JP7269090B2 - 被加工物の分割方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェーハ等の被加工物を分割予定ラインに沿って分割する分割方法に関する。
半導体ウェーハを個々のデバイスチップに分割する加工方法として、切削ブレードによる切削加工やレーザー光線の照射によるアブレーション加工が知られている。
また、例えば、デバイスチップをマザーボード(ウェーハ)などに固定し配線した後、配線とデバイスチップとを樹脂封止してから、樹脂とマザーボードとを切断分割してパッケージデバイスチップを生成している。そして、分割したパッケージデバイスチップの側面は、樹脂で覆われていることで外的環境における負荷要因による破損が抑制されている(例えば、特許文献1参照)。
このような分割加工では、ウェーハ表面に設定された分割予定ラインに沿って切削溝をウェーハに形成し、ウェーハの表面を樹脂で封止した後、ウェーハの外周をエッジトリミングして切削溝を露出させ、露出した切削溝の撮像画像を用いたアライメント(切断ラインの位置検出)を実施してから、切削溝に沿ってレーザー光線を照射しアブレーション加工によって分割している(例えば、特許文献2参照)。
特開2002-100709号公報 特開2018-107330号公報 特開2016-157892号公報
しかし、上記のような分割加工で用いられる切削溝を形成する切削装置と、分割溝を形成するレーザー加工装置とは、別々の装置になるため、切削装置の切削送り(X軸方向への移動)において発生するヨーイング(Y軸方向の変位)と、レーザー加工装置の加工送り(X軸方向への移動)において発生するヨーイングとは異なる。ヨーイングとは、例えば、切削装置においては、切削手段の切削ブレードに対しチャックテーブルの切削送り方向(X軸方向)に対するY軸方向(割り出し送り方向)の変位であり、ウェーハに形成される切削溝はヨーイングにより完全な直線とはならず僅かに蛇行している。
そのため、切削溝の溝幅の中心をレーザー加工して分割させて側面が樹脂で封止されたパッケージデバイスチップを形成させたいのに、切削装置で発生するヨーイングとレーザー加工装置で発生するヨーイングとは、X軸方向における位置とY軸方向の変位量とが異なるため切削溝の中心がレーザー加工されないことがあり、パッケージデバイスチップの側面の樹脂封止が不十分になるという問題がある。
また、上記問題は、被加工物がパッケージデバイスチップである場合に限らず、例えば切削ブレードで被加工物であるウェーハをハーフカットしてウェーハを完全切断しない切削溝を形成した後、レーザー光線を該切削溝に照射してウェーハを分割するウェーハの分割方法全般において発生しうる問題である。
また、特許文献3に開示されているように、被加工物にレーザー加工を施した後、切削ブレードでレーザー加工溝を切削して被加工物を分割する場合にも、切削装置の切削送りにおけるヨーイングと、レーザー加工装置の加工送りおけるヨーイングとが異なるためレーザー加工溝の中央を正確に切削できないという問題がある。
よって、被加工物を分割予定ラインに沿って分割する分割方法においては、例えば、切削ブレードで形成した切削溝の溝幅の中心に沿って被加工物にレーザー光線を照射して切削溝からY軸方向にはみ出すことなくレーザー加工するという課題がある。また、例えば、レーザー光線の照射により形成したレーザー加工溝の溝幅の中心に沿って被加工物に切削ブレードを切り込ませレーザー加工溝からY軸方向にはみ出すことなく切削加工するという課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、格子状に形成された分割予定ラインによって区画された領域にデバイスが形成された被加工物を、第1加工装置で該分割予定ラインに沿って完全切断しない加工を施した後、第2加工装置で該分割予定ラインに沿って被加工物を分割可能な加工を施すことにより被加工物を分割する被加工物の分割方法であって、該第1加工装置は、被加工物を加工する第1加工手段と、保持面で被加工物を保持する第1保持手段と、該第1保持手段を該第1加工手段の加工送り方向となるX軸方向に加工送りする第1加工送り手段と、を備え、該第2加工装置は、被加工物を加工する第2加工手段と、保持面で被加工物を保持する第2保持手段と、該第2保持手段を該第2加工手段の加工送り方向となるX軸方向に加工送りする第2加工送り手段と、を備え、該第1加工送り手段で該第1保持手段をX軸方向に加工送りさせ、該第1加工手段が被加工物を加工する最も長い加工距離において、該第1保持手段の該保持面中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び該一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、該X軸座標に応じ水平面において該X軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する第1記憶工程と、該第2加工送り手段で該第2保持手段をX軸方向に加工送りさせ、該第2加工手段が被加工物を加工する最も長い加工距離において、該第2保持手段の該保持面中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び該一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、該X軸座標に応じ水平面において該X軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する第2記憶工程と、該第1記憶工程で記憶した該X軸座標と該第2記憶工程で記憶した該X軸座標とが一致する互いの該Y軸方向の変位の差を算出し該差を記憶する第3記憶工程と、該第1保持手段に被加工物を保持させ、該第1保持手段を該第1加工送り手段が加工送りさせ該第1加工手段で該被加工物の分割予定ラインに沿って該被加工物を完全切断しない加工を施す第1加工工程と、該第1加工工程の後、該第1保持手段から該被加工物を離間させ該第2保持手段に該被加工物を保持させる移設工程と、該第2保持手段を該第2加工送り手段が加工送りさせ該第2加工手段で被加工物を加工する際に、該第3記憶工程で記憶した該変位の差を用いて該第2加工手段を該第2保持手段に対して相対的に該変位の差の値だけY軸方向に移動させ被加工物に加工を施す第2加工工程と、を備える被加工物の分割方法である。
X軸方向における前記第1保持手段が保持した被加工物の中心と該第1保持手段の保持面の中心との差を記憶する第4記憶工程と、該第4記憶工程で記憶した該差と前記第3記憶工程で記憶した前記変位の差とを用いて、前記第2加工工程を実施すると好ましい。
X軸方向における前記第2保持手段が保持した被加工物の中心と該第2保持手段の保持面の中心との差を記憶する第5記憶工程と、該第5記憶工程で記憶した該差と前記第3記憶工程で記憶した前記変位の差とを用いて、該第2加工工程を実施すると好ましい。
第1加工装置で分割予定ラインに沿って完全切断しない加工を施した後、第2加工装置で分割予定ラインに沿って被加工物を分割可能な加工を施すことにより被加工物を分割する本発明に係る被加工物の分割方法は、第1加工装置は、被加工物を加工する第1加工手段と、保持面で被加工物を保持する第1保持手段と、第1保持手段を第1加工手段の加工送り方向となるX軸方向に加工送りする第1加工送り手段と、を備え、第2加工装置は、被加工物を加工する第2加工手段と、保持面で被加工物を保持する第2保持手段と、第2保持手段を第2加工手段の加工送り方向となるX軸方向に加工送りする第2加工送り手段と、を備え、第1加工送り手段で第1保持手段をX軸方向に加工送りさせ、第1加工手段が被加工物を加工する最も長い加工距離において、第1保持手段の保持面中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、X軸座標に応じ水平面においてX軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する第1記憶工程と、第2加工送り手段で第2保持手段をX軸方向に加工送りさせ、第2加工手段が被加工物を加工する最も長い加工距離において、第2保持手段の保持面中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、X軸座標に応じ水平面においてX軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する第2記憶工程と、第1記憶工程で記憶したX軸座標と第2記憶工程で記憶したX軸座標とが一致する互いのY軸方向の変位の差を算出し差を記憶する第3記憶工程と、第1保持手段に被加工物を保持させ、第1保持手段を第1加工送り手段が加工送りさせ第1加工手段で被加工物の分割予定ラインに沿って被加工物を完全切断しない加工を施す第1加工工程と、第1加工工程の後、第1保持手段から被加工物を離間させ第2保持手段に被加工物を保持させる移設工程と、第2保持手段を第2加工送り手段が加工送りさせ第2加工手段で被加工物を加工する際に、第3記憶工程で記憶した変位の差を用いて第2加工手段を第2保持手段に対して相対的に変位の差の値だけY軸方向に移動させ被加工物に加工を施す第2加工工程と、を備えることで、例えば第1加工装置で被加工物を切削した後、第2加工装置でレーザーアブレーション加工を被加工物に施してフルカットする際に、切削溝からY軸方向にレーザーがはみ出してレーザー加工してしまうことを防ぐことが可能となる。即ち、第1加工装置の次に被加工物に加工を施す第2加工装置は2つの加工装置における異なるヨーイングを相殺させ分割加工するため、第1加工装置で形成された例えば切削溝に沿って2番目の分割加工が行われていき、2番目の分割加工においてデバイスを切断してしまうといった事態を生じさせない。そのため、被加工物を適切に分割する事ができる。また、小片化したデバイスチップをウェーハに積層させて樹脂でモールドした被加工物を分割する時に、樹脂を切削加工して、ウェーハをアブレーション加工することがある。このとき、本発明に係る被加工物の分割方法を実施すれば、例えば第2加工装置におけるレーザー照射により被加工物を分割した後に、デバイスチップ側面を確実に樹脂で保護した状態にする事ができる。
本発明に係る分割方法においては、X軸方向における第1保持手段が保持した被加工物の中心と第1保持手段の保持面の中心との差を記憶する第4記憶工程と、第4記憶工程で記憶した差と第3記憶工程で記憶した変位の差とを用いて、第2加工工程を実施することで、デバイスの切断等を発生させずに被加工物をさらに適切に分割する事ができる。
本発明に係る分割方法においては、X軸方向における第2保持手段が保持した被加工物の中心と第2保持手段の保持面の中心との差を記憶する第5記憶工程と、第5記憶工程で記憶した差と第3記憶工程で記憶した変位の差とを用いて、第2加工工程を実施することで、デバイスの切断等を発生させずに被加工物をさらに適切に分割する事ができる。
第1加工装置の一例を示す斜視図である。 第2加工装置の一例を示す斜視図である。 第1記憶工程で、被加工物を加工する最も長い加工距離において第1加工装置の第1加工手段が被加工物を切削する状態を説明するための断面図である。 第1記憶工程で、被加工物を加工する最も長い加工距離で形成された切削溝を第1撮像手段によって撮像している状態を示す斜視図である。 第1記憶工程で、第1撮像画像を用いて、第1加工手段が被加工物を加工する最も長い加工距離において、第1保持手段の保持面中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、X軸座標に応じ水平面においてX軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する場合を説明するための説明図である。 第2記憶工程で、被加工物を加工する最も長い加工距離において第2加工装置の第2加工手段が被加工物をレーザーアブレーション加工する場合を説明する断面図である。 第2記憶工程で、被加工物を加工する最も長い加工距離で形成されたレーザー加工溝を第2撮像手段によって撮像している状態を示す斜視図である。 第2記憶工程で、第2撮像画像を用いて、第2加工手段が被加工物を加工する最も長い加工距離において、第2保持手段の保持面中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、X軸座標に応じ水平面においてX軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する場合を説明するための説明図である。 第1加工工程が実施されて、分割予定ラインに沿って被加工物を完全切断しない切削加工が施された被加工物を示す斜視図である。 第2加工工程で、被加工物を加工する最も長い加工距離において第2加工装置の第2加工手段が、被加工物をレーザーアブレーションして完全切断する場合を説明する断面図である。 第2加工工程が実施されて、分割予定ラインに沿って被加工物を完全切断するアブレーション加工が施された被加工物を示す斜視図である。 第2加工工程が実施されることで完全切断された被加工物の一部を示す平面図である。
図1に示す第1加工装置1は、例えば、第1保持手段15に保持された板状の被加工物Wに対して、第1加工手段17が備える切削ブレード173を回転させ切り込ませて切削加工を施す装置である。
図1に示す被加工物Wは、例えば、シリコンを母材とする外形が円形板状の半導体ウェーハであり、図1において上側を向いている表面Waには、直交差する複数の分割予定ラインSが形成されており、分割予定ラインSによって格子状に区画された各領域にはIC等のデバイスDがそれぞれ形成されている。被加工物Wの裏面Wbは、ダイシングテープTが貼着されて保護されている。なお、被加工物Wはシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、セラミックス、樹脂、窒化ガリウム又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、その外形も円形状ではなく、例えば、矩形状に形成されていてもよい。
また、被加工物Wは、例えば、環状フレームFによってダイシングテープTを介してハンドリング可能に支持されている
例えば、被加工物Wは、その表面WaのデバイスD上にさらにデバイスチップが積層され配線が形成され、分割予定ラインSと共に該デバイスチップを覆うように表面Waが樹脂で封止されたパッケージウェーハであってもよい。
第1加工装置1の基台10上には、加工送り方向(X軸方向)に第1保持手段15を往復移動させる第1加工送り手段11が配設されている。第1加工送り手段11は、X軸方向の軸心を有するボールネジ110と、ボールネジ110と平行に配設された一対のガイドレール111と、ボールネジ110を回動させるモータ112と、内部のナットがボールネジ110に螺合し底部がガイドレール111に摺接する可動板113とから構成される。そして、モータ112がボールネジ110を回動させると、これに伴い可動板113がガイドレール111にガイドされてX軸方向に移動し、可動板113上に配設された第1保持手段15がX軸方向に移動する。
被加工物Wを保持する第1保持手段15は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなる水平な保持面15a上で被加工物Wを吸引保持する。第1保持手段15は、その底面側に配設され軸方向がZ軸方向である回転手段151を介して可動板113上に固定されている。
第1保持手段15の周囲には、被加工物WをダイシングテープTを介して支持する環状フレームFを挟持固定するクランプ152が、周方向に均等間隔を空けて複数配設されている。
基台10上の後方側(+X方向側)には、門型コラム100が第1加工送り手段11を跨ぐように立設されている。門型コラム100の前面には、X軸方向に水平面において直交するY軸方向に第1加工手段17を往復移動させる第1割り出し送り手段12が配設されている。第1割り出し送り手段12は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ120と、ボールネジ120と平行に配設された一対のガイドレール121と、ボールネジ120を回動させるモータ122と、内部のナットがボールネジ120に螺合し側部がガイドレール121に摺接する可動板123とから構成される。そして、モータ122がボールネジ120を回動させると、これに伴い可動板123がガイドレール121にガイドされてY軸方向に移動し、可動板123上に切込み送り手段16を介して配設された第1加工手段17がY軸方向に割り出し送りされる。
可動板123上には、X軸方向及びY軸方向に対して直交するZ軸方向(鉛直方向)に第1加工手段17を往復移動させる切込み送り手段16が配設されている。切込み送り手段16は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ160と、ボールネジ160と平行に配設された一対のガイドレール161と、ボールネジ160を回動させるモータ162と、内部のナットがボールネジ160に螺合し側部がガイドレール161に摺接する支持部材163とから構成される。そして、モータ162がボールネジ160を回動させると、これに伴い支持部材163がガイドレール161にガイドされてZ軸方向に移動し、支持部材163が支持する第1加工手段17がZ軸方向に切込み送りされる。
第1加工手段17は、軸方向がY軸方向である回転軸170と、支持部材163の下端に固定され回転軸170を回転可能に支持するハウジング171と、回転軸170を回転させる図示しないモータと、回転軸170に装着される円環状の切削ブレード173とを備えており、図示しないモータが回転軸170を回転駆動することに伴って切削ブレード173も高速で回転する。
例えば、切込み送り手段16の支持部材163の側面には、被加工物Wの表面Waを撮像可能な第1撮像手段18が撮像手段支持部材166を介して配設されている。撮像手段支持部材166は、+Y方向に延びて第1加工手段17の上方を通過し、さらに-Z方向に延在するエルボ状の外形を備えており、例えば第1撮像手段18は撮像手段支持部材166によって第1加工手段17の回転軸170の軸芯線の上方に位置している。
第1撮像手段18は、外部光が遮光される筒状の筐体180を備えており、例えば筐体180の側面には被加工物Wの上方から被加工物Wを照らす照明182が取り付けられている。照明182は、LED又はキセノンランプ等の図示しない光源が生み出す光を光ファイバー等の伝送光学系を介して筐体180内に伝搬する。
筐体180内には照明182から入射した光を下方に向けて反射するミラー及び被加工物Wで反射された光を捉える対物レンズ等の光学系が配置されており、対物レンズが捉えた反射光は例えばCCD等の撮像素子183により光電変換され画像情報として出力され、撮像画像が形成される。例えば、第1撮像手段18の光軸は、第1加工手段17の回転軸170の軸芯線と水平面において交差すると好ましい。
図1に示すように、第1加工装置1は、装置全体の制御を行う第1制御手段19を備えている。CPU及びメモリ等の第1記憶部190等で構成される第1制御手段19は、第1加工送り手段11、第1割り出し送り手段12、及び切込み送り手段16等に電気的に接続されており、第1制御手段19の制御の下で、第1加工送り手段11による第1保持手段15の加工送り動作、第1割り出し送り手段12による第1加工手段17の割り出し送り動作、及び切込み送り手段16による第1加工手段17の切込み送り動作等が制御される。
例えば、第1割り出し送り手段12のモータ122及び第1加工送り手段11のモータ112は、図示しないパルス発振器からドライバを介して供給される駆動パルスによって動作するパルスモータである。そして、第1制御手段19は、第1加工送り手段11のモータ112に供給される駆動パルス数をカウントすることにより、第1保持手段15の加工送り速度を制御し、かつ第1保持手段15の位置を把握し、また、第1割り出し送り手段12のモータ122に供給される駆動パルス数をカウントすることにより第1保持手段15の割り出し送りされた位置を逐次認識しながら定めることが可能となる。
例えば、第1割り出し送り手段12のモータ122及び第1加工送り手段11のモータ112をサーボモータとし、各サーボモータのロータリエンコーダは、サーボアンプとしての機能も有する第1制御手段19に接続されており、第1制御手段19の出力インターフェイスから各サーボモータに対して動作信号が供給された後、エンコーダ信号(サーボモータの回転数)を第1制御手段19の入力インターフェイスに対して出力する。そして、エンコーダ信号を受け取った第1制御手段19によって、第1保持手段15の加工送り速度が所望の速度となるようにフィードバック制御されつつ、また、第1保持手段15の割り出し送り位置が逐次認識される。
図2に示す第2加工装置2は、例えば、第2保持手段23に保持した被加工物Wにレーザー光線を照射して加工を施す加工装置である。
第2加工装置2の基台2B上には、割り出し送り方向であるY軸方向に第2保持手段23を往復移動させる第2割り出し送り手段20が備えられている。第2割り出し送り手段20は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ200と、ボールネジ200と平行に配設された一対のガイドレール201と、ボールネジ200を回動させるモータ202と、内部のナットがボールネジ200に螺合し底部がガイドレール201に摺接する可動板203とから構成される。そして、モータ202がボールネジ200を回動させると、これに伴い可動板203がガイドレール201にガイドされてY軸方向に移動し、可動板203上に第2加工送り手段21を介して配設された第2保持手段23が可動板203の移動に伴いY軸方向に移動する。
可動板203上には、加工送り方向であるX軸方向に第2保持手段23を往復移動させる第2加工送り手段21が備えられている。第2加工送り手段21は、X軸方向の軸心を有するボールネジ210と、ボールネジ210と平行に配設された一対のガイドレール211と、ボールネジ210を回動させるモータ212と、内部のナットがボールネジ210に螺合し底部がガイドレール211に摺接する可動板213とから構成される。そして、モータ212がボールネジ210を回動させると、これに伴い可動板213がガイドレール211にガイドされてX軸方向に移動し、可動板213上に配設された第2保持手段23が可動板213の移動に伴いX軸方向に移動する。
被加工物Wを保持する第2保持手段23は、その外形が円形状であり、図示しない吸引源に連通し水平面である保持面23a上で被加工物Wを吸引保持する。第2保持手段23は底面側に配設されZ軸方向の軸心を備える回転手段234により回転可能である。第2保持手段23の周囲には、被加工物Wを支持する環状フレームFを固定する固定クランプ235が、周方向に均等に4つ配設されている。
基台2Bの後方(-Y方向側)には、コラム2Cが立設されており、コラム2Cには第2加工手段25が配設されている。
第2加工手段25は、例えば略直方体状のケーシング250を有している。ケーシング250は、コラム2Cから+Y方向に水平に突出しており、ケーシング250の先端部には、照射ヘッド259が配設されている。
ケーシング250内には、例えばYAGパルスレーザー等のレーザー発振器251が配設されており、レーザー発振器251から水平に出射されるレーザー光線は、図示しないミラーにより-Z方向へ反射して照射ヘッド259の内部の集光レンズ259aに入光し、第2保持手段23で保持された被加工物Wに集光・照射される。レーザー光線の集光点の高さ位置は、図示しない集光点位置調整手段によりZ軸方向に調整可能となっている。例えば、レーザー発振器251と照射ヘッド259との間には、被加工物Wに照射するレーザー光線のパワーを調整するための図示しない出力調整手段が設けられている。
第2加工装置2は、例えば、被加工物Wを撮像する第2撮像手段27を備えている。
第2撮像手段27は、例えば、2次元的に配列された複数の画素を有する撮像素子(例えば、CCD)と、被写体像を図2に示す集光レンズ259aを通して撮像素子の受光面に導く撮像光学系とを有するカメラとを備えており、例えばカメラの光軸が第2加工手段25の照射ヘッド259から照射されるレーザー光線の光軸と同軸となっている。
図2に示すように、第2加工装置2は、装置全体の制御を行う第2制御手段29を備えている。CPU及びメモリ等の第2記憶部290等で構成される第2制御手段29は、第2加工送り手段21、第2割り出し送り手段20、及び回転手段234等に電気的に接続されており、第2制御手段29の制御の下で、第2加工送り手段21による第2保持手段23の加工送り動作、第2割り出し送り手段20による第2保持手段23の割り出し送り動作、及び回転手段234による第2保持手段23の回転動作等が制御される。
例えば、第2割り出し送り手段20のモータ202及び第2加工送り手段21のモータ212は、図示しないパルス発振器からドライバを介して供給される駆動パルスによって動作するパルスモータである。そして、第2制御手段29は、第2加工送り手段21のモータ212に供給される駆動パルス数をカウントすることにより、第2保持手段23の加工送り速度を制御し、かつ、第2保持手段23の位置を認識し、また、第2割り出し送り手段20のモータ202に供給される駆動パルス数をカウントすることにより第2保持手段23の割り出し送りされた位置を逐次認識することが可能となる。
例えば、第2割り出し送り手段20のモータ202及び第2加工送り手段21のモータ212をサーボモータとし、各サーボモータのロータリエンコーダは、サーボアンプとしての機能も有する第2制御手段29に接続されており、第2制御手段29の出力インターフェイスから各サーボモータに対して動作信号が供給された後、エンコーダ信号(サーボモータの回転数)を第2制御手段29の入力インターフェイスに対して出力する。そして、エンコーダ信号を受け取った第2制御手段29によって、第2保持手段23の加工送り速度が所望の速度となるようにフィードバック制御されつつ、また、第2保持手段23の割り出し送り位置が逐次認識される。
以下に、図1に示す格子状に形成された分割予定ラインSによって区画された領域にデバイスDが形成された被加工物Wを、図1に示す第1加工装置1で分割予定ラインSに沿って完全切断しない加工を施した後、図2に示す第2加工装置2で分割予定ラインSに沿って被加工物Wを分割可能な加工を施すことにより被加工物Wを分割する被加工物Wの分割方法の各工程を説明する。
(1)第1記憶工程
まず、図1に示す第1加工送り手段11で第1保持手段15をX軸方向に加工送りさせ、第1加工手段17が被加工物Wを加工する後述する最も長い加工距離において、第1保持手段15の保持面15aの中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び該一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、X軸座標に応じ水平面においてX軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する第1記憶工程を実施する。
詳しくは、被加工物Wが、表面Waが上側になるように第1保持手段15の保持面15a上に載置される。そして、図示しない吸引源により生み出される吸引力が保持面15aに伝達されることにより、第1保持手段15が被加工物WをダイシングテープTを介して吸引保持する。また、環状フレームFがクランプ152により挟持固定される。この際、第1保持手段15の保持面15aの中心と吸引保持された被加工物Wの中心とは正確に合致した状態になることが好ましい。
なお、保持面15aの中心と、保持面15aに吸引保持された被加工物Wの中心とが一致していない場合は、X軸方向における保持面15aの中心と、被加工物Wの中心との距離(ズレ量)を記憶する。
図1に示す第1加工送り手段11によって、第1保持手段15が例えば+X方向に送られて、第1保持手段15上の被加工物Wが第1撮像手段18の直下に位置付けられた後、第1撮像手段18により被加工物Wの表面Waが撮像される。第1撮像手段18による本撮像は、被加工物Wの分割予定ラインSをX軸方向と平行に合わせるθ合わせ(平行出し)のために実施される。
なお、θ合わせは、ヨーイングを記憶する前に実施する。
第1撮像手段18のピントが被加工物Wの表面Waに合うようにオートフォーカスが行われた後、第1撮像手段18により被加工物Wの表面Waが撮像される。そして、例えば、X軸方向に延びる一本の分割予定ラインSに隣接しX軸方向において互いに離れた位置にある2つのデバイスDを対象とし、デバイスDが写った2つの撮像画像が形成される。そして、例えば第1制御手段19が、2つの撮像画像中のデバイスDの表面に形成されたパターンと、予め記憶しているターゲットパターンとのマッチングを行い、2つの撮像画像中の各ターゲットパターンを検出する。そして、この2つのターゲットパターンのY軸方向における座標が一致するように、第1保持手段15が所定の角度θだけ回転することで、X軸方向に延びる分割予定ラインSをX軸方向と平行に合わせることができる。なお、分割予定ラインSがX軸方向に平行に保持面15aに被加工物Wを吸引保持させる機構を第1加工装置1が備えている場合には、該θ合わせを行わなくてもよい。
また、第1制御手段19は、該撮像画像等を基にパターンマッチング等の画像処理を実施し、第1保持手段15によって吸引保持された被加工物Wの切削すべき分割予定ラインSのY軸座標位置の検出(アライメント)を行う。
分割予定ラインSの位置が検出されるのに伴って、第1加工手段17がY軸方向に割り出し送りされ、切削すべき分割予定ラインSと切削ブレード173とのY軸方向における位置合わせが行われる。
ここで、例えば、第1制御手段19は、第1加工装置1上における第1保持手段15のX軸Y軸座標位置を常に把握しており、また、Y軸方向における被加工物Wの隣接するデバイスD間距離であるインデックスサイズも予め記憶している。これらの情報から、例えば、上記のようにθ合わせ及び分割予定ラインSのアライメントが行われた後、被加工物Wの表面Waの中心を通る1本の分割予定ラインS、又は、表面Waの中心に最も近い1本の分割予定ラインS、換言すれば、被加工物Wの分割予定ラインSの中で最も長い分割予定ラインSが切削すべきラインとして選択される。該最も長い分割予定ラインSを以下、最も長い1本の分割予定ラインSmとし、該分割予定ラインSmと切削ブレード173とのY軸方向における位置合わせがされる。
そして、例えば、図3に示す被加工物Wの外周縁から所定距離離れたX軸方向におけるダイシングテープT上のX軸座標位置が、切削開始位置xaとして決定される。なお、図3においては、第1加工装置1の構成要素を簡略化して示している。
図1、図3に示す回転軸170が回転することに伴い、切削ブレード173が回転し、さらに、図1に示す切込み送り手段16によって第1加工手段17が-Z方向に向かって切込み送りされ、切削ブレード173の最下端が被加工物W及びダイシングテープTに切り込む所定の高さ位置に、第1加工手段17が位置付けられる。
図1、3に示す被加工物Wを保持する第1保持手段15が所定の切削送り速度で+X方向側に送り出されることで、回転する切削ブレード173がダイシングテープTに切り込んだ後、分割予定ラインSm(図1参照)に沿って被加工物Wの表面Wa側から切り込んでいき、被加工物Wに所定深さの切削溝Mを形成していく。切削ブレード173が一本の分割予定ラインSmを切削し終え、例えば、さらに被加工物Wの外周縁から所定の距離ダイシングテープTを切削するX軸方向の所定の位置(切削終了位置xb)まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りが一度停止され、切削ブレード173が被加工物Wから離間する。
本実施形態においては、切削開始位置xaから切削終了位置xbまでのX軸方向における距離が、第1加工手段17が被加工物Wを加工する最も長い加工距離L1と定義される。
次に、図1に示す第1割り出し送り手段12が可動板123をY軸方向に移動させるとともに、第1加工送り手段11が可動板113を-X方向に移動させて、図4に示す被加工物Wの切削溝Mの一端である切削開始位置xaが第1撮像手段18の直下に位置付けられる。
第1保持手段15が+X方向に送られつつ、第1撮像手段18により被加工物Wの切削溝Mを一端(切削開始位置xa)から他端(切削終了位置xb)に向けてX軸方向において連続的に撮像する。
第1撮像手段18は、被加工物Wの表面Waの1本の切削溝Mについての各撮像画像(切削溝Mが所定の長さ分写った撮像画像)を図1に示す第1制御手段19に順次送信する。該画像情報は、第1制御手段19の第1記憶部190に被加工物Wの1本の切削溝Mの全体画像を構成可能に順番に記録される。
第1撮像手段18のX軸方向における撮像間隔は、例えば第1撮像手段18の撮像視野の大きさによって決まり、一本の切削溝Mの上方を第1撮像手段18が通過しきるX軸方向の所定位置まで第1保持手段15が+X方向に進行した際に、例えば一本の切削溝M中に撮像されていない箇所が生じないように決められると好ましい。
例えば、一本の切削溝Mの上方を第1撮像手段18が通過しきるX軸方向の所定位置まで第1保持手段15が+X方向に進行した後に、第1記憶部190に記憶されている複数の撮像画像が結合されて、図5に示す被加工物Wを加工する最も長い加工距離L1における1本の切削溝Mの全体が写った第1撮像画像GAが形成される。
第1撮像画像GAは、仮想的な出力画面上に表示される。そして、第1加工手段17が被加工物Wを加工する最も長い加工距離L1において、第1保持手段15の保持面15aの中心(即ち、被加工物Wの中心)をゼロ(原点0,0)、加工送りにおける一方向(+X方向)をプラス、及び一方向の反対方向(-X方向)をマイナスとしたX軸座標、及び水平面においてX軸方向に直交するY軸座標が設定される。
上記図1に示す第1加工送り手段11は、例えば、ガイドレール111の歪み等を要因として第1保持手段15を必ずしもX軸方向に直線移動するとは限らず、切削溝Mの形成において切削送り方向(X軸方向)に直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に数μm~数十μm程度のヨーイング(変位)が発生することがある。その結果、図5に示すように、切削溝Mは直線状の分割予定ラインSmの中心線を通る直線状にならず、分割予定ラインSmの幅方向であるY軸方向に僅かに蛇行してしまうことがある。
図1に示す第1制御手段19の第1変位量測定部191は、図5に示す第1撮像画像GAの各画素の輝度の違いを基にして、所定の輝度の画素からなる切削溝Mを検出する。第1変位量測定部191は、第1制御手段19が予め把握している切削溝Mが形成された分割予定ラインSmの中心線に対して、任意の複数のX軸座標位置における切削溝MがY軸方向においてどれだけズレているか、即ち、各X座標位置でのY軸方向における変位量(ヨーイング量)がいくつになっているかを算出する。
一例として、図5に示す複数のX軸座標位置(例えば、-x1、-x2、0、及び+x1、+x2等)におけるY軸座標を用いて示される変位量(+y1、+y2、0、及び+y3、0等)は、X軸座標位置(-x1、-x2、及び0、+x1、+x2等)と共に図1に示す第1記憶部190に記憶される。
なお、第1記憶工程は、上記のように被加工物Wに実際に切削溝Mを形成して行う形態に限定されるものではなく、ダイヤルゲージ等を用いて変位量を測定してもよい。また、ヨーイング量を記憶する本第1記憶工程では、被加工物Wの代わりにダミーウェーハを使用してもよい。
(2)第2記憶工程
次に、図2に示す第2加工送り手段21で第2保持手段23をX軸方向に加工送りさせ、第2加工手段25が被加工物Wを加工する最も長い加工距離L1(図3、4参照)において、第2保持手段23の保持面23aの中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、X軸座標に応じ水平面においてX軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する第2記憶工程を実施する。
詳しくは、図示しない搬送ロボット又は作業者によって、例えば切削溝Mが形成された被加工物Wが図1に示す第1加工装置1から図2に示す第2加工装置2に搬送される。そして、被加工物Wが、表面Waが上側になるように第2保持手段23の保持面23a上に載置される。そして、図示しない吸引源により生み出される吸引力が保持面23aに伝達されることにより、第2保持手段23が保持面23a上で被加工物WをダイシングテープTを介して吸引保持する。また、環状フレームFが固定クランプ235により挟持固定される。なお、第2保持手段23の保持面23aの中心と吸引保持された被加工物Wの中心とは正確に合致した状態になることが好ましい。なお、保持面23aの中心と、保持面23aに吸引保持された被加工物Wの中心とが一致していない場合は、X軸方向における保持面23aの中心と、被加工物Wの中心との距離(ズレ量)を記憶する。
また、図1に示す第1変位量測定部191により算出され第1記憶部190に記憶された上記変位量についてのデータが、第1加工装置1と第2加工装置2との通信によって第1加工装置1の第1制御手段19から第2加工装置2の第2制御手段29に送信され、第2制御手段29の第2記憶部290は受信した該データを記憶する。なお、上記加工装置間のデータの送受信は、作業者がUSBメモリー等を用いて行ってもよい。
図1に示す第2加工送り手段21によって、第2保持手段23が例えば+X方向に送られて、第2撮像手段27の直下に位置付けられた後、第2撮像手段27により被加工物Wの表面Waが撮像される。第2撮像手段27による本撮像は、被加工物Wの分割予定ラインSをX軸方向と平行に合わせるθ合わせ(平行出し)のために実施される。
第2撮像手段27のピントが被加工物Wの表面Waに合わせられた後、第2撮像手段27により被加工物Wの表面Waが撮像され、分割予定ラインSに沿って離間した2カ所の撮像画像を元に第2保持手段23が所定角度回転されてθ合わせが行われる。なお、θ合わせは、ヨーイングを記憶する前に実施する。また、分割予定ラインSがX軸方向に平行に保持面23aに被加工物Wを吸引保持させる機構を第2加工装置2が備えている場合には、該θ合わせを行わなくてもよい。
第2制御手段29は、該撮像画像を基にパターンマッチング等の画像処理を実施し、第2保持手段23によって吸引保持された被加工物Wのレーザー光線を照射すべき分割予定ラインSの検出を行う。また、切削溝Mが形成されている最も長い分割予定ラインSmのY軸座標位置の検出(アライメント)を行ってもよい。
分割予定ラインSmの位置が検出されるのに伴って、第2保持手段23がY軸方向に移動され、第2加工手段25の照射ヘッド259と、最も長い分割予定ラインSmとのY軸方向における位置合わせがなされる。該位置合わせによって、第2加工手段25が照射するレーザー光線の光軸が、分割予定ラインSmの中心線に合うように位置付けられる。
例えば、被加工物Wの外周縁から所定距離離れたX軸方向におけるダイシングテープT上のX軸座標位置がレーザー加工開始位置xa(図3に示す切削開始位置xaと同位置)として決定され、図6に示すように照射ヘッド259の直下に該レーザー加工開始位置xaが位置付けられる。
なお、図6においては、第2加工装置2の構成要素を簡略化して示している。
次いで、集光レンズ259aによって集光されるレーザー光線の集光点の高さ位置が、例えば被加工物Wの表面Waの高さ位置に合わせられる。そして、被加工物Wを保持する第2保持手段23が所定の加工送り速度で+X方向側に送り出されつつ、レーザー発振器251(図2参照)が、被加工物Wに対して吸収性を有する波長のレーザー光線を発振する。発振されたレーザー光線は、照射ヘッド259の内部の集光レンズ259aに入光し、ダイシングテープTに照射された後、第2保持手段23で保持された被加工物Wに集光され照射される。その結果、被加工物Wがアブレーションされて、レーザー加工溝Nが形成されていく。
レーザー光線が一本の分割予定ラインSmに沿って照射され、さらに例えば被加工物Wの外周縁から所定の距離だけダイシングテープTに照射されるX軸方向の所定の位置(レーザー加工終了位置xb)まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの加工送りが一度停止され、レーザー光線の照射が停止される。レーザー加工終了位置xbは、図3に示す切削終了位置xbと同位置である。その結果、図6に示すレーザー加工開始位置xaからレーザー加工終了位置xbまでのX軸方向における被加工物Wを加工する最も長い加工距離L1において、被加工物Wにレーザー加工が施された状態になる。
図2に示す第2割り出し送り手段20が可動板203をY軸方向に移動させるとともに、第2加工送り手段21が可動板213をX軸方向に移動させて、図7に示す被加工物Wのレーザー加工溝Nの一端が第2撮像手段27の直下に位置付けられる。
第2保持手段23が+X方向に送られつつ、第2撮像手段27により被加工物Wのレーザー加工溝Nを一端から他端に向けてX軸方向において連続的に撮像する。
第2撮像手段27は、被加工物Wの表面Waの1本のレーザー加工溝Nについての各撮像画像(レーザー加工溝Nが所定の長さ分写った撮像画像)を図2に示す第2制御手段29に順次送信する。該画像情報は、第2制御手段29の第2記憶部290に被加工物Wの1本のレーザー加工溝Nの全体画像を構成可能に順番に記録される。
第2撮像手段27のX軸方向における撮像間隔は、例えば第2撮像手段27の撮像視野の大きさによって決まり、一本のレーザー加工溝Nの上方を第2撮像手段27が通過しきるX軸方向の所定位置まで第2保持手段23が+X方向に進行した際に、例えば一本のレーザー加工溝N中に撮像されていない箇所が生じないように決められると好ましい。
例えば、一本のレーザー加工溝Nの上方を第2撮像手段27が通過しきるX軸方向の所定位置まで第2保持手段23が+X方向に進行した後に、第2記憶部290に記憶されている複数の撮像画像が結合されて、図8に示す被加工物Wを加工する最も長い加工距離L1における1本のレーザー加工溝Nの全体が写った第2撮像画像GBが形成される。
第2撮像画像GBは、仮想的な出力画面上に表示される。そして、第2加工手段25が被加工物Wを加工する最も長い加工距離L1において、第2保持手段23の保持面23aの中心(即ち、被加工物Wの中心)をゼロ(原点0,0)、加工送りにおける一方向(+X方向)をプラス、及び一方向の反対方向(-X方向)をマイナスとしたX軸座標、及び水平面においてX軸方向に直交するY軸座標が設定される。
上記図2に示す第2加工送り手段21は、例えば、ガイドレール201の歪み等を要因として第2保持手段23を必ずしもX軸方向に直線移動するとは限らず、レーザー加工溝Nの形成において加工送り方向(X軸方向)と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に数μm~数十μm程度のヨーイング(変位)が発生することがある。その結果、図8に示すように、レーザー加工溝Nは直線状の分割予定ラインSmの中心線を通る直線状にならず、分割予定ラインSmの幅方向(Y軸方向)に僅かに蛇行した状態になってしまうことがある。
図2に示す第2制御手段29の第2変位量測定部291は、図8に示す第2撮像画像GBの各画素の輝度の違いを基にして、所定の輝度の画素からなるレーザー加工溝Nを検出する。また、第2変位量測定部291は、予め把握しているレーザー加工溝Nが形成された分割予定ラインSmの中心線に対して任意の複数のX軸座標位置におけるレーザー加工溝NがY軸方向においてどれだけズレているか、即ち、各X座標位置でのY軸方向における変位量(ヨーイング量)がいくつになっているかを算出する。
一例として、図8に示すX軸座標位置(例えば、-x1、-x2、0、及び+x1、+x2等)における、Y軸座標を用いて示される変位量(+y1、0、+y3、及び-y4、-y5等)は、X軸座標位置(-x1、-x2、0、及び+x1、+x2等)と共に図2に示す第2記憶部290に記憶される。
なお、第2記憶工程は、上記のように被加工物Wに実際にレーザー加工溝Nを形成して行う形態に限定されるものではなく、ダイヤルゲージ等を用いて変位量を測定してもよい。
(3)第3記憶工程
第2記憶工程を上記のように実施した後、第1記憶工程で記憶したX軸座標(例えば、-x1、-x2、0、及び+x1、+x2等)と第2記憶工程で記憶したX軸座標(例えば、-x1、-x2、0、及び+x1、+x2等)とが一致する互いのY軸方向の変位の差を算出して、該各差と各X軸座標とを関連付けて記憶して第3記憶工程を実施していく。本実施形態においては、図2に示すように、例えば、第2制御手段29に含まれる変位差算出部292によって、第1記憶工程で記憶したX軸座標と第2記憶工程で記憶したX軸座標とが一致する互いのY軸方向の変位の差が算出されて記憶されていく。
変位差算出部292は、例えば、図8に示す第2撮像画像GBから、X軸座標が+x2におけるY軸方向の変位の差を、レーザー加工溝Nの切削溝Mに対する方向、即ちレーザー加工溝Nが切削溝Mに対して-Y方向側に形成されているか、又は+Y方向側に形成されているかとともに算出する。
X軸座標が+x2におけるY軸方向の変位の差は、0-(-y5)=(+y5)となり、レーザー加工溝Nが切削溝Mに対して-Y方向側に形成されている。
X軸座標が+x1におけるY軸方向の変位の差は、+y3-(-y4)=(+y3+y4)となり、レーザー加工溝Nが切削溝Mに対して-Y方向側に形成されている。
X軸座標が0におけるY軸方向の変位の差は、0-(+y3)=(-y3)となり、レーザー加工溝Nが切削溝Mに対して+Y方向側に形成されている。
X軸座標が-x1におけるY軸方向の変位の差は、+y1-(+y1)=(0)となり、レーザー加工溝Nが切削溝Mに重なっている。
X軸座標が-x2におけるY軸方向の変位の差は、+y2-0=(+y2)となり、レーザー加工溝Nが切削溝Mに対して-Y方向側に形成されている。
そして、図2に示す変位差算出部292により算出された上記変位の差についてのデータは、例えば、第2記憶部290に記憶され、第3記憶工程が完了する。なお、算出される変位の差の数は、上記5つだけではなく、図示しない他の複数のX軸座標でも変位の差がさらに算出されている。そして、図1に示す第1加工装置1の切削ブレード173で形成した切削溝Mの溝幅の中心に沿って被加工物Wにレーザー光線を照射して切削溝MからY軸方向にはみ出すことなくレーザー加工できる状態に、図2に示す第2加工装置2が設定された状態になる。
(4)第4記憶工程
一般的に被加工物Wの切削加工時において、第1保持手段15の中心と第1保持手段15で保持された被加工物Wの中心とは、搬送ズレ等によって完全には一致しない場合がある。そこで、本実施形態においては、例えば、第1保持手段15が保持した被加工物Wの中心と第1保持手段15の保持面15aの中心との差を記憶する第4記憶工程を実施してもよい。
なお、第4記憶工程は、後述する第1加工工程前に実施するとよい。
図1に示す第1加工送り手段11が被加工物Wを保持する第1保持手段15をX軸方向に移動させるとともに、第1割り出し送り手段12が第1撮像手段18をY軸方向に移動させて、第1撮像手段18の撮像領域内に被加工物Wの外周縁が収まるように第1保持手段15が所定位置に位置付けられる。第1撮像手段18のピントが被加工物Wの表面Waに合うようにオートフォーカスが行われた後、第1撮像手段18により被加工物Wの外周縁の撮像が行われる。
第1撮像手段18から図1に示す第1制御手段19に被加工物Wの外周縁を示す撮像画像情報が送られる。第1制御手段19は、該撮像画像中の被加工物Wの外周縁上の少なくとも3点の座標位置を、図1に示す第1記憶部190に記憶させ、該3点の各座標位置から被加工物Wの中心を算出する。
上記以外に、被加工物Wの外周縁の離間する3箇所を撮像し、各撮像画における1つの被加工物Wの外周縁の座標位置、つまり3つの座標位置から被加工物の中心を算出してもよい。
第1制御手段19は、第1保持手段15の保持面15aの中心の座標位置を常に把握しているため、第1保持手段15に保持された被加工物Wの中心の座標位置が求められたことで、被加工物Wの中心と第1保持手段15の保持面15aの中心とのX軸方向における差(ズレ量)を算出する。したがって、
算出された被加工物Wの中心と第1保持手段15の保持面15aの中心とのX軸方向における差をもとに、被加工物Wを完全切断しない加工を施す第1加工装置1において、第1保持手段を+X方向に移動させた際に、被加工物Wに施された被加工物Wを完全切断しない加工がY軸方向に変位した変位量を算出する。
したがって、第1制御手段19は、第1保持手段15を+X方向に移動させた際のY軸方向の変位量をダイヤルゲージなどで測定して第1記憶部190に記憶しておき、その変位量と保持面15a中心と保持面15aに保持された被加工物Wの中心との差とを用いて、第1加工手段17で、被加工物Wを完全切断しない加工を施した僅かに蛇行する加工溝のY軸方向の変位量を算出する。
(5)第1加工工程
例えば、デバイスDを備えるチップに分割するための新たな被加工物Wが、表面Waが上側になるように図1に示す第1保持手段15の保持面15a上に載置され、第1保持手段15が被加工物WをダイシングテープTを介して吸引保持する。また、環状フレームFがクランプ152により挟持固定される。なお、第1保持手段15の保持面15aの中心と吸引保持された被加工物Wの中心とは殆ど合った状態になる。
被加工物Wを保持する第1保持手段15が+X方向に送り出され、被加工物Wの切削ブレード173を切り込ませるべき分割予定ラインSのY軸方向の座標位置が検出される。即ち、被加工物Wのθ合わせがされ、また、分割予定ラインSの位置が検出されるのに伴って、第1加工手段17がY軸方向に割り出し送りされ、切削すべき分割予定ラインSと切削ブレード173とのY軸方向における位置合わせが行われる。
図1に示す回転軸170が回転することに伴い、切削ブレード173が回転する。さらに、第1加工手段17が-Z方向に向かって切込み送りされ、切削ブレード173の最下端が被加工物Wを完全に切断しない所定の高さ位置に第1加工手段17が位置付けられる。
被加工物Wを保持する第1保持手段15が所定の切削送り速度で+X方向側に送り出されることで、回転する切削ブレード173が分割予定ラインSに沿って被加工物Wの表面Wa側から切り込んでいき、被加工物Wを完全切断しない所定深さの図9に示す切削溝Mb(ハーフカット溝)が形成されていく。切削ブレード173が一本の分割予定ラインSを切削し終えるX軸方向の所定の位置(例えば、被加工物Wの外周縁から所定距離ダイシングテープT側に離れた位置)まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りが一度停止され、切削ブレード173が被加工物Wから離間し、次いで、隣り合う分割予定ラインSの間隔ずつ切削ブレード173をY軸方向に割り出し送りしながら、第1保持手段15が-X方向に移動し原点位置に戻る。そして、順次同様の切削を行うことにより、X軸方向の全ての分割予定ラインSに沿って切削溝Mbを被加工物Wに形成する。さらに、第1保持手段15により被加工物Wを90度回転させてから同様の切削加工を行うことで、全ての分割予定ラインSに沿って切削溝Mbを形成することができる。
なお、第4記憶工程において、被加工物Wの中心と第1保持手段15の保持面15aの中心とのX軸方向の差に加え、Y軸方向の差を算出しておき、被加工物Wを90度回転させてから切削加工をした際の被加工物Wの中心と保持面15aとのX軸方向の差として該Y軸方向の差を用いてもよい。例えば該差が切削送り方向(X軸方向)における補正量として適用され、被加工物Wの分割予定ラインSの延在方向における切り残しが発生しないように切削加工が行われる。
(6)移設工程
第1加工工程の後、第1保持手段15から図9に示す被加工物Wを離間させ図2に示す第2保持手段23に被加工物Wを保持させる。即ち、例えば、図示しない搬送手段が第1保持手段15から被加工物Wを搬出して第2加工装置2の第2保持手段23まで搬送する。そして、被加工物Wが、表面Waが上側になるように第2保持手段23の保持面23a上に載置される。そして、図示しない吸引源により生み出される吸引力が保持面23aに伝達されることにより、第2保持手段23が被加工物WをダイシングテープTを介して吸引保持する。なお、第2保持手段23の保持面23aの中心と吸引保持された被加工物Wの中心とは殆ど合った状態になる。
(7)第5記憶工程
一般的に被加工物Wの切削加工時において、第2保持手段23の中心と第2保持手段23で保持された被加工物Wの中心とは、搬送ズレ等によって完全には一致しない場合がある。そこで、本実施形態においては、例えば、第2保持手段23が保持した被加工物Wの中心と第2保持手段23の保持面23aの中心との差を記憶する第5記憶工程を実施する。なお、第5記憶工程は、少なくとも第2加工工程前に実施するとよい。
第5記憶工程では、図2に示す第2撮像手段27により被加工物Wの外周縁の撮像が行われる。第2制御手段29は、撮像画像中の被加工物Wの外周縁上の3点の座標位置から被加工物Wの中心座標を求める。または、被加工物Wの外周縁を異なる3箇所で撮像した各撮像画像において、各撮像画像中の被加工物Wの外周縁の一点の座標位置、つまり該3つの座標位置から被加工物Wの中心座標を求める。
第2制御手段29は第2保持手段23の保持面23aの中心の座標位置を常に把握しているため、第2保持手段23に保持された被加工物Wの中心の座標位置が求められたことで、被加工物Wの中心と第2保持手段23の保持面23aの中心とのX軸方向における差(ズレ量)を第2制御手段29が算出し、第2記憶部290に記憶される。
(8)第2加工工程
図2に示す第2保持手段23の回転によるθ合わせ、及び第2保持手段23によって吸引保持された図9に示す被加工物Wのレーザー光線を照射すべき分割予定ラインS(例えば、分割予定ラインSm)の位置検出が実施された後、第2保持手段23を第2加工送り手段21が加工送りさせ第2加工手段25で被加工物Wを加工する際に、第3記憶工程で記憶した変位の差とX軸座標とを用いて第2保持手段23を第2加工手段25に対して相対的に変位の差の値だけY軸方向に移動させつつ、第2保持手段23を加工送りして被加工物Wに加工を施していく。
集光レンズ259aによって集光されるレーザー光線の集光点の高さ位置が、例えば被加工物Wの切削溝Mbの底面の高さ位置に合わせられる。そして、レーザー発振器251が、被加工物Wに対して吸収性を有する波長のレーザー光線を発振する。発振されたレーザー光線は、照射ヘッド259の内部の集光レンズ259aに入光し、第2保持手段23で保持された被加工物Wに集光され照射される。その結果、被加工物Wの切削溝Mbの底がアブレーションされて形成されたレーザー加工溝Nbは、-Z方向に被加工物Wを分断するように伸長する。
第2保持手段23が、例えばX軸方向に所定の加工送り速度で加工送りされることで、切削溝Mbに沿って被加工物Wにレーザー光線が照射されていく。ここで、第2制御手段29は、第2保持手段23の保持面23aの中心(即ち、被加工物Wの中心)をゼロ(原点0,0)、加工送りにおける一方向(+X方向)をプラス、及び一方向の反対方向(-X方向)をマイナスとしたX軸座標、及び水平面においてX軸方向に直交するY軸座標を設定する。そして、第2制御手段29による制御の下で、第2割り出し送り手段20によって第2保持手段23が移動して、第3記憶工程において記憶したX軸座標での変位の差分だけY軸方向に適宜移動することで、切削溝Mbに沿ってレーザー光線が追従するようにして切削溝Mbからはみ出すことなく被加工物Wに照射されていき図11、12に示すレーザー加工溝Nbが形成されていく。即ち、例えば、第2保持手段23が移動し、図8に示すX軸座標位置である+x2がレーザー光線の集光点位置となると、第2制御手段29の第2記憶部290に記憶されているY軸方向の変位の差は、(+y5)であり、変位に対する補正をしないとレーザー加工溝Nbが切削溝Mbから-Y方向側にずれて形成されてしまう。そのため、変位の差である(+y5)だけ、第2制御手段29による制御の下で第2保持手段23が-Y方向に割り出し送りされる。その結果、切削溝Mbの中心線にレーザー光線の光軸が重なり、レーザー加工溝Nbが切削溝Mbにずれることなく形成される。
さらに、第2保持手段23が+X方向へ移動していくことで、図8に示すX軸座標位置である+x1がレーザー光線の集光点位置となると、第2記憶部290に記憶されている変位の差である(+y3+y4)だけ、第2制御手段29による制御の下で第2保持手段23が-Y方向に割り出し送りされ、レーザー加工溝Nbが切削溝Mbにずれることなく形成される。さらに、第2保持手段23が+X方向へ移動していくことで、図8に示す原点0がレーザー光線の集光点位置となると、第2記憶部290に記憶されている変位の差である(-y3)だけ、第2制御手段29による制御の下で第2保持手段23が+Y方向に割り出し送りされ、レーザー加工溝Nbが切削溝Mbにずれることなく形成される。
他の図示しないX軸座標位置でも第1加工装置1と第2加工装置2との変位差を打ち消す補正が行われつつ、さらに、第2保持手段23が+X方向へ移動していくことで、図8に示すX軸座標位置である-x1がレーザー光線の集光点位置となると、該X軸座標位置における第2記憶部290に記憶されている変位の差は(0)であるため、第2制御手段29による制御の下で第2保持手段23がY軸方向に割り出し送りされない。
このようにして、第2制御手段29が第3記憶工程で第2記憶部290に記憶された変位の差を用いて第2加工手段25を変位の差の値だけY軸方向に移動させつつ、被加工物Wに加工を施していく
その結果、図12に示すように、切削溝MbからY軸方向にレーザー光線がはみ出してレーザー加工してしまうことを防ぐことが可能となる。そのため、被加工物Wを切削溝Mbの底に形成されていくレーザー加工溝Nbに沿って確実に分割する事ができる。なお、第5記憶工程において算出された被加工物Wの中心と第2保持手段23の保持面23aの中心との差を、加工送り方向(X軸方向)における補正量として適用し、被加工物Wの分割予定ラインSの延在方向におけるレーザー光線の未照射箇所が発生しないようにレーザー加工が行われる。
切削溝Mbが形成された分割予定ラインSmに沿って被加工物Wにレーザー光線を照射し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが+X方向に進行した後、レーザー光線の照射を停止するとともに被加工物Wの+X方向(往方向)での加工送りを一度停止させる。次いで、図10に示す第2保持手段23をY軸方向に割り出し送りし、往方向においてレーザー光線照射がなされた切削溝Mbが形成された分割予定ラインSmの隣に位置する分割予定ラインSと照射ヘッド259との位置合わせが先と同様に行われる。
例えば、被加工物Wを加工する最も長い加工距離L1において第1記憶工程で記憶したX軸座標と第2記憶工程で記憶したX軸座標とが一致する図8に示す互いのY軸方向の変位の差が、他の切削溝Mbにレーザー光線照射を行う際においても適用される。該変位の差は、第2保持手段23のY軸方向位置が変わっても、第2保持手段23の保持面23aの中心をゼロ、加工送りにおける一方向(+X方向)をプラス、及び一方向の反対方向(-X方向)をマイナスとしたX軸座標における各座標において同様であると考えられるためである。
図10に示す第2保持手段23が、例えば-X方向(復方向)に所定の加工送り速度で加工送りされることで、切削溝Mbに沿って被加工物Wにレーザー光線が照射されていく。また、第2制御手段29による制御の下で、第2保持手段23が、Y軸方向に先に説明した変位の差分だけ適宜移動することで、切削溝Mbに沿ってレーザー光線が追従するようにして切削溝Mbからはみ出すことなく被加工物Wに照射されていき図12に示すレーザー加工溝Nbが形成されていく。即ち、例えば、-X方向に向かう第2保持手段23によって、図8に示すX軸座標位置である-x2がレーザー光線の集光点位置となると、第2制御手段29の第2記憶部290に記憶されている図8に示す変位の差である(+y2)だけ、第2制御手段29による制御の下で第2保持手段23が-Y方向に割り出し送りされる。その結果、切削溝Mbの中心線にレーザー光線の光軸が重なり、分割予定ラインSmの隣に位置する分割予定ラインSにおいても、レーザー加工溝Nbが切削溝Mbにずれることなく形成される。
その後も、第3記憶工程で記憶した-x1、0、+x1、+x2等の各X軸座標における図8に示すY軸方向の各変位の差を用いて、第2加工手段25を第2保持手段23に対して相対的に変位の差の値だけY軸方向に移動させつつ被加工物Wにレーザー光線の照射を行っていく。
順次同様にX軸方向に延びる全ての各切削溝Mbの底にレーザー光線を照射していき、被加工物Wをレーザー加工溝Nbにより分断していく。さらに、第2保持手段23を90度回転させてから同様のレーザー光線の照射を被加工物Wの切削溝Mbに対して行うと、図11、12に示すように、縦横全ての切削溝Mbからはみ出さないレーザー加工溝Nbによって、デバイスDを切断することなく被加工物Wを個々のチップに分割することが可能となる。なお、第5記憶工程において、被加工物Wの中心と第2保持手段23の保持面23aの中心とのX軸方向の差に加え、Y軸方向の差を算出しておき、被加工物Wを90度回転させてからレーザー加工をした際の被加工物Wの中心と保持面23aとのX軸方向の差として該Y軸方向の差を用いてもよい。例えば該差が加工送り方向(X軸方向)における補正量として適用され、被加工物Wの分割予定ラインSの延在方向におけるレーザー光線の未照射箇所が発生しないようにレーザー加工が行われる。
また、小片化したデバイスチップをウェーハに積層させて樹脂でモールドした被加工物を分割する時に、樹脂を切削加工して、ウェーハをアブレーション加工することがある。このとき、本発明に係る被加工物の分割方法を上記のように実施すれば、例えば第2加工装置2におけるレーザー照射により被加工物を分割した後に、デバイスチップ側面を確実に樹脂で保護した状態にする事ができる。
なお、第4記憶工程において、X軸方向における被加工物Wの中心と第1保持手段15の保持面15aの中心とのX軸Y軸平面における差が算出されている場合には、第4記憶工程で記憶した差と第3記憶工程で記憶した変位の差とを用いて、第2加工工程を実施することで、デバイスDの切断等を発生させずに被加工物Wをさらに適切に分割する事ができる。
本発明に係る被加工物の分割方法は上記実施形態に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されている第1加工装置1及び第2加工装置2の構成についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
例えば、第1記憶工程で記憶した変位量が分割予定ラインSの幅以上であったら、第1加工装置1は、本被加工物Wの加工には適さない加工装置であると判断してもよい。同様に、第2記憶工程で記憶した変位量が分割予定ラインSの幅以上であったら、第2加工装置2は、本被加工物Wの加工には適さない加工装置であると判断してもよい。
また、第2加工工程において、変位差が大きくなるほど第2保持手段23の加工送り速度が小さく可変されてもよい。これは、被加工物Wの割り出し送り方向(Y軸方向)における移動による切削溝Mに対するレーザー光線の追従性が適切に担保されるようにするためである。
例えば、第1加工工程において、第1加工装置1で被加工物Wにハーフカット溝を形成し、第2加工工程において、第2加工装置2で被加工物W内部に分割起点となる改質層を形成してもよい。
例えば、第1加工装置をレーザー加工装置として、第2加工装置を切削装置とした場合には、第1加工工程において、第1加工装置で被加工物Wに被加工物Wを完全切断しないレーザーアブレーション加工を施し、第2加工工程において、第2加工装置で被加工物Wを切削してフルカット溝を形成してもよい。
例えば、第1加工装置をレーザー加工装置として、第2加工装置をレーザー加工装置とした場合には、第1加工工程において、第1加工装置で被加工物Wに被加工物Wを完全切断しないレーザーアブレーション加工を施し、第2加工工程において、第2加工装置で被加工物W内部に分割起点となる改質層を形成してもよい。
例えば、第1加工装置を切削装置として、第2加工装置を切削装置とした場合には、第1加工装置で被加工物Wにハーフカット溝を形成し、第2加工装置で被加工物Wを切削してフルカット溝を形成してもよい。
W:被加工物 Wa:表面 D:デバイス S:分割予定ライン Wb:裏面
T:ダイシングテープ F:環状フレーム
1:第1加工装置 10:基台 100:門型コラム
15:第1保持手段 15a:保持面 151:回転手段 152:クランプ
11:第1加工送り手段 110:ボールネジ 111:ガイドレール 112:モータ
113:可動板
12:第1割り出し送り手段 120:ボールネジ 121:ガイドレール 122:モータ 123:可動板
16:切込み送り手段 160:ボールネジ 161:ガイドレール 162:モータ
163:支持部材
17:第1加工手段 170: 回転軸 171:ハウジング 173:切削ブレード
18:第1撮像手段 180:筐体 182:照明 183:撮像素子
19:第1制御手段 190:第1記憶部 191:第1変位量測定部
2:第2加工装置 2B:基台 2C:コラム
23:第2保持手段 23a:保持面 234:回転手段 235:固定クランプ
21:第2加工送り手段 210:ボールネジ 211:ガイドレール 212:モータ
213:可動板
20:第2割り出し送り手段 200:ボールネジ 201:ガイドレール 202:モータ 203:可動板
25:第2加工手段 250:ケーシング 251:レーザー発振器 259:照射ヘッド
27:第2撮像手段
29:第2制御手段 290:第2記憶部 291:第2変位量測定部 292:変位差算出部

Claims (3)

  1. 格子状に形成された分割予定ラインによって区画された領域にデバイスが形成された被加工物を、第1加工装置で該分割予定ラインに沿って完全切断しない加工を施した後、第2加工装置で該分割予定ラインに沿って被加工物を分割可能な加工を施すことにより被加工物を分割する被加工物の分割方法であって、
    該第1加工装置は、被加工物を加工する第1加工手段と、保持面で被加工物を保持する第1保持手段と、該第1保持手段を該第1加工手段の加工送り方向となるX軸方向に加工送りする第1加工送り手段と、を備え、
    該第2加工装置は、被加工物を加工する第2加工手段と、保持面で被加工物を保持する第2保持手段と、該第2保持手段を該第2加工手段の加工送り方向となるX軸方向に加工送りする第2加工送り手段と、を備え、
    該第1加工送り手段で該第1保持手段をX軸方向に加工送りさせ、該第1加工手段が被加工物を加工する最も長い加工距離において、該第1保持手段の該保持面中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び該一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、該X軸座標に応じ水平面において該X軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する第1記憶工程と、
    該第2加工送り手段で該第2保持手段をX軸方向に加工送りさせ、該第2加工手段が被加工物を加工する最も長い加工距離において、該第2保持手段の該保持面中心をゼロ、加工送りにおける一方向をプラス、及び該一方向の反対方向をマイナスとしたX軸座標を設定し、該X軸座標に応じ水平面において該X軸方向に直交するY軸方向の変位と共に記憶する第2記憶工程と、
    該第1記憶工程で記憶した該X軸座標と該第2記憶工程で記憶した該X軸座標とが一致する互いの該Y軸方向の変位の差を算出し該差を記憶する第3記憶工程と、
    該第1保持手段に被加工物を保持させ、該第1保持手段を該第1加工送り手段が加工送りさせ該第1加工手段で該被加工物の分割予定ラインに沿って該被加工物を完全切断しない加工を施す第1加工工程と、
    該第1加工工程の後、該第1保持手段から該被加工物を離間させ該第2保持手段に該被加工物を保持させる移設工程と、
    該第2保持手段を該第2加工送り手段が加工送りさせ該第2加工手段で被加工物を加工する際に、該第3記憶工程で記憶した該変位の差を用いて該第2加工手段を該第2保持手段に対して相対的に該変位の差の値だけY軸方向に移動させ被加工物に加工を施す第2加工工程と、を備える被加工物の分割方法。
  2. X軸方向における前記第1保持手段が保持した被加工物の中心と該第1保持手段の保持面の中心との差を記憶する第4記憶工程と、
    該第4記憶工程で記憶した該差と前記第3記憶工程で記憶した前記変位の差とを用いて、前記第2加工工程を実施する請求項1記載の被加工物の分割方法。
  3. X軸方向における前記第2保持手段が保持した被加工物の中心と該第2保持手段の保持面の中心との差を記憶する第5記憶工程と、
    該第5記憶工程で記憶した該差と前記第3記憶工程で記憶した前記変位の差とを用いて、
    該第2加工工程を実施する請求項1または請求項2のいずれかに記載の被加工物の分割方法。
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