JP7262961B2 - ショーツ - Google Patents
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Description
また特許文献2には、適切な着圧を維持しつつ、着用者への食い込みを抑制することができると記載されている一方、姿勢の補整効果があることは記載されていない。
すなわち、本発明は、前身頃、後身頃及びクロッチ部を有し、ウエスト開口部と一対のレッグ開口部との間に筒状の胴回り部を有するショーツであって、前記胴回り部は、該胴回り部の周方向に沿って延びる環状の胴回り伸縮領域を有し、前記胴回り伸縮領域は、前記前身頃の横方向中央域に位置する腹部中央領域と、前記後身頃の横方向中央域に位置する背部中央領域と、前記前身頃と前記後身頃との境目およびその近傍に位置する一対の脇部領域と、前記前身頃における前記腹部中央領域の両側に位置し、前記腹部中央領域および前記一対の脇部領域それぞれに挟まれる一対の腸骨領域とを有しており、前記腹部中央領域、前記腸骨領域、前記背部中央領域及び前記脇部領域は、いずれも、前記胴回り部の周方向に伸縮性を有しており、且つ前記腸骨領域は、前記胴回り部の周方向における戻り応力が、前記腹部中央領域、前記背部中央領域及び前記脇部領域に比して高い、ショーツを提供するものである。
脇部領域D,Dは、前身頃と前記後身頃との境目およびその近傍に位置する。脇部領域D,Dは、ショーツの周方向に引っ張り力を加えない自然状態において、該ショーツを前身頃を上面に、且つ後身頃を底面にして平面に置いたとき、前身頃と後身頃との間に生じる折り目部分の近傍、すなわち、前身頃と後身頃との境目を含む領域である。
腹部中央領域Aは、図1及び図2(a)に示すように、前身頃2の横方向Yの中央域に形成されている。腹部中央領域Aは、前身頃2の横方向Yに伸縮性を有しており、好ましくは前身頃2の縦方向X及び横方向Yに伸縮性を有している。前身頃2の横方向Y及び後身頃3の横方向Yは、それぞれ、胴回り部の周方向と一致している。
一対の腸骨領域B,Bは、図1及び図2(a)に示すように、前身頃2における腹部中央領域Aの両側に、それぞれ腹部中央領域Aに隣接した状態に形成されている。腸骨領域Bも、前身頃2の横方向Yに伸縮性を有しており、好ましくは前身頃2の縦方向X及び横方向Yに伸縮性を有している。腸骨領域Bは、図5に示すように、ショーツ1の着用時に、着用者の上前腸骨棘9及び腸骨稜9aの前方に位置する。上前腸骨棘及び腸骨稜は、解剖学の用語である。図4に示すように、腸骨は、寛骨臼の上部を作る腸骨体とそれより上方において扇状に拡がる腸骨翼とを有し、その腸骨翼の上縁が腸骨稜9aである。上前腸骨棘9は、腸骨稜9aの前方下部にある突起である。
一対の脇部領域D,Dは、それぞれ、図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、胴回り部7の周方向において、腸骨領域B及び背部中央領域Cとの間に、腸骨領域B及び背部中央領域Cと隣接した状態に形成されている。ショーツ1における脇部領域Dは、平坦状態のショーツ1において、前身頃2側に位置する部分D1と後身頃3側に位置する部分D2とを有している。脇部領域Dは、前身頃2及び後身頃3の横方向Yに伸縮性を有しており、好ましくは前身頃2及び後身頃3の縦方向X及び横方向Yに伸縮性を有している。平坦状態とは、ショーツを、前身頃と後身頃とを重ねて、自然に収縮させた状態である。
(1)Pb>Pa
(2)Pb>Pc
(3)Pb>Pd
しかも、胴回り伸縮領域8が、一対の腸骨領域B間に、腸骨領域Bよりも戻り応力が低い腹部中央領域Aを有する上に、概ね着用者の胴部の側部に配される部位に、腸骨領域Bよりも戻り応力が低い脇部領域Dを有し、更に、背部中央領域Cの戻り応力も腸骨領域Bに比して低いため、従来の補整下着に比して、着用者を締め付ける程度を大幅に低減することができ、腹部に圧迫感がない楽な着用感が得られる。すなわち、姿勢の補整効果が得られるにも拘わらず、着用者に、締め付け力を感じさせにくく、通常の下着と同様の感覚で日常的に使用することも可能となる。更に、姿勢の補整効果を得つつも着用者の締め付け力を低減できるため、ショーツ1の着脱動作も容易である。例えば、ショーツ1を装着する際の腰部までの引き上げや、ショーツ1を脱ぐ際の引き下げ等の動作を容易且つスムーズに行うことができる。
腹部中央領域A、腸骨領域B、背部中央領域C及び脇部領域Dの戻り応力の高低は、下記〔戻り応力(N)の測定方法〕により測定した、戻り応力(N)値を比較することにより決定することができる。下記〔戻り応力(N)の測定方法〕においては、収縮過程における戻り応力を求めるが、前述の関係式(1)~(3)の全てを満たしていればよい。
収縮状態(自然状態)のショーツの胴回り伸縮領域の腹部中央領域A、腸骨領域B、背部中央領域C及び脇部領域Dのそれぞれから縦方向Xの長さ50mm、胴回り部の周方向と一致する横方向Yの長さ30mmの寸法の測定片を切り出す。各測定片について、胴回り部の周方向に相当する測定片の短手方向を伸長方向に一致させて、テンシロン引張試験機(オリエンテック(株)製「UCT-100W」)の上下のチャック間に、チャック間距離を10mmとしてセットする。そして、チャック間距離を、測定片の初期長(自然長)である10mmから40mmまで、300mm/秒の速度で増大させ、次いで、チャック間距離を、300mm/秒の速度で40mmから10mmまで減少させる伸縮過程の応力を測定する。この伸縮過程は、チャック間距離を40mmまで増大させる伸長過程と、該伸長過程後にチャック間距離を10mmに減少させる収縮過程とを有する。この伸縮過程におけるS-S曲線(応力-歪曲線)から、収縮過程の2.4倍伸長時の応力を求め、これを戻り応力とする。2.4倍伸長時の応力は、収縮過程における初期長(10mm)の2.4倍に伸長させた時点の応力であり、「2.4倍に伸長させた時点」とは、チャック間距離が24mmの時点である。
(4)Pb>Pc>Pa
前記関係式(4)を満たすことにより、腹部中央領域Aの装着圧を背部中央領域Cの装着圧より低くすることとなり、着用者を締め付ける程度を低減する、締め付け低減効果を向上させる。また、腸骨領域Bの装着圧を腹部中央領域A及び背部中央領域Cよりも高くすることで、姿勢の補整効果が向上すると共に、日常的に姿勢を意識することができる。また、着用時の着心地、前記締め付け低減効果の観点から、前記関係式(1)~(4)を満たしていることがより好ましい。
(5)Pb>Pd>Pa
(6)Pb>Pc>Pd>Pa
胴回り伸縮領域8には、戻り応力が異なる複数の領域A~Dを形成する一方、ウエスト伸縮領域51は、全周に亘って等しい戻り応力とすることにより、着用時の贅肉のはみ出しを抑制し、シルエットに響くことを抑制する。ここで、ウエスト伸縮領域51が全周に亘って等しい戻り応力を有するか否かは、以下の方法により判定する。 先ず、ウエスト伸縮領域51における前身頃2の横方向Yの中央部分、後身頃3の横方向Yの中央部分、及び脇部領域Dと横方向Yに重なる領域の該横方向Yの中央部分それぞれから、前述の〔戻り応力(N)の測定方法〕と同様にして測定片を切り出して、切り出したそれぞれの測定片について前述の「戻り応力」を測定する。ここで、ウエスト伸縮領域51の縦方向Xの長さが50mmに満たない場合は、縦方向Xの長さが最大となるように測定片を切り出す。
ウエスト伸縮領域51の戻り応力は、好ましくは1.0N以上3.0N以下である。
胴回り伸縮領域8が丸編み2重構造を有することで、保温性を向上させることができ、腰の冷え対策にもなり得る。
腸骨領域Bの戻り応力Pbは、好ましくは6.0N以上であり、また好ましくは18.0N以下である。
腹部中央領域Aの戻り応力Paは、好ましくは2.0N以上であり、また好ましくは8.0N以下である。
腹部中央領域Aの戻り応力Paは、腸骨領域Bに比して小さいことを前提として、腸骨領域Bの戻り応力Pbとの差が、好ましくは2.0N以上、より好ましくは3.0N以上であり、また好ましくは8.0N以下、より好ましくは5.0N以下である。
背部中央領域Cの戻り応力Pcは、腸骨領域Bに比して小さいことを前提として、腸骨領域Bの戻り応力Pbとの差が、好ましくは0.8N以上、より好ましくは1.0N以上であり、また好ましくは3.0N以下、より好ましくは2.0N以下である。
また脇部領域Dの戻り応力Pdを背部中央領域Cの戻り応力Pcよりも低くする場合、脇部領域Dの戻り応力Pdは、背部中央領域Cよりも小さいことを前提として、背部中央領域Cの戻り応力Pcとの差が、好ましくは0.3N以上、より好ましくは0.5N以上であり、また好ましくは2.0N以下、より好ましくは1.5N以下である。
腹部中央領域Aは、胴回り伸縮領域の他のいずれの領域よりも戻り応力が低いことが好ましい。腹部中央領域Aの戻り応力Paは、脇部領域D及び背部中央領域Cのいずれよりも小さいことを前提として、脇部領域D及び背部中央領域Cのうちの戻り応力が低い方との差が、好ましくは1.0N以上、より好ましくは1.3N以上であり、また好ましくは3.0N以下、より好ましくは2.5N以下である。
(i)腸骨領域Bは、図2(a)に示すように、胴回り伸縮領域8の縦方向Xの全長に亘っていることが好ましい。
(ii)胴回り伸縮領域8、特に腸骨領域Bの縦方向Xの長さL8は、胴回り部7の縦方向Xの長さL7に対して、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上であり、また好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。
(iii)胴回り伸縮領域8、特に腸骨領域Bの縦方向Xの長さL8は、好ましくは50mm以上、より好ましくは55mm以上、さらに好ましくは60mm以上であり、また好ましくは70mm以下、より好ましくは65mm以下であり、また好ましくは50mm以上70mm以下、より好ましくは55mm以上65mm以下である。
(iv)ウエスト開口部の開口端5aから腸骨領域Bの縦方向Xの中心位置8cまでの距離Lcは、胴回り部7の縦方向Xの長さL7に対して、好ましくは25%以上40%以下、より好ましくは30%以上35%以下である。
(v)ウエスト開口部の開口端5aから腸骨領域Bの縦方向Xの中心位置8cまでの距離Lcは、ショーツの縦方向の長さLに対して、好ましくは15%以上30%以下、より好ましくは20%以上25%以下である。
同様の観点から、腸骨領域Bの胴回り部7の周方向の前記長さwbは、好ましくは35mm以上、より好ましくは40mm以上であり、また好ましくは55mm以下、より好ましくは50mm以下であり、また好ましくは35mm以上50mm以下、より好ましくは40mm以上45mm以下である。
以下、胴回り部7の周方向を単に「周方向」ともいう。
なお、前記疑似着用状態における円筒体の周長(89cm)は、前述の円筒体モデルの腸骨棘の位置における周囲長(89cm)に合わせている。
また同様の観点から、前記疑似着用状態において、腸骨領域Bは、上端aにおける周方向の長さと下端bにおける周方向の長さとの差が小さいことが好ましく、上端aにおける長さと下端bにおける長さとの差(絶対値)が、周方向の長さが長い方の長さの95%以内であることが好ましく、より好ましくは90%以内であり、更に好ましくは85%以内である。
なお、胴回り伸縮領域8の各領域A~Dの胴回り部の周方向の長さが、ウエスト開口部側の上端aとクロッチ部側の下端bとで相違する場合、上端と下端との中間位置における周方向の長さを、各領域A~Dの胴回り部の周方向の長さとする。
また背部中央領域Cは、胴回り部7の周方向の長さwcが、胴回り部7の周方向の全長(2w)の好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。また、前記の疑似着用状態において、背部中央領域Cは、胴回り部7の周方向の長さwcが、前記円筒体の周長(89cm)の好ましくは23%以上、より好ましくは25%以上であり、また好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下であり、また好ましくは25%以上30%以下である。
このように胴回り伸縮領域8における戻り応力が異なる領域間では、編組織(編み方)又は編組織を形成する編糸が互いに異なっていることが好ましい。斯かる構成は、領域間の境界部に剛性が高い部位が生じることを抑制して、締め付け感の一層の抑制やフィット性の一層の向上を図る観点から、好ましい。この場合、編組織(編み方)又は編組織を形成する編糸が互いに異なっているという表現には、編組織が同じであるが編糸が異なっている場合、編糸が同じであるが編組織が異なっている場合、並びに編組織及び編糸の双方が異なっている場合が含まれる。編糸が異なっているとは、編糸の太さ、編糸の弾性率、編糸の繊維の本数(編糸の断面に現れる本数)等が異なっていることであり、これらの1又は2以上が異なっている場合を含む。
斯かる複合繊維の例としては、ポリウレタン等からなる弾性糸に木綿を巻きつけた複合繊維が挙げられる。なお、ポリエステルとしては、衣料用繊維としての扱いやすさからポリエチレンテレフタレートが好ましい。
〔実施例〕
図1~図3に示す構造のショーツを製造した。
胴回り伸縮領域8の各領域A~Dの寸法及び戻り応力は、以下の通りとした。脇部領域Dなど左右にある部位の寸法は片側のみの値を示す。
実施例及び後述する比較例に関し「戻り応力」は前記の通りである。
〔収縮状態(自然状態)の胴回り部の周方向の寸法〕
腹部中央領域A:130mm
腸骨領域B :40mm
背部中央領域C: 150mm
脇部領域D : 150mm
〔疑似着用状態の胴回り部の周方向の寸法〕
腹部中央領域A:250mm
腸骨領域B :90mm
背部中央領域C:250mm
脇部領域D :100mm
〔戻り応力〕
腹部中央領域Pa:戻り応力2.75N
腸骨領域 Pb:戻り応力6.60N
背部中央領域Pc:戻り応力5.25N
脇部領域 Pd:戻り応力4.38N
戻り応力の大小関係:Pb>Pc>Pd>Pa
実施例のショーツにおける胴回り伸縮領域8の構成を変更した図6に示すショーツを製造した。比較例1のショーツは、胴回り伸縮領域8において戻り応力が均一である。胴回り伸縮領域8の各領域の寸法及び戻り応力は、以下の通りとした。
〔収縮状態(自然状態)の胴回り部の周方向の寸法〕
前身頃側の部分の長さ: 340mm
後身頃側の部分の長さ: 340mm
〔疑似着用状態の胴回り部の周方向の寸法〕
前身頃側の部分の長さ: 450mm
後身頃側の部分の長さ: 440mm
〔戻り応力〕
腹部中央領域Pa:戻り応力1.875N
腸骨領域 Pb:戻り応力1.875N
背部中央領域Pc:戻り応力1.875N
脇部領域 Pd:戻り応力1.875N
戻り応力の大小関係:Pa=Pb=Pc=Pd
実施例及び比較例1のショーツについて、1.姿勢の補整性能を評価、2.立位時の着用感、3.ショーツの連続着用による効果を検証した。
〔試験方法〕
実施例および比較例1のショーツを交互に直履きした状態において、3次元動作解析装置(VICON社製)を用いて、身体に装着したマーカー位置から骨盤角度を算出し、骨盤への影響を検証した。具体的には、実施例又は比較例1のショーツを履いた被験者の右上前腸骨棘、右上前腸骨棘、仙骨上にマーカーを取り付けて、該マーカーの座標を100Hzで計測し、被験者の骨盤角度を算出した。骨盤角度は、被験者の右上前腸骨棘、左上前腸骨棘、仙骨を頂点とする三角形を骨盤平面と定義されるHelen Hayes法を用い、該骨盤平面の実験室座標系に対する角度を骨盤角度として測定した。その結果を図7に示す。図7には、実施例の骨盤角度と比較例1の骨盤角度との統計的な差を、対応のあるt-検定によって確認した結果も併せて示してある。
実施例および比較例1のショーツを交互に直履きした着用者(被験者)から、立位時の着用感を聴取した。この際、60代~70代の女性26名を被験者とした。立位時の着用感の一覧を表1に示す。
比較対照品のショーツと実施例のショーツとを1週間交互に連続着用し、各ショーツの着用期間における睡眠状況を評価した。比較対照品のショーツとして、被験者が普段使用しているショーツを用いた。本評価において、50代~70代の女性60名を被験者とした。本評価は、ピッツバーグ睡眠調査票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)(土井由利子ら. ピッツバーグ睡眠質問票日本語版の作成. 精神科治療学 13, 755-763, 1998)により評価した。PSQIの各評価項目の結果を図8に、PSQIの総合得点の結果を図9に示す。図8及び図9に示す評価結果において、比較対照品のショーツの着用期間及び実施例のショーツの着用期間の2群間の有意差の確認はt-検定(対応あり)を用いた。PSQIは、その得点が高いほど睡眠が障害されていることを示す。
また、着用期間初日及び着用期間の1週間を経過した時点における、実施例のショーツの着用感について聴取した。着用感の一覧を表2に示す。
1.姿勢の補整性能
図7に示すように、胴回り部における腸骨領域Bの戻り応力を高めた実施例のショーツと、胴回り部の戻り応力が均一の比較例1のショーツとの骨盤角度に差が見られた。骨盤角度は、プラスであるほど骨盤がより後傾していることを示しており、マイナスであるほど骨盤がより前傾していることを示している。比較例1のショーツでは、実施例のショーツを着用した時に比して、骨盤がより前傾していた。このような結果から、実施例のショーツは比較例のショーツに比して、過度な骨盤前傾を補正し、骨盤角度の補整性能が高いことが判る。
表1より、実施例のショーツでは、良好なフィット感が得られた意見と共に、「姿勢を意識する」、「背が伸びる気がする」「背中がピッとする」などの意見が上がった。これらの意見より、適度な腸骨部位への加圧(装着圧)で姿勢を意識できる可能性が示唆された。
図8及び図9に示すように、睡眠の質、日中覚醒困難、睡眠困難、及びPSQIの合計得点について、実施例のショーツの着用期間では、比較対照品のショーツの着用期間よりも有意に得点が低かった。即ち、実施例のショーツの着用期間では、比較対照品のショーツの着用期間よりも質の良い睡眠が取れていた。このように睡眠の質が向上したのは、実施例のショーツが締め付け力を感じさせにくいことに起因するものと考えられる。
比較例2として、実施例のショーツにおける胴回り伸縮領域8の構成を変更した図11に示すショーツを製造した。比較例2のショーツは脇部領域Dの部分が腸骨領域Bと同様の編み方(同様の編組織)で構成されており、脇部領域Dの戻り応力と腸骨領域Bの戻り応力とがほぼ同等である。この脇部領域Dと腸骨領域Bとを合わせた領域を、側部領域Eともいう。また、胴回り伸縮領域8の各領域の寸法及び戻り応力は、以下の通りとした。側部領域Eは左右にある部位であり、以下の寸法は片側のみの値を示す。
〔収縮状態(自然状態)の胴回り部の周方向の寸法〕
腹部中央領域A:130mm
側部領域E :95-100mm
背部中央領域C:150mm
〔疑似着用状態の胴回り部の周方向の寸法〕
腹部中央領域A:250mm
側部領域E :180mm
背部中央領域C:270mm
〔戻り応力〕
腹部中央領域Pa:戻り応力2.75N
腸骨領域 Pb:戻り応力6.60N
背部中央領域Pc:戻り応力5.25N
脇部領域 Pd:戻り応力6.60N
Pb=Pd>Pc>Pa
30代~50代の女性6名の被験者に、実施例および比較例2のショーツを交互に直履きさせ、日常生活で起こりうる着脱、椅子の立ち座りについて、動作の容易性の評価、及び椅子の立ち座り時のショーツのズレの評価を行った。着脱の動作は、着衣時のショーツのレッグ開口部への脚入れ及び胴回り部の引き上げ、並びに脱衣時の胴回り部の引き下げの容易性について評価した。動作の容易性の評価は、「よい・ややよい・どちらともいえない・あまりよくない・よくない」の主観による5段評価とした。評価結果を図12に示す。図12では、椅子の立ち座り時のショーツのズレの評価を前記5段評価で示しているが、「よい」は「ずれない」、「ややよい」は「あまりずれない」、「あまりよくない」は「ややずれる」、「よくない」は「ずれる」にそれぞれ相当する。
4.ショーツを着脱した際の日常動作の容易性の評価
図12及び表3に示すように、実施例のショーツは、比較例2のショーツより伸縮性があるため着脱が容易と評価された。図12に示す結果より、特にレッグ開口部への脚入れ、胴回り部の引き上げ、胴回り部の引き下げの容易性について評価が高かった。また、実施例のショーツは、比較例2のショーツより立ち座りしやすく、立ち座り時の下着のズレもないと評価された。
2 前身頃
3 後身頃
4 クロッチ部
5 ウエスト開口部
6 レッグ開口部
7 胴回り部
51 ウエスト伸縮領域
71 胴回り部の本体部分
8 胴回り伸縮領域
9 上前腸骨棘
9a 腸骨稜
61 装飾部材
Claims (8)
- 前身頃、後身頃及びクロッチ部を有し、ウエスト開口部と一対のレッグ開口部との間に筒状の胴回り部を有するショーツであって、前記胴回り部は、該胴回り部の周方向に沿って延びる環状の胴回り伸縮領域を有し、前記胴回り伸縮領域は、前記前身頃の横方向中央域に位置する腹部中央領域と、前記後身頃の横方向中央域に位置する背部中央領域と、前記前身頃と前記後身頃との境目およびその近傍に位置する一対の脇部領域と、前記前身頃における前記腹部中央領域の両側に位置し、前記腹部中央領域および前記一対の脇部領域それぞれに挟まれる一対の腸骨領域とを有しており、
前記腹部中央領域、前記腸骨領域、前記背部中央領域及び前記脇部領域は、いずれも、前記胴回り部の周方向に伸縮性を有しており、且つ前記腸骨領域は、前記胴回り部の周方向における戻り応力が、前記腹部中央領域、前記背部中央領域及び前記脇部領域に比して高く、
前記腹部中央領域は、前記胴回り部の周方向における戻り応力が、前記背部中央領域及び前記脇部領域に比して低い、ショーツ。 - 前記脇部領域は、前記胴回り部の周方向における戻り応力が、前記背部中央領域に比して低い、請求項1に記載のショーツ。
- 前記脇部領域と前記背部中央領域は、前記胴回り部の周方向における戻り応力が等しく、連続する一の領域を形成している、請求項1又は2に記載のショーツ。
- 前記ウエスト開口部の開口端に、該開口端に沿う環状のウエスト伸縮領域が形成されており、該ウエスト伸縮領域は、前記ウエスト開口部の全周に亘って等しい戻り応力を有している、請求項1~3の何れか1項に記載のショーツ。
- 前記胴回り伸縮領域は、丸編み2重構造を有する、請求項1~4の何れか1項に記載のショーツ。
- 前記胴回り伸縮領域における前記戻り応力が相互に異なる領域は、編組織又は編組織を形成する編糸が相互に異なる、請求項1~5の何れか1項に記載のショーツ。
- 前記胴回り伸縮領域が、木綿、ナイロン、ポリエステル及びポリウレタンから選択される少なくとも2種以上を繊維素材とする複合繊維から構成されている、請求項1~6の何れか1項に記載のショーツ。
- 前記胴回り伸縮領域が、消臭効果を有する消臭繊維を含んでいる、請求項1~7の何れか1項に記載のショーツ。
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