次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
[曲げ加工装置の全体構成]
図1に示す曲げ加工装置1は、本発明に係る雌型を有した金型を備える曲げ加工装置の一実施形態であり、本発明に係る曲げ加工方法を実施可能に構成されている。
図1~図4に示すように、曲げ加工装置1は、雌型3と雄型4とを有する金型2を備えており、ワークWを雌型3および雄型4に3点で接触させた状態で、ワークWの曲げ加工を実施することが可能である。曲げ加工装置1は、ワークWに対して曲げ加工を施すことで、ワークWに3次元曲面等の複雑形状を成形することが可能である。
曲げ加工装置1は、ワークWを送る工程と、ワークWの送り方向と直交する方向に延びる雄型4を、雌型3に支持されたワークWに押し付ける工程とを繰り返し実施することにより、ワークWに曲げ加工を施すことが可能である。曲げ加工装置1は、例えばプレスブレーキ装置に金型2を設置した構成とすることができる。
以下の説明においては、雄型4が延びる方向をX軸方向と規定し、X軸方向と直交するワークWの送り方向をY軸方向と規定し、X軸方向およびY軸方向と直交する上下方向をZ軸方向と規定する。
ワークWは、例えばアルミニウム合金および鉄鋼等の金属製の板材であり、曲げ加工装置1により曲げ加工が施されることで、3次元曲面等の複雑形状が成形される。曲げ加工装置1により曲げ加工が施されたワークWは、例えば鉄道車両の先頭構体外板として用いられる。ワークWとしては、曲げ加工可能な部材であれば、金属部材のみならず樹脂部材等を用いることも可能である。
曲げ加工装置1は、ベース11と、固定フレーム12と、ロッド13と、可動フレーム14と、油圧シリンダ15とを備えている。
ベース11は曲げ加工装置1の下部に配置される長尺の板状部材であり、雌型3を支持している。ベース11は、長手方向がX軸方向となるように配置されている。固定フレーム12は、ベース11の長手方向に沿って配置される長尺部材であり、ベース11の上方に配置されている。
ロッド13は、Z軸方向に沿って配置され、ベース11と固定フレーム12とを連結している。ロッド13は、固定フレーム12の長手方向における両端部に配置されている。本実施形態においては、固定フレーム12の両端部に、それぞれ2本のロッド13が設けられている。
可動フレーム14は、ベース11の長手方向に沿って配置される長尺部材であり、上下方向においてベース11と固定フレーム12との間に配置されている。可動フレーム14は、長手方向の両端部をロッド13により摺動可能に支持されている。
可動フレーム14と固定フレーム12との間には、複数の油圧シリンダ15が設けられている。油圧シリンダ15は伸縮動作可能に構成されており、油圧シリンダ15が伸縮動作することで可動フレーム14がZ軸方向へ移動される
[雌型]
雌型3は、ベース11の長手方向に沿って配置される長尺部材であり、ベース11により下方から支持されている。雌型3は、雌型3の長手方向と直交する方向であるY軸方向に間隔を有して配置される第1支持型3Aと第2支持型3Bとを備えている。第1支持型3Aおよび第2支持型3Bは、曲げ加工装置1がワークWに曲げ加工を施す際に、ワークWを支持する。
第1支持型3Aは、雌型3の長手方向であるX方向に沿って並設される複数の第1分割型31を有している。第2支持型3Bは、雌型3の長手方向であるX方向に沿って並設される複数の第2分割型32を有している。第1分割型31および第2分割型32は、Y軸方向へ移動可能に構成されており、Y軸方向に対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更可能となっている。
雌型3は、Y軸方向に沿って配置されるシャフト33を備えている。シャフト33は、ベース11に回転可能に支持されている。第1分割型31はネジ孔31aを有しており、第2分割型32はネジ孔32aを有している。シャフト33は、第1分割型31のネジ孔31aとネジ作用により嵌め合わされる第1ネジ部33aと、第2分割型32のネジ孔32aとネジ作用により嵌め合わされる第2ネジ部33bとを有している。
第1分割型31のネジ孔31aと第1ネジ部33aとがネジ作用により嵌め合わされ、第2分割型32のネジ孔32aと第2ネジ部33bとがネジ作用により嵌め合わされているため、シャフト33が回転することにより、第1分割型31と第2分割型32とが、ともにY軸方向に沿って移動可能となっている。
第1ネジ部33aと第2ネジ部33bとはネジ形成方向が反対方向となっており、シャフト33が回転した際には、第1分割型31と第2分割型32とが、互いに近接する方向または互いに離間する方向へ移動するように構成されている。
例えば、シャフト33が一側へ回転したときに第1分割型31と第2分割型32とが互いに近接し、シャフト33が他側へ回転したときに第1分割型31と第2分割型32とが互いに離間するように構成することができる。
このように、雌型3においては、シャフト33を回転操作することで、第1分割型31と第2分割型32との両方を、互いに近接離間する方向へ移動させることができるため、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更する操作を簡単にすることが可能である。
Y軸方向において対向する第1分割型31と第2分割型32とは、Y軸方向における雌型3の中央を通る直線Cを挟んで対称となる位置に配置されている。つまり、第1分割型31と第2分割型32とは、Y軸方向において直線Cから等しい距離だけ離れた位置に配置されている。
第1分割型31および第2分割型32は、平面視において矩形状に形成されている。また、第1分割型31および第2分割型32のY軸方向における中央側端部の上面は、中央側へいくに従って下降する湾曲形状に形成されている。
[雄型]
雄型4は、雌型3の長手方向であるX方向に沿って配置される長尺部材であり、雌型3の上方において雌型3と対向して配置されている。雄型4は、可動フレーム14により上方から支持されており、可動フレーム14と一体的にZ軸方向へ移動可能である。
雄型4は、X軸方向に沿って並設される複数の雄側分割型41を有している。雄側分割型41は、可動フレーム14に対してZ軸方向へ移動可能に構成されており、雌型3に対して近接離間する方向であるZ軸方向の位置を調節可能である。雄型4は、可動フレーム14の下端から下方へ突出するネジ軸53を有している。雄側分割型41は、ネジ軸53がネジ作用により嵌め合わされるネジ孔41aを有している。ネジ軸53は回転可能に構成されており、ネジ孔41aに嵌め合わされたネジ軸53を回転させることで、雄側分割型41の雌型3に対して近接離間する方向の位置を調節することが可能である。
そして、雄側分割型41の雌型3に対して近接離間する方向の位置を調節した状態で、雄型4を雌型3に近接する方向へ移動することにより、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを少なくとも1つの雄側分割型41によって押圧することが可能となっている。
雄側分割型41は、Y軸方向において雌型3の中央に配置されている。つまり、雄側分割型41は、Y軸方向における雌型3の中央を通る直線C上に配置されている。そして、Y軸方向において、対向する第1分割型31と第2分割型32とは雄側分割型41を挟んで対称となる位置に位置している。
雄側分割型41は、平面視において矩形状に形成されている。また、雄側分割型41の下面は、Y軸方向における中央部が両端部よりも下方へ突出する湾曲形状に形成されている。
[雌型および雄型の駆動機構]
図3、図4に示すように、シャフト33のY軸方向における一端部には、電動モータ51が取り付けられている。電動モータ51はシャフト33を回転駆動可能であり、電動モータ51によりシャフト33を回転駆動することで、第1分割型31と第2分割型32とを、互いに近接離間する方向へ移動させることが可能である。電動モータ51は、第1分割型31および第2分割型32を移動させる第1駆動部の一例である。
図2、図3に示すように、可動フレーム14の内部には電動モータ52が収容されている。電動モータ52はネジ軸53に接続されており、ネジ軸53は電動モータ52によって回転駆動される。雄側分割型41のネジ孔41aにはネジ軸53がネジ作用により嵌め合わされているため、電動モータ52によってネジ軸53を回転駆動することにより、雄側分割型41のZ軸方向の位置を調整することが可能である。
例えば、電動モータ52によりネジ軸53を一側へ回転させたときに雄側分割型41が下降し、電動モータ52によりネジ軸53を他側へ回転させたときに雄側分割型41が上昇するように構成することができる。電動モータ52は、雄側分割型41のZ軸方向の位置を調節する第2駆動部の一例である。
図2に示すように、曲げ加工装置1は制御装置55を備えており、電動モータ51および電動モータ52は制御装置55に接続されている。制御装置55は、第1駆動部を構成する電動モータ51、および第2駆動部を構成する電動モータ52の動作を制御可能に構成されている。
このように、曲げ加工装置1は、第1分割型31および第2分割型32を移動させる第1駆動部と、雄側分割型41の雌型3に対して近接離間する方向の位置を調節する第2駆動部と、第1駆動部31および第2駆動部32を制御する制御装置55とを備えている。これにより、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更する操作、および雄側分割型41の雌型3に対して近接離間する方向の位置を調整する操作を自動化することができ、ワークWに容易かつ高精度に3次元曲面等を成形することが可能となる。
なお、本実施形態においては、シャフト33を電動モータ51により回転駆動するように構成しているが、シャフト33は手動により回転させる構成とすることも可能である。また、本実施形態においては、ネジ軸53を電動モータ52により回転駆動するように構成しているが、ネジ軸53は手動により回転させる構成とすることも可能である。
[分割型の位置調整]
このように構成される曲げ加工装置1においては、シャフト33を回転させて第1分割型31と第2分割型32とをY軸方向へ移動させることで、対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを調整可能な範囲で任意の大きさに調整することが可能である。
例えば、図4に示す第1分割型31-Aおよび第2分割型32-Aは、間隔Dが最も大きくなるように調整した第1分割型31および第2分割型32である。また、第1分割型31-Bおよび第2分割型32-Bは、間隔Dが最も小さくなるように調整した第1分割型31および第2分割型32である。さらに、第1分割型31-Cおよび第2分割型32-Cは、間隔Dが第1分割型31-Aおよび第2分割型32-Aと第1分割型31-Bおよび第2分割型32-Bとの間の大きさとなるように調整した第1分割型31および第2分割型32である。なお、図4においては、第1分割型31-Bと第2分割型32-Bとの間隔Dは0となるように、つまり第1分割型31-Bと第2分割型32-Bとが当接するように調整されている。
第1分割型31と第2分割型32との間隔Dの大きさは、成形する曲面形状の形状および大きさ、ならびにワークWの板厚等に応じて適宜設定することができる。例えば、大きな曲面形状を成形する場合には第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを大きく設定することができる。また、板厚が小さなワークWに曲げ加工を施すときには、例えば第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを小さく設定することができる。
第1分割型31と第2分割型32との間隔Dの大きさは、例えば、厚みが3mm~6mmのアルミニウム合金に曲げ加工を施す場合には、0mm~280mmの範囲で調整可能なように構成することができる。この場合、第1分割型31および第2分割型32のX軸方向の長さは、例えば50.8mmに設定することが可能である。
また、曲げ加工装置1においては、ネジ軸53回転させて雄側分割型41を可動フレーム14に対してZ軸方向へ移動させることにより、雄側分割型41の雌型3に対して近接離間する方向の位置を調整することが可能である。
例えば、図2に示す雄側分割型41-Aは、Z軸方向において雌型3の近くの位置に調整した雄側分割型41であり、雄側分割型41-Bは、Z軸方向において雄側分割型41-Aよりも雌型3から離れた位置に調整した雄側分割型41である。
雄側分割型41のZ軸方向の位置を、雌型3の近くの位置に調整した場合、ワークWに曲げ加工を施す際の雄側分割型41によるワークWの押圧量が大きくなる。また、雄側分割型41のZ軸方向の位置を、雌型3から離れた位置に調整した場合、ワークWに曲げ加工を施す際の雄側分割型41によるワークWの押圧量が小さくなるか、雄側分割型41がワークWに接触しない状態となる。
雄側分割型41のZ軸方向の位置は、成形する曲面形状の形状および大きさ、ワークWの板厚、ならびに第1分割型31と第2分割型32との間隔Dの大きさ等に応じて適宜設定することができる。
そして、曲げ加工装置1によりワークWの曲げ加工を行う際には、対向する第1分割型31および第2分割型32の間隔Dを適宜の大きさに調整するとともに、雄側分割型41のZ軸方向の位置を適宜位置に調整する。その後、図5に示すように、可動フレーム14によって雄型4を雌型3に近接する方向へ移動させることで、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを、少なくとも1つの雄側分割型41により押圧して、ワークWの曲げ加工を行う。
この場合、曲げ加工を行う際にワークWに当接する第1分割型31および第2分割型32の中央側端部の上面、および雄側分割型41の下面は湾曲形状に形成されているため、ワークWを雄側分割型41により押圧した際にワークWに傷がつくことを抑制可能である。
また、Y軸方向において対向する第1分割型31と第2分割型32とは、Y軸方向における雌型3の中央を通る直線Cを挟んで対称となる位置に配置されている。さらに、雄側分割型41は直線C上に配置されており、Y軸方向において対向する第1分割型31と第2分割型32とは雄側分割型41を挟んで対称となる位置に位置している。
従って、第1分割型31および第2分割型32に支持されるワークWに曲げ加工を施す際に、ワークWのY軸方向における第1分割型31と第2分割型32との中央部に位置する部分を雄側分割型41によって押圧することができる。これにより、直線Cの第1分割型31側に位置するワークWと、直線Cの第2分割型32側に位置するワークWとを均等な形状に成形することが可能となっている。
[分割型の位置パターン]
上述のように、Y軸方向の間隔Dを変更可能な第1分割型31および第2分割型32、ならびにZ軸方向の位置を調節可能な雄側分割型41は、以下のような位置パターンに調整することができる。ここで、第1分割型31および第2分割型32の位置パターンとは、X軸方向に並設される複数の第1分割型31および第2分割型32のY軸方向における位置の組み合わせをいう。また、雄側分割型41の位置パターンとは、X軸方向に並設される複数の雄側分割型41のZ軸方向における位置の組み合わせをいう。
(第1位置パターン例)
例えば図6(b)に示すように、第1分割型31(31-1~31-9)および第2分割型32(32-1~32-9)は、それぞれX軸方向に沿って直線形状となる位置パターンに調整することができる。このように、第1分割型31および第2分割型32をX軸方向に沿って直線形状となる位置パターンに調整した場合、対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは、全ての第1分割型31および第2分割型32において同様となる。
この場合、図6(b)において実線で示した位置パターンのように、対向する第1分割型31と第2分割型32とは、互いの間隔Dが小さくなる位置パターンに調整することができる。また、図6(b)において2点鎖線で示した位置パターンのように、対向する第1分割型31と第2分割型32とは、互いの間隔Dが実線で示した場合よりも大きくなる位置パターンに調整することができる。このように、第1分割型31と第2分割型32とは、それぞれ直線形状となる位置パターンに調整した状態で、対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更することが可能である。
図6(a)に示すように、第1分割型31と第2分割型32とを直線形状となる位置パターンに調整した場合、雄側分割型41もX軸方向に沿って直線形状となる位置パターンに調整することができる。
この場合、第1分割型31と第2分割型32とを間隔Dが小さくなる位置パターンに調整したときには、雄側分割型41は、図6(a)において実線で示した位置パターンのように、雌型3から離れた位置に調整することができる。また、第1分割型31と第2分割型32とを間隔Dが大きくなる位置パターンに調整したときには、雄側分割型41は、図6(a)において2点鎖線で示した位置パターンのように、実線で示した場合よりも雌型3の近くの位置に調整することができる。
(第2位置パターン例)
図7(b)に示すように、第1分割型31(31-1~31-9)および第2分割型32(32-1~32-9)は、それぞれX軸方向の一側から他側へ向かうにつれて、雌型3のY軸方向における中央を通る直線Cに近づく傾斜形状となる位置パターンに調整することができる。この場合、対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは、X軸方向の一端部に位置する第1分割型31-1と第2分割型32-1との間隔Dが最も大きくなっている。そして、X軸方向の一端部から他端側へ向かうにつれて対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは小さくなり、X軸方向の他端部に位置する第1分割型31-9と第2分割型32-9との間隔Dが最も小さくなっている。
図7(a)に示すように、第1分割型31と第2分割型32とを傾斜形状となる位置パターンに調整した場合、雄側分割型41(41-1~41-9)は、X軸方向の一側から他側へ向かうにつれて雌型3から離れる傾斜形状となる位置パターンに調整することができる。この場合、雄側分割型41のZ軸方向の位置は、X軸方向の一端部に位置する雄側分割型41-1が最も雌型3の近くの位置となっている。そして、X軸方向の一端部から他端側へ向かうにつれて雌型3から離れていき、X軸方向の他端部に位置する雄側分割型41-9が最も雌型3から離れた位置となっている。
つまり、第2位置パターン例においては、X軸方向において、間隔Dが大きい第1分割型31および第2分割型32に対向する雄側分割型41ほど雌型3の近くに位置しており、間隔Dが小さい第1分割型31および第2分割型32に対向する雄側分割型41ほど雌型3から離れて位置している。
例えば、間隔D1を有して配置されるX軸方向一端部の第1分割型31-1および第2分割型32-1に対向する雄側分割型41-1は、X軸方向において第1分割型31-1および第2分割型32-1の他端側に位置し、間隔D1よりも小さい間隔D2を有して配置される第1分割型31-2および第2分割型32-2に対向する雄側分割型41-2よりも、雌型3の近くに配置されている。ここで、間隔D1は第1間隔の一例であり、間隔D2は第2間隔の一例である。
(第3位置パターン例)
図8(b)に示すように、第1分割型31(31-1~31-9)および第2分割型32(32-1~32-9)は、それぞれX軸方向の両端部がY軸方向において直線Cの近くに位置し、X軸方向の両端部から中央部へ向かうに従って直線Cから離れるV字形状となる位置パターンに調整することができる。この場合、対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは、X軸方向の一側部に位置する第1分割型31-1および第2分割型32-1、ならびにX軸方向の他端部に位置する第1分割型31-9および第2分割型32-9が最も小さくなっている。そして、X軸方向の一側部および他端部から中央部へ向かうに従って、対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは大きくなり、X軸方向の中央部に位置する第1分割型31-5と第2分割型32-5との間隔Dが最も大きくなっている。
なお、図8(b)に示すように、第1分割型31と第2分割型32とを、それぞれV字形状となる位置パターンに設定した場合、第1分割型31と第2分割型32とは、雌型3全体として楕円形状となる位置パターンを有している。
図8(a)に示すように、第1分割型31と第2分割型32とをV字形状となる位置パターンに調整した場合、雄側分割型41は、X軸方向の両端部から中央部へ向かうに従って雌型3へ近づくように下に凸となる円弧形状の位置パターンに調整することができる。この場合、雄側分割型41のZ軸方向の位置は、X軸方向の両端部に位置する雄側分割型41-1、41-9が雌型3から最も離れた位置となっている。そして、X軸方向の両端部から中央部へ向かうに従って雌型3に近づいていき、X軸方向の中央部に位置する雄側分割型41-5が最も雌型3に近い位置となっている。
つまり、第3位置パターン例においては、X軸方向において、間隔Dが大きい第1分割型31および第2分割型32に対向する雄側分割型41ほど雌型3の近くに位置しており、間隔Dが小さい第1分割型31および第2分割型32に対向する雄側分割型41ほど雌型3から離れて位置している。
例えば、間隔D3を有して配置されるX軸方向中央部の第1分割型31-5および第2分割型32-5に対向する雄側分割型41-5は、X軸方向において第1分割型31-5および第2分割型32-5の両側に位置し、間隔D3よりも小さい間隔D4を有して配置される第1分割型31-4、31-6および第2分割型32-4、31-6に対向する雄側分割型41-4、41-6よりも、雌型3の近くに配置されている。ここで、間隔D3は第1間隔の一例であり、間隔D4は第2間隔の一例である。
(第4位置パターン例)
図9(b)に示すように、第1分割型31(31-1~31-9)および第2分割型32(32-1~32-9)は、それぞれX軸方向の一端部に位置する第1分割型31-1および第2分割型32-1、他端部に位置する第1分割型31-9および第2分割型32-9、ならびに中央部に位置する第1分割型31-5および第2分割型32-5がY軸方向において最も直線Cの近くに位置している。第1分割型31-1、31-5、31-9と第2分割型32-1、32-5、32-9とは、間隔D7を有している。
また、X軸方向において、第1分割型31-1および第2分割型32-1の他側に隣接する第1分割型31-2および第2分割型32-2、第1分割型31-9および第2分割型32-9の一側に隣接する第1分割型31-8および第2分割型32-8、ならびに第1分割型31-5および第2分割型32-5の両側に隣接する第1分割型31-4、31-6および第2分割型32-4、32-6は、Y軸方向において第1分割型31-1、31-5、31-9および第2分割型32-1、32-5、32-9よりも直線Cから離れた位置に配置されている。第1分割型31-2、31-4、31-6、31-8と第2分割型32-2、32-4、32-6、32-8とは、間隔D6を有している。
さらに、第1分割型31-2および第2分割型32-2と第1分割型31-4および第2分割型32-4との間に位置する第1分割型31-3および第2分割型32-3、ならびに第1分割型31-6および第2分割型32-6と第1分割型31-8および第2分割型32-8との間に位置する第1分割型31-7および第2分割型32-7は、Y軸方向において第1分割型31-2、31-4、31-6、31-8および第2分割型32-2、32-4、32-6、32-8よりも直線Cから離れた位置に配置されている。第1分割型31-3、31-7と第2分割型32-3、32-7とは、間隔D5を有している。
つまり、第4位置パターン例においては、第1分割型31および第2分割型32は、それぞれ第1分割型31-1、31-5、31-9および第2分割型32-1、32-5、32-9が最も直線Cの近くに位置し、第1分割型31-3、31-7および第2分割型32-3、32-7が最も直線Cから離れて位置する、W字形状となる位置パターンに調整されている。
そして、第1分割型31と第2分割型32とで、第1分割型31-1~31-5および第2分割型32-1~32-5により囲まれた開口部、ならびに第1分割型31-5~31-9および第2分割型32-5~32-9により囲まれた開口部を形成している。
図9(a)に示すように、第1分割型31と第2分割型32とをW字形状となる位置パターンに調整した場合、雄側分割型41は、第1分割型31および第2分割型32によって形成された開口部に対向する雄側分割型41を、他の雄側分割型41よりも雌型3の近くに配置した位置パターンに調整することができる。
図9(a)においては、間隔D5を有して配置される第1分割型31-3および第2分割型32-3に対向する雄側分割型41-3と、間隔D5を有して配置される第1分割型31-7および第2分割型32-7に対向する雄側分割型41-7とを、間隔D5よりも小さい間隔D6を有して配置される第1分割型31-2、31-4、31-6、31-8および第2分割型32-2、32-4、32-6、32-8に対向する雄側分割型41-2、41-4、41-6、41-8、ならびに間隔D5よりも小さい間隔D7を有して配置される第1分割型31-1、31-5、31-9および第2分割型32-1、32-5、32-9に対向する雄側分割型41-1、41-5、41-9よりも、雌型3の近くに配置している。ここで、間隔D5は第1間隔の一例であり、間隔D6、D7は第2間隔の一例である。
このように金型2を構成する雌型3は、対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更可能に構成されており、第1分割型31および第2分割型32を、様々な位置パターンに調整することが可能となっている。従って、ワークWに成形する3次元曲面等の形状に応じて第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更することで、個別の金型を用いることなく、プレスブレーキ装置等の汎用性の高い安価な加工装置を用いて所望の3次元曲面等の複雑形状を成形することが可能である。また、雌型3の第1支持型3Aおよび第2支持型3Bは、それぞれ長手方向に沿って並設される複数の第1分割型31および第2分割型32を有しているため、曲げ加工を行う際のワークサイズの制約が少なくなっており、大型のワークWに対する曲げ加工を行うことが可能である。
また、雌型3においては、曲げ加工を行うワークWの成形形状およびサイズに合わせて第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを調整することができるため、成形後におけるワークWのトリム代を小さくすることができ、素材コストと低減することができる。さらに、雌型3においては、板材にて構成されるワークWに曲げ加工を行うことができるため、例えば削り出し加工を行った場合に比べて素材の無駄が生じることがなく、素材コストと低減することができる。
また、雌型3においては、第1分割型31および第2分割型32を同じ位置パターンに調整した状態で、複数のワークWに対して曲げ加工を行うことができるため、複数のワークWに対して高精度で曲げ加工を行うことが可能となっている。
また、金型2を構成する雄型4は、雌型3に対して近接離間する方向の位置を調整可能に構成されており、第1分割型31および第2分割型32に加えて、雄側分割型41を様々な位置パターンに調整することが可能となっている。従って、ワークWに成形する3次元曲面等の形状に応じて第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更するとともに、雄側分割型41の雌型3に対する距離を調整することで、個別の金型を用いることなく、プレスブレーキ装置等の汎用性の高い安価な加工装置を用いて所望の3次元曲面等の複雑形状を成形することが可能である。
但し、金型2においては、雄型4が複数の雄側分割型41を有しておらず、雌型3に対する位置が長手方向において均一な構成であっても、雌型3の第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更することで、3次元曲面等の複雑形状を成形することが可能である。
また、上述の第2位置パターン例~第4位置パターン例においては、第1間隔(間隔D1、D3、D5)を有して配置される第1分割型31および第2分割型32に対向する雄側分割型41を、第1間隔よりも小さい第2間隔(間隔D2、D4、D6、D7)を有して配置される第1分割型31および第2分割型32に対向する雄側分割型41よりも雌型3の近くに配置している。
従って、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄側分割型41により押圧して、ワークWに曲げ加工を施す際に、雄側分割型41によりワークWを押圧した際の押圧量を、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dの大きさに対応した押圧量とすることができる。これにより、ワークWに局所的に大きな曲げが生じること等を抑制でき、成形後のワークWにしわや割れが生じることが抑えられる。
但し、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41の位置パターンとしては、ワークWに成形する曲げ加工の形状によっては、間隔Dが小さい第1分割型31および第2分割型32に対向する雄側分割型41を、間隔Dが大きい第1分割型31および第2分割型32に対向する雄側分割型41よりも雌型3の近くに配置した位置パターンとすることも可能である。
[曲げ加工方法]
次に、曲げ加工装置1を用いてワークWの曲げ加工を行う際の曲げ加工方法について説明する。
曲げ加工方法は、Y軸方向に対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔DをワークWに対する曲げ加工の形状に応じて調整するとともに、雄側分割型41の雌型3に対する位置を、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dに応じて調整した状態で、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを少なくとも1つの雄側分割型41によって押圧する加工工程と、ワークWをY軸方向に送る送り工程とを有しており、前記加工工程と前記送り工程とを繰り返し実施することにより、ワークWの曲げ加工を行う。
この場合、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dの調整は、制御装置55によって電動モータ51の動作を制御することにより行うことができる。また、雄側分割型41の雌型3に対する位置の調整は、制御装置55によって電動モータ52の動作を制御することにより行うことができる。さらに、ワークWのY軸方向への送りは、制御装置55によって制御される送り装置を用いて行うことができる。なお、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dの調整、雄側分割型41の雌型3に対する位置の調整、およびワークWのY軸方向への送りは、手動によって行うことも可能である。
本実施形態における曲げ加工方法は、加工工程において、同じ送り位置にあるワークWに対して雄側分割型41による押圧を複数回行うものである。本実施形態における曲げ加工方法は、雄側分割型41による押圧を行う際の第1分割型31(31-1~31-9)および第2分割型32(32-1~32-9)の位置パターンならびに雄側分割型41(41-1~41-9)の位置パターンとして、4つのパターンを有している。具体的には、図10(a)に示す第1パターンP1、図10(b)に示す第2パターンP2、図10(c)に示す第2パターンP3、図10(d)に示す第4パターンP4を有している。
第1パターンP1においては、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは、第1分割型31-4~31-6と第2分割型32-4~32-6との間隔Dが最も小さくなっている。また、第1分割型31-2、31-8と第2分割型32-2、32-8との間隔Dが最も大きくなっている。第1分割型31-1、31-3、31-7、31-9と第2分割型32-1、32-3、32-7、32-9との間隔Dは、最も小さい間隔Dと最も大きい間隔Dとの間の大きさとなっている。
第1パターンP1においては、雄側分割型41のZ軸方向の位置は、雄側分割型41-2、41-8が雌型3の近くに位置しており、雄側分割型41-1、41-3~41-7、41-9が、雄側分割型41-2、41-8よりも雌型3から離れて位置している。つまり、最も大きい間隔Dを有する第1分割型31-2、31-8および第2分割型32-2、32-8に対向する雄側分割型41-2、41-8が、他の雄側分割型41よりも雌型3に近づく側に突出している。
第1パターンP1においては、雄型4によりワークWを押圧した際に、雄側分割型41-2、41-8が第1分割型31および第2分割型32に支持されるワークWに接触し、雄側分割型41-1、41-3~41-7、41-9はワークWに接触しない。これにより、ワークWの雄側分割型41-2、41-8が接触した箇所が曲げ加工されるようになっている。
第2パターンP2においては、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは、第1分割型31-1、31-5、31-9と第2分割型32-1、32-5、32-9との間隔Dが最も小さくなっている。また、第1分割型31-3、31-7と第2分割型32-3、32-7との間隔Dが最も大きくなっている。第1分割型31-2、31-4、31-6、31-8と第2分割型32-2、32-4、32-6、32-8との間隔Dは、最も小さい間隔Dと最も大きい間隔Dとの間の大きさとなっている。
第2パターンP2においては、雄側分割型41のZ軸方向の位置は、雄側分割型41-3、41-7が雌型3の近くに位置しており、雄側分割型41-1、41-2、41-4~41-6、41-8、41-9が、雄側分割型41-3、41-7よりも雌型3から離れて位置している。つまり、最も大きい間隔Dを有する第1分割型31-3、31-7および第2分割型32-3、32-7に対向する雄側分割型41-3、41-7が、他の雄側分割型41よりも雌型3に近づく側に突出している。
第2パターンP2においては、雄型4によりワークWを押圧した際に、雄側分割型41-3、41-7が第1分割型31および第2分割型32に支持されるワークWに接触し、雄側分割型41-1、41-2、41-4~41-6、41-8、41-9はワークWに接触しない。これにより、ワークWの雄側分割型41-3、41-7が接触した箇所が曲げ加工されるようになっている。
第3パターンP3においては、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは、第1分割型31-1、31-2、31-8、31-9と第2分割型32-1、32-2、32-8、32-9との間隔Dが最も小さくなっている。また、第1分割型31-4、31-6と第2分割型32-4、32-6との間隔Dが最も大きくなっている。第1分割型31-3、31-5、31-7と第2分割型32-3、32-5、32-7との間隔Dは、最も小さい間隔Dと最も大きい間隔Dとの間の大きさとなっている。
第3パターンP3においては、雄側分割型41のZ軸方向の位置は、雄側分割型41-4、41-6が雌型3の近くに位置しており、雄側分割型41-1~41-3、41-5、41-7~41-9が、雄側分割型41-4、41-6よりも雌型3から離れて位置している。つまり、最も大きい間隔Dを有する第1分割型31-4、31-6および第2分割型32-4、32-6に対向する雄側分割型41-4、41-6が、他の雄側分割型41よりも雌型3に近づく側に突出している。
第3パターンP3においては、雄型4によりワークWを押圧した際に、雄側分割型41-4、41-6が第1分割型31および第2分割型32に支持されるワークWに接触し、雄側分割型41-1~41-3、41-5、41-7~41-9はワークWに接触しない。これにより、ワークWの雄側分割型41-4、41-6が接触した箇所が曲げ加工されるようになっている。
第4パターンP4においては、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dは、第1分割型31-1~31-3、31-7~31-9と第2分割型32-1~32-3、32-7~32-9との間隔Dが最も小さくなっている。また、第1分割型31-5と第2分割型32-5との間隔Dが最も大きくなっている。第1分割型31-4、31-6と第2分割型32-4、32-6との間隔Dは、最も小さい間隔Dと最も大きい間隔Dとの間の大きさとなっている。
第4パターンP4においては、雄側分割型41のZ軸方向の位置は、雄側分割型41-5が雌型3の近くに位置しており、雄側分割型41-1~41-4、41-6~41-9が、雄側分割型41-5よりも雌型3から離れて位置している。つまり、最も大きい間隔Dを有する第1分割型31-5および第2分割型32-5に対向する雄側分割型41-5が、他の雄側分割型41よりも雌型3に近づく側に突出している。
第4パターンP4においては、雄型4によりワークWを押圧した際に、雄側分割型41-5が第1分割型31および第2分割型32に支持されるワークWに接触し、雄側分割型41-1~41-4、41-6~41-9はワークWに接触しない。これにより、ワークWの雄側分割型41-5が接触した箇所が曲げ加工されるようになっている。
このように、曲げ加工方法においては、対向する第1分割型31と第2分割型32との間隔をワークWに対する曲げ加工の形状に応じて調整するとともに、雄側分割型41の雌型3に対する位置を、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dに応じて調整することで、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を複数の位置パターンに調整することができる。そして、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を複数の位置パターンに調整してワークWの曲げ加工を行うことで、個別の金型を用いることなく、プレスブレーキ装置等の汎用性の高い安価な加工装置を用いて、ワークWに3次元曲面等の複雑形状を成形することが可能である。また、雌型3の第1支持型3Aおよび第2支持型3Bは、それぞれ長手方向に沿って並設される複数の第1分割型31および第2分割型32を有しているため、曲げ加工を行う際のワークサイズの制約を少なくすることができる。
曲げ加工方法においては、例えば第1パターンP1~第4パターンP4の4つの位置パターンを用いて、以下のような加工手順によりワークWに対する曲げ加工を実施することができる。但し、ワークWに対する曲げ加工を行う際には、第1パターンP1~第4パターンP4に限るものではなく、他の位置パターンを用いることもできる。また、用いる位置パターンの数は4つに限るものではなく、3つ以下の位置パターンを用いてもよいし、5つ以上の位置パターンを用いてもよい。
(加工手順の第1例)
第1例にかかる加工手順を有する曲げ加工方法においては、図11に示すように、まずワークWを、曲げ加工を施す際の最初の送り位置となる第1送り位置にセットする(S101)。次に、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を第1パターンP1に調整する(S102)。その後、図12(a)に示すように、第1パターンP1に調整した状態にて、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄側分割型41により押圧して、ワークWに曲げ加工を施す第1加工工程を実施する(S103)。この場合、ワークWの雄側分割型41-2、41-8が接触した部分(図12(a)において実線で示した部分)が曲げ加工される。
ステップS103において第1加工工程を実施した後に、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を第2パターンP2に調整する(S104)。その後、図12(b)に示すように、第2パターンP2に調整した状態にて、雄側分割型41により第1送り位置にあるワークWを押圧して、ワークWに曲げ加工を施す第2加工工程を実施する(S105)。この場合、ワークWの雄側分割型41-3、41-7が接触した部分(図12(b)において実線で示した部分)が曲げ加工される。なお、図12において、ワークWの2点鎖線で囲まれるとともに網掛けされた領域は、既に曲げ加工が施された領域を示している。
ステップS105において第1加工工程を実施した後に、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を第3パターンP3に調整する(S106)。その後、図12(c)に示すように、第3パターンP3に調整した状態にて、雄側分割型41により第1送り位置にあるワークWを押圧して、ワークWに曲げ加工を施す第3加工工程を実施する(S107)。この場合、ワークWの雄側分割型41-4、41-6が接触した部分(図12(c)において実線で示した部分)が曲げ加工される。
ステップS107において第1加工工程を実施した後に、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を第4パターンP4に調整する(S108)。その後、図12(d)に示すように、第4パターンP4に調整した状態にて、雄側分割型41により第1送り位置にあるワークWを押圧して、ワークWに曲げ加工を施す第4加工工程を実施する(S109)。この場合、ワークWの雄側分割型41-5が接触した部分(図12(d)において実線で示した部分)が曲げ加工される。
その後、現在のワークWの送り位置が曲げ加工を行う際の最後の送り位置であるか否かの判断を行う(S110)。ここで、ワークWの最後の送り位置とは、ワークWが最後に曲げ加工を行う際にセットされる位置をいう。ステップS110においてワークWの送り位置が最後の送り位置ではないと判断したときには、ワークWを次の送り位置までY軸方向に送る送り工程を実施する(S111)。ステップS111において送り工程を実施することで、ワークWは第1送り位置から次の送り位置となる第2送り位置まで送られる。
図13(a)に示すように、ワークWを第2送り位置まで送った後に、ステップS102およびステップS103を実施して、第2送り位置にあるワークWに対して第1パターンP1にて曲げ加工を施す。さらに、図13(b)に示すように、ステップS104およびステップS105を実施して、第2送り位置にあるワークWに対して第2パターンP2にて曲げ加工を施す。なお、図13において、ワークWの2点鎖線で囲まれるとともに網掛けされた領域は、既に曲げ加工が施された領域を示している。
また、図13(c)に示すように、ステップS105の後に、ステップS106およびステップS107を実施して、第2送り位置にあるワークWに対して第3パターンP3にて曲げ加工を施す。さらに、図14(d)に示すように、ステップS108およびステップS109を実施して、第2送り位置にあるワークWに対して第4パターンP4にて曲げ加工を実施する。
ステップS109を実施した後に、ステップS110を実施する。ステップS110においてワークWの送り位置が最後の送り位置ではないと判断したときには、その後ステップS110においてワークWの送り位置が最後の送り位置であると判断するまで、ステップS111およびステップS102~S110を繰り返し実施する。ステップS110においてワークWの送り位置が最後の送り位置であると判断した場合には、曲げ加工を終了する。
なお、本例においては、同じ送り位置において、第1パターンP1→第2パターンP2→第3パターンP3→第4パターンP4の順に曲げ加工を行っているが、位置パターンの順番を入れ替えて曲げ加工を行うことも可能である。また、本例においては、各送り位置において実施する曲げ加工の位置パターンの順番が同じであるが、送り位置毎に位置パターンの順番を変えて曲げ加工することも可能である。
このように、第1例にかかる加工手順を有する曲げ加工方法は、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄型4によって押圧した際に、少なくとも1つの雄側分割型41(41-2、41-8)がワークWに接触して、ワークWにおける雄側分割型41が接触した箇所が曲げ加工されるように、第1分割型31および第2分割型32の位置、ならびに雄側分割型41の位置を調整した状態で、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄側分割型41によって押圧する第1加工工程(S103)と、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄型4によって押圧した際に、少なくとも第1加工工程とは異なる雄側分割型41(41-3、41-7)がワークWに接触して、ワークWにおける雄側分割型41が接触した箇所が曲げ加工されるように、第1分割型31と第2分割型32との間隔D、および雄側分割型41の位置を調整した状態で、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄側分割型41によって押圧する第2加工工程(S105)と、ワークWをY軸方向に送る送り工程とを備えており、第1加工工程(S103)および第2加工工程(S105)を実施した後に送り工程(S111)を実施し、その後第1加工工程(S103)および第2加工工程(S105)を再度実施するように構成されている。
これにより、送り工程の実施回数を少なくしてワークWに対する曲げ加工を効率的に行うことが可能である。
(加工手順の第2例)
第2例にかかる加工手順を有する曲げ加工方法においては、図14に示すように、まずワークWを、曲げ加工を施す際の最初の送り位置となる第1送り位置にセットする(S201)。次に、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を第1パターンP1に調整する(S202)。その後、図15(a)に示すように、第1パターンP1に調整した状態にて、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄側分割型41により押圧して、ワークWに曲げ加工を施す第1加工工程を実施する(S203)。この場合、ワークWの雄側分割型41-2、41-8が接触した部分(図15(a)において実線で示した部分)が曲げ加工される。
ステップS203において第1加工工程を実施した後に、現在のワークWの送り位置が曲げ加工を行う際の最後の送り位置であるか否かの判断を行う(S204)。ステップS204においてワークWの送り位置が最後の送り位置ではないと判断したときには、ワークWを次の送り位置までY軸方向に送る送り工程を実施する(S205)。ステップS205において送り工程を実施することで、ワークWは第1送り位置から次の送り位置となる第2送り位置まで送られる。
図15(b)に示すように、ワークWを第2送り位置まで送った後に、ステップS203を実施して、第2送り位置にあるワークWに対して第1パターンP1にて曲げ加工を実施する。ステップS203において第1加工工程を実施した後に、ステップS204を実施する。ステップS204においてワークWの送り位置が最後の送り位置ではないと判断したときには、送り工程を実施する(S205)。ステップS205において送り工程を実施することで、ワークWは第2送り位置から次の送り位置となる第3送り位置まで送られる。なお、図15において、ワークWの2点鎖線で囲まれ網掛けされた領域は、既に曲げ加工が施された領域を示している。
図15(c)に示すように、ワークWを第3送り位置まで送った後に、ステップS203を実施して、第3送り位置にあるワークWに対して第1パターンP1にて曲げ加工を実施する。ステップS203において第1加工工程を実施した後に、ステップS204を実施する。なお、本例においては、第3送り位置がワークWの最後の送り位置であるものとする。但し、曲げ加工方法においては、ワークWの送り位置が第1送り位置および第2送り位置の2つの送り位置であってもよく、4つ以上の送り位置にてワークWに曲げ加工を施してもよい、さらに、第1送り位置のみにおいてワークWに曲げ加工を施す構成とすることも可能である。
現在のワークWの送り位置は最後の送り位置となる第3送り位置であるため、ステップS204においては、ワークWの送り位置が最後の送り位置であると判断し、ステップS206を実施する。ステップS206においては、ワークWを最後の送り位置である第3送り位置から最初の送り位置である第1送り位置へ戻す戻し工程を実施する。ここで、ワークWの戻し方向は、Y軸方向におけるワークWの送り方向とは反対の方向である。
ステップS206において戻し工程を実施した後、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を第2パターンP2に調整する(S207)。なお、ステップS206とステップS207とは実施する順序を入れ替えて、ステップS207の後にステップS206を実施することも可能である。
次に、ステップS206の戻し工程において第1送り位置に戻されたワークWに対して、図16(a)に示すように、第2パターンP2に調整した状態にて、雄側分割型41により第1送り位置にあるワークWを押圧して、ワークWに曲げ加工を施す第2加工工程を実施する(S208)。この場合、ワークWの雄側分割型41-3、41-7が接触した部分(図16(a)において実線で示した部分)が曲げ加工される。なお、図16において、ワークWの2点鎖線で囲まれ網掛けされた領域は、既に曲げ加工が施された領域を示している。
ステップS208において第2加工工程を実施した後に、現在のワークWの送り位置が曲げ加工を行う際の最後の送り位置であるか否かの判断を行う(S209)。ステップS209においてワークWの送り位置が最後の送り位置ではないと判断したときには、送り工程を実施して(S210)、ワークWを第1送り位置から次の送り位置となる第2送り位置まで送る。
図16(b)に示すように、ワークWを第2送り位置まで送った後に、ステップS208を実施して、第2送り位置にあるワークWに対して第2パターンP2にて曲げ加工を実施する。ステップS208において第2加工工程を実施した後に、ステップS209を実施する。ステップS209においてワークWの送り位置が最後の送り位置ではないと判断したときには、送り工程を実施して(S210)、ワークWを第2送り位置から次の送り位置となる第3送り位置まで送る。
図16(c)に示すように、ワークWを第3送り位置まで送った後に、ステップS208を実施して、第3送り位置にあるワークWに対して第2パターンP2にて曲げ加工を実施する。ステップS208において第2加工工程を実施した後に、ステップS209を実施する。
現在のワークWの送り位置は最後の送り位置となる第3送り位置であるため、ステップS209においてはワークWの送り位置が最後の送り位置であると判断し、ステップS211において戻し工程を実施してワークWを第3送り位置から第1送り位置へ戻す。
ステップS211において戻し工程を実施した後、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を第3パターンP3に調整する(S212)。なお、ステップS211とステップS212とは実施する順序を入れ替えて、ステップS212の後にステップS211を実施することも可能である。
次に、第1送り位置に戻されたワークWに対して、第3パターンP3に調整した状態にて、雄側分割型41により第1送り位置にあるワークWを押圧して、ワークWに曲げ加工を施す第3加工工程を実施する(S213)。この場合、ワークWの雄側分割型41-4、41-6が接触した部分が曲げ加工される。
その後、ステップS214、ステップS215、およびステップS213を繰り返し実施して、第2送り位置にあるワークW、および第3送り位置にあるワークWに対して第3パターンP3にて曲げ加工を行う。第3送り位置にあるワークWに対して第3パターンP3にて曲げ加工を行った後、ステップS214においてワークWの送り位置が最後の送り位置であると判断し、ステップS216において戻し工程を実施してワークWを第3送り位置から第1送り位置へ戻す。
ステップS216において戻し工程を実施した後、第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41を第4パターンP4に調整する(S217)。なお、ステップS216とステップS217とは実施する順序を入れ替えて、ステップS217の後にステップS216を実施することも可能である。
次に、第1送り位置に戻されたワークWに対して、第4パターンP4に調整した状態にて、雄側分割型41により第1送り位置にあるワークWを押圧して、ワークWに曲げ加工を施す第4加工工程を実施する(S218)。この場合、ワークWの雄側分割型41-5が接触した部分が曲げ加工される。
その後、ステップS219、ステップS220、およびステップS218を繰り返し実施して、第2送り位置にあるワークW、および第3送り位置にあるワークWに対して第4パターンP4にて曲げ加工を行う。第3送り位置にあるワークWに対して第4パターンP4にて曲げ加工を行った後、ステップS219においてワークWの送り位置が最後の送り位置か否かの判断を行う。ワークWは第3送り位置にあるため、ステップS219においては、ワークWの送り位置が最後の送り位置であると判断し、曲げ加工を終了する。
なお、本例においては、戻し工程を挟みながら曲げ加工を実施する際の位置パターンの順番が、第1パターンP1→第2パターンP2→第3パターンP3→第4パターンP4の順となっているが、位置パターンの順番を入れ替えて曲げ加工を行うことも可能である。
このように、第2例にかかる加工手順を有する曲げ加工方法は、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄型4によって押圧した際に、少なくとも1つの雄側分割型41(41-2、41-8)がワークWに接触して、ワークWにおける雄側分割型41が接触した箇所が曲げ加工されるように、第1分割型31と第2分割型32との間隔D、および雄側分割型41の位置を調整した状態で、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄側分割型41によって押圧する第1加工工程(S203)と、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄側分割型41によって押圧した際に、少なくとも第1加工工程とは異なる雄側分割型41(41-3、41-7)がワークWに接触して、ワークWにおける雄側分割型41が接触した箇所が曲げ加工されるように、第1分割型31と第2分割型32との間隔D、および雄側分割型41の位置を調整した状態で、第1分割型31および第2分割型32に支持されたワークWを雄側分割型41によって押圧する第2加工工程(S208)と、ワークWをY軸方向の一側へ送る送り工程(S205、S210)と、ワークWをY軸方向の他側へ戻す戻し工程とを備え、第1加工工程(S203)および第1加工工程(S203)の後に実施する送り工程(S205)を複数回繰り返して実施し、その後、戻し工程(S206)を実施し、さらに、第2加工工程(S208)および第2加工工程(S208)の後に実施する送り工程(S210)を複数回繰り返して実施するように構成されている。
これにより、ワークWに曲げ加工を施す際の第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41の位置調整回数を少なくすることができる。
[第1変形例]
図17に示すように、曲げ加工装置1は、ワークWに曲げ加工を施す際に、第1分割型31および第2分割型32とワークWとの間、ならびに雄側分割型41とワークWとの間に位置する保護シート60を有する構成とすることもできる。保護シート60は、ゴムや樹脂等の弾性部材にて構成される。
このように、第1分割型31および第2分割型32とワークWとの間、ならびに雄側分割型41とワークWとの間に保護シート60を介在させた状態でワークWに曲げ加工を施すことで、ワークWに第1分割型31、第2分割型32、および雄側分割型41が直接接触して傷が付くことを抑制することができる。
[第2変形例]
図18に示すように、曲げ加工装置1は、Y軸方向に沿って配置され第1分割型31のネジ孔31aにネジ作用により嵌め合わされる第1シャフト71、およびY軸方向に沿って配置され第2分割型32のネジ孔32aにネジ作用により嵌め合わされる第2シャフト72を備える構成とすることもできる。
第1シャフト71は第1分割型31のネジ孔31aとネジ作用により嵌め合わされるネジ部71aを有しており、第1シャフト71が回転することにより第1分割型31がY軸方向に沿って移動可能となっている。第2シャフト72は第2分割型32のネジ孔32aとネジ作用により嵌め合わされるネジ部72aを有しており、第2シャフト72が回転することにより第2分割型32がY軸方向に沿って移動可能となっている。
本例においては、第1シャフト71におけるネジ部71aのネジ形成方向と、第2シャフト72におけるネジ部72aのネジ形成方向とは反対方向となっている。ただし、ネジ部71aのネジ形成方向とネジ部72aのネジ形成方向とを同じ方向となるように構成することも可能である。
第1シャフト71には、第1シャフト71を回転駆動可能な電動モータ51を取り付けることができる。第2シャフト72には、第2シャフト72を回転駆動可能な電動モータ51を取り付けることができる。
このように、第1シャフト71および第2シャフト72を備える構成とした場合においても、第1分割型31および第2分割型32をY軸方向に沿って移動させて、第1分割型31と第2分割型32との間隔Dを変更することが可能である。