JP7269784B2 - 水中探知装置、水中探知方法およびプログラム - Google Patents

水中探知装置、水中探知方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、水中に超音波を送信し、そのエコーに基づいて、魚群や海底等の状態を探知画像として表示する水中探知装置、水中探知方法およびプログラムに関する。
従来、水中に超音波を送信し、そのエコーに基づいて、魚群や海底等の状態を探知画像として表示する水中探知装置が知られている。この種の水中探知装置では、たとえば、エコーに基づく受信信号のレベルに応じて、探知画像が階調表示される。
以下の特許文献1には、自船からの距離が同じ位置で且つ自船を中心とする所定方位角範囲内の複数の受信信号レベルから平均値を算出する平均レベル算出部と、この距離に対応する平均値と予め設定した閾値との大小を比較し、比較結果に基づいて、受信信号に対するゲインを設定するゲイン設定部と、設定されたゲインを受信信号に乗算処理を行う乗算器と、を備えた水中探知装置が記載されている。
この水中探知装置では、平均値が閾値以上であれば、閾値を平均値で除算した値に基づいてゲインが設定される。この場合、ゲインは1より小さくなるため、レベルが抑制された受信信号により、当該距離位置の探知画像が生成される。また、平均値が閾値未満であれば、ゲインが1に設定される。この場合、レベルが未調整の受信信号により、当該距離位置の探知画像が生成される。
この処理方法では、海底残響等のノイズの影響により平均値が高い場合は、受信信号のレベルが抑制される。また、ノイズがなく平均値が低い場合は、受信信号のレベル調整は行われず、そのままのレベルに維持される。このように、この処理方法では、受信信号に対するノイズの影響を加味して受信信号のレベルが調整されるため、探知画像において、海底や沈船、魚群等の領域が、エコーレベルに応じて適切に表示され得る。
特開2012-18036号公報
上記特許文献1に記載の水中探知装置では、同じ距離位置の受信信号のレベルが、全ての方位において、一律に調整される。このため、所定の俯角で傘状に広がるビームで超音波を送波する方式の水中探知装置のように、全周(全ての方位)に亘って海底との距離が略一定となり得る場合は、海底付近の受信信号に対して海底残響等のノイズの影響を抑制でき、海底の画像を適正に表示させ得る。これにより、使用者は、海底付近の状況を、より的確に把握できる。
しかしながら、所定の俯角で扇形状に広がるビームにより超音波を送波する方式の水中探知装置では、ビーム方位ごとに海底までの距離が相違する。このため、上記特許文献1の構成がこの方式の水中探知装置に適用された場合、海底からの受信信号に対してゲイン調整が適正に行われにくい。このため、海底付近の画像をエコーレベルに応じて適正に表示させることが困難である。
また、上記のように傘状のビームで超音波を送波する方式の水中探知装置においても、海底が傾斜している場合や、海底に岩礁や沈船等が存在する場合は、海底との距離が全周(全ての方位)において必ずしも一定とならない。このような場合も、上記特許文献1の構成では、海底付近の画像をエコーレベルに応じて適正に表示できないことが起こり得る。
かかる課題に鑑み、本発明は、海底付近からのエコーに基づく受信信号に対して適切にゲイン調整を行うことにより、海底付近の探知画像をエコーレベルに応じてより適正に表示させることが可能な水中探知装置、水中探知方法およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は水中探知装置に関する。この態様に係る水中探知装置は、送受波器で方位ごとに受信された受信信号に基づく参照値を算出する参照値算出部と、前記参照値が予め設定された海底閾値を超える最小距離を参照距離として前記方位ごとに取得し、前記参照距離に基づいて前記方位ごとに海底付近までの推定距離を算出する推定距離算出部と、前記推定距離以遠から受信された前記受信信号に対して信号レベルを調整するためのゲインを設定するゲイン設定部と、前記ゲインが乗算された前記受信信号に基づいて前記受信信号のレベルに対応した探知画像のデータを生成する探知画像データ生成部と、を備える。
本発明の第2の態様は、水中探知方法に関する。この態様に係る水中探知方法は、送受波器で方位ごと受信された受信信号に基づく参照値を算出し、前記参照値が予め設定された海底閾値を超える最小距離を参照距離として前記方位ごとに取得し、前記参照距離に基づいて前記方位ごとに海底付近までの推定距離を算出し、前記推定距離以遠から受信された前記受信信号に対して信号レベルを調整するためのゲインを設定し、前記ゲインを乗算した前記受信信号に基づいて前記受信信号のレベルに対応して探知画像のデータを生成する。
本発明の第3の態様は、プログラムに関する。この態様に係るプログラムは、水中探知装置の処理部に、送受波器で方位ごとに受信された受信信号に基づく参照値を算出する機能と、前記参照値が予め設定された海底閾値を超える最小距離を参照距離として前記方位ごとに取得する機能と、前記参照距離に基づいて前記方位ごとに海底付近までの推定距離を算出する機能と、前記推定距離以遠から受信された前記受信信号に対して信号レベルを調整するためのゲインを設定する機能と、前記ゲインが乗算された前記受信信号に基づいて前記受信信号のレベルに対応した探知画像のデータを生成する機能と、を実行させる。
上記態様によれば、受信信号に対して、方位ごとに、ゲインが調整されるため、方位ごとに海底までの距離が異なる場合であっても、海底以遠の各方位の受信信号に対して適切にゲインを適用できる。よって、海底付近の探知画像をエコーレベルに応じてより適正に表示させることができる。
以上のとおり、本発明によれば、海底付近からのエコーに基づく受信信号に対して適切にゲイン調整を行うことにより、海底付近の探知画像をエコーレベルに応じてより適正に表示させることが可能な水中探知装置、水中探知方法およびプログラムを提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1は、実施形態1に係る、水中探知装置の使用形態を示す図である。 図2は、実施形態1に係る、水中探知装置の構成を示すブロック図である。 図3は、実施形態1に係る、データ処理部の構成を示すブロック図である。 図4は、実施形態1に係る、平均値の算出方法を模式的に示す概念図である。 図5は、実施形態1に係る、推定距離の設定処理を示すフローチャートである。 図6(a)、図6(b)、図6(c)および図6(d)は、それぞれ、実施形態1に係る、推定距離の設定工程における処理を概念的に示す図である。 図7(a)、図7(b)、図7(c)および図7(d)は、それぞれ、実施形態1に係る、推定距離の設定工程における処理を概念的に示す図である。 図8は、実施形態1に係る、ゲインの設定処理を示すフローチャートである。 図9(a)は、実施形態1に係る、探知画像の一例を模式的に示す図である。図9(b)は、比較例に係る、探知画像の一例を模式的に示す図である。 図10は、実施形態2に係る、水中探知装置の使用形態を示す図である。 図11は、実施形態2に係る、データ処理部の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態には、漁船等の船体に設置される水中探知装置に本発明を適用した例が示されている。但し、以下の実施形態は、本発明の一実施形態あって、本発明は、以下の実施形態に何ら制限されるものではない。
<実施形態1>
図1に示すように、本実施形態では、船体1の船底に送受波器10が設置され、送受波器10から水中に超音波が送波される。送波された超音波のエコーを、送受波器10で受信することにより、水中の探知画像が生成される。本実施形態では、扇型の形状で、超音波のビーム2が送波される。扇型の中心角は、たとえば180°程度である。
船体1の操舵室等に設置された制御ユニットに対する操作により、送受波器10の向きが水平方向および鉛直方向に変更可能である。送受波器10の向きを鉛直方向に変えることにより、ビーム2の俯角A1が、0~90°の範囲で変更され得る。また、送受波器の向きを水平方向に変えることにより、ビーム2の中心方位が360°の範囲で変更され得る。エコーに基づき生成された水中の探知画像は、船の操舵室等に設置された表示器に表示される。これにより、使用者は、所望の方向における海底3の状態や、魚群4の位置等を確認できる。
図2は、水中探知装置5の構成を示すブロック図である。
水中探知装置5は、送受波器10と、送受切替器20と、制御ユニット30と、表示器40とを備える。制御ユニット30は、操舵室等に設置される。制御ユニット30は、送信制御部31と、受信ビーム形成部32と、データ処理部33とを備える。水中探知装置5から表示器40が省略されてもよい。この場合、データ処理部33で生成された探知画像データは、外部の表示装置に送信され、この表示装置によって探知画像が表示される。
送受波器10は、円筒形の外形形状からなる筐体を備える。図1に示したように、送受波器10は、水中探知装置5が装備された船体1の船底の略中央位置に設置される。送受波器10は、円筒の延びる方向が鉛直方向に沿い、円周面に直交する方向が水平方向に沿うように設置される。上記のように、送受波器10は、鉛直方向および水平方向に向きが変更可能である。なお、筐体の外形形状は、円筒形以外の他の形状であってもよい。
円筒形の筐体の円周面には、鉛直方向に長い複数の超音波振動子が円周方向に並ぶように配置されている。超音波振動子は、たとえば、円周方向に240°の角度範囲に所定のピッチで配置される。超音波振動子は、送信制御信号に基づいて水中へ超音波パルスを送波する。超音波振動子は、送波された超音波パルスが魚群等の対象物で反射された反射波(エコー)を受波して、電気信号に変換する。これにより、受波信号が生成される。
送受切替器20は、送受波器10に接続されている。送受切替器20は、送信制御部31からの送信制御信号を送受波器10の各超音波振動子へ出力し、送受波器10の各超音波振動子からの受波信号を受信ビーム形成部32へ出力する。
送信制御部31は、送受波器10に配置された複数の超音波振動子から発せられる超音波パルスにより、送信ビーム(図1のビーム2)が形成されるように、各超音波振動子に与える送信制御信号を設定する。
受信ビーム形成部32は、各超音波振動子からの受波信号のゲインを調整し、調整後の受波信号を位相合成することで、所定の方位に最大感度を有するビーム化された受信信号(受信ビーム信号)EB(t)を生成する。このとき、受信ビーム形成部32は、自船を中心とする半周方向に対して所定の方位角ピッチで配列された複数の受信信号EB(t)を形成する。各受信信号EB(t)は、時間軸上でレベルが変化する信号であり、この時間軸上の位置が、自船(送受波器10)からの距離位置に相当する。
データ処理部33は、受信ビーム形成部32から逐次入力される各方位の受信信号EB(t)を処理して、探知画像データを生成し、生成した探知画像データを表示器40に出力する。表示器40は、受信した探知画像データに基づく探知画像を表示させる。ここで、探知画像は、送受波器10が向けられた方向を中心とする半周の範囲において、各方位の受信信号のレベルの分布を階調表示するよう構成される。
図3は、データ処理部33の構成を示すブロック図である。
図3には、データ処理部33により実行される機能ブロックが示されている。すなわち、データ処理部33は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路とメモリ(記憶媒体)とを備え、メモリに保持されたプログラムによって、図3に示す各部の機能を実行する。
データ処理部33は、TVG処理部101と、参照値算出部102と、ゲイン閾値設定部103と、ゲイン設定部104と、乗算器105と、探知画像データ生成部106とを備える。
TVG処理部101は、受信信号EB(t)に対して、時間軸上の位置に応じて増幅率を所定パターンで増加させる増幅処理を行う。この処理により、超音波パルスおよび反射エコーの水中での距離減衰が補正され得る。TVG処理がなされた受信信号EBc(t)は、参照値算出部102および乗算器105へ出力される。
参照値算出部102は、TVG処理部101から入力される各方位の受信信号EBc(t)から、方位ごとに参照値Av(t)を算出する。具体的には、参照値算出部102は、受信信号EBc(t)の方位を中心とする所定の方位幅と当該方位における所定の距離幅とにより抽出される受信信号の平均値を参照値Av(t)として算出する。ここで、距離幅は、上記のように、受信信号EBc(t)の時間軸上の幅に対応する。また、距離とは、受信信号EBc(t)の時間軸上の位置を、送受波器10からの距離に換算したものである。
たとえば、図4に示すように、方位D0の受信信号EBc(t)については、当該方位D0の受信信号EBc(t)と、当該方位D0に近接する方位(図4において破線矢印で示される方位)の受信信号EBc(t)のうち、領域R0に含まれる信号部分が抽出され、抽出された信号部分の平均値が参照値Av(t)として算出される。ここで、領域R0は、方位D0を中心とする所定の方位幅Δθと、当該方位D0における所定の距離幅ΔDとにより規定される領域である。
参照値算出部102は、図4に示すΔDの範囲を距離方向にずらしながら、方位D0の受信信号EBc(t)について、各距離位置の参照値Av(t)を算出する。また、参照値算出部102は、他の方位の受信信号EBc(t)についても、同様の処理により、各距離位置の参照値Av(t)を算出する。
図3に戻り、ゲイン閾値設定部103は、ゲイン閾値Thをゲイン設定部104へ与える。ゲイン閾値Thは、基本的には予め設定された値である。ゲイン閾値Thは、たとえば、上記探知画像の階調表示における最高階調を設定する下限の受信信号レベルに基づいて設定される。具体的には、ゲイン閾値Thは、最高階調を設定する下限の受信信号レベルよりも所定値(たとえば2階調分等)だけ低いレベルに設定される。
ゲイン設定部104は、参照値Av(t)とゲイン閾値Thとを比較する。参照値Av(t)がゲイン閾値Th以上である場合、ゲイン設定部104は、ゲインG(t)を次の式にて算出する。
G(t)=Th/Av(t) …(1)
この処理により、ゲインG(t)は“1”以下になる。
一方、参照値Av(t)がゲイン閾値Th未満の場合、ゲイン設定部104は、ゲインG(t)を定数Co(たとえば、“1”)に設定する。
こうして設定されたゲインG(t)は、乗算器105へ出力される。
乗算器105は、受信信号EBc(t)にゲインG(t)を乗算し、探知画像用信号DD(t)を出力する。すなわち、乗算器105は、DD(t)=G(t)・EBc(t)の演算処理を行い、演算結果を出力する。この乗算は、各方位の受信信号EBc(t)に対して、距離位置ごとに行われる。
探知画像データ生成部106は、既知の方法を用いて、探知画像用信号DD(t)の信号レベルに応じて階調表示を行うための表示色を画素ごとに決定した探知画像データを生成し、表示器40へ出力する。これにより、表示器40に、ゲイン補正された受信信号EBc(t)に基づく探知画像が表示される。
ここで、ゲイン設定部104は、海底付近より以遠の距離範囲に対して上述のゲイン調整を行うように構成されている。すなわち、データ処理部33は、さらに、受信信号EBc(t)に基づいて方位ごとに海底付近までの推定距離を算出する推定距離算出部110を備えている。そして、ゲイン設定部104は、推定距離算出部110により方位ごとに算出された推定距離以上に遠い範囲に対して当該方位の受信信号EBc(t)に上述の処理に基づくゲインG(t)を設定する。なお、ゲイン設定部104は、推定距離より近い範囲に対しては、参照値Av(t)がゲイン閾値Th未満の場合と同様、定数Co(たとえば、“1”)に設定されたゲインG(t)を設定する。
したがって、海底以遠の範囲に対しては、上記のようにゲイン閾値Thとの大小により設定されたゲインG(t)が各方位の受信信号EBc(t)に乗算され、海底より近い範囲に対しては、定数Coが各方位の受信信号EBc(t)に乗算される。これにより、海底残響等のノイズの影響を抑制しつつ、海底付近より近い範囲に存在する魚群の感度が抑えられて魚群を探知できなくなることが回避され得る。
次に、推定距離算出部110の構成について説明する。
図3に示すように、推定距離算出部110は、参照距離取得部111と、海底閾値設定部112と、距離換算部113と、平均距離算出部114と、サンプル除去部115と、距離設定部116と、推定距離設定部117と、を備える。参照値算出部102で算出された参照値Av(t)が、方位ごとに、参照距離取得部111に入力される。推定距離算出部110は、参照距離取得部111以降の各部の処理により、参照値Av(t)に基づいて、方位ごとに海底付近までの距離の推定値(推定距離)を算出し、算出した推定距離をゲイン設定部104に出力する。
図5は、推定距離算出部110の各部により実行される処理を示すフローチャートである。図6(a)~図7(d)は、図5のフローチャートにより実行される各工程の処理を概念的に示す図である。
まず、参照値算出部102から入力される参照値Av(t)に基づき、参照距離取得部111により、方位ごとに、参照距離Rd0が取得される(S11)。ここで、参照距離Rd0は、各方位において、参照値Av(t)が所定の海底閾値Th0を超える最小距離である。海底閾値Th0は、海底のエコーレベルに基づいて、海底閾値設定部112により設定される。たとえば、海底閾値設定部112は、海底からのエコーにより取得され得る参照値Av(t)の範囲の下限値に、海底閾値Th0を設定する。したがって、参照距離Rd0は、各方位における海底までの距離に略等しい値となる。
図6(a)は、参照距離取得部111により行われる処理を概念的に示している。図6(a)には、受信信号EBc(t)の各方位が、破線の矢印で示されている。便宜上、図6(a)には、9つの方位が破線の矢印で示されているが、実際は、受信信号EBc(t)が取得される方位が、さらに細かく細分化されている。たとえば、128個の方位からそれぞれ受信信号EBc(t)が取得される。Dsは、探知範囲の中心方位である。すなわち、図1に示した扇型のビーム2の中心方向が中心方位Dsである。
E0は、海底からのエコーを示し、F0は、魚群からのエコーを示している。黒丸は、各方位において、参照値Av(t)が海底閾値Th0を超える最小距離位置P0を示している。図6(a)には、受信信号EBc(t)が取得される全ての方位に対して黒丸(最小距離位置P0)が示されておらず、便宜上、破線で示された9方位とその間の数個の方位にについて、黒丸(最小距離位置P0)が示されている。参照距離Rd0は、船底の中心位置(送受波器10の設置位置)から各方位の距離位置P0までの距離である。海底の手前に魚群が存在する方位では、魚群までの距離が参照距離Rd0として取得される。
次に、距離換算部113により、参照距離Rd0の中心方位Dsの成分が、換算距離Rd1として取得される(S12)。図6(b)は、距離換算部113により行われる処理を概念的に示している。参照値Av(t)が海底閾値Th0を超える最小距離位置P0に対して、それぞれ、換算距離Rd1が取得される。これにより、各方位における海底までの距離が同一方向に正規化される。
そして、平均距離算出部114により、中心方位から時計方向および反時計方向に同じ角度範囲(±θ1)に含まれる方位の換算距離Rd1について、平均距離Av1が取得される(S13)。図6(c)は、平均距離算出部114により行われる処理を概念的に示している。ここで、±θ1は、たとえば、±45°に設定される。±θ1は、これに限られるものではなく、全ての換算距離Rd1を対象に平均距離Av1が取得されてもよい。
さらに、サンプル除去部115により、平均距離Av1に1より小さい係数が乗算されて除外閾値Th1が設定される(S14)。ここで、係数は、たとえば、0.8~0.9程度に設定される。除外閾値Th1は、海底よりも近い距離にある物体からのエコーに基づく換算距離Rd1を除外するための閾値である。図6(d)は、サンプル除去部115により行われる除外閾値Th1の設定処理を概念的に示している。図6(d)に示すように、除外閾値Th1は、平均距離Av1よりもやや小さく設定される。これにより、海底からのエコーに基づく換算距離Rd1は、大半が除外閾値Th1以上となり、海底より手前の魚群からのエコーに基づく換算距離Rd1は、除外閾値Th1より小さくなる。
その後、サンプル除去部115は、換算距離Rd1が除外閾値Th1よりも小さい距離位置P0を、海底までの推定距離を取得するためのサンプルから除外する(S15)。図7(a)は、ステップS15におけるサンプル除去部115の処理を概念的に示している。ここでは、魚群のエコーF0から取得された換算距離Rd1が除外閾値Th1より小さいため、魚群のエコーF0に基づく距離位置P0およびその換算距離Rd1が、海底までの推定距離を取得するためのサンプルから除外される。
そして、除外されずに残ったサンプルの換算距離Rd1を用いて、距離設定部116により、各方位の換算距離Rd2が再設定される(S16)。図7(b)は、ステップS16における距離設定部116の処理を概念的に示している。ここでは、方位D1、D2に対する換算距離Rd2の再設定処理が示されている。具体的には、距離設定部116は、方位D1、D2を中心に所定の角度範囲θ2を設定し、この角度範囲θ2に含まれる全ての距離位置P0の換算距離Rd1を参照する。そして、距離設定部116は、参照した換算距離Rd1のうち最小の換算距離Rd1を、方位D1、D2の換算距離Rd2に再設定する。距離設定部116は、その他の方位に対しても同様の処理により、換算距離Rd2を再設定する。これにより、魚群を横切る方位に対しても、海底までの換算距離Rd2が再設定される。
こうして各方位に再設定された換算距離Rd2に基づいて、推定距離設定部117により、海底付近までの推定距離De1が方位ごとに取得される。まず、推定距離設定部117は、各方位の換算距離Rd2を、自船位置からの距離Rd3に変換する(S17)。図7(c)は、ステップS17の処理を概念的に示している。ここでは、方位D1、D2に対する距離Rd3の変換処理が示されている。先のステップS16において、角度範囲θ2に含まれる距離位置P01、P02の換算距離Rd1が、方位D1、D2の換算距離Rd2に設定されている。推定距離設定部117は、こうして設定された換算距離Rd2を方位D1、D2における自船位置からの距離Rd3に変換する。推定距離設定部117は、その他の方位に対しても同様の処理により、距離Rd3を再設定する。
次に、推定距離設定部117は、各方位の距離Rd3に1より小さい係数を乗算して推定距離De1を設定する(S18)。ここで、係数は、たとえば、0.8~0.9程度に設定される。図7(d)は、ステップS18における推定距離設定部117の処理を概念的に示している。図7(d)に示すように、推定距離De1は、距離Rd3よりもやや小さくなる。推定距離設定部117は、その他の方位に対しても同様の処理により、推定距離De1を設定する。
推定距離設定部117は、こうして設定した推定距離De1を方位ごとに一時記憶する(S19)。推定距離設定部117は、記憶した推定距離De1を、次回の受信信号EB(t)の処理タイミングにおいて、ゲイン設定部104に供給する。ゲイン設定部104は、供給された各方位の推定距離De1に基づいて、各方位の受信信号EBc(t)に適用すべきゲインG(t)を設定する。
図8は、ゲインG(t)の設定処理を示すフローチャートである。図8の処理は、方位ごとに行われる。
ゲイン設定部104は、受信信号EBc(t)の距離範囲ごとに(S21)、受信信号EBc(t)に対するゲインG(t)の適用を切り替える(S22、S23)。すなわち、ゲイン設定部104は、推定距離設定部117から供給される当該方位の推定距離De1以上の距離範囲に対しては(S21:YES)、上述のように、参照値Av(t)とゲイン閾値Thとの比較結果に基づいてゲインG(t)を設定し(S22)、推定距離De1未満の距離範囲に対しては、ゲインG(t)を定数Co(たとえば、“1”)に設定する(S23)。
こうして設定されたゲインG(t)が、乗算器105により、受信信号EBc(t)に乗算されて、探知画像用信号DD(t)が生成される(S24)。生成された探知画像用信号DD(t)は、随時、探知画像データ生成部106に出力される。ゲイン設定部104は、各方位の受信信号EBc(t)に対して、ステップS21~S24の処理を実行し、各方位の画像用信号DD(t)を、探知画像データ生成部106に出力する。
図8の処理により、全ての方位の探知画像用信号DD(t)が探知画像データ生成部106に出力されると、探知画像データ生成部106によって、方位と距離に対する受信信号EB(t)の信号レベルの分布を階調表示する探知画像のデータが生成される。生成された探知画像データは、随時、表示器40に送信される。これにより、表示器40に探知画像が表示される。
図9(a)は、上記処理によりゲイン調整がなされた場合の探知画像を模式的に示す図である。図9(b)は、ゲイン調整がなされなかった場合の探知画像を模式的に示す図である。
図9(b)に示すように、ゲイン調整がなされなかった場合、海底付近に海底残響等のノイズが生じていると、このノイズの影響により、海底B10の領域の階調は、全領域が最高階調の表示色(たとえば赤色)で一様に塗り潰される。この場合、海底B10に沈船SS10が存在したとしても、沈船SS10の表示色も最高階調となるため、使用者は、探知画像により、海底B10に存在する沈船SS10を確認することができない。
これに対し、上記処理によりゲイン調整がなされた場合は、海底以遠の受信信号EBc(t)に対して信号レベルを抑制するゲインが適用されるため、図9(a)に示すように、海底B10と沈船SS10の領域の階調が低減される。これにより、探知画像には、海底B10と沈船SS10との間のエコーレベルの差異に応じて、海底B10と沈船SS10の各領域に階調色が割り当てられる。このため、使用者は、探知画像を参照することにより、海底B10と沈船SS10とを明確に区別して視認でき、海底B10上の沈船SS10の存在を確認することができる。
なお、上記処理では、海底付近よりも近い距離範囲の受信信号EBc(t)に対し、ゲインG(t)が“1”に設定され、この距離範囲には、ゲイン調整が行われないため、海底前方の魚群F10の表示色は、魚群F10のエコーに基づく本来の階調に維持される。したがって、使用者は、海底B10の状況とともに、その前方の魚群の状況も、明確に把握することができる。
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
受信信号EBc(t)に対して、方位ごとに、ゲインG(t)が調整されるため、方位ごとに海底までの距離が異なる場合であっても、海底以遠の各方位の受信信号EBc(t)に対して適切にゲインG(t)を適用できる。よって、海底付近の探知画像をエコーレベルに応じてより適正に表示させることができる。
図5および図6(a)~図7(d)に示したように、推定距離算出部110は、受信信号EBc(t)に基づく参照値Av(t)が海底のエコーレベルに基づいて設定された海底閾値Th0を超える最小距離を参照距離Rd0として方位ごとに取得し、取得した参照距離Rd0に基づいて、方位ごとに、推定距離De1を取得する。これにより、海底付近までの推定距離De1を適切に取得できる。
推定距離算出部110は、図4に示した領域R0ごとに算出された受信信号EBc(t)の平均値を参照値Av(t)として用いて、参照距離Rd0を取得する。このように、所定の広さの領域R0に含まれる受信信号EBc(t)の平均値を参照値Av(t)として用いることにより、各距離位置における突発的なノイズの影響を抑制できる。よって、参照距離Rd0をより安定的に取得でき、結果、各方位の推定距離De1をより正確に取得できる。
図1に示したように、本実施形態では、所定の俯角で扇形状に広がるビーム2により超音波が送波される。そして、推定距離算出部110は、図5および図6(a)~図7(d)に示したように、扇形の中心方向(中心方位Ds)における参照距離Rd0の成分を換算距離Rd1として取得し、各方位の換算距離Rd1に基づいて海底よりも近い距離にある物体からのエコーに基づく換算距離Rd1を除外するための除外閾値Th1を設定し、除外閾値Th1よりも大きい換算距離Rd1に基づいて各方位の推定距離De1を取得する。ここで、推定距離算出部110は、除外閾値Th1よりも小さい換算距離Rd1に対応する方位の推定距離De1を、除外閾値Th1以上の換算距離Rd1に基づいて設定する。これにより、所定の方位に魚群等が存在しても、当該方位の推定距離De1を、除外閾値Th1以上の換算距離Rd1により取得できる。よって、全方位において、海底付近までの推定距離De1を取得することができる。
ゲイン設定部104は、図4に示した領域R0ごとに算出された受信信号EBc(t)の参照値Av(t)と、予め設定されたゲイン閾値Thとの比較結果に基づいて、受信信号EBc(t)に適用されるゲインG(t)を設定する。このように、所定の広さの領域R0に含まれる受信信号EBc(t)の参照値Av(t)を、各距離位置の受信信号EBc(t)のレベルの指標として用いることにより、各距離位置における突発的なノイズの影響を抑制できる。よって、各距離位置における受信信号EBc(t)のレベルをより安定的に検出でき、各距離位置に適正なゲインG(t)を設定できる。
ゲイン設定部104は、参照値Av(t)がゲイン閾値Th以上である場合は、ゲイン閾値Thを参照値Av(t)で除算した値に基づいてゲインG(t)を設定し、参照値Av(t)がゲイン閾値Th未満である場合は、ゲインG(t)を“1”に設定する。これにより、海底残響等のノイズの影響により参照値Av(t)が高い場合は、受信信号EBc(t)のレベルが抑制され、ノイズがなく参照値Av(t)が低い場合は、受信信号EBc(t)のレベル調整は行われず、そのままのレベルに維持される。このように、受信信号EBc(t)に対するノイズの影響を加味して受信信号EBc(t)のレベルを調整することにより、探知画像において、海底や沈船、魚群等の領域を、エコーレベルに応じた適切な階調で表示させることができる。
ここで、ゲイン閾値は、階調表示の最高階調を設定する下限のレベルよりも低い値に設定される。これにより、所定の距離位置において受信信号EBc(t)がノイズの影響を受けている場合に、当該距離位置の受信信号EBc(t)のレベルを抑制可能なゲインG(t)が設定されやすくなる。よって、エコーレベルに応じた適切な階調で探知画像を表示させることができる。
図8に示すように、ゲイン設定部104は、海底付近までの推定距離De1以上の距離範囲に対しては、参照値Av(t)とゲイン閾値Thとの比較結果に基づいてゲインG(t)を設定し(S22)、推定距離De1未満の距離範囲に対しては、ゲインG(t)を“1”に設定する(S23)。これにより、海底以遠の距離範囲については海底残響等のノイズの影響が抑制された探知画像を表示でき、海底より近い距離範囲については、エコーレベルに応じた階調で、探知画像を表示できる。よって、使用者は、海底の状況を適切に把握でき、また、海底より近い位置に存在する魚群を適切に把握できる。
図3に示したように、推定距離算出部110、ゲイン設定部104および探知画像データ生成部106は、TVG処理部101による増幅処理後の受信信号EBc(t)を用いてそれぞれの処理を行う。ここで、TVG処理部101は、受信信号EB(t)に対し、超音波の距離減衰を補正する処理を行うことにより、受信信号EBc(t)を生成する。これにより、各部の処理において距離減衰による誤差を抑制でき、各部の処理を適切に行うことができる。また、このようにTVG処理が行われると、海底残響等のノイズによって、海底付近より以遠の距離範囲における受信信号EBc(t)のレベルが高くなり易い。これに対し、本実施形態では、上記のように、海底付近より以遠の距離範囲において、受信信号EBc(t)のレベルが抑制される。このため、海底付近の探知画像を、エコーレベルに応じた階調で適切に表示させることができる。
<実施形態2>
図1に示したように、上記実施形態1では、所定の俯角で扇形状に広がるビーム2により超音波が送波された。これに対し、実施形態2では、所定の俯角で傘状に広がるビームにより超音波が送波される。
すなわち、図10に示すように、実施形態2では、船体1の船底に送受波器11が設置され、送受波器11から所定の俯角で傘状に水中に超音波が送波される。送波された超音波のエコーを、送受波器11で受信することにより、水中の探知画像が生成される。実施形態2では、傘状に広がる形状のビーム2により、超音波が海底3に向かって送波される。
上記実施形態1と同様、送受波器11は、円筒形の外形形状からなる筐体を備える。図10に示したように、送受波器11は、水中探知装置5が装備された船体1の船底の略中央位置に設置される。送受波器11は、円筒の延びる方向が鉛直方向に沿い、円周面に直交する方向が水平方向に沿うように設置される。筐体の外形形状は、円筒形以外の他の形状であってもよい。
円筒形の筐体の円周面には、複数の超音波振動子が所定パターンで配列されている。本実施形態では、超音波振動子の配置パターンが、上記実施形態1と異なっている。具体的には、複数の超音波振動子は、円筒の延びる方向を第1軸方向とし、円周方向を第2軸方向として、2次元状に配置されている。超音波振動子は、送信制御信号に基づいて水中へ超音波パルスを送波する。超音波振動子は、送波された超音波パルスが魚群等の対象物で反射された反射波(エコー)を受波して、電気信号に変換する。これにより、受波信号が生成される。
水中探知装置5の構成は、送受波器11の構成を除いて、図2の構成と略同様である。受信ビーム形成部32は、各超音波振動子から入力される受波信号のゲインを調整して位相合成することにより、所定の方位方向で且つ所定の俯角方向に最大感度を有するビーム化された受信信号(受信ビーム信号)EB(t)を生成する。この際、受信ビーム形成部32は、自船を中心とする全周方向に対して所定の方位角ピッチで配列された複数の受信信号EB(t)を形成する。これら複数の受信信号EB(t)の俯角は同じに設定されている。各受信信号EB(t)は、時間軸上でレベルが変化する信号であり、この時間軸上の位置が、自船からの距離位置に相当する。
図11は、実施形態2に係るデータ処理部33の構成を示すブロック図である。
実施形態2では、推定距離算出部110により、所定の俯角の全周において、方位ごとに、海底までの推定距離De1が取得される。推定距離De1の取得方法は、上記実施形態1と略同様である。ただし、実施形態2では、上記のように傘状の形状でビーム2が所定の俯角で送波されるため、各方位において取得される参照距離Rd0の方向は自船位置を中心とした方向に揃っている。このため、実施形態2では、参照距離Rd0を中心方位の成分に変換する必要がない。したがって、実施形態2では、図3の距離換算部113が省略されている。
図11のその他のブロックにおける処理は、図3の対応するブロックの処理と同様である。上記実施形態1では、扇型の半周に亘って受信信号EBc(t)の方位が設定されていたが、実施形態2では、傘型の全周に亘って受信信号EBc(t)の方位が設定される。全周の各方位に対して、参照値算出部102により、参照値Av(t)が算出される。参照値Av(t)の算出方法は、上記実施形態1と同様である。
推定距離算出部110は、全周の方位ごとに、参照値Av(t)が海底閾値Th0を超える最小距離である参照距離Rd0を取得し、取得した参照距離Rd0に基づいて平均距離Av1を取得し、取得したAV1をもとに除外閾値Th1を設定する。そして、推定距離算出部110は、除外閾値Th1よりも大きい参照距離Rd0に基づいて、各方位の距離Rd3を取得し、取得した距離Rd3に1より小さい係数を乗算して、各方位の推定距離De1を設定する。これらの処理は、推定距離算出部110を構成する参照距離取得部111、海底閾値設定部112、平均距離算出部114、サンプル除去部115、距離設定部116および推定距離設定部117により、上記実施形態と同様に行われる。
こうして、所定の俯角において方位ごとに取得された推定距離De1に基づいて、ゲイン設定部104により、各方位の受信信号EBc(t)に適用されるゲインG(t)が設定される。ゲインG(t)の設定処理は、上記実施形態1で示した図8のフローチャートと同様である。設定されたゲインG(t)と受信信号EBc(t)とが乗算器105で乗算されて、各方位の探知画像用信号DD(t)が生成され、生成された探知画像用信号DD(t)が探知画像データ生成部106に出力される。これにより、表示器40に探知画像が表示される。
実施形態2によれば、受信信号EBc(t)に対して、方位ごとに、ゲインG(t)が調整されるため、海底の傾斜、岩礁や沈船等の存在により方位ごとに海底までの距離が異なる場合であっても、海底以遠の各方位の受信信号EBc(t)に対して適切にゲインG(t)を適用できる。よって、海底付近の探知画像をエコーレベルに応じて適正に表示させることができる。
<変更例>
上記実施形態1では、図7(b)、図7(c)を参照して説明したように、除外閾値Th1以上の換算距離Rd1を用いて各方位の換算距離Rd2が再設定されたが、換算距離Rd1が除外閾値Th1以上である方位については、換算距離Rd2を再設定することなく、換算距離Rd1に基づいて、当該方位に沿った距離Rd3を取得してもよい。この場合、換算距離Rd1が除外閾値Th1未満である方位については、たとえば、当該方位に近い他の方位の換算距離Rd1(除外閾値Th1以上のもの)から当該方位の換算距離を補間し、補間した換算距離に基づいて、当該方位に沿った距離Rd3を取得すればよい。この場合、他の方位の換算距離Rd1のうち、最も当該方位に近い方位の換算距離Rd1を当該方位の換算距離として補間してもよく、あるいは、当該方位を挟む2つの他の方位の換算距離Rd1の平均値や線形補間値を、当該方位の換算距離として補間してもよい。補間の方法は、適宜変更可能である。上記実施形態2についても、同様の変更が可能である。
また、上記実施形態1、2では、図4に示した方法により取得した参照値Av(t)を用いて、ゲインG(t)の設定処理と推定距離De1の取得処理が行われたが、他の方法で取得された参照値が、これらの取得に用いられてもよい。たとえば、各距離位置に対して、図4の距離幅ΔDを設定することなく、方位幅Δθのみを設定して、参照値Av(t)を取得する範囲を規定し、方位幅Δθに含まれる各方位の同一距離位置の受信信号EBc(t)から参照値Av(t)が算出されてもよい。
また、必ずしも、ゲインG(t)の設定処理と推定距離De1の取得処理に用いられる参照値Av(t)が平均値でなくてもよく、たとえば、各距離位置の受信信号EBc(t)のレベル値が参照値Av(t)として用いられてもよい。ただし、各距離位置における突発的なノイズの影響を抑制するためには、ある程度の広がりのある範囲から抽出された受信信号EBc(t)を用いて、参照値Av(t)を設定することが好ましい。ここで、参照値Av(t)は、必ずしも平均値ではなくてもよく、たとえば、参照値Av(t)を取得する方位と、残りの方位との間で受信信号EBc(t)に所定の重み付けを設定し、重み付けが適用された受信信号EBc(t)を用いて、参照値Av(t)が取得されてもよい。
また、上記実施形態1、2では、参照値Av(t)がゲイン閾値Th以上である場合、ゲイン閾値Thを参照値Av(t)で除算した値がゲインG(t)に設定されたが、ゲインG(t)の設定方法はこれに限られるものではない。たとえば、参照値Av(t)とゲイン閾値Thの差分に応じて受信信号EBc(t)を低減させるようにゲインG(t)が設定されてもよく、あるいは、参照値Av(t)がゲイン閾値Th以上である場合に、受信信号EBc(t)を低減させるための固定値が、参照値Av(t)とゲイン閾値Th(t)の大小関係に拘わらず、ゲインG(t)に設定されてもよい。ただし、上記実施形態1、2のように、ゲイン閾値Thを参照値Av(t)で除算した値をゲインG(t)に設定すると、受信信号EBc(t)のレベルに応じて円滑に、受信信号EBc(t)を低減させることができる。
また、上記実施形態1では、図5のステップS14において、平均距離Av1に1より小さい係数が乗算されて除外閾値Th1が設定されたが、ここで乗算される係数は、上記実施形態1において例示した係数に限られるものではない。また、係数を乗算する方法に代えて、平均距離Av1から所定の固定値を減算することにより、除外閾値Th1が設定されてもよい。除外閾値Th1は、海底付近よりも近い位置に存在する魚群からのエコーに基づく換算距離Rd1を、海底までの推定距離De1の設定対象から除外できる限りにおいて、適宜変更可能である。この点は、上記実施形態2においても同様である。
また、上記実施形態1では、図5のステップS18において、各方位の距離Rd3に1より小さい係数を乗算して推定距離De1が設定されたが、ここで乗算される係数は、上記実施形態1において例示した係数に限られるものではない。また、係数を乗算する方法に代えて、距離Rd3から所定の固定値を減算することにより、推定距離De1が設定されてもよい。推定距離De1の設定方法は、推定距離De1より以遠に海底残響等のノイズが生じ得る範囲を含み得る限りにおいて、適宜変更可能である。この点は、上記実施形態2においても同様である。
この他、探知画像の表示方法は、上記実施形態1、2に示された方法に限られるものではない。また、TVG処理が適用されない受信信号EB(t)に対して、上記実施形態1、2の処理が行われてもよい。本発明は、シングルビームを機械的に回転させる方式の水中探知装置にも適用され得る。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
2 ビーム
5 水中探知装置
32 受信ビーム形成部
101 TVG処理部
102 参照値算出部
103 ゲイン閾値設定部
104 ゲイン設定部
106 探知画像データ生成部
110 推定距離算出部
De1 推定距離
Rd0 参照距離
Rd1 換算距離
Th1 除外閾値

Claims (15)

  1. 送受波器で方位ごとに受信された受信信号に基づく参照値を算出する参照値算出部と、
    前記参照値が予め設定された海底閾値を超える最小距離を参照距離として前記方位ごとに取得し、前記参照距離に基づいて前記方位ごとに海底付近までの推定距離を算出する推定距離算出部と、
    前記推定距離以遠から受信された前記受信信号に対して信号レベルを調整するためのゲインを設定するゲイン設定部と、
    前記ゲインが乗算された前記受信信号に基づいて前記受信信号のレベルに対応した探知画像データを生成する探知画像データ生成部と、を備える、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  2. 請求項に記載の水中探知装置において、
    前記参照値算出部は、前記推定距離を取得する方位を中心とする所定の方位幅と、当該方位における所定の距離幅とにより抽出される前記受信信号の平均値を参照値として算出する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  3. 請求項またはに記載の水中探知装置において、
    所定の俯角で扇形状に広がるビームにより前記送受波器から超音波が送波され、
    前記推定距離算出部は、
    前記扇形の中心方向における前記参照距離の成分を換算距離として取得し、
    前記各方位の前記換算距離に基づいて除外閾値を設定し、
    前記除外閾値よりも大きい前記換算距離に基づいて前記各方位の推定距離を取得する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  4. 請求項に記載の水中探知装置において、
    前記推定距離算出部は、前記除外閾値よりも小さい前記換算距離に対応する方位の前記推定距離を、前記除外閾値よりも大きい前記換算距離に基づいて設定する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  5. 請求項またはに記載の水中探知装置において、
    所定の俯角で傘状に広がるビームにより前記送受波器から超音波が送波され、
    前記推定距離算出部は、
    前記各方位の前記参照距離に基づいて除外閾値を設定し、
    前記除外閾値よりも大きい前記参照距離に基づいて前記各方位の推定距離を取得する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  6. 請求項に記載の水中探知装置において、
    前記推定距離算出部は、前記除外閾値よりも小さい前記参照距離に対応する方位の前記推定距離を、前記除外閾値よりも大きい前記参照距離に基づいて設定する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  7. 請求項1ないしの何れか一項に記載の水中探知装置において、
    前記ゲイン設定部は、前記方位ごとに、当該方位を中心とする所定の方位幅と当該方位における所定の距離幅とにより抽出される前記受信信号の平均値と、予め設定されたゲイン閾値との比較結果に基づいて、前記受信信号に乗算される前記ゲインを設定する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  8. 請求項に記載の水中探知装置において、
    前記ゲイン設定部は、前記平均値が前記ゲイン閾値以上である場合、前記ゲイン閾値を前記平均値で除算した値に基づいて前記ゲインを設定する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  9. 請求項またはに記載の水中探知装置において、
    前記ゲイン設定部は、前記平均値が前記ゲイン閾値未満であれば、前記ゲインを1に設定する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  10. 請求項ないしの何れか一項に記載の水中探知装置において、
    前記探知画像は、前記受信信号のレベルを階調表示し、
    前記ゲイン閾値は、前記階調表示の最高階調を設定する下限のレベルよりも低い値に設定される、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  11. 請求項1ないし10の何れか一項に記載の水中探知装置において、
    前記ゲイン設定部は、前記推定距離未満の範囲の前記受信信号に対して乗算されるゲインを1に設定する、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  12. 請求項1ないし11の何れか一項に記載の水中探知装置において、
    前記受信信号に対して、距離に応じて増幅率を変化させる増幅処理を行うTVG処理部を備え、
    前記推定距離算出部、前記ゲイン設定部および前記探知画像データ生成部は、前記TVG処理部による増幅処理後の受信信号を用いる、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  13. 請求項1ないし12の何れか一項に記載の水中探知装置において、
    前記受信信号は、前記送受波器に備えられた複数の超音波振動子による受波信号を位相合成することにより所定方位に主たる感度が設定された信号からなる、
    ことを特徴とする水中探知装置。
  14. 送受波器で方位ごとに受信された受信信号に基づく参照値を算出し、
    前記参照値が予め設定された海底閾値を超える最小距離を参照距離として前記方位ごとに取得し、
    前記参照距離に基づいて前記方位ごとに海底付近までの推定距離を算出し、
    前記推定距離以遠から受信された前記受信信号に対して信号レベルを調整するためのゲインを設定し、
    前記ゲインを乗算した前記受信信号に基づいて前記受信信号のレベルに対応した探知画像データを生成する、
    ことを特徴とする水中探知方法。
  15. 水中探知装置の処理部に、
    送受波器で方位ごとに受信された受信信号に基づく参照値を算出する機能と、
    前記参照値が予め設定された海底閾値を超える最小距離を参照距離として前記方位ごとに取得する機能と、
    前記参照距離に基づいて前記方位ごとに海底付近までの推定距離を算出する機能と、
    前記推定距離以遠から受信された前記受信信号に対して信号レベルを調整するためのゲインを設定する機能と、
    前記ゲインが乗算された前記受信信号に基づいて前記受信信号のレベルに対応した探知画像データを生成する機能と、を実行させるプログラム。
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