g/m2となったシートを得た。シートから5cm角の矩形のシート片を切り出し、該シート片を比較例2とした。
実施例及び比較例のシート片について、該シート片に含まれる合成樹脂の種類をFT-IR法により判定した。具体的には、FT-IRとしてATR法を用い、測定装置としてSpectrum One(+ Multiscope)(パーキンエルマー社製)を用い、ダイヤモンドプローブのクリスタル面にシート片を当て、波数分解能4cm-1で1回反射にて測定し、4回の積算の結果、出てきたIR波形を機器内のソフトで樹脂判定を行った。出てきた樹脂判定の結果、相関係数が0.9以上のものを樹脂の種類とした。測定不可とは前記相関係数が0.9未満のみの結果となったことを示す。
実施例及び比較例のシート片について、該シート片に含まれる合成樹脂の比率をDSC法により測定した。具体的には、前記合成樹脂の比率の測定方法と同様の方法で、DSC法を用いた。PE比率が既知(100%)である樹脂ペレットULT-ZEX2520F(プライムポリマー社製)と、PP比率が既知(100%)である樹脂ペレットS119(プライムポリマー社製)と、実施例及び比較例のシート片とを、それぞれ細かく刻み、約1mgずつアルミパンに計量し、ふたをして、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用い、熱分析を昇温速度10℃/minにて測定した。結果のチャートから、シート片の約120℃のピークの面積を、PE比率が既知(100%)である樹脂ペレットULT-ZEXのピーク面積で割ることで、PE比率を求め、シート片の約160℃のピークの面積を、PP比率が既知(100%)である樹脂ペレットS119のピーク面積で割ることで、PP比率を求めた。
実施例及び比較例のシート片について、目視により色を判定した。具体的には、3人の被験者にシート片の色を答えてもらい、3人とも白色と答えた場合に該シート片の色を白色とし、1人でも白色以外の色を答えた場合、答えた白色以外の色で一番多く出た色を該シート片の色とした。複数の色がまだら模様になっており、3人とも異なる色を示した場合は多色とした。
実施例及び比較例のシート片について、白色度を測定した。具体的には、前記ハンター白色度の測定方法と同様の方法を用い、ハンター白色度を白色度とした。色差計は簡易型分光色差計NF333(日本電色工業株式会社製)を用い、白色基準板は付属の標準板(白色面を測定面とする)を用い、光源は色差計内蔵の光源を用いることで、光源の種類や光量、光源からの距離を一定にそろえた。白色基準板のみと、白色基準板の上に乗せた実施例及び比較例のシート片で、それぞれ3回測定し、平均値から白色度を求めた。白色基準板のL白色、a白色、b白色はそれぞれ、95.55、0.62、2.53であった。
実施例及び比較例のシート片について、アセトン濃度を測定した。具体的には、前記溶媒の濃度の測定方法と同様の方法で、アセトン検知管を使った方法を用いた。シート片1枚を500ml三角フラスコ(SIBATA社製)に入れ、1分待ち、気体採取器(GASTEC社製:MODEL GV-100)を取り付けたアセトン検知管(北川式・光明理化 ガス検知管 アセトン 102SC)の先端部を、上部開口から三角フラスコ内に入れて、三角フラスコ内の気体100mlを検知管に採取し、1分後に検知管のメモリを確認した。その後すぐに、気体採取器(GASTEC社製:MODEL GV-100)を取り付けた別のアセトン検知管(北川式・光明理化 ガス検知管 アセトン 102SD)の先端部を、上部開口から三角フラスコ内に入れて、三角フラスコ内の気体200mlを検知管に採取し、3分後に検知管のメモリを確認した。2つの検知管のうち、一方の検知管がメモリ範囲内の値を示し、他方の検知管がメモリ範囲外の値を示す場合、メモリ範囲内の値を指示値とし、両方ともメモリ範囲の下限未満の場合、アセトン濃度は0ppmとし、両方ともメモリ範囲の上限以上の場合、アセトン濃度は40000ppm以上とした。
実施例及び比較例のシート片について、上述の方法により、合成樹脂の種類、合成樹脂の比率、色、白色度及びアセトン濃度を判定又は測定した結果を表2に示す。尚、比較例2のシート片について、色が多色でまだらとなっていたため、白色度を3回測るとバラバラな数値になるため、白色度は記載していない。
また実施例5~7、11のシート片は、該シート片に含まれる合成樹脂が、ポリエチレン及びポリプロピレンであり、ポリプロピレンの比率がそれぞれ、41%、41%、41%、61%となっている。したがって、実施例5~7、11のシート片は何れも、ISO18623-1に規定されるMPO(REC)の規格を満たしている(表1及び表2参照)。
一方、比較例1及び2のシート片は何れも、FT-IR法により合成樹脂の種類を判定した結果にノイズが多く、合成樹脂の種類を判定することはできなかった。
したがって、本発明のリサイクル資源の回収方法によれば、ISO18623-1に規定されるPP-M1(REC)やMPO(REC)の規格を満たすリサイクル資源を回収することができることが分かる。
また、実施例1~11のシート片は何れもアセトン濃度が0ppmであった。したがって、本発明のリサイクル資源の回収方法によれば、アセトン等の溶媒の臭いがしないリサイクル資源を回収することができることが分かる。
以上のように、本発明のリサイクル資源の回収方法によれば、リサイクル資源を効率的に回収することができることが分かる。
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
8 表面シート又は裏面シートに由来するシート片
9 吸収性材料の塊
Claims (6)
- 吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品からリサイクル資源を回収するリサイクル資源の回収方法であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程後に、前記吸収性物品に衝撃を与え、該吸収性物品を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程後に、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とを分離する分離工程と、
前記分離工程後に、前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類に応じて分別する分別工程とを備える、リサイクル資源の回収方法。 - 前記分別工程において、電磁光学的手法を用いて前記シート片の分別を行う、請求項1に記載のリサイクル資源の回収方法。
- 請求項1又は2に記載のリサイクル資源の回収方法により分別された状態として回収した前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類ごとにペレットに成形する工程を備えている、ペレットの製造方法。
- 吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品からリサイクル資源を回収するリサイクル資源の回収装置であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結部と、
前記吸収性物品に衝撃を与え、該吸収性物品を破砕する破砕部と、
前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とを分離する分離部と、
前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類に応じて分別する分別部とを備える、リサイクル資源の回収装置。 - 前記分別部は、電磁光学的手法を用いて前記シート片の分別を行う、請求項4に記載のリサイクル資源の回収装置。
- 請求項4又は5に記載のリサイクル資源の回収装置と、
前記シート片を、該シート片に含まれる合成樹脂の種類に応じてペレットに成形する成形部とを備えている、ペレットの製造装置。
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