JP7312624B2 - 吸収性物品の構成材料の分離回収方法 - Google Patents
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Description
ドライプロセスは、処理に水を用いない方法であり、使用済みの吸収性物品を、例えば、焼却処理したり、埋立て処理したり、乾燥ののち固形燃料にしたりする処理方法である。ドライプロセスとしては、例えば、特許文献1に記載された吸水材の焼却処理方法が知られている。特許文献1に記載された焼却処理方法は、使い捨ておむつ等の吸水した吸水材を冷凍固化させた後、粉砕し、得られた粉砕物を焼却することを特徴としている。
しかし、特許文献1に記載された焼却処理方法では、吸収性物品の廃棄物を焼却してしまうため、該吸収性物品の構成材料を回収し、再利用することができない。
特許文献2に記載された方法は、吸収性物品の構成材料を分離回収することは可能である。しかし、特許文献2に記載された方法では、吸収性物品を水で膨潤させているので、回収された吸収性物品の構成材料を再利用するためには、該構成材料を乾燥させるのに莫大なエネルギーが必要となる。
本発明の分離回収方法は、吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離回収する方法である。吸収性物品は、主として尿、経血、おりもの等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。排泄物としては、身体から排泄される体液の他に、糞便等が挙げられる。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。吸収性物品は、典型的には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収性物品はさらに、その具体的な用途に応じた各種部材を具備していても良い。そのような部材は当業者に公知である。
本発明の分離回収方法が適用される対象の吸収性物品は、いわゆるパンツ型のおむつであってもよい。パンツ型のおむつは、典型的には、その長手方向の中央部に股下部を有し、該股下部の前後に延在する両部位のうちの一方の部位である背側部の両側部と、他方の部位である腹側部の両側部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、並びに着用者の胴が通されるウエスト開口部、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部が形成されている。
また本発明の分離回収方法が適用される対象の吸収性物品は、いわゆるナプキンやパッド、パンティライナーであってもよい。ナプキンは、典型的には、その長手方向の中央部に股下部を有し、該股下部の前後に延在する背側部と、他方の部位である腹側部とが形成されている。
また第1実施態様の分離回収方法が適用される対象の吸収性物品は、展開型やパンツ型等の形態、使用済みであるか又は未使用であるか等の状態、大きさ等が異なる複数の吸収性物品の集合体であってもよい。すなわち、第1実施態様の分離回収方法は、単一品種の吸収性物品に適用することも可能であるが、介護施設等からの収集や家庭からの大規模収集により集められた吸収性物品の混在物に適用することも可能である。
破砕工程S2後に得られる、吸収性材料の塊は、目開きが2mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、目開きが5mmの篩を通過できる大きさであることがより好ましく、10mmの篩を通過できる大きさであることが更に好ましく、20mmの篩を通過できる大きさであることがより更に好ましい。
前記シート片に施される後処理としては、例えば、一般的な廃棄処理である埋め立て及び単純焼却等に加え、リサイクル処理が挙げられる。リサイクル処理は、廃棄物を再利用することで該廃棄物に付加価値を付与するために行う。前記シート片に施されるリサイクル処理としては、固形化し、固形燃料、高炉還元剤、コークス代替剤等にする処理、油化によりケミカル素材へ変化させる処理、洗浄し、プラスチックやプラスチックペレット等を製造する処理等が挙げられる。
また、第1実施態様では、凍結工程S1を行うことにより、吸収体4の衝撃強度が、表面シート2や裏面シート3に由来するシート片の衝撃強度よりも大きく低下する。したがって、破砕工程S2において、吸収性物品1に衝撃を与えたときに、吸収体4が、表面シート2や裏面シート3に比して、より小さな小片へと破砕される。破砕工程S2後に得られる、吸収体4に由来する吸収性材料の塊と、表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片とは、その大きさが大きく異なるため、表面シート2や裏面シート3に由来するシート片と、吸収性材料とを、例えば篩にかける等の簡便な方法により分離することができる。
また、第1実施態様では、吸収体4中の水分を凍結させていることにより、破砕工程S2において吸収性物品1を破砕したときに、吸収性材料が表面シート2や裏面シート3に付着し難くなっている。これにより、分離工程S3において表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片と吸収性材料とが分離し難くなってしまうことを防ぐことが可能となる。
このように、第1実施態様の分離回収方法によれば、吸収性物品の構成材料を簡便に分離回収することができる。
粗破砕工程S4後に得られる、表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片は、目開きが5mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、目開きが10mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、目開きが20mmの篩を通過できない大きさであることがより好ましい。
粗破砕工程S4後に得られる、吸収性材料の塊は、目開きが5mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、目開きが10mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、目開きが20mmの篩を通過できる大きさであることがより好ましい。
図3に、第2実施態様の分離回収方法のフローチャートを示す。第2実施態様の分離回収方法は、粗破砕工程S4と凍結工程S1と分離工程S3とをこの順で備える。粗破砕工程S4、凍結工程S1及び分離工程S3は、第1実施態様における粗破砕工程S4、凍結工程S1及び分離工程S3と同様にして行うことができる。
図4に、第3実施態様の分離回収方法のフローチャートを示す。第3実施態様の分離回収方法は、凍結工程S1と切断工程S5と材料分離工程S6とをこの順で備える。凍結工程S1は、第1実施態様における凍結工程S1と同様にして行うことができる。
大きさの差を利用して分離する方法としては、例えば、切断工程S5にて切断された吸収性物品1に振動を与えながら篩にかける方法を使用することができる。
このように、第3実施態様の分離回収方法によれば、吸収性物品の構成材料を簡便に分離回収することができる。
回収した未使用の吸収性材料は、例えば、猫砂の構成材料として再利用したり、吸収性物品の構成材料として再利用したりしてもよい。
回収した使用済みの吸収性材料及びシート片に、第1又は第2実施態様の分離回収方法を適用して、吸収性材料とシート片とを分離して回収してもよい。
第2実施形態の分離回収装置は、凍結部と、切断部と、吸水していない吸収性材料と吸水した吸収性材料とを分離する材料分離部とを、該装置の上流から下流に向かってこの順で備える。第2実施形態の分離回収装置においても、各部は、それぞれ独立していてもよいし、ベルトコンベア等からなる搬送部により連結され、連続していてもよい。
切断部は、吸収性物品1を切断することができるように構成されている。具体的には、切断部は、上述した切断工程S5を行うことができる切断装置を備えていることが好ましい。切断装置としては、上述した切断装置と同様のものが挙げられる。
材料分離部は、吸水していない吸収性材料と吸水した吸収性材料とを分離することができるように構成されている。具体的には、材料分離部は、上述した材料分離工程S6を行うことができる材料分離装置を備えていることが好ましい、材料分離装置としては、第1実施形態の分離回収装置に係る分離装置と同様のものを使用することができる。
例えば、第1実施態様では、分離工程S3において、篩を用いていたが、これに代えて、吸収性物品1の破砕混合物に気流を当て、大きさの小さい吸収性材料の塊を別の場所に移動させることにより、表面シート2又は裏面シート3に由来するシート片と吸収性材料とを分離してもよい。
<1>
吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離して回収する、吸収性物品の構成材料の分離回収方法であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程後に、前記吸収性物品に衝撃を与え、該吸収性物品を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程後に、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とを分離する分離工程とを備える、吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
前記凍結工程よりも前に、前記吸収性物品を粗く破砕する粗破砕工程を有している、前記<1>に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<3>
前記破砕工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、請前記<1>又は前記<2>に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<4>
前記分離工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、前記<1>~前記<3>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<5>
前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる前記温度は、1気圧において、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは-5℃以下であり、更に好ましくは-10℃以下であり、より更に好ましくは-20℃以下である、前記<3>又は前記<4>に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<6>
前記分離工程においては、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とに振動を与えながら分離する、前記<1>~前記<5>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離して回収する、吸収性物品の構成材料の分離回収方法であって、
前記吸収性物品を粗く破砕する粗破砕工程と、
前記粗破砕工程後に、前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程後に、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とを分離する分離工程とを備える、吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<8>
前記吸収性物品は、排泄物を含む使用済みの吸収性物品を含んでおり、
前記分離工程においては、前記シート片と、前記吸収性材料及び前記排泄物とを分離する、前記<1>~前記<7>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<9>
前記凍結工程は、前記吸収性物品を低温条件下に置くことにより行う、前記<1>~前記<8>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<10>
前記凍結工程は、好ましくは-5℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下で行う、前記<1>~前記<9>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
前記破砕工程は、破砕機又は粉砕機を用いて行う、前記<1>~前記<10>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<12>
前記破砕工程は、圧縮型破砕機、打撃型破砕機、摩砕型破砕機、せん断型破砕機、又はこれらが複合化された装置を用いて行う、前記<1>~前記<10>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<13>
前記破砕工程後に得られる、前記シート片は、2mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、目開きが5mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、10mmの篩を通過できない大きさであることが好ましく、さらに20mmの篩を通過できない大きさであることがより好ましい、前記<1>~前記<12>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<14>
破砕工程S2後に得られる、前記吸収性材料の塊は、目開きが2mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、目開きが5mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、10mmの篩を通過できる大きさであることが好ましく、20mmの篩を通過できる大きさであることがより好ましい、前記<1>~前記<13>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離して回収する、吸収性物品の構成材料の分離回収方法であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程後に、前記吸収性物品を切断する切断工程と、
前記切断工程後に、吸水していない前記吸収性材料と吸水した前記吸収性材料とを分離する材料分離工程とを備える、吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<16>
前記材料分離工程においては、吸水していない前記吸収性材料と吸水した前記吸収性材料とを分離するに際し、吸水していない前記吸収性材料と、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片とも分離する、前記<15>に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<17>
前記切断工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、前記<15>又は前記<16>に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<18>
前記材料分離工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、前記<15>~前記<17>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
<19>
前記材料分離工程において、吸水していない前記吸収性材料と吸水した前記吸収性材料とを、嵩密度又は大きさの差を利用して分離する、前記<15>~前記<18>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離回収する、吸収性物品の構成材料の分離回収装置であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結部と、
前記吸収性物品に衝撃を与え、該吸収性物品を破砕する破砕部と、
前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とを分離する分離部とを備える、吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
<21>
前記凍結部は、液体冷媒に浸す装置、固体冷媒に接触させる装置、冷風を吹きかける装置、又はこれらが複合化された装置を備えている、前記<20>に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
<22>
前記破砕部は、破砕機又は粉砕機を備えている、前記<20>又は前記<21>に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
<23>
前記破砕部は、圧縮型破砕機、打撃型破砕機、摩砕型破砕機、せん断型破砕機、及びこれらを複合化した装置を備えている、前記<20>~前記<22>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
<24>
前記破砕部及び前記分離部の何れか一方又は両方は、冷却手段を有している、前記<20>~前記<23>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
前記冷却手段は、前記破砕部又は前記分離部の温度を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度に維持することができるようになっている、前記<20>~前記<24>の何れか1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
<26>
前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる前記温度は、1気圧において、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは-5℃以下であり、更に好ましくは-10℃以下であり、より更に好ましくは-20℃以下である、前記<25>に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
<27>
吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離して回収する、吸収性物品の構成材料の分離回収装置であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結部と、
前記凍結工程後に、前記吸収性物品を切断する切断部と、
前記切断工程後に、吸水していない前記吸収性材料と吸水した前記吸収性材料とを分離する材料分離部とを備える、吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
吸収性物品として、メリーズテープおむつMサイズ(花王株式会社)を用いた。吸収性物品の、股下部の中央部の肌対向面側(着用時に着用者の肌側に向く面)に160gの人工尿を吸収させた後、常温で10分間放置した。人工尿の組成は、尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.110質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.197質量%、赤色2号(染料)0.010質量%、水(約96.88質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(約0.07質量%)の組成を有する混合物を、表面張力を53±1mN/m(23℃)に調整したものである。人工尿を吸収させ、常温で10分間放置した後の吸収性物品を、あらかじめ-25℃に設定したフリーザー(アズワン社製、ポータブル低温冷凍冷蔵庫、型番:SC-DF25、ナビス品番:1-8757-01)に投入し、3時間冷凍した。その後、吸収性物品をフリーザーから取り出し、吸収性物品の中央部の中心から長手方向の両端側に2.5cm離れた部分を幅方向に沿って切断し、長手方向の長さが5cmの矩形片を切り出した。該矩形片を長手方向の中央部で切断し、2つのサンプル片を得た。2つのサンプル片をクラッシャー(大阪ケミカル社製、ワンダークラッシャー、形式:WC-3、ナビス品番:1-3380-01)に投入し、回転数メモリ3で、10秒間破砕した。破砕したサンプル片を、目開き22.8mmの篩(アズワン社製、ISO3301-1/JIS Z-8801ステンレスふるい200Φ×60)上に載せて振とうして、吸収性物品の構成材料を、該篩を通過できるものとできないものとに分離した。
前記実施例1の破砕したサンプル片を、目開き11.4mmの篩(アズワン社製、ISO3301-1/JIS Z-8801ステンレスふるい200Φ×60)上に載せて振とうして、吸収性物品の構成材料を、該篩を通過できるものとできないものとに分離した。
人工尿を吸収させ、常温で放置した後の吸収性物品を、フリーザーに投入せずに、常温で4時間放置した後に切断した以外は、実施例1と同様にした。
図5に、実施例1及び比較例1の方法により吸収性物品の構成材料を分離した後の篩を上側から見た状態を示す。
実施例1の方法により分離した場合、図5(a)に示すように、篩の上には、表面シート又は裏面シートに由来するシート片のみが存在しており、前記シート片と吸収性材料とを分離して回収することができることが分かる。また実施例2も同様であった。
比較例1の方法では、図5(b)に示すように、篩の上には、表面シート又は裏面シートに由来するシート片のみならず、人工尿を吸収し赤色に着色された吸収性材料も存在している。また、図5(b)においては、前記シート片に吸収性材料が付着している部分も見られる。したがって、比較例1の方法では、前記シート片と吸収性材料とを分離できていないことが分かる。
実施例1,2及び比較例1の結果から、本発明の第1実施態様の分離回収方法は、簡便な方法でありながら、吸収性物品の構成材料を正確に分離回収することができることが分かる。
実施例1と同様に、メリーズテープおむつMサイズ(花王株式会社)に160gの人工尿を吸収させた後、常温で10分間放置した。人工尿を吸収させ、常温で10分間放置した後の吸収性物品を、あらかじめ-20℃に設定したフリーザー(アズワン社製、ポータブル低温冷凍冷蔵庫、型番:SC-DF25、ナビス品番:1-8757-01)に投入し、4時間冷凍した。その後、吸収性物品をフリーザーから取り出し、吸収性物品を切断して複数のサンプルを得た。吸収性物品は、各サンプルが5cm角となるように切断した。得られたサンプルを、目開き22.8mmの篩(アズワン社製、ISO3301-1/JIS Z-8801ステンレスふるい200Φ×60)上に載せて振とうして、吸収性物品の構成材料を、該篩を通過できるものとできないものとに分離した。
人工尿を吸収させ、常温で放置した後の吸収性物品を、フリーザーに投入せずに、常温で4時間放置した後切断した以外は、実施例3と同様にした。
実施例3の方法により分離した場合、篩の上には、吸水した吸収性材料及び表面シート又は裏面シートに由来するシート片が存在しており、篩の下には、吸水していない吸収性材料のみが存在しており、吸水していない吸収性材料と、吸水した吸収性材料及び前記シート片とを分離して回収することができることが分かった。
比較例2の方法では、篩の上には、表面シート又は裏面シートに由来するシート片と、一部シート片に付着した吸水した吸収性材料が存在しており、篩の下には、大半の吸水した吸収性材料と吸水していない吸収性材料が存在していた。したがって、比較例2の方法では、吸水した吸収性材料と吸水していない吸収性材料とを分離できていないことが分かった。
実施例3及び比較例2の結果から、本発明の第3実施態様の分離回収方法は、簡便な方法でありながら、吸収性物品の構成材料を正確に分離回収することができることが分かる。
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
S1 凍結工程
S2 破砕工程
S3 分離工程
S4 粗破砕工程
S5 切断工程
S6 材料分離工程
Claims (11)
- 吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離して回収する、吸収性物品の構成材料の分離回収方法であって、
前記吸収性物品を粗く破砕する粗破砕工程と、
前記粗破砕工程後に、前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程後に、前記吸収性物品に衝撃を与え、該吸収性物品を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程後に、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とを分離する分離工程とを備える、吸収性物品の構成材料の分離回収方法。 - 前記破砕工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、請求項1に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
- 前記分離工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、請求項1又は2に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
- 前記分離工程においては、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片と、前記吸収性材料とに振動を与えながら分離する、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
- 前記吸収性物品は、排泄物を含む使用済みの吸収性物品を含んでおり、
前記分離工程においては、前記シート片と、前記吸収性材料及び前記排泄物とを分離する、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。 - 吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離して回収する、吸収性物品の構成材料の分離回収方法であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程後に、前記吸収性物品を切断する切断工程と、
前記切断工程後に、吸水していない前記吸収性材料と吸水した前記吸収性材料とを分離する材料分離工程とを備える、吸収性物品の構成材料の分離回収方法。 - 前記材料分離工程においては、吸水していない前記吸収性材料と吸水した前記吸収性材料とを分離するに際し、吸水していない前記吸収性材料と、前記表面シート又は前記裏面シートに由来するシート片とも分離する、請求項6に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
- 前記切断工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、請求項6又は7に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
- 前記材料分離工程を、前記吸収性物品中の水分が凍結した状態を維持できる温度で行う、請求項6~8の何れか1項に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
- 前記材料分離工程において、吸水していない前記吸収性材料と吸水した前記吸収性材料とを、嵩密度又は大きさの差を利用して分離する、請求項6~9の何れか1項に記載の吸収性物品の構成材料の分離回収方法。
- 吸収性材料を有する吸収体と表面シートと裏面シートとを含む吸収性物品から該吸収性物品の構成材料を分離して回収する、吸収性物品の構成材料の分離回収装置であって、
前記吸収性物品中の水分を凍結させる凍結部と、
前記凍結部で凍結した後に、前記吸収性物品を切断する切断部と、
前記切断部で切断した後に、吸水していない前記吸収性材料と吸水した前記吸収性材料とを分離する材料分離部とを備える、吸収性物品の構成材料の分離回収装置。
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