[1.アラート出力システムの全体構成]
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、実施形態に係るアラート出力システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、アラート出力システムSは、サーバ10と、複数の作業員端末20と、を含む。なお、図1では、サーバ10を1台だけ示しているが、サーバ10は複数台あってもよい。また、作業員端末20は、少なくとも作業員の数だけ用意すればよく、任意の台数であってよい。
サーバ10は、サーバコンピュータである。例えば、サーバ10は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を含む。制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。記憶部12は、主記憶部及び補助記憶部を含む。例えば、主記憶部はRAMなどの揮発性メモリであり、補助記憶部は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。通信部13は、有線通信又は無線通信用の通信インタフェースを含み、例えば、ネットワークを介してデータ通信を行う。
作業員端末20は、施工現場における作業員が操作するコンピュータである。施工現場とは、施工が行われる場所であり、例えば、建築現場、工事現場、又は解体現場と呼ばれることもある。施工現場では、任意の施工が行われてよく、例えば、建物、道路、橋、トンネル、又はダムなどが施工される。作業員とは、施工現場で作業を行う者であり、例えば、建設機械の操縦者、作業グループの管理者、現場監督、鉄筋工、型枠工、コンクリート工、又は仮設工などである。建設機械は、重機とも呼ばれる機械であり、例えば、クレーン、ショベルカー、又はフォークリフトなどである。
例えば、作業員端末20は、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(タブレット型コンピュータを含む)、又は携帯電話機(スマートフォンやスマートグラスを含む)等である。制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、表示部25、位置検出部26、及び音声検出部27を含む。制御部21、記憶部22、及び通信部23は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様のハードウェア構成である。操作部24は、入力デバイスであり、例えば、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイスやキーボード等である。操作部24は、操作内容を制御部21に伝達する。表示部25は、例えば、液晶表示部又は有機EL表示部等である。
位置検出部26は、地球上の位置を検出するための装置であり、例えば、GPSセンサ(GPS受信機)を含む。例えば、位置検出部26は、衛星からの信号を受信し、位置情報として緯度経度情報を取得する。なお、位置の検出方法自体は、公知の種々の手法を適用可能であり、位置検出部26は、検出方法に応じた装置を利用すればよく、複数の検出方法を複合的に利用して、検出精度を高めてもよい。
例えば、GPS以外のGNSS(例えば、GLONASS、Galileo、又はQZSS)を利用する場合には、位置検出部26は、利用するGNSSに応じた受信機を含む。また例えば、Beacon測位を利用する場合には、位置検出部26は、Beacon受信機を含む。また例えば、UWB測位を利用する場合には、位置検出部26は、UWB信号を発信するタグを含み、施工現場にはUWB信号を受信する複数のセンサが配置されている。また例えば、Wi-Fi測位を利用する場合には、位置検出部26は、Wi-Fi用の通信インタフェースを含む。また例えば、音波測位を利用する場合には、位置検出部26は、音波検出センサを含む。また例えば、デッドレコニング測位を利用する場合には、位置検出部26は、ジャイロセンサや加速度センサなどの各種センサを含む。また例えば、IMES測位を利用する場合には、位置検出部26は、GPSセンサ、ジャイロセンサ、及び加速度センサといった複数のセンサを含む。また例えば、Visual-SLAM測位を利用する場合には、位置検出部26は、カメラや深度センサなどを含む。また例えば、RFID測位を利用する場合には、位置検出部26は、RFID受信機を含む。
音声検出部27は、少なくとも1つのマイクを含み、音声を検出する。
なお、記憶部12,22に記憶されるものとして説明するプログラム及びデータは、ネットワークを介してサーバ10又は作業員端末20に供給されるようにしてもよい。また、サーバ10及び作業員端末20の各々のハードウェア構成は、上記の例に限られず、種々のハードウェアを適用可能である。例えば、サーバ10及び作業員端末20の各々は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、光ディスクドライブやメモリカードスロット)や外部機器と直接的に接続するための入出力部(例えば、USB端子)を含んでもよい。この場合、情報記憶媒体に記憶されたプログラムやデータが読取部又は入出力部を介して、サーバ10及び作業員端末20の各々に供給されるようにしてもよい。
[2.アラート出力システムの概要]
アラート出力システムSは、施工現場の安全性を担保するために用いられる。施工現場では、建設機械などの機材の欠陥によって事故が発生することもあるが、作業員の注意不足や過度な集中などのように、作業員自身が原因で事故が発生することが多い。従来、このような事故を防ぐ方法として、声掛け作業を徹底することが行われている。しかし、声掛け作業を徹底しても、作業員の注意が不足していたり、作業に集中しすぎていたりした場合には、作業員に声が届かないことがある。
また、施工現場にロードコーンやフェンスなどを配置し、注意すべき領域を明示する方法も知られているが、作業員が視覚的に認識していなければ意味がなく、作業員が気付かないことがある。また、従来技術で説明したように、建設機械が警告を出力して注意を促す方法では、周囲の騒音などによって作業員が気付かないこともあるし、作業員の注意が不足していたり作業に集中していたりすると気付かないこともある。
また、建設機械の作業範囲に作業員が侵入した場合に、建設機械を強制停止させることも考えられるが、強制停止による二次災害(例えば、吊り荷の落下や積み荷の荷崩れ)が発生する危険性があり、作業員の注意不足や過度な集中などに対する根本的な対策にもならない。また、注意すべき領域に作業員が侵入した場合に強制的にアラートを出力することも考えられるが、施工現場において注意すべき領域は流動的なため、強制的にアラートを出力する手法では限界がある。例えば、クレーンの作業範囲であったとしても、荷を吊るすための玉掛け作業中であれば安全と考えられるので、このような場合にまでアラートを出力すると、むしろ作業の邪魔になってしまう。
そこで、本実施形態のアラート出力システムSは、施工現場における作業員同士のコミュニケーションを検出してコミュニケーションが取れている作業員をグループ化し、コミュニケーションが取れていないグループ同士が近づいた場合には、互いの作業が危険を及ぼさないように、アラートを出力するようにしている。
コミュニケーションとは、作業員同士の意思疎通であり、例えば、会話、チャット、又はジェスチャなどである。アラートとは、コミュニケーションが取れていないことを示す通知(警告又は警報)であり、例えば、視覚的、聴覚的、又は触覚的に行われる。
グループとは、コミュニケーションが取れている作業員のまとまり(クラスタ)である。作業員が誰ともコミュニケーションを取っていない場合には、グループには1人の作業員だけが所属し、作業員が他の作業員とコミュニケーションを取っている場合には、グループには複数人の作業員が所属する。グループに複数人の作業員が所属している場合、各作業員は、同じグループの少なくとも1人の作業員とコミュニケーションを取っている。このため、作業員は、同じグループの全員とコミュニケーションを取っていることもあるし、誰か1人だけとコミュニケーションを取っていることもある。
作業員は、少なくとも1つのグループに所属すればよく、1人の作業員が複数のグループに同時に所属することもある。グループに所属する作業員の何れかが当該グループの管理者となってもよいし、特に管理者を定めずに全員が並列に扱われてもよい。また、グループは、コミュニケーションの検出結果に基づいて動的に変化するが、グループに所属する作業員が予め決められていてもよい。
図2は、アラート出力システムSが利用される施工現場の一例を示す図である。図2の例では、4人の作業員A~Dが施工現場で作業を行っており、各々は他の誰ともコミュニケーションを取っていない。このため、施工現場には、4つのグループG1~G4が設定され、グループG1には作業員Aだけが所属し、グループG2には作業員Bだけが所属し、グループG3には作業員Cだけが所属し、グループG4には作業員Dだけが所属する。
図2に示すように、施工現場には、グループに所属する作業員を含むように、当該グループを示す領域が設定される。図2の例では、作業員A~Dがそれぞれ別々のグループG1~G4に所属しているので、グループG1~G4の各々には、作業員A~Dの各々を中心とした領域が設定される。この状態で、作業員同士でコミュニケーションを取った場合、これらの作業員が同じグループに所属するようになる。
図3は、作業員同士でコミュニケーションを取った場合の施工現場の一例を示す図である。図3に示すように、作業員A~Cが互いに声を掛け合い、これら3人の間でコミュニケーションが成立したとすると、作業員A~Cが同じグループに所属するようになる。図3の例では、作業員A~Cがそれぞれ別々のグループG1~G3に所属していた状態から、作業員A~Cが同じグループG1に所属する状態となる。新たなグループG1は、3人の作業員A~Cを含むように領域が設定される。なお、詳細は後述するが、グループの領域は、図3のような円形に限られず、任意の形状であってよく、領域のサイズも任意であってよい。
作業員A~Cは、互いにコミュニケーションを取っているため、自分の作業により他人に危険が生じる可能性は低い。例えば、作業員Bが鉄骨を運んでいたとしても、作業員AとCは、作業員Bとコミュニケーションを取っていることが確認されているので、作業員Bが運ぶ鉄骨に接触するといった可能性は低く、安全性が担保されている。一方、グループG1に所属する作業員A~Cとコミュニケーションが取れていない他の作業員が、グループG1の領域に近づいたとすると、作業員Bが運ぶ鉄骨の存在に気付かずに接触してしまう可能性がある。
図4は、グループG1に所属しない作業員DがグループG1に近づいた場合を示す図である。先述したように、作業員Dは、誰ともコミュニケーションを取っておらず、グループG4にしか所属していない。例えば、作業員Dが型枠工であり、コンクリートを流し込む型枠を運ぶ作業に集中していたとすると、グループG1の存在や作業員Bが運ぶ鉄骨の存在に気付くことができない可能性がある。また、グループG1の作業員からしてみれば、グループG1の中に意識が集中してしまい、グループG1の外への注意が不足しがちである。
そこで、アラート出力システムSは、グループG1の領域とグループG4の領域が重なった場合に、アラートを出力する。別の言い方をすれば、コミュニケーションが成立していないグループ同士が近づいた場合に、アラートが出力される。アラートは、グループG1又はグループG4の何れかの者に対して出力されるようにすればよく、ここでは、作業員Aに出力される場合を説明する。
図5は、作業員端末20に表示される画面の一例を示す図である。図5に示すように、作業員端末20には、施工現場における作業を支援するアプリケーションがインストールされており、表示部25に、当該アプリケーションの画面SCが表示される。ここでは、作業員Aの画面を例に挙げるので、作業員Aの作業を支援するための画面が表示されることになる。以降の説明では、個々の画面を区別する必要があるときは、SC1~SC3といったように、SCの符号の後に数字を付して説明する。
例えば、画面SC1に示すように、作業員Aの周囲にいる他の作業員の位置が表示される。先述したように、各作業員は、作業員端末20を所持しているので、位置検出部26により位置情報が取得される。各作業員の位置情報は、サーバ10にアップロードされ、作業員Aの近くにいる作業員BとCの各々の位置が画面SC1に表示される。図5の例では、作業員BとCの各々を示す三角形のアイコンが画面SC1に表示され、作業員Aは、作業員BとCの各々の相対位置を知ることができる。
また、画面SC1では、各作業員が同じグループに所属するか否かを識別できるようになっており、作業員Aと同じグループG1に所属する作業員BとCは、アイコンが第1の表示態様(図5では網掛け)で示される。表示態様とは、見た目であり、例えば、色、輝度、形状、又はサイズなどである。なお、グループG1の領域が画面SC1に表示されてもよい。第1の表示態様でアイコンが表示された作業員BとCは、作業員Aとのコミュニケーションが成立している作業員ということもできる。
作業員DがグループG1に近づいて、グループG1の領域とグループG4の領域が重なると、画面SC2に示すように、画面SC2に示すように、「Dさんに注意して下さい!」といったメッセージがアラートとして表示される。これにより、作業員Aは、誰に気を付けたらよいかを容易に把握することができる。また、作業員Dは、グループG1の誰ともコミュニケーションを取っていないので、アイコンが第2の表示態様(図5では横線)で示される。
その後、作業員Aは、作業員Dに対して「Dさん、気を付けて!」といった声掛けをする。これに対し、作業員Dが返事をすると、画面SC3に示すように、作業員Dのアイコンが第1の表示態様となり、アラートが消去される。この場合、作業員AとDの間でコミュニケーションが成立し、互いの存在に気付いていることが確認されるので、作業員A~Dの安全性が担保される。作業員Dは、作業員Aとコミュニケーションが成立したことを条件として、グループG1に所属するようにしてもよいし、他の作業員BとCともコミュニケーションを取ることを条件としてグループG1に所属するようにしてもよい。なお、アラート出力システムSは、種々の場面に適用可能であり、図2~図5に例示した場面に限られない。
図6は、アラート出力システムSが適用される場面の一例を示す図である。図6では、作業員Eが建設機械30Aを操縦し、作業員FとGとコミュニケーションを取っており、作業員Hが建設機械30Bを操縦し、作業員Iとコミュニケーションを取っている場面が示されている。作業員E~Gは、それぞれコミュニケーションが取れているので、同じグループG5に所属し、作業員HとIは、それぞれコミュニケーションが取れているので、同じグループG6に所属する。
図6に示すように、作業員Hが操作する建設機械30BがグループG5の方に近づいて、グループG5の領域とグループG6の領域とが重なったとする。グループG5に所属する作業員E~Gは、グループG6の誰ともコミュニケーションを取っておらず、グループG6に所属する作業員HとIは、グループG5の誰ともコミュニケーションを取っていないので、互いの存在に気付くことができず、建設機械30BがグループG5の誰かと接触する可能性がある。
このため、アラート出力システムSは、グループG5の領域とグループG6の領域が重なった場合に、アラートを出力する。例えば、作業員Hの作業員端末20に、図5と同様のアラートが出力され、作業員Hは、作業員Gに対して声掛けをして作業員Gから返事が返ってくると、アラートが消去される。この場合、グループG5とG6の間で、1組のコミュニケーションが取れているので、最低限の安全性が担保されている。なお、作業員EとFについては、グループG6の領域から離れた場所にいるので、特にアラートが出力されなくてもよいし、返事をしなくてもよい。
以上のように、本実施形態のアラート出力システムSでは、施工現場における作業員同士のコミュニケーションを検出してコミュニケーションが取れている作業員をグループ化し、コミュニケーションが取れていないグループ同士が近づいた場合には、互いの作業により危険が発生しないようにアラートを出力することで、施工現場における安全性を担保する。以降、本技術の詳細について説明する。
[3.本実施形態で実現される機能]
図7は、アラート出力システムSで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。図7に示すように、アラート出力システムSでは、データ記憶部100、位置情報取得部101、検出部102、設定部103、出力部104、及びリセット部105が実現される。本実施形態では、これら各機能がサーバ10によって実現される場合を説明するが、後述する変形例のように、各機能は、作業員端末20などの他のコンピュータによって実現されてもよい。
[データ記憶部]
データ記憶部100は、記憶部12を主として実現される。データ記憶部100は、施工現場における安全性を担保するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部100は、作業員データDT1と、グループデータDT2と、を記憶する。
図8は、作業員データDT1のデータ格納例を示す図である。図8に示すように、作業員データDT1は、作業員に関する各種情報が格納されたデータである。作業員データDT1は、施工現場における作業状況を示すデータということもできる。例えば、作業員データDT1には、作業員ID、作業員の氏名、端末ID、位置情報、コミュニケーション情報、及びグループIDが格納される。
作業員IDは、作業員を一意に識別する情報であり、例えば、社員番号などである。端末IDは、作業員端末20を一意に識別する情報であり、例えば、作業員端末20の個体識別番号、電話番号、又はメールアドレスなどである。位置情報は、作業員端末20の位置検出部26により検出された位置情報が格納される。位置情報は、後述する位置情報取得部101によって取得され、作業員データDT1に格納される位置情報は、位置情報取得部101によって随時更新される。
コミュニケーション情報は、作業員同士のコミュニケーションに関する情報である。例えば、コミュニケーション情報は、コミュニケーションが取れている作業員の組み合わせを示す。ここでは、作業員ごとにコミュニケーション情報が格納されるので、コミュニケーション情報には、当該作業員とコミュニケーションが取れている他の作業員が示される。図8のデータ格納例であれば、作業員Aのコミュニケーション情報には、作業員BとCの作業員IDが示されているので、作業員Aと作業員Bとのコミュニケーションと、作業員Aと作業員Cとのコミュニケーションと、が成立していることが示されている。コミュニケーション情報は、後述する検出部102の処理によって随時更新される。
グループIDは、作業員が所属するグループを一意に識別する情報である。作業員が所属するグループは、後述する設定部103によって決定されるので、作業員データDT1に格納されるグループIDは、設定部103によって随時更新される。
図9は、グループデータDT2のデータ格納例を示す図である。図9に示すように、グループデータDT2は、施工現場に設定されたグループに関する各種情報が格納されたデータである。例えば、グループデータDT2には、グループID、作業員ID、作業員の氏名、及びグループの領域が格納される。
グループIDは、設定部103によりグループが新たに生成されるとグループIDが採番される。作業員IDは、グループに所属する作業員の作業員IDである。図8のデータ格納例であれば、グループID「g00001」で識別されるグループには作業員A~Cの3人が所属しており、グループID「g00004」で識別されるグループには作業員Dの1人だけが所属している。例えば、図9に示すように、グループの領域としては、中心点の位置と、領域の半径と、が格納される。
グループの領域は、グループに所属する作業員を含むように設定される領域であり、後述する設定部103によって設定される。この領域は、コミュニケーションが取れている範囲を示すものであり、グループに所属する作業員が注意すべき範囲ということもできる。別の言い方をすれば、この領域の内部は、グループに所属する作業員の作業範囲ということもできるし、グループに所属する作業員の作業によって危険が発生しうる範囲ということもできる。本実施形態では、グループに所属する作業員の位置の中心点を基準とした所定半径の円が設定される場合を説明するが、この領域の形状及びサイズは、任意であってよく、円以外にも、楕円であってもよいし、多角形であってもよい。
図10は、円以外の領域の一例を示す図である。図10に示すように、作業員J~Lが互いにコミュニケーションを取っていない場合には、作業員J~Lの各々を囲むようにグループG7~G9が設定される。この時点では、グループG7~G9は、円形であってよい。なお、図10の例では、作業員Jが管理者であるものとするが、作業員K又はLが管理者であってもよいし、特に管理者が存在しなくてもよい。
その後、作業員JとKがコミュニケーションを取った場合、グループG7に作業員JとKが属するようになり、グループG8は消滅する。図10に示すように、グループG7は、作業員JとKを囲むように、フローチャート記号の端子形状(個々の作業員JとKを囲う円の各々を共通の接線でつないだ形状、又は、角丸四角形の丸みを最大限に持たせた形状)となっている。また、作業員JとLがコミュニケーションを取った場合、作業員Lは、グループG7に属してもよいが、ここでは、作業員JとLがグループG9に属する状態となる。グループG9は、作業員JとLを囲うように、グループG7の形状と同様になっている。この場合、グループG7とG9は互いに重なっているが、作業員Jが両方に属しているので、アラートは出力されない。
その後、作業員KとLのコミュニケーションが成立すると、図10に示すように、例えば、グループG7に作業員J~Lが属するようになり、グループG9は消滅する。この場合、グループG7は、作業員JとKを囲う端子形状、作業員JとLを囲う端子形状、及び作業員KとLを囲う端子形状を合成した形状となる。このように、グループの領域は、作業員のペアを囲う形状を合成したものであってもよい。図10に示すように、作業員MとNが属する他のグループG10がグループG7に近づいた場合、グループG7内の作業員K~Lと、グループG10内の作業員M,Nと、の間でコミュニケーションが取れていなければ、アラートが出力される。
なお、データ記憶部100に記憶されるデータは、上記の例に限られない。データ記憶部100は、任意のデータを記憶してよく、例えば、建設機械30が位置検出部26と同様の構成を含む場合には、データ記憶部100は、建設機械30の位置情報を記憶してもよい。また例えば、作業グループが予め決められている場合には、データ記憶部100は、作業グループごとに、当該作業グループに所属する作業員の作業員IDを格納するデータを記憶してもよい。また例えば、作業員に管理者や操縦者などの役割が与えられている場合には、作業員の役割を示す情報がデータ記憶部100に記憶されていてもよい。管理者は、作業グループにおいて他の作業員を管理する責任がある者であり、職長又はリーダーと呼ばれることもある。操縦者は、建設機械30を操縦する者であり、オペレータと呼ばれることもある。
[位置情報取得部]
位置情報取得部101は、制御部11を主として実現される。位置情報取得部101は、施工現場における作業員の位置に関する位置情報を取得する。位置情報は、作業員の位置を示す情報ということもできるし、作業員の作業員端末20の位置を示す情報ということもできる。本実施形態では、作業員端末20の位置検出部26により位置情報が検出されるので、位置情報取得部101は、各作業員端末20から、当該作業員端末20を保有する作業員の位置情報を取得する。
例えば、作業員端末20は、位置検出部26を利用して定期的に位置情報を取得し、自身の記憶部22に記憶された端末IDとともに、サーバ10に位置情報を送信する。サーバ10の位置情報取得部101は、作業員端末20から端末IDと位置情報を取得すると、作業員データDT1を参照し、作業員端末20の端末IDが格納されたレコードの位置情報を更新する。これにより、作業員データDT1に格納される各作業員の位置情報は、最新の状態が保たれる。なお、作業員端末20は、作業員が操作部24から所定の操作をした場合などのように、不定期的に位置情報を送信してもよい。
[検出部]
検出部102は、制御部11を主として実現される。検出部102は、作業員同士で行われるコミュニケーションを検出する。コミュニケーションを検出するとは、コミュニケーションの有無を検出すること、コミュニケーションをしている作業員の組み合わせを検出すること、又はコミュニケーションの内容を検出することである。検出部102は、コミュニケーションの検出結果に基づいて、作業員データDT1に格納されたコミュニケーション情報を更新する。
コミュニケーションの検出方法(検出アルゴリズム)自体は、種々の手法を適用可能であり、コミュニケーションの内容に応じた検出方法を利用すればよい。本実施形態では、コミュニケーションの一例として、作業員同士の会話を説明するので、検出部102は、作業員同士の会話を検出する。例えば、検出部102は、作業員端末20の音声検出部27により検出された音声と、公知の会話検出方法と、に基づいて、作業員同士の会話を検出する。
例えば、作業員端末20の音声検出部27が複数のマイクを含み、マイクが互いに一定距離離されて配置されている場合、検出部102は、複数のマイクの各々で検出された音声の音圧の比に基づいて、当該作業員端末20の作業員(以降、自分と記載する。)が発話しているか、他の作業員が発話しているかを判定する。音圧は、発声点からマイクまでの距離の二乗に略反比例して減衰するため、発声点とマイクが近い領域では急激に低下し、これらが遠い領域ではほとんど変化しない。このため、検出部102は、作業員端末20の音声検出部27の複数のマイクの音圧比が閾値以上であれば、自分が発話していると判定し、音圧比が閾値未満であれば他の作業員が発話していると判定する。
検出部102は、音声検出部27が検出した音声の発話者を分離し、自分の発話と他の作業員の発話とが交互に繰り返されていたり、これらが適度に重なっていたりした場合に、コミュニケーションが成立していると判定する。一方、検出部102は、同時に発話している時間が長かったり、誰も発言していない時間が長かったりした場合に、コミュニケーションが成立していないと判定する。なお、コミュニケーションの成立状態は、特にリセットされなくてもよいが、本実施形態では、所定の条件によってリセットされ、後述するリセット部105は、コミュニケーションが成立したと判定した作業員同士が、一定時間の間、コミュニケーションが成立していないと判定した場合などに、これらの作業員のコミュニケーションが成立しなくなったと判定する。
図2及び図3の場合を例に挙げると、検出部102は、作業員A~Dの各々の作業員端末20から音声を取得し、自分の発話と他の作業員の発話を分離する。検出部102は、作業員A,B,Cについて、自分の発話と他の作業員の発話とが交互に繰り返されたり、適度に重なっていたりした場合に、作業員A,B,Cの間でコミュニケーションが成立していると判定し、作業員A,B,Cのコミュニケーション情報を更新する。一方、検出部102は、作業員Dについては、自分の発話が検出されなかった場合に、他の作業員との間でコミュニケーションが成立していないと判定し、コミュニケーション情報を更新する。
なお、会話の検出方法は、音圧を利用した方法に限られない。例えば、声紋認証を利用するのであれば、検出部102は、音声検出部27が検出した音声の声紋を検出することで、発話者を特定してもよい。発話者を分離した後の処理については、上述した通りである。また、会話以外にチャットやジェスチャをコミュニケーションツールとして利用する場合には、検出部102は、利用するツールに応じた検出方法でコミュニケーションを検出すればよい。
例えば、チャットを利用するのであれば、検出部102は、チャットの発言者やメッセージの内容を参照し、コミュニケーションが取れている作業員を検出してもよい。また例えば、ジェスチャを利用するのであれば、検出部102は、カメラの画像を解析したり、作業員の体に取り付けた加速度センサやジャイロセンサなどを利用したりしてジェスチャを特定し、コミュニケーションが取れている作業員を検出してもよい。また例えば、声掛けに対する反応として作業員が操作部24の所定のボタンを押すようにする場合には、検出部102は、操作部24の検出信号に基づいてコミュニケーションを検出してもよい。
[設定部]
設定部103は、制御部11を主として実現される。設定部103は、位置情報と検出部102の検出結果とに基づいて、コミュニケーションが取れている作業員のグループを複数設定する。例えば、設定部103は、グループに所属する作業員を設定する処理と、グループの領域を設定する処理と、の2つの処理を実行する。設定部103は、検出部102の検出結果に基づいて、グループに所属する作業員を設定する処理を実行し、位置情報に基づいて、グループの領域を設定する処理を実行する。
本実施形態では、検出部102の検出結果は、作業員データDT1のコミュニケーション情報に格納されるので、設定部103は、コミュニケーション情報に基づいて、グループに所属する作業員を設定する。例えば、設定部103は、コミュニケーション情報を参照し、コミュニケーションが成立している作業員の組み合わせを特定する。設定部103は、当該特定した作業員の組み合わせが同じグループに所属するように、グループデータDT2を設定する。
図8及び図9のデータ格納例であれば、設定部103は、作業員A~Cの各々のコミュニケーション情報を参照し、これら3人が互いにコミュニケーションを取っていることを特定する。設定部103は、これら3人が同じグループ(例えば、グループID「g00001」のグループ)に所属するように、グループデータDT2を設定する。また、設定部103は、作業員Dのコミュニケーション情報を参照し、誰ともコミュニケーションを取っていないことを特定する。設定部103は、作業員Dを自分だけのグループに所属するように、グループデータDT2を設定する。
設定部103は、グループに所属する作業員を設定すると、当該グループの領域を設定する。例えば、設定部103は、作業員データDT1及びグループデータDT2に基づいて、グループごとに、当該グループに属する作業員の位置を含むように領域を設定する。先述したように、領域の形状及びサイズは、データ記憶部100に予め決められており、本実施形態では円形状とする。例えば、設定部103は、グループに属する作業員の位置の平均値を計算し、当該平均値の座標を中心とした円をグループの領域として設定する。円の半径は、グループに属する作業員を含むような長さが設定されるようにすればよい。図8及び図9のデータ格納例であれば、設定部103は、作業員A~Cが属するグループID「g00001」のグループの領域として、作業員A~Cの位置の平均値を中心とした円を設定する。また、設定部103は、作業員Dが属するグループID「g00004」のグループの領域として、作業員Dの位置を中心とした円を設定する。
例えば、設定部103は、あるグループに属していない作業員が当該グループに属する作業員とコミュニケーションを取った場合に、当該グループに属していない作業員を当該グループに追加してもよい。設定部103は、グループ内の少なくとも1人の作業員とのコミュニケーションが成立した場合に、作業員をグループに追加すればよい。例えば、設定部103は、あるグループに属していない作業員が当該グループに属する全員とコミュニケーションを取った場合に、当該作業員をグループに追加してもよいし、設定部103は、あるグループに属していない作業員が当該グループに属する誰か1人とコミュニケーションを取った場合に、当該作業員をグループに追加してもよい。他にも例えば、設定部103は、あるグループに属していない作業員が当該グループに属する閾値以上の人数とコミュニケーションを取った場合に、当該作業員をグループに追加してもよい。
図8及び図9のデータ格納例であれば、設定部103は、グループID「g00001」のグループに所属していない作業員Dが、当該グループに所属する作業員A~Cの少なくとも1人とコミュニケーションを取った場合に、作業員Dを当該グループに追加する。この場合、設定部103は、作業員データDT1の作業員Dの所属グループを「g00001」に変更し、グループデータDT2のグループID「g00001」の作業員ID及び作業員名の各々に、作業員Dの作業員IDと名前を追加する。そして、設定部103は、作業員A~Dの位置情報に基づいて中心点を計算し、作業員A~Dを含む程度の半径の円となるように、グループの領域を設定する。
また例えば、グループには、建設機械30の操縦者又はグループの管理者が属している場合に、設定部103は、あるグループに属していない作業員が操縦者又は管理者とコミュニケーションを取った場合に、当該グループに属していない作業員を当該グループに追加してもよい。即ち、作業員がグループに追加される条件として、操縦者や管理者といった特定の作業員とのコミュニケーションを条件としてもよい。この場合、作業員の種別を作業員データDT1に格納しておき、設定部103は、あるグループに属していない作業員が操縦者又は管理者とコミュニケーションを取った場合に、当該作業員をグループに追加してもよい。
図8及び図9のデータ格納例において、作業員Bが管理者だったとすると、設定部103は、グループID「g00001」のグループに所属していない作業員Dが、当該グループの管理者である作業員Bとコミュニケーションを取った場合に、作業員Dを当該グループに追加する。この場合、作業員Dが、管理者ではない作業員A又はCとコミュニケーションを取ったとしても、グループには追加されない。また例えば、図6の例において、設定部103は、グループG6に所属していない作業員Gが、当該グループG6における操縦者である作業員Hとコミュニケーションを取った場合に、作業員Gを当該グループG6に追加する。この場合、作業員Gが、操縦者ではない作業員Iとコミュニケーションを取ったとしても、グループには追加されない。作業員Gは、グループG5とG6の両方に所属してもよいし、この時点でグループG5とG6が統合されてもよい。
また例えば、設定部103は、複数のグループの間で少なくとも1組の作業員がコミュニケーションを取った場合に、複数のグループを統合してもよい。統合とは、複数のグループを1つにまとめることであり、複数のグループの各々に所属している作業員を単一のグループに所属させることである。例えば、設定部103は、複数のグループの間の全ての組み合わせでコミュニケーションが成立した場合に、グループを統合してもよいし、何れか1つの組み合わせだけでコミュニケーションが成立した場合に、グループを統合してもよい。他にも例えば、設定部103は、閾値以上の数の組み合わせでコミュニケーションが成立した場合に、グループを統合してもよい。
また例えば、グループに、建設機械30の操縦者又はグループの管理者が属している場合に、設定部103は、複数のグループの各々の少なくとも1人の作業員が他のグループの操縦者又は管理者とコミュニケーションを取った場合に、複数のグループを統合してもよい。例えば、設定部103は、一方のグループの作業員の全員が他方のグループの操縦者又は管理者とコミュニケーションを取った場合に、グループを統合してもよいし、一方のグループの作業員の誰か1人が他方のグループの操縦者又は管理者とコミュニケーションを取った場合に、グループを統合してもよい。また例えば、一方のグループの閾値以上の人数の作業員が他方のグループの操縦者又は管理者とコミュニケーションを取った場合に、グループを統合してもよい。
[出力部]
出力部104は、制御部11を主として実現される。出力部104は、複数のグループの各々の位置に基づいて、所定のアラートを出力する。本実施形態では、グループの領域の位置がグループの位置に相当する場合を説明するが、グループに属する任意の作業員の位置がグループの位置として用いられてもよいし、グループに属する複数の作業員の位置の平均値などがグループの位置として用いられてもよい。例えば、出力部104は、複数のグループの各々の位置に基づいて、所定の条件が満たされたか否かを判定する。出力部104は、所定の条件が満たされていない間は、アラートを出力せず、所定の条件が満たされたことに応じてアラートを出力する。
所定の条件は、アラートを出力するための条件であればよく、例えば、グループの領域同士が重なること、領域が重なる面積が閾値以上になること、又はグループの位置同士が所定距離未満になることである。本実施形態では、所定の条件の一例としてグループの領域同士が重なることを例に挙げて説明する。例えば、出力部104は、データ記憶部100上に、施工現場を示す2次元的な平面又は3次元的な空間を構築し、当該平面又は空間にグループの領域を設定する。平面は、2つの座標軸によって表現され、2次元座標によって位置が示される。空間は、3つの座標軸によって表現され、3次元座標によって位置が示される。出力部104は、グループデータDT2を参照し、上記構築された平面又は空間に各グループの領域を設定し、グループの領域同士が重なったか否かを判定する。出力部104は、グループの領域同士が重なっていない間は、アラートを出力せず、グループの領域同士が重なったことに応じてアラートを出力する。
また、本実施形態では、画面SCにおいて視覚的にアラートが出力されるので、例えば、出力部104は、グループの領域同士が重なったと判定された場合に、メッセージを表示させたり、接近した作業員のアイコンを表示させたりすることによって、アラートを出力する。このように、出力部104は、接近したグループの位置とともにアラートを出力してもよいし、接近したグループに属する作業員の名前とともにアラートを出力してもよい。
なお、アラートが視覚的に行われる場合、出力部104は、画面SC以外を利用してアラートを出力してもよい。例えば、作業員端末20がLEDライトなどの発光部を含む場合には、出力部104は、発光部を発光させることによりアラートを出力してもよい。また、アラートは聴覚的行われてもよく、出力部104は、スピーカやイヤホン等の音声出力部から、所定の音声をアラートとして出力してもよい。また、アラートは触覚的に行われてもよく、出力部104は、作業員端末20内のバイブレータを振動させることによってアラートを出力してもよい。
アラートは、任意の作業員に対して出力されるようにすればよく、例えば、出力部104は、複数のグループのうち一方のグループの付近にいる、他方のグループに属する作業員に対し、アラートを出力してもよい。図4及び図5の例であれば、出力部104は、グループG4の付近にいる、グループG1に属する作業員A又はCに対し、アラートを出力し、離れた位置にいる作業員Bに対しては、アラートを出力しなくてもよい。図6の例であれば、出力部104は、グループG6の付近にいる、グループG5に属する作業員Gに対し、アラートを出力し、離れた位置にいる作業員EとFに対しては、アラートを出力しなくてもよい。
例えば、グループに、建設機械30の操縦者又はグループの管理者が属している場合には、出力部104は、操縦者又は管理者に対し、アラートを出力してもよい。出力部104は、操縦者又は管理者にアラートを出力し、他の作業員についてはアラートを出力しないようにしてもよい。例えば、出力部104は、操縦者又は管理者の作業員端末20に対し、アラートを出力させるための情報(例えば、画像データ、音声データ、又はバイブレータの振動を指示するコマンド)を送信する。
また例えば、出力部104は、複数のグループの間で少なくとも1組の作業員がコミュニケーションを取った場合に、アラートの出力を停止する。出力部104は、複数のグループの間でコミュニケーションが取れていない状態から、これらの間で少なくとも1組の作業員がコミュニケーションを取れた状態になるまでの間、アラートを出力する。
なお、アラートを停止させる条件は、上記の例に限られず、任意の条件のもとで停止してよい。例えば、アラートは、一定期間出力された後に自動的に停止してもよいし、アラートの出力対象となった作業員が所定の操作を行った場合に停止してもよい。また、アラートとともに、接近した作業員の位置及び名前の少なくとも一方を示す情報が出力されてもよい。視覚的にアラートを出力するのであれば、当該情報は作業員の位置を示すアイコンであったり、作業員の名前を示すテキスト又は画像であったりする。これらの情報は、データ記憶部100に予め記憶されているものとする。
[リセット部]
リセット部105は、制御部11を主として実現される。リセット部105は、所定の条件に基づいて、作業員同士のコミュニケーションの成立状態をリセットする。所定の条件とは、予め定められた条件であればよく、例えば、コミュニケーションの成立が確認されてから一定時間が経過すること、コミュニケーションが成立した作業員同士の距離(又は、操縦者や管理者などの特定の作業員との距離)が閾値以上になること、操縦者や管理者などが作業員端末20で所定の操作をすること、又は、危険な作業が行われる時刻が決められている場合に当該時刻が近づくことなどである。
コミュニケーションの成立状態のリセットとは、作業員同士がコミュニケーションを取れている状態から取れていない状態にすること(コミュニケーションが成立している状態から成立していない状態にすること)である。本実施形態では、コミュニケーションの成立状態がコミュニケーション情報に示されるので、リセット部105は、作業員同士がコミュニケーションを取れていない状態になるように、コミュニケーション情報を設定する。
例えば、リセット部105は、リアルタイムクロック又はGPS信号等に基づいて取得した現在日時に基づいて、上記一定時間が経過したか否かを判定したり、所定の時刻が近づいたか否かを判定したりする。なお、当該一定時間は、操縦者や管理者などにより指定可能であってもよいし、特に編集できないようにしてもよい。また例えば、リセット部105は、作業員の位置情報に基づいて、上記作業員同士の距離が閾値以上になったか否かを判定する。また例えば、リセット部105は、操縦者や管理者などの作業員端末20において、リセットするための操作が行われたか否かを判定する。
リセット部105は、上記で説明した所定の条件が満たされたと判定されない場合には、作業員同士のコミュニケーションの成立状態をリセットせず、上記で説明した所定の条件が満たされたと判定された場合に、作業員同士のコミュニケーションの成立状態をリセットする。検出部102は、リセット部105によるリセットが行われた後に、作業員同士のコミュニケーションを再び検出可能となる。リセット後に作業員同士のコミュニケーションが検出された場合、検出部102は、先述した処理により、コミュニケーション情報を更新する。
設定部103は、リセット部105によるリセットが行われた後に、グループを再設定する。再設定とは、最新のコミュニケーションの成立状態に基づいて、グループの状態を更新することである。グループを設定する処理自体は先述した通りであり、設定部103は、リセット後のコミュニケーションの成立状態に基づいて、グループを再設定する。例えば、設定部103は、あるグループ内の作業員のコミュニケーションの成立状態がリセットされた場合に、当該作業員をグループから離脱させたり、当該グループを複数に分割させたりする。また例えば、設定部103は、あるグループ内の全ての作業員のコミュニケーションの成立状態がリセットされた場合には、当該グループを消滅させる。
[4.本実施形態において実行される処理]
図11は、アラート出力システムSで実行される処理を示すフロー図である。図11に示す処理は、制御部11が記憶部12に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。また、以降説明する処理は、図7に示す機能ブロックにより実行される処理の一例である。なお、サーバ10と各作業員端末20とは、予め通信可能に接続されているものとする。
図11に示すように、まず、制御部11は、施工現場にいる各作業員の作業員端末20から、位置検出部26により検出された位置情報と、音声検出部27により検出された音声と、を取得する(S1)。作業員端末20は、位置検出部26の検出信号に基づいて位置情報を生成し、音声検出部27の検出信号に基づいて音声データを生成する。作業員端末20は、記憶部22に記憶された端末IDとともに、位置情報と音声データを送信する。なお、ここでは、サーバ10が、作業員端末20を使用する作業員を予め特定しているものとするが、作業員がどの作業員端末20を使ってもよいことにする場合には、作業員に作業員IDを入力させ、作業員端末20から当該作業員IDを受信してもよい。
制御部11は、S1で受信した位置情報を作業員データDT1に格納する(S2)。S2においては、制御部11は、作業員データDT1を参照し、位置情報とともに受信した端末IDが格納されたレコードを特定し、当該レコードに位置情報を格納する。
制御部11は、S1で受信した音声に基づいて、作業員データDT1のコミュニケーション情報を更新する(S3)。S3においては、制御部11は、先述した会話検出方法に基づいて、コミュニケーションが取れている作業員の組み合わせを特定し、当該作業員の作業員IDをコミュニケーション情報に格納する。なお、S3においては、制御部11は、先述したように、所定の条件に基づいて、作業員同士のコミュニケーションの成立状態をリセットしてもよい。例えば、制御部11は、最後にコミュニケーションの成立が確認されてから一定時間が経過した作業員の組み合わせについては、当該作業員の作業員IDをコミュニケーション情報から削除し、作業員同士のコミュニケーションが成立していない状態に戻してもよい。これに応じて、S4の処理によってグループの形成状態が更新され、例えば、作業員がグループから離脱されたり、1つのグループが複数に分割されたり、グループ自体が消滅したりしてもよい。
制御部11は、S3で更新したコミュニケーション情報に基づいて、グループを設定する(S4)。S4においては、制御部11は、コミュニケーション情報を参照し、コミュニケーションが取れている作業員の組み合わせを特定する。制御部11は、当該特定した作業員が同じグループに属するように、各グループIDに関連付けられる作業員IDの組み合わせを更新し、グループの領域も更新する。先述したように、あるグループに属していない作業員が当該グループとコミュニケーションを取った場合には、S4の処理により、当該作業員が当該グループに追加される。一方、あるグループに属している作業員が当該グループの他の作業員とコミュニケーションを取っていない状態になった場合には、S4の処理により、当該作業員が当該グループから離脱される。
制御部11は、施工現場における作業の終了時刻よりも前か否かを判定する(S5)。S5においては、制御部11は、リアルタイムクロック等を利用して現在日時を取得し、記憶部12に予め記憶された終了時刻が訪れたか否かを判定する。
終了時刻よりも前であると判定された場合(S5;Y)、制御部11は、グループデータDT2に基づいて、グループの領域同士が重なったか否かを判定する(S6)。記憶部12には、予め施工現場の地図データ又は設計図データが記憶されており、S6においては、制御部11は、グループデータDT2に格納された各グループの領域を地図データ又は設計図データが示す施工現場上に設定する。制御部11は、施工現場上に設定された領域同士が重なったか否かを判定する。なお、領域同士が少しでも重なった場合にS6の判定が肯定となってもよいし、重なった面積が閾値以上になった場合にS6の判定が肯定となってもよい。
グループの領域同士が重なったと判定された場合(S6;Y)、制御部11は、当該重なったグループ間でコミュニケーションを取っていないかを判定する(S7)。S7においては、制御部11は、領域が重なったグループに属する作業員のコミュニケーション情報を参照し、当該グループの領域と重なった他のグループの作業員の作業員IDが格納されているか否かを判定する。
コミュニケーションを取っていないと判定された場合(S7;Y)、制御部11は、アラートの出力対象となる作業員端末20に対し、アラートを出力する(S8)。先述したように、アラートの出力対象は、任意の作業員の作業員端末20であってよく、例えば、領域が重なったグループの中の少なくとも1人である。S8においては、制御部11は、作業員端末20に対し、メッセージを送信したり、作業員のアイコンを表示させたりする旨の指示を送信したりする。なお、作業員端末20では、アプリケーションが予め起動しており、画面SCが表示されているものとする。アプリケーションは、作業員データDT1を定期的に参照して作業員の位置情報を取得し、作業員のアイコンの位置の更新等を行う。
一方、終了時刻よりも前であると判定されない場合(S5;N)、グループ同士が重なったと判定されない場合(S6;N)、又は、コミュニケーションを取っていないと判定されない場合(S7;N)、制御部11は、アラートの出力を停止する(S9)。S9においては、制御部11は、操縦者又は管理者の作業員端末20に対し、メッセージの表示停止指示を送信したり、作業員のアイコンの表示態様を変える旨の指示を送信したりする。なお、アラートが出力されている作業員端末20が無い場合には、S9の処理は実行されない。
制御部11は、施工現場における作業の終了時刻が訪れたか否かを判定する(S10)。S10の処理は、S5の処理と同様である。終了時刻が訪れたと判定されない場合(S10;N)、S1の処理に戻る。終了時刻が訪れたと判定された場合(S10;Y)、本処理は終了する。
アラート出力システムSによれば、施工現場における作業員同士のコミュニケーションを検出してコミュニケーションが取れている作業員をグループ化し、コミュニケーションが取れていないグループ同士が近づいた場合には、互いの作業により危険が発生しないようにアラートを出力することで、施工現場における安全性を担保することができる。このため、注意不足や過度な集中といった人が原因の事故の発生を防止することができる。また、余計なアラートが出力されると作業員の作業の邪魔になってしまうが、コミュニケーションが成立している場合にはアラートが出力されないので、作業員の作業の邪魔になることを防止できる。
また、あるグループに属していない作業員が当該グループに属する作業員とコミュニケーションを取った場合に、当該作業員を当該グループに追加することで、コミュニケーションが取れている作業員のグループを最新の状態に保つことができる。
また、あるグループに属していない作業員が当該グループに属する操縦者又は管理者とコミュニケーションを取った場合に、当該作業員を当該グループに追加することで、安全性を担保するうえで重要な作業員とのコミュニケーションが取れた場合に作業員をグループに追加し、施工現場における安全性を効果的に担保することができる。
また、複数のグループの間で少なくとも1組の作業員がコミュニケーションを取った場合に、これら複数のグループを統合することで、コミュニケーションが取れている作業員のグループを最新の状態に保つことができる。
また、複数のグループの各々の少なくとも1人の作業員が他のグループの操縦者又は管理者とコミュニケーションを取った場合に、これら複数のグループを統合することで、安全性を担保するうえで重要な作業員とのコミュニケーションが取れた場合にグループを統合し、施工現場における安全性を効果的に担保することができる。
また、複数のグループのうちの一方のグループの付近にいる、他方のグループに属する作業員に対し、アラートを出力することで、特に注意を要する作業員にアラートを出力することができ、施工現場における安全性を効果的に担保することができる。
また、操縦者又は管理者といった特定の作業員に対してアラートが出力されることで、特定の作業員に声掛け等をさせて、作業員に確実に気付かせることができる。
また、複数のグループの間で少なくとも1組の作業員がコミュニケーションを取った場合に、アラートの出力を停止することで、いつまでもアラートが出力されて作業の邪魔になるといったことを防止し、作業をし易くなる。
また、所定の条件に基づいて、作業員同士のコミュニケーションの成立状態をリセットし、最新のコミュニケーションの成立状態に応じたグループに再設定することで、作業員の声掛けを徹底させることができる。例えば、一定時間が経過するたびにリセットすることで、一定時間ごとに作業員の声掛けを徹底させることができる。また例えば、コミュニケーションが成立した作業員同士の距離が閾値以上になった場合にリセットすることで、いったん持ち場を離れて戻ってきた作業員に対する声掛けを徹底させることができる。また例えば、操縦者や管理者などが所定の操作をした場合にリセットすることで、操縦者や管理者などが必要と感じた場面で声掛けを徹底させることができる。また例えば、所定の時刻が近づいたときにリセットすることで、危険な作業をする時刻などが近づいたときに声掛けを徹底させることができる。
[5.変形例]
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
例えば、実施形態では、作業員同士が直接的にコミュニケーションを取れているときに、コミュニケーションが取れていると判定される場合を説明したが、間接的にコミュニケーションが成立していれば、コミュニケーションが取れていると判定されるようにしてもよい。例えば、図2の例において、作業員Aは作業員BとCと直接的にコミュニケーションが取れていたとする。また例えば、作業員Cは、作業員Bの声掛けには応じなかったが、作業員Aとコミュニケーションを取れていたとすると、作業員Cは、作業員Aを通じて作業員Bの存在に気付くことがある。このように、設定部103は、他の作業員を介して特定の作業員とのコミュニケーションが成立していれば、コミュニケーションが取れていると判定してもよい。
また例えば、複数のコミュニケーションツールが組み合わされてもよい。例えば、操縦者の声掛けに対して作業員が手を上げることによってコミュニケーションが取られてもよい。また例えば、操縦者によるチャットメッセージの入力に対して作業員が発話することによってコミュニケーションが取られてもよい。また例えば、マイクやヘッドフォンなどを利用した無線通信又は電話によってコミュニケーションが取られてもよい。
また例えば、実施形態では、サーバ10によって各機能が実現される場合を説明したが、アラート出力システムSに複数のコンピュータが含まれている場合に、各コンピュータで機能が分担されてもよい。例えば、データ記憶部100がサーバ10とは異なるデータベースサーバによって実現されてもよい。また例えば、作業員端末20によって各機能が実現されてもよい。また例えば、サーバ10と作業員端末20との間で機能が分担されてもよい。また例えば、複数のサーバ10が存在する場合に、これら複数のサーバ10が連携することによって機能が分担されてもよい。